(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】撮像装置、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20241112BHJP
H04N 23/62 20230101ALI20241112BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241112BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241112BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/62
H04N23/55
G03B15/00 Q
(21)【出願番号】P 2021569742
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2020042731
(87)【国際公開番号】W WO2021140746
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2020002204
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】阪中 幹恵
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 飛鳥
(72)【発明者】
【氏名】小守谷 一毅
(72)【発明者】
【氏名】福士 剛
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕之
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-183346(JP,A)
【文献】特開2004-096635(JP,A)
【文献】特開2010-154438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/62
H04N 23/55
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とし、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理を行うユーザインタフェース制御部と、
前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替制御部と、を備えた
撮像装置。
【請求項2】
前記ユーザインタフェース処理は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ユーザインタフェース処理は、操作子についての操作音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ユーザインタフェース処理は、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ユーザインタフェース処理は、前記遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ユーザインタフェース処理は、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間または前記第2期間に発生する音の種別ごとに抑制するか否かを設定可能とする提示を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間または前記第2期間に発生する音を抑制するか否かについての詳細設定を行うための操作子の提示を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ユーザインタフェース処理は、前記詳細設定において、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、前記遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目についての設定を可能とする提示を行う
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記ユーザインタフェース処理は、前記詳細設定において、変更不能とされた項目についての表示を行う
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記変更不能とされた項目は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、操作子についての操作音を抑制するか否かについての設定項目を含む
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
被写体を自動識別する自動識別処理部を備え、
前記切替制御部は、前記自動識別処理部が被写体を生物と認識した場合に前記第1期間または前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記切替制御部は、
所定操作により合焦制御を行うと共に前記第1期間または前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
撮影シーンを特定するシーン特定部を備え、
前記切替制御部は、前記特定された撮影シーンに応じて前記第1期間または前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
音信号が入力される音入力部を備え、
前記切替制御部は、前記音入力部に入力された音信号の信号レベルが所定値以下である場合に前記第1期間または前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
レンズ鏡筒が取り付けられる取付部を備え、
前記切替制御部は、前記取付部からレンズ鏡筒を取り外すための操作を検出した場合に前記第1期間または前記第2期間に発生する音を抑制する設定であってもメカシャッタを閉じるための制御を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項17】
電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とし、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理と、
前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替処理と、を
撮像装置が行う情報処理方法。
【請求項18】
電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とし、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理と、
前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替処理と、を
撮像装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は撮像装置、情報処理方法、プログラムに関し、特に撮像装置から発生する音を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置においては、各種の動作が実行される際に音が発生する場合がある。具体的に、例えば、レリーズ操作に応じてメカシャッタが動作する際には、メカシャッタの駆動音が発生する。
しかし、撮影シーンによっては静かに撮影をしたいという要望がある。特許文献1には、サイレント撮影モードを備えた撮像装置に関する技術が開示されている。サイレント撮影モードは、メカシャッタを使用しないことにより音の発生を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、撮影シーンによっては、レリーズ操作時のメカシャッタ機構の駆動音を抑制するだけでは不十分である場合がある。例えば、レリーズ操作時以外に撮像装置から発生する音によって被写体である野鳥が逃げてしまう場合などである。
【0005】
そこで本技術では、撮像装置から発生する音を抑制するための最適なユーザインタフェースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る撮像装置は、電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理を行うユーザインタフェース制御部と、前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替制御部と、を備えたものである。
第1期間は、被写体を画角に捉えて撮像を試みている時間帯が含まれる。また、第2期間は、被写体の撮像を試みていない時間帯が含まれる。従って、ユーザインタフェース処理では、謂わば撮影時と非撮影時の双方において発生する音を抑制するような設定が可能とされる。
【0007】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とする処理を含んでいてもよい。
これにより、第1期間に発生する音を抑制するためのユーザインタフェースがユーザに対して提供される。
【0008】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、前記第2期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とする処理を含んでいてもよい。
これにより、第2期間に発生する音を抑制するためのユーザインタフェースがユーザに対して提供される。
【0009】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
これにより、ユーザインタフェース処理において提示された音抑制機能のON/OFF選択肢から音抑制機能をON状態にする選択肢が選択された場合に、レリーズ操作に基づくメカシャッタ機構の駆動音が抑制される。
【0010】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、操作子についての操作音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能をON状態にする選択肢が選択された場合に、例えば電子音などの操作音が抑制される。
【0011】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能をON状態にする選択肢が選択された場合に、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音が抑制される。
【0012】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、前記遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能をON状態にする選択肢が選択された場合に、電源OFF状態へ遷移する際のメカシャッタ機構の駆動音が抑制される。
