(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】配車装置、制御方法、および、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241112BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241112BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241112BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 D
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2021093891
(22)【出願日】2021-06-03
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石黒 康裕
(72)【発明者】
【氏名】神谷 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 修
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-067761(JP,A)
【文献】特開2020-154476(JP,A)
【文献】特開2017-220074(JP,A)
【文献】特開2019-079267(JP,A)
【文献】特開2019-061480(JP,A)
【文献】特開昭57-114987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0279345(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G07C 1/00 - 15/00
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得部と、
ドライバの生体情報から抽出された1つ以上の特徴量と、前記ドライバの過去の生体情報の経時変化とに基づいて、現在から前記需要時刻までの前記ドライバの生体状態の経時変化を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された現在から前記需要時刻までの
前記ドライバの
前記生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに
前記推定部から取得する生体状態取得部と、
前記生体状態取得部によって取得された前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援部と、を備えている配車装置。
【請求項2】
前記配車支援部は、前記需要地点に割り当てる1または複数の前記ドライバを、特定した前記ドライバの中から選択する、請求項1に記載の配車装置。
【請求項3】
前記生体状態取得部は、前記需要時刻の所定時間前の時点で、前記需要地点に割り当てられた前記ドライバの、前記時点における前記生体状態のレベルを取得し、
前記配車支援部は、取得された前記生体状態のレベルが前記所定閾値以上である前記ドライバの割り当てを取り止める、請求項2に記載の配車装置。
【請求項4】
前記ドライバの現在位置を前記ドライバごとに取得するドライバ位置取得部を備え、
前記配車支援部は、
前記休憩所要時間と、前記ドライバが前記現在位置から前記需要地点までの移動に要する移動所要時間とに基づいて、前記需要地点に到着する到着予定時刻をドライバごとに算出し、
前記到着予定時刻が前記需要時刻以前となる前記ドライバを特定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項5】
前記配車支援部は、前記経時変化の、現在から前記需要時刻までの期間における、前記生体状態のレベルのピーク時刻を加味して前記到着予定時刻を算出する、請求項4に記載の配車装置。
【請求項6】
前記需要情報取得部は、現在から所定時間後までの所定期間において前記需要時刻を迎える複数の前記需要地点を、前記需要時刻とともに取得し、
前記配車支援部は、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられるドライバを特定する処理を、前記需要地点ごとに実行する、請求項1から5のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項7】
前記需要情報取得部は、さらに、前記需要地点ごとに、需要に見合ったドライバ数を取得し、
前記配車支援部は、前記ドライバ数が相対的に多い需要地点から優先的に、特定した前記ドライバを割り当てる、請求項6に記載の配車装置。
【請求項8】
前記需要地点は、配車の需要が見込まれると予測されるホットエリアの代表地点である、請求項1から7のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項9】
配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得部と、
現在から前記需要時刻までのドライバの生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに取得する生体状態取得部と、
前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援部と、を備え、
前記需要地点および前記需要時刻は、それぞれ、配車を希望するユーザの端末装置から送信された乗車希望地点および乗車希望時刻であり、
前記配車支援部は、前記乗車希望時刻までに、前記乗車希望地点までの移動および前記休憩を終えられるか否かの可否判定を前記ドライバごとに実施し、
前記ドライバごとの、前記可否判定の結果と前記乗車希望時刻における前記生体状態のレベルとを含むステータス情報を、前記端末装置に提供する情報提供部をさらに備えている
、配車装置。
【請求項10】
前記配車支援部は、前記経時変化における前記レベルのピークと前記所定閾値との乖離に応じた前記休憩所要時間を特定する、請求項1から9のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項11】
配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得部と、
現在から前記需要時刻までのドライバの生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに取得する生体状態取得部と、
前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援部と、
前記配車支援部が前記需要地点に割り当てたドライバに、該需要地点、前記需要時刻および休憩場所を通知する通知部
と、を備え、
前記配車支援部は、
前記経時変化の前記生体状態のレベルのピーク時刻が、前記需要時刻よりも現在時刻に近い場合、前記ドライバの現在位置を前記休憩場所とし、
前記ピーク時刻が、前記現在時刻よりも前記需要時刻に近い場合、前記需要地点を前記休憩場所とする
、配車装置。
【請求項12】
前記生体状態取得部は、前記生体状態の経時変化として眠気レベルの経時変化を取得する、請求項1から11のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項13】
配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得ステップと、
ドライバの生体情報から抽出された1つ以上の特徴量と、前記ドライバの過去の生体情報の経時変化とに基づいて、現在から前記需要時刻までの前記ドライバの生体状態の経時変化を推定する推定ステップと、
前記推定ステップにて推定された現在から前記需要時刻までの
前記ドライバの
前記生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに取得する生体状態取得ステップと、
前記生体状態取得ステップにて取得された前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援ステップと、を含む、配車装置の制御方法。
【請求項14】
請求項1に記載の配車装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記需要情報取得部、
前記推定部、前記生体状態取得部、および、前記配車支援部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人を輸送するサービスにおいてドライバを手配する配車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、予測されたタクシー利用者の需要予測情報に基づいてタクシーを適切に配車する配車支援システムが開示されている。需要予測情報は、空車情報、売上高、タクシーの位置情報などから得られる。
【0003】
特許文献2には、ドライバにおける安全運転に対する支障度を算出し、支障度に応じて、ドライバにアドバイスをしたり、休憩を提案したりする支障度算出システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-91274号公報
【文献】特開2020-64553号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】C. Jacobe de Naurois et al.、「Detection and prediction of driver drowsiness using artificial neural network models」、Accident Analysis and Prevention 126、P.95-P.104、2019年
【文献】Ajjen Joshi et al.、「In-the-wild Drowsiness Detection from Facial Expressions」、2020年10月21日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムでは、需要を考慮した配車が可能であるが、ドライバへの負荷が考慮されておらず安全性が損なわれる可能性がある。一方、特許文献2に記載されたシステムでは、安全性の観点から休憩が提案されているが、需要を考慮することができないので、例えば収益などの効率性が損なわれる可能性がある。
【0007】
本発明の一態様は、安全性の確保と効率性の確保とを両立することが可能な配車装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る配車装置は、配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得部と、現在から前記需要時刻までのドライバの生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに取得する生体状態取得部と、前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援部と、を備えている。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る配車装置の制御方法は、配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得ステップと、現在から前記需要時刻までのドライバの生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに取得する生体状態取得ステップと、前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援ステップと、を含む。
