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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】高圧流体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/385 20060101AFI20241112BHJP
   F16K 7/17 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F16K31/385
F16K7/17 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021551139
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2020023523
(87)【国際公開番号】W WO2021065090
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019181790
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】土居 義忠
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博章
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直美
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/073834(WO,A1)
【文献】実開昭60-081366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/00-7/20
13/00-13/10
25/00-25/04
29/00-29/02
31/12-31/165
31/36-31/42
33/00
39/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポート(20)に連通する第1流路(26)と出力ポート(22)に連通する第2流路(28)が形成されたボデイ(12)と、前記ボデイに設けられた弁座(24a)と協働して前記第1流路と前記第2流路の連通と遮断を切り換えるダイヤフラム弁体(14)とを備える高圧流体吐出装置であって、
前記第1流路に連なる弁室(36)とパイロット室(34)とが前記ダイヤフラム弁体によって区画され、前記ダイヤフラム弁体には、前記弁室と前記パイロット室とを連通するパイロット通路(38)が設けられ、前記パイロット室と排出ポート(78)の連通と遮断を切り換えるパイロット式スプールバルブ(18)が設けられ
前記パイロット式スプールバルブのスプール弁体(50)の一端側には、前記パイロット式スプールバルブの駆動部(44)からのパイロット圧が供給される第1作用室(70)が配置され、前記スプール弁体の他端側には、前記パイロット室の圧力流体が導入される第2作用室(72)が配置され、前記第2作用室に対する前記パイロット室の圧力流体の導入は、前記スプール弁体の外周面とバルブハウジング(54)の内周面との隙間を介して行われ、前記スプール弁体の移動により前記パイロット室が前記排出ポートに連通した状態では、前記パイロット通路と前記第2作用室との間は遮断されている高圧流体吐出装置。
【請求項2】
請求項記載の高圧流体吐出装置において、
前記スプール弁体の一端には、前記スプール弁体の外径よりも大きい外径を有するピストン(48)が連結される高圧流体吐出装置。
【請求項3】
請求項1記載の高圧流体吐出装置において、
前記入力ポートにはタンク(82)が接続される高圧流体吐出装置。
【請求項4】
請求項1記載の高圧流体吐出装置において、
前記入力ポートにはタンクと同等の機能を有する直線状の配管(84)が接続される高圧流体吐出装置。
【請求項5】
請求項1記載の高圧流体吐出装置において、
前記入力ポートにはタンクと同等の機能を有する屈曲状の配管(88)が接続される高圧流体吐出装置。
【請求項6】
請求項1記載の高圧流体吐出装置において、
前記入力ポートにはフィルタ(94)が接続される高圧流体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧流体を吐出する高圧流体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、切削加工においてワークの表面に付着した金属の切粉を除去してワークの表面を清浄化するため、圧縮空気等の高圧流体を吹き付ける装置が使われている。
【0003】
特開2014-83518号公報には、このような用途に使われる間欠エアブローガンが記載されている。この間欠エアブローガンは、作業者がスイッチレバーを握るとエア噴出流路の開閉弁が開となり、圧気源からのエアが吐出口から噴出する。これと同時に、エア噴出流路を流れるエアの一部がパイロット弁に供給され、パイロット弁が開になると、圧気源からのエアの一部がバイパス流路を通って開閉弁の二次側に送られ、開閉弁が閉となる。
