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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報提示装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241112BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241112BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20241112BHJP
   G09B 19/16 20060101ALI20241112BHJP
   G09B 9/052 20060101ALI20241112BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W50/14
B60W40/08
G09B19/16
G09B9/052
G09B19/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021082730
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175943
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】塩野 佑子
(72)【発明者】
【氏名】岡 宏充
(72)【発明者】
【氏名】中川 康紀
(72)【発明者】
【氏名】越智 光
(72)【発明者】
【氏名】田中 君明
(72)【発明者】
【氏名】小島 一輝
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-197308(JP,A)
【文献】特開2013-047740(JP,A)
【文献】特開2020-135675(JP,A)
【文献】特開2020-083253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 50/14
B60W 40/08
G09B 19/16
G09B 9/052
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報提示装置(2)であって、
対象者によって行われた脳機能トレーニングの結果である脳機能トレーニング結果を取得するように構成された脳機能トレーニング結果取得部(S50~S70)と、
前記対象者による車両運転を診断した結果である運転診断結果を取得するように構成された運転診断結果取得部(S10~S30)と、
前記対象者の認知能力を判定した結果である認知能力判定結果を取得するように構成された認知能力判定結果取得部(S90~S110)と、
前記脳機能トレーニング結果と、前記運転診断結果と、前記認知能力判定結果とに基づいて、前記対象者の運転能力および認知能力に関する総合スコアを算出するように構成された総合スコア算出部(S140)と、
前記総合スコアに基づいて、前記対象者の前記運転能力に関する運転能力情報を提示するように構成された情報提示部(S210~S250,S320,S370,S520,S620,S720,S860)と
を備える情報提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提示装置であって、
前記情報提示部(S320)は、前記総合スコアが予め設定された第1判定値未満である場合に、前記運転能力情報として、前記対象者による前記車両運転の取り止めを勧めるための情報を提示する情報提示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報提示装置であって、
前記総合スコアが予め設定された第1判定値未満である場合に、予め登録された登録電話番号へ自動で連絡するように構成された自動連絡部(S1010)を備える情報提示装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の情報提示装置であって、
前記総合スコアが予め設定された第1判定値未満である場合に、前記対象者による前記車両運転に関する運転データを、予め設定された管理装置(6)へ送信するように構成されたデータ送信部(S1020)を備える情報提示装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の情報提示装置であって、
前記総合スコアが、予め設定された第1判定値以上であり、且つ、前記第1判定値より大きくなるように設定された第2判定値未満である場合に、前記対象者による前記車両の運転を制限するように前記車両を設定するように構成された車両制限部(S560)を備える情報提示装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の情報提示装置であって、
前記総合スコアが、予め設定された第1判定値以上であり、且つ、前記第1判定値より大きくなるように設定された第2判定値未満である場合に、前記対象者による前記車両運転の異常を検出するように構成された異常運転検出部(S820)を備える情報提示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報提示装置であって、
前記情報提示部(S860)は、前記異常運転検出部が前記車両運転の異常を検出した場合に、前記運転能力情報として、前記車両の退避を勧めるための情報を提示する情報提示装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の情報提示装置であって、
前記総合スコアが予め設定された第1判定値未満である場合に、前記対象者と医師との間での通話を可能にするように構成された通話部(S1040)と、
前記対象者による前記車両運転が可能であるか否かを前記医師が判断した判断結果を示す診断結果通知を受信するように構成された通知受信部(S1050)と、
前記診断結果通知を受信すると、受信した前記診断結果通知に基づいて、前記対象者による前記車両運転が可能であるか否かを判断し、前記対象者による前記車両運転が可能でない場合には、前記車両が走行できないように前記車両の動力源の始動を禁止するように構成された車両禁止部(S1090)と
