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特許7586080固体撮像装置およびその駆動方法、並びに電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】固体撮像装置およびその駆動方法、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/443 20230101AFI20241112BHJP
   H04N 25/44 20230101ALI20241112BHJP
【FI】
H04N25/443
H04N25/44
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021533939
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2020026971
(87)【国際公開番号】W WO2021014999
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2019136102
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】三上 拓也
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-049870(JP,A)
【文献】特開2014-039159(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179711(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/44
H04N 25/443
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部と
を備え
前記制御部は、Nが奇数の場合、N行間隔の読み出しを垂直方向に繰り返し行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う
固体撮像装置。
【請求項2】
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部と
を備え、
前記制御部は、Nが偶数の場合、(N-1)行間隔の読み出しと(N+1)行間隔の読み出しを垂直方向に交互に行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う
固体撮像装置
【請求項3】
前記制御部は、2(N-1)回の前記間引き読み出しの奇数回目については同じ画素行を読み出す
請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部と
を備え、
前記制御部は、前記同一の露光タイミングで露光した画素行の電荷の読み出しと、所定のフレームレートで露光を繰り返した画素行の電荷の読み出しとを、1垂直走査期間ごとに交互に行う
固体撮像装置
【請求項5】
前記制御部は、前記画素アレイ部の同一の画素行において、前記所定のフレームレートで露光を繰り返す
請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記画素は、
入射された光を受光して光電変換することで電荷を生成する光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を転送する第1転送トランジスタと、
前記第1転送トランジスタによって前記光電変換部から転送された前記電荷を読み出しタイミングまで保持する第1電荷保持部と、
前記読み出しタイミングにおいて前記第1電荷保持部に保持された前記電荷を転送する第2転送トランジスタと、
前記第2転送トランジスタによって前記第1電荷保持部から転送された前記電荷を保持する第2電荷保持部と
を有する
請求項1~5のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部を備える固体撮像装置が、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出し、
Nが奇数の場合、N行間隔の読み出しを垂直方向に繰り返し行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項8】
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部と
を備える固体撮像装置と、
2(N-1)回の前記間引き読み出しにより前記固体撮像装置から供給される画像データのうち、奇数回目の画像データを表示部に表示させ、偶数回目の画像データを記録媒体に記録させる処理を行う信号処理部と
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像装置およびその駆動方法、並びに電子機器に関し、特に、低速読み出しで、ブラックアウトの発生を回避できるようにした固体撮像装置およびその駆動方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル一眼カメラやコンパクトデジタルカメラ等の撮像装置では、例えば、ユーザは、LCDやEVF(electric viewfinder)などの表示部に表示される画像を確認して、撮像タイミングを決定し、レリーズボタン(シャッタボタン)押下により撮像を行う。このとき表示部に表示される画像は、ライブビュー画像やスルー画像などと呼ばれる。撮像装置において、レリーズボタン押下により露光準備処理を開始したことにより、ライブビュー画像が表示部に表示されない、いわゆるブラックアウトと呼ばれる現象が発生する場合がある。
【0003】
ブラックアウトの発生を回避するために、例えば、記録用画像の表示が可能となるまで、フレームメモリに格納済みの表示用画像を表示部に表示させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/179711号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像の読み出し速度を高速化することでブラックアウトの発生を回避することができるが、高速読み出し用の回路は回路規模も大きくなり、消費電力も大きくなる。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、低速読み出しで、ブラックアウトの発生を回避できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の固体撮像装置は、複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部とを備え、前記制御部は、Nが奇数の場合、N行間隔の読み出しを垂直方向に繰り返し行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う
