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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20241112BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241112BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H05K5/06 A
H05K5/02 L
H05K7/14 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021105754
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004204
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柳原 一欽
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-004759(JP,A)
【文献】実開平05-075153(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/06
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体(10,10A)と、
前記第1筐体に固定された回路基板(30)と、
前記第1筐体と共に前記回路基板を収容する収容空間(S)を形成する第2筐体(20,20B)と、
前記第1筐体と前記第2筐体との接合部の隙間を塞ぐシール材(40)と、
を備え、
前記シール材は、前記回路基板の側面である基板側面(34)と前記第1筐体の内壁面(15)とにより形成された、前記基板側面に沿って延びる溝部(16,16A)に充填され、
前記溝部は、前記回路基板における前記溝部の底側の面である基板下面(33)よりも深く、
前記第1筐体の内壁面は、前記溝部の深さ方向における前記回路基板の下で前記溝部を形成する部分である部分面(151)を有し、
前記基板側面は、前記部分面よりも突出しており、
前記第2筐体は、前記回路基板における前記溝部の底側と反対側の面である基板上面(32)よりも深い位置まで前記溝部に差し込まれた差込部(23)を有し、
前記差込部は、前記基板側面側及びその反対側の両面が前記シール材に密着している、電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記第1筐体及び前記第2筐体の少なくとも一方には、閉塞部(24)が設けられ、
前記閉塞部は、前記第1筐体及び前記第2筐体の外部から前記溝部までの経路上で、前記第1筐体と前記第2筐体との間を閉塞する部分である、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1筐体と第2筐体とにより形成された収容空間に回路基板が収容された電子装置がある。この種の電子装置では、例えば防水のために、第1筐体と第2筐体との接合部の隙間にシール材が充填される。例えば特許文献1に記載の電子装置では、第1筐体の内壁面と第2筐体の外壁面とにより形成された溝部にシール材が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-47641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子装置には、小型化が要求される場合がある。しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、特許文献1に記載の電子装置は、シール長を確保しようとすると第1筐体及び第2筐体の高さを高くする必要があるため、十分な小型化が難しいという課題が見出された。
【0005】
本開示の一局面は、第1筐体と第2筐体とにより形成された収容空間に回路基板が収容された電子装置において、シール長を確保しつつ小型化を可能にするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、電子装置である。電子装置は、第1筐体(10,10A)と、回路基板(30)と、第2筐体(20,20B)と、シール材(40)と、を備える。回路基板は、第1筐体に固定される。第2筐体は、第1筐体と共に回路基板を収容する収容空間(S)を形成する。シール材は、第1筐体と第2筐体との接合部の隙間を塞ぐ。また、シール材は、回路基板の側面である基板側面(34)と第1筐体の内壁面(15)とにより形成された、基板側面に沿って延びる溝部(16,16A)に充填される。第2筐体は、基板上面(32)よりも深い位置まで溝部に差し込まれた差込部(23)を有する。基板上面は、回路基板における溝部の底側と反対側の面である。差込部は、基板側面側及びその反対側の両面がシール材に密着している。
【0007】
このような構成によれば、第1筐体と第2筐体とにより形成された収容空間に回路基板が収容された電子装置において、シール長を確保しつつ小型化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電子装置の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電子装置の上面図である。
