(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電極構造を備える耐荷重可変硬化装置
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021093233
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2024-04-18
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ピー.ロウ
(72)【発明者】
【氏名】シャーダル エス.パンワー
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-159222(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028313(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/009071(WO,A1)
【文献】特開2001-268948(JP,A)
【文献】国際公開第2020/026824(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0219983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支持構造と、前記第1の支持構造から延びる第1の複数の電極とを具備する第1の電極構造であって、前記第1の複数の電極は、第1の電極と第2の電極とを含み、前記第1の電極構造は、前記第2の電極から延びる第1の電極延長部をさらに具備する、第1の電極構造と、
第2の支持構造と、前記第2の支持構造から延びる第2の複数の電極とを具備する第2の電極構造であって、前記第2の複数の電極は、第1の対向する電極であって、前記第1の電極と対向して前記第1の電極の係合面と前記第1の対向する電極の係合面との間の空洞を形成する、第1の対向する電極を備える、第2の電極構造と、を具備する、可変硬化装置であって、
前記第1の電極延長部は、前記第2の電極から、前記第1の電極と前記第1の対向する電極とによって形成された前記空洞内に延び、その結果、電圧が前記第1及び第2の電極構造に印加されると、前記第1の電極と前記第1の対向する電極との間に前記第1の電極延長部が挟持され、その結果、前記第1の電極延長部は、前記係合面を介して前記空洞内に保持されて、前記第1の電極と前記第2の電極との間の構造的関係を維持して前記第1の支持構造を支持する、可変硬化装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の支持構造は、平板状シートを具備し、前記第1及び第2の電極構造が非耐荷重状態にあるとき、前記第1の複数の電極は、前記第1の支持構造と同一平面上にあり、前記第2の複数の電極は、前記第2の支持構造と同一平面上にある、請求項1に記載の可変硬化装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の電極構造が耐荷重状態にあるとき、前記第1及び第2の複数の電極は、前記第1及び第2の支持構造に対して角度を付けられ、その結果、前記第1及び第2の複数の電極の支持端部が、耐荷重位置にて前記第1及び第2の支持構造を支持する、請求項2に記載の可変硬化装置。
【請求項4】
前記第1の支持構造は、前記第1の複数の電極が前記第2の複数の電極と位置合わせされるように、前記第2の支持構造上に配置される、請求項1に記載の可変硬化装置。
【請求項5】
前記第1の複数の電極は、前記第1の支持構造から延びる第3の電極及び第4の電極をさらに含み、
前記第2の複数の電極は、前記第2の支持構造から延びる、第2の対向する電極と、第3の対向する電極と、第4の対向する電極とをさらに含み、
前記第1の電極と前記第1の対向する電極とは互いに位置合わせされて、前記第1の電極の係合面と前記第1の対向する電極の係合面との間に第1の空洞を形成し、
前記第2の電極と前記第2の対向する電極とは互いに位置合わせされて、前記第2の電極の係合面と前記第2の対向する電極の係合面との間に第2の空洞を形成し、
前記第3の電極と前記第3の対向する電極とは互いに位置合わせされて、前記第3の電極の係合面と前記第3の対向する電極の係合面との間に第3の空洞を形成し、
前記第4の電極と前記第4の対向する電極とは互いに位置合わせされて、前記第4の電極の係合面と前記第4の対向する電極の係合面との間に第4の空洞を形成する、請求項4に記載の可変硬化装置。
【請求項6】
前記第1の電極構造は、前記第1の電極から延びて前記第4の空洞に挿入される第2の電極延長部と、前記第4の電極から延びて前記第3の空洞に挿入される第3の電極延長部と、前記第2の電極から延びて前記第2の空洞に挿入される第4の電極延長部とをさらに具備し、
電圧が前記第1及び第2の電極構造に印加されると、前記第1の電極延長部は前記第1の空洞内に挟持されて保持され、前記第2の電極延長部は前記第4の空洞内に挟持されて保持され、前記第3の電極延長部は前記第3の空洞内に挟持されて保持され、前記第4の電極延長部は前記第2の空洞内に挟持されて保持される、請求項5に記載の可変硬化装置。
【請求項7】
前記可変硬化装置は、前記第1及び第2の電極構造に電圧が印加され、前記第1の支持構造又は前記第2の支持構造に荷重がかけられたときに、立方体のような形状を維持する、請求項4に記載の可変硬化装置。
【請求項8】
