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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】溶接品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20241112BHJP
   B23K 15/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B23K26/21 N
B23K15/00 505
B23K26/21 G
B23K15/00 501A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022080661
(22)【出願日】2022-05-17
(65)【公開番号】P2023169516
(43)【公開日】2023-11-30
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 徹
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1986139(CN,A)
【文献】特開昭62-286680(JP,A)
【文献】特開2003-290951(JP,A)
【文献】特開平11-167904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B23K 15/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材をレーザ溶接または電子ビーム溶接によって溶接して溶接部を形成し、内部空間を有する溶接品を製造する溶接品の製造方法であって、
前記内部空間を囲む前記溶接部を形成する周縁溶接工程を含み、
前記内部空間を囲む前記溶接部の外側に前記溶接部の終点部を形成する外側終端工程、前記レーザ溶接のレーザもしくは前記電子ビーム溶接の電子ビームを前記複数の部材の外縁の内側から外側まで移動させて前記溶接部を形成する外縁交差工程、一つの前記溶接部の終点部に重なる他の前記溶接部を形成する重複溶接工程、および、前記内部空間を区画する前記溶接部によって囲まれた領域に前記溶接部の終点部を形成する終端囲繞工程のうち、少なくとも前記重複溶接工程および前記終端囲繞工程をさらに含むことを特徴とする溶接品の製造方法。
【請求項2】
前記溶接部は、直線状に延びる直線部と、異なる方向に延びる前記直線部の間に形成される屈曲部とを有し、
前記屈曲部の両側の前記直線部の間の夾角の角度が90度以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶接品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶接品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からレーザ溶接によりアルミニウム部材を接合する方法が知られている。たとえば、下記特許文献1は、2つのアルミニウム製被接合部材の少なくとも一方の接合面にAl-Si系合金溶加材を溶射して溶加材被膜を形成し、これらの被接合部材を組付けてレーザ溶接により接合することを特徴とするアルミニウム部材の接合方法を開示している(第0005段落、請求項1、要約等)。
【0003】
この従来のアルミニウム部材の接合方法によれば、凝固割れ感受性の高い被接合部材の接合において、従来のように溶加材の供給速度によって溶接速度が低下することなくレーザによる高速溶接が可能となるとともに、接合作業自体も簡単になる(特許文献1、第0016段落)。
【0004】
また、溶加材を用いなくてもバスバーの溶接割れを伴わずに電子部品の外部端子に溶接できるバスバーが知られている。下記特許文献2は、電子部品の外部端子に接続される複数の端子部が1000系アルミニウムからなり、これらの端子部間を連繋する本体部が6000系アルミニウム合金からなり、前記端子部と本体部とが摩擦攪拌接合されて一体化してなることを特徴とするバスバーを開示している(特許文献2、第0009段落、請求項1、要約等)。
【0005】
この従来のバスバーによれば、電子部品の外部端子に接続する端子部は1000系アルミニウムで構成されているので溶接性が良く、端子部を電子部品の外部端子に溶接する際に溶加材を用いなくても溶接割れが生じず良好に接合できる。また、溶加材を用いずに溶接できることで、溶加材による導電性の低下がなくバスバー連結によるエネルギー損失を低減できる。さらに、溶加材供給のための条件設定や管理といった付随作業が不要であるから溶接作業性が良い(特許文献2、第0015段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平07-100675号公報
【文献】特開2015-015211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のアルミニウム部材の接合方法は、前述のように、被接合部材を組付けてレーザ溶接により接合する前に、被接合部材の接合面にAl-Si系合金溶加材を溶射して溶加材被膜を形成する準備作業が必要になる。そのため、被接合部材の面積に対する溶接個所が増加すると、準備作業が増加して被接合部材の溶接が煩雑になる。