【0004】
しかしながら、このようなエアブローガンでエアの吐出を行うには、作業場で作業者がレバーを握って操作する必要があり、例えば、水飛沫が飛散する場所でエアブローガンを操作しなければならない場合、作業者が濡れてしまうという不具合がある。
【0005】
また、特許第6429133号公報には、電磁コイルへの通電によって可動鉄心とともにパイロット弁体を駆動し、圧力流体の流路と該流路からダイヤフラム等の主弁体によって仕切られた圧力室との間に圧力差を生じさせることにより、主弁体を開弁方向に駆動するパイロット式電磁弁が記載されている。このような電磁弁を高圧流体吐出装置として使用すれば、遠隔制御が可能である。
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、特許第6429133号公報に記載されたパイロット式電磁弁は、電磁コイルへの通電によって流路と向き合うパイロット弁体を直接駆動する方式(直動式)であり、大流量に対応するためには、供給電力を大きくする必要がある。すなわち、主弁体の振動を抑制し、安定した開閉動作を行わせるためには、強い付勢力を有する戻しばねと、大きな電力を供給可能な電磁コイル等を備えることが必要になる。このため、装置が大型化するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情を背景としてなされたものであり、小型でありながら大流量に対応可能な高圧流体吐出装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明に係る高圧流体吐出装置は、入力ポートに連通する第1流路と出力ポートに連通する第2流路が形成されたボデイと、ボデイに設けられた弁座と協働して第1流路と第2流路の連通と遮断を切り換えるダイヤフラム弁体とを備えている。そして、第1流路に連なる弁室とパイロット室とがダイヤフラム弁体によって区画され、ダイヤフラム弁体には、弁室とパイロット室とを連通するパイロット通路が設けられ、パイロット室と排出ポートの連通と遮断を切り換えるパイロット式スプールバルブが設けられたものである。
【0009】
上記高圧流体吐出装置によれば、流路と向き合わないパイロット式スプールバルブの作動に必要な電力は小さなもので足りるので、小型でありながら大流量の高圧流体を吐出することができる。
【0010】
本発明に係る高圧流体吐出装置は、パイロット室と排出ポートの連通と遮断を切り換えるパイロット式スプールバルブを設けたので、小型でありながら大流量に対応可能な高圧流体吐出装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る高圧流体吐出装置の断面図である。
図2図1の高圧流体吐出装置が別の動作状態にあるときの図1に対応する図である。
図3図1の高圧流体吐出装置にタンクを接続した使用形態を示す図である。
図4図1の高圧流体吐出装置にタンクと同等の機能を有する直線状の配管を接続した使用形態を示す図である。
図5図1の高圧流体吐出装置にタンクと同等の機能を有する屈曲状の配管を接続した使用形態を示す図である。
図6図1の高圧流体吐出装置にフィルタを接続した使用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る高圧流体吐出装置の基本構成について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向に関する言葉を用いたときは、便宜上、図面上での方向をいうものであって、部材等の実際の配置を限定するものではない。
【0013】
図1および図2に示されるように、高圧流体吐出装置10は、内部に圧縮空気等の圧力流体の流路が形成されたボデイ12と、ボデイ12の内部に収容されるダイヤフラム弁体14と、ボデイ12の上方に配設されるボンネット16と、ボンネット16の上方に配設されるパイロット式スプールバルブ18とを有する。
【0014】
ボデイ12の左側端部には、圧縮空気等の圧力流体をボデイ12内に導入するための入力ポート20が設けられ、ボデイ12の右側端部には、ボデイ12内に導入された圧力流体を外部に吐出するための出力ポート22が設けられている。ボデイ12の中央には隔壁24が設けられ、圧力流体の流路は、隔壁24によって、入力ポート20に連通する第1流路26と出力ポート22に連通する第2流路28とに区画されている。隔壁24の上端部には、ダイヤフラム弁体14が着座する弁座24aが設けられている。
【0015】
