(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 53/30 20190101AFI20241112BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241112BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B60L53/30
H02J7/00 P
B60R16/02 645A
(21)【出願番号】P 2021145541
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 隼人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大嗣
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-514443(JP,A)
【文献】特開2009-118658(JP,A)
【文献】特開2011-072081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/30
H02J 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部の電源によって充電されるバッテリ(2)を備える車両に搭載される電子制御装置(1)であって、
前記車両の移動を阻止するロック状態及び前記車両の移動が可能な非ロック状態のいずれかを判定するように構成された判定部(52)と、
当該電子制御装置内における電力の供給及び供給停止を制御するように構成された電源コントロール部(53)と、
を備え、
当該電子制御装置は、前記バッテリが充電される外部充電の期間であって、前記車両が備える、前記バッテリへの充電の制御を行うシステムと、前記車両外部の電源と、が接続している外部充電の期間であるか否かを判定し、
前記電源コントロール部は、
当該電子制御装置により、前記外部充電の期間であると判定された場合、前
記外部充電の期間において、予め定められた周期で前記電力を供給し、
前記判定部は、前記外部充電の期間において、前記電力の供給を受けて、前記ロック状態及び前記非ロック状態のいずれかを判定し、
前記電源コントロール部は、前記判定部が判定を完了した後、前記電力の供給を停止する
電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置であって、
前記電源コントロール部は、信号出力部から前記周期で出力される起動信号に従って、前記電力を前記周期で供給する
電子制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子制御装置であって、
前記信号出力部(54)を当該電子制御装置の内部に備える、
電子制御装置。
【請求項4】
請求項2記載の電子制御装置であって、
前記信号出力部は、当該電子制御装置外部の装置である、
電子制御装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の電子制御装置であって、
前記信号出力部は、前記外部充電の間、周期設定部(55、S150、S152、S153)によって設定された前記周期で前記起動信号を出力する
電子制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子制御装置であって、
前記周期設定部は、前記車両の状態に応じて前記周期を設定する
電子制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子制御装置であって、
前記周期設定部を当該電子制御装置の内部に備える
電子制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の電子制御装置であって、
前記周期設定部は、当該電子制御装置外部の装置である
電子制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の電子制御装置であって、
当該電子制御装置の外部の他の電子制御装置(31)と通信するための通信制御部(55)を更に備える
電子制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電子制御装置であって、
前記通信制御部は、前記外部充電の期間において、前記電力を供給されて動作する
電子制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電子制御装置であって、
前記通信制御部は、前記外部充電の期間において、前記判定部による判定結果を前記他の電子制御装置に送信する
電子制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電子制御装置であって、
前記電源コントロール部は、前記通信制御部が前記判定部による前記判定結果を前記他の電子制御装置に送信した後、前記電力の供給を停止する
電子制御装置。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の電子制御装置であって、
前記通信制御部は、前記判定部による判定結果が前記非ロック状態である場合に、前記外部充電の停止を要求する充電停止要求を前記他の電子制御装置に送信する
電子制御装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の電子制御装置であって、
前記車両の移動を阻止するためのロック機構(6)は前記ロック状態及び前記非ロック状態のいずれかの状態をとるように構成されており、
当該電子制御装置は、
前記ロック機構を動作させるモータ(62)の制御を行うように構成されたモータ制御部(51)
を更に備え、
前記モータ制御部は、前記外部充電の期間において、前記電力を供給されて動作し、前記判定部による判定結果が前記非ロック状態である場合に、前記ロック状態となるように前記モータを駆動するための制御を行う
電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両外部の電源によって充電可能なバッテリを備えた車両に搭載される電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車等のように、車両外部の電源によって充電可能なバッテリから走行モータに電力を供給し、走行モータにより車輪を駆動する、という技術が知られている。車両外部の電源による外部充電は、車両の移動が阻止されたパーキングロック状態(以下、ロック状態)で行われることが望ましい。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、上述のような車両において、ロック状態であるか、または、車両の移動が阻止されていない非ロック状態であるか、を判定する機能を備えたECUが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献のECUは、車両のバッテリの充電期間中は、電源供給が停止されて、動作を停止するように構成されている。このため、特許文献1に記載のECUが備えられた車両では、外部充電の期間において、パーキングロック機構が作動しなくなる異常が生じると、該異常が検出されないおそれがある、という問題があった。かといって、例えば、ECUを車両のバッテリの充電期間中も電源供給が継続されるように構成し、ECUによってパーキングロック機構が作動している状態であるか否かを常に監視し続けるとすると、消費電力が大きくなってしまうという問題が生じ得る。
【0006】
