(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】空調用薄型レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20241112BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
(21)【出願番号】P 2022057054
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2021176473
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】有木 大悟
(72)【発明者】
【氏名】三井 靖之
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-75014(JP,U)
【文献】国際公開第2013/061636(WO,A1)
【文献】特開2000-318438(JP,A)
【文献】特開2011-201407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する通風路が形成されたリテーナと、前記通風路の前記吹出口よりも上流に配置された上流フィン及び下流フィンと
、を備え
、
前記下流フィンは、
対向した状態で、それぞれ長手方向へ延びる一対の第1下流フィンと、前記第1下流フィンよりも上流で前記
第1下流フィンの前記長手方向へ延びる一対の第2下流フィンとを備え、
前記上流フィンを通過し、かつ前記第2下流フィンを通過する前の前記空調用空気の流れ方向を流入方向とした場合、両第1下流フィン及び両第2下流フィンは、それぞ
れフィン軸
を有し、かつ前記流入方向に沿う中立位置と、下流ほど前記通風路の内方に位置するように、前記流入方向に対し傾斜する傾斜位置との間で、前記フィン軸を中心として傾動可能であり
、
一方の前記第1下流フィンが前記傾斜位置へ向けて傾動される際、他方の前記第1下流フィンと、同他方の第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンとを前記中立位置に保持しつつ、前記一方の前記第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンを前記傾斜位置に向けて傾動させる下流伝達機構が設けられている空調用薄型レジスタ。
【請求項2】
前記吹出口は、相対向する一対の辺部を有し、
前記吹出口は、各辺部が、前記一対の辺部の間隔よりも長い形状をなし、
前記一対の第1下流フィンは、各辺部よりも上流で前記長手方向として前記辺部に沿う方向へ延び、かつ前記一対の辺部が相対向する方向に対向し、
前記一対の第2下流フィンは、前記第1下流フィンよりも上流で前記辺部に沿う方向へ延び、かつ前記一対の辺部が相対向する方向に対向する請求項1に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項3】
前記リテーナの前記吹出口よりも上流であって、同吹出口に対し前記
一対の第1下流フィンが対向する方向の両外方となる箇所には、それぞれフィン収容室が設けられ、
前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンが前記中立位置に位置するときには、前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンのそれぞれの厚み方向における少なくとも一部が前記フィン収容室に収容される請求項1
又は2に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項4】
前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとについて、前記長
手方向の少なくとも一部では、前記流れ方向における前記第2下流フィンの長さが、同流れ方向における前記第1下流フィンの長さよりも長く設定されている請求項1
~3のいずれか1項に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項5】
前記第1下流フィンは上流端に前記フィン軸を有し、
各第2下流フィンの下流端部であって、前記長
手方向における両側部には、上流へ凹む切欠き部が形成され、
各第1下流フィンの上流端部であって、前記長
手方向における両側部には、上流へ突出する突部が形成され、
前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとがともに前記中立位置に位置するとき、前記突部が前記切欠き部に入り込むように構成され、
前記第1下流フィンの前記フィン軸は各突部に設けられており、
各第2下流フィンにおいて、両切欠き部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さは、各第1下流フィンにおいて、両突部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さよりも長く設定されている請求項
1~4のいずれか1項に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項6】
空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する通風路が形成されたリテーナと、前記通風路の前記吹出口よりも上流に配置された上流フィン及び下流フィンと、前記リテーナに操作可能に設けられた操作ノブとを備え、
前記吹出口は、相対向する一対の
辺部として相対向する一対の長辺部と、両
長辺部に対し直交した状態で相対向
する一対の
短辺部とからな
り、
前記吹出口は、各長辺部が、前記一対の長辺部の間隔よりも長い長方形状をなし、
前記下流フィンは、各長辺部よりも上流で前記長辺部に沿う方向へ延び、かつ前記短辺部に沿う方向に対向する一対の第1下流フィンと、前記第1下流フィンよりも上流で前記長辺部に沿う方向へ延び、かつ前記短辺部に沿う方向に対向する一対の第2下流フィンとを備え、
前記上流フィンを通過し、かつ前記第2下流フィンを通過する前の前記空調用空気の流れ方向を流入方向とした場合、両第1下流フィン及び両第2下流フィンは、それぞれ上流端に設けられたフィン軸により前記リテーナに支持され、かつ前記流入方向に沿う中立位置と、下流ほど前記通風路の内方に位置するように、前記流入方向に対し傾斜する傾斜位置との間で、前記フィン軸を中心として傾動可能であり、
前記操作ノブと、両第1下流フィン及び両第2下流フィンとの間には、前記操作ノブの操作に応じて、一方の前記第1下流フィンが前記傾斜位置へ向けて傾動される際、他方の前記第1下流フィンと、同他方の第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンとを前記中立位置に保持しつつ、前記一方の前記第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンを前記傾斜位置に向けて傾動させる下流伝達機構が設けられている空調用薄型レジスタ。
【請求項7】
前記リテーナの前記吹出口よりも上流であって、同吹出口に対し前記
一対の辺部が相対向する方向の両外方となる箇所には、それぞれフィン収容室が設けられ、
前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンが前記中立位置に位置するときには、前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンのそれぞれの厚み方向における少なくとも一部が前記フィン収容室に収容される請求項
2又は6に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項8】
前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとについて、前
記辺部に沿う方向の少なくとも一部では、前記流れ方向における前記第2下流フィンの長さが、同流れ方向における前記第1下流フィンの長さよりも長く設定されている請求項
6又は
7に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項9】
前記第1下流フィンは上流端に前記フィン軸を有し、
各第2下流フィンの下流端部であって、前
記辺部に沿う方向における両側部には、上流へ凹む切欠き部が形成され、
各第1下流フィンの上流端部であって、前
記辺部に沿う方向における両側部には、上流へ突出する突部が形成され、
前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとがともに前記中立位置に位置するとき、前記突部が前記切欠き部に入り込むように構成され、
前記第1下流フィンの前記フィン軸は各突部に設けられており、
各第2下流フィンにおいて、両切欠き部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さは、各第1下流フィンにおいて、両突部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さよりも長く設定されている請求項
6~8のいずれか1項に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項10】
各第1下流フィンは、前記流れ方向における上流から下流に向けて上流部、中間部及び下流部を備え、
前記第1下流フィン毎の前記上流部及び前記下流部は、前記中間部から前記流れ方向に遠ざかるに従い、前記中間部から前記通風路の内方へ遠ざかるように屈曲又は湾曲している請求項1~
9のいずれか1項に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項11】
前記第1下流フィンが前記中立位置に位置するとき、前記上流部及び前記下流部はともに、前記流入方向に対し15°以上傾斜している請求項
10に記載の空調用薄型レジスタ。
【請求項12】
両第2下流フィンの少なくとも一方は、前記流れ方向における上流から下流に向けて上流部、中間部及び下流部を備え、
前記第2下流フィンにおける前記上流部及び前記下流部は、前記中間部から前記流れ方向に遠ざかるに従い、前記中間部から前記通風路の内方へ遠ざかるように屈曲又は湾曲している請求項
1~11のいずれか1項に記載の空調用薄型レジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長方形状の吹出口を有し、かつ空調装置から送られてきて吹出口から吹き出される空調用空気の向きをフィンにより変更等する空調用薄型レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネルには、空調装置から送られてきて吹出口から車室内に吹き出される空調用空気の向きを変更等するための空調用レジスタが組み込まれている。
この空調用レジスタの一形態として、クロスフィンタイプと呼ばれるものがある。このタイプの空調用レジスタは、通風路が形成されたリテーナを備える。通風路は、空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する。通風路の吹出口よりも上流には、上流フィン及び下流フィンが配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記空調用レジスタでは、通風路を流れる空調用空気は、上流フィン及び下流フィンに沿って流れた後に、吹出口から吹き出される。上流フィン及び下流フィンが傾動されると、空調用空気が傾動後の上流フィン及び下流フィンに沿って流れる。そのため、空調用空気の吹出口からの吹き出し方向が変更される。
【0004】
一方、上記クロスフィンタイプの空調用レジスタとして、吹出口が長方形状をなす空調用薄型レジスタが考えられている。空調用薄型レジスタでは、吹出口が、相対向する一対の短辺部と、両短辺部に対し直交した状態で相対向し、かつ前記短辺部よりも長い一対の長辺部とによって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記空調用薄型レジスタでは、一般的な非薄型の空調用レジスタと同様に、通風路に配置された部品が通風抵抗となる。この通風抵抗の指標として実開口面積(通風有効面積)がある。実開口面積は、通風路の吹出口において上記流れ方向に直交する面を投影面とした場合、その投影面において上記各種部品が投影されていない箇所の面積である。実開口面積が小さくなるに従い通風抵抗が大きくなる。
【0007】
空調用薄型レジスタでは、一般的な非薄型の空調用レジスタに比べ、吹出口が短辺部に沿う方向に小さくなる。そのため、下流フィンが吹出口の実開口面積に及ぼす影響、すなわち、実開口面積を小さくする度合いが大きくなる。これに伴い、通風抵抗が大きくなる。その結果、下流フィンに起因する圧力損失が増大する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する空調用薄型レジスタは、空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する通風路が形成されたリテーナと、前記通風路の前記吹出口よりも上流に配置された上流フィン及び下流フィンと、を備え、前記下流フィンは、対向した状態で、それぞれ長手方向へ延びる一対の第1下流フィンと、前記第1下流フィンよりも上流で前記第1下流フィンの前記長手方向へ延びる一対の第2下流フィンとを備え、前記上流フィンを通過し、かつ前記第2下流フィンを通過する前の前記空調用空気の流れ方向を流入方向とした場合、両第1下流フィン及び両第2下流フィンは、それぞれフィン軸を有し、かつ前記流入方向に沿う中立位置と、下流ほど前記通風路の内方に位置するように、前記流入方向に対し傾斜する傾斜位置との間で、前記フィン軸を中心として傾動可能であり、一方の前記第1下流フィンが前記傾斜位置へ向けて傾動される際、他方の前記第1下流フィンと、同他方の第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンとを前記中立位置に保持しつつ、前記一方の前記第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンを前記傾斜位置に向けて傾動させる下流伝達機構が設けられている。
上記の構成によれば、一方の第1下流フィンが傾斜位置へ向けて傾動されると、他方の第1下流フィンと、同他方の第1下流フィンに対し対角位置にある第2下流フィンとが中立位置に保持される。また、傾動された上記一方の第1下流フィンに対し対角位置にある第2下流フィンが傾斜位置に向けて傾動される。
通風路において、上記一対の第1下流フィンが対向する方向のうち、傾動された第1下流フィンに近い側の部分を流れる空調用空気は、中立位置の第2下流フィンに沿って流れた後に、傾動された同第1下流フィンに沿って流れることで、流れ方向を変えられる。
また、通風路において、上記一対の第1下流フィンが対向する方向のうち、傾動された第2下流フィンに近い側の部分を流れる空調用空気は、同第2下流フィンに沿って流れることで、流れ方向を通風路の内方へ変えられる。
傾動された第2下流フィンは、同第2下流フィンとは反対側へ傾動した上記一方の第1下流フィンを向いている。そのため、傾動された第2下流フィンに沿って流れた空調用空気は、傾動された上記一方の第1下流フィンに集められて当り、同第1下流フィンに沿って流れることで流れ方向を変えられる。従って、第2下流フィンが設けられない場合や、同第2下流フィンが上記のように傾動されない場合に比べ、傾動した第1下流フィンに沿って流れる空調用空気が多くなる。
そして、上記のように、傾動された第1下流フィンによって流れ方向を変えられた空調用空気は、吹出口から吹き出される。
このように、吹出口からの空調用空気の吹き出し方向が変更されるため、一対の第1下流フィン間の中間部分に下流フィンを別途設けなくてすむ。
