(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】使用条件提案システム、使用条件提案方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 23/04 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A63B23/04 C
A63B23/04 A
(21)【出願番号】P 2021184113
(22)【出願日】2021-11-11
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】青木 英祐
(72)【発明者】
【氏名】竹田 貴博
(72)【発明者】
【氏名】小田島 正
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0174446(US,A1)
【文献】特開2008-237553(JP,A)
【文献】特開2006-034640(JP,A)
【文献】特開2007-089650(JP,A)
【文献】特開2003-116822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
A63B 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の身体情報とトレーニング機器の使用条件情報を含むトレーニング情報と、前記利用者が前記使用条件情報に基づいて前記トレーニング機器を用いてトレーニングした場合の前記利用者の
股関節、膝関節、足首関節の関節角度の変動範囲を示す変動範囲情報と、を含む因果関係情報を複数有する参照DBと、
前記利用者の身体情報の入力を受け付ける身体情報入力部と、
前記利用者の前記
股関節、膝関節、足首関節の関節角度の指定した変動範囲である指定変動範囲を示す指定変動範囲情報の入力を受け付ける指定変動範囲情報入力部と、
前記参照DBを参照して、前記身体情報及び前記指定変動範囲情報に基づいて、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲が前記指定変動範囲との間で所定の関係性を満たすような前記因果関係情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記因果関係情報の前記使用条件情報を出力する出力部と、
を含む、
使用条件提案システム。
【請求項2】
前記トレーニング機器は、前記利用者が座位で足漕ぎ運動を行う運動機器であり、
前記トレーニング機器は、足漕ぎ運動を行うに際し、股関節、膝関節、足首関節の変動範囲を調整可能に構成されている、
請求項1に記載の使用条件提案システム。
【請求項3】
前記トレーニング機器は、
本体部と、
前記本体部に回転可能に保持されたクランクと、
前端が前記クランクに連結され、後端に滑走車輪が設けられ、前記利用者が足を載せるペダルが搭載された、リンクと、
前記滑走車輪が滑走する傾斜面を有する傾斜台と、
を含み、
前記リンクの長手方向と前記ペダルの足置き面の間の角度θ1は調整可能に構成されており、
前記傾斜面は、前記利用者から見て後方に行くほど高くなるように傾斜しており、
前記傾斜台の前端部と前記クランクの回転軸との水平方向における距離D2は調整可能に構成されており、
前記トレーニング機器の使用条件は、前記トレーニング機器を使用する際に調整可能な複数の使用条件を示し、
前記複数の使用条件は、少なくとも、前記角度θ1と、前記傾斜面の傾斜角度と、前記距離D2と、を含む、
請求項2に記載の使用条件提案システム。
【請求項4】
前記所定の関係性とは、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲が前記指定変動範囲と一致している関係性である、
請求項3に記載の使用条件提案システム。
【請求項5】
前記所定の関係性とは、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲の最大値と前記指定変動範囲の最大値の差分が第1の閾値以下である関係性であるか、又は、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲の最小値と前記指定変動範囲の最小値の差分が第2の閾値以下である関係性である、
請求項3に記載の使用条件提案システム。
【請求項6】
前記第1の閾値と前記第2の閾値は互いに等しい、
請求項5に記載の使用条件提案システム。
【請求項7】
前記身体情報とは、少なくとも身長を示す情報である、
請求項1から6までの何れか1項に記載の使用条件提案システム。
【請求項8】
前記使用条件情報は、静的な使用条件を示す、
請求項1から7までの何れか1項に記載の使用条件提案システム。
【請求項9】
前記複数の因果関係情報は、互いに、前記身体情報又は前記使用条件情報の少なくとも何れか一方が異なっている、
請求項1から8までの何れか1項に記載の使用条件提案システム。
【請求項10】
利用者の身体情報とトレーニング機器の使用条件情報を含むトレーニング情報と、前記利用者が前記使用条件情報に基づいて前記トレーニング機器を用いてトレーニングした場合の前記利用者の
股関節、膝関節、足首関節の関節角度の変動範囲を示す変動範囲情報と、を含む因果関係情報を複数有する参照DBを参照可能なコンピュータのCPUが、
前記利用者の身体情報の入力を受け付け、
前記利用者の前記
股関節、膝関節、足首関節の関節角度の指定した変動範囲である指定変動範囲を示す指定変動範囲情報の入力を受け付け、