備える情報提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高齢者の運転能力を向上させるためのゲームを提供する電子機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6284171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢運転者が起こす交通事故の原因として、加齢による身体機能および認知機能の低下に伴い運転能力が低下していることが考えられる。このため、運転能力が低下している高齢運転者は、自身の運転能力を認識し、運転能力に応じた適切な運転を心掛けることが望まれる。
【0005】
本開示は、運転能力に応じた適切な運転を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載される情報提示装置(2)であって、脳機能トレーニング結果取得部(S50~S70)と、運転診断結果取得部(S10~S30)と、認知能力判定結果取得部(S90~S110)と、総合スコア算出部(S140)と、情報提示部(S210~S250,S320,S370,S520,S620,S720,S860)とを備える。
【0007】
脳機能トレーニング結果取得部は、対象者によって行われた脳機能トレーニングの結果である脳機能トレーニング結果を取得するように構成される。
運転診断結果取得部は、対象者による車両運転を診断した結果である運転診断結果を取得するように構成される。
【0008】
認知能力判定結果取得部は、対象者の認知能力を判定した結果である認知能力判定結果を取得するように構成される。
総合スコア算出部は、脳機能トレーニング結果と、運転診断結果と、認知能力判定結果とに基づいて、対象者の運転能力および認知能力に関する総合スコアを算出するように構成される。
【0009】
情報提示部は、総合スコアに基づいて、対象者の運転能力に関する運転能力情報を提示するように構成される。
このように構成された本開示の情報提示装置は、対象者の運転能力および認知能力に基づいて、対象者の運転能力に関する運転能力情報を提示することができる。このため、本開示の情報提示装置は、少なくとも、対象者に自身の運転能力を認識させることができ、対象者に対して運転能力に応じた適切な運転を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報提示システムの構成を示すブロック図である。
図2】情報提示装置の構成を示すブロック図である。
図3】管理装置の構成を示すブロック図である。
図4】スコア算出処理を示すフローチャートである。
図5】レベル設定処理を示すフローチャートである。
図6】第3レベル運転前制御処理を示すフローチャートである。
図7】第2レベル運転前制御処理を示すフローチャートである。
図8】第1レベル運転前制御処理を示すフローチャートである。
図9】第3レベル運転中制御処理を示すフローチャートである。
図10】制限中制御処理を示すフローチャートである。
図11】外部連絡処理を示すフローチャートである。
図12】スコア削除処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本開示の実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の情報提示システム1は、車両を運転する運転者をサービス対象者として、サービス対象者に対して情報提示サービスを提供する。
【0012】
情報提示サービスは、サービス対象者による運転を診断した結果(以下、運転診断結果)と、サービス対象者が脳機能トレーニングを行った結果(以下、脳トレ結果)と、サービス対象者の認知能力判定結果とに基づいて、車両運転能力に関する情報を提示するサービスである。
【0013】
情報提示システム1は、図1に示すように、複数の情報提示装置2と、複数のドライブレコーダ3と、脳トレ提供サーバ4と、認知能力判定サーバ5と、管理装置6とを備える。
【0014】
情報提示装置2は、車両に搭載され、広域無線通信網NWを介して、脳トレ提供サーバ4、認知能力判定サーバ5および管理装置6とデータ通信を行う機能を有する。以下、情報提示装置2を搭載している車両を対象車両という。なお、本実施形態の対象車両は、例えば、自動運転および手動運転の両方が可能な自動運転車両である。
【0015】
ドライブレコーダ3は、対象車両に搭載され、対象車両の周囲と対象車両の車室内とを撮影し、撮影された映像を記憶する機器である。ドライブレコーダ3は、GPSを搭載しており、撮影した映像のデータ(以下、ドライブレコーダ映像データ)と、GPSにより測定された位置の情報(以下、GPS位置情報)と、撮影した日時の情報(以下、日時情報)とを対応付けて記憶する機能を有する。
【0016】
ドライブレコーダ3は、Bluetooth規格に準拠した方式の近距離無線通信によってデータ通信を行う機能を有する。Bluetoothは登録商標である。
ドライブレコーダ3は、事故発生時または車両故障時に、予め登録された登録電話番号に対応する連絡先(例えば、家族、保険会社、病院、警察など)に自動で通知する自動通知機能を有する。
【0017】
ドライブレコーダ3は、対象車両を運転する運転者(すなわち、サービス対象者)の運転を診断する運転診断機能を有する。具体的には、ドライブレコーダ3は、撮影した映像に基づいて、対象車両における急アクセル、急ブレーキ、急旋回および速度超過などを検出したり、サービス対象者によるスマホ操作などを検出したりすることによって、サービス対象者の運転を診断する。そしてドライブレコーダ3は、サービス対象者の運転を診断した結果に基づいて運転診断の得点(以下、運転スコア)を算出し、サービス対象者の運転を診断した結果と運転スコアとを運転診断結果として記憶する。
【0018】
脳トレ提供サーバ4には、インターネットを介してアクセス可能な脳トレ提供ウェブサイトが設置されている。
脳トレ提供ウェブサイトは、パーソナルコンピュータまたはスマートフォン等の通信機器を用いて脳トレ提供ウェブサイトにアクセスしたサービス対象者に、脳機能トレーニングのゲーム(以下、脳トレゲーム)を提供する。
【0019】
脳トレゲームは、例えば、標識認識ゲームおよびタイミング認識ゲームなどを含む。標識認識ゲームは、サービス対象者が所持する通信機器の表示画面の左側と右側とに、数字が記載された標識を表示し、左側の標識と右側の標識とのうち、大きい方の数字が記載されている標識を選択させるゲームである。タイミング認識ゲームは、移動しない特定オブジェクトと、移動する移動オブジェクトとを表示画面に表示し、特定オブジェクトと移動オブジェクトとが重なったタイミングでボタン押下操作をさせるゲームである。
【0020】
脳トレ提供ウェブサイトには、複数のサービス対象者のそれぞれに対してユーザIDおよびパスワードが設定されている。サービス対象者は、脳トレ提供ウェブサイトにアクセスした際に、自身のユーザIDおよびパスワードを用いてログインすることで、脳トレ提供ウェブサイトが提供する脳トレゲームを行うことができる。
