(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】導光体固定構造及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/27 20180101AFI20241112BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20241112BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20241112BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20241112BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20241112BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20241112BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20241112BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20241112BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20241112BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20241112BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20241112BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S43/237
F21S43/245
F21V8/00 360
F21V17/00 402
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:55
F21W103:00
F21W103:35
F21W102:00
(21)【出願番号】P 2021194721
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2024-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2020199743
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 星斗
(72)【発明者】
【氏名】安部 慎太郎
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-100257(JP,A)
【文献】特開2006-114309(JP,A)
【文献】特開2015-064996(JP,A)
【文献】特開2015-219995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/27
F21S 43/237
F21S 43/245
F21V 8/00
F21V 17/00
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/55
F21W 103/00
F21W 103/35
F21W 102/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する導光体の一端部を保持する第一保持部、及び前記導光体の他端部を保持する第二保持部を有する固定部と、
前記第一保持部と前記一端部とを相互に係合して第一方向の一方への前記一端部の移動を規制する係合部と、
前記第一方向に対して交差する第二方向の一方に弾性力を生じ前記一端部に当接して前記係合部の係合を維持する弾性部と、
前記係合部の係合状態で前記第一方向及び前記第二方向に対して交差する第三方向の双方において前記第一保持部と前記一端部とを互いに接触させる接触部と、
前記一端部に当接して前記第一方向の他方への前記一端部の移動を規制する突当部と、
前記弾性部に当接して前記第二方向の他方への前記弾性部の移動を規制する規制部と、
を備える、導光体固定構造。
【請求項2】
前記導光体は、光を発光する第一側面とは相反する第二側面に部分的に突起を有し、前記固定部は、前記突起が挿入される凹部を有する、請求項1に記載の導光体固定構造。
【請求項3】