前記第1の電極構造は電極材料の第1の層を具備し、前記第2の電極構造は電極材料の第2の層を具備する、請求項1に記載の可変硬化装置。
【請求項9】
前記電極材料の第1及び第2の層は、アルミニウムで被覆された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項8に記載の可変硬化装置。
【請求項10】
前記電極材料の第1及び第2の層は、前記第1及び第2の電極構造の全体にわたって連続的に延びる、請求項8に記載の可変硬化装置。
【請求項11】
前記第1の電極構造は、前記電極材料の第1の層を支持する第1の構造層を備え、前記第2の電極構造は、前記電極材料の第2の層を支持する第2の構造層を備える、請求項8に記載の可変硬化装置。
【請求項12】
前記第1の構造層は、前記第1の支持構造と前記第1の複数の電極との間の可撓性継手を具備し、前記第2の構造層は、前記第2の支持構造と前記第2の複数の電極との間の可撓性継手を具備する、請求項11に記載の可変硬化装置。
【請求項13】
前記係合面は、前記第1の電極及び前記第1の対向する電極上に配置された接着剤層を具備する、請求項1に記載の可変硬化装置。
【請求項14】
支持構造から延びる複数の電極対であって、前記電極対のそれぞれは、前記支持構造に回転可能に結合された電極と、対向する電極と、前記電極の係合面と前記対向する電極の係合面との間に形成された空洞と、を具備する、複数の電極対と、
複数の電極延長部であって、前記複数の電極延長部の各電極延長部は、前記複数の電極対のうちの1つの電極対の第1の電極に取り付けられた第1の端部と、前記複数の電極対のうちの隣接する電極対に近接して配置された自由端部とを具備し、各電極延長部の前記自由端部は、前記複数の電極対のうちの前記隣接する電極対によって形成される前記空洞に挿入される、複数の電極延長部と、
前記複数の電極対のそれぞれに結合された電圧源であって、前記電圧源を介して供給される電圧差が前記電極対のそれぞれに存在する場合、各電極延長部は、前記複数の電極対のうちの前記隣接する電極対の前記係合面によって形成された空洞にて挟持され、前記電極延長部は、前記係合面によって前記空洞内に保持されて、前記複数の電極対間の構造的関係を維持して、前記支持構造を耐荷重状態で支持する、電圧源と、を具備する、可変硬化装置。
【請求項15】
前記複数の電極対の前記電極は、前記支持構造の第1の部分及び前記複数の電極対の前記電極の各々の全体にわたって延びる構造支持層に形成された可撓性継手を介して前記支持構造の第1の部分に回転可能に結合され、
前記複数の電極対の前記対向する電極は、前記支持構造の前記第1の部分の裏面に取り付けられた前記支持構造の第2の部分に回転可能に結合される、請求項14に記載の可変硬化装置。
【請求項16】
前記支持構造が耐荷重位置に置かれたときに、前記可変硬化装置が実質的に平行六面体の形状であり、前記支持構造が、前記可変硬化装置の重量の少なくとも約50倍である荷重を支持するための耐荷重面を形成するように、前記支持構造は平行四辺形であり、前記複数の電極対のそれぞれは前記支持構造の縁部から延びる、請求項14に記載の可変硬化装置。
【請求項17】
各空洞を形成する前記係合面は、前記複数の電極延長部のうちの1つと係合して、その電極延長部をその空洞内に保持する接着要素を具備する、請求項14に記載の可変硬化装置。
【請求項18】
可変硬化装置を作動させる方法であって、前記方法は、
支持構造に結合された第1の電極の電極延長部を、前記支持構造に結合された電極対の2つの係合面の間に形成された空洞に挿入するステップと、
前記電極対に電気的に結合された電圧源を使用して電圧を生成するステップと、
前記電圧源によって生成された電圧を前記電極対に印加し、それによって前記電極対の電極を共に静電的に引きつけ、その結果、前記空洞内の前記電極延長部の位置が、前記電極延長部と前記係合面との間の接触を介して維持されて、前記支持構造を耐荷重位置に保持するために前記第1の電極と前記電極対との間の構造的関係を維持する、ステップと、を含む、方法。
【請求項19】
前記電極延長部を前記空洞に挿入しながら、前記第1の電極と前記電極対と前記支持構造との間に形成された可撓性継手の周りで前記第1の電極及び前記電極対を回転させることによって、前記第1の電極及び前記電極対を非耐荷重状態から移動させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記係合面は、前記電極延長部と係合して前記空洞内の前記電極延長部の位置を維持する接着要素を具備する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、可変硬化装置、さらに具体的には、電極延長部を圧縮してモーフィング構造の形状を維持する電極構造を備える可変硬化装置に概ね関する。
【背景技術】
【0002】
現在の可変硬化装置では、さまざまな技術を使用して、剛性が低めの状態と剛性が高めの状態との間で作動可能な装置が提供される。このような可変硬化装置は、温度変化又は圧力変化などの外部刺激の適用に基づいて作動する。いくつかの例示的な可変硬化装置では、外部真空を使用して装置の層を圧縮して、装置をさらに剛性の高い状態にする。しかし、外部真空には大型の機器が必要であり、動作が低効率である。
【0003】
