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7586057健康管理装置、健康管理方法、及び健康管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】健康管理装置、健康管理方法、及び健康管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/44 20060101AFI20241112BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20241112BHJP
   G01G 19/08 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G01G19/44 G
G01G19/52 F
G01G19/08 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021192160
(22)【出願日】2021-11-26
(65)【公開番号】P2023078853
(43)【公開日】2023-06-07
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100120499
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 淳
(72)【発明者】
【氏名】村上 涼
(72)【発明者】
【氏名】下川 真之介
(72)【発明者】
【氏名】森 純一
(72)【発明者】
【氏名】余 淑芬
(72)【発明者】
【氏名】柴田 健作
(72)【発明者】
【氏名】間庭 佑太
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-024481(JP,A)
【文献】特開2021-063669(JP,A)
【文献】特許第6588671(JP,B1)
【文献】特表昭61-502347(JP,A)
【文献】特開平01-317407(JP,A)
【文献】特開2006-302206(JP,A)
【文献】国際公開第2020/157992(WO,A1)
【文献】特開2020-126491(JP,A)
【文献】特開2017-041194(JP,A)
【文献】特開2005-147916(JP,A)
【文献】特表2015-535629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0268051(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0282821(US,A1)
【文献】電車やバスなど、デブの方に通常運賃のほかにデブ分の特別運賃を加算しないのはなぜですか?,Yahoo!知恵袋,日本,2014年02月06日,https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14120597509
【文献】運賃を体重で決める方式、サモア航空が導入 世界初,CNN.co.jp,日本,2013年04月03日,https://www.cnn.co.jp/business/35030323.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/44,19/52,19/08-19/12
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/00-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を輸送する車両のシートに設けられた検出器が検出した乗員の体重または体重を利用して検出可能な値を、乗員の身体に関する特性値として取得する取得部と、
乗員が前記シートに着席すると乗員が視認可能な表示装置に表示される表示情報を前記特性値に基づいて生成し、乗員が前記シートに着席したタイミングで検出された前記特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる該表示情報を生成する表示情報生成部と、
前記特性値の前記変化に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する割引率算出部と、
を備え、
前記表示情報生成部は、前記割引率を表す前記表示情報を生成する、健康管理装置。
【請求項2】
前記割引率算出部は、前記特性値が乗員の適正値に近づくほど大きな前記割引率を算出する、請求項に記載の健康管理装置。
【請求項3】
前記特性値の前記変化に基づいて乗員の目標歩行距離を算出する目標歩行距離算出部と、
前記目標歩行距離と乗員が降車する予定の降車予定場所とに基づいて、該降車予定場所よりも前記目標歩行距離に応じた分だけ手前の推奨降車場所を決定する推奨降車場所決定部を備え、
前記表示情報生成部は、前記推奨降車場所を表す前記表示情報を生成する、請求項1に記載の健康管理装置。
【請求項4】
前記目標歩行距離算出部は、前記特性値が乗員の適正値に近づくほど小さな前記目標歩行距離を算出する、請求項に記載の健康管理装置。
【請求項5】
前記推奨降車場所で降車することの同意を乗員から取得すると、前記目標歩行距離に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する割引率算出部を備え、
前記表示情報生成部は、前記割引率を表す前記表示情報を生成する、請求項又はに記載の健康管理装置。
【請求項6】
前記割引率算出部は、前記目標歩行距離が長いほど大きな前記割引率を算出する、請求項に記載の健康管理装置。
【請求項7】
前記推奨降車場所で降車することの同意を乗員から取得すると、該推奨降車場所を自動で車両を制御する制御システム又は車両の運転者に停車場所を報知する報知装置へ通知する通知部を備える、請求項のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項8】
前記特性値は体重であり、乗員の身長に基づいて前記適正値として適正体重を算出する適正体重算出部を備える、請求項又はに記載の健康管理装置。
【請求項9】
前記表示装置は前記シートの座面の前端部に設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項10】
前記表示情報を前記シートまたは該シートの近傍に設けられた前記表示装置に表示させる表示処理部を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項11】
前記表示装置は乗員が保有する携帯端末に備えられ、
前記表示情報を前記携帯端末に送信する送信部を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項12】
認証情報に基づいて乗員を認証する認証部を備え、
前記表示情報生成部は、認証に成功した乗員の前記特性値の前記変化に応じて異なる前記表示情報を生成する、請求項1~11のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項13】
前記特性値を記憶するメモリを備え、
前記特性値は前記認証情報と対応付けて前記メモリに記憶され、