【0008】
また、上記従来のバスバーは、前述のように、1000系アルミニウムで構成されている部分と6000系アルミニウム合金で構成されている部分との摩擦攪拌接合が必要になる。摩擦攪拌接合は、接合される部材の面積に対する溶接個所が増加すると、適用が困難になる。
【0009】
本開示は、溶接個所が増加しても適用が容易であり、溶接が簡単で、線状の溶接部の終点部に割れが発生しても溶接品の内部空間に影響を及ぼすことを防止可能な溶接品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、複数の部材をレーザ溶接または電子ビーム溶接によって溶接して溶接部を形成し、内部空間を有する溶接品を製造する溶接品の製造方法であって、前記内部空間を囲む前記溶接部を形成する周縁溶接工程を含み、前記内部空間を囲む前記溶接部の外側に前記溶接部の終点部を形成する外側終端工程、前記レーザ溶接のレーザもしくは前記電子ビーム溶接の電子ビームを前記複数の部材の外縁の内側から外側まで移動させて前記溶接部を形成する外縁交差工程、一つの前記溶接部の終点部に重なる他の前記溶接部を形成する重複溶接工程、または、前記内部空間を区画する前記溶接部によって囲まれた領域に前記溶接部の終点部を形成する終端囲繞工程の少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする溶接品の製造方法である。
【0011】
上記一態様に係る溶接品の製造方法は、少なくとも前記外側終端工程または前記外縁交差工程を含むことができる。また、上記各態様に係る溶接品の製造方法は、少なくとも前記重複溶接工程および前記終端囲繞工程を含むことができる。また、上記各態様に係る溶接品の製造方法において、前記溶接部は、直線状に延びる直線部と、異なる方向に延びる前記直線部の間に形成される屈曲部とを有し、前記屈曲部の両側の前記直線部の間の夾角の角度が90度以上であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の上記各態様によれば、溶接個所が増加しても適用が容易であり、溶接が簡単で、線状の溶接部の終点部に発生する溶接割れが溶接品の内部空間に影響を及ぼすことを防止可能な溶接品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に係る溶接品の製造方法の一実施形態を示すフロー図。
図2図1の溶接品の製造方法によって製造される溶接品の一例を示す断面図。
図3図2の溶接品の下面図。
図4図2の溶接品の上面図。
図5図4の溶接品のV部における溶接部の拡大図。
図6図5の溶接品の変形例を示す溶接部の拡大図。
図7図4の溶接品のVII部における溶接部の拡大図。
図8図7の溶接品の変形例を示す溶接部の拡大図。
図9図4の溶接品のIX部における溶接部の拡大図。
図10図9の溶接品のX部における溶接部の拡大図。
図11図7の溶接品の変形例を示す溶接部の拡大図。
図12図9の溶接品のXII部における溶接部の拡大図。
図13図4の溶接品のXIII部における溶接部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示に係る溶接品の製造方法の実施形態を説明する。図1は、本開示に係る溶接品の製造方法の一実施形態を示すフロー図である。図2は、図1の溶接品の製造方法Pによって製造される溶接品1の一例を示す断面図である。図3は、図2の溶接品1の下面図である。図4は、図2の溶接品1の上面図である。なお、図2の溶接品1の断面は、図3および図4に示す溶接品1の中心線に沿う断面である。
【0015】
本実施形態の溶接品の製造方法Pは、複数の部材をレーザ溶接または電子ビーム溶接によって溶接して溶接部Wを形成し、内部空間2を有する溶接品1を製造する方法である。図1に示すように、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、周縁溶接工程P1を含んでいる。また、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、たとえば、周縁溶接工程P1に加えて、外側終端工程P2または外縁交差工程P3を含んでいる。さらに、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、重複溶接工程P4および終端囲繞工程P5を含んでいる。なお、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、周縁溶接工程P1に加えて、外側終端工程P2、外縁交差工程P3、重複溶接工程P4、または、終端囲繞工程P5の少なくとも一つを含んでいればよい。
【0016】
本実施形態の溶接品の製造方法Pによって製造される溶接品1は、レーザ溶接または電子ビーム溶接によって溶接された複数の部材によって構成されている。図2から図4に示す例において、溶接品1は、複数の板状部材によって構成されている。より具体的には、溶接品1は、たとえば、平板状の下板3と、凹凸形状が付与された上板4とを有している。