このため、薄型で要求に応じて動作する改良された可変硬化装置が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、可変硬化装置が、第1の支持構造と、第1の支持構造から延びる第1の複数の電極とを備える第1の電極構造を備える。第1の複数の電極は、第1の電極と第2の電極とを含む。ここで、第1の電極構造は、第2の電極から延びる第1の電極延長部をさらに備える。可変硬化装置はこのほか、第2の支持構造と、第2の支持構造から延びる第2の複数の電極とを備える第2の電極構造を備える。第2の複数の電極は、第1の対向する電極であって、第1の電極と対向して第1の電極の係合面と第1の対向する電極の係合面との間の空洞を形成する、第1の対向する電極を備える。第1の電極延長部は、第2の電極から、第1の電極と第1の対向する電極とによって形成された空洞内に延び、その結果、電圧が第1及び第2の電極構造に印加されると、第1の電極と第1の対向する電極との間に第1の電極延長部が挟持され、その結果、第1の電極延長部は、係合面を介して空洞内に保持されて、第1の電極と第2の電極との間の構造的関係を維持して第1の支持構造を支持する。
【0005】
別の実施形態では、可変硬化装置が、支持構造から延びる複数の電極対を備える。電極対のそれぞれは、支持構造に回転可能に結合された電極と、対向する電極と、電極の係合面と対向する電極の係合面との間に形成された空洞と、を備える。複数の電極延長部であって、各電極延長部は、複数の電極対のうちの1つの電極対の第1の電極に取り付けられた第1の端部と、複数の電極対のうちの隣接する電極対に近接して配置された自由端部とを備える。各電極延長部の自由端部は、複数の電極対のうちの隣接する電極対によって形成される空洞に挿入される。可変硬化装置は、複数の電極対のそれぞれに結合された電圧源を備える。電圧源を介して供給される電圧差が電極対のそれぞれに存在する場合、各電極延長部は、複数の電極対のうちの隣接する電極対の係合面によって形成された空洞にて挟持され、電極延長部は、係合面によって空洞内に保持されて、複数の電極対間の構造的関係を維持して、支持構造を耐荷重状態で支持する。
【0006】
さらに別の実施形態では、可変硬化装置を作動させる方法が、支持構造に結合された第1の電極の電極延長部を、支持構造に結合された電極対の2つの係合面の間に形成された空洞に挿入するステップを含む。方法はこのほか、電極対に電気的に結合された電圧源を使用して電圧を生成するステップを含む。方法はこのほか、電圧源によって生成された電圧を電極対に印加し、それによって電極対の電極を共に静電的に引きつけ、その結果、空洞内の電極延長部の位置が、電極延長部と係合面との間の接触を介して維持されて、支持構造を耐荷重位置に保持するために第1の電極と電極対との間の構造的関係を維持する、ステップを含む。
【0007】
これまでに挙げた特徴と、本明細書に記載の実施形態によって提供される追加の特徴とは、図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮してさらに全体的に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面に記載した実施形態は、本質的に事例的かつ例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと理解することができる。ここでは、類似の構造を類似の参照番号で示す。
【
図1A】本明細書に示し、説明する1つ又は複数の実施形態による、可変硬化装置の分解図。
【
図1B】本明細書に示し、説明する1つ又は複数の実施形態による、非耐荷重状態の
図1Aに示す可変硬化装置の上面図。
【
図1C】本明細書に示し、説明する1つ又は複数の実施形態による、
図1Bに示す線I-Iを通る可変硬化装置の電極構造の概略断面図。
【
図2】本明細書に説明する1つ又は複数の実施形態による、耐荷重状態の
図1Aに示す可変硬化装置の斜視図。
【
図3】本明細書に説明する1つ又は複数の実施形態による、
図1Bに示す線III-IIIを通る可変硬化装置の電極構造の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一般に図を参照すると、本開示の実施形態が、電極構造間に形成された空洞に電極延長部を挿入し、電極構造に電圧を印加して、空洞内の電極延長部を挟持することによって、非耐荷重状態と耐荷重状態との間で構成可能な可変硬化装置に関する。実施形態では、電極構造のそれぞれの電極には、空洞を形成する対向した係合面があり、各係合面には、電圧が印加されたときに空洞に挿入される電極延長部と係合する接着要素がある。電極延長部と電極延長部に係合する接着要素との間の摩擦が、電極延長部の剪断力を使用して電極間の構造的関係を維持して、可変硬化装置を耐荷重状態に維持する。
【0010】
ここで、
図1A、
図1B及び
図1Cを参照すると、可変硬化装置100が概略的に示される。可変硬化装置100は、第1の電極構造102及び第2の電極構造104を備える。
図1Cに示すように、実施形態では、第1の電極構造102は、第2の電極構造104上に配置され、第2の電極構造104と接触している。実施形態では、第1の電極構造102と第2の電極構造104とは、第1の電極構造102が第2の電極構造104上に配置され、位置合わせされるときに、第1の電極構造102が第2の電極構造104を全体的に覆うように、ほぼ同じサイズである。
【0011】
図1A及び
図1Bに示すように、第1の電極構造102は、第1の支持構造106から延びる複数の電極108、110、112及び114を備える。第2の電極構造104は、第2の支持構造138から延びる複数の対向する電極140、142、144及び146を備える。実施形態では、複数の電極110、112、114及び116が、第1の支持構造106に対して動くことが可能である。例えば、
