(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車両の制御装置及び車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
B60L 53/14 20190101AFI20241112BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20241112BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20241112BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20241112BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20241112BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241112BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20241112BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241112BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241112BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241112BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20241112BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241112BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20241112BHJP
【FI】
B60L53/14
G01C21/34
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/12
B60L58/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
B60W30/095
G16Y10/40
G16Y20/10
(21)【出願番号】P 2021136913
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 智洋
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-153892(JP,A)
【文献】国際公開第2020/188737(WO,A1)
【文献】特開2013-046494(JP,A)
【文献】特開2020-094838(JP,A)
【文献】特開2019-208301(JP,A)
【文献】特開2020-205740(JP,A)
【文献】特開2016-140193(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0138928(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112277667(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-13/00
15/00-58/40
B60M 1/00- 7/00
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G16Y 10/00-40/60
H02J 7/00- 7/12
7/34- 7/36
50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行中又は駐車中に前記車両の外部から供給される電力によって充電されることが可能な前記車両の制御装置であって、
複数の給電設備の各々の情報が保存された記憶装置と、
前記車両の現在地から目的地までの走行ルート、及び前記車両が前記走行ルートに沿って前記現在地から前記目的地まで到達するために必要な第1電力量を確保するための給電計画を作成する処理装置とを備え、
前記複数の給電設備の各々の情報は、当該給電設備の位置情報、及び当該給電設備が接触式の給電設備であるか、あるいは非接触式の給電設備であるかを示す情報を含み、
前記走行ルートは、前記複数の給電設備に含まれる少なくとも1つの非接触式の給電設備が配置された少なくとも1つの特定区間を含み、
前記少なくとも1つの非接触式の給電設備は、前記少なくとも1つの特定区間を走行中の前記車両に電力を供給可能であり、
前記処理装置は、前記少なくとも1つの特定区間を含む天気情報を用いて、前記少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していると判定される第1の場合の前記第1電力量に占める前記少なくとも1つの非接触式の給電設備から前記車両に供給される第2電力量の割合が、前記少なくとも1つの特定区間に前記堆積物が存在していないと判定される第2の場合の前記第1電力量に占める前記第2電力量の割合よりも小さくなるように、前記給電計画を作成
し、
前記車両は、表示装置を含み、
前記処理装置は、前記走行ルート及び前記給電計画を前記表示装置に表示するためのルート情報を出力し、
前記第1の場合において前記表示装置は、前記少なくとも1つの非接触式の給電設備に
前記堆積物の存在を表示する、車両の制御装置。
【請求項2】
前記処理装置は、前記少なくとも1つの特定区間に存在している前記堆積物の量が多い場合の前記第1電力量に占める前記第2電力量の割合が、前記少なくとも1つの特定区間に存在している前記堆積物の量が少ない場合の前記第1電力量に占める前記第2電力量の割合よりも小さくなるように、前記給電計画を作成する、請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記車両は、蓄電装置を含み、
前記複数の給電設備は、前記現在地に配置された特定給電設備を含み、
前記処理装置は、前記特定給電設備を用いて前記蓄電装置を充電することにより、前記第1の場合に前記現在地から出発するときの前記蓄電装置のSOC(State of Charge)が、前記第2の場合に前記現在地から出発するときの前記蓄電装置のSOCよりも高くなるように、前記給電計画を作成する、請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
車両の走行中又は駐車中に前記車両の外部から供給される電力によって充電されることが可能な前記車両の制御装置であって、
複数の給電設備の各々の情報が保存された記憶装置と、
前記車両の現在地から目的地までの走行ルート、及び前記車両が前記走行ルートに沿って前記現在地から前記目的地まで到達するために必要な第1電力量を確保するための給電計画を作成する処理装置とを備え、
