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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】蓋体および蓋体付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 53/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
B65D53/00 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021077084
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022170844
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】塩田 隼介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 壮
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-122320(JP,A)
【文献】登録実用新案第3098800(JP,U)
【文献】実開昭53-148742(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられる口部に取り付けられる蓋体であって、
前記開口を覆って前記口部に貼り付けられる主部と、
前記主部の外面に貼り付けられ、前記開口の少なくとも一部を露出させる開封時に前記主部から少なくとも一部が剥がされる再貼付不能なカバー部と、を備え、
前記主部は、前記開口を覆う中央領域において溝状又はミシン目状に延びるとともに前記中央領域の一部の破断を案内するとともに前記カバー部が剥がされた状態で露出する開封部を有する
ことを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記カバー部は、その外縁の異なる二箇所から前記外縁と離隔した位置までそれぞれ延びるとともに相互間に隙間が設けられた一対の切れ込みを有し、前記開封時に前記外面から剥がされる剥離領域と前記外面に貼り付けられたままに維持される残存領域とが前記切れ込みを介して区画された
ことを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
一対の前記切れ込みは、前記外縁と離隔した位置に設けられた端部が互いに離隔する方向に向く
ことを特徴とする請求項2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記カバー部は、少なくとも前記開封部を覆った状態で前記外面に貼り付けられた
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項5】
前記カバー部は、前記外面の全体を覆った状態で前記外面に貼り付けられた
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項6】
前記主部の外縁は、前記口部に重なる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項7】
前記カバー部は、前記外面に貼り付けられた貼付部と、前記貼付部から突設されて前記外面に貼り付けられないタブ部とを有する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項8】
開口が設けられる口部を有する容器と、
前記口部に取り付けられる請求項1~7のいずれか一項に記載の蓋体と、を備えた
ことを特徴とする蓋体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、開口が設けられる口部に取り付けられる蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料や食品等を収容する容器の口部を塞ぐ種々の構造が知られている。例えば特許文献1には、容器の上端の開口部(口部)を閉塞するための蓋体に筒状の熱圧縮性フィルム(シュリンクフィルム)を被せたうえで、このフィルムを熱圧縮させることにより蓋体と一体化させた天板付きキャップシールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-217974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようなシュリンクフィルムを用いて形成されるキャップシールは、装着時に熱圧縮処理を要するとともに装着された状態では口部に密着するため、取付け(装着)性及び取外し性を高めることが難しい。これに対し、例えば一枚のシートを口部に貼り付けるといった簡素な構成の蓋体とすれば、取付け性及び取外し性を高められる。
しかしながら、このような簡素な構成の蓋体は、取外し前後で形状が変化しないため、容器の口部から剥がされた後に再び口部に貼り付けられた場合に、口部が開封済みであるか否かの判別が困難になる。よって、開封済みの口部を未開封に見せる偽り行為(改ざん)を把握しづらいという課題がある。
【0005】