本技術の第2の側面の固体撮像装置は、複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部とを備え、前記制御部は、Nが偶数の場合、(N-1)行間隔の読み出しと(N+1)行間隔の読み出しを垂直方向に交互に行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う。
本技術の第3の側面の固体撮像装置は、複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部とを備え、前記制御部は、前記同一の露光タイミングで露光した画素行の電荷の読み出しと、所定のフレームレートで露光を繰り返した画素行の電荷の読み出しとを、1垂直走査期間ごとに交互に行う。
【0008】
本技術の第の側面の固体撮像装置の駆動方法は、複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部を備える固体撮像装置が、同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出し、Nが奇数の場合、N行間隔の読み出しを垂直方向に繰り返し行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う
【0009】
本技術の第の側面の電子機器は、複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部とを備える固体撮像装置と、2(N-1)回の前記間引き読み出しにより前記固体撮像装置から供給される画像データのうち、奇数回目の画像データを表示部に表示させ、偶数回目の画像データを記録媒体に記録させる処理を行う信号処理部とを備える。
【0010】
本技術の第1~第5の側面においては、複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部において、同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素で露光され、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷が読み出される。さらに、第1及び第4の側面においては、Nが奇数の場合、N行間隔の読み出しを垂直方向に繰り返し行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しが行われ、第2の側面においては、Nが偶数の場合、(N-1)行間隔の読み出しと(N+1)行間隔の読み出しを垂直方向に交互に行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しが行われる。第3の側面においては、前記同一の露光タイミングで露光した画素行の電荷の読み出しと、所定のフレームレートで露光を繰り返した画素行の電荷の読み出しとが、1垂直走査期間ごとに交互に行われる。第5の側面においては、2(N-1)回の前記間引き読み出しにより前記固体撮像装置から供給される画像データのうち、奇数回目の画像データを表示部に表示させ、偶数回目の画像データを記録媒体に記録させる処理が行われる。
【0011】
固体撮像装置及び電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本技術を適用した固体撮像装置を備える撮像装置の一実施の形態を示すブロック図である。
図2】固体撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】画素の回路構成例を示す図である。
図4】グローバルシャッタ方式とローリングシャッタ方式の撮像方式を示す概念図である。
図5】グローバルシャッタ方式における画素の動作について簡単に説明する図である。
図6】ブラックアウトフリーを実現する第1の駆動方法を示す概念図である。
図7】ブラックアウトフリーを実現する第2の駆動方法を示す概念図である。
図8】ブラックアウトフリーを実現する第3の駆動方法を示す概念図である。
図9】ブラックアウトフリーを実現する第3の駆動方法を示す概念図である。
図10】ブラックアウトフリーを実現する第3の駆動方法を示す概念図である。
図11】ブラックアウトフリーを実現する第3の駆動方法を示す概念図である。
図12】第1の駆動方法乃至第3の駆動方法による読み出し速度を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.撮像装置の構成例
2.固体撮像装置の概略構成例
3.画素の回路構成例
4.ブラックアウトフリー実現の比較例
5.固体撮像装置の駆動
【0014】
<1.撮像装置の構成例>
図1は、本技術を適用した固体撮像装置を備える撮像装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【0015】
図1の撮像装置1は、例えば、デジタル一眼カメラやコンパクトデジタルカメラ等で構成され、被写体を撮像して撮像画像を生成し、静止画像または動画像として記録する。以下においては、主に静止画像が記録されるものとする。
【0016】
撮像装置1は、レンズ部11、操作部12、制御部13、固体撮像装置14、信号処理部15、記録部16、表示部17、AF制御部18、および駆動部19から構成される。
【0017】
レンズ部11は、被写体からの光(被写体光)を集光する。レンズ部11により集光された被写体光は、固体撮像装置14に入射される。
【0018】
レンズ部11は、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23を備えている。
【0019】
ズームレンズ21は、駆動部19の駆動により光軸方向に移動することにより焦点距離を変動させて、撮像画像に含まれる被写体の倍率を調整する。絞り22は、駆動部19の駆動により開口の度合いを変化させて、固体撮像装置14に入射する被写体光の光量を調整する。フォーカスレンズ23は、駆動部19の駆動により光軸方向に移動することによりフォーカスを調整する。なお、ズームレンズ21は省略されてもよい。
【0020】
操作部12は、ユーザからの操作を受け付ける。ユーザは、操作部12において、例えば、撮像モードの変更や、レリーズボタン(図示せず)押下の操作などを行う。操作部12は、例えば、レリーズボタンが押下された場合、その旨の操作信号を制御部13に供給する。
【0021】
制御部13は、撮像装置1の各部の動作を制御する。
【0022】
例えば、制御部13は、レリーズボタンが押下された旨の操作信号を受け付けた場合、静止画像の記録の指示を、信号処理部15に供給する。また、制御部13は、表示部17に、被写体のリアルタイムな画像であるライブビュー画像を表示する場合、ライブビュー画像の生成の指示を、信号処理部15に供給する。
【0023】
