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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】触覚提示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241112BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20241112BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G06F3/01 560
B06B1/06 Z
G06F3/041 480
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022078781
(22)【出願日】2022-05-12
(65)【公開番号】P2023167524
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大寺 昭三
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-074658(JP,A)
【文献】特開2004-345228(JP,A)
【文献】国際公開第2016/027668(WO,A1)
【文献】特開2017-049689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0193211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/03
3/041- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に平行な方向に振動する振動パネルと、
前記振動パネルの前記主面に配置され、利用者の操作を受け付けるフィルム部材と、
前記フィルム部材の少なくとも一端を固定する固定部と、
を備え、
前記フィルム部材の前記一端が前記固定部に固定され、前記利用者から押し込み操作を受け付けていない状態における前記フィルム部材の剥離力は、300mN以下である、
触覚提示装置。
【請求項2】
前記フィルム部材は、第1フィルム部材および第2フィルム部材を含み、
前記固定部は、前記第1フィルム部材を固定する第1固定部と、前記第2フィルム部材を固定する第2固定部と、を含む、
請求項1に記載の触覚提示装置。
【請求項3】
平面視して前記第1フィルム部材および前記第2フィルム部材の間に弾性体が配置され、
該弾性体の弾性力は、100MPa以下である、
請求項2に記載の触覚提示装置。
【請求項4】
平面視して前記第1フィルム部材および前記第2フィルム部材は、重なる部分を有する、
請求項2に記載の触覚提示装置。
【請求項5】
前記フィルム部材は、スリットまたは開口部を有する、
請求項1に記載の触覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動体を振動させて利用者に触覚フィードバックを提供する触覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駆動信号に基づいて振動する振動体と、前記振動体の主面と空隙を介して対抗され、前記振動体と反対側の主面が操作面となる弾性フィルムと、を備え、前記弾性フィルムは、押下されると下面側に突出するように変形し、その変形した突出部分が前記振動体の上面に接触する、触覚提示装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の構造によれば、空隙により操作面と振動体が分離される。そのため、押し込んだ指には振動体の振動が伝わるが、操作面に触れているだけの指には振動体の振動が伝わらない。これにより、特許文献1の構造では、振動を局所的に伝えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/027668号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構造では、空隙の厚みを確保する必要がある。一方で近時、より薄型の触覚提示装置が望まれている。
【0006】
そこで本発明の一実施形態の目的は、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる触覚提示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る触覚提示装置は、主面に平行な方向に振動する振動パネルと、前記振動パネルの前記主面に配置され、利用者の操作を受け付けるフィルム部材と、前記フィルム部材の少なくとも一端を固定する固定部と、を備える。前記フィルム部材の剥離力は、300mN以下である。
