(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】スイッチ装置および時計
(51)【国際特許分類】
G04B 37/10 20060101AFI20241112BHJP
G04G 21/00 20100101ALI20241112BHJP
H01H 13/06 20060101ALI20241112BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G04B37/10 Q
G04G21/00 304B
H01H13/06 B
H01H9/04 D
(21)【出願番号】P 2022087672
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2020009926の分割
【原出願日】2020-01-24
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】平山 千
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第7083458(JP,B2)
【文献】特開平11-109057(JP,A)
【文献】実開昭59-149082(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
H01H 13/00-13/88
H01H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が設けられたケースと、
前記貫通孔にスライド可能に挿入された軸部を備えた操作部材と、
前記軸部の外周に設けられて前記貫通孔の内面に摺動可能に接する第1のパッキン及び第2のパッキンと、
を備え、
前記操作部材の前記軸部の最も外端部側に配置された前記第1のパッキンは、前記第2のパッキンよりも耐熱性及び耐薬品性の高い素材によって形成されている、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記第1のパッキンはフッ素を含む素材によって形成されている、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記第2のパッキンは、前記第1のパッキンよりも耐摩耗性及び耐久性の高い素材によって形成されている、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記操作部材の前記軸部に配置され、前記第2のパッキンよりも前記操作部材の前記軸部の内端部側に配置された第3のパッキンを備え、
前記第2のパッキンはニトリルゴムを含む、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチ装置において、
前記第3のパッキンは
、前記第2のパッキンよりも耐熱性及び耐候性の高い素材によって形成され、ブチルゴムを含む、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置において、
前記ケースは、合成樹脂によって形成されている、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載されたスイッチ装置を備えている、
ことを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計や携帯通信機などの電子機器に用いられるスイッチ装置およびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計のスイッチ装置においては、特許文献1に記載されているように、ケースの貫通孔にスライド可能に挿入された操作部材の軸部に、3個の防水パッキンを設けた構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
この種のスイッチ装置は、3個の防水パッキンを隣接する防水パッキン間の距離を相互に異なるように分散させて配置させ、且つこれら3個の防水パッキンのうち、2個の防水パッキンを常に貫通孔内に位置するように、軸部の軸線に沿って、できる限り距離を開けて配置させた構造になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなスイッチ装置では、操作部材を操作する際に、3個の防水パッキンによって軸部が傾かないように保持することにより、通常の気圧での防水性を確保することができても、高気圧のもとでは十分に防水性を図ることができないという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、高気圧防水を図ることができるスイッチ装置およびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この一の発明は、貫通孔が設けられたケースと、前記貫通孔にスライド可能に挿入された軸部を備えた操作部材と、前記軸部の外周に設けられて前記貫通孔の内面に摺動可能に接する第1のパッキン及び第2のパッキンと、を備え、前記操作部材の前記軸部の最も外端部側に配置された前記第1のパッキンは、前記第2のパッキンよりも耐熱性及び耐薬品性の高い素材によって形成されている、ことを徴とするスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、高気圧防水を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明を適用した腕時計の一実施形態を示した正面図である。
【
図2】
図1に示された腕時計のA-A矢視における拡大断面図である。
【
図4】
図1に示された腕時計において、第1外装部材の第1外装片を分解した状態を示した拡大斜視図である。
【
図5】
図4に示された腕時計において、第1外装部材の第2、第3外装片が取り付けられた第2外装部材を上ケース部に取り付けた状態で、下面側から見た拡大斜視図である。
【
図6】
図5に示された第2外装部材に第1外装部材の第2、第3外装片を取り付けた状態を示した拡大平面図である。
【
図7】
図6に示された第2外装部材と第1外装部材の第2、第3外装片とを下面側から見た拡大斜視図である。
【
図8】
図7に示された第2外装部材と第1外装部材の第2、第3外装片とを表裏反転させて示した拡大斜視図である。
【
図9】
図6に示された第2外装部材に取り付けられた第1外装部材の第2外装片における断面を示し、(a)はそのB-B矢視における拡大断面図、(b)はそのC-C矢視における拡大断面図である。
【
図10】
図1に示された腕時計のD-D矢視において破断して示した拡大斜視図である。
【
図11】
図2に示された腕時計のE-E矢視における拡大断面図である。
【
図12】
図1に示された腕時計における要部の断面を示し、(a)はそのF-F矢視における拡大断面図、(b)はそのG-G矢視における拡大断面図である。
【
図13】
図1に示された腕時計のH-H矢視における拡大断面図である。
【
図14】
図13に示された腕時計における押釦スイッチの要部を示した拡大断面図である。
【
図15】
図2に示された腕時計のスイッチ装置において操作部材のロック部による操作頭部のロックを解除した状態を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図15を参照して、この発明を適用した腕時計の一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1および
図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド2が取り付けられるバンド取付部3が設けられている。また、この腕時計ケース1の3時側には、スイッチ装置4が設けられており、腕時計ケース1の2時側、4時側、8時側、および10時側には、スイッチ装置である押釦スイッチ5がそれぞれ設けられている。
【0011】
また、この腕時計ケース1の上部開口部には、
図1および
図2に示すように、時計ガラス6がパッキン6aを介して設けられている。この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール7が中枠8を介して設けられている。この時計モジュール7は、上部ハウジング7aと下部ハウジング7bとを備えている。上部ハウジング7aと下部ハウジング7bとの間には、回路基板9が設けられている。
【0012】
上部ハウジング7aの上部には、
図2に示すように、文字板10と見切り部材11とが設けられている。文字板10は、光透過性を有する素材でほぼ円板状に形成されており、この文字板10の下面には、ソーラーパネル10aが設けられている。見切り部材11は、リング状に形成され、内周面に時字11aが等間隔で設けられている。この見切り部材11は、文字板10の上面における外周部に配置された状態で、腕時計ケース1の内周面に取り付けられている。
【0013】
また、上部ハウジング7a内には、
図2に示すように、複数の時計ムーブメント12が設けられており、下部ハウジング7b内には、電池13が設けられている。これら複数の時計ムーブメント12それぞれは、文字板10およびソーラーパネル10aの上方に突出する指針軸12aを備え、この指針軸12aの上端部に設けられた指針12bを文字板10の上方で運針させて、時刻などの情報を指示表示するように構成されている。
【0014】
ところで、腕時計ケース1は、
図1~
