(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車載装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20241112BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H04L12/28 100A
B60R16/023
(21)【出願番号】P 2021099681
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大津 智弘
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】前田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】菊地 慶剛
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/105657(WO,A1)
【文献】特表2001-505391(JP,A)
【文献】特開2014-036407(JP,A)
【文献】国際公開第2020/050021(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-101/00
B60R 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他の車載装置と通信可能に接続される車載装置であって、
前記他の車載装置との通信を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記車載装置の状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他の車載装置における不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSARにて定められている通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力
し、
通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態の分類を示すスリープ分類を特定し、
特定したスリープ分類に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、
前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる
車載装置。
【請求項2】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他の車載装置と通信可能に接続される車載装置であって、
前記他の車載装置との通信を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記車載装置の状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他の車載装置における不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSARにて定められている通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力し、
通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態へ遷移するためのスリープ条件を特定し、
特定したスリープ条件に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、
前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる
車載装置。
【請求項3】
前記通知メッセージは、前記車載装置及び前記他の車載装置の間にて、定期的に送受信されており、
前記制御部は、
前記車載装置の状態を通常状態に維持する場合、前記非活性化フラグを含めずに前記通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力する
請求項1
又は請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記車載装置の状態を、スリープ状態から通常状態に遷移させる場合、前記他の車載装置における不通検知を活性化させるための活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力する
請求項1
から請求項3のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車載ネットワークにて用いられる通信プロコトルは、CAN、LIN、FlexRay又はTCP/IPであり、
前記制御部は、前記通知メッセージをブロードキャストにて出力する
請求項1から
請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他のコンピュータと通信可能に接続されるコンピュータに、
前記コンピュータの状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他のコンピュータにおける不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSARにて定められている通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力
し、
通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態の分類を示すスリープ分類を特定し、
特定したスリープ分類に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、
前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項7】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他のコンピュータと通信可能に接続されるコンピュータに、