そのため、下流フィンが吹出口の実開口面積に及ぼす影響(実開口面積を小さくする度合い)は、一対の第1下流フィン間の中間部分に下流フィンが設けられた場合よりも小さくなる。その結果、下流フィンに起因する圧力損失が低減される。
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記吹出口は、相対向する一対の辺部を有し、前記吹出口は、各辺部が、前記一対の辺部の間隔よりも長い形状をなし、前記一対の第1下流フィンは、各辺部よりも上流で前記長手方向として前記辺部に沿う方向へ延び、かつ前記一対の辺部が相対向する方向に対向し、前記一対の第2下流フィンは、前記第1下流フィンよりも上流で前記辺部に沿う方向へ延び、かつ前記一対の辺部が相対向する方向に対向することが好ましい。
上記の構成によれば、吹出口は、相対向する一対の辺部のそれぞれが、それらの一対の辺部の間隔よりも長い形状をなす。一対の第1下流フィンは、各辺部よりも上流で前記長手方向として、辺部に沿う方向へ延びる。一対の第1下流フィンは、一対の辺部が相対向する方向に対向する。一対の第2下流フィンは、第1下流フィンよりも上流で辺部に沿う方向へ延びる。一対の第2下流フィンは、一対の辺部が相対向する方向に対向する。
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記リテーナの前記吹出口よりも上流であって、同吹出口に対し前記一対の第1下流フィンが対向する方向の両外方となる箇所には、それぞれフィン収容室が設けられ、前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンが前記中立位置に位置するときには、前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンのそれぞれの厚み方向における少なくとも一部が前記フィン収容室に収容されることが好ましい。
第1下流フィン及び第2下流フィンのそれぞれは、上記の条件を満たす態様でフィン収容室に収容されることにより、少なくとも一部が吹出口に対し、一対の第1下流フィンが対向する方向の両外方となる箇所の上流に位置する。
従って、第1下流フィン及び第2下流フィンのうち、吹出口における両第1下流フィン間の上流に位置する部分は、第1下流フィンの全体、及び第2下流フィンの全体が位置する場合よりも少なくなる。その分、下流フィンが吹出口の実開口面積に及ぼす影響がさらに小さくなる。下流フィンに起因する通風抵抗がさらに小さくなる。
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとについて、前記長手方向の少なくとも一部では、前記流れ方向における前記第2下流フィンの長さが、同流れ方向における前記第1下流フィンの長さよりも長く設定されていることが好ましい。
仮に、上記長手方向のいずれの箇所においても、上記流れ方向における第2下流フィンの長さが、第1下流フィンの長さよりも短いと、次の懸念がある。
それは、第2下流フィンが通風路の内方へ傾動された場合、同第2下流フィンに沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置の第1下流フィンに当たる空調用空気が少なくなる。第2下流フィンによって流れ方向を変えられることなく、流入方向を維持して流れる空調用空気が多くなる。これに伴い、第1下流フィンに当たらないまま吹出口から吹き出される空調用空気が多くなる。
この点、上記の構成によれば、上記長手方向の少なくとも一部に、上記流れ方向における第2下流フィンの長さが、第1下流フィンの長さよりも長い部分があるため、上記の現象が抑制される。すなわち、第2下流フィンが通風路の内方へ傾動された場合、上記の長さの長い部分に沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置の第1下流フィンに当たる空調用空気が多くなる。第2下流フィンによって流れ方向を変えられることなく、流入方向を維持して流れる空調用空気が少なくなる。第1下流フィンに当たらないまま吹出口から吹き出される空調用空気が少なくなる。
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記第1下流フィンは上流端に前記フィン軸を有し、各第2下流フィンの下流端部であって、前記長手方向における両側部には、上流へ凹む切欠き部が形成され、各第1下流フィンの上流端部であって、前記長手方向における両側部には、上流へ突出する突部が形成され、前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとがともに前記中立位置に位置するとき、前記突部が前記切欠き部に入り込むように構成され、前記第1下流フィンの前記フィン軸は各突部に設けられており、各第2下流フィンにおいて、両切欠き部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さは、各第1下流フィンにおいて、両突部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さよりも長く設定されていることが好ましい。
上記の構成によれば、各第2下流フィンにおいて両切欠き部により挟まれた箇所では、各第1下流フィンにおいて両突部により挟まれた箇所よりも、流れ方向における長さが長くなる。
従って、各第2下流フィンが通風路の内方へ傾動された場合、同第2下流フィンのうち、上記長手方向における多くの部分では、同部分に沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置で傾動された第1下流フィンに当たる空調用空気が多くなる。第2下流フィンによって流れ方向を変えられることなく、流入方向と同一方向へ流れて第1下流フィンに当たらない空調用空気が少なくなる。
また、各第1下流フィンでは、上記長手方向における両側部の突部が、同第1下流フィンの上流端となり、ここにフィン軸が設けられる。そのため、各第1下流フィンでは、突部が設けられない場合よりもフィン軸が上流に位置する。各第1下流フィンでは、突部が設けられない場合よりも、フィン軸から下流端までの長さ、すなわち、傾動の半径が長くなる。これに伴い、両第1下流フィン及び両第2下流フィンを、一対の第1下流フィンが対向する方向の間隔が長くて、開口面積が大きな吹出口を有する空調用薄型レジスタに適用することが可能となる。適用された場合には、通風路に配置された下流フィンが吹出口の実開口面積に及ぼす影響が小さくなる。下流フィンに起因する圧力損失が低減される。
また、上記課題を解決する空調用薄型レジスタは、空調用空気の流れ方向の下流端に吹出口を有する通風路が形成されたリテーナと、前記通風路の前記吹出口よりも上流に配置された上流フィン及び下流フィンと、前記リテーナに操作可能に設けられた操作ノブとを備え、前記吹出口は、相対向する一対の辺部として相対向する一対の長辺部と、両長辺部に対し直交した状態で相対向する一対の短辺部とからなり、前記吹出口は、各長辺部が、前記一対の長辺部の間隔よりも長い長方形状をなし、前記下流フィンは、各長辺部よりも上流で前記長辺部に沿う方向へ延び、かつ前記短辺部に沿う方向に対向する一対の第1下流フィンと、前記第1下流フィンよりも上流で前記長辺部に沿う方向へ延び、かつ前記短辺部に沿う方向に対向する一対の第2下流フィンとを備え、前記上流フィンを通過し、かつ前記第2下流フィンを通過する前の前記空調用空気の流れ方向を流入方向とした場合、両第1下流フィン及び両第2下流フィンは、それぞれ上流端に設けられたフィン軸により前記リテーナに支持され、かつ前記流入方向に沿う中立位置と、下流ほど前記通風路の内方に位置するように、前記流入方向に対し傾斜する傾斜位置との間で、前記フィン軸を中心として傾動可能であり、前記操作ノブと、両第1下流フィン及び両第2下流フィンとの間には、前記操作ノブの操作に応じて、一方の前記第1下流フィンが前記傾斜位置へ向けて傾動される際、他方の前記第1下流フィンと、同他方の第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンとを前記中立位置に保持しつつ、前記一方の前記第1下流フィンに対し対角位置にある前記第2下流フィンを前記傾斜位置に向けて傾動させる下流伝達機構が設けられている。
【0009】
上記の構成によれば、操作ノブの操作に応じて、一方の第1下流フィンが傾斜位置へ向けて傾動されると、他方の第1下流フィンと、同他方の第1下流フィンに対し対角位置にある第2下流フィンとが中立位置に保持される。また、傾動された上記一方の第1下流フィンに対し対角位置にある第2下流フィンが傾斜位置に向けて傾動される。
【0010】
通風路において、上記一対の辺部が相対向する方向のうち、傾動された第1下流フィンに近い側の部分を流れる空調用空気は、中立位置の第2下流フィンに沿って流れた後に、傾動された同第1下流フィンに沿って流れることで、流れ方向を変えられる。
【0011】
また、通風路において、上記一対の辺部が相対向する方向のうち、傾動された第2下流フィンに近い側の部分を流れる空調用空気は、同第2下流フィンに沿って流れることで、流れ方向を通風路の内方へ変えられる。
【0012】
傾動された第2下流フィンは、同第2下流フィンとは反対側へ傾動した上記一方の第1下流フィンを向いている。そのため、傾動された第2下流フィンに沿って流れた空調用空気は、傾動された上記一方の第1下流フィンに集められて当り、同第1下流フィンに沿って流れることで流れ方向を変えられる。従って、第2下流フィンが設けられない場合や、同第2下流フィンが上記のように傾動されない場合に比べ、傾動した第1下流フィンに沿って流れる空調用空気が多くなる。
【0013】
そして、上記のように、傾動された第1下流フィンによって流れ方向を変えられた空調用空気は、吹出口から吹き出される。
このように、吹出口からの空調用空気の吹き出し方向が変更されるため、吹出口における一対の辺部間の中間部分の上流に下流フィンを別途設けなくてすむ。
【0014】
そのため、下流フィンが吹出口の実開口面積に及ぼす影響(実開口面積を小さくする度合い)は、吹出口において、一対の辺部間の中間部分の上流に下流フィンが設けられた場合よりも小さくなる。その結果、下流フィンに起因する圧力損失が低減される。
【0015】
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記リテーナの前記吹出口よりも上流であって、同吹出口に対し前記一対の辺部が相対向する方向の両外方となる箇所には、それぞれフィン収容室が設けられ、前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンが前記中立位置に位置するときには、前記第1下流フィン及び前記第2下流フィンのそれぞれの厚み方向における少なくとも一部が前記フィン収容室に収容されることが好ましい。
【0016】
第1下流フィン及び第2下流フィンのそれぞれは、上記の条件を満たす態様でフィン収容室に収容されることにより、少なくとも一部が吹出口に対し、一対の辺部が相対向する方向の両外方となる箇所の上流に位置する。
【0017】
従って、第1下流フィン及び第2下流フィンのうち、吹出口における両辺部間の上流に位置する部分は、第1下流フィンの全体、及び第2下流フィンの全体が位置する場合よりも少なくなる。その分、下流フィンが吹出口の実開口面積に及ぼす影響がさらに小さくなる。下流フィンに起因する通風抵抗がさらに小さくなる。
【0018】
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとについて、前記辺部に沿う方向の少なくとも一部では、前記流れ方向における前記第2下流フィンの長さが、同流れ方向における前記第1下流フィンの長さよりも長く設定されていることが好ましい。
【0019】
仮に、辺部に沿う方向のいずれの箇所においても、上記流れ方向における第2下流フィンの長さが、第1下流フィンの長さよりも短いと、次の懸念がある。
それは、第2下流フィンが通風路の内方へ傾動された場合、同第2下流フィンに沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置の第1下流フィンに当たる空調用空気が少なくなる。第2下流フィンによって流れ方向を変えられることなく、流入方向を維持して流れる空調用空気が多くなる。これに伴い、第1下流フィンに当たらないまま吹出口から吹き出される空調用空気が多くなる。
【0020】
この点、上記の構成によれば、辺部に沿う方向の少なくとも一部に、上記流れ方向における第2下流フィンの長さが、第1下流フィンの長さよりも長い部分があるため、上記の現象が抑制される。すなわち、第2下流フィンが通風路の内方へ傾動された場合、上記の長さの長い部分に沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置の第1下流フィンに当たる空調用空気が多くなる。第2下流フィンによって流れ方向を変えられることなく、流入方向を維持して流れる空調用空気が少なくなる。第1下流フィンに当たらないまま吹出口から吹き出される空調用空気が少なくなる。
【0021】
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記第1下流フィンは上流端に前記フィン軸を有し、各第2下流フィンの下流端部であって、前記辺部に沿う方向における両側部には、上流へ凹む切欠き部が形成され、各第1下流フィンの上流端部であって、前記辺部に沿う方向における両側部には、上流へ突出する突部が形成され、前記第1下流フィンと、同第1下流フィンに対し上流に隣接する前記第2下流フィンとがともに前記中立位置に位置するとき、前記突部が前記切欠き部に入り込むように構成され、前記第1下流フィンの前記フィン軸は各突部に設けられており、各第2下流フィンにおいて、両切欠き部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さは、各第1下流フィンにおいて、両突部により挟まれた箇所の前記流れ方向における長さよりも長く設定されていることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、各第2下流フィンにおいて両切欠き部により挟まれた箇所では、各第1下流フィンにおいて両突部により挟まれた箇所よりも、流れ方向における長さが長くなる。
【0023】
従って、各第2下流フィンが通風路の内方へ傾動された場合、同第2下流フィンのうち、辺部に沿う方向における多くの部分では、同部分に沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置で傾動された第1下流フィンに当たる空調用空気が多くなる。第2下流フィンによって流れ方向を変えられることなく、流入方向と同一方向へ流れて第1下流フィンに当たらない空調用空気が少なくなる。
【0024】
また、各第1下流フィンでは、辺部に沿う方向における両側部の突部が、同第1下流フィンの上流端となり、ここにフィン軸が設けられる。そのため、各第1下流フィンでは、突部が設けられない場合よりもフィン軸が上流に位置する。各第1下流フィンでは、突部が設けられない場合よりも、フィン軸から下流端までの長さ、すなわち、傾動の半径が長くなる。これに伴い、両第1下流フィン及び両第2下流フィンを、一対の辺部間の間隔が長くて、開口面積が大きな吹出口を有する空調用薄型レジスタに適用することが可能となる。適用された場合には、通風路に配置された下流フィンが吹出口の実開口面積に及ぼす影響が小さくなる。下流フィンに起因する圧力損失が低減される。
【0025】
上記空調用薄型レジスタにおいて、各第1下流フィンは、前記流れ方向における上流から下流に向けて上流部、中間部及び下流部を備え、前記第1下流フィン毎の前記上流部及び前記下流部は、前記中間部から前記流れ方向に遠ざかるに従い、前記中間部から前記通風路の内方へ遠ざかるように屈曲又は湾曲していることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、第1下流フィンが傾斜位置へ向けて傾動されると、空調用空気は、その第1下流フィンに沿って流れることで、流れ方向を変えられる。