図4に示すように、ケース本体15と外装部材16とを備えている。ケース本体15は、下ケース17(第1部材)と上ケース18(第2部材)とを備えている。下ケース17は、筒状の側壁部と底部とを備え、これらが強化プラスチックまたは炭素繊維やガラス繊維を混入させた合成樹脂などの剛性の高い合成樹脂によって一体に形成されている。この場合、下ケース17の12時側と6時側との側壁部には、バンド取付部3の取付突起部17aが突出して設けられている。
【0015】
この下ケース17内の底部には、
図2および
図3に示すように、圧電素子14が設けられている。すなわち、この圧電素子14は、振動板14a上に設けられ、この振動板14aが両面粘着テープ14bによって下ケース17内の底部に貼り付けられている。この下ケース17内には、時計モジュール7が中枠8を介して配置されている。上ケース18は、下ケース17により剛性の高い材料、例えばステンレスなどの金属によってほぼリング状に形成されている。
【0016】
すなわち、この上ケース18は、
図2~
図5に示すように、下ケース17の筒状の側壁部の上端面に配置される第1リング部18aと、下ケース17の内周面に当接する第2リング部18bと、第1リング部18a上に設けられて時計ガラス6がパッキン6aを介して取り付けられる筒状部18cと、を備えている。この場合、上ケース18は、第1リング部18aと下ケース17の上端面との間に防水リング19を介して、下ケース17の上部に複数のビス18dによって取り付けられている。
【0017】
外装部材16は、
図1~
図8に示すように、第1外装部材20と第2外装部材21とを備えている。第2外装部材21は、上ケース18の第1リング部18aの上面および筒状部18cの外周面を覆って上ケース18上に配置されるものであり、チタン合金、アルミニウム合金などの装飾性を有する金属によって、ほぼリング状に形成されている。第1外装部材20は、第2外装部材21の上面からケース本体15の外周に亘って配置されるものであり、ケース本体15の外周方向において複数に分割されている。
【0018】
すなわち、第1外装部材20は、
図1~
図8に示すように、ケース本体15の外周における12時側から9時側を経て6時側に至る片側のほぼ半分に配置される第1外装片22と、6時側のバンド取付部3において第1外装片22に対向して配置される第2外装片23と、12時側のバンド取付部3において第1外装片22に対向して配置される第3外装片24と、を備えている。これら第1~第3外装片22~24それぞれは、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂によって形成されている。
【0019】
第1外装片22は、
図3~
図5に示すように、ケース本体15の8時側から10時側までの箇所に対応する外装本体部25と、ケース本体15の7時側に対応する第1カバー部26と、ケース本体15の11時側に対応する第2カバー部27と、を備えている。外装本体部25は、その両側部が第2外装部材21の内周縁から第2外装部材21の上面および上ケース18の側面を経て下ケース17の側壁部の下部に亘って配置されている。
【0020】
この外装本体部25には、
図3~
図5に示すように、押釦スイッチ5の頭部43が挿入する釦挿入孔25aが、ケース本体15の8時側と10時側とにそれぞれ対応して設けられている。また、この外装本体部25の上部には、
図4および
図12(a)に示すように、第1ねじ28が挿入する第1ねじ挿入孔25bが8時側と10時側とにそれぞれ対応して設けられている。
【0021】
この場合、第1ねじ28は、
図1、
図4、および
図12(a)に示すように、外装本体部25の第1ねじ挿入孔25bから第2外装部材21および上ケース18の第1リング部18aの各孔を通して下ケース17の側壁部の上端部に設けられた第1ねじ穴17dに螺合して、外装本体部25および第2外装部材21を上ケース18と共に下ケース17に取り付けるように構成されている。
【0022】
さらに、この外装本体部25の側部には、
図2および
図3に示すように、第2ねじ29が挿入する第2ねじ挿入孔25cが、ケース本体15の9時側の側面に対応して設けられている。この第2ねじ29は、外装本体部25の第2ねじ挿入孔25cから下ケース17の側壁部の側面に設けられた第2ねじ穴17eに螺合することにより、外装本体部25を下ケース17の側面に取り付けるように構成されている。
【0023】
この第1外装片22の第1カバー部26は、
図3~
図5に示すように、腕時計ケース1の6時側のバンド取付部3におけるケース本体15の7時側の端部にこれを覆って配置されるものである。この第1カバー部26には、
図5に示すように、第1ねじ取付孔26aと第1連結穴26bとが設けられている。
【0024】
この場合、下ケース17の6時側の取付突起部17aには、
図10に示すように、第1カバー部26の第1ねじ取付孔26aと同一軸上に対応する本体挿入孔17bが、下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に7時側から5時側に向けて貫通して設けられている。この本体挿入孔17bには、取付ねじ部材30のねじ本体31が挿入されている。この取付ねじ部材30は、両端部に雌ねじ部31aが設けられたねじ本体31と、このねじ本体31の各雌ねじ部31aにそれぞれ螺合する2つの雄ねじ32と、を備えている。
【0025】
これにより、第1カバー部26は、
図10に示すように、下ケース17の取付突起部17aの本体挿入孔17bに取付ねじ部材30のねじ本体31が挿入された状態で、第1ねじ取付孔26aが取付突起部17aの本体挿入孔17bに同一軸上に対応して、雄ねじ32が第1ねじ取付孔26aを通してねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合されることにより、下ケース17の取付突起部17aに取り付けられるように構成されている。
【0026】
また、下ケース17の6時側の取付突起部17aには、
図10および
図11に示すように、第1カバー部26の第1連結穴26bと同一軸上に対応する本体連結孔17cが、下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に7時側から5時側に向けて貫通して設けられている。この本体連結孔17cには、棒状部材であるピン部材33が挿入されている。このピン部材33は、軸方向の長さが取付突起部17aの本体連結孔17cの軸方向の長さよりも長く形成され、本体連結孔17cに挿入された際に、取付突起部17aの両側に突出するように構成されている。
【0027】
これにより、第1カバー部26は、
図10および
図11に示すように、取付突起部17aの本体連結孔17cにピン部材33が挿入されて取付突起部17aの両側に突出され、この突出されたピン部材33が第1連結穴26bに対応して挿入されることにより、取付突起部17aの端部に連結固定されて、取付突起部17aに対するめくれが防止されるように構成されている。
【0028】
第1外装片22の第2カバー部27は、
図3~
図5に示すように、腕時計ケース1の12時側のバンド取付部3におけるケース本体15の11時側の端部にこれを覆って配置されるものである。この第2カバー部27には、
図10および
図11に示すように、第2ねじ取付孔27aと第2連結穴27bとが設けられている。
【0029】
この第2カバー部27は、第1カバー部26と同様に、第2ねじ取付孔27aが下ケース17の取付突起部17aに下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体挿入孔17bに同一軸上に対応するように構成されている。これにより、第2カバー部27は、雄ねじ32が第2ねじ取付孔27aを通して下ケース17の本体挿入孔17b内に挿入されたねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合されることにより、下ケース17の取付突起部17aに取り付けられるように構成されている。
【0030】
また、この第2カバー部27は、第1カバー部26と同様に、取付突起部17aに下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体連結孔17cに第2連結穴27bが同一軸上で対応するように構成されている。これにより、第2カバー部27は、取付突起部17aの本体連結孔17cに挿入されて取付突起部17aの両側に突出されたピン部材33が第2連結穴27bに挿入されることにより、取付突起部17aの端部に連結固定されて、取付突起部17aに対するめくれが防止されるように構成されている。
【0031】
一方、外装部材16の第2外装片23は、
図4~
図9に示すように、ケース本体15の5時側の箇所に取り付けられるものである。この第2外装片23は、ほぼリング状の第2外装部材21の内周縁から第2外装部材21の上面を経て上ケース18の外周面に亘って配置される第2本体部34と、腕時計ケース1の6時側のバンド取付部3におけるケース本体15の5時側の端部に配置される第3カバー部35と、を備えている。
【0032】
この第2外装片23は、
図6~
図9に示すように、第2本体部34がほぼリング状の第2外装部材21に取り付けられて仮固定されるものである。この場合、第2本体部34が取り付けられる第2外装部材21の箇所には、内周側から外周側に向けて食い込む一対の食込み溝21aと、外周部に設けられた係止溝21bとが設けられている。第2本体部34には、第2外装部材21の一対の食込み溝21aに挿入されて取り付けられる一対の取付突起34aと、第2外装部材21の係止溝21bに係合する係合突起34bと、が設けられている。
【0033】
これにより、第2外装片23は、
図6~