【0017】
溶接品1は、溶接された複数の部材の間に内部空間2を有している。図2に示す例において、上板4は、下板3に接する平坦部41と、下板3と反対方向に膨出して下板3との間に内部空間2を形成する膨出部42と、を有している。より詳細には、本実施形態において、溶接品1は、たとえば、冷却器であり、溶接品1の内部空間2は、冷却器の冷媒流路である。図3に示すように、下板3は、冷媒入口31と、冷媒出口32を有している。
【0018】
図4に示すように、上板4の膨出部42は、下板3との間に形成される内部空間2の形状に対応する形状を有している。本実施形態の溶接品1の内部空間2は、たとえば、複数の分岐部や屈曲部を有する冷却器の冷媒流路であり、図3に示すように、下板3に開口する冷媒入口31および冷媒出口32を介して冷媒が供給および排出される。図2および図4に示すように、上板4の平坦部41は、レーザ溶接または電子ビーム溶接によって下板3に溶接されて、線状の溶接部Wが形成される。
【0019】
なお、溶接品1は、冷却器に限定されず、複数の部材が溶接された構成を有し、線状の溶接部Bに囲まれた内部空間2を有する熱交換器やタンクなどであってもよい。また、溶接品1は、三枚以上の板状部材が溶接された構成を有してもよい。溶接品1を構成する複数の部材の素材は、たとえば、2000系(Al-Cu系)、3000系(Al-Mn系)、または4000系(Al-Si系)のアルミニウム合金などの金属材料である。
【0020】
本実施形態の溶接品の製造方法Pは、溶接品を構成する複数の部材の素材が、たとえば、5000系(Al-Mg系)、6000系(Al-Mg-Si系)、または7000系(Al-Zn-Mg軽合金)などのアルミニウム合金である場合に特に有効である。以下、本実施形態の溶接品の製造方法Pの各工程を詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の溶接品の製造方法Pが開始されると、たとえば、周縁溶接工程P1が実行される。周縁溶接工程P1では、内部空間2を囲む溶接部Wを形成する。より具体的には、図2に示すように下板3の上に上板4を配置して、上板4の平坦部41と下板3とを重ね合わせる。そして、レーザ溶接または電子ビーム溶接によって、下板3との間に内部空間2を形成する上板4の膨出部42の周囲を連続的に溶接し、図4に示すように、膨出部42の周囲を全周にわたって連続的に囲む溶接部Wとしての周縁溶接部W1を形成する。
【0022】
周縁溶接部W1は、上板4の外縁に沿って直線状に延びる複数の直線部W13と、異なる方向に延びる直線部W13,W13の間に形成される複数の屈曲部W14とを有している。図4に示す例において、各々の屈曲部W14は円弧状に形成され、各々の屈曲部W14の両側の直線部W13,W13の間の夾角の角度は90度である。
【0023】
一例として、厚さが0.8mmの6000系アルミニウム合金(A6061-T6)の下板3と上板4をレーザ溶接する場合の条件は、レーザスポット径を0.6mm、レーザ出力を2.8kW、レーザ走査速度を5m/minとすることができる。なお、これらの条件は一例であり、溶接方法、溶接する部材の厚さおよび材質などによって条件が変化することは言うまでもない。レーザ溶接の場合、たとえば、連続波(CW)方式を採用することができるが、連続的な線状の溶接部Wを形成できる方式であれば、CW方式に限定されない。
【0024】
図5は、図4の溶接品1のV部における溶接部Wの拡大図である。図4および図5に示すように、周縁溶接工程P1では、たとえば、上板4の左下の角部など、下板3と上板4の平坦部41とが重なり合う上板4の周縁部の任意の点から下板3と上板4の溶接が開始され、溶接部Wの始点部W11が形成される。そして、始点部W11から、たとえば、上板4の左側縁などの一つの側縁に沿って上板4の周縁部に溶接部Wを線状に形成し、さらに上板4の他の側縁に沿って溶接部Wを線状に形成し、上板4の周縁部の全周にわたって溶接部Wを形成する。
【0025】
そして、最終的に、図5に示すように、溶接を開始した上板4の一つの側縁に沿って形成された溶接部Wに交差する溶接部Wを形成して、上板4の膨出部42と下板3との間に形成される内部空間2の全周を囲む周縁溶接部W1を形成する。これにより、周縁溶接工程P1が終了し、そのまま連続して外側終端工程P2が実行される。外側終端工程P2では、図5に示すように、最初に形成した溶接部Wに交差させた溶接部Wをそのまま連続的に延長させて形成し、内部空間2を囲む溶接部Wである枠状の周縁溶接部W1の外側に溶接部Wの終点部W12を形成する。
【0026】
たとえば、溶接品1を構成する部材が5000系、6000系、7000系などのアルミニウム合金である場合には、溶接部Wの終点部W12において割れが生じやすくなる。これは、溶接部Wの終点部W12に後続の溶接部Wが存在しないため、溶融した金属の凝固時に後続の部分から溶融した金属が供給されず、終点部W12において溶融した金属の凝固時に作用する応力が他の部分よりも大きくなるためと考えられる。