本開示の一態様は、外部充電の期間中にもロック状態であるか否かを検出しつつ、車両の消費電力を低減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両外部の電源によって充電されるバッテリ(2)を備える車両に搭載される電子制御装置(1)であって、車両の移動を阻止するロック状態及び車両の移動が可能な非ロック状態のいずれかを判定するように構成される判定部(52)と、電源コントロール部(53)と、を備える。電源コントロール部は、当該電子制御装置内における電力の供給及び供給停止を制御するように構成される。電源コントロール部は、バッテリが充電される外部充電の期間において、予め定められた周期で電力を供給する。判定部は、外部充電の期間において、電力の供給を受けて、ロック状態及び非ロック状態のいずれかを判定する。電源コントロール部は、判定部が判定を完了した後、電力の供給を停止する。
【0008】
このような構成によれば、外部充電の期間中に少なくとも判定部に電力が供給され、判定部が判定を完了した後、電力の供給が停止されるため、外部充電の期間中にも、電力が供給された判定部によってロック状態であるか否かを検出しつつ、車両の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のSBW_ECUを含む車両の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の電力供給処理を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態の異常対応処理を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態の作動(正常時)を説明するタイムチャートである。
【
図5】第1実施形態の作動(異常時)を説明するタイムチャートである。
【
図6】第2実施形態の電力供給処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
<全体構成>
図1に示すシフトバイワイヤ電子制御装置(以下、SBW_ECU1)は、車両に搭載された図示しない変速機のシフトレンジを、シフトバイワイヤ方式で切り替える制御を行う。ECUは、「Electronic Control Unit」の略である。以下では、SBW_ECU1が搭載される車両は、所謂ハイブリッド車、すなわち、図示しないエンジンと図示しない走行モータとを動力源として搭載する車両であるものとして説明する。
【0011】
車両は、
図1に示すように、高圧バッテリ2、充電システム3、HV-ECU4、パーキングロック機構6、バス状伝送路(以下、CANバス9)、低圧バッテリ11、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチ12)、及びSBW_ECU1、を備える。CANバス9には、SBW_ECU1、充電システム3、HV-ECU4等が、CANプロトコル規格に基づいて互いに通信可能に接続される。CANは登録商標である。
【0012】
高圧バッテリ2は、走行モータを駆動するための電源である。高圧バッテリ2は、例えば、リチウムイオン蓄電池であり得る。高圧バッテリ2は、車両外部に設けられた外部充電装置101によって、充電される。外部充電装置101と車両に設けられたインレット17とが充電ケーブル102によって接続されることにより、外部充電装置101から高圧バッテリ2への電力の供給(すなわち、充電)が可能となる。
【0013】
なお、外部充電装置101は、交流(例えば、AC200V)を出力可能な電力源であり、高速道路のサービスエリア(以下、SA)等に設けられた急速充電器や、住宅等に設けられたコンセント(例えば、家庭用のコンセント等)等であり得る。以下では、外部充電装置101による高圧バッテリ2の充電を、外部充電ともいう。
【0014】
充電システム3は、高圧バッテリ2への充電の制御を行うシステムであって、充電ECU31とスイッチ部32とを含む。スイッチ部32は、インレット17からスイッチ部32へ延びる電力線35と、スイッチ部32から高圧バッテリ2へ延びる電力線36と、を断続するスイッチである。スイッチ部32は、充電ECU31からスイッチを閉じるための指示信号が入力されている間のみ、閉じた状態となる。
【0015】
スイッチ部32が閉じた状態となることにより、外部充電装置101により高圧バッテリ2が充電される。インレット17近傍にはコネクタセンサ33が設けられ、コネクタセンサ33はインレット17に充電ケーブル102(すなわち、充電ケーブル102のコネクタ103)が接続されると、その旨を示す信号を充電ECU31へ送信する。なお、コネクタセンサ33は、インレット17から充電ケーブル102が取り外されると、上述の信号を充電ECU31へ送信しない。
【0016】
充電ECU31は、図示しないが、CAN通信部とマイコンとを備える。CAN通信部は、CANバス9に接続され、他のECU等とCANプロトコルに従って通信を行う。マイコンは、CPU、及びプログラム等が記憶されたメモリを備える。マイコンは、CPUがプログラムを実行することにより、主に外部充電の制御を行う。
【0017】
HV-ECU4は、充電ECU31と同様に、CAN通信部とマイコンとを備える。マイコンは、主に、エンジンと走行モータとを動力源とするハイブリッドシステムの制御を行う。
【0018】
車両では、車輪にエンジンや走行モータで発生した駆動力を伝達する図示しない出力軸に変速機が設けられており、変速機はエンジンや走行モータで発生した駆動力を変速して出力軸に伝達する。
【0019】
パーキングロック機構6は、車輪に駆動力を伝達する上述の出力軸を回転可能及び回転不能のいずれかの状態にする。パーキングロック機構6は、モータ62と、モータ62を動作源として駆動されるアクチュエータ61と、ポジションセンサ63とを備える。ポジションセンサ63は、モータ62の近傍に設けられ、パーキングロック機構6がパーキングロック状態(以下、ロック状態ともいう)及びパーキングロック解除状態(以下、非ロック状態ともいう)のいずれであるかを検出するためのセンサである。
【0020】
ロック状態は、車両の移動を阻止する状態であり、例えば、パーキングロック機構6(すなわち、アクチュエータ61)が上述の出力軸を回転不能とする状態である。非ロック状態は、車両の移動が可能な状態であり、例えば、パーキングロック機構6(すなわち、アクチュエータ61)が上述の出力軸を回転可能とする状態である。パーキングロック機構6は、ロック状態及び非ロック状態のいずれかの状態をとり得る。換言すれば、車両は、ロック状態及び非ロック状態のいずれかの状態をとり得る、とも言える。
【0021】
本実施形態ではアクチュエータ61は所謂シフトレンジ切替機構である。アクチュエータ61としてのシフトレンジ切替機構を駆動するモータ62は、回転方向及び回転位置が制御可能なモータである。シフトレンジ切替機構は、シフトレンジを、少なくとも、パーキングレンジ(以下、Pレンジ)と、Pレンジ以外のシフトレンジである非パーキングレンジ(以下、非Pレンジ)とに切り替える。
【0022】
非Pレンジとしては、ニュートラルレンジ(以下、Nレンジ)と、ドライブレンジ(以下、Dレンジ)と、リバースレンジ(以下、Rレンジ)とが設定される。Pレンジは、車両が停止するためのシフトレンジである。シフトレンジがPレンジに切り替えられた場合には、変速機と車輪とが切り離されると共に、出力軸が機械的にロックされ、車両が動くことが抑制される。Nレンジは、変速機と車輪とを切り離すシフトレンジである。Dレンジは、車両を前進走行させるためのシフトレンジである。
【0023】
Rレンジは、車両を後退走行させるためのシフトレンジである。つまり、シフトレンジがPレンジに切り替えられた状態がロック状態に相当し、シフトレンジが非Pレンジに切り替えられた状態が非ロック状態に相当する。
【0024】
また、本実施形態では、ポジションセンサ63は、モータ62の回転角度を示す信号、換言すれば、アクチュエータ61としてのシフトレンジ切替機構の状態を検出するための信号を制御部50(すなわち、後述するPロック判定部52)に出力する。検出される状態には、少なくとも、Pレンジである状態(すなわち、ロック状態)及び非Pレンジである状態(すなわち、非ロック状態)が含まれる。シフトレンジの選択は、図示しないシフト操作装置を用いて運転者によって行われる。選択されたシフトレンジを示す情報を含む通信フレームは、SBW_ECU1外部の他のECUから、CANバス9を介して送信されてもよい。なお、シフトレンジ切替機構は、特許公報(例えば、特開2021-23046)等により公知の構成であるため、ここでは図示及び説明を簡略化する。