図9に示すように、ほぼリング状の第2外装部材21の内周縁から第2外装部材21の上面を経て上ケース18の外周面に亘って配置される際に、第2本体部34の一対の取付突起34aが第2外装部材21の一対の食込み溝21aに挿入されて、第2本体部34の係合突起34bが第2外装部材21の係止溝21bに係合することにより、第2外装部材21に取り付けられて仮固定されるように構成されている。
【0034】
また、第2外装片23の第3カバー部35は、
図4~
図9に示すように、腕時計ケース1の6時側のバンド取付部3に対応する下ケース17の取付突起部17aにおける5時側の側部を覆って配置されて、第1外装片22の第1カバー部26に対向するように構成されている。この第3カバー部35には、
図10および
図11に示すように、第3ねじ取付孔35aと第3連結穴35bとが設けられている。
【0035】
この第3カバー部35は、
図10および
図11に示すように、第3ねじ取付孔35aが下ケース17の取付突起部17aに下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体挿入孔17bに同一軸上で対応するように構成されている。また、この第3カバー部35は、雄ねじ32が第3ねじ取付孔35aを通して下ケース17の本体挿入孔17b内に挿入されたねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合されることにより、下ケース17の取付突起部17aに取り付けられるように構成されている。
【0036】
また、この第3カバー部35は、
図10および
図11に示すように、取付突起部17aに下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体連結孔17cに第3連結穴35bが同一軸上に対応するように構成されている。これにより、第3カバー部35は、取付突起部17aの本体連結孔17cに挿入されて取付突起部17aの両側に突出されたピン部材33が第3連結穴35bに対応して挿入されることにより、取付突起部17aの端部に連結固定されて、取付突起部17aに対するめくれが防止されるように構成されている。
【0037】
さらに、この第2外装片23には、
図5~
図7、および
図12(b)に示すように、第3ねじ36が挿入する第3ねじ挿入孔23aが、第2本体部34と第3カバー部35との境界に位置して設けられている。これにより、第2外装片23は、第3ねじ挿入孔23aに第3ねじ36が上方から挿入されて、下ケース17の5時側の上端部に設けられた第3ねじ穴17eに螺合することにより、下ケース17の5時側の上端部に取り付けられている。
【0038】
一方、外装部材16の第3外装片24は、
図4~
図9に示すように、ケース本体15の1時側の箇所に取り付けられるものである。この第3外装片24は、第2外装片23と同様、ほぼリング状の第2外装部材21の内周縁から第2外装部材21の上面を経て上ケース18の外周面に亘って配置される第3本体部37と、腕時計ケース1の12時側のバンド取付部3におけるケース本体15の1時側の端部に配置される第4カバー部38と、を備えている。
【0039】
この第3外装片24は、
図6~
図9に示すように、第3本体部37がほぼリング状の第2外装部材21に取り付けられて仮固定されるものである。この場合にも、第3本体部37が取り付けられる第2外装部材21の箇所には、第2外装片23と同様、内周側から外周側に向けて食い込む一対の食込み溝21aと、外周部に設けられた係止溝21bと、が設けられている。第3本体部37には、第2外装片23と同様、第2外装部材21の一対の食込み溝21aに挿入されて取り付けられる一対の取付突起37aと、第2外装部材21の係止溝21bに係合する係合突起37bと、が設けられている。
【0040】
これにより、第3外装片24は、
図6~
図9に示すように、第2外装片23と同様、ほぼリング状の第2外装部材21の内周縁から第2外装部材21の上面を経て上ケース18の外周面に亘って配置される際に、第3本体部37の一対の取付突起37aが第2外装部材21の一対の食込み溝21aに挿入されて、第3本体部37の係合突起37bが第2外装部材21の係止溝21bに係合することにより、第2外装部材21に取り付けられて仮固定されるように構成されている。
【0041】
また、この第3外装片24の第4カバー部38は、
図4~
図9に示すように、腕時計ケース1の12時側のバンド取付部3に対応して下ケース17に設けられた取付突起部17aにおける1時側の側部を覆って配置されて、第1外装片22の第2カバー部27に対向するように構成されている。この第4カバー部38には、
図10および
図11に示すように、第4ねじ取付孔38aと第4連結穴38bとが設けられている。
【0042】
この第4カバー部38は、第2外装片23の第3カバー部35と同様、第4ねじ取付孔38aが下ケース17の取付突起部17aに下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体挿入孔17bに同一軸上に対応するように構成されている。これにより、第4カバー部38は、雄ねじ32が第4ねじ取付孔38aを通して取付突起部17aの本体挿入孔17b内に挿入されたねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合されることにより、下ケース17の取付突起部17aに取り付けられるように構成されている。
【0043】
また、この第4カバー部38は、第3カバー部35と同様に、取付突起部17aに下ケース17の外周方向、つまり下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体連結孔17cに第4連結穴38bが同一軸上に対応するように構成されている。これにより、第4カバー部38は、取付突起部17aの本体連結孔17cに挿入されて取付突起部17aの両側に突出されたピン部材33が第4連結穴38bに挿入されることにより、取付突起部17aの端部に連結固定されて、取付突起部17aに対するめくれが防止されるように構成されている。
【0044】
さらに、この第3外装片24には、第2外装片23と同様、第3ねじ36が挿入する第4ねじ挿入孔24aが、第3本体部37と第4カバー部38との境界に位置して設けられている。これにより、第3外装片24は、第4ねじ挿入孔24aに第3ねじ36が上方から挿入されて、下ケース17の1時側の上端部に設けられた第3ねじ穴17eに螺合することにより、下ケース17の1時側の上端部に取り付けられている。
【0045】
ところで、腕時計ケース1の複数の押釦スイッチ5それぞれは、
図1、
図13および
図14に示すように、設置位置および大きさが異なるが、全てほぼ同じ構造になっている。すなわち、これら複数の押釦スイッチ5のうち、例えば1時側の押釦スイッチ5は、第1操作部材40と第1ばね部材41とを備えている。第1操作部材40は、下ケース17の第1貫通孔39内にスライド可能に挿入される金属製の軸部42と、この軸部42の外端部に設けられた合成樹脂製の頭部43と、を備えているが、軸部42と頭部43とを金属で形成しても良い。
【0046】
この場合、下ケース17の第1貫通孔39は、
図14に示すように、軸部42が挿入する小径孔部39aと、頭部43が配置する大径孔部39bと、を備えている。軸部42は、第1貫通孔39の小径孔部39aにおける軸方向の長さよりも長く形成されている。これにより、軸部42は、小径孔部39a内に挿入された際に、内端部が下ケース17の内部に突出し、外端部が第1貫通孔39の大径孔部39b内に突出するように構成されている。
【0047】
この軸部42は、
図14に示すように、下ケース17の内部に突出した内端部にEリングなどの第1抜止め部材47が取り付けられ、この第1抜止め部材47が下ケース17の内周面に接離可能に当接することにより、第1貫通孔39から下ケース17の外部に抜け出さないように構成されている。この軸部42は、頭部43が押し込まれた際に、内端部が時計モジュール7の接点部7cを押圧してスイッチ動作させるように構成されている。また、この軸部42の外周面には、第1~第3パッキン44~46が取り付けられる複数のパッキン溝42aが設けられている。
【0048】
頭部43は、
図14に示すように、その外径が第1貫通孔39の大径孔部39bの内径よりも少し小さく形成されており、この頭部43の内端面には、第1ばね部材41が配置される凹部43aが設けられている。第1ばね部材41は、コイルばねであり、一端部が大径孔部39bの段差部に弾接し、他端部が頭部43の凹部43aの内面に弾接することにより、頭部43を下ケース17の外部に向けて押し出す方向に付勢するように構成されている。
【0049】
これにより、押釦スイッチ5は、
図14に示すように、第1ばね部材41のばね力によって頭部43が押し出されて、軸部42の第1抜止め部材47が下ケース17の内周面に当接した際に、頭部43の内端部が大径孔部39bの段差部から離れて第1貫通孔39の大径孔部39b内に配置された状態で、頭部43の外端部が第1貫通孔39の大径孔部39bから外部に突出するように構成されている。
【0050】
また、この押釦スイッチ5は、
図14に示すように、第1ばね部材41のばね力に抗して頭部43が押し込まれて、頭部43の内端部が大径孔部39bの段差部に接近または接触した際に、第1ばね部材41が圧縮されて頭部43の凹部43a内に配置されて、軸部42の第1抜止め部材47が下ケース17の内周面から離れて下ケース17内に突出し、この突出した軸部42の内端部が時計モジュール7の接点部7cを押圧してスイッチ動作させるように構成されている。
【0051】
また、この押釦スイッチ5の軸部42には、
