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特許7585963繊維ボード、繊維ボードの製造方法、成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】繊維ボード、繊維ボードの製造方法、成形体
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/04 20060101AFI20241112BHJP
   D04H 1/541 20120101ALI20241112BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20241112BHJP
   D04H 1/4391 20120101ALI20241112BHJP
【FI】
B27N3/04 Z
B27N3/04 D
D04H1/541
D04H1/425
D04H1/4391
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021084924
(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公開番号】P2022178263
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将司
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰弘
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036140(JP,A)
【文献】特開平11-019907(JP,A)
【文献】特開2002-307411(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114232(WO,A1)
【文献】特開2020-204109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0263878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27N 1/00 - 9/00
D04H 1/541
D04H 1/425
D04H 1/4391
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物繊維と、前記植物繊維を結着するバインダ樹脂と、を含んだ繊維ボードであって、前記植物繊維は、折れ曲がった形状の繊維を含んでおり、前記折れ曲がった形状の繊維の平均繊維長さが70mm超である繊維ボードの製造方法であって、
植物繊維とバインダ樹脂となる樹脂繊維とを混繊したウェブを積層してマットを得る第1工程と、
前記マットを加熱プレスして前記繊維ボードを得る第2工程と、を備え、
前記第2工程は、前記植物繊維を折り曲げる折曲工程を含むことを特徴とする繊維ボードの製造方法。
【請求項2】
前記折曲工程は、前記ウェブの積層方向と直交する方向又は交差する方向に前記マットを圧縮する請求項に記載の繊維ボードの製造方法。
【請求項3】
前記折曲工程は、プレス面を凹凸状としたプレス盤を使用し、前記マットを圧縮する請求項に記載の繊維ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物繊維とそれを結着するバインダ樹脂とを含んだ繊維ボード、繊維ボードの製造方法、成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ケナフ繊維等の植物繊維をバインダ樹脂で結着した繊維ボードは、軽量且つ高剛性であるため、近年、車両内装材等の材料としての用途が拡大されている。繊維ボードは、植物繊維とバインダ樹脂となる熱可塑性樹脂繊維とを混繊したウェブを積層してマットを得て、そのマットを圧縮してプレボードを得た後、このプレボードを加熱プレスして目的とする形状に賦形して製造される。こうした繊維ボードに関する技術として、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-076589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、板厚を要する製品に繊維ボードを適用する場合、必要な板厚よりも厚めとなるように予めに作成されたプレボードを使用し、繊維ボードの板厚をコントロールしている。