【0025】
低圧バッテリ11は、高圧バッテリ2よりも低電圧のバッテリであり、例えば、鉛蓄電池であり得る。低圧バッテリ11は、高圧バッテリ2によって充電され得る。低圧バッテリ11は、車両内のECU等に電力を供給する。ここでいうECU等にはSBW_ECU1も含まれる。
【0026】
IGスイッチ12は、運転者によってオン、オフの操作が行われる。IGスイッチ12は、端子の一方が低圧バッテリ11に接続され、他方がSBW_ECU1の電源端子P1に接続されている。IGスイッチ12がオンされることにより、第1起動信号がSBW_ECU1(すなわち、後述する電源コントロール部53)に供給される。
【0027】
<SBW_ECU1の構成>
SBW_ECU1は、CANトランシーバ30、モータ駆動部40、制御部50を備える。CANトランシーバ30、モータ駆動部40、制御部50は、電源端子P1を介して、低圧バッテリ11に接続される。ここで、CANトランシーバ30と制御部50の一部(すなわち、後述する電源コントロール部53及びタイマ54)とには、供給電圧Vsまたは供給電圧Vsから生成された一定の電圧が動作用の電源電圧として常時供給されている。一方、モータ駆動部40は、制御部50(すなわち、後述するモータロジック部51)からの指示が無い(すなわち、モータロジック部51が給電されていない)場合は、作動しない。
【0028】
CANトランシーバ30は、CANバス9に接続される。CANトランシーバ30は、SBW_ECU1外部の装置との間で、通信プロトコルとしてのCANに従って、車両制御に必要な情報の通信(すなわち、通信フレームの送受信)を行う。外部の装置としては、例えば、充電システム3やHV-ECU4等が挙げられる。
【0029】
CANトランシーバ30は、CANバス9において通信フレームの受信を検出すると、通信フレームの種類及び内容に拘わらず、受信した通信フレームをCANコントローラ55へ出力する。また、CANトランシーバ30は、CANバス9において特定の通信フレームの受信を検出すると、第2起動信号を、制御部50(すなわち、電源コントロール部53)に出力する。
【0030】
ここでいう特定の通信フレームには、例えば、CANバス9に接続されている他のECUの起動要因に応じて、オフ状態のSBW_ECU1を起動状態に遷移させるための通信フレーム(すなわち、所謂CANウェイク通信フレーム)が含まれ得る。また、特定の通信フレームには、充電ケーブル102が接続されたことを示す通信フレームが含まれ得る。ここで、起動状態とは、SBW_ECU1に割り当てられた機能が制限されることなく利用可能な、所謂通常の状態をいう。
【0031】
本実施形態では、後述する給電電圧Vpが供給される状態が起動状態に相当する。一方、オフ状態とは、給電電圧Vpが供給されておらず、SBW_ECU1が能動的に作動しない状態(すなわち、換言すれば、最も消費電力の低い状態)をいう。なお、スリープ状態とは、給電電圧Vpが供給されておらず、SBW_ECU1に割り当てられた機能が制限された低消費電力の状態をいう。なお以下では、CANトランシーバ30と、後述する制御部50が備えるCANコントローラ55とを、CAN通信部20ともいう。
【0032】
モータ駆動部40は、パーキングロック機構6内のモータ62を駆動するための、スイッチング素子などのドライバ41を備える。ドライバ41は、制御部50(すなわち、後述するモータロジック部51)からの制御信号に従ってモータ62を駆動する。
【0033】
<制御部50の構成>
制御部50は、制御部50が実行する機能として、モータロジック部51と、パーキングロック判定部(以下、Pロック判定部52)と、電源コントロール部53と、タイマ54と、CANコントローラ55とを備える。本実施形態では、制御部50はハードウェアにより上述の機能を実現する。但し、制御部50は、図示しないマイコンを備え、マイコンはCPUとメモリ等を含み、マイコンのCPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより、上述の機能の少なくとも一部を実現するものであってもよい。
【0034】
ここで、制御部50の構成要素のうち、電源コントロール部53及びタイマ54には、上述のように供給電圧Vsまたは供給電圧Vsから生成された一定の電圧が常時給電されている。一方、モータロジック部51、Pロック判定部52、CANコントローラ55には、後述するように供給電圧Vsから生成された一定の給電電圧Vpが供給される。但し、モータロジック部51、Pロック判定部52、CANコントローラ55への給電電圧Vpの給電及び停止は、電源コントロール部53によって切り替えられる。モータロジック部51、Pロック判定部52、CANコントローラ55は、給電電圧Vpの供給が停止されている場合は作動しない。
【0035】
モータロジック部51は、図示しないシフト操作装置から運転者の操作によってシフトレンジを切り替える切替要求が入力された場合に、切替要求が示すシフトレンジに応じてモータ62を駆動させるための制御信号を生成し、出力する。モータロジック部51は、制御信号によってモータ駆動部40に含まれるスイッチング素子などのドライバ41を駆動することで、モータ62への通電を制御している。モータ62が通電され、回転駆動することによって、パーキングロック機構6のアクチュエータ61(すなわち、本実施形態ではシフトレンジ切替機構)が駆動される。
【0036】
Pロック判定部52は、ポジションセンサ63から出力される信号に基づいて、アクチュエータ61(すなわち、シフトレンジ切替機構)の状態が、ロック状態及び非ロック状態のいずれであるか、を判定する。例えば、Pロック判定部52は、上述の信号が、モータ62の回転位置がパーキングロック機構6によって出力軸が固定される状態(例えば、Pレンジ)であることを示す場合に、ロック状態であると判定する。また、Pロック判定部52は、上述の信号が、モータ62の回転位置がパーキングロック機構6によって出力軸が固定されない状態(例えば、非Pレンジ)であることを示す場合に、非ロック状態であると判定する。
【0037】
電源コントロール部53は、制御部50内における電力(すなわち、給電電圧Vp)の供給及び供給停止を制御する。
電源コントロール部53は、端子P3-端子P5を備える。端子P3はIGスイッチ12に接続され、端子P4はCANトランシーバ30に接続され、端子P4はタイマ54に接続される。上述のように、IGスイッチ12がオンされることにより端子P3を介して入力される信号を第1起動信号という。CANコントローラ55が特定の通信フレームを受信することにより、端子P4を介して入力される信号を第2起動信号という。タイマ54から端子P5を介して入力される信号を第3起動信号という。以下では、第1起動信号-第3起動信号に共通する説明を記載する場合は、それぞれの起動信号を区別せず、単に起動信号と記載する。
【0038】
電源コントロール部53は、端子P3-端子P5のうちのいずれかから起動信号が入力されると、供給電圧Vs(例えば、12V)を給電電圧Vp(例えば、5Vや3.3V等)に変換し、給電電圧VpをSBW_ECU1内全てへ供給する。これにより、SBW_ECU1が備える全ての機能が実行可能な状態(すなわち、起動状態)となる。
【0039】
電源コントロール部53は、端子P3-端子P5のそれぞれに、入力される信号の有無を検出する図示しない検出回路を備える。検出回路は、例えば、オペアンプを用いた回路であってもよい。端子P3-端子P5それぞれの検出回路の検出結果により、入力された信号が第1起動信号-第3起動信号のいずれであるか、が判定される。
【0040】