【0027】
溶接部Wの終点部W12に割れが発生した場合でも、外側終端工程P2を実施して内部空間2を囲む溶接部Wである枠状の周縁溶接部W1の外側に溶接部Wの終点部W12を形成することで、溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことが防止される。すなわち、内部空間2を囲む周縁溶接部W1によって内部空間2の周縁部の封止性が確保されるため、周縁溶接部W1の外側で溶接部Wの終点部W12に割れが発生しても、内部空間2の周縁部における封止性が低下することがない。
【0028】
図6は、図5の溶接品1の変形例を示す溶接部Wの拡大図である。図1に示すように、本実施形態の溶接品の製造方法Pでは、周縁溶接工程P1の後に、外側終端工程P2に替えて外縁交差工程P3を実施してもよい。外縁交差工程P3は、たとえば、図5に示す外側終端工程P2と同様に、内部空間2の全周を囲む周縁溶接部W1を形成する周縁溶接工程P1の終了後に、そのまま連続して実行することができる。
【0029】
外縁交差工程P3では、図6に示すように、レーザ溶接のレーザまたは電子ビーム溶接の電子ビームを、溶接品1を構成する複数の部材である上板4および下板3の外縁の内側から外側まで移動させて溶接部Wを形成する。これにより、溶接品1を構成する部材である上板4および下板3の周縁部に溶接部Wの終点部W12が形成されなくなる。
【0030】
溶接部Wの終点部W12は、連続的に形成された溶接部Wの終端であり、図5に示す例では、溶接品1を構成する部材である上板4および下板3の外縁の内側に形成される。すなわち、溶接部Wの終点部W12と上板4の外縁との間には、溶接部Wが形成されていない部分が存在する。この場合、前述のように、溶接部Wの終点部W12において、割れが生じやすくなる。
【0031】
これに対し、外縁交差工程P3では、図6に示すように、溶接部Wが溶接品1を構成する部材である上板4および下板3の外縁に交差するように形成され、上板4および下板3の周縁部に溶接部Wの終点部W12が形成されなくなる。図6に示す例では、溶接品1を構成する上板4および下板3に外縁に、上板4および下板3と同じ材質の補助板APの外縁を突き合せている。
【0032】
この状態で、レーザ溶接のレーザまたは電子ビーム溶接の電子ビームを、上板4および下板3の外縁の内側から外側まで移動させ、上板4および下板3から補助板APまで溶接部Wを連続的に形成し、補助板APに溶接部Wの終点部W12を形成している。これにより、溶接部Wの上板4および下板3の外縁に交差する部分は、補助板APに形成される後続の溶接部Wから溶融した金属が供給され、割れが防止される。その後、上板4および下板3の外縁で溶接部Wを切断する。
【0033】
なお、外縁交差工程P3は、補助板APを使用しなくてもよい。この場合、レーザ溶接のレーザまたは電子ビーム溶接の電子ビームを、溶接品1を構成する部材である上板4および下板3の外縁の内側から外側まで移動させると、上板4および下板3の外縁が溶融および凝固して溶接部Wが形成される。この溶接部Wの末端は、図5に示す終点部W12とは異なり、下板3および上板4の外縁との間に、下板3および上板4の溶接部Wが形成されてない部分が存在しない。したがって、溶接部Wの末端は、上板4および下板3の外縁よりも内側に収縮しながら凝固することで、凝固時に作用する応力が低減され、割れが防止される。
【0034】
本実施形態の溶接品の製造方法Pにおいて、外側終端工程P2および外縁交差工程P3は、たとえば、以下に説明する流路形成溶接部W2を形成する工程を含む。流路形成溶接部W2は、図4に示す溶接部Wの一部であり、内部空間2を囲む周縁溶接部W1の内側から外側へ延びている。流路形成溶接部W2は、たとえば、図2に示すように、溶接品1の内部空間2を区画して、内部空間2に冷媒流路を形成する。
【0035】
図7は、図4の溶接品1のVII部における溶接部Wの拡大図である。図4に示す例において、上板4の平坦部41は、上板4の周縁部から中央部に向けて延びるL字型の半島状の部分を有している。外側終端工程P2の流路形成溶接部W2を形成する工程では、上板4の平坦部41の半島状の部分の先端から溶接を開始し、始点部W21から線状に延びる流路形成溶接部W2を形成する。
【0036】
そして、図7に示すように、内部空間2を囲む溶接部Wである周縁溶接部W1の外側に流路形成溶接部W2の終点部W22を形成する。これにより、前述の外側終端工程P2において周縁溶接部W1の終点部W12を、内部空間2を囲む周縁溶接部W1の外側に形成する工程と同様の効果を奏することができる。
【0037】
図8は、図7の溶接品1の変形例を示す溶接部Wの拡大図である。外縁交差工程P3の流路形成溶接部W2を形成する工程では、前述の外側終端工程P2と同様に、上板4の平坦部41の半島状の部分の先端から溶接を開始し、始点部W21から線状に延びる流路形成溶接部W2を形成する。
【0038】