前記第二保持部は、前記導光体の前記他端部が挿入されて嵌合する穴部により形成されている、請求項1又は請求項2に記載の導光体固定構造。
【請求項4】
前記突当部は、前記導光体の前記一端部から光を入射する光源が実装された基板である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導光体固定構造。
【請求項5】
一端部と他端部との間が連続する導光体と、
前記導光体の一端部から光を入射する光源と、
前記導光体および前記光源が取り付けられる固定部と、
を備え、
前記固定部に対して前記導光体が、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の導光体固定構造により固定される、車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光体固定構造及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、導光体の外縁から外側に延びる延出部を設け、この延出部を導光体から離れた部分にビス等のスクリュー固定により固定する構造が示されている。
【0003】
また、特許文献2には、導光体が、前面側に発光部を有し、かつ上面側から背面側に向かって延びる延出部が設けられており、延出部は、少なくとも発光部に対応した領域に亘って連続して設けられ、導光体の一部が保持される保持部は、延出部が差し込まれる溝部を有する構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-18611号公報
【文献】特開2019-145327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように導光体から延びる延出部をスクリュー固定で固定する構造は、十分な固定が可能であるが、導光体から漏れて延出部に向かった光が周囲に比べて強く光る点光りを生じる場合がある。一方、特許文献2では、点光りを防止するため、延出部が導光体の背面側に延びて設けられているが、延出部を保持部の溝部に差し込む構造のため、車両の振動等に対して十分な固定ができない場合がある。なお、固定構造として、差し込んだ部材を爪で係合して保持するランス構造が一般に知られているが、車両の振動等に対して十分な固定ができない場合がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、点光りを防止すると共に導光体を固定することのできる導光体固定構造及び車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様の導光体固定構造は、連続する導光体の一端部を保持する第一保持部、及び前記導光体の他端部を保持する第二保持部を有する固定部と、前記第一保持部と前記一端部とを相互に係合して第一方向の一方への前記一端部の移動を規制する係合部と、前記第一方向に対して交差する第二方向の一方に弾性力を生じ前記一端部に当接して前記係合部の係合を維持する弾性部と、前記係合部の係合状態で前記第一方向及び前記第二方向に対して交差する第三方向の双方において前記第一保持部と前記一端部とを互いに接触させる接触部と、前記一端部に当接して前記第一方向の他方への前記一端部の移動を規制する突当部と、前記弾性部に当接して前記第二方向の他方への前記弾性部の移動を規制する規制部と、を備える。
【0008】
また、前記導光体は、光を発光する第一側面とは相反する第二側面に部分的に突起を有し、前記固定部は、前記突起が挿入される凹部を有するとよい。
【0009】
また、前記第二保持部は、前記導光体の前記他端部が挿入されて嵌合する穴部により形成されているとよい。
【0010】
また、前記突当部は、前記導光体の前記一端部から光を入射する光源が実装された基板であるとよい。
【0011】
また、本発明の一態様の車両用灯具は、一端部と他端部との間が連続する導光体と、前記導光体の一端部から光を入射する光源と、前記導光体および前記光源が取り付けられる固定部と、を備え、前記固定部に対して前記導光体が、上述の導光体固定構造により固定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、点光りを防止すると共に導光体を固定することのできる導光体固定構造及び車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態の車両用灯具を搭載する車両の一例を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の車両用灯具を構成するハウジングの前面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の車両用灯具を構成するハウジングの前面の模式図である。