【0010】
本発明の各態様に係る配車装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記配車装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記配車装置をコンピュータにて実現させる配車装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、安全性の確保と効率性の確保とを両立することが可能な配車装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態1に係る配車システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】需要情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】不適正レベルの経時変化情報の一例を示す図である。
【
図4】可否テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】配車結果情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】配車装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】配車支援部が実行する配車可否判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】車載システムの情報出力部から出力される通知の一例を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態2に係る配車システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】ユーザ端末装置の表示部に表示される結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<配車システムの概要>
図1は、配車システム100の構成を示すブロック図である。
図1は、配車システム100に含まれる、配車装置1および車載システム3のそれぞれの要部構成も示す。本実施形態では、一例として、配車システム100は、あるタクシー会社におけるタクシー(以下、車両)を管理するためのシステムである。
【0014】
配車システム100は、複数の車両を管理し、配車を行う配車装置1と、配車装置1によって管理される複数の車両の1台1台に搭載された車載システム3と、配車の需要を予測する需要予測装置2とを含む。需要予測装置2は、配車装置1の一部として組み込まれていてもよい。
【0015】
配車システム100では、配車装置1は、タクシー会社に勤務する各ドライバが運転する車両に搭載された車載システム3と通信し、各車両、すなわち、各ドライバを管理する。配車装置1は、必要に応じて、任意の場所にいずれかの車両を割り振る判断、すなわち、配車を行って、割り振った車両のドライバに対して、上述の場所に向かうように指示することができる。
【0016】
なお、本実施形態では、1人のドライバには、1台の車両が対応しているものとする。以下では、「ドライバを(場所に)派遣する」、「ドライバを(場所に)手配する」、および、「ドライバを(場所に)割り当てる」などの表現は、いずれも、「(配車装置1が)(場所に)車両を割り振ること」、すなわち、「配車すること」を意味する。
【0017】
なお、本開示の配車システムにおいて配車の対象は車両に限られない。本開示の配車システムは、客側が出発時間および発着場所などを選択して利用できる輸送サービスにおいて輸送に使用されるあらゆる乗り物の配車のために利用することができる。
【0018】
(車載システムの構成)
車載システム3は、1台の車両に1つ搭載されており、配車装置1と必要な情報の送受信を行う。具体的には、車載システム3は、車両および該車両を運転するドライバに関する情報を配車装置1に送信する。また、車載システム3は、配車装置1から通知を受信し、その内容をドライバに対して伝達する。
【0019】
一例として、車載システム3は、実績集約部31、生体情報取得部32、推定部33、位置情報取得部34および情報出力部35を備えている。
【0020】
実績集約部31は、ドライバの業績を集約する。実績集約部31は、例えば、タクシーメータなどを含んで構成されてもよい。実績集約部31は、車両のステータス(賃走、迎車、空車、回送、支払など)、走行距離、走行速度、走行時間および売上などを業績情報として取得して記憶する。実績集約部31が集約した業績情報は、車載システム3の不図示の通信装置を介して需要予測装置2または配車装置1に送信される。
【0021】
生体情報取得部32は、ドライバの生体情報を取得する。生体情報取得部32は、例えば、ドライバの状態を観測、計測または検知する各種の測定装置を含んで構成されてもよい。生体情報取得部32は、例えば、ドライバの様子を撮像するカメラ、ドライバの心拍数を計測する心拍センサ、および、ドライバの呼吸数を計測する呼吸センサなどを測定装置として含む。測定装置は、上述のものに限定されず、ドライバの運転に適した健全性が損なわれている度合いを示す不適正レベル(生体状態のレベル)を指標値として導出することが可能な生体情報を取得できるものであれば、どのような測定装置であっても構わない。
【0022】
不適正レベルは、上述のとおり、運転に適さない不健全な状態の度合いを意味し、当該不健全な状態とは、睡眠、安静または食事などの休憩によって回復させることが可能な状態を指す。不適正レベルは、例えば、眠気、疲労、または、集中力の低下などの度合いを示していてもよい。本実施形態では、不適正レベルの値が高いほど、運転に適さない不健全さが高いことを意味し、休憩をとることにより該不適正レベルを下げることができる。
【0023】
本実施形態では、一例として、不適正レベルとは、ドライバの眠気の度合いを示す眠気レベル(生体状態のレベル)である。したがって、上述のように、ドライバの眠気を判断するために利用可能な生体情報を取得するカメラ、心拍センサ、および、呼吸センサなどが測定装置として採用され得る。
【0024】
生体情報取得部32は、例えば、カメラから得られた写真または動画、心拍センサから得られた心拍数、および、呼吸センサから得られた呼吸数などを生体情報として取得する。生体情報取得部32によって取得された生体情報は、推定部33に入力される。生体情報取得部32は、必要に応じて、測定装置から出力された生体情報そのもの(生データ)を推定部33に入力してもよいし、生体情報から所定の手順で抽出した特徴量を推定部33に入力してもよい。
【0025】
推定部33は、生体情報取得部32によって取得された生体情報に基づいて、ドライバの生体状態のレベルを推定する。一例として、推定部33は、生体状態として、ドライバの運転に適した健全性が損なわれている度合いを示す不適正レベルを推定してもよい。より具体的には、推定部33は、生体情報取得部32によってこれまで取得された生体情報と、該生体情報に基づいて判定された、これまでの不適正レベルの推移とに基づいて、所定期間における不適正レベルの推移を予測する。所定期間は、一例として、最新の生体情報が取得された時点(例えば、現在時刻)から所定時間後までの期間であってもよい。推定部33は、不適正レベルの予測された推移を示す経時変化情報を生成し、配車装置1に出力する。不適正レベルの経時変化情報(生体状態の経時変化)は、例えば、縦軸に不適正レベルを、横軸に所定期間の時刻をとって作成された不適正レベルの推定グラフであってもよい。
【0026】
一例として、推定部33は、所定期間における、ドライバの眠気の度合いを示す眠気レベルの推移を予測する眠気推定部であってもよい。すなわち、不適正レベルは、眠気レベルであってもよい。
【0027】
本実施形態では、一例として、推定部33は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)によって実現されてもよい。AIの一例として、例えば、ドライバの生体情報から抽出された1つ以上の特徴量と、過去の眠気レベルの経時変化情報とを入力として、現在から所定時間後までの所定期間における予測された眠気レベルの経時変化情報を出力するように学習された推定モデルが利用されてもよい。
【0028】
例えば、非特許文献1に記載されている、眠気を予測するモデルを採用することができる。非特許文献1に記載されたモデルは、瞬き、単位時間あたりの閉眼時間割合(PERCLOS;Percent of Eyelid Closure)等を特徴量として用いたニューラルネットワークのモデルである。このモデルは、ドライバの生理学的および行動的指標から、ドライバの眠気(drowsiness)が、何分後に1.5に到達するかを予測する。「眠気1.5」とは、非特許文献2に示された「Slightly drowsy(やや眠い)」と「Moderately drowsy(中程度の眠気)」との間に相当する。
【0029】
推定部33が出力した、ドライバの所定期間における予測された眠気レベルの経時変化情報は、不図示の通信装置を介して、配車装置1に送信される。眠気レベルの経時変化情報は、例えば、縦軸に眠気レベルを、横軸に所定期間の時刻をとって作成された眠気推定グラフであってもよい。
【0030】
推定部33は、生体情報取得部32によって取得された生体情報に基づいて、該生体情報が取得された時点(例えば、現在時刻)における、ドライバの状態を判断してもよい。推定部33は、判断したドライバの状態を示す実測値をドライバ情報取得部22に送信してもよい。
【0031】
位置情報取得部34は、車両の現在位置を取得する。位置情報取得部34は、例えば、全地球測位システム(GPS;Global Positioning System)などを含んで構成されてもよい。位置情報取得部34は、車両について取得した現在位置を、車載システム3の不図示の通信装置を介して配車装置1に送信する。
【0032】
情報出力部35は、ドライバに対して、車載システム3が処理した情報を出力し、伝達する。情報出力部35は、例えば、車載システム3が生成したり、配車装置1から受信したりした画像および文字などの可視情報を表示させる表示装置であってもよい。情報出力部35は、車載システム3が生成したり、配車装置1から受信したりした音声などの聴覚情報を出力させる音声出力装置であってもよい。位置情報取得部34および情報出力部35は、カーナビゲーションシステムの一部として構成されていてもよい。
【0033】
(需要予測装置の構成)
需要予測装置2は、配車の需要を予測する。本実施形態では、需要予測装置2は、各車両の実績集約部31から送られてくる業績情報に基づいて、現在時刻から所定時間後(例えば、3時間後)までの所定期間において見込まれる需要を定期的に予測する。本実施形態では、需要予測装置2は、一例として、現在時刻から3時間後までの所定期間における需要の予測を、3時間ごとに行うものとする。しかし、これに限らず、需要予測装置2は、例えば、より近場の営業可能な地域を対象とする予測では、1時間おきに需要の予測を行ってもよい。
