IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立工機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-作業機 図1
  • 特許-作業機 図2
  • 特許-作業機 図3
  • 特許-作業機 図4
  • 特許-作業機 図5
  • 特許-作業機 図6
  • 特許-作業機 図7
  • 特許-作業機 図8
  • 特許-作業機 図9
  • 特許-作業機 図10
  • 特許-作業機 図11
  • 特許-作業機 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20241112BHJP
   B23D 45/16 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B23D47/00 A
B23D45/16
B23D47/00 C
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022545614
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2021029292
(87)【国際公開番号】W WO2022044771
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2020145367
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020145368
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】一橋 直人
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-031701(JP,A)
【文献】特開2006-088559(JP,A)
【文献】特開2018-094853(JP,A)
【文献】特開2018-187704(JP,A)
【文献】特開平06-190628(JP,A)
【文献】米国特許第05074044(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/00
B23D 45/16
B27G 3/00
B27G 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工材に対して前方への切断加工を行う先端工具を駆動させるモータと、
前記モータの駆動によって回転するファンと、
前記先端工具の少なくとも一部を覆う工具カバーと、
前記工具カバーに接続された集塵ボックスと、
を備え、
前記集塵ボックスは、
前後方向において前記集塵ボックスの中心位置よりも前側に設けられるとともに、前記ファンの回転によって生成される空気流または切断加工によって生じる空気流を前記集塵ボックスの内部へ流入させる吸気部と、
前後方向において前記集塵ボックスの中心位置よりも後側に設けられるとともに、前記集塵ボックス内に流入された前記空気流を前記集塵ボックスの外部へ排気させる排気部と、を含み、
前記吸気部と前記排気部とは前後方向に離間するとともに、前記吸気部と前記排気部とを接続する風路が前後方向に延びるようにして前記集塵ボックスに形成され、
前記排気部によって前記集塵ボックスの内部と前記工具カバーの内部とが連通し、前記集塵ボックスに流入した前記空気流を前記排気部から前記工具カバーの内側へ排気するよう構成されている作業機。
【請求項2】
前記工具カバーは、前記吸気部に接続された送風部を有しており、前記ファンによって生成される前記空気流と前記切断加工によって生じる前記空気流が、前記送風部によって前記吸気部に送られる請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記排気部は、前記集塵ボックスにおける前記工具カバー側に面する側面部に設けられる請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
加工材に対して前方への切断加工を行う先端工具を駆動させるモータと、
前記モータの駆動によって回転するファンと、
前記先端工具の少なくとも一部を覆う工具カバーと、
前記工具カバーに接続された集塵ボックスと、
を備え、
前記集塵ボックスは、
前後方向において前記集塵ボックスの中心位置よりも前側に設けられるとともに、前記ファンの回転によって生成される空気流と切断加工によって生じる空気流とを前記集塵ボックスの内部へ流入させる吸気部と、
前後方向において前記集塵ボックスの中心位置よりも後側に設けられるとともに、前記集塵ボックス内に流入された前記空気流を前記集塵ボックスの外部へ排気させる排気部と、を含み、
前記吸気部と前記排気部とは前後方向に離間するとともに、前記吸気部と前記排気部とを接続する風路が前後方向に延びるようにして前記集塵ボックスに形成され、
前記工具カバーは、前記吸気部に接続された送風部を有しており、前記ファンによって生成される前記空気流と前記切断加工によって生じる前記空気流が、前記送風部によって前記吸気部に送られ、
前記送風部は、
前記ファンによって生成された前記空気流を前記工具カバーにおける前記先端工具の作動空間を通過せずに前記吸気部へ流出させる第1送風出口部と、
前記切断加工によって生じる空気流を前記吸気部へ流出させる第2送風出口部と、
を有している作業機。
【請求項5】
前記第1送風出口部の少なくとも一部は、前記第2送風出口部の上方または前方に位置する請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記第1送風出口部と前記第2送風出口部とは、隣接して配置されている請求項4または5に記載の作業機。
【請求項7】
前記第1送風出口部と前記第2送風出口部とは、同方向に開口している請求項4~請求項6の何れか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記集塵ボックスは、前記吸気部から前記集塵ボックスの内部へ流入される前記空気流を下方側へ案内する案内部を有し、
前記第1送風出口部は、前記第2送風出口部の上側に配置されており、
前記第1送風出口部から前記吸気部へ流出された前記空気流が、前記案内部によって下方側へ案内される請求項4に記載の作業機。
【請求項9】
前記第2送風出口部は、前記工具カバーの内部と連通され、
前記送風部は、前記空気流を分流するダクトを含んで構成されており、
前記ダクトは、分流された一方の前記空気流を前記第1送風出口部に排気する第1ダクト排気部と、分流された他方の前記空気流を前記工具カバーの内部へ排気する第2ダクト排気部と、を有し、分流された他方の前記空気流が前記第2ダクト排気部によって前記第2送風出口部側へ排気される請求項4~請求項8の何れか1項に記載の作業機。
【請求項10】
前記先端工具は円形の丸鋸刃であり、
前記第2ダクト排気部は、前記丸鋸刃の板厚方向から見て、前記丸鋸刃の外形の径方向内側に配置されている請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記第2送風出口部と前記第2ダクト排気部との間には、第1整流部が設けられており、前記第1整流部は、第2ダクト排気部から排気される前記空気流を第2送風出口部側へ整流する請求項9または請求項10に記載の作業機。
【請求項12】
前記先端工具は円形の丸鋸刃であり、前記工具カバーは前記丸鋸刃の上部を覆うように構成されており、
前記集塵ボックスの上下方向の寸法が前後方向の寸法よりも小さく設定されている請求項1~請求項11の何れか1項に記載の作業機。
【請求項13】
前記先端工具は円形の丸鋸刃であり、
前記吸気部は前記丸鋸刃の回転中心よりも前方に位置し、
前記排気部は前記丸鋸刃の回転中心よりも後方に位置する請求項1~請求項12の何れか1項に記載の作業機。
【請求項14】
前記吸気部は前記丸鋸刃の前端よりも後方に位置し、
前記排気部は前記丸鋸刃の後端よりも前方に位置する請求項13に記載の作業機。
【請求項15】
前記工具カバーの下方には前記加工材上を摺動させるためのベースが設けられ、
前記集塵ボックスは前記工具カバーの左右方向一方側に取り付けられている請求項1~請求項14の何れか1項に記載の作業機。
【請求項16】
前記集塵ボックスは切断加工時に生じる加工片を収集する集塵室と、金属製の板部材を有し、
前記板部材が前記集塵室の内面の一部を構成するとともに、前記排気部が前記板部材に形成される請求項1に記載の作業機。
【請求項17】
前記集塵ボックスは前記工具カバーに着脱可能に構成されるとともに、前記工具カバーに装着された状態の前記集塵ボックスを取り外すために作業者が操作可能な操作部を有し、
前後方向で前記吸気部と前記排気部の間の位置に、前記操作部が設けられる請求項1に記載の作業機。
【請求項18】
前記集塵ボックスは金属の部材を有し、前記操作部の周囲に前記部材の一部が位置する請求項17に記載の作業機。
【請求項19】
前記集塵ボックスは前記操作部を支持する操作部支持部を有し、前記部材は前記操作部支持部の前側の少なくとも一部を覆う請求項18に記載の作業機。
【請求項20】
前記集塵ボックスは一部が樹脂として構成され、
前記部材は、樹脂製となる前記集塵ボックスの内面の少なくとも一部を覆う請求項18に記載の作業機。
【請求項21】
前記先端工具は円形であり、
前記工具カバーは、前記先端工具の一部を収容する作動部と、前記先端工具の径方向外側に位置する遮蔽部と、前記先端工具の径方向で前記遮蔽部よりも外側に位置する非作動部とを有し、
前記作動部の内部と前記非作動部の内部とは前記遮蔽部によって区画され、
