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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】受光装置および受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/11 20130101AFI20241112BHJP
   H04B 10/67 20130101ALI20241112BHJP
【FI】
H04B10/11
H04B10/67
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022573924
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2021039349
(87)【国際公開番号】W WO2022149334
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2021000636
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】高田 紘也
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-016967(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123552(WO,A1)
【文献】特開2005-017489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0364336(US,A1)
【文献】米国特許第07421163(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/11 - 10/118
H04B 10/60 - 10/69
G01J 1/02
G01J 1/04
H01L 31/0232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する基板と、
前記基板の第一面に配置され、前記空間光信号を受光し、前記空間光信号に由来する信号光を前記基板の面内方向に沿って出射端に導光し、前記出射端から前記基板に向けて前記信号光を出射する光アンテナと、
前記基板の前記第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置され、前記光アンテナから出射された前記信号光を前記受光面で受光する受光素子と、を備え、
前記基板は、前記第二面にトレンチが形成され、
前記受光素子は、前記受光面を前記基板に向けて、前記トレンチの位置に配置される受光装置。
【請求項2】
受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する基板と、
前記基板の第一面に配置され、前記空間光信号を受光し、前記空間光信号に由来する信号光を前記基板の面内方向に沿って出射端に導光し、前記出射端から前記基板に向けて前記信号光を出射する光アンテナと、
前記基板の前記第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置され、前記光アンテナから出射された前記信号光を前記受光面で受光する受光素子と、を備え、
前記光アンテナの前記出射端とは反対側の端部に配置され、前記出射端に向けて前記信号光を反射する反射鏡を備える受光装置。
【請求項3】
受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する基板と、
前記基板の第一面に配置され、前記空間光信号を受光し、前記空間光信号に由来する信号光を前記基板の面内方向に沿って出射端に導光し、前記出射端から前記基板に向けて前記信号光を出射する光アンテナと、
前記基板の前記第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置され、前記光アンテナから出射された前記信号光を前記受光面で受光する受光素子と、を備え、
前記基板の前記第二面と前記受光素子の前記受光面との間に配置され、前記光アンテナの前記出射端から出射された前記信号光を、前記受光素子の前記受光面に導光するライトパイプを備える受光装置。
【請求項4】
受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する基板と、
前記基板の第一面に配置され、前記空間光信号を受光し、前記空間光信号に由来する信号光を前記基板の面内方向に沿って出射端に導光し、前記出射端から前記基板に向けて前記信号光を出射する光アンテナと、
前記基板の前記第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置され、前記光アンテナから出射された前記信号光を前記受光面で受光する受光素子と、を備え、
前記光アンテナの前記出射端に接続され、前記信号光の位相が前記受光素子の前記受光面の位置で揃うように、入力された前記信号光の位相を調整して出力端から出力する位相シフタと、
前記位相シフタの前記出力端に接続され、前記位相シフタから出力された前記信号光が入力され、入力された前記信号光を前記受光素子の前記受光面に向けて出射する導波路と、を備える受光装置。
【請求項5】
受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する基板と、
前記基板の第一面に配置され、前記空間光信号を受光し、前記空間光信号に由来する信号光を前記基板の面内方向に沿って出射端に導光し、前記出射端から前記基板に向けて前記信号光を出射する光アンテナと、
前記基板の前記第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置され、前記光アンテナから出射された前記信号光を前記受光面で受光する受光素子と、を備え、
複数の前記光アンテナが、特定の円の半径方向に前記受光面を向けて、前記特定の円の円周に沿って配置された受光装置。
【請求項6】
前記基板の前記第一面に、前記基板を挟んで、前記受光素子の前記受光面に向けて前記出射端が配置された複数の前記光アンテナを備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載の受光装置。
【請求項7】
前記光アンテナは、
前記空間光信号を受光する受光部と、前記空間光信号に由来する前記信号光が導光される導光路と、前記導光路を通じて導光された前記信号光が出射される前記出射端とを含む複数の導波管によって構成され、
前記複数の導波管の前記出射端は、
前記基板を挟んで、前記受光素子の前記受光面に向けて配置される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の受光装置。
【請求項8】
前記光アンテナは、
導波回折アンテナである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の受光装置。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の受光装置と、
前記受光装置によって受光された空間光信号に基づく信号をデコードするデコーダと、を備える受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間光信号を受光する受光装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
光空間通信においては、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する信号光(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う。空間を広がって伝搬する空間光信号を受信するためには、できる限り大きな集光レンズが必要となる。また、光空間通信においては、高速通信を行うために、静電容量の小さなフォトダイオードが用いられる。そのようなフォトダイオードは、受光面が非常に小さいため、多様な方向から到来する空間光信号をその受光面に向けて集光レンズで集光することは難しい。
【0003】
特許文献1には、入射光を表面プラズモンに変換して受光する受光素子について開示されている。特許文献1の受光素子は、導電性薄膜と受光部を有する。導電性薄膜の表面には、入射光を表面プラズモンに変換するための結合周期構造が形成される。該結合周期構造中には、導電性薄膜の表裏面を貫通する開口が形成される。受光部は、開口の結合周期構造が形成された面とは反対面の端部に配置される。
【0004】
非特許文献1や非特許文献2には、導波回折アンテナ(WGA:Waveguide Grating Antenna)を用いたLiDAR(Light Detection And Ranging)および通信装置について開示されている。非特許文献1-2に開示されたWGAは、強い指向性を示す光アンテナとして機能するとともに、導光体としても機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-248141号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】M. Raval, et.al., “Unidirectional waveguide grating antennas with uniform emission for optical phased arrays”, Optics Letters, Vol.42, No.13, July 1 2017, pp.2563-2566.
