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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G01D11/30 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022047634
(22)【出願日】2022-03-23
(65)【公開番号】P2023141353
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 志功
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-319669(JP,A)
【文献】特開2006-292774(JP,A)
【文献】特開平09-311141(JP,A)
【文献】特開昭62-012810(JP,A)
【文献】特開2020-094953(JP,A)
【文献】特開平04-319668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00 ~ 11/30
G12B 1/00 ~ 17/08
G01P 21/00 ~ 21/02
G01P 15/00 ~ 15/18
G01L 25/00 ~ 27/02
G01F 25/00 ~ 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1側面壁および第2側面壁を有する測定室と、
前記測定室の内部の温度を制御する温度制御機器と、
前記測定室の外部に配置された第1設置部と、
前記測定室の外部に配置された第2設置部と、
第1端が前記第1設置部に保持され、第2端が前記第2設置部に保持された棒状部材と、
被測定物の特性を測定する測定機器と、を備えた測定装置であって、
前記第1側面壁に第1貫通孔が形成され、
前記第2側面壁に第2貫通孔が形成され、
前記棒状部材は、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の両方に挿通され、かつ、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の両方と非接触であり、前記第1端が前記第1貫通孔から前記測定室の外部に導出されて前記第1設置部に保持され、前記第2端が前記第2貫通孔から前記測定室の外部に導出されて前記第2設置部に保持され、
前記測定機器は、前記測定室の内部において、前記棒状部材に、直接または間接に、載置または垂下され、
前記第1設置部に、防振部材が設けられ、
前記第2設置部に、防振部材が設けられた、
測定装置。
【請求項2】
前記第1設置部と前記第2設置部とが、前記測定室の外部において、相互に結合された、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項3】
前記防振部材が、防振ゲルである、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項4】
前記第1貫通孔において、前記第1側面壁および前記棒状部材の少なくとも一方に、空気入出抑制機構が形成され、
前記第2貫通孔において、前記第2側面壁および前記棒状部材の少なくとも一方に、空気入出抑制機構が形成された、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項5】
前記空気入出抑制機構が、
前記測定室の外部において、それぞれ、前記棒状部材の外周に取り付けられた、鍔状の第1蓋部材および第2蓋部材を含み、
前記測定室の外部から、前記棒状部材が伸びる方向に見たとき、前記第1蓋部材は、前記第1貫通孔の前記棒状部材以外の部分を覆い、前記第2蓋部材は、前記第2貫通孔の前記棒状部材以外の部分を覆い、
前記第1蓋部材は、前記第1側面壁と非接触であり、前記第2蓋部材は、前記第2側面壁と非接触である、
請求項4に記載された測定装置。
【請求項6】
前記空気入出抑制機構が、更に、
前記第1側面壁の前記第1貫通孔に、または、前記第1貫通孔の近傍に取り付けられた第1対向部材と、
前記第2側面壁の前記第2貫通孔に、または、前記第2貫通孔の近傍に取り付けられた第2対向部材と、を含み、
前記第1対向部材は、前記第1蓋部材と対向して配置され、かつ、前記第1蓋部材と非接触であり、
前記第2対向部材は、前記第2蓋部材と対向して配置され、かつ、前記第2蓋部材と非接触であり、
前記棒状部材が伸びる方向に切断した、前記棒状部材と前記第1蓋部材と前記第2蓋部材と前記第1対向部材と前記第2対向部材の全てを含む断面を見たとき、
前記第1蓋部材と前記第1対向部材の間に第1間隙が形成され、
前記第2蓋部材と前記第2対向部材の間に第2間隙が形成された、
請求項5に記載された測定装置。
【請求項7】
前記第1間隙および前記第2間隙が、それぞれ、途中で屈曲された、
請求項6に記載された測定装置。
【請求項8】
前記第1間隙および前記第2間隙が、それぞれ、階段状に屈曲された、
請求項7に記載された測定装置。
【請求項9】
前記第1間隙および前記第2間隙が、それぞれ、クランク状に屈曲された、
請求項7に記載された測定装置。
【請求項10】
前記第1間隙の幅の最大寸法、および、前記第2間隙の幅の最大寸法が、それぞれ、5mm以下である、
請求項6に記載された測定装置。
【請求項11】
前記第1間隙の幅の最大寸法、および、前記第2間隙の幅の最大寸法が、それぞれ、3mm以下である、
請求項10に記載された測定装置。
【請求項12】
前記棒状部材が、筒状である、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項13】
前記棒状部材が伸びる方向に対して垂直な面で切断した、前記棒状部材の断面の外縁が、円形である、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項14】
前記棒状部材が、アルミニウム製である、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項15】
