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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20241112BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241112BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241112BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241112BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20241112BHJP
   B60L 53/63 20190101ALI20241112BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20241112BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60L50/60
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
B60L53/63
B60L58/12
H02J7/00 P
H02J7/00 V
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021121950
(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公開番号】P2023017597
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松盛 裕志
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0005564(US,A1)
【文献】特開2020-086139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60L 50/60
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/12
B60L 53/63
B60L 58/12
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、外部電源から供給される電力を前記二次電池に充電する外部充電を制御する制御装置と、車体の前後左右に設けられたシーケンシャルウインカーと、を備え、
前記制御装置は、前記二次電池への外部充電中に前記二次電池の充電状態を示す情報を前記シーケンシャルウインカーに表示する報知制御を実行し、前記シーケンシャルウインカーに含まれる複数の光源の点灯数により前記充電状態を示す情報を表示する車両であって、
前記外部電源の電力を前記二次電池に充電する外部充電と、前記二次電池の電力を外部機器へ供給する外部放電と、を行うことが可能な双方向充電器を備え、
前記制御装置は、
前記二次電池への外部充電中に、当該車両の周囲に存在する車外の人を検知したと判断した場合には、前記シーケンシャルウインカーのうち前記車外の人を検知した方向に配置された対象ウインカーのみに前記二次電池の充電状態を示す情報を表示し、
前記二次電池への外部充電中に、前記車外の人は検知されないと判断した場合には、全ての前記シーケンシャルウインカーを消灯させ
前記双方向充電器を介した外部充電中に、前記車外の人を検知したと判断した場合には、前記対象ウインカーに前記充電状態を示す情報と充電中であることを示す情報とを表示し、
前記双方向充電器を介した外部放電中に、前記車外の人を検知したと判断した場合には、前記対象ウインカーに前記充電状態を示す情報と放電中であることを示す情報とを表示し、
前記双方向充電器を介した外部充電中および外部放電中に、前記車外の人は検知されないと判断した場合には、全ての前記シーケンシャルウインカーを消灯させる
ことを特徴とする車両。
【請求項2】
前記充電中であることを示す情報と前記放電中であることを示す情報とは、互いに異なる点滅状態で前記光源を点滅させることにより表される
ことを特徴とする請求項に記載の車両。
【請求項3】
前記シーケンシャルウインカーは、前記複数の光源が線状に配列され、かつ前記複数の光源を所定順序で点灯させることが可能であり、
前記充電中であることを示す情報は、前記線状の一方側から他方側に向けて前記光源が順次点灯し、前記充電状態に応じた前記点灯数となることを周期的に繰り返す点滅状態により表され、
前記放電中であることを示す情報は、前記線状の他方側から一方側に向けて前記光源が順次点灯し、前記充電状態に応じた前記点灯数となることを周期的に繰り返す点滅状態により表される