前記コンピュータの状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他のコンピュータにおける不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSARにて定められている通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力し、
通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態へ遷移するためのスリープ条件を特定し、
特定したスリープ条件に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、
前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項8】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他のコンピュータと通信可能に接続されるコンピュータに、
前記コンピュータの状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他のコンピュータにおける不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSARにて定められている通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力
し、
通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態の分類を示すスリープ分類を特定し、
特定したスリープ分類に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、
前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる
処理を実行させるプログラム。
【請求項9】
車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他のコンピュータと通信可能に接続されるコンピュータに、
前記コンピュータの状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他のコンピュータにおける不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSARにて定められている通知メッセージを生成し、
生成した前記通知メッセージを出力し、
通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態へ遷移するためのスリープ条件を特定し、
特定したスリープ条件に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、
前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン制御等のパワー・トレーン系、及びエアコン制御等のボディ系等の車載機器と、車載機器を制御するための車載ECU(Electronic Control Unit)と、車載機器及び車載ECUの通信を中継する中継装置とを含む車載装置が搭載されている。複数の車載装置が接続されることによって、車両において、車載装置(車載機器、車載ECU及び中継装置)をノードとする車載ネットワークが構成される(例えば特許文献1から4)。複数の車載装置は、車載ネットワークを介して通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-97851号公報
【文献】特開2019-147427号公報
【文献】特開2019-71572号公報
【文献】特開2014-230022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等の車載ECUにおいては、当該車載ECUがスリープ状態に遷移する際、NMメッセージ等の通知メッセージを送信しない状態となる場合において、他の車載ECUに対する処理が考慮されていないという問題点がある。
【0005】
本開示の目的は、スリープ状態に遷移する際、他の車載装置等に対する処理を効率的に行うことができる車載装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他の車載装置と通信可能に接続される車載装置であって、前記他の車載装置との通信を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記車載装置の状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他の車載装置における不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSARにて定められている通知メッセージを生成し、生成した前記通知メッセージを出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、スリープ状態に遷移する際、他の車載装置等に対する処理を効率的に行う車載装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る車載装置を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
【
図2】車載装置の構成を例示するブロック図である。
【
図3】車載装置等による各処理の一態様を例示する説明図(シーケンス図)である。
【
図4】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
【
図5】実施形態2(スリープ分類等)に係る車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