【0021】
脳トレ提供サーバ4は、サービス対象者により行われた脳トレゲームの結果に基づいて、脳トレゲームの得点(以下、脳トレスコア)を算出する。そして脳トレ提供サーバ4は、サービス対象者毎に、脳トレゲームの結果と脳トレスコアとを脳トレ結果として記憶する。
【0022】
認知能力判定サーバ5には、インターネットを介してアクセス可能な認知能力判定ウェブサイトが設置されている。
認知能力判定ウェブサイトは、パーソナルコンピュータまたはスマートフォン等の通信機器を用いて認知能力判定ウェブサイトにアクセスしたサービス対象者に、認知能力判定テストを提供する。
【0023】
本実施形態の認知能力判定テストは、軽度認知障害を発症する可能性の程度を判定するテストである。本実施形態の認知能力判定テストは、計算力、記憶力、注意力および言語能力などに関する複数の問題を、サービス対象者が所持する通信機器の表示画面に表示して、サービス対象者に解かせるテストである。
【0024】
認知能力判定ウェブサイトには、複数のサービス対象者のそれぞれに対してユーザIDおよびパスワードが設定されている。サービス対象者は、認知能力判定ウェブサイトにアクセスした際に、自身のユーザIDおよびパスワードを用いてログインすることで、認知能力判定ウェブサイトが提供する認知能力判定テストを行うことができる。
【0025】
認知能力判定サーバ5は、サービス対象者により行われた認知能力判定テストの結果に基づいて、認知能力判定テストの得点(以下、認知能力判定スコア)を算出する。そして認知能力判定サーバ5は、サービス対象者毎に、認知能力判定テストの結果と認知能力判定スコアとを認知能力判定結果として記憶する。
【0026】
管理装置6は、情報提示システム1を管理する装置である。管理装置6は、広域無線通信網NWを介して、複数の情報提示装置2との間でデータ通信を行う機能を有する。
情報提示装置2は、図2に示すように、制御部11と、CAN通信部12と、通信部13と、表示部14と、操作入力部15と、記憶部16と、音声入力部17と、音声出力部18とを備える。CANは、Controller Area Networkの略である。CANは登録商標である。
【0027】
制御部11は、CPU21、ROM22、RAM23およびフラッシュメモリ24等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成された電子制御装置である。マイクロコンピュータの各種機能は、CPU21が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM22が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。フラッシュメモリ24は、データ書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0028】
なお、CPU21が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、制御部11を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0029】
CAN通信部12は、通信線を介して複数のECUとの間でデータ通信可能に接続されており、CAN通信プロトコルに従ってデータの送受信を行う。CAN通信部12に接続されている複数のECUは、具体的には、エンジン制御を行うエンジンECU、ブレーキ制御を行うブレーキECU、ステアリング制御を行うステアリングECU、サスペンション制御を行うサスペンションECU、ライトのオン/オフを制御するECU等である。図2では、CAN通信部12に接続されているECUとして、ECU111、ECU112およびECU113のみを示している。
【0030】
通信部13は、広域無線通信網NWを介して、脳トレ提供サーバ4、認知能力判定サーバ5および管理装置6とデータ通信を行う。また通信部13は、Bluetooth規格に準拠した方式の近距離無線通信によって、ドライブレコーダ3との間でデータ通信を行う。
【0031】
表示部14は、車室内に設置され、表示画面に各種画像を表示する。
操作入力部15は、表示部14の表示画面上に設置されたタッチパネルと、表示部14の表示画面の周囲に設置されたスイッチとを備える。そして操作入力部15は、車両の乗員がタッチパネルおよびスイッチを介して行った入力操作を特定するための入力操作情報を出力する。
【0032】
記憶部16は、各種データを記憶するための記憶装置である。
音声入力部17は、車室内に設置され、車両の乗員が発話した音声を入力する。そして音声入力部17は、入力した音声を電気信号(以下、音声電気信号)に変換して制御部11へ出力する。
【0033】
音声出力部18は、車室内に設置され、制御部11から入力された音声電気信号を音声に変換して出力する。
管理装置6は、図3に示すように、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、表示部34と、操作入力部35とを備える。
【0034】
制御部31は、CPU41、ROM42およびRAM43等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成された電子制御装置である。マイクロコンピュータの各種機能は、CPU41が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM42が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPU41が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、制御部31を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0035】
通信部32は、広域無線通信網NWを介して、複数の情報提示装置2との間でデータ通信を行う。
記憶部33は、各種データを記憶するための記憶装置である。表示部34は、表示画面に各種画像を表示する。
【0036】
操作入力部35は、キーボードおよびマウスを備え、使用者がキーボードおよびマウスを介して行った入力操作を特定するための入力操作情報を出力する。
次に、情報提示装置2の制御部11が実行するスコア算出処理の手順を説明する。スコア算出処理は、情報提示装置2の動作中において繰り返し実行される処理である。
【0037】
