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特許7586076ケア情報記録システム、およびケア情報記録方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ケア情報記録システム、およびケア情報記録方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20241112BHJP
【FI】
G06Q50/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021527376
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2020012743
(87)【国際公開番号】W WO2020261677
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2019121171
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河邊 恭
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広行
【審査官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-215687(JP,A)
【文献】国際公開第2015/093431(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーマットを印刷したケア記録シートであって、ケア対象者のケアに関するケア情報が記載されたケア記録シートを読み取って得られた読取画像データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記読取画像データに対して、前記フォーマットとの差分から追記された箇所を抽出し、抽出した箇所に対して文字認識処理を行う文字認識処理部と、
ケア記録シートの複数のフォーマットと、予め設定された管理項目を記憶した記憶部と、
前記文字認識処理により得られたテキストデータから、前記管理項目に対応する前記ケア情報を検出する検出部と、を備え、
検出した、前記管理項目に対応する前記ケア情報を、前記管理項目に対応付けて、前記記憶部に記憶し、
前記ケア記録シートは、前記ケア対象者へのケアが行われるケア施設毎に、異なるフォーマットであり、
前記ケア施設で用いる前記フォーマットは、前記管理項目の記載箇所の配置が異なり、ならびに前記管理項目の種類、および数が共通する、ケア情報記録システム。
【請求項2】
前記管理項目には、前記ケア対象者へのケアを行う複数のケアスタッフが共有するケア情報が含まれ、
前記共有する前記ケア情報が、前記検出部により検出されなかった場合、検出対象のテキストデータに対応する前記ケア記録シートに対応付けられている担当者の通知先、または該ケア記録シートの前記ケア対象者に対応付けられている担当者の通知先に、通知を行う通知処理部を、さらに備える、請求項1に記載のケア情報記録システム。
【請求項3】
フォーマットを印刷したケア記録シートであって、ケア対象者のケアに関するケア情報が記載されたケア記録シートを読み取って得られた読取画像データを取得するステップ(a)と、
前記ステップ(a)で取得した前記読取画像データに対して、前記フォーマットとの差分から追記された箇所を抽出し、抽出した箇所に対して文字認識処理を行うステップ(b)と、
前記ステップ(b)で得られたテキストデータから、記憶部に予め記憶された管理項目に対応する前記ケア情報を検出するステップ(c)と、
前記ステップ(c)で検出した、前記管理項目に対応する前記ケア情報を、前記管理項目に対応付けて、前記記憶部に記憶するステップ(d)と、
を含み、
前記ケア記録シートは、前記ケア対象者へのケアが行われるケア施設毎に、異なるフォーマットであり、
ケア記録シートの複数の前記フォーマットは、記憶部に記憶され、
前記ケア施設で用いる前記フォーマットは、前記管理項目の記載箇所の配置が異なり、ならびに前記管理項目の種類、および数が共通する、ケア情報記録方法。
【請求項4】
前記管理項目には、前記ケア対象者へのケアを行う複数のケアスタッフが共有するケア情報が含まれ、
前記共有する前記ケア情報が、前記ステップ(c)で検出されなかったか否かを判定するステップ(e)と、
前記ステップ(e)で前記共有する前記ケア情報が検出されなかった場合、検出対象のテキストデータに対応する前記ケア記録シートに対応付けられている担当者の通知先、または該ケア記録シートの前記ケア対象者に対応付けられている担当者の通知先に、通知を行うステップ(f)と、
をさらに含む、請求項3に記載のケア情報記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケア情報記録システム、およびケア情報記録方法に関する。特に、本発明は、ケア対象者へのケアを行う施設で行われたケア対象者のケア記録を取り扱うケア情報記録システム、およびケア情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢等により、介護を必要とする要介護者等の増加が想定される。