【
図6】スリープ分類等に応じた活性化フラグの一例を示す説明図である。
【
図7】実施形態3(活性化フラグ)に係る車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他の車載装置と通信可能に接続される車載装置であって、前記他の車載装置との通信を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記車載装置の状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他の車載装置における不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めて、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)にて定められている通知メッセージを生成し、生成した前記通知メッセージを出力する。
【0011】
本態様にあたっては、車載ネットワークを介して相互に通信可能に接続されている複数の車載装置同士は、互いに通知メッセージを送信及び受信することにより、他の車載装置との通信が正常に行われているか否かを検知する不通検知に関する処理を継続して行っている。これら複数の車載装置は、アクチュエータやセンサ等が直接接続される車載装置のみならず、車載装置間の通信を中継する中継装置を含むものであり、車載ネットワーク上のノードに相当する。当該複数の車載装置のうちの車載装置が、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、車載装置の制御部は、当該車載装置以外となる他の車載装置に対し、不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めた通知メッセージを出力(送信)する。当該通知メッセージは、例えばAUTOSARの規格に準拠したメッセージである。当該非活性化フラグが含まれた通知メッセージを取得(受信)した他の車載装置は、当該通知メッセージの送信元となる車載装置に対する不通検知を非活性化する。当該不通検知を非活性化するとは、不通検知を行う機能の無効化、処理の停止、及び対象となる車載装置の通信状態の正否を示すフラグを正常に固定化すること等を含む。車載装置の制御部は、スリープ状態に遷移させる際、非活性化フラグを含む通知メッセージを出力した以降、スリープタイマー等により定められた所定の期間において通知メッセージを出力しないものであっても、他の車載装置によって、当該車載装置との通信不通が発生した等の誤検知がされることを、効率的に防止することができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記通知メッセージは、前記車載装置及び前記他の車載装置の間にて、定期的に送受信されており、前記制御部は、前記車載装置の状態を通常状態に維持する場合、前記非活性化フラグを含めずに前記通知メッセージを生成し、生成した前記通知メッセージを出力する。
【0013】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、車載装置の状態を通常状態に維持する場合、非活性化フラグを含めずに通知メッセージを生成及び出力するため、他の車載装置における不通検知が活性化された状態を維持させることができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記車載装置の状態を、スリープ状態から通常状態に遷移させる場合、前記他の車載装置における不通検知を活性化させるための活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、生成した前記通知メッセージを出力する。
【0015】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、スリープ状態から通常状態に遷移させる場合、他の車載装置における不通検知を活性化させるための活性化フラグを含めた通知メッセージを生成し、当該他の車載装置に出力する。これにより、他の車載装置の不通検知が非活性化となっている場合であっても、不通検知の対象となる車載装置がスリープ状態から通常状態に遷移する場合は、当該他の車載装置の不通検知を活性化させることができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ネットワークにて用いられる通信プロコトルは、CAN、LIN、FlexRay又はTCP/IPであり、前記制御部は、前記通知メッセージをブロードキャストにて出力する。
【0017】
本態様にあたっては、車載ネットワークにて用いられる通信プロコトルは、CAN、LIN、FlexRay又はTCP/IPであり、例えば、AUTOSARにて定められているNM(Network Management)メッセージである。当該通信プロコトルがTCP/IPであり場合、通知メッセージは、TCP/IPにて規定されるUDP(User Datagram Protocol)によるブロードキャストとして出力される。このようにAUTOSARに準拠したプロコトルを用いる車載ネットワークにおいて、スリープ状態に遷移する際、他の車載ECU等に対する処理を効率的に行うことができる車載装置を適用することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態の分類を示すスリープ分類を特定し、特定したスリープ分類に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる。