ところで、繊維ボードは、プレボードからの賦形時に、固化されていたバインダ樹脂が溶融して植物繊維の拘束が緩むことにより、植物繊維に直線的な形状になろうとする力が働くことで、スプリングバック作用を発生させる場合がある。このスプリングバック作用は、賦形後の繊維ボードの板厚を、賦形前のプレボードの板厚に比べて、増加させる。このため、スプリングバック作用を利用した板厚のコントロールが検討されたが、スプリングバック作用による板厚の増加が極僅であるため、現実的ではなかった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、スプリングバック作用を利用した板厚のコントロールが可能な繊維ボード、繊維ボードの製造方法、繊維ボードを賦形してなる成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下に示される。
請求項1に記載の繊維ボードは、植物繊維と、前記植物繊維を結着するバインダ樹脂と、を含んだ繊維ボードであって、
前記植物繊維が、折れ曲がった形状の繊維を含んでいることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記植物繊維は、平均繊維長さが70mm以上140mm以下であることを要旨とする。
請求項3に記載の繊維ボードの製造方法は、請求項1又は2に記載の繊維ボードの製造方法であって、
植物繊維とバインダ樹脂となる樹脂繊維とを混繊したウェブを積層してマットを得る第1工程と、
前記マットを加熱プレスして前記繊維ボードを得る第2工程と、を備え、
前記第1工程は、前記植物繊維に折れ曲がった形状の繊維を含ませる工程を含むことを要旨とする。
請求項4に記載の繊維ボードの製造方法は、請求項1又は2に記載の繊維ボードの製造方法であって、
植物繊維とバインダ樹脂となる樹脂繊維とを混繊したウェブを積層してマットを得る第1工程と、
前記マットを加熱プレスして前記繊維ボードを得る第2工程と、を備え、
前記第2工程は、前記植物繊維を折り曲げる折曲工程を含むことを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記折曲工程は、前記ウェブの積層方向と直交する方向又は交差する方向に前記マットを圧縮することを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記折曲工程は、プレス面を凹凸状としたプレス盤を使用し、前記マットを圧縮することを要旨とする。
請求項7に記載の成形体は、請求項1又は2に記載の繊維ボードが賦形されてなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の繊維ボードによれば、スプリングバック作用を利用して板厚をコントロールすることができる繊維ボードを得ることができる。
本発明の繊維ボードの製造方法によれば、スプリングバック作用を利用して板厚をコントロールすることができる繊維ボードを製造することができる。
本発明の成形体によれば、繊維ボードのスプリングバック作用を利用することで、厚みをコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】本発明の繊維ボードを示す断面図である。
図2】本発明の繊維ボードの製造方法で第1工程を示す説明図である。
図3】繊維ボードを製造するためのマットを示す断面図である。
図4】本発明の繊維ボードの製造方法で第2工程を示す説明図である。
図5】マットから繊維ボードが製造されることを示す説明図である。
図6】繊維ボードを製造するための別形態のマットを示す断面図である。
図7】本発明の繊維ボードの製造方法で折曲工程を示す説明図である。
図8】本発明の繊維ボードの製造方法で折曲工程を示す説明図である。
図9】本発明の実施例における繊維長と膨らみ量の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
[1]繊維ボード
本発明の繊維ボード(10)は、植物繊維(11)と、前記植物繊維(11)を結着するバインダ樹脂(12)と、を含んだ繊維ボード(10)であって、
前記植物繊維(11)は、折れ曲がった形状の繊維(13)を含んでおり、前記折れ曲がった形状の繊維(13)の平均繊維長さが70mm超であることを特徴とする(図1参照)。
【0011】
即ち、図1に示すように、本発明の繊維ボード10は、植物繊維11と、この植物繊維11を結着するバインダ樹脂12と、を含んでいる。
この繊維ボード10において、植物繊維11は、折れ曲がった形状の繊維13(以下、「折曲繊維13」とも記載する)を含んでいる。この折曲繊維13は、平均繊維長さが70mm超である。
【0012】
(1)植物繊維
植物繊維11は、植物体(幹、茎、枝、葉、根等)から取り出された繊維であり、葉脈系植物繊維、靭皮系植物繊維、木質系植物繊維等を含む。
