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7586053照明管理システム、照明管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】照明管理システム、照明管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20241112BHJP
   B60Q 1/08 20060101ALI20241112BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20241112BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20241112BHJP
   H05B 45/305 20200101ALI20241112BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20241112BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20241112BHJP
【FI】
H05B47/125
B60Q1/08
H05B45/10
H05B45/20
H05B45/305
H05B47/155
H05B47/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021182061
(22)【出願日】2021-11-08
(65)【公開番号】P2023069880
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-71758(JP,A)
【文献】特開2005-222441(JP,A)
【文献】特開2001-307895(JP,A)
【文献】特開平5-283173(JP,A)
【文献】特開平9-088019(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0074842(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102573202(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 45/00
B60Q 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が有する第1の照明装置、および前記車両が走行する交通環境に設置された第2の照明装置の少なくともいずれかを制御する照明管理システムであって、
前記第1および第2の照明装置の照明状態に基づく、前記車両の周囲の照明状態が、光量に関する第1の基準と、照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかに関する第2の基準とを満たすか否かを判定する判定部と、
前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの光量を制御する第1制御部と、
前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを制御する第2制御部と、
前記交通環境における環境情報に基づいて、前記第1および第2の基準を決定する決定部と
を備え
前記環境情報は、時間帯に関する情報、歩行者の有無に関する情報、および車両の有無に関する情報の少なくともいずれかを含み、
前記第2の基準は、点滅状態に関する基準を含み、
前記決定部は、
前記交通環境に前記歩行者が存在する場合、前記第1および第2の照明装置の点滅周期が一致するように、前記第2の基準を決定し、
前記点滅周期は、周波数変換器を用いて変更される
照明管理システム。
【請求項2】
前記第2の基準は、照明色に関する基準を含み、
前記決定部は、
前記交通環境に歩行者が存在する場合、前記交通環境における照明色が人間に認識し易くなるように、前記第2の基準を決定する、
請求項に記載の照明管理システム。
【請求項3】
車両が有する第1の照明装置、および前記車両が走行する交通環境に設置された第2の照明装置の少なくともいずれかを制御する照明管理方法であって、
前記第1および第2の照明装置の照明状態に基づく、前記車両の周囲の照明状態が、光量に関する第1の基準と、照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかに関する第2の基準とを満たすか否かを判定するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの光量を制御するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを制御するステップと、
前記交通環境における環境情報に基づいて、前記第1および第2の基準を決定するステップと
を含み、
前記環境情報は、時間帯に関する情報、歩行者の有無に関する情報、および車両の有無に関する情報の少なくともいずれかを含み、
前記第2の基準は、点滅状態に関する基準を含み、
前記決定するステップは、
前記交通環境に前記歩行者が存在する場合、前記第1および第2の照明装置の点滅周期が一致するように、前記第2の基準を決定し、
前記点滅周期は、周波数変換器を用いて変更される
照明管理方法。
【請求項4】
車両が有する第1の照明装置、および前記車両が走行する交通環境に設置された第2の照明装置の少なくともいずれかを制御する照明管理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記照明管理方法は、
前記第1および第2の照明装置の照明状態に基づく、前記車両の周囲の照明状態が、光量に関する第1の基準と、照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかに関する第2の基準とを満たすか否かを判定するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの光量を制御するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを制御するステップと、
前記交通環境における環境情報に基づいて、前記第1および第2の基準を決定するステップと
を含み、
前記環境情報は、時間帯に関する情報、歩行者の有無に関する情報、および車両の有無に関する情報の少なくともいずれかを含み、
