(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】非磁性板、電磁接触器、非磁性素材、および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01H 50/36 20060101AFI20241112BHJP
H01H 49/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01H50/36 B
H01H49/00 Z
(21)【出願番号】P 2021113302
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2024-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】菊地 翔太
(72)【発明者】
【氏名】関谷 優志
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/046104(WO,A1)
【文献】特開2016-96053(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157170(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/029219(WO,A1)
【文献】特開2019-114412(JP,A)
【文献】特開2006-310248(JP,A)
【文献】実開昭55-100644(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00 ー 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁接触器が有する電磁石の軸部に対して着脱可能な薄板状の非磁性板であって、
当該非磁性板の中央部に設けられ、前記軸部が嵌め込まれる円形状の孔部と、
当該非磁性板の先端部と前記孔部とに接続して設けられ、前記先端部側から前記軸部を前記孔部へ挿通するための切り欠き部と
を有することを特徴とする非磁性板。
【請求項2】
前記切り欠き部は、
前記孔部の内径よりも開口幅が小さく、且つ、前記軸部の外径よりも開口幅が小さい狭幅部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の非磁性板。
【請求項3】
前記切り欠き部は、
前記狭幅部から前記先端部にかけて徐々に開口幅が大きくなる
ことを特徴とする請求項2に記載の非磁性板。
【請求項4】
先端部に、当該非磁性板の前側に連結されていた他の非磁性板の後端部との連結部が切断されることによって形成される第1切断面を有し、
後端部に、当該非磁性板の後側に連結されていた他の非磁性板の先端部との連結部が切断されることによって形成される第2切断面を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の非磁性板。
【請求項5】
前記孔部および前記切り欠き部の両外側に一対の腕部を有し、当該非磁性板の前記一対の腕部を有する部分における外幅は、前記先端部に向かって徐々に小さくなる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の非磁性板。
【請求項6】
軸部を有する電磁石と、
前記軸部に装着された請求項1から5のいずれか一項に記載の非磁性板と
を備えることを特徴とする電磁接触器。
【請求項7】
一定の幅を有して直線状に延在する帯状を有し、請求項1から5のいずれか一項に記載の非磁性板が複数連結されて形成されている
ことを特徴とする非磁性素材。
【請求項8】
帯状且つ薄板状を有する非磁性素材に対して、請求項1から5のいずれか一項に記載の非磁性板を複数連結して形成する形成工程を含む
ことを特徴とする製造方法。
【請求項9】
前記形成工程において複数の前記非磁性板が連結して形成された前記非磁性素材から、前記非磁性板を連結部において切り離す切り離し工程を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非磁性板、電磁接触器、非磁性素材、および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電磁接触器が備える有極電磁石において、スプールの一端に設けられたアーマチュアの外側に非磁性板が配設されている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の非磁性板は、中央部に円形の開口部が形成されており、当該開口部に対して円柱状の軸部を挿通させるように構成されているため、軸部に対して容易に着脱することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る非磁性板は、電磁接触器が有する電磁石の軸部に対して着脱可能な薄板状の非磁性板であって、当該非磁性板の中央部に設けられ、軸部が嵌め込まれる円形状の孔部と、当該非磁性板の先端部と孔部とに接続して設けられ、先端部側から軸部を孔部へ挿通するための切り欠き部とを有する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、電磁接触器が有する電磁石の軸部に対して容易に着脱可能な非磁性板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】一実施形態に係る電磁接触器が備える非磁性板の外観斜視図
