(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20241112BHJP
G08G 1/00 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
G06F8/65
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021108005
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊洋
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014253(JP,A)
【文献】特開2020-038585(JP,A)
【文献】特開2019-191943(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142749(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0191714(US,A1)
【文献】特開2018-005894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00-11/06
16/00-21/13
21/34-99/00
G06F 8/00-8/38
8/60-8/77
9/44-9/445
9/451
G08G 1/00-99/00
H04L51/00-51/58
67/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得するこ
と、
前記更新に関する情報に含まれる前記プログラムの更新用のデータのサイズを示す情報に基づいて、前記プログラムの更新に要する第1の時間長を取得すること、及び
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における
前記第1の時間長以上連続している前記車両の停車中
の時間に前記プログラムを更新する計画を立案するこ
と、
を実行する制御部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記更新用のデータのサイズを示す情報に基づいて、前記更新用のデータのダウンロードに要する第2の時間長を取得することをさらに実行し、
前記運行計画において、前記第1の時間長と第2の時間長との合計時間以上連続している前記車両の停車中の時間に前記プログラムを更新する計画を立案する
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得するこ
と、及び
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における前記車両の
第1の停車中
の時間に
前記プログラムの更新用のデータをダウンロードする計画を立案し、前記車両の第1の停車中の時間と異なる第2の停車中の時間に前記プログラムの更新用のデータを用いて前記プログラムを更新する計画を立案するこ
と、
を実行する制御部を備える、
情報処理装置。
【請求項4】
車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得することと、
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における前記車両の停車中に前記プログラムを更新する計画を立案することと、
を実行する制御部を備
え、
前記制御部は、
前記更新に関する情報が重要度の高い前記プログラムの更新を示す情報を含む場合に、前記運行計画における前記車両の運用を停止し、
前記運用の停止によって停車中となった前記車両に対する前記プログラムの更新計画を立案する、
情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記プログラムの更新用のデータの配信開始日時以降における前記車両の運用を停止し、
前記運用の停止によって停車中となった前記車両に対する前記プログラムの更新用のデータのダウンロードと前記更新用のデータを用いた前記プログラムの更新とを行う前記更新計画を立案する、
請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記プログラムの更新済の代替車両を前記車両の代わりに運用する計画を立案する、
請求項
4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記更新に関する情報に含まれた前記プログラムの更新用のデータの配信開始日時以降の前記車両の停車中の時間に前記プログラムを更新する計画を立案する、請求項
1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プログラムは、前記車両の走行制御に関するプログラムである
請求項1
から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記プログラムを更新する計画に従って、前記車両の停車中に前記プログラムの更新用のデータをダウンロードし、前記更新用のデータを用いて前記プログラムを更新する指示を前記車両に送信する、
請求項
1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
情報処理装置が、
車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得するこ
と、
前記更新に関する情報に含まれる前記プログラムの更新用のデータのサイズを示す情報に基づいて、前記プログラムの更新に要する第1の時間長を取得すること、及び
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における
前記第1の時間長以上連続している前記車両の停車中
の時間に前記プログラムを更新する計画を立案するこ
と、
を実行する、
情報処理方法。
【請求項11】
前記情報処理装置は、
前記更新用のデータのサイズを示す情報に基づいて、前記更新用のデータのダウンロードに要する第2の時間長を取得することをさらに実行し、
前記運行計画において、前記第1の時間長と第2の時間長との合計時間以上連続している前記車両の停車中の時間に前記プログラムを更新する計画を立案する
請求項
10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
情報処理装置が、
車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得するこ