前記複数の給電設備の各々の情報は、当該給電設備の位置情報、及び当該給電設備が接触式の給電設備であるか、あるいは非接触式の給電設備であるかを示す情報を含み、
前記走行ルートは、前記複数の給電設備に含まれる少なくとも1つの非接触式の給電設備が配置された少なくとも1つの特定区間を含み、
前記少なくとも1つの非接触式の給電設備は、前記少なくとも1つの特定区間を走行中の前記車両に電力を供給可能であり、
前記処理装置は、前記少なくとも1つの特定区間を含む天気情報を用いて、前記少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していると判定される第1の場合の前記第1電力量に占める前記少なくとも1つの非接触式の給電設備から前記車両に供給される第2電力量の割合が、前記少なくとも1つの特定区間に前記堆積物が存在していないと判定される第2の場合の前記第1電力量に占める前記第2電力量の割合よりも小さくなるように、前記給電計画を作成し、
前記車両は、表示装置を含み、
前記処理装置は、前記走行ルート及び前記給電計画を前記表示装置に表示するためのルート情報を出力し、
前記表示装置は、前記少なくとも1つの非接触式の給電設備以外の給電設備の位置に給電指示を表示する
、車両の制御装置。
【請求項5】
前記処理装置は、自動運転可能に構成された前記車両が、前記走行ルートに従って前記目的地まで自動運転で走行するためのルート情報を出力する、請求項1~4のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
走行中又は駐車中に外部から供給される電力によって充電されることが可能な車両と、
前記車両の情報及び複数の給電設備の各々の情報が保存され記憶装置と、
前記車両の現在地から目的地までの走行ルート、及び前記車両が前記走行ルートに沿って前記現在地から前記目的地まで到達するために必要な第1電力量を確保するための給電計画を作成する処理装置とを備え、
前記複数の給電設備の各々の情報は、当該給電設備の位置情報、及び当該給電設備が接触式の給電設備であるか、あるいは非接触式の給電設備であるかを示す情報を含み、
前記走行ルートは、前記複数の給電設備に含まれる少なくとも1つの非接触式の給電設備が配置された少なくとも1つの特定区間を含み、
前記少なくとも1つの非接触式の給電設備は、前記少なくとも1つの特定区間を走行中の前記車両に電力を供給可能であり、
前記処理装置は、前記少なくとも1つの特定区間を含む天気情報を用いて、前記少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していると判定される第1の場合の前記第1電力量に占める前記少なくとも1つの非接触式の給電設備から前記車両に供給される第2電力量の割合が、前記少なくとも1つの特定区間に前記堆積物が存在していないと判定される第2の場合の前記第1電力量に占める前記第2電力量の割合よりも小さくなるように、前記給電計画を作成
し、
前記車両は、前記処理装置によって作成された走行ルート及び前記給電計画を表示する表示装置を含み、
前記第1の場合において前記表示装置は、前記少なくとも1つの非接触式の給電設備に前記堆積物の存在を表示する、車両の制御システム。
【請求項7】
走行中又は駐車中に外部から供給される電力によって充電されることが可能な車両と、
前記車両の情報及び複数の給電設備の各々の情報が保存され記憶装置と、
前記車両の現在地から目的地までの走行ルート、及び前記車両が前記走行ルートに沿って前記現在地から前記目的地まで到達するために必要な第1電力量を確保するための給電計画を作成する処理装置とを備え、
前記複数の給電設備の各々の情報は、当該給電設備の位置情報、及び当該給電設備が接触式の給電設備であるか、あるいは非接触式の給電設備であるかを示す情報を含み、
前記走行ルートは、前記複数の給電設備に含まれる少なくとも1つの非接触式の給電設備が配置された少なくとも1つの特定区間を含み、
前記少なくとも1つの非接触式の給電設備は、前記少なくとも1つの特定区間を走行中の前記車両に電力を供給可能であり、
前記処理装置は、前記少なくとも1つの特定区間を含む天気情報を用いて、前記少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していると判定される第1の場合の前記第1電力量に占める前記少なくとも1つの非接触式の給電設備から前記車両に供給される第2電力量の割合が、前記少なくとも1つの特定区間に前記堆積物が存在していないと判定される第2の場合の前記第1電力量に占める前記第2電力量の割合よりも小さくなるように、前記給電計画を作成し、
前記車両は、前記処理装置によって作成された走行ルート及び前記給電計画を表示する表示装置を含
み、
前記表示装置は、前記少なくとも1つの非接触式の給電設備以外の給電設備の位置に給電指示を表示する、制御システム。
【請求項8】
前記車両は、自動運転可能に構成され、前記処理装置によって作成された走行ルートに従って前記目的地まで自動運転で走行する、請求項6または7に記載の車両の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の制御装置及び車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の方式による充電が可能な車両の給電計画を作成する構成が知られている。例えば、特開2016-140193号公報(特許文献1)には、プラグイン充電方式、非接触充電方式、及びソーラー充電方式による充電が可能な車両の充電スケジュールを車両のユーザの端末装置に報知する、車両用電池の充電情報報知システムが開示されている。当該充電情報報知システムによれば、プラグイン充電方式を含む複数の充電方式による充電に関する情報を適切に車両のユーザに報知することができるため、当該ユーザの利便性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触式の給電設備が走行ルートに沿って配置されている場合、当該給電設備に近接して走行中の車両に当該給電設備から電力を供給することができる。しかし、天気に由来する堆積物(例えば雪又は黄砂)が走行ルートに存在する場合、非接触式の給電設備から走行中の車両へ供給される電力量(給電量)は、当該走行ルートを含む地域の天気によっては給電計画において想定されていた給電量よりも減少し得る。当該堆積物による非接触式の給電設備の給電量の減少が考慮されていない給電計画に従うと、現在地から目的地まで到達するために必要な電力量を確保することができない可能性がある。その結果、現在地から目的地までの走行ルートの途中で車両の電力量が不足し、目的地に到達することができなくなる可能性がある。しかし、特許文献1に開示された充電情報報知システムにおいては、走行ルートに存在し得る堆積物によって非接触式の給電設備の給電量が減少することについて考慮されていない。
【0005】