【0013】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能をON状態にする選択肢が選択された場合に、オートピクセルマッピング機能が動作しないように制御される。
【0014】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間及び前記第2期間に発生する音の種別ごとに抑制するか否かを設定可能とする提示を行ってもよい。
これにより、ユーザが音を抑制するか否かを種別ごとにカスタマイズすることができる。
【0015】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するか否かについての詳細設定を行うための操作子の提示を行ってもよい。
これにより、ユーザに対して音の抑制有無をカスタマイズするための操作子が提供される。
【0016】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース制御部は、前記詳細設定において、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、前記遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目についての設定を可能とする提示を行ってもよい。
これにより、ユーザに対して音の抑制有無をカスタマイズするための各種操作を詳細設定画面で行うことができる。
【0017】
上記した撮像装置において、前記ユーザインタフェース制御部は、前記詳細設定において、変更不能とされた項目についての表示を行ってもよい。
これにより、変更不能な項目についてもユーザが音の抑制についての現在の設定の内容を把握することができる。
【0018】
上記した撮像装置において、前記変更不能とされた項目は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、操作子についての操作音を抑制するか否かについての設定項目を含んでいてもよい。
これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能をON状態にする選択肢が選択された場合には、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構の駆動音と操作音が抑制されると共に、その状態をユーザが認識することができる。
【0019】
上記した撮像装置においては、被写体を自動識別する自動識別処理部を備え、前記切替制御部は、前記自動識別処理部が被写体を生物と認識した場合に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
生物とは、例えば、野鳥や野生動物などであってもよいし、人間であってもよい。
【0020】
上記した撮像装置における前記切替制御部は、所定操作により合焦制御を行うと共に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
合焦制御を行うタイミングは、ユーザが被写体についての撮影を行おうとしているタイミングであることが想定される。
【0021】
上記した撮像装置においては、撮影シーンを特定するシーン特定部を備え、前記切替制御部は、前記特定された撮影シーンに応じて前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
これにより、現在の撮影シーンがミュージカルの公演や演奏会などの撮影に関する音を発生しないことが望ましい撮影シーンであった場合などに、自動的に音を抑制する制御に切り替えられる。
【0022】
上記した撮像装置においては、音信号が入力される音入力部を備え、前記切替制御部は、前記音入力部に入力された音信号の信号レベルが所定値以下である場合に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
音入力部に入力された音信号の信号レベルが所定値以下ということは、静かな環境などである。このような場合に音を発生させてしまうと、目立ってしまう可能性がある。
【0023】
上記した撮像装置においては、レンズ鏡筒が取り付けられる取付部を備え、前記切替制御部は、前記取付部からレンズ鏡筒を取り外すための操作を検出した場合に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制する設定であってもメカシャッタを閉じるための制御を行ってもよい。
レンズ鏡筒を取り外す際には、塵芥などが撮像素子等に付着し、性能が劣化してしまう虞がある。レンズ鏡筒を取り外すための操作を検出した段階で、音の抑制設定によらずメカシャッタが閉じられる。
【0024】
本技術の情報処理方法は、電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理と、前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替処理と、を情報処理装置が行うものである。
【0025】
本技術のプログラムは、電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理と、前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替処理と、を情報処理装置に実行させるものである。
これにより、撮像装置から発生する音を抑制するための最適なユーザインタフェースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本技術の実施の形態の撮像装置の斜視図である。
【
図5】撮像装置の機能構成を説明するための図である。
【
図6】第1期間と第2期間を説明するための図である。
【
図7】シャッタ/手ブレ補正メニュー画面の一例である。
【
図10】シャッタ/手ブレ補正メニュー画面の一例である。
【
図13】処理部が実行するフローチャートの一例である。
【
図14】処理部が実行するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.撮像装置の構成>
<2.カメラ制御部の機能構成>
<3.第1期間および第2期間について>
<4.ユーザインタフェース画面>
<4-1.個別設定画面>
<4-2.一括設定画面>
<5.自動切り替え処理について>
<5-1.被写体による自動切り替え>
<5-2.シーン特定による自動切り替え>
<5-3.静けさによる自動切り替え>
<5-4.合焦制御と自動切り替え>
<6.レンズ交換時における自動切り替え>
<7.処理フロー>
<8.変形例>
<9.まとめ>
<10.本技術>
【0028】
<1.撮像装置の構成>
実施の形態の撮像装置1の構成例について
図1,
図2及び
図3を参照して説明する。
撮像装置1としては、ビデオカメラやスチルカメラとしての各種の形態の撮像装置がある。以降の説明では、交換式のレンズ鏡筒が取り付けられる撮像装置1を例に挙げる。
【0029】
撮像装置1は、
図1に示すように、本体部2と本体部2の前方(被写体側)に取り付けられるレンズ鏡筒3とを備えて構成されている。
本体部2は、前面部2aにレンズ鏡筒3を取り付けるための取付部4が形成され、取付部4の近傍にレンズ鏡筒3を本体部2から取り外すための取り外しボタン5が設けられている。
【0030】
本体部2の後方には、
図2に示すように、撮像した画像やメニュー画面等が表示される背面モニタ6が取り付けられている。本体部2の後面部2bには、背面モニタ6を収納する収納凹部7が形成されている。
背面モニタ6は、上端や左右の端部が回動軸とされて本体部2に対する回動が可能に構成されていてもよい。
【0031】
本体部2の前面部2aや後面部2bや上面部2cには、各種の操作子8が設けられている。操作子8としては、例えば、メニューボタン、決定ボタン、キャンセルボタン、レリーズボタン8R、アサイナブルボタン8Aなどが設けられている。他にも、キー、ダイヤル、押圧/回転の複合操作子などの各種の形態のものが操作子8として本体部2やレンズ鏡筒3に配備され、各種の操作機能を実現している。操作機能としては、例えばメニュー操作、再生操作、モード選択操作、フォーカス操作、ズーム操作、シャッタスピードやF値(F-number)等のパラメータの選択操作などが可能とされる。
【0032】
それぞれの操作子8に関しての詳述は避けるが、レリーズボタン8Rはレリーズ操作(シャッタ操作)や、半押しによるAF(オートフォーカス)操作に用いられる。また、アサイナブルボタン8Aは、ユーザがよく使用する機能などを割り当てることができる操作子であり、押下時の挙動をカスタマイズすることが可能な操作子である。
【0033】
本体部2の後面部2bにおいては、背面モニタ6の上部にファインダ部9が設けられている。ファインダ部9にはファインダモニタ9aが設けられている。
【0034】
本体部2の内部空間には、
図3に示すように、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型やCCD(Charge Coupled Device)型などの撮像素子10やメカシャッタ機構11などが配置されている。また、不図示のミラーやペンタプリズムなどが本体部2の内部空間に配置されていてもよい。
ファインダモニタ9aでは、撮像素子10で撮像された画像データが表示されることにより被写体の確認が可能とされていてもよいし、ファインダ部9が光学ファインダとして形成されることによりミラー及びペンタプリズムを介した光が入射されて被写体の確認が可能とされていてもよい。
【0035】
レンズ鏡筒3の内部には入射端レンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ、集光レンズ等の各種の光学レンズ12と絞り機構13が配設されている。
【0036】
図4は、撮像装置1のブロック図である。
撮像装置1の本体部2の内外には、メカシャッタ機構11、撮像部31、カメラ信号処理部32、記録部33、表示部34、出力部35、操作部36、電源部37、カメラ制御部38、メモリ部39、音入力部40などが設けられている。
【0037】
レンズ鏡筒3は、光学系51、ドライバ部52、光学系制御部53、操作部54等を有して構成されている。
【0038】
光学系51は、光学レンズ12や絞り機構13などである。
【0039】
撮像部31は、撮像素子10を備えて構成されている。撮像素子10のセンサ面は、複数の画素が2次元配列されたセンシング素子を有して構成されている。
【0040】
撮像部31では、撮像素子10で受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。撮像部31は、デジタルデータとしての撮像画像信号を、カメラ信号処理部32やカメラ制御部38に出力する。
【0041】
カメラ信号処理部32は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)などのデジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサや、マイクロコンピュータなどにより構成される。
【0042】