前記棒状部材が、少なくとも3つの分割棒状部材に分割され、
前記分割棒状部材どうしが、前記分割棒状部材の材質よも熱伝導率が小さい材質によって作製された、断熱部材を介して接続された、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項16】
前記断熱部材が、樹脂製である、
請求項15に記載された測定装置。
【請求項17】
前記棒状部材が伸びる方向に対して垂直な方向から透視したとき、
1つの前記断熱部材が、前記第1側面壁と重なり、
別の1つの前記断熱部材が、前記第2側面壁と重なる、
請求項15に記載された測定装置。
【請求項18】
前記温度制御機器が、前記測定室の外側に取り付けられた、
請求項1に記載された測定装置。
【請求項19】
被測定物が、加速度センサ、角速度センサから選ばれる、少なくとも1つの種類の慣性センサである、
請求項1に記載された測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の温度で、かつ、振動の影響を小さくして、被測定物の特性を測定することができる測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の特性を測定する際には、温度の管理と、振動の抑制が重要である。
【0003】
たとえば、被測定物が電子部品である場合には、測定時の電子部品の温度によって、特性が変化してしまう場合が多い。したがって、電子部品の特性を測定するときには、電子部品の温度を予め定められた温度に保つことが必要である。また、電子部品の特性を評価する場合に、複数の温度(たとえば、-20℃と、+25℃と、+110℃)での特性を必要とする場合がある。
【0004】
また、被測定物が、加速度センサ、角速度センサなどの慣性センサである場合には、振動のあるところで測定をしたのでは、正確な特性を得ることができない。
【0005】
そこで、測定装置においては、種々の方法で、温度の調整と、振動の抑制が試みられている。
【0006】
たとえば、特許文献1(特開2005-326384号公報)に開示された測定装置(電子部品の調整検査装置)は、装置の底面近傍に、防振部材として防振ゴムを備えている。また、特許文献1の測定装置では、電子部品の温度を所定の温度に維持するために、電子部品を温度調整ユニットの上に載せて特性を測定する。
【0007】
特許文献2(特開昭62-12810号公報)に開示された測定装置(レートジャイロ)は、自走ロボットの位置や方位角を測定するための測定装置である。特許文献2の測定装置は、自走ロボットに取り付けられる。特許文献2の測定装置は、自走ロボットのモータなどの振動を除去するために防振部材に取り付けられ、かつ、防振部材ごと恒温室内に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-326384号公報
【文献】特開昭62-12810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の測定装置は、装置の底面近傍に防振部材として防振ゴムを備えている。しかしながら、特許文献1の測定装置は、電子部品を温度調整ユニットの上に載せて、電子部品の特性を測定するため、温度調整ユニットの発生させる振動の影響を除去することができない。温度調整ユニットが、単に加熱するヒータなどだけである場合は振動の問題は小さいが、冷却のためのエアーコンプレッサなどを含む場合には、振動が大きく、たとえば、被測定物が、加速度センサ、角速度センサなどの電子部品(慣性センサ)である場合には、正確な特性を得ることが難しい。
【0010】
一方、近時、防振ゲルなど、極めて良好に振動の影響を除去する(振動を吸収して伝えない)防振部材が実用化されている。しかしながら、防振ゲルなどは、一般的に使用可能な温度範囲が定められており、この範囲を外れると、良好に振動を吸収できなかったり、短期間で劣化して使用できなくなったり(振動を吸収しなくなったり)する虞がある。
【0011】
特許文献2に開示された測定装置(レートジャイロ)は、振動の影響を除去するために防振部材に取り付けられ、かつ、防振部材ごと恒温室内に設置されている。このような構造を採用した場合には、防振部材が恒温室内の温度の影響を受けるため、防振部材に、使用可能な温度範囲が定められた防振部材を使用できない虞がある。たとえば、恒温室の温度を、-40℃から+130℃の範囲で変化させて、所望の温度において被測定物の特性を測定しようとする場合には、防振部材に、たとえば、使用可能温度が-20℃から+60℃の防振ゲルを使用することはできない。
【0012】
そこで、本発明は、所望の温度で、かつ、振動の影響を小さくして、被測定物の特性を測定することができる測定装置を提供することを目的とする。本発明の測定装置においては、防振部材(たとえば防振ゲル)の使用可能温度の範囲外の温度においても、被測定物の特性を測定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施態様にかかる測定装置は、上述した課題を解決するために、互いに対向する第1側面壁および第2側面壁を有する測定室と、測定室の内部の温度を制御する温度制御機器と、測定室の外部に配置された第1設置部と、測定室の外部に配置された第2設置部と、第1端が第1設置部に保持され、第2端が第2設置部に保持された棒状部材と、被測定物の特性を測定する測定機器と、を備えた測定装置であって、第1側面壁に第1貫通孔が形成され、第2側面壁に第2貫通孔が形成され、棒状部材は、第1貫通孔および第2貫通孔の両方に挿通され、かつ、第1貫通孔および第2貫通孔の両方と非接触であり、第1端が第1貫通孔から測定室の外部に導出されて第1設置部に保持され、第2端が第2貫通孔から測定室の外部に導出されて第2設置部に保持され、測定機器は、測定室の内部において、棒状部材に、直接または間接に、載置または垂下され、第1設置部に、防振部材が設けられ、第2設置部に、防振部材が設けられたものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の測定装置は、所望の温度で、かつ、振動の影響を小さくして、被測定物の特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】測定装置100の正面図である。