【0008】
利用者がフィルム部材を押し込むと振動パネルが振動して、フィルム部材に振動が伝わる。押し込んでいる指は、フィルム部材との接触面積が大きく、反力も大きくなるため、振動を感じ易い。一方で、振動パネルが主面に平行な方向に振動しても、フィルム部材の少なくとも一端が固定部に固定されているため、振動パネルが主面に平行な方向に振動してもフィルム部材は動きにくい。また、フィルム部材の剥離力は300mN以下であり、滑りやすくなっているため、振動パネルとフィルム部材の接触面が滑る。フィルム部材に触れているだけの指は、接触面積が小さく、反力も小さいため、振動パネルの振動が伝わり難い。よって、本発明の一実施形態に係る触覚提示装置は、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる。なお、本実施形態で言う剥離力は、テープ幅50mm、180度折り返し、300mm/minで剥離した場合の値である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】触覚提示装置10の平面図である。
図2図1に示すI-I線の断面図である。
図3】振動パネル30の断面図である。
図4】振動パネル30の平面図である。
図5】押し込み操作を行った場合に、押し込み操作を行っていない(フィルムに触れているだけの)指が振動を感じるか否かの官能試験の結果を示す表である。
図6】変形例1に係る触覚提示装置10Aの断面図である。
図7】変形例1に係る触覚提示装置10Bの断面図である。
図8】押し込み操作を行った場合に、押し込み操作を行っていない(フィルムに触れているだけの)指が振動を感じるか否かの官能試験の結果を示す表である。
図9】変形例3に係る触覚提示装置10Cの平面図である。
図10】変形例4に係る触覚提示装置10Dの平面図である。
図11】変形例5に係る触覚提示装置10Eの平面図である。
図12】変形例6に係る触覚提示装置10Fの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、触覚提示装置10の平面図であり、図2は、図1に示すI-I線の断面図である。
【0012】
図1および図2に示す様に、触覚提示装置10は、フィルム部材20、固定部21、および振動パネル30を備えている。本実施形態の触覚提示装置10は、タッチキーボード、タッチパッド、またはタッチパネルディスプレイ等を備えた電子機器に用いられる。
【0013】
フィルム部材20は、利用者の操作を受け付ける。利用者の操作は、フィルム部材20の表面に触れるタッチ操作またはフィルム部材20を押し込む押し込み操作を含む。
【0014】
フィルム部材20は、例えばPET、アクリル、ポリカーボネート、あるいはガラス等の材料からなり、剥離力の低い材料からなる。本実施形態のフィルム部材20は、PETフィルムであり、表面にシリコン樹脂が塗布されている。剥離力の詳細については後述する。 固定部21は、平面視してY方向に短くX方向に長い長方形状である。固定部21は、フィルム部材20のY方向の両端にそれぞれ配置されている。固定部21は、例えば両面テープ等からなり、フィルム部材20のY方向の両端をそれぞれ電子機器の筐体等に固定する。
【0015】
なお、本実施形態では、フィルム部材20は、Y方向の両端が固定部21で固定されているが、少なくとも一端が固定されているだけでもよい。
【0016】
振動パネル30は、主面に平行な方向に振動する。本実施形態では、振動パネル30は、一例として図1および図2に示すY方向に沿って振動する。無論、振動パネル30は、X方向に沿って振動してもよい。
【0017】
振動パネル30は、フィルム部材20に対するタッチ操作を検知するための不図示のタッチセンサ、押し込み操作を検知するための不図示の押圧センサ、あるいはディスプレイ等を備えている。振動パネル30がディスプレイを備える場合、フィルム部材20は透光性を有することが好ましい。
【0018】
不図示の制御部は、不図示のタッチセンサまたは押圧センサを介してフィルム部材20に対する利用者の操作を受け付けると、振動パネル30を振動させる。
【0019】
振動パネル30は、圧電フィルムあるいはモータ等により主面に平行な方向に振動する。図3は、振動パネル30の構造の一例を示す断面図である。図4は、振動パネル30の平面図である。
【0020】
振動パネル30は、表面パネル300と、表面パネル300に接続される振動部材301と、を有する。表面パネル300は、不図示のタッチセンサ、押圧センサ、あるいはディスプレイ等を備えている。振動部材301は、表面パネル300を主面に平行な方向に振動させる。
【0021】
振動部材301は、枠状部材302と、固定部材303と、圧電フィルム304と、接続部材500と、を有する。固定部材303は、電子機器の筐体等に固定される。この例では、固定部材303は、ねじ16により電子機器の筐体に固定される。なお、電子機器への固定はねじ16の代わりに両面テープを用いてもよい。