前記第2の基準は、点滅状態に関する基準を含み、
前記決定するステップは、
前記交通環境に前記歩行者が存在する場合、前記第1および第2の照明装置の点滅周期が一致するように、前記第2の基準を決定し、
前記点滅周期は、周波数変換器を用いて変更される
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明管理システム、照明管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、街灯に設けられた光センサで光量を検出した結果に基づいて、車両照明の光量を制御することにより、街灯の光量の不足を補う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-202094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
街灯による照明と車両照明とを足し合わせた光が一定の光量を有する場合であっても、足し合わせた光の状態によっては視認性が低下してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、交通環境における視認性を向上させる照明管理システム、照明管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態における照明管理システムは、
車両が有する第1の照明装置、および前記車両が走行する交通環境に設置された第2の照明装置の少なくともいずれかを制御する照明管理システムであって、
前記第1および第2の照明装置の照明状態に基づく、前記車両の周囲の照明状態が、光量に関する第1の基準と、照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかに関する第2の基準とを満たすか否かを判定する判定部と、
前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの光量を制御する第1制御部と、
前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを制御する第2制御部と、
を備える。
【0007】
本実施の形態における照明管理方法は、
車両が有する第1の照明装置、および前記車両が走行する交通環境に設置された第2の照明装置の少なくともいずれかを制御する照明管理方法であって、
前記第1および第2の照明装置の照明状態に基づく、前記車両の周囲の照明状態が、光量に関する第1の基準と、照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかに関する第2の基準とを満たすか否かを判定するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの光量を制御するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを制御するステップと、
を含む。
【0008】
本実施の形態におけるプログラムは、
車両が有する第1の照明装置、および前記車両が走行する交通環境に設置された第2の照明装置の少なくともいずれかを制御する照明管理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記照明管理方法は、
前記第1および第2の照明装置の照明状態に基づく、前記車両の周囲の照明状態が、光量に関する第1の基準と、照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかに関する第2の基準とを満たすか否かを判定するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第1の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの光量を制御するステップと、
前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たさない場合、前記車両の周囲の照明状態が前記第2の基準を満たすように、前記第1および第2の照明装置の少なくともいずれかの照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを制御するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、交通環境における視認性を向上させる照明管理システム、照明管理方法、およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1にかかる照明管理システムの構成を示す模式構成図である。
図2】実施形態1にかかるサーバの構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1にかかる照明管理方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態1
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0012】
以下、図面を参照して実施形態1にかかる照明管理システムについて説明する。図1は、実施形態1にかかる照明管理システム1000の概要を示す模式図である。照明管理システムは、照明装置100、ポール200、照明装置300、光検出センサ400、およびサーバ500を備えている。
【0013】
なお、後述するサーバ500の機能は、照明装置100や照明装置300に備えられていてもよい。したがって、サーバ500を含まないシステムも、実施形態1にかかる照明管理システム1000には含まれ得る。
【0014】
照明装置100は、車両10に搭載された車両照明である。照明装置100は、第1の照明装置とも称される。照明装置100は、車両10の外部を照明する照明光L1を生成する。図1中の点線で囲まれた領域が、照明光L1を表している。照明装置100は、例えば、ヘッドライトであるが、補助灯、テールライトなどを含んでいてもよい。換言すると、照明光L1は、照明装置100の照明状態を表す。照明装置100を搭載する車両10は、人間が運転する通常の車両であってもよく、自律移動車両であってもよい。照明管理システム1000は、照明装置100を複数含んでいてもよい。
【0015】