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、簡素な構成でありながら開封作業が行われたことを明確化できる蓋体を提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用及び効果であって、従来の技術では得られない作用及び効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件の蓋体は、開口が設けられる口部に取り付けられる蓋体であって、前記開口を覆って前記口部に貼り付けられる主部と、前記主部の外面に貼り付けられ、前記開口の少なくとも一部を露出させる開封時に前記主部から少なくとも一部が剥がされる再貼付不能なカバー部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本件によれば、簡素な構成でありながら開封作業が行われたことを明確化できる蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係る蓋体及び容器の分解斜視図である。
図2】容器の口部に取り付けられた図1の蓋体の主部を示す上面図である。
図3】容器の口部に取り付けられた図1の蓋体(図2の主部にカバー部が貼り付けられたもの)を示す上面図である。
図4】(A),(B)は、図3の蓋体を容器の口部から取り外す手順を説明する模式図である。
図5】変形例に係る蓋体の上面図(図3に対応する図)である。
図6】第二実施形態に係る蓋体の上面図(図3に対応する図)である。
図7図6の蓋体の主部及びタブ部を示す上面図(図2に対応する図)である。
図8】(A),(B)は、図7の主部を容器の口部から取り外す手順を説明する模式図である。
図9】第一変形例に係る案内部が適用された主部及びタブ部の上面図(図7に対応する図)である。
図10】第二変形例に係る案内部が適用された主部及びタブ部の上面図(図7に対応する図)である。
図11】第三変形例に係る案内部が適用された主部及びタブ部の上面図(図7に対応する図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本件の実施形態を説明する。この実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0010】
[1.第一実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すように、第一実施形態に係る蓋体10は、容器20に設けられる口部21に取り付けられ、口部21の開口22(又は開口が形成される部位)を閉鎖する。本実施形態では、容器20として、水(飲料)を収容するプラスチック製のボトル(タンク)を例示する。容器20は、比較的大型(大容量)であり、例えばウォーターサーバーに用いられる。なお、容器20の材質や形状や大きさは、ここで例示するものに限定されない。容器20の材質としては、プラスチック以外に、例えば、紙、金属、ガラスが挙げられる。また、容器20に収容される内容物も、水に限定されず、例えば、果実飲料、炭酸飲料、豆乳類、コーヒー飲料、茶系飲料などの清涼飲料水でもよく、アルコール飲料でもよく、試薬などの飲料以外の液体でもよい。
蓋体10は、容器20に設けられる口部21に対して好適に使用されるものの、その取付先は容器20に限定されない。蓋体10は、開口が設けられる種々の口部に取付可能であり、例えば、鍵穴をなす開口が設けられた口部(開口を縁取る部分)に取り付けられてもよい。すなわち、蓋体10は、鍵穴を覆うための部品として用いることも可能である。
【0011】
容器20は、外観形状が略円柱状である胴部23と、胴部23の上面の中央部から上方に突設された口部21とを有する。胴部23には内容物(本実施形態では水)が収容される。口部21の開口22は、胴部23に内容物を注入する注入口であるとともに、胴部23から内容物を取り出す取出口である。
【0012】
本実施形態の口部21は、鍔付き筒状をなす。詳細に言えば、口部21の上端(突出端)には、口部21の筒軸(軸方向)と直交する方向(開口22の径方向外側)に突出した鍔部24が設けられている。ここでは、口部21が鍔付き円筒状であり、鍔部24が円環状をなすとともに開口22が円形状である例を示す。ただし、口部21は、例えば角柱状であってもよいし、鍔部24が省略されてもよい。また、口部21は、開口22が予め形成されている構成に代えて、所定の器具(例えばウォーターサーバーの給水管)が挿入されることで開口が形成される構成であってもよい。この場合には、開口が形成される部位を覆うように蓋体10が取り付けられればよい。なお、中空をなす柱状(すなわち筒状)の口部21は、開口22が多角形状であってもよい。
【0013】
本実施形態の蓋体10は、二枚のシート材が貼り合わされた二重構造をなす。具体的には、蓋体10は、再貼付可能な一枚のシート材で形成された主部1と、再貼付不能な一枚のシート材で形成されたカバー部4とを備えている。蓋体10は、カバー部4が主部1の外面(おもて面)に貼り付けられることで一枚のシート状をなし、主部1の内面(裏面)が口部21に貼り付けられることで、口部21に装着される。このように主部1が口部21に貼り付けられて使用されるシート状の蓋体10は、ラベル型であるともいえる。ここでは、主部1及びカバー部4がいずれも紙製である蓋体10を例示する。
【0014】
主部1は、開口22を覆って口部21に貼り付けられる。本実施形態では、円形状の主部1を例示する。ただし、主部1の形状はここで例示するものに限定されない。