【
図4】一実施形態に係る電磁接触器が備える非磁性板の平面図
【
図5】一実施形態に係る電磁接触器において非磁性板が装着される様子を示す図
【
図6】一実施形態に係る電磁接触器において非磁性板が装着される様子を示す図
【
図7】一実施形態に係る電磁接触器における非磁性板の装着状態を示す断面図、
【
図8】一実施形態に係る電磁接触器における非磁性板の装着状態を示す斜視断面図
【
図9】一実施形態に係る非磁性板の製造方法の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態を説明する。
【0009】
(電磁接触器100の構成)
【0010】
図1および
図2は、一実施形態に係る電磁接触器100の断面図である。
図1は、スイッチオフ状態の電磁接触器100を示す。
図2は、スイッチオン状態の電磁接触器100を示す。
【0011】
なお、以降の説明では、便宜上、可動端子133の移動方向を上下方向(Z軸方向)とし、可動端子133の長手方向を左右方向(Y軸方向)とし、可動端子133の短手方向を前後方向(X軸方向)とする。
【0012】
図1に示すように、電磁接触器100は、ケース110、電磁石120、接点機構130、および上部筐体140を備える。
【0013】
<ケース110>
ケース110は、中空構造を有する容器状の部材である。例えば、ケース110は、合成樹脂等の絶縁材料を用いて形成される。ケース110の上面における中央部には、開口部110Aが形成されている。開口部110Aの内側には、連結部材134が配置される。
【0014】
<電磁石120>
電磁石120は、ケース110の内部に設けられる。電磁石120は、可動端子133を上下方向に移動させるための磁力を発生する。電磁石120は、電磁コイル121、左右一対の固定コア122、可動コア123、永久磁石124、およびコイルスプリング125を有する。
【0015】
電磁コイル121は、ボビン121Aおよび励磁コイル121Bを有する。励磁コイル121Bは、筒状のボビン121Aに対してコイル線が多重に巻かれることによって形成され、ボビン121Aを取り囲む円筒形状を有する。なお、励磁コイル121Bは、ケース110の側面から突出して設けられている外部接続端子110Cに電気的に接続されており、外部から外部接続端子110Cを介して電力が供給される。
【0016】
左右一対の固定コア122は、互いに左右対称形状を有する。左右一対の固定コア122は、平板状の部材の上部および下部が内側(電磁コイル121の中心側)に直角に折り曲げられた形状を有する。これにより、左右一対の固定コア122は、上壁部122A、側壁部122B、および下壁部122Cを有するものになっており、電磁コイル121の上方、下方、および側方を覆うことができる。例えば、固定コア122は、鉄が用いられて形成される。
【0017】
可動コア123は、軸状を有し、電磁コイル121の筒内に配置される。可動コア123は、電磁コイル121の筒内を上下方向(Z軸方向)に移動可能である。例えば、可動コア123は、鉄が用いられて形成される。なお、可動コア123は、上端部に水平な平板状の第1板状部123Aを有する。また、可動コア123は、下端部に水平な平板状の第2板状部123Bを有する。
【0018】
コイルスプリング125は、ケース110の内底面と、可動コア123の下端面との間において、上下方向(Z軸方向)に伸縮可能に設けられている。コイルスプリング125は、可動コア123を上方(Z軸正方向)に付勢する。
【0019】
永久磁石124は、固定コア122の垂直な壁部の内面に固定され、且つ、励磁コイル121Bの外周面と対向して設けられている。
【0020】
<接点機構130>
接点機構130は、ケース110の上側に設けられている。接点機構130は、第1固定端子131、第2固定端子132、可動端子133、連結部材134、コイルスプリング135を有する。
【0021】
第1固定端子131は、導電性を有する水平な平板状の部材である。第1固定端子131は、ケース110の上面において、接点機構130の中央部よりも左側(Y軸負側)に設けられている。第1固定端子131は、左右方向(Y軸方向)に延在する長手形状を有する。第1固定端子131は、その先端部(Y軸正側の端部)における上面に第1固定接点131Aを有する。また、第1固定端子131は、その末端部(Y軸負側の端部)において、当該第1固定端子131を貫通するネジ131Bによって、ケース110の上面に対してネジ止め固定される。第1固定端子131は、当該第1固定端子131から外部に引き出される第1の配線(図示省略)に接続される。
【0022】
第2固定端子132は、導電性を有する水平な平板状の部材である。第2固定端子132は、ケース110の上面において、接点機構130の中央部よりも右側(Y軸正側)に設けられている。また、第2固定端子132は、第1固定端子131と同じ高さ位置に設けられている。第2固定端子132は、左右方向(Y軸方向)に延在する長手形状を有する。第2固定端子132は、その先端部(Y軸負側の端部)における上面に第2固定接点132Aを有する。また、第2固定端子132は、その末端部(Y軸正側の端部)において、当該第2固定端子132を貫通するネジ132Bによって、ケース110の上面に対してネジ止め固定される。第2固定端子132は、当該第2固定端子132から外部に引き出される第2の配線(図示省略)に接続される。