【0003】
介護施設等における介護の現場においては、被介護者の状況の推移を把握したり、ケアプランの作成に役立てたりするために、介護スタッフは、被介護者の介護状況を介護記録として記録する。
【0004】
一般に、介護記録は、介護スタッフが、手書きにより介護記録シートに記入することにより行っている。そして、その後に記録サーバーへ入力し電子化するため、一々PC(パーソナルコンピューター)にキー入力により入力しているため二度手間であり、介護スタッフ等にとっては大きな負担になっていた。
【0005】
特許文献1に開示された、介護記録支援システムでは、介護スタッフが携帯する携帯端末に音声入力により介護記録を入力する。この介護記録支援システムでは、音声入力時に携帯端末の位置情報を把握し、この位置情報から介護に関する、日時、場所、介護スタッフ名、被介護者名、等の設定情報を特定し、これを音声認識により抽出した介護状況と関連付けて記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-008656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、介護の現場においては、使い慣れた従来の記録シートをそのまま使いたいという要望がある。本願は、このような状況を鑑み、使い慣れたケア記録シートを用いながら、その記載内容を容易にデータ化するケア情報記録システム、およびケア情報記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)ケア対象者のケアに関するケア情報が記載されたケア記録シートを読み取って得られた読取画像データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記読取画像データに対して、文字認識処理を行う文字認識処理部と、
管理項目を記憶した記憶部と、
前記文字認識処理により得られたテキストデータから、前記管理項目に対応する前記ケア情報を検出する検出部と、を備え、
検出した、前記管理項目に対応する前記ケア情報を、前記管理項目に対応付けて、前記記憶部に記憶する、ケア情報記録システム。
【0010】
(2)前記管理項目には、前記ケア対象者へのケアを行う複数のケアスタッフが共有するケア情報が含まれ、
前記共有する前記ケア情報が、前記検出部により検出されなかった場合、検出対象のテキストデータに対応する前記ケア記録シートに対応付けられている担当者の通知先、または該ケア記録シートの前記ケア対象者に対応付けられている担当者の通知先に、通知を行う通知処理部を、さらに備える、上記(1)に記載のケア情報記録システム。
【0011】
(3)前記ケア記録シートは、前記ケア対象者へのケアが行われるケア施設毎に、異なるフォーマットである、上記(1)、または上記(2)に記載のケア情報記録システム。
【0012】
(4)ケア対象者のケアに関するケア情報が記載されたケア記録シートを読み取って得られた読取画像データを取得するステップ(a)と、
前記ステップ(a)で取得した前記読取画像データに対して、文字認識処理を行うステップ(b)と、
前記ステップ(b)で得られたテキストデータから、記憶部に予め記憶された管理項目に対応する前記ケア情報を検出するステップ(c)と、
前記ステップ(c)で検出した、前記管理項目に対応する前記ケア情報を、前記管理項目に対応付けて、前記記憶部に記憶するステップ(d)と、
を含むケア情報記録方法。
【0013】
(5)前記管理項目には、前記ケア対象者へのケアを行う複数のケアスタッフが共有するケア情報が含まれ、
前記共有する前記ケア情報が、前記ステップ(c)で検出されなかったか否かを判定するステップ(e)と、
前記ステップ(e)で前記共有する前記ケア情報が検出されなかった場合、検出対象のテキストデータに対応する前記ケア記録シートに対応付けられている担当者の通知先、または該ケア記録シートの前記ケア対象者に対応付けられている担当者の通知先に、通知を行うステップ(f)と、
をさらに含む、上記(4)に記載のケア情報記録方法。
【0014】
(6)前記ケア記録シートは、前記ケア対象者へのケアが行われるケア施設毎に、異なるフォーマットである、上記(4)、または上記(5)に記載のケア情報記録方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るケア情報記録システムは、ケア対象者のケアに関するケア情報が記載されたケア記録シートを読み取って得られた読取画像データを取得する取得部と、取得部が取得した読取画像データに対して、文字認識処理を行う文字認識処理部と、ケア情報を管理項目と対応付けて記憶する記憶部と、文字認識処理により得られたテキストデータから、管理項目に対応するケア情報を検出する検出部と、を備え、管理項目に対応するケア情報を、管理項目に対応付けて、記憶部に記憶する。これにより、使い慣れたケア記録シートを用いながら、その記載内容を容易にデータ化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係るケア情報記録システムの概要を示す図である。
