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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】振動解析用記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20241112BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241112BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20241112BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20241112BHJP
   B60W 20/17 20160101ALI20241112BHJP
   G01D 9/00 20060101ALI20241112BHJP
   B60L 50/16 20190101ALN20241112BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
B60L3/00 N
B60K6/445
B60W20/00 900
B60W20/17
G01D9/00 A
B60L50/16 ZHV
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021163309
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054457
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 克也
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】山花 毅
(72)【発明者】
【氏名】柴田 真
(72)【発明者】
【氏名】萩原 久史
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 祐介
(72)【発明者】
【氏名】外海 憲彦
(72)【発明者】
【氏名】北 祐樹
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215157(JP,A)
【文献】特開平09-061300(JP,A)
【文献】特開昭60-039287(JP,A)
【文献】特開2005-164378(JP,A)
【文献】特開2003-065078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0363983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00 - 9/42
G01H 1/00 - 17/00
G01M 17/00 - 17/10
B60K 6/445
B60L 3/00
B60L 50/16
B60W 20/00
B60W 20/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の振動解析に用いられる振動解析用パラメータを記憶する振動解析用記憶装置であって、
前記移動体の振動の大きさとしての移動体振動の大きさが所定値未満であるときには、前記移動体振動を第1振動値として記憶し、前記移動体振動が前記所定値以上であるときには、前記移動体振動を第2振動値として記憶する第1処理と、
第1時間経過する毎に、既に記憶している第1振動解析用パラメータと、前記第1振動値に基づく第1振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第1振動解析用パラメータを更新する第2処理と、
第2時間経過する毎に、既に記憶している第2振動解析用パラメータと、前記第2振動値に基づく第2振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第2振動解析用パラメータを更新する第3処理と、
を実行する
振動解析用記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動解析用記憶装置に関し、詳しくは、振動解析に用いられる振動解析用パラメータを記憶する振動解析用記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の解析用記憶装置としては、被測定機器のマイクでピックアップされた異音信号を高速フーリエ変換し、得られた信号を周波数バンドに分類し、各周波数バンドに属する振幅の最大値を周波数と共に測定異音信号として記憶し、予め記憶している各周波数バンドに属する振幅の最大値を周波数と共に判定基準信号として記憶するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。上述の解析用記憶装置では、各周波数バンドに属する振幅の最大値に基づく測定異音信号、判定基準信号を記憶しているから、測定異音信号の全てを記憶するものに比して、記憶装置の記憶量の低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-117336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体の振動解析に上述の解析用記憶装置を適用しようとすると、移動する路面の状態等により振動の大きさが変化することから、振動が小さい路面を移動しているときの振動の最大値が振動が大きい路面を移動しているときの振動の最大値と置き換えられて、振動が小さい路面を移動しているときの振動を解析することができなくなり、適正な振動解析を行なえなくなる。したがって、より適正な振動解析が可能なデータを記憶することが重要な課題として認識されている。