【文献】C. Poulton, et. al., “Long-Range LiDAR and Free-Space Data Communication With High-Performance Optical Phased Arrays”, IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS, VOL. 25, NO. 5, SEPTEMBER/OCTOBER 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の受光素子は、結合周期構造において表面プラズモンに変換された入射光を、開口面積の小さな開口を介して受光部で受光することによって、高速な応答性を得ることができる。特許文献1の受光素子は、大規模集積回路の光配線には適用できる。しかしながら、特許文献1の受光素子は、空間光信号の受光に用いるほどに大型化することは難しかった。
【0008】
本開示の目的は、空間光信号を効率よく受光できる受光装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の受光装置は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する基板と、基板の第一面に配置され、空間光信号を受光し、空間光信号に由来する信号光を基板の面内方向に沿って出射端に導光し、出射端から基板に向けて信号光を出射する光アンテナと、基板の第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置され、光アンテナから出射された信号光を受光面で受光する受光素子と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、空間光信号を効率よく受光できる受光装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図2】第1の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
図3】第1の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
図4】第1の実施形態に係る変形例1の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図5】第1の実施形態に係る変形例2の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図6】第1の実施形態に係る変形例3の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図7】第1の実施形態に係る変形例4の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図8】第1の実施形態に係る変形例5の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図9】第1の実施形態に係る変形例6の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図10】第1の実施形態に係る変形例7の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図11】第1の実施形態に係る変形例8の受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図12】第2の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図13】第2の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
図14】第3の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図15】第3の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
図16】第4の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図17】第4の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
図18】第5の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図19】第5の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
図20】第5の実施形態に係る受光装置の位相シフタによる位相の調整の一例について説明するための概念図である。
図21】第5の実施形態に係る受光装置の位相シフタによる位相の調整の別の一例について説明するための概念図である。
図22】第5の実施形態に係る変形例9の受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
図23】第6の実施形態に係る受光装置の構成の一例を示す概念図である。
図24】第7の実施形態に係る受信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図25】第8の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す平面図である。
図26】第8の実施形態に係る受光装置の概念的な構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0013】
以下の実施形態に関する図面中の光の軌跡を示す線は、概念的なものであり、実際の光の進行方向や状態を正確に表すものではない。例えば、以下の実施形態に関する図面においては、空気と物質との界面における屈折や反射、拡散などによる光の進行方向や状態の変化を省略したり、光束を一本の線で表現したりすることもある。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る受光装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受光装置は、空間を伝播する信号光(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う光空間通信に用いられる。本実施形態の受光装置は、空間を伝搬する光を受光する用途であれば、光空間通信以外の用途に適用されてもよい。以下において、空間光信号は、十分に離れた位置から到来するために平行光とみなす。