それゆえに、本開示の目的は、給電計画に従って走行する車両の電力不足を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両の制御装置は、車両の走行中又は駐車中に車両の外部から供給される電力によって充電されることが可能な車両の制御装置である。車両の制御装置は、記憶装置と、処理装置とを備える。記憶装置は、複数の給電設備の各々の情報が保存されている。処理装置は、車両の現在地から目的地までの走行ルート、及び車両が走行ルートに沿って現在地から目的地まで到達するために必要な第1電力量を確保するための給電計画を作成する。複数の給電設備の各々の情報は、当該給電設備の位置情報、及び当該給電設備が接触式の給電設備であるか、あるいは非接触式の給電設備であるかを示す情報を含む。走行ルートは、複数の給電設備に含まれる少なくとも1つの非接触式の給電設備が配置された少なくとも1つの特定区間を含む。少なくとも1つの非接触式の給電設備は、少なくとも1つの特定区間を走行中の車両に電力を供給可能である。処理装置は、少なくとも1つの特定区間を含む天気情報を用いて、少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していると判定される第1の場合の第1電力量に占める少なくとも1つの非接触式の給電設備から車両に供給される第2電力量の割合が、少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していないと判定される第2の場合の第1電力量に占める第2電力量の割合よりも小さくなるように、給電計画を作成する。
【0007】
車両の制御装置よって作成された給電計画においては、少なくとも1つの特定区間に存在している堆積物によって非接触式の給電設備から供給される第2電力量が減少することが考慮されるため、現在地から目的地まで到達するために必要な第1電力量を給電計画に従って確保することができる。その結果、給電計画に従って走行する車両の電力不足を防止することができる。
【0008】
処理装置は、少なくとも1つの特定区間に存在している堆積物の量が多い場合の第1電力量に占める第2電力量の割合が、少なくとも1つの特定区間に存在している堆積物の量が少ない場合の第1電力量に占める第2電力量の割合よりも小さくなるように、給電計画を作成してもよい。
【0009】
少なくとも1つの特定区間に存在している堆積物の量に応じて給電計画における第1電力量に占める第2電力量の割合を変化させることにより、給電計画に従って第1電力量を確実に確保するとともに、駐車中充電の増加に伴う現在地から目的地までの所要時間の増加を抑制することができる。
【0010】
車両は、蓄電装置を含んでもよい。複数の給電設備は、現在地に配置された特定給電設備を含んでもよい。処理装置は、特定給電設備を用いて蓄電装置を充電することにより、第1の場合に現在地から出発するときの蓄電装置のSOC(State of Charge)が、第2の場合に現在地から出発するときの蓄電装置のSOCよりも高くなるように、給電計画を作成してもよい。
【0011】
現在地から出発するときの蓄電装置のSOCを高めておくことにより、堆積物によって少なくとも1つの特定区間における非接触式の給電設備の給電量が減少しても、目的地まで到達する前に車両が電力不足となることを防止することができる。
【0012】
車両は、表示装置を含んでもよい。処理装置は、走行ルートおよび給電計画を表示装置に表示するためのルート情報を出力してもよい。
【0013】
このような構成により、車両の運転者は、表示装置を視認することにより、実際の走行ルート及び給電計画を知ることができる。
【0014】
処理装置は、自動運転可能に構成された車両が、走行ルートに従って目的地まで自動運転で走行するためのルート情報を出力してもよい。
【0015】
このような構成により、車両は、作成された走行ルートに従って目的地まで自動運転により走行することができる。
【0016】
また、本開示の車両の制御システムは、車両と、記憶装置と、処理装置とを備える。車両は、走行中又は駐車中に外部から供給される電力によって充電されることが可能である。記憶装置には、車両の情報及び複数の給電設備の各々の情報が保存されている。処理装置は、車両の現在地から目的地までの走行ルート、及び車両が走行ルートに沿って現在地から目的地まで到達するために必要な第1電力量を確保するための給電計画を作成する。複数の給電設備の各々の情報は、当該給電設備の位置情報、及び当該給電設備が接触式の給電設備であるか、あるいは非接触式の給電設備であるかを示す情報を含む。走行ルートは、複数の給電設備に含まれる少なくとも1つの非接触式の給電設備が配置された少なくとも1つの特定区間を含む。少なくとも1つの非接触式の給電設備は、少なくとも1つの特定区間を走行中の車両に電力を供給可能である。処理装置は、少なくとも1つの特定区間を含む天気情報を用いて、少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していると判定される第1の場合の第1電力量に占める少なくとも1つの非接触式の給電設備から車両に供給される第2電力量の割合が、少なくとも1つの特定区間に堆積物が存在していないと判定される第2の場合の第1電力量に占める第2電力量の割合よりも小さくなるように、給電計画を作成する。
【0017】
車両は、処理装置によって作成された走行ルートおよび給電計画を表示する表示装置を含んでもよい。
【0018】
このような構成により、車両の運転者は、表示装置を視認することにより、実際の走行ルート及び給電計画を知ることができる。
【0019】
車両は、自動運転可能に構成され、処理装置によって作成された走行ルートに従って目的地まで自動運転で走行してもよい。
【0020】
このような構成により、車両は、作成された走行ルートに従って目的地まで自動運転により走行することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の車両の制御装置及び制御システムによれば、給電計画に従って走行する車両の電力不足を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の実施の形態に従う車両の制御システムの全体構成を示す図である。
【
図3】車両及び車両制御サーバの構成をより詳細に示す図である。
【
図4】給電レーンに沿って配置された給電システムの一例を説明する図である。
【
図5】現在地および目的地を含む地域の天気情報に降雪情報および黄砂情報が含まれていない場合に
図3の車両制御サーバによって作成された走行ルート及び給電計画が表示されているディスプレイを示す図である。
【
図6】現在地および目的地を含む地域の天気情報に降雪情報または黄砂情報が含まれている場合に
図3の車両制御サーバによって作成された走行ルート及び給電計画が表示されているディスプレイを示す図である。
【
図7】車両の走行ルートの作成に関して車両及び車両制御サーバで実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図7の走行ルートおよび給電計画の作成処理の具体的な処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態の変形例における車両及び車両制御サーバで実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