前記取得部は、過去に検出された前記特性値を前記認証情報に基づいて前記メモリから取得する、請求項12に記載の健康管理装置。
【請求項14】
前記認証情報は、前記シートの近傍に備えられた乗員が情報を入力可能な入力装置または乗員が保有する携帯端末から取得される、請求項12又は13に記載の健康管理装置。
【請求項15】
前記特性値は、体重、体脂肪率、内臓脂肪レベル、皮下脂肪率、基礎代謝、骨格筋率、骨量、筋肉量、BMI、およびFFMIの少なくともいずれかである、請求項1~14のいずれか1項に記載の健康管理装置。
【請求項16】
乗員を輸送する車両のシートに設けられた検出器が検出した乗員の体重または体重を利用して検出可能な値を、乗員の身体に関する特性値として取得するステップと、
乗員が前記シートに着席すると乗員が視認可能な表示装置に表示される表示情報を前記特性値に基づいて生成し、乗員が前記シートに着席したタイミングで検出された前記特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる該表示情報を生成するステップと、
前記特性値の前記変化に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出するステップと、
を備え、
前記表示情報を生成するステップは、前記割引率を表す前記表示情報を生成する、健康管理方法。
【請求項17】
健康管理装置と携帯端末とが無線通信可能に接続された健康管理システムであって、
乗員を輸送する車両のシートに設けられた検出器が検出した乗員の体重または体重を利用して検出可能な値を、乗員の身体に関する特性値として取得する取得部と、乗員が前記シートに着席すると乗員が視認可能な表示装置に表示される表示情報を前記特性値に基づいて生成し、乗員が前記シートに着席したタイミングで検出された前記特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる該表示情報を生成する表示情報生成部と、前記表示情報を前記携帯端末に送信する送信部と、前記特性値の前記変化に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する割引率算出部と、を有し、前記表示情報生成部は、前記割引率を表す前記表示情報を生成する、前記健康管理装置と、
前記表示情報を受信する受信部と、前記表示情報を前記携帯端末が備える表示部に表示させる表示処理部と、を有する前記携帯端末と、
を備える、健康管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理装置、健康管理システム、及び健康管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、普通の椅子に腰掛けたときの自然な姿勢で、正確かつ簡単に体重測定できる体重測定可能な椅子が公知である(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-105663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時においては、健康志向の高まりにより、人々の健康に対する意識が高くなっている。しかし、従来は、車両を用いて健康を促進するという観点について検討が十分になされてこなかった。特許文献1に記載された技術は、健康の度合いを表す体重を椅子に着座することで測定可能であるが、車両への搭乗の機会を乗員の健康促進に活用するという観点において、改善の余地がある。
【0005】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、車両への搭乗の機会を活用して乗員の健康促進を図ることが可能な健康管理装置、健康管理方法、及び健康管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1) 乗員を輸送する車両のシートに設けられた検出器が検出した乗員の体重または体重を利用して検出可能な値を、乗員の身体に関する特性値として取得する取得部と、
乗員が前記シートに着席すると乗員が視認可能な表示装置に表示される表示情報を前記特性値に基づいて生成し、乗員が前記シートに着席したタイミングで検出された前記特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる該表示情報を生成する表示情報生成部と、
を備える、健康管理装置。
【0008】
(2) 前記特性値の前記変化に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する割引率算出部を備え、
前記表示情報生成部は、前記割引率を表す前記表示情報を生成する、上記(1)に記載の健康管理装置。
【0009】
(3) 前記割引率算出部は、前記特性値が乗員の適正値に近づくほど大きな前記割引率を算出する、上記(2)に記載の健康管理装置。
【0010】
(4) 前記特性値の前記変化に基づいて乗員の目標歩行距離を算出する目標歩行距離算出部と、
前記目標歩行距離と乗員が降車する予定の降車予定場所とに基づいて、該降車予定場所よりも前記目標歩行距離に応じた分だけ手前の推奨降車場所を決定する推奨降車場所決定部を備え、
前記表示情報生成部は、前記推奨降車場所を表す前記表示情報を生成する、上記(1)に記載の健康管理装置。
【0011】
(5) 前記目標歩行距離算出部は、前記特性値が乗員の適正値に近づくほど小さな前記目標歩行距離を算出する、上記(4)に記載の健康管理装置。
【0012】
(6) 前記推奨降車場所で降車することの同意を乗員から取得すると、前記目標歩行距離に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する割引率算出部を備え、
前記表示情報生成部は、前記割引率を表す前記表示情報を生成する、上記(4)又は(5)に記載の健康管理装置。
【0013】
(7) 前記割引率算出部は、前記目標歩行距離が長いほど大きな前記割引率を算出する、上記(6)に記載の健康管理装置。
【0014】
(8) 前記推奨降車場所で降車することの同意を乗員から取得すると、該推奨降車場所を自動で車両を制御する制御システム又は車両の運転者に停車場所を報知する報知装置へ通知する通知部を備える、上記(4)~(7)のいずれかに記載の健康管理装置。
【0015】
(9) 前記特性値は体重であり、乗員の身長に基づいて前記適正値として適正体重を算出する適正体重算出部を備える、上記(3)又は(5)に記載の健康管理装置。
【0016】
(10) 前記表示装置は前記シートの座面の前端部に設けられる、上記(1)~(9)のいずれかに記載の健康管理装置。
【0017】
(11) 前記表示情報を前記シートまたは該シートの近傍に設けられた前記表示装置に表示させる表示処理部を備える、上記(1)~(10)のいずれかに記載の健康管理装置。
【0018】
(12) 前記表示装置は乗員が保有する携帯端末に備えられ、
前記表示情報を前記携帯端末に送信する送信部を備える、上記(1)~(9)のいずれかに記載の健康管理装置。
【0019】
(13) 認証情報に基づいて乗員を認証する認証部を備え、
前記表示情報生成部は、認証に成功した乗員の前記特性値の前記変化に応じて異なる前記表示情報を生成する、上記(1)~(12)のいずれかに記載の健康管理装置。