スコア算出処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図4に示すように、まずS10にて、車両に搭載されているドライブレコーダ3から運転診断結果を取得する。そしてCPU21は、S20にて、S10で取得した運転診断結果が更新されているか否かを判断する。具体的には、CPU21は、前回取得した運転診断結果と今回取得した運転診断結果とを比較して相違点が存在する場合に、運転診断結果が更新されたと判断し、相違点が存在していない場合に、運転診断結果が更新されていないと判断する。
【0038】
ここで、運転診断結果が更新されていない場合には、CPU21は、S50に移行する。一方、運転診断結果が更新されている場合には、CPU21は、S30にて、S10で取得した運転診断結果から運転スコアを取得する。さらにCPU21は、S40にて、RAM23に設けられた更新フラグF0をセットし、S50に移行する。以下の説明において、フラグをセットするとは、そのフラグの値を1にすることを示し、フラグをクリアするとは、そのフラグの値を0にすることを示す。
【0039】
S50に移行すると、CPU21は、情報提示装置2に登録されているサービス対象者の脳トレ結果を脳トレ提供サーバ4から取得する。具体的には、CPU21は、サービス対象者のユーザIDおよびパスワードを用いて脳トレ提供ウェブサイトにログインして脳トレ結果を取得する。
【0040】
そしてCPU21は、S60にて、S50で取得した脳トレ結果が更新されているか否かを判断する。具体的には、CPU21は、前回取得した脳トレ結果と今回取得した脳トレ結果とを比較して相違点が存在する場合に、脳トレ結果が更新されたと判断し、相違点が存在していない場合に、脳トレ結果が更新されていないと判断する。
【0041】
ここで、脳トレ結果が更新されていない場合には、CPU21は、S90に移行する。一方、脳トレ結果が更新されている場合には、CPU21は、S70にて、S50で取得した脳トレ結果から脳トレスコアを取得する。さらにCPU21は、S80にて、RAM23に設けられた更新フラグF0をセットし、S90に移行する。
【0042】
S90に移行すると、CPU21は、情報提示装置2に登録されているサービス対象者の認知能力判定結果を認知能力判定サーバ5から取得する。具体的には、CPU21は、サービス対象者のユーザIDおよびパスワードを用いて認知能力判定ウェブサイトにログインして認知能力判定結果を取得する。
【0043】
そしてCPU21は、S100にて、S90で取得した認知能力判定結果が更新されているか否かを判断する。具体的には、CPU21は、前回取得した認知能力判定結果と今回取得した認知能力判定結果とを比較して相違点が存在する場合に、認知能力判定結果が更新されたと判断し、相違点が存在していない場合に、認知能力判定結果が更新されていないと判断する。
【0044】
ここで、認知能力判定結果が更新されていない場合には、CPU21は、S130に移行する。一方、認知能力判定結果が更新されている場合には、CPU21は、S110にて、S90で取得した認知能力判定結果から認知能力判定スコアを取得する。さらにCPU21は、S120にて、RAM23に設けられた更新フラグF0をセットし、S130に移行する。
【0045】
S130に移行すると、CPU21は、更新フラグF0がセットされているか否かを判断する。ここで、更新フラグF0がクリアされている場合には、CPU21は、スコア算出処理を終了する。
【0046】
一方、更新フラグF0がセットされている場合には、CPU21は、S140にて、総合スコアStを算出する。運転スコアをSd、脳トレスコアをSb、認知能力判定スコアScと表記すると、総合スコアStは、式(1)で算出される。なお、式(1)の係数wd、係数wbおよび係数wcはそれぞれ、運転スコアSd、脳トレスコアSbおよび認知能力判定スコアScの重み係数である。
【0047】
St = wd×Sd + wb×Sb + wc×Sc ・・・(1)
そしてCPU21は、S150にて、更新フラグF0をクリアする。さらにCPU21は、S160にて、S140で算出した総合スコアStを管理装置6へ送信し、スコア算出処理を終了する。
【0048】
次に、情報提示装置2の制御部11が実行するレベル設定処理の手順を説明する。レベル設定処理は、情報提示装置2の動作中において繰り返し実行される処理である。
レベル設定処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図5に示すように、まずS210にて、総合スコアStが予め設定された第3レベル判定値α未満であるか否かを判断する。ここで、総合スコアStが第3レベル判定値α未満である場合には、CPU21は、S220にて、フラッシュメモリ24に設けられた第1レベルフラグF1および第2レベルフラグF2をクリアし、フラッシュメモリ24に設けられた第3レベルフラグF3をセットして、レベル設定処理を終了する。
【0049】
一方、総合スコアStが第3レベル判定値α以上である場合には、CPU21は、S230にて、総合スコアStが、第3レベル判定値αより大きくなるように設定された第2レベル判定値β未満であるか否かを判断する。ここで、総合スコアStが第2レベル判定値β未満である場合には、CPU21は、S240にて、第1レベルフラグF1および第3レベルフラグF3をクリアし、第2レベルフラグF2をセットして、レベル設定処理を終了する。
【0050】
一方、総合スコアStが第2レベル判定値β以上である場合には、CPU21は、S250にて、第2レベルフラグF2および第3レベルフラグF3をクリアし、第1レベルフラグF1をセットして、レベル設定処理を終了する。
【0051】
次に、情報提示装置2の制御部11が実行する第3レベル運転前制御処理の手順を説明する。第3レベル運転前制御処理は、対象車両のイグニッションスイッチ(以下、IGスイッチ)がオフからオンに切り替わって制御部11が起動した直後に1回のみ実行される処理である。
【0052】
第3レベル運転前制御処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図6に示すように、まずS310にて、第3レベルフラグF3がセットされているか否かを判断する。ここで、第3レベルフラグF3がクリアされている場合には、CPU21は、第3レベル運転前制御処理を終了する。
【0053】
一方、第3レベルフラグF3がセットされている場合には、CPU21は、S320にて、第1運転前警告と承認ボタンと拒否ボタンとを表示部14の表示画面に表示する。第1運転前警告は、例えば、「運転するのは危険です。病院へ行って検査をしてください。」という文章である。
【0054】