ことを特徴とする請求項またはに記載の車両。
【請求項4】
二次電池と、外部電源から供給される電力を前記二次電池に充電する外部充電を制御する制御装置と、車体の前後左右に設けられたシーケンシャルウインカーと、を備え、
前記制御装置は、前記二次電池への外部充電中に前記二次電池の充電状態を示す情報を前記シーケンシャルウインカーに表示する報知制御を実行し、前記シーケンシャルウインカーに含まれる複数の光源の点灯数により前記充電状態を示す情報を表示する車両であって、
前記車体の左右に設けられたライトを備え、
前記制御装置は、
前記二次電池への外部充電中に、当該車両の周囲に存在する車外の人を検知したと判断した場合には、前記シーケンシャルウインカーのうち前記車外の人を検知した方向に配置された対象ウインカーのみに前記二次電池の充電状態を示す情報を表示し、
前記二次電池への外部充電中に、前記車外の人は検知されないと判断した場合には、全ての前記シーケンシャルウインカーを消灯させ、
前記二次電池への外部充電中に、外部電源側の制約により充電電力に制限があると判断した場合には、前記ライトを点灯させ、
前記二次電池への外部充電中に、外部電源側の制約による充電電力の制限がないと判断した場合には、前記ライトを消灯させる
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池と二次電池とを備えた車両において、停車中に燃料電池で発電して、その電力を二次電池に充電することが開示されている。この車両では、停車中に二次電池に充電する際、二次電池の充電率に応じた個数の光源を点灯させることにより、二次電池の充電状態を車外に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-050041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、燃料電池から二次電池への充電が完了するまでの間、光源を常時点灯することになるため、二次電池の充電状態を車外の人に知らせるために消費される電力が増大してしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、二次電池の充電状態を車外の人に知らせることができるとともに、その報知のための消費電力を低減することができる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二次電池と、外部電源から供給される電力を前記二次電池に充電する外部充電を制御する制御装置と、車体の前後左右に設けられたシーケンシャルウインカーと、を備え、前記制御装置は、前記二次電池への外部充電中に前記二次電池の充電状態を示す情報を前記シーケンシャルウインカーに表示する報知制御を実行し、前記シーケンシャルウインカーに含まれる複数の光源の点灯数により前記充電状態を示す情報を表示する車両であって、前記制御装置は、前記二次電池への外部充電中に、当該車両の周囲に存在する車外の人を検知したと判断した場合には、前記シーケンシャルウインカーのうち前記車外の人を検知した方向に配置された対象ウインカーのみに前記二次電池の充電状態を示す情報を表示し、前記二次電池への外部充電中に、前記車外の人は検知されないと判断した場合には、全ての前記シーケンシャルウインカーを消灯させることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、二次電池への外部充電中に車外の人を検知した場合のみ、シーケンシャルウインカーに二次電池の充電状態を示す情報を表示する。これにより、報知のための消費電力を低減できる。また、充電状態を表示するシーケンシャルウインカーは車外の人を検知した方向に配置された対象ウインカーに限られる。そのため、報知のための消費電力をさらに低減することができる。
【0008】
また、前記外部電源の電力を前記二次電池に充電する外部充電と、前記二次電池の電力を外部機器へ供給する外部放電と、を行うことが可能な双方向充電器を備え、前記制御装置は、前記双方向充電器を介した外部充電中に、前記車外の人を検知したと判断した場合には、前記対象ウインカーに前記充電状態を示す情報と充電中であることを示す情報とを表示し、前記双方向充電器を介した外部放電中に、前記車外の人を検知したと判断した場合には、前記対象ウインカーに前記充電状態を示す情報と放電中であることを示す情報とを表示し、前記双方向充電器を介した外部充電中および外部放電中に、前記車外の人は検知されないと判断した場合には、全ての前記シーケンシャルウインカーを消灯させてもよい。
【0009】
この構成によれば、充電中と放電中とで異なる情報が表示されるため、車外の人は現在の状態が充電中であるのか、あるいは放電中であるのかを判別することができる。