前記集塵ボックスの内部は前記排気部によって前記非作動部の内部と連通する、請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ダストボックス(集塵ボックス)を備えた携帯用丸鋸(作業機)が記載されている。ダストボックスは、丸鋸刃を覆うソーカバーの側方に配置されており、携帯用丸鋸の作動時に生じる切粉をダストボックス内に溜めるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-68073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、携帯用丸鋸によって加工される加工材が軟鋼等の金属である場合には、切断加工時に生じる切粉が比較的高温となる。このため、切粉が携帯用丸鋸の一部に接触した場合、切粉の熱によって接触箇所に影響が出る恐れがあり、例えば、切粉によってソーカバーや集塵ボックスが熱変形する可能性がある。これにより、作業機では、耐熱性を高くできる構造にしておくことが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、耐熱性を向上することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工材に対して前方への切断加工を行う先端工具を駆動させるモータと、前記モータの駆動によって回転するファンと、前記先端工具の少なくとも一部を覆う工具カバーと、前記工具カバーに接続された集塵ボックスと、を備え、前記集塵ボックスは、前後方向において前記集塵ボックスの中心位置よりも前側に設けられるとともに、前記ファンの回転によって生成される空気流または切断加工によって生じる空気流を前記集塵ボックスの内部へ流入させる吸気部と、前後方向において前記集塵ボックスの中心位置よりも後側に設けられるとともに、前記集塵ボックス内に流入された前記空気流を前記集塵ボックスの外部へ排気させる排気部と、を含み、前記吸気部と前記排気部とは前後方向に離間するとともに、前記吸気部と前記排気部とを接続する風路が前後方向に延びるようにして前記集塵ボックスに形成され、前記排気部によって前記集塵ボックスの内部と前記工具カバーの内部とが連通し、前記集塵ボックスに流入した前記空気流を前記排気部から前記工具カバーの内側へ排気するよう構成されている作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、上下方向において、前記排気部と前記吸気部とが同様の位置に配置されている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記工具カバーは、前記吸気部に接続された送風部を有しており、前記ファンによって生成される前記空気流と前記切断加工によって生じる前記空気流前記送風部によって前記吸気部に送られる作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記排気部は、前記集塵ボックスにおける前記工具カバー側に面する側面部に設けられる作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記送風部は、前記ファンによって生成された前記空気流前記工具カバーにおける前記先端工具の作動空間を通過せずに前記吸気部へ流出させる第1送風出口部と、前記切断加工によって生じる空気流を前記吸気部へ流出させる第2送風出口部と、を有している作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1送風出口部の少なくとも一部は、前記第2送風出口部の上方または前方に位置する作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1送風出口部と前記第2送風出口部とは、隣接して配置されている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1送風出口部と前記第2送風出口部とは、同方向に開口している作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記集塵ボックスは、前記吸気部から前記集塵室へ流入される前記空気流を下方側へ案内する案内部を有し、前記第1送風出口部は、前記第2送風出口部の上側に配置されており、前記第1送風出口部から前記吸気部へ流出された前記空気流が、前記案内部によって下方側へ案内される作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2送風出口部は、前記工具カバーの内部と連通され、前記送風部は、前記空気流を分流するダクトを含んで構成されており、前記ダクトは、分流された一方の前記空気流を前記第1送風出口部に排気する第1ダクト排気部と、分流された他方の前記空気流を前記工具カバーの内部へ排気する第2ダクト排気部と、を有し、分流された他方の前記空気流が前記第2ダクト排気部によって前記第2送風出口部側へ排気される作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記先端工具は円形の丸鋸刃であり、前記第2ダクト排気部は、前記丸鋸刃の板厚方向から見て、前記丸鋸刃の外形の径方向内側に配置されている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2送風出口部と前記第2ダクト排気部との間には、第1整流部が設けられており、前記第1整流部は、第2ダクト排気部から排気される前記空気流を第2送風出口部側へ整流する作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2送風出口部は、第2整流部を有しており、前記第2整流部は、前記第2送風出口部に流入される前記空気流を前記集塵ボックス側へ整流する作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記案内部は前記集塵室の内周面の一部を構成している作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記先端工具は円形の丸鋸刃であり、前記工具カバーは前記丸鋸刃の上部を覆うように構成されており、前記集塵ボックスの上下方向の寸法が前後方向の寸法よりも小さく設定されている作業機である。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工材に対して切断加工を行う先端工具を駆動させるモータと、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンと、前記先端工具の少なくとも一部を覆う工具カバーと、前記工具カバーに隣接して配置された集塵ボックスと、を備え、前記集塵ボックスは、切断加工時に生じる加工片を収集する集塵室を内部に有する樹脂製のケースと、前記集塵室に前記空気流を流入させる吸気部と、前記吸気部に対して前後方向に離間し、前記集塵室内に流入された前記空気流を前記集塵室の外部へ排気させる排気部と、前記吸気部から前記集塵室へ流入される前記空気流を下方側へ案内する案内部と、を含んで構成されている作業機である。
【0018】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記先端工具は円形の丸鋸刃であり、前記吸気部は前記丸鋸刃の回転中心よりも前方に位置し、前記排気部は前記丸鋸刃の回転中心よりも後方に位置する作業機である。
【0019】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記吸気部は前記丸鋸刃の前端よりも後方に位置し、前記排気部は前記丸鋸刃の後端よりも前方に位置する作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記工具カバーの下方には前記加工材上を摺動させるためのベースが設けられ、前記集塵ボックスは前記工具カバーの左右方向一方側に取り付けられている作業機である。
【0020】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工材に対して前方への切断加工を行う先端工具を駆動させるモータと、前記先端工具の少なくとも一部を覆う工具カバーと、前記工具カバーの左右方向一方側に接続された集塵ボックスと、を備え、前記集塵ボックスは、切断加工時に生じる加工片を収集する集塵室を内部に有するケースと、前記集塵室に前記送風部と接続されて空気流を流入させる吸気部と、前記集塵室内に流入された前記空気流を前記工具カバーの内側へ排気させる排気部と、を有し、前記吸気部を介して前記空気流を前記集塵ボックスへ流入させ、前記排気部から前記工具カバーの内側へ排気するよう構成された風路を有する作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記空気流は前記集塵室の内壁を冷却することで前記内壁によって整流され、前記排気部へ向かうように構成されている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、加工材に対して切断加工を行う先端工具を駆動させるモータと、前記先端工具の少なくとも一部を収容する工具収容領域を有する工具カバーと、前記工具カバーに接続され、切断加工時に生じる加工片を収集する集塵室と、前記集塵室に空気を流入させる吸気部と、前記集塵室内に流入された空気を前記集塵室の外部へ排気させる排気部と、を有する集塵ボックスと、前記工具収容領域に設けられ、前記工具収容領域を作動領域と非作動領域とに区画する遮蔽部と、を備え、前記先端工具の一部が、前記作動領域に収容されており、前記排気部が前記非作動領域と連通している作業機である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、耐熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施の形態に係る切断工具を示す右側から見た側面図である。
図2図1に示される切断工具の左側から見た側面図である。
図3図1に示される切断工具の右斜め前方から見た斜視図である。
図4図3に示される切断工具の集塵ボックスを工具本体から取外した状態を示す右斜め前方から見た斜視図である。
図5図2に示される切断工具の内部を示す上側から見た断面図(図2の5-5線断面図)である。
図6】(A)は、図5に示されるダクトの右側から見た側面図であり、(B)は、(A)のダクトの前側から見た正面図であり、(C)は、(A)のダクトの左側から見た側面図である。
図7図4に示される切断工具のソーカバーと丸鋸刃との位置関係を示す左斜め前方から見た斜視図である。
図8図5に示される工具カバーの内部を示す左側から見た断面図(図5の8-8線断面図)である。