さらにCPU21は、S330にて、運転禁止設定を行う。具体的には、CPU21は、CAN通信部12に接続されているECUに対して運転禁止指示を出力する。これにより、対象車両は、スタートボタンが操作されてもエンジンが始動しないように設定される。
【0055】
そしてCPU21は、S340にて、承認があったか否かを判断する。具体的には、S320の処理で表示された承認ボタンを押す操作が行われたか否かを判断する。ここで、承認があった場合には、CPU21は、S350にて、後述する外部連絡処理を実行し、第3レベル運転前制御処理を終了する。
【0056】
一方、承認がない場合には、CPU21は、S360にて、拒否があったか否かを判断する。具体的には、S320の処理で表示された拒否ボタンを押す操作が行われたか否かを判断する。ここで、拒否がない場合には、CPU21は、S340に移行する。
【0057】
一方、拒否があった場合には、CPU21は、S370にて、第2運転前警告と承認ボタンとを表示部14の表示画面に表示する。第2運転前警告は、例えば、「スコアが低下しているため今日の運転は下記制限が適用されます。また自動で下記条件が設定されます。よろしいですか?」という文章である。
【0058】
なお、CPU21は、S370にて、上記の「下記制限」として、「LKA/ACC等自動運転機能制限」、「速度制限」、「走行可能エリア制限」を表示する。またCPU21は、S370にて、上記の「下記条件」として、「衝突回避の警告を早める」「自動レベルが3以上の場合に、自動運転をより積極活用するよう提案する」、「ナビでより安全なルートを選択する」、「自動運転の走行速度を下げる」を表示する。
【0059】
そしてCPU21は、S380にて、承認があったか否かを判断する。具体的には、S370の処理で表示された承認ボタンを押す操作が行われたか否かを判断する。ここで、承認がない場合には、S380の処理を繰り返すことによって、承認があるまで待機する。そして、承認があった場合には、CPU21は、S390にて、制限報知を行う。具体的には、CPU21は、例えば、「今日の運転は条件に制限があります。安全運転を心がけましょう。」という文章を表示部14の表示画面に表示する。
【0060】
さらにCPU21は、S400にて、運転制限設定を行う。具体的には、CPU21は、CAN通信部12に接続されているECUに対して運転制限指示を出力する。これにより、対象車両は、「LKA/ACC等自動運転機能制限」、「速度制限」、「走行可能エリア制限」を行うように設定される。そして、S400の処理が終了すると、CPU21は、第3レベル運転前制御処理を終了する。
【0061】
次に、情報提示装置2の制御部11が実行する第2レベル運転前制御処理の手順を説明する。第2レベル運転前制御処理は、対象車両のIGスイッチがオフからオンに切り替わって制御部11が起動した直後に1回のみ実行される処理である。
【0062】
第2レベル運転前制御処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図7に示すように、まずS510にて、第2レベルフラグF2がセットされているか否かを判断する。ここで、第2レベルフラグF2がクリアされている場合には、CPU21は、第2レベル運転前制御処理を終了する。
【0063】
一方、第2レベルフラグF2がセットされている場合には、CPU21は、S520にて、第2運転前警告と承認ボタンと拒否ボタンとを表示部14の表示画面に表示する。
そしてCPU21は、S530にて、承認があったか否かを判断する。具体的には、S520の処理で表示された承認ボタンを押す操作が行われたか否かを判断する。ここで、承認がない場合には、CPU21は、S540にて、拒否があったか否かを判断する。具体的には、S520の処理で表示された拒否ボタンを押す操作が行われたか否かを判断する。ここで、拒否がない場合には、CPU21は、S530に移行する。一方、拒否があった場合には、CPU21は、第2レベル運転前制御処理を終了する。
【0064】
またS530にて、承認があった場合には、CPU21は、S550にて、S390と同様にして制限報知を行う。さらにCPU21は、S560にて、S400と同様にして運転制限設定を行い、第2レベル運転前制御処理を終了する。
【0065】
次に、情報提示装置2の制御部11が実行する第1レベル運転前制御処理の手順を説明する。第1レベル運転前制御処理は、対象車両のIGスイッチがオフからオンに切り替わって制御部11が起動した直後に1回のみ実行される処理である。
【0066】
第1レベル運転前制御処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図8に示すように、まずS610にて、第1レベルフラグF1がセットされているか否かを判断する。ここで、第1レベルフラグF1がクリアされている場合には、CPU21は、第1レベル運転前制御処理を終了する。
【0067】
一方、第1レベルフラグF1がセットされている場合には、CPU21は、S620にて、運転前表示を行う。具体的には、CPU21は、例えば「今日も安全運転をこころがけましょう。」という文章を表示部14の表示画面に表示する。
【0068】
次にCPU21は、S630にて、対象車両のIGスイッチがオフになったか否かを判断する。ここで、IGスイッチがオフでない場合には、S630の処理を繰り返すことによってのIGスイッチがオフになるまで待機する。
【0069】
そして、IGスイッチがオフになると、CPU21は、S640にて、運転終了表示を行う。具体的には、CPU21は、例えば「これからも安全運転をこころがけましょう。」という文章を表示部14の表示画面に表示する。S640の処理が終了すると、CPU21は、第1レベル運転前制御処理を終了する。
【0070】
次に、情報提示装置2の制御部11が実行する第3レベル運転中制御処理の手順を説明する。第3レベル運転中制御処理は、情報提示装置2の動作中において繰り返し実行される処理である。
【0071】
第3レベル運転中制御処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図9に示すように、まずS710にて、第2レベルフラグF2がセットされている状態から、第3レベルフラグF3がセットされている状態に変化したか否かを判断する。ここで、第2レベルフラグF2がセットされている状態から、第3レベルフラグF3がセットされている状態に変化していない場合には、第3レベル運転中制御処理を終了する。
【0072】
一方、第2レベルフラグF2がセットされている状態から、第3レベルフラグF3がセットされている状態に変化すると、CPU21は、S720にて、S370と同様にして第2運転前警告と承認ボタンとを表示部14の表示画面に表示する。