図3】第1実施形態に係る電子装置の断面図である。
図4】第2実施形態に係る電子装置の断面図である。
図5】第3実施形態に係る電子装置の断面図である。
図6図6A及び図6Bは、変形例に係る電子装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1図3に示す電子装置1は、第1筐体10、第2筐体20、回路基板30、及びシール材40を備える。電子装置1は、例えば車両に用いられる。
【0010】
第1筐体10及び第2筐体20は、収容空間Sを形成する部材である。収容空間Sは、回路基板30を収容する空間である。本実施形態では、第1筐体10は、一方が開口した直方体状の箱形である。第1筐体10は、板状の底壁11と、底壁11を囲むように底壁11の外縁から立設する板状の側壁12と、を有する。第1筐体10は、PPSやPBT等の樹脂製である。第1筐体10の内部には、回路基板30を支持するための支持部13が形成されている。本実施形態では、第1筐体10を開口部側から見て、第1筐体10の底壁11における外周部、すなわち当該底壁11における第1筐体10の側壁12に沿った部分が、支持部13として、中央部よりも全周にわたって高く形成されている。言い換えれば、第1筐体10の底壁11は、第1筐体10を開口部側から見て、中央部が外周部よりも凹んでいる。また、第1筐体10の底壁11、本実施形態では底壁11における外周部には、コネクタ14が形成されている。コネクタ14は、回路基板30と外部装置との電気信号の授受を中継する。
【0011】
本実施形態では、第2筐体20も、第1筐体10と同様に、一方が開口した直方体状の箱形である。第2筐体20は、板状の天井壁21と、天井壁21を囲むように天井壁21の外縁から立設する板状の側壁22と、を有する。第2筐体20は、アルミニウム等の金属製である。第2筐体20は、第1筐体10よりも少なくとも一回り小さく形成されている。第2筐体20は、開口部同士を対向させた状態で第1筐体10と組み合わされることにより、第1筐体10と共に収容空間Sを形成する。
【0012】
回路基板30は、複数の電子部品31が実装された、例えばプリント基板である。本実施形態の回路基板30は、長方形状の板状である。回路基板30は、基板上面32、その反対の面である基板下面33、及び、基板上面32と基板下面33とを繋ぐ基板側面34を有する。本実施形態では、複数の電子部品31は、いずれも基板上面32に実装されている。
【0013】
回路基板30は、収容空間Sに収容されている。収容空間Sにおいて、回路基板30は、基板上面32を第2筐体20側、基板下面33を第1筐体10側に向けて、第1筐体10における支持部13にネジ等により固定されている。この状態において、本実施形態の回路基板30は、第1筐体10の側壁12の端面よりも第1筐体10の底壁11側に基板上面32が位置している。すなわち、第1筐体10の側壁12の高さは、支持部13上に配置された状態の回路基板30における基板上面32を超える高さに設計されている。
【0014】
シール材40は、第1筐体10と第2筐体20との接合部の隙間を塞ぐ部材である。シール材40は、例えばシリコーン系の樹脂であって、液体状態にて上記の隙間に充填されたのち硬化されることにより、当該隙間を塞ぐ効果を発揮する。本実施形態では、シール材40は、基板側面34と、第1筐体10の内壁面15と、により形成された溝部16に充填されている。溝部16は、基板側面34に沿って延びる溝状の部分である。本実施形態の溝部16は、底面と、互いに対向する2つの対向面と、により形成されている。溝部16を形成する一方の対向面が、基板側面34により構成されている。溝部16を形成する他方の対向面及び底面が、第1筐体10の内壁面15により構成されている。また、本実施形態の溝部16は、図2及び図3に示すように、回路基板30を基板側面34に沿って囲むように形成されている。図3に示すように、回路基板30において、基板上面32及び基板下面33は、溝部16の底側と反対側の面、及び溝部16の底側の面に、それぞれ該当する。
【0015】
前述したように、第2筐体20は、開口部同士を対向させた状態で第1筐体10と組み合わされる。ここで、第2筐体20の側壁22における端面側の部分を差込部23とすると、具体的には、この差込部23が溝部16に差し込まれることにより、第2筐体20と第1筐体10とが組み合わされる。より詳細には、電子装置1において、差込部23は、基板上面32よりも深い位置まで溝部16に差し込まれている。ただし、本実施形態では、差込部23の端面は、溝部16の底に当接していない。すなわち、差込部23の端面と、第1筐体10の内壁面15と、の間には、間隔が設けられている。また、差込部23は、基板側面34側及びその反対側の両面がシール材40に密着している。差込部23の端面も、シール材40に密着している。
【0016】