図1は、本開示の実施の形態に従う車両の制御システム1の全体構成を示す図である。
図1を参照して、制御システム1は、車両100と、車両制御サーバ200と、複数の給電設備を含む給電設備群300と、リアルタイムに各地域の天気情報(たとえば降雪情報あるいは黄砂情報)を配信する天気情報サーバ400とを備える。車両100、車両制御サーバ200、給電設備群300、及び天気情報サーバ400は、インターネット等のネットワークNWを介して互いに通信可能に構成されている。車両制御サーバ200及び天気情報サーバ400は、一体として形成されていてもよい。
【0025】
車両100は、給電設備群300から充電可能な走行用の蓄電装置(図示せず)を搭載した電動車である。車両100は、例えば、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、あるいはプラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等である。車両100は、車両100の走行中又は駐車中に車両100の外部から供給される電力によって充電(外部充電)されることが可能である。すなわち、車両100は、車両100の走行中には非接触給電設備から受電可能に構成されているとともに、車両100の停止中には非接触給電設備及び接触給電設備から受電可能に構成されている。なお、車両100が「走行中」という状態は、車両100が走行のために道路上に位置する状態を意味し、実際に走行している状態だけでなく、信号待ち等によって道路上に一時的に停止している状態も含む。他方、車両100が「駐車中」いう状態は、比較的長時間の停止用に確保された特定の場所において車両100が停止している状態を意味する。
【0026】
車両制御サーバ200は、車両100に関する情報(例えば、車種、識別情報、充電方式、及び現在地/目的地等)、地図情報(例えば、最新の道路情報等)、及び給電設備群300に関する情報(例えば、給電設備群300に含まれる複数の給電設備の各々の給電方式、及び設置場所等)を有している。車両制御サーバ200は、天気情報サーバ400から、車両100の現在地及び目的地が含まれる地域の天気情報を取得する。車両制御サーバ200は、これらの各種情報に基づいて、車両100に適した目的地までの走行ルート、及び車両100が走行ルートに沿って現在地から目的地まで到達するために必要な必要電力量(第1電力量)を確保するための給電計画を作成する。車両制御サーバ200は、車両100の制御装置として機能する。
【0027】
給電設備群300は、各地に設けられた、複数の接触給電設備310と、複数の非接触給電設備320とを含む。接触給電設備310は、給電ケーブルの先端に設けられるコネクタを車両のインレットに接続することにより、給電ケーブルを通じて車両への給電を行なう給電設備である。非接触給電設備320は、送電コイル及び車両に搭載された受電コイルを用いて、電磁界を通じて非接触で車両への給電を行なう給電設備である。
【0028】
実施の形態において非接触給電には、「走行中非接触給電」と「駐車中非接触給電」とが含まれる。走行中非接触給電は、走行レーンに設置された非接触給電設備320から車両100へ給電を行う非接触給電である。以下では、複数の非接触給電設備320が設置された走行レーンを「給電レーン」(特定区間)とも称する。他方、駐車中非接触給電は、給電ステーション等に設置された非接触給電設備320から駐車中の車両100へ給電を行なう非接触給電である。
【0029】
図2は、
図1に示した車両100の構成例を示す図である。
図2を参照して、車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレーSMR(System Main Relay)と、PCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130と、動力伝達ギヤ135と、駆動輪140とを備える。また、車両100は、インレット150と、充電器155と、受電コイル160と、整流回路165と、充電リレーRY1,RY2とをさらに備える。さらに、車両100は、ECU(Electronic Control Unit)170と、ナビゲーション装置180と、通信モジュール190とをさらに備える。
【0030】
蓄電装置110は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置110は、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等の二次電池、もしくは電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を含んで構成される。蓄電装置110は、モータジェネレータ130により走行駆動力を発生するための電力を蓄えている。蓄電装置110は、システムメインリレーSMRが閉成状態であるときに、蓄えられた電力をPCU120へ供給する。蓄電装置110は、図示しないセンサによって検出された蓄電装置110の電圧、電流、及び温度の各検出値をECU170へ出力する。
【0031】
システムメインリレーSMRは、蓄電装置110とPCU120との間の電力線対PL,NLに設けられる。システムメインリレーSMRは、ECU170からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
【0032】
PCU120は、モータジェネレータ130を駆動する駆動装置であり、コンバータ及びインバータ等(いずれも図示せず)の電力変換装置を含んで構成される。PCU120は、ECU170によって制御され、蓄電装置110から受ける直流電力を、モータジェネレータ130を駆動するための交流電力に変換する。PCU120は、車両100の制動時にモータジェネレータ130によって発電される電力を蓄電装置110の電圧レベルに整流して蓄電装置110へ出力する。
【0033】
モータジェネレータ130は、交流回転電機であり、例えば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。モータジェネレータ130は、PCU120により駆動されて走行駆動力を発生し、発生した駆動力は、動力伝達ギヤ135を通じて駆動輪140に伝達される。車両100の制動時には、モータジェネレータ130は、駆動輪140の回転力によって発電することができる。発電された電力は、PCU120によって蓄電装置110の充電電力に変換され、蓄電装置110に蓄えられる。
【0034】
インレット150は、接触給電設備310(
図1)の給電ケーブルに設けられるコネクタを接続可能に構成されており、接触給電設備310から供給される電力を受電する。充電器155は、ECU170によって制御され、インレット150に接続された接触給電設備310により蓄電装置110を充電する外部充電(接触充電)の実行時に、インレット150から入力される電力を、蓄電装置110を充電可能な電力に変換する。実施の形態においては、接触給電設備310からは交流電力が供給され、充電器155は、AC/DCコンバータによって構成されるものとするが、接触給電設備310から直流電力が供給される場合(DC接触充電の場合)には、車両100は充電器155を備えなくてもよい。