【0027】
ここで、第1下流フィン毎の上流部及び下流部は、中間部から空調用空気の流れ方向に遠ざかるに従い、同中間部から通風路の内方へ遠ざかるように屈曲又は湾曲している。空調用空気は、上流部及び下流部が屈曲又は湾曲した第1下流フィンに沿って流れる。そのため、上流部及び下流部が屈曲又は湾曲しておらず、平坦である場合に比べ、空調用空気は、傾動された第1下流フィンに沿って流れることで、流れ方向をより大きな角度変えられる。
【0028】
上記空調用薄型レジスタにおいて、前記第1下流フィンが前記中立位置に位置するとき、前記上流部及び前記下流部はともに、前記流入方向に対し15°以上傾斜していることが好ましい。
【0029】
ここで、第1下流フィンの屈曲(湾曲)の度合いと、空調用空気の流れ方向が変更された角度との関係を調べた。第1下流フィンの屈曲(湾曲)の度合いは、第1下流フィンが中立位置に位置するとき、上流部及び下流部が上記流入方向に対しなす角度によって表すことができる。上記角度が15°以上では、流れ方向の変更角度が大きいことが判った。
【0030】
この点、上記の構成では、第1下流フィンが中立位置に位置するとき、上流部及び下流部が、空調用空気の流入方向に対し15°以上傾斜している。そのため、流れ方向の変更角度をより大きくすることが可能となる。
【0031】
上記空調用薄型レジスタにおいて、両第2下流フィンの少なくとも一方は、前記流れ方向における上流から下流に向けて上流部、中間部及び下流部を備え、前記第2下流フィンにおける前記上流部及び前記下流部は、前記中間部から前記流れ方向に遠ざかるに従い、前記中間部から前記通風路の内方へ遠ざかるように屈曲又は湾曲していることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、通風路において、上記一対の第2下流フィンが対向する方向のうち、傾動された第2下流フィンに近い側の部分を流れる空調用空気は、同第2下流フィンに沿って流れることで、流れ方向を通風路の内方へ変えられる。
【0033】
傾動された第2下流フィンは、同第2下流フィンとは反対側へ傾動された第1下流フィンを向いている。そのため、傾動された第2下流フィンに沿って流れた空調用空気は、傾動された第1下流フィンや、その上流の中立位置の第2下流フィンに集められて当る。
【0034】
ここで、傾動された第2下流フィンが屈曲又は湾曲していると、次の効果が期待できる。それは、空調用空気は、傾動された第2下流フィンに沿って流れることで、上流部及び下流部が屈曲又は湾曲しておらず、平坦状をなす場合に比べ、流れ方向を通風路の内方へより大きな角度変えられる。そのため、より多くの空調用空気を、傾動された第1下流フィンや、その上流の中立位置の第2下流フィンに集めて当てることが可能となる。その結果、第1下流フィンに沿って流れる空調用空気を多くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
上記空調用薄型レジスタによれば、下流フィンに起因する圧力損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】第1実施形態において、全ての下流フィンが中立位置に保持された空調用薄型レジスタの正面図である。
【
図12】
図3のA部を拡大して示す部分平断面図である。
【
図13】
図12の状態から、操作ノブが左方へ移動された場合の部分平断面図である。
【
図14】
図4のB部を拡大して示す部分平断面図である。
【
図15】
図14の状態から、操作ノブの操作に応じて伝達部材が左方へ移動された場合の部分平断面図である。
【
図16】
図2の状態から、操作ノブの操作に応じて、下側の第1下流フィンが下流ほど高くなるように傾動された場合の部分側断面図である。
【
図17】
図8の状態から、操作ノブが上方へ操作された場合の側断面図である。
【
図18】
図9の状態から、操作ノブの操作に応じて連結プレートが上方へ移動された場合の部分側断面図である。
【
図19】
図11の状態から、操作ノブの操作に応じて下側の駆動ギヤ及び上側の従動ギヤが回動された場合の部分側断面図である。
【
図20】
図2の状態から、操作ノブの操作に応じて上側の第1下流フィンが下流ほど低くなるように傾動された場合の部分側断面図である。
【
図21】
図9の状態から、操作ノブの操作に応じて連結プレートが下方へ移動された場合の部分側断面図である。
【
図22】
図10の状態から、操作ノブの操作に応じて上側の駆動ギヤ及び下側の従動ギヤが回動された場合の部分側断面図である。
【
図23】
図5の一部と、比較例の空調用薄型レジスタの一部とを対比して示す部分平断面図である。
【
図24】第2実施形態において、全ての下流フィンが中立位置にされた空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図26】
図24の状態から、操作ノブが上方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図27】
図24の状態から、操作ノブが下方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図28】第3実施形態において、全ての下流フィンが中立位置にされた空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図29】
図28における上側の第1下流フィンを拡大して示す側断面図である。
【
図30】
図28における下側の第1下流フィンを拡大して示す側断面図である。
【
図31】
図28の状態から、操作ノブが上方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図32】
図28の状態から、操作ノブが下方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図33】第4実施形態において、全ての下流フィンが中立位置にされた空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図34】
図33における上側の第2下流フィンを拡大して示す側断面図である。
【
図35】
図33における下側の第2下流フィンを拡大して示す側断面図である。
【
図36】
図33の状態から、操作ノブが上方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図37】
図33の状態から、操作ノブが下方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図38】第2実施形態の変更例を示す図であり、
図25に対応する空調用薄型レジスタの正面図である。
【
図39】同じく、第2実施形態の変更例を示す図であり、
図25に対応する空調用薄型レジスタの正面図である。
【
図40】下流フィンが一対の第1下流フィンのみによって構成された変更例を示す図であり、両第1下流フィンが中立位置にされた空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図41】
図40の状態から操作ノブが上方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図42】
図40の状態から操作ノブが下方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図43】下流フィンが一対の第2下流フィンのみによって構成された変更例を示す図であり、両第2下流フィンが中立位置にされた空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図44】
図43の状態から操作ノブが上方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【
図45】
図43の状態から操作ノブが下方へ操作された場合の空調用薄型レジスタの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施形態)
以下、車両用の空調用薄型レジスタに具体化した第1実施形態について、
図1~
図23を参照して説明する。
【0038】
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
【0039】
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その左右方向における中央部、側部等には空調用薄型レジスタが組み込まれている。この空調用薄型レジスタの主な機能は、一般的な非薄型の空調用レジスタと同様、空調装置から送られてきて車室内に吹き出される空調用空気の向きを変更すること等である。
【0040】
図1~
図3に示すように、空調用薄型レジスタ10は、リテーナ11、4つの下流フィン、複数の上流フィン51、操作ノブ55、下流伝達機構61及び上流伝達機構81を備えている。次に、空調用薄型レジスタ10を構成する各部の構成について説明する。
【0041】
<リテーナ11>
図2及び
図3に示すように、リテーナ11は、空調装置の通風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものであり、上流リテーナ12、下流外リテーナ13、下流内リテーナ14及びベゼル15を備えている。リテーナ11は、両端が開放された筒状をなしている。リテーナ11の内部空間は、空調用空気A1の流路(以下「通風路31」という)を構成している。
【0042】
ここで、空調用空気A1の流れ方向に関し、空調装置に近い方向を「上流」等といい、同空調装置から遠い方向を「下流」等という。また、空調用薄型レジスタ10の各部の位置関係を説明するに当たり、リテーナ11の後述する壁部(縦壁部32、横壁部33)の厚み方向のうち、通風路31に近づく方向を「内方」、「内」等という。上記厚み方向のうち、通風路31から遠ざかる方向を「外方」、「外」等というものとする。
【0043】
上流リテーナ12は、リテーナ11の上流部を構成する部材である。上流リテーナ12は、上流端と下流端とが開放され、かつ左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きな筒状をなしている。
【0044】
下流外リテーナ13及び下流内リテーナ14は、リテーナ11の下流部を構成する部材であり、上流リテーナ12の下流に配置されている。下流外リテーナ13及び下流内リテーナ14のそれぞれは、上流リテーナ12と同様に、上流端及び下流端が開放され、かつ左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きな筒状をなしている。下流内リテーナ14は下流外リテーナ13の内部に配置されている。
【0045】
ベゼル15は、下流外リテーナ13及び下流内リテーナ14よりも下流において、鉛直面に沿って配置されている。ベゼル15の下流端面は、空調用薄型レジスタ10の意匠面16を構成している。ベゼル15には吹出口17が形成されている。
図1に示すように、吹出口17は、左右方向に相対向する一対の短辺部18と、両短辺部18に対し直交する方向である上下方向に相対向し、かつ各短辺部18よりも長い一対の長辺部19とからなる。両短辺部18及び両長辺部19により、吹出口17は、上下方向よりも、左右方向に細長い横長の長方形状をなしている。
【0046】
ベゼル15において、吹出口17から左右方向における一方、第1実施形態では左方へ離れた箇所には、同箇所を上記流れ方向に貫通する窓部21が形成されている。窓部21は、上下方向よりも左右方向に細長い長方形状をなしている。
【0047】
図8及び
図12に示すように、ベゼル15において、窓部21に対し上流に隣接する箇所には、ノブ操作室22が形成されている。ノブ操作室22は、下流外リテーナ13から左方へ離間している。ノブ操作室22は、左右方向に互いに離間した状態で対向する一対の側壁部23を備えている。両側壁部23間にはノブ装着部材24が配置されている。ノブ装着部材24は、左右方向であって互いに反対方向へ突出する支軸25を備えている。ノブ装着部材24は、両支軸25により、両側壁部23に対し上下方向へ傾動可能に支持されているが、左右方向への移動を規制されている。
【0048】
図2及び
図3に示すように、上記通風路31は、リテーナ11の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、左右方向に相対向する一対の縦壁部32と、上下方向に相対向する一対の横壁部33とからなる。
【0049】
図2、
図5及び
図6に示すように、下流内リテーナ14内であって、吹出口17に対し、上下方向の両外方となる箇所にはフィン収容室34,35がそれぞれ設けられている。
<下流フィン>
下流フィンは、一対の第1下流フィン36,37と、一対の第2下流フィン41,42とからなる。両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42は、それぞれ下流内リテーナ14内で左右方向へ延びる平坦な横長の板状体によって構成されている。両第1下流フィン36,37は、互いに同一形状をなし、上下方向に対向した状態で配置されている。両第2下流フィン41,42は、互いに同一形状をなし、上下方向に対向した状態で配置されている。第2下流フィン41は第1下流フィン36の上流に隣接し、第2下流フィン42は第1下流フィン37の上流に隣接している。
【0050】
上側の第1下流フィン36の上流端には、左右方向のうち、互いに反対方向へ突出するフィン軸38が設けられている。下側の第1下流フィン37の上流端には、左右方向のうち、互いに反対方向へ突出するフィン軸39が設けられている。
【0051】
両フィン軸38は、両縦壁部32の上端部において、吹出口17よりも上方であり、かつ同吹出口17から上流へ離れた箇所に支持されている。両フィン軸39は、両縦壁部32の下端部において、吹出口17よりも下方であり、かつ同吹出口17から上流へ離れた箇所に支持されている。両フィン軸39は、両フィン軸38の下方に位置している。
【0052】
上側の第2下流フィン41の上流端には、左右方向のうち、互いに反対方向へ突出するフィン軸43が設けられている。下側の第2下流フィン42の上流端には、左右方向のうち、互いに反対方向へ突出するフィン軸44が設けられている。
【0053】
両フィン軸43は、両縦壁部32の上端部において、上記フィン軸38からさらに上流へ離れた箇所に支持されている。フィン軸44は、両縦壁部32の下端部において、上記フィン軸39からさらに上流へ離れた箇所に支持されている。両フィン軸44は、両フィン軸43の下方に位置している。
【0054】
第1下流フィン36のフィン軸38と、第2下流フィン41のフィン軸43とは、上側のフィン収容室34に対し、左右方向の外方となる箇所に位置している。第1下流フィン37のフィン軸39と、第2下流フィン42のフィン軸44とは、下側のフィン収容室35に対し、左右方向の外方となる箇所に位置している。
【0055】
第1下流フィン36は、中立位置(
図2)と傾斜位置(
図20)との間で、両フィン軸38を中心として傾動可能である。第1下流フィン37は、中立位置(
図2)と傾斜位置(
図16)との間で、両フィン軸39を中心として傾動可能である。第2下流フィン41は、中立位置(
図2)と傾斜位置(
図16)との間で、両フィン軸43を中心として傾動可能である。第2下流フィン42は、中立位置(
図2)と傾斜位置(
図20)との間で、両フィン軸44を中心として傾動可能である。傾斜位置は、中立位置から上方又は下方へ取り得る最大角度傾動した位置である。
【0056】
ここで、後述する上流フィン51を通過し、かつ第2下流フィン41,42を通過する前の空調用空気A1の流れ方向を流入方向とする。すなわち、流入方向は、第2下流フィン41,42によって流れ方向を変えられる前の空調用空気A1の流れ方向である。上記流入方向は、上流フィン51が中立位置に位置する場合には、空調用空気A1がリテーナ11に流入する方向と同じである。