図9】(A)は、図1に示される集塵ボックスの着脱ボタンの部位における前側から見た断面図(図1の9A-9A線断面図)であり、(B)は、図12に示されるソーカバーの下側送風出口部の内部を上斜め前方から見た断面図(図12の9B-9B線断面図)である。
図10】(A)は、図1に示される集塵ボックスの前端部における前側から見た断面図(図1の10A-10A線断面図)であり、(B)は、図1に示される集塵ボックスの前端側部分における前側から見た断面図(図1の10B-10B線断面図)である。
図11図4に示される集塵ボックスの左斜め後方から見た分解斜視図である。
図12図11に示される集塵ボックスのインナケースとソーカバーとの位置関係を示す右側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としての切断工具10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれ切断工具10の上側、前側、及び右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、切断工具10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0024】
切断工具10は、加工材を切断する工具として構成されている。図1図4に示されるように、切断工具10は、加工材に切断加工を施す工具本体12と、加工時に生じる加工片としての切粉を溜める集塵ボックス80と、を含んで構成されている。以下、先に工具本体12の構成を説明し、次いで、集塵ボックス80の構成について説明する。
【0025】
(工具本体12について) 工具本体12は、ベース14と、ハウジング20と、ハウジング20内に収容された駆動機構40及び制御部56と、バッテリーパック58と、ソーカバー60と、ガード部材68と、を含んで構成されている。
【0026】
(ベース14について) ベース14は、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形プレート状に形成されている。そして、切断工具10による加工時には、ベース14を加工材の上側に載置して、切断工具10を前方側へ移動させることで、ベース14の下面が加工材の上面を摺動するようになっている。
【0027】
ベース14の左側部には、先端工具としての丸鋸刃16を配置するための工具挿通部14Aが貫通形成されており、工具挿通部14Aは、平面視で前後方向を長手方向とする略矩形孔状に形成されている。ここで、丸鋸刃16は、左右方向を板厚方向とする略円板状に形成されており、丸鋸刃16の中心部が、後述する駆動機構40の出力軸50に一体回転可能に固定されている。そして、丸鋸刃16が工具挿通部14A内に配置されており、丸鋸刃16の上部がベース14から上側へ突出し、丸鋸刃16の下端側部分がベース14から下側へ突出している。また、切断工具10の作動時には、丸鋸刃16が出力軸50の軸回りに回転方向一方側(図1の矢印A方向側であり、以下、この方向を切断回転方向という)へ回転する構成になっている。
【0028】
(ハウジング20について) 図1図5に示されるように、ハウジング20は、工具本体12の外郭を構成すると共に、ベース14の上側に配置されている。ハウジング20は、後述する駆動機構40を収容する本体ハウジング22と、ハウジング20の上部を構成するハンドルハウジング24と、ダクト26と、を含んで構成されている。
【0029】
本体ハウジング22は、右側へ開放された略有底円筒状に形成されている。本体ハウジング22の右端部には、径方向外側へ張り出されたカバーベース部22Aが形成されている。カバーベース部22Aは、右側から見て上側へ凸となる略半円状に形成されており、カバーベース部22Aの外周部が左側へ屈曲されている(図5参照)。そして、カバーベース部22Aの前端部及び後端部が、ベース14に連結されている。カバーベース部22Aは金属製であり、耐熱性及び耐摩耗性が樹脂材と比較して高いものとなっている。
【0030】
本体ハウジング22の左端部には、前側及び後側の角部において、複数の吸気口22Bが貫通形成されている。複数の吸気口22Bは、本体ハウジング22の底壁(左端部)から前後の側壁に亘って形成されており、上下方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。本体ハウジング22の右端部における前壁には、カバーベース部22Aを除く部分において、前側へ開放された開口部22C(図3図5参照)が貫通形成されており、開口部22Cは、前側から見て略矩形状に形成されている。
【0031】
また、カバーベース部22Aの右側面には、前端側部分において、第1整流部としての下側整流片22D(図5及び図8参照)が形成されている。下側整流片22Dは、前後方向を板厚方向として上下方向に延在されており、丸鋸刃16とカバーベース部22Aとの間に配置されている。
【0032】
ハンドルハウジング24は、左側から見て、中空の略D字形に形成されており、本体ハウジング22を上側及び後側から覆うように配置されて、本体ハウジング22に連結されている。ハンドルハウジング24の上端部は、作業者が把持するハンドル部24Aとして構成されており、ハンドル部24Aは、側面視で後側へ向かうに従い下側へ傾斜している。
【0033】
ハンドル部24Aの前端側部分には、トリガ30が設けられている。トリガ30は、ハンドル部24Aから下側へ突出されると共に、上側へ引き操作可能に構成されている。また、ハンドル部24Aには、トリガ30の上側において、トリガ30の引き操作をロックするためのロックボタン31が設けられている。さらに、ハンドル部24Aの内部には、図示しないスイッチ機構が設けられている。スイッチ機構は、トリガ30によって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、後述する制御部56に電気的に接続されており、トリガ30の操作状態に応じた出力信号を制御部56に出力する構成になっている。
【0034】
また、ハンドルハウジング24の後側下端部は、後述するバッテリーパック58を装着するためのバッテリー装着部24Bとして構成されている。バッテリー装着部24Bには、図示しないコネクタが設けられており、コネクタは、後述する制御部56に電気的に接続されている。
【0035】
(ダクト26について) 図2図6に示されるように、ダクト26は、カバーベース部22Aの左側に隣接配置され、カバーベース部22Aに取付けられて、後述するファン46によって生成された空気流AR1を集塵ボックス80に送る送風ダクトとして構成されている。ダクト26は、ダクト本体27及びダクトカバー28の2部材で構成され、ダクト本体27にダクトカバー28を組付けることで、ダクト26が構成されている。ダクトカバー28は丸鋸刃16の左側を覆うように取り付けられる部品であるが、透明な材料によって形成されているため、作業者は左側からダクトカバー28の一部を介して丸鋸刃16の前端(切断箇所)を目視することが可能である。
【0036】
ダクト26は、ダクト26の左部を構成する流入ダクト部26Aと、ダクト26の右部を構成する流出ダクト部26Bと、を有している。流入ダクト部26Aは、左右方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されている。流入ダクト部26Aは、本体ハウジング22の開口部22Cにおいて本体ハウジング22の内部に配置されており、流入ダクト部26Aの前壁が、開口部22Cを閉塞している(図5参照)。また、流入ダクト部26Aの左端部の前壁及び上下壁が、切欠かれており、流入ダクト部26Aの内部と本体ハウジング22の内部とが、連通している。
【0037】
流出ダクト部26Bは、上下方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されており、流入ダクト部26Aの右端部が流出ダクト部26Bの上下方向中間部に接続されている。流出ダクト部26Bの上端部には、第1ダクト排気部26Cが形成されている。第1ダクト排気部26Cは、流出ダクト部26Bの長手方向から見て、右側へ開放された略U字形状に形成されると共に、カバーベース部22Aの外周部に沿って右側へ屈曲されている。これにより、流入ダクト部26Aに流入された空気流AR1の一部が、第1ダクト排気部26Cから右側へ吹出されるようになっている(図10(A)及び(B)参照)。
【0038】
また、図10(A)にも示されるように、流出ダクト部26Bの下端部には、前方側へ突出し且つ筒状を成す第2ダクト排気部26Dが形成されている。第2ダクト排気部26Dは、右側へ屈曲され、カバーベース部22Aの前端部の下側を跨ぐように配置されている。そして、第2ダクト排気部26Dの先端部が、カバーベース部22Aの前端部と丸鋸刃16の前端部との間に配置されている。すなわち、側面図で、第2ダクト排気部26Dが、丸鋸刃16の外形の径方向内側に配置されると共に、丸鋸刃16の前端部と重なる位置に配置されている(図8参照)。また、第2ダクト排気部26Dの先端部が、カバーベース部22Aの下側整流片22Dの前側に近接して配置されており、第2ダクト排気部26Dの先端開口部は、上側へ開放されている(図8参照)。このため、流入ダクト部26Aに流入された空気流AR1の一部が、第2ダクト排気部26Dから上側へ吹出されると共に、下側整流片22Dによって整流される構成になっている。
【0039】
すなわち、ダクト26は、流入ダクト部26Aに流入された空気流AR1を、第1ダクト排気部26Cから排気される空気流AR2と、第2ダクト排気部26Dから排気される空気流AR3と、に分流する送風ダクトとして構成されている。そして、第2ダクト排気部26Dから吹出される空気流AR3の向きが、丸鋸刃16の切断回転方向と略一致するように設定されている。
【0040】
(駆動機構40について) 図5に示されるように、駆動機構40は、モータ41と、出力軸50と、を含んで構成されている。モータ41は、本体ハウジング22内に収容されている。モータ41は、回転軸42と、ロータ43と、ステータ44と、を含んで構成されている。
【0041】