【0010】
また、前記充電中であることを示す情報と前記放電中であることを示す情報とは、互いに異なる点滅状態で前記光源を点滅させることにより表されてもよい。
【0011】
この構成によれば、充電中と放電中とで異なる点滅状態で光源が点滅されるため、車外の人は現在の状態が充電中であるのか、あるいは放電中であるのかを判別することができる。
【0012】
また、前記シーケンシャルウインカーは、前記複数の光源が線状に配列され、かつ前記複数の光源を所定順序で点灯させることが可能であり、前記充電中であることを示す情報は、前記線状の一方側から他方側に向けて前記光源が順次点灯し、前記充電状態に応じた前記点灯数となることを周期的に繰り返す点滅状態により表され、前記放電中であることを示す情報は、前記線状の他方側から一方側に向けて前記光源が順次点灯し、前記充電状態に応じた前記点灯数となることを周期的に繰り返す点滅状態により表されてもよい。
【0013】
この構成によれば、充電中と放電中とで光源の点灯方向が異なるため、車外の人は現在の状態が充電中であるのか、あるいは放電中であるのかを判別することができる。
【0014】
また、前記車体の左右に設けられたライトを備え、前記制御装置は、前記二次電池への外部充電中に、外部電源側の制約により充電電力に制限があると判断した場合には、前記ライトを点灯させ、前記二次電池への外部充電中に、外部電源側の制約による充電電力の制限がないと判断した場合には、前記ライトを消灯させてもよい。
【0015】
この構成によれば、外部電源側の制約による充電電力の制限がある場合とない場合とでライトが点灯する場合と消灯する場合とに切り替わるため、車外の人は現在の充電状態が外部電源側の制約による充電電力の制限があるのか、あるいは制限がないのかを判別することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、二次電池の充電状態を車外の人に知らせることができるとともに、その報知のための消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態における車両を模式的に示す図である。
図2図2は、車両の構成を説明するためのブロック図である。
図3図3(a)はシーケンシャルウインカーを示す図であり、図3(b)はバッテリのSOCが50%であることをシーケンシャルウインカーに表示した状態を説明するための図であり、図3(c)はバッテリのSOCが100%であることをシーケンシャルウインカーに表示した状態を説明するための図である。
図4図4は、充電中の報知制御フローを示すフローチャート図である。
図5図5は、双方向充電器を備えた車両の構成を説明するためのブロック図である。
図6図6は、外部充電中の表示状態を説明するための図である。
図7図7は、外部放電中の表示状態を説明するための図である。
図8図8は、報知制御フローを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における車両について具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、実施形態における車両を模式的に示す図である。車両1は、走行用の動力源としてモータ2を搭載した電気自動車である。この車両1では、バッテリ3に蓄えられた電力をモータ2に供給することによりモータ2を駆動する。モータ2から出力された動力は動力伝達装置を介して駆動輪に伝達される。また、車両1は、外部電源から供給される電力をバッテリ3に充電することができる。
【0020】
また、車両1は、送電ユニット21から供給される電力を非接触で受け取ることができる非接触充電装置4を備えている。非接触充電装置4は、外部電源である送電ユニット21から供給される電力を非接触で受け取り、バッテリ3に充電することができる充電装置である。送電ユニット21は、駐車場22などに設置された外部電源であり、磁界共鳴方式により供給対象機器に非接触で電力を送電することができる。この非接触充電システムは、送電コイル(地上側送電コイル)を有する送電ユニット21と、受電コイル(車両側受電コイル)を有する非接触充電装置4と、を含んで構成される。そして、送電ユニット21の送電コイルと非接触充電装置4の受電コイルとの間における磁界の共鳴現象を利用して電力を伝送する。車両1は非接触充電装置4により受電した電力をバッテリ3に蓄えることができる。
【0021】
図2は、車両の構成を説明するためのブロック図である。図2に示すように、車両1は、モータ2と、バッテリ3と、非接触充電装置4と、インバータ5と、制御装置(以下、ECUという)6と、SOC検出センサ7と、シーケンシャルウインカー8と、を備えている。
【0022】