【0023】
可動端子133は、導電性を有する水平な平板状の部材である。可動端子133は、左右方向(Y軸方向)において、接点機構130の中央部に設けられており、上下方向(Z軸方向)において、第1固定端子131および第2固定端子132の上側(Z軸正側)に設けられている。可動端子133は、左右方向(Y軸方向)に延在する長手形状を有する。可動端子133は、その左端部(Y軸負側の端部)における下面に第1可動接点133Aを有する。第1可動接点133Aは、第1固定接点131Aと対向し、第1固定接点131Aに対して接離可能である。また、可動端子133は、その右端部(Y軸正側の端部)における下面に第2可動接点133Bを有する。第2可動接点133Bは、第2固定接点132Aと対向し、第2固定接点132Aに対して接離可能である。
【0024】
連結部材134は、可動端子133を可動コア123に連結することにより、可動端子133を可動コア123とともに上下方向(Z軸方向)に移動させる部材である。連結部材134は、ケース110の上面における中央部に形成されている開口部110A内に配置される。連結部材134の上端部に設けられている平板状の第1接続部134Aは、任意の固定手段によって、可動端子133の中央部の下面に固定される。連結部材134の下端面に設けられている平板状の第2接続部134Bは、任意の固定手段によって、可動コア123の上端部に固定される。
【0025】
コイルスプリング135は、ケース110の上面における中央部から上方に突出して設けられた支持部材110Bの内部空間において、当該内部空間の天井面と可動端子133の上面における中央部との間に、上下方向(Z軸方向)に伸縮可能に設けられている。コイルスプリング135は、可動端子133を下方(Z軸負方向)に付勢する。
【0026】
<上部筐体140>
上部筐体140は、ケース110の上部において、接点機構130の周囲を取り囲むように設けられる。例えば、上部筐体140は、絶縁性を有する樹脂素材が用いられて形成される。上部筐体140は、左右一対の消弧室141を有する。左側(Y軸負側)の消弧室141には、第1接点部130Aが収容される。第1接点部130Aとは、第1固定接点131Aと第1可動接点133Aとの組を示す。右側(Y軸正側)の消弧室141には、第2接点部130Bが収容される。第2接点部130Bとは、第2固定接点132Aと第2可動接点133Bとの組を示す。
【0027】
(電磁接触器100の動作)
一実施形態に係る電磁接触器100は、励磁コイル121Bが通電されていないとき、可動コア123が、コイルスプリング125の付勢力により、上方(Z軸正方向)へ付勢される。これにより、可動コア123に連結部材134を介して連結されている可動端子133は、上方(Z軸正方向)に移動して、第1固定端子131および第2固定端子132から上方(Z軸正方向)に離間した状態となる。したがって、電磁接触器100は、
図1に示すように、第1固定端子131および第2固定端子132が互いに導通していない状態(すなわち、スイッチオフ状態)になる。
【0028】
一方、一実施形態に係る電磁接触器100は、励磁コイル121Bが通電されたとき、固定コア122と可動コア123との間に、コイルスプリング125の付勢力に打ち勝つ磁気吸引力が生じる。この磁気吸引力により、可動コア123は、下方(Z軸負方向)へ移動する。このとき、可動コア123に連結部材134を介して連結されている可動端子133は、下方(Z軸負方向)に移動する。これにより、可動端子133に設けられている第1可動接点133Aおよび第2可動接点133Bの各々が、第1固定端子131に設けられている第1固定接点131A、および、第2固定端子132に設けられている第2固定接点132Aの各々に接触する。このときの接触圧は、コイルスプリング135の付勢力によって高められる。その結果、電磁接触器100は、第1固定端子131および第2固定端子132が互いに導通した状態(すなわち、スイッチオン状態)になる。
【0029】
その後、一実施形態に係る電磁接触器100は、励磁コイル121Bの通電が途絶えたとき、可動コア123が、コイルスプリング125の付勢力により、上方(Z軸正方向)へ付勢される。これにより、可動コア123に連結部材134を介して連結されている可動端子133は、上方(Z軸正方向)に移動して、第1固定端子131および第2固定端子132から上方(Z軸正方向)に離間した状態となる。したがって、電磁接触器100は、
図1に示すように、第1固定端子131および第2固定端子132が互いに導通していない状態(すなわち、スイッチオフ状態)になる。
【0030】
(非磁性板150の構成)
図3は、一実施形態に係る電磁接触器100が備える非磁性板150の外観斜視図である。
図4は、一実施形態に係る電磁接触器100が備える非磁性板150の平面図である。
【0031】
図3および