【0015】
(構成)
図1は、本実施形態の受光装置10の構成の一例を示す平面図である。図2および図3は、図1のA-A切断線で切断された受光装置10の断面図である。図3には、受光装置10に入射する空間光信号と、受光装置10の内部を進行する光との軌跡を矢印で概念的に示す。受光装置10は、光アンテナ11、基板12、および受光素子13を備える。図1図3には、二組の光アンテナ11を備える受光装置10を示す。図1には、基板12の裏面(第二面)に配置された受光素子13の位置を点線で示す。
【0016】
光アンテナ11は、基板12の表面(以下、第一面とも呼ぶ)に形成される。光アンテナ11は、複数の導波管110を含む。複数の導波管110は、受光素子13に受光される光の位相が揃うように、同じ長さを有することが好ましい。導波管110は、受光部111、導光路112、および出射端113を含む。受光部111は、導波管110の側面に形成される。受光部111は、基板12の第一面の面外方向に向けられる。受光部111は、空間光信号の波長帯の光を受光する。導光路112は、導波管110の内部に形成される。導光路112は、基板12の面内方向に沿って、空間光信号に由来する光(信号光とも呼ぶ)を出射端113に導光する。出射端113は、導波管110の一端部に近い側面のうち、受光部111の反対側の側面に形成される。出射端113は、基板12の第一面に向けて配置される。出射端113は、基板12を挟んで、受光素子13の受光面に向けて配置される。受光部111で受光された光は、導光路112を通じて、出射端113に向けて導光される。導光路112を通じて導光された光は、出射端113から受光素子13の受光部に向けて出射される。
【0017】
例えば、光アンテナ11は、非特許文献1-2に開示された導波回折アンテナ(WGA:Waveguide Grating Antenna)によって実現される(非特許文献1:M. Raval, et.al., “Unidirectional waveguide grating antennas with uniform emission for optical phased arrays”, Optics Letters, Vol.42, No.13, July 1 2017, pp.2563-2566.、非特許文献2:C. Poulton, et. al., “Long-Range LiDAR and Free-Space Data Communication With High-Performance Optical Phased Arrays”, IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS, VOL. 25, NO. 5, SEPTEMBER/OCTOBER 2019.)。
【0018】
WGAは、強い指向性を示す光アンテナとして機能するとともに、導光体としても機能する。非特許文献1-2には、シリコン基板上の酸化シリコン層の内部に、2層の窒化シリコン層を含むWGAが開示されている。2層の窒化シリコン層は、一定のギャップで形成される。2層の窒化シリコン層には、エッチングされた領域(摂動領域)が周期的に形成される。WGAは、導波管の内部において、2層の窒化シリコン層に摂動領域をパターン化することによって形成される。導波管の内部には、上面から見て、四通りのパターン(パターン1~4)が形成される。パターン1では、エッチングされていない領域(全幅領域)同士が重なる。パターン2では、摂動領域と全幅領域が重なる。パターン3では、摂動領域同士が重なる。パターン4では、全幅領域と摂動領域が重なる。パターン2とパターン4は、実質的に同一のパターンである。これらのパターンによって、シリコン基板の水平面に対して垂直な方向と水平な方向の両方で、一方の方向に建設的な干渉を生成し、もう一方の方向に破壊的な干渉を生成する、変位が4分の1波長の二つの散乱要素を持つ一方向のエミッターが実現される。
【0019】
例えば、光アンテナ11は、WGAによって実現できる。その場合、導光路112の内部と出射端113とで、互いに直交する方向に建設的な干渉を生成するように、光アンテナ11が構成されればよい。このように構成されれば、導光路112の延伸方向に導光された光の進行方向を、出射端113において、受光素子13の受光面の向きに変えることができる。
【0020】
基板12の形状は、平面視で矩形である。基板12の第一面には、導波管110が配置される。基板12の第一面に対向する第二面には、受光素子13が配置される。基板12は、空間光信号の波長帯の光を透過する。例えば、基板12は、シリコン(Si)製の基板である。Si製の基板12は、赤外領域の光の透過率が高い。そのため、空間光信号の波長帯が赤外領域の場合、導波管110の出射端113から出射された光は、基板12を透過して受光素子13の受光面で受光される。基板12の材質は、空間光通信に用いられる空間光信号の波長帯に応じて選択されればよい。空間光信号の波長帯が可視光であれば、ガラスやプラスチックなどの基板12を用いてもよい。
【0021】
受光素子13は、基板12の第二面に配置される。受光素子13は、基板12の中央付近に配置される。受光素子13は、空間光信号の波長帯の光を受光する受光面を有する。受光素子13は、基板12を介して、その受光面が導波管110の出射端113と対面するように配置される。導波管110の出射端113から出射された光は、基板12を透過して、受光素子13の受光面で受光される。
【0022】
受光素子13は、受光対象の空間光信号の波長領域の光を受光する。例えば、受光素子13は、赤外領域の信号光を受光する。受光素子13は、例えば1.5μm帯の波長の信号光を受光する。なお、受光素子13が受光する信号光の波長帯は、1.5μm帯に限定されない。受光素子13によって受光される信号光の波長帯は、空間光信号の波長に合わせて、任意に設定できる。受光素子13によって受光される信号光の波長帯は、例えば0.8μm帯や、1.55μm帯、2.2μm帯に設定されてもよい。また、受光素子13が受光する信号光の波長帯は、例えば0.8~1μm帯であってもよい。信号光の波長帯が短い方が、大気中の水分による吸収が小さいので、降雨時における光空間通信には有利である。また、受光素子13は、可視領域の信号光を受光してもよい。また、受光素子13は、強烈な太陽光で飽和してしまうと、空間光信号に由来する信号光を読み取ることができない。そのため、受光素子13よりも前段に、空間光信号の波長帯の光を選択的に通過させる色フィルタを設置してもよい。