図2】測定装置100の平面図である。
図3】測定装置100の側面図である。
図4】測定装置100の断面図である。
図5】測定装置100の要部断面図である。
図6】測定装置200の正面図である。
図7】測定装置300の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0018】
[第1実施形態]
図1図5に、第1実施形態にかかる測定装置100を示す。ただし、図1は、測定装置100の正面図である。図2は、測定装置100の平面図である。図3は、測定装置100の側面図である。図4は、後述する棒状部材70が存在する部分で切断し、正面方向から見た、測定装置100の断面図である。図5は、図4と同じ部分で切断した、測定装置100の要部断面図である。なお、これらの図面には、測定装置100の幅方向W、高さ方向T、長さ方向(奥行方向)Lを示している場合があり、以下の明細書において、それらの方向について言及する場合がある。なお、本実施形態においては、後述する棒状部材70が伸びる方向を、測定装置100の幅方向Wとする。特に明記しない限り、他の実施形態においても、この方向を幅方向Wとする。
【0019】
測定装置100は、測定室10を備えている。測定室10は、後述する温度制御機器56によって温度が調整され、内部の温度が所望の温度に維持される恒温室である。
【0020】
測定室10は、内部に空間を有する直方体形状(立方体形状であってもよい)をしている。測定室10は、幅方向Wにおいて、互いに対向する第1側面壁10a、第2側面壁10bと、高さ方向Tにおいて、互いに対向する底面壁10c、天面壁10dと、長さ方向Lにおいて、互いに対向する前面壁10e、後面壁10fとを有している。なお、底面壁10cを省略し、測定装置100を設置するベース(たとえば測定装置100を設置する部屋の床)を、底面壁10c代わりに使用してもよい。
【0021】
本実施形態においては、前面壁10eに開口が設けられ、その開口に、開閉が自在なドア20が取り付けられている。ドア20は、ヒンジ20aによって、前面壁10eの開口に取り付けられている。ドア20には、ドアノブ20bが取り付けられている。ドア20には、測定室10の内部が観察できるように、断熱ガラスを使った窓20cが形成されている。
【0022】
第1側面壁10a、第2側面壁10b、底面壁10c、天面壁10d、前面壁10e、後面壁10fの材質は、それぞれ任意であるが、できるだけ、熱伝導性の低い材質であることが好ましい。また、第1側面壁10a、第2側面壁10b、底面壁10c、天面壁10d、前面壁10e、後面壁10fを、それぞれ多層に構成し、その中間層を断熱材で形成してもよい。
【0023】
測定装置100は、第1側面壁10a、第2側面壁10b、底面壁10c、天面壁10d、前面壁10e、後面壁10fの寸法(縦方向の寸法、横方向の寸法、厚さ寸法)は、それぞれ任意である。
【0024】
測定装置100は、第1設置部30と、第2設置部40とを備えている。第1設置部30および第2設置部40は、いずれも、測定室10の外部に配置されている。第1設置部30は、測定室10の第1側面壁10aに対向して配置されている。第2設置部40は、測定室10の第2側面壁10bに対向して配置されている。
【0025】
第1設置部30の構造は任意である。第1設置部30は、後述する棒状部材70の一端を保持することができるものであれば、種々の構造を採用することができる。
【0026】
本実施形態においては、第1設置部30は、第1構造体31を備えている。第1構造体31は、垂直部材31a、31b、31c、31dと、水平部材31e、31f、31gと、を組み合わせて作製されている。垂直部材31a~31d、水平部材31e~31gは、それぞれ直方体形状からなり、それぞれ必要に応じて、各寸法(縦方向の寸法、横方向の寸法、長さ方向の寸法)が定められている。垂直部材31a~31d、水平部材31e~31gの材質は任意であるが、たとえば金属が使用される。なお、垂直部材31a~31d、水平部材31e~31gの材質は、できるだけ、剛性が高いことが好ましい。垂直部材31a~31d、水平部材31e~31gは、必要な個所が、たとえば溶接によって、相互に接合されている。
【0027】
第1設置部30は、レール32を備えている。レール32は、水平部材31gの上に設けられている。レール32の構造、材質、寸法などは任意である。
【0028】
第1設置部30は、スライド部材33を備えている。スライド部材33は、レール32に取り付けられている。スライド部材33の構造、材質、寸法などは任意である。
【0029】
第1設置部30は、第1保持板34を備えている。第1保持板34は、スライド部材33に取り付けられている。第1保持板34には、後述する棒状部材70を保持するための第1保持孔34aが形成されている。第1保持板34の材質、寸法などは任意である。
【0030】
スライド部材33は、レール32の上を前後にスライドさせ、固定させることができる。すなわち、スライド部材33は、測定装置100の長さ方向Lにおいて、位置を調整し、固定することができる。また、第1保持板34は、スライド部材33に対して上下にスライドさせ、固定させることができる。すなわち、第1保持板34は、測定装置100の高さ方向Tにおいて、位置を調整し、固定することができる。この結果、第1設置部30は、図3の第1保持板34の近傍に矢印で示すように、第1保持板34の第1保持孔34aの位置を、測定装置100の長さ方向L、および、高さ方向Tにおいて、自在に調整し、固定することができる。
【0031】
第2設置部40は、測定室10を幅方向Wの中央で切断した断面を含む面を対象面として、第1設置部30と面対象に形成されている。第2設置部40の各構成要素は、第1設置部30の各構成要素と同じ材質で作製されている。以下の明細書の説明においては、説明の便宜上、第2設置部40の各構成要素に符号を付すが、図面には、図面作成上の制約から、垂直部材41b、41d、水平部材41eが描画されていない。