と、及び
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における前記車両の
第1の停車中
の時間に
前記プログラムの更新用のデータをダウンロードする計画を立案し、前記車両の第1の停車中の時間と異なる第2の停車中の時間に前記プログラムの更新用のデータを用いて前記プログラムを更新する計画を立案するこ
と、
を実行する、
情報処理方法。
【請求項13】
情報処理装置が、
車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得することと、
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における前記車両の停車中に前記プログラムを更新する計画を立案することと、
を実行する情報処理方法
であって、
前記情報処理装置は、
前記更新に関する情報が重要度の高い前記プログラムの更新を示す情報を含む場合に、前記運行計画における前記車両の運用を停止し、
前記運用の停止によって停車中となった前記車両に対する前記プログラムの更新計画を立案する、
情報処理方法。
【請求項14】
前記情報処理装置は、
前記プログラムの更新用のデータの配信開始日時以降における前記車両の運用を停止し、
前記運用の停止によって停車中となった前記車両に対する前記プログラムの更新用のデータのダウンロードと前記更新用のデータを用いた前記プログラムの更新とを行う計画を立案する
請求項
13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記情報処理装置は、前記プログラムの更新済の代替車両を前記車両の代わりに運用する計画を立案する
請求項
13又は14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記情報処理装置は、前記更新に関する情報に含まれた前記プログラムの更新用のデータの配信開始日時以降の前記車両の停車中の時間に前記プログラムを更新する計画を立案する、
請求項
10から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記プログラムは、前記車両の走行制御に関するプログラムである
請求項
11から16のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能な車両とを含み、
前記情報処理装置は、
前記車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得するこ
と、
前記更新に関する情報に含まれる前記プログラムの更新用のデータのサイズを示す情報に基づいて、前記プログラムの更新に要する第1の時間長を取得すること、
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における
前記第1の時間長以上連続している前記車両の停車中
の時間に前記プログラムを更新する計画を立案するこ
と、及び
前記プログラムを更新する計画に従って前記プログラムを更新する指示を前記車両に送信するこ
と、
を実行する制御部を含み、
前記車両は、前記指示に従って前記プログラムの更新を行う
情報処理システム。
【請求項19】
情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能な車両とを含み、
前記情報処理装置は、
前記車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得するこ
と、
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における前記車両の
第1の停車中
の時間に
前記プログラムの更新用のデータをダウンロードする計画を立案し、前記車両の第1の停車中の時間と異なる第2の停車中の時間に前記プログラムの更新用のデータを用いて前記プログラムを更新する計画を立案するこ
と、及び
前記プログラムを更新する計画に従って前記プログラムを更新する指示を前記車両に送信するこ
と、
を実行する制御部を含み、
前記車両は、前記指示に従って前記プログラムの更新を行う
情報処理システム。
【請求項20】
情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能な車両とを含み、
前記情報処理装置は、
前記車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得するこ
と、
前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における前記車両の停車中に前記プログラムを更新する計画を立案するこ
と、及び
前記プログラムを更新する計画に従って前記プログラムを更新する指示を前記車両に送信するこ
と、
を実行する制御部を含み、
前記制御部は、
前記更新に関する情報が重要度の高い前記プログラムの更新を示す情報を含む場合に、前記運行計画における前記車両の運用を停止し、
前記運用の停止によって停車中となった前記車両に対する前記プログラムの更新計画を立案し、
前記車両は、前記指示に従って前記プログラムの更新を行う
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の利用者のスケジュール情報、および複数の利用者のうち少なくとも一部の利用者の相互関係を示す属性情報を取得し、取得された情報に基づいて、自動運転車両の運行スケジュールを決定する運行スケジュール決定装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/230646号
【文献】特開2018-132979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、車両に実装されたプログラムの更新を適切なタイミングで実行可能とする情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得することと、前記更新に関する情報に基づいて、運行計画における前記車両の停車中に前記プログラムを更新する計画を立案することと、を実行する制御部を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示は、他の態様として、上記した情報処理装置と同様の特徴を有する情報処理方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体、及び情報処理システムなどを含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両に実装されたプログラムの更新を適切なタイミングで実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の情報処理システムを例示する図である。