【0023】
受光素子13は、受光された信号光を電気信号に変換する。受光素子13は、変換後の電気信号を、デコーダ(図示しない)に出力する。例えば、受光素子13は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの素子によって実現できる。例えば、受光素子13は、アバランシェフォトダイオードによって実現される。アバランシェフォトダイオードによって実現された受光素子13は、高速通信に対応できる。なお、受光素子13は、信号光を電気信号に変換できさえすれば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード以外の素子によって実現されてもよい。
【0024】
受光素子13の受光面は、通信速度を向上させるために、できるだけ小さい方が好ましい。例えば、受光素子13の受光面は、直径0.1~0.3mm(ミリメートル)程度の受光面を有する。集光レンズなどによって集光された光は、空間光信号の到来方向によって一定の範囲内に集光されるものの、受光素子13の受光面が配置された領域に集光することは難しい。本実施形態では、強い指向性を示す光アンテナとして機能するとともに、導光体としても機能する光アンテナ11を用いる。光アンテナ11は、多様な方向から到来する空間光信号に由来する光を、受光素子13の受光面に導く。光アンテナ11の受光部111によって受光された空間光信号に由来する光は、導光路112を介して、受光素子13の受光面に対面する出射端113から出射される。そのため、受光装置10は、任意の方向から到来する空間光信号を、受光素子13の受光面に効率よく導光できる。
【0025】
(変形例)
次に、本実施形態の受光装置10の変形例について、図面を参照しながら説明する。以下においては、受光装置10の変形例の平面図を用いて説明する。以下の変形例においては、図1図3の受光装置10の構成とは異なる光アンテナ11および基板12を含むが、それらに受光装置10と同一の符号を付す場合がある。以下の変形例においては、延伸方向が異なる複数の導波管110が同じ基板12に配置される例をあげる。導波管110の延伸方向が異なると、空間光信号の到来方向に応じて、受光素子13の受光面に出射される信号光の位相が異なるが、以下の変形例においては、光の位相のずれについては無視する。
【0026】
〔変形例1〕
図4は、変形例1の受光装置10-1の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で矩形である。受光装置10-1は、一つの受光素子13を備える。受光素子13は、基板12の第二面の右端の点線の円で示す位置に配置される。
【0027】
受光装置10-1は、一組の光アンテナ11を備える。光アンテナ11を構成する複数の導波管110の出射端は、基板12の右端に近い位置に、受光素子13の受光面に対面するよう配置される。受光素子13の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0028】
本変形例によれば、図1図3の受光装置10と同様に、光アンテナ11によって受光された光を、単一の受光素子13の受光面に導光できる。
【0029】
〔変形例2〕
図5は、変形例2の受光装置10-2の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で矩形である。受光装置10-2は、二つの受光素子13(受光素子13-1~2)を備える。受光素子13-1は、基板12の第二面の左端の点線の円で示す位置に配置される。受光素子13-2は、基板12の第二面の右端の点線の円で示す位置に配置される。
【0030】
受光装置10-2は、二組の光アンテナ11(光アンテナ11-1~2)を備える。光アンテナ11-1は、複数の導波管110の出射端が受光素子13-1の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11-2は、複数の導波管110の出射端が受光素子13-2の受光面に対面するように配置される。
【0031】
受光素子13-1の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-1を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。受光素子13-2の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-2を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0032】
本変形例によれば、基板12の第一面に形成された、二組の光アンテナ11の各々によって受光された光を、異なる受光素子13の受光面に導光できる。
【0033】
〔変形例3〕
図6は、変形例3の受光装置10-3の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で矩形である。受光装置10-3は、三つの受光素子13(受光素子13-1~3)を備える。受光素子13-1は、基板12の第二面の左端の点線の円で示す位置に配置される。受光素子13-2は、基板12の第二面の中央の点線の円で示す位置に配置される。受光素子13-3は、基板12の第二面の右端の点線の円で示す位置に配置される。
【0034】
受光装置10-3は、四組の光アンテナ11(光アンテナ11-1~4)を備える。光アンテナ11-1~4は、基板12の長手方向に対して、それらの導波管の延伸方向が斜めになるように配置される。光アンテナ11-1は、複数の導波管110の出射端が受光素子13-1の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11-2は、複数の導波管110の出射端が受光素子13-2の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11-3は、複数の導波管110の出射端が受光素子13-2の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11-4は、複数の導波管110の出射端が受光素子13-3の受光面に対面するように配置される。
【0035】