【0034】
需要予測装置2が需要を予測する方法としては、公知の技術が適宜採用され得る。需要予測装置2は、予測当日のこれまでの各車両の位置情報、および、予測当日と同じ条件(季節、天気、曜日、時間帯など)の過去の業績情報などをさらに加味して需要を予測してもよい。
【0035】
本実施形態では、需要予測装置2は、現在時刻から所定時間後までの所定期間において、タクシー会社が営業可能な地域のうち、需要レベルが所定閾値以上となるエリアを特定する。需要レベルとは、配車の需要の程度を示す指標値であり、一例として、5段階で表されてもよい。需要レベルは、乗車を希望する客または売上が多いと予測されるほど、高い値を示す。
【0036】
以下では、所定期間において、需要レベルが所定閾値以上となり、ある程度以上の需要が見込まれるエリアをホットエリアと称する。本実施形態では、一例として、需要予測装置2は、所定期間において需要レベル3以上のエリアをホットエリアとして特定する。
【0037】
需要予測装置2は、特定したホットエリアごとに需要情報を生成し、配車装置1に出力する。本実施形態では、一例として、需要情報は、需要地点、需要時刻、および、必要ドライバ数を含む。なお、需要情報は、必要に応じて、ホットエリアの所定期間における需要レベルの経時変化情報を含んでいてもよい。経時変化情報は、例えば、縦軸に需要レベルを、横軸に所定期間の時刻をとって作成された需要予測グラフであってもよい。
【0038】
需要地点は、配車の需要が見込まれる位置を特定するための情報である。本実施形態では、需要地点は、ホットエリアの代表地点であってもよい。以下では、ホットエリアの代表地点をホットエリア地点と称する。ホットエリアのうちのどの地点を代表地点とするかは特に限定されない。ホットエリアを2次元の図形として捉えた場合の重心または中心が代表地点として採用されてもよい。ホットエリアに含まれるタクシー乗り場の位置が代表地点として採用されてもよい。ホットエリアのうち、車両、すなわち、ドライバ各々の位置から最も近い地点が代表地点として採用されてもよい。
【0039】
需要時刻は、上述の需要地点において需要が見込まれる時刻を示す情報である。本実施形態では、需要時刻は、ホットエリアについて、所定期間において最も需要が高まると予測される時刻を示す需要ピーク時刻であってもよい。
【0040】
必要ドライバ数(ドライバ数)は、需要に見合ったドライバ数を示す情報である。例えば、必要ドライバ数は、ホットエリアおける需要に過不足なく対応できる妥当なドライバ数であってもよい。必要ドライバ数を特定する方法は、特に限定されない。例えば、需要レベルごとに必要ドライバ数が予め対応付けられており、需要予測装置2は、ホットエリアの需要ピーク時刻における需要レベルに対応付けられた必要ドライバ数を特定してもよい。あるいは、需要予測装置2は、所定期間における需要レベル3以上の時間帯の長さ、ホットエリアの広さなどを考慮して、必要ドライバ数を算定してもよい。
【0041】
(配車装置の構成)
配車装置1は、配車システム100に少なくとも1つ含まれており、例えば、タクシー会社の配車センターに、需要予測装置2とともに設けられている。配車装置1は、不図示の通信装置を介して、各ドライバが乗務する各車両の車載システム3と、通信ネットワークを通じて通信することができる。需要予測装置2が配車装置1に組み込まれていない場合、配車装置1は、例えば、LAN(Local Area Network)などを介して需要予測装置2と通信可能に接続されていてもよい。
【0042】
配車装置1は、制御部10、記憶部11および、上述の不図示の通信装置を備えている。制御部10は、配車装置1の各部を統括的に制御するものである。制御部10は、例えば、CPU(central processing unit)または専用プロセッサなどの演算装置により構成されている。後述する制御部10の各部は、上述の演算装置が、ROM(read only memory)などで実現された記憶装置(例えば、記憶部11)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。記憶部11は、制御部10によって用いられる各種データを記憶するものである。記憶部11は、制御部10がアクセス可能な外部の記憶装置として構成されていてもよい。
【0043】
本実施形態では、制御部10は、一例として、需要情報取得部21、ドライバ情報取得部22および配車支援部23を含んでいる。制御部10は、必要に応じて、通知部24をさらに含んでいてもよい。なお、チェック部25については、後述の変形例1にて詳細に説明する。記憶部11には、一例として、可否テーブル111および配車結果情報112が記憶されている。
【0044】
需要情報取得部21は、配車の需要が見込まれる需要地点および該需要が見込まれる需要時刻を少なくとも取得する。本実施形態では、需要情報取得部21は、需要予測装置2から需要地点および需要情報を取得する。需要情報取得部21は、一例として、ホットエリア地点、需要ピーク時刻および必要ドライバ数を含む需要情報を、ホットエリアごとに取得する。
【0045】
ドライバ情報取得部22は、ドライバに関する情報をドライバごとに取得する。例えば、ドライバ情報取得部22は、ドライバ位置取得部として、位置情報取得部34からドライバの現在位置を取得する。また、例えば、ドライバ情報取得部22は、生体状態取得部として、生体状態のレベルの経時変化をドライバごとに取得する。生体状態レベルとは、不適正レベルであってもよい。不適正レベルは、ドライバの生体情報に基づいて推定された、ドライバの運転に適した健全性が損なわれている度合いを示す指標である。不適正レベルの経時変化情報は、現在時刻から需要時刻までの期間を含む所定期間における、不適正レベルの推移を示す情報である。ドライバ情報取得部22は、ドライバごとの経時変化情報を、各車両に搭載されている推定部33から取得してもよい。
【0046】
なお、生体情報取得部32は、ドライバから取得した生体情報の実測値に基づいて、現在時刻におけるドライバの不適正レベルを判断する不図示の判断部を備えていてもよい。この場合、ドライバ情報取得部22は、生体情報取得部32から、ドライバの現在時刻において判断された実測の不適正レベルをさらに取得してもよい。
【0047】
配車支援部23は、配車を支援する。すなわち、配車支援部23は、需要時刻に、需要地点に派遣するドライバを決定する。具体的には、配車支援部23は、経時変化情報において、需要時刻における生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間をドライバごとに特定する。配車支援部23は、需要時刻までに、需要地点までの移動および休憩を終えられるドライバを特定する。さらに、配車支援部23は、需要地点に割り当てる、すなわち、配車する、1または複数のドライバを、特定した上述のドライバの中から選択してもよい。以上のようにして、配車支援部23は、配車を支援することができる。
【0048】
一例として、配車支援部23は、不適正レベルを所定閾値未満にするためにドライバが休憩に要する休憩所要時間を考慮して、不適正レベルが所定閾値未満の状態で需要時刻までに需要地点に到着できるドライバを特定する。配車支援部23は、特定したドライバを需要地点に派遣することを決定する。すなわち、配車支援部23は、ドライバを需要地点に割り当てる処理を実行する。
【0049】
より詳細には、本実施形態では、一例として、配車支援部23は、各ドライバにつき、ホットエリアに派遣することが可能か否かを判定する配車可否判定処理を、ホットエリアごとに実行する。そして、配車支援部23は、ホットエリアに派遣可能と判定したドライバの中から、該ホットエリアに派遣するドライバを選択する配車決定処理を実行する。
【0050】
配車支援部23は、配車可否判定処理において、ドライバの眠気推定グラフに基づいて、ドライバの休憩所要時間を特定する。そして、配車支援部23は、休憩所要時間を考慮して、ドライバが、眠気レベルが所定閾値未満の状態、すなわち、安全に運転ができるように覚醒した状態で、需要ピーク時刻までにホットエリア地点に到着できるか否かを判定する。配車支援部23は、眠気レベルが所定閾値未満の状態で需要ピーク時刻までにホットエリア地点に到着できるドライバを、ホットエリアに配車可能なドライバと判定する。
【0051】
配車支援部23は、配車可否判定処理を経て可否テーブル111をホットエリアごとに生成し、記憶部11に記憶させる。可否テーブル111は、ホットエリアに配車可能であるか否かをドライバごとに示したテーブルである。
【0052】
なお、配車支援部23は、上述の眠気推定グラフにおいて眠気レベルが所定閾値以上に一度も到達しないドライバについては、休憩不要と判断して、休憩所要時間をゼロと特定してもよいし、休憩所要時間を特定する処理を省略してもよい。
【0053】
配車支援部23は、配車決定処理において、ホットエリアごとに、該ホットエリアに実際に派遣するドライバを、配車可能なドライバの中から選択する。配車支援部23は、ホットエリアの必要ドライバ数の分のドライバを割り当ててもよい。
【0054】
配車支援部23は、配車決定処理を経て配車結果情報112を生成し、記憶部11に記憶させる。配車結果情報112は、派遣するドライバ(車両)、該ドライバに割り当てた派遣先のホットエリア、および、該ホットエリアへの到着予定時刻を含む。したがって、配車結果情報112を参照すれば、配車装置1は、どのドライバを、どこのホットエリアに、いつまでに、派遣するのかを判断することができる。
【0055】
通知部24は、配車支援部23がホットエリア(需要地点)に割り当てたドライバに、少なくとも需要地点および需要時刻を各車両の車載システム3を介して通知する。具体的には、通知部24は、派遣が決まったドライバの車両の車載システム3宛てに、派遣先のホットエリアのホットエリア地点、および、該ホットエリアへの到着予定時刻を少なくとも含む派遣要請を送信する。
【0056】
通知部24は、配車支援部23がドライバについて休憩が必要と判断した場合には、休憩の取り方を指南する指南情報を該ドライバの車両の車載システム3宛てに送信してもよい。例えば、通知部24は、休憩場所をドライバに通知してもよい。休憩場所は、ドライバの現在位置、または、ホットエリア地点、または、該現在位置からホットエリア地点までの経路のいずれかの地点であり得る。
【0057】
<需要情報>
図2は、需要情報のデータ構造の一例を示す図である。例えば、需要予測装置2は、所定期間を、2021/4/17の15時~18時とし、該所定期間において需要が高まると予測されるホットエリアを特定し、それらのホットエリアごとに需要情報を生成する。
図2には、所定期間「2021/4/17の15時~18時」における、ホットエリアごとの需要情報が示されている。
図2において、2つのホットエリアについての需要情報が図示されているが、ホットエリアがこれ以上に特定された場合には、それらのホットエリアについても不図示の需要情報が生成される。
【0058】
需要情報は、一例として、少なくとも、ホットエリア地点(需要地点)および需要ピーク時刻(需要時刻)を含むように構成される。需要情報は、必要に応じて、エリアID、必要ドライバ数、および、需要予測グラフを含んで構成されてもよい。
【0059】
エリアIDは、同一の所定期間において特定された複数のホットエリアを一意に識別する情報である。
【0060】