照明装置100は、照明光L1の光量を変更できる。また、照明装置100は、照明光L1の照明範囲、照明色(色味)、および点滅状態(例えば、点滅周期や点滅のタイミング)の少なくともいずれかを変更できる。照明装置100は、ミラー等を用いて照明範囲の大きさを変更してもよい。照明装置100は、複数のLED(Light Emitting Diode)を備え、それぞれの発光強度を変えることで照明色を変更してもよい。照明装置100は、周波数変換器などを用いて、照明光L1の点滅周期を変更してもよい。なお、後述する照明装置300が、後述する照明光L2の照明範囲等を変更可能である場合、照明装置100は、照明光L1の照明範囲等を変更できなくてもよい。
【0016】
ポール200は、車両10が走行する交通環境20に設置されている。ポール200には、後述する照明装置300、および後述する光検出センサ400が取り付けられている。なお、後述する照明装置300が、ポール200に固定されない場合も、実施形態1にかかる照明管理システム1000には含まれる。このような場合、照明管理システム1000は、ポール200を備えていなくてもよい。
【0017】
照明装置300は、交通環境20に配置されている。具体的には、照明装置300は、ポール200に取り付けられている。照明装置300は、第2の照明装置とも称される。照明装置300は、交通環境20を照明する照明光L2を生成する。換言すると、照明光L2は、照明装置300の照明状態を表す。図1中、一点鎖線で囲まれた領域が、照明光L2を表している。照明装置300は、例えば、街灯である。照明管理システム1000は、照明装置300を複数含んでいてもよい。
【0018】
なお、照明光L1による照明範囲は、照明光L2による照明範囲に含まれている必要はない。例えば、照明光L2による照明範囲が、照明光L1による照明範囲に含まれてもよい。また、照明光L1による照明範囲の一部が、照明光L2による照明範囲からはみ出していてもよい。同様に、照明光L2による照明範囲の一部が、照明光L1による照明範囲からはみ出していてもよい。
【0019】
照明装置300は、照明光L2の光量を変更できる。また、照明装置300は、照明光L2の照明範囲、照明色(色味)、および点滅状態(例えば、点滅周期や点滅のタイミング)の少なくともいずれかを変更できる。なお、照明装置100が照明光L1の照明範囲等を変更可能である場合、照明装置300は、照明光L2の照明範囲等を変更できなくてもよい。
【0020】
光検出センサ400は、ポール200に取り付けられている。光検出センサ400は、光を検出可能な撮像素子である。光検出センサ400は、照明光L1を検出してもよく、照明光L1と照明光L2を足し合わせた光を検出してもよい。光検出センサ400は、検出結果をサーバ500に出力する。
【0021】
光検出センサ400で照明光L1を検出する代わりに、照明装置100が、後述するサーバ500に照明光L1の光量や照明範囲に関する制御パラメータを送信してもよい。光検出センサ400で照明光L2を検出する代わりに、照明装置300が、後述するサーバ500に照明光L2の光量や照明範囲に関する制御パラメータを送信してもよい。このような場合、照明管理システム1000は、光検出センサ400を備えていなくてもよい。
【0022】
サーバ500は、照明装置100および照明装置300の少なくともいずれかを制御する。後述するように、サーバ500は、照明装置100等の光量に加えて、照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを、通信インターフェースを介して制御できる。
【0023】
次に、図2を参照して、サーバ500の構成について詳細に説明する。サーバ500は、通信部510、取得部520、決定部530、判定部540、第1制御部550、および第2制御部560を備えている。通信部510は通信インターフェースであり、サーバ500は、通信部510を介して、照明装置100および照明装置300と通信する。また、サーバ500は、通信部510を介して、光検出センサ400から検出結果を受け取ってもよい。
【0024】
サーバ500は、図示しないメモリやプロセッサなどを備えている。メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行することにより、サーバ500は、取得部520、決定部530、判定部540、第1制御部550、および第2制御部560の機能を実現する。
【0025】
取得部520は、交通環境20における環境情報を取得する。環境情報は、例えば、時間帯に関する情報、歩行者の有無に関する情報、および車両の有無に関する情報を含む。なお、環境情報は、歩行者の数に関する情報や、車両10の数に関する情報を含んでいてもよい。取得部520は、時刻情報や周囲の明るさに応じて、時間帯に関する情報を取得してもよい。取得部520は、交通環境20に設置されたカメラ(不図示)による撮像結果から、歩行者や車両10に関する情報を取得してもよい。取得部520は、環境情報を決定部530に出力する。
【0026】
決定部530は、交通環境20における環境情報に基づいて、照明光L1およびL2に基づく、車両10の周囲の照明状態の光量に関する第1の基準を決定する。また、決定部530は、交通環境20における環境情報に基づいて、車両10の周囲の照明状態の照明範囲、照明色(色味)、および点滅状態(例えば、点滅周期や点滅のタイミング)の少なくともいずれかに関する第2の基準を決定する。点滅状態に関する第2の基準は、点滅周期の一致度合いであってもよい。点滅周期の一致度合いとは、照明光L1の点滅周期と照明光L2の点滅周期とが一致し、照明光L1の点滅のタイミングと照明光L2の点滅のタイミングとが一致していることを意味している。
【0027】
決定部530は、例えば、照明光L1と照明光L2とが重なった部分の光量、面積、色、点滅周期の一致度合いに関する基準を決定してもよい。このような場合、第1の基準は、照明光L1の光量と照明光L2の光量の和に関する基準となる。また、第2の基準は、照明光L1と照明光L2とが重なった部分の面積や、照明光L1と照明光L2とを重ね合わせた色、および照明光L1と照明光L2の点滅タイミングの一致度合いに関する基準となる。また、決定部530は、照明光L1の照明範囲と照明光L2の照明範囲の和集合に関する基準を決定してもよい。
【0028】