カメラ信号処理部32は、撮像部31から送られてくるデジタル信号(撮像画像信号)に対して、各種の信号処理を施すための各部を備える。
【0043】
具体的には、R,G,Bの色チャンネル間の補正処理、ホワイトバランス補正、収差補正、シェーディング補正等の処理を行う。
また、カメラ信号処理部32は、R,G,Bの画像データから、輝度(Y)信号及び色(C)信号を生成(分離)するYC生成処理や、輝度や色を調整する処理、ニー補正やガンマ補正などの各処理を行う。
更に、カメラ信号処理部32は、解像度変換処理や記録用や通信用のための符号化を行うコーデック処理などを行うことによって最終的な出力形式への変換を行う。最終的な出力形式へ変換された画像データは、メモリ部39に記憶される。また、画像データが表示部34に出力されることにより、背面モニタ6やファインダモニタ9aに画像が表示される。更に、外部出力端子から出力されることにより、撮像装置1の外部に設けられたモニタ等の機器に表示される。
【0044】
記録部33は、例えば不揮発性メモリからなり、静止画データや動画データ等の画像ファイル(コンテンツファイル)や、画像ファイルの属性情報、サムネイル画像等を記憶する記憶手段として機能する。
画像ファイルは、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)等の形式で記憶される。
記録部33の実際の形態は多様に考えられる。例えば、記録部33が撮像装置1に内蔵されるフラッシュメモリとして構成されていてもよいし、撮像装置1に着脱できるメモリカード(例えば可搬型のフラッシュメモリ)と該メモリカードに対して記憶や読み出しのためのアクセスを行うアクセス部とで構成されていてもよい。また撮像装置1に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
【0045】
表示部34は、撮像者に対して各種の表示を行うための処理を実行する。表示部34は、例えば、背面モニタ6やファインダモニタ9aとされる。表示部34は、カメラ信号処理部32から入力される適切な解像度に変換された画像データを表示する処理を行う。これにより、レリーズのスタンバイ中の撮像画像である所謂スルー画を表示させる。
更に、表示部34は、カメラ制御部38からの指示に基づいて各種操作メニューやアイコン、メッセージ等、GUI(Graphical User Interface)としての表示を画面上で実現させる。
また、表示部34は、記録部33において記録媒体から読み出された画像データの再生画像を表示させることが可能である。
【0046】
なお、本例においては、背面モニタ6及びファインダモニタ9aの双方が設けられているが、本技術の実施においてはこのような構成に限定されず、ファインダモニタ9aと背面モニタ6の何れか一方のみが設けられていてもよいし、ファインダモニタ9aと背面モニタ6の何れか一方或いは双方が着脱可能な構成とされていてもよい。
【0047】
出力部35は、外部機器とのデータ通信やネットワーク通信を有線や無線で行う。例えば、外部の表示装置、記録装置、再生装置等に対して撮像画像データ(静止画ファイルや動画ファイル)の送信を行う。
また、出力部35は、ネットワーク通信部として機能してもよい。例えば、インターネット、ホームネットワーク、LAN(Local Area Network)等の各種のネットワークによる通信を行い、ネットワーク上のサーバや端末等との間で各種データの送受信を行うようにしてもよい。
【0048】
本体部2に設けられた操作部36は、上述した各種操作子8だけでなく、タッチパネル方式を採用した背面モニタ6なども含んでおり、撮像者のタップ操作やスワイプ操作などの種々の操作に応じた操作情報をカメラ制御部38に出力する。
なお、操作部36は撮像装置1とは別体のリモートコントローラ等の外部操作機器の受信部として機能してもよい。
【0049】
電源部37は、例えば内部に充填したバッテリから各部に必要な電源電圧(Vcc)を生成し、動作電圧として供給する。
本体部2にレンズ鏡筒3が装着された状態においては、電源部37による電源電圧Vccがレンズ鏡筒3内の回路にも供給されるように構成されている。
なお、電源部37には、商用交流電源に接続したACアダプタにより変換されて入力される直流電圧を電源として、バッテリへの充電を行う回路や電源電圧Vccを生成する回路が形成されていてもよい。
【0050】
カメラ制御部38は、CPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータ(演算処理装置)により構成され、撮像装置1の統括的な制御を行う。例えば、撮像者の操作に応じたシャッタスピードの制御や、カメラ信号処理部32における各種信号処理についての指示、ユーザの操作に応じた撮像動作や記録動作、記録した画像ファイルの再生動作を行う。
【0051】
また、カメラ制御部38は、光学系51が備える各種のレンズを制御するために光学系制御部53に対する指示を行う。
例えば、AF制御のための必要な光量を確保するために絞り値を指定する処理や、絞り値に応じた絞り機構の動作指示などを行う。
なお、カメラ制御部38は後述する各種の機能を実現可能な構成とされている。具体的には後述する。
【0052】
メモリ部39は、カメラ制御部38が実行する処理に用いられる情報等を記憶する。図示するメモリ部39は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどを包括的に示している。
メモリ部39はカメラ制御部38としてのマイクロコンピュータチップに内蔵されるメモリ領域であってもよいし、別体のメモリチップにより構成されてもよい。
【0053】
メモリ部39のROMやフラッシュメモリ等には、カメラ制御部38が利用するプログラム等が記憶される。ROMやフラッシュメモリ等には、CPUが各部を制御するためのOS(Operating System)や画像ファイル等のコンテンツファイルの他、各種動作のためのアプリケーションプログラムやファームウェア等が記憶される。
カメラ制御部38は、当該プログラムを実行することで、撮像装置1の全体を制御する。
【0054】
メモリ部39のRAMは、カメラ制御部38のCPUが実行する各種データ処理の際に用いられるデータやプログラム等が一時的に格納されることにより、カメラ制御部38の作業領域として利用される。
【0055】
レンズ鏡筒3の光学系制御部53は、例えば、マイクロコンピュータによって構成され、カメラ制御部38の指示に基づいて実際に光学系51の各種レンズを駆動するためにドライバ部52に対する制御信号の出力を行う。
なお、カメラ制御部38と光学系制御部53の間の情報通信は、レンズ鏡筒3が本体部2に装着された状態においてのみ可能とされていてもよいし、無線通信によりレンズ鏡筒3が本体部2に装着されていない状態で可能とされていてもよい。
【0056】
ドライバ部52は、例えば、ズームレンズ駆動モータに対するモータドライバ、フォーカスレンズ駆動モータに対するモータドライバ、絞り機構13を駆動するモータに対する絞り機構ドライバ52a等が設けられている。
絞り機構ドライバ52aなどの各ドライバは光学系制御部53からの指示に応じて駆動電流を対応する駆動モータに供給する。
【0057】
レンズ鏡筒3の操作部54は、レンズ鏡筒3側に設けられた操作子8を示している。操作部54による操作情報は光学系制御部53に供給され、光学系制御部53を介してカメラ制御部38に通知される。
操作部54の操作に応じて、光学系制御部53による光学系51の動作制御や、カメラ制御部38による各種設定や動作制御が行われる。
【0058】
操作部54はレンズ鏡筒3とは別体のリモートコントローラ等の外部操作機器の受信部として機能してもよい。
【0059】
<2.カメラ制御部の機能構成>
撮像装置1のカメラ制御部38では、メモリ部39としてのROMやRAMに記憶されたプログラムが実行されることにより、
図5のような機能構成が構築される。
【0060】
カメラ制御部38は、ユーザインタフェース制御部61、切替制御部62、自動識別処理部63、シーン特定部64を備えている。
【0061】
ユーザインタフェース制御部61は、ユーザに対して撮像装置1が備える各種の操作子8に対する操作を検出する処理や、表示部34を用いた表示処理や、音声や電子音を出力する処理や、ユーザに対して入力操作環境を提供する処理などを行う。
【0062】
また、本実施の形態においては、ユーザインタフェース制御部61は、特にサイレントモードなど撮像装置1から発生する音に関する設定についての入力操作環境を提供する。
【0063】
具体的には、ユーザインタフェース制御部61は、各種の発生音を抑制するために個別の設定を行うためのユーザインタフェース処理を行う。例えば、レリーズ操作時のメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するためにシャッタ方式を選択するためのユーザインタフェース処理を行う。また、ユーザが操作子8を操作した際に発生する電子音を抑制するために電子音の有無を切り替えるためのユーザインタフェース処理を行う。
【0064】
或いは、オートピクセルマッピングが実行される際のメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するためにオートピクセルマッピングの入/切を切り替えるためのユーザインタフェース処理を行う。ピクセルマッピング機能は、宇宙線の衝突等により不具合の出た画素を特定して記憶しておく機能である。不具合の出た画素を記憶しておくことにより、画像データ生成時に周辺画素を用いた補間処理が可能となる。
これ以外にもユーザインタフェース制御部61は発生音を抑制するためのユーザインタフェース処理を行う。具体的には後述する。
【0065】
切替制御部62は、ユーザインタフェース制御部61が提示したユーザインタフェースに対してユーザが行った操作に応じて切り替え制御を行う。たとえば、サイレントモードを「ON設定」に変更するための操作が行われた場合には、撮像装置1から発生する各種の音を抑制するための設定変更を行う。このとき、ユーザが指定した詳細設定の内容に基づいた設定変更を行ってもよい。具体的には後述する。
【0066】
自動識別処理部63は、撮像した画像に写っている被写体を識別(特定)する処理を行う。例えば、CNN(Convolutional Neural Network)などの技術を利用して画像認識処理を実行することにより被写体を識別してもよいし、ユーザが被写体について入力した情報を利用して識別してもよい。
【0067】
シーン特定部64は、撮影シーンを特定する処理を実行する。撮影シーンとは、例えば、「野鳥観察」や「オペラ観劇」などユーザの行動を特定するものであってもよいし、「サバンナ」や「森林」など撮影場所を特定するものであってもよい。
撮影シーンの特定は、例えば、CNNなどの技術を利用して画像認識処理を実行することにより実現してもよい。また、GPS情報を用いて撮影場所を特定してもよいし、GPS情報と時間情報を用いて撮影対象のイベントなどを特定してもよい。
【0068】
なお、上述した各部は、一部または全部がカメラ信号処理部32に設けられていてもよい。また、一部または全部の機能がカメラ制御部38とカメラ信号処理部32とが組み合わされることによって実現されてもよい。更にレンズ鏡筒3の光学系制御部53が組み合わされることによって実現されてもよい。