ホットエリア地点は、特定されたホットエリアの位置を示す情報である。ホットエリア地点は、図示のように、ホットエリアの代表的な1地点の緯度経度を示す情報であってもよいし、ホットエリアまたは該ホットエリアの代表的な1地点を地図上にプロットした情報であってもよいし、その両方であってもよい。
【0061】
上述のとおり、需要ピーク時刻は、ホットエリアについて予測された需要のピーク時刻を示す情報である。必要ドライバ数は、需要に見合ったドライバ数、例えば、ホットエリアおける需要に過不足なく対応できると予測されたドライバ数を示す情報である。
【0062】
需要予測グラフは、需要情報から省略されてもよい。反対に、需要情報に含まれている需要予測グラフから、需要ピーク時刻および必要ドライバ数を特定できる場合には、需要ピーク時刻および必要ドライバ数は、需要情報から省略されてもよい。
【0063】
以上のように構成された需要情報は、需要予測装置2によって生成され、配車装置1に提供される。
【0064】
<不適正レベルの経時変化情報>
図3は、不適正レベルの経時変化情報の一例を示す図である。不適正レベルの経時変化情報は、本実施形態では、一例として、ドライバの眠気推定グラフである。
【0065】
推定部33は、所定期間、例えば、現在時刻15:00から3時間後の18:00までの、ドライバの推定された眠気レベルの経時変化情報を出力する。経時変更情報は、一例として、
図8に示すように、縦軸に眠気レベルを、横軸に所定期間の時刻をとって作成された眠気推定グラフである。
【0066】
なお、眠気レベルを評価する方法としては、既存の任意の評価方法が採用され得る。例えば、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO;New Energy and Industrial Technology Development Organization)の評価方法を採用してもよい。NEDOの評価方法によれば、眠気レベル1(全く眠くなさそう)から、眠気レベル5(非常に眠そう)までの5段階で、眠たさの度合いが評価される。眠っている状態は、眠気レベルSとして評価される。
【0067】
以上のように構成された眠気レベルの経時変化情報は、推定部33によってドライバごとに生成され、各車載システム3から配車装置1に提供される。
【0068】
なお、経時変化情報は、所定期間における眠気レベルの最高値と、該最高値が到来すると推定された時刻とが特定できる任意の形式の情報であってよい。経時変化情報は、例えば、所定期間内の所定時刻ごとの推定された眠気レベルを時系列に配列したテーブルであってもよい。以下では、眠気レベルの最高値をピーク眠気レベル、該最高値が到来すると推定された時刻を眠気ピーク時刻と称する。
【0069】
<可否テーブル>
図4は、可否テーブル111のデータ構造の一例を示す図である。可否テーブル111は、特定されたホットエリアごとに、配車支援部23によって生成される。
図4に示す可否テーブル41は、
図2に示すエリアID「AREA0001」によって識別されるホットエリアについて生成された可否テーブル111の一例である。可否テーブル42は、エリアID「AREA0002」によって識別されるホットエリアについて生成された可否テーブル111の一例である。
【0070】
可否テーブル111は、一例として、ドライバ名、移動所要時間、休憩所要時間、到着予定時刻、配車可否の各カラムを含んで構成される。
【0071】
ドライバ名のカラムには、ドライバを識別するための識別情報が格納される。ドライバ名は、ドライバを一意に識別できる文字列であればよく、ドライバの氏名であってもよいし、タクシー会社における社員番号などであってもよい。
【0072】
移動所要時間のカラムには、ドライバが現在位置から需要地点、具体的には、ホットエリア地点までの移動に要する時間が格納される。配車支援部23は、ドライバの現在位置と、ホットエリア地点との距離に基づいて、移動所要時間を算出する。移動所要時間は、公知の任意の方法で算出され得る。
【0073】
休憩所要時間のカラムには、不適正レベルを所定閾値以下にするためにドライバが休憩に要する時間が格納される。本実施形態では、一例として、ドライバに訪れると予測されたピーク眠気レベルを、3未満、すなわち、2以下にするために、該ドライバが休憩に要する時間を、休憩所要時間とする。本実施形態では、休憩所要時間は、ピーク眠気レベルごとに予め対応付けられているものとする。したがって、配車支援部23は、所定期間におけるドライバのピーク眠気レベルに対応する休憩所要時間を、該ドライバの休憩所要時間として特定する。他の例では、配車支援部23は、ドライバの個々の睡眠習慣を考慮して、眠気レベルに応じた休憩所要時間をドライバごとに個別に算出してもよい。本実施形態では、所定期間において眠気レベルが3以上に到達しないと予測されたドライバについて、配車支援部23は、休憩不要と判断し、休憩所要時間を特定する処理を省略してもよい。
【0074】
到着予定時刻のカラムには、ドライバが、不適正レベルが所定閾値以下の状態で需要地点に到着できる時刻が格納される。配車支援部23は、現在時刻に、移動所要時間に加えて、休憩所要時間を加算して、到着予定時刻を算出する。本実施形態では、算出された到着予定時刻は、ドライバが眠気レベル2以下の状態でホットエリア地点に到着できる時刻を示している。
【0075】
配車可否のカラムには、ドライバをホットエリア地点に派遣することが可能か否かを判定した判定結果が格納される。配車支援部23は、到着予定時刻と、需要時刻(本実施形態では、ホットエリアの需要ピーク時刻)とを比較し、需要時刻よりも前に到着予定時刻が到来するドライバについて、配車可能と判定する。可否テーブル111において、配車可能と判定されたドライバは、不適正レベルが所定閾値以下の状態で需要時刻までに需要地点に到着できるドライバであることを意味する。
【0076】
配車可否のカラムには、一例として、フラグ情報が格納されてもよい。図示の例では、「可」と表記されたフラグ情報は、ドライバについて配車が可能であることを意味し、「不可」と表記されたフラグ情報は、ドライバについて配車が不可能であることを意味する。
【0077】
<配車結果情報>
図5は、配車結果情報112のデータ構造の一例を示す図である。
図5に示す配車結果情報112は、例えば、1つの所定期間における配車の需要の予測1回分について、1つ生成されてもよい。需要予測装置2が1つの所定期間における配車の需要の予測を1回実行して、特定したホットエリアごとの需要情報を配車装置1に出力すると、配車装置1の配車支援部23は、上述の予測1回分につき、
図5に示す配車結果情報112を1つ生成してもよい。
【0078】
配車結果情報112は、上述の所定期間において、どのドライバを、どこのホットエリアに割り当てるのかを示す情報である。配車結果情報112は、一例として、テーブルとして構成されてもよい。
【0079】
配車結果情報112は、例えば、ドライバ名およびエリアIDの各カラムを含んで構成される。配車結果情報112は、必要に応じて、さらに、到着予定時刻、需要ピーク時刻、および、推定眠気レベルの各カラムを含むように構成されてもよい。また、配車結果情報112は、さらに、休憩要否および休憩タイミングの各カラムを含むように構成されてもよい。休憩要否および休憩タイミングの各カラムについては、後述の変形例2にて詳細に説明する。
【0080】
ドライバ名のカラムには、ドライバを識別するための識別情報が格納される。可否テーブル111と共通の識別情報が採用されてもよい。
【0081】
エリアIDのカラムには、該当するドライバの派遣先であるホットエリアのエリアIDが格納される。
【0082】
到着予定時刻のカラムには、該当するドライバの到着予定時刻が格納される。配車支援部23は、該当するドライバに割り当てられたホットエリアの可否テーブル111(
図4)から、該ドライバの到着予定時刻を読み出すことができる。
【0083】
需要ピーク時刻のカラムには、該当するホットエリアの需要ピーク時刻が格納される。配車支援部23は、該当するドライバに割り当てられたホットエリアの需要情報(
図2)から、該ホットエリアの需要ピーク時刻を読み出すことができる。
【0084】
推定眠気レベルのカラムには、該当するドライバの到着予定時刻における推定された眠気レベルが格納される。配車支援部23は、該当するドライバについて生成された眠気推定グラフ(
図3)から、到着予定時刻における眠気レベルを抽出することができる。
【0085】
以上のようにして、配車支援部23が生成した配車結果情報112は、記憶部11に記憶される。記憶部11に記憶された配車結果情報112は、通知部24および後述するチェック部25によって適宜参照される。
【0086】
具体的には、通知部24は、配車結果情報112を参照することにより、各ドライバに対して、派遣先のホットエリアおよび需要ピーク時刻を通知することができる。
【0087】
<処理フロー概要>
図6は、配車装置1によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0088】
ステップS1(需要情報取得ステップ)では、需要情報取得部21は、需要予測装置2から、1つの所定期間について特定されたホットエリアごとに需要情報を取得する。ここで取得された需要情報には、例えば、
図2に示すように、ホットエリア地点、需要ピーク時刻、および、必要ドライバ数などが含まれている。
【0089】
ステップS2(生体状態取得ステップ)では、ドライバ情報取得部22は、推定部33から、上述の所定期間における不適正レベルの経時変化情報を、ドライバごとに取得する。不適正レベルの経時変化情報は、例えば、
図3に示すような眠気推定グラフであってもよい。
【0090】
ステップS3(配車支援ステップ)では、配車支援部23は、配車処理を実行する。配車処理は、どのドライバをどのホットエリアに派遣するのかを決定するための処理である。本実施形態では、配車処理は、一例として、ステップS3-1の配車可否判定処理と、ステップS3-2の配車決定処理とを含む。
【0091】
ステップS3-1の配車可否判定処理では、配車支援部23は、例えば、
(1)ホットエリアごとのホットエリア地点、
(2)ホットエリアごとの需要ピーク時刻、
(3)ドライバごとのピーク眠気レベル、
(4)ドライバごとの眠気ピーク時刻、および、
(5)ドライバごとの現在位置
の入力に応じて、各ドライバの配車可否の判定結果を示す可否テーブル111をホットエリアごとに出力する。
【0092】
ステップS3-2の配車決定処理では、配車支援部23は、例えば、
(1)ステップS3-1で出力されたホットエリアごとの可否テーブル111、および、
(2)ホットエリアごとの必要ドライバ数
の入力に応じて、どのドライバをどのホットエリアに派遣するのかを示す配車結果情報112を出力する。配車支援部23は、ステップS3-2において、ドライバごとに休憩の要否を判定し、休憩が必要と判定した各ドライバに対して提案する休憩タイミングを決定してもよい(後述の変形例2)。
【0093】
ステップS4では、通知部24は、ステップS3の配車処理の結果を示す配車結果情報112に基づいて、各ドライバの車載システム3宛てに通知を行う。通知部24は、一例として、1つ以上のホットエリアが割り当てられたドライバの車載システム3宛てに、該ドライバに割り当てられたホットエリアのホットエリア地点と、目標到着時刻とを送信する。目標到着時刻は、ホットエリアの需要ピーク時刻であってもよいし、上述のホットエリアおよびドライバについて算出された到着予定時刻であってもよいし、その両方であってもよい。通知部24は、需要ピーク時刻での稼働に備えて、ドライバごとに、休憩の要否と休憩タイミングとを併せて通知してもよい。