【0005】
本発明の振動解析用記憶装置は、より適正な振動解析が可能なデータを記憶することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の振動解析用記憶装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の振動解析用記憶装置は、
移動体の振動解析に用いられる振動解析用パラメータを記憶する振動解析用記憶装置であって、
前記移動体の振動の大きさとしての移動体振動の大きさが所定値未満であるときには、前記移動体振動を第1振動値として記憶し、前記移動体振動が前記所定値以上であるときには、前記移動体振動を第2振動値として記憶する第1処理と、
第1時間経過する毎に、既に記憶している第1振動解析用パラメータと、前記第1振動値に基づく第1振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第1振動解析用パラメータを更新する第2処理と、
第2時間経過する毎に、既に記憶している第2振動解析用パラメータと、前記第2振動値に基づく第2振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第2振動解析用パラメータを更新する第3処理と、
を実行することを要旨とする。
【0008】
この本発明の振動解析用記憶装置では、移動体の振動解析に用いられる振動解析用パラメータを記憶する振動解析用記憶装置であって、移動体の振動の大きさとしての移動体振動の大きさが所定値未満であるときには、移動体振動を第1振動値として記憶し、移動体振動が所定値以上であるときには、移動体振動を第2振動値として記憶する第1処理を実行する。そして、第1時間経過する毎に、既に記憶している第1振動解析用パラメータと、第1振動値に基づく第1振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで第1振動解析用パラメータを更新する第2処理を実行する。さらに、第2時間経過する毎に、既に記憶している第2振動解析用パラメータと、第2振動値に基づく第2振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで第2振動解析用パラメータを更新する第3処理を実行する。振動の大きさが所定値未満であるときの振動の大きさに基づく第1振動解析用パラメータと、振動の大きさが所定値以上であるときの振動の大きさに基づく第2振動解析用パラメータと、の双方を記憶する。この結果、より適正な振動解析を行なうことが可能なデータ(第1、第2振動解析用パラメータ)を記憶できる。ここで、「所定値」は、振動の大きさが過大であるか否かを判定するための閾値である。
【0009】
こうした本発明の振動解析用記憶装置において、前記第2処理は、既に前記第1振動解析用パラメータを記憶していないときには、前記第1振動パラメータを前記第1振動解析用パラメータとして記憶してもよい。こうすれば、より適正に第1振動解析用パラメータを記憶できる。
【0010】
また、本発明の振動解析用記憶装置において、前記第3処理は、前記第2振動解析用パラメータを記憶していないときには、前記第2振動パラメータを前記第2振動解析用パラメータとして記憶してもよい。こうすれば、より適正に第2振動解析用パラメータを記憶できる。
【0011】
さらに、本発明の振動解析用記憶装置において、前記第1振動解析用パラメータは、前記第1振動値の周波数スペクトルとしての第1スペクトルにおける周波数毎の振動の大きさの最大値を対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルとしての第1振動解析用スペクトルの周波数毎の振動の大きさであり、前記第1振動パラメータは、前記第1スペクトルの周波数毎の振動の大きさであり、前記第2処理は、前記第1時間経過する毎に、前記第1スペクトルを演算し、前記第1振動解析用スペクトルの振動の大きさと、演算した前記第1スペクトルの振動の大きさと、を周波数毎に比較し、大きいほうの振動の大きさを対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルで前記第1振動解析用スペクトルを更新してもよい。こうすれば、より適正なデータ(第1振動解析用スペクトル)を記憶できる。
【0012】
