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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/08 20060101AFI20241112BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20241112BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20241112BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20241112BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20241112BHJP
   B60K 28/10 20060101ALI20241112BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20241112BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20241112BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20241112BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60W20/00 900
B60W10/06 900
B60W20/12 ZHV
B60W20/15
B60K28/10
F02D29/02 321B
F02D29/02 K
F02D45/00 360Z
B60L50/16
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021105968
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004346
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】影浦 義之
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 真典
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰毅
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-003173(JP,A)
【文献】特開2017-066898(JP,A)
【文献】特開2018-154247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60K 28/10
F02D 29/02
F02D 45/00
B60L 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関及びモータを備える車両において、当該内燃機関が発するガスを排出する排気管の閉塞が予測される場合に、前記車両の始動時をモータによる駆動に限定する始動制御ゾーンを設定し、
前記始動制御ゾーン内の車両の始動時、前記モータによって前記車両を駆動させる、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の内燃機関によって発生したガスを排気する排気管の開口(排気口)が雪によって閉状態となっていると判定した場合に、内燃機関を駆動して排気ガスを昇温し、融雪させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-66898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内燃機関の駆動による排気ガスの昇温だけでは、融雪しきれずに、排気口が閉状態のままとなることがあった。排気口が閉状態のままであると、内燃機関が停止し、車両を移動させることができなくなる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、排気管の開閉状態によらず車両を移動させることができる車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両制御方法は、内燃機関及びモータを備える車両において、当該内燃機関が発するガスを排出する排気管の閉塞が予測される場合に、前記車両の始動時をモータによる駆動に限定する始動制御ゾーンを設定し、前記始動制御ゾーン内の車両の始動時、前記モータによって前記車両を駆動させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、排気管の開閉状態によらず車両を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1に係る制御システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る災害情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。
図4図4は、実施の形態1に係るゾーン設定情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。
図5図5は、実施の形態1に係る始動制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
図6図6は、始動制御ゾーンについて説明するための図である。
図7図7は、実施の形態2に係る制御システムを模式的に示す図である。