【0069】
<3.第1期間および第2期間について>
ユーザが被写体の撮像を行うタイミングや撮像を行おうとしているタイミングと、そうではないタイミングを分けて考える。本実施の形態では、前者を「第1期間」とし後者を「第2期間」とする。
【0070】
第1期間は、電源がON状態とされてからOFF状態への遷移指示が発生するまでの期間とされる。ここで、電源OFF状態への遷移指示について説明する。
電源OFF状態への遷移指示とは、撮像装置1の電源を切るための指示であり、ユーザによって出される場合とカメラ制御部38によって出される場合がある。
【0071】
先ず、ユーザが撮像装置1の電源を切ることを意図して操作子8としての電源ボタンを押下した場合を考える。この場合には、ユーザによる電源ボタンの押下を遷移指示と捉えることができる。或いは、ユーザが撮像装置1の電源ボタンを押下したことを検出したカメラ制御部38が電源をON状態からOFF状態へと遷移させるために撮像装置1の各部に対して行う各種の指示を遷移指示と捉えることもできる。
【0072】
また、別のケースとして、ユーザによる操作を検出しない時間帯が所定時間長に及んだ場合に電力消費を抑えるために自動的に電源をOFF状態へと遷移させる場合がある。このような場合には、ユーザの操作の非検出時間長が所定時間に達したことを検出したカメラ制御部38が電源をON状態からOFF状態へと遷移させるために撮像装置1の各部に対して行う各種の指示を遷移指示と捉えることができる。
【0073】
第1期間において撮像装置1から発生する音のうち抑制可能なものとしては、例えば、レリーズ操作時のメカシャッタ機構11の駆動音、インターバル撮影時のメカシャッタ機構11の駆動音、AF制御における絞り機構13の駆動音、操作子8に対する操作が検出された際に出力する電子音などである。また、撮像装置1が光学ファインダを搭載している場合に配置されるミラーの駆動音なども第1期間に発生する音である。
【0074】
一方、第2期間において撮像装置1から発生する音のうち抑制可能なものとしては、例えば、先述した遷移指示がなされた後に発生するメカシャッタ機構11の動作音や、オートピクセルマッピング実行時のメカシャッタ機構11の駆動音などである。
遷移指示後のメカシャッタ機構11の駆動音は、撮像素子10を保護するためにメカシャッタ機構11を閉状態へと駆動するために発生するものである。また、オートピクセルマッピング実行時のメカシャッタ機構11の駆動音は、黒画像を撮像するためにメカシャッタ機構11を閉状態へと駆動するために発生するものである。
【0075】
第1期間に発生する音は、謂わば、ユーザが被写体の撮像を行おうとした際に発生する音であり、サイレントモードが設定された際にはこれらの音が抑制されるように制御することは当然である。
一方、第2期間に発生する音は、ユーザが被写体の撮像を行おうとしていないタイミングで発生する音であり、サイレントモードが設定された際に必ずしも抑制しなくてもよいものも含まれている。
本実施の形態における撮像装置1は、サイレントモードをON設定に変更した場合に、第1期間に発生する音だけでなく第2期間に発生する音についても抑制されるように制御することを特徴としている。
【0076】
図6は、ユーザの操作などのイベントと電源状態とメカシャッタ機構11の状態と第1期間および第2期間の関係を示す図である。
図6は、サイレントモードがOFF設定とされた場合を示している。
図示するように、ユーザが電源ボタンを押下したことによって電源がON状態とされてから電源をOFF状態へと遷移させるための指示と見なされる再度の電源ボタンの押下までが第1期間とされている。また、当該指示から再び電源がON状態とされるまでが第2期間とされている。
【0077】
<4.ユーザインタフェース画面>
撮像装置1の背面モニタ6において表示されるユーザインタフェース画面について、
図7乃至
図9の各図を参照して説明する。
【0078】
<4-1.個別設定画面>
先ず、音の発生を抑制するための個別の設定を行うことができるユーザインタフェース画面について説明する。
シャッタ方式についての設定が可能なシャッタ/手ブレ補正メニュー画面81の一例を
図7に示す。シャッタ/手ブレ補正メニュー画面81には、各種の設定項目と共にシャッタ方式を選択するための項目が表示されている。
【0079】
シャッタ方式は、「オート」と「メカシャッタ」と「電子シャッタ」の中から選択可能とされている。
図7に示す状態は「オート」が設定されている状態を示している。
「オート」が選択された場合には、例えば、撮影モードや撮影シーンに応じて自動的にメカシャッタ機構11と電子シャッタを切り替える。電子シャッタとは、メカシャッタ機構11の先幕を駆動させる代わりに撮像素子10において光電変換で得た電荷量のリセットを行い、メカシャッタ機構11の後幕を駆動させる代わりに電荷量の読み出しを行う方式である。電子シャッタを利用する場合はメカシャッタ機構11は駆動されないため、駆動音が抑制される。
【0080】
「メカシャッタ」が選択された場合には、静止画像の撮像時などにメカシャッタ機構11が駆動される。
「電子シャッタ」が選択された場合には、静止画像の撮像時などに電子シャッタが駆動される。ユーザは、シャッタ方式として「電子シャッタ」を選択することにより、メカシャッタ機構11の駆動音を抑制することができる。
【0081】
なお、インターバル時のシャッタ方式については、
図7に示すシャッタ方式の選択に基づいて自動的に同じものが選択されてもよいし、インターバル時のシャッタ方式を設定するための項目が別途設けられていてもよい。
【0082】
次に、AF時の絞り駆動の方式の設定が可能なAFメニュー画面82の一例を
図8に示す。AFメニュー画面82には、AF機能についての各種の設定項目と共にAF時の絞り駆動方式を選択するための項目が表示されている。
【0083】
AF時の絞り駆動方式は、「標準」と「フォーカス優先」と「サイレント優先」の中から選択可能とされている。
図8に示す状態は「標準」が選択された状態を示している。
【0084】
「フォーカス優先」は、オートフォーカス性能を優先するための選択肢であり、絞り機構13を駆動し続けることにより被写体にフォーカスを合わせ続ける制御を行う。
【0085】
「サイレント優先」は、絞り機構13の駆動を最小限にする(或いは駆動せずに一定の開放状態を維持する)ための選択肢である。絞り機構13の駆動が少ないため、音の発生を抑制することができる。
【0086】
「標準」は、「フォーカス優先」と「サイレント優先」の中間の制御を行うための選択肢であり、「フォーカス優先」を選択するよりも絞り機構13の駆動音を抑制することができる。
【0087】
次に、操作子8に対する操作が行われた際に出力される電子音についての設定が可能なカスタムメニュー画面83の一例を
図9に示す。カスタムメニュー画面83には、電子音の出力をON/OFFするための項目が設けられている。
【0088】
電子音の出力は「ON」と「OFF」が選択可能とされている。「ON」が選択された場合には、操作子8の操作が行われるたびに電子音が出力され、操作が受け付けられたことがユーザに通知される。ユーザが行った操作が無効な操作である場合に専用の電子音が出力されてもよい。
「OFF」が選択された場合には、操作子8の操作が行われた際に電子音が出力されない。即ち、操作子8が操作された際の電子音の出力が抑制される。
【0089】
図9に示す状態は、全ての電子音が出力され得る設定が選択された状態を示している。電子音の出力に関しては、上述した「ON」と「OFF」以外にも、一部の電子音のみ出力される選択肢が設けられていてもよい。
【0090】
図7,
図8及び
図9で説明した以外にも、第2期間において撮像装置1から発生する音を抑制するためのユーザインタフェース画面が提示されてよい。
具体的には、撮像装置1が電源ON状態から電源OFF状態へと遷移する際のメカシャッタ機構11の駆動有無について選択が可能なユーザインタフェース画面が提示されてもよい。
また、撮像装置1がピクセルマッピングを自動で動作させるか否かを選択可能なユーザインタフェース画面が提示されてもよい。
これらの各ユーザインタフェース画面は、それぞれの設定項目を個別に設定可能な画面とされる。
【0091】
<4-2.一括設定画面>
図7,
図8および
図9で説明した各項目は第1期間に撮像装置1から発生する音を抑制するための項目である。
ここでは、第1期間および第2期間において撮像装置1から発生する音を一括で抑制するための設定が可能なメニュー画面について説明する。
【0092】
図10は、シャッタ/手ブレ補正メニュー画面81の一例である。シャッタ/手ブレ補正メニュー画面81には、サイレントモードについての設定を変更するための項目として「サイレントモード設定項目」が表示されている。
【0093】
サイレント設定項目が選択されると、
図11に示すサイレントモード設定画面84が表示される。
サイレントモード設定画面84では、サイレントモードをON/OFF(入/切)するための切替項目91と、サイレントモードで設定対象とされた各項目を個別に設定するための対象機能設定項目92が表示されている。
【0094】
切替項目91は、例えばタッチパネル方式を採用した背面モニタ6における操作子8として機能しており、操作することでサイレントモードのON/OFFを切り替えることができる。また、切替項目91はサイレントモードの現状を通知するための通知部として機能している。即ち、
図11に示すサイレントモード設定画面84を見れば、サイレントモードがOFF(切)とされていることをユーザは認識することができる。
【0095】
対象機能設定項目92が選択されると、
図12に示す対象機能設定画面85が表示される。
対象機能設定画面85には、AF時の絞り駆動方式を選択可能な項目IT1と、電源OFF時にメカシャッタ機構11を駆動させるか否かを選択可能な項目IT2と、ピクセルマッピングを自動で行うか否かを選択可能な項目IT3が表示される。
項目IT1は、第1期間において撮像装置1から発生する音を抑制するための項目である。項目IT2と項目IT3は、第2期間において撮像装置1から発生する音を抑制するための項目である。
【0096】
項目IT1は、例えば、AF時の絞り駆動方式について、「標準」と「フォーカス優先」と「サイレント優先」から「フォーカス優先」以外の項目が選択可能とされている。即ち、「標準」を選択して絞り機構13の駆動音を少し抑制するか、「サイレント優先」を選択して絞り機構13の駆動音を大幅に抑制するかを選択可能とされている。
「サイレント優先」が選択された場合は、連射速度やAF速度(合焦速度)に制限が掛かるが、絞り機構13の駆動音を大幅に抑制することができる。特に、望遠性能が高いレンズ鏡筒3等が備える大きな絞り機構13の場合は好適である。
なお、「サイレント優先」が選択された際は、連射速度やAF速度に制限があることをユーザに通知するようにしてもよい。このような情報をユーザに提供することで、ユーザはより最適な設定を選択することが可能となる。
【0097】