図1Cに示すように、電極110は、第1の支持構造106及び電極110よりも高い柔軟性を有する可撓性継手178を介して第1の支持構造106に結合される。実施形態では、可撓性継手178は、第1の電極構造102の全体にわたって延びる材料の層(例えば、
図3に関して本明細書に記載の構造層310)から構築される。例えば、実施形態では、本明細書に記載するように、可撓性継手178に柔軟性を提供して、第1の電極構造102の非耐荷重状態から耐荷重状態への動きを容易にするために、可撓性継手178は、可撓性継手178内の材料の層の厚さが、第1の電極構造102の残りの部分と比較して減少するように、材料の層を、レーザーパターニングを介して形成されるか、切除することによって形成されてもよい。第1、第3及び第4の電極108、112及び114は、可撓性継手178とほぼ同じ可撓性継手を介して第1の支持構造106に結合され得ることを理解されたい。
【0012】
実施形態では、複数の対向する電極140、142、144及び146はまた、第2の支持構造138に対して動くことが可能である。さまざまな実施形態では、第2の電極構造104は、第1の電極構造102に関して本明細書に記載したものとほぼ同じ断面層構造を有する。例えば、
図1Cに示すように、第2の電極142は、本明細書に記載の可撓性継手178と構造がほぼ同じであり得る可撓性継手176を介して第2の支持構造138に結合される。対向する電極140、144及び146は、可撓性継手176とほぼ同じ可撓性継手を介して第2の支持構造138に結合され得ることを理解されたい。第1及び第2の電極構造102及び104の電極を第1及び第2の支持構造106及び138に結合する可撓性継手176及び178は、第1及び第2の電極構造102及び104を非耐荷重状態から耐荷重状態に動かすことを有益に可能にする。
【0013】
図1Aは、非耐荷重状態の第1の電極構造102及び第2の電極構造104の分解図を示す。図示の実施形態では、第1の支持構造106及び第2の支持構造138は、(例えば、
図1Aに示すX-Y平面内に延びる)平板状シートである。第1の電極構造102が非耐荷重状態にあるとき、第1、第2、第3及び第4の電極108、110、112及び114は、第1の支持構造106と同一平面上にある(あるいは第1の支持構造106に平行に延びる)。第2の電極構造104が非耐荷重状態にあるとき、第1、第2、第3及び第4の対向する電極140、142、144及び146は、第2の支持構造138と同一平面上にある。実施形態では、第1及び第2の電極構造102及び104が非耐荷重状態にあるとき、第1及び第2の電極構造102及び104は、互いに平行に延びる。
【0014】
実施形態では、第1及び第2の電極構造102及び104を耐荷重状態に移動させるために、複数の電極108、110、112及び114は、複数の電極108、110、112及び114がもはや第1の支持構造106に対して同一平面上になく、第1の支持構造106に対して角度θで延びるように、(例えば、
図1Cに関して記載した可撓性継手178を折り曲げることによって)第1の支持構造106に対して下向き方向(例えば、
図1Aに示す-Z方向)に移動する(
図1Cを参照)。複数の対向する電極140、142、144及び146は、ほぼ同じ方法で、第2の支持構造138に対して移動してもよい。言い換えれば、第1及び第2の電極構造102及び104の電極は、第1及び第2の支持構造106及び138に対して一斉に移動する。図示の実施形態では、第1及び第2の電極構造102及び104の電極108、110、112、140、142、144及び146はそれぞれ、同じ形状であり、第1及び第2の支持構造106及び138に対してほぼ同じ方法で配置される。そのような構造は、均一な荷重分散及び平衡構造を有益に提供するが、電極108、110、112、140、142、144及び146が異なるサイズ及び伸長方向を有し得るさまざまな代替の実施形態も想定される。
【0015】
実施形態では、第1及び第2の支持構造106及び138はそれぞれ、平行四辺形(例えば、正方形)の形状であり、第1及び第2の電極構造102及び104の電極108、110、112、140、142、144及び146はそれぞれ、第1の支持構造106の縁部又は第2の支持構造138の縁部に結合され、同縁部から延びる。実施形態では、電極108、110、112及び114はそれぞれ、第1の支持構造106と同じ寸法(例えば、長さ及び幅)を有し、電極140、142、144及び146はそれぞれ、第2の支持構造138と同じ寸法を有する。そのようなサイズの場合、第1及び第2の電極構造102及び104は、
図2に関して説明したように、実質的に立方体形状の耐荷重状態に折り畳まれてもよい。第1及び第2の電極構造102及び104について、さまざまな代替の寸法構造が想定されることを理解されたい。例えば、実施形態では、電極110は、第1の支持構造106が耐荷重状態に置かれたときに傾斜するように、電極112とは異なるサイズにしてもよい。電極の寸法は、第1の支持構造106のために任意の特定の適応を必要とする用途に合わせて調整され得ることを理解されたい。
【0016】
図1Aに示すように、第1の電極構造102は、第1の電極延長部116、第2の電極延長部118、第3の電極延長部120及び第4の電極延長部122を備える。実施形態では、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122は、複数の電極108、110、112及び114も通って延びる材料の層(例えば、