前記参照DBを参照して、前記身体情報及び前記指定変動範囲情報に基づいて、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲が前記指定変動範囲との間で所定の関係性を満たすような前記因果関係情報を抽出し、
抽出した前記因果関係情報の前記使用条件情報を出力する、
使用条件提案方法。
【請求項11】
前記トレーニング機器は、前記利用者が座位で足漕ぎ運動を行う運動機器であり、
前記トレーニング機器は、足漕ぎ運動を行うに際し、股関節、膝関節、足首関節の変動範囲を調整可能に構成されている、
請求項10に記載の使用条件提案方法。
【請求項12】
前記トレーニング機器は、
本体部と、
前記本体部に回転可能に保持されたクランクと、
前端が前記クランクに連結され、後端に滑走車輪が設けられ、前記利用者が足を載せるペダルが搭載された、リンクと、
前記滑走車輪が滑走する傾斜面を有する傾斜台と、
を含み、
前記リンクの長手方向と前記ペダルの足置き面の間の角度θ1は調整可能に構成されており、
前記傾斜面は、前記利用者から見て後方に行くほど高くなるように傾斜しており、
前記傾斜台の前端部と前記クランクの回転軸との水平方向における距離D2は調整可能に構成されており、
前記トレーニング機器の使用条件は、前記トレーニング機器を使用する際に調整可能な複数の使用条件を示し、
前記複数の使用条件は、少なくとも、前記角度θ1と、前記傾斜面の傾斜角度と、前記距離D2と、を含む、
請求項11に記載の使用条件提案方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項10に記載の使用条件提案方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用条件提案システム、使用条件提案方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
座位で足漕ぎ運動を行う足漕ぎ運動機器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足漕ぎ運動によれば、主として利用者の股関節、膝関節、足首関節がよく動かされる。しかし、股関節、膝関節、足首関節の可動範囲は利用者毎に異なっているのが実情である。
【0005】
ここで、「各関節の可動範囲」とは、無理なく動かせる関節角度の範囲、又は、痛みを伴うことなく動かせる関節角度の範囲を意味する。これに対し、「各関節の変動範囲」とは、実際に足漕ぎ運動した際に関節角度が変動した範囲を意味する。
【0006】
従って、利用者が足漕ぎ運動機器を利用するに際し、足漕ぎ運動機器の使用条件を調整して、各関節の変動範囲を対応する関節の可動範囲内に収めることが望ましい。
【0007】
しかしながら、足漕ぎ運動機器の使用条件を具体的にどのように調整すれば、各関節の変動範囲がどのように変化するのか、即ち、変動範囲の最大値や最小値がどのように変化するのか予測することは極めて困難である。従って、利用者が足漕ぎ運動機器を利用するに際し、足漕ぎ運動機器の使用条件を当てずっぽうに変化させた上で足漕ぎ運動を実行し、何れかの関節に痛みが伴った場合は他の使用条件を試すなど試行錯誤が求められる。これにより、足漕ぎ運動機器の使用条件の調整に時間をとられて足漕ぎ運動をなかなか始められなかったり、調整に何らかの痛みを伴うことから足漕ぎ運動に対する嫌悪感さえ生じさせる深刻な事態を引き起こしていた。
【0008】
本発明の目的は、トレーニング機器を用いてトレーニングした際の関節角度の変動範囲を望み通りに設定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の第1の観点によれば、利用者の身体情報とトレーニング機器の使用条件情報を含むトレーニング情報と、前記利用者が前記使用条件情報に基づいて前記トレーニング機器を用いてトレーニングした場合の前記利用者の少なくとも1つの関節の関節角度の変動範囲を示す変動範囲情報と、を含む因果関係情報を複数有する参照DBと、前記利用者の身体情報の入力を受け付ける身体情報入力部と、前記利用者の前記少なくとも1つの関節の関節角度の指定した変動範囲である指定変動範囲を示す指定変動範囲情報の入力を受け付ける指定変動範囲情報入力部と、前記参照DBを参照して、前記身体情報及び前記指定変動範囲情報に基づいて、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲が前記指定変動範囲との間で所定の関係性を満たすような前記因果関係情報を抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した前記因果関係情報の前記使用条件情報を出力する出力部と、を含む、使用条件提案システムが提供される。以上の構成によれば、トレーニング機器を用いてトレーニングした際の関節角度の変動範囲を望み通りに設定できるようになる。
好ましくは、前記所定の関係性とは、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲が前記指定変動範囲と一致している関係性である。
好ましくは、前記所定の関係性とは、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲の最大値と前記指定変動範囲の最大値の差分が第1の閾値以下である関係性であるか、又は、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲の最小値と前記指定変動範囲の最小値の差分が第2の閾値以下である関係性である。
好ましくは、前記第1の閾値と前記第2の閾値は互いに等しい。
好ましくは、前記身体情報とは、少なくとも身長を示す情報である。