【0020】
(14) 前記特性値を記憶するメモリを備え、
前記特性値は前記認証情報と対応付けて前記メモリに記憶され、
前記取得部は、過去に検出された前記特性値を前記認証情報に基づいて前記メモリから取得する、上記(13)に記載の健康管理装置。
【0021】
(15) 前記認証情報は、前記シートの近傍に備えられた乗員が情報を入力可能な入力装置または乗員が保有する携帯端末から取得される、上記(13)又は(14)に記載の健康管理装置。
【0022】
(16) 前記特性値は、体重、体脂肪率、内臓脂肪レベル、皮下脂肪率、基礎代謝、骨格筋率、骨量、筋肉量、BMI、およびFFMIの少なくともいずれかである、上記(1)~(15)のいずれかに記載の健康管理装置。
【0023】
(17) 乗員を輸送する車両のシートに設けられた検出器が検出した乗員の体重または体重を利用して検出可能な値を、乗員の身体に関する特性値として取得するステップと、
乗員が前記シートに着席すると乗員が視認可能な表示装置に表示される表示情報を前記特性値に基づいて生成し、乗員が前記シートに着席したタイミングで検出された前記特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる該表示情報を生成するステップと、
を備える、健康管理方法。
【0024】
(18) 健康管理装置と携帯端末とが無線通信可能に接続された健康管理システムであって、
乗員を輸送する車両のシートに設けられた検出器が検出した乗員の体重または体重を利用して検出可能な値を、乗員の身体に関する特性値として取得する取得部と、乗員が前記シートに着席すると乗員が視認可能な表示装置に表示される表示情報を前記特性値に基づいて生成し、乗員が前記シートに着席したタイミングで検出された前記特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる該表示情報を生成する表示情報生成部と、前記表示情報を前記携帯端末に送信する送信部と、を有する前記健康管理装置と、
前記表示情報を受信する受信部と、前記表示情報を前記携帯端末が備える表示部に表示させる表示処理部と、を有する前記携帯端末と、
を備える、健康管理システム。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、車両への搭乗の機会を活用して乗員の健康促進を図ることが可能な健康管理装置、健康管理方法健康管理システム、及び健康管理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態による健康管理システムの構成を示す模式図である。
図2】車両に備えられた、乗員が着席するシートの構成を示す模式図である。
図3】車両に備えられた、乗員が着席するシートの構成を示す模式図である。
図4】制御装置のプロセッサの機能ブロックを示す模式図である。
図5】制御装置のプロセッサが行う処理を示すフローチャートである。
図6】制御装置のプロセッサが行う別の処理を示すフローチャートである。
図7】表示装置の表示画面を示す模式図であって、表示画面に表示情報が表示された様子を示す図である。
図8】表示装置の表示画面を示す模式図であって、表示画面に表示情報が表示された様子を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態による健康管理システムの構成を示す模式図である。
図10】制御装置のプロセッサの機能ブロックを示す模式図である。
図11】携帯端末に備えられた制御部の機能ブロックを示す模式図である。
図12】携帯端末および制御装置が行う処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る幾つかの実施形態について図を参照しながら説明する。しかしながら、これらの説明は、本発明の好ましい実施形態の単なる例示を意図するものであって、本発明をこのような特定の実施形態に限定することを意図するものではない。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0028】
1.第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による健康管理システム100の構成を示す模式図である。健康管理システム100は、道路上を走行して乗員を輸送する車両に搭載される。本実施形態では、健康管理システム100が搭載される車両として、乗り合いバスを例示する。一例として、車両は、予め定められた指令に基づいて道路上を走行し、乗員を輸送する自動運転バスであり、スマートシティ内で定期運行されるものであってもよい。なお、スマートシティとは、国土交通省により提言された、都市の抱える諸課題に対して、ICT(Information and Communication Technology)等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区である。車両は、自動運転される車両に限定されるものではなく、手動で運転される車両であってもよい。
【0029】
健康管理システム100は、車両の乗員の体重等を計測し、計測した体重等に基づいて乗員の健康を管理する。健康管理システム100は、体重計110と、表示装置120と、入力装置130と、運賃精算機140と、制御装置150と、車両制御システム160と、報知装置170と、を有している。制御装置150と、体重計110、表示装置120、入力装置130、運賃精算機140、車両制御システム160、および報知装置170とは、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network (CAN))、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))といった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0030】
体重計110は、乗員を輸送する車両のシートに設けられた検出器の一態様である。体重計110は、乗員の体重または体重を利用して検出可能な値(例えば、体脂肪率、内臓脂肪レベル、皮下脂肪率、基礎代謝、骨格筋率、骨量、筋肉量、BMI(Body Mass Index)、FFMI(Fat Free Mass Index)など)を乗員の身体に関する特性値として検出する。
【0031】
表示装置120は、例えば液晶表示ディスプレイ(LCD)等から構成され、乗員の体重など各種情報を表示する。表示装置120は、制御装置150が生成した表示情報を表示する。
【0032】
入力装置130は、タッチセンサ、キーボード等から構成され、乗員が情報を入力可能な装置である。入力装置130がタッチセンサから構成される場合、表示装置120と入力装置130は一体のタッチパネルとして構成されていてもよい。表示装置120、および入力装置130は、乗員が着席するシートまたはその近傍に配置される。
【0033】
入力装置130には、乗員の操作により、認証情報(ユーザID、パスワード)、乗員の身長、乗員の降車予定場所、および後述する推奨降車場所で降車することの同意、乗員の目標歩行距離、乗員の消費カロリーなどの各種情報が入力される。
【0034】
