(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】表示装置及び表示システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241112BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20241112BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241112BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241112BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241112BHJP
A61F 2/16 20060101ALI20241112BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09F9/302 Z
G09F9/00 366G
G09F9/30 349C
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
A61F2/16
G02C7/04
(21)【出願番号】P 2021562513
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(86)【国際出願番号】 JP2020041188
(87)【国際公開番号】W WO2021111792
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019218358
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 正則
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03435138(EP,A1)
【文献】特表2018-538573(JP,A)
【文献】特表2015-513688(JP,A)
【文献】特開平10-301055(JP,A)
【文献】国際公開第2019/101994(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/213241(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜における瞳孔を介した環境光が照射される範囲である環境光照射範囲を含む、該環境光照射範囲より広い範囲のうち少なくとも前記環境光照射範囲外の範囲に光を照射可能な光照射系を備
え、
前記光照射系は、少なくとも使用時に眼球に一体化される表示素子を含み、
前記表示素子は、
基材と、
前記基材に設けられた、複数の画素を含む画素アレイと、
を含み、透過部及び遮光部を有する、表示装置。
【請求項2】
前記環境光照射範囲は、前記網膜の周辺の、該網膜への前記環境光の到達を妨げる顔の部位、及び/又は、前記顔若しくは頭に装着される物体によって定まる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光照射系は、前記網膜における前記環境光照射範囲からみて前記瞳孔側の範囲と、前記環境光照射範囲及び前記瞳孔側の範囲に跨る範囲とのいずれかに光を照射可能である、請求項1
又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光照射系は、前記環境光照射範囲と、前記網膜における前記環境光照射範囲の前記瞳孔側の範囲と、前記環境光照射範囲及び前記瞳孔側の範囲に跨る範囲とのいずれかに選択的に光を照射可能である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光照射系は、前記瞳孔付近で光が交差するように光を射出する、請求項1
~4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光照射系は、一方の眼の前記網膜における他方の眼側とは反対側の範囲に光を照射する、請求項1
~5のいずれか一項に記載の表示素子。
【請求項7】
前記表示素子は、前記環境光照射範囲より広い範囲に対応する視野範囲において、中央部の視認性よりも周辺部の視認性を低くする視野角特性を発現する、請求項1
~6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示素子は、コンタクトレンズ型の表示素子である、請求項
1~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示素子は、眼内レンズ型の表示素子である、請求項
1~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記透過部は、前記画素間にある隙間である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記遮光部は、前記画素間にある隙間である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記透過部は、前記画素間に配置された配線である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記遮光部は、前記画素間に配置された配線である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示素子。
【請求項14】
前記透過部は、少なくとも2つの画素から成る画素群間にある配線である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記遮光部は、少なくとも2つの画素から成る画素群間にある配線である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示素子は、前記複数の画素が千鳥状に配置されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記表示素子は、自発光型の表示素子である、
請求項1~16のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記表示素子は、液晶表示部及び光源を含む、
請求項1~16のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項19】
前記環境光照射範囲に対応する通常視野範囲の外側の情報である通常視野範囲外情報を検出するセンサを更に備え、
前記センサで検出した通常視野範囲外情報を前記広い範囲に対応する拡張視野範囲に表示する、請求項1
~18のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項20】
網膜における瞳孔を介した環境光が照射される範囲である環境光照射範囲を含む、該環境光照射範囲より広い範囲のうち少なくとも前記環境光照射範囲外の範囲に光を照射可能な光照射系を備え、
前記光照射系は、
少なくとも使用時に眼球に一体化される光学素子と、
前記光学素子に向けて光を投射する光投射部と
、
を含む
、表示装置。
【請求項21】
前記光学素子は、前記環境光照射範囲より広い範囲に対応する視野範囲において、中央部の視認性よりも周辺部の視認性を低くする視野角特性を発現する、請求項
20に記載の表示装置。
【請求項22】
前記光学素子は、コンタクトレンズ型の光学素子である、請求項
20又は21に記載の表示装置。
【請求項23】
前記光学素子は、眼内レンズ型の光学素子である、請求項
20又は21に記載の表示装置。
【請求項24】
請求項1
~23のいずれか一項に記載の表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置と、
を備える、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(以下「本技術」とも呼ぶ)は、表示装置及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間の視覚を改善するための技術の開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1及び2には、周辺視野(視野範囲の周辺部分)に届く光線の収差を補正することにより周辺視野の視力を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-209256号公報
【文献】特表2010-506240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に開示されている技術では、視野範囲よりも広い範囲に情報を表示して視認させることはできなかった。
【0005】
そこで、本技術は、視野範囲より広い範囲に情報を表示して視認させることができる表示装置及び該表示システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、網膜における瞳孔を介した環境光が照射される範囲である環境光照射範囲を含む、該環境光照射範囲より広い範囲のうち少なくとも前記環境光照射範囲外の範囲に光を照射可能な光照射系を備え、
前記光照射系は、少なくとも使用時に眼球に一体化される表示素子を含み、
前記表示素子は、
基材と、
前記基材に設けられた、複数の画素を含む画素アレイと、
を含み、透過部及び遮光部を有する、表示装置を提供する。
前記環境光照射範囲は、前記網膜の周辺の、該網膜への前記環境光の到達を妨げる顔の部位、及び/又は、前記顔若しくは頭に装着される物体によって定まってもよい。
前記光照射系は、前記網膜における前記環境光照射範囲からみて前記瞳孔側の範囲と、前記環境光照射範囲及び前記瞳孔側の範囲に跨る範囲とのいずれかに光を照射可能であってもよい。
前記光照射系は、前記環境光照射範囲と、前記網膜における前記環境光照射範囲の前記瞳孔側の範囲と、前記環境光照射範囲及び前記瞳孔側の範囲に跨る範囲とのいずれかに選択的に光を照射可能であってもよい。
前記光照射系は、前記瞳孔付近で光が交差するように光を射出してもよい。
前記光照射系は、一方の眼の前記網膜における他方の眼側とは反対側の範囲に光を照射してもよい。
前記表示素子は、前記環境光照射範囲より広い範囲に対応する視野範囲において、中央部の視認性よりも周辺部の視認性を低くする視野角特性を発現してもよい。
前記表示素子は、コンタクトレンズ型の表示素子であってもよい。
前記表示素子は、眼内レンズ型の表示素子であってもよい。
前記透過部は、前記画素間にある隙間であってもよい。
前記遮光部は、前記画素間にある隙間であってもよい。
前記透過部は、前記画素間に配置された配線であってもよい。
前記遮光部は、前記画素間に配置された配線であってもよい。
前記透過部は、少なくとも2つの画素から成る画素群間にある配線であってもよい。
前記遮光部は、少なくとも2つの画素から成る画素群間にある配線であってもよい。
前記表示素子は、前記複数の画素が千鳥状に配置されていてもよい。
前記表示素子は、自発光型の表示素子である、請求項7に記載の表示装置。
前記表示素子は、液晶表示部及び光源を含む、請求項7に記載の表示装置。
前記環境光照射範囲に対応する通常視野範囲の外側の情報である通常視野範囲外情報を検出するセンサを更に備え、
前記センサで検出した通常視野範囲外情報を前記広い範囲に対応する拡張視野範囲に表示してもよい。
本技術は、網膜における瞳孔を介した環境光が照射される範囲である環境光照射範囲を含む、該環境光照射範囲より広い範囲のうち少なくとも前記環境光照射範囲外の範囲に光を照射可能な光照射系を備え、
前記光照射系は、少なくとも使用時に眼球に一体化される光学素子と、前記光学素子に向けて光を投射する光投射部とを含む、表示装置も提供する。
前記光学素子は、前記環境光照射範囲より広い範囲に対応する視野範囲において、中央部の視認性よりも周辺部の視認性を低くする視野角特性を発現してもよい。
前記光学素子は、コンタクトレンズ型の光学素子であってもよい。
前記光学素子は、眼内レンズ型の光学素子であってもよい。
本技術は、前記表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置と、
を備える、表示システムも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aは、従来の縦方向の視野範囲を説明するための図である。
図1Bは、従来の横方向の視野範囲を説明するための図である。
【
図3】
図3Aは、頭蓋骨の概略的な正面図である。
図3Bは、頭蓋骨の概略的な右側面図である。
【
図4】網膜における縦方向の環境光照射範囲を説明するための図である。
【
図5】網膜における横方向の環境光照射範囲を説明するための図である。
【
図6】両眼の通常視野範囲を示す視野角分布図である。
【
図7】本技術の第1の実施形態に係る表示装置において、眼球に装着された表示素子から網膜に光が照射される状態を示す縦断面図である。
【