【0019】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、スリープ分類に応じた非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成及び出力(送信)するため、出力先である他の車載装置に対し、当該車載装置におけるスリープ分類を報知することができる。これにより、当該通知メッセージを取得(受信)した他の車載装置は、非活性化した不通検知の対象となる車載装置のスリープ分類に応じた処理を行うことができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、スリープ状態へ遷移するためのスリープ条件を特定し、特定したスリープ条件に応じた非活性化フラグを含めた前記通知メッセージを生成し、前記通知メッセージを出力することにより、前記他の車載装置の不通検知を非活性化させる。
【0021】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、スリープ条件に応じた非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成及び出力(送信)するため、出力先である他の車載装置に対し、当該車載装置におけるスリープ条件を報知することができる。これにより、当該通知メッセージを取得(受信)した他の車載装置は、非活性化した不通検知の対象となる車載装置のスリープ条件に応じた処理を行うことができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他のコンピュータと通信可能に接続されるコンピュータに、前記コンピュータの状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他のコンピュータにおける不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成し、生成した前記通知メッセージを出力する処理を実行させる。
【0023】
本態様にあたっては、車載ネットワークに接続されるコンピュータを、スリープ状態に遷移させる際、他のコンピュータ等に対する処理を効率的に行うことができる車載装置として動作させる情報処理方法を提供することができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係るプログラムは、車両に搭載され、車載ネットワークを介して、他のコンピュータと通信可能に接続されるコンピュータに、前記コンピュータの状態を、通常状態からスリープ状態に遷移させる場合、前記他のコンピュータにおける不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成し、生成した前記通知メッセージを出力する処理を実行させる。
【0025】
本態様にあたっては、車載ネットワークに接続されるコンピュータを、スリープ状態に遷移させる際、他のコンピュータ等に対する処理を効率的に行うことができる車載装置として動作させることができる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載装置1等の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0027】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る車載装置1を含む車載システム
Sの構成を例示する模式図である。
図2は、車載装置1の構成を例示するブロック図である。車載システムSは、車両Cに搭載された複数の車載装置1及び中継装置2と、当該車載装置1及び中継装置2がノードとして接続される車載ネットワーク3とを含む。
【0028】
車載ネットワーク3にて用いられる通信プロコトルは、例えばTCP/IPであり、車載装置1及び中継装置2はイーサネットケーブル等の通信線31によって、相互に通信可能に接続されている。当該通信プロコトルはTCP/IPに限定されず、CAN、LIN、又はFlexRayであってもよい。車載ネットワーク3に接続される複数の車載装置1及び中継装置2は、論理的又は物理的なグルーピングにより定義されるドメインに所属する。同じドメインに所属する車載装置1及び中継装置2は、周期的、定期的又は定常的に通知メッセージの送受信を行うことにより、他の車載装置1との通信状態を判定するための不通検知を行う。
【0029】
車載ネットワーク3は、複数の中継装置2の全てに接続する車載装置1を最上位としたカスケード状のトポロジーを構成する。当該最上位の車載装置1は、例えばヴィークルコンピュータ等により構成させる統合ECUであり、車両Cの全体的な制御を担う。カスケード状のトポロジーを成す車載ネットワーク3において、それぞれの中継装置2の配下に接続される車載装置1は、例えば、LiDAR等のセンサ、又は灯体装置等のアクチュエータ(ACT)が接続される個々の車載ECUである。車載装置1は、車両Cに予め搭載されている車載ECU等に限定されず、例えば、車両Cに備えられているプラグアンドプレイ(plug and play)機能に対応した電子機器等の外部デバイスであってよい。すなわち、車載装置1は、プラグアンドプレイ(plug and play)機能により、車両Cに接続された電子機器等の外部デバイスを含むものであってもよい。
【0030】
統合ECUには、車両Cの起動及び停止を行うIGスイッチが直接的、又は間接的に接続され、統合ECUは、当該IGスイッチから送信されるオンオフ信号(IGオン信号、IGオフ信号)を受信するものであってもよい。統合ECUは、受信したIGオン信号又はIGオフ信号に基づき、スリープ信号又はウェイクアップ信号を送信するものであってもよい。
【0031】
中継装置2は、例えばレイヤー2スイッチ又はレイヤー3スイッチであり、例えば、統合ECUと個々の車載ECUとの間、又は、当該中継装置2に直接接続される車載ECU間など、複数の車載装置1間の通信を中継する。中継装置2は、車両Cに搭載されるバッテリー又はオルタネータ等の電源装置と電力線にて接続され、当該電源装置から出力された電力を、当該中継装置2に直接接続される車載装置1に分配して給電するPLB(Power Lan Box)であってもよい。
【0032】