運賃精算機140は、車両の出入口の近辺に設けられ、乗員が車両を利用する際に運賃を精算する機器である。乗員は、運賃精算機140を利用して、現金、または電子定期券、電子乗車券、もしくは電子マネーカード等を使用して運賃を精算することができる。
【0035】
車両制御システム160は、車両が自動運転車両である場合に、自動で車両を制御するシステムである。車両制御システム160は、車両の駆動源であるモータまたはエンジン、操舵装置、制動装置、バッテリ、車両の周囲を撮像する車載カメラ、測位情報受信機(GPS(Global Positioning System)受信機)等を含む。また、車両制御システム160は、車両の位置情報と地図情報、および車載カメラが撮像した画像などに基づいて車両の自動運転を制御する制御装置を含む。
【0036】
報知装置170は、車両の運転者に車両が停車する停車場所(バス停)を報知する装置であって、車両が手動で運転される場合に、運転席のメーターパネルの近辺に設けられる。報知装置170は、LEDを有して構成される。車両の走行中に乗員が車両に備えられた降車ボタンを押すと、報知装置170が発光し、運転者に次の停車場所で車両を停車させることを報知する。また、後述する推奨降車場所が制御装置150から通知されると、報知装置170は、車両制御システム160から得られる車両の現在位置と地図情報に基づいて、推奨停車場所の手前で発光し、運転者に推奨降車場所で車両を停車させることを報知する。報知装置170は、LCD、スピーカ等から構成されていてもよい。
【0037】
制御装置150は、健康管理装置の一態様であり、プロセッサ152と、メモリ154と、通信インターフェース156とを有する。プロセッサ152は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ152は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。メモリ154は、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。通信インターフェース156は、制御装置150を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。
【0038】
図2及び図3は、車両に備えられた、乗員が着席するシート200の構成を示す模式図である。図2に示す例では、シート200は、本体210とクッション220を有して構成される。本体210は座板と背もたれと肘掛を有し、座板上にクッション220が配置される。乗員はクッション220の上に着座する。
【0039】
シート200の本体210は体重計110の上に載置される。乗員がシート200に着座し、足を床から離すと、乗員の全体重が体重計110にかかり、体重計110は乗員の体重などの乗員の身体に関する特性値を検出する。
【0040】
図3に示す例では、シート200は、本体210とクッション220を有し、更に、本体210から前方に延びる足置き212が設けられている。図2と同様、本体210は座板と背もたれと肘掛を有し、座板上にクッション220が配置される。乗員がシート200に着座し、足を足置き212に載せると、乗員の全体重が体重計110にかかり、体重計110は乗員の体重などの乗員の身体に関する特性値を検出する。
【0041】
なお、図2に示す例では、乗員が足を床から離さないと体重が正確に検出されないため、体重などを計測する際には、足を床から離すことを乗員に促すメッセージが表示装置120に表示される。
【0042】
図2及び図3に示す例では、クッション220の座面の前端部に表示装置120および入力装置130が設けられる。体重計110によって検出された体重等は、表示装置120に表示される。これにより、乗員は、表示装置120に表示された自身の体重等を視認することができる。乗員が着席するシート200のクッション220の座面に表示装置120が配置されることで、乗員は表示内容を容易に確認することができる。また、表示装置120が座面に配置されることで、乗員は表示内容を容易に隠すことができるため、他の乗員に表示装置120の表示内容が視認されることがなく、乗員のプライバシーが守られる。なお、他の乗員に表示装置120の表示内容が視認されないように、表示装置120の画面上に覗き見防止フィルムが貼り付けられていてもよい。
【0043】
車両には乗員が着席可能な複数のシート200が設けられているが、これらの複数のシート200の全てに体重計110、表示装置120、および入力装置130が設けられている。したがって、乗員がいずれのシート200に着席した場合でも、体重等の測定結果を視認できるように構成されている。各シート200の表示装置120および入力装置130は、座席番号によって各シート200の体重計110と対応付けされている。
【0044】
検出された乗員の身体に関する特性値は、制御装置150のメモリ154に記憶される。表示装置120には、前回の乗車時と今回の乗車時との間の特性値の変化が表示される。乗員には、特性値の変化に応じたサービスが提供され、健康な人ほど車両を利用する際の運賃が安くなる。
【0045】
なお、制御装置150はシート200から離れた位置に設けられていてもよい。また、体重計110、表示装置120、入力装置130、運賃精算機140、報知装置170などの機器はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよく、制御装置150は、インターネットなどの通信ネットワークを介してこれらの機器と通信可能とされていてもよい。その場合、制御装置150は車両の外部のサーバに設けられていてもよい。
【0046】
図4は、制御装置150のプロセッサ152の機能ブロックを示す模式図である。制御装置150のプロセッサ152は、取得部152aと、認証部152bと、表示情報生成部152cと、表示処理部152dと、割引率算出部152eと、目標歩行距離算出部152fと、推奨降車場所決定部152gと、通知部152hと、適正体重算出部152iと、運賃割引部152jと、を有している。プロセッサ152が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ152上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。つまり、プロセッサ152が有するこれらの各部は、プロセッサ152とこれを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成される。また、そのプログラムは、制御装置150のメモリ154または外部から接続される記録媒体に記録されていてもよい。あるいは、プロセッサ152が有するこれらの各部は、プロセッサ152に設けられる専用の演算回路であってもよい。
【0047】
プロセッサ152の取得部152aは、乗員を輸送する車両のシート200に設けられた検出器が検出した乗員の体重または体重を利用して検出可能な値を、乗員の身体に関する特性値として取得する。上述したように、体重計110は検出器の一態様である。具体的には、取得部152aは、乗員がシート200に着席すると、乗員が着席したタイミングで検出された特性値を取得する。取得部152aは、特性値とともに、特性値を検出した体重計110の座席番号を取得する。また、取得部152aは、過去に検出されてメモリ154に記憶された特性値をメモリ154から取得する。