【0057】
中立位置は、各第1下流フィン36,37及び各第2下流フィン41,42が、上記流入方向に沿う位置である。傾斜位置は、各第1下流フィン36,37及び各第2下流フィン41,42が、下流ほど通風路31の内方に位置するように、上記流入方向に対し傾斜する位置である。
【0058】
第1下流フィン36及び第2下流フィン41が中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向(上下方向)における少なくとも一部、第1実施形態では全体が上記フィン収容室34に収容される。また、第1下流フィン37及び第2下流フィン42が中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向(上下方向)における少なくとも一部、第1実施形態では全体が上記フィン収容室35に収容される。
【0059】
第1下流フィン36,37及び第2下流フィン41,42について、左右方向の少なくとも一部では、空調用空気A1の流れ方向における第2下流フィン41,42の長さL2が、第1下流フィン36,37の長さL1よりも長く設定されている。
【0060】
より詳しくは、
図5及び
図6に示すように、各第2下流フィン41,42の下流端部であって、左右方向における両側部には、上流へ凹む切欠き部47が形成されている。各第1下流フィン36,37の上流端部であって、左右方向における両側部には、上流へ突出する突部48が形成されている。
【0061】
第1下流フィン36,37と、同第1下流フィン36,37に対し上流に隣接する第2下流フィン41,42とがともに中立位置に位置するとき、各突部48が、対応する切欠き部47に入り込むように構成されている。
【0062】
第1下流フィン36の両フィン軸38と、第1下流フィン37の両フィン軸39とは、いずれも突部48に設けられている。そして、各第2下流フィン41,42において、両切欠き部47によって挟まれた箇所の上記流れ方向における長さL2は、各第1下流フィン36,37において、両突部48によって挟まれた箇所の上記流れ方向における長さL1よりも長く設定されている。
【0063】
<上流フィン51>
図2及び
図3に示すように、複数の上流フィン51は、通風路31内の第2下流フィン41,42よりもさらに上流に配置されている。各上流フィン51は、それぞれ通風路31内で上下方向へ延びる板状体によって構成されている。複数の上流フィン51は、左右方向には等間隔で互いに平行に離間した状態で配置されている。
【0064】
上記流れ方向における各上流フィン51の中間部には、上下方向のうち、互いに反対方向へ突出するフィン軸52が設けられている。各フィン軸52は、下流内リテーナ14における両横壁部33であって、上記フィン軸43,44からさらに上流へ離れた箇所に支持されている。各上流フィン51は、両フィン軸52を中心として、左右方向に傾動可能である。
【0065】
なお、各上流フィン51の傾動方向のうち、通風路31に流入する空調用空気A1の流れ方向に平行となる位置、すなわち、縦壁部32に対し平行になる位置を、各上流フィン51の中立位置というものとする。
【0066】
<操作ノブ55>
図8及び
図12に示すように、操作ノブ55は、吹出口17からの空調用空気A1の吹き出し方向を変更する際に乗員によって操作される部材である。操作ノブ55は、リテーナ11に操作可能に設けられている。より詳しくは、操作ノブ55は上記ノブ装着部材24に対し、左右方向への移動可能に装着されている。操作ノブ55は、ノブ装着部材24と一体となって、両支軸25を中心として、上下方向へ操作(傾動)可能である。
【0067】
ここで、
図1に示すように、窓部21内で、左右方向の中央部、かつ上下方向の中央部となる箇所を、操作ノブ55の基準位置とする。
操作ノブ55の下流部55aは、上記窓部21を通じベゼル15よりも下流へ露出しており、車両の乗員がこの露出部分に触れて操作ノブ55を操作することが可能である。
【0068】
<下流伝達機構61>
下流伝達機構61は、操作ノブ55の上下方向の動きを、
図2に示す両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42にそれぞれ伝達して、傾動させるための機構である。
【0069】
下流伝達機構61は、操作ノブ55と、両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42との間に設けられている。下流伝達機構61は、操作ノブ55の操作に応じて、両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42を、次の条件1及び条件2を満たすように作動させる。
【0070】
条件1:
図16及び
図20に示すように、一方の第1下流フィン36,37が傾斜位置へ向けて傾動される際、他方の第1下流フィン37,36と、同他方の第1下流フィン37,36に対し対角位置にある第2下流フィン41,42とを中立位置に保持する。
【0071】
条件2:一方の第1下流フィン36,37に対し対角位置にある第2下流フィン42,41を傾斜位置に向けて傾動させる。
第1実施形態では、下流伝達機構61として次の構成を有するものが採用されている。
【0072】
図8及び
図12に示すように、上記ノブ装着部材24は、右方の支軸25から下流へ偏倚した箇所に、右方へ延びる連結ピン62を有している。連結ピン62は、ノブ装着部材24の傾動に伴い、支軸25の周りを旋回する。
【0073】
図9及び
図12に示すように、ノブ操作室22と下流外リテーナ13との間には、上下方向に細長い板状体からなる連結プレート63が配置されている。連結プレート63は、上下方向における中間部の下流部において、上記連結ピン62に支持されている。連結プレート63において、連結ピン62よりも上流かつ上方となる箇所には、上下方向に延びる上カム孔64が形成されている。また、連結プレート63において、連結ピン62よりも上流かつ下方となる箇所には、上下方向に延びる下カム孔65が形成されている。
【0074】
一方、
図5に示すように、上側の第1下流フィン36の左方のフィン軸38からは、アーム66が下流へ延びている。アーム66の下流端からは、伝達ピン67が左方へ突出し、同伝達ピン67が上記上カム孔64(
図9参照)に係合されている。
【0075】
また、
図6に示すように、下側の第1下流フィン37の左方のフィン軸39からは、アーム68が下流へ延びている。アーム68の下流端からは、伝達ピン69が左方へ突出し、同伝達ピン69が下カム孔65(
図9参照)に係合されている。
【0076】
さらに、
図5、
図6、
図10及び
図11に示すように、第1下流フィン36の右側のフィン軸38上には、扇状をなす駆動ギヤ71が固定されている。第1下流フィン37の右側のフィン軸39上であって、駆動ギヤ71よりも右方となる箇所には、扇状をなす駆動ギヤ72が固定されている。駆動ギヤ71の歯は、フィン軸38を中心とする円弧に沿って配列され、駆動ギヤ72の歯は、フィン軸39を中心とする円弧に沿って配列されている。
【0077】
第2下流フィン41の右側のフィン軸43上には、扇状をなす従動ギヤ73が固定され、第2下流フィン42のフィン軸44上であって、従動ギヤ73よりも右方となる箇所には、扇状をなす従動ギヤ74が固定されている。従動ギヤ73の歯は、フィン軸43を中心とする円弧に沿って配列され、従動ギヤ74の歯は、フィン軸44を中心とする円弧に沿って配列されている。
【0078】
図10に示すように、上側の第1下流フィン36の駆動ギヤ71と、これに対し対角位置にある下側の第2下流フィン42の従動ギヤ74とは互いに噛み合わされている。
図11に示すように、下側の第1下流フィン37の駆動ギヤ72と、これに対し対角位置にある上側の第2下流フィン41の従動ギヤ73とは互いに噛み合わされている。
【0079】
<上流伝達機構81>
図2~
図4に示すように、上流伝達機構81は、操作ノブ55の左右方向の動き(直線運動)を、複数の上流フィン51にそれぞれ伝達して、フィン軸52を中心として各上流フィン51を同期して傾動させるための機構である。
【0080】
各上流フィン51の下側のフィン軸52は、下流外リテーナ13よりも下方となる箇所まで延びている。各フィン軸52の下端部には、扇状をなす従動ギヤ82が形成されている。従動ギヤ82の各歯は、フィン軸52を中心とする円弧に沿って配列されている。
【0081】
下流外リテーナ13よりも下方であって、各従動ギヤ82よりも下流となる箇所には、左右方向へ延びる伝達部材83が配置されている。伝達部材83の上流部であって、各従動ギヤ82に対し下流となる箇所には、複数の歯が左右方向に配列されてなるラックギヤ84が形成されている。このラックギヤ84には、上流フィン51毎の従動ギヤ82が噛み合わされている。
【0082】
伝達部材83において、左右方向におけるラックギヤ84の両側方となる箇所には、同左右方向へ延びる板状部85が形成されている。伝達部材83における左方の板状部85は、上記操作ノブ55に連結されている。
【0083】
図3及び
図8に示すように、上記左方の板状部85には、上方へ突出する伝達柱部87が形成されている。操作ノブ55には、左右方向に互いに離間した状態で上流へ延びる一対のフォーク部88が形成されている。そして、両フォーク部88が上記伝達柱部87を左右両側から挟み込んでいる。そのため、操作ノブ55の上下方向の動きを伝達部材83に伝達せず、同操作ノブ55の左右方向の動きを伝達部材83に伝達可能である。
【0084】
図4に示すように、下流外リテーナ13の底部において、各板状部85を上記流れ方向における両側から挟み込む箇所には、それぞれ一対の支持部86が形成されている。各板状部85は、両支持部86によって、左右方向へ移動可能に支持されている。
【0085】
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
<(1)操作ノブ55が基準位置に位置するとき>
(1-1)
図1~
図12は、操作ノブ55が基準位置に位置するときの空調用薄型レジスタ10の各部の状態を示している。
【0086】
図4に示すように、伝達部材83は、可動範囲の中央部に位置している。
図3、
図5、
図6及び
図12に示すように、各上流フィン51は、両縦壁部32に対し平行な上記中立位置に保持される。
【0087】
また、
図9に示すように、上側の伝達ピン67は上カム孔64の上部に係合され、下側の伝達ピン69は下カム孔65の下部に係合される。下側の駆動ギヤ72と上側の従動ギヤ73とが、
図11に示す位置で噛み合い、上側の駆動ギヤ71と下側の従動ギヤ74とが、
図10に示す位置で噛み合う。
【0088】
図2及び
図7に示すように、各第1下流フィン36,37及び各第2下流フィン41,42はいずれも中立位置に保持される。
このように、各上流フィン51、各第2下流フィン41,42及び各第1下流フィン36,37がいずれも、通風路31に流入する空調用空気A1の流れ方向に沿う姿勢になる。そのため、空調用空気A1は、
図2及び
図3に示すように、隣り合う上流フィン51の間、及び各縦壁部32と同縦壁部32に隣接する上流フィン51との間を、それらの上流フィン51及び縦壁部32に沿って流れる。また、空調用空気A1は両第2下流フィン41,42間を、それらの第2下流フィン41,42に沿って流れ、両第1下流フィン36,37間を、それらの第1下流フィン36,37に沿って流れる。空調用空気A1は、上記流入方向と同一方向へ流れる。両第1下流フィン36,37間を通過した空調用空気A1は、吹出口17から下流へ真っ直ぐ吹き出される。
【0089】
<(2)操作ノブ55が左右方向へ操作されたとき>
(2-1)まず、
図12及び
図14に示すように、上記基準位置に位置する操作ノブ55の下流部55aに対し、左右方向、例えば、
図12において二点鎖線の矢印で示すように、左方へ向かう力が加えられる場合について説明する。
【0090】
この場合、
図13及び
図15に示すように、操作ノブ55が伝達部材83を伴って同方向へ移動する。伝達部材83におけるラックギヤ84の各従動ギヤ82との噛み合い位置が変化し、全ての従動ギヤ82が平面視で時計回り方向へ回動する。これに伴い、
図13に示すように、全ての上流フィン51が、フィン軸52を中心として、同期して同方向へ傾動する。各上流フィン51は、下流ほど左方に位置するように傾斜した状態となる。通風路31に流入した空調用空気A1は、上記のように傾動した各上流フィン51に沿って流れることで、流れる方向を斜め左方に変えられる。
【0091】
なお、上記のように基準位置よりも左方へ移動された操作ノブ55が、右方へ移動されると、上流伝達機構81が上記とは逆の動作を行なう。
図3及び
図12に示すように、全ての上流フィン51が、通風路31に流入する空調用空気A1の流れ方向に沿う姿勢に戻される。
【0092】
<(3)操作ノブ55が上下方向へ操作されたとき>
(3-1)ここで、
図8に示すように、基準位置に位置する操作ノブ55の下流部55aに対し、上下方向、例えば、上方へ向かう力が加えられるものとする。この場合、操作ノブ55が
図17に示すように、支軸25を中心として上方へ傾動される。上記操作ノブ55の動きが、
図5及び
図6に示す下流伝達機構61によって両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42のそれぞれに伝達される。
【0093】
より詳しくは、
図17及び
図18に示すように、連結ピン62が支軸25の周りを上方へ旋回し、連結プレート63が上方へ移動する。また、連結プレート63に形成された上カム孔64及び下カム孔65も同方向へ移動する。上カム孔64は、上側の伝達ピン67を上方へ押圧しないのに対し、下カム孔65は、下側の伝達ピン69を上方へ押圧する。
【0094】
上カム孔64によって押圧されない上側の伝達ピン67は移動しない。ただし、上カム孔64は上方へ移動するため、上側の伝達ピン67との係合部位が、同上カム孔64の上部(
図9参照)から下部に変化する。
【0095】
図5に示すように、伝達ピン67に対しアーム66を介して連結されたフィン軸38は回動しない。
図10及び
図16に示すように、上側の第1下流フィン36は中立位置に保持される。また、フィン軸38に固定された駆動ギヤ71は回動しない。これに伴い、駆動ギヤ71に噛み合わされた下側の従動ギヤ74も回動しない。従動ギヤ74が固定されたフィン軸44も回動しない。下側の第2下流フィン42は中立位置に保持される。
【0096】
これに対し、下カム孔65によって押圧された下側の伝達ピン69(
図18参照)は上方へ移動する。
図6に示すように、上記伝達ピン69に対し、アーム68を介して連結されたフィン軸39は、
図16及び
図19に示すように、左側面視で反時計回り方向へ回動される。下側の第1下流フィン37は、フィン軸39を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動され、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。また、フィン軸39に固定された駆動ギヤ72が、左側面視で反時計回り方向へ回動される。
【0097】
これに伴い、駆動ギヤ72に噛み合わされた上側の従動ギヤ73が、上記駆動ギヤ72とは反対方向、すなわち、左側面視で時計回り方向へ回動する。従動ギヤ73が固定されたフィン軸43も同方向へ回動する。上側の第2下流フィン41は、フィン軸43を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動され、下流ほど低くなるように傾斜した状態となる。
【0098】
このように、操作ノブ55の上方への操作(
図17参照)に応じて、下側の第1下流フィン37が傾斜位置へ向けて傾動されると、上側の第1下流フィン36と、同第1下流フィン36に対し対角位置にある下側の第2下流フィン42とが中立位置に保持される。また、下側の上記第1下流フィン37に対し対角位置にある上側の第2下流フィン41が傾斜位置に向けて傾動される。