植物繊維の元となる植物体は、特に限定されない。植物体として、例えば、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、カポック、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等が挙げられる。これら植物体は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
植物繊維の元となる植物体としては、上述したなかでも、靭皮植物、即ち、ケナフ、ヘンプ、ジュート麻、ラミー、亜麻(フラックス)が好ましく、このなかでも、特にケナフが好ましく、更には、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維がとりわけ好ましい。
特に、ケナフの靭皮から採取されるケナフ繊維は、折り曲げ時に断裂等し難く、折曲繊維13を好適に形成することができる。
【0013】
植物繊維の平均繊維径は、特に限定されない。例えば、平均繊維径は、1~2500μmとすることができる。平均繊維径は、好ましくは10~2000μm、より好ましくは100~1750μm、更に好ましくは200~1500μmである。
なお、平均繊維径は、平均繊維長の測定に用いた合計200本の各単繊維の長さ方向の中央における繊維径を、光学顕微鏡を用いて測定した値の平均値である。
【0014】
ここで、以降の文中の植物繊維11について、折曲繊維13と、折曲繊維13以外の通常の植物繊維とを区別するため、通常の植物繊維について説明する場合には「通常繊維」と記載する。
【0015】
通常繊維の平均繊維長さは、特に限定されない。例えば、平均繊維長さは、10mm以上200mm以下とすることができる。平均繊維長さは、好ましくは20mm以上170mm以下、より好ましくは25mm以上150mm以下、更に好ましくは30mm以上90mm以下である。通常、植物繊維11の平均繊維長さは、繊維ボード10を賦形して得た成形体においても、同様である。
なお、平均繊維長さは、JIS L1015に準拠し、直接法にて無作為に植物繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
【0016】
(2)折曲繊維
植物繊維11は、折曲繊維13を含んでいる。この折曲繊維13は、上述の植物繊維を、繊維上の1個所又は複数個所で折り曲げて形成された繊維である。
折曲繊維13は、1個所又は複数個所で折り曲げられていることから、その折り曲げ部分が、所謂バネのように機能することで、通常繊維に比べて、直線的な形状になろうとする力を強く発現させる。このため、繊維ボード10は、植物繊維11として折曲繊維13を含むことにより、通常繊維のみを含むものと比べ、スプリングバック作用を好適に発生させることができる。
折曲繊維13の形状は、特に限定されない。例えば、形状は、折れ線状、つづら折り状、放物線状等が挙げられる。
【0017】
折曲繊維13の平均繊維長さは、通常繊維に比べて長く、平均繊維長さの下限が70mm超である。この場合、繊維ボード10は、スプリングバック作用を好適に発生することができる。平均繊維長さの下限は、好ましくは、80mm以上、より好ましくは100mm以上である。
折曲繊維13の平均繊維長さの上限は、140mm未満とすることができる。この場合、繊維ボード10を得るためのマットを好適に製造することができる。平均繊維長さの上限は、好ましくは、130mm以下、より好ましくは120mm以下である。
なお、平均繊維長さは、上述した通常繊維と同様に測定した値の平均値である。
【0018】
折曲繊維13は、植物繊維11として、通常繊維とともに繊維ボード10に含ませることができ、あるいは、植物繊維11の全てを折曲繊維13として繊維ボード10に含ませることができる。
具体的に、植物繊維11に含まれる折曲繊維13の割合は、繊維ボード10に含まれる植物繊維11の全量を100質量%とした場合、30質量%以上100質量%以下とすることができる。割合の下限は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。また、割合の上限は、更に95質量%以下、特に90質量%以下、とりわけ85質量%以下とすることができる。
【0019】
(3)バインダ樹脂
バインダ樹脂12は、植物繊維11同士を結着するものである。このバインダ樹脂12の種類は限定されず、各種の熱可塑性樹脂を利用することができる。
熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂及びABS樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。
芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、メタクリレート、アクリレート等を用いて得られた各種樹脂が挙げられる。
【0021】