図8】本技術の第1の実施形態に係る表示装置において、眼球に装着された表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図9】本技術の第1の実施形態に係る表示装置の表示素子の構成例1を示す断面図である。
【
図10】本技術の第1の実施形態に係る表示装置の表示素子の構成例2を示す断面図である。
【
図18】本技術の第1の実施形態に係る表示装置を備える表示システムの機能の一例を示すブロック図である。
【
図19】
図19Aは、本技術の第1の実施形態に係る表示装置により情報を表示しうる、縦方向に関する通常視野範囲より広い拡張視野範囲を示す図である。
図19Bは、本技術の第1の実施形態に係る表示装置により情報を表示しうる、横方向に関する通常視野範囲より広い拡張視野範囲を示す図である。
【
図20】本技術の表示装置により情報を表示しうる、右眼の拡張視野範囲を矢印で示す図である。
【
図21】本技術の表示装置により情報を表示しうる、右眼の拡張視野範囲を面積で示す図である。
【
図22】本技術の表示装置により情報を表示しうる、右眼の拡張された最大仮想視野範囲及び右眼の拡張視野範囲を示す図である。
【
図24】左眼が視野狭窄である場合の両眼の視野範囲を示す図である。
【
図25】左眼が視野狭窄である場合であって本技術の表示装置により右眼の視野範囲を拡張した場合の両眼の視野範囲を示す図である。
【
図26】本技術の第2の実施形態に係る表示装置において、光投射部から投射された光が眼球に装着された光学素子を介して網膜に照射される状態を示す縦断面図である。
【
図27】本技術の第2の実施形態に係る表示装置において、光投射部から投射された光が眼球に装着された光学素子を介して網膜に照射される状態を示す横断面図である。
【
図28】本技術の第2の実施形態に係る表示装置を備える表示システムの機能の一例を示すブロック図である。
【
図29】本技術の第3の実施形態の実施例1に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図30】本技術の第3の実施形態の実施例2に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図31】本技術の第3の実施形態の実施例3に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図32】本技術の第3の実施形態の実施例4に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図33】本技術の第4の実施形態の実施例1に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図34】本技術の第4の実施形態の実施例2に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図35】本技術の第4の実施形態の実施例3に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図36】本技術の第4の実施形態の実施例4に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図37】本技術の第4の実施形態の実施例5に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図38】本技術の第4の実施形態の実施例6に係る表示装置において、眼球に埋め込まれた表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
【
図39】本技術の表示装置から網膜に光が照射されているときの、拡張視野範囲の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照しながら、本技術の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。本明細書において、本技術に係る表示装置及び表示システムの各々が複数の効果を奏することが記載される場合でも、本技術に係る表示装置及び表示システムの各々は、少なくとも1つの効果を奏すればよい。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0009】
また、以下の順序で説明を行う。
1.導入
2.通常視野範囲
3.環境光照射範囲
4.本技術の第1の実施形態に係る表示装置及び該表示装置を備える表示システム
5.本技術の第2の実施形態に係る表示装置及び該表示装置を備える表示システム
6.本技術の第3の実施形態に係る表示装置
7.本技術の第4の実施形態に係る表示装置
8.本技術の第5の実施形態に係る表示装置
【0010】
1.<導入>
ところで、人間の視野範囲は、通常、両眼の網膜に入射しうる環境光(Ambient Light)の光線の角度によって制限されている。ここで、環境光とは、例えば太陽光等の自然光、照明光等の人工光などの光をいう。
大半の人間が、このある一定の視野範囲内の視覚情報を頼りに種々の活動を行っている。
しかしながら、例えば視野狭窄の場合や、メガネ、ヘルメット、眼帯等の装具を装着した場合には、視野範囲がさらに制限されるので、活動に何らかの支障を来すおそれがある。
また、通常の視野範囲が確保されている場合でも、視野範囲外の情報を視認できた方が、より広範囲において障害物等の有無を認識できるので、安全性を向上できるメリットがある。
そこで、発明者は、鋭意検討の末、視野範囲よりも広い範囲に情報を表示して視認させることができる表示装置として、本技術の表示装置を開発した。
【0011】
2.<通常視野範囲>
以下の説明では、顔の後側から前側へ向かう方向を前方向とし、顔の前側から後側へ向かう方向を後方向とし、顔の上側から下側へ向かう方向を下方向とし、顔の下側から上側へ向かう方向を上方向とし、顔の左側から右側へ向かう方向を右方向とし、顔の右側から左側へ向かう方向を左方向とする。
通常の縦方向(例えば垂直方向、以下同様)の各眼の視野範囲は、例えば
図1Aに示すように、真正面を向いている視線方向に対して上方に向けて例えば65°の角度を成す上方視野限界(該角度で環境光が入射する方向)と、該視線方向に対して下方に向けて例えば75°の角度を成す下方視野限界(該角度から環境光が入射する方向)との間の範囲と定義することができる。
通常の右眼の横方向(例えば水平方向、以下同様)の視野範囲は、例えば
図1Bに示すように、真正面を向いている視線方向に対して右方向に向けて例えば100°の角度を成す右方視野限界(該角度で環境光が入射する方向)と、該視線方向に対して左方向に向けて例えば60°の角度を成す左方視野限界(該角度で環境光が入射する方向)との間の範囲と定義することができる。
通常の左眼の横方向の視野範囲は、例えば
図1Bに示すように、真正面を向いている視線方向に対して左方向に向けて例えば100°の角度を成す左方視野限界(該角度で環境光が入射する方向)と、該視線方向に対して右方向に向けて例えば60°の角度を成す右方視野限界(該角度で環境光が入射する方向))との間の範囲と定義することができる。
【0012】
ところで、
図2(誠信書房「感覚+知覚」p190から抜粋)に示すように、眼球EBに入射した光線は、角膜5、瞳孔4、水晶体6及び硝子体7を経由して網膜1に到達する。
人間の視覚は、網膜1に照射された光を網膜1の視細胞が電気信号に変換して視神経8を経由して脳の視覚皮質に伝達することにより発生する。
図2に示すように、網膜1は、眼球EB内において、眼底から水晶体の周囲に隣接する毛様体(眼球の断面に示す毛様体に隣接する位置)までの間の略全域に(略球殻状に、より詳細には球殻の一部が欠損した状態で)存在している。
しかし、環境光は、例えば顔や頭部により瞳孔4を介して網膜1に照射される範囲が制限され、一定範囲からの光線のみが瞳孔4を介して網膜1に像として到達する。この環境光の光線が瞳孔4を介して網膜1に到達する一定範囲が通常の視野範囲(以下「通常視野範囲」とも呼ぶ)となる。以下、網膜1における瞳孔4を介した環境光が照射される範囲を「環境光照射範囲」とも呼ぶ。すなわち、環境光照射範囲は、通常視野範囲に対応する、網膜1の範囲である。
例えば、
図3A及び
図3Bに示す、眼球からみて、上側にある前頭骨と、下側にある上顎骨及び頬骨と、水平内側にある鼻骨とによって形成される凹凸で視野が制限される。そのような視野の中で唯一水平視野の外側は骨格により制限されないことから最も広い視野が得られる。
【0013】
逆に言うと、環境光における通常視野範囲外の光線は網膜に像として到達しない。光線が到達しない網膜の位置では視細胞が光により刺激されることがなく、視細胞が活性化されず、視神経に視覚情報を伝達することがない(視覚を得ることができない)。
【0014】
このように、眼球内の網膜上に広く視細胞が存在しているが、顔や頭部などにより光が届かない範囲(環境光照射範囲外の領域)については視覚を得ることができていないという第1の問題がある。
【0015】
ここで、脳の視覚皮質をTMS(経頭蓋磁気刺激)で刺激すると、通常視野範囲外の胸及び首の中で光が見えることが報告されている(参考文献:臨床神経生理学 40巻第4号「Single-pulse stimulation」松本英之著)。
これは脳の視覚野であるが、通常時では光が届いていない網膜の範囲に対して、何らかの方法で光を照射することができれば、当該範囲の視細胞で電気信号が発生し視覚野で像として処理されることを示唆している。すなわち、当該範囲に対して光を照射することで視覚が得られることを示唆している。
【0016】
また、眼球の構造は網膜上の視細胞分布(鼻側と耳側で異なる)を除き概ね回転対称(
図2参照)になっている。このことから顔や頭部の形状による制約が無ければ上下左右に同等もしくは、網膜1における通常視野範囲に対応する範囲以外の視細胞が存在する範囲にも視覚が得られると考えられる。
【0017】
すなわち、網膜における環境光が到達しない範囲(環境光照射範囲外の領域)に光を照射できれば、その範囲の視細胞からも視覚が得られ、通常視野範囲より広い範囲に情報を表示して視認させることができると考えられる。
【0018】
また、第2に、ケガ、病気など何らかの原因により眼球を覆う皮膚や装具により、網膜に届く光が遮られた場合には視野範囲が通常視野範囲より狭くなるという第2の問題がある。
【0019】
本技術の表示装置は、上記第1及び第2の問題に対処すべく開発された。
【0020】
3.<環境光照射範囲>
環境光照射範囲は、網膜における縦方向の範囲(縦断面内の範囲)と横方向の範囲(横断面内の範囲)とに分けて考えることができる。
(縦方向の環境光照射範囲)
図4は、網膜1における縦方向(縦断面内)の環境光照射範囲10Vを説明するための図である。
ここでは、左眼の網膜の一の縦断面(例えば瞳孔の中心を通る縦断面)内の環境光照射範囲を例にとって説明するが、左眼の網膜の他の縦断面内の環境光照射範囲及び右眼の網膜の任意の断面内の環境光照射範囲についても同様の議論が成立する。なお、両眼の網膜における縦方向の環境光照射範囲は、概ね同一であると考えて差し支えない。
図4に示すように、左眼の網膜1における縦方向の環境光照射範囲10Vは、瞳孔4側に切れ目を有する縦断面略C字状の範囲である。同様に、右眼の縦方向の環境光照射範囲も、瞳孔側に切れ目を有する縦断面略C字状の範囲である。
図4に示すように、上方視野限界、すなわち瞳孔4の径方向に垂直な方向(例えば水平方向)に対して上方にθ1(例えば45°~50°)の角度を成す方向から左眼に入射し瞳孔4を通過した環境光ALが到達する網膜1の位置が左眼の網膜1における縦方向の環境光照射範囲10Vの下端10Vaである。下方視野限界(瞳孔4の径方向に垂直な方向(例えば水平方向)に対して下方にθ2(例えば60°~65°)の角度を成す方向)から左眼に入射し瞳孔4を通過した環境光ALが到達する網膜1の位置が左眼の網膜1における縦方向の環境光照射範囲10Vの上端10Vbである。
【0021】
(横方向の環境光照射範囲)
図5は、網膜における横方向の環境光照射範囲10Hを説明するための図である。
ここでは、左眼の網膜の一の横断面(例えば瞳孔の中心を通る横断面)内の環境光照射範囲を例にとって説明するが、左眼の網膜の他の横断面内の環境光照射範囲についても同様の議論が成立する。
図5に示すように、左眼の網膜1における横方向の環境光照射範囲10Hは、瞳孔4側に切れ目を有する横断面略C字状の範囲である。同様に、右眼の横方向の網膜における環境光照射範囲も、瞳孔側に切れ目を有する横断面略C字状の範囲である。
図5に示すように、左眼の左方視野限界(瞳孔4の径方向に垂直な方向に対して左方にθ4(例えば90°~95°の角度を)成す方向から左眼に入射し瞳孔4を通過した環境光ALが到達する網膜1の位置が左眼の網膜1における横方向の環境光照射範囲10Hの右端10Haである。左方視野限界(瞳孔4の径方向に垂直な方向に対して右方にθ3(例えば50°~60°)の角度を成す方向から左眼に入射し瞳孔4を通過した環境光ALが到達する網膜1の位置が左眼の網膜1における横方向の環境光照射範囲10Hの左端10Hbである。