項目IT2は、撮像装置1が電源ON状態から電源OFF状態へと遷移する際に、メカシャッタ機構11を駆動させずに開状態としたままにする「切」選択肢と、メカシャッタ機構11を駆動させることにより閉状態にする「入」選択肢が選択可能である。
項目IT2において「切」を選択することにより、メカシャッタ機構11の駆動音を抑制することができる。例えば、野鳥を撮影している場合などにおいて暫くシャッタチャンスがないとユーザが判断して撮像装置1の電源を切った際に、ユーザが気がついていない近くにいる野鳥がメカシャッタ機構11の駆動音に驚いて逃げてしまうことが防止される。
なお、項目IT2において「入」を選択した場合には、メカシャッタ機構11が展開して撮像素子10の保護を図ることができる。
【0098】
項目IT3は、ピクセルマッピングを自動で動作させるための「入」選択肢と、自動で動作させないための「切」選択肢が選択可能である。オートピクセルマッピング機能は、「切」にすると、メカシャッタ機構11が駆動しないため、駆動音の発生を抑制することができる。
一方、オートピクセルマッピング機能を「入」にすると、定期的に所定のタイミングでメカシャッタ機構11が駆動してピクセルマッピング機能を実行する。これにより、撮像素子10の不具合に基づく画像データの劣化を防止することができる。
【0099】
対象機能設定画面85に表示されている各項目における選択の組み合わせは、
図11のサイレントモード設定画面84においてサイレントモードをONに変更した際に適用される。即ち、ユーザは、
図12の対象機能設定画面85においてサイレントモードをONに変更した際の各種の機能の挙動を一度設定しておけば、その後は、サイレントモードのON/OFFを切り替える操作を行うだけで複数の項目を所望の状態へと一括で切り替えることが可能となる。
【0100】
各画面における通知表示について説明する。
図11のサイレントモード設定画面84においては、「対象機能のオートピクセルマッピングが切になっている場合は、定期的に手動でピクセルマッピングを行う必要があります」という通知が表示されている。ピクセルマッピングは、撮像素子10の劣化を補う機能であるために定期的に実行することが望ましい。この通知を行うことにより、ユーザが定期的に手動によるピクセルマッピング機能を実行することが促され、撮像素子10の劣化に基づく画質の劣化を防止することができる。
【0101】
図12の対象機能設定画面85においては、項目IT3の下方に「サイレントモードが入のときは電子シャッタを使用します。電子音も鳴りません」という通知が表示されている。
この通知は、サイレントモードがONに変更された際に強制的に設定が変更される項目についてユーザに知らせるためのものである。ユーザが設定可能な項目である項目IT1,項目IT2および項目IT3のみ表示すると、表示されていない項目(機能)に変更がないと誤認してしまう虞がある。
図12に示すように、サイレントモードがONに変更された際に変更される項目であってユーザが変更できない項目についての変更内容をユーザに通知することで、撮像装置1の設定状況についてユーザは正しく認識することができる。
なお、本例では、サイレントモードがONに変更された際には、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構11の駆動音と操作子8の操作音を抑制するように強制的に変更される。
【0102】
<5.自動切り替え処理について>
本実施の形態における撮像装置1は、サイレントモードを自動で切り替える処理を行う。自動切り替え処理は、いくつかの条件に基づいて行われる。具体的に説明する。
【0103】
<5-1.被写体による自動切り替え>
第1例は、被写体による自動切り替え処理である。具体的には、撮像装置1を用いて撮像を行う場合に、撮像装置1で撮像した画像に対して画像認識処理を施すことにより、自動切り替えを行うものである。
【0104】
画像認識処理は、例えば、CNNなどを用いて行われる。即ち、自動識別処理部63はCNN技術を利用することにより撮像画像についての画像認識を行い被写体を特定する。
被写体を特定された後、撮像装置1のカメラ制御部38はサイレントモードを設定すべきか否かを判定する。
【0105】
例えば、野鳥や動物など撮像装置1から発生する音によってシャッタチャンスを逃してしまいそうな被写体と判定した場合には、サイレントモードが自動的にONに設定する。
これにより、ユーザがサイレントモードをONにすることを忘れてしまった場合にシャッタチャンスを逃してしまうことや、突然訪れたシャッタチャンスを逃してしまうことを防止することができる。
【0106】
<5-2.シーン特定による自動切り替え>
第2例は、撮影シーンを特定することによりサイレントモードを自動的に切り替える処理である。
例えば、撮影シーンによっては、撮像装置1から発生する音を極力抑えたほうがよい場合がある。具体的には、第1例でも説明した野鳥や動物についての撮影シーンや、オペラや歌など周囲の人々が集中を切らさずに注目したい対象がある撮影シーンなどである。
【0107】
現在がどのような撮影シーンであるかは、前述のように画像認識処理やGPSデータや取得した音声データなどから判定する。
そして、撮影シーンを解析した結果、サイレントモードをONに設定することが望ましいと判定した場合は、カメラ制御部38はサイレントモードを自動的にONに設定する処理を行う。
【0108】
これにより、撮像装置1から音を発生させてしまうことが好ましくない撮影シーンであっても、自動的に音の発生(或いは音量)が抑制され、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【0109】
なお、撮像装置1は、被写体の特定と撮影シーンの特定の双方を行い、被写体と撮影シーンの双方の特定結果に応じてサイレントモードを自動的に切り替えてもよい。
【0110】
<5-3.静けさによる自動切り替え>
撮像装置1は音入力部40を備えており、音入力部40から入力された音のレベルを測定することが可能とされている。
【0111】
撮像装置1から発生する音は、静かな環境においてより目立ってしまう。そこで、第3例では、音入力部40から入力される音が所定レベルよりも小さかった場合に、自動的にサイレントモードをONに設定するものである。
【0112】
これにより、静かな環境で撮像装置1から発生する音が目立ってしまう可能性を低減させることができる。
【0113】
なお、判定の方法としてはいくつか考えられる。例えば、最大の音量が所定レベルよりも小さい場合にサイレントモードをONに設定してもよいし、直近の所定期間における平均の音量が所定レベルよりも小さい場合にサイレントモードをONに設定してもよい。
【0114】
具体的には、直近の所定期間における平均の音量が40dBよりも小さい場合にサイレントモードをON設定に変更してもよい。
【0115】
<5-4.合焦制御と自動切り替え>
第4例は、合焦制御を検出した際にサイレントモードを自動的に切り替えるものである。
例えば、レリーズボタン8Rを最終位置まで押し込むこと(全押しすること)でレリーズ操作として認識される。一方、レリーズボタン8Rを最終位置よりも手前の位置まで押し込んだ状態を保つ所謂半押しを行うことで合焦操作として認識される。
【0116】
ユーザが合焦操作を行った場合には、続いてレリーズ動作が行われることが想定される。そのような場合には、自動的にサイレントモードをONに設定してもよい。
これにより、ユーザは、合焦状態を作り出す操作とサイレントモードをONに設定する操作を同時に行うことができるため、利便性の向上を図ることができる。
また、レリーズボタン8Rを半押しした場合にサイレントモードを自動的にONに設定するか否かを設定可能としてもよい。これにより、ユーザの使用態様に合わせてカスタマイズすることができ、利便性の向上を更に図ることができる。
【0117】
上述した各例は、それぞれ単独で用いられてサイレントモードの自動切り替えが行われてもよいし、複数の条件を複合的に判定することによりサイレントモードの自動切り替えが行われてもよい。
【0118】
なお、上述した第1例から第4例においては、自動的にサイレントモードをONに設定する代わりに、画面上にサイレントモードに設定するか否かを選択させるユーザインタフェース処理を行うことにより、サイレントモードをONに設定し忘れることを防止してもよい。これにより、必要のないときに誤ってサイレントモードが自動的にONに設定されてしまうことを防止することができる。
【0119】
また、どのような状況でサイレントモードをONにしたか、或いはOFFにしたかを記憶しておき、それらの情報からサイレントモードのON条件とOFF条件を機械学習することにより、自動切り替えの精度を向上させてもよい。その場合には、機械学習を撮像装置1で行ってもよい。或いは、サイレントモードのON/OFF設定と撮影状況を紐づけたデータを撮像装置1以外のサーバ装置に送信することによりサーバ装置にデータを蓄積し、サーバ装置において機械学習などの解析処理を実行させてもよい。学習の結果や解析の結果を、適宜撮像装置1に送信することにより、撮像装置1で最適な自動切り替え処理を実行することができるようになる。また、これらの自動切り替え処理はユーザごとの使用態様に即したものとすることができる。
【0120】
<6.レンズ交換時における自動切り替え>
撮影シーン等に応じて撮像装置1に装着されたレンズ鏡筒3を交換する場合がある。サイレントモードがONになっている状態では、可能な限り音を発生させないためにメカシャッタ機構11が駆動しないようにされている。但し、レンズ鏡筒3の交換時にメカシャッタ機構11を開状態としたままだと、撮像素子10が露出してしまい撮像素子10に塵埃が付着して画素の性能が落ちてしまう虞や、撮像素子10が破損してしまう虞などがある。
【0121】
そこで、サイレントモードがONに設定されていたとしても、レンズ鏡筒3の交換時にはメカシャッタ機構11を駆動して閉状態にする。
これにより、撮像素子10の性能劣化を防止する。
【0122】
レンズ鏡筒3の交換は、例えば、撮像装置1の前面部2aに設けられた取り外しボタン5を操作することにより行われる。従って、カメラ制御部38は、取り外しボタン5が操作されたことを検出し、サイレントモードの状態に因らずメカシャッタ機構11を駆動する。
【0123】
なお、それ以外にもレンズ鏡筒3の交換タイミングを検出する方法はある。例えば、レンズ鏡筒3と本体部2の電気的な接続が切断されたことを検出することによりレンズ鏡筒3の交換を検出してもよいし、取り外しボタン5が押下された後レンズ鏡筒3が本体部2の取付部4に対して回動されたことを検出することによりレンズ鏡筒3の交換を検出してもよい。
【0124】
<7.処理フロー>
撮像装置1のカメラ制御部38やカメラ信号処理部32が上述した各種の機能を実現するために実行する処理について、
図13及び
図14を参照して説明する。なお、以下の説明においては、カメラ制御部38やカメラ信号処理部32を区別せずに撮像装置1の「処理部」として記載する。即ち、以下に示す各処理は、カメラ制御部38が実行してもよいし、カメラ信号処理部32が実行してもよいし、カメラ制御部38とカメラ信号処理部32の双方の協働により実行されてもよい。また、画像処理については、撮像素子10がその一部の処理を担ってもよい。
【0125】