図14に示すように、第1~第3パッキン44~46が取り付けられている。すなわち、これら第1~第3パッキン44~46は、軸部42の外周に外端部側から内端部側に向けて所定間隔で、軸部42の各パッキン溝42a内にそれぞれ配置されている。また、これら第1~第3パッキン44~46は、軸部42が第1貫通孔39の小径孔部39aに挿入された際に、第1~第3パッキン44~46の各外周部が第1貫通孔39の小径孔部39aの内周面に摺動可能に接するように構成されている。
【0052】
この場合、第1パッキン44は、耐熱性および耐薬品性を有する素材、例えばフッ素ゴムによって形成されている。第2パッキン45は、耐摩耗性および耐久性を有し、且つ圧縮による永久歪が少なく、摺動性に優れた素材、例えばニトリルゴムによって形成されている。第3パッキン46は、耐熱性および耐候性を有する素材、例えばブチルゴムによって形成されている。
【0053】
これにより、押釦スイッチ5は、フッ素ゴムの第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性が確保されて、水、油や薬品などの液体の浸入を防ぎ、また圧縮による永久歪が少ないニトリルゴムの第2パッキン45によって耐摩耗性、耐久性、および摺動性が確保されて水の浸入を防ぎ、ブチルゴムの第3パッキン46によって耐熱性および耐候性が確保されて、水蒸気などの気体の浸入を防いで、時計ガラス6の曇りが防げることにより、高気圧防水が図れるように構成されている。
【0054】
この場合、第1~第3パッキン44~46は、
図14に示すように、第1操作部材40の軸部42の外端部側から内端部側に向けて、第1パッキン44、第2パッキン45、第3パッキン46の順で配置されている。このため、この押釦スイッチ5は、最初に第1パッキン44によって油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぎ、次に第2パッキン45によって水の浸入を確実に防ぎ、最後に第3パッキン46によって水蒸気などの気体の浸入を確実に防いで、時計ガラス6の曇りが防げるので、効率良く高気圧防水が図られるように構成されている。
【0055】
一方、腕時計ケース1の3時側のスイッチ装置4は、
図2および
図15に示すように、下ケース17の第2貫通孔48に嵌め込まれた筒状部材50と、この筒状部材50内に挿入されて下ケース17の外部に突出する第2操作部材51と、この第2操作部材51をロックするロック部52と、を備えている。
【0056】
筒状部材50は、
図2および
図15に示すように、下ケース17の第2貫通孔48の小径孔部に挿入する小径筒部50aと、第2貫通孔48の中径孔部に挿入する中径筒部50bと、第2貫通孔48の大径孔部に挿入する大径筒部50cと、を備え、これらがステンレスなどの金属によって形成されている。この場合、筒状部材50は、小径筒部50aの内端部が下ケース17内に突出し、この突出した内端部に第2抜止め部材50dが取り付けられている。
【0057】
また、この筒状部材50は、
図2および
図15に示すように、中径筒部50bの外周に複数の防水パッキン50eが設けられている。これにより、筒状部材50は、複数の防水パッキン50eが第2貫通孔48の中径孔部の内周面に弾接していることにより、下ケース17の第2貫通孔48との間の防水が図れられている。
【0058】
第2操作部材51は、
図2および
図15に示すように、巻真である操作軸53と、この操作軸53の外端部に連結される操作頭部54と、操作軸53と操作頭部54とを連結する連結駒55と、操作頭部54を下ケース17の外部に向けて付勢力する第2ばね部56と、を備えている。操作軸53は、内端部が時計モジュール7内にスライド可能に差し込まれ、外端部が筒状部材50内にスライド可能に配置されている。
【0059】
操作頭部54は、
図2および
図15に示すように、筒状部材50の中径筒部50b内にスライド可能に挿入する筒軸54aと、この筒軸54aの外端部に設けられた外頭部54bと、を備えている。筒軸54aの外周には、複数の防水リング54dが筒状部材50の内周面に摺動可能に弾接して設けられている。また、この筒軸54a内には、連結駒55および第2ばね部材56が配置されて、操作軸53の外端部が挿入されている。この場合、操作軸53は、その外端部が連結駒55に連結されている。
【0060】
連結駒55は、
図2および
図15に示すように、筒軸54a内にスライド可能に配置され、操作頭部54が第2ばね部材56のばね力によって下ケース17の外部側に押し出されたニュートラル状態のときに、操作頭部54に対して空転して、操作頭部54の回転を操作軸53に伝えないように構成されている。
【0061】
また、この連結駒55は、
図2および
図15に示すように、操作頭部54がニュートラル状態から下ケース17の外部に向けて更に引き出された際に、筒軸54aがスライドしても移動することなく停止状態を維持して、筒軸54a内において筒軸54aと係合することにより、操作頭部54の回転を操作軸53に伝えるように構成されている。
【0062】
ロック部52は、
図2および
図15に示すように、ねじロック機構であり、筒状部材50の大径筒部50cの外周面に設けられた雄ねじ52aと、操作頭部54の外頭部54b内の凹部54cの内周面に設けられた雌ねじ52bと、を備えている。この場合、操作頭部54の外頭部54b内に設けられた凹部54cは、その内径が筒状部材50の大径筒部50cの外径と同程度の大きさに形成されている。
【0063】
これにより、ロック部52は、
図2および
図15に示すように、連結駒55が空転するニュートラル状態の操作頭部54を第2ばね部材56のばね力に抗して下ケース17の内部に向けて押し込みながら一方向に回転させると、筒状部材50の大径筒部50cが操作頭部の外頭部54bの凹部54c内に押し込まれながら、凹部54cの雌ねじ52bが大径筒部50cの雄ねじ52aに螺合してロックされるように構成されている。
【0064】
また、このロック部52は、
図2および
図15に示すように、大径筒部50cの雄ねじ52aと凹部54cの雌ねじ52bとが螺合した状態で、操作頭部54を一方向と反対方向に回転させると、大径筒部50cの雄ねじ52aと凹部54cの雌ねじ52bとの螺合が緩んで、雄ねじ52aと雌ねじ52bとによるロックが解除され、操作頭部54が第2ばね部材56のばね力によって下ケース17の外部に向けて押し出されて、ニュートラル状態になるように構成されている。
【0065】
これにより、スイッチ装置4は、
図2および
図15に示すように、ロック部52による操作頭部54のロックが解除されて、操作頭部54が第2ばね部材56のばね力によって下ケース17の外部に向けて押し出されたニュートラル状態のときに、操作頭部54の筒軸54aと連結駒55とが係合していないため、操作頭部54を回転させても、操作頭部54に対して連結駒55が空転して操作軸53が回転せず、時計モジュール7の時計ムーブメント12が操作されず、時刻などの修正が行われないように構成されている。
【0066】
また、このスイッチ装置4は、
図2および
図15に示すように、ロック部52による操作頭部54のロックが解除されて、ニュートラル状態の操作頭部54が下ケース17の外部に向けて更に引き出された際に、操作頭部54の筒軸54aと連結駒55とが係合するため、操作頭部54の回転に伴って連結駒55が回転して、操作軸53を時計モジュール7内で回転させて、時計モジュール7内の時計ムーブメント12を操作させることにより、時刻などの修正が行われるように構成されている。
【0067】
ところで、上ケース18には、
図2、
図5、
図15に示すように、スイッチ装置4に対応する下ケース17の一部である内周部が当接する衝撃受止め部57が設けられている。すなわち、この衝撃受止め部57は、スイッチ装置4の第2操作部材51に対応する上ケース18の第1リング部18aの下面で、且つ上ケース18の第2リング部18bの外周面から突出して設けられ、操作軸53の軸方向において下ケース17の内周部に当接するように構成されている。
【0068】
この場合、下ケース17の外周部は、
図2および
図15に示すように、上ケース18の外周面よりも外部に突出して設けられ、下ケース17の第2貫通孔48に嵌め込まれた筒状部材50に第2操作部材51が挿入されるように構成されている。これにより、スイッチ装置4は、第2操作部材51の操作頭部54が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃は筒状部材50を介して下ケース17が受けるように構成されている。
【0069】
このため、このスイッチ装置では、
図2および
図15に示すように、第2操作部材51の操作頭部54が外部から衝撃を受けて、合成樹脂製の下ケース17が衝撃によって変形しても、下ケース17の内周部が金属製の上ケース18の衝撃受止め部57に押し当てられることにより、外部から衝撃が衝撃受止め部57で受け止められるように構成されている。
【0070】
これにより、このスイッチ装置4は、
図2および
図15に示すように、外部から衝撃が衝撃受止め部57で受け止められることにより、第2操作部材51の操作軸53が衝撃によって時計モジュール7内に押し込まれることがないので、第2操作部材51の操作頭部54が外部から衝撃を受けても、操作軸53による時計モジュール7の破損が防げるように構成されている。
【0071】
この場合、上ケース18は、
図5に示すように、位置決め部58によって下ケース17上に位置決めされるように構成されている。すなわち、この位置決め部58は、上ケース18の第1リング部18aにおける12時側と6時側との外周部にそれぞれ設けられた一対の切欠き部58aと、下ケース17の側壁部の上端部に設けられて上ケース18の一対の切欠き部58aに係合する一対の突起部(図示せず)と、を備えている。
【0072】