そして、図8に示すように、レーザ溶接のレーザまたは電子ビーム溶接の電子ビームを、溶接品1を構成する複数の部材である上板4および下板3の外縁の内側から外側まで移動させて、上板4および下板3の外縁に交差する流路形成溶接部W2を形成する。図8に示す例では、前述の図6に示す例と同様に、補助板APを使用しているが、この流路形成溶接部W2を形成する外縁交差工程P3も、補助板APを使用せずに実施することができる。
【0039】
なお、溶接部Wの一部である流路形成溶接部W2は、図4に示すように、直線状に延びる複数の直線部W23と、異なる方向に延びる直線部W23,W23の間に形成される一つまたは複数の屈曲部W24とを有している。図4に示す例において、各々の屈曲部W24は円弧状に形成され、各々の屈曲部W24の両側の直線部W23,W23の間の夾角の角度は、90度と等しいか、または90度よりも大きい鈍角である。
【0040】
本実施形態の溶接品の製造方法Pでは、前述の流路形成溶接部W2を形成する外側終端工程P2または外縁交差工程P3の終了後、たとえば、図1に示すように、重複溶接工程P4および終端囲繞工程P5が実施される。重複溶接工程P4は、たとえば、第1の重複溶接工程P41と第2の重複溶接工程P42を含み、終端囲繞工程P5は、たとえば、第1の終端囲繞工程P51と第2の終端囲繞工程P52とを含む。
【0041】
第1の重複溶接工程P41および第1の終端囲繞工程P51では、溶接部Wの一部である流路形成溶接部W3を形成し、第2の重複溶接工程P42および第2の終端囲繞工程P52では、溶接部Wの一部である流路形成溶接部W4を形成する。流路形成溶接部W3,W4は、図4に示すように、上板4の膨出部42によって囲まれた島状の平坦部41と下板3とを接合し、上板4の膨出部42と下板3との間の内部空間2を区画して、溶接品1に冷媒流路を形成する。
【0042】
図9は、図4の溶接品1のIX部における溶接部Wの拡大図である。溶接部Wである流路形成溶接部W3は、たとえば、溶接部Wである第1部分W31、第2部分W32、第3部分W33、および第4部分W34を有し、図2に示すように、溶接品1の内部空間2を区画して、溶接品1に冷媒流路を形成する。
【0043】
第1部分W31は、三叉のフォーク形状を有する平坦部41の一つの先端部に始点部W311を有し、三叉の平坦部41の中央の先端部の手前に終点部W312を有している。また、第1部分W31は、直線状に延びる複数の直線部W313と、異なる方向に延びる直線部W313,W313の間に形成される複数の屈曲部W314とを有し、各々の屈曲部W314の両側の直線部W313,W313の間の夾角の角度は90度である。
【0044】
第2部分W32は、三叉のフォーク形状を有する平坦部41の三つの先端部とは反対側の基底部に始点部W321を有している。第2部分W32は、三叉の平坦部41の基底部の一端と中央部との間の始点部W321から基底部の他端まで直線状に延び、基底部の他端で基底部に垂直な方向に屈曲され、三叉の平坦部41の三つの先端部のうちの一つの先端部の手前に終点部W322を有している。また、第2部分W32は、直線状に延びる二つの直線部W323と、異なる方向に延びる二つの直線部W323の間に形成される円弧状の一つの屈曲部W324とを有し、その屈曲部W324の両側の直線部W323,W323の間の夾角の角度は90度である。
【0045】
第3部分W33は、三叉の平坦部41の両端の二つの先端部のうち、第1部分W31の始点部W311が形成された先端部と反対側の先端部に始点部W331を有し、三叉の平坦部41の中央の先端部の手前に終点部W332を有している。また、第3部分W33は、直線状に延びる複数の直線部W333と、異なる方向に延びる二つの直線部W333,W333の間に形成される複数の屈曲部W334とを有し、その屈曲部W334の両側の直線部W333,W333の間の夾角の角度は90度である。
【0046】
第4部分W34は、三叉の平坦部41の中央の先端部に始点部341を有し、三叉の平坦部41の基底部に向けて直線状に延び、第4部分W34に垂直な方向に延びる平坦部41の基底部の中央部に終点部W342を有している。
【0047】
図10は、図9の溶接品のX部における溶接部Wの拡大図である。流路形成溶接部W3を形成する第1の重複溶接工程P41では、図9および図10に示すように、まず、第1部分W31を形成して終点部W312を形成し、次に、第2部分W32を形成して終点部W322を形成する。次に、図9および図10に示すように、一つの溶接部Wである第2部分W32の終点部W322と、一つの溶接部Wである第1部分W31の終点部W312に重なる他の溶接部Wである第3部分W33を形成する。
【0048】
最後に、三叉の平坦部41の中央の先端部に始点部W341を有し、第3部分W33と第1部分W31のそれぞれの終点部W332,W312に重なる第4部分W34を形成する。ここで、第3部分W33と第1部分W31は、各々が一つの溶接部Wであり、第4部分W34は、それぞれの溶接部Wの終点部W332,W312に重なる他の溶接部Wである。
【0049】