本発明のバインダ樹脂12は、上述の熱可塑性樹脂のなかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-へキセン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。
これらのポリエチレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がエチレンに由来する単位の樹脂である。更に、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体等)、プロピレン・1-ブテン共重合体等のポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は、全構成単位数のうちの50%以上がプロピレンに由来する単位の樹脂である。
【0022】
バインダ樹脂12は、非変性の熱可塑性樹脂のみであってもよいが、極性基を導入して変性された熱可塑性樹脂を含んでもよい。
変性された熱可塑性樹脂(以下、単に「変性熱可塑性樹脂」という)は、上述の各種熱可塑性樹脂が主鎖となり、主鎖に対して変性基が導入された樹脂である。この変性基の種類は限定されないが極性基が好ましい。極性基としては、無水カルボン酸基(-CO-O-OC-)、カルボン酸基(-COOH)、カルボニル基(-CO-)、ヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH)、ニトロ基(-NO)、ニトリル基(-CN)等が挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、無水カルボン酸基、カルボン酸基、カルボニル基のうちの少なくとも1種が好ましく、無水カルボン酸基又はカルボン酸基が特に好ましい。
【0023】
熱可塑性樹脂に、非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂が含まれる場合、これらの樹脂の主鎖は異なってもよいが、同じであることが好ましい。
即ち、非変性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂(非変性ポリオレフィン樹脂)である場合、変性熱可塑性樹脂は変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂に、非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂が含まれる場合、変性熱可塑性樹脂の割合は、非変性熱可塑性樹脂及び変性熱可塑性樹脂の合計を100質量%として、1~12質量%であることが好ましく、2~9質量%であることがより好ましく、3~7質量%であることが更に好ましく、4~6質量%であることが特に好ましい。
【0024】
(4)添加剤
繊維ボード10は、植物繊維11及びバインダ樹脂12のみからなるものとすることができるが、必要に応じて可塑剤(バインダ樹脂12となる熱可塑性樹脂に対する可塑剤)、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、防黴剤、抗菌剤、充填剤、着色剤等の添加剤を含むことができる。
繊維ボード10に、添加剤を含む場合、植物繊維11及びバインダ樹脂12の合計質量を100質量部とした場合に、添加剤の含有量は、通常、0.1~10質量部である。
【0025】
(5)繊維ボードの諸元、組成、用途等
繊維ボード10の板厚は、特に限定されず、用途等に応じて適宜設定することができる。通常、板厚は、0.5~200mm、特に0.5~80mmとすることができ、繊維ボード10の厚さが0.5~200mmであれば、多くの用途において十分な強度等を有し、且つ軽量な部材として用いることができる。
繊維ボード10の目付は、特に限定されず、例えば、200~3000g/mとすることができる。この目付は、更に400~2500g/mであることが好ましく、更に600~2000g/mであることが好ましく、更に800~1800g/mであることが好ましい。
【0026】
繊維ボード10に含まれる植物繊維11とバインダ樹脂12との割合は、特に限定されない。例えば、植物繊維11とバインダ樹脂12との合計を100質量%とした場合、植物繊維の割合は、10質量%以上90質量%以下とすることができる。
植物繊維の割合は、15質量%以上85質量%以下が好ましく、15質量%以上85質量%以下がより好ましく、20質量%以上80質量%以下が更に好ましく、25質量%以上75質量%以下がより更に好ましく、30質量%以上70質量%以下が特に好ましく、35質量%以上65質量%以下がより特に好ましく、40質量%以上60質量%以下がとりわけ好ましい。
【0027】