好ましくは、前記使用条件情報は、前記トレーニング機器を使用する際に調整可能な複数の使用条件を示す。
好ましくは、前記使用条件情報は、静的な使用条件を示す。
好ましくは、前記トレーニング機器は、前記利用者が座位で足漕ぎ運動を行う足漕ぎ運動機器である。
好ましくは、前記少なくとも1つの関節は、股関節、膝関節、足首関節の少なくとも何れか1つである。
好ましくは、前記複数の因果関係情報は、互いに、前記身体情報又は前記使用条件情報の少なくとも何れか一方が異なっている。
本願発明の第2の観点によれば、利用者の身体情報とトレーニング機器の使用条件情報を含むトレーニング情報と、前記利用者が前記使用条件情報に基づいて前記トレーニング機器を用いてトレーニングした場合の前記利用者の少なくとも1つの関節の関節角度の変動範囲を示す変動範囲情報と、を含む因果関係情報を複数有する参照DBを参照可能なコンピュータのCPUが、前記利用者の身体情報の入力を受け付け、前記利用者の前記少なくとも1つの関節の関節角度の指定した変動範囲である指定変動範囲を示す指定変動範囲情報の入力を受け付け、前記参照DBを参照して、前記身体情報及び前記指定変動範囲情報に基づいて、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲が前記指定変動範囲との間で所定の関係性を満たすような前記因果関係情報を抽出し、抽出した前記因果関係情報の前記使用条件情報を出力する、使用条件提案方法が提供される。以上の方法によれば、トレーニング機器を用いてトレーニングした際の関節角度の変動範囲を望み通りに設定できるようになる。
好ましくは、前記所定の関係性とは、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲が前記指定変動範囲と一致している関係性である。
好ましくは、前記所定の関係性とは、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲の最大値と前記指定変動範囲の最大値の差分が第1の閾値以下である関係性であるか、又は、前記変動範囲情報が示す前記変動範囲の最小値と前記指定変動範囲の最小値の差分が第2の閾値以下である関係性である。
好ましくは、前記第1の閾値と前記第2の閾値は互いに等しい。
好ましくは、前記身体情報とは、少なくとも身長を示す情報である。
好ましくは、前記使用条件情報は、前記トレーニング機器を使用する際に調整可能な複数の使用条件を示す。
好ましくは、前記使用条件情報は、静的な使用条件を示す。
好ましくは、前記トレーニング機器は、前記利用者が座位で足漕ぎ運動を行う足漕ぎ運動機器である。
好ましくは、前記少なくとも1つの関節は、股関節、膝関節、足首関節の少なくとも何れか1つである。
好ましくは、前記複数の因果関係情報は、互いに、前記身体情報又は前記使用条件情報の少なくとも何れか一方が異なっている。
更に、コンピュータに、上記の使用条件提案方法を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記トレーニング機器を用いてトレーニングした際の前記少なくとも1つの関節の関節角度の変動範囲を望み通りに設定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
まず、
図1から
図3を参照して、足漕ぎ運動機器を説明し、
図4から
図8を参照して、使用条件提案装置を説明する。
【0014】
(足漕ぎ運動機器)
図1及び
図2には、足漕ぎ運動機器100を示している。足漕ぎ運動機器100は、利用者Uが座位で足漕ぎ運動を行う運動機器である。足漕ぎ運動機器100は、トレーニング機器の一具体例である。トレーニング機器としては、足漕ぎ運動機器100の他に、利用者Uが座位で足踏み運動を行う足踏み運動機器やその他の上肢関節又は下肢関節の屈伸を伴う運動機器であってもよい。
【0015】
図1及び
図2は、足漕ぎ運動機器100を側方から見た図である。なお、以下の説明では、説明の明確化のため、XYZ3次元直交座標系を用いて説明を行う。具体的には、+X方向が前方向、-X方向が後ろ方向、+Y方向が上方向、-Y方向が下方向、+Z方向は左方向、-Z方向が右方向となる。前後方向、左右方向、上下方向は、利用者Uの運動時における標準的な視線の方向を基準とする方向である。
【0016】
足漕ぎ運動機器100は、足漕ぎ運動を行うに際し、股関節や膝関節、足首関節の変動範囲を調整可能なものである。以下の説明において、足首関節のZ軸まわりの回転方向を底背屈方向とし、その角度を底背屈角度とする。底背屈方向は、つま先が下方に向かう方向としての底屈方向と、つま先が上方に向かう方向としての背屈方向と、を含む。
【0017】
図1に示すように、足漕ぎ運動機器100は、本体部20、リンク30、クランク40、及び傾斜台50を有している。足漕ぎ運動機器100の後方には椅子10が設けられている。利用者Uは、椅子10に着座した状態で足漕ぎ運動を行う。利用者Uは、座位で足漕ぎ運動を行う。なお、椅子10は、足漕ぎ運動機器100と一体的に設けられていてもよく、別体として設けられていても良い。例えば、椅子10は、利用者Uがいる施設や自宅などにある椅子であってもよい。つまり、利用者Uや補助者が椅子10を足漕ぎ運動機器100の後方に設置しても良い。椅子10は、利用者Uが普段利用する車椅子であってもよい。
【0018】