これにより、上ケース18は、
図2、
図5、
図15に示すように、第1リング部18aが下ケース17の側壁部の上端部に配置される際に、下ケース17の上端部に設けられた一対の突起部(図示せず)が上ケース18の第1リング部18aに設けられた一対の切欠き部58aに係合することにより、下ケース17に対する外周方向の位置が正確に位置決めされるように構成されている。この場合、上ケース18は、位置決め部58によって下ケース17に対する位置が位置決めされることにより、上ケース18の衝撃受止め部57がスイッチ装置4に対応して配置されるように構成されている。
【0073】
次に、このような腕時計の作用について説明する。
まず、この腕時計を組み立てる場合について説明する。この場合には、下ケース17内に圧電素子14を取り付ける。このときには、圧電素子14を振動板14a上に取り付け、この振動板14aを両面粘着テープ14bによって下ケース17内の底部に貼り付ける。この状態で、複数の押釦スイッチ5およびスイッチ装置4を下ケース17に取り付ける。
【0074】
すなわち、複数の押釦スイッチ5を下ケース17に取り付ける際には、予め、各第1操作部材40の各軸部42の外周に設けられた複数のパッキン溝42aに第1~第3パッキン44~46をそれぞれ取り付ける。このときには、軸部42の外端部側から内端部側に向けて、第1パッキン44、第2パッキン45、第3パッキン46をその順で取り付ける。この状態で、第1操作部材40の軸部42の外周に第1ばね部材41を配置させて、軸部42を下ケース17の第1貫通孔39に外部から挿入させる。
【0075】
すると、第1ばね部材41が第1貫通孔39の大径孔部39bの段差部と第1操作部材40の頭部43における凹部43aの内面との間に配置される。この状態で、頭部43を押して軸部42の内端部を下ケース17内に突出させ、この突出した軸部42の内端部に第1抜止め部材47を取り付ける。この状態では、第1ばね部材41のばね力によって頭部43が押し出されて、軸部42の第1抜止め部材47が下ケース17の内周面に当接し、軸部42が下ケース17から外部に抜け出すことがない。
【0076】
また、このときには、押釦スイッチ5の頭部43の内端部が大径孔部39bの段差部から離れた状態で、第1貫通孔39の大径孔部39b内に配置され、頭部43の外端部が大径孔部39b内から下ケース17の外部に突出して配置される。この状態では、第1~第3パッキン44~46の外周部が第1貫通孔39の小径孔部39aに摺動可能に弾接する。
【0077】
このような状態では、フッ素ゴムの第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性が確保されて油や薬品などの液体の浸入を防ぎ、また圧縮による永久歪が少ないニトリルゴムの第2パッキン45によって耐摩耗性、耐久性、および摺動性が確保されて水の浸入を防ぎ、ブチルゴムの第3パッキン46によって耐熱性および耐候性が確保されて水蒸気などの気体の浸入を防いで、時計ガラス6の曇りが防げる。このため、押釦スイッチ5は高気圧防水が図られている。
【0078】
また、この場合には、複数のパッキン44~46を、第1操作部材40の軸部42の外端部側から内端部側に向けて、第1パッキン44、第2パッキン45、第3パッキン46の順で配置する。この状態では、最初に第1パッキン44によって油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぎ、次に第2パッキン45によって水の浸入を確実に防ぎ、最後に第3パッキン46によって水蒸気などの気体の浸入を防いで、時計ガラス6の曇りを防ぐ。これによっても、押釦スイッチ5の高気圧防水が図れている。このようにして、複数の押釦スイッチ5を下ケース17の2時側、4時側、8時側、10時側にそれぞれ取り付ける。
【0079】
一方、スイッチ装置4を下ケース17に取り付ける際には、まず、筒状部材50を下ケース17の第2貫通孔48に取り付ける。このときには、予め、筒状部材50の中径筒部50bの外周面に複数の防水パッキン50eを取り付ける。この状態で、筒状部材50を複数の防水パッキン50eと共に下ケース17の第2貫通孔48に嵌め込む。このときには、筒状部材50の小径筒部50aが第2貫通孔48の小径孔部に配置され、中径筒部50bが第2貫通孔48の中径孔部に配置され、大径筒部50cが第2貫通孔48の大径孔部に配置される。
【0080】
この状態では、複数の防水パッキン50eが第2貫通孔48の中径孔部の内周面に弾接して、下ケース17の第2貫通孔48と筒状部材50との間の防水が図られる。また、このときには、筒状部材50の小径筒部50aの内端部が下ケース17内に突出し、この突出した内端部に第2抜止め部材50dを取り付ける。これにより、筒状部材50が第2貫通孔48から抜け出すことなく、第2貫通孔48に取り付けられる。
【0081】
この状態で、下ケース17内に時計モジュール7を上方から組み込む。このときには、予め、時計モジュール7を組み立て、この時計モジュール7の上部に文字板10をソーラーパネル10aと共に配置し、この時計モジュール7の外周に中枠8を取り付ける。この状態で、時計モジュール7を中枠8と共に下ケース17内に配置させて、時計モジュール7の複数の接点部7cを複数の押釦スイッチ5の各軸部42の内端部に対応させる。
【0082】
そして、スイッチ装置4の第2操作部材51を下ケース17に取り付けられた筒状部材50に取り付ける。このときには、予め、第2操作部材51の操作軸53の外端部に連結駒55を連結させる。この状態で、第2操作部材51の操作頭部54に設けられた筒軸54a内に第2ばね部材56を挿入すると共に、連結駒55を挿入させて操作軸53の外端部を挿入させる。
【0083】
これにより、操作軸53が連結駒55によって操作頭部54の筒軸54aに連結される。この状態で、操作軸53を下ケース17の外部から筒状部材50に挿入させて、下ケース17内の時計モジュール7内に差し込む。すると、操作軸53が時計モジュール7の時計ムーブメント12に操作可能に連結される。これにより、スイッチ装置4が下ケース17に取り付けられる。
【0084】
この後、合成樹脂製の下ケース17に金属製の上ケース18を取り付けて、ケース本体15を組み立てる。このときには、予め、下ケース17の筒状の側壁部の上端部に防水リング19を配置する。また、このときには、予め、上ケース18の筒状部18c内に見切り部材11を配置させると共に、時計ガラス6をパッキン6aと共に取り付ける。この場合、上ケース18の筒状部18c内に時計ガラス6がパッキン6aを介して嵌め込まれることにより、下ケース17よりも剛性の高い上ケース18によって時計ガラス6が保護されると共に、上ケース18の防水性が確保される。
【0085】
この状態で、上ケース18を下ケース17に取り付ける際には、上ケース18の第1リング部18aを下ケース17の筒状の側壁部の上端部に配置すると共に、上ケース18の第2リング部18bを下ケース17の側壁部の内面に対応させて配置させる。このときには、上ケース18と下ケース17とが位置決め部58によって正確にされる。このため、第2リング部18bに設けられた衝撃受止め部57が下ケース17に取り付けられたスイッチ装置4に対応して正確に配置される。
【0086】
そして、上ケース18の第1リング部18aを下ケース17の筒状の側壁部の上端部に複数のビス18dによって取り付ける。この場合には、下ケース17が合成樹脂で形成されていても、上ケース18によってケース本体15全体の強度が確保される。すなわち、下ケース17が筒状の側壁部と底部とを有する構造であっても、下ケース17の筒状の側壁部の開口部が金属製の上ケース18によって補強されるので、ケース本体15全体の剛性が高められる。
【0087】
また、このときには、下ケース17が合成樹脂によって形成されていることにより、金属で形成する場合に比べて、製作作業が簡単で製造コストが下げられ、低価格化が図れる。この場合には、上ケース18の第1リング部18aと下ケース17の側壁部の上端部との間に防水リング19が挟まれて、上ケース18が下ケース17に取り付けられる。このため、防水リング19によってケース本体15の防水が図られる。これにより、ケース本体15が組み立てられる。
【0088】
この状態で、ケース本体15に外装部材16を取り付ける。このときには、予め、外装部材16を組み立てる。すなわち、第1外装部材20の第2外装片23と第3外装片24とを第2外装部材21に取り付ける。この場合、第2外装片23を第2外装部材21に取り付ける際には、ほぼリング状の第2外装部材21の内周縁から第2外装部材21の上面を経て上ケース18の外周面に亘って第2外装片23を配置する。
【0089】
このときには、第2外装片23の第2本体部34に設けられた一対の取付突起34aを第2外装部材21の一対の食込み溝21aに挿入させて、第2本体部34の係合突起34bを第2外装部材21の係止溝21bに係合させる。これにより、第2外装片23が第2外装部材21に取り付けられて仮固定される。
【0090】
同様に、第3外装片24を第2外装部材21に取り付ける際には、ほぼリング状の第2外装部材21の内周縁から第2外装部材21の上面を経て上ケース18の外周面に亘って第3外装片24を配置する。このときにも、第3外装片24の第3本体部37に設けられた一対の取付突起37aを第2外装部材21の一対の食込み溝21aに挿入させて、第3本体部37の係合突起37bを第2外装部材21の係止溝21bに係合させる。これにより、第3外装片24が第2外装部材21に取り付けられて仮固定される。
【0091】