繊維ボード10は、植物繊維11に折曲繊維13を含んでおり、この折曲繊維13については、直線的な形状になろうとする力が強く働く。そして、植物繊維11に直線的な形状になろうとする力が働くことで、繊維ボード10は、加熱してバインダ樹脂12を軟化させると、スプリングバック作用を発生させて、厚さ方向に膨らむ。
図1に示すように、スプリングバック作用を発生させた繊維ボード10Aは、スプリングバック作用を発生させる前の繊維ボード10に比べ、板厚が増加する。
具体的に、スプリングバック作用を発生させる前の繊維ボード10の板厚をTpとし、スプリングバック作用を発生させた繊維ボード10Aの板厚をTbとした場合、スプリングバック作用による板厚の増加量、つまり膨らみ量(Tb-Tp)は、0.1mm以上0.45mm以下とすることができる。この膨らみ量は、好ましくは0.18mm以上0.45mm以下、より好ましくは0.35mm以上0.45mm以下である。
【0028】
[2]成形体
本発明の成形体は、上記繊維ボード(10)が賦形されてなることを特徴とする。
即ち、繊維ボード10は、賦形することによって成形体とされる。賦形時における繊維ボード10は、バインダ樹脂12が軟化される温度まで加熱されて型成形される。その加熱の際、バインダ樹脂12による植物繊維11の拘束が緩み、植物繊維11に直線的な形状になろうとする力が働くことで、スプリングバック作用が発生する。
【0029】
成形体は、上述した繊維ボード10の膨らみ量の範囲内において、賦形時における厚みを自由にコントロールすることができる。つまり、成形体の厚みをT1(mm)とし、繊維ボード10の厚みをT2(mm)とした場合、T1は、T2+0.1mm≦T1≦T2+0.45mmの範囲でコントロールすることができる。このため、成形体は、厚みが異なる領域を、自在に形成することもできる。
賦形時における繊維ボード10の加熱温度は、スプリングバック作用を発生させることができるのであれば、特に限定されず、バインダ樹脂12に使用された熱可塑性樹脂の種類に応じ、適宜設定することができる。例えば、加熱温度は、150℃以上250℃以下とすることができる。この加熱温度は、好ましくは160℃以上240℃以下、より好ましくは170℃以上235℃以下、更に好ましくは170℃以上210℃以下である。
【0030】
成形体の用途は、特に限定されない。例えば、この用途は、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材等が好適である。
このうち、自動車用内装材としては、インストルメントパネル、センタークラスター、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、アームレスト、サンバイザ、エアフィルターボックスなどが挙げられる。
更に、成形体の用途は、建築物及び家具等の内装材及び構造材等としても好適である。即ち、成形体は、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材などとして用いることができる。他に、各種収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等として用いることもできる。
【0031】
[3]繊維ボードの製造方法1
本発明の繊維ボードの製造方法は、
植物繊維の少なくとも1部を折り曲げて、前記植物繊維に折れ曲がった形状の繊維を含ませる折曲工程と、
折れ曲がった形状の繊維を含んだ植物繊維と、バインダ樹脂となる樹脂繊維と、を混繊したウェブを積層してマットを得る第1工程と、
前記マットを加熱プレスして前記繊維ボードを得る第2工程と、を備え、
前記第1工程は、前記植物繊維に折れ曲がった形状の繊維を含ませる工程を含むことを特徴とする。
【0032】
即ち、繊維ボード10の製造方法は、折曲工程と、第1工程と、第2工程とを備えている。
折曲工程は、植物繊維11の少なくとも1部を折り曲げて、植物繊維11に折曲繊維13を含ませる工程である。
第1工程は、図2に示すように、植物繊維11とバインダ樹脂12となる樹脂繊維121とを混繊したウェブ101を積層し、図3に示すような、マット102を得る工程である。この第1工程は、植物繊維11に折曲繊維13を含ませる工程を含んでいる。
第2工程は、図4図5に示すように、マット102を加熱プレスして繊維ボード10を得る工程である。
【0033】
繊維ボードの製造方法で使用される樹脂繊維121は、バインダ樹脂12で挙げた上述の熱可塑性樹脂を溶融紡糸等して得られた繊維である。
樹脂繊維121の平均繊維長は、特に限定されない。例えば、平均繊維長は、10~200mm(更に20~170mm、特に25~150mm、とりわけ30~90mm)とすることができる。
なお、平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した値の平均値である。