椅子10は、着座部となるシート部11と、背もたれ部12とを備えている。利用者Uがシート部11に座った状態で、背もたれ部12が利用者Uの背中をサポートする。つまり、利用者Uは背もたれ部12にもたれながら、足漕ぎ運動を行うことができる。また、椅子10は利用者Uに合わせて交換可能又は調整可能となっている。例えば、より負荷の高いトレーニングを行う利用者Uについては、背もたれ部12がない椅子10を用いることができる。あるいは、背もたれ部12はリクライニング機構を有していてもよい。そして、リクライニング機構により、背もたれ部12の角度を調整してもよい。
【0019】
なお、足漕ぎ運動機器100において、本体部20に取り付けられた構成要素は左右対称となっている。
図2では、左右の構成要素を区別するため、本体部20の左側の構成要素に対してLを付しており、右側の構成要素に対してRを付している。例えば、
図2において、左の傾斜台50が傾斜台50Lとして示され、右側の傾斜台50が傾斜台50Rとして示されている。同様に、左のリンク30、ペダル31がリンク30L、ペダル31Lとなり、右のリンク30、ペダル31がリンク30R、ペダル31Rとなっている。同様に、左の足FTを左足FTLとし、右の足FTを右足FTRとする。尚、以下の説明において、左右の構成要素を区別しない場合、LとRを省略する。
【0020】
本体部20は、クランク40を回転可能に保持している。例えば、本体部20には、回転軸21が設けられている。回転軸21にクランク40が連結されている。クランク40は、回転軸21の長手方向に対して直交する方向に延びている。クランク40は回転軸21周りに回転する。本体部20はクランク40の回転運動に対して負荷を与える負荷抵抗体を有していてもよい。なお。本体部20は、負荷を可変とするためのギアなどを有していてもよい。
【0021】
本体部20は設置台15の上に配置されている。設置台15は床面に配置されている。例えば、本体部20の前方部分が設置台15の上に配置されており、後方部分が床面に配置されている。設置台15は省略可能である。
【0022】
利用者Uに応じて、本体部20と椅子10との前後方向距離を変えてもよい。例えば、利用者Uは、椅子10を本体部20に近づけて配置することができる。これにより、膝関節などが相対的に屈曲した状態で利用者Uが足漕ぎ運動を行う。あるいは、利用者Uは、椅子10を本体部20に遠ざけて配置することができる。これにより、膝関節などが相対的に伸展した状態で利用者Uが足漕ぎ運動を行う。このようにX方向における本体部20と椅子10との距離を変えることで、利用者Uの足漕ぎ運動時の姿勢が変化する。よって、利用者Uの足漕ぎ運動時における各関節の変動範囲を調整することができる。本体部20と椅子10との前後方向距離は、足漕ぎ運動機器100の使用条件の一例である。以下、説明の便宜上、
図3において、利用者Uの股関節と本体部20の回転軸21との水平方向における距離を距離D1と定義する。距離D1は、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件の一具体例である。ここで、「静的な使用条件」とは、クランク40を停止させた状態で特定できる使用条件を意味する。対照的に、例えばクランク40の回転速度は足漕ぎ運動機器100の動的な使用条件となる。距離D1を大きく設定すれば、股関節及び膝関節の変動範囲を伸展側にシフトさせ、足首関節の変動範囲を底屈側にシフトさせることができる。距離D1を小さく設定すれば、股関節及び膝関節の変動範囲を屈曲側にシフトさせ、足首関節の変動範囲を背屈側にシフトさせることができる。
【0023】
リンク30は、ペダル31、及び滑走車輪35を有している。リンク30の前端にはクランク40が連結され、後端には滑走車輪35が連結されている。クランク40とリンク30とは回転可能に連結されている。例えば、リンク30は、軸受けなどを介して、クランク40に取り付けられている。ペダル31は、リンク30の途中に取り付けられている。ペダル31は、利用者Uが足FTを載せるステップ(足置き台)となる。着座中の利用者Uは、ペダル31の足置き面31aの上に足FTを載せる。
図3に示すように、足漕ぎ運動機器100の側面視において、リンク30の長手方向とペダル31の足置き面31aの間の角度θ1は調整可能に構成されている。角度θ1は、例えば、0度から45度の間で調整可能であってもよい。角度θ1を大きく設定すれば、足首関節の変動範囲を背屈側にシフトさせることができる。角度θ1を小さく設定すれば、足首関節の変動範囲を底屈側にシフトさせることができる。角度θ1は、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件の一具体例である。
【0024】
滑走車輪35は、回転軸(車軸)を介して、リンク30に取り付けられている。つまり、リンク30は、滑走車輪35を回転可能に保持している。滑走車輪35は、傾斜台50の傾斜面を滑走する滑走部材となる。
【0025】
利用者Uは足FTをペダル31に載せて足漕ぎ運動を行う。つまり、利用者Uが足FTを踏み込むように、膝関節や股関節、足首関節を動かす。これにより、クランク40が回転軸21周りに回転する。さらに、クランク40の回転に応じて、リンク30とクランク40との間の角度が変化する。つまり、クランク40の回転角度(クランク角度ともいう)に応じて、クランク40に対するリンク30の相対角度が変化する。クランク角度は、典型的には、回転軸21から前方に延びる基準線とクランク40との間の成す角度を意味する。また、滑走車輪35は傾斜台50の傾斜面50aに接触した状態で、前後方向に移動する。これにより、足漕ぎ運動に応じて、ペダル31が楕円軌道を描くように、クランク40及びリンク30が回転動作する。即ち、利用者Uは、ペダル31に載せた足FTを足漕ぎ運動機器100によって規定された楕円軌道に沿って動かすことにより、主として利用者Uの下腿を構成する複数の筋肉に負荷を与える。