【0073】
そしてCPU21は、S730にて、承認があったか否かを判断する。具体的には、S720の処理で表示された承認ボタンを押す操作が行われたか否かを判断する。ここで、承認がない場合には、S730の処理を繰り返すことによって、承認があるまで待機する。そして、承認があった場合には、CPU21は、S740にて、S390と同様にして制限報知を行う。
【0074】
さらにCPU21は、S750にて、S400と同様にして運転制限設定を行い、第3レベル運転中制御処理を終了する。
次に、情報提示装置2の制御部11が実行する制限中制御処理の手順を説明する。制限中制御処理は、情報提示装置2の動作中において繰り返し実行される処理である。
【0075】
制限中制御処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図10に示すように、まずS810にて、運転が制限されている最中(以下、運転制限中)であるか否かを判断する。なお、「運転制限中」とは、S400,S560,S750において運転制限設定が行われた状態をいう。
【0076】
ここで、運転制限中でない場合には、CPU21は、制限中制御処理を終了する。一方、運転制限中である場合には、CPU21は、S820にて、異常運転を検出する。具体的には、CPU21は、ドライブレコーダ3から取得した映像と、車両の状態を検出するために車両に搭載された各種センサから取得した検出信号とに基づいて、対象車両の信号無視、対象車両の逆走、対象車両による道路外(例えば、歩道)の走行、対象車両の徘徊、対象車両のスピード超過などを検出する。
【0077】
そしてCPU21は、S830にて、S820での検出結果に基づいて、異常運転を検出したか否かを判断する。ここで、異常運転を検出していない場合には、CPU21は、制限中制御処理を終了する。
【0078】
一方、異常運転を検出した場合には、CPU21は、S830にて、異常運転報知を行う。具体的には、CPU21は、異常運転している旨と異常運転の詳細とを表示部14の表示画面に表示する。
【0079】
具体的には、異常運転として信号無視を検出した場合には、CPU21は、例えば「赤信号を通過しました、認知力または判断力の低下が考えられます。一度停止しましょう。」という文章を表示部14の表示画面に表示する。
【0080】
また、異常運転として逆走を検出した場合には、CPU21は、例えば「逆走しています。衝突の危険があります。路肩退避しましょう。」いう文章を表示部14の表示画面に表示する。
【0081】
また、異常運転として歩道での運転を検出した場合には、CPU21は、例えば「歩道の運転は禁止されています。歩行者との衝突のおそれもあります。停止しましょう。」いう文章を表示部14の表示画面に表示する。
【0082】
また、異常運転として徘徊を検出した場合には、CPU21は、例えば「同じ道を周っています。一度停止して目的地を確認しましょう。」いう文章を表示部14の表示画面に表示する。
【0083】
また、異常運転としてスピード超過を検出した場合には、CPU21は、例えば「スピード超過違反です。危険です。一度停止しましょう。」いう文章を表示部14の表示画面に表示する。
【0084】
次にCPU21は、S850にて、予め設定された退避報知条件が成立したか否かを判断する。本実施形態の退避報知条件は、下記の第1報知条件、第2報知条件、第3報知条件および第4報知条件の少なくとも一つが成立することである。
【0085】
第1報知条件は、交差点において所定時間以上信号待ちしていることである。第2報知条件は、高速道路において所定速度以下で走行していることである。第3報知条件は、交差点以外において所定時間以上信号待ちしていることである。第4報知条件は、自動運転レベルが3以上の自動運転中であることである。
【0086】
ここで、退避報知条件が成立していない場合には、CPU21は、S850の処理を繰り返すことによって、退避報知条件が成立するまで待機する。そして、退避報知条件が成立すると、CPU21は、S860にて、退避指示報知を行う。具体的には、CPU21は、例えば「運転を中断して路肩退避しましょう。」いう文章と承認ボタンとを表示部14の表示画面に表示する。
【0087】
そしてCPU21は、S870にて、承認があったか否かを判断する。具体的には、S860の処理で表示された承認ボタンを押す操作が行われたか否かを判断する。ここで、承認がない場合には、S870の処理を繰り返すことによって、承認があるまで待機する。そして、承認があった場合には、CPU21は、S880にて、対象車両が自動運転中であるか否かを判断する。
【0088】
ここで、対象車両が自動運転中でない場合には、CPU21は、対象車両が手動運転中であると判断して、S890にて、退避警告を行い、S910に移行する。具体的には、CPU21は、可能であるならば、車線を維持しながら徐々に減速して車線変更しつつ路肩などに寄せて停止するように警告する文章を表示部14の表示画面に表示する。またCPU21は、車線を維持しながら徐々に減速して車線変更しつつ路肩などに寄せて停止する手順を表示部14の表示画面に表示する。またCPU21は、上記手順を表示する際に、車両停止回避場所(例えば、交差点など)への停止は避けるよう警告する。また、路肩などに寄せて停止することが無理な場合には、CPU21は、その場で減速停止するように警告する。
【0089】
またS880にて、対象車両が自動運転中である場合には、CPU21は、S900にて、退避運転を行い、S910に移行する。具体的には、CPU21は、状況に応じて、対象車両を自動で減速停止させたり、ブレーキランプを点灯させたり、ハザードランプ点滅させたり、車線を維持しながら徐々に減速して車線変更しつつ路肩などに寄せて停止させたりする。なお、CPU21は、路肩などに寄せて停止する際に、車両停止回避場所への停止は避けるように対象車両に自動運転させる。
【0090】
S910に移行すると、CPU21は、後述する外部連絡処理を実行し、制限中制御処理を終了する。
次に、S350およびS910で実行される外部連絡処理の手順を説明する。
【0091】
外部連絡処理が実行されると、制御部11のCPU21は、図11に示すように、まずS1010にて、ドライブレコーダ3に、上記の登録電話番号へ電話を掛けさせる。
さらにCPU21は、S1020にて、運転データを管理装置6へ送信する。運転データは、ドライブレコーダ映像データと、GPS位置情報とを含む。
【0092】