図2は、蓋体10からカバー部4を省略した(主部1からカバー部4の全体を剥がした)状態を示す上面図である。図2に示すように、主部1には、開口22を覆う中央領域1Aと、口部21に貼り付けられる外側領域1Bとが設けられる。中央領域1Aは、蓋体10が口部21に取り付けられた状態(すなわち、主部1が口部21に貼り付けられた状態であり、以下「取付け状態」ともいう)において、上面視(口部21の軸方向視)で開口22と重なる領域である。本実施形態では、開口22が円形状であることから、中央領域1Aも円形状をなす。
【0015】
一方、外側領域1Bは、中央領域1Aを囲む領域である。本実施形態の外側領域1Bは、円環状をなす。外側領域1Bは、取付け状態において、上面視で鍔部24と重なる領域を含む。なお、外側領域1Bは口部21に貼り付けられることから、外側領域1Bの裏面(取付け状態で口部21に対向する内面)には、粘着剤や接着剤が付与される。
【0016】
本実施形態の主部1の外縁1c(外側領域1Bの外縁でもある)は、口部21に重なる。より具体的に言えば、主部1は、取付け状態でその全体が口部21に重なる。本実施形態では、主部1の外側領域1Bの全体が、口部21の鍔部24に重なっている。
このように外縁1cの全体が口部21に重なる主部1は、取付け状態で口部21よりも径方向の外側に突出しない。ただし、主部1の構成はこれに限定されず、取付け状態で口部21よりも径方向の外側に突出してもよい。
【0017】
主部1は、中央領域1Aにおいて溝状又はミシン目状に延びる開封部5を有する。開封部5は、中央領域1Aにおいて相対的に破断しやすく形成された部位であって、中央領域1Aの一部の破断を案内する。本実施形態の開封部5は、中央領域1Aの一部である円形状の孔領域1Dを縁取るループ状に設けられている。ここでは、中央領域1Aの中心から偏心した位置に設定された開封部5を例示する。
【0018】
開封部5は、口部21の開口22の少なくとも一部を露出させる開封時に、力が加えられることで孔領域1Dの破断を案内する。開封部5は、主部1を口部21から取り外しやすくするための構造である。例えば、口部21を開封する開封者は、孔領域1Dの破断によって主部1に形成される貫通孔1e〔図4(B)参照〕に指を入れたうえで主部1を外側(口部21から離れる側であって本実施形態では上側)へ引っ張ることにより、口部21から主部1を取り外せる。なお、ここではミシン目状(断続的な切込み)の開封部5を例示するが、開封部5は、破断を案内する構造であればよく、溝状(ハーフカット)であってもよい。
【0019】
図3は、主部1の外面にカバー部4が貼り付けられた(主部1からカバー部4を剥がす前の)状態の蓋体10を示す上面図である。カバー部4は、いわゆる圧着ハガキやセキュリティシールと同様に、一度剥がされた後は再貼付不能な周知の構造を有する。このようなカバー部4としては、貼付け面から剥がされると、図柄や文字等の目印(開封痕)が貼付け面上やカバー部4自身に残る周知のラベルやシールを適用できる。
【0020】
カバー部4は、主部1の外面に貼り付けられており、口部21の開封時に少なくとも一部が主部1から剥がされる。カバー部4は、主部1のうちの少なくとも開封部5を覆った状態で主部1の外面に貼り付けられることが好ましい。言い換えれば、カバー部4の形状、サイズ及び配置は、少なくとも開封部5を被覆可能となるように設定されることが好ましい。ここでは、主部1の外面の全体を覆った状態で主部1の外面に貼り付けられたカバー部4を例示する。
【0021】
本実施形態のカバー部4は、主部1の外面に貼り付けられた貼付部41と、貼付部41から突設されて主部1の外面に貼り付けられないタブ部42とを有する。貼付部41は、主部1と同じ大きさ又は主部1よりもやや小さい円形状をなす。一方、タブ部42は、主部1よりも小さい矩形状をなす。カバー部4は、貼付部41が主部1に重なるとともに、タブ部42が主部1及び口部21よりも径方向の外側に突出するように配置される。
【0022】
タブ部42は、口部21の開封時に開封者によって摘ままれる部位である。本実施形態のカバー部4は、開封時にタブ部42が引っ張られることで、少なくとも一部が主部1から剥がされる。タブ部42は、主部1に設けられた開封部5と隣接するように、主部1の中心に対して開封部5が偏心する方向に突設されている。
また、本実施形態のタブ部42は、貼付部41と同一平面上に延在する。このような貼付部41及びタブ部42を有するカバー部4は、一枚のシート材から形成できる。ただし、タブ部42は、貼付部41とは別体のシート材で形成されたうえで、貼付部41から突設されてもよい。
【0023】
カバー部4は、その外縁4c(本実施形態では貼付部41の外縁)の異なる二箇所から外縁4cと離隔した位置までそれぞれ延びる一対の切れ込み6を有する。これらの切れ込み6の間には、隙間7が設けられる。すなわち、一対の切れ込み6は相互間の隙間7において不連続となるように配置される。
以下、各切れ込み6において、カバー部4の外縁4cに設けられた一方の端部6aを「外端部6a」ともいい、外縁4cと離隔した位置に設けられた他方の端部6bを「内端部6b」ともいう。また、開封時にタブ部42が摘ままれることでカバー部4が捲られる方向Do(タブ部42から貼付部41へ向かう方向)を「捲り方向Do」ともいい、主部1に貼り付けられたカバー部4の延在面において捲り方向Doと直交する方向Dtを「横方向Dt」ともいう。さらに、横方向Dtにおける貼付部41の中心とタブ部42の中心とを通る直線C1を「カバー中心線C1」ともいう。