このように、第1の重複溶接工程P41では、溶接部Wである第1部分W31、第2部分W32、および第2部分W32の各々の終点部W312,W322,W332に重なる他の溶接部Wとして第3部分W33または第4部分W34を形成する。これにより、終点部W312,W322,W332に発生した割れを、終点部W312,W322,W332に重複させて形成する第3部分W33または第4部分W34によって修復することができる。
【0050】
図11は、図7の溶接品1の変形例を示す溶接部Wの拡大図である。図7に示す例では、周縁溶接工程P1を実施して周縁溶接部W1を形成した後に、外側終端工程P2を実施して流路形成溶接部W2を形成した。これに対し、図11に示す例では、重複溶接工程P4と並行して周縁溶接工程P1を実施する。
【0051】
より具体的には、まず、前述の外側終端工程P2と同様に、図4に示す上板4の周縁部から中央部にL字状に延びる半島状の平坦部41の先端部から上板4の周縁部へ向けて流路形成溶接部W2を形成し、上板4の周縁部の平坦部41に終点部W22を形成する。このとき、流路形成溶接部W2の終点部W22は、終点部W22の形成後に実施される周縁溶接工程P1によって形成される周縁溶接部W1に重なる位置に形成する。
【0052】
次に、前述の周縁溶接工程P1を実施して、溶接品1の内部空間を囲む周縁溶接部W1を形成する。このとき、図11に示すように、上板4の周縁部の平坦部41に形成された流路形成溶接部W2の終点部W22に周縁溶接部W1を重複させて形成する。これにより、流路形成溶接部W2の終点部W22に割れが発生した場合でも、周縁溶接部W1を重複させて形成することで、流路形成溶接部W2の終点部W22の割れを修復することができる。
【0053】
図9に示すように、流路形成溶接部W3を形成する第1の重複溶接工程P41において、第3部分W33の終点部W332および第1部分W31の終点部W312に重なる第4部分W34が形成されると、第1の重複溶接工程P41が終了する。本実施形態の溶接品の製造方法Pでは、第1の重複溶接工程P41が終了すると、そのまま連続して第1の終端囲繞工程P51が実施される。
【0054】
図12は、図9の溶接品1のXII部における溶接部Wの拡大図である。第1の終端囲繞工程P51では、溶接品1の内部空間2を区画する溶接部Wである流路形成溶接部W3の第1部分W31と、第2部分W32と、第3部分W33とによって囲まれた領域に、第4部分W34の終点部W342を形成する。
【0055】
より具体的には、この第1の終端囲繞工程P51では、第1の重複溶接工程P41において上板4の三叉の平坦部41における中央の先端部から溶接を開始した第4部分W34を三叉の平坦部41の基底部へ向けて連続的に形成する。そして、第4部分W34の終点部W342を、三叉の平坦部41の基底部において第1部分W31と、第2部分W32と、第3部分W33とによって囲まれた領域に形成する。以上により、第1の終端囲繞工程P51が終了する。
【0056】
このように、終端囲繞工程P5では、溶接品1の内部空間2を区画する溶接部Wである第1部分W31、第2部分W32、第3部分W33によって囲まれた領域に、溶接部Wである第4部分W34の終点部W342を形成する。これにより、終点部W342において割れが発生した場合でも、溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことが防止される。図1に示すように、本実施形態の溶接品の製造方法Pでは、次に、第2の重複溶接工程P42および第2の終端囲繞工程P52が実施される。
【0057】
図13は、図4の溶接品のXIII部における溶接部Wの拡大図である。第2の重複溶接工程P42および第2の終端囲繞工程P52では、図4および図13に示す流路形成溶接部W4を形成する。溶接部Wである流路形成溶接部W4は、たとえば、溶接部Wである第1部分W41、第2部分W42、および第3部分W43を有し、上板4の膨出部42と下板3との間に形成される内部空間2を区画して、溶接品1に冷媒流路を形成する。
【0058】
第1部分W41は、細長い形状の平坦部41の一方の端部に形成された始点部W411と、平坦部41の他方の端部に形成された終点部W412とを有している。また、第1部分W41は、始点部W411から終点部W412へ向けて直線状に延びる直線部W413aと、その直線部W413aと異なる方向へ直線状に延びる直線部W413bと、その直線部W413bと異なる方向へ直線状に延びる直線部W413cとを有している。
【0059】
また、第1部分W41は、直線部W413aと直線部W413bとの間に屈曲部W414aを有し、直線部W413bと直線部W413cとの間に屈曲部W414bを有している。屈曲部W414aの両側の直線部W413aと直線部W413bとの間の夾角と、屈曲部W414bの両側の直線部W413bと直線部W413cとの間の夾角の角度は、それぞれ、90度以上の鈍角である。
【0060】
第2部分W42は、細長い形状の平坦部41において第1部分W41の始点部W411が形成された端部と反対側の端部に形成された始点部W421と、その反対側の平坦部41の端部において第1部分W41の始点部W411よりも平坦部41の中央寄りに形成された終点部W422とを有している。また、第2部分W42は、始点部W421から終点部W422へ向けて直線状に延びる直線部W423aと、その直線部W423aと異なる方向へ直線状に延びる直線部W423bと、その直線部W423bと異なる方向へ直線状に延びる直線部W423cとを有している。