モータ2は、モータ機能および発電機能を有するモータ・ジェネレータであり、インバータ5を介してバッテリ3と電気的に接続されている。例えば、モータ2の動力により車両1が走行する際、ECU6がインバータ5を制御することによりモータ2から出力されるトルクが制御される。
【0023】
バッテリ3は、モータ2に供給するための電力を蓄えることができる二次電池である。このバッテリ3には、モータ2で発電した電力と、外部電源である送電ユニット21から供給された電力とを充電することができる。
【0024】
非接触充電装置4は、受電コイルを有する充電装置であり、車外に設置された送電ユニット21との間で非接触で電力の受け取りが可能である。例えば、地上に設置された送電ユニット21から所定距離の範囲内に非接触充電装置4が位置する状態で、送電ユニット21から非接触充電装置4への送電が行われる。車両側では、送電ユニット21から供給された電力が非接触充電装置4を介してバッテリ3に送られてバッテリ3に蓄えられる。この非接触充電装置4はECU6により制御される。
【0025】
ECU6は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えたマイクロコンピュータを含んで構成されている。このECU6は、ROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。また、ECU6には、車両1に搭載された各種センサからの信号が入力される。例えば、モータ2の回転角を検出するモータ回転角度センサや、バッテリ3の充電状態であるSOC(State Of Charge)を検出するSOC検出センサ7や、車速を検出する車速センサなどからの信号が入力される。そして、ECU6は、入力された信号に基づいて車両1の各種制御を実行する。その際、ECU6からは、モータ2を制御する指令信号、バッテリ3を制御する指令信号、非接触充電装置4を制御する指令信号等が出力される。つまり、ECU6は、バッテリ3の充電および放電を制御する制御装置である。
【0026】
SOC検出センサ7は、バッテリ3のSOCを検出し、現在のSOCを示すSOC検出信号を出力する。SOC検出センサ7から出力されたSOC検出信号がECU6に入力されることにより、ECU6はバッテリ3の現在のSOCを把握することができる。
【0027】
シーケンシャルウインカー8は、図3(a)に示すように、線状に配列された複数の光源9を有し、複数の光源9を所定順序で点灯させることが可能である。シーケンシャルウインカー8の点滅状態はECU6により制御される。例えば車両1の進行方向や走行レーンを変更する際、ECU6は、運転者により指示された方向に応じたシーケンシャルウインカー8について、複数の光源9を所定順序で点灯させる点滅状態に制御する。
【0028】
このように構成された車両1において、ECU6は、送電ユニット21から供給された電力をバッテリ3に充電する充電制御(外部充電制御)と、モータ2で発電した電力をバッテリ3に充電する充電制御(内部充電制御)と、バッテリ3に蓄えられた電力を供給対象に放電する放電制御と、を実行する。
【0029】
外部充電制御について説明すると、ECU6は、送電ユニット21を含む地上側システムとの間で無線通信を行う通信部を有する。ECU6は外部充電を行う際、通信部が地上側システムと通信することにより、非接触充電装置4と送電ユニット21との相対的な位置関係を把握することができる。そのため、ECU6は、非接触充電装置4が送電ユニット21の直上に位置することを検知できる。そして、非接触充電装置4が送電ユニット21の直上に位置する状態で、ECU6は外部充電制御を実行し、非接触充電装置4を介した外部充電を行う。
【0030】
また、外部充電中に、ECU6にはSOC検出センサ7からの信号が入力される。そのため、ECU6はSOC検出センサ7からのSOC検出信号に基づいて外部充電中におけるバッテリ3のSOCを把握することができる。
【0031】
さらに、ECU6は、バッテリ3への外部充電中に、バッテリ3のSOCを示す情報を車外の人に視覚的に知らせる報知制御を実行する。報知制御は、現在のSOCに関する情報をシーケンシャルウインカー8に表示する制御である。
【0032】
具体的には、ECU6は、外部充電中に報知制御を実行し、バッテリ3のSOCを示す情報をシーケンシャルウインカー8に表示する。バッテリ3のSOCを示す情報は、現在のSOCに応じた光源9の点灯数により表される。つまり、ECU6は、現在のSOCに応じた点灯数で複数の光源9を点灯させることにより、現在のSOCを示す情報をシーケンシャルウインカー8に表示する。
【0033】