タイマ54は、外部充電の間、予め定められた周期(以下、充電時起動周期という)で、電源コントロール部53に対して、第3起動信号を出力する。
CANコントローラ55は、上述のように、CANトランシーバ30と共に、CANバス9を介して、他のシステムやECU等といったSBW_ECU1外部の装置と、CANプロトコルに従った通信を行う。CANコントローラ55は、CANトランシーバ30を介して受信した通信フレームの内容に応じた処理を実行する。なお、CANコントローラ55は、CANトランシーバ30を介して受信した通信フレームの内容を、例えば、図示しないレジスタ等に記憶する。
【0041】
[1-2.処理]
<制御部50が実行する処理>
次に、制御部50が実行する電力供給処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。なお、開始時、制御部50はオフ状態となっている。制御部50は、第1起動信号-第3起動信号のうちいずれかの起動信号が入力されることをきっかけとして起動し、以降の処理を実行する。
【0042】
具体的には、S110にて、制御部50では、電源コントロール部53は、何らかの起動信号が入力されたか否かを判定する。ここでいう起動信号は、第1起動信号-第3起動信号のいずれであってもよい。例えば、電源コントロール部53は、端子P3-P5それぞれに設けられた上述の検出回路のうちの一つに信号の入力が検出された場合に、何らかの起動信号が入力されたと判定する。
【0043】
電源コントロール部53は、何らかの起動信号が入力されたと判定すると、S115にて、SBW_ECU1内の全てに給電電圧Vpの供給を開始する。これにより、SBW_ECU1は起動状態に遷移する。
【0044】
次に、S120にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電ケーブル102が車両に接続されているか否かを判定する。例えば、充電システム3(すなわち、充電ECU31)は、充電ケーブル102がインレット17に接続されると、充電ケーブル102が接続されたことを示す通信フレームをCANバス9へ送信するように構成される。
【0045】
CANコントローラ55は、充電ケーブル102が接続されたことを示す通信フレームを、CANトランシーバ30を介して受信すると、充電ケーブル102が車両に接続されている、と判定する。なお、CANコントローラ55は、外部充電が開始された以降は、外部充電が継続されていること(すなわち、充電中であること)を示す通信フレームを受信することにより、充電ケーブル102が接続されている、と判定してもよい。
【0046】
CANコントローラ55により充電ケーブル102が接続されていると判定されると、S125にて、制御部50では、電源コントロール部53は、S110にて検出された起動信号がタイマ54から出力された起動信号であるか否かを判定する。つまり、電源コントロール部53は、起動要因がタイマ54から出力された起動信号(すなわち、本実施形態では第3起動信号)であるか否かを判定する。例えば、電源コントロール部53は、端子P5に設けられた検出回路にて信号が入力されたことが検出された場合に、起動要因が第3起動信号であると判定する。
【0047】
電源コントロール部53によりタイマ54による起動でないと判定されると、S130にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電システム3からの充電開始要求があるか否かを判定する。例えば、充電システム3(すなわち、充電ECU31)は、充電を開始する際に、充電開始要求を含む通信フレームをCANバス9へ送信するように構成される。CANコントローラ55は、充電開始要求を含む通信フレームを、CANトランシーバ30を介して受信した場合に、充電開始要求があると判定する。
【0048】
CANコントローラ55により、S120にて充電ケーブル102が接続されていないと判定されると、または、S130にて充電開始要求がないと判定されると、S135にて、制御部50は、車両状態に応じた通常制御を実行する。ここでいう通常制御とは、制御部50のうちのタイマ54以外の構成要素、すなわち、モータロジック部51、Pロック判定部52、電源コントロール部53、CANコントローラ55が、それぞれ車両状態に応じて作動することをいう。
【0049】
通常制御が実行された後、続いてS200にて、制御部50では、電源コントロール部53は給電電圧Vpの供給を停止する。これにより、SBW_ECU1はオフ状態に遷移する。制御部50は、以上で本電力供給処理を終了する。
【0050】
CANコントローラ55により充電開始要求があると判定されると、S140にて、制御部50では、Pロック判定部52は、パーキングロック機構6がロック状態であるか否かを判定する。
【0051】
Pロック判定部52によりロック状態であると判定されると、S145にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電システム3(すなわち、充電ECU31)に、ロック状態であることを示す通信フレームを、CANトランシーバ30を用いてCANバス9を介して送信する。
【0052】
続くS150にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電時起動周期をタイマ54に設定する。本実施形態では、予め定められた長さの充電時起動周期が設定される。充電時起動周期は、例えば、数分-数十分程度の期間であり得る。
【0053】
次に、S155にて、制御部50では、CANコントローラ55は、外部充電が開始されたか否かを判定する。例えば、充電システム3(すなわち、充電ECU31)は、外部充電を開始する際に、外部充電の開始を示す通信フレームをCANバス9へ送信するように構成される。CANコントローラ55は、外部充電の開始を示す通信フレームを、CANトランシーバ30を介して受信した場合に、外部充電が開始されたと判定する。
【0054】
なお、例えば、充電ECU31は、外部充電の開始を示す通信フレームを送信後は、外部充電が継続する間(すなわち、外部充電が終了するまでの間)、充電中を示す通信フレームをCANバス9へ繰り返し送信するように構成される。
【0055】
続くS160にて、制御部50では、CANコントローラ55は、タイマ54の作動を開始(すなわち、スタート)させる。これにより、タイマ54は、充電時起動周期毎に、電源コントロール部53へ第3起動信号を出力する。
【0056】
CANコントローラ55によりタイマ54がスタートすると、S165にて、制御部50では、電源コントロール部53は、給電電圧Vpの供給を停止する。これにより、SBW_ECU1はスリープ状態に遷移する。ここでいうスリープ状態とは、給電電圧Vpの供給が停止され、タイマ54が作動している状態をいう。そして、制御部50は、S110以降の処理を繰り返す。
【0057】
S125にて、電源コントロール部53により、起動要因がタイマ54から出力された起動信号であると判定されると、S170にて、制御部50では、Pロック判定部52は、パーキングロック機構6がロック状態であるか否かを判定する。
【0058】
Pロック判定部52によりロック状態でない(すなわち、非ロック状態である)と判定されると、S175にて、制御部50は、異常対応処理を実行する。異常対応処理については後述する。
【0059】
異常対応処理が実行された後のS195にて、制御部50では、CANコントローラ55は、タイマ54の作動を停止させる。これにより、タイマ54から充電時起動周期毎に電源コントロール部53へ第3起動信号が出力されること、が停止する。
【0060】
続くS200にて、制御部50では、電源コントロール部53は、給電電圧Vpの供給を停止する。これにより、SBW_ECU1は、オフ状態に遷移する。ここでオフ状態に遷移するのは、タイマ54がストップしているためである。そして、制御部50は、以上で本電力供給処理を終了する。
【0061】