また、制御部13は、フォーカスの合焦判定を行う場合、合焦判定を行う動作の指示を、信号処理部15に供給する。フォーカスの制御方式には、例えば、コントラスト方式や位相差検出方式などがあるが、フォーカスの制御方式は問わない。
【0024】
固体撮像装置14は、受光した被写体光を光電変換して電気信号として出力する。固体撮像装置14は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより実現される。固体撮像装置14は、複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部を有し、各画素で受光した結果得られた画素信号を、信号処理部15に供給する。固体撮像装置14の詳細は、図2以降で詳述する。
【0025】
信号処理部15は、固体撮像装置14から供給される画素信号に対して各種の信号処理を施す。例えば、信号処理部15は、制御部13から静止画像の記録の指示が供給されている場合、固体撮像装置14からの画素信号に基づいて、記録用画像としての静止画像のデータ(静止画像データ)を生成し、記録部16に供給する。また、信号処理部15は、制御部13から表示用画像であるライブビュー画像の生成の指示が供給されている場合、固体撮像装置14からの画素信号に基づいて、ライブビュー画像のデータ(ライブビュー画像データ)を生成し、表示部17に供給する。信号処理部15は、例えば、デモザイク処理、シェーディング補正、混色補正等の所定の画像処理を必要に応じて行うことができる。
【0026】
また、信号処理部15は、固体撮像装置14から供給される画素信号に基づいて、フォーカス制御用の信号を生成し、AF制御部18に供給する。
【0027】
記録部16は、信号処理部15から供給された記録用画像(静止画像)の画像データを記録(記憶)する。記録部16は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)等のディスクやメモリカード等の半導体メモリ等、1または複数のリムーバブルな記録媒体で構成される。これらの記録媒体は、撮像装置1に内蔵されていてもよいし、撮像装置1から着脱可能であってもよい。
【0028】
表示部17は、信号処理部15から供給された表示用画像の画像データに基づいて、画像を表示する。表示部17には、例えば、ライブビュー画像や、記録部16から読み出された静止画像などが表示される。表示部17は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、EVF(electric viewfinder)等により実現される。
【0029】
AF制御部18は、信号処理部15から供給されたフォーカス制御用の信号に基づいて、フォーカスのずれ量(デフォーカス量)を算出し、フォーカスを合わせる対象の物体(合焦対象物)に対してフォーカスが合っているか否かを判定する。AF制御部18は、フォーカスエリアにおける物体にフォーカスが合っている場合、合焦していることを示す情報を合焦判定結果として、駆動部19に供給する。また、AF制御部18は、合焦対象物にフォーカスが合っていない場合、算出したデフォーカス量を示す情報を合焦判定結果として、駆動部19に供給する。
【0030】
駆動部19は、ズームレンズ21、絞り22、およびフォーカスレンズ23を駆動させる。例えば、駆動部19は、AF制御部18から供給された合焦判定結果に基づいて、フォーカスレンズ23の駆動量を算出し、その算出した駆動量に応じてフォーカスレンズ23を移動させる。
【0031】
具体的には、駆動部19は、フォーカスが合っている場合には、フォーカスレンズ23の現在の位置を維持させる。また、駆動部19は、フォーカスが合っていない場合には、デフォーカス量を示す合焦判定結果およびフォーカスレンズ23の位置に基づいて駆動量(移動距離)を算出し、その駆動量に応じてフォーカスレンズ23を移動させる。
【0032】
以上のように構成される撮像装置1において、ユーザは表示部17に表示される画像を確認して、撮像タイミングを決定し、レリーズボタン(シャッタボタン)を押下して撮像を行う。このとき、表示部17には、確認用の画像であるライブビュー画像が表示されており、レリーズボタン押下のタイミングで、記録用画像としての静止画像の画像データが、記録部16に記録される。
【0033】
撮像装置1の固体撮像装置14は、ユーザが表示部17に表示されるライブビュー画像を確認してレリーズタイミングを確定するまでの間は勿論、レリーズボタン押下後も、ブラックアウトフリーを実現した駆動を行うことができる。ここで、ブラックアウトとは、ライブビュー画像が表示部17に表示されない現象のことをいい、ブラックアウトフリーとは、ブラックアウトが発生しないことを表す。
【0034】
以下、固体撮像装置14の詳細について説明する。
【0035】
<2.固体撮像装置の概略構成例>
図2は、固体撮像装置14の概略構成を示すブロック図である。
【0036】
図1の固体撮像装置1は、半導体として例えばシリコン(Si)を用いた半導体基板に、画素51が行列状に2次元配置された画素アレイ部52と、その周辺の周辺回路部とを有して構成される。周辺回路部には、垂直駆動回路53、カラム信号処理回路54、水平駆動回路55、出力回路56、制御回路57などが含まれる。
【0037】
画素アレイ部52には、例えば、Red、Green、Blueのカラーフィルタをベイヤ配列で配置した画素51が、行列状に2次元配置されている。画素51は、光電変換部としてのフォトダイオードと、複数の画素トランジスタを有して成る。複数の画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、選択トランジスタ、リセットトランジスタ、及び、増幅トランジスタの4つのMOSトランジスタで構成される。
【0038】
また、画素51は、共有画素構造とすることもできる。この共有画素構造は、複数のフォトダイオードと、複数の転送トランジスタと、共有される1つのフローティングディフージョン(浮遊拡散領域)と、共有される1つずつの他の画素トランジスタとから構成される。すなわち、共有画素構造では、複数の単位画素を構成するフォトダイオード及び転送トランジスタが、他の1つずつの画素トランジスタを共有して構成される。
【0039】
垂直駆動回路53は、例えばシフトレジスタやアドレスデコーダによって構成され、所定の画素駆動配線59を選択し、選択された画素駆動配線59に画素51を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素51を駆動する。すなわち、垂直駆動回路53は、画素アレイ部52の各画素51を行単位で順次、垂直方向に選択走査し、各画素51の光電変換部において受光量に応じて生成された信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線58を通してカラム信号処理回路54に供給させる。なお、図2では、画素駆動配線59が1本で示されているが、実際には複数本の配線で構成される。