なお、管理装置6は、情報提示装置2から運転データを受信すると、受信したデータを、担当の医師に割り当てられている端末装置(以下、第1端末装置)と、担当の作業療法士に割り当てられている端末装置(以下、第2端末装置)とへ送信する。
【0093】
さらに管理装置6は、第1端末装置および第2端末装置からヒアリング要求を受信すると、このヒアリング要求を情報提示装置2へ送信する。そして管理装置6は、情報提示装置2からヒアリング許可通知を受信すると、第1端末装置および第2端末装置と情報提示装置2との間の通話を仲介する。
【0094】
担当の医師および作業療法士は、上記の通話でサービス対象者からヒアリングした結果、受信した運転データ(すなわち、ドライブレコーダ映像データおよびGPS位置情報)、脳トレ結果の履歴、および、認知能力判定結果の履歴などを考慮して、サービス対象者による運転続行の可否を判断する。
【0095】
そして担当医師は、運転続行の可否を示す診断結果を第1端末装置に入力する。第1端末装置は、診断結果が入力されると、入力された診断結果を示す診断結果通知を管理装置6へ送信する。
【0096】
管理装置6は、第1端末装置から診断結果通知を受信すると、受信した診断結果通知を情報提示装置2へ送信する。
図11に示すように、S1020の処理が終了すると、CPU21は、S1030にて、管理装置6からヒアリング要求を受信したか否かを判断する。ここで、ヒアリング要求を受信していない場合には、CPU21は、S1030の処理を繰り返すことによって、ヒアリング要求を受信するまで待機する。
【0097】
そしてヒアリング要求を受信すると、CPU21は、S1040にて、管理装置6へヒアリング許可通知を送信して、第1端末装置および第2端末装置との間で通話を開始する。なお、情報提示装置2は、通信部13と音声入力部17と音声出力部18とを用いて音声データを管理装置6との間で送受信することによって、第1端末装置および第2端末装置との間での通話を行う。
【0098】
さらにCPU21は、S1050にて、管理装置6から診断結果通知を受信したか否かを判断する。ここで、診断結果通知を受信していない場合には、CPU21は、S1050の処理を繰り返すことによって、診断結果通知を受信するまで待機する。
【0099】
そして診断結果通知を受信すると、CPU21は、S1060にて、第1端末装置および第2端末装置との間での通話を終了する。
さらにCPU21は、S1070にて、受信した診断結果通知に基づいて、運転続行が可能であるか否かを判断する。ここで、運転続行が可能である場合には、CPU21は、S1070にて、運転許可設定を行い、外部連絡処理を終了する。具体的には、CPU21は、CAN通信部12に接続されているECUに対して運転許可指示を出力する。これにより、対象車両は、スタートボタンが操作されるとエンジンが始動するように設定される。但し、運転許可指示による運転再開では、運転制限設定と同様に運転が制限される。
【0100】
一方、運転続行が可能でない場合には、CPU21は、S1080にて、運転禁止設定を行い、外部連絡処理を終了する。具体的には、CPU21は、CAN通信部12に接続されているECUに対して運転禁止指示を出力する。これにより、対象車両は、スタートボタンが操作されてもエンジンが始動しないように設定される。このため、サービス対象者は、運転代行業者、または、JAFなどのロードサービス会社に連絡して運転を交代してもらい、自宅などへ送迎してもらう必要がある。
【0101】
次に、管理装置6の制御部31が実行するスコア削除処理の手順を説明する。スコア削除処理は、管理装置6の動作中において繰り返し実行される処理である。
スコア削除処理が実行されると、制御部31のCPU41は、図12に示すように、まずS1210にて、情報提示装置2からスコア削除要求を受信したか否かを判断する。なお、総合スコアStに誤りがあると認識したサービス対象者が、スコア削除要求を送信するための入力操作を操作入力部15に対して行うことによって、情報提示装置2は、情報提示装置2を識別するための装置識別情報と、削除理由を示す削除理由情報と、スコア削除要求とを管理装置6へ送信する。
【0102】
ここで、スコア削除要求を受信していない場合には、CPU41は、S1240に移行する。一方、スコア削除要求を受信した場合には、CPU41は、S1220にて、受信したスコア削除要求を装置識別情報および削除理由情報とともに記憶部33に記憶する。さらにCPU41は、S1230にて、スコア削除要求があった旨を装置識別情報および削除理由情報とともに表示部34に表示し、S1240に移行する。これにより、管理装置6の管理者は、スコア削除要求を認識することができる。なお、管理装置6の管理者は、表示部34に表示されている削除理由情報を確認することによって、総合スコアStの削除を承認するか否かを判断する。そして、管理装置6の管理者は、総合スコアStの削除を承認する場合に、該当する情報提示装置2における総合スコアStの削除を承認するための操作を操作入力部35に対して行う。
【0103】
S1240に移行すると、CPU41は、承認があったか否かを判断する。具体的には、CPU41は、総合スコアStの削除を承認する入力操作情報(以下、承認操作情報)が操作入力部35から出力されたか否かを判断する。なお、承認操作情報には、装置識別情報が付与されている。
【0104】
ここで、承認がない場合には、CPU41は、S1260に移行する。一方、承認があった場合には、CPU41は、S1250にて、承認操作情報に付与されている装置識別情報に対応する総合スコアStを記憶部33から削除し、S1260に移行する。
【0105】
S1260に移行すると、CPU41は、上記の第1端末装置(すなわち、担当の医師)から誤診断通知を受信したか否かを判断する。なお、総合スコアStに誤りがあると認識した担当医師が、誤診断通知を送信するための入力操作を第1端末装置に対して行うことによって、第1端末装置は、誤診断箇所を示す誤診断箇所情報と、誤診断通知とを管理装置6へ送信する。
【0106】
ここで、誤診断通知を受信していない場合には、CPU41は、スコア削除処理を終了する。一方、誤診断通知を受信した場合には、CPU41は、S1270にて、受信した誤診断通知を誤診断箇所情報とともに記憶部33に記憶する。さらにCPU41は、S1280にて、誤診断通知があった旨を誤診断箇所情報とともに表示部34に表示し、スコア削除処理を終了する。これにより、管理装置6の管理者は、誤診断箇所を認識し、誤診断箇所をシステム開発者に報告することができる。誤診断箇所の報告を受けたシステム開発者は、誤診断箇所を確認し、この誤診断箇所がシステムのバグに起因する場合には、バグの修正を行う。
【0107】