【
図4】
図4は、ハウジングを前から視た斜視図である。
【
図5】
図5は、ハウジングの一部拡大断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の車両用灯具を構成する導光体の正面図である。
【
図7】
図7は、導光体を後ろから視た斜視図である。
【
図9】
図9は、ハウジング及び導光体の組立状態の一部拡大断面図である。
【
図10】
図10は、ハウジング及び導光体の組立状態を前から視た一部拡大斜視図である。
【
図11】
図11は、ハウジング及び導光体の組立状態を後ろから視た一部拡大斜視図である。
【
図12】
図12は、ハウジングを前から視た一部拡大斜視図である。
【
図13】
図13は、ハウジング及び導光体の組立状態を前から視た一部拡大斜視図である。
【
図14】
図14は、ハウジング及び導光体の組立状態を前から視た一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
図1は、実施形態の車両用灯具100を搭載する車両1の一例を示す側面図である。
【0016】
図1に示すように、車両1は、車体2と、走行装置3と、車両用灯具100と、を備える。車体2は、運転者が搭乗する運転室を有する。車体2は、走行装置3に支持される。走行装置3は、タイヤ4が装着されるホイールと、車両1の進行方向を変えるための操舵装置と、走行装置3を減速又は停止させるためのブレーキ装置と、を有する。実施形態の車両1は、車体2の側部に設けられる乗降用ドアと、車体2の後部に設けられるバックドアと、を備える。乗降用ドア及びバックドアのそれぞれは、ヒンジ機構を介して車体2に移動可能に支持される。
【0017】
以下の説明においては、車両1が水平面と平行な地面Gに配置されることとし、運転室に搭乗した運転者を基準として、前、後、上、下、左、及び右という用語を用いて各部の位置関係について説明する。前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。左右方向は幅方向とも言う。また、以下の説明において、前後方向は、第一方向とも言い、前側を第一方向の一方とし、後側を第一方向の他方とする。また、上下方向は、第一方向に対して交差(直交)する第二方向とも言い、上側を第二方向の一方とし、下側を第二方向の他方とする。また、左右方向は、第一方向及び第二方向に対して交差(直交)する第三方向とも言い、右側を第三方向の一方とし、左側を第三方向の他方とする。
【0018】
図2は、実施形態の車両用灯具を構成するハウジングの前面図である。
図3は、実施形態の車両用灯具を構成するハウジングの前面の模式図である。
図4は、ハウジングを前から視た斜視図である。
図5は、ハウジングの一部拡大断面図である。
図6は、実施形態の車両用灯具を構成する導光体の正面図である。
図7は、導光体を後ろから視た斜視図である。
図8は、導光体の一部拡大斜視図である。
【0019】
実施形態において、車両用灯具100は、車両1の後部の左側及び右側のそれぞれに設けられる。車両用灯具100は、例えば車体2の後部に設けられるリアランプ(リアコンビランプ)、つまり、車体2の後部に配置される複数の機能の灯具を含む灯具である。例えば、車両用灯具100は、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、テールランプ、ストップランプのうちの3つのランプを組み合わせたランプである。車両用灯具100は、これに限定されず、ヘッドランプ、デイライトランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、テールランプ、ストップランプ等の他の種類のランプであってもよい。実施形態の車両用灯具100は、それぞれ車体2のバックドアを隔てて配置される。車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100の構造と、車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100の構造とは、左右方向について対称であり、実質的に同一の構造である。以下、車体2の前部の右側に設けられる車両用灯具100について主に説明し、車体2の前部の左側に設けられる車両用灯具100についての説明は簡略又は省略する。