ダイヤフラム弁体14は、円柱形状をなす厚肉の本体部30と、本体部30に比べて薄肉で屈曲自在のフランジ部32とを有する。フランジ部32の外周縁部は、ボデイ12とボンネット16との間で挟持される。ダイヤフラム弁体14は、本体部30の底面において隔壁24の弁座24aに着座可能である。ダイヤフラム弁体14が弁座24aから離間すると、第1流路26と第2流路28が連通し、ダイヤフラム弁体14が弁座24aに着座すると、第1流路26と第2流路28の連通が遮断される。
【0016】
ダイヤフラム弁体14の上方、すなわち、ダイヤフラム弁体14とボンネット16との間には、パイロット室34が形成されているとともに、ダイヤフラム弁体14の本体部30の側方には、第1流路26に連なる環状の弁室36が形成されている。ダイヤフラム弁体14の本体部30の内部には、弁室36とパイロット室34を相互に連通せしめるパイロット通路38が設けられている。パイロット通路38の一端は、弁室36に臨む本体部30の側面に開口し、パイロット通路38の他端は、パイロット室34に臨む本体部30の上面に開口する。
【0017】
ボンネット16の下面には、パイロット室34を画成する凹部40が設けられている。この凹部40は、ダイヤフラム弁体14が上方に移動したときにダイヤフラム弁体14のフランジ部32と当接する傾斜面40aを有している。ボンネット16には、上下方向に貫通する連通路42が設けられている。連通路42の上端はパイロット式スプールバルブ18に向けて開口し、連通路42の下端は凹部40に臨んでいる。
【0018】
パイロット式スプールバルブ18は、圧縮空気等によるパイロット圧をスプール弁部46に供給する駆動部44と、駆動部44から供給されるパイロット圧によって動作状態が切り換わるスプール弁部46とからなる。駆動部44とスプール弁部46は、左右方向に延在し、それらの端部同士で連結されている。なお、図1および図2において、スプール弁部46は断面図として示されているが、駆動部44は外観形状で示されている。
【0019】
スプール弁部46は、一端にピストン48が一体的に連結されたスプール弁体50を備える。ピストン48の外径(最大外径)は、スプール弁体50の外径(最大外径)よりも大きい。スプール弁体50およびピストン48は、ボンネット16の上面に固定されたバルブハウジングの内部で左右方向に摺動可能に支持される。
【0020】
バルブハウジングは、左右方向に貫通する孔部を有する中央ハウジング54と、有底状の孔部を有する端部ハウジング56と、端部プレート58とを有する。中央ハウジング54は、スプール弁体50の外周面を案内する。端部ハウジング56は、ピストン48の外周面を案内するとともに、中央ハウジング54の一端側を閉塞する。端部プレート58は、中央ハウジング54の他端側を閉塞する。中央ハウジング54の上部には、径方向に貫通する第1通路54aが設けられ、中央ハウジング54の下部には、径方向に貫通する第2通路54bが設けられている。第2通路54bは、ボンネット16の連通路42と対応する位置に設けられており、連通路42を介してパイロット室34と連通している。
【0021】
スプール弁体50の中央付近には、第1ランド部60aおよび第2ランド部60bが軸方向に所定間隔を置いて設けられている、第1ランド部60aに装着された第1パッキン62aは、第2通路54bの左方において、中央ハウジング54の内周面に当接可能である。第2ランド部60bに装着された第2パッキン62bは、第2通路54bの右方において、中央ハウジング54の内周面に当接可能である。
【0022】
ピストン48に近接する側のスプール弁体50の端部である第1端部64aと第1ランド部60aとの間には、環状の第1溝部66aが形成されている。第1溝部66aは、スプール弁体50の摺動位置に関わらず、中央ハウジング54の第1通路54aと連通している。ピストン48から離間する側のスプール弁体50の端部である第2端部64bと第2ランド部60bとの間には、環状の第2溝部66bが形成されている。
【0023】
スプール弁体50の第1端部64aには、中央ハウジング54の内周面に摺接するシールリング65が装着されている。一方、スプール弁体50の第2端部64bの外周面と中央ハウジング54の内周面との間には、所定の隙間68が確保されており、第2溝部66bは、この隙間68を介して、第2端部64bと端部プレート58との間に設けられた空間、すなわち第2作用室72と連通している。第2溝部66bが中央ハウジング54の第2通路54bと連通するとき、パイロット室34の圧力流体が第2作用室72に導入される。
【0024】
ピストン48の外周には、端部ハウジング56の孔部の内周面と摺接するピストンパッキン48aが装着されている。ピストン48と端部ハウジング56の孔部の底面57との間には、駆動部44の通電時に駆動部44からのパイロット圧が導入される第1作用室70が形成されている。
【0025】
スプール弁体50およびピストン48は、ピストン48の端面が端部ハウジング56の孔部の底面57に当接する位置(図1参照)と、ピストン48の外周に設けられたフランジ48bが中央ハウジング54の端面に当接する位置(図2参照)との間で移動可能となっている。