【0035】
充電リレーRY1は、充電器155と蓄電装置110との間の電路に設けられ、接触給電設備310による接触充電の実行時に、ECU170により閉成状態に制御される。
【0036】
受電コイル160は、非接触給電設備320(
図1)の送電コイルから電磁界を通じて非接触で受電可能に構成されており、非接触給電設備320により蓄電装置110を充電する外部充電(非接触充電)の実行時に、非接触給電設備320から供給される電力を受電する。整流回路165は、受電コイル160により受電された交流電力を整流して蓄電装置110へ出力する。
【0037】
充電リレーRY2は、整流回路165と蓄電装置110との間の電路に設けられ、非接触給電設備320による非接触充電の実行時に、ECU170により閉成状態に制御される。
【0038】
ECU170は、各種センサからの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100及び各機器の制御を行なう。ECU170は、車両100の走行に関する各種制御(例えば、駆動制御、制動制御、及び操舵制御等)を実行する。また、ECU170は、接触給電設備310(
図1)による外部充電が行なわれるときは、充電リレーRY1をオンにして、インレット150及び充電器155を用いて蓄電装置110を充電する接触充電を実行する。他方、ECU170は、非接触給電設備320(
図1)による外部充電が行なわれるときは、充電リレーRY2をオンにして、受電コイル160及び整流回路165を用いて蓄電装置110を充電する非接触充電を実行する。
【0039】
ナビゲーション装置180は、車両100の現在地から運転者によって設定された目的地までの走行ルートをディスプレイ182(後述)に表示する。ナビゲーション装置180は、車両100の現在地の位置、設定された目的地の位置、及び現在地から目的地までの走行ルート、及び走行ルートに含まれる特定の地点における駐車中充電の時間を給電計画として表示する。後述のように、実施の形態では、車両100の現在地の位置情報、及び設定された目的地の位置情報が車両情報として車両制御サーバ200へ送信され、車両制御サーバ200において、車両情報、給電設備群300の情報及び天気情報を考慮して目的地までの走行ルート及び給電計画が決定される。
【0040】
通信モジュール190は、車載DCM(Data Communication Module)であって、通信ネットワークを通じて車両制御サーバ200と双方向にデータ通信可能に構成されている。また、通信モジュール190は、給電設備群300(特に、複数の非接触給電設備320を含んで構成される走行中非接触給電用の給電設備(後述))の通信装置とも通信可能に構成されている。
【0041】
図3は、車両100及び車両制御サーバ200の構成をより詳細に示す図である。なお、車両100については、ECU170、ナビゲーション装置180、通信モジュール190、及びセンサ群185(後述)のみについて説明する。
【0042】
図3を参照して、車両100は、センサ群185をさらに備えている。ECU170、ナビゲーション装置180、通信モジュール190、及びセンサ群185は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク195を通じて互いに通信可能に構成されている。
【0043】
ECU170は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ171と、メモリ172と、入出力バッファ173とを含んで構成される。メモリ172は、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。プロセッサ171は、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、ECU170により実行される各種処理が記述されている。
【0044】
ECU170は、センサ群185の各センサからの信号に応じて車両100が所望の状態となるように機器類を制御する。例えば、ECU170は、PCU120(
図2)を制御することによって、車両100の走行を実現するための各種制御を実行する。また、ECU170は、蓄電装置110の電圧及び電流の検出値を受け、これらの検出値に基づいて蓄電装置110のSOC(State Of Charge)を算出する。
【0045】
ECU170は、インレット150に接触給電設備310のコネクタが接続されている場合に、充電リレーRY1を閉成状態にするとともに充電器155を制御し、接触給電設備310により蓄電装置110を充電する接触充電を実行する。ECU170は、受電コイル160が非接触給電設備320から受電可能な場合に、充電リレーRY2を閉成状態にするとともに受電コイル160による非接触給電設備320からの受電を制御し、非接触給電設備320により蓄電装置110を充電する非接触充電を実行する。
【0046】
ECU170は、PCU120及び操舵装置(図示せず)を制御することによって、車両100の自動運転を実現するための各種制御を実行する。自動運転とは、車両100の加速、減速、及び操舵等の運転操作が運転者の運転操作によらずに実行される運転を意味する。ECU170による自動運転下においては、ECU170は、すべての状況下において運転者の運転操作を必要としない。なお、車両100は自動運転可能に構成されていなくてもよい。
【0047】
自動運転を実現するため、車両100は、車両100の外部及び内部の状況を検出するセンサ群185を備えている。センサ群185は、外部センサ186と、内部センサ187とを含む。外部センサ186は、車両100の外部の状況を検出するように構成されたセンサである。内部センサ187は、車両100の走行状態に応じた情報、ならびに、操舵操作、アクセル操作、及びブレーキ操作を検出するように構成されたセンサである。
【0048】
外部センサ186は、例えば、カメラ、レーダー(Radar)、及びLIDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)等を含む(いずれも図示せず)。カメラは、車両100の外部状況を撮像し、車両100の外部状況に関する撮像情報をECU170に出力する。レーダーは、電波(例えばミリ波)を車両100の周囲に送信し、障害物で反射された電波を受信して障害物を検出する。そして、レーダーは、障害物までの距離及び障害物の方向を障害物に関する障害物情報としてECU170に出力する。LIDARは、光(典型的には紫外線、可視光線、又は近赤外線)を車両100の周囲に送信し、障害物で反射された光を受信することで反射点までの距離を計測し、障害物を検出する。LIDARは、例えば、障害物までの距離及び障害物の方向を障害物情報としてECU170に出力する。
【0049】