例えば、バッテリ3のSOCが0%の場合、シーケンシャルウインカー8における光源9の点灯数はゼロとなるため、ECU6は全部の光源9を消灯させる。この場合、ひとつのシーケンシャルウインカー8における光源9が全部で10個であれば、図3(a)に示すように、10個全部が消灯する。また、バッテリ3のSOCが50%の場合、シーケンシャルウインカー8における光源9の点灯数は全体の半分となるため、ECU6は半分の光源9を点灯させる。この場合、ひとつのシーケンシャルウインカー8における光源9が全部で10個であれば、図3(b)に示すように、半分の5個が点灯し、残りの5個が消灯する。そして、バッテリ3のSOCが100%の場合、シーケンシャルウインカー8における光源9の点灯数は全部となるため、ECU6は全部の光源9を点灯させる。この場合、ひとつのシーケンシャルウインカー8における光源9が全部で10個であれば、図3(c)に示すように、10個全部が点灯する。なお、図3(a)~(c)では、消灯状態の光源9は白抜き、点灯状態の光源9はハッチング付きで示されている。
【0034】
そして、ECU6は、外部充電中にバッテリ3の充電状態を車外の人に知らせるためにシーケンシャルウインカー8を点灯させる際、この報知のために消費される電力が低減されるように報知制御を実行する。つまり、ECU6は、外部充電中にシーケンシャルウインカー8を常時点灯もしくは点滅させるのではなく、必要なタイミングでシーケンシャルウインカー8を点灯もしくは点滅させる。さらに、ECU6は、車体の前後左右に設けられた4つのシーケンシャルウインカー8を全て点灯もしくは点滅させるのではなく、情報の表示が必要なシーケンシャルウインカー8のみを対象にしてSOCを示す情報を表示させる。
【0035】
図4は、充電中の報知制御フローを示すフローチャート図である。図4に示す制御は、外部電源からバッテリ3への充電が開始された際にECU6により実施される。
【0036】
外部電源である送電ユニット21からバッテリ3への外部充電が開始されると、ECU6は、車外の人を検知したか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11では、外部充電中に、車両1の前後左右方向において、車両1から所定範囲内の車外に人が存在するか否かが判定される。ECU6は、外部充電中に車両1の周囲数メートルの範囲に人が存在するか否かを判定することができる。具体的には、ステップS11において、送電ユニット21を含む地上側システムに搭載された人検知センサを用いて、ECU6が車外の人を検知することができる。例えば、送電ユニット21は、人検知センサとして機能する構成を備えている。送電ユニット21が周囲の人を検知した場合には、人を検知したことを示す検知信号が送電ユニット21から車両1に送信される。ECU6は、送電ユニット21から送信された検知信号を受信することができる。そのため、ECU6は送電ユニット21からの検知信号が入力されたか否かを判定することにより、車外の人を検知したか否かを判定することができる。
【0037】
外部充電中に車外の人を検知したと判断した場合(ステップS11:Yes)、ECU6は、車両1の前後左右方向のうち、車外の人を検知した方向を特定する(ステップS12)。ステップS12では、人を検知した方向が、車両1の前方左側、前方右側、後方左側、後方右側のうちどの方向であるかが特定される。検知信号には人を検知した方向を示す情報が含まれるため、ECU6は入力された検知信号に基づいて人を検知した方向を特定することができる。例えば、送電ユニット21が車両1の前方右側に人を検知した場合、その検知信号が入力されたECU6は人を検知した方向として車両1の前方右側を特定することができる。
【0038】
ステップS12の処理を実施すると、ECU6は、車体の前後左右に設けられた複数のシーケンシャルウインカー8のうち、人を検知した方向に配置されているシーケンシャルウインカー8のみにバッテリ3の充電状態を示す情報を表示する(ステップS13)。ステップS13では、人を検知した方向に配置されているシーケンシャルウインカー8が対象ウインカーに設定され、この対象ウインカーのみにSOCを示す情報が表示される。つまり、ステップS13において、ECU6はSOC検出センサ7から入力された信号に基づいてバッテリ3の現在のSOCを特定することができる。例えば、人を検知した方向が前方右側に特定された場合、ECU6は車体の前方右側に配置されたシーケンシャルウインカー8を対象ウインカーに設定し、この対象ウインカーのみに現在のSOCを示す情報を表示する。SOCを示す情報は図3(a)~(c)に例示したように光源9の点灯数で表される。この点灯数は、線状に配列された光源9が一方の端部側から他方の端部側へと連続して点灯する数である。そのため、SOCを示す情報は、隣接する光源9が連続して点灯し、その点灯数がSOCに応じた点灯数となることにより表される。つまり、現在のSOCが30%である場合には、全部で10個ある光源9のうち端部側から連続する3つが点灯対象に設定される。あるいは、現在のSOCが50%である場合には、全部で10個ある光源9のうち端部側から連続する5つが点灯対象に設定される。