図2】管理サーバーの概略構成を示すブロック図である。
図3】端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】介護記録シートの例である。
図5】介護記録シートの例である。
図6】介護記録シートの例である。
図7】ケア情報記録処理を示す図である。
図8】通知処理を示すフローチャートである。
図9】通知先リストの例である。
図10】第2の実施形態に係るケア情報記録システムの概略構成を示す図である。
図11】管理サーバーの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0018】
本実施形態に係るケア情報送信システムは、ケア施設として、介護施設の被介護者の介護記録をデータ化する場合を例にして説明する。しかしながら本実施形態の適用範囲は、介護施設に限られない。ケア施設には、介護施設以外にも、病院、および幼稚園もしくは保育園等の預かりサービスを行う施設が含まれる。また、ケア対象者には、被介護者、入院患者、および幼稚園児もしくは保育園児が含まれ、ケアには、介護ケア、看護ケア、乳幼児への世話が含まれる。また、コンテンツとしてのケア記録には、これらのケアを記録した対応記録(ケア記録シート)として、介護記録シート、看護記録シート(カルテ、生活記録)、および保育スタッフが記録した乳幼児の家族への連絡帳が含まれる。
【0019】
(全体構成)
図1は第1の実施形態に係るケア情報記録システム1の概要を示す図である。本実施形態に係るケア情報記録システム1は、主に介護施設の被介護者の介護記録をデータ化(電子データ化)し、管理する。
【0020】
図1に示すように、ケア情報記録システム1は、介護記録を管理する管理サーバー10、および原稿を読み取って画像データ(以下、「読取画像データ」という)を生成する端末装置20を備える。また、ケア情報記録システム1の管理サーバー10、および端末装置20、ならびに端末装置30、40は、相互に有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網、またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、通信可能に接続される。一部のネットワークでは、有線LANや、無線LAN等(例えばIEEE802.11規格に従ったLAN)を用いてもよい。ケア情報記録システム1全体は、介護施設の内部に配置される。しかしながら、これに限られず、端末装置20を施設内に配置し、管理サーバー10を施設の外部に配置してもよく、その場合、管理サーバー10を、インターネット等のネットワーク上に配置された複数のサーバーによって仮想的に構築されるクラウドサーバーで構成してもよい。
【0021】
端末装置30は、例えばPCであり、ネットワーク50を介して管理サーバー10に記録される介護記録のデータを閲覧、検索できる。端末装置30は、施設内に配置されてもよく、施設外に配置されていてもよい。また、端末装置30が施設内に配置されているような場合、この端末装置30からキー入力された介護情報のデータも受け付けるようにしてもよい。
【0022】
端末装置40は、介護スタッフが携帯するスマートフォン等の携帯型の端末装置である。介護スタッフはケアスタッフとも称され、被介護者の介護を行う者である。以下においては、単にスタッフという。端末装置40は、業務中のスタッフが、施設内に配置したアクセスポイント51を経由して、各装置と無線通信する。
【0023】
ケア情報記録システム1の管理サーバー10は、端末装置20、30、40を使用するユーザーが提供する、IDおよびパスワード等のクレデンシャル情報を用いて、ケア情報記録システム1の提供サービスへのログイン(アクセス)を許可する。
【0024】
(管理サーバー10)
図2は、管理サーバー10の概略構成を示すブロック図である。管理サーバー10は、制御部11、記憶部12、および通信部13を備える。各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続される。
【0025】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、等のメモリにより構成され、プログラムにしたがってケア情報記録システム1全体、ならびに管理サーバー10各部の制御および演算処理を行う。また制御部11は、検出部111、および通知処理部112の機能を有する。
【0026】
記憶部12はデータベースとも称されるものであり、ケア情報記録システム1の各種のデータを記録し、管理する。なお、記憶部12は、一部、または全部を管理サーバー10と独立したデータベースサーバーとして構成し、管理サーバー10等とネットワーク接続するようにしてもよい。