【0040】
カラム信号処理回路54は、画素51の列ごとに配置されており、1行分の画素51から出力される信号を画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行う。例えば、カラム信号処理回路54は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)およびAD変換等の信号処理を行う。
【0041】
水平駆動回路55は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路54の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路54の各々から、画素信号を水平信号線60に出力させる。
【0042】
出力回路56は、カラム信号処理回路54の各々から水平信号線60を通して順次に供給される信号に対し、所定の信号処理を行って出力する。出力回路56は、例えば、バファリングだけする場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正等の各種のデジタル信号処理を行う場合もある。
【0043】
制御回路57は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また固体撮像装置14の内部情報などのデータを出力する。すなわち、制御回路57は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路53、カラム信号処理回路54、及び、水平駆動回路55などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路57は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路53、カラム信号処理回路54、及び、水平駆動回路55等に出力する。入出力端子61は、例えば、はんだボール等で構成され、外部と信号のやりとりをする。
【0044】
以上のように構成される固体撮像装置14は、CDS処理とAD変換処理を行うカラム信号処理回路54が画素列ごとに配置されたカラムAD方式と呼ばれるCMOSイメージセンサである。
【0045】
<3.画素の回路構成例>
図3は、画素51の等価回路を示している。
【0046】
画素51は、フォトダイオード71、第1転送トランジスタ72、メモリ部(MEM)73、第2転送トランジスタ74、FD(フローティングディフュージョン)75、リセットトランジスタ76、増幅トランジスタ77、選択トランジスタ78、及び、排出トランジスタ79を有する。
【0047】
フォトダイオード71は、入射された光を受光して光電変換することで電荷(信号電荷)を生成し、蓄積する光電変換部である。フォトダイオード71のアノード端子が接地されているとともに、カソード端子が第1転送トランジスタ72を介してメモリ部73に接続されている。また、フォトダイオード71のカソード端子は、排出トランジスタ79とも接続されている。
【0048】
第1転送トランジスタ72は、転送信号TRXによりオンされたとき、フォトダイオード71で生成された電荷を読み出し、メモリ部73に転送する。メモリ部73は、読み出しタイミングとなってFD75に電荷を転送するまでの間、一時的に電荷を保持する電荷保持部である。第2転送トランジスタ74は、転送信号TRGによりオンされたとき、メモリ部73に保持されている電荷をFD75に転送する。
【0049】
FD75は、メモリ部73から読み出された電荷を信号として読み出すために保持する電荷保持部である。リセットトランジスタ76は、リセット信号RSTによりオンされたとき、FD75に保持されている電荷が定電圧源VDDに排出されることで、FD75の電位をリセットする。
【0050】
増幅トランジスタ77は、FD75の電位に応じた画素信号を出力する。すなわち、増幅トランジスタ77は定電流源としての負荷MOS80とソースフォロワ回路を構成し、FD75に保持されている電荷に応じたレベルを示す画素信号が、増幅トランジスタ77から選択トランジスタ78を介してカラム信号処理回路54(図2)に出力される。負荷MOS80は、例えば、カラム信号処理回路54内に設けられている。
【0051】
選択トランジスタ78は、選択信号SELにより画素51が選択されたときオンされ、画素51の画素信号を、垂直信号線58を介してカラム信号処理回路54に出力する。排出トランジスタ79は、排出信号OFGによりオンされたとき、フォトダイオード71に蓄積されている不要電荷を定電圧源VDDに排出する。転送信号TRX及びTRG、リセット信号RST、選択信号SEL、並び排出信号OFGは、垂直駆動回路53によって制御され、画素駆動配線59(図2)を介して供給される。
【0052】
画素51は、以上のような画素回路を有しており、固体撮像装置14は、グローバルシャッタ方式による撮像が可能である。
【0053】
図4は、グローバルシャッタ方式とローリングシャッタ方式の撮像方式を示す概念図である。
【0054】
ローリングシャッタ方式は、図4左側に示されるように、露光開始、露光終了、および、蓄積電荷の読み出しを、画素アレイ部52の上部(第1行)から順に行単位に実行する方式である。露光期間は各行で同一であっても、行単位で順番に露光および読み出し動作を実行するため、電荷を蓄積する露光期間を全ての画素で一致させることができず、被写体が動いている場合などには、撮像時に歪みが発生することになる。
【0055】
これに対して、グローバルシャッタ方式は、図4右側に示されるように、露光開始から露光終了まで動作は画素アレイ部52の全画素同時に行い、露光終了後に、画素アレイ部52の上部から順に読み出す方式である。グローバルシャッタ方式では、露光期間が全ての画素で一致するため、被写体が動いている場合などにおいても、歪みが発生することはない。
【0056】
図5を参照して、グローバルシャッタ方式における画素51の動作について簡単に説明する。
【0057】
まず、露光開始前に、Highレベルの排出信号OFGが排出トランジスタ79に供給されることにより排出トランジスタ79がオンされ、フォトダイオード71に蓄積されている電荷が定電圧源VDDに排出され、フォトダイオード71がリセットされる。
【0058】
フォトダイオード71のリセット後、排出トランジスタ79が、Lowレベルの排出信号OFGによりオフされると、全画素で露光が開始される。
【0059】
予め定められた所定の露光時間が経過すると、図5のAに示されるように、フォトダイオード71に、受光量に応じた電荷が生成および蓄積される。そして、図5のBに示されるように、画素アレイ部52の全画素において、転送信号TRXにより第1転送トランジスタ72がオンされ、フォトダイオード71に蓄積されていた電荷が、メモリ部73に転送される。
【0060】