車載装置1は、制御部10、記憶部11、車内通信部12、及び入出力I/F13を含む。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成されている。制御部10は、記憶部11に予め記憶された各プログラム(プログラム製品)及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行う。記憶部11に記憶された各プログラム等は、車載装置1が読み取り可能な記録媒体111から読み出された制御プログラムを記憶したものであってもよい。また、記憶部11に記憶された各プログラム(プログラム製品)等は、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラム(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部11に記憶させたものであってもよい。記憶部11は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してある。
【0033】
車内通信部12は、例えばイーサネット等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイス(イーサネットPHY部)であり、制御部10は、車内通信部12を介して車載ネットワーク3に接続される車載装置1、中継装置2と通信する。車載装置1が統合ECUである場合、車内通信部12は、複数、設けられており、車内通信部12それぞれに、車載ネットワーク3を構成する通信線31が接続されている。
【0034】
入出力I/F13は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F13を介して、車載装置1は、アクチュエータ又はセンサ等の車載機器と通信する。
【0035】
中継装置2は、車載装置1と同様に制御部、記憶部、及び複数の車内通信部を備え、個々の機能部の構成は、車載装置1が備える機能部と同様の構成である。中継装置2は、例えばレイヤー2スイッチ、又はレイヤー3スイッチとして機能するイーサスイッチ(イーサSW)である。中継装置2の記憶部には、中継制御(スイッチング制御)を行うためのネットワーク設定情報が記憶されている。
【0036】
車載ネットワーク3に接続される車載装置1及び中継装置2の状態は、消費電力が低減(制限)されたスリープ状態と、当該スリープ状態以外となる通常状態とを含む。通常状態にある車載装置1及び中継装置2は、例えば、スリープ信号、IGオフ信号等を受信することにより、スリープ条件が成立したと判定し、通常状態からスリープ状態に遷移する。スリープ状態にある車載装置1及び中継装置2は、例えば、ウェイクアップ信号、IGオン信号等を受信することにより、ウェイクアップ条件が成立したと判定し、スリープ状態から通常状態に遷移する。
【0037】
図3は、車載装置1等による各処理の一態様を例示する説明図(シーケンス図)である。本実施形態における図示において、中継装置2に接続され、同一のドメインに属する(セグメントに接続される)3つの車載装置1から成る構成を基に、これら車載装置1及び中継装置2における通知メッセージの送受信、及びスリープ状態への遷移について説明する。
【0038】
本実施形態における図示のとおり、カスケード状の車載ネットワーク3において、最上位に接続される車載装置1は、ヴィークルコンピュータ等により構成される統合ECUであり、中継装置2の配下に接続される車載装置1は、例えば、LiDAR等のセンサ、又は灯体装置等のアクチュエータ(ACT)が接続される個々の車載ECUである。本実施形態においては、同一のドメインに属する車載装置1は、統合ECU(車載装置1A)及び2つの車載ECU(車載装置1B,C)を含み、更に中継装置2についても、当該同一のドメインに属する車載装置1に相当するものとして、当該車載装置1と同様に扱われる。
【0039】
これら同一のドメインに属する車載装置1(中継装置2を含む)は、例えばAUTOSARにて定められているNMメッセージ等の通知メッセージを定期的又は定常的に他の車載装置1に送信(自身の生存を通知)する。そして、これら車載装置1は、他の車載装置1からの通知メッセージを受信することにより、当該他の車載装置1との通信が正常に行われているか否かを判定(不通検知)する。すなわち、中継装置2を含む各車載装置1は、他の車載装置1からの通知メッセージ(NMメッセージ)を、当該通知メッセージ(NMメッセージ)の送信周期を超えて、取得しなかった場合、当該他の車載装置1との通信は不通状態にあるとする不通検知を行う。このように、各車載装置1及び中継装置2は、他の車載装置1等との通信が不通となった場合にこれを検知するための不通検知機能を備える。
【0040】
車載装置1Aは、通知メッセージ(NMメッセージ)を送信(出力)する(S01)。中継装置2は、通知メッセージ(NMメッセージ)を送信(出力)する(S02)。車載装置1Bは、通知メッセージ(NMメッセージ)を送信(出力)する(S03)。車載装置1Cは、通知メッセージ(NMメッセージ)を送信(出力)する(S04)。これら通知メッセージ(NMメッセージ)は、通信プロコトルとして、例えばTCP/IPにて規定されたUDPによるブロードキャストにて、同一のドメインに接続される全ての車載装置1及び中継装置2に送信(出力)される。又は、通信プロコトルは、CAN、LIN、又はFlexRayであってもよい。これら車載装置1は、通常状態にある場合、当該通知メッセージ(NMメッセージ)を周期的に送受信する。車載装置1A、車載装置1B及び車載装置1C等、これら車載装置間の通信は、中継装置2を介して、すなわち中継装置2によって中継されることにより行われる。
【0041】
同一のドメインに属する車載装置1において、いずれかの車載装置1(例えば、車載装置1B)は、例えばスリープ信号、車両Cモードの変更信号、又はIGスイッチのオフ信号等、スリープ状態に遷移されるためのトリガーとなる信号を受信した場合、スリープ条件が成立したと判定する(S05)。
【0042】