そして、本発明の振動解析用記憶装置において、前記第2振動解析用パラメータは、前記第2振動値の周波数スペクトルとしての第2スペクトルにおける周波数毎の振動の大きさの最大値を対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルとしての第2振動解析用スペクトルの周波数毎の振動の大きさであり、前記第2振動パラメータは、前記第2スペクトルの周波数毎の振動の大きさであり、前記第3処理は、前記第2時間経過する毎に、前記第2スペクトルを演算し、前記第2振動解析用スペクトルの振動の大きさと、演算した前記第2スペクトルの振動の大きさと、を周波数毎に比較し、大きいほうの振動の大きさを対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルで前記第2振動解析用スペクトルを更新してもよい。こうすれば、より適正なデータ(第2振動解析用スペクトル)を記憶できる。
【0013】
また、本発明の振動解析用記憶装置において、前記第1振動解析用パラメータは、既に記憶されている前記第1振動値のオーバーオール値の最大値であり、前記第1振動パラメータは、第3時間毎に演算される前記第1振動値のオーバーオール値としてもよいし、前記第2振動解析用パラメータは、既に記憶されている前記第2振動値のオーバーオール値の最大値であり、前記第2振動パラメータは、第4時間毎に演算される前記第2振動値のオーバーオール値としてもよい。こうすれば、周波数スペクトルを記憶するものに比して、記憶するデータの容量を低減できる。
【0014】
また、本発明の振動解析用記憶装置において、振動の大きさは、前記移動体の振動の大きさを検出する振動センサにより検出された値としてもよい。この場合、前記振動センサを、振動の大きさとして前記移動体の加速度を検出する加速度センサとしてもよい。
【0015】
そして、前記移動体は、エンジンマウントを介して車体に取り付けられたエンジンと、サスペンションを介して車体に取り付けられた車輪と、を備える車両としてもよい。こうすれば、車輪からサスペンション、車体、エンジンマウントをこの順に介して伝達する振動の解析をより適正に行なうことができるデータを記憶できる。
【0016】
本発明の振動解析用記憶システムは、
移動体の振動の大きさとしての移動体振動を検出する振動センサと、
上述したいずれかの態様の本発明の振動解析用記憶装置、即ち、基本的には、移動体の振動解析に用いられる振動解析用パラメータを記憶する振動解析用記憶装置であって、前記移動体の振動の大きさとしての移動体振動の大きさが所定値未満であるときには、前記移動体振動を第1振動値として記憶し、前記移動体振動が前記所定値以上であるときには、前記移動体振動を第2振動値として記憶する第1処理と、第1時間経過する毎に、既に記憶している第1振動解析用パラメータと、前記第1振動値に基づく第1振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第1振動解析用パラメータを更新する第2処理と、第2時間経過する毎に、既に記憶している第2振動解析用パラメータと、前記第2振動値に基づく第2振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第2振動解析用パラメータを更新する第3処理と、を実行する振動解析用記憶装置と、
を備えることを要旨とする。
【0017】
この本発明の振動解析用記憶システムでは、上述したいずれかの態様の本発明の振動解析用記憶装置を備えるから、本発明の振動解析用記憶装置が奏する効果、即ち、基本的には、より適正な振動解析を行なうことが可能なデータ(第1、第2振動解析用パラメータ)を記憶できるという効果を奏する。
【0018】
本発明の振動解析システムは、
移動体の振動の大きさとしての移動体振動を検出する振動センサと、
上述したいずれかの態様の本発明の振動解析用記憶装置、即ち、基本的には、移動体の振動解析に用いられる振動解析用パラメータを記憶する振動解析用記憶装置であって、前記移動体の振動の大きさとしての移動体振動の大きさが所定値未満であるときには、前記移動体振動を第1振動値として記憶し、前記移動体振動が前記所定値以上であるときには、前記移動体振動を第2振動値として記憶する第1処理と、第1時間経過する毎に、既に記憶している第1振動解析用パラメータと、前記第1振動値に基づく第1振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第1振動解析用パラメータを更新する第2処理と、第2時間経過する毎に、既に記憶している第2振動解析用パラメータと、前記第2振動値に基づく第2振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで前記第2振動解析用パラメータを更新する第3処理と、を実行する振動解析用記憶装置と、
前記第1、第2振動解析用パラメータを用いて前記移動体の振動解析を実行する振動解析装置と、
を備えることを要旨とする。
【0019】