【0048】
また、取得部152aは、乗員が入力装置130に入力した、認証情報、乗員の身長、乗員の降車予定場所、推奨降車場所で降車することの同意、乗員の目標歩行距離、および乗員の消費カロリーなどの各種情報を取得する。取得部152aは、これらの情報とともに、認証情報が入力された入力装置130の座席番号を取得する。
【0049】
なお、体重計110が検出する体重などの乗員の身体に関する特性値は車両の加減速により変動する場合があるため、取得部152aは、車両が停止したタイミングで体重計110が検出した特性値を取得してもよい。また、取得部152aは、体重計110が検出した特性値の変化に基づいて、特性値が一定値となったときにその値を取得してもよい。これにより、特性値がより精度よく取得される。特性値は、認証情報と紐付けてメモリ154に記憶される。
【0050】
プロセッサ152の認証部152bは、認証情報に基づいて乗員を認証する。健康管理システム100を利用する乗員は、予め認証情報を氏名等とともに制御装置150に登録しておく。登録された認証情報、氏名等の情報は、制御装置150のメモリ154に格納される。既に認証情報の登録を済ませている乗員が車両に乗車して健康管理システム100を利用する場合、先ず、乗員は入力装置130に認証情報を入力する。認証部152bは、取得部152aが取得した認証情報をメモリ154に格納された認証情報と照合することで、乗員の認証を行う。取得部152aが取得した認証情報がメモリ154に格納された認証情報と一致すると、認証部152bによる認証は成功する。一方、取得部152aが取得した認証情報がメモリ154に格納された認証情報と一致しないと、認証部152bによる認証は不成功となり、この場合、乗員は健康管理システム100を利用することができない。なお、認証情報を登録する際には、乗員の身長が認証情報に紐づけてメモリ154に記憶されてもよい。
【0051】
プロセッサ152の表示情報生成部152cは、乗員がシート200に着席すると乗員が視認可能な表示装置120に表示される表示情報を特性値に基づいて生成し、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる該表示情報を生成する。
【0052】
具体的には、表示情報生成部152cは、認証部152bによる認証が成功すると、認証情報に基づいて、認証された乗員がシート200に着席したタイミングで検出された特性値と該乗員の過去に検出された該特性値との間の変化に応じて異なる表示情報を生成する。なお、取得部152aは、複数の体重計110のそれぞれが検出した特性値を取得するが、認証情報が入力された入力装置130の座席番号に基づいて、認証された乗員の特性値を検出した体重計110が特定される。また、メモリ154に記憶された過去の特性値は、認証情報と対応付けられているため、取得部152aは、過去に検出された特性値を認証情報に基づいてメモリ154から取得することができる。したがって、表示情報生成部152cは、認証された乗員がシート200に着席したタイミングで検出された特性値と、その乗員の過去に検出された特性値とに基づいて、表示情報を生成することができる。
【0053】
また、表示情報生成部152cは、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された特性値、メモリ154に記憶された乗員の過去に検出された特性値、適正値、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された特性値と適正値との差分などを表す表示情報を生成する。更に、表示情報生成部152cは、後述する割引率、目標歩行距離、または推奨降車場所などを表す表示情報を生成する。
【0054】
プロセッサ152の表示処理部152dは、表示情報生成部152cが生成した表示情報を表示装置120に送り、表示情報を表示装置120に表示させる処理を行う。より具体的には、表示処理部152dは、認証された乗員の特性値を検出した体重計110の座席番号に基づいて、その座席番号の表示装置120に表示情報を送り、表示情報を表示装置120に表示させる。これにより、認証された乗員のシート200以外の表示装置120に表示情報が表示されてしまうことが抑制される。
【0055】
プロセッサ152の割引率算出部152eは、特性値の変化に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する。割引率算出部152eは、特性値が乗員の適正値に近づくほど大きな割引率を算出する。割引率算出部152eは、特性値が適正値に近づいていない場合は、割引率を0とする。したがって、この場合、運賃の割引は行われない。
【0056】
プロセッサ152の目標歩行距離算出部152fは、特性値の変化に基づいて乗員の目標歩行距離を算出する。目標歩行距離算出部152fは、特性値が乗員の適正値に近づくほど小さな目標歩行距離を算出する。なお、目標歩行距離は、乗員が入力装置130から入力した任意の値であってもよい。また、目標歩行距離算出部152fは、乗員が入力装置130から入力した消費カロリーを考慮して、消費カロリーが少ないほど大きな目標歩行距離を算出してもよい。
【0057】
プロセッサ152の推奨降車場所決定部152gは、目標歩行距離と乗員が降車する予定の降車予定場所とに基づいて、該降車予定場所よりも目標歩行距離に応じた分だけ手前の推奨降車場所を決定する。
【0058】
また、割引率算出部152eは、取得部152aが推奨降車場所で降車することの同意を乗員から取得すると、目標歩行距離に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する。割引率算出部152eは、目標歩行距離が長いほど大きな割引率を算出する。
【0059】
プロセッサ152の通知部152hは、取得部152aが推奨降車場所で降車することの同意を乗員から取得すると、該推奨降車場所を自動で車両を制御する車両制御システム160又は車両の運転者に停車場所を報知する報知装置170に通知する。車両制御システム160は、推奨降車位置が通知されると、車両の現在位置と地図情報に基づき、推奨降車位置で車両を停車させる。また、報知装置170は、推奨降車位置が通知されると、運転者に推奨降車場所で車両を停車させることを報知する。
【0060】
プロセッサ152の適正体重算出部152iは、特性値が体重である場合に、乗員の身長に基づいて、適正値として乗員の適正体重を算出する。適正体重算出部152iは、例えばBMI値などの指標を用い、身長から適正体重を算出する。なお、適正体重算出部152iは、特性値が体重以外の場合においても、それぞれの特性値の適正値を算出してよい。
【0061】
プロセッサ152の運賃割引部152jは、割引率算出部152eが算出した割引率に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃を割り引く処理を行う。具体的には、運賃割引部152jは、運賃精算機140に割引率算出部152eが算出した割引率を送り、乗員が運賃を精算する際に、運賃精算機140から運賃の割引率に応じた割引額(現金)を乗員に還元させる。あるいは、運賃割引部152jは、運賃精算機140を介して、乗員の保有する電子定期券、電子乗車券、電子マネーカードなどに対し、運賃の割引額に応じた電子マネー、またはポイントサービスに利用可能な電子的なポイントを付与する。