本実施形態では、溝部16の底からのシール材40の高さが、差込部23を挟んで異なっている。具体的には、差込部23を挟んで基板側面34側と反対側の方が、シール材40の高さが高い。差込部23を挟んで基板側面34側と反対側のシール材40の高さは、第1筐体10の側壁12の端面と一致するように設計されている。差込部23を挟んで基板側面34側のシール材40の高さは、基板上面32と一致するように設計されている。
【0017】
[1-2.製造方法]
電子装置1の製造方法について説明する。
まず、第1筐体10の内部に、基板下面33を第1筐体10側に向けた状態で回路基板30を配置する。そして、第1筐体10における支持部13に、回路基板30をネジ等により固定する。これにより、基板側面34と第1筐体10の内壁面15とによって、溝部16が形成される。
【0018】
次に、液体状態のシール材40を溝部16に充填する。ここで充填されるシール材40の量は、本実施形態では、続いて第2筐体20における差込部23を溝部16に差し込んだときに、溝部16の底からのシール材40の高さが基板上面32と一致するような量に設定されている。
【0019】
次に、開口部同士を対向させた状態で、第1筐体10と第2筐体20とを組み合わせる。具体的には、第2筐体20における差込部23を、あらかじめ定められた差込位置まで溝部16に差し込む。この差込位置は、基板上面32よりも深い位置であって、本実施形態では、溝部16の底から離間した位置でもある。差込部23は、溝部16に差し込まれていくと、先に溝部16に充填された液体状態のシール材40に浸漬する。差込部23が差込位置まで達したときに、本実施形態では、溝部16の底からのシール材40の高さが基板上面32と一致する。
【0020】
本実施形態のように上記の差込位置が溝部16の底から離間した位置である場合、言い換えれば差込部23の端面が溝部16の底に当接しない場合、第2筐体20は、シール材40が硬化するまで第1筐体10に対する位置が保持される必要がある。図示は省略しているが、本実施形態では、第2筐体20の側壁22に、差込部23を上記の差込位置まで差し込んだときに第1筐体10の側壁12に載るような突起が設けられ、当該突起により第2筐体20の位置が保持される。なお、例えば治具等により、第2筐体20の位置が保持されてもよい。
【0021】
続いて、溝部16に充填されたシール材40を、少なくとも流動性が低くなるまで硬化させる。そして、液体状態のシール材40を溝部16に追加で充填する。具体的には、溝部16における、差込部23と第1筐体10の側壁12との間の領域に、液体状態のシール材40を追加で充填する。なお、例えば液体状態にてシール材40の粘度が十分に高い場合には、先に溝部16に充填されたシール材40の硬化を待たずに、上記の領域にシール材40を追加で充填してもよい。
【0022】
その後、シール材40を完全に硬化させることにより、電子装置1が得られる。
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0023】
(1a)電子装置1では、シール材40は、基板側面34と第1筐体10の内壁面15とにより形成された、基板側面34に沿って延びる溝部16に充填される。第2筐体20は、基板上面32よりも深い位置まで溝部16に差し込まれた差込部23を有する。差込部23は、基板側面34側及びその反対側の両面がシール材40に密着している。
【0024】
このような構成によれば、差込部23における基板側面34側及びその反対側の両面がシール材40に密着しているため、例えば当該反対側の面のみがシール材40に密着している構成と比較して、第1筐体10及び第2筐体20の高さを高くしなくてもシール長を確保することができる。したがって、シール長を確保しつつ電子装置1の小型化を可能にすることができる。
【0025】
(1b)特に本実施形態では、差込部23の端面もシール材40と密着している。このような構成によれば、当該端面に沿った長さもシール長に寄与するため、より長いシール長を確保することできる。
【0026】
(1c)また、基板側面34は、溝部16を形成する面の一部を構成しているため、シール材40に密着している。これにより、シール材40による回路基板30を固定する効果を得ることもできる。特に本実施形態では、溝部16が回路基板30を基板側面34に沿って囲むように形成されているため、当該効果をより高くすることができる。
【0027】
(1d)電子装置1では、差込部23を挟んで基板側面34側と反対側の方が、溝部16の底からのシール材40の高さが高い。このような構成によれば、溝部16の底からのシール材40の高さが差込部23を挟んで同一である場合と比較して、より長いシール長を確保することできる。
【0028】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同一であるため、相違点について以下に説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一の符号は同一の構成を示す物であって、先行する説明を参照する。
【0029】
図4に示すように、本実施形態の電子装置1Aは、前述した第1筐体10に代えて第1筐体10Aを備える。本実施形態の第1筐体10Aは、基本的には、第1実施形態の第1筐体10と同一の構成である。ただし、本実施形態の第1筐体10Aでは、その内壁面15が、基板側面34と共に、前述した溝部16に代えて溝部16Aを形成する。