そして、第2外装片23と第3外装片24とが取り付けられた第2外装部材21を上ケース18に装着させて下ケース17に取り付ける。すなわち、第2外装部材21を上ケース18に装着させる際には、第2外装部材21が上ケース18の第1リング部18aの上面および筒状部18cの外周面を覆った状態で、第2外装部材21を上ケース18に配置させる。
【0092】
このときには、第2外装部材21に取り付けられた第2外装片23の第3カバー部35が下ケース17の6時側に設けられた取付突起部17aの5時側の側部に対応して、この取付突起部17aの5時側の側部を覆う。同様に、第2外装部材21に取り付けられた第3外装片24の第4カバー部38が下ケース17の12時側に設けられた取付突起部17aの1時側の側部に対応して、この取付突起部17aの1時側の側部を覆う。
【0093】
このときには、第2外装片23の第3カバー部35に設けられた第3ねじ取付孔35aが、下ケース17の6時側に設けられた取付突起部17aに下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体挿入孔17bに同一軸上で対応する。これと同時に、第3カバー部35に設けられた第3連結穴35bが6時側の取付突起部17aに下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体連結孔17cに同一軸上で対応する。また、このときには、第2本体部34と第3カバー部35との境界に位置して設けられた第3ねじ挿入孔23aが、下ケース17の5時側の上端部に設けられた第3ねじ穴17eに対応する。
【0094】
同様に、第3外装片24の第4カバー部38に設けられた第4ねじ取付孔38aが、下ケース17の12時側に設けられた取付突起部17aに下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体挿入孔17bに同一軸上で対応する。これと同時に、第4カバー部38に設けられた第4連結穴38bが12時側の取付突起部17aの本体連結孔17cに同一軸上で対応する。また、このときには、第3本体部37と第4カバー部38との境界に位置して設けられた第4ねじ挿入孔24aが、下ケース17の1時側の上端部に設けられた第3ねじ穴17eに対応する。
【0095】
この場合には、予め、下ケース17の6時側と12時側とに設けられた各取付突起部17aに下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体連結孔17cに、それぞれピン部材33を挿入させて、各ピン部材33を各本体連結孔17cの両側に突出させる。これにより、第2外装片23の第3カバー部35の第3連結穴35bが6時側の取付突起部17aの本体連結孔17cに対応するときに、本体連結孔17cの両端に突出したピン部材33が第3カバー部35の第3連結穴35bに挿入される。
【0096】
同様に、第3外装片24の第4カバー部38の第4連結穴38bが12時側の取付突起部17aに下ケース17の外周に対する接線方向に設けられた本体連結孔17cに対応すると、本体連結孔17cの両端に突出したピン部材33が第4カバー部38の第4連結穴38bに挿入される。このように、第3カバー部35の第3連結穴35bと第4カバー部38の第4連結穴38bとに各ピン部材33が挿入されると、第2外装部材21が上ケース18を下ケース17上に押え付ける。
【0097】
この状態で、第2外装片23の第3ねじ挿入孔23aに第3ねじ36を上方から挿入させて下ケース17の5時側の上端部に設けられた第3ねじ穴17eに螺合させて締め付ける。これにより、第2外装片23が第2外装部材21および上ケース18を押え付けて下ケース17に取り付けられる。同様に、第3外装片24の第4ねじ挿入孔24aに第3ねじ36を上方から挿入させて下ケース17の1時側の上端部に設けられた第3ねじ穴17eに螺合させて締め付ける。これにより、第3外装片24が第2外装部材21および上ケース18を押え付けて下ケース17に取り付けられる。
【0098】
そして、ケース本体15の12時側から9時側を経て6時側に亘る側面に第1外装部材20の第1外装片22を取り付ける。このときには、第1外装片22の外装本体部25をケース本体15の8時側から10時側の側面に対応させる。これと同時に、第1外装片22の第1カバー部26を下ケース17の6時側に設けられた取付突起部17aの7時側の端部に対応させると共に、第1外装片22の第2カバー部27を下ケース17の12時側に設けられた取付突起部17aの11時側の端部に対応させる。
【0099】
このときには、ケース本体15の8時側と10時側とに設けられた各押釦スイッチ5の頭部43が第1外装片22の外装本体部25に設けられた各釦挿入孔25aに挿入して配置されると共に、外装本体部25に設けられた第2ねじ挿入孔25cが下ケース17の側壁部に設けられた第2ねじ穴17cに対応する。また、このときには、外装本体部25の上部に設けられた各第1ねじ挿入孔25bが第2外装部材21および上ケース18の第1リング部18aの各孔を通して下ケース17の上端部に設けられた第1ねじ穴17dに対応する。
【0100】
また、このときには、第1外装片22の第1カバー部26が下ケース17の6時側に設けられた取付突起部17aの7時側の端部を覆って配置されると共に、この取付突起部17aを挟んで第2外装片23の第3カバー部35に対向する。この状態では、第1カバー部26の第1ねじ取付孔26aが取付突起部17aの本体挿入孔17bに同一軸上で対応する。
【0101】
また、このときには、第1カバー部26の第1連結穴26bが取付突起部17aの本体連結孔17cに同一軸上で対応する。すると、取付突起部17aの本体連結孔17cに挿入されて本体連結孔17cの両側に突出したピン部材33が第1カバー部26の第1連結穴26bに挿入する。これにより、第1カバー部26が取付突起部17aに連結固定されて、取付突起部17aに対する第1カバー部26のめくれが防げる。
【0102】
同様に、第1外装片22の第2カバー部27が下ケース17の12時側に設けられた取付突起部17aの11時側の端部を覆って配置されると共に、この取付突起部17aを挟んで第3外装片24の第4カバー部38に対向する。この状態では、第2カバー部27の第2ねじ取付孔27aが取付突起部17aの本体挿入孔17bに同一軸上で対応する。
【0103】
また、このときには、第2カバー部27の第2連結穴27bが取付突起部17aの本体連結孔17cに同一軸上で対応する。すると、取付突起部17aの本体連結孔17cに挿入されて本体連結孔17cの両側に突出したピン部材33が第2カバー部27の第2連結穴27bに挿入する。これにより、第2カバー部27が取付突起部17aに連結固定されて、取付突起部17aに対する第2カバー部27のめくれが防げる。
【0104】
この状態で、第1外装部材20をケース本体15にねじ止めする。このときには、第1外装片22の外装本体部25の上部に設けられた各第1ねじ挿入孔25bに第1ねじ28をそれぞれ上方から挿入させて、各第1ねじ28を第2外装部材21および上ケース18の第1リング部18aを通して下ケース17の上端部にけられた各第1ねじ穴17dに螺合させて締め付ける。これにより、外装本体部25が第2外装部材21および上ケース18を押え付けて下ケース17に取り付けられる。
【0105】
また、この状態で、外装本体部25の側部に設けられた第2ねじ挿入孔25cに第2ねじ29を外部側方から挿入させて、第2ねじ29を下ケース17の側壁部に設けられた第2ねじ穴17cに螺合させて締め付ける。これにより、第1外装片22の外装本体部25が下ケース17に取り付けられる。
【0106】
さらに、この状態で、取付ねじ部材30のねじ本体31を第1外装片22の第1カバー部26に設けられた第1ねじ取付孔26aから下ケース17の取付突起部17aに設けられた本体挿入孔17b内に挿入させる。そして、第1カバー部26の第1ねじ取付孔26aに取付ねじ部材30の雄ねじ32を挿入させて、取付突起部17aの本体挿入孔17b内に挿入されたねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合させて締め付ける。
【0107】
このときには、第1外装片22の第1カバー部26に対向する第2外装片23の第3カバー部35の第3ねじ取付孔35aに取付ねじ部材30の雄ねじ32を挿入させて、取付突起部17aの本体挿入孔17b内に挿入されたねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合させて締め付ける。これにより、第1外装片22の第1カバー部26と第2外装片23の第3カバー部35とが下ケース17の取付突起部17aの両端部に取り付けられる。
【0108】
同様に、取付ねじ部材30のねじ本体31を第1外装片22の第2カバー部27に設けられた第2ねじ取付孔27aから下ケース17の取付突起部17aに設けられた本体挿入孔17b内に挿入させる。そして、第2カバー部27の第2ねじ取付孔27aに取付ねじ部材30の雄ねじ32を挿入させて、取付突起部17aの本体挿入孔17b内に挿入されたねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合させて締め付ける。
【0109】
このときには、第2カバー部27に対向する第3外装片24の第4カバー部38の第4ねじ取付孔38aに取付ねじ部材30の雄ねじ32を挿入させて、取付突起部17aの本体挿入孔17b内に挿入されたねじ本体31の雌ねじ部31aに螺合させて締め付ける。これにより、第1外装片22の第2カバー部27と第3外装片24の第4カバー部38とが取付突起部17aの両端部に取り付けられる。
【0110】