同様に、右眼の右方視野限界(瞳孔の径方向に垂直な方向に対して右方に例えば90°~95°の角度を成す方向)から右眼の眼球に入射し、瞳孔を通過した環境光が到達する網膜の位置が右眼の網膜における横方向の環境光照射範囲の左端である。右眼の右方視野限界(瞳孔の径方向に垂直な方向に対して左方に例えば50°~60°の角度を成す方向)から右眼に入射し、瞳孔を通過した環境光が到達する網膜の位置が右眼の網膜における横方向の環境光照射範囲の右端である。
【0022】
図6には、各眼の環境光照射範囲に対応する通常視野範囲が示されている。
図6において、右眼の通常視野範囲が実線で示され、左眼の通常視野範囲が破線で示されている。
【0023】
4.<本技術の第1の実施形態に係る表示装置及び該表示装置を備える表示システム>
(表示装置の全体構成)
以下、本技術の第1の実施形態に係る表示装置100について
図7~
図25を参照して説明する。
図7は、本技術の第1の実施形態に係る表示装置において、眼球に装着された表示素子から網膜に光が照射される状態を示す縦断面図である。
図8は、本技術の第1の実施形態に係る表示装置において、眼球に装着された表示素子から網膜に光が照射される状態を示す横断面図である。
第1の実施形態に係る表示装置50は、
図7及び
図8に示すように、眼球EBの瞳孔4を介して網膜1に光(例えば表示光)を照射して該光の像(虚像)を表示する。
表示装置50は、瞳孔4を介して網膜1に光(例えば映像光)を照射可能な光照射系100を備える。
光照射系100は、一例として、少なくとも使用時に眼球に一体化される表示素子100aを含む。
図7及び
図8は、一例として、表示素子100aが左眼に装着された状態を示す。
表示素子100aは、例えばコンタクトレンズ型の表示素子である。すなわち、表示素子100aは、眼球EBに角膜5を覆うように装着されて使用される。
表示素子100aは、特定の波長の光(例えば可視光)の少なくとも一部を透過させる透過部及び該光を遮光する遮光部を有する。これにより、表示素子100aがユーザの眼球EBに装着された状態で環境光ALが表示素子100aを透過するため、ユーザは表示素子100aを介して現実風景を視認することができる。
表示素子100aは、一例として自発光型の表示素子であるが、液晶表示部及び該液晶表示部に光を照射する光源を含んで構成されてもよい。
より詳細には、表示素子100aは、一例として、オンチップ構造の表示素子である。
図9及び
図10には、それぞれオンチップ構造の表示素子100aの構成例1、2(100a-1、100a-2)が示されている。
【0024】
(表示素子の構成例1)
図9に示すように、表示素子100a-1は、互いに対向して配置された第1及び第2の基材110、120と、第1の基材110の、第2の基材120側の面上に2次元配置された複数の画素130aを含む画素アレイ130と、複数の画素130aそれぞれと第2の基材120との間に配置された光学素子140-1とを含む。
第1及び第2の基材110、120は、環境光の少なくとも一部を透過させる部材(例えば透明又は半透明のレンズ材料)からなり、画素アレイ130及び複数の光学素子140-1を保持し且つ保護する機能を有する。
画素アレイ130の各画素130aは、例えば有機発光ダイオード(OLED)、LED(発光ダイオード)、VCSEL(面発光レーザ)等の発光素子を含む。画素アレイは、発光素子アレイと呼んでもよい。
画素アレイ130は、例えば、映像情報に基づいて画素130aが駆動(点灯)され、映像情報に応じた映像を表示する表示光DLを出力する。
表示素子100a-1の光学素子140-1は、
図9に示すように、例えば、対応する画素130aから射出された光を略平行光とするコリメートレンズである。
図9においては、当該コリメートレンズとして、ボール型レンズを用いているが、これに限らず、例えば両凸レンズ、平凸レンズ、非球面レンズ等の他の形状のレンズであってもよい。
表示素子100a-1は、使用時には、第2の基材120が眼球EBの角膜5に密着するように(角膜5に沿って湾曲するように)装着される。
より詳細には、表示素子100a-1は、例えば、画素アレイ130の略中央の画素130aが瞳孔4に正対するように(例えば瞳孔4の略中央に瞳孔4の径方向に垂直な方向に光を射出するように)配置される。
以上のように構成される表示素子100a-1は、眼球EBに装着された状態において、画素アレイ130の少なくとも1つの画素130aが駆動(点灯)されると、該画素130aから光が射出される。該画素130aから射出された光は、光学素子140-1で略平行光とされ、第2の基材120を介して眼球EBに照射される。
【0025】
(表示素子の構成例2)
表示素子100a-2は、
図10に示すように、第1及び第2の基材110、120間に配置される光学素子140-2が異なる点を除いて、表示素子100a-1と同様の構成及び機能を有する。光学素子140-2は、例えば屈折率分布型レンズである。
【0026】
表示素子100a(100a-1、100a―2)は、例えば、環境光照射範囲10及び瞳孔側の範囲20(網膜1における環境光照射範囲10外の範囲、以下では「瞳孔側範囲」又は「瞳孔側範囲20」とも呼ぶ)を併せた網膜1の全域に表示光を照射可能である。
詳述すると、表示素子100aは、網膜1における環境光照射範囲10(例えば縦方向及び横方向の環境光照射範囲10V、10H)を含む、該環境光照射範囲10より広い範囲のうち少なくとも環境光照射範囲10外の範囲に光を照射可能である。
具体的には、表示素子100aの画素アレイ130の複数の画素130aは、網膜1における環境光照射範囲10より広い範囲に対応するように(全画素を駆動したときに該範囲の略全域に光を照射可能となるように)2次元配列又は3次元配列されている。ここで、「3次元配列」とは、例えば表示素子100aが不使用時には2次元配列(平面状に配列)されていても、使用時(眼球に装着されたとき)に湾曲して実質的に3次元配列される場合を想定している(以下同様)。
表示素子100aは、環境光照射範囲10に対応する少なくとも1つの画素130aを駆動することにより、環境光照射範囲10に光を照射することができる。
表示素子100aは、環境光照射範囲10外の範囲に対応する少なくとも1つの画素130aを駆動することにより、該範囲に光を照射することができる。
表示素子100aは、環境光照射範囲10に対応する少なくとも1つの画素130a及び環境光照射範囲10外の範囲に対応する少なくとも1つの画素130aを駆動することにより、環境光照射範囲10及び環境光照射範囲10外の範囲に光を照射することができる。
【0027】
より詳細には、表示素子100a(100a-1、100a-2)の画素アレイ130の複数の画素130aは、網膜1における環境光照射範囲10及び瞳孔側範囲20に対応するように(全画素を駆動したときに該環境光照射範囲10及び瞳孔側範囲20に跨る範囲の略全域に光を照射可能となるように)2次元配列又は3次元配列されている。
表示素子100aは、環境光照射範囲10に対応する少なくとも1つの画素130aを駆動することにより、環境光照射範囲に光を照射することができる。
表示素子100aは、瞳孔側範囲20に対応する少なくとも1つの画素130aを駆動することにより、瞳孔側範囲20に光を照射することができる。
表示素子100aは、環境光照射範囲10及び瞳孔側範囲20に跨る範囲に対応する少なくとも1つの画素130aを駆動することにより、該範囲に光を照射することができる。
【0028】
環境光照射範囲10は、上述したように、網膜1における瞳孔4を介した環境光ALが照射される範囲である。
環境光照射範囲10は、網膜1の周辺の、該網膜1への環境光ALの到達を妨げる顔の部位(例えば鼻、瞼、睫毛、眼尻等)、及び/又は、顔若しくは頭に装着される物体によって定まる。
上記物体としては、例えばメガネ、ヘルメット、口や鼻を覆うマスク、顔や頭に巻かれる包帯等が挙げられる。
【0029】
光照射系100は、一例として、各眼の網膜1における環境光照射範囲10からみて瞳孔側の範囲20と、環境光照射範囲10及び瞳孔側範囲20に跨る範囲とのいずれかに光を照射可能である。なお、光照射系100は、環境光照射範囲10と、瞳孔側範囲20と、環境光照射範囲10及び瞳孔側範20囲に跨る範囲とのいずれかに選択的に光を照射可能であってもよい。これにより、必要に応じて所望の範囲に情報を表示することができる。
瞳孔側範囲20は、網膜1における環境光照射範囲10の瞳孔4側に隣接する範囲の少なくとも一部である。
各眼の瞳孔側範囲20も、網膜1における縦方向の瞳孔側範囲(縦断面内の範囲)20Vと横方向の瞳孔側範囲(横断面内の範囲)20Hとに分けて考えることができる。
さらに、左眼の網膜1における縦方向の瞳孔側範囲20Vは、
図7に示すように、下方瞳孔側範囲20V-1と上方瞳孔側範囲20V-2とを含む。
同様に、右眼の網膜の縦方向の瞳孔側範囲も、下方瞳孔側範囲と上方瞳孔側範囲とを含む。
同様に、左眼の網膜1における横方向の瞳孔側範囲20Hは、
図8に示すように、左方瞳孔側範囲20H-1と右方瞳孔側範囲20H-2とを含む。
同様に、右眼の網膜における横方向の瞳孔側範囲も、右方瞳孔側範囲と左方瞳孔側範囲とを含む。
【0030】
(縦方向の瞳孔側範囲)
図7に示すように、網膜1における縦方向の下方瞳孔側範囲20V-1は、該網膜1の縦断面(左右方向に直交する断面)の下半部において弧を描く一定の範囲である。
下方瞳孔側範囲20V-1の前端20V-1aは、網膜1における毛様体に隣接する位置である。
下方瞳孔側範囲20V-1の後端20V-1bは、網膜1における縦方向の環境光照射範囲10Vの下端10Vaに隣接する位置である。
【0031】
図7において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素から射出された表示光DL0が、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
図7において、例えば、表示素子100aの最上位置の画素から射出された表示光DL1が、瞳孔4を通過して下方瞳孔側範囲20V-1の前端20V-1aに入射される。
図7において、例えば、表示素子100aの最上位置の画素と略中央位置の画素との間の位置にある第1の画素から射出された表示光DL2が、瞳孔4を通過して下方瞳孔側範囲20V-1の後端20V-1bに入射される。
図7において、例えば、表示素子100aの最上位置の画素と上記第1の画素との間の任意の画素から射出された表示光が、瞳孔4を通過して下方瞳孔側範囲20V-1に入射される。
図7において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素と上記第1の画素との間の任意の画素から射出された表示光は、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
【0032】
図7に示すように、網膜1における縦方向の上方瞳孔側範囲20V-2は、該網膜1の縦断面(左右方向に直交する断面)の上半部において弧を描く一定の範囲である。
上方瞳孔側範囲20V-2の前端20V-2aは、網膜1における別の毛様体に隣接する位置である。
上方瞳孔側範囲20V-2の後端20V-2bは、網膜1における縦方向の環境光照射範囲10Vの上端10Vbに隣接する位置である。
【0033】
図7において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素から射出された表示光DL0が、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
図7において、例えば、表示素子100aの最下位置の画素から射出された表示光DL3が、瞳孔4を通過して上方瞳孔側範囲20V-2の前端20V-2aに入射される。
図7において、例えば、表示素子100aの最下位置と略中央位置の画素との間の第2の画素から射出された表示光DL4が、瞳孔4を通過して上方瞳孔側範囲20V-2の後端20V-2bに入射される。
図7において、例えば、表示素子100aの最下位置の画素と上記第2の画素との間の任意の画素から射出された表示光が、瞳孔4を通過して上方瞳孔側範囲20V-2に入射される。
図7において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素と上記第2の画素との間の任意の画素から射出された表示光は、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
【0034】
図7から分かるように、例えば、表示光DL0、DL1、DL2、DL3、DL4を含む複数の表示光は、瞳孔4付近で交差するように射出される。これにより、瞳孔4を介して表示光を網膜1の略全域に照射することができる。すなわち、各表示光が瞳孔4の周囲部(例えば虹彩)で蹴られないように(遮光されるように)することができる。
【0035】
(横方向の瞳孔側範囲)
【0036】
図8に示すように、左眼の網膜1における横方向の左方瞳孔側範囲20H-1は、該網膜1の横断面(上下方向に直交する断面)の左半部において弧を描く一定の範囲である。