【0030】
本実施形態の溝部16Aは、第1実施形態の溝部16よりも深い。具体的には、第1実施形態の溝部16が基板下面33と一致する深さであったのに対して、本実施形態の溝部16Aは、基板下面33よりも深く形成されている。言い換えれば、第1実施形態の溝部16では、当該溝部16を形成する一方の対向面が基板側面34のみにより構成されていたのに対して、本実施形態の溝部16Aでは、当該溝部16Aを形成する一方の対向面が基板側面34及び第1筐体10Aの内壁面15の双方により構成されている。つまり、本実施形態の第1筐体10Aの内壁面15は、次の部分面151を有する。部分面151は、溝部16Aの深さ方向における回路基板30の下で溝部16Aを形成する部分である。本実施形態の部分面151は、基板側面34と面一になるように設計されている。
【0031】
本実施形態の溝部16Aには、第1実施形態と同様に、シール材40が充填され、且つ、第2筐体20における差込部23が差し込まれている。ただし、上記のとおり本実施形態の溝部16Aは第1実施形態の溝部16よりも深く形成されているため、差込部23は、第1実施形態よりも一層深く溝部16Aに差し込まれている。本実施形態の差込部23は、基板下面33よりも深い位置まで溝部16Aに差し込まれている。
【0032】
[2-2.製造方法]
第2実施形態の電子装置1Aは、第1実施形態の電子装置1と同様の方法により得ることができる。
【0033】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0034】
本実施形態では、溝部16Aは、基板下面33よりも深い。すなわち、シール材40を充填可能な領域が一層深く形成されている。このような構成によれば、第2筐体20における差込部23を溝部16Aに一層深く差し込むことで、より長いシール長を確保することができる。
【0035】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
第3実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同一であるため、相違点について以下に説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一の符号は同一の構成を示す物であって、先行する説明を参照する。
【0036】
図5に示すように、本実施形態の電子装置1Bは、前述した第2筐体20に代えて第2筐体20Bを備える。本実施形態の第2筐体20Bは、基本的には、第1実施形態の第2筐体20と同一の構成である。ただし、本実施形態の第2筐体20Bには、閉塞部24が設けられている。
【0037】
閉塞部24は、第1筐体10及び第2筐体20Bの外部から溝部16までの経路上で、第1筐体10と第2筐体20Bとの間を閉塞する部分である。すなわち、閉塞部24は、シール材40を覆い隠す部分である。本実施形態の閉塞部24は、第2筐体20Bの天井壁21の外縁から第2筐体20Bの外側に拡がり、第1筐体10の側壁12に到達している。第1実施形態の電子装置1では、閉塞部24が設けられていないことによりシール材40が露出していたが、本実施形態の電子装置1Bでは、閉塞部24によってシール材40は覆い隠されて露出していない。なお、本実施形態のように閉塞部24が第2筐体20Bに設けられる場合、閉塞部24は、必ずしも、第1筐体10に溶接等により接合されたり、第1筐体10との隙間をシール材により塞がれたりしなくてもよい。
【0038】
本実施形態の電子装置1Bには、第1実施形態と同様に、溝部16が形成されている。溝部16には、シール材40が充填され、且つ、第2筐体20における差込部23が差し込まれている。ただし、本実施形態では、溝部16の底からのシール材40の高さが、差込部23を挟んで同一である。具体的には、溝部16の底からのシール材40の高さは、差込部23を挟んで基板側面34側及びその反対側ともに、基板上面32と一致するように設計されている。
【0039】
[3-2.製造方法]
第3実施形態の電子装置1Bの製造方法は、基本的には、第1実施形態の電子装置1の製造方法と同様である。ただし、第3実施形態では、第2筐体20Bに閉塞部24が設けられているため、第2筐体20Bにおける差込部23を前述した差込位置まで溝部16に差し込むと、溝部16が覆い隠された状態になる。したがって、シール材40は、溝部16に差込部23を差し込んだのち追加で充填されない。これにより、溝部16の底からのシール材40の高さが差込部23を挟んで同一になる。
【0040】
[3-3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、第1実施形態における効果のうち上記(1a)~(1c)の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0041】
本実施形態では、第2筐体20Bに閉塞部24が設けられている。閉塞部24は、第1筐体10及び第2筐体20Bの外部から溝部16までの経路上で、第1筐体10と第2筐体20Bとの間を閉塞する部分である。