【0027】
通信部13は、ネットワークを介して、他の装置と通信する機能を有し、通知処理部112と協働することで、通知処理を行う。
【0028】
最初に、記憶部12の記憶内容について説明する。記憶部12には、管理項目リスト、通知先リスト、介護記録、等が記憶される。
【0029】
介護業務において被介護者へのケア処置としては、例えば飲料、および食事介助、排泄介助、車椅子移乗、歩行介助、体位変換(褥瘡予防)、入浴介助がある。スタッフによる各ケアの対応に応じて食事摂取量、水分摂取量、排泄状況(有無、量、便状態)、等が記録される。
【0030】
「管理項目リスト」に含まれる管理項目の設定は、介護施設の被介護者へのケアを行うスタッフ、スタッフのリーダー、ケアマネージャー、もしくは施設管理者(以下、これらを単に「スタッフ等」という)、または、ケア情報記録システム1を提供する会社の管理者により行われ、予め登録される。管理項目には、バイタルデータ(体温、血圧、脈拍、動脈血酸素飽和度、等)、食事摂取量、水分摂取量、排泄状況(有無、量、便状態)、入浴記録、等が含まれる。スタッフがケア処置を行った際の記録を残すための介護記録シートには、これらの管理項目の記入欄が含まれる。介護記録シートの例については後述する。
【0031】
「介護記録」は、各管理項目に対応する、介護情報で構成される。介護情報には、対象者名(被介護者名/ID)、スタッフ名(スタッフID)、施設名(施設ID)等の属性情報、および、介護履歴データの情報で構成される。介護履歴データは、主に後述するように介護履歴シートに手書きで入力される情報であり、各ケア処置の実行有無、対応時刻、および実行した場合にはその際の状況を示すデータ(数値、量)が含まれる。例えば、食事介助であれば、介護履歴データには、介助した時刻、主食、副食、水分の摂取量のデータ、配薬、与薬の対応状況、測定したバイタルデータが含まれる。介護記録は、ケアマネージャーが被介護者の状況の推移を把握したり、ケアプランの作成に役立てたりする。また、被介護者の家族へ提供する報告書の作成に役立てる。
【0032】
「通知先リスト」は、介護記録シートに空欄があり、必要な介護情報の記録が抜けていた場合に、その空欄への記載を促すために通知する通知先アドレス情報を記録したリストである。この必要な介護情報とは、複数の介護スタッフが共有する介護情報であり、上述の介護履歴データが含まれる。例えば、介護情報として、必要な配薬の対応記録が抜けていた場合である。通知先リストには、スタッフ、このスタッフを管理するスタッフリーダー(ユニットリーダー)、およびこのスタッフ、スタッフリーダーが勤務する施設の施設責任者(ファシリティリーダー)のメールアドレスが含まれる。
【0033】
次に、制御部11の検出部111、および通知処理部112について説明する。管理サーバー10は、後述するように端末装置20から送られた介護記録シートの読取画像データから抽出したデータの登録を受け付ける。この登録されたデータは、例えばテキストデータと、その配置情報から構成される。検出部111は、テキストデータを解析することで、管理項目に対応する介護情報を検出し、制御部11は、これを管理項目と対応付ける。例えば、食事介助の介護記録シートであれば、所定位置の欄に記載された手書き文字から抽出されたテキストデータから、摂取量の数値を検出する。そして、制御部11は、検出したデータを管理項目である摂取量と対応付けて介護記録として記憶部12に記憶させる。また、この検出を行う際には、管理項目の単語とマッチングを行うことにより行うようにしてもよい。この管理項目の単語には、ケアの種類、および各ケアに関連するキーワード、被介護者名、スタッフ名、施設名、等が含まれる。
【0034】
制御部11は、介護記録シートに記入漏れによる空欄がある場合、すなわち、管理項目のデータがない場合には、通知処理部112により通知を行わせる。通知処理部112は、データがない管理項目に対応する通知先を決定する。具体的には、通知処理部112は、介護記録シートに対応付けられる担当者、または介護記録シートの被介護者に対応付けられる担当者を特定する。例えば、介護記録シートを記入した担当スタッフ、または空欄に対応する介護履歴データの被介護者を担当するスタッフである。この担当スタッフが属するユニットのスタッフ全員を通知先として決定してもよい。ここで、ユニットとは、施設内の特定の範囲(例えば1Fフロア)の複数の被介護者を、共同で担当する複数のスタッフで構成されるグループである。ユニットを構成するスタッフの情報は、通知先リストに記録されている。そして、通知処理部112は、決定した通知先に、空欄がある旨を示す通知を行う。
【0035】
(端末装置20)
図2は、端末装置20の概略構成を示すブロック図である。端末装置20は、例えば複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。端末装置20は、制御部21、記憶部22、画像形成部23、読取部24、および通信部25を備える。各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続されている。