【
図3】
図3は、車両センタから管制センタに送信されるリリースNOTEの例である。
【
図4】
図4は、管制センタが各移動体に配信する運行スケジュールのデータ例である。
【
図5】
図5は、管制センタが保持する各移動体の状態情報を例示する図である。
【
図6】
図6は、管制センタの処理例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、管制センタの処理例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、車両のCentral ECUの処理例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、車両センタの処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る情報処理装置は、制御部を備える。制御部は、車両に実装されたプログラムの更新に関する情報を取得することと、更新に関する情報に基づいて、運行計画にお
ける車両の停車中にプログラムを更新する計画を立案することと、を実行する。
【0010】
ここに、プログラムは、車両の走行制御に関するプログラムであるのが好ましいが、それ以外のプログラムであってもよい。車両に実装されたとは、車両に備わる車載コンピュータに使用される、或いは実行されることを含む。
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理システムを説明する。実施形態の構成は例示である。実施形態の構成は適宜組み合わせることができる。
【0012】
<システム構成>
図1は、第1実施形態の情報処理システム100を例示する図である。情報処理システム100は、移動体2と、車両センタ3のコンピュータと、管制センタ4のコンピュータとを有する。以下、車両センタ3のコンピュータ、及び、管制センタ4のコンピュータを単に車両センタ3、及び、管制センタ4とも呼ぶ。移動体2と、車両センタ3と、管制センタ4とはネットワークNで接続される。
【0013】
ネットワークNは、有線ネットワーク、及び、無線ネットワークを含む。有線ネットワークは、例えば、コアネットワーク、バックボーン等とも呼ばれ、光ファイバ網等で例示されるブロードバンドネットワークである。無線ネットワークは、例えば、Long Term Evolution(LTE)、第5世代移動通信システム(5G)、第6世代移動通信システム(
6G)等で例示される携帯電話網を含む。
【0014】
移動体2は、例えば、車両である。車両は4輪でも、3輪でも、2輪でもよい。車両はエンジンで駆動されるものでもよいし、モータで駆動されるものでもよい。車両は自律走行可能または自動走行可能な自動運転システムを搭載した車両でもよい。移動体2は、情報処理装置たる管制センタ4と通信可能な車両の一例である。
【0015】
図1において、移動体2は、Data Communication Module(DCM)21と、Central Electrical Control Unit(Central ECU)22とを有する。移動体2は、さらに、User Interface (UIF)装置23と、予防安全装置24と、Advanced Drive System(A
DS)25と、音・映像・NAVI装置26とを有する。
【0016】
DCM21は、ネットワークNにアクセスし、他の移動体、車両センタ3、または、管制センタ4等と通信する通信装置である。DCM21は、携帯通信網を介した無線通信が可能である。
【0017】
Central ECU22は、移動体2内の各機器を管理する。Central ECU22は、例えば、プロセッサとメモリを有する。プロセッサはメモリ上のコンピュータプログラム(以下、単に「プログラム」と称する)を実行し、Central ECU22としての処理を実
行する。Central ECU22は、例えば、移動体2内の各機器に搭載されたECUで実
行されるプログラムを更新し、更新の進捗を管理する。また、Central ECU22は、
プログラムを更新したときのエラーを検出し、エラー発生時の処理を実行する。Central
ECU22とDCM21の組み合わせは車両に搭載されたコンピュータ(車載コンピュータ)の一例である。
【0018】
UIF装置23は、例えば、移動体2内の各機器に搭載されたECUで実行されるプログラムを更新するときに、ユーザインターフェースを提供する。ユーザインターフェースは、リプログラミングHuman Machine Interface(リプロHMI)とも呼ばれる。UIF装
置23も、Central ECU22と同様のECUを有する。Central ECU22、UIF
装置23内のECU等は、共通ECU群と呼ぶことができる。
【0019】
予防安全装置24は、ECUを内蔵し、プログラムの処理により衝突回避支援処理を実行する。予防安全装置24は、レーダ、及び、カメラ等のセンサからの信号を基に、例えば、衝突の回避のサポート、車線逸脱の報知、オートマチックハイビーム、レーダークルーズコントロール等を実行する。
【0020】
ADS25には、Spatial Information Service(SIS)27、及び、Advanced Drive Extension(ADX)28等が接続される。ADS25、SIS27、及び、ADX2
8は、それぞれECUを内蔵し、プログラムの処理により高度で先進的な運転支援処理を実行する。ADS25は、例えば、Light Detection and Ranging(LiDAR)からの
検出信号により移動体2の周辺の車両または立体物等を検知し、移動体2自身の位置を推定し、運動制御を実行する。
【0021】
SIS27は、移動体2自身の姿勢、及び、地図上の位置等をADS25に提供する。すなわち、SIS27は、global navigation satellite system(GNSS)またはglobal positioning system(GPS)からの位置情報を取得する。また、SIS27は、ジ
ャイロセンサからの6軸の加速度信号、ナビゲーションシステムからの経路情報または地図情報等を取得する。SIS27は、取得した情報を基に移動体2自身の姿勢、及び、地図上の位置等を計算する。ADX28は、Artificial Intelligence(AI)システムを適