内部センサ187は、例えば、車速センサ、加速度センサ、あるいはヨーレートセンサ等を含む(いずれも図示せず)。車速センサは、車両100の車輪又は車輪と一体的に回転するドライブシャフト等に設けられ、車輪の回転速度を検出して車両100の速度を含む車速情報をECU170に出力する。加速度センサは、例えば、車両100の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両100の横加速度を検出する横加速度センサとを含み、両方の加速度を含む加速度情報をECU170に出力する。ヨーレートセンサは、車両100の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する。ヨーレートセンサは、例えばジャイロセンサであり、車両100のヨーレートを含むヨーレート情報をECU170に出力する。
【0050】
ナビゲーション装置180は、GPS受信機181と、ディスプレイ182(表示装置)とを含む。GPS受信機181は、人工衛星(図示せず)からの電波に基づいて車両100の位置を特定する。ディスプレイ182は、タッチパネル機能を有しており、様々な情報を表示するとともにユーザの様々な操作を受け付ける。例えば、ディスプレイ182は、車両100の周辺の道路地図に車両100の現在地を重ね合わせて表示する。また、ディスプレイ182は、目的地の設定操作や、提示(表示)された走行ルートに対する選択操作等の種々の操作を受け付ける。
【0051】
実施の形態では、ディスプレイ182に対する操作によって目的地が設定されると、ナビゲーション装置180は、その設定された目的地の情報を、GPS受信機181によって取得される車両100の現在地の情報とともにECU170へ出力する。ECU170は、通信モジュール190によって、車両100の現在地及び目的地を示す位置情報とともに、現在地から目的地までの走行ルート及び給電計画の作成依頼を車両制御サーバ200へ送信する。その際、ECU170は、車両100が対応可能な充電方式(接触式/非接触式)の情報も併せて車両制御サーバ200へ送信する。
【0052】
車両制御サーバ200は、通信装置210と、記憶装置220と、処理装置230とを含む。通信装置210は、通信ネットワークを通じて車両100の通信モジュール190及び天気情報サーバ400と双方向にデータ通信可能に構成されている。
【0053】
記憶装置220は、地図情報データベース(DB)221と、車両情報データベース(DB)222と、給電設備データベース(DB)223とを含む。地図情報DB221には、最新の道路地図に関するデータが記憶されている。車両情報DB222には、車両100の各種情報が格納されている。具体的には、車両情報DB222は、車両100から取得された車両情報(車両の位置情報(現在地/目的地)、車種、及び対応可能な充電方式(接触式/非接触式)等)を、車両100に付与されたIDと対応付けて格納する。なお、制御システム1は、複数の車両が利用可能であり、車両情報DB222には、複数の車両100の情報が格納されている。
【0054】
給電設備DB223は、給電設備群300(
図1)の各給電設備に関する情報を格納する。例えば、給電設備DB223は、各給電設備の位置情報、給電方式(接触式/非接触式)の情報等を、給電設備毎に付与されたIDと対応付けて格納する。
【0055】
なお、地図情報DB221及び給電設備DB223は、定期的に最新の情報に更新される。車両情報DB222は、車両100において目的地が設定されることにより車両100から車両情報が取得されると、その取得された車両情報に基づいて更新される。
【0056】
処理装置230は、CPU等のプロセッサ231と、メモリ232と、入出力バッファ233とを含んで構成される。メモリ232は、図示しないROM及びRAMを含む。CPU231は、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、処理装置230により実行される各種処理が記述されている。
【0057】
処理装置230は、車両100から走行ルート及び給電計画の作成依頼を受けると、地図情報DB221の地図情報、車両情報DB222の車両情報、給電設備DB223の給電設備に関する情報、及び天気情報サーバ400から配信された天気情報の各種情報に基づいて、車両100の現在地から目的地までの走行ルート及び給電計画を作成する。
【0058】
処理装置230は、目的地までの走行距離が最短の走行ルートを作成する。処理装置230は、走行距離に代えて、目的地までの所要時間が最短の走行ルートを作成してもよい。
【0059】
処理装置230は、作成された走行ルート及び給電計画を車両100において表示するためのルート情報を車両100へ送信する。車両100は、車両制御サーバ200からルート情報を受信すると、作成された走行ルートおよび給電計画をナビゲーション装置180のディスプレイ182に表示する。なお、特に図示していないが、ルート情報を処理装置230から運転者の携帯端末(スマートフォン等)へ送信し、運転者の携帯端末に作成された走行ルート及び給電計画を表示してもよい。
【0060】
図4は、給電レーンLpに沿って配置された給電システム350の一例を説明する図である。
図4を参照して、走行中非接触給電に用いられる給電システム350は、複数の非接触給電設備320と、通信装置330と、処理装置340とを含む。なお、
図4には、6台の非接触給電設備320が図示されているが、非接触給電設備320の台数はこれに限定されない。
【0061】
各非接触給電設備320は、送電コイルを含んで構成され、交流電源から電力の供給を受ける(いずれも図示せず)。非接触給電設備320は、送電コイルの周囲に電磁界を形成することで、電磁界を通じて送電コイルと結合した車両100の受電コイル160へ非接触で電力を伝送することができる。
【0062】
通信装置330は、通信ネットワークを通じて車両制御サーバ200の通信装置210と広域通信可能に構成されている。また、通信装置330は、狭域無線通信により車両100の通信モジュール190とも通信可能に構成されている。
【0063】
処理装置340は、CPU等のプロセッサ341と、メモリ342とを含んで構成される。メモリ342は、図示しないROM及びRAMを含む。CPU341は、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、処理装置340により実行される各種処理が記述されている。
【0064】
車両100は、走行中に非接触充電が実行される場合に、車両100を識別するための車両IDとともに車両100の情報を、通信モジュール190を通じて車両制御サーバ200へ送信する。上記の情報は、例えば、給電システム350からの受電電力(又は電力量)の要求値を示す要求電力(又は要求電力量)、車両100の現在位置情報、及び受電コイル160の情報(サイズ、又は地面からの高さ等)等を含む。
【0065】
車両制御サーバ200は、車両100の車両ID及び情報を車両100から受信すると、これらの情報を車両情報DB222に記憶するとともに、通信装置210を通じて給電システム350へ送信する。