電源コントロール部53により起動要因がタイマ54から出力された起動信号であると判定され、Pロック判定部52によりロック状態であると判定されると、S180にて、制御部50では、CANコントローラ55は、S145と同様に、ロック状態であることを示す通信フレームを送信する。
【0062】
続くS185にて、制御部50では、CANコントローラ55は、外部充電が完了したか否かを判定する。充電システム3(すなわち、充電ECU31)は、上述のように、外部充電が開始された後、外部充電が継続して行われている間は、充電中を示す通信フレームを、CANバス9へ繰り返し送信する。CANコントローラ55は、充電中を示す通信フレームをCANトランシーバ30を介して受信した場合は外部充電中であると判定し、充電中情報を含む通信フレームを(例えば、所定時間経過しても)受信しない場合に、外部充電が完了したと判定する。
【0063】
CANコントローラ55により外部充電が完了していない(すなわち、充電中である)と判定されると、S190にて、制御部50では、電源コントロール部53は、給電電圧Vpの供給を停止する。これにより、SBW_ECU1はスリープ状態に遷移する。ここでスリープ状態に遷移するのは、タイマ54が作動中であるためである。そして、制御部50は、S110以降の処理を繰り返す。
【0064】
CANコントローラ55により外部充電が完了したと判定されると、S195にて、制御部50では、CANコントローラ55は、タイマ54をストップさせる。これにより、充電時起動周期毎に、電源コントロール部53へ第3起動信号が出力されること、が停止される。
【0065】
CANコントローラ55によりタイマ54がストップされると、S200にて、制御部50では、電源コントロール部53は給電電圧Vpの供給を停止する。これにより、SBW_ECU1はオフ状態に遷移する。制御部50は、以上で本電力供給処理を終了する。
【0066】
<異常対応処理>
ここで、上述のS175にて実行される異常対応処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
S170にてPロック判定部52により非ロック状態であると判定されると、S210にて、制御部50では、CANコントローラ55は、パーキングロック機構6がロック状態から非ロック状態になったこと(以下、ロック外れともいう)を通知する。CANコントローラ55は、充電システム3(すなわち、充電ECU31)に、ロック外れを示す通信フレームを、CANトランシーバ30を用いてCANバス9を介して送信する。
【0068】
続くS220にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電システム3(すなわち、充電ECU31)に、充電停止要求を含む通信フレームを、CANトランシーバ30を用いてCANバス9を介して送信する。充電システム3は充電停止要求に従って外部充電を停止するように構成されており、本ステップの実行により外部充電が中止される。
【0069】
CANコントローラ55により充電停止要求を含む通信フレームが送信されると、S230にて、制御部50では、モータロジック部51は、パーキングロック機構6がロック状態となるようにアクチュエータ61を作動させる制御信号を出力する。本実施形態では、モータロジック部51は、シフトレンジがPレンジとなるように、アクチュエータ61(すなわち、本実施形態ではシフトレンジ切替機構)の動作源であるモータ62を回転駆動させるための制御信号をモータ駆動部40に出力する。
【0070】
これにより、アクチュエータ61がシフトレンジをPレンジに切り替える作動を行う。なお、以下では、パーキングロック機構6をロック状態とする作動を「パーキング入れ(以下、P入れ)」ともいう。ここでは、運転者等によらず、SBW_ECU1により「P入れ」が行われる。
【0071】
モータロジック部51により「P入れ」が行われると、S240にて、制御部50では、Pロック判定部52は、パーキングロック機構6がロック状態であるか否かを、上述のS140と同様にして判定する。
【0072】
Pロック判定部52によりロック状態であると判定されると、S250にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電システム3(例えば、充電ECU31)に、ロック状態であることを示す通信フレームを、CANトランシーバ30を用いてCANバス9を介して送信する。制御部50は、以上で異常対応処理を終了する。
【0073】
Pロック判定部52により非ロック状態であると判定されると、S260にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電システム3(例えば、充電ECU31)に、ロック異常情報を含む通信フレームを、CANトランシーバ30を用いてCANバス9を介して送信する。ロック異常情報とは、パーキングロック機構6に異常が生じていることを示す情報をいう。制御部50は、以上で異常対応処理を終了する。
【0074】
[1-3.作動]
[1-3-1.正常時の作動]
SBW_ECU1の作動例を
図5に示すタイムチャートに基づいて説明する。なお、充電システム3は、IGスイッチ12がオンされている場合は、オフ状態とされる。
【0075】
時刻t11では、利用者(例えば運転者)は、車両を固定する。例えば、利用者は、シフト操作装置にてPレンジを選択する(すなわち、図中の「P入れ」に相当)。これにより、パーキングロック機構6がロック状態となり、車両が固定される(すなわち、図中の「P処理」に相当)。
【0076】
時刻t12では、利用者は、IGスイッチ12をオフする。ここで、SBW_ECU1はオフ状態に遷移する。SBW_ECU1の消費電流は、最も小さい値となる。一方、充電システム3は、IGスイッチ12がオフされることにより、オフ状態から充電待機状態となる。
【0077】
時刻t13では、利用者は、高圧バッテリ2を充電するために充電ケーブル102を車両(例えば、インレット17)に接続する。ここで、充電システム3は、充電ケーブル102が接続されたことを検出し、充電ケーブル102が接続されていることを示す通信フレームをCANバス9に送信する。充電システム3は、充電待機状態から充電許可判定状態となる。続いて、充電システム3は、充電開始要求を含む通信フレームをCANバス9に送信する。
【0078】
一方、SBW_ECU1は、充電ケーブル102が接続されたことを示す通信フレームを受信すると第2起動信号を出力し、給電電圧Vpの供給を開始する(すなわち、S115)。これにより、SBW_ECU1は、オフ状態から起動状態に遷移する。SBW_ECU1は、充電ケーブル102が接続されていると判定し(すなわち、S120:YES)、タイマ54による起動の有無を確認しタイマ54による起動ではないと判定後(すなわち、S125:NO)、さらに充電開始要求があったと判定し(すなわち、S130:YES)、充電開始前の処理を実行する。
【0079】
ここでは、SBW_ECU1は、ロック状態であると判定してロック状態であることを示す通信フレームをCANバス9に送信し(すなわち、S145)、その後、充電時起動周期をタイマ54に設定する(すなわち、S150)。
【0080】
時刻t14では、充電システム3は、ロック状態であることを示す通信フレームを受信して車両が固定されていることを確認すると、充電を許可してよいと判定する。充電システム3は、スイッチ部32にスイッチを閉じるための指示信号を出力し、外部充電を開始する。また、充電システム3は、充電中を示す通信フレームを、外部充電が完了するまでの間、継続してCANバス9に出力する。充電システム3は、充電許可判定状態から充電状態となる。
【0081】
一方、SBW_ECU1は、充電中を示す通信フレームを受信すると(すなわち、S155:YES)、タイマ54をスタートさせ(すなわち、S160)、給電電圧Vpの供給を停止する(すなわち、S165)。これによりSBW_ECU1はスリープ状態に遷移する。スリーブ状態ではタイマ54が作動している。このため、スリーブ状態におけるSBW_ECU1の消費電流は、オフ状態よりも、タイマ54の作動分大きくなる。