用し、上記の様々なセンサ等からの情報を認識し、処理し、処理結果をADS25に通知する。
【0022】
音・映像・NAVI装置26には、Rear Seat Entertainment(RSE)2Bが接続さ
れる。音・映像・NAVI装置26、及び、RSE2BはそれぞれECUを内蔵し、プログラムの処理により、移動体2の利用者に音、映像、及び、地図情報等による様々な機能を提供する。
【0023】
図1のように、音・映像・NAVI装置26には、さらに、例えば、信号増幅用のAMP29、および操作部2Aが接続可能である。操作部2Aは、例えば、タッチディスプレイであり、利用者に情報を表示し、利用者からの操作を受け付ける。RSE2Bは、移動体2が後部座席を有する車両の場合に、車室内の後席で、独立してテレビジョン放送、及び、Digital Versatile Disc(DVD)映像などを後席に着座する利用者に提供する。
【0024】
以上の予防安全装置24、ADS25、及び、音・映像・NAVI装置26のECUと、これらに接続される各装置のECUは、個別ECU群と呼ぶことができる。Central ECU22は、個別ECU群に搭載されるプログラムの更新の進捗と更新時のエラーを管理する。なお、予防安全装置24、ADS25、SIS27、音・映像・NAVI装置26の夫々のECUに使用される(ECUで実行される)プログラムは、移動体の移動制御(車両の走行制御)に関するプログラムの一例である。
【0025】
車両センタ3は、移動体2を販売し、または、移動体2を保守する会社等の組織またはその会社等から委託を受けた会社等により運用される。車両センタ3は、これらの会社等が販売し、または、保守するすべての移動体に搭載されるECU等の部品を管理する。また、車両センタ3は、これらのECUそれぞれで実行されるプログラムの種類とバージョンを管理する。車両センタ3は移動体2等にプログラムを更新するための更新用データを配信する。更新用データは単に更新プログラムということもできる。共通ECU群及び個別ECU群に含まれる各ECUは、「車載コンピュータ」の一例である。
【0026】
管制センタ4は、それぞれの移動体2の運行、及び、保守等を管理する。管制センタ4
は、例えば、フリートマネジメントサービス(FMS)を提供するFMS会社のコンピュータである。管制センタ4は、例えば、定期的に運行される移動体2の運行開始時刻、運行、運行終了時刻、及び、保守時間帯等の運行スケジュールを作成する。管制センタ4は、運行スケジュールを適時更新し、移動体2に配布し、移動体2の運行を管理する。また、管制センタ4は、非定期で利用されるサービス、例えば、ライドシェアサービスにおける移動体2の走行開始日時、走行終了日時、及び、保守日時を含むシェアリングでの利用スケジュールを管理する。また、管制センタ4は、レンタルで利用される移動体2の貸し出しスケジュールを管理する。以下、移動体2の運行、利用、及び、貸し出し等に関するスケジュールを総称して単に運行スケジュールと呼ぶ。さらに、移動体2が電動車の場合には、管制センタ4は、移動体2の充電の予定を運行スケジュールに組み込み、管理する。
【0027】
上記の通り、移動体2は、ECUを内蔵する様々な部品を搭載する。各部品内のECUで実行されるプログラムは、改良または不具合対策に伴う更新を受ける。ところで、移動体2は安全性が要求される。そのため、移動体2に搭載されたECU用のプログラムの更新は、移動体2が走行を停止した保守期間中(停止中の時間)に実行される。
【0028】
車両センタ3は、各ECUのプログラムについての最新の更新内容と更新スケジュールをリリースNOTEの形式で、管制センタ4に通知する。管制センタ4は、リリースNOTEを受信すると、それぞれの移動体2の運行スケジュールに、各ECUのプログラムの更新スケジュールを組み込む。すなわち、管制センタ4は、各移動体2が走行していない保守期間中に各ECUのプログラムの更新が完了するように移動体2の運行スケジュールを計画する。管制センタ4は、確定した運行スケジュールを移動体2に通知し(
図1の計画配信)、それぞれのECUのプログラムの更新を実行させる。
【0029】
移動体2のDCM21は、ネットワークNを介して、車両センタ3、及び、管制センタ4と通信する。DCM21は、管制センタ4からプログラムの更新計画を含む運行スケジュールを受信する(
図1の計画配信)。Central ECU22は、DCM21と例えば、Ethernet(登録商標)によって例示される移動体内のネットワークで接続される。
【0030】
DCM21は、受信した運行スケジュールにしたがって、車両センタ3にアクセスし、プログラムを更新するための更新用データを取得し、Central ECU22に転送する。Central ECU22は、移動体2が停止中の保守期間中に共通ECU群、及び、個別ECU群を含む各ECUのプログラムを更新する。DCM21は、Central ECU22による各ECUの更新が完了すると、完了報告を管制センタ4に通知する。
【0031】
UIF装置23は、例えば、Controller Area Network(CAN(登録商標))で例示される移動体内のネットワークによってCentral ECU22と接続される。UIF装置23は、リプロHMIを介して、利用者の操作による確認の入力を受け付けてもよい。すなわち、Central ECU22は、UIF装置23でユーザにプログラムの更新開始の確認を求め、確認が得られた後に、更新を開始してもよい。なお、UIF装置23自身も、Central ECU22から更新用データを取得し、UIF装置23のプログラムを更新する。
【0032】
予防安全装置24は、例えば、Controller Area Network with Flexible Data rate (
CAN-FD(CANは登録商標))で例示される移動体2内のネットワークによってCentral ECU22と接続される。予防安全装置24は、Central ECU22からプログラ
ムの更新用データを受け、更新を実行する。そして、予防安全装置24は、更新に伴うステータスをCentral ECU22に報告する。
【0033】
ADS25と音・映像・NAVI装置26は、例えば、Ethernet(登録商標)で例示され
る移動体内のネットワークでCentral ECU22と接続される。ADS25と音・映像・NAVI装置26は、それぞれ、Central ECU22からプログラムの更新用データを受ける。そして、ADS25と音・映像・NAVI装置26は、それぞれ、自身、及び、配下のECUのプログラムの更新を実行する。ADS25と音・映像・NAVI装置26は、更新に伴うステータスをCentral ECU22に報告する。