【0039】
ステップS13の処理を実施すると、ECU6は、バッテリ3への充電が終了したか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14では、SOC検出センサ7から入力される信号に基づいてバッテリ3が満充電状態になったか否かが判定される。
【0040】
バッテリ3への充電が終了したと判断した場合(ステップS14:Yes)、ECU6は、シーケンシャルウインカー8を消灯する(ステップS15)。ステップS15では、SOCを示す情報を表示していた対象ウインカーが消灯される。ステップS15の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0041】
一方、バッテリ3への充電が終了していないと判断された場合(ステップS14:No)、この制御ルーチンはステップS11にリターンする。
【0042】
また、外部充電中に車外の人は検知されないと判断した場合(ステップS11:No)、ECU6は、全てのシーケンシャルウインカー8を消灯する(ステップS16)。ステップS16では、バッテリ3の充電状態をシーケンシャルウインカー8に表示しないことになる。つまり、ステップS16の処理を実施した結果には、全てのシーケンシャルウインカー8を消灯状態に維持する場合と、SOCを示す情報を表示していた状態の対象ウインカーを消灯する場合と、が含まれる。
【0043】
ステップS16の処理を実施すると、ECU6は、バッテリ3への充電が終了したか否かを判定する(ステップS17)。
【0044】
バッテリ3への充電が終了していないと判断された場合(ステップS17:No)、この制御ルーチンはステップS11にリターンする。
【0045】
バッテリ3への充電が終了したと判断された場合(ステップS17:Yes)、この制御ルーチンは終了する。この場合、外部充電が完了したことになる。
【0046】
以上説明した通り、実施形態によれば、外部充電中に車外の人を検知した場合のみ、人を検知した方向に配置されたシーケンシャルウインカー8のみに、バッテリ3の充電状態を表示することができる。すなわち、外部充電中に車外の人を検知しない場合には全てのシーケンシャルウインカー8が消灯する。これにより、外部充電中にバッテリ3の充電状態を車外の人に知らせることができるとともに、その報知のための消費電力を低減することができる。
【0047】
なお、人検知センサとして機能する構成は、送電ユニット21を含む地上側システムに搭載された場合に限定されない。例えば、非接触充電装置4を含む車両1側が人検知センサを備えていてもよい。この場合、非接触充電装置4の内蔵センサを人検知センサとして使用する構成であってもよい。あるいは、車両1に搭載されているパノラマティックビューや、その他の人を検知できるセンサを用いてもよい。要するに、人を検知したことを示す検知信号は、どの構成から出力されたものであるかは特に限定されない。
【0048】
また、非接触充電装置4を含む非接触充電システムは、磁界共鳴方式に限定されず、電磁誘導方式であってもよい。
【0049】
また、車両1は、電気自動車に限らず、プラグインハイブリッド車両であってもよい。
【0050】
また、車両1は、バッテリ3に蓄えられた電力を外部の供給対象(外部機器)に放電する外部放電が可能な車両であってもよい。外部放電では、車両1にケーブルを接続することにより、バッテリ3の電力を外部機器に供給することができる。この車両1は、外部充電が非接触充電であるものの外部放電は有線接続であってもよく、あるいは外部充電も外部放電も有線接続であってもよい。すなわち、車両1の充電方式は非接触に限定されない。例えば、図5に示すように、車両1は、非接触充電装置4に代えて、外部充電と外部放電とを行うことが可能な双方向充電器10と、人検知センサ11とを備えることが可能である。
【0051】
双方向充電器10は、外部電源の電力をバッテリ3に充電する外部充電と、バッテリ3の電力を外部機器へ供給する外部放電と、を行うことが可能である。外部充電の際、バッテリ3は、車両1のインレットに接続された充電ケーブルを介して充電スタンドなどの外部電源と電気的に接続される。人検知センサ11は、車両1の周囲に存在する人を検知し、その検知信号をECU6に出力する。ECU6は、SOC検出センサ7から入力される信号と、人検知センサ11から入力される検知信号とに基づいて、報知制御を実行する。このように車両1が外部充電と外部放電とを両方とも可能である場合、ECU6は、報知制御として、現在の状態が充電状態であるのか、あるいは放電状態であるのかを車外の人に報知するように構成することができる。