【0020】
車両用灯具100は、ハウジング10と、導光体20と、光源30と、を備える。
【0021】
ハウジング10は、車両用灯具100における後側に配置される部材である。ハウジング10は、光を透過しない材料で形成されている。ハウジング10は、図には明示しない前側のランプレンズと共に複数の灯室を区画する。複数の灯室は、例えば、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、テールランプ、ストップランプなどの灯室となる。ハウジング10は、導光体20を固定する固定部とも言う。
【0022】
ハウジング10は、
図1、
図2及び
図3に示すように、上部10Aと、下部10Bと、中部10Cと、後部10Dと、内側ハウジング80と、を有する。上部10Aは、前から視て、左右方向に延びて形成されている。下部10Bは、前から視て、上部10Aの右端10Aaから下側に延びつつ左側に湾曲して左側に延びて形成されている。下部10Bは、上部10Aの右端10Aaに右端10Baが繋がって形成されている。中部10Cは、上部10A及び下部10Bの間を繋ぐように形成されている。後部10Dは、上部10A及び下部10Bが繋がる相互の右端10Aa,10Baから後側に延びて形成されている。内側ハウジング80は、ハウジング10の上部10Aと下部10Bとの間で、中部10Cよりも上部10A側に配置される。内側ハウジング80は、内部に光源等が配置され、ハウジング10と異なる灯室として区画される。内側ハウジング80は、フォグランプ、テールランプ、バックアップランプ等の灯室となる。
【0023】
上部10Aは、前側に開放して左右方向に延びる上溝10Eが形成されている。上溝10Eは、右端10Eaが上部10Aの右端10Aaにおいて、後部10Dに向かって後側に湾曲して形成されている。また、上溝10Eは、左端10Ebが、上部10Aの左端10Abで終端して形成されている。上部10Aの左端10Abには、上溝10Eの左端10Ebが連通する穴部10Acが形成されている。穴部10Acは、左右方向に延び、上溝10Eの左端10Ebに向けて右側に開放し、左側が閉塞して形成されている。穴部10Acは、第二保持部とも言う。また、上溝10Eは、その延びる途中であって左端10Eb寄りに、後側に向かって凹み、左右方向に延びる凹部10Ecが形成されている。
【0024】
下部10Bは、前側に開放して左右方向に延びる下溝10Fが形成されている。下溝10Fは、右端10Faが下部10Bの右端10Baにおいて、後部10Dに向かって後側に湾曲して形成されている。また、下溝10Fは、左端10Fbが、下部10Bの左端10Bbで終端して形成されている。下部10Bの左端10Bbには、下溝10Fの左端10Fbが連通する穴部10Bcが形成されている。穴部10Bcは、左右方向に延び、下溝10Fの左端10Fbに向けて右側に開放し、左側が閉塞して形成されている。穴部10Bcは、第二保持部とも言う。また、下溝10Fは、その延びる途中及び左端10Ebに、後側に向かって凹み、左右方向に延びる凹部10Fcが形成されている。
【0025】
中部10Cは、ハウジング10が区画する灯室の後側の壁板を構成する。中部10Cは、例えば、テールランプ、ストップランプ、ターンシグナルランプ等が配置される。中部10Cには、光源が配置される孔90が形成される。中部10Cは、中部10Cに配置された光源の光を反射させるリフレクタ92等が配置される。
【0026】
後部10Dは、前後方向に貫通する穴10Gaを有する筒部10Gが形成されている。筒部10Gは、第一保持部とも言う。筒部10Gは、その穴10Gaの前側において、上部10Aに形成された上溝10Eの右端10Ea、及び、下部10Bに形成された下溝10Fの右端10Faが連通する。筒部10Gは、穴10Gaにおいて上下左右に内壁面を有している。
図5に示すように、筒部10Gは、その後端部であって、穴10Gaの上側の内壁面に、上側に向けて段状に凹むことで、後側に向く係止面10Gbaを有する係合凹部10Gbが形成されている。筒部10Gは、その後端部であって、係合凹部10Gbの下側の位置で、後側及び上側に斜めに延びて上下方向に撓むことが可能な板片状の弾性部10Gcが形成されている。筒部10Gは、右側及び左側の各内壁面から突出する突出部10Gdが形成されている。突出部10Gdは、左右方向で互いに対向して設けられている。突出部10Gdは、接触部とも言う。また、後部10Dは、後側に向けて棒状に延びるピン10Daが複数形成されている。