スリープ条件が成立した車載装置1Bは、他の車載装置1及び中継装置2に対し、自装置(車載装置1B)に対する不通検知を非活性化するための非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成し、当該通知メッセージ(非活性化フラグ:有)を、例えばブロードキャストによって送信する(S06)。通知メッセージが、例えば、AUTOSARに準拠したNMメッセージである場合、車載装置1Bは、NMメッセージにおけるペイロードに含まれる領域(User data領域)に、非活性化フラグを格納することにより、非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成するものであってもよい。当該非活性化フラグは、例えば所定のビット値等によって定義されるものであってもよい。車載装置1Bは、通知メッセージ(非活性化フラグ:有)の送信した後は、これ以上の通知メッセージを送信することなく、通知メッセージの周期的な送信を中止する。
【0043】
車載装置1Bから送信された通知メッセージ(非活性化フラグ:有)を受信(取得)した車載装置1Aは、当該通知メッセージの送信元である車載装置1Bに対する不通検知を非活性化(不通検知機能を無効化)する(S07)。同様に、通知メッセージ(非活性化フラグ:有)を受信(取得)した中継装置2は、車載装置1Bに対する不通検知を非活性化(不通検知機能を無効化)する(S08)。同様に、通知メッセージ(非活性化フラグ:有)を受信(取得)した車載装置1Cは、車載装置1Bに対する不通検知を非活性化(不通検知機能を無効化)する(S09)。
【0044】
車載装置1Bから送信された通知メッセージ(非活性化フラグ:有)を受信することにより、車載装置1A、中継装置2及び車載装置1Cは、車載装置1Bに対する不通検知を非活性化するため、以降、車載装置1Bからの通知メッセージを受信しない場合であっても、当該車載装置1Bとの通信が不通状態になったと判定しない。これにより、車載装置1Bとの通信において何ら異常がないにもかかわらず、車載装置1A、中継装置2及び車載装置1Cによって、車載装置1Bとの通信が不通状態であるとの誤検知がされることを、防止することができる。
【0045】
車載装置1Bが、スリープ判定が成立したと判定した後、車載装置1C、中継装置2及び車載装置1Aについても、順次、スリープ判定が成立したと判定する(S10、S11、S12)。これらスリープ判定が成立した車載装置1A、中継装置2及び車載装置1Cは、上述した車載装置1Bと同様に、自装置に対する不通検知を非活性化するための非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成し、当該通知メッセージ(非活性化フラグ:有)を、例えばブロードキャストによって送信する。以降、車載装置1A、中継装置2及び車載装置1Cは、これ以上の通知メッセージを送信することなく、通知メッセージの周期的な送信を中止する。スリープ判定の成立は、個々の車載装置1にて異なるタイミングで行われる。
【0046】
同一のドメインに属する車載装置1及び中継装置2は、各装置におけるスリープ判定の成立後、例えば、スリープタイマーにて予め定められた期間(スリープタイマー期間)が経過した後、同じタイミングにて、スリープ状態(スリープ可能状態)に遷移する(S13)。当該スリープタイマーの経過待ちを行っている期間において、所定のメッセージを受信した場合、当該スリープタイマー期間をリセットする車載装置1と、リセットしない車載装置1とが、同一のドメインに属するものであってもよい。
【0047】
車載装置1及び中継装置2は、スリープ状態(スリープ可能状態)に遷移することにより、例えば、制御部10の動作周波数の低減、車内通信部12以外の部位への通電を停止、又は接続されているアクチュエータへの通電の停止等を行うことにより、電力消費量を減少(暗電流値を低下)させる。
【0048】
図4は、車載装置1の制御部10の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部10は、例えば車両Cが起動状態(IGスイッチがオン)又は停止状態(IGスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0049】
車載装置1の制御部10は、通知メッセージを出力する(S101)。車載装置1の制御部10は、例えばNMメッセージ等の通知メッセージを同じドメインに属する他の車載装置1及び中継装置2にブロードキャストによって出力(送信)する。本処理における通知メッセージには、非活性化フラグが含まれていないことは、言うまでもない。
【0050】
車載装置1の制御部10は、スリープ条件が成立したか否かを判定する(S102)。車載装置1の制御部10は、例えば、スリープ信号、車両Cモードの変更信号、又はIGスイッチのオフ信号等、スリープ状態に遷移させるためのトリガーとなる信号を受信したか、又はイベントが発生したか否かに基づき、スリープ条件が成立したか否かを判定する。車載装置1の制御部10は、スリープ信号等を受信した場合、スリープ条件が成立したと判定する。車載装置1の制御部10は、スリープ信号等を受信していない場合、スリープ条件が成立していないと判定する。
【0051】
スリープ条件が成立していない場合(S102:NO)、車載装置1の制御部10は、再度S102の処理を実行すべく、ループ処理を行う。当該ループ処理を行うことにより、車載装置1の制御部10は、通知メッセージを周期的、定期的又は定常的に出力するものとなり、他の車載装置1に対し、自装置が生存していることを通知する。他の車載装置1は、当該通知メッセージを取得(受信)することにより、この通知メッセージの送信元である車載装置1との通信が正常状態にあること、すなわち不通状態ではないことを検知する。
【0052】
スリープ条件が成立した場合(S102:YES)、車載装置1の制御部10は、非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成する(S103)。スリープ信号等を受信することにより、スリープ条件が成立した場合、車載装置1の制御部10は、NMメッセージにおけるペイロードに含まれる領域(User data領域)に、所定のビット値等によって定義される非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成する。