回転軸42は、左右方向を軸方向として配置されている。そして、回転軸42の左端部が、本体ハウジング22に固定された第1モータ軸受47によって回転可能に支持されており、回転軸42の右側部分が本体ハウジング22に固定された第2モータ軸受48によって回転可能に支持されている。そして、回転軸42の右端部が、第2モータ軸受48から右側へ突出しており、回転軸42の右端部には、ピニオンギヤ42Aが形成されている。
【0042】
ロータ43は、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成され、回転軸42の径方向外側に配置されると共に、回転軸42と一体回転可能に構成されている。ステータ44は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ロータ43の径方向外側において本体ハウジング22に支持されている。ステータ44は、ステータホルダ44Aを有しており、ステータホルダ44Aには、ステータコイル(図示省略)が巻き回されている。ステータホルダ44Aの左端部には、モータ基板45が固定されており、ステータコイルがモータ基板45に接続されている。また、モータ基板45は、図示しないリード線によって、後述する制御部56に電気的に接続されている。
【0043】
回転軸42の右側部分には、第2モータ軸受48の左側において、ファン46が一体回転可能に設けられている。ファン46は、遠心ファンとして構成されている。具体的には、ファン46によって、本体ハウジング22の吸気口22Bから本体ハウジング22内に空気を流入させ、本体ハウジング22の開口部22Cからダクト26内へ流れる空気流AR1を発生させる構成になっている。
【0044】
出力軸50は、左右方向を軸方向として、本体ハウジング22の内部に配置されている。具体的には、出力軸50は、モータ41の回転軸42の右側端部(軸方向一方側端部)の下側で且つ回転軸42に対して若干後側に配置されて、本体ハウジング22に回転可能に支持されている。出力軸50の左端部には、図示しない出力ギヤが一体回転可能に設けられている。
【0045】
さらに、回転軸42と出力軸50との間には、図示しない伝達ギヤ(減速機構)が設けられている。伝達ギヤは、2段ギヤとして構成されて、回転軸42のピニオンギヤ42A及び出力軸50の出力ギヤに噛合されている。また、出力軸50の右端部は、工具取付部として構成されて、工具取付部は、カバーベース部22A内に配置されている。また、工具取付部は、右側へ開放された略円筒状に形成されており、工具取付部の内周部には、雄ネジが形成されている。そして、丸鋸刃16の中心部が、ワッシャ52介して工具取付部に外挿され、ボルトBLによって、丸鋸刃16が出力軸50の右端部に固定されている。これにより、モータ41の駆動時には、出力軸50及び丸鋸刃16が、出力軸50の軸回りに切断回転方向へ回転する。
【0046】
なお、図1図5、及び図8に示されるように、丸鋸刃16の下部は、保護カバー54によって覆われている。保護カバー54は、右側から見て下側へ凸となる略半円状に形成されると共に、上側へ開放された凹状に形成されている。具体的には、保護カバー54は、丸鋸刃16を径方向外側から覆う外周保護部54Aと、外周保護部54Aの右端部から丸鋸刃16の径方向内側へ延出された第1サイド保護部54Bと、外周保護部54Aの左端部から丸鋸刃16の径方向内側へ延出された第2サイド保護部54Cと、を含んで構成されている(図5参照)。そして、第2サイド保護部54Cが、出力軸50の軸回りに回転可能に出力軸50に連結されている。
【0047】
さらに、保護カバー54は、図示しない付勢バネによって出力軸50の軸回りに付勢されて、図1図5に示される保護位置に保持されている。一方、切断工具10による切断加工時には、保護カバー54が、加工材によって後側へ押圧されて、付勢バネの付勢力に抗して出力軸50の軸回り他方側へ回転するようになっている(図8において2点鎖線にて示される位置であり、以下、保護カバー54のこの位置を作動位置という)。そして、保護カバー54の作動位置では、丸鋸刃16の下部が露出されると共に、保護カバー54によって丸鋸刃16の上部が覆われる構成になっている。
【0048】
(制御部56について) 図2に示されるように、制御部56は、ハンドルハウジング24におけるバッテリー装着部24Bの前端部内に収容されている。制御部56には、トリガ30のスイッチ機構及びモータ41が電気的に接続されている。これにより、トリガ30が引き操作されることで、モータ41が駆動して、丸鋸刃16が出力軸50の軸回りに回転するようになっている。
【0049】
(バッテリーパック58について) バッテリーパック58は、略直方体に形成されている。そして、バッテリーパック58が、切断工具10のバッテリー装着部24Bに後側から装着されている。さらに、バッテリーパック58は、図示しないコネクタを有しており、バッテリーパック58の装着状態では、当該コネクタが、ハンドルハウジング24のコネクタに接続されて、バッテリーパック58から制御部56へ電力が供給される構成になっている。
【0050】
(ソーカバー60について) 図3図5図7~10に示されるように、ソーカバー60は、樹脂製とされると共に、本体ハウジング22のカバーベース部22Aの右側に隣接配置されて、丸鋸刃16を上側及び右側から覆うカバー部として構成されている。具体的には、ソーカバー60は、左右方向を板厚方向とする略半円板状のサイドカバー部61と、サイドカバー部61の外周端部から右側へ延出された外周カバー部62と、を含んで構成されている。そして、サイドカバー部61が、丸鋸刃16の上部を右側(モータ41の軸方向一方側)から覆う壁部として構成され、外周カバー部62が、丸鋸刃16の上部を径方向外側から覆う壁部として構成されている。サイドカバー部61は透過性の樹脂(プラスチック)によって形成されている。
【0051】
また、外周カバー部62が、カバーベース部22Aの外周部の右側に隣接配置されて、カバーベース部22Aに締結固定されている。そして、カバーベース部22A、ダクト26、及びソーカバー60により、工具カバー70が構成されており、工具カバー70によって、丸鋸刃16の上部が覆われている。また、工具カバー70の内部は、丸鋸刃16の上部を収容する工具収容領域70Aとして構成されている。
【0052】
図7及び図8に示されるように、サイドカバー部61の上部には、丸鋸刃16の径方向外側において、遮蔽部63が形成されている。遮蔽部63は、丸鋸刃16の径方向を板厚方向とし且つ丸鋸刃16の周方向に沿って延びる略長尺板状に形成されて、サイドカバー部61の内面から左側へ突出するように形成されている。すなわち、遮蔽部63は、左側から見て、丸鋸刃16の周方向に沿って延在した湾曲形状の板部材である。
【0053】
これにより、遮蔽部63によって、工具収容領域70Aが、丸鋸刃16の径方向において区画されている。具体的には、工具収容領域70Aにおける遮蔽部63に対して丸鋸刃16の径方向内側部分(遮蔽部63よりも内方部分)が作動領域70Bとして構成され、工具収容領域70Aにおける遮蔽部63に対して径方向外側部分(遮蔽部63よりも外方部分)が非作動領域70Cとして構成されている。そして、保護カバー54の作動位置では、保護カバー54が作動領域70Bに配置される構成になっている。また、遮蔽部63の左端部63B(先端部)は、外周カバー部62及び丸鋸刃16よりも左側に配置されると共に、カバーベース部22Aの右側に近接して配置されている。すなわち、遮蔽部63の左端部63B(先端部)とカバーベース部22Aの右側との間には左右方向の隙間が形成される。また、遮蔽部63の後端とカバーベース部22Aの後端内壁との間には前後方向の隙間が形成される。
【0054】
図9(B)にも示されるように、遮蔽部63の前部63Cの上面には、第2整流部としての送風ガイド部63Aが形成されている。送風ガイド部63Aは、遮蔽部63の前左端部から遮蔽部63の後端側(丸鋸刃16の切断回転方向側)へ向かうに従い右側へ曲線状に傾斜している。さらに、送風ガイド部63Aの右部は、遮蔽部63及び外周カバー部62の間に配置されて、両者を連結している。これにより、ソーカバー60には、遮蔽部63、送風ガイド部63A、及び外周カバー部62によって構成された第2送風出口部としての下側送風出口部64が形成されており、下側送風出口部64の前端部が、工具収容領域70Aの作動領域70Bと連通している。
【0055】
また、下側送風出口部64を構成する遮蔽部63の前部63Cには、その前端に第1整流部としての上側整流片64A(図7参照)が形成されている。上側整流片64Aは、下側送風出口部64(遮蔽部63)の前端部から下側へ延出されると共に、サイドカバー部61に接続されている。上側整流片64Aの下端部には、左右方向中間部において、下側へ開放されたスリット64Bが形成されている。そして、丸鋸刃16における前端側外周部が、スリット64B内に配置されている。また、上側整流片64Aの左端部(スリット64Bよりも左側部分)の下端部は、カバーベース部22Aの下側整流片22Dにおける上端部の前側に近接して配置されている(図8参照)。ソーカバー60内部における、後述するボックス側排気口84Eの前方位置には、規制部22Eが設けられる。規制部22Eは、カバーベース部22Aの右側面から右方へ突出する壁状の部分であり、非作動領域70C内に位置する物体の前方移動を規制するものである。また、遮蔽部63は、その後方部分(後部63D)が後方にいくにつれ下方に傾斜するような形状を成している。正確には、遮蔽部63には、下側に向かって傾斜するように湾曲する後部63Dが設けられている。後部63Dの後端は、丸鋸刃16の後端よりも後方に位置するように構成されている。後部63D(遮蔽部63)の後端とソーカバー60の後端内壁との間には、前後方向隙間が形成される。
【0056】
さらに、下側送風出口部64は、右側へ開放されている。つまり、サイドカバー部61には、下側送風出口部64を開口させる孔部(出口孔64C)が形成されており、当該孔部が、出口孔64C(図12参照)として構成されている。これにより、作動領域70B内において、第2ダクト排気部26Dから排気される空気流AR3と丸鋸刃16の回転により生じる空気流AR4とが合流して、合流した空気流が、下側送風出口部64に流入し、下側送風出口部64の出口孔64Cから右側へ流出されるようになっている。また、このときには、作動領域70B内において、丸鋸刃16によって上側へ巻き上げられる切粉が、下側送風出口部64に挿入され、下側送風出口部64の出口孔64Cから右側へ排出されるようになっている。すなわち、空気流AR4は切粉混じりの空気流である。