【0027】
導光体20は、ライトガイドとも言い、
図6及び
図7に示すように、上導光部20Aと、下導光部20Bと、後導光部20Dと、を有する。上導光部20Aは、前から視て、左右方向に延びて形成されている。下導光部20Bは、前から視て、上導光部20Aの右端20Aaから下側に延びつつ左側に湾曲して左側に延びて形成されている。下導光部20Bは、上導光部20Aの右端20Aaに右端20Baが繋がって形成されている。後導光部20Dは、上導光部20A及び下導光部20Bが繋がる相互の右端20Aa,20Baから後側に延びて形成されている。
【0028】
上導光部20Aは、左右方向に棒状に延びて形成されている。上導光部20Aは、右端20Aaが後導光部20Dに向かって後側に湾曲して形成されている。上導光部20Aは、左端20Abが、上部10Aの左端10Abに形成された穴部10Acに挿入が可能に形成されている。上導光部20Aの左端20Ab及び穴部10Acは、挿入により相互が嵌合するように、上導光部20Aの左端20Abの外形と穴部10Acの内形とが同等に形成されている。上導光部20Aの左端20Abは、導光体20の他端部とも言う。また、上導光部20Aは、その延びる途中であって左端20Ab寄りに、後側に向かって突出する突起20Acが形成されている。突起20Acは、上導光部20Aの延びる途中に部分的に形成されている。突起20Acは、ハウジング10における上部10Aの上溝10Eに形成された凹部10Ecに挿入が可能に形成されている。上導光部20Aの突起20Ac及び凹部10Ecは、挿入により相互が嵌合するように、突起20Acの外形と凹部10Ecの内形とが同等に形成されている。この上導光部20Aは、その後面20Adにプリズム部20Aeが形成されている。プリズム部20Aeは、上導光部20Aの内部に導かれた光を上導光部20Aの前面20Afに向けて反射する。上導光部20Aの前面20Afは、反射された光を前側に向けて透過し発光する。上導光部20Aの前面20Afは、第一側面とも言い、前面20Afと相反してプリズム部20Aeが形成された後面20Adは、第二側面とも言う。
【0029】
下導光部20Bは、左右方向に棒状に延びて形成されている。下導光部20Bは、右端20Baが後導光部20Dに向かって後側に湾曲して形成されている。下導光部20Bは、左端20Bbが、下部10Bの左端10Bbに形成された穴部10Bcに挿入が可能に形成されている。下導光部20Bの左端20Bb及び穴部10Bcは、挿入により相互が嵌合するように、下導光部20Bの左端20Bbの外形と穴部10Bcの内形とが同等に形成されている。下導光部20Bの左端20Bbは、導光体20の他端部とも言う。また、下導光部20Bは、その延びる途中及び左端20Bbに、後側に向かって突出する突起20Bcが形成されている。突起20Bcは、下導光部20Bの延びる途中に部分的に形成されている。突起20Bcは、ハウジング10における下部10Bの下溝10Fに形成された凹部10Fcに挿入が可能に形成されている。下導光部20Bの突起20Bc及び凹部10Fcは、挿入により相互が嵌合するように、突起20Bcの外形と凹部10Fcの内形とが同等に形成されている。この下導光部20Bは、その後面20Bdにプリズム部20Beが形成されている。プリズム部20Beは、下導光部20Bの内部に導かれた光を下導光部20Bの前面20Bfに向けて反射する。下導光部20Bの前面20Bfは、反射された光を前側に向けて透過し発光する。下導光部20Bの前面20Bfは、第一側面とも言い、前面20Bfと相反してプリズム部20Beが形成された後面20Bdは、第二側面とも言う。
【0030】
後導光部20Dは、前後方向に棒状に延びて形成されている。後導光部20Dは、その前端側に上導光部20Aの右端20Aa、及び、下導光部20Bの右端20Baが連通する。後導光部20Dは、その外周において上下左右に外周面を有している。
図8に示すように、後導光部20Dは、その後端部であって、上側の外周面に、上側に向けて段状に突出することで、前側に向く係止面20Daaを有する係合凸部20Daが形成されている。後導光部20Dは、その後端部であって、係合凸部20Daの後側に突出する突起部20Dbが形成されている。この後導光部20Dは、後端からハウジング10における筒部10Gに挿通される。後導光部20Dは、導光体20の一端部とも言う。
【0031】
光源30は、