具体的には、決定部530は、交通環境20に歩行者や車両が存在する場合、そうでない場合よりも光量が大きくなるように第1の基準を決定する。また、決定部530は、夜の時間帯において、昼の時間帯よりも光量が大きくなるように第1の基準を決定する。決定部530は、必要な光量を確保しつつ消費電力が小さくなるように、第1の基準および第2の基準を決定してもよい。
【0029】
また、具体的には、決定部530は、交通環境20に歩行者が存在する場合、車両10の周囲の照明状態の照明色が、人間に認識し易くなるように、第2の基準を決定する。決定部530は、例えば、車両10の周囲の光の波長が、600nmの成分を多く含むように、第2の基準を決定する。また、決定部530は、交通環境20に歩行者がいる場合、照明光L1と照明光L2の点滅の周期が一致するように、第2の基準を決定してもよい。照明光L1と照明光L2の点滅周期が一致している場合、車両の周囲の照明状態は、歩行者にとって視認しやすい状態となる。
【0030】
第1の基準を決定することにより、照明管理システム1000は、交通環境20を、十分な光量の光で照明できる。しかし、照明範囲が狭い場合や、照明の色味が適当でない(例えば、波長が600nmの成分が含まれない)場合、または第1の照明光と第2の照明光の点滅状態の周期がずれている場合には、照明された物体の視認性が低くなってしまうという問題がある。照明管理システム1000は、上述した第2の基準を決定することにより、交通環境20内の物体の視認性を向上させることができる。
【0031】
また、照明管理システム1000は、第2の基準を適切に決定することで、光量を増加させずに視認性を向上できる。したがって、照明管理システム1000は、照明装置100および照明装置300における消費電力を低減できる可能性がある。
【0032】
判定部540は、照明光L1および照明光L2に基づく、車両10の周囲の照明状態が、第1の基準および第2の基準を満たすか否かを判定する。判定部540は、光検出センサ400の検出結果に基づいて判定を行ってもよい。例えば、判定部540は、光検出センサ400の検出結果などから、照明光L1の照明状態および照明光L2の照明状態を取得する。そして、判定部540は、取得結果に応じて、照明光L1と照明光L2とを足し合わせた状態を推定し、第1の基準および第2の基準を満たしているかを判定してもよい。
【0033】
第1制御部550は、車両10の周囲の照明状態が第1の基準を満たさない場合、照明状態が第1の基準を満たすように、照明光L1および照明光L2の少なくともいずれかの光量を制御する。第1制御部550は、通信部510を介して、照明装置100や照明装置300に制御信号を送信する。
【0034】
第2制御部560は、車両10の周囲の照明状態が第2の基準を満たさない場合、当該照明状態が第2の基準を満たすように照明光L1および照明光L2の少なくともいずれかの照明範囲、照明色、および点滅状態の少なくともいずれかを制御する。第2制御部560は、通信部510を介して、照明装置100や照明装置300に制御信号を送信する。
【0035】
次に、図3を参照して、実施形態1にかかる照明管理方法について説明する。図3は、実施形態1にかかる照明管理方法の流れを示すフローチャートである。
【0036】
まず、サーバ500の取得部520は、光検出センサ400のセンシング情報から、車両10の周囲の照明状態を取得する(ステップS101)。車両10の周囲の照明状態は、交通環境20における照明状態ともいえる。センシング情報は、例えば、光量、照明色(色彩)、点滅周期(発光周期)に関する情報を含んでいる。
【0037】
次に、サーバ500の決定部530は、交通環境20における第1の基準および第2の基準を、車両10の周囲の環境情報に基づいて決定する(ステップS102)。例えば夜の時間帯に歩行者が歩いている場合、決定部530は、第1の基準で定められる光量を、歩行者が歩いていない場合よりも大きくする。また、夜の時間帯に歩行者が歩いている場合、決定部530は、第2の基準で定められる照明色を、歩行者が歩いていない場合よりも認識しやすい色にする。
【0038】
次に、サーバ500の判定部540は、車両10が交通環境20を通過する際、照明光L1と照明光L2とを足し合わせた照明状態が第1および第2の基準を満たすか否かを判定する(ステップS103)。例えば、判定部540は、足し合わせた光量が、第1の基準として設定された範囲に含まれるか否かを判定し、足し合わせた光の色味(色彩)が第2の基準を満たすか否かを判定する。
【0039】
ステップS103の判定結果が偽である場合(ステップS103のNo)、サーバ500の第1制御部550は、第1基準を満たすように、照明光L1およびL2の少なくともいずれかを制御する(ステップS104)。第1制御部550は、例えば、足し合わせた光量が、第1基準として設定された範囲に含まれるように、照明装置100および照明装置300のいずれかの光量を変更する。一方、ステップS103の判定結果が真である場合(ステップS103のYes)には、ステップS101の処理に戻る。
【0040】
次に、サーバ500の第2制御部560は、第2基準を満たすように、照明装置100および照明装置300の少なくともいずれかを制御する(ステップS105)。第2制御部560は、例えば、足し合わせた光の色味が、第2基準として設定された、人間に認識し易い色味となるように照明装置100および照明装置300の少なくともいずれかを制御する。ステップS104とステップS105の順序は、逆であってもよい。ステップS105の処理の後、ステップS101の処理に戻ってもよく、処理を終了してもよい。
【0041】
実施形態1にかかる照明管理システムは、交通環境における光の光量に加えて、照明範囲、色味、2つの光の周波数の一致度合いを制御できる。したがって、実施形態1にかかる照明管理システムによると、交通環境における視認性を向上できる。
【0042】
なお、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0043】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 車両
20 交通環境
100 照明装置
200 ポール
300 照明装置
400 光検出センサ
500 サーバ
510 通信部
520 取得部
530 決定部
540 判定部
550 第1制御部
560 第2制御部
1000 照明管理システム。
図1
図2
図3