【0024】
本実施形態の各切れ込み6は、外端部6aからまっすぐに延びた直線部61と、内端部6bからU字状に延びて直線部61と繋がる曲線部62とを有し、直線部61と曲線部62とでJ字状をなす。ここでは、一対の切れ込み6が貼付部41において横方向Dtに並んで配置されており、各直線部61が横方向Dtに沿って延びるとともに、内端部6bが直線部61よりも捲り方向Doの下流側に位置するように各曲線部62が配置された例を示す。
【0025】
一対の切れ込み6の内端部6bは、互いに離隔する方向(隙間7と反対側)に向く。詳細に言えば、各切れ込み6を外端部6aから内端部6bに向けて辿っていく場合に、内端部6bの手前から内端部6bまでの一定部分は、隙間7から離隔する方向に延在する。本実施形態では、内端部6bが横方向Dtの外側にそれぞれ向く一対の切れ込み6を例示する。一対の切れ込み6は、カバー中心線C1に対して対称に配置されている。
【0026】
切れ込み6が設けられたカバー部4では、開封時に主部1の外面から剥がされる剥離領域4Aと、開封時に主部1の外面に貼り付けられたままに維持される残存領域4Bとが、切れ込み6を介して区画される。本実施形態のカバー部4では、貼付部41のうち、捲り方向Doにおいて一対の切れ込み6よりも上流側(図3では下側)が剥離領域4Aとなり、一対の切れ込み6よりも下流側(図3では上側)が残存領域4Bとなる。剥離領域4Aと残存領域4Bとは、切れ込み6が設けられた位置においては互いに切り離されているものの、切れ込み6間の隙間7では互いに繋がっている。
【0027】
剥離領域4Aは、主部1に設けられた開封部5の全体と重なる。すなわち、カバー部4における各切れ込み6の配置は、剥離領域4Aが主部1から剥がされた状態で開封部5の全体が露出するように、主部1の開封部5の位置に応じて設定される。本実施形態では、各切れ込み6が貼付部41の中心よりも捲り方向Doの下流側に配置されている。これにより、残存領域4Bは、剥離領域4Aよりも小さく設定されている。
【0028】
[1-2.作用及び効果]
図4(A)に示すように、口部21に取り付けられた蓋体10は、口部21の開封時に、まずカバー部4の少なくとも一部が主部1から剥がされる。ここで、カバー部4は再貼付不能であるため、カバー部4のうち主部1から剥がされた少なくとも一部は、再び主部1に貼り付けることができない。すなわち、蓋体10は、開封時にカバー部4の少なくとも一部が主部1から剥がされた後は、開封前の状態に復元不能である。
【0029】
本実施形態のカバー部4は、タブ部42が摘ままれて引っ張られる(捲られる)ことで、貼付部41の剥離領域4Aが主部1から剥がされる。このように捲り方向Doに引っ張られた貼付部41では、剥離領域4Aから残存領域4Bへの力の伝達が切れ込み6において遮断されることから、剥離領域4Aが主部1から剥がされても、残存領域4Bは主部1に貼り付けられたままの状態に保たれる。これにより、開封時に主部1とカバー部4とが一体に保たれる。また、カバー部4は、切れ込み6間の隙間7では剥離領域4Aと残存領域4Bとが繋がっているため、上記のように剥離領域4Aが主部1から剥がされるとともに残存領域4Bが主部1に貼り付いた状態であっても、複数のピースに分断(分割)されることなく一体に保たれる。
【0030】
剥離領域4Aが主部1から剥がれされた状態では、主部1の開封部5が露出する。開封者は、例えば孔領域1Dを指で内側(口部21側であって本実施形態では下側)へ押すことにより、開封部5に沿って孔領域1Dを容易に破断させられる。孔領域1Dが破断した主部1には、図4(B)に示すように、孔領域1Dに対応する貫通孔1eが形成される。開封者は、この貫通孔1eに指を挿入して主部1の内面を外側へ押す(主部1を外側へ引っ張る)ことにより、主部1を口部21から容易に取り外せる。本実施形態では、上記のとおりカバー部4が残存領域4Bにおいて主部1と一体化されているため、主部1を口部21から取り外すことにより、カバー部4も一緒に(蓋体10を丸ごと)口部21から取り外せる。
【0031】
したがって、蓋体10によれば、再貼付不能なカバー部4が主部1の外面に貼り付けられているため、カバー部4の少なくとも一部が主部1から一度剥がされた後は、このカバー部4を主部1に再度貼り付けることができない。よって、口部21への装着時に従来のシュリンクフィルムに施される熱圧縮処理が不要な簡素な構成でありながら、口部21を開封しようとする開封作業が行われたことを明確化できる。このため、口部21を未開封に見せる偽り行為(改ざん)を防止できる。また、このように蓋体10を二段階で(カバー部4を剥がした後に、主部1を剥がすことで)開封する構成とすれば、不正な開封や誤開封を抑制できる。
【0032】
また、蓋体10は、口部21に貼り付けるだけで取付けが完了するため、取付け性を高められるとともに、カバー部4を主部1から剥がした後に主部1を口部21から剥がすだけで取外し(口部21の開封)が完了するため、取外し性(開封性)も高められる。
さらに、蓋体10(主部1及びカバー部4)が紙製であれば、材料コストを抑制できるとともに、脱プラスチック化を実現できるため使用後の廃棄が容易となる。
【0033】