【0032】
第2設置部40は、第2構造体41を備えている。第2構造体41は、垂直部材41a、41b、41c、41dと、水平部材41e、41f、41gと、を組み合わせて作製されている。
【0033】
第2設置部40は、レール42を備えている。レール42は、水平部材41gの上に設けられている。
【0034】
第2設置部40は、スライド部材43を備えている。スライド部材43は、レール42に取り付けられている。
【0035】
第2設置部40は、第2保持板44を備えている。第2保持板44は、スライド部材43に取り付けられている。第2保持板44には、後述する棒状部材70を保持するための第2保持孔44aが形成されている。
【0036】
第2設置部40は、第2保持板44の第2保持孔44aの位置を、測定装置100の長さ方向L、および、高さ方向Tにおいて、自在に調整し、固定することができる。
【0037】
第1設置部30の第1構造体31と第2設置部40の第2構造体41とが、測定室10の外部(前面壁10eの手前)において、水平部材51a、51bによって相互に結合されている。これにより、第1設置部30、第2設置部40は、それぞれ、測定装置100の幅方向Wに倒れることがなくなり、かつ、振動を抑制する効果が強化されている。
【0038】
第1設置部30の第1構造体31の垂直部材31a、31b、第2設置部40の第2構造体41の垂直部材41a、41bの底面に、それぞれ、防振部材60が設けられている。防振部材60の構造、形状、材質、寸法などは任意であるが、本実施形態においては、ブロック状の防振ゲルを使用した。本実施形態の防振部材(防振ゲル)60の使用可能温度は、たとえば、-20℃から+60℃とされている。防振部材60は、使用可能温度の範囲外で使用すると、良好に振動を抑制しない虞がある。また、防振部材60は、使用可能温度の範囲外で使用すると、短期間で劣化して使用できなくなる(振動を抑制しなくなる)虞がある。
【0039】
本実施形態においては、垂直部材31a、31b、41a、41bの底面に防振部材60を設けたが、防振部材60を設ける位置は任意であり、垂直部材31a、31b、41a、41bの途中などに、それぞれ、防振部材60を設けてもよい。また、上述したように、防振部材60の構造、材質などは任意であり、防振ゲルに代えて、防振ゴム、防振バネなどを使用してもよい。
【0040】
各防振部材60の底面に、設置板61が設けられている。設置板61の構造、材質、寸法などは任意である。
【0041】
測定装置100は、棒状部材70を備えている。棒状部材70の構造、材質、寸法などは任意である。本実施形態においては、棒状部材70は、特に図4図5から分かるように、3つの分割棒状部材71、72、73が、第1断熱部材74と、第2断熱部材75とで接続されたものからなる。より具体的には、棒状部材70は、分割棒状部材71が第1断熱部材74と接続され、第1断熱部材74が分割棒状部材72と接続され、分割棒状部材72が第2断熱部材75と接続され、第2断熱部材75が分割棒状部材73と接続されたものからなる。
【0042】
分割棒状部材71、72、73の構造、材質、寸法などは任意である。本実施形態においては、分割棒状部材71、72、73に、アルミニウム製の円筒状のものを使用した。本実施形態においては、棒状部材70の中間部となる分割棒状部材72の長さ寸法は、分割棒状部材71、73の長さ寸法よりも大きい。
【0043】
第1断熱部材74、第2断熱部材75の構造、形状、寸法などは任意である。第1断熱部材74、第2断熱部材75の材質には、棒状部材70(分割棒状部材71、72、73)の材質よりも、熱伝導率が低いものを使用する。本実施形態においては、第1断熱部材74、第2断熱部材75に、それぞれ、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)などの熱伝導率が低い樹脂製の円柱状のものを使用した。なお、ポリテトラフルオロエチレンは、テフロン(登録商標)という商品名で呼ばれる場合がある。
【0044】
図5に示すように、第1断熱部材74の一端に、円筒状の分割棒状部材71と嵌合する円柱状の突起74aが形成され、第1断熱部材74の他端に、円筒状の分割棒状部材72と嵌合する円柱状の突起74bが形成されている。第2断熱部材75の一端に、円筒状の分割棒状部材72と嵌合する円柱状の突起75aが形成され、第2断熱部材75の他端に、円筒状の分割棒状部材73と嵌合する円柱状の突起75bが形成されている。
【0045】
図5に示すように、分割棒状部材71が、第1断熱部材74の突起74aに嵌合されたうえ、ネジ71aによって、第1断熱部材74の突起74aに固定されている。分割棒状部材72の一端が、第1断熱部材74の突起74bに嵌合されたうえ、ネジ72aによって、第1断熱部材74の突起74bに固定されている。分割棒状部材72の他端が、第2断熱部材75の突起75aに嵌合されたうえ、ネジ72bによって、第2断熱部材75の突起75aに固定されている。分割棒状部材73が、第2断熱部材75の突起75bに嵌合されたうえ、ネジ73aによって、第2断熱部材75の突起75bに固定されている。
【0046】
棒状部材70は、分割棒状部材71、72、73に筒状(円筒状)のものを使用しているため軽い。棒状部材70は、分割棒状部材71、72、73にアルミニウム製のものを使用しているため、鉄製や銅製などのものを使用した場合に比べて軽い。棒状部材70は、分割棒状部材71、72、73にアルミニウム製のものを使用しているため、銅製のものを使用した場合に比べて、全体としての熱伝導率が低い。棒状部材70は、途中に第1断熱部材74、第2断熱部材75が介在されているため、全体としての熱伝導率が低い。棒状部材70は、棒状部材70が伸びる方向に対して垂直な面で切断した断面の外縁が円形であるため、曲げ応力に対して強く、重量の大きい物を載置したり、垂下させたりすることができる。
【0047】