受光素子13-1の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-1を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。受光素子13-2の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-2~3を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。受光素子13-3の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-4を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0036】
本変形例によれば、基板12の第一面に形成された複数の光アンテナ11の各々によって受光された光を、複数の受光素子13のいずれかの受光面に導光できる。
【0037】
〔変形例4〕
図7は、変形例4の受光装置10-4の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で三角形である。受光装置10-4は、一つの受光素子13を備える。受光素子13は、三角形の基板12の重心を含む点線の円で示す位置に配置される。
【0038】
受光装置10-4は、三組の光アンテナ11(光アンテナ11-1~3)を備える。光アンテナ11-1~3は、複数の導波管110の出射端が受光素子13の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11-1~3は、複数の導波管110の出射端とは反対側の端部が、三角形の基板12のいずれかの頂点に向けて配置される。受光素子13の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-1~3を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0039】
本変形例によれば、三角形の基板12の第一面に形成された、三組の光アンテナ11の各々によって受光された光を、単一の受光素子13の受光面に導光できる。
【0040】
〔変形例5〕
図8は、変形例5の受光装置10-5の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で三角形である。受光装置10-5は、三つの受光素子13(13-1~3)を備える。受光素子13-1~3の各々は、三角形の基板12の頂点の近傍の点線の円で示す位置に配置される。
【0041】
受光装置10-5は、三組の光アンテナ11(光アンテナ11-1~3)を備える。光アンテナ11-1は、導波管110の延伸方向が三角形の基板12の右側の辺に並行し、複数の導波管110の出射端が受光素子13-1の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11-2は、導波管110の延伸方向が三角形の基板12の下側の辺に並行し、複数の導波管110の出射端が受光素子13-2の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11-3は、導波管110の延伸方向が三角形の基板12の左側の辺に並行し、複数の導波管110の出射端が受光素子13-3の受光面に対面するように配置される。
【0042】
受光素子13-1の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-1を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。受光素子13-2の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-2を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。受光素子13-3の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11-3を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0043】
本変形例によれば、三角形の基板12の第一面に形成された、三組の光アンテナ11の各々によって受光された光を、異なる受光素子13の受光面に導光できる。
【0044】
〔変形例6〕
図9は、変形例6の受光装置10-6の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で円形である。受光装置10-6は、一つの受光素子13を備える。受光素子13は、円形の基板12の中心を含む点線の円で示す位置に配置される。
【0045】
受光装置10-6は、円形の基板12の中心近傍から、半径方向に向けて放射状に延伸される複数の導波管110によって構成される光アンテナ(符号は省略する)を備える。光アンテナを構成する複数の導波管110の出射端は、円形の基板の中心付近に位置する受光素子13の受光面に対面するように配置される。複数の導波管110の出射端とは反対側の端部は、円形の基板12の半径方向に向けて配置される。受光素子13の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナを構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0046】
本変形例によれば、円形の基板12の第一面に放射状に形成された複数の導波管110で構成される光アンテナによって受光された光を、単一の受光素子13の受光面に導光できる。
【0047】
〔変形例7〕
図10は、変形例7の受光装置10-7の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で円形である。受光装置10-7は、一つの受光素子13を備える。受光素子13は、円形の基板12の中心を含む点線の円で示す位置に配置される。
【0048】
受光装置10-7は、円形の基板12の中心近傍から、半径方向に向けて放射状に延伸される複数の導波管110によって構成される、複数の光アンテナ11を備える。複数の光アンテナ11の各々を構成する複数の導波管110の出射端は、受光素子13の受光面に対面するように配置される。光アンテナ11を構成する複数の導波管110の出射端とは反対側の端部は、円形の基板12の半径方向に向けて配置される。受光素子13の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0049】