図3に関して本明細書に記載する電極層308)から構築される。実施形態では、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122のそれぞれは、複数の電極108、110、112及び114のうちの1つの電極から直接延びる第1の端部と、複数の電極108、110、112及び114のうちの隣接する電極に近接して配置される自由端部とを備える。例えば、第1の電極延長部116は、電極108から延びる第1の端部124(例えば、電極層は、電極108から第1の電極延長部116内に連続的に延びる)と、電極110に近接して配置された自由端部123とを備える。自由端部123は、電極110に直接取り付けられることはなく、電極110に対して移動可能である。第2の電極延長部118は、第2の電極110から延びる第1の端部128と、電極112に近接して配置された自由端部126とを備える。第3の電極延長部120は、電極112から延びる第1の端部132と、電極114に近接して配置された自由端部130とを備える。第4の電極延長部122は、電極114から延びる第1の端部136と、電極108に近接して配置された自由端部134とを備える。
【0017】
第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122は、可変硬化装置100の
図1Aに示す非耐荷重状態から耐荷重状態への調整を容易にするために、第1の電極構造102に対して移動可能な自由端部123、126、130及び134を備える。
図1A及び
図1Bに示すように、第1及び第2の電極構造102及び104は、複数の電極108、110、112及び114が複数の対向する電極140、142、144及び146に対して位置合わせされるように、互いに対して配置されてもよい。その結果、電極108は、対向する電極140上に配置されて重なり合って第1の空洞152を形成してもよく、電極110は、対向する電極142上に配置されて重なり合って第2の空洞154を形成してもよく、電極112は、対向する電極144上に配置されて重なり合って第3の空洞156を形成してもよく、電極114は、対向する電極146上に配置されて重なり合って第4の空洞158を形成してもよい。実施形態では、複数の電極108、110、112及び114並びに複数の対向する電極140、142、144及び146が、第1及び第2の支持構造106及び138に対して移動して、可変硬化装置100を耐荷重状態にするとき、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122のそれぞれが、第1、第2、第3及び第4の空洞152、154、156及び158のいずれか1つに挿入される。
【0018】
例えば、
図1Cに示すように、電極110が第1の支持構造106に対して角度θで延びるように電極110が可撓性継手178にて折り曲げられるとき、第1の電極延長部116は、電極110と、対向する電極142との間に形成された第2の空洞154に挿入される。第2の空洞154は、対向する電極142の係合面166と電極110の係合面168との間に形成される。電極110及び対向する電極142が可撓性継手178及び176の周りで折り曲げられるとき、電極延長部116の自由端部123は、第2の空洞154を通って移動する。このことから、電極110及び対向する電極142が移動する量(例えば、角度θの値)は、第2の空洞154内に配置される電極延長部116の範囲を決定する。
図1Aに示すように、電極延長部116は、電極108と電極110との間の距離を実質的に全体にわたって延びる弧状タブである。電極延長部116を弧状タブとして成形すると、可変硬化装置100が耐荷重状態に置かれるときに、電極延長部116が第2の空洞154から突出することを有益に回避する。さらに、(例えば、電極108と電極110との間の長さ全体にわたって延びる)電極延長部116の長さは、第2の空洞154内に延びる電極延長部116の量を有益に最大化し、それにより、電極延長部116と係合面166及び168との間の接触面積を最大化する。
【0019】
電極延長116の代替構成が想定されることを理解されたい。例えば、実施形態では、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122は、弧状タブとして成形されなくてもよい。例えば、実施形態では、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122は、複数の電極108、110、112及び114のうちの第1の電極から複数の電極108、110、112及び114のうちの隣接する電極へ延びる実質的に一直線の線形セグメントを含んでもよい。実施形態では、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122は、複数の電極108、110、112及び114の間に延びるときに旋回するか、方向を変えてもよい。実施形態では、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122のそれぞれは、複数の電極108、110、112及び114の対の間の距離全体にわたって延びることがなくてもよく、むしろ、ペアの間の距離の一部のみを延びてもよい。第1及び第2の電極構造102及び104の電極及び対向する電極を介して形成された空洞への電極延長部の挿入と一致する、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122の任意のサイズ又は形状を、本開示と一致して使用してもよい。