これにより、腕時計が組み立てられる。この場合、このように組み立てられた腕時計の腕時計ケース1では、外装部材16とケース本体15とをピン部材33で連結固定しているので、外装部材16とケース本体15とをビス止めする場合に比べて、小型化が図れると共に、外装部材16とケース本体15とを接着剤や両面粘着テープで固定する場合に比べて、分解作業が容易で、再組立やメンテナンスが容易になる。
【0111】
次に、この腕時計を使用する場合について説明する。
この腕時計は、通常の状態で、時計モジュール7の複数の時計ムーブメント12それぞれが指針12bを文字板10の上方で運針させて、時刻などの情報を指示表示し、この指示表示された時刻などの情報が時計ガラス6を通して外部から見る。
【0112】
この状態で、複数の押釦スイッチ5を押圧操作すると、時計のモードが切り替わる。すなわち、第1操作部材40の頭部43が第1ばね部材41のばね力に抗して押圧操作されると、軸部42が第1貫通孔39の小径孔部39a内をスライドして押し込まれる。すると、軸部42の内端部が下ケース17内に押し込まれて時計モジュール7の接点部7cを押圧してスイッチ動作させる。
【0113】
このように、第1操作部材40の頭部43が押されて軸部42が第1貫通孔39の小径孔部39a内をスライドする際には、軸部42の外周に設けられた第1~第3パッキン44~46の各外周部が第1貫通孔39の小径孔部39aの内周面に弾接した状態で摺動する。このため、第1~第3パッキン44~46によって第1操作部材40の軸部42と第1貫通孔39の小径孔部39aとの間の高気圧防水が図られる。
【0114】
すなわち、この押釦スイッチ5では、フッ素ゴムの第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性が確保されて、油や薬品などの液体の浸入を防ぎ、また圧縮による永久歪が少ないニトリルゴムの第2パッキン45によって耐摩耗性、耐久性、および摺動性が確保されて水の浸入を防ぎ、ブチルゴムの第3パッキン46によって耐熱性および耐候性が確保されて、水蒸気などの気体の浸入を防いで、時計ガラス6の曇りが防げることにより、高気圧防水が図れる。
【0115】
この場合、複数のパッキン44~46は、第1操作部材40の軸部42の外端部側から内端部側に向けて、第1パッキン44、第2パッキン45、第3パッキン46の順で配置されている。このため、この押釦スイッチ5は、最初に第1パッキン44によって油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぎ、次に第2パッキン45によって水の浸入を確実に防ぎ、最後に第3パッキン46によって水蒸気などの気体の浸入を確実に防いで、時計ガラス6の曇りが防げる。これにより、押釦スイッチ5の高気圧防水が効率良く確実に且つ良好に図られる。
【0116】
一方、スイッチ装置4を操作して、時刻などの修正をする際には、まず、ロック部52による第2操作部材51のロックを解除する。すなわち、筒状部材50の雄ねじ52aと操作頭部54の雌ねじ52bとが螺合したロック状態で、操作頭部54を回転させて、雌ねじ52bを雄ねじ52aから離脱させると、雄ねじ52aと雌ねじ52bとによるロックが解除される。
【0117】
すると、操作頭部54が第2ばね部材56のばね力によって下ケース17の外部に向けて押し出されて、ニュートラル状態になる。このときには、操作頭部54の筒軸54aがスライドしても、連結駒55が移動せずに停止状態を維持して、操作頭部54に対して連結駒55が空転する状態となるので、操作頭部54の回転が操作軸53に伝わらない。このため、このニュートラル状態では、時刻などの修正が行われない。
【0118】
このニュートラル状態で、操作頭部54を下ケース17の外部に向けて更に引き出す。すると、筒軸54aがスライドして、連結駒55が筒軸54a内において互いに係合し、この連結駒55が操作頭部54の回転に伴って回転する状態になる。この状態で、操作頭部54を回転させると、操作軸53が連結駒55によって回転して、時計モジュール7内の時計ムーブメント12を操作させる。これにより、時刻などの修正が行われる。
【0119】
また、このスイッチ装置4では、操作頭部54が押し込まれて、ロック部52によって操作頭部54が筒状部材50にロックされた状態で、操作頭部54が外部から衝撃を受けると、筒状部材50を介して下ケース17が衝撃を受けて、金属製の上ケース18に設けられた衝撃受止め部57に下ケース17の内周部が押し当てられる。
【0120】
このため、操作頭部54が外部から衝撃を受けても、その衝撃が衝撃受止め部57によって受け止められる。これにより、第2操作部材51の操作軸53が衝撃によって時計モジュール7内に押し込まれることがないので、第2操作部材51の操作頭部54が外部から衝撃を受けても、操作軸53による時計モジュール7の破損が防げる。
【0121】
この場合、衝撃受止め部57は、第2操作部材51に対応する上ケース18の下面に設けられ、操作軸53の軸方向において下ケース17の内周部に当接していることにより、操作頭部54が受けた衝撃によって上ケース18よりも剛性の低い下ケース17における操作軸53の軸方向の変形が抑えられる。このため、衝撃によって操作軸53が時計モジュール7内に押し込まれることがない。
【0122】
また、下ケース17の外周面は、上ケース18の外周面よりも外部に突出して設けられ、操作頭部54が衝撃を受けたときに、下ケース17が衝撃を受けて、下ケース17が受けた衝撃が上ケース18の衝撃受止め部57で確実に且つ良好に受け止められる。
【0123】
また、この場合には、下ケース17の第2貫通孔48に第2操作部材51の操作軸53がスライド可能に挿入する筒状部材50が配置されていることにより、下ケース17が上ケース18の剛性よりも低くても、筒状部材50によって第2操作部材51が確実に且つ良好に保持される。このため、第2操作部材51の操作性が確保される。
【0124】
このように、この腕時計の押釦スイッチ5によれば、第1貫通孔39が設けられた下ケース17と、第1貫通孔39にスライド可能に挿入された軸部42、およびこの軸部42の外端部に設けられた頭部43を備えた第1操作部材40と、軸部42の外周に設けられて第1貫通孔39の内面に摺動可能に接する第1~第3パッキン44~46と、を備え、第1~第3パッキン44~46のうち、少なくとも第1パッキン44が、耐熱性および耐薬品性を有する素材によって形成されていることにより、高気圧防水を図ることができる。
【0125】
すなわち、この腕時計の押釦スイッチ5では、第1~第3パッキン44~46のうち、少なくとも第1パッキン44が、耐熱性および耐薬品性を有する素材によって形成されていることにより、第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性を確保できるので、油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぐことができ、これにより高気圧防水を図ることができる。
【0126】
この場合、この腕時計の押釦スイッチ5では、下ケース17が合成樹脂によって形成されていることにより、金属で形成する場合に比べて、製作作業が簡単で製造コストを下げることができ、これにより低価格化を図ることができると共に、下ケース17を合成樹脂によって形成しても、第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性を確保できるので、油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぐことができ、これにより高気圧防水を良好に図ることができる。
【0127】
また、この腕時計の押釦スイッチ5では、第1~第3パッキン44~46のうち、第1パッキン44が耐熱性および耐薬品性を有する素材によって形成され、第2パッキン45が耐摩耗性および耐久性を有し、且つ圧縮による永久歪が少なく、摺動性に優れた素材によって形成されていることにより、より一層、高気圧防水を図ることができる。
【0128】
すなわち、この押釦スイッチ5では、第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性を確保できるので、油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぐことができると共に、圧縮による永久歪が少ない第2パッキン45によって耐摩耗性、耐久性、および摺動性を確保して水の浸入を確実に防ぐことができ、これにより高気圧防水を確保することができる。
【0129】
また、この腕時計の押釦スイッチ5では、第1~第3パッキン44~46のうち、第1パッキン44が耐熱性および耐薬品性を有する素材によって形成され、第3パッキン46が耐熱性および耐候性を有する素材によって形成されていることにより、より一層、高気圧防水を図ることができる。
【0130】
すなわち、この押釦スイッチ5では、第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性を確保できるので、油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぐことができると共に、第3パッキン46によって耐熱性および耐候性を確保できるので、水蒸気などの気体の浸入を確実に防いで、時計ガラス6の曇りを防ぐことができ、これにより高気圧防水を確保することができる。
【0131】
さらに、この腕時計の押釦スイッチ5では、第1~第3パッキン44~46のうち、第1パッキン44が耐熱性および耐薬品性を有する素材によって形成され、第2パッキン45が耐摩耗性および耐久性を有し、且つ圧縮による永久歪が少なく、摺動性に優れた素材によって形成され、第3パッキン46が耐熱性および耐候性を有する素材によって形成されていることにより、より一層の高気圧防水を図ることができる。