【0057】
図7及び図10に示されるように、外周カバー部62の上面には、下側送風出口部64の上側で且つダクト26の第1ダクト排気部26Cの左側において、第1送風出口部としての上側送風出口部65が形成されている。上側送風出口部65は、第1ダクト排気部26Cに対応して、側面視で下側へ開放された略U字形状に形成されており、上側送風出口部65の長手方向両端部が、外周カバー部62に接続されている。そして、第1ダクト排気部26Cと上側送風出口部65とが接続されて、第1ダクト排気部26Cの内部と上側送風出口部65の内部とが連通している。これにより、第1ダクト排気部26Cから排気される空気流AR2が、上側送風出口部65から右側へ排気される構成になっている。
【0058】
そして、ファン46によって生成された空気流を、後述する集塵ボックス80へ送る送風部が、ダクト26、ソーカバー60の下側送風出口部64、及び上側送風出口部65によって構成されている。
【0059】
図4に示されるように、サイドカバー部61の下端部には、前後方向中間部において、カバー側切欠部61Aが形成されており、カバー側切欠部61Aは、側面視で、下側へ開放された略半円状に形成されている。そして、後述する集塵ボックス80の工具本体12からの取外し状態では、出力軸50に螺合されたボルトBLが、カバー側切欠部61Aによって右側へ露出されている。
【0060】
サイドカバー部61の後部の上端部には、連通孔61Bが貫通形成されている。連通孔61Bは、側面視で、遮蔽部63の長手方向に沿った長孔状に形成されると共に、外周カバー部62と遮蔽部63との間に配置されている。すなわち、工具カバー70の非作動領域70Cの内部と外部とが連通孔61Bによって連通されている。
【0061】
サイドカバー部61の上端部には、下側送風出口部64と連通孔61Bとの間において、後述する集塵ボックス80の着脱ボタン86の一部が挿入されるボタン挿入部61Cが貫通形成されており、ボタン挿入部61Cは、略矩形状に形成されている。また、サイドカバー部61の下端部には、カバー側切欠部61Aの前側及び後側において、後述する集塵ボックス80を固定するための前後一対の固定孔61Dが貫通形成されており、固定孔61Dは、略矩形状に形成されている。
【0062】
(ガード部材68について) 図4図9(B)、及び図12に示されるように、ガード部材68は、ソーカバー60の下側送風出口部64の内部に配置されて、下側送風出口部64の底壁(遮蔽部63)を保護する部材として構成されている。ガード部材68は、下側送風出口部64の底壁と平行に配置されたプレート状に形成されている。すなわち、側面視で、ガード部材68は、遮蔽部63の長手方向に沿った曲線状に湾曲されている。また、ガード部材68は、遮蔽部63の板厚方向から見て、下側送風出口部64の底面と相似形を成すように略三角形状に形成されて、下側送風出口部64の底面の上側に隣接して配置されている。すなわち、ガード部材68の右端部が前後方向に直線状に延在されており、ガード部材68の左端部が、後側へ向かうに従い右側へ曲線状に傾斜されている。
【0063】
また、ガード部材68の右端部は、下側送風出口部64の出口孔64Cから右側へ若干突出している。さらに、ガード部材68の後端部は、ソーカバー60における下側送風出口部64に形成された溝部64D内に挿入されている。また、ガード部材68の後端部には、右側へ突出され且つ上側へ屈曲されたガード固定部68Aが形成されている。そして、ガード固定部68Aが、下側送風出口部64の出口孔64Cにおける後側周縁部の左側に配置され、溶着によってサイドカバー部61に固定されている。
【0064】
(集塵ボックス80について) 図3図5、及び図9図12に示されるように、集塵ボックス80は、工具本体12のソーカバー60に着脱可能に取付けられて、ソーカバー60の右側に隣接配置されている。そして、ソーカバー60の下側送風出口部64から排出された切粉を、集塵ボックス80によって溜めるように構成されている。集塵ボックス80は、ケースとしてのアウタケース82と、インナケース84と、着脱ボタン86と、集塵機接続部90と、を含んで構成されている。集塵ボックス80の前端は下に向かって後方に傾斜するような形状を成し、当該傾斜構造によってサイドカバー部61の前端下部(図3における符号61が引き出されている箇所)が集塵ボックス80に覆われない構成となる。これによって、作業者は右側から透明であるサイドカバー部61の一部(前端下部)を介して丸鋸刃16の前端(切断箇所)を目視することができるように構成されている。
【0065】
(アウタケース82について) アウタケース82は、透明の樹脂材によって構成されると共に、左側へ開放され且つ前後方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されている。そして、アウタケース82の内部が、切粉を溜める集塵室80Aとして構成されている。アウタケース82の下側の開口部には、ソーカバー60の固定孔61Dに対応する位置において、前後一対のボックス側係合フック82Aが形成されている。ボックス側係合フック82Aは、前後方向に延在され且つ前側から見て略逆L字形状に形成されて、アウタケース82から下側へ突出している。そして、ボックス側係合フック82Aが、ソーカバー60の固定孔61D内に差し込まれて、固定孔61Dの下側縁部に係合することで、アウタケース82の下端部が、ソーカバー60に取付けられている(図10(B)参照)。一方、アウタケース82の上端部は、後述する着脱ボタン86によってソーカバー60に取付けられている。
【0066】
さらに、集塵ボックス80のソーカバー60への取付状態では、アウタケース82の上面が、ソーカバー60の上面と面一となるように、側面視で略円弧状に湾曲されている。また、アウタケース82の右壁における下側送風出口部64及び上側送風出口部65と左右方向に対向する部分が、案内部としてのケースガイド部82Bとして構成されている。すなわち、ケースガイド部82Bが、集塵室80Aの内周面の一部を構成している。
【0067】
図11に示されるように、アウタケース82の右壁には、後述するインナケース84を固定するための複数(本実施の形態では、3箇所)の固定ボス82Cが形成されている。固定ボス82Cは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、アウタケース82の右壁から左側へ突出している。なお、固定ボス82Cは、アウタケース82の前端部、後端部、及び上端部にそれぞれ形成されており、図11では、アウタケース82の前端部及び上端部に設けられた2箇所の固定ボス82Cのみを、図示している。
【0068】
アウタケース82の上壁には、前後方向中間部において、後述する着脱ボタン86を収容するためのボタン収容部82Dが形成されている。ボタン収容部82Dは、上側及び左側へ開放された凹状に形成されて、ソーカバー60のボタン挿入部61Cの右側に配置されている。ボタン収容部82Dの上側開口部には、前後一対の係止リブ82Eが形成されている。係止リブ82Eは、ボタン収容部82Dの前後の内周面から前後方向内側へ突出すると共に、左右方向に延在している。
【0069】
アウタケース82の右壁の下端部には、ケース傾斜部82Fが、形成されている。ケース傾斜部82Fは、前側から見て、右側へ向かうに従い上側へ傾斜している(図9(A)参照)。ケース傾斜部82Fの外面には凹凸形状が形成されており、集塵ボックス80を持って操作しやすいようになっている(図9(A)参照)。
【0070】
アウタケース82の後端部には、後述する集塵機接続部90を装着するための装着部82Gが形成されている。装着部82Gは、前後方向を軸方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形筒状に形成されて、アウタケース82から後側へ突出している。また、装着部82Gの左部は、アウタケース82より左側へ突出している。さらに、アウタケース82の後壁には、アウタケース82の内部と装着部82Gの内部とを連通する排出孔82Hが貫通形成されている。
【0071】
(インナケース84について) 図11及び図12に示されるように、インナケース84は、金属の板材によって構成されている。インナケース84は、左右方向を板厚方向として配置されており、右側から見て、インナケース84の外形がアウタケース82の外形と相似形を成すように形成されている。すなわち、インナケース84の上端部が、上側へ凸となる略円弧状に湾曲している。インナケース84には、アウタケース82の固定ボス82Cに対応する位置において、固定孔84Aが貫通形成されている。そして、固定ネジSCが、固定孔84A内に左側から挿入され、固定ボス82Cに螺合されて、インナケース84が、アウタケース82に固定されている。また、インナケース84のアウタケース82への固定状態では、インナケース84が、アウタケース82の開口部の内側に配置されて、インナケース84によって集塵室80Aが閉塞されている。
【0072】
集塵ボックス80におけるインナケース84の前部の上側外には、吸気部としてのボックス入口部84Bが形成されており、ボックス入口部84Bは、右側から見て、インナケース84の外周部から下側へ一段下がるように切欠かれていることで形成されている。すなわち、インナケース84の前方上部と、アウタケース82の前方上部との間には前後上下に広がる空間(間隔)が形成され、当該空間が左方向に開口するボックス入口部84B(吸気部)となる。そして、ソーカバー60の下側送風出口部64が、ボックス入口部84Bに対向するようにして集塵室80Aへ露出(開口)されている。このように形成されたボックス入口部84Bによって、ソーカバー60の上側送風出口部65及び下側送風出口部64と集塵室80Aとが連通し、集塵ボックス80の耐熱性を向上させる風路が形成されている。なお、図11においては、インナケース84とアウタケース82を組んだ状態におけるボックス入口部84Bの位置(インナケース84の切欠き部分)に符号を示している。
【0073】