カバー部4において剥離領域4Aと残存領域4Bとが一対の切れ込み6を介して区画されていれば、開封時に剥離領域4Aが主部1の外面から剥がされた場合に、切れ込み6間の隙間7により残存領域4Aと剥離領域4Bとを一体に保てるとともに、残存領域4Bにおいてカバー部4を主部1と一体に維持できる。これにより、蓋体10を一体物として口部21から取り外せるため、開封後の蓋体10の扱いが容易となる。
【0034】
一対の切れ込み6の内端部6bが互いに離隔する方向に向いていれば、剥離領域4Aが主部1から剥がされる際に切れ込み6の内端部6bの周辺が裂けたとしても、カバー部4が複数のピースに引き裂かれることを抑制できる。すなわち、各切れ込み6の内端部6bが一対の切れ込み6間の隙間7と反対側を向いていれば、隙間7における破断を抑制できるため、剥離領域4Aと残存領域4Bとをより確実に一体に保てる。したがって、カバー部4をより確実に主部1と一体に維持できる。これにより、蓋体10がより確実に一体物に保たれるため、開封後の蓋体10の扱いがより確実に容易となる。
【0035】
主部1の中央領域1Aに開封部5が設けられていれば、開封者が開封部5に沿って主部1を破断させることにより、中央領域1Aの一部に貫通孔1eを容易に形成できる。このため、例えば開封者が貫通孔1eに指を入れて主部1を外側へ引っ張ることにより、主部1を口部21から容易に剥がすことができる。したがって、口部21の開封処理性を高められる。
【0036】
また、上記のように開封者が貫通孔1eに指を入れて主部1を引き抜く場合には、外側領域1Bが中央領域1A側から剥がされるため、外側領域1Bを外縁1cから剥がす場合と比べて、主部1が口部21からきれいに剥がれやすくなり、主部1の破片が口部21に残りにくくなる(いわゆる紙残りや糊残りが生じにくくなる)。この点においても、口部21の開封処理性を高められる。
【0037】
カバー部4が開封部5を覆った状態で主部1の外面に貼り付けられていれば、カバー部4を剥がさないと開封部5へのアクセスができないため、主部1を口部21から取り外す前に、まずカバー部4を主部1から剥がして開封部5を露出させる作業が必要となる。このため、再貼付不能なカバー部4をより確実に開封者に剥がさせることができる。よって、口部21の開封作業が行われたことをより確実に明確化できる。
【0038】
また、カバー部4が主部1の外面の全体を覆った状態で貼り付けられていれば、カバー部4を剥がさないと主部1へのアクセスができないため、主部1を口部21から取り外す前に、まずカバー部4の少なくとも一部を剥がす作業が必要となる。このため、再貼付不能なカバー部4を一層確実に開封者に剥がさせることができる。よって、口部21の開封作業が行われたことを一層確実に明確化できる。
【0039】
ところで、主部1が口部21よりも径方向の外側に突出している場合には、主部1を摘まんで引っ張る(捲る)ことにより主部1を口部21から取り外すことが容易となるため、カバー部4が主部1から剥がされないまま口部21が開封される虞がある。これに対し、主部1の外縁1cが口部21に重なっていれば、主部1が口部21よりも径方向の外側に突出しないため、カバー部4を主部1から剥がさないと口部21から主部1を取り外すことが困難である。したがって、主部1の外縁1cが口部21に重なる構成によれば、開封者にカバー部4をより確実に剥がさせることができる。これにより、開封作業が行われたことを一層明確化できる。
【0040】
主部1の外面に貼り付けられた貼付部41と、主部1の外面に貼り付けられないタブ部42とを有するカバー部4によれば、開封者がタブ部42を摘まんで引っ張る(捲る)ことによりカバー部4を主部1から容易に剥がせる。このため、蓋体10の開封作業性を高められる。また、タブ部42が設けられることにより、口部21の開封時にまずカバー部4を剥がすことを開封者に促せるため、再貼付不能なカバー部4をより確実に開封者に剥がさせることができる。よって、口部21の開封作業が行われたことをより確実に明確化できる。
【0041】
[1-3.変形例]
上記のカバー部4は一例である。カバー部4は、主部1の外面の全体を覆わなくてもよく、例えば図5に示すように、主部1の外面のうち開封部5を含む一部分のみを覆った状態で主部1の外面に貼り付けられてもよい。このようにカバー部4が主部1の外面を部分的に露出させた状態で貼り付けられた蓋体10では、カバー部4が主部1の外面の全体を覆う場合と比べて、カバー部4のサイズを縮小できるため、材料コストを削減できる。
また、カバー部4は、二個以上のタブ部42を有してもよいし、タブ部42が省略されてもよい。
【0042】
切れ込み6の形状及び配置は、上記の例に限定されない。各切れ込み6では、内端部6bが直線部61よりも捲り方向Doの上流側に位置するように曲線部62が配置されてもよいし、内端部6bが隙間7側に向いてもよい。また、切れ込み6は、曲線部62が省略されて直線部61のみから構成されてもよい。
開封部5の形状及び配置も、上記の例に限定されない。開封部5は、中央領域1Aの一部の破断を案内するものであればよく、例えば、直線状に設けられてもよいし、中央領域1Aの中心に設けられてもよい。
【0043】
[2.第二実施形態]
[2-1.構成]
図6に示すように、第二実施形態に係る蓋体30は、おもに、主部1から突設されたタブ部2を備える点と、カバー部4が切れ込み6を有しない点とにおいて、第一実施形態の蓋体10と異なる。本実施形態では、上記の第一実施形態と同一又は対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0044】