図8図8は、実施の形態2に係る制御システムの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る制御システムを模式的に示す図である。図2は、実施の形態1に係る災害情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。図4は、実施の形態1に係るゾーン設定情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。
【0011】
実施の形態1に係る制御システム1は、災害情報サーバ2と、車両3と、ゾーン設定情報サーバ4とを含んで構成されている。災害情報サーバ2は、災害が発生した際に災害に関する情報を発信する。車両3は、例えばプラグインハイブリッド車両やレンジエクステンダー車両など、モータの動力のみでも走行が可能(電動走行が可能)な車両である。また、この車両3は、外部電源からの電力を充電可能かつ外部に電力を供給可能な車両である。
【0012】
災害情報サーバ2、車両3、ゾーン設定情報サーバ4は、ネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。災害情報サーバ2は、複数の車両3やゾーン設定情報サーバ4との間で情報を送受信できる。
【0013】
災害情報サーバ2は、災害情報受信部21と、被災地情報作成部22と、被災地情報送信部23と、を備える。災害情報サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶部を備えている。
【0014】
災害情報受信部21は、災害が発生したことを示す災害情報を受信する。災害は、自然現象や人為的な原因によって所定ゾーンで被害が生じた事態をいう。災害情報として、降雪情報(大雪又は降雪量に関する情報)、地震情報、津波情報、台風情報、大雨情報、洪水情報、噴火情報、火災情報、山火事情報、停電情報などが挙げられる。大雪が予測される場合を例にすると、災害情報受信部21は、例えば、気象予報施設が発信する降雪予測に関する情報を受信する。また、災害情報受信部21は、降雪情報に限らず、ネットワークNWを介して各種の機器やサーバから災害情報を受信することができる。さらに、災害情報受信部21は、災害発生の第一報に関する情報を受信した後、災害の規模(例えば降雪量)など新たに判明した情報を続報として引き続き受信する。
【0015】
被災地情報作成部22は、災害情報に基づいて被災地情報を作成する。被災地情報は、災害が発生した地域を示す災害地域情報と、災害の規模を示す情報とを含む。大雪予測時を例にすると、被災地情報作成部22は、多量の降雪が予測される範囲を被災地に設定した被災地情報を作成する。この被災地に設定される範囲は、都道府県単位や市町村単位や地域単位など、所定の地域に設定可能である。また、被災地情報作成部22は、災害の発生後に受信した続報に基づいて、被災地情報を逐次、最新の情報に更新する。
【0016】
被災地情報送信部23は、作成された被災地情報を発信する。被災地情報送信部23はネットワークNWを介してゾーン設定情報サーバ4に被災地情報を送信する。また、被災地情報送信部23は、被災地情報が最新の情報に更新されるたびに最新の被災地情報を発信する。なお、被災地情報送信部23はネットワークNWを介して車両3に被災地情報を送信してもよい。
【0017】
ゾーン設定情報サーバ4は、被災地情報受信部41と、ゾーン設定情報作成部42と、設定情報送信部43と、を備える。ゾーン設定情報サーバ4は、CPU等のハードウェアを有するプロセッサ、およびRAMやROM等の記憶部を備えている。ゾーン設定情報サーバ4は、第1のプロセッサを備える。
【0018】
被災地情報受信部41は、災害情報サーバ2から、例えば大雪の予測情報を含む被災地情報を受信する。
【0019】
ゾーン設定情報作成部42は、被災地情報に基づいて、大雪が予測されるゾーン、又は、降雪量が災害相当と判定されるレベルに達しているゾーンに対し、当該ゾーンに位置する車両3の始動を制御する始動制御ゾーンを設定し、設定した設定情報を作成する。設定情報は、始動制御ゾーンとして設定される地図情報や座標情報を含む。
【0020】
設定情報送信部43は、作成された設定情報を発信する。設定情報送信部43は、ネットワークNWを介して設定情報を各車両3に送信する。
【0021】
ここで、地域によっては、ジオフェンシングと呼ばれる仮想的な柵(仮想的境界)が所定の区域(ジオフェンシングゾーン)が設定される。ジオフェンシングゾーンは、例えば都市部の市街地など、特定の区域を対象にして設定される。ジオフェンシングゾーン内では、当該ジオフェンシングゾーンに位置する車両3を対象にして特定の車両制御を実行させる。この車両制御には、モータのみで走行(EV走行)を行うようにエンジン駆動を禁止する駆動制御が含まれる。
【0022】
車両3は、走行用のモータ11と、エンジン12と、バッテリ13と、充電器14と、車両側コネクタ15と、インバータ16とを備えた電動車両である。
【0023】
モータ11及びエンジン12(内燃機関)は走行用の動力源である。また、エンジン12はモータ11を回転させることができる。つまり、モータ11はエンジン12の動力により発電を行うことが可能である。エンジン12によりモータ11で発電を行う場合には、モータ11で発電した電力をバッテリ13に充電することができる。このモータ11はインバータ16を介してバッテリ13と電気的に接続されている。また、車両3は、エンジン12の駆動によって発生するガスを外部に排出する排出管を備える。
【0024】
この車両3は、バッテリ13に外部からの電力を充電する充電器14と車両側コネクタ15とを備えたプラグインハイブリッド車両である。
【0025】