【0034】
樹脂繊維121の繊度は、特に限定されない。例えば、繊度は、1~100dtex(更に2~50dtex、特に3~25dtex、とりわけ5~15dtex)とすることができる。
なお、繊度は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計長さが10mとなった際の質量を計測することを5回繰り返した平均値である。
【0035】
(1)折曲工程
折曲工程において、植物繊維を折り曲げて折曲繊維13を形成する方法は、どのように行ってもよいが、例えば、開繊前の植物繊維の塊をプレス機で押し潰す、プレス面が凹凸状とされたプレス盤で植物繊維を圧縮する、手作業で植物繊維を折り曲げる等が挙げられる。
植物繊維には、平均繊維長さが70mmを超えるものを用いることができる。この平均繊維長さは、好ましくは70mmを超えて140mm未満、より好ましくは80mm以上130mm以下、更に好ましくは100mm以上120mm以下である。
【0036】
(2)第1工程
第1工程は、どのように行ってもよいが、例えば、図2に示すような、カード装置31とクロスレイヤー装置32を用いて実施することができる。
カード装置31は、ウェブ101を得るための装置であり、植物繊維と樹脂繊維とを混綿するブレンダー311と、混綿された植物繊維及び樹脂繊維を貯綿するタンク312と、樹脂繊維及び植物繊維を混繊するカード機313とを有している。
クロスレイヤー装置32は、マット102を得るための装置であり、水平方向に揺動する揺動コンベア321を有している。
【0037】
具体的に、第1工程では、カード装置31において、植物繊維11と樹脂繊維121とがブレンダー311で混綿されて、タンク312に貯綿された樹脂繊維121及び植物繊維11が、カード機313へと送られ、このカード機313で混繊されて、ウェブ101が製造される。
製造されたウェブ101は、クロスレイヤー装置32へと送られ、揺動コンベア321から送り出される際、この揺動コンベア321が揺動することにより、下方から上方へ順番に積み重ねられる。そして、積層方向を上方向としてウェブ101が積層されることにより、マット102が製造される。
【0038】
上述のカード装置31において、植物繊維11と樹脂繊維121は、図示しないホッパにそれぞれ収容されており、各ホッパからそれぞれ排出されて、ブレンダー311へと供給される。
上述の折曲工程で第1工程の事前に得られた折曲繊維13は、植物繊維11のホッパに投入することで、カード装置31により、樹脂繊維121と混繊される。その際、植物繊維11のホッパには、折曲繊維13のみを投入することができ、あるいは折曲繊維13と通常繊維を混合して投入することもできる。
【0039】
(3)第2工程
第2工程は、どのように行ってもよいが、例えば、加熱プレス装置34及び冷間プレス装置35を用いて実施することができる。
加熱プレス装置34は、第1工程で得られたマット102を加熱して圧縮するための装置であり、ヒータ等の加熱手段が内装された上下一対の定盤341を有している。
冷間プレス装置35は、加熱プレス装置34で加熱して圧縮されたマット102を更に圧縮して繊維ボード10を得るための装置であり、上下一対の定盤351を有している。
【0040】
具体的に、第2工程において、マット102は、まず加熱プレス装置34に送られ、一対の定盤341の間に配されて、一対の定盤341の間で加熱されながら圧縮される。
その後、マット102は、冷間プレス装置35に送られ、一対の定盤351の間に配されて、一対の定盤351の間で更に圧縮されながら、冷却されて、繊維ボード10が得られる。
図5に示すように、マット102は、加熱プレス装置34において、樹脂繊維121が溶融され、植物繊維11同士が結着される。
更に、マット102は、冷間プレス装置35において、折曲繊維13を含む植物繊維11が、圧縮による応力を付加された状態とされ、その状態でバインダ樹脂12によって拘束されることにより、繊維ボード10が製造される。
即ち、繊維ボード10において、折曲繊維13を含む植物繊維11は、圧縮された状態でバインダ樹脂12に拘束されている。このため、賦形時等に繊維ボード10を加熱し、バインダ樹脂12が溶融して植物繊維11の拘束が緩むと、植物繊維11に含まれる折曲繊維13は、圧縮された状態から開放されることも相俟って、直線的な形状になろうとする力が強く働き、スプリングバック作用を好適に発生させる。
【0041】
なお、第2工程は、例えばニードルパンチ機構等の交絡手段を有していてもよい。この交絡手段によって、マット102を構成するウェブ101同士が交絡されることにより、このマット102を第2工程へ運びやすくすることができる。
【0042】