この本発明の振動解析システムでは、移動体の振動の大きさとしての移動体振動を検出する振動センサを備える。移動体の振動の大きさとしての移動体振動が所定値未満であるときには、移動体振動を第1振動値として記憶し、移動体振動が所定値以上であるときには、移動体振動を第2振動値として記憶する第1処理を実行する。また、第1時間経過する毎に、既に記憶している第1振動解析用パラメータと、第1振動値に基づく第1振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで第1振動解析用パラメータを更新する第2処理を実行する。そして、第2時間経過する毎に、既に記憶している第2振動解析用パラメータと、第2振動値に基づく第2振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで第2振動解析用パラメータを更新する第3処理を実行する。振動の大きさが所定値未満であるときの振動の大きさに基づく第1振動解析用パラメータと、振動の大きさが所定値以上であるときの振動の大きさに基づく第2振動解析用パラメータと、の双方を記憶する。これにより、より適正な振動解析を行なうことが可能なデータ(第1、第2振動解析用パラメータ)を記憶できる。さらに、第1、第2振動解析用パラメータを用いて移動体の振動解析を実行する。より適正な振動解析を行なうことが可能なデータ(第1、第2振動解析用パラメータ)を用いて移動体の振動解析を実行するから、より適正な振動解析を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例としての振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
図2】HVECU70により実行される第1処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図3】HVECU70により実行される第2処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4】ステップS250の第1解析用スペクトルSa1の更新処理を説明するための説明図である。
図5】悪路を走行しているときと波状路を走行しているときの車体の振動値の周波数スペクトルの一例を示す説明図である。
図6】走行時に車輪(例えば、駆動輪39a)からトランスアクスルT/Aへの主な振動伝達経路の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例
【0022】
図1は、本発明の一実施例としての振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。ハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1、MG2と、インバータ41、42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
【0023】
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、ダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。
【0024】
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。
【0025】
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a、39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
【0026】
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41、42は、モータMG1、MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。電力ライン54には、平滑用のコンデンサ57が取り付けられている。モータMG1、MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41、42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。インバータ41、42は、同一の筐体に収納されていことから、インバータ41とインバータ42とを組み合わせたものパワーコントロールユニットPCUと称することがある。
【0027】
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1、MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2を挙げることができる。モータECU40からは、インバータ41、42の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
【0028】
プラネタリギヤ30とモータMG1、MG2と駆動軸36とデファレンシャルギヤ38とは、同一のトランスミッションケース(図示せず)に収納されていることから、プラネタリギヤと30モータMG1、MG2と駆動軸36とデファレンシャルギヤ38とを組み合わせたものをトランスアクスルT/Aと称することがある。なお、トランスミッションケース上には、パワーコントロールユニットPCUが載せ置きされている。
【0029】
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
【0030】