【0062】
なお、推奨降車場所で降車することに乗員が同意した場合、目標歩行距離から算出される割引率に基づいて推奨降車場所までの運賃が割引されるとともに、降車予定場所よりも手前で降車することによっても運賃が安くなる。
【0063】
図5は、制御装置150のプロセッサ152が行う処理を示すフローチャートである。図5に示す処理は、プロセッサ152により所定の制御周期毎に行われる。なお、以下では、乗員の身体に関する特性値が体重であるものとして説明する。先ず、プロセッサ152の取得部152aが認証情報を取得したか否かを判定し(ステップS10)、認証情報を取得した場合はステップS11へ進む。認証情報を取得していない場合、ステップS10で待機する。
【0064】
次に、プロセッサ152の認証部152bが認証情報に基づいて乗員を認証し(ステップS11)、認証に成功すると(ステップS12でYES)、プロセッサ152の取得部152aが、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重を取得する(ステップS14)。また、ステップS14では、プロセッサ152の取得部152aが、過去に検出されてメモリ154に記憶された体重をメモリ154から取得する。なお、メモリ154には認証情報と紐づけて体重が記憶されているため、取得部152aは、認証に成功した認証情報に基づいて、メモリ154に記憶された体重を取得する。認証に失敗した場合(ステップS12でNO)、処理は終了する。
【0065】
次に、プロセッサ152の割引率算出部152eが、乗員の体重の変化に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する(ステップS16)。割引率算出部152eは、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重と過去に検出されてメモリ154に記憶された体重との間の変化に基づいて、体重が乗員の適正体重に近づくほど大きな割引率を算出する。なお、適正体重は、乗員が入力装置130に入力した乗員の身長に基づいて算出される。
【0066】
次に、プロセッサ152の表示情報生成部152cが、割引率を表す表示情報を生成する(ステップS18)。次に、プロセッサ152の表示処理部152dが、表示情報生成部152cが生成した表示情報を表示装置120に送り、表示情報を表示装置120に表示させる(ステップS19)。ステップS19の後、処理は終了する。
【0067】
図6は、制御装置150のプロセッサ152が行う別の処理を示すフローチャートである。ステップS10~S14の処理は図5と同様であるため、ここではステップS20以降について説明する。
【0068】
ステップS14の後、プロセッサ152の目標歩行距離算出部152fが、乗員の体重の変化に基づいて乗員の目標歩行距離を算出する(ステップS20)。目標歩行距離算出部152fは、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重と過去に検出されてメモリ154に記憶された体重との間の変化に基づいて、体重が乗員の適正体重に近づくほど小さな目標歩行距離を算出する。なお、適正体重は、乗員が入力装置130に入力した乗員の身長に基づいて算出される。次に、プロセッサ152の推奨降車場所決定部152gが、推奨降車場所を決定する(ステップS22)。推奨降車場所決定部152gは、目標歩行距離と乗員が降車する予定の降車予定場所とに基づいて、降車予定場所よりも目標歩行距離に応じた分だけ手前の推奨降車場所を決定する。
【0069】
次に、プロセッサ152の表示情報生成部152cが、推奨降車場所を表す表示情報を生成する(ステップS24)。次に、プロセッサ152の表示処理部152dが、表示情報生成部152cが生成した表示情報を表示装置120に送り、表示情報を表示装置120に表示させる(ステップS25)。
【0070】
次に、推奨降車場所での降車に同意したか否かが判定される(ステップS26)。具体的には、ステップS26では、プロセッサ152の取得部152aが、推奨降車場所で降車することの同意を取得したか否かを判定する。
【0071】
取得部152aが推奨降車場所で降車することの同意を取得した場合(ステップS26でYES)、割引率算出部152eが、目標歩行距離に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する(ステップS28)。一方、取得部152aが推奨降車場所で降車することの同意を取得しない場合(ステップS26でNO)、処理は終了する。
【0072】
次に、表示情報生成部152cが、割引率を表す表示情報を生成する(ステップS30)。次に、プロセッサ152の表示処理部152dが、表示情報生成部152cが生成した表示情報を表示装置120に送り、表示情報を表示装置120に表示させる(ステップS32)。ステップS32の後、処理は終了する。
【0073】
図7及び図8は、表示装置120の表示画面122を示す模式図であって、表示画面122に表示情報が表示された様子を示す図である。図7に示す例では、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重(今回の体重)と、過去に検出されてメモリ154に記憶された体重(前回の体重)と、乗員の身長に基づいて算出された適正体重と、運賃の割引率が表示画面122に表示されている。この場合、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重が60.0kgであり、過去に検出された体重が61.0kgであり、適正体重が58.0kgであるため、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重と乗員の過去に検出された体重との間の変化は適正体重に近づく変化である。したがって、体重が適正体重に近づくほど大きな割引率が算出されて表示装置120の表示画面に表示される。
【0074】
また、図8に示す例では、今回の体重と、前回の体重と、適正体重と、目標歩行距離と、推奨降車場所が表示画面122に表示されている。また、図8に示す例では、表示装置120と入力装置130が一体のタッチパネルとして構成される場合に、乗員が推奨降車場所で降車することの同意を入力するためのボタン122aが表示画面122に表示されている。乗員がボタン122aを押すと、推奨降車場所で降車することの同意が入力装置130に入力される。プロセッサ152が推奨降車場所で降車することの同意を取得すると、運賃の割引率が算出され、割引率は図7と同様に表示画面122に表示される。
【0075】