第1転送トランジスタ72がオフされた後、各画素51のメモリ部73に保持されている電荷が、行単位に、順次、カラム信号処理回路54に読み出される。読み出し動作は、図5のCに示されるように、読み出し行の画素51の第2転送トランジスタ74が転送信号TRGによりオンされ、メモリ部73に保持されている電荷が、FD75に転送される。そして、選択トランジスタ78が選択信号SELによりオンされることで、FD75に保持されている電荷に応じたレベルを示す信号が、増幅トランジスタ77から選択トランジスタ78を介してカラム信号処理回路54に出力される。
【0061】
<4.ブラックアウトフリー実現の比較例>
ブラックアウトフリーを実現する固体撮像装置14の駆動を説明する前に、比較例として、ブラックアウトフリーを実現するその他の駆動について簡単に説明する。
【0062】
なお、図6および図7を参照して説明する駆動は、設定されるフレームレートなど一定の条件の下においては固体撮像装置14が実行することも可能であるため、固体撮像装置14が実行することとして説明する。
【0063】
以下では、120fpsのフレームレートに相当する垂直同期信号が、画素アレイ部52に供給され、その垂直同期信号に基づいて、画素アレイ部52の全画素の露光および読み出しが行われるものとする。
【0064】
図6は、ブラックアウトフリーを実現する比較例としての第1の駆動方法を示す概念図である。
【0065】
第1の駆動方法は、単純に、120fpsのフレームレートで画素アレイ部52の全画素の露光および読み出しにより記録用画像としての静止画像を生成し、それと同じスピードで、静止画像をライブビュー画像として表示部17に表示(LV表示)させる方法である。この駆動方法では、フレームレートが30fpsなど、比較的低速である場合には問題ないが、60fpsや120fpsなど、フレームレートが高速になるほど、回路規模が大きくなり、消費電力も大きくなる。また、10fpsなど、フレームレートが低速すぎる場合には、ライブビュー画像がコマ送りのような非連続的な画像になる。
【0066】
図7は、ブラックアウトフリーを実現する比較例としての第2の駆動方法を示す概念図である。
【0067】
第2の駆動方法は、記録部16に記録させる記録用画像としての静止画像とは別に、ライブビュー画像を間引き読み出しにより生成し、表示部17に表示させる方法である。この駆動方法では、全画素の露光および読み出しによる静止画像と、間引き読み出しによるライブビュー画像用の画像との両方を表示部17に表示させることができるが、記録用画像用の駆動と、ライブビュー画像用の駆動とを切り替える必要があり、モード切替え時は画像生成ができない。そのため、図7に示されるように、垂直同期タイミングの2回に1回の割り合いで画像が生成されず、表示部17に表示されるライブビュー画像のフレームレートは、垂直同期信号の半分に相当する60fpsとなってしまう。第1の駆動方法と同様のフレームレート(120fps)で表示部17に画像を表示させようとすると、2倍のスピードによる画素読み出しが必要となり、やはり、高速駆動により消費電力が増大する。
【0068】
したがって、図6および図7の第1の駆動方法および第2の駆動方法では、いずれも、高速駆動で画像を読み出す必要があり、高速読み出し用の回路が必要となり、消費電力も大きくなる。
【0069】
<5.固体撮像装置の駆動>
次に、図8乃至図12を参照して、ブラックアウトフリーを実現した固体撮像装置14による駆動方法を説明する。以下で説明する駆動方法を、第3の駆動方法と呼ぶことにする。
【0070】
第3の駆動方法では、固体撮像装置14は、同一の露光タイミングで画素アレイ部52の全画素を露光し、全画素を1/N(Nは自然数)に間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、同一の露光タイミングにより生成された画素アレイ部52の全画素の電荷を読み出し、静止画像として記録部16に記録する。
【0071】
図8は、N=5、すなわち、同一の露光タイミングで露光した全画素の電荷を、1/5に間引いた1/5間引き読み出しを8回行うことで静止画像を出力し、記録部16に記録する例を示している。1/5間引き読み出しでは、8回の1/5間引き読み出しを1シーケンスとして行うことにより、同一の露光タイミングで露光された1枚の静止画像が撮像装置1へ出力される。
【0072】
図8において、時刻t1、t2、t3、・・・は、120fpsのフレームレートの垂直同期信号に従った画素アレイ部52の読み出しタイミングを示している。
【0073】
初めに、固体撮像装置14は、時刻t1乃至t2の1垂直走査期間において、画素アレイ部52の全画素行に対して同一の露光期間による露光を行う。図8の一番左側に示される画素データ101は、時刻t1乃至t2における露光期間終了後に、画素アレイ部52の各画素51に電荷が蓄積されたことを示している。
【0074】
露光期間終了後、固体撮像装置14は、画素アレイ部52の全画素行を5行間隔(5行おき)で読み出す1/5間引き読み出しを行う。時刻t1乃至t2の期間における1/5間引き読み出しにより、画素アレイ部52の第(1+5p)画素行(p=0,1,2,3,4・・・、以下同じ。)が、第1画素行から順次、行単位に読み出される。画素データ102は、時刻t1乃至t2の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。
【0075】
時刻t1乃至t2の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、記録用画像である静止画像の一部、かつ、表示用画像であるライブビュー画像として利用される。
【0076】
次の時刻t2乃至t3の1垂直走査期間において、固体撮像装置14は、次の1/5間引き読み出しを行う。この期間における1/5間引き読み出しにより、画素アレイ部52の第(2+5p)画素行が、第2画素行から順次、行単位に読み出される。画素データ103は、時刻t2乃至t3の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。
【0077】
時刻t2乃至t3の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、記録用画像である静止画像の一部として利用される。
【0078】
次の時刻t3乃至t4の1垂直走査期間において、固体撮像装置14は、時刻t1における読み出し行と同じ、第(1+5p)画素行の露光および読み出しを行う。すなわち、固体撮像装置14は、画素アレイ部52の全画素行のうち、静止画像の画素信号を既に読み出した画素行のみを用いて、露光および読み出しを行う。画素データ104は、時刻t3乃至t4の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。画素データ104においては、各画素が、ハッチングとは異なる模様(ドット)で表されている。これは、読み出された画素信号が、時刻t1で生成された静止画像の画素信号と異なる画素信号であることを示している。