【0034】
<車両センタ、管制センタの構成例>
図2は、車両センタ3、或いは管制センタ4として動作可能な端末装置200の構成例を示す図である。端末装置200として、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)又はワークステーションなどの汎用の情報処理装置(コンピュータ)、或いはサーバマシンのような専用の情報処理装置を適用することができる。端末装置200は、通信機能を有し、有線又は無線によりネットワークNと接続可能である。
【0035】
図2において、端末装置200は、バス206を介して相互に接続された、処理部又は制御部(コントローラ)としてのプロセッサ201と、記憶装置202と、通信装置203と、入力装置204と、出力装置205とを含む。車両センタ3及び管制センタ4の夫々は、1台の端末装置200でも、2以上の端末装置200の集合(クラウド)でもよい。
【0036】
記憶装置202は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、プログラム及びデータの記憶領域、プログラムの展開領域、プログラムの作業領域、及び通信データのバッファ領域などとして使用される。主記憶装置はRAM(Random Access Memory)、又はRAMとROM(Read Only Memory)との組み合わせで構成される。補助記憶装置は、データ及びプログラムの記憶領域として使用される。補助記憶装置として、不揮発性記憶媒体を適用することができる。不揮発性記憶媒体は、例えば、ハードディスク、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ、及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを含む。
【0037】
通信装置203は、通信処理を行う回路であり、送信部及び受信部(通信部)として動作する。例えば、通信装置203は、ネットワークインタフェースカード(NIC)である。また、通信装置203は、無線通信(LTE、5G、無線LAN(Wi-Fi)、B
LEなど)を行う無線通信回路であってもよい。また、通信装置203は、有線の通信処理を行う回路と、無線通信回路との双方を含んでいてもよい。
【0038】
入力装置204は、キー、ボタン、ポインティングデバイス、及びタッチパネル等を含み、情報の入力に使用される。入力装置204は、マイク(音声入力装置)を含んでいてもよい。出力装置205は、例えば液晶ディスプレイ、或いは有機ELディスプレイなどであり、情報及びデータを表示する。出力装置205は、スピーカ(音声出力装置)を含んでいてもよい。
【0039】
プロセッサ201は、例えばCPU(Central Processing Unit)などである。プロセ
ッサ201は、記憶装置202に記憶された各種のプログラムを実行することによって、様々な処理を行う。
【0040】
例えば、車両センタ3として動作する端末装置200のプロセッサ201は、プログラムの実行によって、端末装置200を上述した車両センタ3として動作させる。また、管制センタとして動作する端末装置200のプロセッサ201は、プログラムの実行によって、端末装置200を管制センタ4として動作させるプログラムを実行する。
【0041】
なお、上述したプロセッサ201として、複数個のCPUを適用しても、マルチコア型
のCPUを適用してもよい。CPUによって行われる処理の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)又はGPU(Graphical Processing Unit)のようなCPU
以外のプロセッサによって行われてもよい。また、CPUによって行われる処理の少なくとも一部が、専用又は汎用の集積回路(ハードウェア)によって行われてもよい。集積回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、或いはFPGA(Field
Programmable Gate Array)などを含む。或いは、CPUによって行われる処理の少なくとも一部が、プロセッサと集積回路との組み合わせにより実行されてもよい。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラ(MCU)、SoC(System-on-a-chip)、システムLSI、又はチップセットなどと呼ばれる。
【0042】
<データ例>
図3は、車両センタ3から管制センタ4に送信されるリリースNOTEの例である。
図3に示す例では、リリースNOTEは、”キーワード:値”の形式で、キーワードに対する値が指定されている。また、
図3の例では、”キーワード:値”の組が中括弧”{}”で閉じて、階層的に記述されている。
【0043】
すなわち、
図3から、移動体2の種別(vehicle type)がE-palette G0であることがわかる。また、リリースされるシステムバージョン(System version)がV07-01であることがわかる。また、リリース日がddmmmyyyyであるプログラムのリリースNOTEであるこ
とがわかる。ここで、システムバージョンは、移動体2にインストールされるプログラム群全体に付与されるバージョンである。また、このリリースNOTEには、ECUの種別(ECU type)ごとに、プログラムの種類、バージョン、プログラムの更新用のデータ(更新用データ)のデータサイズ(データ量、Volume)等が記述さている。例えば、Central ECUのプログラムであるPC1のバージョンはV07-01-1であり、データサイズがV1 M
Bであることが分かる。
【0044】
なお、リリースNOTEが
図3の形式に限定される訳ではない。例えば、リリースNOTEは、HyperText Markup Language(HTML)、または、Extensible Markup Language(XML)等の規定のフォーマットで記述されてもよい。また、リリースNOTEは、
複数の要素を含むレコードを配列した表形式で記述されてもよい。また、リリースNOTEは、プログラムの更新の重要度を示す情報を含むことができる。重要度は、例えば、「通常」及び「高」で示され、「高」、すなわち重要度の高い更新について、Central ECU22が「通常」の更新と異なる動作を行う構成となっていてもよい。
【0045】
図4は、管制センタ4が管理対象の移動体2に配信する運行計画(運行スケジュール。
図1の「計画配信」で配信されるもの)のデータ例である。運行計画は、移動体2ごとに作成される。このため、運行計画は移動体2を識別するための移動体IDを含む。また、