バッテリ13は、モータ11に供給するための電力を蓄えるとともに、外部電源から供給された電力を蓄える蓄電装置である。このバッテリ13は充電器14を介して車両側コネクタ15と通電可能に接続される。充電器14は外部からの電力をバッテリ13に充電する。例えば充電器14には各種のリレー部が含まれる。充電器14のリレー部を開放することにより、バッテリ13と車両側コネクタ15との間を電気的に切断することができる。外部の電力をバッテリ13に充電する際に、充電器14のリレー部が閉じて、バッテリ13と車両側コネクタ15とが電気的に接続される。車両側コネクタ15は、充電スタンドの充電コネクタなど、外部側コネクタと接続可能である。
【0026】
また、車両3は、GPS(Global Positioning System)受信部31と、通信部32と、制御部33と、HMI(Human Machine Interface)34と、パワートレーン35と、記憶部36とを備える。
【0027】
GPS受信部31は、GPS衛星からの電波(信号)を受信する。
【0028】
通信部32は、災害情報サーバ2やゾーン設定情報サーバ4との間で情報を送受信する。この通信部32は、例えば災害情報サーバ2から災害情報を受信したり、ゾーン設定情報サーバ4から設定情報を受信したりする。また、通信部32は、車両3の現在位置を示す位置情報を災害情報サーバ2に送信する。
【0029】
制御部33は、CPU等のハードウェアを有するプロセッサ、およびRAMやROM等の記憶部を備えている。制御部33は、位置情報取得部33aと、始動設定部33bと、エンジン制御部33cと、HMI制御部33dとを有する。車両3は、第2のプロセッサを備える。
【0030】
位置情報取得部33aは、GPS受信部31により受信した信号に基づいて、現在の位置情報を取得する。
【0031】
始動設定部33bは、ゾーン設定情報サーバ4から取得した設定情報に基づいて、始動制御ゾーンにおける駆動制御の設定を行う。具体的には、始動設定部33bは、車両3が始動制御ゾーン内に位置する場合、車両3の始動をモータ11に限定する設定を行う。
【0032】
エンジン制御部33cは、エンジン12を制御する。例えばエンジン12の駆動禁止指示を受信した場合、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を禁止する禁止制御を実行する。また、エンジン12の駆動許可指示を受信した場合には、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を許可する許可制御を実行する。
【0033】
HMI制御部33dは、HMI34を制御する。
HMI34は、例えばカーナビ装置により構成されている。このHMI34は、運転者に情報を表示する表示部として機能するとともに、運転者からの操作を受け付ける操作部としても機能する車載装置である。HMI34からは、HMI制御部33dの制御のもと、エンジン12の駆動が許可または禁止された制御状態であることや、エンジン12の駆動が禁止された制御状態であることなどの情報が報知される。さらに、HMI制御部33dは、始動設定部33bが設定した情報にしたがって、始動制御ゾーンに関する情報を表示するようHMI34を制御する。始動制御ゾーンに関する表示としては、例えば、地図情報上のゾーンの表示や、ゾーン内において、文字情報等によって始動制御ゾーンである旨の表示等がある。
【0034】
パワートレーン制御部33eは、パワートレーン35を制御する。
パワートレーン35は、モータ11やエンジン12から出力された動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置である。このパワートレーン35には自動変速機などが含まれる。そのため、パワートレーン制御部33eは自動変速機の変速段を制御する変速制御を実行する。
【0035】
記憶部36は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて構成され、各種プログラム及び各種データが書き込み及び読み出し可能に格納されている。この記録媒体としては、ハードディスクや半導体メモリ、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスク等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を有して構成される。記憶部36には、制御部33が車両3の各部の作動を統括的に制御するために必要なオペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションのプログラムが格納されている。
【0036】
また、制御部33は、インバータ16を制御することによりモータ11を制御する。
インバータ16は制御部33によりスイッチング制御される。さらに、充電器14のリレー部は制御部33により開閉制御される。つまり、制御部33は、外部からの電力をバッテリ13に充電する充電制御を実行するとともに、バッテリ13に蓄えられた電力を外部に供給する放電制御を実行する。また、制御部33は車両3に関する各種の制御を実行する。
【0037】
ここで、図5及び図6を参照して、各車両3の制御部33、及びゾーン設定情報サーバ4のゾーン設定情報作成部42でそれぞれ実行される制御について説明する。図5は、実施の形態1に係るゾーン設定制御の処理の一例を示すシーケンス図である。なお、図5に示す制御は、例えば、災害情報として、大雪予測に関する情報が発信された場合に、制御部33により繰り返し実行される。本制御は、大雪予測時のほか、土砂災害や豪雨による洪水、噴火による降灰の際に、雪や水、灰等によって停車時等に車両3の排気管の開口が閉塞されるおそれがあると予測される場合や、実際に多量の雪や雨、灰が降った場合においても適用できる。
【0038】