【0036】
制御部21は、CPU、RAM、ROM、等により構成され、各種制御を行う。制御部21は、文字認識処理部211の機能を有する。文字認識処理部211は、文字認識処理(OCR:Optical character recognition)により、読取部24で生成された介護記録シートの読取画像データからテキストデータを抽出して、介護記録をテキストデータ化する。また、この文字認識処理では、用いる介護記録シートの定型フォーマットの画像データと、読取画像データの差分データから手書き等で、追記された情報を抽出するようにしてもよい。
【0037】
記憶部22は、HDD等で構成され、内部に介護記録シートの定型フォーマット(テンプレート)等が記憶される。
【0038】
画像形成部23は、電子写真方式、またはインクジェット方式の公知技術により、用紙に画像を形成する。介護記録シートのフォーマットデータを印刷することで記入用の介護記録シートを生成する。
【0039】
読取部24は、取得部として機能する。読取部24は、LED等の光源およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を備える。読取部24は、原稿台にセットされた介護記録シート等の原稿に光源からの光を当て、その反射光を撮像素子で光電変換して、その電気信号から読取画像データを生成する。
【0040】
通信部25は、通信部13と同様に、ネットワークを介して、他の装置と通信する機能を有する。
【0041】
(介護記録シートおよび管理項目)
図4から図6を参照し、ケア記録シートとして、介護記録シートの例について説明する。これらの介護記録シートは、記憶部22に記憶しているフォーマットデータに基づいて印刷されたものである。なお、これらの介護記録シートの例では、施設名、日付、被介護者、等の一部の情報は、スタッフ等により設定されてから、印刷されている。
【0042】
図4は、食事介助用の介護記録シートの例であり、シート61Aは未記入のシートであり、シート61Bは介護記録を記入した後のシートの例である。図4の例では、管理項目として、配薬、与薬処置として、各時間帯における配薬、与薬の有無、および有りの場合のその実施結果がある。また食事介助では、各時間帯の主食、副食についての摂取量がある。シート61Bの例では、摂取量は数字0(未摂取)から10(完食)の11段階で示している。また、同図では示していないが、水分摂取の場合には、時間帯と、その種類(水、お茶、等)、摂取量(ml、cc)の管理項目がある。
【0043】
図5は、介護業務メモの介護記録シートの例であり、シート62Aは未記入のシートであり、シート62Bは、介護記録を記入した後のシートの例である。同図の介護記録シートの例では、管理項目として、被介護者(利用者)毎の連絡内容、および連絡先(家族、ケアマネージャー、介護スタッフ、看護師、等)がある。
【0044】
図6は、排泄介助用の介護記録シートの例である。シート63には、管理項目として、被介護者名、下着の種類およびサイズ、ならびに、尿、便に関する、失禁、記号(排泄量)、印(排泄状況)がある。シート63の上部の表にある、管理項目の失禁、記号、印と介護情報との対応関係は、予め記憶部12(または記憶部22)に記憶されている。
【0045】
(第1の実施形態)
(ケア情報記録処理)
次に、図7を参照し、第1の実施形態に係るケア情報記録システム1により行われるケア情報記録処理について説明する。図7は、ケア情報記録処理を示す図である。
【0046】
(ステップS01)
端末装置20の画像形成部23は、介護記録フォーマットデータに基づいて、介護記録シート(未記入)を印刷する。
【0047】
(ステップS02)
スタッフは、介護の状況に応じて、介護記録シートに管理項目の内容(介護履歴データ等の介護情報)を手書きにより記入する。
【0048】
(ステップS03)
スタッフ等は、所定タイミングで、例えば、毎日同じ所定時間帯(例えば午前中)にそれまでに記入した介護記録シートの読み取りを行わせることで、ステップS05までの処理を行わせる。端末装置20の読取部24は、介護記録シートを読み取ることで読取画像データ(例えばJPEG形式、PDF形式)を生成する。
【0049】
(ステップS04)
ここでは、文字認識処理部211は、ステップS03で生成された読取画像データに対して、文字認識処理により、テキストデータを抽出して、介護記録をテキストデータ化する。
【0050】
(ステップS05)
端末装置20は、管理サーバー10にデータを送信し、登録する。このデータは、ステップS04で得られたテキストデータである。このテキストデータは、PDF形式等で構成することにより各テキストの配置情報が含まれていてもよい。
【0051】
(ステップS06)
管理サーバー10は、ステップS05で受信したデータから介護情報の検出、および管理項目への対応付けを行い、これを介護記録として記憶部12に記憶する。具体的には、検出部111は、ステップS05で送られたテキストデータを解析することで、管理項目に対応する介護情報を検出する。制御部11は、これを管理項目と対応付けて記憶部12に記憶する。