左眼の左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aは、左眼の網膜1における毛様体に隣接する位置である。
左眼の左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bは、左眼の網膜1における横方向の環境光照射範囲10Hの左端10Hbに隣接する位置である。
【0037】
図8において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素から射出された表示光DL0は、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
図8において、例えば、表示素子100aの最右位置の画素から射出された表示光DL5が、瞳孔4を通過して左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図8において、例えば、表示素子100aの最右位置の画素と略中央位置の画素との間の位置にある第3の画素から射出された表示光DL6が、瞳孔4を通過して左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図8において、例えば、表示素子100aの最右位置の画素と上記第3の画素との間の任意の画素から射出された表示光は、瞳孔4を通過して左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図8において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素と上記第3の画素との間の任意の画素から射出された表示光は、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
【0038】
図8に示すように、左眼の網膜1における横方向の右方瞳孔側範囲20H-2は、該網膜1の横断面(上下方向に直交する断面)の右半部において弧を描く一定の範囲である。
左眼の右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aは、左眼の網膜1における別の毛様体に隣接する位置である。
左眼の右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bは、左眼の網膜1における横方向の環境光照射範囲10Hの右端10Haに隣接する位置である。
【0039】
図8において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素から射出された表示光DL0は、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
図8において、例えば、表示素子100aの最左位置の画素から射出された表示光DL7が、瞳孔4を通過して右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図8において、例えば、表示素子100aの最左位置の画素と略中央位置の画素との間の位置にある第4の画素から射出された表示光DL8が、瞳孔4を通過して右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図8において、例えば、表示素子100aの最左位置の画素と上記第4の画素との間の任意の画素から射出された表示光は、瞳孔4を通過して右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図8において、例えば、表示素子100aの略中央位置の画素と上記第4の画素との間の任意の画素から射出された表示光は、瞳孔4を通過して環境光照射範囲10に照射される。
【0040】
図8において、例えば、表示光DL0、DL5、DL6、DL7、DL8を含む複数の表示光は、瞳孔4付近で交差するように射出される。これにより、全ての表示光を、瞳孔4を介して網膜1に照射することができる。すなわち、各表示光が瞳孔4の周囲部(例えば虹彩)で蹴られないように(遮光されるように)することができる。
【0041】
(表示素子の画素配列例)
以下、
図11~
図17を参照して、表示素子100aの画素配列例(画素アレイの例)を説明する。
前述したように表示素子100aは、特定の波長の光(例えば可視光)の少なくとも一部を透過させる透過部(例えば透明部又は半透明部)及び該光を遮光する遮光部を有する。
【0042】
図11に示す画素アレイ130-1では、複数の透過部となる画素130aが隙間なくマトリクス状に2次元配列又は3次元配列されている。
【0043】
図12に示す画素アレイ130-2では、遮光部となる複数の画素130aが透過部となる隙間130bを介して例えばマトリクス状に2次元配列又は3次元配列されている。
なお、画素アレイ130-2において、複数の透過部となる画素130aが遮光部となる隙間130bを介して2次元配列又は3次元配列されてもよい。
【0044】
図13に示す画素アレイ130-3では、遮光部となる複数の画素130aが透過部となる隙間130bを介して例えばマトリクス状に2次元配列又は3次元配列されており、隣り合う画素130aが遮光部となる配線130cで接続されている。配線130cは、画素130aに電流を供給するための配線である。
なお、画素アレイ130-3の透過部及び遮光部の構成は、上記構成に限定されず、画素130a、隙間130b及び配線130cの少なくともいずれかが透過部であればよい。
例えば、画素130a間に配置された配線130cは、透過部であってもよい。
【0045】
図14に示す画素アレイ130-4では、遮光部となる2次元格子状に配置された複数の格子配線130dで区画される各セル(空間部)内に、遮光部となる画素130aが透過部となる隙間130bを介して配置されている。すなわち、透過部は、画素130a間にある隙間である。互いに垂直な格子配線130dを接続する例えばL字状の折れ配線130eが画素130a内を通過する。折れ配線130eは、画素130aに電流を供給するための配線である。
なお、画素アレイ130-4の透過部及び遮光部の構成は、上記構成に限定されず、画素130a、隙間130b、格子配線130d及び折れ配線130eの少なくともいずれかが透過部であればよい。例えば、画素130a間にある隙間130bは、遮光部であってもよい。
【0046】
図15に示す画素アレイ130-5では、遮光部となる複数の画素130a及び透光部となる複数の隙間130bが全体として千鳥状に配置されている。
なお、画素アレイ130-5において、透光部となる複数の画素130a及び遮光部となる複数の隙間130bが全体として千鳥状に配置されていてもよい。
【0047】
図16に示す画素アレイ130-6では、遮光部となる2次元格子状に配置された複数の格子配線130fで区画される各セル(空間部)内に、遮光部となる複数(例えば2つ)の画素130a及び透過部となる複数(例えば2つ)の隙間130bが全体として千鳥状に配置されている。
なお、画素アレイ130-6において、上記各セル内に透過部となる複数(例えば2つ)の画素130a及び遮光部となる複数(例えば2つ)の隙間が千鳥状に配置されていてもよい。
すなわち、少なくとも2つ(例えば2つ)の画素130aから成る画素群間にある格子配線130fは、透過部であってもよい。
【0048】
図17に示す画素アレイ130-7では、遮光部となる複数の画素130a及び透光部となる複数の隙間130bが全体として千鳥状に配置され、各隙間130bに横方向に隣接する画素130a間を接続する横配線130g及び縦方向に隣接する画素130a間を接続する縦配線130hが配置されている。
【0049】
(表示システム)
以下に、本技術の第1の実施形態に係る表示装置50を備える表示システム1000について、
図18を参照して説明する。
図18は、表示システム1000の機能を示すブロック図である。
表示システム1000は、表示装置50に加えて、制御装置170を備える。制御装置170は、例えば、信号入力部1000a、信号処理部1000b、駆動部1000c、表示素子100a、電力取得部1000d及び電源1000eを含む。
【0050】
信号入力部1000aは、外部装置(例えばセンサ)からの映像信号を入力する。
信号処理部1000bは、信号入力部1000aを介して入力された映像信号を処理し、表示素子100aを駆動するための駆動信号(変調信号)を生成する。
駆動部1000cは、信号処理部1000bからの駆動信号を表示素子100aに印加して表示素子100aを駆動する。
電力取得部1000dは、有線又は無線により電源1000eから電力を取得し、信号入力部1000a、信号処理部1000b、駆動部1000c及び表示素子100aに電力を振り分ける。
電源1000eは、蓄電池(例えば電池、二次電池等)でもよいし、発電源であってもよい。
【0051】
ここで、表示装置50は、上記外部装置として、環境光照射範囲10に対応する通常視野範囲の外側の情報である通常視野範囲外情報を検出するセンサ1500(例えばイメージセンサ)を備え、該センサ1500で検出した通常視野範囲外情報を環境光照射範囲10を含む、該環境光照射範囲10より広い領域に対応する視野範囲に表示することが好ましい。
【0052】
以上説明した第1の実施形態に係る表示装置50は、網膜1における瞳孔4を介した環境光ALが照射される範囲である環境光照射範囲10を含む、該環境光照射範囲10より広い範囲のうち少なくとも環境光照射範囲10外の範囲に光を照射可能な光照射系100を備える。
これにより、通常視野範囲に対応する環境光照射範囲10を含む、該環境光照射範囲10より広い範囲のうち環境光照射範囲10外の範囲に対応する範囲にも、光の像(虚像)を表示することが可能となる。
結果として、表示装置50によれば、視野範囲(通常視野範囲)より広い範囲(以下では「拡張視野範囲」とも呼ぶ)に情報を表示して視認させることができる。
【0053】
拡張視野範囲も、縦方向の拡張視野範囲と横方向の拡張視野範囲とに分けて考えることができる。
縦方向の拡張視野範囲は、例えば
図19Aに示すように、縦方向且つ上方向の通常視野範囲(例えば水平方向から上方に45~50°の範囲)よりも大きい角度θ1の範囲である上方拡張視野範囲と、縦方向かつ下方向の通常視野範囲(例えば水平方向から下方に60~65°の範囲)よりも大きい角度θ2の範囲である下方拡張視野範囲とを含む。
左方向の拡張視野範囲は、例えば
図19Bに示すように、左方向の通常視野範囲(前方から左方に50~60°の範囲)よりも大きい角度θ3の範囲である。
右方向の拡張視野範囲は、例えば
図19Bに示すように、右方向の通常視野範囲(前方から右方に50~60°の範囲)よりも大きい角度θ4の範囲である。
【0054】
図20は、右眼の拡張視野範囲を説明するための図である。
図20において、最も外側の円は、顔や頭部、及び/又は、顔や頭部に装着される物体によって、視野が全く制限されないと仮定した場合の各眼の最大の視野範囲(以下では「仮想最大視野範囲」とも呼ぶ)である。
図20の右下方向が最も視野が広く、この最大視野角を元に全方位に対して最大視野を広げている。
図20の矢印で示すように、本技術の表示装置から環境光照射範囲10、及び/又は、瞳孔側範囲20の少なくとも一部に表示光を照射することにより、通常視野範囲、及び/又は、通常視野範囲から仮想最大視野範囲までの範囲に情報(虚像)を表示することが可能となる。
図21には、通常視野範囲から仮想最大視野範囲までの範囲が格子模様で示されている。以下では、特に仮想最大視野範囲に一致する拡張視野範囲を「最大拡張視野範囲」とも呼ぶ。
【0055】
人は個々に顔の形が異なるため、頭蓋骨の形状も異なるので顔により遮られる環境光照明の範囲も異なる。また頭蓋骨に対する眼球の突出量にも個人差がある。眼球内の毛様体と網膜の境目の位置関係にも個人差が存在すると考えられる。このことから
図20で示した右眼の最大視野角よりも広い範囲に網膜が存在すると考えることが妥当である。
図22は、
図20の仮想最大視野範囲よりも広い範囲に表示光を照射することにより、使用者の最大視野角を超える広い表示を可能にした際の最大拡張視野範囲を示している。
図22の矢印で示すように、本技術の表示装置から環境光照射範囲10、及び/又は、瞳孔側範囲20の少なくとも一部に表示光を照射することにより、通常視野範囲、及び/又は、通常視野範囲から、拡張された仮想最大視野範囲までの範囲に情報(虚像)を表示することが可能となる。
【0056】
図23は、両眼の視野範囲が仮想最大視野範囲まで拡張された状態、すなわち両眼の拡張視野範囲が仮想最大視野範囲に一致している状態を示す図である。
図23において、右眼の最大拡張視野範囲(最大仮想視野範囲)が実線で示され、左眼の最大拡張視野範囲(最大仮想視野範囲)が破線で示されている。
【0057】
ところで、日常的に見えている範囲が認知される視野となるため、通常は視野が狭いことを感じることはない。例えば左眼の内側の視野は外側の視野に比べて30~40°も狭いにもかかわらず、視野が狭く感じないのは右眼で得られる視野情報が脳内で補間されるためである。