【0094】
配車装置1の制御部10は、チェック部25をさらに含んでいてもよい。制御部10がチェック部25を含んでいる場合、チェック部25は、さらに、ステップS5およびステップS6を実行してもよい(後述の変形例1)。
【0095】
<変形例1>
チェック部25は、ホットエリアで待機していると思われる需要ピーク直前のドライバの状態をチェックし、該ホットエリアで稼動させて本当に安全かの最終チェックを行ってもよい。
【0096】
ステップS5では、チェック部25は、配車結果情報112を参照して、現在時刻がいずれかのホットエリアの需要ピーク時刻の所定時間前(例えば、15分前)になったか否かを監視する。チェック部25は、現在時刻がいずれかのホットエリアの需要ピーク時刻の所定時間前になると、ステップS5のYESからステップS6に処理を進める。
【0097】
ステップS6では、チェック部25は、チェック処理を実行する。具体的には、チェック部25は、まず、需要ピーク時刻直前のホットエリアに割り当てられているドライバを特定する。そして、チェック部25は、特定したドライバについて、生体情報に基づいて判断された、現在時刻における不適正レベル(例えば、眠気レベル)の実測値を推定部33から取得する。チェック部25は、現在時刻、例えば、稼動直前の15分前、における不適正レベルが所定閾値以上(例えば、眠気レベルが3以上)である場合に、上述のドライバの上述のホットエリアへの割り当てを取り止めてもよい。
【0098】
チェック部25からキャンセルの決定を受け付けた通知部24は、キャンセルされたドライバの車載システム3に対して、運転を禁止する旨の通知を送信してもよい。該通知は、さらに、上述のキャンセルされたドライバに対して休憩を促すメッセージを含んでいてもよい。
【0099】
上述の構成によれば、所定時間(例えば、3時間)前に、眠気のない状態でホットエリアに到着できると予測されて、配車された各ドライバについて、需要ピーク時刻の直前(例えば、15分前)に、その不適正レベルが再確認される。直前のチェックにより、安全運転に支障がある程度に不適正レベルが高いと判断されたドライバに対しては運転の取り止めを通知することができる。これにより、効率(収益)のために安全が犠牲になる事態を回避できるので、結果として、安全最優先で、効率または収益を高めることが可能な配車システム100を実現することができる。
【0100】
なお、チェック部25は、配車支援部23が有する機能の一部として配車支援部23に組み込まれていてもよい。
【0101】
<変形例2>
ステップS3-2では、配車支援部23は、配車結果情報112を生成するとき、ホットエリアを割り当てた各ドライバについて、該ドライバの休憩の取り方を指南する情報を生成し、配車結果情報112に含ませてもよい。本変形例においては、
図5に示す配車結果情報112は、休憩要否および休憩タイミングの各カラムを含んで構成される。
【0102】
休憩要否のカラムには、該当するドライバが需要ピーク時刻を迎えるまでに休憩が必要か否かを示す休憩要否情報が格納される。休憩要否情報としては例えばフラグ情報が格納されてもよい。
図5に示す例では、「要」と表記されたフラグ情報は、ドライバに休憩が必要であることを意味し、「否」と表記されたフラグ情報は、ドライバに休憩が不要であることを意味する。
【0103】
配車支援部23は、該当するドライバについて生成された眠気推定グラフ(
図3)を参照する。そして、配車支援部23は、上述の眠気推定グラフに基づいて、所定期間において、ドライバの眠気レベルが3以上に一度も到達しない場合に、該ドライバについて、休憩が不要であると判定してもよい。そして、配車支援部23は、休憩要否のカラムに「否」を示すフラグ情報を格納してもよい。すなわち、配車支援部23は、所定期間中、眠気レベル1または2を維持すると予測されるドライバに対して、休憩は不要と判定してもよい。
【0104】
一方、配車支援部23は、眠気推定グラフに基づいて、所定期間において、ドライバの眠気レベルが1度でも3以上に到達する場合に、該ドライバについて、休憩が必要であると判定してもよい。そして、配車支援部23は、休憩要否のカラムに「要」を示すフラグ情報を格納してもよい。
【0105】
なお、上述の休憩要否の判定は、ステップS3-1にてすでに実行されていてもよく、休憩要否の判定結果は、可否テーブル111に格納されていてもよい。この場合、配車支援部23は、可否テーブル111に格納された休憩要否の判定結果を、配車結果情報112の休憩要否のカラムに反映させてもよい。
【0106】
休憩タイミングのカラムには、該当するドライバに対して提案する休憩の取り方を示す指南情報が格納される。指南情報のデータ形式は特に限定されない。休憩の取り方を説明するテキストデータであってもよいし、音声データであってもよいし、記号であってもよいし、休憩する場所と時間とを指定する構造化データであってもよい。
【0107】
本変形例では、一例として、指南情報は、現在位置にて休憩を取ってからホットエリアに移動するという第1の休憩方法、および、ホットエリアに移動してから休憩を取る第2の休憩方法のいずれかを示す情報である。
図5に示す「休憩後移動」の文字列は、第1の休憩方法を意味し、「移動後休憩」の文字列は、第2の休憩方法を意味する。
【0108】
配車支援部23は、ドライバの眠気推定グラフから特定された眠気のピーク時刻が、現在時刻に近いか、需要ピーク時刻に近いかに応じて、該ドライバに指南する休憩方法を決定してもよい。具体的には、配車支援部23は、眠気のピーク時刻が、需要ピーク時刻より現在時刻に近い場合に、第1の休憩方法を上述のドライバに指南することを決定し、休憩タイミングのカラムに、「休憩後移動」を示す指南情報を格納してもよい。配車支援部23は、眠気のピーク時刻が、現在時刻より需要ピーク時刻に近い場合に、第2の休憩方法を上述のドライバに指南することを決定し、休憩タイミングのカラムに、「移動後休憩」を示す指南情報を格納してもよい。
【0109】
上述の構成によれば、配車結果情報112を参照した通知部24は、ステップS4にて、休憩が必要なドライバに対して、該ドライバに適した休憩の取り方を通知することができる。
【0110】
なお、配車支援部23は、眠気ピーク時刻(生体状態のレベルのピーク時刻)が、需要時刻よりも現在時刻に近い場合、ドライバの現在位置を休憩場所と決定し、眠気ピーク時刻が、現在時刻よりも需要時刻に近い場合、需要地点を休憩場所と決定してもよい。この場合、通知部24は、配車支援部23が需要地点に割り当てたドライバに対して、需要地点、該需要地点の需要時刻および休憩場所を少なくとも通知する。
【0111】
<配車可否判定処理>
図7は、配車支援部23が実行する配車可否判定処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示す配車可否判定処理は、
図6に示すステップS3-1に対応する。
【0112】
ステップS101では、配車支援部23は、ホットエリア地点および需要ピーク時刻を取得する。一例として、配車支援部23は、需要予測装置2によって1つの所定期間について特定された複数のホットエリアのうちの1つを、配車可否判定処理にかける注目ホットエリアとして特定する。配車支援部23は、
図6のステップS1にて取得された各ホットエリアの需要情報(
図2)から、上述の注目ホットエリアの需要情報を読み出す。配車支援部23は、注目ホットエリアの需要情報から、注目ホットエリアのホットエリア地点および需要ピーク時刻を取得する。
【0113】
ステップS102では、配車支援部23は、ピーク眠気レベルおよび眠気ピーク時刻を取得する。一例として、配車支援部23は、タクシー会社が管理しているドライバであって当日に勤務しているドライバのうちの1人を、配車可否判定処理にかける注目ドライバとして特定する。配車支援部23は、注目ドライバに関して、
図6のステップS2にて取得された眠気推定グラフを読み出す。配車支援部23は、注目ドライバの眠気推定グラフから、注目ドライバのピーク眠気レベルおよび眠気ピーク時刻を取得する。
【0114】
ステップS103では、配車支援部23は、移動所要時間を算出する。一例として、配車支援部23は、注目ドライバについて、ドライバ情報取得部22が位置情報取得部34から取得した、注目ドライバの現在位置を読み出す。配車支援部23は、注目ドライバの現在位置と、ステップS101で取得したホットエリア地点とに基づいて、移動所要時間を算出する。移動所要時間とは、注目ドライバが現在位置から注目ホットエリアのホットエリア地点まで移動するのにかかる時間を指す。移動所要時間の算出方法は、特に限定されない。配車支援部23は、移動所要時間を、単に、現在位置からホットエリア地点までの距離に基づいて算出してもよい。あるいは、配車支援部23は、移動所要時間を、地図情報から選択された現在位置からホットエリア地点までの経路における移動距離に基づいて算出してもよいし、さらに、該経路の渋滞情報を加味して算出してもよい。
【0115】
ステップS104では、配車支援部23は、ステップS102で取得した注目ドライバのピーク眠気レベルが所定閾値以上か否かを判定する。一例として、配車支援部23は、ピーク眠気レベルが3以上か3未満かを判定する。本実施形態では、配車支援部23は、現時点で既に眠いっていることを意味する眠気レベルSを、眠気レベル3以上であると判定する。配車支援部23は、注目ドライバのピーク眠気レベルが3未満、すなわち、ピーク眠気レベルが1または2である場合、ステップS104のNOからS105に処理を進める。配車支援部23は、注目ドライバのピーク眠気レベルが3以上、すなわち、ピーク眠気レベルが3~5またはSである場合、ステップS104のYESからS106に処理を進める。
【0116】
ステップS105では、配車支援部23は、現在時刻と移動所要時間とに基づいて、注目ホットエリアへの到着予定時刻を算出する。本実施形態では、配車支援部23は、所定期間において眠気レベルが3以上にならない注目ドライバについては、休憩所要時間を考慮せず、移動所要時間に基づいて到着予定時刻を算出してもよい。例えば、配車支援部23は、現在時刻に移動所要時間を加算して到着予定時刻を算出する。到着予定時刻は、上述したとおり、ドライバが眠気レベル2以下の状態でホットエリア地点に到着できる時刻を指す。あるいは、配車支援部23は、眠気レベルが3以上にならない注目ドライバについては、休憩所要時間を一律0分と特定して、移動所要時間に基づいて到着予定時刻を算出してもよい。
【0117】
ステップS106では、配車支援部23は、ピーク眠気レベルに基づいて休憩所要時間を特定する。本実施形態では、眠気レベルごとに固定値の休憩所要時間が対応付けられている。配車支援部23は、ピーク眠気レベルが示す眠気レベルに対応付けられている休憩所要時間を特定する。休憩所要時間は、ピーク眠気レベルと所定閾値との乖離に応じて予め定められていてもよい。例えば、眠気レベル3に休憩所要時間「20分」が予め対応付けられており、注目ドライバのピーク眠気レベルが3である場合、該注目ドライバの休憩所要時間を「20分」と特定する。ピーク眠気レベルが3より高く、3から乖離しているほど、長い休憩所要時間が対応付けられていてもよい。
【0118】