図4のデータ例では、運行計画は、日ごとに作成され、年月日を含む。さらに、
図4のデータ例では、運行計画は、時間帯ごとの移動体2の運行、及び、保守等の予定が規定されている。
【0046】
例えば、年月日DDMMMYYYYにおいて、0:00から9:00までの間は、移動体2の保守が実施される。保守は、移動体ID:E-PALETTE EV1のバッテリの充電と、プ
ログラムの更新を含む。移動体ID:E-PALETTE EV1は、9:00から11:00まで運
行する。移動体ID:E-PALETTE EV1は、11:00から13:00までの間、運行を停
止し、保守状態となり、バッテリが充電される。移動体ID:E-PALETTE EV1は、13:
00から23:00まで運行し、23時以降運行を停止し、保守状態となる。なお、
図4の例では、13:00から22:00までの間の保守の予定と運行の予定の詳細は省略されている。
【0047】
図4に示すように、プログラムの更新、及びプログラムの更新用データのダウンロードは、移動体2が保守状態にある時間帯、すなわち、車両の停止中の時間に行われる。
図4に示す例では、0:00~7:59までの保守状態の時間帯に、プログラムの更新用データのダウンロード及びプログラムの更新が計画されている。但し、ダウンロードによる更新用データの取得は必須ではなく、Central ECU22に接続された記憶媒体から更新用データが読み出されるようにしてもよい。この場合、ダウンロード計画の規定は不要となる。また、ダウンロードの時間と、プログラム更新の時間とが、運行状態(走行中)の時間を挟んだ別の時間帯に規定(設定)されてもよい。例えば、ダウンロードが0:00~7:59の時間帯に設定され、プログラムの更新が11:00~12:59までの時間帯に設定されてもよい。
【0048】
なお、管制センタ4が作成する運行計画のデータ構造は、
図4に示すデータ例に限定される訳ではない。例えば、
図4では、時間帯が1時間ごとの細かさで定義されている。しかし、時間帯が分単位の細かさで定義されてもよい。また、運行計画は1日ごとに作成されなくもよく、例えば、1週間単位で作成されてもよい。また、運行計画は1ヶ月ごとに作成されてもよい。また、運行計画は、平日(月~金)、土曜日、及び、休祝日ごとに作成されてもよい。
【0049】
図5は、管制センタ4が保持する各移動体2の状態情報を例示する図である。状態情報は、移動体2の現在のプログラムの更新状態、及び、バッテリ状態等を記録する。状態情報は、管制センタ4の所定のデータベース(記憶装置202に記憶される)に保存される。
図5に示す例では、状態情報は、移動体IDと、最終更新日と、移動体2にインストールされたプログラム群全体のシステムバージョンと、前回の運行完了日時と、バッテリ状態を有する。
【0050】
ここで、移動体IDは、
図4と同様に、移動体2をユニークに識別する識別情報である。最終更新日は、移動体2(
図5では、移動体IDがE-PALETTE EV1のもの)が、最終的
に各部のECUのプログラム群を更新した更新日である。プログラム群のシステムバージョンは、
図3での説明と同様、移動体2における更新後のプログラム群全体のバージョンである。
【0051】
しかし、状態情報は、このような構成に限定される訳ではない。例えば、状態情報は、各部のECUごとに個別に、それぞれのプログラムの現在のバージョン(
図3の各プログラムのバージョンVersion:V07-01-1等)を保持してもよい。管制センタ4は、移動体2から更新完了の報告を受信したときに、最終更新日時と、更新後のプログラム群全体のシステムバージョンを状態情報に記録する。
【0052】
前回の運行完了日時は、移動体2(
図5では、移動体IDがE-PALETTE EV1のもの)が
、前回の運行を完了し、管制センタに報告した日時である。バッテリ状態は、現在のバッテリの充電状態(State Of Charge(SOC))である。管制センタ4は、移動体2から
運行完了報告とともにバッテリの充電状態を取得し、状態情報の「バッテリ状態」に記録する。バッテリの充電状態(SOC)は、例えば、満充電時の電力量に対する残量の比率のパーセンテージ表示で示される。
【0053】
<管制センタにおける処理>
図6及び
図7は、管制センタ4として動作する端末装置200のプロセッサ201(管制センタ4のプロセッサ201)の処理例を示すフローチャートである。
図6及び
図7に示す処理は、管理対象の移動体2毎、或いは、適宜の手法でグループ分けされた2以上の移動体2が属するグループ単位で行われてもよい。
【0054】
図6において、ステップS001では、プロセッサ201は、管制センタ4が車両センタ3からネットワークNを介して受信したリリースNOTEを取得して、リリースNOTE中のシステムバージョンから更新対象のプログラムを特定する。
【0055】
ステップS002では、プロセッサ201は、リリースNOTEに、重要度の高いプログラムの更新を示す情報が含まれているか否かを判定する。重要度の高いプログラムの更新を示す情報が含まれていると判定される場合には、処理がステップS009に進み、そうでない場合には、処理がステップS003に進む。
【0056】
ステップS003では、プロセッサ201は、リリースNOTE中のリリース日から、プログラムの更新用データの配信開始日時を特定する。ステップS004では、プロセッサ201は、記憶装置202から、配信開始日時以降の所定の日(例えば、配信開始日或いはその翌日)における移動体2の運行計画データを取得する。
【0057】
ステップS005では、プロセッサ201は、リリースNOTEから、更新用データのサイズ、すなわちダウンロード対象のデータのサイズを特定する。
【0058】
ステップS006では、プロセッサ201は、更新用データのサイズ、及びDCM21の通信性能(スループット)を示す情報などから、更新用データのダウンロードに要する時間を算出する。また、プロセッサ201は、更新用データのサイズ、及びCentral ECU22の性能(単位時間に処理可能なデータ量)を示す情報などから、更新用データを用いたプログラムの更新に要する時間を算出する。
【0059】
例えば、更新用データのサイズ(ダウンロードサイズ)が1GBであり、DCM21のスループットが40Mbpsである場合、通信時間は1GB/40Mbps=200秒となる。この通信時間が更新用データのダウンロードに要する時間となる。また、Central ECU22が1秒あたり1MBのデータを処理できる場合、プログラムの更新(書き換え)に要する時間(更新時間)は、1GB/(1MB/s)=1000秒となる。通信時間は、「第2の時間長」の一例であり、更新時間は「第1の時間長」の一例である。