[4]繊維ボードの製造方法2
本発明の繊維ボードの製造方法は、
植物繊維とバインダ樹脂となる樹脂繊維とを混繊したウェブを積層してマットを得る第1工程と、
前記マットを加熱プレスして前記繊維ボードを得る第2工程と、を備え、
前記第2工程は、前記植物繊維を折り曲げる折曲工程を含むことを特徴とする。
【0043】
即ち、繊維ボード10の製造方法は、第1工程と、第2工程とを備えている。
第1工程は、植物繊維11とバインダ樹脂12となる樹脂繊維121とを混繊したウェブ101を積層し、図6に示すような、マット102を得る工程である。
第2工程は、マット102を加熱プレスして繊維ボード10を得る工程である。この第2工程は、植物繊維11を折り曲げる折曲工程を含んでいる。
折曲工程は、図7に示すように、ウェブ101の積層方向と直交する方向又は交差する方向にマット102を圧縮する、図8に示すように、プレス面を凹凸状としたプレス盤371を使用し、マット102を圧縮する、等によって実施することができる。
【0044】
樹脂繊維121は、上述の[3]繊維ボードの製造方法1で説明したものを使用することができ、詳細な説明を省略する。
また、繊維ボードの製造方法2は、上述の[3]繊維ボードの製造方法1では折曲工程が第1工程の事前の工程であったことに対し、折曲工程が第2工程に含まれる点で異なるが、それ以外の点については、繊維ボードの製造方法1と実質的に同様である。
よって、以下では、折曲工程を中心に説明するものとし、[3]繊維ボードの製造方法1と実質的に同様な点については、詳細な説明を省略する。
なお、繊維ボードの製造方法2の第1工程で得られたマット102は、図6に示すように、ウェブ101が積層方向を上方向として積層されて構成されており、植物繊維11と樹脂繊維121とを含んでいるが、植物繊維11が折曲繊維13を含んでいない。
【0045】
(1)折曲工程(第2工程)
第2工程に含まれる折曲工程は、どのように行ってもよいが、例えば、図7に示すような、プレス装置36を用いて実施することができる。
プレス装置36は、第1工程で得られたマット102を、ウェブ101の積層方向と直交する方向又は交差する方向に圧縮して、植物繊維を折り曲げるための装置であり、上下一対の定盤361を有している。
具体的に、折曲工程において、マット102は、プレス装置36に送られる。このとき、マット102は、上下一対の定盤361の間で、横倒しの状態で配される。
即ち、マット102は、横倒しにされることにより、ウェブ101の積層方向が上方向から横方向へと変わり、その積層方向は、定盤361による圧縮方向(上下方向)と直交する方向となる。そして、マット102中の植物繊維11は、その伸び方向が縦向き(略上下方向)となることで、上下一対の定盤361の間で縦向きに圧縮されて折れ曲がり、折曲繊維13が形成される(図7参照)。
【0046】
折曲工程の後、マット102は、上述の[3]繊維ボードの製造方法1の(3)第2工程で説明したように、まず加熱プレス装置34に送られ、加熱されながら圧縮された後、冷間プレス装置35に送られ、更に圧縮されながら冷却されて、繊維ボード10が得られる。
【0047】
また、折曲工程は、例えば、図8に示すような、加熱プレス装置37を用いて実施することもできる。
加熱プレス装置37は、第1工程で得られたマット102を加熱して圧縮するための装置であり、ヒータ等の加熱手段が内装された上下一対のプレス盤371を有している。また、プレス盤371は、マット102と圧接されるプレス面が凹凸状に形成されている。
【0048】
具体的に、折曲工程において、マット102は、加熱プレス装置37に送られ、一対のプレス盤371の間に配されて、一対のプレス盤371の間で加熱されながら圧縮される。このとき、マット102中の植物繊維11は、凹凸状のプレス面が圧接されることで折れ曲がり、折曲繊維13が形成される(図8参照)。
折曲工程の後、マット102は、冷間プレス装置35に送られ、一対の定盤351の間に配されて、一対の定盤351の間で更に圧縮されながら、冷却されて、繊維ボード10が得られる。
【実施例
【0049】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0050】
[植物繊維]
植物繊維として、ケナフ繊維を使用した。ケナフ繊維は、ケナフから取り出した靭皮を解繊して得た植物繊維である。
実施例1~6及び比較例1~10には、平均繊維長さがそれぞれ異なるケナフ繊維を使用した。各例におけるケナフ繊維の平均繊維長さを、以下に示す。
また、実施例1~6及び比較例1、2は、使用した全てのケナフ繊維を、折り曲げた繊維(折曲繊維)とした。
また、比較例3~10は、使用した全てのケナフ繊維を、折り曲げていない繊維(通常繊維)とした。
平均繊維長さ
実施例1;80mm
実施例2;90mm