例えば左眼だけに表示素子を装着して左眼の網膜上の左外側(右眼側とは反対側の範囲)に映像を表示することで、脳内で両眼の視野情報が補間され、あたかも右眼の右側周辺視野(視野範囲の周辺部)に映像を表示しているように認識させることが可能となる。
ところで左右の網膜に異なる像が与えられると視野闘争が生じることが知られている。しかし、左眼の網膜上の左外側の周辺部には顔の形状で光線が制限され元々環境光照明が与えられていないため、像の情報が無いので左眼だけに表示することによる視野闘争の影響は少ない。
視野狭窄の人が周辺視野の一部が見えていない状況にもかかわらず、その症状に気が付くことなく生活している場合がある。中心の視力は保たれたまま徐々に進行するため、気付かない場合が多い。一方の眼に視野狭窄が現れて当該一方の眼の視野の一部が見えていない場合に、光照射系100から、視野狭窄が現れていない一方の眼の網膜における視野狭窄で視野が失われた他方の眼の視野範囲に相当する範囲に光を照射することにより、視野狭窄で失われた他方の眼の視野を補うことが可能となる。
【0058】
図24は、左眼が視野狭窄の場合であって、小破線で示す左眼の視野範囲が大破線で示す通常視野範囲よりも狭くなっている状態を示す図である。
図25は、
図24の状態から、右眼の視野範囲を拡張した状態を示す図である。
そこで、
図25に示すように光照射系100から、右眼の網膜における左側の範囲(左眼側の範囲)であって、環境光照射範囲10及び瞳孔側範囲20の少なくとも一部に光を照射することにより、右眼の視野範囲を通常視野範囲より大きく拡張できることに加えて、実質的に左眼の視野範囲も通常視野範囲より大きく拡張することができる。
逆に、右眼が視野狭窄の場合に、光照射系100から、左眼の網膜における右側の範囲(右眼側の範囲)であって、環境光照射範囲10及び瞳孔側範囲20の少なくとも一部に光を照射することにより、左眼の視野範囲を通常視野範囲より大きく拡張できることに加えて、実質的に右眼の視野範囲も通常視野範囲より大きく拡張することができる。
【0059】
光照射系100は、環境光照射範囲10と、網膜1における環境光照射範囲10の瞳孔側の範囲20と、環境光照射範囲10及び瞳孔側の範囲20に跨る範囲とのいずれかに選択的に光を照射可能である。
【0060】
5.<本技術の第2の実施形態に係る表示装置及び該表示装置を備える表示システム>
以下、本技術の第2の実施形態に係る表示装置150について、
図26~
図28を参照して説明する。
第2の実施形態に係る表示装置150では、
図26及び
図27に示すように、光照射系200は、少なくとも使用時に眼球に一体化される光学素子200aと、該光学素子200aに向けて光を投射する光投射部200bとを含む。
【0061】
光学素子200aは、例えばコンタクトレンズ型の光学素子(例えばレンズ)であり、屈折または回折により入射光線を曲げる機能を有し、眼球EBに角膜5を覆うように装着される。
図26及び
図27は、光学素子200aが左眼に装着された例を示す。
光投射部200bは、例えば、光源と該光源からの光を平行光とするコリメートレンズとを含む。
【0062】
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの中央位置に入射された投射光線PL0は、該光学素子200aを通過した後、角膜5、瞳孔4を通過して表示光DL0として環境光照射範囲10に照射される。
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最上位置に入射された投射光線PL1は、該光学素子200aで下方に大きく屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL1として下方瞳孔側範囲20V-1の前端20V-1aに入射される。
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最上位置と中央位置との間の第1の位置に入射した投射光線PL2は、該光学素子200aで下方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL2として下方瞳孔側範囲20V-1の後端20V-1bに入射される。
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最上位置と上記第1の位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200aで下方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として下方瞳孔側範囲20V-1に入射される。
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの上記第1の位置と中央位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200aで下方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0063】
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最下位置に入射された投射光線PL4は、該光学素子200aで上方に大きく屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL4として上方瞳孔側範囲20V-2の前端20V-2aに入射される。
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最下位置と中央位置との間の第2の位置に入射した投射光線PL3は、該光学素子200aで上方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL3として上方瞳孔側範囲20V-2の後端20V-2bに入射される。
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最上位置と上記第2位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200で上方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として上方瞳孔側範囲20V-2に入射される。
図26において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの上記第2位置と中央位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200aで上方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0064】
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの中央位置に入射された投射光線PL0は、該光学素子200aを通過した後、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL0として環境光照射範囲10に照射される。
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最右位置に入射された投射光線PL5は、該光学素子200aで左方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL5として左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最右位置と中央位置との間の第3の位置に入射した投射光線PL6は、該光学素子200aで左方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL6として左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最右位置と上記第3の位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200aで左方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの上記第3位置と中央位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200aで左方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0065】
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最左位置に入射された投射光線PL8は、該光学素子200aで右方に大きく屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL8として右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最左位置と中央位置との間の第4の位置に入射した投射光線PL7は、該光学素子200aで右方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光DL7として右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの最左位置と上記第4位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200aで右方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図27において、例えば光投射部200bから投射され光学素子200aの上記第4位置と中央位置との間の任意の位置に入射した投射光線は、該光学素子200aで右方に屈折または回折され、角膜5、瞳孔4を通過し、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0066】
図28は、第2の実施形態に係る表示装置150を備える表示システム2000の機能を示すブロック図である。
表示システム2000は、
図28に示すように、駆動部1000cの駆動対象が光投射部200b(より詳細には光投射部200bの光源)である点を除いて、
図18に示す表示装置50を備える表示システム1000と同様の構成及び機能を有する。
【0067】
以上説明した第2の実施形態に係る表示装置150も、上記第1の実施形態に係る表示装置50と概ね同様の効果を奏する。表示装置150を備える表示システム2000も表示装置50を備える表示システム1000と概ね同様の効果を奏する。
【0068】
6.<本技術の第3の実施形態に係る表示装置>
以下、本技術の第3の実施形態に係る表示装置250(実施例1~4の表示装置250-1~250-4)について、
図29~
図32を参照して説明する。ここでは、表示装置250を横断面のみを用いて説明するが、縦断面内においても、同様の議論が成立する。
【0069】
第3の実施形態の表示装置250(250-1~250-4)では、光照射系300(300-1~300-4)の表示素子300a(300a-1~300a-4)が水晶体6に埋め込まれている。
【0070】
(第3の実施形態の実施例1の表示装置)
第3の実施形態の実施例1の表示素子300a-1は、
図29に示すように、水晶体6の内部中央に瞳孔4に対向するように略平板状の状態で埋め込まれている。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の中央位置にある画素から射出された表示光DL0は、環境光照射範囲10に入射される。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の最右位置にある画素から射出された表示光DL1は、右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の最右位置と中央位置との間の第1
の位置にある画素から射出された表示光DL2は、右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の最右位置と上記第1の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の上記第1の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0071】
図29において、実施例1の表示素子300a-1の最左位置にある画素から射出された表示光DL4は、左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の最左位置と中央位置との間の第2の位置にある画素から射出された表示光DL3は、左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の最左位置と上記第2の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図29において、実施例1の表示素子300a-1の上記第2の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0072】