【0042】
例えば、車両のエンジンルームに搭載されるECU等として電子装置1Bが構成される場合、洗車用の高圧水流が電子装置1Bに直撃してしまう可能性も考えられる。このような場合でも、上記のような構成によれば、溝部16に充填されたシール材40に高圧水流が到達すること、例えば当該シール材40に高圧水流が直撃することを、閉塞部24により抑制することができる。したがって、高圧水流によって当該シール材40が欠けたりして収容空間Sに水が浸入してしまうことを抑制することができる。
【0043】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0044】
(4a)上記第2実施形態では、第1筐体10Aの内壁面15における部分面151は、基板側面34と面一になるように設計されている。しかし、部分面151は、必ずしも基板側面34と面一でなくてもよく、例えば図6A及び図6Bに示すように、基板側面34と段差を形成してもよい。図6Aに示す電子装置1Cでは、部分面151が基板側面34よりも突出している。図6Bに示す電子装置1Dでは、基板側面34が部分面151よりも突出している。
【0045】
特に、電子装置1Dのような基板側面34が部分面151よりも突出している構成では、基板下面33の一部が溝部16Aに露出してシール材40に密着する。このため、このような構成によれば、上記(1c)の効果として述べた、シール材40による回路基板30を固定する効果をより高くすることができる。その結果、例えばネジ等の部材を用いなくても回路基板30を固定することも可能となる。
【0046】
(4b)上記第1,第2実施形態では、溝部16,16Aの底からのシール材40の高さは、差込部23を挟んで基板側面34側と反対側の方が高くなっている。しかし、溝部16,16Aの底からのシール材40の高さは、必ずしも差込部23を挟んで基板側面34側と反対側の方が高くなくてもよく、例えば上記第3実施形態のように、差込部23を挟んで同一であってもよい。
【0047】
(4c)上記実施形態では、差込部23の端面と第1筐体10,10Aとの間に間隔が設けられているが、このような間隔は必ずしも設けられなくてもよい。言い換えれば、差込部23の端面は、第1筐体10,10Aに当接してもよい。
【0048】
(4d)上記実施形態では、溝部16,16Aを形成する面に、基板側面34及び第1筐体10,10Aの内壁面15が含まれる。特に上記実施形態では、回路基板30回りの全周を構成する基板側面34が、溝部16,16Aを形成する面に含まれる。しかし、回路基板30回りの一部を構成する基板側面34のみが、溝部16,16Aを形成する面に含まれてもよい。
【0049】
(4e)上記第3実施形態では、閉塞部24は、第2筐体20Bに設けられている。しかし、閉塞部24は、第2筐体20Bではなく第1筐体10に設けられてもよいし、第1筐体10及び第2筐体20Bの双方に設けられてもよい。言い換えれば、上記第3実施形態では、閉塞部24は、シール材40を覆い隠すように、第2筐体20Bから延びて第1筐体10に到達する部分である。しかし、閉塞部24は、シール材40を覆い隠すように、第1筐体10から延びて第2筐体20Bに到達する部分であってもよい。あるいは、閉塞部24は、一体となってシール材40を覆い隠すように、第1筐体10及び第2筐体20Bの双方から延びる部分であってもよい。
【0050】
(4f)上記実施形態では、第1筐体10,10Aの側壁12の高さは、支持部13上に配置された状態の回路基板30における基板上面32を超える高さに設計されている。しかし、第1筐体10,10Aの側壁12の高さは、当該基板上面32と一致する高さであってもよいし、当該基板上面32を超えない高さであってもよい。
【0051】
(4g)上記実施形態では、基板上面32のみに電子部品31が設けられている。しかし、電子部品31は、基板上面32に加えて基板下面33にも設けられてもよいし、基板下面33のみに設けられてもよい。
【0052】
(4h)上記実施形態では、第1筐体10,10A及び第2筐体20,20Bは、一方が開口した直方体状の箱形であるが、これらの形状は特に限定されない。これらの形状は、例えば、回路基板30の外形に合わせた収容空間Sを形成するように適宜変更されてもよい。また、電子装置1,1A~1Dは、第1筐体10,10A及び第2筐体20,20Bに加えて、他の筐体を備えてもよい。
【0053】
(4i)上記実施形態では、電子装置1,1A~1Dの用途として車両用を例示したが、電子装置1,1A~1Dの用途は特に限定されない。
(4j)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,1A~1D…電子装置、10,10A…第1筐体、15…内壁面、151…部分面、16,16A…溝部、20,20B…第2筐体、23…差込部、24…閉塞部、30…回路基板、31…電子部品、32…基板上面、33…基板下面、34…基板側面、40…シール材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6