タブ部2は、口部21を開封する開封者によって摘ままれる部位である。すなわち、タブ部2は、主部1の少なくとも一部を口部21から剥がすことで開口22の少なくとも一部を露出させる開封時に引っ張られる。本実施形態の口部21は、タブ部2が引っ張られる開封時に開口22の少なくとも一部が開放される。
【0045】
図7は、蓋体30からカバー部4を省略した(主部1からカバー部4の全体を剥がした)状態を示す上面図である。図6に示すように、本実施形態のタブ部2は、主部1の外縁1cから突設されている。タブ部2は、主部1と同一平面上に延在する。このような主部1及びタブ部2は、一枚のシート材(例えば紙材)から形成できる。ただし、タブ部2は、主部1の外縁1c以外の部位から突設されてもよい。例えば、主部1と別体のシート材で形成されたタブ部2が、主部1の中央領域1Aから突設されてもよい。
【0046】
本実施形態の主部1は、開封部5に代えて、タブ部2の外縁2cから溝状又はミシン目状に延びる案内部3を有する。案内部3は、主部1において相対的に破断しやすく形成された部位であって、口部21の開封時にタブ部2が引っ張られることに伴い、主部1の破断を案内する。ここでは、ミシン目状(断続的な切込み)である案内部3を例示する。ただし、案内部3は、破断を案内する構造であればよく、溝状(ハーフカット)であってもよい。
【0047】
以下、案内部3がタブ部2の外縁2cから延び始める点Psを「始点Ps」ともいい、案内部3が主部1において延び終わる点Peを「終点Pe」ともいう。始点Psは案内部3の一端部の位置を表し、終点Peは案内部3の他端部の位置を表す。ここでは、タブ部2の外縁2cの両端部に相当する二つの始点Psからそれぞれ延びる二つの案内部3を例示する。各案内部3は、上記のようにタブ部2が引っ張られる開封時に、始点Psから終点Peに向けて破断を案内する。
【0048】
本実施形態では、上記のとおりタブ部2が主部1の外縁1cから突設されているため、タブ部2の外縁2cから延びる案内部3も主部1の外縁1cから延びている。すなわち、案内部3の始点Psは、主部1の外縁1cとタブ部2の外縁2cとの接続位置である。
【0049】
本実施形態の案内部3は、主部1の外縁1c間に延びている。換言すれば、案内部3の始点Ps及び終点Peはいずれも、主部1の外縁1cと重なる。ただし、終点Peは、主部1の外縁1cのうちの始点Psとは異なる位置に設定される。
主部1は、主部1の外縁1c間に延びる案内部3に沿って破断された場合に、複数のピースに分断(分割)される。このため、主部1の外縁1c間に延びる案内部3は、口部21の開封時に主部1の分断を案内するといえる。
【0050】
本実施形態の案内部3は、上記の始点Psから終点Peまで直線状に延在する。ここでは、中央領域1Aと外側領域1Bとの双方に延びる(すなわち、中央領域1Aを縦断する)案内部3を例示する。
二つの案内部3は、タブ部2の中心と主部1の中心とを通る直線C2(以下、「主中心線C2」ともいう)を基準として対称に配置されている。ただし、案内部3の数や配置は、ここで例示するものに限定されない。
【0051】
[2-2.作用及び効果]
口部21に取り付けられた蓋体30は、口部21の開封時に、まずカバー部4が主部1から剥がされる。本実施形態のカバー部4は、貼付部41の全体が主部1から剥がされることで、主部1から分離させられる。このようにカバー部4が主部1から剥がれされた状態では、主部1及びタブ部2の全体が露出する。
続いて、図8(A),(B)に示すように、タブ部2が摘ままれて引っ張られる(捲られる)ことで、主部1の少なくとも一部が口部21から取り除かれる(剥がされる)。このようにタブ部2が引っ張られる開封時には、タブ部2の外縁2cから延びる案内部3に剪断力が作用するため、主部1が案内部3に沿って破断する。
【0052】
案内部3に沿って破断した主部1は復元不能であるため、開封後は開封前と同じ状態に主部1を口部21に再度貼り付けることが困難となる。仮に、案内部3に沿って破断した主部1を口部21に再度貼り付けようとしても、主部1の破断箇所(案内部3に対応する箇所)が連続しないとともに、主部1の破断箇所の両側にズレが生じうる。
【0053】
したがって、タブ部2及び案内部3が設けられた本実施形態の蓋体30によれば、上記のとおり再貼付不能なカバー部4が設けられることで開封作業が行われたことを明確化できるうえに、主部1が口部21から剥がされたことも明確化できる。このため、口部21が開封済みであることを明確化できる。よって、口部21を未開封に見せる偽り行為(改ざん)を防止できる。
なお、タブ部2が引っ張られると、タブ部2の外縁2cから延びる案内部3には直ぐに剪断力が作用することから、仮に開口22を少しだけ露出させる(開口22を少しだけ開放する)半開封時であっても、案内部3に沿って主部1を破断させられる。このため、蓋体30によれば、口部21が半開封済みであることも明確化できる。
【0054】
図3(B)に示すように、案内部3が主部1の外縁1c間に延びて開封時に主部1の分断を案内すれば、タブ部2が引っ張られる開封時に主部1を複数のピース(破片)11~13に分断できる。これにより、開封前と同じ状態に主部1を口部21に再度貼り付けることが更に困難となる。したがって、口部21が開封済みであることをより明確化できる。
【0055】