【0082】
タイマ54が作動をスタートした時刻t14から充電時起動周期経過後の時刻t15では、タイマ54から第3起動信号が出力され(すなわち、S110:YES)、SBW_ECU1(すなわち、電源コントロール部53)が給電電圧Vpの供給を開始する(すなわち、S115)。これにより、SBW_ECU1は、スリープ状態から起動状態に遷移する。なお、充電が継続されているため、充電システム3からは、充電中を示す通信フレームが継続してCANバス9に出力されている。
【0083】
ここで、SBW_ECU1は、充電中を示す通信フレームを受信したことにより充電ケーブル102が接続されていると判定し、タイマ54による起動であると判定後、さらにロック状態であるか否かを判定する。そして、SBW_ECU1は、ロック状態であると判定後、ロック状態であることを示す通信フレームをCANバス9に送信する(すなわち、S180)。
【0084】
SBW_ECU1は、充電中を示す通信フレームの受信の有無に基づいて外部充電が完了したか否かを判定し、外部充電が完了していないと判定された場合(すなわち、S185:NO)に、電源コントロール部53に給電電圧Vpの供給を停止させる(すなわち、S190)。これにより、SBW_ECU1は、再度スリープ状態に遷移する。上述の制御は、図中の時刻t16、t17、t18、t19のように、外部充電が完了するまでの間、充電時起動周期で繰り返される。
【0085】
時刻t20にて外部充電が完了すると、充電システム3は、充電中を示す通信フレームをCANバス9に送信することを停止する。なお、充電システム3は、充電完了後から充電ケーブル102が取り外されるまでの間、充電ケーブル102が接続されていることを示す通信フレームをCANバス9に送信するように構成される。
【0086】
ここで、SBW_ECU1は、充電ケーブル102が接続されていると判定し、タイマ54による起動であると判定後、さらにロック状態であるか否かを判定する。そして、SBW_ECU1は、ロック状態であると判定後、ロック状態であることを示す通信フレームをCANバス9に送信する(すなわち、S180)。SBW_ECU1は、充電中を示す通信フレームが受信されないことにより外部充電が完了したと判定する(すなわち、S185:YES)。SBW_ECU1は、タイマ54をストップさせ(すなわち、S195)、給電電圧Vpの供給を停止してオフ状態に遷移する(すなわち、S200)。
【0087】
このように、SBW_ECU1は、外部充電の期間において、起動し続けて車両を監視し続けるのではなく、スリープ状態と、起動して監視を行う監視状態と、を交互に繰り返す。外部充電の期間において、スリープ状態である時間の長さと監視状態である時間の長さとは特に限定されないが、スリープ状態である時間が監視状態である時間よりも十分に長い場合に消費電力の低減がより達成され易い。
【0088】
なお、ここでいう監視には、ロック状態を判定すること、及び判定結果を他のECUに通知すること、が少なくとも含まれる。SBW_ECU1では、外部充電の期間において、継続して起動し続けることなくロック状態が継続して監視され、必要最低限の消費電力で安全に車両の充電が行われる。
【0089】
[1-3-2.異常時の作動]
図5は、外部充電中に、ロック状態であったパーキングロック機構6に異常が生じて非ロック状態となった場合(すなわち、所謂ロック外れの場合)の、SBW_ECU1の作動例を示すタイムチャートである。制御部50は、時刻t15までは上述の
図4と同様に作動する。
【0090】
時刻t16では、SBW_ECU1は充電時起動周期で起動し、充電中を示す通信フレームの受信に基づいて充電ケーブル102が接続されていると判定し、タイマ54による起動であると判定する(すなわち、S125:YES)。
【0091】
時刻t16の後の時刻t31では、何らかの理由によりロック外れが生じ、ロック外れをSBW_ECU1が検知し、充電システム3にロック外れを通知するものとする。これにより、充電システム3は外部充電を中断する。
【0092】
ここで、充電システム3は、外部充電が中断されたことで、充電中を示す通信フレームをCANバス9に送信することを停止する。
一方、SBW_ECU1は、タイマ54による起動であると判定した後に、非ロック状態であると判定し(すなわち、S170:NO)、非ロック状態であることを示す通信フレームをCANバス9に送信する(すなわち、S210)。SBW_ECU1は、充電停止要求を含む通信フレームをCANバス9へ送信し(すなわち、S220)、ロック状態となるようにパーキングロック機構6のアクチュエータ61を作動させる(すなわち、S230、図中の「P処理」に相当)。但し、
図5の例では、パーキングロック機構6に異常が生じており、非ロック状態のままであったとする。
【0093】
SBW_ECU1は、パーキングロック機構6のアクチュエータ61を作動させた後に、ロック状態であるか否かを判定する(すなわち、S240)。SBW_ECU1は、パーキングロック機構6のアクチュエータ61を作動させてもロック状態に切り替わらず、依然として非ロック状態である場合に、ロック異常情報を含む通信フレームをCANバス9に送信する(すなわち、S260)。そして、SBW_ECU1は、タイマ54をストップさせ(すなわち、S195)、電源コントロール部53に給電電圧Vpの供給を停止させ、オフ状態に遷移する(すなわち、S200)。
【0094】
上述のように、SBW_ECU1は、外部充電中に非ロック状態を判定した場合に、車両をロック状態にする作動を実行する。SBW_ECU1は、ロック状態にすることができなかった場合には、パーキングロック機構6の異常を他のECUに通知する。これにより、SBW_ECU1では、パーキングロック機構6に異常が生じてロック状態から非ロック状態となった場合においても、車両が固定されていない状態で充電が継続されてしまうことが抑制される。
【0095】
[1-4.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1a)電源コントロール部53は、外部充電の期間において、充電時起動周期で給電電圧Vpを供給する。充電時起動周期で給電電圧Vpが供給されたPロック判定部52は、ロック状態及び非ロック状態のいずれかを判定する。電源コントロール部53は、Pロック判定部52が判定を完了した後、給電電圧Vpの供給を停止する。
【0096】
これにより、外部充電の期間において、充電時起動周期毎(すなわち、間欠的)に、ロック状態であるか否かを繰り返し検出することができる。
換言すれば、SBW_ECU1は、外部充電の期間において、車両固定状態の監視を、継続した監視に近い状態(すなわち、リアルタイムに近い状態)で、且つ、低消費電力で実行することができる。
【0097】
(1b)電源コントロール部53は、外部充電の期間において、タイマ54によって出力される第3起動信号に従って、給電電圧Vpを充電時起動周期で供給する。タイマ54は、SBW_ECU1内部に備えられている。
【0098】
これにより、SBW_ECU1自身の機能を適宜変更することにより(すなわち、SBW_ECU1以外の装置やシステムに変更が及ぶことを抑制し)、(1a)の効果を得ることができる。
【0099】
(1c)SBW_ECU1では、外部充電の期間において、CANコントローラ55がタイマ54の周期を設定する。
これにより、SBW_ECU1自身の機能を適宜変更することにより(すなわち、SBW_ECU1以外の装置やシステムに変更が及ぶことを抑制し)、充電時起動周期を設定、変更することができる。
【0100】
(1d)電源コントロール部53は、外部充電の期間において、充電時起動周期で、モータロジック部51と、Pロック判定部52と、CANコントローラ55と、に給電電圧Vpを供給する。
【0101】