図8に示すように、基板40の板面40Aに実装されている。基板40は、光源30に通電を行うための配線50Aが接続されるコネクタ50が取り付けられる。光源30は、導光体20における後導光部20Dの後面20Dcに光を照射する。従って、導光体20は、後導光部20Dの後面20Dcを光源30に向けて配置される。後導光部20Dの後面20Dcは、入射面とも言う。導光体20は、後導光部20Dの後面20Dcを光源30に向けて配置した場合、基板40の板面40Aに突起部20Dbが当接し突き当たる。突起部20Dbが基板40の板面40Aに突き当たることで、後導光部20Dの後面20Dcと光源30との距離が適正化される。基板40は、突当部とも言う。また、基板40は、板面40Aを貫通する貫通穴40Bが複数形成されている。貫通穴40Bは、ハウジング10における筒部10Gに形成されたピン10Daが挿入される。ピン10Daが貫通穴40Bに挿入されることで、基板40がハウジング10の筒部10Gに位置決めされる(
図9参照)。
【0032】
図9は、ハウジング及び導光体の組立状態の一部拡大断面図である。
図10は、ハウジング及び導光体の組立状態を前から視た一部拡大斜視図である。
図11は、ハウジング及び導光体の組立状態を後ろから視た一部拡大斜視図である。
図12は、ハウジングを前から視た一部拡大斜視図である。
図13は、ハウジング及び導光体の組立状態を前から視た一部拡大斜視図である。
図14は、ハウジング及び導光体の組立状態を前から視た一部拡大斜視図である。
【0033】
上述のように構成された車両用灯具100において、ハウジング10と、導光体20と、光源30と、を組み立てる。
【0034】
導光体20をハウジング10に取り付けるには、
図9に示すように、導光体20における後導光部20Dの後面20Dc(入射面)を後側に向け、ハウジング10における筒部10Gの穴10Gaに前側から挿入する。後導光部20Dを筒部10Gの穴10Gaに挿入すると、やがて、後導光部20Dの係合凸部20Daが穴10Gaの係合凹部10Gbに嵌り、係合凸部20Daの係止面20Daaと、係合凹部10Gbの係止面10Gbaとが前後方向で対面する。これにより、導光体20は、ハウジング10に対して係止面10Gba,20Daaによって前後方向の前側への移動を規制される。
【0035】
また、後導光部20Dの係合凸部20Daが穴10Gaの係合凹部10Gbに嵌るとき、後導光部20Dの下側の外周面に筒部10Gの弾性部10Gcが接触し、弾性部10Gcが下側に撓んで上側へ戻ろうとする弾性力を生じ、この弾性力により後導光部20Dが上側に押し上げられる。これにより、導光体20は、ハウジング10に対して上下方向の下側への移動を規制され、かつ係合凸部20Daが係合凹部10Gbに嵌った係合状態が維持されるため、係止面10Gba,20Daaによる前後方向の前側への移動の規制が維持される。
【0036】
また、後導光部20Dの係合凸部20Daが穴10Gaの係合凹部10Gbに嵌るとき、
図10に示すように、後導光部20Dの左側及び右側の外周面に筒部10Gの各突出部10Gdが接触する。即ち、各突出部10Gdを介し、左右方向において筒部10Gと後導光部20Dとを互いに接触させる。これにより、導光体20は、ハウジング10に対して左右方向の双方への移動を規制される。
【0037】
また、
図9に示すように、導光体20をハウジング10に取り付けた後、あるいは導光体20をハウジング10に取り付ける前に、光源30が取り付けられた基板40がハウジング10に取り付けられる。基板40は、貫通穴40Bに、ハウジング10における後部10Dのピン10Daが挿入されるように、後側から後部10Dに位置決めされ、ビス等のスクリュー固定により後部10Dに固定される。そして、後導光部20Dの係合凸部20Daが穴10Gaの係合凹部10Gbに嵌るとき、後導光部20Dの突起部20Dbが基板40の板面40Aに当接し突き当たる。これにより、導光体20は、ハウジング10に対して前後方向の後側への移動を規制され、かつ後導光部20Dの後面20Dcと光源30との距離が適正化される。
【0038】
また、ハウジング10は、上述した上部10A、下部10B、中部10C、及び後部10Dを有する主構成の他、