【0026】
なお、ペダル31、滑走車輪35、リンク30、クランク40、傾斜台50は、利用者Uの左右の足FTに対してそれぞれ設けられている。つまり、本体部20の左右それぞれに、ペダル31、滑走車輪35、リンク30、クランク40、傾斜台50が設けられている。本体部20の右側に設けられたペダル31R、滑走車輪35R、リンク30R、傾斜台50R等が利用者Uの右足FTRに対応している。本体部20の左側に設けられたペダル31L、リンク30L、傾斜台50Lが利用者Uの左足FTLに対応している。
【0027】
クランク40は、左右の足FTに対して逆位相となるように、本体部20の回転軸21に取り付けられている。つまり、左足用のクランク40と右足用のクランク40は回転角度が180°ずれている。利用者Uが左脚及び右脚を交互に伸縮させて、足漕ぎ運動を行う。
【0028】
リンク30の後端には、滑走車輪35が取り付けられている。滑走車輪35は、傾斜台50の傾斜面50aを滑走する車輪を有している。傾斜台50は後方に行くほど高くなっていくような傾斜面50aを有している。滑走車輪35は、リンク30の回転運動に応じて、X方向(前後方向)に往復移動する。
図1のように、利用者Uが右脚を伸ばして、かつ左脚を曲げる方向に足漕ぎ運動している間、右側の滑走車輪35が前方に移動し、左側の滑走車輪35が後方に移動する。
図2のように、利用者Uが左脚を伸ばして、かつ右脚を曲げる方向に足漕ぎ運動している間、左側の滑走車輪35が前方に移動し、右側の滑走車輪35が後方に移動する。
【0029】
滑走車輪35は、傾斜台50の傾斜面50aに沿って高さが変化する。傾斜台50は、後方に行くほど傾斜面50aの高さが高くなっている。つまり、傾斜台50は、後方に移動する滑走車輪35に対して上り坂となっている。よって、滑走車輪35が後方に進んでいる間、滑走車輪35が徐々に高くなっていく。反対に、滑走車輪35が前方に進んでいる間、滑走車輪35が徐々に低くなっていく。滑走車輪35の高さに応じて、リンク30の角度が規定される。
【0030】
ここで、滑走車輪35の高さに応じて、リンク30に設けられたペダル31の角度が制限される。つまり、滑走車輪35が高くなると、ペダル31が底屈方向に回転する。滑走車輪35が低くなると、ペダル31が背屈方向に回転する。したがって、傾斜台50の傾斜面50aの傾斜角度に応じて、足首関節の底背屈角度の変動範囲を調整することができる。
図3に示すように、傾斜台50の傾斜面50aの水平に対する傾斜角度θ2は、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件の一具体例である。傾斜角度θ2を大きく設定すると、足首関節の変動範囲は底屈側にシフトする。傾斜角度θ2を小さく設定すると、足首関節の変動範囲は背屈側にシフトする。
【0031】
傾斜台50の前端部50bと回転軸21との水平方向における距離D2は、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件の一具体例である。距離D2を大きくすると、足首関節の変動範囲は背屈側にシフトする。距離D2を小さくすると、足首関節の変動範囲は底屈側にシフトする。
【0032】
傾斜台50の使用は任意であって、傾斜台50を使用せずに足漕ぎ運動を行ってもよい。この場合、傾斜台50の有無も、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件の一具体例と言えよう。
【0033】
引き続き
図3を参照して、ペダル31の足置き面31aは、足FTの全長よりも長い。従って、利用者Uは、足FTをペダル31の足置き面31aの先端寄り(つま先寄り)に置くこともできるし、ペダル31の足置き面31aの後端寄り(踵寄り)に置くこともできる。足置き面31aの長手方向における中央から足首関節までの距離を距離D3と定義する。距離D3は、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件の一具体例である。距離D3は、足FTをペダル31の足置き面31aの先端寄りに置くと小さくなり、足FTをペダル31の足置き面31aの後端寄りに置くと大きくなる。
【0034】
利用者Uは、主として下肢のトレーニングのために足漕ぎ運動機器100で足漕ぎ運動を行う。つまり、利用者Uが足漕ぎ運動を行うことで、下肢や体幹部分の筋肉に負荷を与えることができる。足漕ぎ運動機器100で鍛えることができる筋肉としては、腹直筋、大殿筋、外閉鎖筋、脊柱起立筋、内側広筋、中間広筋、大腿直筋、腓腹筋、短内転筋、大腿二頭筋、中殿筋、足底筋、ヒラメ筋、小殿筋、膝窩筋、前脛骨筋、腸骨筋、大腰筋、大腿方形筋が挙げられる。
【0035】
本実施形態では、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件の具体例として、
図3に示す距離D1、距離D2、距離D3、角度θ1、傾斜角度θ2を取り上げている。しかし、これらに限定されず、椅子10のシート部11の高さやリンク30のリンク長、滑走車輪35の直径も、もし調整可能であれば、足漕ぎ運動機器100の静的な使用条件となり得る。
【0036】
上述したように、足漕ぎ運動機器100の複数の静的な使用条件を変更することで、股関節や膝関節、足首関節の変動範囲を調整することができる。ここで、「変動範囲を調整する」とは、変動範囲の最大値を調整すること、変動範囲の最小値を調整すること、変動範囲の最大値及び最小値を調整すること、の何れかを意味する。
【0037】