本変形例によれば、円形の基板12の第一面に放射状に形成された複数の導波管110で構成される光アンテナ11によって受光された光を、単一の受光素子13の受光面に導光できる。
【0050】
〔変形例8〕
図11は、変形例8の受光装置10-8の構成の一例を示す平面図である。基板12の形状は、平面視で円形である。受光装置10-8は、複数の受光素子13を備える。複数の受光素子13は、円形の基板12の中心を含む点線の円や、円周付近の点線の円で示す位置に配置される。
【0051】
受光装置10-8は、円形の基板12の中心近傍から、半径方向に向けて放射状に延伸される複数の導波管110によって構成される、複数の光アンテナ11を備える。複数の光アンテナ11の各々を構成する複数の導波管110の出射端は、複数の受光素子13のうちいずれかの受光面に対面するように配置される。光アンテナ11の複数の導波管110の出射端とは反対側の端部は、円形の基板12の円周又は中心に向けて配置される。受光素子13の受光面は、基板12を挟んで、光アンテナ11を構成する複数の導波管110の出射端に対面するように配置される。
【0052】
本変形例によれば、円形の基板12の第一面に放射状に形成された複数の導波管110で構成される光アンテナ11によって受光された光を、複数の受光素子13の受光面に導光できる。
【0053】
以上のように、本実施形態の受光装置は、光アンテナ、基板、および受光素子を備える。光アンテナは、基板の第一面に形成される。光アンテナは、空間光信号を受光する。光アンテナは、空間光信号に由来する信号光を基板の面内方向に沿って出射端に導光する。光アンテナは、出射端から基板に向けて信号光を出射する。基板は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する。受光素子は、基板の第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置される。受光素子は、光アンテナから出射された信号光を受光面で受光する。
【0054】
例えば、光アンテナは、空間光信号を受光する受光部と、空間光信号に由来する信号光が導光される導光路と、導光路を通じて導光された信号光が出射される出射端とを含む複数の導波管によって構成される。複数の導波管の出射端は、基板を挟んで、受光素子の受光面に向けて配置される。例えば、光アンテナは、導波回折アンテナである。
【0055】
本実施形態の受光装置は、高速な応答性を得ることができる開口面積の小さな受光部を有する受光素子に、空間光信号に由来する信号光を効率よく導光する。そのため、本実施形態の受光装置によれば、空間光信号を効率よく受光できる。
【0056】
本実施形態の一態様の受光装置は、基板の第一面に、基板を挟んで、受光素子の受光面に向けて出射端が配置された複数の光アンテナを備える。本態様の受光装置では、複数の光アンテナによって受光装置を構成することによって、空間光信号の受光面積を大きくすることができる。そのため、本態様の受光装置によれば、空間光信号をより効率よく受光できる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る受光装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受光装置は、基板の第二面において、受光素子が配置される位置にトレンチが形成されている点において、第1の実施形態の受光装置とは異なる。
【0058】
(構成)
図12は、本実施形態の受光装置20の構成の一例を示す平面図である。図13は、図12のB-B切断線で切断された受光装置20の断面図である。図13には、受光装置20に入射する空間光信号と、受光装置20の内部を進行する光との軌跡を矢印で概念的に示す。受光装置20は、光アンテナ21、基板22、および受光素子23を備える。図12図13には、二組の光アンテナ21を備える受光装置20を示す。図12には、基板22に形成されたトレンチ220の位置と、基板22の裏面(第二面)の側のトレンチ220の部分に配置された受光素子23の位置とを点線で示す。
【0059】
光アンテナ21は、基板22の第一面に形成される。光アンテナ21は、複数の導波管210を含む。光アンテナ21は、第1の実施形態の光アンテナ11と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
基板22の形状は、平面視で矩形である。基板22の第一面には、導波管210が配置される。基板22の第一面に対向する第二面の中央付近には、トレンチ220が形成される。例えば、トレンチ220は、基板22の第二面を掘削することによって形成できる。基板22の第一面に対向する第二面のトレンチ220の部分には、受光素子23が配置される。基板22の材質は、第1の実施形態の基板12と同様である。
【0061】
受光素子23は、基板22の第二面の側に形成されたトレンチ220の部分に配置される。受光素子23は、空間光信号の波長帯の光を受光する受光面を有する。受光素子23は、基板22のトレンチ220の部分を介して、その受光面が導波管210の出射端と対面するように配置される。導波管210の出射端から出射された光は、基板22のトレンチ220の部分を透過して、受光素子23の受光面で受光される。受光素子23は、第1の実施形態の受光素子13と同様の構成である。
【0062】
以上のように、本実施形態の受光装置は、光アンテナ、基板、および受光素子を備える。光アンテナは、基板の第一面に形成される。光アンテナは、空間光信号を受光する。光アンテナは、空間光信号に由来する信号光を基板の面内方向に沿って出射端に導光する。光アンテナは、出射端から基板に向けて信号光を出射する。基板は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する。基板の第二面には、トレンチが形成される。受光素子は、基板の第一面に対向する第二面に受光面を向けて、トレンチの位置に配置される。受光素子は、光アンテナから出射された信号光を受光面で受光する。
【0063】
本実施形態の受光装置では、基板にトレンチが形成されていることによって、光アンテナの出射端から出射された光が通過する基板の厚さが薄くなるので、基板を通過する際の光の減衰量が低減される。そのため、本実施形態の受光装置によれば、第1の実施形態よりも受光素子の受光効率を向上できる。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る受光装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受光装置は、光アンテナを構成する複数の導波管の出射端とは反対側の端部(反対側端部とも呼ぶ)に反射鏡が配置されている点において、第1の実施形態の受光装置とは異なる。本実施形態の受光装置は、第2の実施形態の受光装置と組み合わせてもよい。