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号(例えば、バッテリ50の電圧を検出する電圧センサ51aからのバッテリ電圧Vbなど)が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
【0031】
エンジン22は、複数のエンジンマウント60によりボディ(車体)Bに懸架されている(取り付けられている)。駆動輪39a、39bおよび2つの従動輪は、それぞれサスペンション64によりボディ(車体)Bに懸架されている(取り付けられている)。エンジンマウント60は、内部にゴムなどの弾性体を有し、振動を吸収できるように構成されている。サスペンション64は、アームやスプリング、ショックアブソーバを有し、路面からボディ(車体)Bに伝達される衝撃を緩和するように構成されている。
【0032】
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM72、データを記憶する書き換え可能な不揮発メモリとしてのフラッシュメモリ74、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速V、加速度センサ89からの加速度αも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
【0033】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40との協調制御により、エンジン22の運転を伴わずに走行する電動走行(EV走行)と、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行(HV走行)と、を切り替えて走行するようにエンジン22とモータMG1、MG2とを制御する。
【0034】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、ボディBに生じる振動を解析する際の動作について説明する。図2は、HVECU70により実行される第1処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図3は、HVECU70により実行される第2処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。第1処理ルーチンと第2処理ルーチンと、後述する第3処理ルーチンとは並行して実行される。最初に第1処理ルーチンを説明し、続いて、第2処理ルーチン、第3処理ルーチンの順で説明する。
【0035】
第1処理ルーチンは、所定時間t1毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。 第1処理ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、加速度センサ89からの加速度αを入力する処理を実行し(ステップS100)、入力した加速度αの絶対値|α|が閾値αth以上であるか否かを判定する(ステップS110)。閾値αthは、車両の振動が通常走行時(舗装された道路や未舗装の道路(悪路)などでの走行)に比して過大になっているか否かを判定するための閾値であり、実験や解析などにより設定される。車両の振動が過大になっている原因としては、波状路を走行していることや、一時的に段差を乗り越えたことなどを挙げることができる。絶対値|α|は、車両の振動の大きさを反映していることから、ステップS110の処理は、車両の振動が通常時に比して過大になっているか否かを判定する処理となっている。
【0036】
ステップS110で絶対値|α|が閾値αth未満のときには、車両の振動が通常時に比して過大ではないと判断して、絶対値|α|を第1振動値α1に設定すると共にHVECU70のRAM72に記憶して(ステップS120)、第1処理ルーチンを終了する。このとき、RAM72に前回以前に記憶した第1振動値α1が記憶されているときには、上書きせずに、第1振動値α1を記憶する。したがって、RAM72には、後述するように第1振動値α1のデータが削除されるまで、第1振動値α1の時系列のデータが時間の経過と共に蓄積されていくことになる。
【0037】
ステップS110で絶対値|α|が閾値αth以上のときには、車両の振動が通常時に比して過大であると判断して、絶対値|α|を第2振動値α2に設定すると共にHVECU70のRAM72に記憶して(ステップS130)、第1処理ルーチンを終了する。このとき、RAM72に前回以前に記憶した第2振動値α2が記憶されているときには、上書きせずに、第2振動値α2を記憶する。したがって、RAM72には、後述するように第2振動値α2のデータが削除されるまで、第2振動値α2の時系列のデータが時間の経過と共に蓄積されていくことになる。
【0038】
続いて、第2処理ルーチンについて説明する。第2処理ルーチンは、所定時間t2毎(例えば、数sec毎)に繰り返し実行される。所定時間t2は、後述する周波数解析を精度よく行なうために必要な個数の第1、第2振動値α1、α2をRAM72に蓄積できる時間として予め定めた時間である。
【0039】
第2処理ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、RAM72に蓄積されている第1振動値α1の時系列のデータに対して高速フーリエ変換を施して第1振動値α1の周波数スペクトルとしての第1スペクトルS1を設定する周波数解析を実行する(ステップS200)。