【0099】
図16に示すように、通風路31の下部を流れる空調用空気A1は、中立位置の下側の第2下流フィン42に沿って流れた後に、傾動された第1下流フィン37に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(上方)へ変えられる。
【0100】
また、通風路31の上部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン41に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(下方)へ変えられる。
傾動した第2下流フィン41は、これとは反対側へ傾動した第1下流フィン37を向いている。そのため、上記第2下流フィン41に沿って流れた空調用空気A1は、傾動された第1下流フィン37に集められて当り、同第1下流フィン37に沿って流れることで、流れ方向を変えられる。従って、第2下流フィン41が設けられない場合や、同第2下流フィン41が上記のように傾動されない場合に比べ、傾動した第1下流フィン37に沿って流れる空調用空気A1が多くなる。
【0101】
上記第2下流フィン41の下流の第1下流フィン36は中立位置に保持されているため、傾動されている場合に比べ、上記第2下流フィン41及び第1下流フィン37による流れ方向の変更に影響を及ぼしにくい。
【0102】
そして、上記のように、傾動した第1下流フィン37によって流れ方向を変えられた空調用空気A1は、吹出口17から斜め上方へ吹き出される。
なお、上記のように傾斜した操作ノブ55が支軸25を中心として下方へ操作されると、下流伝達機構61が上記とは逆の動作を行なう。
図7及び
図16に示すように、第1下流フィン36及び第2下流フィン42が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン37及び第2下流フィン41がそれぞれ中立位置に戻される。
【0103】
(3-2)次に、基準位置に位置する操作ノブ55の下流部55aに対し、下方へ向かう力が加えられた場合について説明する。この場合、空調用薄型レジスタ10の各部は、上記(3-1)とは逆の動きをする。
【0104】
すなわち、
図8に示す操作ノブ55が支軸25を中心として下方へ傾動される。連結ピン62が支軸25の周りを下方へ旋回する。
図21に示すように、連結プレート63が下方へ移動する。下カム孔65は、下側の伝達ピン69を下方へ押圧しないのに対し、上カム孔64は、上側の伝達ピン67を下方へ押圧する。
【0105】
下カム孔65によって押圧されない下側の伝達ピン69は移動しない。ただし、下カム孔65は下方へ移動するため、下側の伝達ピン69との係合部位が、同下カム孔65の下部(
図9参照)から上部に変化する。
【0106】
図6に示すように、伝達ピン69に対しアーム68を介して連結されたフィン軸39は回動しない。
図11及び
図20に示すように、下側の第1下流フィン37は中立位置に保持される。また、フィン軸39に固定された駆動ギヤ72は回動しない。これに伴い、駆動ギヤ72に噛み合わされた上側の従動ギヤ73も回動しない。従動ギヤ73が固定されたフィン軸43も回動しない。上側の第2下流フィン41は中立位置に保持される。
【0107】
これに対し、
図21に示すように、上カム孔64によって押圧された上側の伝達ピン67は下方へ移動する。
図5に示すように、上記伝達ピン67に対し、アーム66を介して連結されたフィン軸38は、
図20及び
図22に示すように、左側面視で時計回り方向へ回動される。上側の第1下流フィン36は、フィン軸38を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動され、下流ほど低くなるように傾斜した状態となる。また、フィン軸38に固定された駆動ギヤ71が、左側面視で時計回り方向へ回動される。
【0108】
これに伴い、駆動ギヤ71に噛み合わされた下側の従動ギヤ74が、上記駆動ギヤ71とは反対方向、すなわち、左側面視で反時計回り方向へ回動する。従動ギヤ74が固定されたフィン軸44も同方向へ回動する。下側の第2下流フィン42は、フィン軸44を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動され、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。
【0109】
このように、操作ノブ55の下方への操作に応じて、上側の第1下流フィン36が傾斜位置へ向けて傾動されると、下側の第1下流フィン37と、同第1下流フィン37に対し対角位置にある上側の第2下流フィン41とが中立位置に保持される。また、上側の上記第1下流フィン36に対し対角位置にある下側の第2下流フィン42が傾斜位置に向けて傾動される。
【0110】
通風路31の上部を流れる空調用空気A1は、中立位置の上側の第2下流フィン41に沿って流れた後に、傾動された第1下流フィン36に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(下方)へ変えられる。
【0111】
また、通風路31の下部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン42に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(上方)へ変えられる。
傾動した第2下流フィン42は、同第2下流フィン42とは反対側へ傾動した第1下流フィン36を向いている。そのため、上記第2下流フィン42に沿って流れた空調用空気A1は、傾動された上記第1下流フィン36に集められて当り、同第1下流フィン36に沿って流れることで、流れ方向を変えられる。従って、第2下流フィン42が設けられない場合や、同第2下流フィン42が上記のように傾動されない場合に比べ、傾動した第1下流フィン36に沿って流れる空調用空気A1が多くなる。
【0112】
上記第2下流フィン42の下流の第1下流フィン37は中立位置に保持されているため、傾動されている場合に比べ、上記第2下流フィン42及び第1下流フィン36による流れ方向の変更に影響を及ぼしにくい。
【0113】
そして、上記のように、傾動した第1下流フィン36によって流れ方向を変えられた空調用空気A1は、吹出口17から斜め下方へ吹き出される。
なお、上記のように傾斜した操作ノブ55が支軸25を中心として上方へ操作されると、下流伝達機構61が上記とは逆の動作を行なう。
図7及び
図20に示すように、第1下流フィン37及び第2下流フィン41が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン36及び第2下流フィン42がそれぞれ中立位置に戻される。
【0114】
(3-3)上記(3-1)及び(3-2)で説明したように、上下方向における空調用空気A1の吹き出し方向が変更される。そのため、上下方向における空調用空気A1の吹き出し方向を変更するために、同方向における吹出口17の中間部分の上流に下流フィンを別途設けなくてすむ。
【0115】
従って、下流フィンが吹出口17の実開口面積に及ぼす影響(実開口面積を小さくする度合い)を、上下方向における吹出口17の中間部分の上流に下流フィンが設けられた場合よりも小さくすることができる。下流フィンに起因する圧力損失を低減することができる。
【0116】
(3-4)
図2に示すように、第1実施形態では、第1下流フィン36及び第2下流フィン41がそれぞれ中立位置に位置するときには、それらの厚み方向における全体が上側のフィン収容室34に収容される。
【0117】
また、第1下流フィン37及び第2下流フィン42がそれぞれ中立位置に位置するときには、それらの厚み方向における全体が下側のフィン収容室35に収容される。
上記収容により、各第1下流フィン36,37の厚み方向における全体、及び各第2下流フィン41,42の厚み方向における全体が吹出口17に対し、上下方向の両外方となる箇所の上流に位置することとなる。
【0118】
従って、第1下流フィン36,37及び第2下流フィン41,42のうち、吹出口17の上流に位置する部分を、第1下流フィン36,37の全体、及び第2下流フィン41,42の全体が位置する場合よりも少なくすることができる。その分、下流フィンが吹出口17の実開口面積に及ぼす影響をさらに小さくすることができる。下流フィンに起因する通風抵抗をさらに小さくすることができる。
【0119】
(3-5)仮に、左右方向のいずれの箇所においても、上記流れ方向における第2下流フィン41,42の長さL2が、第1下流フィン36,37の長さL1よりも短いと、次の懸念がある。
【0120】
それは、
図16及び
図20に示すように、第2下流フィン41,42が通風路31の内方へ傾動された場合、同第2下流フィン41,42に沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置の第1下流フィン37,36に当たる空調用空気A1が少なくなる。第2下流フィン41,42によって流れ方向を変えられることなく、上記流入方向と同一方向へ流れる空調用空気A1が多くなる。これに伴い、第1下流フィン36,37に当たらないまま吹出口17から吹き出される空調用空気A1が多くなる。
【0121】
この点、第1実施形態では、
図5及び
図6に示すように、左右方向の少なくとも一部に、上記流れ方向における第2下流フィン41,42の長さL2が、第1下流フィン36,37の長さL1よりも長い部分を形成している。そのため、
図16及び
図20に示すように、第2下流フィン41,42が通風路31の内方へ傾動された場合、上記の長さL2の長い部分では、第2下流フィン41,42に沿って流れて第1下流フィン37,36に当たる空調用空気A1を多くすることができる。第2下流フィン41,42によって流れ方向を変えられることなく、上記流入方向と同一方向へ流れる空調用空気A1を少なくすることができる。第1下流フィン36,37に当たらないまま吹出口17から吹き出される空調用空気A1を少なくすることができる。
【0122】
(3-6)特に、第1実施形態では、
図5及び
図6に示すように、各第2下流フィン41,42における両切欠き部47間の部分と、各第1下流フィン36,37における両突部48間の部分との間で、上記L2>L1の関係が成り立つ。すなわち、第2下流フィン41,42における左右方向の多くの部分と、第1下流フィン36,37における左右方向の多くの部分とで、上記L2>L1の関係が成り立つ。
【0123】
従って、
図16及び
図20に示すように、通風路31の内方へ傾動された第2下流フィン41,42のうち、上記L2>L1の関係を満たす部分に沿って流れることで流れ方向を変えて、対角位置の第1下流フィン37,36に当たる空調用空気A1が多くなる。
【0124】
第2下流フィン41,42によって流れ方向を変えられることなく、上記流入方向と同一方向へ流れる空調用空気A1を少なくすることができる。第1下流フィン36,37に当たらないまま吹出口17から吹き出される空調用空気A1を少なくすることができる。
【0125】
また、
図5、
図6及び
図23に示すように、第1下流フィン36では、左右方向における両側部の突部48が、同第1下流フィン36の上流端となり、ここにフィン軸38が設けられる。また、第1下流フィン37では、左右方向における両側部の突部48が、同第1下流フィン37の上流端となり、ここにフィン軸39が設けられる。
【0126】
ここで、
図23の左側部分は、突部48が設けられない比較例の空調用薄型レジスタ10を示している。比較例の空調用薄型レジスタ10でも、上述したL2>L1の関係が成立している。これに対し、第1実施形態では、フィン軸38,39が、比較例よりも長さL3だけ上流に位置する。
【0127】
各第1下流フィン36,37では、突部48が設けられない比較例よりも、フィン軸38,39から下流端までの長さ、すなわち、傾動の半径が長くなる。これに伴い、両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42を、短辺部18が長くて、開口面積が大きな吹出口17を有する空調用薄型レジスタ10に適用することができる。適用された場合には、下流フィンが吹出口17の実開口面積に及ぼす影響を小さくすることができる。下流フィンに起因する圧力損失を低減することができる。
【0128】
<(4)空調用薄型レジスタ10の外観について>
(4-1)第1実施形態では、上記(3-3)で説明したように、上下方向における吹出口17の中間部分の上流に下流フィンが存在しない。
【0129】
そのため、乗員が、全ての下流フィンが中立位置に位置する空調用薄型レジスタ10を吹出口17よりも下流から見た場合、上下方向における吹出口17の中間部分に下流フィンが見えず、空調用薄型レジスタ10の外観が良好となる。
【0130】
(4-2)第1実施形態では、
図2及び
図7に示すように、第1下流フィン36及び第2下流フィン41が、中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向における全体が上側のフィン収容室34に収容される。また、第1下流フィン37及び第2下流フィン42が、中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向における全体が下側のフィン収容室35に収容される。
【0131】
そのため、乗員が、吹出口17よりも下流から空調用薄型レジスタ10を見た場合、第1下流フィン36,37及び第2下流フィン41,42が見えない又は見えにくい。従って、空調用薄型レジスタ10の外観がより一層良好となる。
【0132】
<(5)上記以外の作用及び効果>
(5-1)操作ノブ55が吹出口17の外部に配置されている。そのため、操作ノブ55が吹出口17の実開口面積に及ぼす影響を、操作ノブ55が吹出口17の内部に配置された場合よりも小さくすることができる。従って、この点でも圧力損失を低減することができる。
【0133】
(第2実施形態)
次に、車両用の空調用薄型レジスタ10の第2実施形態について、
図24~
図27を参照して説明する。
【0134】
第2実施形態は、操作ノブ55が吹出口17に挿通された状態で配置されている点で第1実施形態と異なっている。操作ノブ55の下流部55aは、吹出口17を通じてベゼル15よりも下流へ露出している。
【0135】
第2実施形態では、リテーナ11内であって、左右方向における吹出口17の両外方となる箇所の上流に支持壁部91が設けられている。吹出口17よりも上流で左右方向に延びる支軸92が、両支持壁部91間に配置されている。支軸92は、両端部において両支持壁部91に回動可能に支持されている。操作ノブ55は、支軸92に対し、一体回動かつ左右方向へ移動可能に装着されている。
【0136】
図示はしないが、操作ノブ55と、両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42との間には、第1実施形態と同様の機能を有する下流伝達機構が設けられている。また、図示はしないが、操作ノブ55と、上流フィン51との間には、第1実施形態と同様の機能を有する上流伝達機構が設けられている。
【0137】
なお、第2実施形態では、リテーナ11の下流部が下流外リテーナ13によって構成されている。これに伴い、上流フィン51のフィン軸52が、下流内リテーナ14に代えて下流外リテーナ13に対し傾動可能に支持されている。この点は、
図28、
図31及び
図32で示す第3実施形態や、
図33、
図36及び
図37で示す第4実施形態についても同様である。また、上記の点は、
図40~
図45で示す変更例についても同様である。
【0138】
上側のフィン収容室34は、下流外リテーナ13内の上部に形成されている。下側のフィン収容室35は、下流外リテーナ13の下部に形成されている。
また、
図25では、上流フィン51の図示が省略されている。この点は、
図38及び
図39で示す変更例についても同様である。
【0139】