従って、例えば、股関節や膝関節、足首関節の変動範囲が利用者Uの股関節や膝関節、足首関節の可動範囲に一致するように股関節や膝関節、足首関節の変動範囲を調整すれば、利用者Uは、無理なく足漕ぎ運動を行うことができるようになるだろう。
【0038】
(使用条件提案装置)
続いて
図4から
図8を参照して、使用条件提案装置1を説明する。使用条件提案装置1は、使用条件提案システムの一具体例である。使用条件提案装置1は、利用者Uの身長を入力して利用者Uの各関節の変動範囲を指定するだけで、その変動範囲を実現するための足漕ぎ運動機器100の複数の静的な使用条件を利用者Uやその補助者に対して提案するものである。使用条件提案装置1によれば、股関節や膝関節、足首関節の変動範囲が利用者Uの股関節や膝関節、足首関節の可動範囲に一致するように試行錯誤する必要がないので、利用者Uにとって適切な条件下で足漕ぎ運動を速やかに開始できるし、試行錯誤に伴う痛みとも決別することができる。
【0039】
図4には、使用条件提案装置1の機能ブロック図を示している。
図4に示すように、中央演算処理器としてのCPU1a(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM1b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM1c(Read Only Memory)を備えている。使用条件提案装置1は、更に、タッチパネルディスプレイ1dを備えている。使用条件提案装置1は、更に、参照DB1eを備えている。参照DB1eは、典型的には、図示しないHDDに格納されたデータベースである。しかし、使用条件提案装置1が参照DB1eを備えることに代えて、外部サーバが有する参照DBに使用条件提案装置1がインターネットを経由してアクセスするようにしてもよい。
【0040】
そして、CPU1aがROM1cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU1aなどのハードウェアを身体情報入力部60、指定変動範囲情報入力部61、抽出部62、出力部63として機能させる。
【0041】
参照DB1eは、複数の因果関係情報を含むデータベースである。
図5には、参照DB1eのデータ構造を示している。
図5に示すように、本実施形態において、参照DB1eは、21600個の因果関係情報を含む。即ち、参照DB1eは、因果関係情報No.1から因果関係情報No.21600を含む。
【0042】
各因果関係情報は、トレーニング情報と変動範囲情報を含む。各因果関係情報は、トレーニング情報と、このトレーニング情報に対応する変動範囲情報と、を含む。
【0043】
トレーニング情報は、利用者Uの身体情報と足漕ぎ運動機器100の使用条件情報を含む。
【0044】
利用者Uの身体情報は、利用者Uの身体の大きさを示す情報であって、利用者Uの身長、大腿長、下腿長、足首関節の足底面からの高さ(以下、単に足首関節高さ)の少なくとも何れか1つ又は複数を示す情報である。本実施形態において、利用者Uの身体情報は、利用者Uの身長を示す。しかし、これに代えて、利用者Uの身体情報は、大腿長、下腿長、足首関節高さの何れか1つであってもよい。一般に身長と大腿長、下腿長、足首関節高さの間には正の相関関係が存在しており、これらの寸法の何れか1つから他の3つを導き出すことができるとされているからである。
【0045】
使用条件情報は、足漕ぎ運動機器100を使用する際に調整可能な複数の静的な使用条件を示す。
図5の例において、複数の使用条件は、使用条件1、使用条件2、使用条件3、使用条件4、使用条件5を含む。
【0046】
使用条件1は、
図3の傾斜角度θ2に対応している。
使用条件2は、
図3の距離D2に対応している。
使用条件3は、
図3の距離D3に対応している。
使用条件4は、
図3の距離D1に対応している。
使用条件5は、
図3の傾斜角度θ1に対応している。
【0047】
使用条件情報は、5つの使用条件を示すことに代えて、1つの使用条件のみを示すものであってもよく、6つ以上の使用条件を示すものであってもよい。
【0048】
変動範囲情報は、対応する身体情報を有する利用者Uが対応する使用条件情報に基づいて足漕ぎ運動機器100を用いて足漕ぎ運動した場合の利用者Uの股関節、膝関節、足首関節の関節角度の変動範囲を示す。関節角度は、何れも、ピッチ軸まわりの関節角度である。
【0049】
即ち、対応する身体情報を有する利用者Uが対応する使用条件情報に基づいて足漕ぎ運動機器100を用いて足漕ぎ運動した場合、股関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値は
図5に示す通りとなる。膝関節及び足首関節についても同様である。ただし、
図5においてこれらの値は省略的に「・」と表記されている。
【0050】
そして、複数の因果関係情報は、互いに、身体情報又は使用条件情報の少なくとも何れか一方が異なっている。因果関係情報No.1からNo.4320までは、身長が140cmである利用者Uに関する因果関係情報であって、5つの使用条件が示す寸法のあらゆる組み合わせが可能な限り網羅されている。本実施形態では、傾斜角度θ2(使用条件1)が4通りに振られており、距離D2(使用条件2)が5通りに振られており、距離D3(使用条件3)が6通りに振られており、距離D1(使用条件4)が9通りに振られており、角度θ1(使用条件5)が4通りに振られている。従って、身長が140cmである利用者Uに関する因果関係情報として、4×5×6×9×4=4320通りの因果関係情報が用意されている。そして、利用者Uの身長は140cmから160cmまで5cm刻みで5通りに振られている。従って、参照DB1eが有する因果関係情報は、4320×5=21600通りである。