【0132】
すなわち、この押釦スイッチ5では、第1パッキン44によって耐熱性および耐薬品性を確保できるので、油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぐことができ、また圧縮による永久歪が少ない第2パッキン45によって耐摩耗性、耐久性、および摺動性を確保して水の浸入を確実に防ぐことができ、さらに第3パッキン46によって耐熱性および耐候性を確保できるので、水蒸気などの気体の浸入を確実に防いで、時計ガラス6の曇りを防ぐことができ、これらによって、より一層の高気圧防水を確保することができる。
【0133】
また、この腕時計の押釦スイッチ5では、第1~第3パッキン44~46は、第1操作部材40の軸部42の外端部側から内端部側に向けて、第1パッキン44、第2パッキン45、第3パッキン46の順で配置されていることにより、効率良く且つ良好に高気圧防水を図ることができる。
【0134】
すなわち、この押釦スイッチ5では、最初に第1パッキン44によって油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぎ、次に第2パッキン45によって水の浸入を確実に防ぎ、最後に第3パッキン46によって水蒸気などの気体の浸入を確実に防いで、時計ガラス6の曇りを防ぐことができるので、効率良く確実に且つ良好に高気圧防水を図ることができる。
【0135】
さらに、この腕時計の押釦スイッチ5では、第1パッキン44の素材がフッ素ゴムであり、第2パッキン45の素材がニトリルゴムであり、第3パッキン46の素材がブチルゴムであることにより、高気圧防水を確実に且つ良好に実現することができる。すなわち、この押釦スイッチ5では、第1パッキン44がフッ素ゴムであるから、耐熱性および耐薬品性を確保できるので、油や薬品などの液体の浸入を確実に防ぐことができる。
【0136】
また、この押釦スイッチ5では、第2パッキン45がニトリルゴムであることにより、圧縮による永久歪が少なく、耐摩耗性、耐久性、および摺動性を確保して水の浸入を確実に防ぐことができ、また、第3パッキン46がブチルゴムであることにより、耐熱性および耐候性を確保できるので、水蒸気などの気体の浸入を確実に防いで、時計ガラス6の曇りを防ぐことができる。
【0137】
なお、上述した実施形態では、下ケース17の6時側と12時側との各取付突起部17aに本体連結孔17cをケース本体15の外周に対する接線方向に直線的に貫通させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば取付突起部17aに本体連結孔17cをケース本体15の外周に沿って湾曲させて貫通させても良い。この場合には、ピン部材33を本体連結孔17cの曲率と同じ曲率で湾曲させれば良く、また第1~第3外装片22~24における第1~第4カバー部の第1~第4連結穴26b、27b、35b、38bも同様に湾曲させれば良い。
【0138】
また、上述した実施形態では、下ケース17の6時側と12時側とにバンド取付部3の取付突起部17aを設け、この取付突起部17aに本体連結孔17cをケース本体15の外周に対する接線方向に貫通させて設け、この本体連結孔17cにピン部材33を挿入させて取付突起部17aの両側に突出させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば各取付突起部17aの両側部にそれぞれ本体連結穴を非貫通状態で設け、これら本体連結穴にそれぞれ挿入されたピン部材によって、第1~第3外装片22~24を下ケース17の各取付突起部17aに個別に連結しても良い。
【0139】
すなわち、この変形例では、取付突起部17aの両側部に本体連結穴をそれぞれ設け、これら本体連結穴にそれぞれピン部材を突出させて設け、これら突出したピン部材を第1外装部材20の第1外装片22における第1、第2カバー部26、27の各第1連結穴26b、27bにそれぞれ個別に挿入させて連結固定させると共に、第2外装片23の第3カバー部35の第3連結穴35b、および第3外装片24の第4カバー部38の第4連結穴38bにそれぞれ個別に挿入させて連結固定させるようにしても良い。
【0140】
また、上述した実施形態では、押釦スイッチ5の第1操作部材40における軸部42の外周に第1~第3パッキン44~46を設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば耐熱性および耐薬品性を有する素材によって形成された第1パッキン44と、耐摩耗性および耐久性を有し、且つ圧縮による永久歪が少なく、摺動性に優れた素材によって形成された第2パッキン45と、を設けた構造であっても良い。
【0141】
また、この発明は、これに限らず、例えば耐熱性および耐薬品性を有する素材によって形成された第1パッキン44と、耐熱性および耐候性を有する素材によって形成された第3パッキン46と、を設けた構造であっても良い。
【0142】
また、この発明は、これに限らず、第1パッキン44は、少なくとも耐薬品性を有する素材によって形成され、第3パッキン46は、少なくとも耐候性を有する素材によって形成されていれば良い。
【0143】
さらに、上述した実施形態では、第1操作部材40の軸部42にその外端部側から内端部側に向けて、第1パッキン44、第2パッキン45、第3パッキン46をその順で配列させたが、この発明は、これに限らず、どのような順で配列させても良い。
【0144】
なおまた、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯端末、携帯通信機などの電子機器にも適用することができる。
【0145】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0146】
(付記)
請求項1に記載の発明は、貫通孔が設けられたケースと、前記貫通孔にスライド可能に挿入された軸部を備えた操作部材と、前記軸部の外周に設けられて前記貫通孔の内面に摺動可能に接する複数のパッキンと、を備え、前記複数のパッキンのうち、少なくとも1つのパッキンは、耐薬品性を有する素材によって形成されている、ことを特徴とするスイッチ装置である。
【0147】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記ケースは、合成樹脂によって形成されている、ことを特徴とするスイッチ装置である。
【0148】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記複数のパッキンのうち、第1のパッキンは耐薬品性を有する素材によって形成され、第2のパッキンは耐摩耗性および耐久性を有し、且つ圧縮による永久歪が少なく、摺動性に優れた素材によって形成されている、ことを特徴とするスイッチ装置である。
【0149】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記複数のパッキンのうち、第1のパッキンは耐薬品性を有する素材によって形成され、第2のパッキンは耐候性を有する素材によって形成されている、ことを特徴とするスイッチ装置である。
【0150】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記複数のパッキンのうち、第1のパッキンは耐薬品性を有する素材によって形成され、第2のパッキンは耐摩耗性および耐久性を有し、且つ圧縮による永久歪が少なく、摺動性に優れた素材によって形成され、第3のパッキンは耐候性を有する素材によって形成されている、ことを特徴とするスイッチ装置である。
【0151】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチ装置において、前記複数のパッキンは、前記操作部材の前記軸部の外端部側から内端部側に向けて、前記第1のパッキン、前記第2のパッキン、前記第3のパッキンの順で配置されている、ことを特徴とするスイッチ装置である。
【0152】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記第1のパッキンの素材はフッ素ゴムであり、前記第2のパッキンの素材はニトリルゴムであり、第3のパッキンの素材はブチルゴムである、ことを特徴とするスイッチ装置である。
【0153】
請求項8に記載の発明は、請求項1~請求項7のいずれかに記載されたスイッチ装置を備えている、ことを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0154】
1 腕時計ケース
3 バンド取付部
4 スイッチ装置
5 押釦スイッチ
6 時計ガラス
7 時計モジュール
7c 接点部
12 時計ムーブメント
15 ケース本体
16 外装部材
17 下ケース
17a 取付突起部
17b 本体挿入孔
17c 本体連結孔
18 上ケース
18a 第1リング部
18b 第2リング部
18c 筒状部
20 第1外装部材
21 第2外装部材
21a 食込み溝
21b 係止溝
22~24 第1~第3外装片
25 外装本体部
26、27、35、38 第1~第4カバー部
26a、27a、35a、38a 第1~第4ねじ取付孔
26b、27b、35b、38b 第1~第4連結穴
33 ピン部材
34、37 第2、第3本体部
34a、37a 取付突起
34b、37b 係合突起
39、48 第1、第2貫通孔
40、51 第1、第2操作部材
42 軸部
43 頭部
44~46 第1~第3パッキン
50 筒状部材
52 ロック部
52a 雄ねじ
52b 雌ねじ
53 操作軸
54 操作頭部
57 衝撃受止め部
58 位置決め部
58a 切欠き部