上記以外の構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第2実施形態の空調用薄型レジスタ10は、操作ノブ55の位置を除き、第1実施形態と同様の構成を採っているため、第1実施形態と同様に作動する。
【0140】
図24に示すように、操作ノブ55が基準位置に位置するとき、各上流フィン51、各第1下流フィン36,37及び各第2下流フィン41,42はいずれも中立位置に保持される。
【0141】
そのため、空調用空気A1は、隣り合う上流フィン51の間、及び縦壁部32と同縦壁部32に隣接する上流フィン51との間を、それらの上流フィン51及び縦壁部32に沿って流れる。また、空調用空気A1は両第2下流フィン41,42間を、それらの第2下流フィン41,42に沿って流れ、両第1下流フィン36,37間を、それらの第1下流フィン36,37に沿って流れる。空調用空気A1は、流入方向と同一方向へ流れた後に吹出口17から下流へ真っ直ぐ吹き出される。
【0142】
基準位置に位置する操作ノブ55の下流部55aに対し、
図26に示すように、上方へ向かう力が加えられると、同操作ノブ55が支軸92を中心として上方へ傾動される。上記操作ノブ55の動きが、下流伝達機構によって両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42のそれぞれに伝達される。
【0143】
下側の第1下流フィン37は、フィン軸39を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動され、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。また、下側の第1下流フィン37に対し対角位置にある上側の第2下流フィン41は、フィン軸43を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動され、下流ほど低くなるように傾斜した状態となる。なお、上側の第1下流フィン36と、これに対し対角位置にある下側の第2下流フィン42とは、中立位置に保持される。
【0144】
空調用空気A1は、互いに反対方向へ傾動した第2下流フィン41及び第1下流フィン37によって流れ方向を変えられて、吹出口17から斜め上方へ吹き出される。
なお、上記
図26における操作ノブ55が支軸92を中心として下方へ操作されると、下流伝達機構が上記とは逆の動作を行なう。
図24及び
図26に示すように、第1下流フィン36及び第2下流フィン42が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン37及び第2下流フィン41がそれぞれ中立位置に戻される。
【0145】
これに対し、基準位置に位置する操作ノブ55の下流部55aに対し、
図27に示すように、下方へ向かう力が加えられると、同操作ノブ55が支軸92を中心として下方へ傾動される。上記操作ノブ55の動きが、下流伝達機構によって両第1下流フィン36,37及び両第2下流フィン41,42のそれぞれに伝達される。
【0146】
上側の第1下流フィン36は、フィン軸38を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動され、下流ほど低くなるように傾斜した状態となる。また、上側の上記第1下流フィン36に対し対角位置にある下側の第2下流フィン42は、フィン軸44を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動され、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。なお、下側の第1下流フィン37と、これに対し対角位置にある上側の第2下流フィン41とは、中立位置に保持される。
【0147】
空調用空気A1は、互いに反対方向へ傾動した第2下流フィン42及び第1下流フィン36によって流れ方向を変えられて、吹出口17から斜め下方へ吹き出される。
なお、
図27における操作ノブ55が上方へ操作されると、
図24及び
図27に示すように、第1下流フィン37及び第2下流フィン41が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン36及び第2下流フィン42がそれぞれ中立位置に戻される。
【0148】
従って、第2実施形態によると、操作ノブ55及び支軸92の分、吹出口17の実開口面積が小さくなるものの、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
次に、車両用の空調用薄型レジスタ10の第3実施形態について、
図28~
図32を参照して説明する。
【0149】
図28に示すように、第3実施形態では、両第1下流フィン36,37として、第1実施形態とは形状の異なるものが用いられている。これに伴い、フィン収容室34,35の形状が、第1実施形態とは異なる形状に変更されている。
【0150】
上側のフィン収容室34は、下流外リテーナ13内の上部に形成されている。フィン収容室34は、吹出口17に対し上流に隣接するフィン収容部34aと、フィン収容部34aに対し上流に隣接するフィン収容部34bとを備えている。フィン収容部34aは、フィン収容部34bよりも上方に広く形成されている。
【0151】
下側のフィン収容室35は、下流外リテーナ13内の下部に形成されている。フィン収容室35は、吹出口17に対し上流に隣接するフィン収容部35aと、フィン収容部35aに対し上流に隣接するフィン収容部35bとを備えている。フィン収容部35aは、フィン収容部35bよりも下方に広く形成されている。
【0152】
図28及び
図29に示すように、上側の第1下流フィン36は、上流から下流に向けて順に配置された上流端部36a、上流部36b、中間部36c及び下流部36dを備えている。上流端部36aには、上記一対のフィン軸38が設けられている。両フィン軸38は、両縦壁部32の上端部に支持されている。
【0153】
図28及び
図30に示すように、下側の第1下流フィン37は、上流から下流に向けて順に配置された上流端部37a、上流部37b、中間部37c及び下流部37dを備えている。上流端部37aには、上記一対のフィン軸39が設けられている。両フィン軸39は、両フィン軸38の下方に位置している。両フィン軸39は、両縦壁部32の下端部に支持されている。
【0154】
図28~
図30に示すように、上側の第1下流フィン36における上流部36b及び下流部36dは、中間部36cから上記流れ方向に遠ざかるに従い、同中間部36cから通風路31の内方(下方)へ遠ざかるように屈曲又は湾曲している。
【0155】
また、下側の第1下流フィン37における上流部37b及び下流部37dは、中間部37cから上記流れ方向に遠ざかるに従い、同中間部37cから通風路31の内方(上方)へ遠ざかるように屈曲又は湾曲している。
【0156】
ここで、「湾曲」は、第1下流フィン36,37に関し、上流部36b,37b、中間部36c,37c及び下流部36d,37dの全体が円弧状をなしている形状をいう。上記以外の形状を「屈曲」というものとする。第1下流フィン36,37を構成する複数の上記部分の少なくとも1つが平坦状をなしている場合には、屈曲に該当する。例えば中間部36c,37cのみが円弧状をなしている場合、屈曲に該当する。なお、湾曲及び屈曲に関する上記事項は、後述する第2下流フィン41,42についても同様である。
【0157】
第3実施形態では、第1下流フィン36,37はいずれも屈曲している。第1下流フィン36では、中間部36cが上方へ膨らむように湾曲している。これに対し、上流端部36a、上流部36b及び下流部36dはいずれも平坦状をなしている。第1下流フィン37では、中間部37cが下方へ膨らむように湾曲している。これに対し、上流端部37a、上流部37b及び下流部37dはいずれも平坦状をなしている。
【0158】
ここで、第1下流フィン36,37の屈曲の度合いを表現するために、第1下流フィン36,37が後述する中立位置に位置するとき、上流部36b,37bが空調用空気A1の上記流入方向に対しなす角度を「第1傾斜角θ1b」という。また、下流部36d,37dが上記流入方向に対しなす角度を「第1傾斜角θ1d」というものとする。第3実施形態では、第1傾斜角θ1b,θ1dがいずれも15°以上に設定されている。
【0159】
第1下流フィン36は、中立位置(
図31)と傾斜位置(
図32)との間で、両フィン軸38を中心として傾動可能である。第1下流フィン37は、中立位置(
図32)と傾斜位置(
図31)との間で、両フィン軸39を中心として傾動可能である。
【0160】
中立位置では、各第1下流フィン36,37が、空調用空気A1の上記流入方向に沿う姿勢となる。中立位置では、下流部36d,37dが上流部36b,37bの下流に位置する。
【0161】
傾斜位置では、第1下流フィン36が、下流ほど通風路31の内方(下方)に位置するように、上記流入方向に対し傾斜する。下流部36dが上流部36bよりも通風路31の内方(下方)に位置する。また、傾斜位置では、第1下流フィン37が、下流ほど通風路31の内方(上方)に位置するように、上記流入方向に対し傾斜する。下流部37dが上流部37bよりも通風路31の内方(上方)に位置する。
【0162】
図28に示すように、第1下流フィン36,37が中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向(上下方向)における少なくとも一部、第3実施形態では全体がフィン収容部34a,35aに収容される。
【0163】
第2下流フィン41,42は、第1実施形態と同様の構成を有している。ただし、第2下流フィン41,42が中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向(上下方向)における少なくとも一部、第3実施形態では全体がフィン収容部34b,35bに収容される。
【0164】
第1下流フィン36,37及び第2下流フィン41,42について、左右方向の少なくとも一部では、空調用空気A1の流れ方向における第2下流フィン41,42の長さL2が、第1下流フィン36,37の長さL1よりも長く設定されている。この点は、第1実施形態と同様である。
【0165】
上記以外の構成は、第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
次に、上記のように構成された第3実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。第3実施形態では、フィン収容室34,35及び第1下流フィン36,37の各形状が変更されている。
【0166】
そのため、第3実施形態によると、第1実施形態における上記(2)、(3-4)~(3-6)、(4-1),(4-2)及び(5-1)と同様の作用及び効果が得られる。第3実施形態によると、上記以外にも次の作用及び効果が得られる。
【0167】
なお、下記事項において、括弧()内の数字の後に「′」が付けられた事項は、第1実施形態において、数字の後に「′」の付けられていない事項に対応している。例えば、第3実施形態における(3-1′)は、第1実施形態における(3-1)に対応している。
【0168】
<(1)操作ノブ55が基準位置に位置するとき>
(1-1′)
図28~
図30は、操作ノブ55が基準位置に位置するときの空調用薄型レジスタ10の各部の状態を示している。各上流フィン51、各第1下流フィン36,37及び各第2下流フィン41,42はいずれも中立位置に保持される。中立位置では、各第2下流フィン41,42が、空調用空気A1の上記流入方向に沿う姿勢になる。そのため、上流フィン51を通過した後の空調用空気A1は、両第2下流フィン41,42間を、それらの第2下流フィン41,42に沿って流れる。引き続き、空調用空気A1は、両第1下流フィン36,37間を流れる。ここで、各第1下流フィン36,37は屈曲している。しかし、各第1下流フィン36,37では、下流部36d,37dが上流部36b,37bの下流に位置する。そのため、空調用空気A1の多くは、両第1下流フィン36,37間を、上記流入方向と同一方向へ流れ、吹出口17から下流へ真っ直ぐ吹き出される。
【0169】
<(3)操作ノブ55が上下方向へ操作されたとき>
(3-1′)基準位置に位置する操作ノブ55が上方へ操作されると、
図31に示すように、上側の第1下流フィン36及び下側の第2下流フィン42がともに中立位置に保持される。
【0170】
下側の第1下流フィン37は、フィン軸39を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動される。第1下流フィン37は、傾斜位置まで傾動されると、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。より詳しくは、傾斜位置では、第1下流フィン37における上流部37bが、空調用空気A1の上記流入方向に対し傾斜した状態となる。また、下流部37dが、上記流入方向に対し、上記上流部37bが傾斜した角度よりも大きな角度傾斜した状態となる。下流部37dは、上記流入方向に対し、第1実施形態における平坦な第1下流フィン37が傾斜した角度よりも大きな角度傾斜した状態となる。下流部37dは、上流部37bよりも、通風路31の内方(上方)に位置する。
【0171】
また、下側の第1下流フィン37の上記傾動に伴い、対角位置にある上側の第2下流フィン41が傾斜位置に向けて傾動される。
通風路31の下部を流れる空調用空気A1は、中立位置の下側の第2下流フィン42に沿って流れた後に、傾動された第1下流フィン37に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(上方)へ変えられる。第3実施形態では、第1下流フィン37が屈曲されているため、屈曲されておらず平坦な第1実施形態よりも、空調用空気A1の流れ方向が上方へ大きく変えられる。
【0172】
また、通風路31の上部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン41に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(下方)へ変えられる。傾動した第2下流フィン41は、これとは反対側へ傾動した第1下流フィン37を向いている。そのため、第2下流フィン41に沿って流れた空調用空気A1は、傾動された第1下流フィン37に集められて当り、同第1下流フィン37に沿って流れることで、流れ方向を変えられる。
【0173】
そして、上記のように、傾動した第1下流フィン37によって流れ方向を変えられた空調用空気A1は、吹出口17から斜め上方へ吹き出される。
なお、上記のように傾斜した操作ノブ55が下方へ操作されると、
図28及び
図31に示すように、第1下流フィン36及び第2下流フィン42が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン37及び第2下流フィン41がそれぞれ中立位置に戻される。
【0174】
そのため、第3実施形態によると、上記(3-1)と同様の作用及び効果が得られるほか、最大傾動角α1に関して次の作用及び効果が得られる。
ここで、最大傾動角α1とは、
図28及び
図31に示すように、中立位置の第1下流フィン37が傾斜位置へ移動するのに必要な傾動角度である。表現を変えると、第1下流フィン37が中立位置から上方へ傾動した場合の傾動角度であって、取り得る最大値である。
【0175】
上述したように、下流部37dが、傾斜位置では、上記流入方向に対し、第1実施形態の第1下流フィン37が傾斜した角度よりも大きな角度傾斜する。そのため、第3実施形態によると、第1実施形態よりも最大傾動角α1を増大させることができる。
【0176】
(3-2′)また、基準位置に位置する操作ノブ55が下方へ操作されると、
図32に示すように、下側の第1下流フィン37及び上側の第2下流フィン41がともに中立位置に保持される。
【0177】