【0052】
例えば、ECU6は、双方向充電器10を介した外部充電中に、人検知センサ11からの検知信号が入力された場合には、人を検知した方向に配置されたシーケンシャルウインカー8のみに、SOCを示す情報と、充電中であることを示す情報とを表示する。充電中であることを示す情報は、シーケンシャルウインカー8における複数の光源9の点灯順序および点灯方向により表すことができる。例えば図6に示すように、外部充電中である場合、シーケンシャルウインカー8は、一方端に配置された光源9から中央側に配置された光源9へと、一方端側から他方端側に向けて連続して点灯する。図6には、外部充電中にSOCが50%である場合が例示されている。この場合、一方端に配置された1つの光源9が点灯した状態から、一方端側から隣接する光源9が順番に点灯し、一方端側からの点灯数が5個になると、再び点灯数が一方端側の1つの状態に戻る。図6における右向きへの点灯数が1つから5つ点灯するまでを1秒程度として、再び点灯数が1つに戻る。つまり、外部充電中は、右向きに1つ点灯~5つ点灯までを1秒程度の周期で繰り返す。さらに、ECU6は、双方向充電器10を介した外部充電中に、人検知センサ11からの検知信号が入力されない場合には、全てのシーケンシャルウインカー8を消灯させる。
【0053】
また、ECU6は、双方向充電器10を介した外部放電中に、人検知センサ11からの検知信号が入力された場合には、人検知した方向に配置されたシーケンシャルウインカー8のみに、SOCを示す情報と、放電中であることを示す情報とを表示する。放電中であることを示す情報は、シーケンシャルウインカー8における複数の光源9の点灯順序および点灯方向により表される。例えば図7に示すように、外部放電中である、シーケンシャルウインカー8は、中央側に配置された光源9から一方端側に配置された光源9へと、他方端側から一方端側に向けて連続して点灯する。図7には、外部放電中にSOCが50%である場合が例示されている。この場合、中央に配置された1つの光源9が点灯した状態から、中央側から隣接する光源9が順番に点灯し、中央側からの点灯数が5個になると、再び点灯数が中央側の1つの状態に戻る。図7における左向きへの点灯数が1つから5つ点灯するまでを1秒程度として、再び点灯数が1つに戻る。つまり、外部放電中は、中央から左向きに1つ点灯~5つ点灯までを1秒程度の周期で繰り返す。さらに、ECU6は、双方向充電器10を介した外部放電中に、人検知センサ11からの検知信号が入力されない場合には、全てのシーケンシャルウインカー8を消灯させる。
【0054】
このように、双方向充電器10を介した充電中と放電中と示す情報を車外の人に知らせることが可能になる。これにより、車外の人は、現在の状態が充電中であるのか、あるいは放電中であるのかを判別することができる。
【0055】
なお、ECU6は、充電中と放電中とで、互いに異なる点滅状態に光源9を点滅させることができればよく、その点滅の仕方は図6図7とに例示したものに限定されない。例えば、双方向充電器10を介した充電中であることを示す情報は、線状の一方側から他方側に向けて光源9が順次点灯し、SOCに応じた点灯数となることを周期的に繰り返す点滅状態により表される。また、双方向充電器10を介した放電中であることを示す情報は、線状の他方側から一方側に向けて光源9が順次点灯し、SOCに応じた点灯するとなることを周期的に繰り返す点滅状態により表される。要するに、充電中も放電中も、最初に点灯する光源9の位置は特に限定されない。
【0056】
さらに、ECU6は、対象ウインカーの位置に応じて点灯方向を変えることが可能である。例えば、充電中であれば、車体の幅方向中央側に向けて順次点灯するように光源9の点滅状態を制御する。具体的には、充電中に、車体の左側に配置されたシーケンシャルウインカー8が対象ウインカーとなる場合には、車体の幅方向中央側は右側となるため、右向きの点灯順序となるように光源9を点滅させる。一方、充電中に、車体の右側に配置されたシーケンシャルウインカー8が対象ウインカーとなる場合には、車体の幅方向中央側は左側となるため、左向きの点灯順序となるように光源9を点滅させる。これは、放電中についても同様である。例えば、放電中であれば、車体の幅方向外側に向けて順次点灯するように光源9の点滅状態を制御する。具体的には、放電中に、車体の左側に配置されたシーケンシャルウインカー8が対象ウインカーとなる場合には、車体の幅方向外側は左側となるため、左向きの点灯順序となるように光源9を点滅させる。一方、放電中に、車体の右側に配置されたシーケンシャルウインカー8が対象ウインカーとなる場合には、車体の幅方向外側は右側となるため、右向きの点灯順序となるように光源9を点滅させる。
【0057】