これにより、外部充電の期間において、充電時起動周期で、ロック状態であるか否かを判定することが可能となり、他のECUとの通信を行うことが可能となり、パーキングロック機構6を駆動することが可能となる。
【0102】
(1e)CANコントローラ55は、外部充電の期間において、Pロック判定部52による判定結果を、CANトランシーバ30を用いてSBW_ECU1外部の他のECUに送信する。
【0103】
これにより、外部充電の期間において、充電時起動周期毎に、充電ECU31やHV-ECU4といった他のECUに、ロック状態であるか否かを通知できる。
(1f)電源コントロール部53は、CANコントローラ55がPロック判定部52による判定結果を他のECUに送信した後、給電電圧Vpの供給を停止する。
【0104】
これにより、外部充電の期間において、充電時起動周期毎に、他のECUに判定結果を通知することができると共に、通知した後はSBW_ECU1をスリープ状態に遷移させることができるので、省電力化を図ることができる。
【0105】
(1g)CANコントローラ55は、Pロック判定部52による判定結果が非ロック状態である場合に、充電停止要求を他のECU(例えば、充電ECU31)へ送信する。
これにより、充電停止要求に従い充電が停止されるので、車両が固定されていない状態で外部充電が継続されることを抑制することができる。
【0106】
(1h)モータロジック部51は、外部充電の期間において、Pロック判定部52による判定結果が非ロック状態である場合に、ロック状態となるように、パーキングロック機構6を作動させるモータ62を駆動するための制御を行う。
【0107】
これにより、外部充電の期間において、何らかの原因でロック状態から非ロック状態(すなわち、ロック外れ)になったとしても、パーキングロック機構が正常に作動する限りパーキングロック機構6をロック状態に切り替えることができるので、車両が固定されていない状態で充電が継続されてしまうことを抑制することができる。
【0108】
このようなロック状態への切り替えは、他のECUやシフト操作装置等の外部の装置の指示によらず実現可能なため、外部充電の期間においてロック外れが生じた場合においても、SBW_ECU1自身の制御のみによって、外部充電を安全に継続することができる。
【0109】
なお、上述の実施形態において、SBW_ECU1が電子制御装置に相当し、高圧バッテリ2が車両外部の電源によって充電されるバッテリに相当し、モータロジック部51がモータ制御部に相当する。Pロック判定部52が判定部に相当し、タイマ54が信号出力部に相当し、CANコントローラ55が通信制御部、周期設定部に相当する。他のECU、充電ECU31、HV-ECU4が、他の電子制御装置、電子制御装置外部の装置に相当する。
【0110】
S150が周期設定部としての処理に相当する。パーキングロック機構6がロック機構に相当し、外部充電装置101が車両外部の電源に相当する。給電電圧Vpによる電力がSBW_ECU1内における電力に相当し、第3起動信号が、信号出力部が出力する起動信号に相当し、充電時起動周期が周期に相当する。
【0111】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0112】
上述した第1実施形態では、CANコントローラ55は、予め定められた長さの充電時起動周期をタイマ54に設定する。これに対し、第2実施形態では、タイマ54に設定する充電時起動周期を、車両の状態に応じて変更する点で、第1実施形態と相違する。
【0113】
[2-2.処理]
次に、第2実施形態の制御部50が、第1実施形態の電力供給処理(すなわち、
図2)に代えて実行する処理について、
図6のフローチャートを用いて説明する。なお、
図2におけるS150が
図6におけるS151-S153に置換され、
図6におけるS151-S153以外の処理は
図2における処理と同様であるため、以下では説明を簡略化する。
【0114】
制御部50では、CANコントローラ55は、S130にて充電開始要求があると判定してS140にてロック状態であることを示す通信フレームをCANバス9に送信すると、続くS151-S153にて、充電時起動周期をタイマ54に設定する。本実施形態では、充電時起動周期は車両の状態に応じて設定される。一例として、充電時間が車両の状態として用いられる。
【0115】
まずS151にて、制御部50では、CANコントローラ55は、充電時間が予め定めた閾値時間以上であるか否かを判定する。充電時間は、外部充電に必要とされる時間であり、例えば、数分-十数時間であり得る。例えば、充電システム3(すなわち、充電ECU31)は、ロック状態であることを示す上述の通信フレームを受信した後、続いて、充電時間を含む通信フレームをCANバス9に送信する。CANコントローラ55は、該通信フレームを受信し、該通信フレームに含まれる充電時間に基づいて判定する。
【0116】
なお、充電時間は、例えば、充電ECU31にて、高圧バッテリ2のバッテリ残量と、接続されている外部充電装置101の充電能力と、に基づいて算出される。バッテリ残量が同じである場合、充電時間は、例えば、外部充電装置101が急速充電器である場合に、外部充電装置101が家庭用コンセントである場合よりも、短くなる。
【0117】
ここで、CANコントローラ55は、充電時間が予め定められた閾値時間以上である場合に、S152にて、タイマ54に予め定められた第1起動間隔T1を充電時起動周期として設定する。一方、CANコントローラ55は、充電時間が閾値時間未満である場合に、S153にて、タイマ54に予め定められた第2起動間隔T2を充電時起動周期として設定する。ここでは、第1起動間隔T1>第2起動間隔T2である。なお、例えば、閾値時間、第1起動間隔T1、第2起動間隔T2は、予め、CANコントローラ55によって読み出し可能なレジスタ等のメモリに記憶されている。
【0118】
そして、続くS155以降は、制御部50は、第1実施形態と同様に作動する。
[2-3.作動]
本実施形態のSBW_ECU1では、充電時間が長い場合、すなわち、家庭用のコンセント等により充電が行われる場合に、第2起動間隔T2よりも長い(すなわち、相対的に長い)第1起動間隔T1が、充電時起動周期として設定される。
【0119】
家庭等のプライベートな空間において、一般のコンセント等を用いて充電され、充電時間が相対的に長い場合は、車両の近くに車両の所有者がいる状態であることが多く、例えば、急速充電器が設置されている駐車場のような公共の場とは違い、車両の盗難などのリスクも少ない場合であると考えられる。このため、相対的に長い第1起動間隔T1を充電時起動周期として設定し、車両の固定を確認する回数を相対的に低減することで、車両の固定を確認するための消費電力を低減しつつ、安全に充電を行うことができる。
【0120】
一方、本実施形態のSBW_ECU1では、充電時間が短い場合、すなわち、急速充電器等により充電が行われる場合に、第1起動間隔T1よりも短い(すなわち、相対的に短い)第2起動間隔T2が、充電時起動周期として設定される。
【0121】
急速充電器等で充電されて充電時間が相対的に短い場合は、例えばSA等といった公共の場に車両が設置され得る場合であると考えられる。このため、相対的に短い第2起動間隔T2を充電時起動周期として設定することで、外部充電の期間において、車両の固定を確認する回数が相対的に増加し、より安全に外部充電を行うことができる。
【0122】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果(1a)-(1h)を得ることができ、さらに、以下の効果を得ることができる。
【0123】
(2a)SBW_ECU1では、CANコントローラ55は、外部充電の間、車両の状態に応じて、タイマ54に充電時起動周期を設定する。
これにより、充電時起動周期を車両の状態に応じて設定、変更することができる。また、SBW_ECU1内に、充電閾値、及び設定すべき充電時起動周期である第1起動間隔T1及び第2起動間隔T2が記憶されているので、これらを適宜書き換えることによって、SBW_ECU1のみによって充電時起動周期の設定、変更を行うことができる。