上側の第1下流フィン36は、フィン軸38を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動される。第1下流フィン36が傾斜位置まで傾動されると、上流部36bが、空調用空気A1の上記流入方向に対し傾斜した状態となる。また、下流部36dが、上記流入方向に対し、上記上流部36bが傾斜した角度よりも大きな角度傾斜した状態となる。下流部36dは、上記流入方向に対し、第1実施形態における平坦な第1下流フィン36が傾斜した角度よりも大きな角度傾斜した状態となる。下流部36dは、上流部36bよりも、通風路31の内方(下方)に位置する。
【0178】
また、上側の第1下流フィン36の上記傾動に伴い、対角位置にある下側の第2下流フィン42が傾斜位置に向けて傾動される。
通風路31の上部を流れる空調用空気A1は、中立位置の上側の第2下流フィン41に沿って流れた後に、傾動された第1下流フィン36に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(下方)へ変えられる。第3実施形態では、第1下流フィン36が屈曲されているため、屈曲されておらず平坦な第1実施形態よりも、空調用空気A1の流れ方向が下方へ大きく変えられる。
【0179】
また、通風路31の下部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン42に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(上方)へ変えられる。傾動した第2下流フィン42は、これとは反対側へ傾動した第1下流フィン36を向いている。そのため、第2下流フィン42に沿って流れた空調用空気A1は、傾動された第1下流フィン36に集められて当り、同第1下流フィン36に沿って流れることで、流れ方向を変えられる。
【0180】
そして、上記のように、傾動した第1下流フィン36によって流れ方向を変えられた空調用空気A1は、吹出口17から斜め下方へ吹き出される。
なお、上記のように傾斜した操作ノブ55が上方へ操作されると、
図28及び
図32に示すように、第1下流フィン37及び第2下流フィン41が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン36及び第2下流フィン42がそれぞれ中立位置に戻される。
【0181】
そのため、第3実施形態によると、上記(3-2)と同様の作用及び効果が得られるほか、最大傾動角α2に関して次の作用及び効果が得られる。
ここで、最大傾動角α2とは、
図28及び
図32に示すように、中立位置の第1下流フィン36が傾斜位置へ移動するのに必要な傾動角度である。表現を変えると、第1下流フィン36が中立位置から下方へ傾動した場合の傾動角度であって、取り得る最大値である。
【0182】
上述したように、下流部36dが、傾斜位置では、上記流入方向に対し、第1実施形態の第1下流フィン36が傾斜した角度よりも大きな角度傾斜する。そのため、第3実施形態によると、第1実施形態よりも最大傾動角α2を増大させることができる。
【0183】
(3-3′)上記(3-1′)及び(3-2′)で説明したように、上下方向における空調用空気A1の吹き出し方向が変更される。そのため、第1実施形態における(3-3)と同様、上下方向における吹出口17の中間部分の上流の下流フィンを不要にし、圧力損失を低減する効果が得られる。
【0184】
(3-7)自動車の分野では、インストルメントパネルの上下方向の寸法を小さくしたい(薄型化したい)という要望がある。そのために、インストルメントパネルの上面が低くされると、それに伴い空調用薄型レジスタ10が低い箇所に配置されることとなる。
【0185】
上記のように、空調用薄型レジスタ10が低い箇所に配置された場合、最大傾動角α1が小さいと、例えば、乗員の腹部から喉元までの領域に向けて空調用空気A1を吹き出させることができる。しかし、喉元よりも上側の頭部等に向けて空調用空気A1を吹き出させることができないといったことが起り得る。
【0186】
この点、第3実施形態では、上記(3-1′)で説明したように、最大傾動角α1を増大させることができる。そのため、第3実施形態の空調用薄型レジスタ10が、上記のように、インストルメントパネルの低い箇所に設置されても、乗員の腹部から頭部を含む広い部位に空調用空気A1を当てることが可能となる。
【0187】
(3-8)第1下流フィン36,37を屈曲させることにより、屈曲させない場合(平坦な場合)よりも、空調用空気A1の流れ方向を、下方又は上方へ大きく変えることができることについては上述したとおりである。
【0188】
図31及び
図32に示すように、上記流入方向に対し、空調用空気A1が吹出口17から上側へ吹き出す方向のなす角度であって、取り得る最大値を指向角β1という。また、上記流入方向に対し、空調用空気A1が吹出口17から下側へ吹き出す方向のなす角度であって、取り得る最大値を指向角β2というものとする。
【0189】
第1下流フィン36,37は、吹出口17よりも下流まで延びているわけではない。そのため、指向角β1は最大傾動角α1よりも小さくなり、指向角β2は最大傾動角α2よりも小さくなる。
【0190】
本実施形態のように、短辺部18に沿う方向の両端部の上流にしか第1下流フィン36,37が配置されない空調用薄型レジスタ10では、同短辺部18に沿う方向における中間部付近を流れる空調用空気A1がフィンによってガイドされず直進してしまう。そのため、指向角β1,β2が小さくなる傾向にある。
【0191】
ここで、第1下流フィン36,37の屈曲の度合い(第1傾斜角θ1b,θ1d)と、指向角β1,β2との関係を調べた。
すると、第1傾斜角θ1b,θ1dの少なくとも一方が15°未満では、指向角β1,β2が21°未満であった。これに対し、第1傾斜角θ1b,θ1dが15°以上では、指向角β1,β2が22.9°~24.0°であった。表現を変えると、第1傾斜角θ1b,θ1dが15°以上では、15°未満よりも流れ方向の変更角度が大きい。
【0192】
この点を踏まえ、第3実施形態では、第1傾斜角θ1b,θ1dの両者を15°以上に設定している。そのため、指向角β1,β2(流れ方向の変更角度)をより大きくすることができる。吹出口17から上下方向についてより広い角度範囲にわたって空調用空気A1を吹き出させることができる。
【0193】
(3-9)第1傾斜角θ1b,θ1dが、15°以上であることが望ましいことについては上述した通りである。ただし、第1傾斜角θ1b,θ1dが大きくなるに従い、第1下流フィン36,37の屈曲度合いが大きくなる。これに伴い、第1下流フィン36,37の設置スペースが短辺部18に沿う方向に大きくなる。フィン収容部34a,35aの上下方向の寸法が大きくなる。下流外リテーナ13の上下方向の寸法が大きくなって、周囲の部材と干渉するおそれがある。従って、この干渉が起こらないことを条件に、第1傾斜角θ1b,θ1dを大きく設定することが望ましい。
【0194】
(第4実施形態)
次に、車両用の空調用薄型レジスタ10の第4実施形態について、
図33~
図37を参照して説明する。
【0195】
図33に示すように、第4実施形態では、両第2下流フィン41,42として、第3実施形態とは形状の異なるものが用いられている。これに伴い、フィン収容室34,35の形状が、第3実施形態とは異なる形状に変更されている。
【0196】
上側のフィン収容室34は、フィン収容部34aのみによって構成されている。下側のフィン収容室35は、フィン収容部35aのみによって構成されている。従って、フィン収容室34,35のうち、第2下流フィン41,42が収容される箇所についても、第1下流フィン36,37が収容される箇所と同様に、上下方向に拡大されている。
【0197】
図33及び
図34に示すように、上側の第2下流フィン41は、上流から下流に向けて順に配置された上流端部41a、上流部41b、中間部41c及び下流部41dを備えている。上流端部41aには、上記一対のフィン軸43が設けられている。両フィン軸43は、両フィン軸38からさらに上流へ離れた箇所で、両縦壁部32の上端部に支持されている。
【0198】
上側の第2下流フィン41における上流部41b及び下流部41dは、中間部41cから上記流れ方向に遠ざかるに従い、同中間部41cから通風路31の内方(下方)へ遠ざかるように屈曲している。
【0199】
図33及び
図35に示すように、下側の第2下流フィン42は、上流から下流に向けて順に配置された上流端部42a、上流部42b、中間部42c及び下流部42dを備えている。上流端部42aには、上記一対のフィン軸44が設けられている。両フィン軸44は、両フィン軸43の下方に位置している。両フィン軸44は、両フィン軸39からさらに上流へ離れた箇所で、両縦壁部32の下端部に支持されている。
【0200】
下側の第2下流フィン42における上流部42b及び下流部42dは、中間部42cから上記流れ方向に遠ざかるに従い、同中間部42cから通風路31の内方(上方)へ遠ざかるように屈曲している。
【0201】
第2下流フィン41では、中間部41cが上方へ膨らむように湾曲している。これに対し、上流端部41a、上流部41b及び下流部41dはいずれも平坦状をなしている。
第2下流フィン42では、中間部42cが下方へ膨らむように湾曲している。これに対し、上流端部42a、上流部42b及び下流部42dはいずれも平坦状をなしている。
【0202】
ここで、第2下流フィン41,42の屈曲度合いを表現するために、第2下流フィン41,42が後述する中立位置に位置するとき、上流部41b,42bが空調用空気A1の上記流入方向に対しなす角度を「第2傾斜角θ2b」という。また、下流部41d,42dが上記流入方向に対しなす角度を「第2傾斜角θ2d」というものとする。第4実施形態では、第2傾斜角θ2b,θ2dがいずれも15°以上に設定されている。
【0203】
第2下流フィン41は、中立位置(
図33、
図37)と傾斜位置(
図36)との間で、両フィン軸43を中心として傾動可能である。第2下流フィン42は、中立位置(
図33、
図36)と傾斜位置(
図37)との間で、両フィン軸44を中心として傾動可能である。
【0204】
中立位置は、各第2下流フィン41,42が、空調用空気A1の上記流入方向に沿う位置である。中立位置では、下流部41d,42dが上流部41b,42bの下流に位置する。
【0205】
傾斜位置は、各第2下流フィン41,42が、下流ほど通風路31の内方に位置するように、上記流入方向に対し傾斜する位置である。傾斜位置では、下流部41d,42dが上流部41b,42bよりも通風路31の内方に位置する。
【0206】
第2下流フィン41,42が中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向(上下方向)における少なくとも一部、第4実施形態では全体がフィン収容部34a,35aに収容される。
【0207】
第1下流フィン36,37及び第2下流フィン41,42について、左右方向の少なくとも一部では、空調用空気A1の流れ方向における第2下流フィン41,42の長さL2が、第1下流フィン36,37の長さL1よりも長く設定されている(
図33参照)。この点は、第3実施形態と同様である。
【0208】
上記以外の構成は、第3実施形態と同様である。そのため、第3実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
次に、上記のように構成された第4実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。第4実施形態では、第3実施形態におけるフィン収容室34,35及び第2下流フィン41,42の各形状が変更されているのみである。
【0209】
そのため、第4実施形態によると、第3実施形態と同様の作用及び効果が得られる。第4実施形態によると、上記以外に次の作用及び効果が得られる。
なお、下記事項において、括弧()内の数字の後に「″」が付けられた事項は、第3実施形態において、数字の後に「′」の付けられている事項に対応している。例えば、第4実施形態における(3-1″)は、第3実施形態における(3-1′)に対応している。
【0210】
<(1)操作ノブ55が基準位置に位置するとき>
(1-1″)
図33~
図35は、操作ノブ55が基準位置に位置するときの空調用薄型レジスタ10の各部の状態を示している。各上流フィン51、各第1下流フィン36,37及び各第2下流フィン41,42はいずれも中立位置に保持される。
【0211】
上流フィン51を通過した後の空調用空気A1は、両第2下流フィン41,42間を流れる。ここで、各第2下流フィン41,42は屈曲している。しかし、各第2下流フィン41,42では、下流部41d,42dが上流部41b,42bの下流に位置する。そのため、空調用空気A1の多くは、両第2下流フィン41,42間を、上記流入方向と同一方向へ流れた後に、吹出口17から下流へ真っ直ぐ吹き出される。
【0212】
<(3)操作ノブ55が上下方向へ操作されたとき>
(3-1″)基準位置に位置する操作ノブ55が上方へ操作されると、
図36に示すように、上側の第1下流フィン36及び下側の第2下流フィン42がともに中立位置に保持される。
【0213】
下側の第1下流フィン37は、フィン軸39を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動される。この傾動に伴い、対角位置にある上側の第2下流フィン41が傾斜位置に向けて傾動される。第2下流フィン41は、傾斜位置まで傾動されると、下流ほど低くなるように傾斜した状態となる。
【0214】
より詳しくは、傾斜位置では、第2下流フィン41における上流部41bが、空調用空気A1の上記流入方向に対し傾斜した状態となる。また、下流部41dが、上記流入方向に対し、上記上流部41bが傾斜した角度よりも大きな角度傾斜した状態となる。下流部41dの傾斜角度は、第3実施形態における第2下流フィン41の傾斜角度よりも大きい。下流部41dは、上流部41bよりも、通風路31の内方(下方)に位置する。
【0215】
通風路31の上部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン41に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(下方)へ変えられる。上述したように、下流部41dの傾斜角度は、第3実施形態における第2下流フィン41の傾斜角度よりも大きい。そのため、第2下流フィン41、特に下流部41dに沿って流れた空調用空気A1は、傾動された第1下流フィン37や、中立位置の第2下流フィン42に集められて当る。第3実施形態よりも多くの空調用空気A1が、第1下流フィン37及び第2下流フィン42に当たる。その結果、より多くの空調用空気A1が第1下流フィン37に沿って流れることとなり、より多くの空調用空気A1が上方へ大きく流れ方向を変えられ、吹出口17から斜め上方へ大きな指向角β1で吹き出される。
【0216】
なお、上記のように傾斜した操作ノブ55が下方へ操作されると、
図33及び
図36に示すように、第1下流フィン36及び第2下流フィン42が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン37及び第2下流フィン41がそれぞれ中立位置に戻される。
【0217】
(3-2″)また、基準位置に位置する操作ノブ55が下方へ操作されると、
図37に示すように、下側の第1下流フィン37及び上側の第2下流フィン41がともに中立位置に保持される。
【0218】
上側の第1下流フィン36は、フィン軸38を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動される。この傾動に伴い、対角位置にある下側の第2下流フィン42が、傾斜位置に向けて傾動される。第2下流フィン42は、傾斜位置まで傾動されると、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。
【0219】