以上説明したように第1の実施形態によれば、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された乗員の身体に関する特性値と過去に検出された特性値との間の変化に応じて異なる表示情報が生成される。具体的には、特性値の変化に応じて異なる運賃の割引率が算出され、または特性値の変化に応じて異なる推奨降車場所が決定され、表示装置120に表示される。したがって、表示情報を視認した乗員は特性値が良い方向に変化するように意識するため、乗員の健康づくりが促進され、車両への搭乗の機会を乗員の健康促進に活用することができる。
【0076】
2.第2の実施形態
図9は、本発明の第2の実施形態による健康管理システム100の構成を示す模式図である。第2の実施形態の健康管理システム100は、第1の実施形態で示した構成に加えて、乗員が保有する携帯端末300を備えている。制御装置150と携帯端末300とは、インターネットなどの通信ネットワーク400および無線基地局500介して通信可能に接続されている。このため、制御装置150には無線通信装置180が接続されている。なお、制御装置150と携帯端末300とは、WiFi等の無線通信、LTE、LTE-Advance、4G、5G等の携帯電話網の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN等のネットワーク、またはNFC(Near Field Communication)に準拠した近接無線通信を介して接続されるものであってもよい。
【0077】
第2の実施形態において、体重計110、車両制御システム160、制御装置150、報知装置170は第1の実施形態と同様に構成される。
【0078】
無線通信装置180は、例えば、アンテナと、無線信号の変調及び復調といった、無線通信に関連する各種の処理を実行する信号処理回路とを有する。そして無線通信装置180は、無線基地局500からダウンリンクの無線信号を受信し、また、アップリンクの無線信号を無線基地局500へ送信する。すなわち、無線通信装置180は、無線基地局500から受信したダウンリンクの無線信号から、携帯端末300から伝送される信号(例えば、認証情報、乗員の身長、乗員の降車予定場所、および推奨降車場所で降車することの同意、乗員の目標歩行距離、乗員の消費カロリー、座席番号など)を取り出して制御装置150へわたす。また無線通信装置180は、制御装置150から受け取った携帯端末300へ送信される信号(例えば、表示情報、座席番号の問い合わせなど)を含むアップリンクの無線信号を生成し、その無線信号を送信する。
【0079】
携帯端末300は、制御部310と、通信インターフェース320と、記憶部330と、表示部(表示装置)340と、入力部350と、を有している。
【0080】
携帯端末300の制御部310は、プロセッサから構成される。プロセッサは、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサは、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。制御部310は、記憶部330の作業領域に実行可能に展開されたコンピュータプログラムの実行により所定の目的に合致した機能を提供する。
【0081】
携帯端末300の通信インターフェース320は、通信ネットワーク400および無線基地局500との通信インターフェースであり、例えば、アンテナと、無線信号の変調及び復調といった、無線通信に関連する各種の処理を実行する信号処理回路とを有する。通信インターフェース320は、例えば、通信ネットワーク400に接続された無線基地局500からダウンリンクの無線信号を受信し、また、アップリンクの無線信号を無線基地局500へ送信する。通信インターフェース320は、受信したダウンリンクの無線信号から、制御装置150から携帯端末300へ伝送される信号を取り出して制御部310へわたす。また通信インターフェース320は、制御部310から受け取った制御装置150へ送信される信号を含むアップリンクの無線信号を生成し、その無線信号を送信する。
【0082】
携帯端末300の記憶部330は、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。携帯端末300の表示部340は、例えば液晶表示ディスプレイ(LCD)から構成され、各種情報を表示する。携帯端末300の入力部350は、例えばタッチセンサ、キーボード等から構成され、入力部350にはユーザの操作に応じた情報が入力される。入力部350がタッチセンサから構成される場合、表示部340と入力部350は一体のタッチパネルとして構成されていてもよい。
【0083】
第2の実施形態では、乗員の体重などの各種情報は、制御装置150から携帯端末300に送信され、携帯端末300の表示部340に表示される。また、認証情報、乗員の身長、乗員の降車予定場所、および推奨降車場所で降車することの同意、乗員の目標歩行距離、乗員の消費カロリーなどの各種情報は、乗員の操作により、携帯端末300の入力部350に入力され、制御装置150に送信される。このため、第1の実施形態における表示装置120と入力装置130は、車両に備えられていなくてよい。
【0084】
図10は、制御装置150のプロセッサ152の機能ブロックを示す模式図である。第2の実施形態のプロセッサ152の機能ブロックは、図4に示した第1の実施形態のプロセッサ152の機能ブロックに対し、送信部152kと受信部152lが追加されている。図10において、送信部152kおよび受信部152l以外の構成要素は、第1の実施形態と同様に構成される。
【0085】
プロセッサ152の送信部152kは、表示情報生成部152cが生成した表示情報、座席番号の問い合わせなどを携帯端末300に送信する。送信部152kは、無線通信装置180を介して、表示情報などを携帯端末300に送信する。
【0086】
プロセッサ152の受信部152lは、携帯端末300の通信インターフェース320が送信した、乗員の身長、乗員の降車予定場所、推奨降車場所で降車することの同意、乗員の目標歩行距離、乗員の消費カロリー、座席番号などの各種情報を受信する。受信部152lは、無線通信装置180を介してこれらの各種情報を受信する。プロセッサ152の取得部152aは、受信部152lが受信したこれらの各種情報を取得する。
【0087】
図11は、携帯端末300に備えられた制御部310の機能ブロックを示す模式図である。携帯端末300の制御部310は、入力情報取得部310aと、送信部310bと、受信部310cと、表示処理部310dと、を有している。制御部310が有するこれらの各部は、例えば、制御部310上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。つまり、制御部310が有するこれらの各部は、制御部310とこれを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成される。また、そのプログラムは、携帯端末300の記憶部330または外部から接続される記録媒体に記録されていてもよい。あるいは、制御部310が有するこれらの各部は、制御部310に設けられる専用の演算回路であってもよい。
【0088】
携帯端末300の制御部310の入力情報取得部310aは、依頼人が入力部350を操作して入力した入力情報を取得する。入力情報は、認証情報、乗員の身長、乗員の降車予定場所、および推奨降車場所で降車することの同意、乗員の目標歩行距離、乗員の消費カロリー、座席番号などの各種情報を含む。