【0026】
ピストン48の端面が端部ハウジング56の孔部の底面57に当接する位置およびその近傍にあるとき、中央ハウジング54の第2通路54bは、スプール弁体50の第2溝部66bと連通する。ピストン48のフランジ48bが中央ハウジング54の端面に当接する位置およびその近傍にあるとき、中央ハウジング54の第2通路54bは、スプール弁体50の第1溝部66aと連通する。
【0027】
スプール弁部46の上方には、平面状のガスケット74を介して上方プレート76が設けられている。上方プレート76の下面に形成された排出ポート78は、中央ハウジング54の第1通路54aに連通している。
【0028】
本発明の実施形態に係る高圧流体吐出装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、図1および図2を参照しながら、その作用について説明する。
【0029】
図1に示されるように、ダイヤフラム弁体14の本体部30が弁座24aに当接し、かつ、ピストン48の端面が端部ハウジング56の孔部の底面57に当接している状態を初期状態とする。このとき、駆動部44は通電されていない。また、入力ポート20からボデイ12内に圧力流体はまだ導入されていないものとする。
【0030】
上記初期状態では、スプール弁体50の第1ランド部60aに装着された第1パッキン62aが第2通路54bの左方において中央ハウジング54の内周面に当接する一方、第2ランド部60bに装着された第2パッキン62bは中央ハウジング54の内周面に当接していない。すなわち、中央ハウジング54の第2通路54bは、スプール弁体50の第2溝部66bと連通しており、中央ハウジング54の第2通路54bとスプール弁体50の第1溝部66aとの連通は遮断されている。
【0031】
このため、パイロット室34は、ボンネット16の連通路42、中央ハウジング54の第2通路54b、スプール弁体50の第2溝部66b、および、スプール弁体50の第2端部64bの外周面と中央ハウジング54の内周面との隙間68を介して、第2作用室72と連通している。
【0032】
上記初期状態において、入力ポート20からボデイ12内に圧力流体が導入されると、圧力流体は、パイロット通路38を介してパイロット室34に供給される。ダイヤフラム弁体14は、パイロット室34に供給された圧力流体によって広い面積で下方への圧力を受けるので、弁座24aに強く押圧され、第1流路26と第2流路28との連通が確実に遮断される。出力ポート22から圧力流体は吐出されない。
【0033】
また、パイロット室34に供給された圧力流体は第2作用室72に導入され、スプール弁体50は、第2作用室72に導入された圧力流体によって左方へ押圧され、ピストン48の端面が端部ハウジング56の孔部の底面57に当接した状態が維持される。
【0034】
ここで、駆動部44に通電すると、駆動部44からのパイロット圧が第1作用室70に導入される。このパイロット圧によりピストン48およびこれと一体のスプール弁体50は右方に押圧される。その押圧力は、ピストン48の外径がスプール弁体50の外径よりも大きいことから、第2作用室72に導入されている圧力流体によってスプール弁体50を左方に押圧する力を上回る。したがって、スプール弁体50は右方に移動する。
【0035】
そして、スプール弁体50の第2ランド部60bに装着された第2パッキン62bが第2通路54bの右方において中央ハウジング54の内周面に当接し、第1ランド部60aに装着された第1パッキン62aは中央ハウジング54の内周面から離間する。図2に示されるように、スプール弁体50は、ピストン48のフランジ48bが中央ハウジング54の端面に当接するまで右方に移動する。
【0036】
スプール弁体50が右方に移動することで、パイロット室34は、ボンネット16の連通路42、中央ハウジング54の第2通路54b、スプール弁体50の第1溝部66a、および、中央ハウジング54の第1通路54aを介して、排出ポート78に連通する。これにより、パイロット室34に貯留された圧力流体が排出ポート78から排出され、ダイヤフラム弁体14が弁座24aから離間する。
【0037】
ダイヤフラム弁体14が弁座24aから離間すると、第1流路26と第2流路28が連通し、入力ポート20からボデイ12内に導入される圧力流体が第1流路26から第2流路28に流れ込み、出力ポート22から一気に吐出される。その際、パイロット通路38と第2作用室72との間は遮断されているため、第1流路26内の圧力降下の影響を受けずにスプール弁体50を駆動することが可能である。
【0038】
その後、駆動部44の通電を停止すると、第1作用室70に対するパイロット圧の供給が停止し、第1作用室70に貯留された圧縮空気等の流体が外部に排出される。一方、スプール弁体50が右方に移動した先の工程において、第2作用室72内の流体の圧力は所定以上となっているので、スプール弁体50は左方に移動する。
【0039】