(第3の実施形態の実施例2の表示装置)
第3の実施系形態の実施例3の表示素子300a-2は、
図30に示すように、水晶体6の内部中央に瞳孔4に対向するように略平板状の状態で埋め込まれている。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の中央位置にある画素から射出された表示光DL0は、環境光照射範囲10に入射される。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の最右位置にある画素から射出された表示光DL1は、左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の最右位置と中央位置との間の第1の位置にある画素から射出された表示光DL2は、左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の最右位置と上記第1の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の上記第1の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0073】
図30において、実施例2の表示素子300a-2の最左位置にある画素から射出された表示光DL4は、右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の最左位置と中央位置との間の第2の位置にある画素から射出された表示光DL3は、右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の最左位置と上記第2の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図30において、実施例2の表示素子300a-2の上記第2の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0074】
図30から分かるように、実施例2の表示素子300a-2は、複数の表示光を水晶体6内部で互いに交差するように射出する。
【0075】
(第3の実施形態の実施例3の表示装置)
第3の実施系形態の実施例3の表示素子300a-3は、
図31に示すように、水晶体6の瞳孔4側とは反対側の端部内に、瞳孔4に対向するように、且つ、瞳孔4側とは反対側に凸となるように湾曲した状態で埋め込まれている。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の中央位置にある画素から射出された表示光DL0は、環境光照射範囲10に入射される。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の最右位置にある画素から射出された表示光DL1は、右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の最右位置と中央位置との間の第1の位置にある画素から射出された表示光DL2は、右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の最右位置と上記第1の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の上記第1の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0076】
図31において、実施例3の表示素子300a-3の最左位置にある画素から射出された表示光DL4は、左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の最左位置と中央位置との間の第2の位置にある画素から射出された表示光DL3は、左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の最左位置と上記第2の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図31において、実施例3の表示素子300a-3の上記第2の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0077】
(第3の実施形態の実施例4の表示装置)
第3の実施系形態の実施例4の表示素子300a-4は、
図32に示すように、水晶体6の瞳孔4側の端部内に瞳孔4に隣接するように湾曲した状態で埋め込まれている。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の中央位置にある画素から射出された表示光DL0は、環境光照射範囲10に入射される。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の最右位置にある画素から射出された表示光DL1は、左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の最右位置と中央位置との間の第1の位置にある画素から射出された表示光DL2は、左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の最右位置と上記第1の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の上記第1の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0078】
図32において、実施例4の表示素子300a-4の最左位置にある画素から射出された表示光DL4は、右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の最左位置と中央位置との間の第2の位置にある画素から射出された表示光DL3は、右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の最左位置と上記第2の位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図32において、実施例4の表示素子300a-4の上記第2の位置と中央位置との間の位置にある任意の画素から射出された表示光は、環境光照射範囲10に入射される。
【0079】
図32から分かるように、実施例4の表示素子300a-4は、複数の表示光を水晶体6内部で互いに交差するように射出する。
【0080】
以上説明した上記第3の実施形態の表示装置250でも、上記第1及び第2の実施形態の表示装置50、150と同様の効果を奏する。
【0081】
7.<本技術の第4の実施形態に係る表示装置>
以下、本技術の第4の実施形態に係る表示装置350(実施例1~6の表示装置350-1~350-6)について、
図33~
図38を参照して説明する。ここでは、表示装置350を横断面図のみを用いて説明するが、縦断面内においても、同様の議論が成立する。
【0082】
第4の実施形態の表示装置350(350-1~350-6)は、光照射系400(400-1~400-6)が、光学素子400a(400a-1~400a-6)と、該光学素子400aに光を投射する光投射部200bとを含む。
【0083】
(第4の実施形態の実施例1の表示装置)
図33に示すように、第4の実施形態の実施例1の表示装置350-1の光学素子400a-1は、水晶体6の内部中央に瞳孔4に対向するように略平板状の状態で埋め込まれている。
光学素子400a-1は、一例として、中心部から周辺部へいくにつれ、入射光を外方(中心部から周辺部へ向く方向)に屈折させる屈折率が高くなる屈折率分布を有する。また、他の例として、入射光線を回折する光学素子を用いる場合には、該光学素子の中央部に入射する光線よりも周辺部に入射する光線の方が外側に回折する角度が大きくなるようにする。
【0084】
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の中央位置に入射した投射光線PL0が、該光学素子400a-1内をそのまま直進して環境光照射範囲10に入射される。
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の最右位置に入射した投射光線PL1が、該光学素子400a-1で右方に大きく屈折されて、表示光DL1として右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の最右位置と中央位置との間の第1の位置に入射した投射光線PL2が、該光学素子400a-1で右方に屈折されて、表示光DL2として右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の最右位置と上記第1の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-1で右方に屈折されて、表示光として右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の上記第1の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線は、該光学素子400a-1で右方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0085】
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の最左位置に入射した投射光線PL4が、該光学素子400a-1で左方に大きく屈折されて、表示光DL4として左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の最左位置と中央位置との間の第2の位置に入射した投射光線PL3が、該光学素子400a-1で左方に屈折されて、表示光DL3として左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の最左位置と上記第2の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-1で左方に屈折されて、表示光として左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図33において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-1の上記第2の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-1で左方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0086】
(第4の実施形態の実施例2の表示装置)
図34に示すように、第4の実施形態の実施例2の光学素子400a-2は、水晶体6の内部中央に瞳孔4に対向するように略平板状の状態で埋め込まれている。
光学素子400a-2は、中心部から周辺部へいくにつれ、入射光を内方(周辺部から中心部へ向く方向)に屈折させるように屈折率が高くなる屈折率分布を有する。また、他の例として、入射光線を回折する光学素子を用いる場合には、該光学素子の中央部に入射する光線よりも周辺部に入射する光線の方が内側に回折する角度が大きくなるようにする。
【0087】
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の中央位置に入射した投射光線PL0が、該光学素子400a-2内をそのまま直進して環境光照射範囲10に入射される。
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の最右位置に入射した投射光線PL1が、該光学素子400a-2で左方に大きく屈折されて、表示光DL1として左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の最右位置と中央位置との間の第1の位置に入射した投射光線PL2が、該光学素子400a-1で左方に屈折されて、表示光DL2として左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の最右位置と上記第1の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-2で左方に屈折されて、表示光として左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の上記第1の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線は、該光学素子400a-2で左方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0088】