図11に示すように、後部10Dの右側に副構成である第二ハウジング10Hがビス等のスクリュー固定により固定される。この第二ハウジング10Hは、ハウジング10に固定された状態で、上下方向の下側から弾性部10Gcに当接する規制部10Haが形成されている。規制部10Haは、第二ハウジング10Hから左側に延びる断面L字形の棒状部材として形成され、剛性を確保されている。従って、筒部10Gの弾性部10Gcは、規制部10Haによって下側に戻ることを規制される。これにより、導光体20は、弾性部10Gcによる、下側への移動の規制が維持されるため、係合凸部20Daが係合凹部10Gbに嵌った係合状態が維持され、係止面10Gba,20Daaによる前後方向の前側への移動の規制が維持される。
【0039】
また、導光体20の後導光部20Dをハウジング10の筒部10Gに取り付けた後、
図12及び
図13に示すように、導光体20における下導光部20Bを撓ませ、左端20Bbを、ハウジング10における下部10Bの左端10Bbに形成された穴部10Bcに挿入して嵌合する。そして、下導光部20Bの左端20Bbが下部10Bの穴部10Bcに嵌合すると、下導光部20Bが下部10Bの下溝10Fに嵌る。また、下導光部20Bが下溝10Fに嵌るとき、
図14に示すように、下導光部20Bの突起20Bcが、下部10Bの下溝10Fに形成された凹部10Ecに挿入される。同様に、図には明示しないが、導光体20の後導光部20Dをハウジング10の筒部10Gに取り付けた後、導光体20における上導光部20Aを撓ませ、左端20Abを、ハウジング10における上部10Aの左端10Abに形成された穴部10Acに挿入して嵌合する。そして、上導光部20Aの左端20Abが上部10Aの穴部10Acに嵌合すると、上導光部20Aが上部10Aの上溝10Eに嵌る。また、上導光部20Aが上溝10Eに嵌るとき、上導光部20Aの突起20Acが、上部10Aの上溝10Eに形成された凹部10Ecに挿入される。
【0040】
このようにして、ハウジング10と、導光体20と、光源30と、が組み立てられ車両用灯具100が構成される。車両用灯具100は、光源30の光が、導光体20における後導光部20Dの後面20Dcから入射され、上導光部20A及び下導光部20Bに分岐して導かれる。そして、上導光部20Aでは、上導光部20Aの内部に導かれた光がプリズム部20Aeにより上導光部20Aの前面20Afに向けて反射され、当該前面20Afが発光する。一方、下導光部20Bでは、下導光部20Bの内部に導かれた光がプリズム部20Beにより下導光部20Bの前面20Bfに向けて反射され、当該前面20Bfが発光する。
【0041】
ところで、上述した実施形態では、導光体20が、後導光部20Dから上導光部20A及び下導光部20Bが二又に延びる構成として説明したが、後導光部20Dから上導光部20Aのみが延びる構成や、後導光部20Dから下導光部20Bのみが延びる構成であってもよい。ハウジング10は、後導光部20Dから上導光部20Aのみが延びる構成の場合、上導光部20Aが嵌る上溝10Eを有する上部10Aが構成される。また、ハウジング10は、後導光部20Dから下導光部20Bのみが延びる構成の場合、下導光部20Bが嵌る下溝10Fを有する下部10Bが構成される。
【0042】
このように実施形態の導光体固定構造は、連続する導光体20の一端部(後導光部20D)を保持する第一保持部(筒部10G)、及び導光体20の他端部(上導光部20Aの左端20Ab及び/又は下導光部20Bの左端20Bb)を保持する第二保持部(上部10Aの穴部10Ac及び/又は下部10Bの穴部10Bc)を有する固定部としてのハウジング10と、第一保持部と一端部とを相互に係合して第一方向の一方(前後方向の前側)への一端部の移動を規制する係合部(係合凹部10Gb及び係合凸部20Da)と、第一方向に対して交差する第二方向の一方(上下方向の上側)に弾性力を生じ一端部に当接して係合部の係合を維持する弾性部10Gcと、係合部の係合状態で第一方向及び第二方向に対して交差する第三方向(左右方向)の双方において第一保持部と一端部とを互いに接触させる接触部(突出部10Gd)と、一端部に当接して第一方向の他方(前後方向の後側)への一端部の移動を規制する突当部(基板40)と、弾性部10Gcに当接して第二方向の他方(上下方向の下側)への弾性部10Gcの移動を規制する規制部10Haと、を備える。
【0043】
従って、実施形態の導光体固定構造は、連続する導光体20の一端部をハウジング10の第一保持部に対して前後上下左右への移動を規制しつつ保持し、他端部をハウジング10の第二保持部に対して保持する。このように、実施形態の導光体固定構造は、ビス等のスクリュー固定を用いることなく、導光体20の前後上下左右への移動を規制して一端部及び他端部を保持する。この結果、実施形態の導光体固定構造によれば、導光体20の一端部及び他端部を保持し、導光体20の途中や一端部及び他端部にビス等のスクリュー固定を用いないで固定できることから、点光りを防止でき、導光体20をハウジング10に対して固定することができる。