また、車両1では、外部電源の種類は特に限定されない。例えば、外部電源は、複数の車両1に対して充電制御を行い、電力供給を調整する仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)により構成することが可能である。つまり、インフラ側の充電システムは、複数の車両1を管理する管理サーバを備え、この管理サーバは複数の車両1への充電電力を遠隔で一斉に制御することができる。この場合、仮想発電所などのインフラ側の制約により充電電力に制限がかかる場合がある。そこで、車両1では、インフラ側の制約により充電電力が制限される場合には、報知制御として、インフラ側の要件により充電電力に制限がかかっていることを示す情報を車外の人に知らせる制御を実行する。
【0058】
具体的には、ECU6は、インフラ側の制約により充電電力に制限がかかっていることを示す情報をライト12に表示する。ライト12は、例えばデイライトやフォグランプなどにより構成されている。車両1は、車体の左右に設けられたライト12を備えている。そのため、ECU6はシーケンシャルウインカー8以外のデイライトやフォグランプなどにインフラ側の制約を受けていることを示す情報を表示する。
【0059】
図8は、報知制御フローを示すフローチャート図である。図8に示す制御はECU6により実施される。また、図8に示す制御は図4に示す制御とは独立した実施されることが可能である。つまり、ECU6は図8に示す制御と図4に示す制御とを並行して実施することができる。
【0060】
外部電源からバッテリ3への外部充電が開始されると、ECU6は、充電電力に制限がかかっているか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21では、バッテリ3に充電する電力に制限がかかっているか否かが判定される。
【0061】
充電電力に制限がかかっていると判断した場合(ステップS21:Yes)、ECU6は、車両要件での制限であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0062】
車両要件での制限であると判断された場合(ステップS22:Yes)、この制御ルーチンはステップS21にリターンする。
【0063】
車両要件での制限ではないと判断した場合(ステップS22:No)、ECU6は、インフラ側の要件であると判断し、ライト12を点灯する(ステップS23)。ライト12は充電電力の制限を表示するためのライトである。ステップS23では、インフラ側の制約による充電電力の制限と判断されたことによりライト12が点灯される。
【0064】
ステップS23の処理を実施すると、ECU6は、バッテリ3への外部充電が終了したか否かを判定する(ステップS24)。
【0065】
バッテリ3への外部充電が終了したと判断した場合(ステップS24:Yes)、ECU6は、ライト12を消灯する(ステップS25)。ステップS25では、充電電力の制限があることを示すために点灯されていたライト12が消灯される。ステップS25の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0066】
一方、バッテリ3への外部充電が終了していないと判断された場合(ステップS24:No)、この制御ルーチンはステップS21にリターンする。
【0067】
また、充電電力に制限がかかっていないと判断した場合(ステップS21:No)、ECU6は、ライト12を消灯する(ステップS26)。ステップS26の処理を実施した結果には、ライト12を点灯していた状態からライト12を消灯する場合と、ライト12が消灯した状態を継続する場合と、が含まれる。
【0068】
ステップS26の処理を実施すると、ECU6は、バッテリ3への外部充電が終了したか否かを判定する(ステップS27)。
【0069】
バッテリ3への外部充電が終了していないと判断された場合(ステップS27:No)、この制御ルーチンはステップS21にリターンする。
【0070】
バッテリ3への外部充電が終了したと判断された場合(ステップS27:Yes)、この制御ルーチンは終了する。この場合、外部充電が完了したことになる。
【0071】
この図8に示す制御を実施することにより、充電中にライト12が点灯している場合には、インフラ側の制約により充電電力に制限がかかっていることにより充電時間が長くなっていることを車外の人に知らせることが可能になる。
【符号の説明】
【0072】
1 車両
2 モータ
3 バッテリ
4 非接触充電装置
5 インバータ
6 ECU(制御装置)
7 SOC検出センサ
8 シーケンシャルウインカー
9 光源
10 双方向充電器
11 人検知センサ
12 ライト
21 送電ユニット
22 駐車場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8