【0079】
時刻t3乃至t4の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、表示用画像であるライブビュー画像として利用される。
【0080】
次の時刻t4乃至t5の1垂直走査期間において、固体撮像装置14は、次の1/5間引き読み出しを行う。この期間における1/5間引き読み出しにより、画素アレイ部52の第(3+5p)画素行が、第3画素行から順次、行単位に読み出される。画素データ105は、時刻t4乃至t5の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。
【0081】
時刻t4乃至t5の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、記録用画像である静止画像の一部として利用される。
【0082】
次の時刻t5乃至t6の1垂直走査期間において、固体撮像装置14は、時刻t1における読み出し行と同じ、第(1+5p)画素行の露光および読み出しを行う。すなわち、固体撮像装置14は、画素アレイ部52の全画素行のうち、静止画像の画素信号を既に読み出した画素行のみを用いて、露光および読み出しを行う。画素データ106は、時刻t5乃至t6の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。画素データ106においては、各画素が、ハッチングとは異なる模様(斜め格子)で表されている。これは、読み出された画素信号が、時刻t1で生成された静止画像の画素信号と異なる画素信号であることを示している。
【0083】
時刻t5乃至t6の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、表示用画像であるライブビュー画像として利用される。
【0084】
次の時刻t6乃至t7の1垂直走査期間において、固体撮像装置14は、次の1/5間引き読み出しを行う。この期間における1/5間引き読み出しにより、画素アレイ部52の第(4+5p)画素行が、第4画素行から順次、行単位に読み出される。画素データ107は、時刻t6乃至t7の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。
【0085】
時刻t6乃至t7の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、記録用画像である静止画像の一部として利用される。
【0086】
次の時刻t7乃至t8の1垂直走査期間において、固体撮像装置14は、時刻t1における読み出し行と同じ、第(1+5p)画素行の露光および読み出しを行う。すなわち、固体撮像装置14は、画素アレイ部52の全画素行のうち、静止画像の画素信号を既に読み出した画素行のみを用いて、露光および読み出しを行う。画素データ108は、時刻t7乃至t8の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。画素データ108においては、各画素が、ハッチングとは異なる模様(格子)で表されている。これは、読み出された画素信号が、時刻t1で生成された静止画像の画素信号と異なる画素信号であることを示している。
【0087】
時刻t7乃至t8の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、表示用画像であるライブビュー画像として利用される。
【0088】
次の時刻t8乃至t9の1垂直走査期間において、固体撮像装置14は、次の1/5間引き読み出しを行う。この期間における1/5間引き読み出しにより、画素アレイ部52の第(5+5p)画素行が、第5画素行から順次、行単位に読み出される。画素データ107は、時刻t8乃至t9の1/5間引き読み出しにより読み出された画素行を示している。
【0089】
時刻t8乃至t9の1/5間引き読み出しにより読み出された各画素行の画素信号は、撮像装置1において、記録用画像である静止画像の一部として利用される。
【0090】
以上のように、1/5間引き読み出しでは、8回の1/5間引き読み出しを1シーケンスとして行うことにより、同一の露光タイミングで露光された1枚の静止画像が撮像装置1へ出力される。
【0091】
固体撮像装置14は、1シーケンスにおいて、画素アレイ部52の1/5の画素行については120fpsの半分の60fpsのフレームレートで露光を繰り返す。そして、固体撮像装置14は、1シーケンスの最初の1垂直走査期間(時刻t1乃至t2)において同一の露光タイミングで露光した画素行の電荷の読み出しと、60fpsのフレームレートで露光した画素行の電荷の読み出しとを、1垂直走査期間で交互に行う。60fpsのフレームレートで露光が繰り返される画素行は、時刻t1乃至t9の8回の1/5間引き読み出しのうち、奇数回目に読み出される画素行であり、同一の画素行である。
【0092】
60fpsのフレームレートで露光が繰り返し行われる第(1+5p)画素行の各画素51では、1垂直走査期間において、フォトダイオード71およびFD75のリセット、受光量に応じた電荷の生成、メモリ部73への転送および保持、FD75への転送および読み出しが実行される。
【0093】
1シーケンスの偶数回目に読み出される画素行の各画素51では、時刻t1乃至t2の1垂直走査期間において受光量に応じた電荷が、メモリ部73への転送された後、読み出しタイミングの1垂直走査期間となるまで、メモリ部73でそのまま保持される。そして、読み出しタイミングの1垂直走査期間となったときに、メモリ部73で保持されていた電荷が、FD75へ転送され、読み出される。
【0094】
以上の時刻t1乃至t9の8垂直走査期間(1シーケンス)における固体撮像装置14の信号出力により、図9に示されるように、撮像装置1の記録部16には、120fpsの半分の60fpsのフレームレートで5回に分けて出力されて生成された静止画像110が記録される。
【0095】
また、撮像装置1の表示部17には、120fpsの半分の60fpsのフレームレートで更新される、画素アレイ部52のフル解像度の1/5の解像度のライブビュー画像121乃至124が順次表示される。
【0096】
図10は、N=4、すなわち、同一の露光タイミングで露光した全画素の電荷を、1/4に間引いた1/4間引き読み出しを6回行うことで静止画像を出力する場合の例を示している。
【0097】
1/4間引き読み出しでは、1シーケンスが6回の1/4間引き読み出しで構成され、6回の1/4間引き読み出しを行うことにより、同一の露光タイミングで露光された1枚の静止画像が撮像装置1へ出力される。
【0098】
時刻t11乃至t12の1垂直走査期間において露光されて得られた画素データ141が、1回目の時刻t11乃至t12の1/4間引き読み出しによる画素データ142、2回目の時刻t12乃至t13の1/4間引き読み出しによる画素データ143、4回目の時刻t14乃至t15の1/4間引き読み出しによる画素データ145、および、6回目の時刻t16乃至t17の1/4間引き読み出しによる画素データ147に分割されて、順番に撮像装置1に出力され、1枚の静止画像として、撮像装置1の記録部16に記録される。