【0060】
ステップS007では、プロセッサ201は、更新用データのダウンロード計画、及びプログラムの更新計画を運行計画に設定する。すなわち、プロセッサ201は、ステップS003で取得した所定の日の運行計画データから、当日の保守状態の時間帯を特定し、上述した通信時間と更新時間との合計値以上の時間長を有する保守状態の時間帯を特定する。そして、プロセッサ201は、特定した時間帯における所定時刻(例えば、時間帯の開始時刻と同時、或いは開始時刻から所定時間経過後の時刻)を、ダウンロードの開始時刻として設定する。また、ダウンロードの終了時刻より後の時刻を、更新開始時刻に設定する。このとき、更新終了時刻が特定した時間帯内に収まるように、更新開始時刻が設定される。ここで、或る保守状態の時間帯において、ダウンロード及び更新に要する時間が収まらない場合、プロセッサ201は、或る保守状態の時間帯においてダウンロードを行い、更新は別の保守状態の時間帯に行う設定を行う。このようにして、プロセッサ201は、移動体2の運行計画において、ダウンロード及び更新を行う計画を設定(立案)する。
【0061】
ステップS008では、プロセッサ201は、移動体2に対する指示を生成する。移動体2に対する指示は、ダウンロード開始時刻に更新用データのダウンロードを開始する指示、更新開始時刻に更新用データを用いたプログラムの更新を開始する指示を含む。移動体2に対する指示は、通信装置203からネットワークNに送出され、移動体2のDCM21にて受信される。
【0062】
ステップS009及びステップS010では、プロセッサ201は、ステップS003及びステップS004と同様に、リリースNOTEから更新用データの配信開始日時を特定し、配信開始日時以降の所定日の運行計画データを取得する。
【0063】
ステップS011では、プロセッサ201は、所定日の運行計画に対する移動体2の運行を停止すること(運行計画の停止)を決定する。所定日として、更新用データの配信開始日時を含む日が優先的に選定されるようにしてもよい。
【0064】
ステップS012では、プロセッサ201は、所定日における、移動体2の更新用データのダウンロード及びプログラム更新の計画を立案する。例えば、更新用データの配信開始日時が9:30であり、配信開始日時を含む所定日の運行計画が、例えば
図4に示した例のように、9:00~10:59の間、移動体2を走行させる計画であると仮定する。この場合、プロセッサ201は、所定日の運行計画を停止し、所定日の9:30以降の時間において、移動体2が停車中の状態を連続して維持し続ける時間帯を設ける。そして、プロセッサ201は、当該時間帯に、ダウンロード及び更新を行う(ダウンロード開始時刻と更新開始時刻とを設定する)計画を立案する。
【0065】
ステップS013では、プロセッサ201は、代替移動体(代替車両)の選定を行う。代替移動体は、運行が停止された移動体2の代わりに、運行計画に従った運行を行う移動体(車両)である。記憶装置202には、プログラムの更新が済んでおり、所定日に運行の予定のない代替移動体の情報が予め記憶されており、プロセッサ201は、当該情報によって特定される移動体を代替移動体に決定する。
【0066】
ステップS014では、プロセッサ201は、代替移動体に対し、所定日における運行計画を割り当てる。例えば、運行が停止された移動体2が9:00以降、
図4に示された内容で運行される予定であった場合には、プロセッサ201は、代替移動体に対し、9:00以降の運行計画を割り当てる。このとき、プロセッサ201は、所定日の全体の運行計画を割り当ててもよい。
【0067】
ステップS015では、プロセッサ201は、移動体2に対する指示を生成する。移動体2に対する指示は、所定日の運行の停止を示す運行計画の変更指示と、所定日におけるダウンロード開始時刻に更新用データのダウンロードを開始する指示、更新開始時刻に更新用データを用いたプログラムの更新を開始する指示を含む。移動体2に対する指示は、通信装置203からネットワークNに送出され、移動体2のDCM21にて受信される。
【0068】
ステップS016では、プロセッサ201は、代替移動体に対する指示を生成する。代替移動体に対する指示は、所定日の運行の内容を示す運行計画の変更指示を含む。代替移動体に対する指示は、通信装置203からネットワークNに送出され、代替移動体に受信される。代替移動体は、所定日における運行計画を変更し、所定日において、移動体2の代わりに運行する。
【0069】
<移動体及び車両センタにおける処理>
図8は、移動体2のCentral ECU22(以下「ECU22」と表記)の処理例を示すフローチャートである。
図9は、車両センタ3の処理例を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS101では、ECU22は、DCM21がネットワークNを介して管制センタ4から受信した、ダウンロード及び更新に係る指示を取得する。
【0071】
ステップS102では、ECU22は、管制センタ4からの指示に、運行計画の変更指示が含まれているか否かを判定する。このとき、運行計画の変更指示が含まれていると判
定される場合には、処理がステップS103に進み、そうでない場合には、処理がステップS104に進む。
【0072】
ステップS103では、ECU22は、運行計画の変更を行う。すなわち、ECU22は、運行計画の変更指示で指定された所定日における運行計画を変更指示に従って変更する。これによって、所定日における本来の運行計画が停止される。
【0073】
ステップS104では、ECU22は、管制センタ4からの指示に含まれた、所定日におけるダウンロード開始時刻に更新用データのダウンロードを開始する予約設定を行う。また、ECU22は、及び所定日における更新開始時刻に更新用データを用いたプログラムの更新を開始する予約設定を行う。
【0074】
ステップS105では、ECU22は、ダウンロード開始時刻の到来を待ち受け、ダウンロード開始時刻になったと判定されると、更新用データのダウンロードを行う(ステップS106)。すなわち、ECU22は、更新用データのダウンロード要求のメッセージを生成し、ダウンロード要求は、DCM21からネットワークNへ送出され、車両センタ3で受信される。
【0075】
車両センタ3では、車両センタ3として動作する端末装置200のプロセッサ201(車両センタ3のプロセッサ201)が、通信装置203を介してダウンロード要求を取得する(
図9のステップS201)。
【0076】