【0020】
図1Cに示すように、対向する電極142の係合面166は接着要素172を備え、電極110の係合面168は接着要素174を備える。実施形態では、第1の電極構造102及び第2の電極構造104はそれぞれ、第1及び第2の電極構造102及び104が、反対の極性を有する電圧を受け取るように、(図示しない)電圧源に取り付けられてもよい。反対の極性は、係合面166及び168が第2の空洞154内の第1の電極延長部116を押すように、電極110及び対向する電極142を静電的に引きつける。接着要素172及び174は、第1の電極延長部116と係合して、係合面166及び168と第1の電極延長部116との間に摩擦を生じさせてもよい。そのような摩擦は、(例えば、第1の支持構造106上に配置された荷重からの)外力の存在下で第1の電極延長部116が第2の空洞154内を移動するのを防止する可能性がある。このことから、接着要素172及び174を介して供給された摩擦は、電圧が第1及び第2の電極構造102及び104に印加されるとき(例えば、可変硬化装置100が耐荷重状態になったとき)、電極108と110との間の構造的関係を維持するのを容易にする。
【0021】
接着要素172及び174は、実装に応じて、いくつかの異なる形態をとってもよい。例えば、実施形態では、接着要素172及び174は、係合面166及び168全体にわたって延びる接着剤層(例えば、ポリプロピレンテープを含み、
図3に関して説明される接着剤層326及び328)である。実施形態では、接着要素172及び174は研磨要素である。例えば、係合面166及び168は、第1の電極延長部116と重なり、接着要素172及び174として機能するテクスチャの模様を備えてもよい。実施形態では、第1の電極延長部116は、第1及び第2の電極構造102及び104に電圧が印加されたときに第1の電極延長部116が第2の空洞154内に押し込まれるときに接着要素172及び174と係合する接着要素(例えば、
図3に関して説明される接着剤層326及び328)を備えてもよい。
【0022】
図1Cをさらに参照すると、実施形態では、封止要素160を電極110と、対向する電極142との間に配置する。封止要素160は、外部の破片が第2の空洞154に入り、可変硬化装置100の動作を妨害することを防ぐために、第2の空洞154を封止してもよい。封止要素160は、可撓性継手178及び176のそれぞれに相対する電極110及び対向する電極142の端部に配置されてもよい。実施形態では、封止要素160は、係合面166と168との間に延びる接着要素を含む。実施形態では、封止要素160は、第1及び第2の電極構造102及び104が
図1Aに示す非耐荷重状態から調整されるときに、電極延長部116が第2の空洞154を通って移動するにつれて、第1の電極延長部116を第2の空洞154を通して案内してもよい。実施形態では、係合面166及び168は、係合面166及び168が第1の電極延長部116を第2の空洞154を通して案内するように、第1の電極延長部116の外面に対応する方法で成形される(図示しない)溝又はチャネルを備えてもよい。
【0023】
電極110と、対向する電極142との間の第2の空洞154のみを
図1Cに関して説明しているが、複数の電極108、110、112及び114と複数の対向する電極140、142、144及び146との間の他の電極対の間に形成された空洞は、第2の空洞154とほぼ同じ構造を有し得ることを理解されたい。例えば、電極108と、対向する電極140との間に形成された第1の空洞152は、第4の電極延長122を受容し、第2の空洞154とほぼ同じ構造を有してもよい。電極112と、対向する電極144との間に形成された第3の空洞156は、第2の電極延長部118を受容し、第2の空洞154とほぼ同じ構造を有してもよい。電極114と、対向する電極146との間に形成された第4の空洞158は、第3の電極延長部120を受容し、第2の空洞154とほぼ同じ構造を有してもよい。
【0024】
図1A及び
図1Bを参照すると、第1及び第2の電極構造102及び104は、それぞれが4つの電極を備えるものとして本明細書に記載しているが、これよりも少ないか多い電極を備える代替の実装が想定されることを理解されたい。一例では、第1の電極構造102は、電極108及び110並びに第1の電極延長部116のみを備えてもよいのに対し、第2の電極構造104は、(例えば、第1の電極延長部116の挿入のための空洞を形成するために)対向する電極140及び142のうちの1つのみを備えてもよい。さらに、第1の電極構造102の各電極は、同電極から延びる電極延長部を有していなくてもよい。例えば、一実施形態では、第1の電極構造102は、第1の電極延長部116及び第3の電極延長部120のみを備えてもよい。
【0025】
実施形態では、電極延長部はいずれも、単一の電極構造に含まれていなくてもよい。例えば、一実施形態では、第1の電極構造102は、第1の電極延長部116及び第2の電極延長部118を備える(例えば、本明細書に記載するように、第1及び第2の電極延長部116及び118は、第1の電極構造102の電極から直接延びてもよい)のに対して、第2の電極構造104は、第3の電極延長部120及び第4の電極延長部122を備える。さらに、可変硬化装置100の代替の実装例には、形状が互いに異なる第1及び第2の電極構造102及び104が含まれてもよい。例えば、実施形態では、第1の電極構造102(及び複数の電極108、110、112及び114)は、電極と、対向する電極との間に形成された空洞が可変硬化装置100の端部からずれるように、第2の電極構造104よりも大きいサイズである。さまざまなサイズの関係、電極の分布、支持構造の構成及び電極延長部の配置を有する電極構造を、本開示と一致して使用してもよい。