【0040】
次に、フラッシュメモリ74に車両振動を解析する際に用いられる第1解析用スペクトル(第1振動解析用パラメータ)Sa1が記憶されているか否かを判定する(ステップS210)。第1解析用スペクトルSa1は、第1スペクトルS1における周波数毎の振動の大きさの最大値を対応する周波数の振動の大きさとするスペクトルである。フラッシュメモリ74に第1解析用スペクトルSa1が記憶されていないときには、ステップS200で作成した第1スペクトルS1を第1解析用スペクトルSa1としてフラッシュメモリ74に記憶すると共に、RAM72に記憶されている第1振動値α1のデータを削除して(ステップS220)、第2処理ルーチンを終了する。
【0041】
ステップS210でフラッシュメモリ74に第1解析用スペクトルSa1が記憶されているときには、第1スペクトルS1の振動の大きさとしての第1振動値αs1(第1振動パラメータ)と、第1解析用スペクトルSa1の振動の大きさとしての第1振動値αa1と、を周波数毎に、比較し(ステップS230)、第1解析用スペクトルSa1の更新が必要であるか否かを判定する(ステップS240)。第1解析用スペクトルSa1の更新が必要であるか否かの判定は、第1スペクトルS1の第1振動値αs1と、第1解析用スペクトルSa1の第1振動値αa1と、を周波数毎に比較した結果、いずれかの周波数において、第1振動値αs1が第1振動値αa1より大きいときに、第1解析用スペクトルSa1の更新が必要であると判定する。
【0042】
ステップS240で第1解析用スペクトルSa1の更新が必要であると判定したときには、第1解析用スペクトルSa1を更新すると共にRAM72に記憶されている第1振動値α1のデータを削除して(ステップS250)、第2処理を終了する。このように、第1解析用スペクトルSa1を更新すると共にRAM72に記憶されている第1振動値α1のデータを削除するから、RAM72が記憶しているデータの容量の増大を抑制できる。
【0043】
図4は、ステップS250の第1解析用スペクトルSa1の更新処理を説明するための説明図である。図中、上の周波数スペクトルにおいて、黒丸印は、更新前の第1解析用スペクトルSa1の一例を示している。白丸印は、ステップS200で設定した第1スペクトルS1の一例を示している。下のスペクトルにおいて、黒丸印は、更新後の第1解析用スペクトルSa1の一例を示している。ステップS250では、ステップS230で、第1スペクトルS1の第1振動値αs1と、第1解析用スペクトルSa1の第1振動値αa1と、を周波数毎に比較した結果、第1振動値αs1が第1振動値αa1より大きいときには、図中破線矢印に示すように、その周波数の第1振動値αs1(白丸印)を第1振動値αa1(黒丸印)として、第1解析用スペクトルSa1を更新する。こうした処理により、第1解析用スペクトルSa1を、第1振動値αs1の周波数毎の最大値を示すスペクトルとしてフラッシュメモリ74に記憶する。
【0044】
ステップS240で第1解析用スペクトルSa1の更新が必要でないと判定したときには、第1解析用スペクトルSa1を更新せずにRAM72に記憶されている第1振動値α1のデータを削除して(ステップS260)、第2処理ルーチンを終了する。このように、RAM72に記憶されている第1振動値α1のデータを削除するから、RAM72が記憶しているデータの容量の増大を抑制できる。
【0045】
続いて、第3処理ルーチンについて説明する。第3処理ルーチンは、第2処理ルーチンにおいて、第1スペクトルS1を第2スペクトルS2とし、第1解析用スペクトルSa1を第2解析用スペクトル(第2振動解析用パラメータ)Sa2とし、第1振動値αs1、第1振動値αa1を第2振動値(第2振動パラメータ)αs2、第2振動値αa1、とする点を除いて、第2処理ルーチンと同一の処理を実行する。第3処理ルーチンでは、所定時間t2毎に、第2振動値α2の周波数スペクトルとしての第2スペクトルS2を演算し、第2スペクトルS2における周波数毎の振動の大きさの最大値を対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルとして既に記憶している第2解析用スペクトルSa2の第2振動値αa2と、演算した第2スペクトルS2の第2振動値αs2と、を周波数毎に比較し、大きいほうを対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルで第2解析用スペクトルSa2を更新する。こうした第3処理ルーチンの実行により、第2解析用スペクトルSa2を、第2振動値αs2の周波数毎の最大値のスペクトルとしてフラッシュメモリ74に記憶する。RAM72に記憶されている第2振動値α2のデータを削除するから、RAM72が記憶しているデータの容量の増大を抑制できる。
【0046】