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の最左位置に入射した投射光線PL4が、該光学素子400a-2で右方に大きく屈折されて、表示光DL4として右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の最左位置と中央位置との間の第2の位置に入射した投射光線PL3が、該光学素子400a-2で右方に屈折されて、表示光DL3として右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の最左位置と上記第2の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-2で右方に屈折されて、表示光として右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図34において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-2の上記第2の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-2で右方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0089】
図34から分かるように、光投射部200bから投射された複数の投射光線は、光学素子400a-2から、該光学素子400a-2の内部もしくは近傍で交差するように射出される。
【0090】
(第4の実施形態の実施例3の表示装置)
図35に示すように、第4の実施形態の実施例3の表示装置350-3の光学素子400a-3は、水晶体6の瞳孔4側の端部内に瞳孔4に隣接するように湾曲した状態で埋め込まれている。
光学素子400a-3は、上記の如く湾曲した状態で、中心部から周辺部へいくにつれ、入射光を外方(中心部から周辺部へ向く方向)に屈折させるように屈折率が低くなる屈折率分布を有する。また、他の例として、入射光線を回折する光学素子を用いる場合には、該光学素子の中央部に入射する光線よりも周辺部に入射する光線の方が外側に回折する角度が大きくなるようにする。
【0091】
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の中央位置に入射した投射光線PL0が、該光学素子400a-3内をそのまま直進して環境光照射範囲10に入射される。
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の最右位置に入射した投射光線PL1が、該光学素子400a-3で右方に大きく屈折されて、表示光DL1として右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の最右位置と中央位置との間の第1の位置に入射した投射光線PL2が、該光学素子400a-3で右方に屈折されて、表示光DL2として右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の最右位置と上記第1の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-3で右方に屈折されて、表示光として右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の上記第1の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線は、該光学素子400a-3で右方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0092】
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の最左位置に入射した投射光線PL4が、該光学素子400a-3で左方に大きく屈折されて、表示光DL4として左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の最左位置と中央位置との間の第2の位置に入射した投射光線PL3が、該光学素子400a-3で左方に屈折されて、表示光DL3として左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の最左位置と上記第2の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-3で左方に屈折されて、表示光として左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図35において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-3の上記第2の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-3で左方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0093】
(第4の実施形態の実施例4の表示装置)
図36に示すように、第4の実施形態の実施例4の表示装置350-4の光学素子400a-4は、水晶体6の瞳孔4側とは反対側の端部内に瞳孔4に対向するように湾曲した状態で埋め込まれている。
光学素子400a-4は、上記の如く湾曲した状態で、中心部から周辺部へいくにつれ、入射光を外方(中心部から周辺部へ向く方向)に屈折させるように屈折率が低くなる屈折率分布を有する。また、他の例として、入射光線を回折する光学素子を用いる場合には、該光学素子の中央部に入射する光線よりも周辺部に入射する光線の方が外側に回折する角度が大きくなるようにする。
【0094】
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の中央位置に入射した投射光線PL0が、該光学素子400a-4内をそのまま直進して環境光照射範囲10に入射される。
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の最右位置に入射した投射光線PL1が、該光学素子400a-4で右方に大きく屈折されて、表示光DL1として右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の最右位置と中央位置との間の第1の位置に入射した投射光線PL2が、該光学素子400a-4で右方に屈折されて、表示光DL2として右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の最右位置と上記第1の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-4で右方に屈折されて、表示光として右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の上記第1の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線は、該光学素子400a-4で右方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0095】
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の最左位置に入射した投射光線PL4が、該光学素子400a-3で左方に大きく屈折されて、表示光DL4として左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の最左位置と中央位置との間の第2の位置に入射した投射光線PL3が、該光学素子400a-4で左方に屈折されて、表示光DL3として左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の最左位置と上記第2の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-4で左方に屈折されて、表示光として左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図36において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-4の上記第2の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-4で左方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0096】
(第4の実施形態の実施例5の表示装置)
第4の実施形態の実施例5の表示装置350-5の光照射系400-5は、
図37に示すように、複数(例えば2つ)の光学素子400a-5-1、400a-5-2を有する。
実施例5の光学素子400a-5-1、400a-5-2は、水晶体6の内部に互い対向するように埋め込まれている。
詳述すると、光学素子400a-5-1は、水晶体6の瞳孔4側の端部内に瞳孔4に隣接するように湾曲した状態で埋め込まれている。光学素子400a-5-2は、水晶体6の瞳孔4側とは反対側の端部内に瞳孔4に対向するように埋め込まれている。
光学素子400a-5-1は、上記の如く湾曲した状態で、中心部から周辺部へいくにつれ、入射光を内方(周辺部から中心部へ向く方向)に屈折させるように屈折率が高くなる屈折率分布を有する。また、他の例として、光学素子400a-5-1の代わりに入射光線を回折する光学素子を用いる場合には、該光学素子の中央部に入射する光線よりも周辺部に入射する光線の方が内側に回折する角度が大きくなるようにする。
光学素子400a-5-2は、上記の如く湾曲した状態で、中心部から周辺部へいくにつれ、入射光を外方(中心部から周辺部へ向く方向)に屈折させるように屈折率が低くなる屈折率分布を有する。また、他の例として、光学素子400a-5-2の代わりに入射光線を回折する光学素子を用いる場合には、該光学素子の中央部に入射する光線よりも周辺部に入射する光線の方が外側に回折する角度が大きくなるようにする。
【0097】
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の中央位置に入射した投射光線PL0が、直進しながら該光学素子400a-5-1、光学素子400a-5-2を順次透過して環境光照射範囲10に入射される。
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の最右位置に入射した投射光線PL1が、該光学素子400a-5-1で左方に大きく屈折されて、光学素子400a-5-2の最左位置に入射される。当該最左位置に入射された投射光線PL1は、該光学素子400a-5-2で左方に大きく屈折されて、表示光DL1として左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の最右位置と中央位置との間の第1の位置に入射した投射光線PL2が、該光学素子400a-1で左方に屈折されて、光学素子400a-5-2の最左位置と中央位置との間の第2の位置に入射される。当該第2の位置に入射された投射光線PL2は、光学素子400a-5-2で左方に屈折されて、表示光DL2として左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の最右位置と上記第1の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-5-2の最左位置と上記第2の位置との間の位置に入射される。当該入射された任意の投射光線は、光学素子400a-5-2で左方に屈折されて、表示光として左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の上記第1の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線は、該光学素子400a-5-1で左方に屈折されて、光学素子400a-5-2の上記第2の位置と中央位置との間に入射される。当該入射された任意の投射光線は、光学素子400a-5-2で左方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0098】
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の最左位置に入射した投射光線PL4が、該光学素子400a-5-1で右方に大きく屈折されて、光学素子400a-5-2の最右位置に入射される。当該最右位置に入射された投射光線PL4は、該光学素子400a-5-2で右方に大きく屈折されて、表示光DL4として右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の最左位置と中央位置との間の第3の位置に入射した投射光線PL3が、該光学素子400a-5-1で右方に屈折されて、光学素子400a-5-2の最右位置と中央位置との間の第4の位置に入射される。当該第4の位置に入射された投射光線PL3は、光学素子400a-5-2で右方に屈折されて、表示光DL3として右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-1の最左位置と上記第3の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-5-2の最右位置と上記第4の位置との間の位置に入射される。当該入射された任意の投射光線は、光学素子400a-5-2で右方に屈折されて、表示光として右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図37において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-5-2の上記第3の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線は、該光学素子400a-5-2で右方に屈折されて、光学素子400a-5-2の上記第4の位置と中央位置との間に入射される。当該入射された任意の投射光線は、光学素子400a-5-2で右方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0099】