【0053】
車載装置1の制御部10は、非活性化フラグが含まれた通知メッセージを出力する(S104)。車載装置1の制御部10は、非活性化フラグが含まれた通知メッセージ(非活性化フラグ:有)を、S101の処理と同様に、他の車載装置1及び中継装置2に出力(送信)する。当該非活性化フラグが含まれた通知メッセージを取得(受信)した他の車載装置1及び中継装置2は、当該通知メッセージの送信元である車載装置1に対する不通検知を非活性化する。これにより以降、当該通知メッセージの送信元の車載装置1からの通知メッセージを取得(受信)できなかった場合であっても、これら他の車載装置1及び中継装置2は、当該通知メッセージの送信元の車載装置1との通信が不通状態になったと判定しない。従って、これら他の車載装置1及び中継装置2が、通知メッセージ(非活性化フラグ:有)の送信元の車載装置1との通信が不通状態(通信異常状態)であると誤検知することを、効率的に防止することができる。
【0054】
車載装置1の制御部10は、所定時間が経過したか否かを判定する(S105)。車載装置1の制御部10は、例えばスリープタイマーにて予め定められた期間(スリープタイマー期間)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合(S105:NO)、車載装置1の制御部10は、再度S105の処理を実行すべく、ループ処理を行う。車載装置1の制御部10は、当該所定時間が経過するよりも前に、他の車載装置1からNMメッセージを受信した場合、スリープタイマーをリセット、すなわち所定時間のカウントを開始してから、現時点までの経過時間を0等とする初期化処理を行うものであってもよい。他の車載装置1からNMメッセージを受信した場合にスリープタイマーをリセットすることにより、同じドメインに所属する複数の車載装置1におけるスリープタイミング(スリープ可能状態に遷移する時期)を合わせることができる。
【0055】
所定時間が経過した場合(S105:YES)、車載装置1の制御部10は、スリープ可能状態に遷移する(S106)。車載装置1の制御部10は、例えばスリープタイマーにて予め定められた期間(スリープタイマー期間)が経過した場合、スリープ可能状態(スリープ状態)に遷移し、当該車載装置1により電力消費量を低減する。
【0056】
本実施形態によれば、通常状態からスリープ状態に遷移する車載装置1の制御部10は、当該車載装置1以外となる他の車載装置1に対し、不通検知を非活性化させるための非活性化フラグを含めた通知メッセージを出力(送信)する。従って、車載装置1の制御部10は、スリープ状態に遷移する際、非活性化フラグを含む通知メッセージを出力した以降、スリープタイマー等により定められた所定の期間において通知メッセージを出力しないものであっても、他の車載装置1によって、当該車載装置1との通信不通が発生した等の誤検知がされることを、効率的に防止することができる。
【0057】
(実施形態2)
図5は、実施形態2(スリープ分類等)に係る車載装置1の制御部10の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部10は、例えば車両Cが起動状態(IGスイッチがオン)又は停止状態(IGスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。車載装置1の制御部10は、通知メッセージを出力する(S201)。車載装置1の制御部10は、スリープ条件が成立したか否かを判定する(S202)。車載装置1の制御部10は、実施形態1のS101からS102と同様に、S201からS202を行う。スリープ条件が成立していない場合(S202:NO)、車載装置1の制御部10は、再度S201の処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0058】
スリープ条件が成立した場合(S202:YES)、車載装置1の制御部10は、特定されたスリープ条件に応じたスリープ状態の分類等を示すスリープ分類等を特定する(S203)。車載装置1が遷移するスリープ状態は、例えば、スリープタイマー期間の長さ、同時スリープの対象となるドメインの種類、スリープ状態時における省電力モード等によって、複数の状態に分類(スリープ分類)される。また、車載装置1がスリープ状態に遷移するにあたり成立するスリープ条件は、例えば、当該車載装置1が取得(受信)するトリガー信号の種類、スリープ条件の成立時における車両Cの状態又は運転モード等により、複数の条件を含む。
【0059】
図6は、スリープ分類等に応じた活性化フラグの一例を示す説明図である。車載装置1の記憶部11には、上述したスリープ分類及びスリープ条件のそれぞれに対し、例えばマトリックス形式のテーブル表にて記憶(格納)することにより、各スリープ分類及びスリープ条件の組み合わせに応じた非活性化フラグそれぞれが、定義されている。なお、本実施形態において、各スリープ分類及びスリープ条件の組み合わせに応じた非活性化フラグとしているが、これに限定されず、非活性化フラグは、各スリープ分類のみ、又は各スリープ条件のみに応じたものであってもよい。すなわち、非活性化フラグの値(フラグ値)は、スリープ分類、スリープ条件、又はスリープ分類及びスリープ条件の組み合わせのそれぞれにおいて、異なる。車載装置1の制御部10は、S202の処理にて成立したスリープ条件及び車両Cの状態等に基づき、スリープ分類、スリープ条件、又はスリープ分類及びスリープ条件を特定し、当該車載装置1の記憶部11に記憶されているテーブル表を参照することにより、スリープ分類及びスリープ条件の組み合わせに応じた非活性化フラグを特定(選定)する。
【0060】
車載装置1の制御部10は、非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成する(S204)。車載装置1の制御部10は、スリープ分類及びスリープ条件の組み合わせに応じた非活性化フラグを含めた通知メッセージを生成する。