ところで、主部1が口部21よりも径方向の外側に突出している場合には、タブ部2を摘ままなくても、主部1を摘まんで引っ張る(捲る)ことにより主部1を口部21から取り外すことが容易となるため、案内部3に沿って主部1を適切に破断させられない虞がある。これに対し、主部1の外縁1cが口部21に重なっていれば、主部1が口部21よりも径方向の外側に突出しないため、開封者がタブ部2を摘ままないと主部1を取り外しにくくなる。したがって、主部1の外縁1cが口部21に重なる構成によれば、開封者にタブ部2をより確実に引っ張らせることができる。これにより、主部1が案内部3に沿って適切に破断しやすくなるため、口部21が開封済みであることを一層明確化できる。
【0056】
タブ部2が主部1の外縁1cから突設されていれば、主部1とタブ部2とを一枚の資材から形成できるため、構成をより簡素化できる。また、蓋体30の製造容易性を高められるとともに、製造コストの抑制に寄与する。
そのほか、本実施形態の蓋体30によれば、上記の第一実施形態の蓋体10と同様の構成からは、同様の作用及び効果が得られる。
【0057】
[2-3.変形例]
案内部3の構成は、上記の例に限定されない。蓋体30では、上記の直線状の案内部3に代えて、下記の変形例に係る案内部3A,3B,3Cが適用されてもよい。以下、既述の要素と同一又は対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
<第一変形例に係る案内部>
図9に示すように、第一変形例に係る案内部3Aは、タブ部2の外縁2cから、主部1の外縁1cと離隔した位置まで延びる。すなわち、本変形例では、案内部3Aの終点Peが主部1の外縁1cと重ならない。ここでは、タブ部2の外縁2cから主部1の中心に向けて螺旋状(渦巻状)に延びる案内部3Aを例示する。なお、案内部3Aの終点Peは、主部1の中央領域1A内に設定される。
【0059】
主部1は、このように主部1の外縁1cと離隔した位置まで延びる案内部3Aで破断された場合には、複数のピースに分断されずに一体に保たれる。このため、主部1の外縁1cと離隔した位置まで延びる案内部3Aは、口部21の開封時に主部1を一体に保ちつつ主部1の破断を案内するといえる。
【0060】
本変形例のように主部1の外縁1cと離隔した位置まで延びる案内部3Aによれば、タブ部2が引っ張られる開封時に、主部1を破断させつつも主部1を一体に保てる(すなわち主部1の分断を回避できる)ことから、主部1の破片が口部21に残存することを防止できる。このため、開封後に開口22へのアクセス性を容易に確保できるとともに、分断された主部1の破片を取り除くといった後処理が不要となる。よって、簡素な構成でありながら、口部21が開封済みであることを明確化しつつ、口部21の開封処理性を高められる。
また、案内部3Aが螺旋状に延びていれば、タブ部2が引っ張られる開封時に、上記のように主部1を一体に保ちつつも、主部1の破断を滑らかに進行させられる。このため、開封処理性を更に高められる。
【0061】
<第二変形例に係る案内部>
図10に示すように、第二変形例に係る案内部3Bは、外側領域1Bのみに設けられ、タブ部2及び主部1の中央領域1Aを含む開封領域14を区画する。図10では、開封領域14に網点を付して示す。
【0062】
開封領域14は、タブ部2が引っ張られることで主部1が案内部3Bに沿って破断された場合に、口部21から取り除かれる領域である。一方、主部1のうち開封領域14以外の領域は、タブ部2が引っ張られることで開封領域14が取り除かれた後も口部21上に残存する。なお、本変形例に係る案内部3Bは、主部1の外縁1c間に延びている(始点Ps及び終点Peがいずれも主部1の外縁1cと重なる)点では、第二実施形態の案内部3と共通する。
【0063】
本変形例では、案内部3Bの始点Ps及び終点Peが、タブ部2の外縁2cの両端部(主部1の外縁1cとタブ部2の外縁2cとの二つの接続位置)にそれぞれ設定されている。ここでは、始点Psから中央領域1Aに向けて直線状に延びた後、外側領域5B内において開口22の輪郭に沿う円弧状に延び、終点Peの近傍から終点Peまで直線状に延びる案内部3Bを例示する。本変形例の案内部3Bは、主部1の主中心線C2を基準として対称に形成されている。
【0064】
本変形例に係る案内部3Bによれば、第二実施形態に係る案内部3と同様に、主部1を複数のピースに分断できるため、開封前と同じ状態に主部1を口部21に再度貼り付けることがより困難となる。よって、口部21が開封済みであることをより明確化できる。
また、タブ部2が引っ張られる開封時には、タブ部2及び中央領域1Aを含む開封領域14が口部21から取り除かれるため、開口22へのアクセス性を確保できる。換言すれば、開封時に分断される主部1のピースのうち、口部21上に残存するのは開封領域14以外の領域(外側領域1Bの一部)となるため、開封後に主部1の破片が開口22に重なった状態で残存することを防止できる。よって、開封後も口部21に残存した主部1の破片により開口22へのアクセス性が低下することを防止できる。
【0065】
<第三変形例に係る案内部>
図11に示すように、第三変形例に係る案内部3Cは、第二実施形態で示した案内部3を短くしたものである。本変形例の案内部3Cは、タブ部2の外縁2cから主部1の外縁1cと離隔した位置まで延びる点では、第一変形例に係る案内部3Aと共通する。
【0066】