次に、こうしてフラッシュメモリ74に2つの解析用スペクトル(第1、第2解析用スペクトルSa1、Sa2)を記憶する理由について説明する。図5は、悪路を走行しているときと波状路を走行しているときの車体の振動値(振動の大きさ)の周波数スペクトルの一例を示す説明図である。図中,実線は、悪路を走行しているときの車体の振動値の周波数スペクトルの一例を示す。破線は、波状路を走行しているときの振動値の周波数スペクトルの一例を示す。図示するように、波状路を走行しているときの周波数スペクトルの振動値は、悪路を走行しているときの周波数スペクトルに比して大きくなる。このように、路面の状態によって、周波数スペクトルが異なるものとなる。
【0047】
路面の状態によって周波数スペクトルが異なる場合、加速度センサ89からの加速度αの絶対値|α|が閾値αth以上であるか否かに拘わらず絶対値|α|を第1振動値α1とし、第1振動値α1から第2処理と同様の手法で第1解析用スペクトルSa1を設定すると、第1解析用スペクトルSa1は、振動値が大きいほうの周波数スペクトルを反映するものとなり、振動値が小さいほうの周波数スペクトルは反映されない。そのため、第1解析用スペクトルSa1を用いても、路面の状態による振動の特性の違いを把握できない。
【0048】
実施例では、第1処理ルーチンにおいて、加速度センサ89からの加速度αの絶対値|α|が閾値αth以上であるか否かに応じて、絶対値|α|を第1振動値α1としたり第2振動値α2としたりする。そして、第2処理ルーチンで、第1振動値α1から第1スペクトルS1を設定すると共に第1解析用スペクトルSa1を設定してフラッシュメモリ74に記憶し、第3処理ルーチンで、第2振動値α2から第2スペクトルS2を設定すると共に第2解析用スペクトルSa2を設定してフラッシュメモリ74に記憶する。これにより、第1解析用スペクトルSa1は、閾値αth未満の絶対値|α|の振動を反映するものとなり、第2解析用スペクトルSa2は、閾値αth以上の絶対値|α|の振動を反映するものとなる。したがって、第1、第2解析用スペクトルSa1、Sa2を用いることにより、路面の状態による振動の特性の違いを把握でき、より適正な振動解析が可能となる。つまり、第1~第3処理を実行することにより、より適正な振動解析が可能なデータを記憶することができる。
【0049】
閾値αthを調整することにより、第1解析用スペクトルSa1を悪路走行時における周波数毎の振動値の最大値とし、第2解析用スペクトルSa2を波状路走行時における周波数毎の振動値の最大値とすることができる。そして、第1解析用スペクトルSa1、Sa2を用いることでトランスアクスルT/Aに伝達される振動を抑制できる。図6は、走行時に車輪(例えば、駆動輪39a)からトランスアクスルT/Aへの主な振動伝達経路の一例を説明するための説明図である。図示するように、悪路を走行しているときには、主に、路面の凹凸による駆動輪39aの振動がサスペンション64、ボディB、エンジンマウント60を介してパワーコントロールユニットPCU、トランスアクスルT/Aに伝達する。波状路を走行しているときには、主に、路面の凹凸による駆動輪39aの振動が駆動軸36を介してトランスアクスルT/Aに伝達する。したがって、第1解析用スペクトルSa1において振動値が最大となる周波数と図6の振動伝達経路の振動の周波数とが重ならないように図6の振動伝達経路の周波数特性を調整する(例えば、周波数を下げたい場合は、図6の波状路走行時の振動伝達経路におけるサスペンション64の剛性を上げるなど)ことにより、悪路走行で発生した振動がトランスミッションT/Aに伝達されることを抑制できる。また、第2解析用スペクトルSa2において振動値が最大となる周波数と図6の振動伝達経路の周波数特性を調整する(例えば、図6の波状路走行時の振動伝達経路における駆動軸36の剛性を上げるなどしてねじれ系の共振周波数を上げるなど)ことにより、波状路走行で発生した振動がトランスミッションT/Aに伝達されることを抑制できる。
【0050】
以上説明した実施例の振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20によれば、加速度αの絶対値|α|が閾値αth未満であるときには、絶対値|α|を第1振動値α1として記憶し、加速度αの絶対値|α|が閾値αth以上であるときには、絶対値|α|を第2振動値α2として記憶する第1処理と、所定時間t2経過する毎に、既に記憶している第1解析用スペクトルSa1と、第1振動値に基づく第1スペクトルS1と、を比較して大きいほうのパラメータで第1解析用スペクトルSa1を更新する第2処理と、所定時間t2経過する毎に、既に記憶している第2解析用スペクトルSa2と、第2振動値に基づく第2スペクトルS2と、を比較して大きいほうのパラメータで第2解析用スペクトルSa2を更新する第3処理と、を実行することにより、より適正な振動解析が可能なデータを記憶できる。
【0051】
実施例の振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20では、ステップS100で加速度センサ89により検出した加速度αを入力し、ステップS110~S130で加速度αの絶対値|α|を用いて第1、第2振動値α1、α2を設定している。しかしながら、ステップS100では、加速度αに代えて、車両の振動の大きさを反映する他の物理量を検出してもよい。この場合、こうして検出した他の物理量(多くはその絶対値)を用いて第1、第2振動値α1、α2を設定すればよい。