【0066】
給電システム350は、車両100の車両ID及び情報を車両制御サーバ200から受信すると、給電システム350から給電を行なう可能性のある車両の車両IDが登録される識別情報リストに、その受信した車両100の車両IDを登録する。
【0067】
車両100は、車両100の車両ID及び情報を車両制御サーバ200へ送信した後、通信モジュール190から狭域無線通信により車両100の車両IDを発信する。給電システム350は、車両100から発信された車両IDを通信装置330により受信し、識別情報リストに登録された車両IDと照合することで給電システム350に車両100が接近したことを検知すると、非接触給電設備320に電力が供給されるアクティブ状態となる。この状態において車両100の受電コイル160が非接触給電設備320の上方に到達すると、非接触給電設備320から車両100の受電コイル160へ電磁界を通じて非接触で電力が伝送される。
【0068】
給電システム350が、車両100から狭域無線通信により発信された車両IDを通信装置330で受信できなくなると、非接触給電設備320への電力供給が停止され、給電システム350から車両100への給電が終了する。
【0069】
給電レーンLpには、天気に由来する堆積物900(例えば、雪又は黄砂)が存在している。堆積物900が給電レーンLpに存在する場合、非接触給電設備320の送電コイルと送電コイルとの間の電磁界結合が堆積物900によって妨げられ得る。その場合、非接触給電設備320から走行中の車両100への給電量は、堆積物900が給電レーンLpに存在しない場合の給電量よりも減少し得る。堆積物900による非接触給電設備320の給電量の減少が考慮されていない給電計画に従うと、現在地から目的地まで到達するために必要な必要電力量を給電計画に従って確保することができない可能性がある。その結果、現在地から目的地までの走行ルートの途中で車両100の電力量が不足し、目的地に到達することができなくなる可能性がある。
【0070】
そこで、制御システム1において車両制御サーバ200は、天気情報サーバ400から取得した、給電レーンLpが含まれる地域の天気情報を用いて、給電レーンLpに堆積物900が存在していると判定される場合(第1の場合)の必要電力量に占める、非接触給電設備320から車両100に供給される電力量(第2電力量)の割合(非接触給電の割合)が、給電レーンLpに堆積物900が存在していないと判定される場合(第2の場合)の非接触給電の割合よりも小さくなるように、給電計画を作成する。車両制御サーバ200によれば、車両100の駐車中に車両100に給電される電力量が必要電力量に占める割合が、給電レーンLpに堆積物900が存在していると判定される場合に、給電レーンLpに堆積物900が存在していないと判定される場合よりも増加される。車両制御サーバ200によって作成された給電計画においては、堆積物900による非接触給電設備320の給電量の減少が考慮されるため、現在地から目的地まで到達するために必要な必要電力量を給電計画に従って確保することができる。その結果、給電計画に従って走行する車両100の電力不足を防止することができる。
【0071】
図5は、現在地および目的地を含む地域の天気情報に降雪情報および黄砂情報が含まれていない場合に
図3の車両制御サーバ200によって作成された走行ルートR1及び給電計画が表示されているディスプレイ182を示す図である。
図5を参照して、走行ルートR1は、給電ポイントP0,P1,P2,P3,P4,P5を含む。
図5において給電計画は、給電指示Sp1,Sp2を含む。
【0072】
給電ポイントP0は、現在地(出発地)である。給電ポイントP0には、接触給電設備310(特定給電設備)及び非接触給電設備320(特定給電設備)が設けられている。給電ポイントP0では、車両100は、駐車中に、接触給電設備310による接触充電及び非接触給電設備320による非接触充電が可能である。
図5においては、給電ポイントP0に「SOCが60%以上となるまで充電してから出発してください。」との給電指示Sp1が表示されている。
【0073】
給電ポイントP1,P2,P5の各々には、給電システム350を備える給電レーンLpが設けられている。車両100は、給電ポイントP1,P2,P5の各々に対応する給電レーンLpを走行中に、給電システム350から非接触給電を受けることが可能である。
【0074】
給電ポイントP3,P4は、走行ルートR1沿いの施設等(例えば、ショッピングモールあるいはコンビニエンスストア等)である。給電ポイントP3には、接触給電設備310が設けられている。給電ポイントP3では、車両100は、接触給電設備310による接触充電が可能である。給電ポイントP4には、非接触給電設備320が設けられている。給電ポイントP4では、車両100は、駐車中に、非接触給電設備320による非接触充電が可能である。
図5においては、給電ポイントP3に「20分以上給電してください。」との給電指示Sp2が表示されている。
【0075】
図6は、現在地および目的地を含む地域の天気情報に降雪情報または黄砂情報が含まれている場合に
図3の車両制御サーバ200によって作成された走行ルートR1及び給電計画が表示されているディスプレイ182を示す図である。
図6においては、給電ポイントP1,P2の各々に設けられている給電レーンLpに堆積物の存在が予測されている。
図6を参照して、給電計画は、給電指示Sp11,Sp12,Sp13を含む。給電ポイントP0に「SOCが80%以上となるまで充電してから出発してください。」との給電指示Sp11が表示されている。給電ポイントP3に「30分以上給電してください。」との給電指示Sp12が表示されている。給電ポイントP4に「20分以上給電してください。」との給電指示Sp13が表示されている。
【0076】
図5および
図6を比較すると、給電ポイントP0,P3,P4において車両100の駐車中に車両100に給電される電力量は、
図6の方が
図5より多い。車両100が走行ルートR1に沿って現在地から目的地まで到達するために必要な必要電力量は
図5および
図6の各々で同じであるから、走行中非接触給電の割合は
図6の方が小さい。特に、現在地である給電ポイントP0における車両100に含まれる蓄電装置110のSOCが
図6の方が
図5よりも高められていることにより、給電レーンLpに沿って配置された非接触給電設備320の給電量が堆積物によって減少しても、目的地まで到達する前に車両が電力不足となることを防止することができる。
【0077】
図7は、車両100の走行ルートの作成に関して車両100及び車両制御サーバ200で実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。当該フローチャートに示される一連の処理は、車両100及び車両制御サーバ200において、所定の周期毎又は所定の条件が成立する毎に繰り返し実行される。
【0078】