ステップS107では、配車支援部23は、休憩所要時間を考慮して、注目ホットエリアへの到着予定時刻を算出する。例えば、配車支援部23は、現在時刻、移動所要時間および休憩所要時間に基づいて、到着予定時刻を算出する。具体的には、配車支援部23は、現在時刻に移動所要時間と、さらに休憩所要時間を加算して到着予定時刻を算出してもよい。さらに、配車支援部23は、眠気ピーク時刻(生体状態のレベルのピーク時刻)を加味して、到着予定時刻を算出してもよい。例えば、現在時刻に移動所要時間と休憩所要時間とを加算して得られた第1時刻、および、眠気ピーク時刻に休憩所要時間を加算して得られた第2時刻の、いずれか遅い方を到着予定時刻として採用してもよい。このようにすれば、以下の不都合を回避することができる。つまり、眠気ピーク時刻が需要ピーク時刻の間際であると、需要ピーク時刻に間に合うようにホットエリア地点に居合わせることができても、眠気の解消が需要ピーク時刻に間に合わないようなケースがあり得る。このようなケースにおいて、到着予定時刻が実際よりも早く見積もられてしまう不都合をなくすことができる。
【0119】
また、眠気レベルS、すなわち、すでに寝ている注目ドライバについて、車載システム3の推定部33は、生体情報取得部32から取得された注目ドライバの生体情報を利用して、覚醒予定時刻を予測してもよい。例えば、推定部33は、仮眠が開始された時刻、仮眠開始時の眠気レベル、他の生体情報から得られる現在の眠りの深さなど、を分析して、注目ドライバの覚醒予定時刻を予測してもよい。配車支援部23は、推定部33によって予測された覚醒予定時刻と移動所要時間とを加算して、眠気レベルSの注目ドライバの到着予定時刻を算出することができる。
【0120】
ステップS108では、配車支援部23は、注目ドライバが注目ホットエリアの需要に間に合うように該注目ホットエリアに到着できるか否かを判定する。例えば、配車支援部23は、到着予定時刻が需要ピーク時刻以前である場合に、到着できると判断してもよい。この場合、配車支援部23は、S108のYESからS109に処理を進める。配車支援部23は、到着予定時刻が需要ピーク時刻より後である場合に、到着できないと判断してもよい。この場合、配車支援部23は、S108のNOからS110に処理を進める。他の例では、配車支援部23は、到着予定時刻が需要ピーク時刻を過ぎていても、それが所定時間以内、例えば、5分以内である場合に、到着できると判断してもよい。
【0121】
ステップS109では、配車支援部23は、眠気レベルが3以下の状態で需要ピーク時刻までにホットエリア地点に到着できるドライバであると判断した注目ドライバについて、配車「可」の判定結果を対応付ける。具体的には、配車支援部23は、
図4に示す可否テーブル111の注目ドライバの配車可否のカラムに、配車可能を意味する「可」を示すフラグ情報を格納する。
【0122】
ステップS110では、配車支援部23は、眠気レベルが3以下の状態で需要ピーク時刻までにホットエリア地点に到着できないドライバであると判断した注目ドライバについて、配車「不可」の判定結果を対応付ける。具体的には、配車支援部23は、
図4に示す可否テーブル111の注目ドライバの配車可否のカラムに、配車不可能を意味する「不可」を示すフラグ情報を格納する。以上により、1人の注目ドライバについて、配車可否判定処理が終了する。
【0123】
ステップS111では、配車支援部23は、ステップS101で特定した1つの注目ホットエリアに関して、当日勤務の全ドライバについて配車可否判定処理を完了させたか否かを判定する。配車支援部23は、配車可否を判定していないドライバが残っている場合には、ステップS111のNOから、ステップS102の処理に戻り、次の注目ドライバについて以降の処理を繰り返す。配車支援部23は、すべてのドライバについて配車可否判定処理が完了している場合には、ステップS111のYESから、ステップS112の処理に進む。以上により、1つの注目ホットエリアについて、配車可否判定処理が終了し、該注目ホットエリアについて1つの可否テーブル111が完成する。
【0124】
ステップS112では、配車支援部23は、所定期間において特定された全ホットエリアについて可否テーブル111を完成させたか否かを判定する。配車支援部23は、可否テーブル111を生成していないホットエリアが残っている場合には、ステップS112のNOから、ステップS101の処理に戻り、次の注目ホットエリアについて以降の処理を繰り返す。配車支援部23は、すべてのホットエリアについて可否テーブル111を生成した場合には、ステップS112のYESを経由して、一連の配車可否判定処理を終了させる。以上により、1つの所定期間について、ホットエリアごとに可否テーブル111が生成され、記憶部11に記憶される。
【0125】
<配車決定処理>
配車支援部23は、ステップS3-1の配車可否判定処理により、需要時刻までに、需要地点までの移動および休憩を終えられるドライバを特定した後、ステップS3-2の配車決定処理を実行する。配車決定処理は、需要地点に割り当てる1または複数のドライバを選択するための処理である。実施形態1では、一例として、配車決定処理において、配車支援部23は、需要地点に割り当てる1または複数のドライバを、配車可否判定処理にて特定した、移動および休憩を終えられるドライバの中から選択してもよい。他の実施形態では、配車可否判定処理にて特定されたドライバに限らず、配車可否判定処理の結果に基づいてユーザが指定したドライバが、需要地点に割り当てられてもよい。
【0126】
本実施形態では、配車支援部23は、各ホットエリアの需要情報(
図2)と、ホットエリアごとに生成された可否テーブル111(
図4)を参照し、必要ドライバ数が相対的に多い需要地点から優先的に、特定したドライバを割り当ててもよい。
【0127】
あるいは、配車支援部23は、どのホットエリアにも割り当てられない余剰のドライバが最も少なくなるように、ドライバと派遣先のホットエリアとの割り当てのパターンを決定してもよい。
【0128】
あるいは、配車支援部23は、売り上げが最も上がりそうなホットエリアから優先的にドライバを割り当ててもよい。例えば、過去の実績に基づいて、駅周辺などの長距離移動客が多く出るホットエリアなどに優先的にドライバを割り当ててもよい。
【0129】
あるいは、配車支援部23は、各ドライバのホットエリア地点への移動距離が最も短くなるようにドライバを割り当ててもよい。例えば、ホットエリアAおよびホットエリアBのどちらにも配車可能なドライバAについて、ドライバAの現在位置がホットエリアAよりもホットエリアBにより近いとする。この場合、配車支援部23は、ドライバAを、ホットエリアBに割り当てる。
【0130】
あるいは、配車支援部23は、過去の乗務経験に基づいて、ドライバに割り当てるホットエリアを決定してもよい。例えば、配車支援部23は、ドライバの過去の実績に基づいて、該ドライバが普段よく走行しているエリアを特定し、該エリアに近いホットエリアを該ドライバに割り当ててもよい。このようにすれば、それぞれのドライバにとって馴染みのある、よく道が分かるホットエリアが該ドライバに割り当てられるので、効率性(収益性)を一層高める配車が行える。
【0131】
<通知画面例>
図8は、車載システム3の情報出力部35から出力される通知の一例を示す図である。
図8には、通知の一例として、表示装置として構成された情報出力部35に表示される通知画面を示す。
【0132】
車載システム3は、車載システム3が備える不図示の制御部の動作により、配車装置1の通知部24から、少なくとも、ドライバに割り当てられたホットエリアのホットエリア地点と、目標到着時刻とを受信する。車載システム3は、受信したホットエリア地点および目標到着時刻を含む配車通知351を通知画面に配置して、情報出力部35に表示させる。通知画面上の配車通知351は、ホットエリア地点および目標到着時刻の他に、移動所要時間を含んでいてもよい。移動所要時間は、配車装置1によって算出されて通知部24から送信されてもよいし、ドライバの現在位置とホットエリア地点とに基づいて車載システム3によって算出されてもよい。さらに、ホットエリア地点352が地図情報に重畳されて表示されてもよい。
【0133】
通知画面は、さらに、休憩の要否および休憩タイミングをドライバに知らせるための休憩通知353を含んでいてもよい。車載システム3は、休憩の要否および休憩タイミングを通知部24から受信すると、これらの受信した情報を含む休憩通知353を通知画面に配置して、情報出力部35に表示させる。
【0134】
ドライバは、情報出力部35に表示された通知画面を見ることにより、自分が何時にまでにどこに行けばよいのかを認識することができる。さらに、通知画面に、休憩通知353が含まれている場合には、ドライバは、休憩の要否と、休憩が必要な場合にどのタイミングで休憩を取るべきかを認識することができる。
【0135】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0136】
<配車システムの概要>
図9は、配車システム200の構成を示すブロック図である。本実施形態では、一例として、配車システム200は、ライドシェアサービスを運営するサービスプロバイダが、ドライバを管理し、ユーザとのマッチングを行うためのシステムである。
【0137】
本実施形態では、一例として、ドライバは、自家用車など(以下、車両)を使って移動を行うときの該車両の空席を他の人物に提供する者、すなわち、相乗りを募る者である。行き先などの条件が合致して相乗りを希望する人物は、ドライバが提供する空席を利用し、同乗者としてドライバと共に移動する。ドライバおよび同乗者は、いすれも、サービスプロバイダが運営するライドシェアサービスのユーザであるが、以下では、「ユーザ」は相乗りで空席を利用する者を指し、空席を提供する者を「ドライバ」と称して、両者を区別する。なお、上述のライドシェアサービスでは、移動に伴いドライバが担う諸費用の一部をユーザが負担してもよい。
【0138】
本実施形態では、「配車する」は、サービスプロバイダが運用する配車装置1が、移動を希望するユーザに対して、条件が合致するドライバをマッチングすること、および、該ドライバをユーザが承認した時刻および場所に派遣することを意味する。
【0139】
配車システム200が、実施形態1の配車システム100と異なる点は、以下の通りである。すなわち、配車システム200は、需要予測装置2を含んでいなくてもよく、代わりに、配車装置1は、ユーザが操作するユーザ端末装置4と通信可能に接続されている。
【0140】
ユーザ端末装置4は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、相乗りの条件を配車装置1に送信し、配車を要求する。ユーザ端末装置4から送信される、配車を要求するための相乗りの条件を含むメッセージを、以下では、配車リクエストと称する。
【0141】
本実施形態では、一例として、配車リクエストには、相乗りの条件として、希望行き先、乗車希望時刻および乗車希望地点が含まれる。希望行き先は、ユーザの目的地を指す。乗車希望地点は、ユーザが乗車を希望する場所、すなわち、待ち合わせ場所を指す。乗車希望時刻は、ユーザが希望する待ち合わせ時刻を指す。
【0142】
本実施形態において、乗車希望時刻は、需要時刻に相当し、乗車希望地点は、需要地点に相当する。
【0143】
(車載システムの構成)