インナケース84の上端部には、ボックス入口部84Bの後端部の上側において、ストッパ壁84Cが形成されている。ストッパ壁84Cは、右側へ屈曲され且つ前後方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されて、側面視で下側送風出口部64に対して丸鋸刃16の切断回転方向側に配置されている。これにより、下側送風出口部64の出口孔64Cから右側且つ丸鋸刃16の回転方向側へ排出される切粉が、ストッパ壁84Cに衝突するように構成されている。換言すれば、ストッパ壁84Cによって出口孔64Cからの切粉が勢いよくアウタケース82の一部(後述するボタン収容部82Dの前部)に衝突することを抑制している。
【0074】
インナケース84の上端部には、ストッパ壁84Cの後側において、後述する着脱ボタン86を挿通させるためのボタン挿通溝84Dが形成されている。ボタン挿通溝84Dは、上側へ開放された凹状に形成されると共に、ソーカバー60のボタン挿入部61Cの右側に配置されている。
【0075】
また、インナケース84の後部には、ボックス入口部84Bの後側(前後方向一方側)において、複数(本実施の形態では、2箇所)の排気部としてのボックス側排気口84Eが貫通形成されている。ボックス側排気口84Eを複数とすることで、集塵室80Aから非作動領域70Cに切粉等が侵入することを抑制している。ボックス側排気口84Eは、ソーカバー60の連通孔61Bの右側に隣接配置されると共に、左側から見て、連通孔61Bの内部に配置されている(図8参照)。これにより、集塵ボックス80の集塵室80Aと工具カバー70の非作動領域70Cとが、連通孔61B及びボックス側排気口84Eによって連通されている。換言すれば、非作動領域70Cとボックス側排気口84Eが連通孔61Bによって連通されている。よって、集塵室80A内に流入された空気流を、工具カバー70の非作動領域70Cへ排気できる構成になっている。また、上下方向において、ボックス側排気口84Eが、ボックス入口部84Bと重なる位置に配置されている。ボックス側排気口84Eは、丸鋸刃16の中心よりも後方に位置している。また、連通孔61Bは複数のボックス側排気口84Eをまとめて非作動領域70Cへ連通させる大きさの開口となっている。このため、集塵ボックス80を取り外した状態では連通孔61Bから非作動領域70Cの内部を視認しやすくなるとともに、非作動領域70Cに異物が侵入した際にも除去しやすい。また、図8図12に示されるように、左右方向で見て連通孔61Bの位置にはインナケース84を集塵ボックス80に固定するための固定ネジSCが位置するが、連通孔61Bは固定ネジSCの頭部分(ネジ頭)が外周カバー部62と接触することを避けるための逃げ部としても機能する。換言すれば、固定ネジSCの頭部分は連通孔61Bの内側に位置することで外周カバー部62と接触しないように構成されている。
【0076】
図9(A)にも示されるように、インナケース84の下端部には、右側へ屈曲されたボックスボトム部84Fが形成されており、ボックスボトム部84Fは、前後方向に延在されると共に、アウタケース82の下壁の上側に隣接して配置されている。これにより、ボックスボトム部84Fが、集塵室80Aの底部を構成している。また、ボックスボトム部84Fの先端部には、アウタケース82のケース傾斜部82Fに対応する傾斜部84Gが形成されている。傾斜部84Gは、前側から見て、右側へ向かうに従い上側に傾斜されると共に、アウタケース82のケース傾斜部82Fの左側に隣接して配置されている。
【0077】
(着脱ボタン86について) 図1図3図9(A)、及び図11に示されるように、着脱ボタン86は、下側へ開放された略矩形箱状に形成されて、アウタケース82のボタン収容部82D内に配置されている。着脱ボタン86の前後面には、係合突起86Aがそれぞれ形成されている。そして、係合突起86Aが、アウタケース82の係止リブ82Eの下側に隣接配置されている。
【0078】
また、着脱ボタン86の内部には、ボタンスプリング88(図9(A)参照)が配置されている。ボタンスプリング88は、圧縮コイルスプリングとして構成され、ボタンスプリング88の上端部が、着脱ボタン86の上壁に係止され、ボタンスプリング88の下端部が、ボタン収容部82Dの下壁に係止されている。これにより、ボタンスプリング88によって、着脱ボタン86が上側へ付勢されて、係合突起86Aが係止リブ82Eに当接している。したがって、着脱ボタン86が下側へ押圧操作可能に構成されている。
【0079】
また、着脱ボタン86には、ボタン係合片86Bが形成されている。ボタン係合片86Bは、上下方向を板厚方向として、着脱ボタン86から左側へ突出している。具体的には、ボタン係合片86Bは、インナケース84のボタン挿通溝84D内を挿通しており、ボタン係合片86Bの先端部が、ソーカバー60のボタン挿入部61C内に挿入されている。ボタン係合片86Bの幅寸法(前後方向の寸法)は、ボタン挿通溝84Dの幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。これにより、着脱ボタン86の前後方向における位置が、インナケース84のボタン挿通溝84Dによって決まる構成になっている。すなわち、着脱ボタン86前後方向及び左方向の移動は、インナケース84によって規制されている。
【0080】
さらに、ボタン係合片86Bの先端部には、上側へ突出した被係合フック部86Cが形成されている。被係合フック部86Cは、ソーカバー60のボタン挿入部61Cの上側縁部と左右方向に係合している。これにより、集塵ボックス80の上端部の右側への移動が制限されている。そして、着脱ボタン86を下側へ押圧することで、被係合フック部86Cとソーカバー60との係合状態が解除される。これにより、集塵ボックス80を工具本体12から取外すことができるように構成されている。このように、ボタン挿入部61Cは集塵ボックス80を着脱可能に支持する支持部として機能する。
【0081】
(集塵機接続部90について) 図1図3図4、及び図11に示されるように、集塵機接続部90は、集塵機接続部90の前部を構成する被装着部90Aと、集塵機接続部90の後部を構成する接続筒部90Bと、を含んで構成されている。被装着部90Aは、前側へ開放された略矩形箱状に形成されている。そして、被装着部90Aが、アウタケース82の装着部82Gを閉塞するように、装着部82Gに連結されている。具体的には、被装着部90Aの上端部が、左右方向を軸方向として、アウタケース82の装着部82Gの上端部に回転可能に連結されている。
【0082】
接続筒部90Bは前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、被装着部90Aから後側へ突出している。また、接続筒部90Bの内部と被装着部90Aの内部とが連通している。そして、接続筒部90Bの後端部には、図示しない集塵機のホースが接続される構成になっている。これにより、集塵機によって、集塵ボックス80の切粉が吸引されて集塵ボックス80の外部へ排出される構成になっている。なお、集塵機のホースの接続筒部90Bへの未接続時には、有底円筒状のキャップ92が、接続筒部90Bに取付けられている。
【0083】
(作用効果) 次に、本実施の形態の切断工具10の作用及び効果について説明する。
【0084】
上記のように構成された切断工具10の切断加工時には、ベース14を加工材上に載置すると共に、トリガ30を引き操作する。これにより、モータ41が駆動すると共に、モータ41の駆動力が丸鋸刃16に伝達されて、丸鋸刃16が切断回転方向へ回転する。そして、切断工具10を前方側へ移動させることで、保護カバー54が加工材によって保護位置から作動位置へ回転して、丸鋸刃16の下部が露出される。これにより、加工材に対して切断加工が施される。
【0085】
また、切断工具10の作動時には、ファン46が回転して、吸気口22Bから本体ハウジング22内に流入される空気流AR1が生じる。空気流AR1は、ファン46の径方向外側へ流れて、本体ハウジング22の開口部22Cからダクト26内に流入される(図5参照)。ダクト26に流入された空気流AR1は、ダクト26の第1ダクト排気部26Cへ流れる空気流AR2と、第2ダクト排気部26Dへ流れる空気流AR3と、に分流される(図10(A)参照)。
【0086】
そして、図10(A)及び(B)に示されるように、空気流AR2は、第1ダクト排気部26Cから上側送風出口部65に送られて、上側送風出口部65から右側(集塵ボックス80側)へ流出される。これにより、空気流AR2が、集塵ボックス80のボックス入口部84Bから集塵室80Aの内部に流入される。集塵室80A内に流入された空気流AR2は、集塵ボックス80のケースガイド部82B(集塵室80Aの内壁)に当たって、空気流AR2の向きが下側へ変更される。これにより、空気流AR2が、集塵室80Aの前端部を下側へ向かって流れる(図12参照)。
【0087】
一方、図8及び図10(A)に示されるように、空気流AR3は、第2ダクト排気部26Dから上側へ流出されて、工具カバー70の作動領域70Bの前端部を上側に向かって流れる。また、切断工具10の作動時には、丸鋸刃16の回転及び切り上げられた加工片の移動によって切断回転方向に向かう空気流AR4が発生する。このため、空気流AR3が、空気流AR4と合流して、作動領域70Bの前端部内を上側に向かって流れる。さらに、このときには、空気流AR3及び空気流AR4が、下側整流片22D及び上側整流片64Aによって整流されて、ソーカバー60の下側送風出口部64側へ流れる。
【0088】
また、加工材に対する切断加工時には、切断加工によって生じる切粉が、切断加工の勢いと丸鋸刃16の空気流AR4によって上側へ運ばれる。具体的には、切粉が、丸鋸刃16の前端外周部から上側へ向かって吹きあがるように発生すると共に、工具カバー70の外周部に沿って、上方かつ後方へ移動する。このため、空気流AR4と合流した空気流AR3が、上方へ移動した切粉と共に、ソーカバー60の下側送風出口部64内に流入される。そして、下側送風出口部64内に移動した空気流AR3及び切粉(空気流AR4)は、送風ガイド部63Aによって下側送風出口部64の出口孔64C側へ整流されて、出口孔64Cから右側へ流出される。下側送風出口部64に到達した空気流AR3には空気流AR4が含まれるが、説明の便宜上これ以降では空気流AR4の記載を省略する。
【0089】