なお、
図13及び
図14に示す処理は、撮像装置1から発生する音を抑制するための処理を抽出したものであり、撮像装置1が実行する処理の全てではない。
【0126】
処理部は、先ずステップS101において、画面遷移操作を検出したか否かを判定する。画面遷移操作は、例えば、撮像装置1の後面部2bに設けられたメニューキーや十字キーなどの操作子8が操作されることにより行われる。
【0127】
画面遷移操作を検出したと判定した場合、処理部はステップS102において、画面遷移処理を実行する。画面遷移処理は、検出した操作の操作内容に応じて実行される。例えば、
図11に示すサイレントモード設定画面84において対象機能設定項目92を選択する操作を検出した場合には、
図12に示す対象機能設定画面85への画面遷移処理が実行される。
【0128】
ステップS101において画面遷移操作を検出していないと判定した場合、或いは、ステップS102の画面遷移処理を実行した後、処理部はステップS103において、個別設定画面における変更操作を検出したか否かを判定する。
個別設定画面における変更操作とは、
図7に示すシャッタ/手ブレ補正メニュー画面81におけるシャッタ方式の変更操作や、
図8に示すAFメニュー画面82におけるAF時の絞り駆動を変更する操作や、
図9におけるカスタムメニュー画面83における電子音のON/OFF切り替え操作などである。
【0129】
そのような個別設定画面における変更操作を検出したと判定した場合、処理部はステップS104において、個別の設定項目について設定を変更して適用する処理を行う。これにより、ユーザが設定した項目についての変更が行われる。
【0130】
一方、ステップS103において、個別設定画面における変更操作を検出していないと判定した場合、或いは、ステップS104の変更処理を実行した後、処理部はステップS105において、サイレントモードのON/OFF操作を検出したか否かを判定する。
サイレントモードのON/OFF操作とは、
図11に示すサイレントモード設定画面84における切替項目91に対する操作である。
【0131】
サイレントモードのON/OFF操作を検出したと判定した場合、処理部はステップS106において、現在の設定に応じたサイレントモードをON/OFFする処理を実行する。具体的には、サイレントモードがON設定になっている場合にはOFF設定に変更し、OFF設定になっている場合はON設定に変更する。
【0132】
サイレントモードのON/OFF操作を検出していないと判定した場合、或いは、ステップS106でON/OFF処理を実行した後、処理部はステップS107において、対象機能設定画面85(
図12参照)における各項目の変更操作を検出したか否かを判定する。
【0133】
各項目の変更操作を検出したと判定した場合、処理部はステップS108において選択された項目を選択された設定へ変更する処理を行う。例えば、AF時の絞り駆動の方式が「標準」から「サイレント優先」へと変更された場合、以降のAF制御における絞り機構13の駆動制御が変更される。
【0134】
ステップS107で各項目の変更操作を検出していないと判定した場合、或いは、ステップS108の変更処理を実行した後、処理部は
図14のステップ109の分岐処理へと進む。
ステップS109の分岐処理では、レンズ鏡筒3を取り外す操作を検出したか否かを判定する。レンズ鏡筒3の取り外し操作を検出した場合、処理部はステップS110でメカシャッタ機構11を閉状態へ駆動する処理を行う。これにより、撮像素子10の保護が図られる。
【0135】
ステップS109でレンズ鏡筒3の取り外し操作を検出していないと判定した場合、或いは、ステップS110でメカシャッタ機構11を閉状態へ駆動した後、処理部はステップS111で撮像した被写体が特定の被写体であるか否かを判定する。特定の被写体とは、例えば、野鳥や動物などである。
特定の被写体と判定した場合、処理部はステップS112でサイレントモードを自動的にONに変更する。
【0136】
サイレントモードをONに変更した後、処理部は再びステップS101の処理へと戻る。
【0137】
特定の被写体でないと判定した場合、処理部はステップS113において、撮影シーンが特定の撮影シーンであるか否かを判定する。特定の撮影シーンとは、例えば、動物の撮影を行っていることが想定されるサバンナや、音を出すことが好ましくないオペラなどである。
【0138】
特定の撮影シーンと判定した場合、処理部はステップS112でサイレントモードを自動的にONに変更する。
【0139】
特定の撮影シーンでないと判定した場合、処理部はステップS113で音量が所定レベル未満か否かを判定する。音量が所定レベル未満と判定した場合、処理部はステップS112でサイレントモードを自動的にONに変更する。
【0140】
音量が所定レベル未満でないと判定した場合、処理部はステップS115において合焦制御を実行中か否かを判定する。合焦制御を実行中であると判定した場合、処理部はステップS112でサイレントモードを自動的にONに変更する。
【0141】
合焦制御を実行中でないと判定した後、処理部は再びステップS101の処理へと戻る。
【0142】
ステップS101、S103,S105,S107,S109,S111,S113,S114,S115の判定処理が繰り返し実行されることで、撮像装置1は音を抑制すべきか否かの判定処理及び音を抑制する処理を常時行うことができ、ユーザにとって撮像装置1から好ましくない音が好ましくないタイミングで発生してしまうことが防止される。
【0143】
<8.変形例>
いくつかの変形例について説明する。
先ず第1の変形例では、スマートフォンやタブレット等の携帯端末装置を用いた遠隔操作で撮像装置1に対するサイレントモードの設定等を行う。
撮像装置1は、撮影時にユーザが手に持っているとは限らない。例えば、撮像装置1は天井付近など容易に手が触れられない場所に設置される場合がある。そのような場合に、撮像装置1の操作子8を操作することによりサイレントモードのON設定やOFF設定を行うのは不便である。
【0144】
第1の変形例では、携帯端末装置にソフトウェアをインストールしておき、該ソフトウェアを利用することにより、撮像装置1の設定変更を行う。ソフトウェアは、選択された設定を撮像装置1に対して送信する機能を有している。
これにより、撮像装置1に触れずに各種の設定変更を行うことができ、利便性を向上させることができる。
また、撮像装置1の現在の設定を撮像装置1から受信する機能を有していてもよい。これにより、現在の設定を確認しながら変更が必要な設定だけ変更することができるため、利便性をさらに向上させることができる。
【0145】
次に第2の変形例では、アサイナブルボタン8Aを利用してサインレトモードのON設定とOFF設定を切り替える。
図2で説明したように、撮像装置1の後面部2bにはアサイナブルボタン8Aが設けられている。アサイナブルボタン8Aは、ユーザが独自にカスタマイズすることが可能とされた操作子であり、任意の機能を割り当てることが可能な操作子である。
【0146】
第2の変形例では、サイレントモードのON設定とOFF設定を切り替える機能をアサイナブルボタン8Aに割り当てる。
これにより、サイレントモードのON設定からOFF設定への変更操作とOFF設定からON設定への変更操作をアサイナブルボタン8Aを用いて行うことができる。
従って、各種の操作子8を操作してメニュー画面を背面モニタ6等に表示させながらサイレントモードの切り替えを行わなくて済むため、操作性を向上させることができる。
【0147】
また、サイレントモードの切り替え機能ではなくON設定機能をアサイナブルボタン8Aに割り当てることも可能である。即ち、サイレントモードの現在の設定がON設定であるかOFF設定であるかに関わらず、アサイナブルボタン8Aを押下すればサイレントモードが確実にON設定となるようにすることも可能である。
これにより、現在の設定を気にすることなく、サイレントモードをON設定に速やかに変更することができるため、利便性を向上させることができる。また、サイレントモードが現在ON設定であるにも関わらずOFF設定であると誤認してしまい、アサイナブルボタン8Aを押下することにより意図せずにサイレントモードがOFF設定へと変更されてしまうことを防止することができ、誤操作の可能性を排除することができる。
【0148】
最後に、その他の変形例として幾つかの例を説明する。
上述した例では、音の発生を抑制するための個別設定画面とサイレントモードについての一括設定画面を別々に設けていたが、一括設定画面のみ設けるようにしてもよい。即ち、音の発生を抑制するための個別の設定についても一括設定画面で変更することが可能なように構成してもよい。
音の発生を抑制するための設定が一カ所(同じメニュー画面)にまとめて配置されることにより、ユーザは効率的に設定変更を行うことが可能となる。
【0149】
撮像装置1の内部にミラーが配置されている場合には、ミラーについての駆動音を抑制するための項目が設けられていてもよい。例えば、可能な限りミラーが動かないようにする設定や、ミラーの駆動速度を遅くする設定などを選択可能とされていてもよい。このような項目が設定されることにより、ミラーやペンタプリズムを備えた撮像装置1についても、撮像装置1から発生する音を抑制することが可能となる。
また、サイレントモードがON設定とされた際にミラーから発生する駆動音を抑制する設定についても同時にON設定となるようにされていてもよい。また、サイレントモードがON設定とされた際にミラーの駆動音を抑制するか否かについて選択可能とされていてもよい。
【0150】
また、それ以外にも、撮像装置1がフラッシュ機構を備えている場合において、撮像時にフラッシュ機能が使用された場合に発生する音についても抑制可能に構成されていてもよい。フラッシュ機能を使用する際に発生する音は、例えば、第1期間に発生する音とされる。この音についても、サイレントモードがON設定とされた際に自動的に抑制されるように設定が変更されてもよいし、サイレントモードがON設定とされた際の挙動をユーザが決定できるように構成されていてもよい。
【0151】
撮像装置1から発生する音は上述した以外にもある。例えば、撮像装置1に対して取り付け可能なフラッシュ装置を用いる場合において、フラッシュ装置を撮像装置1に取り付けた際に発生するズームレンズ(或いは他の光学レンズ12)の駆動音などである。それ以外にも、撮像装置1に設けられた可動部が可動する際に発生する音や音出力部から出力される音などが上述したサイレントモードによる抑制対象とされる。
これらの各種の発生音は、それぞれがサイレントモードのON設定時に自動的に抑制されるように制御されてもよいし、サイレントモードのON設定時の挙動をユーザが選択可能に構成されていてもよい。
【0152】
上述した各例では、音を抑制する構成について説明したが、光を抑制する構成に応用することができる。例えば、野鳥などの被写体は音だけでなく光によっても逃げてしまう可能性がある。
このように、被写体についてのシャッタチャンスを逃してしまう原因となり得る要素(音だけでなく光など)についても、サイレントモードがON設定とされた際に抑制されるように(或いは変更されるように)構成されていてもよい。例えば、フラッシュ機能がONに設定されていても、サイレントモードがON設定とされた際に自動的にフラッシュ機能がOFFに変更され被写体に光を照射しないようにされてもよい。