【0061】
車載装置1の制御部10は、非活性化フラグが含まれた通知メッセージを出力する(S205)。車載装置1の制御部10は、実施形態1のS104と同様にS205の処理を行う。実施形態1と同様に、当該非活性化フラグが含まれた通知メッセージを取得(受信)した他の車載装置1及び中継装置2は、当該通知メッセージの送信元である車載装置1に対する不通検知を非活性化するため、当該他の車載装置1等による誤検知を防止することができる。
【0062】
車載装置1から送信された通知メッセージに含まれる非活性化フラグは、スリープ分類及びスリープ条件の組み合わせに応じた選択されたものである。従って、当該通知メッセージを受信した他の車載装置1及び中継装置2は、非活性化フラグに基づき、当該通知メッセージを送信した車載装置1におけるスリープ分類及びスリープ条件を把握することができる。これにより、当該通知メッセージを取得(受信)した他の車載装置1は、非活性化した不通検知の対象となる車載装置1のスリープ分類又はスリープ条件に応じた処理を、適切に行うことができる。
【0063】
車載装置1の制御部10は、所定時間が経過したか否かを判定する(S206)。所定時間が経過していない場合(S206:NO)、車載装置1の制御部10は、再度S206の処理を実行すべく、ループ処理を行う。所定時間が経過した場合(S206:YES)、車載装置1の制御部10は、スリープ可能状態に遷移する(S207)。車載装置1の制御部10は、実施形態1のS105からS106と同様に、S206からS207を行う。
【0064】
(実施形態3)
図7は、実施形態3(活性化フラグ)に係る車載装置1の制御部10の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部10は、例えば車両Cが起動状態(IGスイッチがオン)又は停止状態(IGスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。車載装置1の制御部10は、実施形態1のS101からS105と同様に、S301からS305を行う。所定時間が経過した場合(S305:YES)、車載装置1の制御部10は、スリープ可能状態に遷移する(S306)。車載装置1の制御部10は、実施形態1のS106と同様に、S306を行う。
【0065】
所定時間が経過していない場合(S305:NO)、車載装置1の制御部10は、ウェイクアップ条件が成立したか否かを判定する(S3051)。車載装置1の制御部10は、例えば、ウェイクアップ信号、車両Cモードの変更信号、又はIGスイッチのオン信号等、スリープ状態から通常状態に遷移させるためのトリガーとなる信号を受信したか、又はイベントが発生したか否かに基づき、ウェイクアップ条件が成立したか否かを判定する。車載装置1の制御部10は、ウェイクアップ信号等を受信した場合、ウェイクアップ条件が成立した判定する。車載装置1の制御部10は、ウェイクアップ信号等を受信していない場合、ウェイクアップ条件が成立していないと判定する。ウェイクアップ条件が成立していない場合(S3051:NO)、車載装置1の制御部10は、再度S305の処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0066】
ウェイクアップ条件が成立した場合(S3051:YES)、車載装置1の制御部10は、活性化フラグを含めた通知メッセージを生成する(S3052)。ウェイクアップ信号等を受信することにより、ウェイクアップ条件が成立した場合、車載装置1の制御部10は、NMメッセージにおけるペイロードに含まれる領域(User data領域)に、所定のビット値等によって定義される活性化フラグを含めた通知メッセージを生成する。当該活性化フラグのビット値は、非活性化フラグのビット値とは異なる値であることは、言うまでもない。
【0067】
車載装置1の制御部10は、活性化フラグが含まれた通知メッセージ(活性化フラグ:有)を出力する(S3053)。車載装置1の制御部10は、活性化フラグが含まれた通知メッセージ(活性化フラグ:有)を、他の車載装置1及び中継装置2に出力(送信)する。車載装置1の制御部10は、S3053の実行後、再度S301からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0068】
車載装置1の制御部10は、S306の処理の実行後、本フローにおける一連の処理を完了する。又は、車載装置1の制御部10は、S306の処理の実行後、S3051からS3053からの処理(ウェイクアップ条件の成立判定)と同様の処理を行うものであってもよい。
【0069】
車載装置1の制御部10は、通知メッセージを周期的、定期的又は定常的に出力するものとなり、他の車載装置1に対し、自装置が生存していることを通知する。すなわち、当該車載装置1は、通常状態となる。当該活性化フラグが含まれた通知メッセージを取得(受信)した他の車載装置1及び中継装置2は、当該通知メッセージの送信元である車載装置1に対する不通検知を活性化する。これにより以降、これら他の車載装置1は、当該通知メッセージを取得(受信)することにより、この通知メッセージの送信元である車載装置1との通信が正常状態にあること、すなわち不通状態ではないことを検知することができる。
【0070】
本実施形態によれば、他の車載装置1の不通検知が非活性化となっている場合であっても、不通検知の対象となる車載装置1がスリープ状態から通常状態に遷移させる場合は、活性化フラグが含まれた通知メッセージを出力するため、当該他の車載装置1の不通検知を活性化させることができる。
【0071】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
S 車載システム
C 車両
1 車載装置
10 制御部
11 記憶部
111 記録媒体
P プログラム(プログラム製品)
12 車内通信部
13 入出力I/F
2 中継装置
3 車載ネットワーク
31 通信線