【0052】
実施例の振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20では、第2処理を、所定時間t2毎に、第1振動値α1の周波数スペクトルとしての第1スペクトルS1を演算し、第1スペクトルS1における周波数毎の振動の大きさの最大値を対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルとして既に記憶している第1解析用スペクトルSa1の第1振動値αa1と、演算した第1スペクトルS1の第1振動値αs1と、を周波数毎に比較し、大きいほうを対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルで第1解析用スペクトルSa1を更新する第2処理としている。しかしながら、第2処理を、例えば、所定時間t2毎に、第1振動値α1のオーバーオール値の最大値として既に記憶している第1解析用オーバーオール値と、第1振動値α1のオーバーオール値と、を比較し、大きいほうのオーバーオール値で第1解析用オーバーオール値を更新するものなど、既に記憶している第1振動解析用パラメータと、第1振動値α1に基づく第1振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで第1振動解析用パラメータを更新する処理としてもよい。こうすれば、周波数スペクトルを用いるものに比して、フラッシュメモリ74のデータ容量を低減させることができる。
【0053】
実施例の振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20では、第3処理を、所定時間t2毎に、第2振動値α2の周波数スペクトルとしての第2スペクトルS2を演算し、第2スペクトルS2における周波数毎の振動の大きさの最大値を対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルとして既に記憶している第2解析用スペクトルSa2の第2振動値αa2と、演算した第2スペクトルS2の第2振動値αs2と、を周波数毎に比較し、大きいほうを対応する周波数の振動の大きさとする周波数スペクトルで第2解析用スペクトルSa2を更新する処理としている。しかしながら、第3処理を、例えば、所定時間t2毎に、第2振動値α2のオーバーオール値の最大値として既に記憶している第2解析用オーバーオール値と、第2振動値α2のオーバーオール値と、を比較し、大きいほうのオーバーオール値で第2解析用オーバーオール値を更新するものなど、既に記憶している第2振動解析用パラメータと、第2振動値α2に基づく第2振動パラメータと、を比較して大きいほうのパラメータで第2振動解析用パラメータを更新する処理としてもよい。こうすれば、周波数スペクトルを用いるものに比して、フラッシュメモリ74のデータ容量を低減させることができる。
【0054】
実施例の振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20では、第2処理、第3処理を、同一の時間間隔としての所定時間t2毎に実行している。しかしながら、第2処理と第3処理とを異なる時間間隔で実行してもよい。
【0055】
実施例の振動解析用記憶装置を搭載したハイブリッド自動車20では、第1処理~第3処理ルーチンを、単一の電子制御ユニットとしてのHVECU70で実行している。しかしながら、第1処理~第3処理ルーチンに含まれる複数の処理を、複数の電子制御ユニットで分担して実行してもよい。
【0056】
実施例では、本発明の振動解析用記憶装置を、ハイブリッド自動車20に適用している。しかしながら、本発明の振動解析用記憶装置を、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、走行用の動力源としてモータを備えずにエンジンからの動力で走行する自動車に適用してもよい。また、本発明の振動解析用記憶装置を、船舶や鉄道、飛行機など振動解析の対象となる移動体であれば如何なるものに適用しても構わない。
【0057】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、HVECU70が「振動解析用記憶装置」に相当する。
【0058】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0059】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、振動解析用記憶装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、57 コンデンサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、72 RAM、74 フラッシュメモリ、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 加速度センサ、B ボディ(車体)、MG1,MG2 モータ、PCU パワーコントロールユニット、T/A トランスアクスル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6