図4図5などに示すように、測定室10の第1側面壁10aに第1貫通孔11が形成され、第2側面壁10bに第2貫通孔12が形成されている。第1貫通孔11、第2貫通孔12の形成位置、寸法、形状などは、任意である。本実施形態においては、第1貫通孔11、第2貫通孔12の開口の形状を、円形にした。
【0048】
棒状部材70は、第1貫通孔11と第2貫通孔12の両方に挿通されている。棒状部材70は、第1貫通孔11と第2貫通孔12の両方と非接触である。棒状部材70の一端が、第1貫通孔11から測定室10の外部に導出されている。棒状部材70の他端が、第2貫通孔12から測定室10の外部に導出されている。
【0049】
棒状部材70の一端が、第1設置部30の第1保持板34の第1保持孔34aに保持(固定)されている。棒状部材70の他端が、第2設置部40の第2保持板44の第2保持孔44aに保持(固定)されている。この結果、棒状部材70の分割棒状部材72が、測定室10の内部では、宙に浮いたような状態で配置されている。すなわち、棒状部材70は、測定室10と非接触である。
【0050】
測定室10の第1側面壁10aの第1貫通孔11に、第1空気入出抑制機構が設けられている。第1空気入出抑制機構は、後述する第1蓋部材81と、後述する第1対向部材82とで構成されている。測定室10の第2側面壁10bの第2貫通孔12に、第2空気入出抑制機構が設けられている。第2空気入出抑制機構は、後述する第2蓋部材91と、後述する第2対向部材92とで構成されている。第1蓋部材81と第2蓋部材91とには、同じ部材が使用されている。第1対向部材82と第2対向部材92とには、同じ部材が使用されている。
【0051】
図5に示すように、第1蓋部材81、第2蓋部材91は、測定室10の外部において、棒状部材70の外周に取付けられた、鍔状(フランジ状)の部材である。測定室10の外部から棒状部材70が伸びる方向に見たとき、第1蓋部材81は、第1貫通孔11の棒状部材70以外の部分を覆い、第2蓋部材91は、第2貫通孔12の棒状部材70以外の部分を覆っている。第1蓋部材81、第2蓋部材91は、第1貫通孔11、第2貫通孔12を通って、測定室10の外部から内部に空気が流入したり、測定室10の内部から外部に空気が流出したりするのを抑制するための部材である。
【0052】
本実施形態においては、第1蓋部材81、第2蓋部材91は、棒状部材70が伸びる方向に見たとき、外縁が円形をしている。ただし、この形状は任意であり、たとえば、4角形などであってもよい。
【0053】
第1蓋部材81、第2蓋部材91は、それぞれ、貫通孔を有し、その貫通孔に棒状部材70が挿通されている。第1蓋部材81は、ネジ81aによって、第1断熱部材74に固定されている。第2蓋部材91は、ネジ91aによって、第2断熱部材75に固定されている。第1蓋部材81、第2蓋部材91は、それぞれ、測定室10側に凹凸が形成されているが、その詳細については後述する。
【0054】
第1対向部材82は、測定室10の第1側面壁10aの第1貫通孔11に取り付けられている。第1対向部材82は、第1蓋部材81に対向して配置されている。上述したとおり、第1対向部材82は、第1蓋部材81とで第1空気入出抑制機構を構成し、第1貫通孔11を通って、測定室10の外部から内部に空気が流入したり、測定室10の内部から外部に空気が流出したりするのを抑制している。
【0055】
同様に、第2対向部材92は、測定室10の第2側面壁10bの第2貫通孔12に取り付けられている。第2対向部材92は、第2蓋部材91に対向して配置されている。上述したとおり、第2対向部材92は、第2蓋部材91とで第2空気入出抑制機構を構成し、第2貫通孔12を通って、測定室10の外部から内部に空気が流入したり、測定室10の内部から外部に空気が流出したりするのを抑制している。
【0056】
図5に示すように、第1対向部材82は、内側部材82aと、外側部材82bとを備えている。内側部材82aは、貫通孔を有するパイプ状部と、そのパイプ状部の一端に設けられた鍔状部とを備えている。外側部材82bも、貫通孔を有するパイプ状部と、そのパイプ状部の一端に設けられた鍔状部とを備えている。なお、内側部材82aのパイプ状部の外径の寸法は、外側部材82bのパイプ状部の内径の寸法と等しいか、若干、小さい。第1対向部材82は、内側部材82aの鍔状部を第1側面壁10aの内面に当接させた状態で、内側部材82aのパイプ状部を第1貫通孔11の外側に突出させ、外側部材82bの鍔状部を第1側面壁10aの外面に当接させた状態で、外側部材82bのパイプ状部を内側部材82aのパイプ状部に被せ、ネジ82cで内側部材82aと外側部材82bとを固定することによって、第1貫通孔11に取り付けられている。なお、内側部材82aのパイプ状部の内径面と、棒状部材70との間には間隙が設けられ、両者は非接触にされている。
【0057】
同様に、第2対向部材92は、内側部材92aと、外側部材92bとを備えている。内側部材92aは、貫通孔を有するパイプ状部と、そのパイプ状部の一端に設けられた鍔状部とを備えている。外側部材92bも、貫通孔を有するパイプ状部と、そのパイプ状部の一端に設けられた鍔状部とを備えている。なお、内側部材92aのパイプ状部の外径の寸法は、外側部材92bのパイプ状部の内径の寸法と等しいか、若干、小さい。第2対向部材92は、内側部材92aの鍔状部を第2側面壁10bの内面に当接させた状態で、内側部材92aのパイプ状部を第2貫通孔12の外側に突出させ、外側部材92bの鍔状部を第2側面壁10bの外面に当接させた状態で、外側部材92bのパイプ状部を内側部材92aのパイプ状部に被せ、ネジ92cで内側部材92aと外側部材92bとを固定することによって、第2貫通孔12に取り付けられている。なお、内側部材92aのパイプ状部の内径面と、棒状部材70との間には間隙が設けられ、両者は非接触にされている。
【0058】
この結果、図5に示すように、棒状部材70が伸びる方向に切断した断面を見たとき、第1空気入出抑制機構の第1蓋部材81と第1対向部材82の間に第1間隙S1が形成され、第2空気入出抑制機構の第2蓋部材91と第2対向部材92の間に第2間隙S2が形成される。
【0059】