(第4の実施形態の実施例6の表示装置)
第4の実施形態の実施例6の表示装置350-6の光学素子400a-6は、
図38に示すように、水晶体6の瞳孔4側の端部内に瞳孔4に隣接するように湾曲した状態で埋め込まれている。
光学素子400a-6は、上記の如く湾曲した状態で、中心部から周辺部へいくにつれ、入射光を内方(周辺部から中心部へ向く方向)に屈折させるように屈折率が高くなる屈折率分布を有する。また、他の例として、入射光線を回折する光学素子を用いる場合には、該光学素子の中央部に入射する光線よりも周辺部に入射する光線の方が内側に回折する角度が大きくなるようにする。
【0100】
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の中央位置に入射した投射光線PL0が、該光学素子400a-6内をそのまま直進して環境光照射範囲10に入射される。
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の最右位置に入射した投射光線PL1が、該光学素子400a-6で左方に大きく屈折されて、表示光DL1として左方瞳孔側範囲20H-1の前端20H-1aに入射される。
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の最右位置と中央位置との間の第1の位置に入射した投射光線PL2が、該光学素子400a-6で左方に屈折されて、表示光DL2として左方瞳孔側範囲20H-1の後端20H-1bに入射される。
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の最右位置と上記第1の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-6で左方に屈折されて、表示光として左方瞳孔側範囲20H-1に入射される。
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の上記第1の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線は、該光学素子400a-6で左方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0101】
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の最左位置に入射した投射光線PL4が、該光学素子400a-6で右方に大きく屈折されて、表示光DL4として右方瞳孔側範囲20H-2の前端20H-2aに入射される。
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の最左位置と中央位置との間の第2の位置に入射した投射光線PL3が、該光学素子400a-6で右方に屈折されて、表示光DL3として右方瞳孔側範囲20H-2の後端20H-2bに入射される。
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の最左位置と上記第2の位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-6で右方に屈折されて、表示光として右方瞳孔側範囲20H-2に入射される。
図38において、例えば、光投射部200bから投射され角膜5及び瞳孔4を通過して光学素子400a-6の上記第2の位置と中央位置との間の位置に入射した任意の投射光線が、該光学素子400a-6で右方に屈折されて、表示光として環境光照射範囲10に入射される。
【0102】
図38から分かるように、光投射部200bから投射された複数の投射光線は、光学素子400a-6から、該光学素子400a-6の内部もしくは近傍(例えば水晶体6内)で交差するように射出される。
【0103】
以上説明した上記第4の実施形態の表示装置350でも、上記第1及び第2の実施形態の表示装置50、150と概ね同様の効果を奏する。
【0104】
8.<本技術の第5の実施形態に係る表示装置>
本技術の第5の実施形態の表示装置は、表示素子又は光学素子の特性が異なる点を除いて、上記第1~第4の実施形態の表示装置のいずれかと同様の構成を有する。
第5の実施形態に係る表示装置の表示素子又は光学素子(但し、光学素子の場合は光投射部も含む)は、環境光照射範囲10及び環境光照射範囲10外の範囲(例えば瞳孔側範囲20)を含む範囲に対応する拡張視野範囲において、中央部における視認性よりも周辺部における視認性を低くする視野角特性を発現する。
図39は、第5の実施形態の表示素子又は光学素子が眼球に装着されているときのユーザの拡張視野範囲の一例を示す図である。
図39から、ユーザは、表示素子又は光学素子を介して外部環境を眺めたときに、上記拡張視野範囲の中央部が相対的に視認性の高い明瞭領域220となっており、上記拡張視野範囲の周辺部が相対的に視認性の低い不明瞭領域210となっている。
具体的には、第5の実施形態の表示装置の表示素子又は光学素子は、例えば、上記拡張視野範囲において、環境光照射範囲10に対応する通常視野範囲の中央部では視認性が高い素子として機能し、且つ、通常視野範囲の中央部外の範囲では最大拡張視野範囲に近づくほど視認性が徐々に低下する素子として機能してもよい。
第5の実施形態の表示装置の表示素子又は光学素子は、例えば、上記拡張視野範囲において、環境光照射範囲10に対応する通常視野範囲では視認性が高い素子として機能し、且つ、通常視野範囲外の範囲では最大拡張視野範囲に近づくほど視認性が徐々に低下する素子として機能してもよい。
第5の実施形態の表示装置の表示素子又は光学素子は、例えば、上記拡張視野範囲において、環境光照射範囲10に対応する通常視野範囲、及び通常視野範囲外で且つ最大拡張視野範囲内の所定範囲では視認性が高い素子として機能し、且つ、当該所定範囲外の範囲では最大拡張視野範囲に近づくほど視認性が徐々に低下する素子として機能してもよい。
【0105】
上記のような視野角特性を発現する表示素子又は光学素子としては、例えば、上記拡張視野範囲における周辺部に対して中心部よりも明るくなる、もしくは暗くなるような表示をすることにより、中心部よりも周辺部の視認性を低くする素子が挙げられる。
上記のような視野角特性を発現する表示素子又は光学素子としては、例えば、上記拡張視野範囲における周辺部に対して単色を重ねて表示するか、もしくはテクスチャのようなパターンを重ねて表示することにより、中心部に比べて周辺部を目立たなくする素子でもよい。
上記のような視野角特性を発現する表示素子又は光学素子としては、例えば、通常視野範囲における周辺部に入射される環境光の強度を下げることにより、該周辺部を通常視野範囲における中心部に比べて目立たなくする素子でもよい。
【0106】
また、第5の実施形態の表示装置の表示素子又は光学素子としては、例えば、光の入射角に応じて収差又はヘイズが異なる特性を有する素子が挙げられる。そのような光学素子は、例えば、視野角に依存した透過特性を有する光学素子(例えばホログラム素子)である。そのような表示素子は、例えば、視野角特性を有する液晶表示部及び光源を有する表示素子である。
【0107】
第5の実施形態の表示装置によれば、例えば、視野周辺部における不要な情報がユーザに認識されるのを抑制し、視野中心部における必要な情報にユーザの気持ちを集中させることができる。
【0108】
なお、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)網膜における瞳孔を介した環境光が照射される範囲である環境光照射範囲を含む、該環境光照射範囲より広い範囲のうち少なくとも前記環境光照射範囲外の範囲に前記瞳孔を介して光を照射可能な光照射系を備える、表示装置。
(2)前記環境光照射範囲は、前記網膜の周辺の、該網膜への前記環境光の到達を妨げる顔の部位、及び/又は、前記顔若しくは頭に装着される物体によって定まる、(1)に記載の表示装置。
(3)前記光照射系は、前記網膜における前記環境光照射範囲からみて前記瞳孔側の範囲と、前記環境光照射範囲及び前記瞳孔側の範囲に跨る範囲とのいずれかに光を照射可能である、(1)又は(2)に記載の表示装置。
(4)前記光照射系は、前記環境光照射範囲と、前記網膜における前記環境光照射範囲の前記瞳孔側の範囲と、前記環境光照射範囲及び前記瞳孔側の範囲に跨る範囲とのいずれかに選択的に光を照射可能である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の表示装置。
(5)前記光照射系は、前記瞳孔付近で光が交差するように光を射出する、(1)~(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(6)前記光照射系は、一方の眼の前記網膜における他方の眼側とは反対側の範囲に光を照射する、(1)~(5)のいずれか1つに記載の表示素子
(7)前記光照射系は、少なくとも使用時に眼球に一体化される表示素子を含む、(1)~(6)のいずれか1つに記載の表示装置。
(8)前記表示素子は、前記環境光照射範囲より広い範囲に対応する視野範囲において、中央部の視認性よりも周辺部の視認性を低くする視野角特性を発現する、(1)~(7)のいずれ1つに記載の表示装置。
(9)前記表示素子は、コンタクトレンズ型の表示素子である、(7)又は(8)に記載の表示装置。
(10)前記表示素子は、眼内レンズ型の表示素子である、請求項(7)~(9)のいずれか1つに記載の表示装置。
(11)前記表示素子は、2次元配列又は3次元配列された複数の画素を含む、(7)~(10)のいずれか1つに記載の表示装置。
(12)前記表示素子は、特定の波長帯の光の少なくとも一部を透過させる透過部及び該光を遮光する遮光部を有する、(11)に記載の表示装置。
(13)前記透過部は、前記画素間にある隙間である、(12)に記載の表示装置。
(14)前記遮光部は、前記画素間にある隙間である、(12)に記載の表示装置。
(15)前記透過部は、前記画素間に配置された配線である、(12)に記載の表示装置。
(16)前記遮光部は、前記画素間に配置された配線である、(12)に記載の表示素子。
(17)前記透過部は、少なくとも2つの画素から成る画素群間にある配線である、(12)に記載の表示装置。
(18)前記遮光部は、少なくとも2つの画素から成る画素群間にある配線である、(12)に記載の表示装置。
(19)前記表示素子は、前記複数の画素が千鳥状に配置されている、(12)に記載の表示装置。
(20)前記表示素子は、自発光型の表示素子である、(7)~(19)のいずれか1つに記載の表示装置。
(21)前記表示素子は、液晶表示部及び光源を含む、(7)~(19)のいずれか1つに記載の表示装置。
(22)前記環境光照射範囲に対応する通常視野範囲の外側の情報である通常視野範囲外情報を検出するセンサを更に備え、前記センサで検出した通常視野範囲外情報を前記広い範囲に対応する拡張視野範囲に表示する、(1)~(21)のいずれか1つに記載の表示装置。
(23)前記光照射系は、少なくとも使用時に眼球に一体化される光学素子と、前記光学素子に向けて光を投射する光投射部とを含む、(1)~(6)のいずれか1つに記載の表示装置。
(24)前記光学素子は、前記環境光照射範囲より広い範囲に対応する視野範囲において、中央部の視認性よりも周辺部の視認性を低くする視野角特性を発現する、(23)に記載の表示装置。
(25)前記光学素子は、コンタクトレンズ型の光学素子である、(23)又は(24)に記載の表示装置。
(26)前記光学素子は、眼内レンズ型の光学素子である、(23)又は(24)に記載の表示装置。
(27)(1)~(26)のいずれか1つに記載の表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置と、
を備える、表示システム。
【符号の説明】
【0109】
1:網膜、4:瞳孔、10:環境光照射範囲、20:瞳孔側範囲(瞳孔側の範囲)、50、150、250、350:表示装置、100、200、300、400:光照射系、100a、300a:表示素子、200a、400a:光学素子、200b:光投射部。