ゾーン設定情報作成部42は、災害情報サーバ2から被災地情報を受信したか否かを判断する(ステップS101)。ゾーン設定情報作成部42は、被災地情報を受信していない場合(ステップS101:No)、処理を終了する。なお、被災地情報の確認は、定期的に実行される。一方、ゾーン設定情報作成部42は、被災地情報を受信している場合(ステップS101:Yes)、災害が発生したと判断して、ステップS102に移行する。
【0039】
ステップS102において、ゾーン設定情報作成部42は、災害について、大雪に関する情報であるか否かを判断する。ゾーン設定情報作成部42は、大雪に関する情報ではないと判断した場合(ステップS102:No)、当該制御処理を終了し、新たな災害情報の受信確認(例えばステップS101)を定期的に実行する。これに対し、ゾーン設定情報作成部42は、大雪に関する情報であると判断した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に移行する。
【0040】
ステップS103において、ゾーン設定情報作成部42は、被災地情報に基づいて、始動制御ゾーンを設定する。図6は、始動制御ゾーンについて説明するための図である。ゾーン設定情報作成部42は、例えば、多量の降雪が予測される領域を含む領域を始動制御ゾーンRCに設定する。この始動制御ゾーンRCは、車両3の始動時に、エンジン12の駆動が禁止され、モータ11による駆動に限定される領域となる。ゾーン設定情報作成部42は、設定した始動制御ゾーンに関する設定情報を作成する。
【0041】
ステップS104において、設定情報送信部43が、作成された設定情報を車両3に送信する。始動設定部33bは、受信した設定情報に基づいて、始動制御の設定を行う(ステップS105)。始動設定部33bは、例えば、HMI34の地図情報に対して始動制御ゾーンを設定する。
【0042】
制御部33は、始動制御ゾーンにおいて始動制御を実施する(ステップS106)。制御部33は、位置情報に基づいて、始動時にモータ11及びエンジン12のいずれを使用するか判断する。具体的には、制御部33は、自身の車両3が始動制御ゾーン内に位置している場合、始動時はモータ11で駆動する。なお、この始動制御は、バッテリ13の残量(State Of Charge:SOC)が、バッテリ13の劣化を抑制するために設定される下限残量値以下となっている場合であっても実施される。
始動制御ゾーンの設定は、被災地情報等、災害に関する警戒情報が解除されると、当該ゾーンの設定も解除される。このゾーンの解除は、警戒情報による解除のほか、状況に応じて設定可能である。
【0043】
以上説明した実施の形態1では、大雪等、例えば停車中の車両3の排気管の開口が閉塞され得る状況が予測される場合において、モータ11による始動に限定する始動制御ゾーンを設定し、各車両3が設定に応じて始動制御を行う。本実施の形態1によれば、仮に排気管の開口が閉状態となった場合であっても、モータ11によって車両3を移動させることができるため、排気管の開閉状態によらず車両を移動させることができる。また、実施の形態1では、仮に車両3の排気管の開口が閉塞されたとしても、エンジン12を駆動しないため、エンジン12の停止による車両3の駆動に影響はなく、さらに、排気管の開閉状態にエンジン12を駆動した場合の乗車者へのリスクを防止できる。
【0044】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図7は、実施の形態2に係る制御システムを模式的に示す図である。図8は、実施の形態2に係る制御システムの構成を説明するためのブロック図である。実施の形態2に係る制御システム1Aは、実施の形態1に係る制御システム1の構成に対し、車両3に代えて車両3Aを備え、車両管理サーバ5をさらに備える。以下、実施の形態1とは異なる部分(車両3A及び車両管理サーバ5の構成及び処理内容)について説明する。
【0045】
制御システム1Aは、災害情報サーバ2と、車両3Aと、ゾーン設定情報サーバ4と、車両管理サーバ5とを含んで構成されている。車両3Aは、車両3の構成に対し、始動設定部33bを有しない制御部33Aを備えた構成となる。
【0046】
車両管理サーバ5は、車両管理センタに設置されたサーバである。車両管理センタは、複数の車両3Aについて、車両3Aの位置情報をリアルタイムで監視する。
【0047】
災害情報サーバ2と車両管理サーバ5とはネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。また、車両3Aと車両管理サーバ5とはネットワークNWを介した無線通信が可能である。
【0048】
車両管理サーバ5は、位置情報受信部51と、設定情報受信部52と、記憶部53と、制御部54と、指示送信部55と、を備える。
【0049】
位置情報受信部51は、車両3Aから送信された現在の位置情報を受信する。車両管理サーバ5は、複数の車両3Aから送信された車両3Aの位置情報を位置情報受信部51により受信可能である。
【0050】
設定情報受信部52は、ゾーン設定情報サーバ4から送信された設定情報を受信する。この設定情報受信部52はネットワークNWを介して設定情報送信部43と通信可能である。
【0051】
記憶部53は、車両3Aを管理するための各種情報を格納する。例えば、記憶部53には、ジオフェンシングゾーンが設定された区域に関する情報が格納されている。このジオフェンシング情報は予め格納された情報である。また、記憶部53は、位置情報データベース53aを有する。
【0052】
位置情報データベース53aは、車両3Aの位置情報を格納する。位置情報受信部51により受信された位置情報に基づいて、複数の車両3Aに関する位置情報がリアルタイムで位置情報データベース53aに格納される。つまり、位置情報データベース53aに格納された位置情報は、随時、最新の位置情報に更新される。
【0053】
制御部54は、CPU等のハードウェアを有するプロセッサを備えている。また、制御部54は、始動設定部54aを有する。