【0026】
図1Bを参照すると、実施形態では、第1及び第2の電極構造102及び104は、可変硬化装置100を軽量化し、同装置から不必要な材料を除去するのに役立つ軽量化機構であってもよい。例えば、実施形態では、第1及び第2の支持構造はそれぞれ、可変硬化装置100の重量を低減するようにパターン化された構造層(例えば、
図3に関して本明細書に記載の構造層310及び318)を備える。
図1Bに示すように、第1の電極構造102の複数の電極108、110、112及び114のそれぞれは、その外縁に近接して延びる2つの細長い空洞148と、その中央領域に配置された丸い空洞150とを備える。複数の電極108、110、112及び114とは対照的に、第1の支持構造106は、複数の丸い空洞150を備える。第1の支持構造106は、その上に置かれた荷重に対して剛性の構造的支持を提供するために、細長い空洞148を備えなくてもよい。実施形態では、第2の電極構造104は、ほぼ同じ軽量化機構のセットを備える。実施形態では、第1の電極構造102も第2の電極構造104も、最大の構造的支持を提供するために、軽量化機構を含まない。以下で理解されるように、可変硬化装置100に組み込まれた軽量化機構の数及び配置は、所望の耐荷重能力と、第1及び第2の電極構造102及び104を構築するために使用される材料と、第1及び第2の電極構造102及び104のサイズ及び配置と、第1及び第2の電極構造102及び104に印加される電圧とに依存してもよい。このことから、本開示と一致して、任意の数及び配置の軽量化機構を可変硬化装置100に組み込んでもよい。
【0027】
ここで
図2を参照すると、耐荷重状態にある可変硬化装置100の斜視図が示される。電極108及び114は、電極108及び114が第1の支持構造106に対してほぼ直交する(例えば、
図1Cに関して記載された角度θは、約80度から約100度である)ように(例えば、
図1Cに関して本明細書に記載された可撓性継手178とほぼ同じ可撓性継手周りに)折り畳まれる。実施形態では、電極114の支持端部202及び電極108の支持端部204を、表面(例えば、テーブル、地面又は任意の支持体)上に配置する。図示の角度構成では、電極108及び114は、耐荷重状態で表面の上方の位置にて第1の支持構造106を支持する。
【0028】
第4の電極延長部122は、電極108の背後で、電極108と、対向する電極140との間に形成される
図1Bの第1の空洞152内に延びる。本明細書に記載するように、電極108及び対向する電極140は、第1の空洞152を形成する係合面を備え、電圧源からの電圧が可変硬化装置100に供給されるときに第4の電極延長部122と係合する接着要素を備えてもよい。例えば、反対の極性の電圧を第1及び第2の電極構造102及び104に印加して、電極108と、対向する電極140との間に静電吸着を引き起こし、それにより、空洞を形成する係合面を接着要素にて第4の電極延長部122と係合させてもよい。第4の電極延長部122と接着要素との間の摩擦が、第1の空洞152内の第4の電極延長部122の位置決めを維持し、第1の支持構造106が支持端部202及び204を介して支持されたままであるように維持される電極108と電極114との間の構造的関係を生じさせる。第1、第2及び第3の電極延長部116、118及び118は、可変硬化装置100を耐荷重状態に保持するのとほぼ同じ方法で、第1及び第2の電極構造102及び104の電極対によって形成される空洞に保持され得ることを理解されたい。
【0029】
図2に示すように、荷重200を第1の支持構造106上に配置する。実施形態では、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122と、電極延長部が配置される空洞を形成する係合面との間の摩擦は、荷重200が第1の支持構造106上に配置される場合でさえ、第1、第2、第3及び第4の電極延長部116、118、120及び122が滑るのを防止するのに充分なものである。一例では、可変硬化装置100は、約20グラムの重さになるように構成され、約1kgの荷重200が第1の支持構造106上に配置された場合でも、10kVの電圧を使用して耐荷重状態を維持することができた。このことから、この例では、可変硬化装置100は、それ自体の重量の少なくとも約50倍を保持することができる。
【0030】
図3は、
図1Bに示す線III-IIIでの可変硬化装置の例示的な断面図を示す。一実施形態では、
図3に示す断面図は、
図1A及び
図1Bに関して説明された非耐荷重状態の可変硬化装置100の断面図である。このことから、第1の電極構造102は、第1の平面内に延びてもよいのに対し、第2の電極構造104は、第2の平面内に延びてもよい(例えば、
図1Cに関して説明される角度θは、約0度であってもよい)。
【0031】
図3は、第1の電極構造102の電極112と第2の電極構造104の対向する電極144との間に形成された第3の空洞156の断面図を示す。電極112は、電極層308、構造層310、保護層312及び接着剤層314を備える。電極層308は、電圧源から電圧を受け取るように構成された導電性材料の層であってもよい。実施形態では、電極層308は、アルミニウムで被覆されたマイラー(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)から構成される。マイラーは、比較的高い引張強度及び寸法安定性を有益に提供する。