第1間隙S1を経由して、測定室10の外部から内部に空気が流入したり、測定室10の内部から外部に空気が流出したりするのを抑制するためには、第1間隙S1の幅は、できるだけ狭いことが好ましく、第1間隙S1内の流路は、できるだけ長いことが好ましい。同様に、第2間隙S2を経由して、測定室10の外部から内部に空気が流入したり、測定室10の内部から外部に空気が流出したりするのを抑制するためには、第2間隙S2の幅は、できるだけ狭いことが好ましく、第2間隙S2内の流路は、できるだけ長いことが好ましい。なお、間隙の幅を狭くするとともに、間隙を途中で屈曲させ、間隙内の流路を長くして、流体の通過を抑制する構造をラビリンスシールと呼び、その効果をラビリンス効果と呼ぶ場合がある。
【0060】
第1間隙S1の幅、第2間隙S2の幅は、空気の入出を抑制するうえでは、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましい。本実施形態においては、第1間隙S1の幅、第2間隙S2の幅を、それぞれ3mmとした。
【0061】
図5に示すように、本実施形態においては、第1蓋部材81と第1対向部材82とが、また、第2蓋部材91と第2対向部材92とが、それぞれ途中で階段状に屈曲されて、第1間隙S1内の流路、第2間隙S2内の流路が、それぞれ長くされている。
【0062】
測定装置100は、測定室10に第1貫通孔11および第2貫通孔12を設け、棒状部材70を第1貫通孔11および第2貫通孔12に非接触で挿通させているが、第1空気入出抑制機構および第2空気入出抑制機構を設けているため、第1貫通孔11を経由した空気の入出、および、第2貫通孔12を経由した空気の入出が抑制されている。
【0063】
なお、第1空気入出抑制機構において、第1蓋部材81は必須であるが、第1対向部材82は省略することが可能である。同様に、第2空気入出抑制機構において、第2蓋部材91は必須であるが、第2対向部材92は省略することが可能である。ただし、第1対向部材82、第2対向部材92を省略する場合には、空気の出入りを抑制できるように、第1蓋部材81、第2蓋部材91の形状(構造)を設計変更することが好ましい。
【0064】
図1図4に示すように、測定装置100は、測定ユニット55を備えている。本実施形態においては、測定ユニット55は、測定室10の内部において、棒状部材70に垂下されている。
【0065】
測定ユニット55の内部には、図示しないが、測定機器が収納されている。本実施形態においては、測定装置として、加速度センサ、角速度センサなどの慣性センサの特性を測定する測定装置が収納されている。慣性センサの慣性に関する特性を測定するためには、測定機器は外部の振動を受けない(外部の振動が抑制された)環境に配置されることが必要である。振動をうける環境では、慣性センサの慣性に関する特性を正確に測定することが難しいからである。ただし、本発明において、被測定物の種類は任意であり、慣性センサには限られない。
【0066】
測定装置100は、測定室10の後面壁10fの下部に、温度制御機器56が設けられている。温度制御機器56は、測定室10の内部の温度を、たとえば、-55℃から+125℃の範囲で、任意の温度に維持することができる。したがって、測定装置100においては、測定ユニット55の内部に収納された測定機器によって、たとえば、慣性センサの慣性に関する-55℃から+125℃の範囲の任意の温度における特性を、測定することができる。具体的には、たとえば、慣性センサの-40℃における特性と、+25℃における特性と、+125℃における特性とを測定することができる。
【0067】
なお、温度制御機器56は、一般的に、冷却用にエアーコンプレッサを備えていることが多く、非常に大きな振動を発生させる場合がある。そのため、温度制御機器56の振動が、測定室10の内部の空気を介して、測定ユニット55に伝わることにより、慣性センサの測定に悪影響を与える可能性がある。したがって、温度制御機器56は、測定室10の外部の測定室10から離れた位置に設けられるほうが好ましい。
【0068】
測定装置100は、所望の温度に維持された測定室10の内部において、被測定物の特性を測定することができる。
【0069】
棒状部材70を保持する第1設置部30および第2設置部40に、それぞれ、防振部材(防振ゲル)60が設けられているため、棒状部材70に垂下された測定ユニット55に収容された測定機器に床から伝わる振動が抑制されている。したがって、測定装置100は、精度の高い測定をおこなうことができる。
【0070】
測定室10に大きな振動を発生させる温度制御機器56が設けられているが、測定室10と棒状部材70とが非接触であるため、棒状部材70に垂下された測定ユニット55に収容された測定機器が、測定室10や温度制御機器56から受ける振動が抑制されている。また、温度制御機器56の振動は測定室10を介して床に伝わるが、上述したように、床からの振動は防振部材(防振ゲル)60によって、抑制されている。したがって、測定装置100は、精度の高い測定をおこなうことができる。
【0071】
測定装置100は、防振部材(防振ゲル)60の使用可能温度(たとえば-20℃から+60℃)よりも広い温度範囲(たとえば-55℃から+125℃)で、被測定物の特性を測定することができる。
【0072】
測定装置100は、第1空気入出抑制機構、第2空気入出抑制機構を備えているため、測定室10に第1貫通孔11、第2貫通孔12を設けているにもかかわらず、第1貫通孔11、第2貫通孔12を通って、測定室10の外部から内部に空気が流入したり、測定室10の内部から外部に空気が流出したりすることが抑制されている。したがって、測定装置100は、測定室10の内部の温度の維持が容易である。
【0073】
測定装置100は、第1保持板34、第2保持板44の位置を、測定装置100の長さ方向Lおよび高さ方向Tにおいて、それぞれ、自在に調整し、固定することができるため、棒状部材70の位置の調整が容易である。
【0074】
[第2実施形態]
図6に、第2実施形態にかかる測定装置200を示す。ただし、図6は、測定装置200の正面図である。
【0075】