本変形例の案内部3Cは、具体的に言えば、主部1の外縁1cとタブ部2の外縁2cとの接続位置である始点Psから、主部1の外縁1cと重ならない終点Peまで直線状に延在する。ここでは、終点Peが主部1の中央領域1A内に設定された案内部3Cを例示する。ただし、案内部3Cの終点Peの位置(すなわち案内部3Cの長さ)は、ここで例示するものに限定されない。
主部1は、案内部3Cで破断された場合には、第一変形例の案内部3Aで破断された場合と同様に、複数のピースに分断されずに一体に保たれる。このため、本変形例の案内部3Cも、口部21の開封時に主部1を一体に保ちつつ主部1の破断を案内するといえる。
【0067】
本変形例の案内部3Cによっても、タブ部2が引っ張られる開封時に、主部1を破断させつつも主部1を一体に保てる(すなわち主部1の分断を回避できる)ことから、主部1の破片が口部21に残存することを防止できる。このため、開封後に開口22へのアクセス性を容易に確保できるとともに、分断された主部1の破片を取り除くといった後処理が不要となる。よって、簡素な構成でありながら、口部21が開封済みであることを明確化しつつ、口部21の開封処理性を高められる。
また、直線状に延びる案内部3Cによれば、螺旋状に延びる案内部3Aと比べて、構成をより簡素化できる。このため、蓋体30の製造容易性を高められる。
【0068】
[3.付記]
以上の実施形態に関し、以下の付記を開示する。
〔付記1〕
開口が設けられる口部に取り付けられる蓋体であって、
前記開口を覆って前記口部に貼り付けられる主部と、
前記主部から突設され、前記主部の少なくとも一部を前記口部から剥がすことで前記開口の少なくとも一部を露出させる開封時に引っ張られるタブ部と、を備え、
前記主部は、前記タブ部の外縁から溝状又はミシン目状に延びるとともに前記開封時に前記主部の破断を案内する案内部を有する
ことを特徴とする蓋体。
〔付記2〕
前記案内部は、前記主部の外縁間に延び、前記開封時に前記主部の分断を案内する
ことを特徴とする付記1に記載の蓋体。
〔付記3〕
前記主部には、前記開口を覆う中央領域及び前記中央領域を囲むとともに前記口部に貼り付けられる外側領域が設けられ、
前記案内部は、前記外側領域のみに設けられ、前記タブ部及び前記中央領域を含む開封領域を区画する
ことを特徴とする付記2に記載の蓋体。
〔付記4〕
前記案内部は、前記主部の外縁と離隔した位置まで延び、前記開封時に前記主部を一体に保ちつつ前記破断を案内する
ことを特徴とする付記1に記載の蓋体。
〔付記5〕
前記案内部は、螺旋状に延びる
ことを特徴とする付記4に記載の蓋体。
〔付記6〕
前記主部の外縁は、前記口部に重なる
ことを特徴とする付記1~5のいずれか一項に記載の蓋体。
〔付記7〕
前記タブ部は、前記主部の外縁から突設されている
ことを特徴とする付記1~6のいずれか一項に記載の蓋体。
〔付記8〕
少なくとも前記主部に貼り付けられて前記主部及び前記タブ部の全体を覆うとともに再貼付不能なカバー部を備えた
ことを特徴とする付記7に記載の蓋体。
〔付記9〕
開口が設けられる口部に取り付けられる蓋体であって、
前記開口を覆って前記口部に貼り付けられる主部と、
前記主部の外面に貼り付けられ、前記開口の少なくとも一部を露出させる開封時に前記主部から少なくとも一部が剥がされる再貼付不能なカバー部と、を備えた
ことを特徴とする蓋体。
〔付記10〕
前記カバー部は、その外縁の異なる二箇所から前記外縁と離隔した位置までそれぞれ延びるとともに相互間に隙間が設けられた一対の切れ込みを有し、前記開封時に前記外面から剥がされる剥離領域と前記外面に貼り付けられたままに維持される残存領域とが前記切れ込みを介して区画された
ことを特徴とする付記9に記載の蓋体。
〔付記11〕
一対の前記切れ込みは、前記外縁と離隔した位置に設けられた端部が互いに離隔する方向に向く
ことを特徴とする付記10に記載の蓋体。
〔付記12〕
前記主部は、前記開口を覆う中央領域において溝状又はミシン目状に延びるとともに前記中央領域の一部の破断を案内する開封部を有する
ことを特徴とする付記9~11のいずれか一項に記載の蓋体。
〔付記13〕
前記カバー部は、少なくとも前記開封部を覆った状態で前記外面に貼り付けられた
ことを特徴とする付記12に記載の蓋体。
〔付記14〕
前記カバー部は、前記外面の全体を覆った状態で前記外面に貼り付けられた
ことを特徴とする付記9~13のいずれか一項に記載の蓋体。
〔付記15〕
前記主部の外縁は、前記口部に重なる
ことを特徴とする付記9~14のいずれか一項に記載の蓋体。
〔付記16〕
前記カバー部は、前記外面に貼り付けられた貼付部と、前記貼付部から突設されて前記外面に貼り付けられないタブ部とを有する
ことを特徴とする付記9~15のいずれか一項に記載の蓋体。
【符号の説明】
【0069】
1 主部
1A 中央領域
1B 外側領域
1c 外縁
1D 孔領域
1e 貫通孔
2 タブ部
2c 外縁
3,3A,3B,3C,3D 案内部
4 カバー部
4A 剥離領域
4B 残存領域
4c 外縁
5 開封部
6 切れ込み
6a 外端部
6b 内端部
7 隙間
10 蓋体
11~13 ピース(破片)
14 開封領域
20 容器
21 口部
22 開口
23 胴部
24 鍔部
30 蓋体
41 貼付部
42 タブ部
61 直線部
62 曲線部
C1 カバー中心線
C2 主中心線
Do 捲り方向
Dt 横方向
Pe 終点
Ps 始点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11