【0061】
また、第2部分W42は、直線部W423aと直線部W423bとの間に屈曲部W424aを有し、直線部W423bと直線部W423cとの間に屈曲部W424bを有している。屈曲部W424aの両側の直線部W423aと直線部W423bとの間の夾角と、屈曲部W424bの両側の直線部W423bと直線部W423cとの間の夾角の角度は、それぞれ、90度以上の鈍角である。
【0062】
第3部分W43は、細長い形状の平坦部41の一方の端部において第1部分W41の始点部W411よりも長手方向における端縁寄りの位置に形成された始点部W431と、平坦部41の長手方向の中央部に形成された終点部W432とを有している。第3部分W43の終点部W432は、溶接品1の内部空間2を区画する流路形成溶接部W4の第1部分W41および第2部分W42によって囲まれた領域に形成されている。
【0063】
また、第3部分W43は、始点部W431から終点部W432へ向けて直線状に延びる直線部W433aと、その直線部W433aと異なる方向へ直線状に延びる直線部W433bとを有している。また、第3部分W43は、直線部W433aと直線部W433bとの間に屈曲部W434を有している。屈曲部W434の両側の直線部W433aと直線部W433bとの間の夾角の角度は、90度以上の鈍角である。
【0064】
第2の重複溶接工程P42では、まず、上板4の細長い島状の平坦部41に、流路形成溶接部W4の第1部分W41を形成する。次に、一つの溶接部Wである第1部分W41の終点部W412に重なる他の溶接部Wとして、第2部分W42を形成する。最後に、一つの溶接部Wである第2部分W42の終点部W422に重なる他の溶接部Wとして、第3部分W43を形成する。
【0065】
このように、第2の重複溶接工程P42では、第1部分W41の終点部W412に重なる第2部分W42と、第2部分W42の終点部W422に重なる第3部分W43を形成することで、終点部W412,W422に割れが発生しても、その割れを修復することができる。
【0066】
本実施形態の溶接品の製造方法Pでは、第2の重複溶接工程P42が終了すると、そのまま連続して第2の終端囲繞工程P52が実施される。第2の終端囲繞工程P52では、溶接品1の内部空間2を区画する溶接部Wである流路形成溶接部W4の第1部分W41と第2部分W42とによって囲まれた領域に第3部分W43の終点部W432を形成する。以上により、第2の終端囲繞工程P52が終了し、図1に示す溶接品の製造方法Pが終了する。
【0067】
このように、終端囲繞工程P5では、溶接品1の内部空間2を区画する溶接部Wである第1部分W41と第2部分W42とによって囲まれた領域に第3部分W43の終点部W432を形成する。これにより、終点部W432において割れが発生した場合でも、溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことが防止される。
【0068】
以上のように、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、複数の部材をレーザ溶接または電子ビーム溶接によって溶接して溶接部Wを形成し、内部空間2を有する溶接品1を製造する方法である。本実施形態の溶接品の製造方法Pは、内部空間2を囲む溶接部Wを形成する周縁溶接工程P1を含む。また、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、外側終端工程P2、外縁交差工程P3、重複溶接工程P4、終端囲繞工程P5の少なくとも一つをさらに含む。外側終端工程P2では、図5および図7に示すように、内部空間2を囲む溶接部Wの外側に溶接部Wの終点部W12,W22を形成する。外縁交差工程P3では、図6および図8に示すように、レーザ溶接のレーザまたは電子ビーム溶接の電子ビームを、溶接品1を構成する複数の部材の外縁の内側から外側まで移動させて溶接部Wを形成する。重複溶接工程P4では、図10に示すように、一つの溶接部Wの終点部W312等に重なる他の溶接部Wである第3部分W33、第4部分W34等を形成する。終端囲繞工程P5では、図12および図13に示すように、内部空間2を区画する溶接部Wである第1部分W31等によって囲まれた領域に溶接部Wの終点部W342,W432を形成する。
【0069】