車両センタ3のプロセッサ201は、ダウンロード要求に含まれたプログラムの更新用データを示す情報を元に、車両センタ3の記憶装置202からダウンロード要求に応じた更新用データを読み出す制御を行う。また、車両センタ3のプロセッサ201は、更新用データを移動体2へ送信する制御を行う(
図9のステップS202)。これにより、更新用データが通信装置203からネットワークNへ送出される。
【0077】
移動体2では、DCM21が更新用データをネットワークNから受信する。移動体2のECU22は、DCM21から更新用データを受け取る。このようにして、更新用データのダウンロードが行われる。
【0078】
ステップS107において、ECU22がダウンロードが完了と判定すると(ステップS107のYES)、ECU22は、プログラムの更新開始時刻の到来を待ち受ける(ステップS108)。更新開始時刻が到来したと判定されると(ステップS108のYES)、ECU22は、更新用データを用いたプログラムの更新を行う(ステップS109)。そして、プログラムの更新が完了したと判定されると(ステップS110のYES)、ECU22は、
図6及び
図7の処理を終了する。
【0079】
<実施形態の作用効果>
実施形態では、管制センタ4(情報処理装置)がプロセッサ201(制御部)を備える。プロセッサ201は、運行計画に従って運行される移動体2(車両)に実装された(移動体2に搭載されたECUによって使用される)プログラムの更新に関する情報としてのリリースNOTEを取得する。プロセッサ201は、リリースNOTEに基づいて、運行計画における移動体2の停車中にプログラムを更新する計画を立案する(
図6のステップS007)。
【0080】
上記構成によって移動体2がプログラムを更新する計画に従ってプログラムの更新を行うことで、移動体2の停止中(車両の停車中)にプログラムの更新が行われることになる。プログラムは、移動体2の移動(車両の走行)に関するプログラムを含むため、移動中
の更新によって、移動に支障を来す可能性がある。停車中の走行により、安全な環境でプロセッサの更新を行うことができる。すなわち、適切なタイミングでプログラムを更新することができる。
【0081】
実施形態において、プロセッサ201は、更新に関する情報(リリースNOTE)に含まれるプログラムの更新用データのサイズを示す情報に基づいて、プログラムの更新に要する第1の時間長(更新時間)を算出(取得)する(
図6のステップS006)。そして、プロセッサ201は、運行計画において、第1の時間長以上連続している移動体2の停止中の時間(保守状態の時間、例えば0:00~7:59)にプログラムを更新する計画を立案する(ステップS007)。これによって、停止中の時間にプログラムを更新することができる。
【0082】
また、実施形態において、プロセッサ201は、更新用データのサイズを示す情報に基づいて、更新用データのダウンロードに要する第2の時間長(通信時間)を取得することをさらに実行する(ステップS006)。そして、プロセッサ201は、運行計画において、第1の時間長と第2の時間長との合計時間以上連続している移動体2の停止中の時間(保守状態の時間帯)にプログラムを更新する計画を立案する(ステップS007)。これによって、移動体2の停止中という安全な環境下で更新用データのダウンロードを行うことができる。
【0083】
また、実施形態において、プロセッサ201は、
図6のステップS007において、運行計画における移動体2の第1の停車中の時間(例えば、
図4における0:00~7:59の時間帯)に更新用データをダウンロードする計画を立案することができる。また、プロセッサ201は、第1の停車中の時間と異なる第2の停車中の時間(例えば、
図4における11:00~12:59の時間帯)に、ダウンロード済みの更新用データを用いてプログラムを更新する計画を立案する。このように、ダウンロードと更新を異なる時間帯で実施することができる。
【0084】
また、実施形態において、プロセッサ201は、リリースNOTEに含まれたプログラムの更新用データの配信開始日時以降の移動体2の保守状態(車両の停車中)の時間にプログラムを更新する計画を立案することができる(ステップS006及びS007)。
【0085】
また、実施形態において、プロセッサ201は、リリースNOTEが重要度の高いプログラムの更新を示す情報を含む場合に、運行計画における移動体2の運用を停止することができる(
図7、ステップS011)。そして、プロセッサ201は、運用の停止によって停車中となった移動体2に対するプログラムの更新計画を立案することができる(ステップS012)。
【0086】
また、プロセッサ201は、プログラムの更新用データの配信開始日時以降における移動体2の運用を停止することができる(ステップS011)。そして、プロセッサ201は、運用の停止によって停車中となった移動体2に対する更新用データのダウンロードと更新用データを用いたプログラムの更新とを行う更新計画を立案することができる(ステップS012)。
【0087】
また、実施形態において、プロセッサ201は、プログラムの更新済の代替車両(代替移動体)を車両(移動体2)の代わりに運用する計画を立案することができる(ステップS013及びS014)。
【0088】
また、実施形態において、プロセッサ201は、プログラムを更新する計画に従って、移動体の停止中(車両の停車中)にプログラムの更新用データをダウンロードする。そし
て、プロセッサ201は、更新用のデータを用いてプログラムを更新する指示を移動体2に送信することができる(ステップS008、ステップS016)。
【0089】
なお、実施形態では、管制センタ4が情報処理装置である場合について説明した。但し、移動体2のDCM21がリリースNOTEを受信し、
図6及び
図7に示すステップS001~S007、S009~S014及びS016の処理を行う情報処理装置として動作してもよい。
【0090】
<その他>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0091】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスクである。また、非一時的なコンピュータ可読媒体には、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0092】
2 移動体
3 車両センタ
4 管制センタ
21 DCM
22 Central ECU
23 UIF装置
24 予防安全装置
25 ADS
26 音・映像・NAVI装置
100 情報処理システム
200 端末装置
201 プロセッサ
202 記憶装置
203 通信装置
204 入力装置
205 出力装置