このように構成された情報提示装置2は、サービス対象者の脳トレ結果、運転診断結果および認知能力判定結果を取得する。さらに情報提示装置2は、脳トレ結果と、運転診断結果と、認知能力判定結果とに基づいて、総合スコアStを算出する。そして情報提示装置2は、総合スコアStに基づいて、対象者の運転能力に関する運転能力情報を提示する。
【0108】
このような情報提示装置2は、サービス対象者の運転能力および認知能力に基づいて、サービス対象者の運転能力に関する運転能力情報を提示することができる。このため、情報提示装置2は、少なくとも、サービス対象者に自身の運転能力を認識させることができ、サービス対象者に対して運転能力に応じた適切な運転を促進することができる。
【0109】
また情報提示装置2は、総合スコアStが第3レベル判定値α未満である場合に、運転能力情報として、サービス対象者による車両運転の取り止めを勧めるための情報(本実施形態では、「運転するのは危険です。病院へ行って検査をしてください。」という文章)を提示する。これにより、情報提示装置2は、サービス対象者に、車両運転を取りやめる必要があるほどに運転能力が低下していることを認識させることができる。
【0110】
また情報提示装置2は、総合スコアStが第3レベル判定値α未満である場合に、ドライブレコーダ3を介して、予め登録された登録電話番号へ自動で連絡する。これにより、情報提示装置2は、サービス対象者が車両運転を取り止めたほうがよいことを、サービス対象者の関係者に知らせることができる。
【0111】
また情報提示装置2は、総合スコアStが第3レベル判定値α未満である場合に、サービス対象者による車両運転に関する運転データを管理装置6へ送信する。これにより、情報提示装置2は、サービス対象者が車両運転を取り止めたほうがよいか否かを診断するためのデータを提供することができる。
【0112】
また情報提示装置2は、総合スコアStが、第3レベル判定値α以上であり、且つ、第3レベル判定値αより大きくなるように設定された第2レベル判定値β未満である場合に、サービス対象者による車両の運転を制限するように車両を設定する。これにより、情報提示装置2は、サービス対象者による車両運転に起因して交通事故が発生するのを抑制することができる。
【0113】
また情報提示装置2は、総合スコアStが、第3レベル判定値α以上であり、且つ、第2レベル判定値β未満である場合に、サービス対象者による車両運転の異常を検出する。これにより、情報提示装置2は、サービス対象者による車両運転の異常を検出した場合に、サービス対象者による車両運転に起因して交通事故が発生するのを抑制するための処理を行うことが可能となる。
【0114】
また情報提示装置2は、車両運転の異常を検出した場合に、運転能力情報として、車両の退避を勧めるための情報(本実施形態では、「運転を中断して路肩退避しましょう。」いう文章)を提示する。これにより、情報提示装置2は、サービス対象者に、車両を退避させる必要があるほどに運転能力が低下していることを認識させることができる。
【0115】
また情報提示装置2は、総合スコアStが第3レベル判定値α未満である場合に、サービス対象者と医師との間での通話を可能にする。そして情報提示装置2は、サービス対象者による車両運転が可能であるか否かを医師が判断した判断結果を示す診断結果通知を受信する。さらに情報提示装置2は、診断結果通知を受信すると、受信した診断結果通知に基づいて、サービス対象者による車両運転が可能であるか否かを判断し、対象者による車両運転が可能でない場合には、車両が走行できないように車両のエンジンの始動を禁止する。これにより、情報提示装置2は、医師の判断に基づいて、車両を走行可能にするか否かを決定することができる。
【0116】
以上説明した実施形態において、S50~S70は脳機能トレーニング結果取得部としての処理に相当し、S10~S30は運転診断結果取得部としての処理に相当し、S90~S110は認知能力判定結果取得部としての処理に相当する。
【0117】
また、S140は総合スコア算出部としての処理に相当し、S210~S250,S320,S370,S520,S620,S720,S860は情報提示部としての処理に相当し、脳トレ結果は脳機能トレーニング結果に相当する。
【0118】
また、第3レベル判定値αは第1判定値に相当し、第2レベル判定値βは第2判定値に相当し、S1010は自動連絡部としての処理に相当する。
また、S1020はデータ送信部としての処理に相当し、S560は車両制限部としての処理に相当し、S820は異常運転検出部としての処理に相当する。
【0119】
また、S1040は通話部としての処理に相当し、S1050は通知受信部に相当し、S1090は車両禁止部としての処理に相当し、エンジンは動力源に相当する。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
【0120】
[変形例1]
例えば上記実施形態では、第1運転前警告を表示部14の表示画面に表示する形態を示したが、第1運転前警告を音声出力部18から出力するようにしてもよいし、サービス対象者が所持する携帯端末を用いて運転前に第1運転前警告を行うようにしてもよい。
【0121】
本開示に記載の制御部11およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部11およびその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部11およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。制御部11に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0122】
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0123】
上述した情報提示装置2の他、当該情報提示装置2を構成要素とするシステム、当該情報提示装置2としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、情報提示方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0124】
2…情報提示装置、11…制御部
図1
図2
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図5
図6
図7
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図9
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図12