このような構成により、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、前述の従来のアルミニウム部材の接合方法のような溶加材被膜を形成する準備作業が不要になり、溶接を簡単にすることができる。また、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、前述の従来のバスバーのように摩擦撹拌接合を必要としないので、溶接品1を構成する部材の面積に対する溶接個所が増加しても適用が容易である。また、外側終端工程P2によって溶接部Wの終点部W12,W22を溶接品1の内部空間2を囲む溶接部Wの外側に形成することで、線状の溶接部Wの終点部W12,W22に割れが発生しても溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことを防止できる。また、図6または図8に示すように、外縁交差工程P3によって溶接品1を構成する部材に溶接部Wの終点部W12,W22を形成しないことで、溶接部Wの終点部W12,W22に割れが発生しても溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことを防止できる。また、図10および図13に示すように、重複溶接工程P4によって溶接部Wの終点部W312,W322,W332,W412,W422に重なる他の溶接部Wを形成することで、終点部W312,W322,W332,W412,W422に発生した割れを修復することができる。したがって、終点部W312,W322,W332,W412,W422に発生した割れが溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことを防止できる。また、図12および図13に示すように、終端囲繞工程P5によって内部空間2を区画する溶接部Wによって囲まれた領域に溶接部Wの終点部W342,W432を形成することで、終点部W342,W432に割れが発生しても溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことを防止できる。
【0070】
また、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、少なくとも外側終端工程P2または外縁交差工程P3を含む。このような構成により、本実施形態の溶接品の製造方法Pによれば、図4に示すように、溶接品1に、溶接部Wとして、上板4の周縁部に内部空間2を囲む周縁溶接部W1を形成することができる。また、このような構成により、上板4の周縁部から中央部へ延びる半島状の平坦部41に、内部空間2を区画して溶接品1に冷媒流路を形成する流路形成溶接部W2を形成することができる。
【0071】
また、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、少なくとも重複溶接工程P4および終端囲繞工程P5を含む。このような構成により、本実施形態の溶接品の製造方法Pによれば、図4に示すように、溶接品1に、溶接部Wとして、上板4の膨出部42に囲まれた島状の平坦部41に、内部空間2を区画して溶接品1に冷媒流路を形成する流路形成溶接部W3および流路形成溶接部W4を形成することができる。
【0072】
また、本実施形態の溶接品の製造方法Pにおいて、溶接部Wの周縁溶接部W1は、たとえば、直線状に延びる直線部W13と、異なる方向に延びる直線部W13,W13の間に形成される屈曲部W14を有している。そして、屈曲部W14の両側の直線部W13,W13の間の夾角の角度が90度以上である。このような構成により、本実施形態の溶接品の製造方法Pは、異なる方向に延びる直線部W13,W13の間の上板4および下板3の非溶接部から溶接部Wに作用する熱応力を低減し、溶接部Wに割れが発生することを防止できる。また、溶接部Wの周縁溶接部W1以外の流路形成溶接部W2、流路形成溶接部W3、および流路形成溶接部W4においても同様である。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、溶接個所が増加しても適用が容易であり、溶接が簡単で、線状の溶接部Wの終点部W12等に発生する溶接割れが溶接品1の内部空間2に影響を及ぼすことを防止可能な溶接品の製造方法Pを提供することができる。
【0074】
以上、図面を用いて本開示に係る溶接品の製造方法の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 溶接品
2 内部空間
3 下板(部材)
4 上板(部材)
P 溶接品の製造方法
P1 周縁溶接工程
P2 外側終端工程
P3 外縁交差工程
P4 重複溶接工程
P5 終端囲繞工程
W 溶接部
W1 周縁溶接部(溶接部)
W12 終点部
W13 直線部
W14 屈曲部
W2 流路形成溶接部(溶接部)
W22 終点部
W23 直線部
W24 屈曲部
W3 流路形成溶接部(溶接部)
W312 終点部
W313 直線部
W314 屈曲部
W322 終点部
W323 直線部
W324 屈曲部
W332 終点部
W333 直線部
W334 屈曲部
W342 終点部
W4 流路形成溶接部(溶接部)
W412 終点部
W413a 直線部
W413b 直線部
W413c 直線部
W414a 屈曲部
W414b 屈曲部
W422 終点部
W423a 直線部
W423b 直線部
W423c 直線部
W424a 屈曲部
W424b 屈曲部
W432 終点部
W433a 直線部
W433b 直線部
W434 屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13