【0089】
制御部310の送信部310bは、入力情報取得部310aが取得した各種情報を、通信インターフェース320を介して制御装置150に送信する処理を行う。なお、携帯端末300が歩行距離等を検出する機能を備え、更に歩行距離等に基づいて乗員の消費カロリーを算出する機能を備える場合、送信部310bは、算出された消費カロリーを制御装置150に送信してもよい。
【0090】
制御部310の受信部310cは、制御装置150から送信された表示情報、座席番号の問い合わせなどを、通信インターフェース320を介して受信する処理を行う。制御部310の表示処理部310dは、受信部310cが受信した表示情報、座席番号の問い合わせなどを表示部340に送り、表示情報を表示部340に表示させる処理を行う。
【0091】
図12は、携帯端末300および制御装置150が行う処理を示すシーケンス図である。図12に示す処理は、携帯端末300の制御部310および制御装置150のプロセッサ152によって行われる。
【0092】
先ず、乗員がシート200に着席すると、携帯端末300の制御部310の入力情報取得部310aが、乗員が入力部350を操作して入力した認証情報を取得したか否かを判定し(ステップS40)、認証情報を取得した場合はステップS42へ進む。認証情報を取得していない場合、ステップS42で待機する。ステップS42では、制御部310の送信部310bが、認証情報を制御装置150に送信する。
【0093】
次に、制御装置150のプロセッサ152の受信部152lが携帯端末300から認証情報を受信し(ステップS50)、取得部152aが認証情報を取得する。次に、プロセッサ152の認証部152bが認証情報に基づいて乗員を認証し(ステップS52)、認証に成功すると(ステップS53でYES)、プロセッサ152の送信部152kが、座席番号の問い合わせを携帯端末300に送信する(ステップS54)。
【0094】
携帯端末300では、座席番号の問い合わせを受信すると、座席番号の問い合わせが表示部340に表示される。表示部340に表示された座席番号の問い合わせを見たユーザが入力部350から座席番号を入力すると、入力情報取得部310aが座席番号を取得し、送信部310bが座席番号を制御装置150に送信する(ステップS43)。
【0095】
制御装置150では、プロセッサ152の受信部152lが座席番号を受信すると(ステップS55)、プロセッサ152の取得部152aが、受信した座席番号のシート200に乗員が着席したタイミングで検出された体重を取得する(ステップS56)。また、ステップS56では、プロセッサ152の取得部152aが、過去に検出されてメモリ154に記憶された体重をメモリ154から取得する。なお、メモリ154には認証情報と紐づけて体重が記憶されているため、取得部152aは、認証に成功した認証情報に基づいて、メモリ154に記憶された体重を取得する。認証に失敗した場合(ステップS53でNO)、処理は終了する。
【0096】
なお、制御装置150と携帯端末300とがNFCに準拠した近接無線通信を介して接続される場合、無線通信装置180は携帯端末300と近接無線通信を行うリーダライタとして構成され、車両の各シート200に備えられる。この場合、各シート200のリーダライタは各シート200の座席番号と対応付けられており、リーダライタが携帯端末300から認証情報を受信すると、リーダライタに対応付けられた座席番号から乗員の着席しているシート200が特定される。したがって、この場合は、制御装置150から携帯端末00へ座席番号の問い合わせを送信する必要はない。
【0097】
次に、プロセッサ152の割引率算出部152eが、乗員の体重の変化に基づいて、乗員が車両を利用する際の運賃の割引率を算出する(ステップS58)。割引率算出部152eは、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重と過去に検出されてメモリ154に記憶された体重との間の変化に基づいて、体重が乗員の適正体重に近づくほど大きな割引率を算出する。なお、適正体重は、携帯端末300から受信した乗員の身長に基づいて算出される。
【0098】
次に、プロセッサ152の表示情報生成部152cが、割引率を表す表示情報を生成する(ステップS60)。次に、プロセッサ152の送信部152kが、表示情報生成部152cが生成した表示情報を携帯端末300に送信する(ステップS62)。
【0099】
携帯端末300では、制御部310の受信部310cが、制御装置150から送信された表示情報を受信する(ステップS44)。次に、制御部310の表示処理部310dが、制御装置150から受信した表示情報を表示部340に送り、表示情報を表示部340に表示させる(ステップS46)。ステップS46の後、処理は終了する。
【0100】
なお、図12では、制御装置150のプロセッサ152が行う処理として第1の実施形態の図5に対応する処理を示したが、プロセッサ152が行う処理は図6に対応する処理であってもよい。
【0101】
また、表示情報は、第1の実施形態の図7及び図8と同様に、携帯端末300の表示部340に表示される。
【0102】
(変形例)
体重計110が検出した乗員の体重は、携帯端末300に送信されて携帯端末300の記憶部330に記憶されてもよい。この場合、乗員が認証されると、携帯端末300の送信部310bが過去に検出されて記憶部330に記憶されている体重を制御装置150に送信する。制御装置150のプロセッサ152の受信部152lは、携帯端末300から送信された過去に検出された体重を受信し、プロセッサ152の取得部152aがこれを取得する。そして、プロセッサ152の表示情報生成部152cは、乗員がシート200に着席したタイミングで検出された体重と、携帯端末300から取得した、過去に検出された体重との間の体重の変化に応じて異なる表示情報を生成する。
【0103】
以上説明したように第2の実施形態によれば、乗員が保有する携帯端末300に乗客の身体に関する特性値が送信され、特性値の変化に応じて異なる表示情報が生成される。したがって、特性値が他人に視認されることが抑制され、乗員のプライバシーが守られる。
【符号の説明】
【0104】
100 健康管理システム
110 体重計
120 表示装置
122 表示画面
122a ボタン
130 入力装置
140 運賃精算機
150 制御装置
152 プロセッサ
152a 取得部
152b 認証部
152c 表示情報生成部
152d 表示処理部
152e 割引率算出部
152f 目標歩行距離算出部
152g 推奨降車場所決定部
152h 通知部
152i 適正体重算出部
152j 運賃割引部
152k 送信部
152l 受信部
154 メモリ
156 通信インターフェース
160 車両制御システム
170 報知装置
180 無線通信装置
200 シート
210 本体
220 クッション
300 携帯端末
310 制御部
310a 入力情報取得部
310b 送信部
310c 受信部
310d 表示処理部
320 通信インターフェース
330 記憶部
340 表示部
350 入力部
400 通信ネットワーク
500 無線基地局
図1
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