【0051】
参照DB1eが保有する21600通りの因果関係情報は、例えば人体コンピュータモデルを用いたシミュレータにより生成することができる。即ち、シミュレータは、トレーニング情報に基づいて人体モデル及び運動機器モデルを生成し、クランク角度の変化に伴う各関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値を記録する。これに代えて、身長が140cm、145cm、150cm、155cm、160cmである複数の利用者Uに各使用条件情報に従って足漕ぎ運動機器100で実際に足漕ぎ運動を行ってもらい、そのときのクランク角度の変化に伴う各関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値を測定し、この測定値に基づいて因果関係情報を生成してもよい。
【0052】
身体情報入力部60は、これから足漕ぎ運動機器100を利用する利用者Uの身体情報の入力を受け付ける。本実施形態において、身体情報は、前述した通り身長を示している。
【0053】
指定変動範囲情報入力部61は、利用者の少なくとも1つの関節の関節角度の指定した変動範囲である指定変動範囲を示す指定変動範囲情報の入力を受け付ける。本実施形態において指定変動範囲情報は、利用者の股関節、膝関節、足首関節の少なくとも何れか1つの関節角度の指定した変動範囲である指定変動範囲を示す。変動範囲は、典型的には、その最大値及び最小値により指定する。しかし、変動範囲は、最大値のみで指定してもよく、最小値のみで指定してもよい。例えば、膝関節の関節角度の伸展側に痛みを感じるが、屈曲側では痛みを感じない場合、変動範囲は最大値のみで指定されるだろう。なお、指定する主体は、典型的には、利用者U本人又は補助者である。
【0054】
図6には、タッチパネルディスプレイ1dの表示画面64に表示された身体情報及び指定変動範囲情報の入力画面を例示している。利用者U本人又は補助者は、利用者の身長を表示画面64に表示されたテキストボックス65aに入力する。同様に、利用者U本人又は補助者は、股関節の関節角度の所望の変動範囲の最大値及び最小値をテキストボックス65b及びテキストボックス65cにそれぞれ入力する。同様に、利用者U本人又は補助者は、膝関節の関節角度の所望の変動範囲の最大値及び最小値をテキストボックス65d及びテキストボックス65eにそれぞれ入力する。同様に、利用者U本人又は補助者は、足首関節の関節角度の所望の変動範囲の最大値及び最小値をテキストボックス65f及びテキストボックス65gにそれぞれ入力する。
【0055】
なお、利用者U本人又は補助者は、テキストボックス65bからテキストボックス65gまでのすべてに入力する必要はなく、例えば、股関節の関節角度の変動範囲の最大値だけを指定したい場合は、テキストボックス65bにのみ希望する値を入力すればよい。
図6の例では、膝関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値のみを指定した場合を例示しており、この場合、膝関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値に対応するテキストボックス65d及びテキストボックス65eのみに希望する値が入力されている。これに代えて、膝関節及び足首関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値を指定してもよく、足首関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値と膝関節の関節角度の変動範囲の最大値とを指定してもよい。
【0056】
抽出部62は、
図6に示す抽出処理開始ボタン66が押下されたら、参照DB1eを参照して、身体情報及び指定変動範囲情報に基づいて、参照DB1eの変動範囲情報が示す変動範囲が指定変動範囲との間で所定の関係性を満たすような因果関係情報を抽出する。
【0057】
図6の例では、利用者Uの身長が155cmであると入力されており、膝関節の関節角度の変動範囲の最大値が-70deg.であり、最小値が-100deg.と入力されている。従って、出力部63は、参照DB1eを参照して、身長情報が155であり、変動範囲情報が示す膝関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値がそれぞれ-70deg.及び-100deg.である因果関係情報を抽出する。
【0058】
しかし、現実問題として、変動範囲情報が示す膝関節の関節角度の変動範囲の最大値が-70deg.である因果関係情報は存在しないだろう。なぜなら、例え、参照DB1eが21600通りの因果関係情報を有していたとしても、その数が有限である以上、膝関節の関節角度の変動範囲の最大値が指定した最大値と完全に一致することは極めて稀だからである。従って、本実施形態において、出力部63は、参照DB1eを参照して、身長情報が155であり、変動範囲情報が示す膝関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値がそれぞれ-70deg.±5deg.及び-100deg.±5deg.である因果関係情報を抽出する。このように検索対象となる最大値及び最小値を点ではなく範囲で捉えることで、該当する因果関係情報が存在しないという事態を回避することができる。
【0059】