【0022】
枠状部材302および固定部材303は、平板形状である。枠状部材302および固定部材303は、1枚の金属板により形成されている。また、金属板は、ポリイミド等の樹脂によりコーティングされていてもよい。ただし、1枚の金属板により形成されていることは必須ではない。また、枠状部材302および固定部材303は、金属以外の材料(例えば、アクリル樹脂、PET、ポリカーボネート、ガラスエポキシ、FRPまたはガラス等)により作製された部材であってもよい。
【0023】
枠状部材302は、両面テープ等の接続部材500により表面パネル300に接続される。接続部材500は、Y方向に長く、X方向に短い。
【0024】
枠状部材302は、Y方向の端部に切り欠きを有している。固定部材303は、平面視して、切り欠きの部分に位置している。固定部材303と枠状部材302は、X方向に長細い梁3021により接続されている。梁3021は、Y方向の力に対して弾性変形し易い。固定部材303は、平面視して、梁3021に接続されている部分よりも右側(Y方向側)の枠状部材302の内側に圧電フィルム接続部3031を有する。
【0025】
圧電フィルム接続部3031は、圧電フィルム304を接続する。圧電フィルム304は、Y方向に長い。圧電フィルム304のY方向の端部は、圧電フィルム接続部3031に接続される。また、圧電フィルム304のY方向側の端部は、枠状部材302の左辺に接続される。
【0026】
このとき、圧電フィルム接続部3031は、Y方向側に、圧電フィルム304により引っ張られる。また、枠状部材302の左辺は、-Y方向に、圧電フィルム304により引っ張られる。従って、圧電フィルム304には、Y軸方向に沿って縮むような張力が発生している。
【0027】
圧電フィルム304は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはキラル高分子により作製されたフィルムである。キラル高分子は、ポリ乳酸を含む。ポリ乳酸は、L型ポリ乳酸(PLLA)又はD型ポリ乳酸(PDLA)等を含む。ポリ乳酸は、電気信号の電圧に応じてずり変形する。従って、圧電フィルム304にポリ乳酸が用いられた場合、圧電フィルム304の延伸方向が左右方向に対して45°±10°程度傾くように、フィルムが裁断される。これにより、圧電フィルム304は、左右方向に伸縮することができる。
【0028】
圧電フィルム304の上主面および下主面のそれぞれには、不図示の電極が設けられている。不図示の制御部は、利用者の押し込み操作を検知した場合に、圧電フィルム304の電極に電圧を印加する。圧電フィルム304は、当該電気信号に応じて、左右方向に伸縮する。圧電フィルム304は、電気信号が加えられることにより枠状部材302を固定部材303に対して左右方向(Y軸方向)に沿って振動させる。
【0029】
これにより、枠状部材302に接続されている表面パネル300は、Y軸方向に振沿って動する。つまり、図2に示す様に、利用者が押し込み操作を行うと、表面パネル300がY軸方向に沿って振動し、振動パネル30がY軸方向に沿って振動する。
【0030】
一方、振動パネル30がY軸方向に沿って振動しても、フィルム部材20のY軸方向の両端は固定部21に固定されているため、フィルム部材20は動きにくい。また、フィルム部材20は、剥離力の小さい材料である。あるいは、フィルム部材20は、シリコン樹脂を塗布する等して剥離力を小さくするための表面処理を施されていている。これにより、振動パネル30とフィルム部材20の接触面は滑る。
【0031】
押し込み操作を行った指は、フィルム部材20との接触面積が大きく、反力が大きくなる。そのため、押し込み操作を行った指は、振動を感じやすい。その一方で、フィルム部材20に触れているだけの指は、フィルム部材20との接触面積が小さく、反力も小さいため、振動パネル30の振動が伝わり難い。
【0032】
よって、本発明の一実施形態に係る触覚提示装置は、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる。
【0033】
図5は、押し込み操作を行った場合に、押し込み操作を行っていない(フィルムに触れているだけの)指が振動を感じるか否かの官能試験の結果を示す表である。
【0034】