【0099】
一方、1回目の時刻t11乃至t12の1/4間引き読み出しによる画素データ142、3回目の時刻t13乃至t14の1/4間引き読み出しによる画素データ144、および、5回目の時刻t15乃至t16の1/4間引き読み出しによる画素データ146が、順次、撮像装置1に出力され、ライブビュー画像として、撮像装置1の表示部17に表示される。
【0100】
ここで、図8に示した1/5間引き読み出しでは、1垂直走査期間における読み出し画素行が5行間隔となっていたのに対して、図10の1/4間引き読み出しでは、2行間隔と4行間隔とが交互に配置されている。換言すれば、図8に示した1/5間引き読み出しでは、1/5間引き読み出しが垂直方向に繰り返し実行されていたのに対して、図10の1/4間引き読み出しでは、1/3間引き読み出しと1/5間引き読み出しとを交互に垂直方向に繰り返し実行することにより、1/4間引き読み出しが実現されている。これは、以下のような理由による。
【0101】
ベイヤ配列のイメージセンサでは、1/4間引き読み出しや1/6間引き読み出しのように、1/N間引きのNが偶数である場合に、N行間隔で読み出すと、読み出し画素行が、Red画素とGreen画素の画素行であるRG画素行か、または、Green画素とBlue画素の画素行であるGB画素行のいずれか一方のみとなり、ライブビュー画像の色情報に偏りが発生する。そこで、固体撮像装置14は、Nが偶数である場合の1/N間引き読み出しでは、1/(N-1)間引き読み出しと1/(N+1)間引き読み出しとを交互に行うことで、画素アレイ部52全体として1/N間引き読み出しを行う。これにより、RG画素行とGB画素行とを交互に読み出すことができ、ライブビュー画像における色情報の偏りの発生を防止することができる。
【0102】
図11は、N=3、すなわち、同一の露光タイミングで露光した全画素の電荷を、1/3に間引いた1/3間引き読み出しを4回行うことで静止画像を出力する場合の例を示している。
【0103】
1/3間引き読み出しでは、1シーケンスが4回の1/3間引き読み出しで構成され、4回の1/3間引き読み出しを行うにより、同一の露光タイミングで露光された1枚の静止画像が撮像装置1へ出力される。
【0104】
時刻t21乃至t22の1垂直走査期間において露光されて得られた画素データ161が、1回目の時刻t21乃至t22の1/3間引き読み出しによる画素データ162、2回目の時刻t22乃至t23の1/3間引き読み出しによる画素データ163、および、4回目の時刻t24乃至t25の1/3間引き読み出しによる画素データ165に分割されて、順番に撮像装置1に出力され、1枚の静止画像として、撮像装置1の記録部16に記録される。
【0105】
一方、1回目の時刻t21乃至t22の1/3間引き読み出しによる画素データ162、および、3回目の時刻t33乃至t34の1/3間引き読み出しによる画素データ164が、順次、撮像装置1に出力され、ライブビュー画像として、撮像装置1の表示部17に表示される。
【0106】
図11の1/3間引き読み出しは、Nが奇数である場合の1/N間引き読み出しであるので、図8に示した1/5間引き読み出しと同様に、1垂直走査期間における読み出し画素行が3行間隔となっている。
【0107】
以上のように、1/N間引き読み出しでは、1シーケンスが2(N-1)回の1/N間引き読み出しで構成され、2(N-1)回の1/N間引き読み出しにより、同一の露光タイミングで露光された1枚の静止画像が撮像装置1へ出力される。固体撮像装置14は、Nが奇数の場合の1/N間引き読み出しでは、N行間隔の読み出しを垂直方向に繰り返し行い、Nが偶数の場合の1/N間引き読み出しでは、(N-1)行間隔の読み出しと(N+1)行間隔の読み出しを垂直方向に交互に行う。
【0108】
また、固体撮像装置14は、同一の露光タイミングで露光した画素行の電荷の読み出しと、画素アレイ部52の1/Nの画素行について120fpsの半分の60fpsのフレームレートで露光を繰り返した画素行の電荷の読み出しとを、1垂直走査期間ごとに交互に行う。120fpsの半分の60fpsのフレームレートで露光が繰り返される画素行は、2(N-1)回の1/N間引き読み出しのうち、奇数回目に読み出される画素行であり、同一の画素行である。
【0109】
図12は、第1の駆動方法乃至第3の駆動方法による読み出し速度を比較した表である。
【0110】
図12に示されるように、撮像装置1の表示部17に表示されるライブビュー画像のフレームレート(表示フレームレート)を、例えば、30fps、60fps、120fpsとする場合について比較する。
【0111】
第1の駆動方法によれば、固体撮像装置14は、表示フレームレートと同じスピードで画像を読み出し、出力する必要がある。すなわち、第1の駆動方法では、30fps、60fps、120fpsの表示フレームレートに対応する読み出し速度は、それぞれ、30fps、60fps、120fpsとなる。
【0112】
第2の駆動方法によれば、固体撮像装置14は、表示フレームレートの2倍のスピードで画像を読み出し、出力する必要がある。すなわち、第2の駆動方法では、30fps、60fps、120fpsの表示フレームレートに対応する読み出し速度は、それぞれ、60fps、120fps、240fpsとなる。
【0113】
これに対して、第3の駆動方法によれば、図8を参照して説明したように、1/5間引き読み出しの場合、120fpsの半分の60fpsのフレームレートで表示され、このとき、1/5間引き読み出しであるので、読み出し速度は、120/5=24fpsに相当する。すなわち、60fpsの表示フレームレートに対応する読み出し速度は、24fpsである。したがって、第3の駆動方法では、30fps、60fps、120fpsの表示フレームレートに対応する読み出しフレームレートは、それぞれ、12fps、24fps、48fpsとなる。
【0114】
以上のように、第3の駆動方法によれば、過度に高速読み出しをする必要がなく、低速読み出しで、ブラックアウトフリーを実現できる。高速読み出しが不要となることで、消費電力を低減することができ、高速読み出し用の回路を削減できるので、固体撮像装置14を低コストで製造することができる。
【0115】
第3の駆動方法による固体撮像装置14からの静止画像とライブビュー画像の出力に応じた撮像装置1の処理について説明する。
【0116】
撮像装置1の制御部13は、操作部12においてユーザによって設定された撮像モード等に応じて、第3の駆動方法による動作モードを固体撮像装置14および信号処理部15に指定する。第3の駆動方法による動作モードは、制御部13から信号処理部15に指定され、信号処理部15が固体撮像装置14へ第3の駆動方法を指定してもよい。