上記に代えて、抽出部62は、参照DB1eを参照して、身長情報が155であり、変動範囲情報が示す膝関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値がそれぞれ-70deg.±3deg.及び-100deg.±5deg.である因果関係情報を抽出するようにしてもよく、変動範囲情報が示す膝関節の関節角度の変動範囲の最大値及び最小値がそれぞれ-70deg.±5deg.及び-100deg.±3deg.である因果関係情報を抽出するようにしてもよい。身長情報についても同様である。
【0060】
出力部63は、抽出部62が抽出した因果関係情報の使用条件情報を
図7に示すようにタッチパネルディスプレイ1dの表示画面64に出力する。抽出部62が複数の因果関係情報を抽出した場合、出力部63は、抽出部62が抽出した複数の因果関係情報のうち所定のルールに従って選択された因果関係情報の使用条件情報をタッチパネルディスプレイ1dの表示画面64に出力する。ここで、「所定のルール」とは、典型的には、抽出部62が時間軸上で最初に抽出したものを選択するものである。その他、「所定のルール」としては、例えば、変動範囲の最大値と指定変動範囲の最大値の差分が最も小さいものを選択するものが挙げられる。
【0061】
次に、
図8を参照して、使用条件提案装置1の動作を説明する。使用条件提案装置1は、典型的には、1台のパーソナルコンピュータによって実現される。しかし、使用条件提案装置1は、双方向通信可能に構成された複数のパーソナルコンピュータによる分散処理で実現されてもよい。
【0062】
S100:
まず、身体情報入力部60は、利用者Uの身体情報の入力を受け付ける。
【0063】
S110:
次に、指定変動範囲情報入力部61は、指定変動範囲情報の入力を受け付ける。
【0064】
S120-S130:
抽出処理開始ボタン66が押下されたら(S120:YES)、抽出部62は、参照DB1eを参照して、指定変動範囲情報に合致する因果関係情報を抽出する。
【0065】
S140:
出力部63は、抽出部62が抽出した因果関係情報の使用条件情報をタッチパネルディスプレイ1dの表示画面64に出力する。
【0066】
以上に、本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特徴を有する。
【0067】
使用条件提案装置1(使用条件提案システム)は、利用者Uの身体情報と足漕ぎ運動機器100(トレーニング機器)の使用条件情報を含むトレーニング情報と、利用者Uが使用条件情報に基づいて足漕ぎ運動機器100を用いて足漕ぎ運動(トレーニング)した場合の利用者Uの少なくとも1つの関節の関節角度の変動範囲を示す変動範囲情報と、を含む因果関係情報を複数有する参照DB1eを備える。使用条件提案装置1は、利用者Uの身体情報の入力を受け付ける身体情報入力部60と、利用者Uの少なくとも1つの関節の関節角度の指定した変動範囲である指定変動範囲を示す指定変動範囲情報の入力を受け付ける指定変動範囲情報入力部61と、参照DB1eを参照して、身体情報及び指定変動範囲情報に基づいて、変動範囲情報が示す変動範囲が指定変動範囲との間で所定の関係性を満たすような因果関係情報を抽出する抽出部62と、抽出部62が抽出した因果関係情報の使用条件情報を出力する出力部63と、を含む。以上の構成によれば、足漕ぎ運動機器100を用いて足漕ぎ運動した際の少なくとも1つの関節の関節角度の変動範囲を望み通りに設定できるようになる。
【0068】
抽出部62は、参照DB1eを参照して、入力された身体情報及び指定変動範囲情報に基づいて、入力された身体情報と同一又は最寄りの身体情報を有する因果関係情報のうち、変動範囲情報が示す変動範囲が指定変動範囲との間で所定の関係性を満たす因果関係情報を抽出する。
【0069】
上記の所定の関係性とは、変動範囲情報が示す変動範囲が指定変動範囲と一致している関係性である。以上の構成によれば、指定変動範囲に従って足漕ぎ運動機器100を用いて足漕ぎ運動できるようになる。
【0070】
上記の所定の関係性とは、変動範囲情報が示す変動範囲の最大値と指定変動範囲の最大値の差分が第1の閾値以下である関係性であるか、又は、変動範囲情報が示す変動範囲の最小値と指定変動範囲の最小値の差分が第2の閾値以下である関係性である。以上の構成によれば、変動範囲情報が示す変動範囲と指定変動範囲の完全な一致までは求められないので、抽出部62が条件に見合う因果関係情報を抽出できない事態を回避できる。
【0071】
上記の第1の閾値と第2の閾値は互いに等しい。しかし、上記の第1の閾値と第2の閾値は互いに異なっていてもよい。
【0072】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0073】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0074】
1 使用条件提案装置
1a CPU
1c ROM
1b RAM
1d タッチパネルディスプレイ
1e 参照DB
10 椅子
11 シート部
12 背もたれ部
15 設置台
20 本体部
21 回転軸
30 リンク
30L リンク
30R リンク
31 ペダル
31L ペダル
31R ペダル
31a 足置き面
35 滑走車輪
35R 滑走車輪
40 クランク
50 傾斜台
50L 傾斜台
50R 傾斜台
50a 傾斜面
50b 前端部
60 身体情報入力部
61 指定変動範囲情報入力部
62 抽出部
63 出力部
64 表示画面
65a テキストボックス
65b テキストボックス
65c テキストボックス
65d テキストボックス
65e テキストボックス
65f テキストボックス
65g テキストボックス
66 抽出処理開始ボタン
100 足漕ぎ運動機器
θ1 角度
θ2 傾斜角度
U 利用者
FT 足
FTL 左足
FTR 右足
D1 距離
D2 距離
D3 距離