図4に示す非磁性板150は、電磁接触器100が有する電磁石の可動コア123(「軸部」の一例)に対して着脱可能な薄板状の部材である。非磁性板150は、薄板状の非磁性素材(例えば、ポリエステルフィルム、ステンレス板、黄銅等)が用いられて形成される。
図3および
図4に示すように、非磁性板150の外形状は、概ね矩形状である。
【0032】
なお、非磁性板150は、Y軸負側の端部が先端部150Aとなり、Y軸正側の端部が後端部150Bとなって、先端部150A側から可動コア123に装着される。
【0033】
図3および
図4に示すように、非磁性板150は、孔部151および切り欠き部152を有する。
【0034】
孔部151は、非磁性板150に中央部に設けられている。孔部151は、平面視において円形状を有する。孔部151には、円柱状の可動コア123が嵌め込まれる。このため、孔部151の内径は、可動コア123の外径と略同サイズである。
【0035】
切り欠き部152は、非磁性板150における孔部151を取り囲む周辺部分の一部が切り欠かれることによって形成される部分である。切り欠き部152は、非磁性板150の先端部150Aと孔部151とに接続して設けられている。切り欠き部152は、先端部150A側から可動コア123を孔部151へ挿通するために設けられている。
【0036】
図4に示すように、切り欠き部152は、最も開口幅が小さい狭幅部152Aを有する。
図4に示すように、狭幅部152Aの開口幅W1は、孔部151の内径D1よりも小さくなっている。また、狭幅部152Aの開口幅W1は、可動コア123の外径W2(
図7参照)よりも小さくなっている。
【0037】
また、
図3および
図4に示すように、切り欠き部152は、狭幅部152Aから先端部150Aにかけて徐々に開口幅が大きくなるように、一対の内縁部152Bの各々がテーパ形状(すなわち、Y軸に対して傾いた直線形状)を有する。
【0038】
また、
図3および
図4に示すように、非磁性板150は、孔部151および切り欠き部152が形成されたことにより、幅方向(X軸方向)における孔部151および切り欠き部152の両外側に、一対の腕部153を有するものとなっている。特に、非磁性板150は、一対の腕部153を有する部分における外幅が、先端部150Aに向かって徐々に小さくなるように、一対の腕部153の各々の外縁部153Aがテーパ形状(すなわち、Y軸に対して傾いた直線形状)を有する。
【0039】
また、
図3および
図4に示すように、非磁性板150は、先端部150A(すなわち、一対の腕部153の各々の先端部)に、一対の第1切断面154を有する。第1切断面154は、当該非磁性板150の前側(Y軸負側)に連結されていた他の非磁性板150の後端部150Bとの連結部が切断されることによって形成されるものである(
図9参照)。
【0040】
また、
図3および
図4に示すように、非磁性板150は、後端部150Bに、一対の第2切断面155を有する。第2切断面155は、当該非磁性板150の後側(Y軸正側)に連結されていた他の非磁性板150の先端部150Aとの連結部が切断されることによって形成されるものである(
図9参照)。すなわち、第2切断面155の幅は、第1切断面154の幅と同サイズである。
【0041】
なお、
図3および
図4に示すように、非磁性板150において、一対の腕部153よりも後ろ側の部分の幅W2(X軸方向の幅)は一定である。この幅W2は、当該非磁性板150を製造する際に用いられる帯状の非磁性素材200(
図9参照)の幅と等しい。
【0042】
これにより、非磁性板150において、一対の腕部153よりも後ろ側の部分は、指、工具等によって、把持するのに十分な面積を有するものとなっている。このため、非磁性板150は、一対の腕部153よりも後ろ側の部分を、指、工具等によって把持することで、可動コア123に対して容易に着脱できるようになっている。
【0043】
(非磁性板150の装着方法)
図5および
図6は、一実施形態に係る電磁接触器100において非磁性板150が装着される様子を示す図である。なお、
図5および
図6は、ケース110の図示を省略している。
【0044】
図5および
図6に示すように、非磁性板150は、電磁石120の右側方から、可動コア123の第1板状部123Aと、固定コア122の上壁部122Aとの間の隙間内に挿し込まれ、当該隙間内に存在する可動コア123に装着される。
【0045】
ここで、非磁性板150は、先端部150A側に切り欠き部152を有するため、先端部150A側から可動コア123に押し込まれて、切り欠き部152に可動コア123を挿通させることで、可動コア123を孔部151に容易に嵌め込むことができる。
【0046】
(非磁性板150の装着状態)
図7は、一実施形態に係る電磁接触器100における非磁性板150の装着状態を示す断面図である。
図8は、一実施形態に係る電磁接触器100における非磁性板150の装着状態を示す斜視断面図である。なお、
図7および
図8は、電磁接触器100を
図1に示すA-A断面線で切断したときの断面を示す。但し、
図7および
図8は、ケース110の図示を省略している。
【0047】
図7および
図8に示すように、非磁性板150は、切り欠き部152を通じて孔部151に可動コア123が嵌め込まれることにより、可動コア123に装着される。
【0048】
図7および