第2実施形態にかかる測定装置200は、上述した第1実施形態にかかる測定装置100の構成の一部に変更を加えた。具体的には、測定装置100では、測定機器を収容した測定ユニット55を棒状部材70に垂下させていたが、測定装置200はこれを変更し、棒状部材70の上にテーブル250を設け、テーブル250の上に測定機器251を載置した。
【0076】
測定装置200においても、測定機器251によって、所望の温度で、かつ、振動を抑制して、高い精度で被測定物の特性を測定することができる。
【0077】
[第3実施形態]
図7に、第3実施形態にかかる測定装置300を示す。ただし、図7は、測定装置300の要部断面図である。
【0078】
第3実施形態にかかる測定装置300も、上述した第1実施形態にかかる測定装置100の構成の一部に変更を加えた。具体的には、測定装置300では、第1空気入出抑制機構、第2空気入出抑制機構の形状(構造)を、測定装置100の第1空気入出抑制機構、第2空気入出抑制機構から変更した。
【0079】
測定装置300の第1空気入出抑制機構は、第1蓋部材381と、第1対向部材382とで構成されている。第1蓋部材381は、ネジ381aによって、第1断熱部材74に固定されている。第1対向部材382は、内側部材382aと、外側部材382bとを備えている。第1対向部材382は、内側部材382aの鍔状部を第1側面壁10aの内面に当接させた状態で、内側部材382aのパイプ状部を第1貫通孔11の外側に突出させ、外側部材382bの鍔状部を第1側面壁10aの外面に当接させた状態で、外側部材382bのパイプ状部を内側部材382aのパイプ状部に被せ、ネジ382cで内側部材382aと外側部材382bとを固定することによって、第1貫通孔11に取り付けられている。
【0080】
同様に、測定装置300の第2空気入出抑制機構は、第2蓋部材391と、第2対向部材392とで構成されている。第2蓋部材391は、ネジ391aによって、第2断熱部材75に固定されている。第2対向部材392は、内側部材392aと、外側部材392bとを備えている。第2対向部材392は、内側部材392aの鍔状部を第2側面壁10bの内面に当接させた状態で、内側部材392aのパイプ状部を第2貫通孔12の外側に突出させ、外側部材392bの鍔状部を第2側面壁10bの外面に当接させた状態で、外側部材392bのパイプ状部を内側部材392aのパイプ状部に被せ、ネジ392cで内側部材392aと外側部材392bとを固定することによって、第2貫通孔12に取り付けられている。
【0081】
第1実施形態にかかる測定装置100では、図5に示すように、第1蓋部材81と第1対向部材82の間に形成される第1間隙S1、第2蓋部材91と第2対向部材92の間に形成される第2間隙S2が、それぞれ、階段状に屈曲されていた。これに対し、第3実施形態にかかる測定装置300は、第1蓋部材381と第1対向部材382の形状を変更するとともに、第2蓋部材391と第2対向部材392の形状を変更することによって、第1蓋部材381と第1対向部材382の間に形成される第1間隙S31、第2蓋部材391と第2対向部材392の間に形成される第2間隙S2が、それぞれ、クランク状に屈曲されている。
【0082】
測定装置300は、測定装置100に比べて、第1間隙S31、第2間隙S2内の流路が更に長くなっているため、第1空気入出抑制機構、第2空気入出抑制機構の空気の入出を抑制する機能が、更に向上している。
【0083】
以上、第1実施形態~第3実施形態にかかる測定装置100、200、300について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って種々の変更を加えることができる。
【0084】
たとえば、上記実施形態では、第1設置部30の第1構造体31と第2設置部40の第2構造体41とが、水平部材51a、51bによって相互に結合されていたが、第1設置部30の第1構造体31と第2設置部40の第2構造体41は必ずしも結合される必要はなく、相互に分離していてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、1つの測定室10に対して1つの棒状部材70が設けられていたが、1つの測定室10に対して複数の棒状部材70が設けられてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、特性が測定される被測定物として、加速度センサ、角速度センサなどの慣性センサを示したが、被測定物の種類は慣性センサには限られず、他の物理量センサであってもよい。また、被測定物の種類は電子部品にも限られない。
【0087】
本発明の一実施態様にかかる測定装置は、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0088】
この測定装置において、第1設置部と第2設置部とが、測定室の外部において、相互に結合されることも好ましい。この場合には、第1設置部および第2設置部が安定し、振動を抑制する効果が向上する。
【0089】
防振部材が、防振ゲルであることも好ましい。防振ゲルを使用すれば、振動を効果的に抑制することができる。
【0090】
第1貫通孔において、第1側面壁および棒状部材の少なくとも一方に、空気入出抑制機構が形成され、第2貫通孔において、第2側面壁および棒状部材の少なくとも一方に、空気入出抑制機構が形成されることも好ましい。この場合には、第1貫通孔、第2貫通孔を経由した、測定室の内部から外部への空気の流出、測定室の外部から内部への空気の流入を抑制することができる。したがって、測定室の内部の温度の維持が容易になる。
【0091】
空気入出抑制機構が、測定室の外部において、それぞれ、棒状部材の外周に取り付けられた、鍔状の第1蓋部材および第2蓋部材を含み、測定室の外部から、棒状部材が伸びる方向に見たとき、第1蓋部材は、第1貫通孔の棒状部材以外の部分を覆い、第2蓋部材は、第2貫通孔の棒状部材以外の部分を覆い、第1蓋部材は、第1側面壁と非接触であり、第2蓋部材は、第2側面壁と非接触であることも好ましい。この場合には、第1貫通孔、第2貫通孔を経由した、測定室の内部から外部への空気の流出、測定室の外部から内部への空気の流入を、効果的に抑制することができる。
【0092】