【0065】
(構成)
図14は、本実施形態の受光装置30の構成の一例を示す平面図である。図15は、図14のC-C切断線で切断された受光装置30の断面図である。図15には、受光装置30に入射する空間光信号と、受光装置30の内部を進行する光との軌跡を矢印で概念的に示す。受光装置30は、光アンテナ31、基板32、受光素子33、および反射鏡34を備える。図14図15には、二組の光アンテナ31を備える受光装置30を示す。図14には、基板32の裏面(第二面)の位置に配置された受光素子33の位置を点線で示す。
【0066】
光アンテナ31は、基板32の第一面に形成される。光アンテナ31は、複数の導波管310を含む。光アンテナ31は、第1の実施形態の光アンテナ11と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0067】
基板32の形状は、平面視で矩形である。基板32の第一面には、導波管310が配置される。基板32の第一面に対向する第二面には、受光素子33が配置される。基板32の材質は、第1の実施形態の基板12と同様である。
【0068】
受光素子33は、基板32の第二面に配置される。受光素子33は、基板32の中央付近に配置される。受光素子33は、空間光信号の波長帯の光を受光する受光面を有する。受光素子33は、基板32を介して、その受光面が導波管310の出射端と対面するように配置される。導波管310の出射端から出射された光は、基板32を透過して、受光素子33の受光面で受光される。受光素子33は、第1の実施形態の受光素子13と同様の構成である。
【0069】
反射鏡34は、基板32の第一面に配置される。反射鏡34は、空間光信号の波長帯の光を反射する反射面を有する。反射鏡34は、基板32の左右の両端の近傍に配置される。反射鏡34は、光アンテナ31を構成する複数の導波管310の中心軸に対して、反射面が垂直になるように配置される。反射鏡34の反射面には、導波管310の反対側端部が対面する。導波管310の反対側端部から、反射鏡34の反射面に到達した光は、その反射面で反射されて、導波管310の内部の導光路を出射端に向けて進行する。
【0070】
以上のように、本実施形態の受光装置は、光アンテナ、反射鏡、基板、および受光素子を備える。光アンテナは、基板の第一面に形成される。光アンテナは、空間光信号を受光する。光アンテナは、空間光信号に由来する信号光を基板の面内方向に沿って出射端に導光する。光アンテナは、出射端から基板に向けて信号光を出射する。反射鏡は、光アンテナの出射端とは反対側の端部に配置され、出射端に向けて信号光を反射する。基板は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する。受光素子は、基板の第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置される。受光素子は、光アンテナから出射された信号光を受光面で受光する。
【0071】
本実施形態の受光装置によれば、光アンテナの出射端とは反対側の端部に配置された反射鏡で、信号光を出射端に向けて反射することによって、第1の実施形態よりも受光素子の受光効率を向上できる。
【0072】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る受光装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受光装置は、基板の第二面と受光素子の受光面の間に、受光素子の受光面に向けて光を導光するライトパイプが配置されている点において、第1の実施形態の受光装置とは異なる。本実施形態の受光装置は、第2~第3の実施形態の受光装置と組み合わせてもよい。
【0073】
(構成)
図16は、本実施形態の受光装置40の構成の一例を示す平面図である。図17は、図16のD-D切断線で切断された受光装置40の断面図である。図17には、受光装置40に入射する空間光信号と、受光装置40の内部を進行する光との軌跡を矢印で概念的に示す。受光装置40は、光アンテナ41、基板42、受光素子43、およびライトパイプ45を備える。図16図17には、二組の光アンテナ41を備える受光装置40を示す。図17には、基板42の裏面(第二面)に配置された受光素子43およびライトパイプ45の位置を点線で示す。
【0074】
光アンテナ41は、基板42の第一面に形成される。光アンテナ41は、複数の導波管410を含む。複数の導波管410の出射端は、基板42を介して、第二面に配置されたライトパイプ45の入射面に対面するように配置される。光アンテナ41は、第1の実施形態の光アンテナ11と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。なお、光アンテナ41を構成する複数の導波管410の数は、受光素子43の受光面の面積と比べて大きなライトパイプ45の入射面に対応付ければよい。そのため、本実施形態の光アンテナ41は、第1の実施形態の光アンテナ11と比べて、導波管410の数を多くすることができる。
【0075】
基板42の形状は、平面視で矩形である。基板42の第一面には、導波管410が配置される。基板42の第一面に対向する第二面の中央付近には、ライトパイプ45が配置される。基板42の材質は、第1の実施形態の基板12と同様である。
【0076】
ライトパイプ45は、受光素子43に対応付けて配置される。ライトパイプ45は、基板42に向けられる入射面と、受光素子43の受光面に向けられる出射面とを有する。出射面は、入射面と比べて面積が小さい。ライトパイプ45の入射面は、基板42と接するように配置される。ライトパイプ45の入射面には、複数の導波管410の出射端から出射された光が入射される。なお、複数の導波管410の出射端から出射された光がライトパイプ45の入射面に入射されれば、ライトパイプ45の入射面と基板42は、接しなくてもよい。図17には、ライトパイプ45の入射面と出射面が平行になる例を示すが、入射面から出射面に向けて光を導光できさえすれば、入射面と出射面は非平行でもよい。
【0077】