より詳しくは、傾斜位置では、第2下流フィン42における上流部42bが、空調用空気A1の上記流入方向に対し傾斜した状態となる。また、下流部42dが、上記流入方向に対し、上記上流部42bが傾斜した角度よりも大きな角度傾斜した状態となる。下流部42dの傾斜角度は、第3実施形態における第2下流フィン42の傾斜角度よりも大きい。下流部42dは、上流部42bよりも、通風路31の内方(上方)に位置する。
【0220】
通風路31の下部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン42に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(上方)へ変えられる。上述したように、下流部42dの傾斜角度は、第3実施形態における第2下流フィン42の傾斜角度よりも大きい。そのため、第2下流フィン42、特に下流部42dに沿って流れた空調用空気A1は、傾動された第1下流フィン36や、中立位置の第2下流フィン41に集められて当る。第3実施形態よりも多くの空調用空気A1が、第1下流フィン36及び第2下流フィン41に当たる。その結果、より多くの空調用空気A1が第1下流フィン36に沿って流れることとなり、より多くの空調用空気A1が流れ方向を変えられ、吹出口17から斜め下方へ大きな指向角β2で吹き出される。
【0221】
なお、上記のように傾斜した操作ノブ55が上方へ操作されると、
図33及び
図37に示すように、第1下流フィン37及び第2下流フィン41が中立位置に保持されつつ、第1下流フィン36及び第2下流フィン42がそれぞれ中立位置に戻される。
【0222】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0223】
<ベゼル15について>
・ベゼル15が鉛直面に対し傾斜してもよい。この場合、意匠面16、吹出口17、窓部21等も鉛直面に対し傾斜する。
【0224】
<下流フィンについて>
・第1下流フィン36及び第2下流フィン41は、中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向における一部のみが上側のフィン収容室34に収容されてもよい。
【0225】
また、第1下流フィン37及び第2下流フィン42は、中立位置に位置するときには、それぞれの厚み方向における一部のみが下側のフィン収容室35に収容されてもよい。
上記の場合、第1下流フィン36,37及び第2下流フィン41,42のフィン収容室34,35からの露出部分が多くなるに従い、吹出口17の実開口面積が小さくなる。
【0226】
ここで、上側のフィン収容室34からの露出部分と、下側のフィン収容室35からの露出部分とのそれぞれの短辺部18に沿う方向の長さを、「露出部分の長さ」とする。
通風抵抗及び圧力損失を許容範囲に収めるうえでは、短辺部18の長さが15mm~23mmの場合、上下の各露出部分の長さが2mm以下であることが好ましい。
【0227】
・第1下流フィン36,37と、その上流に隣接する第2下流フィン41,42とについて、左右方向のうち、L2>L1の関係を有する箇所が、上述した各実施形態とは異なる箇所に変更されてもよい。
【0228】
例えば、
図23において比較例として示した空調用薄型レジスタ10と同様に、左右方向の全体が、L2>L1の関係を満たしてもよい。
・第4実施形態において、第2下流フィン41,42の一方が、屈曲せず、第3実施形態と同様に平坦状をなすものであってもよい。
【0229】
・第3及び第4実施形態において、第1下流フィン36,37のうち、湾曲されている部分の位置や長さが変更されてもよい。第1下流フィン36,37の全体が湾曲してもよい。
【0230】
・上記と同様に、第4実施形態において、第2下流フィン41,42のうち、湾曲されている部分の位置や長さが変更されてもよい。第2下流フィン41,42の全体が湾曲してもよい。
【0231】
・第3及び第4実施形態において、第1下流フィン36,37の下流部36d,37dに対し下流側に隣接する箇所に、空調用空気A1の流入方向に延びる平坦な部分が形成されてもよい。ただし、空調用空気A1の流れ方向における上記平坦部分の長さは、0.5mm以下にとどめることが、指向角β1,β2を大きく増大させるうえで望ましい。
【0232】
・第1傾斜角θ1b,θ1dの少なくとも一方が15°未満に設定されてもよい。また、第2傾斜角θ2b,θ2dの少なくとも一方が15°未満に設定されてもよい。
・第3実施形態において、第2下流フィン41,42が中立位置に位置するとき、同第2下流フィン41と隣接する横壁部33との隙間は、小さい方が望ましい。この隙間は、例えば、1mmと、1mmよりも大きい値とが設定される場合、1mmの方が望ましい。これは、上記第2下流フィン41,42の下流の第1下流フィン36,37が傾斜位置に位置する場合、上記隙間が大きくなるに従い、同隙間を通過する空調用空気A1が多くなる。その分、下流の第1下流フィン36,37に当たる空調用空気A1が少なくなる。空調用空気A1を下流の第1下流フィン36,37に効率的に当てることができず、結果として、指向角β1,β2が小さくなるからである。
【0233】
<下流伝達機構61について>
・
図9等に示される上カム孔64及び下カム孔65は、連結プレート63を貫通していない溝部(カム溝)に変更されてもよい。
【0234】
・
図10、
図11等に示される駆動ギヤ71,72及び従動ギヤ73,74の形状は、上述した両実施形態とは異なるものに変更されてもよい。
・下流伝達機構61として、上述した第1実施形態とは異なる構成を有するものが用いられてもよい。
【0235】
<支持壁部91について>
・操作ノブ55の支軸92を支持する支持壁部91が、第2実施形態とは異なる箇所に配置されてもよい。
図38及び
図39はその一例を示している。
【0236】
図38は、一対の支持壁部91が、左右方向における吹出口17の中間部分であって、中央部を挟む箇所の上流に配置された変更例を示している。
図39は、一方(左方)の支持壁部91が吹出口17の上流に配置され、かつ他方(右方)の支持壁部91が、リテーナ11内であって、吹出口17よりも外方(
図39では右方)となる箇所の上流に配置された変更例を示している。
【0237】
なお、
図38及び
図39のいずれの変更例でも、両支持壁部91は、操作ノブ55が、左右方向の可動領域の端まで移動しても干渉(接触)しない箇所に配置される。
<上流伝達機構81について>
・上流伝達機構81として、上記第1実施形態と異なる構成を有するものが用いられてもよい。
【0238】
<適用箇所について>
・上記空調用薄型レジスタ10は、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所、例えばダッシュボードに設けられる空調用薄型レジスタにも適用可能である。
【0239】
・上記空調用薄型レジスタ10は、空調装置から送られてきて室内に吹き出される空調用空気A1の向きを上流フィン51及び下流フィンによって変更することのできるものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
【0240】
<その他>
・
図40~
図42に示すように、下流フィンが、一対の第1下流フィン36,37のみによって構成されてもよい。この場合にも、上流伝達機構及び下流伝達機構(ともに図示略)が設けられるが、下流伝達機構の機能が第2実施形態と異なっている。すなわち、この場合の下流伝達機構の機能は、操作ノブ55の上下方向の動きを、両第1下流フィン36,37に伝達して、それらを傾動させることである。
【0241】
この変更例では、
図40に示すように、操作ノブ55が基準位置に位置するとき、各第1下流フィン36,37は中立位置に保持される。
そのため、空調用空気A1は、上流フィン51及び縦壁部32に沿って流れた後に、第1下流フィン36,37に沿って流れ、吹出口17から下流へ真っ直ぐ吹き出される。
【0242】
図41に示すように、操作ノブ55が支軸92を中心として上方へ操作されると、操作ノブ55の動きが、下流伝達機構によって両第1下流フィン36,37に伝達される。下側の第1下流フィン37は、フィン軸39を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動され、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。上側の第1下流フィン36は、中立位置に保持される。
【0243】
空調用空気A1は、第1下流フィン37によって流れ方向を変えられて、吹出口17から斜め上方へ吹き出される。
図42に示すように、操作ノブ55が支軸92を中心として下方へ操作されると、操作ノブ55の動きが、下流伝達機構によって両第1下流フィン36,37に伝達される。上側の第1下流フィン36は、フィン軸38を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動され、下流ほど低くなるように傾斜した状態となる。下側の第1下流フィン37は、中立位置に保持される。
【0244】
空調用空気A1は、第1下流フィン36によって流れ方向を変えられて、吹出口17から斜め下方へ吹き出される。
なお、上記
図41における操作ノブ55が下方へ操作されると、また、上記
図42における操作ノブ55が上方へ操作されると、下流伝達機構が上記とは逆の動作を行なう。
図40に示すように、第1下流フィン36,37の一方が中立位置に保持されつつ、傾動されていた他方が中立位置に戻される。
【0245】
このように、操作ノブ55の上下方向への操作に応じ、第1下流フィン36,37の一方を中立位置に保持しつつ他方を傾動させることで、吹出口17からの空調用空気A1の吹き出し方向を、上下方向に変更することができる。
【0246】
従って、上記(3-3),(3-4)と同様の効果、すなわち、下流フィンが吹出口17の実開口面積に及ぼす影響を小さくし、同下流フィンによる通風抵抗の増加を少なくして圧力損失を低減する効果を得ることができる。
【0247】
なお、上記変更例において、操作ノブ55は第2実施形態と同様に、吹出口17に挿通された状態で配置されてもよいし、第1実施形態と同様に、吹出口17の外部に配置されてもよい。また、第1下流フィン36,37として、第3及び第4実施形態と同様に、屈曲又は湾曲したものが用いられてもよい。
【0248】
・
図43~
図45に示すように、第2実施形態において、下流フィンが、一対の第2下流フィン41,42のみによって構成されてもよい。第1下流フィン36に代えて、上側の横壁部33において長辺部19の上流に隣接する箇所(以下「下流部33a」という)が、下流ほど低くなるように傾斜されてもよい。同様に、第1下流フィン37に代えて、下側の横壁部33において長辺部19の上流に隣接する箇所(以下「下流部33b」という)が、下流ほど高くなるように傾斜されてもよい。表現を変えると、下流部33a,33bは、それらの間隔が下流ほど小さくなるようにそれぞれ傾斜されてもよい。
【0249】
この場合にも、上流伝達機構及び下流伝達機構(ともに図示略)が設けられるが、下流伝達機構の機能が第1実施形態と異なっている。すなわち、この場合の下流伝達機構の機能は、操作ノブの上下方向の動きを、両第2下流フィン41,42に伝達して、傾動させることである。ただし、両第2下流フィン41,42は、操作ノブの操作方向とは反対方向へ傾動されることが好ましい。これは、空調用空気A1を吹出口17から、操作ノブの操作方向と同じ傾向の方向へ吹き出させるためである。
【0250】
なお、操作ノブは、第1実施形態と同様に、吹出口17の外部に配置されてもよいし、第2実施形態と同様に、吹出口17に挿通された状態で配置されてもよい。また、ベゼルは設けられなくてもよいし、設けられてもよい。
【0251】
この変更例では、操作ノブ(図示略)が基準位置に位置するとき、
図43に示すように、各第2下流フィン41,42は中立位置に保持される。
そのため、空調用空気A1は、上流フィン51及び縦壁部32に沿って流れた後に、第2下流フィン41,42に沿って流れ、吹出口17から下流へ真っ直ぐ吹き出される。
【0252】
基準位置に位置する操作ノブが上方へ操作されると、例えば
図44に示すように、操作ノブの動きが、下流伝達機構によって両第2下流フィン41,42に伝達される。上側の第2下流フィン41は、フィン軸43を中心として通風路31の内方(下方)へ傾動され、下流ほど低くなるように傾斜した状態となる。下側の第2下流フィン42は、中立位置に保持される。
【0253】
通風路31の上部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン41に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(下方)へ変えられる。
傾動した第2下流フィン41は、これとは反対側へ傾斜した下流部33bを向いている。そのため、上記第2下流フィン41に沿って流れた空調用空気A1は、下流部33bに集められて当り、同下流部33bに沿って流れることで流れ方向を変えられ、吹出口17から斜め上方へ吹き出される。
【0254】
これに対し、基準位置に位置する操作ノブが下方へ操作されると、例えば
図45に示すように、操作ノブの動きが、下流伝達機構によって両第2下流フィン41,42に伝達される。
【0255】
下側の第2下流フィン42は、フィン軸44を中心として通風路31の内方(上方)へ傾動され、下流ほど高くなるように傾斜した状態となる。上側の第2下流フィン41は、中立位置に保持される。
【0256】
通風路31の下部を流れる空調用空気A1は、第2下流フィン42に沿って流れることで、流れ方向を通風路31の内方(上方)へ変えられる。
傾動した第2下流フィン42は、これとは反対側へ傾斜した下流部33aを向いている。そのため、第2下流フィン42に沿って流れた空調用空気A1は、下流部33aに集められて当り、同下流部33aに沿って流れることで流れ方向を変えられ、吹出口17から斜め下方へ吹き出される。
【0257】
なお、上記
図44における操作ノブが下方へ操作されると、また、上記
図45における操作ノブが上方へ操作されると、下流伝達機構が上記とは逆の動作を行なう。
図43に示すように、第2下流フィン41,42の一方が中立位置に保持されつつ、傾動されていた他方が中立位置に戻される。
【0258】
このように、操作ノブの上下方向への操作に応じ、第2下流フィン41,42の一方を中立位置に保持しつつ他方を傾動させることで、吹出口17からの空調用空気A1の吹き出し方向を、上下方向に変更することができる。そのため、上下方向における空調用空気A1の吹き出し方向を変更するために、同方向における吹出口17の中間部分の上流に下流フィンを別途設けなくてすむ。
【0259】
従って、この変更例でも上記(3-3),(3-4)と同様の効果、すなわち、下流フィンが吹出口17の実開口面積に及ぼす影響を小さくし、同下流フィンによる通風抵抗の増加を少なくして圧力損失を低減する効果を得ることができる。
【0260】
なお、第2下流フィン41,42として、第4実施形態と同様に、屈曲又は湾曲したものが用いられてもよい。
・上記空調用薄型レジスタ10は、吹出口17の長辺部19が上下方向へ延び、かつ短辺部18が左右方向へ延びる姿勢で配置される空調用薄型レジスタにも適用可能である。また、上記空調用薄型レジスタ10は、吹出口17の短辺部18及び長辺部19が、上下方向及び左右方向に対し傾斜する方向へ延びる姿勢で配置される空調用薄型レジスタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0261】
10…空調用薄型レジスタ
11…リテーナ
17…吹出口
18…短辺部
19…長辺部
31…通風路
34,35…フィン収容室
36,37…第1下流フィン(下流フィン)
36b,37b,41b,42b…上流部
36c,37c,41c,42c…中間部
36d,37d,41d,42d…下流部
38,39,43,44…フィン軸
41,42…第2下流フィン(下流フィン)
47…切欠き部
48…突部
51…上流フィン
55…操作ノブ
61…下流伝達機構
A1…空調用空気
L1,L2…長さ