図5の試験は、振動パネル30の上に、ある剥離力を有するPETフィルムを2つ配置し、それぞれのPETフィルムの上に左右の指をそれぞれ置き、振動パネル30を周波数200Hzのバースト波で、加速度10Gで振動させた場合の結果である。図5の剥離力は、テープ幅50mm、180度折り返し、300mm/minで剥離した場合の値である。2つのPETフィルムは、それぞれ独立し、互いに接続されてない。図5の「固定の有無」とは、2つのPETフィルムの一端をそれぞれ筐体に固定した場合に「有」と表記し、PETフィルムを固定しない(振動パネル30に乗せただけの)場合に「無」と表記する。また、「評価」とは、5段階の評価であり、それぞれ、「5」は全く振動を感じない、「4」はほとんど振動を感じない、「3」はやや振動を感じる、「2」は振動を感じる、「1」は非常に振動を感じることを意味する。各項目では、それぞれ10回測定を行っている。評価が「5」または「4」である場合、利用者は振動を感じないと言える。
【0035】
図5に示す様に、PETフィルムを固定しない場合、剥離力が200mN以下の場合に、利用者は振動を感じる。一方、PETフィルムの一端を固定する場合、剥離力が300mN以下の場合、利用者は振動を感じない。また、剥離力が100mNの場合、PETフィルムを固定しない場合の評価は「4」であるのに対して、PETフィルムの一端を固定した場合の評価は「5」に改善する。
【0036】
なお、PETフィルムの一端を固定する場合でも、剥離力は、好ましくは200mN以下であり、最も好ましくは50mN以下である。
【0037】
したがって、本発明の一実施形態に係る触覚提示装置は、PETフィルムの少なくとも一端を固定し、フィルム部材の剥離力が300mN以下である場合に、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる。
【0038】
(変形例1)
図6は、変形例1に係る触覚提示装置10Aの断面図である。図2の断面図と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0039】
触覚提示装置10Aのフィルム部材は、第1フィルム部材20Aおよび第2フィルム部材20Bを有する。また、固定部は、第1フィルム部材20Aを固定する第1固定部21Aと、第2フィルム部材20Bを固定する第2固定部21Bと、を有する。
【0040】
利用者は、例えば第1フィルム部材20Aに対して第1の指で押し込み操作を行い、第2フィルム部材20Bには第2の指で触れる操作を行う(押し込み操作を行わない)。この場合、押し込み操作を行った第1の指は、第1フィルム部材20Aとの接触面積が大きく、反力が大きくなる。そのため、押し込み操作を行った第1の指は、振動を感じやすい。その一方で、第2フィルム部材20Bに触れているだけの第2の指は、第2フィルム部材20Bとの接触面積が小さく、反力も小さいため、振動パネル30の振動が伝わり難い。さらに、第1フィルム部材20Aおよび第2フィルム部材20Bは、互いに直接接触していないため、第2の指には、さらに振動が伝わり難い。
【0041】
(変形例2)
図7は、変形例2に係る触覚提示装置10Bの断面図である。図6の断面図と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0042】
触覚提示装置10Bは、第1フィルム部材20Aおよび第2フィルム部材20Bの間に弾性体40を備える。この様に、第1フィルム部材20Aおよび第2フィルム部材20Bは、弾性体40を介して接していることが好ましい。弾性体40は、例えばウレタンあるいはスチレンゴム等の材料からなる。これにより、フィルム部材の上面は平坦となり、複数のフィルム部材が一体として1つのフィルム部材が配置されているように構成することができる。
【0043】
また、弾性体40の弾性率は、100MPa以下である。そのため、第1フィルム部材20Aまたは第2フィルム部材20Bのいずれか一方が振動した場合に、他方のフィルム部材に対して、その振動を伝え難い。
【0044】
図8は、押し込み操作を行った場合に、押し込み操作を行っていない(フィルムに触れているだけの)指が振動を感じるか否かの官能試験の結果を示す表である。図8の試験の条件は、図5に示した試験の条件と同じである。
【0045】
図8に示す様に、弾性体40の弾性率が100MPa以下の場合に、利用者は振動を感じない。したがって、変形例2に係る触覚提示装置10Bは、平面視して第1フィルム部材20Aおよび第2フィルム部材20Bの間に弾性体が配置され、該弾性体の弾性力は、100MPa以下である場合に、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができ、さらに外観上も平坦なフィルムを実現することができる。
【0046】
(変形例3)
図9は、変形例3に係る触覚提示装置10Cの平面図である。触覚提示装置10Cのフィルム部材は、第1フィルム部材20A、第2フィルム部材20B、第3フィルム部材20C、第4フィルム部材20D、第5フィルム部材20E、および第6フィルム部材20Fを有する。また、固定部は、第1フィルム部材20Aを固定する第1固定部21Aと、第2フィルム部材20Bを固定する第2固定部21Bと、第3フィルム部材20Cを固定する第3固定部21Cと、第4フィルム部材20Dを固定する第4固定部21Dと、第5フィルム部材20Eを固定する第5固定部21Eと、第6フィルム部材20Fを固定する第6固定部21Fと、を有する。