そして、図10(A)及び(B)に示されるように、空気流AR3及び切粉が、集塵ボックス80のボックス入口部84Bから集塵室80Aの内部に流入される。これにより、切粉が集塵室80Aの底部に落下して集塵室80A内に溜められる。また、集塵室80A内に流入された空気流AR3は、集塵ボックス80のケースガイド部82Bに当たって、空気流AR3の向きが下側へ変更される。これにより、空気流AR3が、空気流AR2と共に、集塵室80Aの前端部を下側へ向かって流れる(図12参照)。
【0090】
図12に示されるように、下側へ流れる空気流AR2及び空気流AR3(すなわち、空気流AR1)が、集塵室80Aの下端部に到達すると、空気流AR2及び空気流AR3が、集塵室80Aの底部に当たって、空気流AR2及び空気流AR3の向きが後側に変更される。これにより、空気流AR2及び空気流AR3が、集塵室80Aの前端部から後端部に流れる。
【0091】
集塵ボックス80の後端部には、ボックス側排気口84Eが形成されている。また、ファン46が回転している限り空気流AR2及び空気流AR3は集塵室80A内部に送り続けられるため、集塵室80A内部の前部及び下部は圧力が高くなる。このため、集塵ボックス80の後端部に到達した空気流AR2及び空気流AR3は、前方から送られる空気流に押され、上方に移動してボックス側排気口84Eへ向けて流れる。すなわち、空気流AR2及び空気流AR3が、集塵室80Aの後端部を上側へ向かって流れる。そして、空気流AR2及び空気流AR3が、ボックス側排気口84Eから、工具カバー70の非作動領域70C内に排気される。こうして、集塵室80A内に空気の流れが形成される。非作動領域70C内に左方向に向かって排気された空気は、遮蔽部63の左端部63B(先端部)とカバーベース部22Aの右側との間に設けられた左右方向の隙間を通って工具カバー70の内部に移動する。ここで、仮に非作動領域70C内に侵入した切粉が、上記左右方向の隙間から工具カバー70内部に移動したとしても、当該隙間は丸鋸刃16に対して左方向に離間したものであるため(図9)、丸鋸刃16と切粉が接触することは好適に抑制されている。また、カバーベース部22Aは金属であるため、切粉が接触したとしても、作業性に支障を来す程度の変形及び破損の恐れがほぼない。また、非作動領域70C内に左方向に向かって排気された空気は、遮蔽部63の後端とカバーベース部22Aの後端内壁(及びソーカバー60の後端内壁)との間に設けられた前後方向の隙間を通って工具カバー70の内部に移動する。当該前後方向の隙間から切粉が工具カバー70内部に万が一移動してきたとしても、当該前後方向の隙間(後部63D)は丸鋸刃16の後端よりも後方に位置しているため(図7,8)、切粉が丸鋸刃16と接触することを抑制することができる。
【0092】
ところで、加工材が軟鋼等の金属材の場合には、比較的高温の切粉が、ソーカバー60の下側送風出口部64から集塵ボックス80の集塵室80A内に排出される。また、集塵室80Aを構成するアウタケース82は、樹脂製とされている。このため、当該切粉によってアウタケース82が熱変形する可能性がある。
【0093】
ここで、上述のように、集塵ボックス80は、ファン46によって生成された空気流AR1(空気流AR2及び空気流AR3)を集塵室80Aに流入させるボックス入口部84Bと、集塵室80A内の空気流AR1を集塵室80Aの外部へ排気させるボックス側排気口84Eと、を含んで構成されており、ボックス側排気口84Eがボックス入口部84Bの後側に配置されている。換言すれば、集塵ボックス80の前側部分にボックス入口部84Bが設けられ、集塵ボックス80の後側部分にボックス側排気口84Eが設けられる。より詳細には、集塵ボックス80の前後方向中心位置よりも前方の部分にボックス入口部84Bが設けられ、集塵ボックス80の前後方向中心位置よりも後方の部分にボックス側排気口84Eが設けられる。これにより、前側から後側へ移動する空気流AR1の流れを円滑にし、集塵ボックス80を好適に冷却することができる。ボックス入口部84Bとボックス側排気口84Eを両方とも集塵ボックス80の前部、または後部に設けた場合、空気流AR1は前後方向でUターンするような様態となるため、出て行く空気流AR1が入り込む空気流AR1の流れを阻害し、空気の流れが乱れる可能性があるが、本実施の形態ではこういった点を抑制することができる。また、集塵ボックス80は、ボックス入口部84Bから集塵室80A内に流入された空気流AR1を下側へ案内するケースガイド部82Bを有している。このため、上述したように、右側に向かって集塵室80A内に流入された空気流AR1は、集塵室80Aの前端部を下側へ流れ、次に集塵室80Aの下端部を後側へ流れ、次に集塵室80Aの後端部を上側へ流れ、最後に左側へ流れてボックス側排気口84Eに至る。すなわち、集塵室80Aの略全体に亘って空気流AR1を流すことができる。詳細には、同一方向(左方向)に開口する集塵室80Aの吸気部(ボックス入口部84B)と排気部(ボックス側排気口84E)を前後に離間させながら、吸気部(ボックス入口部84B)から流入させる空気の流れを左右方向に沿った方向とすることで、集塵室80A内の空気の流れを、右方向、下方向、後方向、上方向、左方向という順に整流されるように構成した。これにより、集塵室80Aの内部を効率よく冷却することができ、切断工具10の耐熱性を向上させることができる。また、ボックス入口部84Bからは、切粉も右方向に流入してくるため、熱を持った状態の切粉が最初に接触する集塵室80Aの右側内壁(集塵ボックス80の右側壁)である可能性が高く、集塵ボックス80の部分は右側壁の耐熱性を確保することが重要となるが、本実施の形態では、右側に向かって集塵室80A内に流入された空気流AR1は最初に集塵室80Aの右側内壁(アウタケース82の右側壁)に当たるように構成されているため、当該右側内壁を優先して冷却することができる。これにより、集塵室80A内に流入された空気流AR1によって、集塵室80Aを構成する樹脂製のアウタケース82を効率よく冷却することができる。したがって、切断工具10の耐熱性を向上させることができる。また、集塵室80Aの下部には収集された切粉が堆積することとなるが、集塵室80Aの下部においては空気流AR1が後方に移動するため、堆積する切粉を随時冷却することが可能となる。さらに、集塵室80Aの下端には金属製のボックスボトム部84Fが位置するため、堆積した切粉が有する熱を下方から吸収し、発散させることができる。すなわち、集塵室80Aに堆積した切粉は、下側と上側の両方から冷却されることで迅速に冷却されるため、切粉の熱が過度にアウタケース82へ伝達されてしまうことを抑制可能となる。なお、このような構成は、集塵ボックス80をソーカバー60の右側に接続する本願実施の形態によって容易に構成することができるものである。例えば、ソーカバー60の上部(外周部分)に集塵ボックス80を取り付けるような様態の場合、集塵ボックス80をソーカバー60の後方部分に取り付けるか、または集塵ボックスの吸気部と排気部を隣接して配置する必要性が高くなってしまうが、本願実施の形態の場合には、こういった設計的な制限がないため、容易に上記した構成を採用することができる。また、ソーカバー60の上部(外周部分)に集塵ボックス80を取り付けるような様態と比較して、集塵ボックス80をソーカバー60の右側に接続する本願実施の形態の場合には、加工時に切り上げられる切粉の上昇位置が低くても集塵ボックス80に集塵することが容易となる。従って、木材と比較して切粉1つ1つの大きさが大きく、質量の大きい金属材(軟鋼)の切粉であっても好適に集塵することができるようになる。
【0094】
また、上下方向において、ボックス入口部84B及びボックス側排気口84Eが重なる位置に配置されている。具体的には、ボックス入口部84B及びボックス側排気口84Eが、集塵ボックス80の上端側部分に形成されて、前後方向に離間して配置されている。これにより、集塵室80Aの前端部及び後端部を流れる空気流AR1の上下方向の領域を大きく設定することができるとともに、集塵室80Aの切粉収集空間も確保することができる。したがって、空気流AR1によって、アウタケース82を一層効率よく冷却することができる。なお、円板状である丸鋸刃16の上部はソーカバー60によって覆われることになるが、円形部材の上半分を覆う構造であるため、その長手方向は前後方向となる。集塵ボックス80はソーカバー60に取り付けられるものであり、その外形の相似形となるため、集塵ボックス80も長手方向も前後方向となる。ここで、ボックス入口部84B及びボックス側排気口84Eは前後方向に離間して配置されているため、集塵ボックス80内において空気を前後に大きく流すことができ、集塵ボックス80(集塵室80A)を効果的に冷却可能となる。具体的には、ボックス入口部84Bは丸鋸刃16の中心よりも前方に位置しており、ボックス側排気口84Eは丸鋸刃16の中心よりも後方に位置するように構成されている。また、ボックス入口部84Bは丸鋸刃16の前端よりも後方に位置しており、ボックス側排気口84Eは丸鋸刃16の後端よりも前方に位置するように構成されている。なお、ボックス側排気口84Eの下端位置はボックス入口部84Bの下端位置よりも高くなるよう設定されており、切断加工中に集塵室80A内の切粉がいっぱいになった際には、まずボックス入口部84Bから切粉が溢れてくるようになっている。こうすることで、切粉が非作動領域70Cに入り込むことを抑制している。
【0095】
また、切断工具10の作動時には、切粉を含まない空気流AR2が、上側送風出口部65から集塵室80Aの内部に流出され、切粉を含む空気流AR3が、下側送風出口部64から集塵室80Aの内部に流出される。これにより、切粉を集塵ボックス80に排出しつつ、切粉による温度上昇が抑制された空気流AR2を集塵ボックス80内に流入させることができる。これにより、切粉を含まない空気流AR2によってアウタケース82を効果的に冷却することができる。
【0096】