【0044】
また、実施形態の導光体固定構造では、導光体20は、光を発光する第一側面(上導光部20Aの前面20Af及び/又は下導光部20Bの前面20Bf)とは相反する第二側面(後面20Ad,20Bd)に部分的に突起20Ac,20Bcを有し、ハウジング10は、突起が挿入される凹部10Ec,10Fcを有する。
【0045】
従って、実施形態の導光体固定構造は、導光体20の突起20Ac,20Bcを、ハウジング10の凹部10Ec,10Fcに挿入することで、導光体20をハウジング10に保持する。突起20Ac,20Bcは、導光体20が発光する第一側面と相反する第二側面に設けられているため、点光りを抑えつつ導光体20をハウジング10に保持できる。この結果、実施形態の導光体固定構造によれば、点光りを防止すると共に、導光体20をハウジング10に対して固定することができる。なお、突起20Ac,20Bcは、導光体20の一端部と他端部との間の直線形状部分又は直線形状に近似する部分に形成されることが好ましい。湾曲形状部分に突起20Ac,20Bcを設けると、導光体20の第二面に形成されたプリズム部20Ae,20Beによる反射に突起20Ac,20Bcが影響を及ぼす恐れがあり、実施形態の導光体固定構造は、これを防止できる。
【0046】
図15は、導光体の正面図である。
図15に示す導光体120は、導光体20と同様の部材である。導光体120は、上導光部120Aと、下導光部120Bと、後導光部120Dと、を有する。上導光部120A、下導光部120Bは、上導光部20A、下導光部20Bと同様の構成、機能を備える。後導光部120Dは、上導光部120A及び下導光部120Bが繋がる相互の右端から後側に延びている。上述したように、後導光部120Dは、端面120Daに対面する位置に光源が配置される。導光体120は、光源から出力された光が、端面120Daから入射し、入射した光が後導光部120Dを通過して、上導光部120Aと、下導光部120Bとに分岐される。これにより、導光体120は、1つの端面120Daから入射した光が、上導光部120Aと下導光部120Bの両方に案内されれ、上導光部120Aと、下導光部120Bの射出面から射出される。このように、導光体20,120のように、後導光部20D,120Dから上導光部20A,120A及び下導光部20B,120Bが二又に延びる構造とし、1つの入射面から複数の線状の導光部に光を案内する構造とする場合に、導光体を好適に固定することができる。
【0047】
また、実施形態の導光体固定構造では、第二保持部は、導光体20の他端部が挿入されて嵌合する穴部10Ac,10Bcにより形成されている。
【0048】
従って、実施形態の導光体固定構造によれば、導光体20の他端部を穴部10Ac,10Bcに挿入して嵌合することで、ビス等のスクリュー固定を用いずに他端部を保持することで点光りを防止すると共に、導光体20をハウジング10に対して固定することができる。
【0049】
また、実施形態の導光体固定構造では、突当部は、導光体20の一端部から光を入射する光源30が実装された基板40である。
【0050】
従って、実施形態の導光体固定構造によれば、基板40が突当部を構成するため、部品点数を増加することなく、導光体20をハウジング10に対して固定することができる。
【0051】
また、実施形態の車両用灯具100は、一端部と他端部との間が連続する導光体20と、導光体20の一端部から光を入射する光源30と、導光体20および光源30が取り付けられるハウジング10と、を備え、ハウジング10に対して導光体20が、上述した導光体固定構造により固定される。
【0052】
従って、実施形態の車両用灯具100は、点光りを防止すると共に導光体20を固定できる。
【符号の説明】
【0053】
10…ハウジング(固定部)、10Ac,10Bc…穴部(第二保持部)、10Ec,10Fc…凹部、10G…筒部(第一保持部)、10Gb…係合凹部(係合部)、10Gc…弾性部、10Gd…突出部(接触部)、10Ha…規制部、20,120…導光体、20Ab,20Bb…左端(他端部)、20Ac,20Bc…突起、20Ad,20Bd…後面(第二側面)、20Af,20Bf…前面(第一側面)、20D…後導光部(一端部)、20Da…係合凸部(係合部)、30…光源、40…基板(突当部)、100…車両用灯具