【0052】
(ステップS07)
スタッフ等は、端末装置30等を用いて、管理サーバー10のサービスにアクセスし、介護記録の閲覧、検索を行う。ケアマネージャーであれば、被介護者の状況の推移を把握することでケアプランの作成に役立てたりする。また、被介護者の家族へ提供する報告書の作成に役立てる。
【0053】
このように、第1の実施形態に係るケア情報記録システムは、ケア対象者のケアに関するケア情報が記載されたケア記録シートを読み取って得られた読取画像データを取得する取得部と、取得部が取得した読取画像データに対して、文字認識処理を行う文字認識処理部と、ケア情報を管理項目と対応付けて記憶する記憶部と、文字認識処理により得られたテキストデータから、前記管理項目に対応するケア情報を検出する検出部と、を備え、管理項目に対応するケア情報を、前記管理項目に対応付けて、記憶部に記憶する。これにより、使い慣れたケア記録シートを用いながら、その記載内容を容易にデータ化できる。
【0054】
(変形例に係るケア情報記録システムにおける通知処理)
次に、図8図9を参照して、変形例における通知処理について説明する。図8は、通知処理を示すフローチャートである。図9は、記憶部12に記憶される通知先リストの例である。
【0055】
(ステップS10)
ここでは、図7のステップS01-S06により、介護記録シートの読取画像データにより得られた介護情報を管理項目に対応付けることにより、ケア報記録処理を行う。
【0056】
(ステップS11)
制御部11は、管理項目にデータ不足があるか否かを判定する。具体的には、制御部11は、ステップS06で記録した介護記録を検査し、複数の介護スタッフが共有する介護情報が抜けているか否かを判定する。複数の介護スタッフとは、同じユニットを担当する複数の介護スタッフである。例えば、介助した時刻、主食、副食、水分の摂取量、配薬、与薬の対応状況、等の介護履歴データが抜けていた場合には、データ不足であると判定する。制御部11は、共有すべき情報が、ステップS06の検出部111の処理により検出されていない場合、データ不足と判定し(YES)、処理をステップS12に進める。一方で、共有すべき情報が検出されれば(NO)、処理を終了する(エンド)。
【0057】
(ステップS12)
通知処理部112は、(1)介護記録シートに対応付けられている通知先アドレス、または(2)介護記録シートの被介護者に対応付けられている担当者の通知先アドレスを取得する。
【0058】
具体的には、(1)制御部11は、介護記録シートに対応付けられている通知先アドレスとして、介護記録シートを記入したスタッフの通知先アドレスや、送信元の施設の通知先アドレスを取得する。介護記録シート自体にスタッフ名の記入があれば、そのスタッフを担当スタッフと特定する。例えば、図4のシート61Bの例であれば、上部の欄に担当スタッフ名の記入があるので、その欄の記述から得られたテキストデータにより、担当スタッフを特定する。
【0059】
または、(2)介護記録シートの被介護者に対応付けられている担当者の通知先アドレスとして、被介護者を担当するスタッフの通知先アドレスを取得する。例えば共有すべき情報として、配薬すべき被介護者Aさんに関して、配薬の対応記録が無ければ、制御部11は、図9の通知先リストのテーブル71、72を参照して、担当スタッフを特定する。具体的には、テーブル71を参照し、被介護者Aさんは、ユニット「1F東」であれば、そのユニットに属するスタッフA-Dを、担当スタッフと特定する。
【0060】
そして、制御部11の通知処理部112は、特定された担当スタッフの通知先アドレスを取得する。例えばテーブル72を参照することで、端末装置40へのメールアドレスを取得する。なお、通知先アドレスとしては、担当スタッフのみならず、担当スタッフを管理するスタッフリーダーや、施設管理者の通知先アドレスを、さらに含ませてもよい。
【0061】
(ステップS13)
通信部13および通知処理部112により、ステップS13で取得した、1または複数の通知アドレスに対して、データ不足である旨を通知する。この通知には、データ追加用の手順の説明文や、不足したデータの入力を行えるアドレス(URL)やデータを受け付ける担当者のアドレスが含まれていてもよい。
【0062】
(ステップS14)
制御部11は、スタッフから入力データを受けることで、追加データを受け付け、受け付けた追加データを該当する介護記録の空欄部分に追加する。例えば、スタッフは、端末装置40等を通じて、入力したデータを、管理サーバー10に送信する。
【0063】