そして、スプール弁体50の第1ランド部60aに装着された第1パッキン62aが第2通路54bの左方において中央ハウジング54の内周面に当接し、第2ランド部60bに装着された第2パッキン62bは中央ハウジング54の内周面から離間する。スプール弁体50は、ピストン48の端面が端部ハウジング56の孔部の底面57に当接するまで左方に移動する。
【0040】
スプール弁体50が左方に移動することで、中央ハウジング54の第2通路54bとスプール弁体50の第1溝部66aとの連通が遮断され、パイロット室34の圧力流体が排出ポート78から排出されなくなる。このため、入力ポート20からボデイ12内に導入される圧力流体は、パイロット通路38を介してパイロット室34に供給・蓄積される。ダイヤフラム弁体14は、パイロット室34に供給・蓄積される圧力流体により下方に押圧され、下方に移動して弁座24aに当接する。これにより、第1流路26と第2流路28との連通が遮断され、出力ポート22からの圧力流体の吐出が停止する。
【0041】
以後、入力ポート20からボデイ12内に圧力流体が導入された状態で、駆動部44への通電と停止を繰り返すことにより、出力ポート22から圧力流体が間欠的に吐出される。
【0042】
本実施形態の高圧流体吐出装置10によれば、パイロット式スプールバルブ18によってダイヤフラム弁体14の開閉を制御するので、装置を小型化することができる。具体的には、スプール弁体50は、駆動部44からのパイロット圧とパイロット室34から導入される圧力流体とによって動作するので、スプール弁体50の駆動に必要な電力は小さなもので足りる。
【0043】
パイロット式のスプール弁体50の駆動には、一定以上のパイロット圧力が必要であり、エアブローに使用する供給圧は、圧力降下が大きいため、パイロット圧力には使用できない。本実施形態の高圧流体吐出装置10では、ブロー中には、パイロット通路38と第2作用室72との間を遮断し、圧力降下の影響を受けずにスプール弁体50を駆動することを可能にする。また、スプール弁体50に対するパイロット室34の圧力流体の導入は、スプール弁体50の外周面と中央ハウジング54の内周面との隙間を介して行われるようにしたので、流路構成を簡単にすることができる。
【0044】
次に、上記高圧流体吐出装置10の複数の使用形態について、図3図6を参照しながら説明する。これらの使用形態は、いずれも、入力ポート20に接続する機器等に特徴を有するものである。
【0045】
(第1使用形態)
図3に示されるように、高圧流体吐出装置10の入力ポート20には、連結用アタッチメント80を介してタンク82が接続される。タンク82は、所定容量を有するタンク室82aを内部に備えるとともに、配管接続用の入口ポート82bと、高圧流体吐出装置10の入力ポート20に接続される出口ポート82cを備える。
【0046】
図示しない配管を介して入口ポート82bから圧力流体が供給されると、該圧力流体は、タンク室82aに蓄積された後、出口ポート82cを経て高圧流体吐出装置10の入力ポート20に供給される。高圧流体吐出装置10の出力ポート22からは、タンク室82aの容量に応じた高いピーク圧を有する流体が吐出される。
【0047】
(第2使用形態)
図4に示されるように、高圧流体吐出装置10の入力ポート20には、管継手86を介して直線状の配管84が接続される。この直線状の配管84は、前記タンク82と同等の容量を有するように、その太さまたは長さが設定されている。これにより、高圧流体吐出装置10の出力ポート22から高いピーク圧を有する流体を吐出することができる。
【0048】
(第3使用形態)
図5に示されるように、高圧流体吐出装置10の入力ポート20には、管継手90を介して、クランク状、あるいは装置の狭いスペースに合わせて屈曲された屈曲状の配管88が接続される。この屈曲状の配管88は、前記タンク82と同等の容量を有するように、その太さまたは長さが設定されている。これにより、高圧流体吐出装置10の出力ポート22から高いピーク圧を有する流体を吐出することができる。
【0049】
(第4使用形態)
図6に示されるように、高圧流体吐出装置10の入力ポート20には、連結用アタッチメント92を介してフィルタ94が接続される。フィルタ94は、内部にフィルタユニット(図示せず)を収容するケース96と、ケース96に結合されるとともに入口ポート98aおよび出口ポート98bを有するボデイ98を備える。
【0050】
図示しない配管を介して入口ポート98aから圧力流体が供給されると、該圧力流体は、フィルタユニットにより塵埃等を除去された後、出口ポート98bを経て高圧流体吐出装置10の入力ポート20に供給される。高圧流体吐出装置10にはフィルタユニットにより清浄化された圧力流体が供給されるので、その耐久性が向上する。
【0051】
本発明に係る高圧流体吐出装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6