【0117】
固体撮像装置14は、第3の駆動方法による動作モードが指定されると、上述したように、1シーケンスの最初の1垂直走査期間に同一の露光タイミングで全画素露光を行う。そして、固体撮像装置14は、1シーケンスの奇数回目の1垂直走査期間に、表示用画像であるライブビュー画像の1/N間引き読み出しを行い、1シーケンスの偶数回目の1垂直走査期間に、記録用画像である静止画像の1/N間引き読み出しを行う。ただし、1シーケンスの最初のライブビュー画像のデータは、静止画像のデータを兼用する。
【0118】
信号処理部15は、第3の駆動方法による動作モードが指定されると、固体撮像装置14から上述の順番で静止画像およびライブビュー画像のデータが供給されることを識別し、供給された画像のデータに応じた処理を行う。具体的には、信号処理部15は、固体撮像装置14からライブビュー画像のデータが供給された場合には、それを表示部17に供給して表示部17に表示させる。また、信号処理部15は、固体撮像装置14から静止画像のデータが供給された場合には、それを記録部16に供給して記録媒体に記録させる。ライブビュー画像と静止画像の兼用のデータは、表示部17と記録部16の両方に供給される。
【0119】
上述した実施の形態を適用した固体撮像装置14を用いることで、撮像装置1において、ブラックアウトフリーを実現することができる。
【0120】
<その他>
撮像装置1の制御部13は、操作部12においてユーザが指定した撮像モード等によっては、上述した第1の駆動方法または第2の駆動方法による動作モードを固体撮像装置14および信号処理部15に指定して、動作させることも可能である。
【0121】
上述した画素51の画素回路は、フォトダイオード71で生成された電荷を読み出しタイミングとなるまで保持するメモリ部73を備える構成としたが、画素51の画素回路としてメモリ部73を備えない回路構成を用いて、上述した第3の駆動方法を実行してもよい。その場合、フォトダイオード71で生成された電荷は、読み出しタイミングとなるまでFD75で保持される。
【0122】
上述した実施の形態は、本技術を適用した固体撮像装置を備える撮像装置の一実施の形態について説明したが、本技術は、固体撮像装置を備える撮像装置以外の電子機器、例えば、スマートフォン等の撮像機能を有する携帯端末装置や、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、ウェアラブル端末などに適用することができる。
【0123】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0124】
例えば、上述した実施の形態の一部を適宜組み合わせた形態を採用することができる。
【0125】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0126】
なお、本技術は、以下の構成を取ることができる。
(1)
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部と
を備える固体撮像装置。
(2)
前記制御部は、Nが奇数の場合、N行間隔の読み出しを垂直方向に繰り返し行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記制御部は、Nが偶数の場合、(N-1)行間隔の読み出しと(N+1)行間隔の読み出しを垂直方向に交互に行うことで、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを行う
前記(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記制御部は、2(N-1)回の前記間引き読み出しの奇数回目については同じ画素行を読み出す
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(5)
前記制御部は、前記同一の露光タイミングで露光した画素行の電荷の読み出しと、所定のフレームレートで露光を繰り返した画素行の電荷の読み出しとを、1垂直走査期間ごとに交互に行う
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(6)
前記制御部は、前記画素アレイ部の同一の画素行において、前記所定のフレームレートで露光を繰り返す
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(7)
前記画素は、
入射された光を受光して光電変換することで電荷を生成する光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を転送する第1転送トランジスタと、
前記第1転送トランジスタによって前記光電変換部から転送された前記電荷を読み出しタイミングまで保持する第1電荷保持部と、
前記読み出しタイミングにおいて前記第1電荷保持部に保持された前記電荷を転送する第2転送トランジスタと、
前記第2転送トランジスタによって前記第1電荷保持部から転送された前記電荷を保持する第2電荷保持部と
を有する
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(8)
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部を備える固体撮像装置が、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す
固体撮像装置の駆動方法。
(9)
複数の画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部と、
同一の露光タイミングで前記画素アレイ部の全画素を露光し、全画素を1/Nに間引いた間引き読み出しを2(N-1)回行うことで、前記同一の露光タイミングにより生成された前記画素アレイ部の全画素の電荷を読み出す制御部と
を備える固体撮像装置
を備える電子機器。
(10)
2(N-1)回の前記間引き読み出しにより前記固体撮像装置から供給される画像データのうち、奇数回目の画像データを表示部に表示させ、偶数回目の画像データを記録媒体に記録させる処理を行う信号処理部をさらに備える
前記(9)に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0127】
1 撮像装置, 12 操作部, 13 制御部, 14 固体撮像装置, 15 信号処理部, 16 記録部, 17 表示部, 51 画素, 52 画素アレイ部, 53 垂直駆動回路, 71 フォトダイオード, 72 第1転送トランジスタ, 73 メモリ部(MEM), 74 第2転送トランジスタ, 75 FD, 76 リセットトランジスタ, 77 増幅トランジスタ, 78 選択トランジスタ
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