【0054】
制御部54は、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aを特定する。例えば、制御部54は、記憶部36に格納されたジオフェンシング情報と、位置情報データベース53aに格納された位置情報とに基づいて、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aを特定する。制御部54は、特定した車両3Aを対象として特定の車両制御(制御プログラム)を実行させる。
【0055】
指示送信部55は、車両3Aに向けて、特定の車両制御を実行させるための制御指示を送信する。例えば対象車両に向けた制御指示として、ジオフェンシングゾーン内においてエンジン12の駆動を禁止する指示(エンジン駆動禁止指示)や、ジオフェンシングゾーン外においてエンジン12の駆動を許可する指示(エンジン駆動許可指示)、始動制御ゾーンにおける車両3Aの始動制御等が挙げられる。
【0056】
実施の形態2では、車両管理サーバ5がゾーン設定情報サーバ4から設定情報を取得し、始動設定部54aが、始動制御ゾーンにおける車両3Aの始動制御を行う。具体的には、始動設定部54aが、始動制御ゾーン内に位置する車両3Aに対して始動制御の指示を出力する。各車両3Aでは、受信した指示にしたがって、始動制御ゾーン内においては、始動時にモータ11を駆動する。
【0057】
以上説明した実施の形態2では、実施の形態1と同様に、大雪等、例えば停車中の車両3Aの排気管の開口が閉塞され得る状況が予測される場合において、モータ11による始動に限定する始動制御ゾーンを設定し、各車両3Aが設定に応じて始動制御を行う。本実施の形態1によれば、仮に排気管の開口が閉状態となった場合であっても、モータ11によって車両3Aを移動させることができるため、排気管の開閉状態によらず車両を移動させることができる。
【0058】
また、実施の形態2では、複数の車両3Aに対し、始動設定部54aが始動制御の指示を一括して行うため、各車両3Aが始動制御を開始するための処理を実行する必要がない。このため、車両3Aの処理負担を軽減し、車両3Aのバッテリ13の低下を抑制することができる。
【0059】
なお、以上説明した実施の形態1、2において、例えば、災害情報サーバ2は、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報や、自治体など公的機関が発信した情報に基づいて、気象情報を検出することができる。例えば、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報を用いる場合、災害情報サーバ2はネットワークNWを介して情報を検出する。具体的には、インターネット上のSNS(Social Networking Service)に投稿された単語や、ある日に多くツイート(登録商標)された単語に基づいて、降雪等を示す情報を検知する構成としてもよい。
【0060】
また、HMI34は、カーナビ装置に限定されず、運転者の視覚や聴覚や知覚によって情報を伝える機能を有する装置であればよい。例えば、HMI34は、音声による報知が可能なオーディオなどの音声機器や、車両3、3Aの運転席に振動を発生させる装置などであってもよい。
【0061】
また、実施の形態1、2において、始動制御ゾーンを、ジオフェンシングゾーンを含む領域に設定してもよい。
【0062】
(記録媒体)
一実施形態において、制御システムによる処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械又は装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータ等が制御システムの各装置の制御部として機能する。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データ又はプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、DAT(Digital Audio Tape)、磁気テープ、フラッシュメモリ等のメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM等がある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【0063】
(その他の実施形態)
また、一実施形態による制御システムにおいては、「部」は、「回路」等に読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0064】
また、一実施形態による制御システムの各装置に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0065】
さらなる効果、変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 制御システム
2 災害情報サーバ
3、3A 車両
4 ゾーン設定情報サーバ
5 車両管理サーバ
11 モータ
12 エンジン
13 バッテリ
14 充電器
15 車両側コネクタ
16 インバータ
21 災害情報受信部
22 被災地情報作成部
23 被災地情報送信部
31 GPS受信部
32 通信部
33、54 制御部
33a 位置情報取得部
33b、54a 始動設定部
33c エンジン制御部
33d HMI制御部
33e パワートレーン制御部
34 HMI
35 パワートレーン
36、53 記憶部
41 被災地情報受信部
42 ゾーン設定情報作成部
43 設定情報送信部
51 位置情報受信部
52 設定情報受信部
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8