本実施形態では、車載システム3が備える実績集約部31は、ドライバが実施した相乗りの履歴を集約する。実績集約部31は、例えば、相乗り開始位置、相乗り終了位置、移動距離、移動時間、移動費用、同乗者であるユーザに関するユーザ情報、ドライバのユーザに対する評価、および、移動費用のユーザ負担額などを履歴情報として取得してもよい。
【0144】
(配車装置の構成)
本実施形態では、制御部10は、一例として、実施形態1の各部に加えて、さらに、情報提供部26を含んでいる。
【0145】
また、記憶部11には、ライドシェアサービスに登録済みのドライバについてのドライバ基本情報と、ライドシェアサービスに登録済みのユーザについてのユーザ基本情報とが、記憶されていてもよい。ドライバ基本情報には、ドライバID、氏名、連絡先、住所、使用車種、これまで同乗させたユーザからの評価によって算出された評価スコア、などが含まれていてもよい。ユーザの基本情報には、ユーザID、氏名、連絡先、住所、相乗りの利用履歴、などが含まれていてもよい。
【0146】
本実施形態では、需要情報取得部21は、ユーザ端末装置4から、配車リクエストを受信し、乗車希望時刻および乗車希望地点を少なくとも取得する。
【0147】
ドライバ情報取得部22は、予め登録されている各ドライバの現在位置を位置情報取得部34から取得する。また、ドライバ情報取得部22は、現在時刻から上述の乗車希望時刻までの期間を含む所定期間における、不適正レベルの経時変化情報を推定部33から取得する。不適正レベルの経時変化情報は、眠気推定グラフであってもよい。また、ドライバ情報取得部22は、現在時刻における現在のドライバの不適正レベルを生体情報取得部32から取得してもよい。
【0148】
配車支援部23は、配車可否判定処理(
図7)を実行し、乗車希望地点に、乗車希望時刻までに、眠気レベル3以下でたどり着けるかどうかをドライバごとに判定する。配車支援部23は、配車可否の判定結果を示す可否テーブル111を生成し、記憶部11に記憶する。
【0149】
本実施形態では、配車支援部23は、ピーク眠気レベルが3以上か否かに拘わらず、すべてのドライバについて、ステップS106およびS107のようにピーク眠気レベルに対応する休憩所要時間を特定し、休憩所要時間を加味して到着予定時刻を算出してもよい。
【0150】
なお、本実施形態では、ユーザの希望行き先の条件に合致するドライバの抽出は、不図示の抽出部によって、上述の配車支援部23が実行する配車可否判定処理の前または後に実行されるものとする。
【0151】
情報提供部26は、配車支援部23によって生成された可否テーブル111に基づいて、各ドライバのステータス情報を、上述の配車リクエストのレスポンスとしてユーザ端末装置4に提供する。ステータス情報は、一例として、ドライバを識別するための情報と、配車可否とを少なくとも含む。例えば、情報提供部26は、これらの情報を、可否テーブル111(
図4)におけるドライバ名のカラムおよび配車可否のカラムからそれぞれ取得することができる。
【0152】
ステータス情報は、さらに、乗車希望時刻に間に合うか否かに拘わらず、不適正レベルが所定閾値以下の状態で乗車希望地点に到着できる時刻として、到着予定時刻を含んでいてもよい。情報提供部26は、可否テーブル111の到着予定時刻のカラムからドライバごとに到着予定時刻を取得することができる。
【0153】
さらに、ステータス情報は、ドライバの乗車希望時刻における予測された不適正レベル(例えば、眠気レベル)を含んでいてもよい。例えば、情報提供部26は、ドライバごとの眠気推定グラフ(
図3)から、乗車希望時刻における眠気レベルを取得することができる。
【0154】
また、ステータス情報は、ドライバの評価スコアを含んでいてもよい。情報提供部26は、不図示のドライバ基本情報から各ドライバの評価スコアを取得することができる。
【0155】
ユーザ端末装置4は、情報提供部26から送信された各ドライバのステータス情報を、ユーザ端末装置4の表示部に表示させる。これにより、ユーザは、ステータス情報を確認して、相乗りを希望するドライバを選択することができる。ユーザ端末装置4は、ユーザから希望するドライバの選択を受け付けると、選択されたドライバの識別情報を含むメッセージを、予約確定リクエストとして配車装置1に返信する。
【0156】
配車支援部23は、予約確定リクエストを受信したことに応じて、
図6に示すステップS3-2の配車決定処理を実行し、選択されたドライバのユーザへの配車を確定させる。配車支援部23は、実施形態1と同様に、配車決定処理において、選択されたドライバの休憩タイミングを決定してもよい。配車支援部23は、配車決定処理を実行することにより生成した配車結果情報112を記憶部11に記憶する。
【0157】
通知部24は、選択されたドライバの車両の車載システム3に対して、配車が確定したことを通知する。通知部24は、実施形態1と同様に、休憩場所の通知を併せて行ってもよい。また、本実施形態では、通知部24は、所定期間におけるピーク眠気レベルが3未満であるドライバに対しても、休憩不要ではなく、短い休憩を推奨する旨の指南を行ってもよい。
【0158】
本実施形態では、通知部24による通知に基づいて、車載システム3の情報出力部35に表示される配車通知351(
図8)は、乗車希望地点、乗車希望時刻、希望行き先およびユーザの基本情報、などを含んでいてもよい。また、情報出力部35に表示される休憩通知353は、休憩場所が、ドライバの現在位置であるか、乗車希望地点(需要地点)付近であるかを示すメッセージなどを含んでいてもよい。
【0159】
情報提供部26は、予約確定リクエストに対するレスポンスとして、予約が確定したドライバの基本情報をユーザ端末装置4に返信してもよい。
【0160】
本実施形態では、チェック部25は、配車結果情報112を参照し、乗車希望時刻の所定時間前(例えば、1時間前~30分前など)に、上述の選択されたドライバの眠気レベルをチェックしてもよい。チェックの結果、眠気レベルが所定閾値以上であった場合には、通知部24は、乗車希望時刻に覚醒しているように、上述のドライバに対して休憩を要請してもよい。
【0161】
<配車結果情報>
本実施形態では、配車支援部23によって生成される配車結果情報112は、
図5に示す実施形態1に係る配車結果情報112と比較して下記の点で異なっていてもよい。
【0162】
本実施形態では、配車結果情報112は、ドライバとユーザとのマッチング結果を示す情報である。
【0163】
配車結果情報112は、例えば、エリアIDのカラムに代えて、ユーザ基本情報のカラムと乗車希望地点のカラムとを含んで構成される。また、配車結果情報112は、需要ピーク時刻のカラムに代えて、乗車希望時刻のカラムを含んで構成される。
【0164】
ユーザ基本情報のカラムには、ドライバに割り当てられたユーザに関する基本情報が格納される。例えば、ユーザの氏名、連絡先などが格納されてもよい。
【0165】
乗車希望地点のカラムには、ユーザが了承した待ち合わせ場所が格納される。このカラムには、例えば、ユーザ端末装置4から送信された配車リクエストに含まれている乗車希望地点が格納される。
【0166】
乗車希望時刻のカラムには、ユーザが了承した待ち合わせ時刻が格納される。このカラムには、例えば、ユーザ端末装置4から送信された配車リクエストに含まれているユーザが最初に指定した乗車希望時刻が格納されてもよい。あるいは、このカラムには、予約確定リクエストに含まれている選択されたドライバの到着予定時刻が格納されてもよい。あるいは、ユーザが最初に指定した乗車希望時刻からドライバの到着予定時刻までの期間が、このカラムに格納されてもよい。
【0167】
本実施形態では、乗車希望時刻までの所定期間におけるピーク眠気レベルが3未満であるドライバに対して、配車支援部23は、休憩不要と判断せず、休憩を推奨することを決定してもよい。この場合、配車支援部23は、休憩要否のカラムに、休憩を推奨することを示すフラグ情報を格納する。ピーク眠気レベルが3以上であるドライバに対しては、配車支援部23は、実施形態1と同様に休憩が必須であることを示すフラグ情報を休憩要否のカラムに格納する。
【0168】
<結果画面例>
図10は、ユーザ端末装置4の表示部に表示される結果画面の一例を示す図である。結果画面400は、ユーザが希望する相乗りの条件に合致するドライバの検索結果を示す画面である。
【0169】
配車装置1の情報提供部26は、配車リクエストに応答して、ドライバごとの配車可否の判定結果を含むステータス情報をユーザ端末装置4に送信する。ユーザ端末装置4は、受信したステータス情報を、例えば
図10に示すように、結果画面400として、表示部に表示させてもよい。
【0170】
一例として、結果画面400は、地図情報を含んでいてもよい。地図情報には、乗車希望地点を示すアイコン404と、ドライバの現在位置を示す車などのアイコンとが配置されていてもよい。
【0171】
結果画面400は、条件に合致する各ドライバのステータス情報を含む。図示の例では、ステータス情報は、3人のドライバの現在位置を示すアイコンに関連付けられた吹き出し401~403内に表示されている。このうち、吹き出し401および吹き出し403は、配車可能と判定されたドライバのステータス情報を示す。吹き出し402は、配車不可能と判定されたドライバのステータス情報を示す。
【0172】
図示のとおり、一例として、ステータス情報は、「ドライバ名」、「配車可否」、「評価スコア」、「眠気レベル」および「到着予定時刻」を含んでいてもよい。
【0173】
「配車可否」について、例えば、眠気レベル3未満の状態で、乗車希望地点に、乗車希望時刻までに間に合うドライバについて、「(配車可)」と表記されてもよい。一方、乗車希望時刻までに眠気レベルを3未満に回復させられないドライバ、または、乗車希望時刻までに乗車希望地点に到着できないドライバについて、「(配車不可)」と表示されてもよい。
【0174】
「評価スコア」は、図示のように星マークの数で表されてもよい。一例として、星マークの数が多いほど、ユーザからの評価が高いことを示す。
【0175】
「眠気レベル」は、乗車希望時刻における、ドライバの予想された眠気レベルを示す。眠気レベルは、図示のように、眠い人のアイコンの数で表されてもよい。一例として、アイコンの数が多いほど、ドライバの眠気レベルが高い、すなわち、眠いことを示す。
【0176】
「到着予定時刻」は、眠気レベル3未満の状態で乗車希望地点に到着できる時刻を示す。すなわち、到着予定時刻が乗車希望時刻を超過しているドライバは、吹き出し402に示すように「(配車不可)」と表示されており、到着予定時刻は、「配車可能時刻」として表示されてもよい。このように、配車不可のドライバのステータス情報であっても、到着予定時刻、つまり、配車可能時刻を併せて表示することにより、ユーザは、そのドライバが何時以降であれば配車可能となるのかを把握することができる。配車不可のドライバのステータス情報を「配車可能時刻」とともに表示することは、ユーザにとっての利便性を高める。ユーザは、乗車希望時刻を遅らせることができる場合には、希望するドライバの配車可能時刻に合わせて乗車希望時刻を変更し、希望するドライバの予約を取ることができるからである。
【0177】
以上のように、結果画面400を介して、ユーザは、安全運転に適したドライバの中から条件に合う好みのドライバを選択したり、好みのドライバが安全運転に適した状態で配車されるように予約を取ったりすることができる。
【0178】
〔ソフトウェアによる実現例〕