図7を参照して、車両100において、ECU170は、ナビゲーション装置180において目的地が設定されたか否かを判定する(ステップS10)。目的地が設定されていない場合(ステップS10においてNO)、ECU170は、以降の一連の処理を実行することなくリターンへと処理を移行する。
【0079】
目的地が設定されている場合(ステップS10においてYES)、ECU170は、車両100の情報(車両情報)と、走行ルート及び給電計画の作成依頼とを含むルート作成依頼を、通信モジュール190を通じて車両制御サーバ200へ送信する(ステップS20)。車両制御サーバ200へ送信される車両情報は、車両100の現在地及び目的地を示す情報、並びに車両100が対応可能な充電方式(接触式/非接触式)の情報を含む。なお、ルート作成依頼の車両制御サーバ200への送信は、ナビゲーション装置180において目的地が設定されたときに実行され、目的地が設定されている間に繰り返し送信されるものではない。
【0080】
次いで、ECU170は、ルート作成依頼に従って車両制御サーバ200において作成された、走行ルートおよび給電計画を含むルート情報を車両制御サーバ200から受信したか否かを判定する(ステップS30)。ECU170は、車両制御サーバ200からルート情報を受信した場合(ステップS30においてYES)、受信したルート情報に含まれる走行ルートおよび給電計画をナビゲーション装置180のディスプレイ182に表示する(ステップS40)。車両100の運転者は、ディスプレイ182を視認することにより、実際の走行ルート及び駐車中充電を行うべき給電ポイントおよび当該給電ポイントにおいて満たす必要のある充電条件(たとえば充電時間、あるいはSOCの値)を知ることができる。
【0081】
他方、車両制御サーバ200において、処理装置230は、ルート作成依頼を車両100から受信したか否かを判定する(ステップS110)。処理装置230は、ルート作成依頼を受信していない場合(ステップS110においてNO)、以降の一連の処理を実行することなくリターンへと処理を移行する。
【0082】
車両制御サーバ200において、ルート作成依頼が受信された場合(ステップS110においてYES)、処理装置230は、当該ルート作成依頼に含まれる車両情報に含まれる車両100の現在地から目的地までの走行ルートおよび給電計画を作成する(ステップS120)。ステップS130において走行ルートおよび給電計画が作成されると、処理装置230は、当該走行ルートおよび給電計画を含むルート情報を、通信装置210を通じて車両100へ送信する(ステップS130)。
【0083】
図8は、
図7の走行ルートおよび給電計画の作成処理(ステップS120)の具体的な処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図8を参照しながら、処理装置230は、地図情報DB221の地図情報に基づいて、車両100の現在地から目的地までの走行距離(又は所要時間)が最短の走行ルートを作成する(ステップS121)。処理装置230は、作成された走行ルート及び給電設備DB223の給電設備の位置情報に基づいて給電計画を作成する(ステップS122)。処理装置230は、天気サーバから天気情報を取得する(ステップS123)。
【0084】
処理装置230は、取得された天気情報を用いて、作成された走行ルートに含まれる給電レーンLpに堆積物900が存在するか否かを判定する(ステップS124)。処理装置230は、給電レーンLpに堆積物900が存在すると判定する場合(ステップS124においてYES)、給電レーンLpに存在する堆積物900の量が多いほど、給電計画において給電レーンLpから供給される電力量の必要電力量に占める割合を減少させる(ステップS125)。処理装置230は、給電レーンLpに堆積物900が存在しないと判定する場合(ステップS124においてNO)、ステップS124を実行することなくリターンへと処理を移行する。
【0085】
処理装置230は、給電レーンLpに存在している堆積物900の量が多い場合の給電計画における必要電力量に占める、給電レーンLpから供給される電力量(走行中の給電量)の割合が、給電レーンLpに存在している堆積物900の量が少ない場合の必要電力量に占める走行中の給電量の割合よりも小さくなるように、給電計画を作成する。給電レーンLpに存在している堆積物の量に応じて、給電計画における必要電力量に占める走行中の給電量の割合を変化させることにより、給電計画に従って必要電力量を確実に確保するとともに、駐車中充電の増加に伴う現在地から目的地までの所要時間の増加を抑制することができる。
【0086】
なお、実施の形態においては、走行ルート及び給電計画を作成する構成(車両の制御装置)を、車両100とは異なる車両制御サーバ200が有する場合について説明したが、車両100が当該構成の一部又は全部を有していてもよい。
【0087】
[変形例]
車両100が自動運転可能な車両である場合、作成された走行ルートに従って目的地まで車両100が自動運転で走行するものとしてもよい。当該変形例によれば、作成された走行ルートに従って目的地まで自動運転により走行することができる。
【0088】
図9は、実施の形態の変形例における車両100及び車両制御サーバ200で実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9に示されるフローチャートは、
図7のフローチャートにステップS50が追加されたフローチャートである。
【0089】
車両100において、ECU170は、実施の形態と同様にステップS10,S20,S30,S40を実行した後、受信した走行ルートに従って自動運転により目的地まで走行する(ステップS50)。なお、車両100におけるその他の処理、及び車両制御サーバ200における処理は、
図7のフローチャートと同様である。
【0090】
以上、実施の形態および変形例に係るによれば、給電計画に従って走行する車両の電力不足を防止することができる。
【0091】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1 制御システム、100 車両、110 蓄電装置、130 モータジェネレータ、135 動力伝達ギヤ、140 駆動輪、150 インレット、155 充電器、160 受電コイル、165 整流回路、171,231,341 プロセッサ、172,232,342 メモリ、173,233 入出力バッファ、180 ナビゲーション装置、181 受信機、182 ディスプレイ、185 センサ群、186 外部センサ、187 内部センサ、190 通信モジュール、195 車載ネットワーク、200 車両制御サーバ、210,330 通信装置、220 記憶装置、230,340 処理装置、300 給電設備群、310 接触給電設備、320 非接触給電設備、350 給電システム、400 天気情報サーバ、900 堆積物、221 地図情報DB、222 車両情報DB、DB 給電設備223、Lp 給電レーン、NL,PL 電力線対、NW ネットワーク、P0~P5 給電ポイント、R1 走行ルート、RY1,RY2 充電リレー、SMR システムメインリレー、Sp1,Sp2,Sp11~Sp13 給電指示。