実施例3;100mm
実施例4;110mm
実施例5;120mm
実施例6;130mm
比較例1;70mm
比較例2;140mm
比較例3;70mm
比較例4;80mm
比較例5;90mm
比較例6;100mm
比較例7;110mm
比較例8;120mm
比較例9;130mm
比較例10;140mm
【0051】
[バインダ樹脂]
バインダ樹脂となる樹脂繊維には、ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸して得られた、融点170℃、繊度6.6dtexの樹脂繊維を使用した。この樹脂繊維は、裁断により平均繊維長を50mmに揃えた。
【0052】
[繊維ボードの作製]
実施例1~6及び比較例1~10のケナフ繊維と、上記樹脂繊維とを、図2に示したカード装置31を用いて混繊してウェブを得た後、このウェブを、図2に示したクロスレイヤー装置を用いて積層し、マットを得た(第1工程)。
次いで、マットの一部を、30cm×30cm(横幅×縦幅)のサイズで切り抜き、図4に示した加熱プレス装置34を用い、200℃まで加熱(加熱時間40秒)しながらプレス圧力を22.2kgf/cmとして加熱プレスした後、図4に示した冷間プレス装置35を用い、25℃でプレス圧力を7.0kgf/cmとして冷間プレスして、繊維ボードを得た。
この繊維ボードは、横幅×縦幅;30cm×30cm、厚み(Tp);2.5mm、であった。
【0053】
[膨らみ量の測定]
上述のようにして得られた繊維ボードを、200℃に加熱し、ケナフ繊維によるスプリングバック作用を発生させて膨らませた後、室温(25℃)となるまで自然放置して冷却した。
実施例1~6及び比較例1~10の各繊維ボードについて、加熱試験後の平均厚み(Tb)をそれぞれ測定した。平均厚み(Tb)は、5mm以上の間隔を空けながら、繊維ボードの10個所の厚みを測定した値の平均値である。
そして、加熱試験前後の繊維ボードの厚みの差(Tb-Tp)を算出し、その差を、実施例1~6及び比較例1~10の各繊維ボードにおける膨らみ量(mm)とした。
その結果を表1及び表2と図9に示す。
図9は、表1及び表2に示した膨らみ量(mm)と植物繊維(ケナフ繊維)の平均繊維長さとの関係を示すグラフである。
なお、表1及び表2において、ケナフ繊維の平均繊維長さを140mmとした比較例2及び比較例10は、繊維ボードの作製時にマットを形成することができなかったため、膨らみ量(mm)を0mmとした。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
[考察]
表1及び表2と図9のグラフに示されるように、折り曲げた繊維(折曲繊維)を使用した実施例1~実施例6は、折り曲げていない繊維(折曲繊維)を使用した比較例4~9について、平均繊維長さが同じもの同士を比べると、明らかに膨らみ量(mm)が増していた。
一方、比較例1は、平均繊維長さが同じ70mmである比較例3と比べ、双方共に膨らみ量(mm)が0.1mmと変わらなかった。
以上の結果から、植物繊維(ケナフ繊維)の平均繊維長さを70mm超とし、その植物繊維(ケナフ繊維)に折り曲げた繊維を用いた場合、スプリングバック作用の発生による繊維ボードの膨らみ量(mm)が増加することが分かった。
【0057】
前述の記載は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施態様を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その態様において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施態様を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、車両及び建材等の広範な製品分野で利用することができ、本発明の繊維ボードは、車両、建材等の広範な製品分野で用いることができ、特に車両の内装材として有用である。例えば、フロアトリム、ルーフトリム、ドアトリム等の各種の内装材に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0059】
10;繊維ボード、101;ウェブ、102;マット、
11;植物繊維、
12;バインダ樹脂、121;樹脂繊維、
13;折曲繊維、
31;カード装置、311;ブレンダー、312;タンク、313;カード機、
32;クロスレイヤー装置、321;揺動コンベア、
34;加熱プレス装置、341;定盤、
35;冷間プレス装置、351;定盤、
36;プレス装置、361;定盤、
37;加熱プレス装置、371;プレス盤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9