配車装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0179】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0180】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0181】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0182】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AIに実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0183】
〔付記事項〕
上述した実施形態の一部または全部は、例えば、以下のようにも記載され得る。
【0184】
(付記1)
配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得部と、
現在から前記需要時刻までのドライバの生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに取得する生体状態取得部と、
前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援部と、を備えている配車装置。
【0185】
上述の構成によれば、配車支援部は、ドライバの生体状態のレベルの経時変化に基づいてドライバの休憩所要時間を特定する。そして、配車支援部は、需要時刻までに、需要地点までの移動および休憩を終えられるドライバを特定する。
【0186】
配車支援部の上述の判断を参考にすれば、生体状態のレベルが所定閾値未満のドライバを、需要時刻に間に合うように需要地点に派遣することが簡単に行えるようになる。生体状態のレベルが所定閾値未満のドライバとは、例えば、運転に適した健全性を備えたドライバまたは休憩によって健全性を回復させたドライバなどである。こうして、運転に適した健全性を備えたドライバは、需要が見込まれるタイミングを逃すことなく、需要地点にて、安全に稼働することができる。以上のことから、安全性確保と効率性(収益)確保とを両立させた配車を行うことが可能となる。
【0187】
(付記2)
前記配車支援部は、前記需要地点に割り当てる1または複数の前記ドライバを、特定した前記ドライバの中から選択する、付記1に記載の配車装置。
【0188】
上述の構成によれば、生体状態のレベルが所定閾値未満のドライバ、例えば、運転に適した健全性を備えたドライバまたは休憩によって健全性を回復させたドライバが、需要時刻に間に合うように需要地点に割り当てられる。そのため、安全性確保と効率性(収益)確保とを両立させた配車を行うことが可能となる。
【0189】
(付記3)
前記生体状態取得部は、前記需要時刻の所定時間前の時点で、前記需要地点に割り当てられた前記ドライバの、前記時点における前記生体状態のレベルを取得し、
前記配車支援部は、取得された前記生体状態のレベルが前記所定閾値以上である前記ドライバの割り当てを取り止める、付記2に記載の配車装置。
【0190】
上述の構成によれば、配車装置は、一度需要地点への派遣を決定したドライバであっても、そのドライバの生体状態のレベルが需要時刻の所定時間前の時点で所定閾値以上となっている場合には、その割り当てをキャンセルすることができる。この決定にしたがえば、ドライバに、需要地点において需要時刻に稼動することをやめるように通知することなどが可能となる。結果として、収益が優先されることなく、より安全な配車を行うことができる。
【0191】
(付記4)
前記ドライバの現在位置を前記ドライバごとに取得するドライバ位置取得部を備え、
前記配車支援部は、
前記休憩所要時間と、前記ドライバが前記現在位置から前記需要地点までの移動に要する移動所要時間とに基づいて、前記需要地点に到着する到着予定時刻をドライバごとに算出し、
前記到着予定時刻が前記需要時刻以前となる前記ドライバを特定する、付記1から3のいずれか1つに記載の配車装置。
【0192】
上述の構成によれば、配車支援部は、ドライバの生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩所要時間と、現在位置から需要地点までの移動にかかる移動所要時間とを加味して、安全に稼働できる状態で需要地点に居られる到着予定時刻を算出する。配車支援部は、算出した到着予定時刻が、需要時刻以前であるか否かに基づいて、そのドライバが、需要時刻までに、需要地点までの移動および休憩を終えられるか否かを判定することができる。
【0193】
(付記5)
前記配車支援部は、前記経時変化の、現在から前記需要時刻までの期間における、前記生体状態のレベルのピーク時刻を加味して前記到着予定時刻を算出する、付記4に記載の配車装置。
【0194】
休憩所要時間が短く算出されたとしても、眠気のピークの到来が、需要時刻の間際であって休憩をとるタイミングが遅れれば、安全な運転を行える状態に回復するまでに需要時刻を過ぎてしまう可能性がある。これに対して、上述の構成によれば、配車支援部は、所定期間にドライバに到来すると推定される眠気レベルのピークとその到来時刻とを加味して、該ドライバが移動および休憩を終えられるか否かをより正しく判定することができる。したがって、移動所要時間および休憩所要時間が短くても、休憩が需要時刻に間に合わないドライバが需要地点に割り当てられることを防止することができる。
【0195】
(付記6)
前記需要情報取得部は、現在から所定時間後までの所定期間において前記需要時刻を迎える複数の前記需要地点を、前記需要時刻とともに取得し、
前記配車支援部は、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられるドライバを特定する処理を、前記需要地点ごとに実行する、付記1から5のいずれか1つに記載の配車装置。
【0196】
上述の構成によれば、配車装置は、所定期間において需要が見込まれるとして特定された複数の需要地点について、需要時刻に間に合うように健全に居られるドライバの特定を、需要地点ごとに行うことができる。すなわち、需要地点ごとに、配車可否の判定結果が得られる。配車装置は、このようにして得た判定結果を用いて、安全性と効率性(収益)とを確保した上で、どのドライバをどの需要地点に派遣するかを適正に判断することができる。
【0197】
(付記7)
前記需要情報取得部は、さらに、前記需要地点ごとに、需要に見合ったドライバ数を取得し、
前記配車支援部は、前記ドライバ数が相対的に多い需要地点から優先的に、特定した前記ドライバを割り当てる、付記6に記載の配車装置。
【0198】
上述の構成によれば、配車装置は、限られた資源、すなわち、運転に適した健全性を備えたドライバを、できるだけ収益が上がり易いホットエリアに優先的に派遣することができる。そのため、安全性を確保しつつ、より効率的な配車を行うことができる。
【0199】
(付記8)
前記需要地点は、配車の需要が見込まれると予測されるホットエリアの代表地点である、付記1から7のいずれか1つに記載の配車装置。
【0200】
(付記9)
前記需要地点および前記需要時刻は、それぞれ、配車を希望するユーザの端末装置から送信された乗車希望地点および乗車希望時刻であり、
前記配車支援部は、前記乗車希望時刻までに、前記乗車希望地点までの移動および前記休憩を終えられるか否かの可否判定を前記ドライバごとに実施し、
前記ドライバごとの、前記可否判定の結果と前記乗車希望時刻における前記生体状態のレベルとを含むステータス情報を、前記端末装置に提供する情報提供部をさらに備えている、付記1に記載の配車装置。
【0201】
上述の構成によれば、配車支援部は、生体状態のレベルが所定閾値未満の状態で乗車希望時刻に乗車希望位置に居られるか否かをドライバごとに判定する。そして、ユーザに対して、乗車希望時刻までに乗車希望位置において運転に適した状態にて到着できるドライバであるか否かという情報とともに、各ドライバの情報が提示される。
【0202】
これにより、ユーザは、運転に適した健全性を備えたドライバであるどうかを確認しながら、希望のドライバを安心して選ぶことができる。
【0203】
(付記10)
前記配車支援部は、前記経時変化における前記レベルのピークと前記所定閾値との乖離に応じた前記休憩所要時間を特定する、付記1から9のいずれか1つに記載の配車装置。
【0204】
上述の構成によれば、個々のドライバの生体状態のレベルに応じて、必要となる休憩所要時間が特定されるため、需要地点までの移動および休憩を需要時刻までに終えられるドライバであるか否かを適切に判定することができる。
【0205】
(付記11)
前記配車支援部が前記需要地点に割り当てたドライバに、該需要地点、前記需要時刻および休憩場所を通知する通知部をさらに備え、
前記配車支援部は、
前記経時変化の前記生体状態のレベルのピーク時刻が、前記需要時刻よりも現在時刻に近い場合、前記ドライバの現在位置を前記休憩場所とし、
前記ピーク時刻が、前記現在時刻よりも前記需要時刻に近い場合、前記需要地点を前記休憩場所とする、付記1から10のいずれか1つに記載の配車装置。
【0206】
上述の構成によれば、前記需要時刻において、生体状態のレベルを所定閾値未満に回復する休憩を取るための適切な休憩場所がドライバに通知される。休憩場所は、休憩をとるタイミングが適切になるように配車支援部によって決定されたものである。これにより、ドライバは、通知にしたがって休憩を取り、需要時刻、需要地点にて、運転に適した健全性を備えた状態を維持することができ、需要に応えて安全に稼働することが可能となる。
【0207】
(付記12)
前記生体状態取得部は、前記生体状態の経時変化として眠気レベルの経時変化を取得する、付記1から11のいずれか1つに記載の配車装置。
【0208】
上述の構成によれば、十分に覚醒して安全に運転ができるドライバを、需要が見込まれる場所に、タイミングを逃すことなく、派遣することが可能となる。
【0209】
(付記13)
配車の需要が見込まれる需要地点、および、該需要が見込まれる需要時刻を取得する需要情報取得ステップと、
現在から前記需要時刻までのドライバの生体状態の経時変化を、前記ドライバごとに取得する生体状態取得ステップと、
前記経時変化の前記需要時刻における前記生体状態のレベルを所定閾値未満にするための休憩に要する休憩所要時間を前記ドライバごとに特定し、前記需要時刻までに、前記需要地点までの移動および前記休憩を終えられる前記ドライバを特定する配車支援ステップと、を含む、配車装置の制御方法。上述の方法によれば、付記1と同様の効果が得られる。
【0210】
(付記14)
付記1に記載の配車装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記需要情報取得部、前記生体状態取得部、および、前記配車支援部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【0211】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0212】
1 配車装置
2 需要予測装置
3 車載システム
4 ユーザ端末装置
10 制御部
11 記憶部
21 需要情報取得部
22 ドライバ情報取得部(生体状態取得部、ドライバ位置取得部)
23 配車支援部
24 通知部
25 チェック部
26 情報提供部
31 実績集約部
32 生体情報取得部
33 推定部
34 位置情報取得部
35 情報出力部
100、200 配車システム