【0153】
光については、フラッシュ以外にも、背面モニタ6の光や各種の報知用などに用いられるLEDなどがある。そのような各種の光について、サイレントモードのON/OFFに応じて自動的に変更されることにより、シャッタチャンスを逃してしまうことを防止することができる。
特に、第2期間について光の発生が抑制されることにより、シャッタチャンスを意図せずに逃してしまう虞を大きく低減させることができる。
【0154】
ミラーの駆動音については、第1期間について発生するものと第2期間について発生するものの双方があり得る。ミラーについての上述した設定は、第1期間についてのものを抑制可能に構成されていてもよいし、第1期間および第2期間の双方についてのものを抑制可能に構成されていてもよい。
【0155】
<9.まとめ>
上述した各例で説明したように、撮像装置1は、電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理を行うユーザインタフェース制御部61を備えている。
第1期間は、被写体を画角に捉えて撮像を試みている時間帯が含まれる。また、第2期間は、被写体の撮像を試みていない時間帯が含まれる。
ユーザインタフェース処理は、例えば、AF時の絞り駆動方式として「標準」と「フォーカス優先」と「サイレント優先」とから選択可能なメニュー画面をユーザに提示する処理である。具体的には、上述した
図7に示す個別設定のためのメニュー画面や
図12に示す対象機能設定画面85などである。
或いは、ユーザインタフェース処理は、例えば、オートピクセルマッピングを自動で動作させるか否かを選択させるメニュー画面をユーザに提示する処理である。具体的には、オートピクセルマッピングを個別に設定するメニュー画面や
図12に示す対象機能設定画面85などである。
或いはまた、ユーザインタフェース処理は、例えば、サイレントモード設定画面84をユーザに提示する処理である。或いは、サイレントモードの切り替え機能がアサインされたアサイナブルボタン8Aに対する操作を検出する処理がユーザインタフェース処理とされていてもよい。
従って、ユーザインタフェース処理では、謂わば撮影時と非撮影時の双方において発生する音を抑制するような設定が可能とされる。
このような各種のユーザインタフェース処理を実行することにより、撮像装置1から発生する音を抑制するための設定を行う多様な手段をユーザに提示することができる。
また、撮像装置1は、ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替制御部62と、を備えている。
これにより、例えば一つの選択肢を選択するなどの簡易な操作で撮影時及び非撮影時における音の発生を抑制することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0156】
ユーザインタフェース制御部61が実行するユーザインタフェース処理は、第1期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とする処理を含んでいてもよい。
これにより、第1期間に発生する音を抑制するためのユーザインタフェースがユーザに対して提供される。従って、ユーザは、第1期間について発生する音を抑制するための操作が可能とされる。
【0157】
ユーザインタフェース制御部61が実行するユーザインタフェース処理は、第2期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とする処理を含んでいてもよい。
これにより、第2期間に発生する音を抑制するためのユーザインタフェースがユーザに対して提供される。従って、ユーザは、第2期間について発生する音を抑制するための操作が可能とされる。
【0158】
図7などで説明したように、ユーザインタフェース処理は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構11の駆動音は第1期間に発生する音である。これにより、ユーザインタフェース処理において提示された音抑制機能(サイレントモード)のON/OFF選択肢から音抑制機能をON状態にする選択肢が選択された場合にも、レリーズ操作に基づくメカシャッタ機構11の駆動音が抑制される。
従って、野鳥や動物などの被写体に逃げられてしまう可能性を低減させることができ、利便性の向上を図ることができる。
【0159】
図9などで説明したように、ユーザインタフェース処理は、操作子8についての操作音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
操作子8についての操作音は第1期間に発生する音が含まれている。これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能(サイレントモード)をON状態にする選択肢が選択された場合にも、電子音などの操作音が抑制される。
従って、野鳥や動物などの被写体に逃げられてしまう可能性を低減させることができ、利便性の向上を図ることができる。
【0160】
図8などで説明したように、ユーザインタフェース処理は、オートフォーカス制御時の絞り機構13の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
オートフォーカス制御時の絞り機構13の駆動音は第1期間に発生する音である。これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能(サイレントモード)をON状態にする選択肢が選択された場合にも、オートフォーカス制御時の絞り機構13の駆動音が抑制される。
従って、野鳥や動物などの被写体に逃げられてしまう可能性を低減させることができ、利便性の向上を図ることができる。
【0161】
上述したように、ユーザインタフェース処理は、前記遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
電源OFF状態への遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生する音は第2期間に発生する音である。これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能(サイレントモード)をON状態にする選択肢が選択された場合にも、電源OFF状態へ遷移する際のメカシャッタ機構11の駆動音が抑制される。
例えば、電源OFF状態へ遷移する際にメカシャッタを動作させないことにより、音の発生を抑制する。これにより、野鳥や動物などの被写体に逃げられてしまう可能性を低減させることができ、利便性の向上を図ることができる。
【0162】
上述したように、ユーザインタフェース処理は、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行ってもよい。
オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構11の駆動音は第2期間に発生する音も含まれる。これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能(サイレントモード)をON状態にする選択肢が選択された場合にも、オートピクセルマッピング機能が動作しないように制御される。
従って、野鳥や動物などの被写体に逃げられてしまう可能性を低減させることができ、利便性の向上を図ることができる。
【0163】
図12などで説明したように、ユーザインタフェース処理は、第1期間及び第2期間に発生する音の種別ごとに抑制するか否かを設定可能とする提示を行ってもよい。
これにより、ユーザが音を抑制するか否かを種別ごとにカスタマイズすることができる。
従って、ユーザの意図した設定を行うことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0164】
図11などで説明したように、ユーザインタフェース処理は、第1期間及び第2期間に発生する音を抑制するか否かについての詳細設定を行うための操作子の提示を行ってもよい。
これにより、ユーザに対して音の抑制有無をカスタマイズするための操作子8が提供される。
従って、音の抑制に関する各種の設定が一纏めにされ、当該設定についてのユーザの操作負担を軽減することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0165】
図12などで説明したように、ユーザインタフェース制御部61は、詳細設定において、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するか否かについての設定項目についての設定を可能とする提示を行ってもよい。
これにより、ユーザに対して音の抑制有無をカスタマイズするための各種操作を詳細設定画面で行うことができる。
従って、音の抑制に関する各種の設定を一括して行うことができ、当該設定についてのユーザの操作負担を軽減され、利便性の向上を図ることができる。
【0166】
図12などで説明したように、ユーザインタフェース制御部61は、詳細設定において、変更不能とされた項目についての表示を行ってもよい。
これにより、変更不能な項目についてもユーザが音の抑制についての現在の設定の内容を把握することができる。
従って、設定不能な項目がどのような設定となっているのかを把握するために他のメニュー操作などを行わなくて済むため、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0167】
図12などで説明したように、変更不能とされた項目は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構11の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、操作子8についての操作音を抑制するか否かについての設定項目を含んでいてもよい。
これにより、ユーザインタフェース処理に基づいて音抑制機能(サイレントモード)をON状態にする選択肢が選択された場合には、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構11の駆動音と操作音が抑制されると共に、その状態をユーザが認識することができる。
従って、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0168】
被写体による自動切り替えについての項目で説明したように、撮像装置1が被写体を自動識別する自動識別処理部63を備え、切替制御部62は、自動識別処理部63が被写体を生物と認識した場合に第1期間及び第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
生物とは、例えば、野鳥や野生動物などであってもよいし、人間であってもよい。
これにより、被写体に応じて自動的に音を抑制する制御と抑制しない制御が切り替えられる。従って、ユーザは被写体に応じて設定を変更する操作を行わなくて済むため、利便性の向上が図られる。また、音の抑制についての操作を行わずに撮像動作を行うことができるため、最適な撮影シーンを逃してしまうことが防止される。