このように、変形例に係るケア情報記録システムでは、共有するケア情報が、検出部により検出されなかった場合、検出対象のテキストデータに対応するケア記録シートに対応付けられている通知先、またはケア記録シートのケア対象者に対応付けられている通知先に、通知を行う。これにより、ケア記録シートに記入漏れがありデータ不足があったとしても、データ不足である旨を通知することで、担当スタッフ等にそのデータの追記を促すことができる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、図10図11を参照して、第2の実施形態に係るケア情報記録システム1bについて説明する。図10は、ケア情報記録処理を示す図であり、図11は、管理サーバー10bの概略構成を示すブロック図である。
【0065】
第2の実施形態に係るケア情報記録システム1は、管理サーバー10bにより構成される。図11に示す管理サーバー10bは、図2に示した管理サーバー10bと同様の構成を備える。
【0066】
管理サーバー10bは、複数の介護施設の端末装置20とネットワークを介して接続する。そして、管理サーバー10bの通信部13は取得部として機能し、各介護施設の端末装置20で、読み取って得られた画像データを取得する。
【0067】
また、制御部11bは、文字認識処理部113としても機能する。この文字認識処理部113は、図3で示した文字認識処理部211と同様の機能である。
【0068】
(ケア情報記録処理)
(S21-S23)
ここでの処理は、図7で説明したステップS01-S03の処理と同様である。スタッフ等の操作により、それぞれの介護施設に設けられた端末装置20は、介護記録シートの読取画像データを生成する。
【0069】
(ステップS24)
管理サーバー10bの取得部として機能する通信部13は、介護施設から送信された読取画像データを取得する。この読取画像データには、送信元の施設を区別できる識別情報(施設ID)が付されている。
【0070】
(ステップS25)
ここでは、上述の図7のステップS04と同様の処理を、制御部11が行う。具体的には、文字認識処理部113が、ステップS24で受信した読取画像データに対して、文字認識処理を行う。
【0071】
なお、各介護施設で用いる介護記録シートの定型フォーマットは、介護施設毎に異なるフォーマットであり、管理項目の記載箇所の配置が異なる。この管理項目の種類、数は、概ね、複数の介護施設で共通する。第2実施形態においては、管理サーバー10b側で、各介護施設で用いる介護記録シートの定型フォーマットの画像データを予め取得しておき、記憶部12に記憶しておくことが好ましい。そして、この画像データと読取画像データの差分データから手書き等で、スタッフ等によって追記された情報を抽出するようにしてもよい。
【0072】
(ステップS26-S27)
ここでは、上述の図7のステップS06-S07と同様の処理を行う。具体的には、管理サーバー10bは、ステップS25で認識したデータから、介護情報を検出し、管理項目との対応付けを行い介護記録として記憶部12に記憶する。そして、これを端末装置30等のアクセスに基づいて、管理サーバー10bは、閲覧、検索のサービスを提供する。
【0073】
このようにすることで、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、第2の実施形態では、さらに、異なるフォーマットの介護記録シート複数の介護施設から、介護記録シートの読取画像データを取得した場合であっても、容易にデータ化できる。特に、スタッフは、複数の介護施設で普段から使用している介護記録シートをそのまま使用し続けるので、介護記録シートの変更にともなう負担が生じることを防止できる。
【0074】
以上に説明したケア情報記録システム1、1bの構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。例えば、第1、第2の実施形態、および変形例を相互に組み合わせて適用してもよい。具体的には、第2の実施系形態において、一部の介護施設においては、端末装置20側の文字認識処理部211を用いるようにしてもよい。その他、一般的なケア情報記録システム1が備える構成を排除するものではない。
【0075】
また、上述した実施形態に係るケア情報記録システム1、1bにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能として装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0076】
本出願は、2019年6月28日に出願された日本特許出願(特願2019-121171号)に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として組み入れられている。
【符号の説明】
【0077】
1、1b ケア情報記録システム
10 管理サーバー
11 制御部
111 検出部
112 通知処理部
113 文字認識処理部
12 記憶部
13 通信部
20 端末装置(MFP)
21 制御部
211 文字認識処理部
22 記憶部
23 画像形成部
24 読取部
25 通信部
30 端末装置(閲覧用)
40 端末装置(スタッフ用携帯端末)
50 ネットワーク
51 アクセスポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11