また、前述したように、上側送風出口部65から集塵室80Aの内部に流入される空気流AR2は、ケースガイド部82Bによって下側へ向かう流れに変更される。このため、空気流AR2を活用して、空気流AR3と共に下側送風出口部64から排出される切粉を、集塵室80A内において下側へ付勢することができる。この効果は、上側送風出口部65と下側送風出口部64が隣接していることにより、好適に実現される。また、上側送風出口部65と下側送風出口部64が同方向に開口していることによっても好適に実現される。これにより、切粉が集塵室80Aの内部において(跳ね返りなどで)暴れてしまうことを抑制することができるとともに、跳ね返りなどにより上方へ移動してくる集塵室80A内の切粉が下側送風出口部64から逆流することを抑制することができる。したがって、切粉に対する集塵性能を向上することができる。なお、上側送風出口部65は格子状構造を成しており、切粉が集塵室80A内の上端まで万が一移動してきたとしても、当該格子状構造によって上側送風出口部65からの逆流を好適に抑制することができる。
【0097】
また、ダクト26は、第2ダクト排気部26Dを有しており、工具カバー70の工具収容領域70A(作動領域70B)内において、空気流AR3が、第2ダクト排気部26Dから上側へ向けて排気される。また、第2ダクト排気部26Dが、下側送風出口部64の下側に配置されている。これにより、空気流AR3が、工具収容領域70A(作動領域70B)内において、下側送風出口部64側へ排気される。このため、空気流AR3を活用して、切断加工時に生じる切粉を、下側送風出口部64内にガイドさせることができる。したがって、切粉に対する集塵性能を一層向上することができる。
【0098】
また、第2ダクト排気部26Dは、側面視で、丸鋸刃16の外形の径方向内側に配置されている。このため、切断加工時に生じる切粉が第2ダクト排気部26Dと干渉することを抑制できる。すなわち、切粉による第2ダクト排気部26Dの損傷や変形を抑制することができるとともに、切粉の流れが第2ダクト排気部26Dに阻害されることを抑制しつつ、第2ダクト排気部26Dから空気流AR3を排気することができる。さらに、上方に向かう空気流AR3が空気の流れの幕となり、切粉が第2ダクト排気部26Dより後方へ移動することを抑制することができ、集塵効率を一層向上させることができる。また、第2ダクト排気部26Dは真上に開口するものではなく、やや前方に向けて傾いて開口している。これによって第2ダクト排気部26Dからの排気は前方に向かったあと、下側送風出口部64に向かうこととなる。こういった空気の流れを作ることで、上方へ移動する切粉が前方へ付勢される。従って、切粉が過度に後方へ移動することを抑制でき、より好適に切粉を下側送風出口部64へガイドすることができる。また、第2ダクト排気部26Dからの排気が前方に向かうことで、上側整流片64Aによって空気流AR3の流れが乱れてしまうことを抑制している。すなわち、第2ダクト排気部26Dから真上に排気する場合、空気流が上側整流片64Aにぶつかって空気の流れが乱れてしまう恐れがあるが、本実施の形態ではこういった空気の乱れが生じにくい構成とすることができ、集塵及び冷却の性能向上を図ることができる。
【0099】
また、下側送風出口部64と第2ダクト排気部26Dとの間には、下側整流片22D及び上側整流片64Aが設けられており、第2ダクト排気部26Dから排気される空気流AR3が、下側送風出口部64と第2ダクト排気部26Dによって第2ダクト排気部26D側へ整流される。これにより、工具カバー70の内部(作動領域70B)を流れる空気流AR3を、効率よく下側送風出口部64へ流入させることができる。また、上側整流片64Aは、作業によって発生した切粉が上側整流片64Aの位置より後方に移動することを抑制する壁部材としても機能し、切粉の集塵効率を向上させることができる。
【0100】
また、ソーカバー60の下側送風出口部64には、送風ガイド部63Aが形成されており、送風ガイド部63Aは、丸鋸刃16の切断回転方向へ向かうに従い右側(集塵ボックス80側)へ傾斜している。このため、下側送風出口部64に流入された空気流AR3を整流して、空気流AR3の向きを集塵ボックス80側へ変更することができる。これにより、空気流AR3を集塵ボックス80の集塵室80A内に効率よく流入させることができる。
【0101】
また、集塵ボックス80のケースガイド部82Bは、下側送風出口部64及び上側送風出口部65と左右方向に対向して配置されて、集塵室80Aの内周面の一部を構成している。これにより、集塵室80Aの内周面を活用して、集塵室80Aに流入される空気流AR2及び空気流AR3の向きを下方側へ変更することができる。また、アウタケース82は、樹脂製とされているため、ケースガイド部82Bを適正な形状に容易に成形することができる。さらに、アウタケース82は透明の樹脂製材料から形成されるため、集塵室80Aに堆積した切粉の状態を目視することが容易となる。なお、樹脂材は金属材よりも耐熱性が低い場合が多いため、樹脂材によって集塵室80Aの内部を目視可能とする場合には上記したように耐熱性の低下が懸念されるが、本実施の形態ではアウタケース82の耐熱性を向上させているため、作業性を向上させることができる。
【0102】
また、集塵ボックス80の集塵室80Aでは、上下方向の寸法が前後方向の寸法よりも小さく設定されている。このため、丸鋸刃16の上部を覆う工具カバー70の右側に隣接配置される集塵ボックス80において、切粉を溜める集塵室80Aの右側から見た断面積を大きく設定することができる。
【0103】
また、切断工具10では、工具カバー70を構成するソーカバー60に遮蔽部63が形成されており、遮蔽部63によって、工具カバー70の内部の工具収容領域70Aが、作動領域70Bと非作動領域70Cとに区画されている。さらに、集塵ボックス80のインナケース84には、ボックス側排気口84Eが形成されており、ボックス側排気口84Eによって、集塵室80Aと非作動領域70Cとが連通している。これにより、集塵室80A内に流入された空気流AR2及び空気流AR3を、ボックス側排気口84Eから非作動領域70C内に排気させて、工具カバー70を冷却することができる。したがって、切断工具10の耐熱性を向上することができる。
【0104】
しかも、丸鋸刃16の上部が、作動領域70Bに収容されて、工具カバー70によって覆われている。これにより、丸鋸刃16の回転動作を良好に維持することができる。すなわち、例えば、ソーカバー60において遮蔽部63を省略した場合でも、集塵ボックス80を冷却するための空気流AR2及び空気流AR3を工具カバー70の工具収容領域70A内に排気することができる。しかしながら、この場合には、集塵室80A内に挿入された切粉が、ボックス側排気口84Eから工具収容領域70A内(丸鋸刃16の周囲)に排出されてしまう虞があり、仮に排出されると、当該切粉の熱や、回転中の丸鋸刃16に当たり跳ね返った切粉によって、工具カバー70の内周側が変形又は破損する虞がある。また、この場合には、工具カバー70における変形、破損部位によって、丸鋸刃16の回転動作不良が発生する可能性がある。これにより、切断工具10の信頼性が低下する虞がある。
【0105】
これに対して本実施の形態では、遮蔽部63によって、工具カバー70の内部の工具収容領域70Aが、作動領域70Bと非作動領域70Cとに区画され、丸鋸刃16の上部が、作動領域70Bに収容されている。このため、集塵室80A内に挿入された切粉が、ボックス側排気口84Eから非作動領域70Cに仮に排出されても、当該切粉が丸鋸刃16や作動領域70Bの内壁に当たることを遮蔽部63によって抑制することができる。これにより、上記の場合と比較して、工具カバー70の内周面の破損を抑制できる。したがって、丸鋸刃16の回転動作を良好に維持することができ、ひいては切断工具10の信頼性を向上することができる。また、遮蔽部63の後部63Dの上方にボックス側排気口84Eが位置しているが、後部63Dは下方に向かって傾斜しているため、ボックス側排気口84Eから切粉が遮蔽部63の上面に移動したとしても、斜面形状と自重の作用により切粉は後方にガイドされる。さらに後部63Dの後端は丸鋸刃16の後端より後方に位置しているため、後部63Dのガイドによって切粉を丸鋸刃16との接触を避けるように非作動領域70Cから排出することができる。また、ボックス側排気口84Eの前方には規制部22Eが位置しているため、非作動領域70Cに侵入した切粉がボックス側排気口84Eより前方の領域に移動することを抑制している。ボックス側排気口84Eの前方には、集塵ボックス80を支持するボタン挿入部61Cが位置しているが、規制部22Eによってボタン挿入部61C及びその周辺が切粉によって変形または破損することを抑制することができる。
【0106】
また、丸鋸刃16の下部は、保護カバー54によって覆われており、切断工具10の切断加工時には、保護カバー54が、保護位置から作動位置へ回転して、工具カバー70の作動領域70B内に配置される。これにより、集塵室80A内に挿入された切粉が、ボックス側排気口84Eから非作動領域70Cに仮に排出されても、当該切粉が保護カバー54に直接当たることを遮蔽部63によって抑制できる。これにより、切粉による保護カバー54の熱変形を抑制することができる。したがって、保護位置と作動位置との間を回転する保護カバー54の動作不良を低減することができる。
【0107】
また、遮蔽部63が、ソーカバー60に一体に形成されている。これにより、工具カバー70の工具収容領域70Aを区画する遮蔽部63を、容易に形成することができる。
【0108】
なお、本実施の形態では、遮蔽部63がソーカバー60に形成されているが、集塵ボックス80のインナケース84に遮蔽部を形成して、工具カバー70の工具収容領域70Aを作動領域70Bと非作動領域70Cとに区画するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0109】
10…切断工具(作業機)、16…丸鋸刃(先端工具)、22D…下側整流片(第1整流部)、26…ダクト、26C…第1ダクト排気部、26D…第2ダクト排気部、41…モータ、46…ファン、63A…送風ガイド部(第2整流部)、64…下側送風出口部(第2送風出口部)、64A…上側整流片(第1整流部)、65…上側送風出口部(第1送風出口部)、70…工具カバー、80…集塵ボックス、80A…集塵室、82…アウタケース(ケース)、82B…ケースガイド部(案内部)、84B…ボックス入口部(吸気部)、84E…ボックス側排気口(排気部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12