【0124】
なお、S152、S153が周期設定部としての処理に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0125】
(3a)上述の実施形態の制御部50は、タイマ54をSBW_ECU1(例えば、制御部50)内に備えていたが、タイマ54は、SBW_ECU1外部の装置であってもよい。つまり、タイマ54は、例えば、充電ECU31やHV-ECU4等といった他のECUや、メータ装置、ナビゲーション装置等といった時間をカウントする機能を予め備える装置等といった、SBW_ECU1外部の装置に含まれていてもよい。これにより、SBW_ECU1内部のタイマが不要となるため、構成を簡易にすることができる。
【0126】
タイマ54がSBW_ECU1外部の装置である場合、SBW_ECU1(すなわち、制御部50)は、例えばCANトランシーバ30を用いてCANバス9を介して、外部の装置であるタイマ54から充電時起動周期で出力される信号を取得してもよい。
【0127】
例えば、図示しないが、外部の装置としてのタイマ54(以下、タイマ54aという)が、充電システム3(例えば、充電ECU31)に含まれているとする。ここで、充電ECU31では、例えば、タイマ54aは、外部充電が行われている間、充電ECU31が備えるマイコンに、充電時起動周期で信号を出力するように構成されてもよい。充電ECU31のマイコンは、充電時起動周期で、タイマ54aからの信号であることを示す通信フレームをCANバス9に送信するように構成されてもよい。
【0128】
一方、SBW_ECU1では、CANトランシーバ30は、タイマ54aからの信号であることを示す通信フレームを受信すると、電源コントロール部53に第2起動信号を出力するように構成されていてもよい。なお、S125にて、制御部50は、CANコントローラ55が、タイマ54aからの信号であることを示す通信フレームを判定したことに基づき、タイマにより起動したと判定してもよい。
【0129】
これにより、SBW_ECU1は、外部充電の期間において、充電時起動周期毎に、スリープ状態から起動状態への遷移を繰り返し、ロック状態であるか否かを判定すること、判定結果を通知すること等、を実行することができる。結果として、上述の(1a)と同様の効果を得ることができる。なお、タイマ54aが信号出力部に相当し、タイマ54aから出力される信号(すなわち、結果として第2起動信号)が、信号出力部が出力する起動信号に相当する。
【0130】
ここで、例えば、充電ECU31は、タイマ54aに充電時起動周期を予め設定するように構成されてもよい。また、充電ECU31は、充電時起動周期を、車両の状態に応じて設定するように構成されてもよい。この場合、充電ECU31が周期設定部に相当する。また例えば、SBW_ECU1は、CANバス9を介した通信により、充電時起動周期を充電ECU31が備えるタイマ54aに設定するように構成されてもよい。この場合、SBW_ECU1が周期設定部に相当する。なお、SBW_ECU1がタイマ54を備え、且つ、充電ECU31がタイマ54aを備えるように構成されてもよい。また、SBW_ECU1が周期設定部の機能を備え、且つ、充電ECU31が周期設定部の機能を備えるように構成されてもよい。
【0131】
(3b)上述の実施形態では、電源コントロール部53は、起動信号が入力されると、起動信号の種類に拘わらず、SBW_ECU1内全てに給電電圧Vpを供給し、SBW_ECU1を起動状態に遷移させるように構成されていた。但し、本開示はこれに限定されるものではない。電源コントロール部53は、SBW_ECU1が外部充電の期間において行う必要最低限の機能を実現するための構成(以下、充電中起動部ともいう)にのみ、給電電圧Vpを供給するように構成されてもよい。
【0132】
例えば、外部充電の期間において行う必要最低限の機能が、ロック状態であるか否かを判定する機能であるとする。この場合、電源コントロール部53は、タイマ54から出力される信号を起動要因として起動するとき、少なくともPロック判定部52に、給電電圧Vpを供給するように構成されてもよい。Pロック判定部52が充電中起動部に相当する。
【0133】
また例えば、外部充電の期間において行う必要最低限の機能が、ロック状態であるか否かの判定結果をSBW_ECU1外部の装置に通知する機能であるとする。この場合、電源コントロール部53は、タイマ54から出力される信号を起動要因として起動するとき、少なくとも、Pロック判定部52及びCANコントローラ55に、給電電圧Vpを供給するように構成されてもよい。Pロック判定部52及びCANコントローラ55が、充電中起動部に相当する。
【0134】
また例えば、外部充電の期間において行う必要最低限の機能が、非ロック状態と判定された場合にパーキングロック機構6をロック状態とするようにモータ62を駆動する機能であるとする。この場合、電源コントロール部53は、タイマ54から出力される信号を起動要因として起動するとき、少なくとも、Pロック判定部52及びモータロジック部51に、給電電圧Vpを供給するように構成されてもよい。Pロック判定部52及びモータロジック部51が充電中起動部に相当する。
【0135】
(3c)SBW_ECU1は、車両の状態に応じてタイマ54に充電時起動周期を設定する際に、充電時間を車両の状態として用いたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、高圧バッテリ2のバッテリ残量を車両の状態として用いて、バッテリ残量が予め定められた閾値未満である場合に第1起動間隔T1を、バッテリ残量が該閾値よりも大きい場合に第2起動間隔T2を、充電時起動周期として設定してもよい。また例えば、接続される外部充電装置101の種類を車両の状態として用いて、外部充電装置101が家庭用コンセントである場合に第1起動間隔T1を、外部充電装置101が急速充電器である場合に第2起動間隔T2を、充電時起動周期として設定してもよい。
【0136】
(3d)SBW_ECU1では、制御部50は、給電電圧Vpが供給されてその動作を開始すると、上述の電力供給処理を実行するように構成され得る。また、制御部50は、上述の電力供給処理においてS200を終了した後に、再びS110からの処理を繰り返すように構成され得る。
【0137】
(3e)上述のパーキングロック機構6が備えるアクチュエータ61は、車両をロック状態または非ロック状態にするものであれば、シフトレンジ切替機構とは異なる構成であってもよい。
【0138】
(3f)上述のSBW_ECU1を搭載する車両は、走行モータのみを動力源として搭載する所謂電気自動車であってもよい。
(3g)本開示に記載のSBW_ECU1及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載のSBW_ECU1及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載のSBW_ECU1及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。SBW_ECU1に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0139】
(3h)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0140】
(3i)上述したSBW_ECU1の他、SBW_ECU1を構成要素とするシステム、制御部50、制御部50またはSBW_ECU1を機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移有形記録媒体、電力の供給方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0141】
1…SBW_ECU1、2…高圧バッテリ、50…制御部、52…Pロック判定部、53…電源コントロール部。