空気入出抑制機構が、更に、第1側面壁の第1貫通孔に、または、第1貫通孔の近傍に取り付けられた第1対向部材と、第2側面壁の第2貫通孔に、または、第2貫通孔の近傍に取り付けられた第2対向部材と、を含み、第1対向部材は、第1蓋部材と対向して配置され、かつ、第1蓋部材と非接触であり、第2対向部材は、第2蓋部材と対向して配置され、かつ、第2蓋部材と非接触であり、棒状部材が伸びる方向に切断した、棒状部材と第1蓋部材と第2蓋部材と第1対向部材と第2対向部材の全てを含む断面を見たとき、第1蓋部材と第1対向部材の間に第1間隙が形成され、第2蓋部材と第2対向部材の間に第2間隙が形成されることも好ましい。この場合には、第1貫通孔、第2貫通孔を経由した、測定室の内部から外部への空気の流出、測定室の外部から内部への空気の流入を、効果的に抑制することができる。
【0093】
第1間隙および第2間隙が、それぞれ、途中で屈曲されていることも好ましい。たとえば、第1間隙および第2間隙が、それぞれ、階段状に屈曲されていることも好ましい。また、第1間隙および第2間隙が、それぞれ、クランク状に屈曲されていることも更に好ましい。これらの場合には、第1間隙、第2間隙の長さが長くなるため、測定室の内部から外部への空気の流出、測定室の外部から内部への空気の流入を、更に効果的に抑制することができる。
【0094】
第1間隙の幅の最大寸法、および、第2間隙の幅の最大寸法が、それぞれ、5mm以下であることも好ましい。この場合には、測定室の内部から外部への空気の流出、測定室の外部から内部への空気の流入を、効果的に抑制することができる。また、第1間隙の幅の最大寸法、および、第2間隙の幅の最大寸法が、それぞれ、3mm以下であることも更に好ましい。この場合には、測定室の内部から外部への空気の流出、測定室の外部から内部への空気の流入を、更に効果的に抑制することができる。
【0095】
棒状部材が、筒状であることも好ましい。この場合には、棒状部材を軽くすることができる。
【0096】
棒状部材が伸びる方向に対して垂直な面で切断した、棒状部材の断面の外縁が、円形であることも好ましい。この場合には、棒状部材が曲げ応力に対して強くなるため、棒状部材に、重量の大きい物を載置したり、垂下させたりすることが可能になる。
【0097】
棒状部材が、アルミニウム製であることも好ましい。この場合には、鉄製や銅製などのものを使用した場合に比べて、棒状部材を軽くすることができる。また、銅製のものを使用した場合に比べて、棒状部材の熱伝導率を低くすることができ、棒状部材を経由して、測定室の内部の熱が外部に流出したり、測定室の外部から内部に熱が流入したりすることを、抑制することができる。
【0098】
棒状部材が、少なくとも3つの分割棒状部材に分割され、分割棒状部材どうしが、分割棒状部材の材質よも熱伝導率が小さい材質によって作製された、断熱部材を介して接続されることも好ましい。この場合には、棒状部材を経由して、測定室の内部の熱が外部に流出したり、測定室の外部から内部に熱が流入したりすることを、抑制することができる。
【0099】
断熱部材が、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂製であることも好ましい。この場合には、高い断熱性を得ることができ、かつ、加工が容易である。
【0100】
棒状部材が伸びる方向に対して垂直な方向から透視したとき、1つの断熱部材が、第1側面壁と重なり、別の1つの断熱部材が、第2側面壁と重なることも好ましい。この場合には、棒状部材を経由して、測定室の内部の熱が外部に流出したり、測定室の外部から内部に熱が流入したりすることを、効果的に抑制することができる。
【0101】
温度制御機器が、測定室の外側に取り付けられることも好ましい。この場合には、測定室の内部の空間を広くして、測定のために有効に活用することができる。なお、温度制御機器は大きな振動を発生させる場合があるが、本発明の測定装置においては、防振部材が有効に機能し、また、測定室と、測定機器が設けられる棒状部材とが非接触であるため、測定機器が温度制御機器から受ける振動の影響が小さい。
【0102】
被測定物が、加速度センサ、角速度センサから選ばれる、少なくとも1つの種類の慣性センサであることも好ましい。慣性センサの特性は振動のあるところで測定するのは難しいが、本発明の測定装置においては防振部材が有効に機能するため、慣性センサの特性を高い精度で測定することができる。
【符号の説明】
【0103】
10・・・測定室
10a・・・第1側面壁
10b・・・第2側面壁
10c・・・底面壁
10d・・・天面壁
10e・・・前面壁
10f・・・後面壁
11・・・第1貫通孔
12・・・第2貫通孔
20・・・ドア
20a・・・ヒンジ
20b・・・ドアノブ
20c・・・窓
30・・・第1設置部
31・・・第1構造体
31a~31d・・・垂直部材
31e~31g・・・水平部材
32・・・レール
33・・・スライド部材
34・・・第1保持板
34a・・・第1保持孔
40・・・第2設置部
41・・・第2構造体
41a~41d・・・垂直部材
41e~41g・・・水平部材
42・・・レール
43・・・スライド部材
44・・・第2保持板
44a・・・第2保持孔
51a、51b・・・水平部材
55・・・測定ユニット
56・・・温度制御機器
60・・・防振部材(防振ゲル)
61・・・設置板
70・・・棒状部材
71、72、73・・・分割棒状体
71a、72a、72b、73a・・・ネジ
74・・・第1断熱部材
74a、74b・・・突起
75・・・第2断熱部材
75a、75b・・・突起
81、381・・・第1蓋部材
81a、381a・・・ネジ
82、382・・・第1対向部材
82a、382a・・・内側部材
82b、382b・・・外側部材
82c、382c・・・ネジ
91、391・・・第2蓋部材
91a、391a・・・ネジ
92、392・・・第2対向部材
92a、392a・・・内側部材
92b、392b・・・外側部材
92c、392c・・・ネジ
250・・・テーブル
251・・・測定機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7