【0047】
第1フィルム部材20A、第2フィルム部材20B、第3フィルム部材20C、第4フィルム部材20D、第5フィルム部材20E、および第6フィルム部材20Fのそれぞれの間には、弾性体40が配置されている。この場合も、フィルム部材の上面は平坦となり、複数のフィルム部材が一体として1つのフィルム部材が配置されているように構成することができる。
【0048】
なお、図9の例では、全てのフィルム部材は同じ面積であるが、全てのフィルム部材の面積は同じである必要はない。
【0049】
これにより、変形例1に係る触覚提示装置10Cは、より広い面積の振動パネル30に対して、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができ、さらに外観上も平坦なフィルムを実現することができる。
【0050】
(変形例4)
図10は、変形例4に係る触覚提示装置10Dの平面図である。図1の平面図と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
触覚提示装置10Dのフィルム部材は、第1フィルム部材20Aおよび第2フィルム部材20Bを有する。また、固定部は、第1フィルム部材20Aを固定する第1固定部21Aと、第2フィルム部材20Bを固定する第2固定部21Bと、を有する。
【0052】
第1フィルム部材20Aおよび第2フィルム部材20Bは、重なる部分25を有する。重なる部分25は、互いのフィルムが接触しているだけであり、接続されていない。そのため、第1フィルム部材20Aまたは第2フィルム部材20Bのいずれか一方が振動した場合に、他方のフィルム部材に対して、その振動を伝え難い。
【0053】
したがって、変形例4に係る触覚提示装置10Dは、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる。
【0054】
(変形例5)
図11は、変形例5に係る触覚提示装置10Eの平面図である。図1の平面図と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
触覚提示装置10Eのフィルム部材20は、スリット70を有する。スリット70は、フィルム部材20の右側の部分および左側の部分を分離する。フィルム部材20は、スリット70を境にして右側の部分および左側の部分に分かれる。フィルム部材20の右側部分または左側部分のいずれか一方を押し込んで振動パネル30が振動した場合に、フィルム部材20の他方の部分に対して、振動を伝え難い。したがって、変形例5に係る触覚提示装置10Eは、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる。
【0056】
(変形例6)
図12は、変形例6に係る触覚提示装置10Fの平面図である。図11の平面図と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
触覚提示装置10Fのフィルム部材20は、スリット70に代えて、複数の開口部90を有する。フィルム部材20は、複数の開口部90の右側の部分および左側の部分に分かれる。フィルム部材20の右側部分または左側部分のいずれか一方を押し込んで、振動パネル30が振動した場合に、フィルム部材20の他方の部分に対して、振動を伝え難い。したがって、変形例6に係る触覚提示装置10Fも、振動を局所的に伝えることと薄型化を同時に実現することができる。
【0058】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0059】
10 :触覚提示装置
10A :触覚提示装置
10B :触覚提示装置
10C :触覚提示装置
10D :触覚提示装置
10E :触覚提示装置
10F :触覚提示装置
16 :ねじ
20 :フィルム部材
20A :第1フィルム部材
20B :第2フィルム部材
20C :第3フィルム部材
20D :第4フィルム部材
20E :第5フィルム部材
20F :第6フィルム部材
21 :固定部
21A :第1固定部
21B :第2固定部
21C :第3固定部
21D :第4固定部
21E :第5固定部
21F :第6固定部
25 :部分
30 :振動パネル
40 :弾性体
70 :スリット
90 :開口部
300 :表面パネル
301 :振動部材
302 :枠状部材
303 :固定部材
304 :圧電フィルム
500 :接続部材
3021 :梁
3031 :圧電フィルム接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12