【0169】
合焦制御と自動切り替えの項目で説明したように、切替制御部62は、所定操作(例えばレリーズボタン8Rの半押し操作)により合焦制御を行うと共に第1期間及び第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
合焦制御を行うタイミングは、ユーザが被写体についての撮影を行おうとしているタイミングであることが想定される。
このようなタイミングを自動的に検出して音を抑制する制御に自動的に切り替えることにより、ユーザはメニュー操作などを行うことなく最適な撮影設定で撮像動作を迅速に行うことができる。
【0170】
シーン特定による自動切り替えの項目で説明したように、撮像装置1が撮影シーンを特定するシーン特定部64を備え、切替制御部62は、特定された撮影シーンに応じて第1期間及び第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
これにより、現在の撮影シーンがミュージカルの公演や演奏会などの撮影に関する音を発生しないことが望ましい撮影シーンであった場合などに、自動的に音を抑制する制御に切り替えられる。
従って、ユーザはメニュー操作などを行うことなく最適な撮影設定で撮像動作を行うことができる。特に、会場内が暗いといったメニュー画面に対する操作がし難い場面において好適である。
【0171】
静けさによる自動切り替えの項目で説明したように、撮像装置1が音信号が入力される音入力部40を備え、切替制御部62は、音入力部40に入力された音信号の信号レベルが所定値以下である場合に第1期間及び第2期間に発生する音を抑制するための制御を行ってもよい。
音入力部40に入力された音信号の信号レベルが所定値以下ということは、静かな環境などである。このような場合に音を発生させてしまうと、目立ってしまう可能性がある。
本構成によれば、静かな環境であることを自動的に検出し、音を抑制する制御に自動的に切り替えられる。これにより、ユーザはメニュー操作などを行うことなく最適な撮影設定で撮像動作を迅速に行うことができ、利便性の向上が図られる。
【0172】
レンズ交換時における自動切り替えの項目で説明したように、撮像装置1がレンズ鏡筒が取り付けられる取付部4を備え、切替制御部62は、取付部4からレンズ鏡筒3を取り外すための操作を検出した場合に第1期間及び第2期間に発生する音を抑制する設定であってもメカシャッタを閉じるための制御を行ってもよい。
レンズ鏡筒3を取り外す際には、塵芥などが撮像素子10等に付着し、性能が劣化してしまう虞がある。レンズ鏡筒3を取り外すための操作を検出した段階で、音の抑制設定によらずメカシャッタが閉じられる。
これにより、撮像素子10に対する塵芥の付着や傷付きが防止される。従って、撮像素子10の正常な露光動作が妨げられてしまうことを防止することができる。
【0173】
実施の形態のプログラムは、
図13及び
図14に示す各処理の一部または全部を、例えばCPU、DSP等、或いはこれらを含むデバイスに実行させるプログラムである。
即ち、実施の形態のプログラムは、電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理を処理部(カメラ制御部38、カメラ信号処理部32)に実行させる。
また、ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替処理を処理部(カメラ制御部38、カメラ信号処理部32)に実行させる。
このようなプログラムにより、上述した撮像装置1を実現できる。
【0174】
このような撮像装置1を実現するプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
或いはまた、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0175】
またこのようなプログラムによれば、実施の形態の撮像装置1の広範な提供に適している。例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末装置、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、ビデオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)等のカメラ機能を備えた機器にプログラムをダウンロードすることで、当該スマートフォン等を、本開示の撮像装置1として機能させることができる。
【0176】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0177】
<10.本技術>
本技術は以下のような構成を採ることも可能である。
(1)
電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理を行うユーザインタフェース制御部と、
前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替制御部と、を備えた
撮像装置。
(2)
前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とする処理を含む
上記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記ユーザインタフェース処理は、前記第2期間に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とする処理を含む
上記(1)から上記(2)の何れかに記載の撮像装置。
(4)
前記ユーザインタフェース処理は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
上記(1)から上記(3)の何れかに記載の撮像装置。
(5)
前記ユーザインタフェース処理は、操作子についての操作音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
上記(1)から上記(4)の何れかに記載の撮像装置。
(6)
前記ユーザインタフェース処理は、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
上記(1)から上記(5)の何れかに記載の撮像装置。
(7)
前記ユーザインタフェース処理は、前記遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
上記(1)から上記(6)の何れかに記載の撮像装置。
(8)
前記ユーザインタフェース処理は、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かを選択させる提示を行う
上記(1)から上記(7)の何れかに記載の撮像装置。
(9)
前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間及び前記第2期間に発生する音の種別ごとに抑制するか否かを設定可能とする提示を行う
上記(1)から上記(8)の何れかに記載の撮像装置。
(10)
前記ユーザインタフェース処理は、前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するか否かについての詳細設定を行うための操作子の提示を行う
上記(1)から上記(9)の何れかに記載の撮像装置。
(11)
前記ユーザインタフェース制御部は、前記詳細設定において、オートフォーカス制御時の絞り機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、前記遷移指示に応じてメカシャッタを閉じる際に発生するメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、オートピクセルマッピング機能におけるメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目についての設定を可能とする提示を行う
上記(10)に記載の撮像装置。
(12)
前記ユーザインタフェース制御部は、前記詳細設定において、変更不能とされた項目についての表示を行う
上記(10)から上記(11)の何れかに記載の撮像装置。
(13)
前記変更不能とされた項目は、レリーズ操作に応じたメカシャッタ機構の駆動音を抑制するか否かについての設定項目と、操作子についての操作音を抑制するか否かについての設定項目を含む
上記(12)に記載の撮像装置。
(14)
被写体を自動識別する自動識別処理部を備え、
前記切替制御部は、前記自動識別処理部が被写体を生物と認識した場合に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
上記(1)から上記(13)の何れかに記載の撮像装置。
(15)
前記切替制御部は、
所定操作により合焦制御を行うと共に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
上記(1)から上記(14)の何れかに記載の撮像装置。
(16)
撮影シーンを特定するシーン特定部を備え、
前記切替制御部は、前記特定された撮影シーンに応じて前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
上記(1)から上記(15)の何れかに記載の撮像装置。
(17)
音信号が入力される音入力部を備え、
前記切替制御部は、前記音入力部に入力された音信号の信号レベルが所定値以下である場合に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制するための制御を行う
上記(1)から上記(16)の何れかに記載の撮像装置。
(18)
レンズ鏡筒が取り付けられる取付部を備え、
前記切替制御部は、前記取付部からレンズ鏡筒を取り外すための操作を検出した場合に前記第1期間及び前記第2期間に発生する音を抑制する設定であってもメカシャッタを閉じるための制御を行う
上記(1)から上記(17)の何れかに記載の撮像装置。
(19)
電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理と、
前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替処理と、を
情報処理装置が行う情報処理方法。
(20)
電源ON状態とされてから電源OFF状態への遷移指示が発生するまでの第1期間と、前記遷移指示の発生から電源ON状態とされるまでの第2期間と、に発生する音の少なくとも一部を抑制するか否かを選択可能とするユーザインタフェース処理と、
前記ユーザインタフェース処理に対する選択結果に応じて音に関する制御を変更する切替処理と、を
情報処理装置に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0178】
1 撮像装置
3 レンズ鏡筒
4 取付部
8 操作子
11 メカシャッタ機構
13 絞り機構
32 カメラ信号処理部
38 カメラ制御部
40 音入力部
61 ユーザインタフェース制御部
62 切替制御部
63 自動識別処理部
64 シーン特定部