図8に示すように、非磁性板150は、切り欠き部152に狭幅部152Aが設けられており、狭幅部152Aの開口幅W1が可動コア123の外径W2よりも小さい。このため、非磁性板150は、孔部151に可動コア123が嵌め込まれた状態で、可動コア123から抜け落ち難くになっている。
【0049】
また、
図7および
図8に示すように、切り欠き部152は、狭幅部152Aから先端部150Aにかけて徐々に開口幅が大きくなるように、一対の内縁部152Bの各々がテーパ形状(すなわち、Y軸に対して傾いた直線形状)を有する。このため、非磁性板150は、可動コア123に装着されるときに、可動コア123を切り欠き部152内に容易に挿通することができる。
【0050】
なお、非磁性板150は、可動コア123を切り欠き部152内に挿通するとき、可動コア123によって、一対の腕部153を弾性変形させながら狭幅部152Aが押し広げられることにより、可動コア123が狭幅部152Aを通過することができる。
【0051】
ここで、
図7および
図8に示すように、非磁性板150は、一対の腕部153を有する部分における外幅が、先端部150Aに向かって徐々に小さくなるように、一対の腕部153の各々の外縁部153Aがテーパ形状(すなわち、Y軸に対して傾いた直線形状)を有する。これにより、非磁性板150は、一対の腕部153を弾性変形し易くなっており、すなわち、可動コア123によって狭幅部152Aを押し広げ易くなっている。
【0052】
(非磁性板150の製造方法)
図9は、一実施形態に係る非磁性板150の製造方法の一例を示す図である。
【0053】
図9に示すように、一実施形態に係る非磁性板150の製造方法は、一定の幅を有して直線状に延在する、帯状且つ薄板状の非磁性素材200に対して、非磁性板150を複数連結して形成することができる。
【0054】
具体的には、
図9に示すように、ロール状に多重に巻かれた非磁性素材200の一部を引き出して、当該引き出し部分から余剰部分201(斜線で示されている部分)を除去することにより、互いに一列に連結された状態の複数の非磁性板150を形成することができる(形成工程)。
【0055】
このように、複数の非磁性板150が連結して形成された状態の非磁性素材200が、使用者等に提供されてもよい。これにより、非磁性素材200は、複数の非磁性板150を一括して容易に管理することを可能にする。
【0056】
特に、
図9に示すように、複数の非磁性板150の各々において、一対の腕部153よりも後ろ側の部分の幅W2は、非磁性素材200の幅と等しい。すなわち、非磁性板150の一部は、非磁性素材200を切断せずにそのまま使用できるため、非磁性素材200を有効に利用することができ、破棄されてしまう余剰部分201を少面積化することができる。
【0057】
そして、一実施形態に係る非磁性素材200は、互いに連結された2つの非磁性板150の連結部202(一の非磁性板150の先端部150Aと他の非磁性板150の後端部150Bとの連結部分)を切断することにより、非磁性板150を個別に切り離すことができる(切り離し工程)。
【0058】
一実施形態に係る非磁性板150は、これまでに説明した形状を有することが好ましい。但し、これに限らず、一実施形態に係る非磁性板150は、少なくとも孔部151および切り欠き部152を有するものであれば、如何なる形状を有してもよい。
【0059】
(従来の非磁性板150の製造方法)
図10は、従来の非磁性板150の製造方法を示す図である。
図10に示すように、従来の非磁性板150は、円形状の外形状を有するものであった。このため、
図10に示すように、従来の非磁性板150の製造方法は、帯状且つ薄板状を有する非磁性素材200に対して、余剰部分201(斜線で示されている部分)を除去することにより、互いに分離した状態の複数の非磁性板150を形成していた。このため、従来の非磁性板150の製造方法では、複数の非磁性板150を一括して容易に管理することが困難であった。また、従来の非磁性板150の製造方法では、破棄されてしまう余剰部分201を少面積化することが困難であった。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 電磁接触器
110 ケース
110A 開口部
110B 支持部材
110C 外部接続端子
120 電磁石
121 電磁コイル
121A ボビン
121B 励磁コイル
122 固定コア
122A 上壁部
122B 側壁部
122C 下壁部
123 可動コア
123A 第1板状部
123B 第2板状部
124 永久磁石
125 コイルスプリング
130 接点機構
130A 第1接点部
130B 第2接点部
131 第1固定端子
131A 第1固定接点
131B ネジ
132 第2固定端子
132A 第2固定接点
132B ネジ
133 可動端子
133A 第1可動接点
133B 第2可動接点
134 連結部材
134A 第1接続部
134B 第2接続部
135 コイルスプリング
140 上部筐体
141 消弧室
150 非磁性板
150A 先端部
150B 後端部
151 孔部
152 切り欠き部
152A 狭幅部
152B 内縁部
153 腕部
153A 外縁部
154 第1切断面
155 第2切断面
200 非磁性素材
201 余剰部分
202 連結部