図3に示すように、電極層308は、第1の端部132を介して電極112から電極延長部120内に延びる。マイラーは、可変硬化装置100が本明細書に記載の耐荷重状態に置かれたときに第3の電極延長部120が破損しないように、第3の電極延長部120に引張強度を提供する。実施形態では、電極層308は、本明細書に記載の第1の電極構造102の全体にわたって延びる。
【0032】
構造層310は、可変硬化装置100が、同装置に比較的重い荷重が付与されても、構造を維持し得るように、電極層308に構造的支持を提供する。実施形態では、構造層310は、電極層308と直接接触して配置される。構造層310は、耐久性、強度及び成形性のためにポリカーボネートを含んでもよい。図示の例では、構造層310は、
図1Bに関して本明細書に記載の第4の空洞158に案内される第3の電極延長部120の柔軟性を向上させるために、第3の電極延長部120内に延びていない。保護層312は、構造層310に環境抵抗(例えば、耐湿性)及び疲労抵抗を提供してもよい。実施形態では、保護層312は、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)から構成される。接着剤層314は、電極層308の構造層310とは反対の側に配置される。接着剤層314は、第3の空洞156の側面の輪郭を描く係合面304を形成する。実施形態では、接着剤層314は、BOPPテープ及びアクリル接着剤から構成されて、第2の電極延長部118と係合する接着要素を提供する。
【0033】
対向する電極144は、電極層316、構造層318、保護層320及び接着剤層322を備える。実施形態では、対向する電極144は電極112とほぼ同じ構造を有する。図示のように、電極層306及び316は、接着剤層312及び322が電極層306及び316を分離する唯一の材料であるように配置される。そのような配置は、電極層306及び316が可変硬化装置100に印加される電圧に応答して互いに引きつけられ、接触するときに、電極層306と316との間の最小の分離距離を提供する。そのような最小距離は、電極112と、対向する電極144との間の引力を最大化し、それにより、可変硬化装置が耐荷重状態にあるときに第3の空洞156から滑り落ちる第2の電極延長部118に対する抵抗を最大化する。
【0034】
第2の電極延長部118の自由端部126は、第3の空洞156内に配置された状態で示される。実施形態では、電極112及び対向する電極144の位置決めが調整されると、自由端部126が空洞156にさらに挿入されて、第2の電極延長部118と電極112及び対向する電極144の係合面302及び304との間の重なりの量を増大させる。電圧が可変硬化装置100に印加された時点で、電極112は、第2の電極延長部118が係合面302及び304の両方に押し付けられるように、対向する電極144に静電的に引きつけられる。接着剤層312及び322内の接着剤は、電圧が印加されたときに第2の電極延長部118が第3の空洞156内で摺動するのを防ぐための摩擦を提供する。
【0035】
図示の例では、第2の電極延長部118及び第3の電極延長部120は両方とも、電極層308の両側に配置された接着剤層326及び328を備える。実施形態では、接着剤層326及び328は、アクリル接着剤を備えるBOPPテープから構成される。接着剤層326及び328は、第2の電極延長部118と係合面302及び304との間の摩擦を増大させて、本明細書に記載の耐荷重状態に置かれたときに可変硬化装置100の強度を有益に増大させる。接着剤層326は、接着剤層312と同時に電極層308に付着させてもよい。
【0036】
ここで、本明細書に記載の実施形態は、第1の電極構造及び第2の電極構造を備える可変硬化装置を対象としていることを理解されたい。第1の電極構造は、第1の電極構造の電極と第2の電極構造の対向する電極との間に形成された空洞内に延びる電極延長部を備える。第1及び第2の電極構造は、同電極構造に電圧を印加して電極を対向する電極に静電的に引きつけて空洞内の電極延長部を押圧することにより、耐荷重状態に配置されてもよい。電極延長部と空洞を形成する係合面との間の摩擦が、電極延長部が空洞内で滑るのを防ぎ、それにより、可変硬化装置への荷重の付与に応答して、第1及び第2の電極構造の構成要素間の構造的関係を維持する。
【0037】
「実質的に」及び「約」という用語は、任意の定量的比較、値、測定又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために本明細書で使用され得ることに留意されたい。このような用語はこのほか、問題の主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が、記載された基準から変化し得る程度を表すために本明細書で利用される。
【0038】
本明細書では特定の実施形態を例示して説明してきたが、特許請求される主題の精神及び範囲から逸脱することなく、他のさまざまな変更及び修正を施し得ることを理解されたい。さらに、特許請求される主題のさまざまな態様を本明細書に記載してきたが、そのような態様を組み合わせて利用する必要はない。このため、添付の特許請求の範囲は、特許請求される主題の範囲内にあるそのようなあらゆる変更及び修正を網羅することが意図される。