ライトパイプ45は、空間光の波長帯の光を透過しやすい素材で構成されることが好ましい。例えば、ライトパイプ45は、一般的な光ファイバの素材で構成できる。ライトパイプ45の外側面には、ライトパイプ45の内側に向けて信号光の波長帯の光を反射する反射面が形成される。ライトパイプ45の入射面から入射した信号光は、ライトパイプ45の側面で反射されながら、出射面に導光される。出射面に導光された信号光は、出射面から出射される。なお、ライトパイプの内部で導光される信号光は、その大部分が出射面から出射されればよく、その一部が側面から漏れてもよい。
【0078】
ライトパイプ45は、その内部が空洞であってもよい。ライトパイプ45の内側面は、信号光の波長帯の光を反射する。例えば、ライトパイプ45の内側面には、信号光の波長帯の光を反射する反射体を設置してもよい。なお、信号光の波長帯の光を透過する材質でライトパイプ45の本体を構成し、ライトパイプ45の側面にその信号光を反射する反射体を設置してもよい。ライトパイプ45の内側で反射された光は、出射面から出射されて、受光素子43の受光面に受光される。ライトパイプ45が空洞であれば、その内部で信号光が減衰しないため、内部が空洞ではない場合と比べて、受光素子43の受光面に到達する光の強度が大きくなる。
【0079】
受光素子43は、空間光信号の波長帯の光を受光する受光面を有する。受光素子43は、ライトパイプ45の出射面に、その受光面を向けて配置される。受光素子43は、ライトパイプ45を介して、その受光面が導波管410の出射端と対面するように配置される。導波管410の出射端から出射された光は、ライトパイプ45を介して、受光素子43の受光面で受光される。受光素子43は、第1の実施形態の受光素子13と同様の構成である。
【0080】
以上のように、本実施形態の受光装置は、光アンテナ、基板、ライトパイプ、および受光素子を備える。光アンテナは、基板の第一面に形成される。光アンテナは、空間光信号を受光する。光アンテナは、空間光信号に由来する信号光を基板の面内方向に沿って出射端に導光する。光アンテナは、出射端から基板に向けて信号光を出射する。基板は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する。ライトパイプは、基板の第二面と受光素子の受光面との間に配置される。ライトパイプは、光アンテナの出射端から出射された信号光を、受光素子の受光面に導光する。受光素子は、ライトパイプの出射面に受光面を向けて配置される。受光素子は、光アンテナから出射された信号光を受光面で受光する。
【0081】
本実施形態の受光装置は、光アンテナを構成する複数の導波管の出射端から出射される光を、ライトパイプによって、受光素子の受光面に導光する。そのため、本実施形態の受光装置によれば、高速な応答性を示す開口面積の小さな受光部を有する受光素子に信号光を受光させることができる。また、本実施形態の受光装置によれば、第1の実施形態と比べて、より多くの光量の光を受光素子の受光面に導光できる。また、本実施形態の受光装置では、光アンテナを構成する複数の導波管の数を、受光素子の受光面よりも面積の大きなライトパイプの入射面に対応付けて設定できる。そのため、本実施形態の受光装置によれば、一つの受光素子に対応付けられる導波管の数を、第1の実施形態と比べて増やすことができるため、空間光信号をより効率よく受光できる。
【0082】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る受光装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受光装置は、光アンテナを構成する複数の導波管を通過した光の位相をそろえる位相シフタが配置されている点において、第1の実施形態の受光装置とは異なる。本実施形態の受光装置は、第2~第4の実施形態の受光装置と組み合わせてもよい。
【0083】
(構成)
図18は、本実施形態の受光装置50の構成の一例を示す平面図である。図19は、図18のE-E切断線で切断された受光装置50の断面図である。図19には、受光装置50に入射する空間光信号と、受光装置50の内部を進行する光との軌跡を矢印で概念的に示す。受光装置50は、光アンテナ51、基板52、受光素子53、位相シフタ56、および導波路57を備える。光アンテナ51、位相シフタ56、および導波路57は、受光ユニットを構成する。図18の受光装置50は、六組の受光ユニットを含む。図18には、基板52の裏面(第二面)の位置に配置された受光素子53の位置を点線で示す。
【0084】
光アンテナ51は、基板52の第一面に形成される。光アンテナ51は、複数の導波管510を含む。同じ受光ユニットを構成する複数の導波管510の長さは、同じである。複数の導波管510は、円形の基板52の中心に出射端を向けて、半径方向に沿って放射状に配置される。複数の導波管510の出射端は、位相シフタ56の入力端に接続される。複数の導波管510の出射端から出射された光は、位相シフタ56に入力される。光アンテナ51は、第1の実施形態の光アンテナ11と同様の構成である。
【0085】
基板52の形状は、平面視で円形である。基板52の第一面には、光アンテナ51、位相シフタ56、および導波路57からなる受光ユニットが六組配置される。基板52の第一面に対向する第二面には、受光素子53が配置される。基板52の材質は、第1の実施形態の基板12と同様である。
【0086】
受光素子53は、基板52の第二面に配置される。受光素子53は、円形の基板52の中心に配置される。受光素子53は、空間光信号の波長帯の光を受光する受光面を有する。受光素子53は、基板52を介して、その受光面が導波路57の出射端と対面するように配置される。導波路57の出射端から出射された光は、基板52を透過して、受光素子53の受光面で受光される。受光素子53は、第1の実施形態の受光素子13と同様の構成である。
【0087】
位相シフタ56は、複数の光アンテナ51の各々に対応付けられて、基板52の第一面に配置される。位相シフタ56の入力端には、複数の導波管510の出射端が接続される。位相シフタの出力端には、導波路57の入力端が接続される。位相シフタ56は、光アンテナ51を構成する複数の導波管510で受光された信号光の位相が、受光素子53の受光部において同じになるように、信号光の位相を調整する。すなわち、位相シフタ56は、光アンテナに受光される空間光信号の位相ずれを補正するとともに、その空間光信号に由来する信号光の位相が受光素子53の受光部の位置で揃うように、信号光の位相を調整する。
【0088】
例えば、位相シフタ56は、図示しない制御部の制御に応じて、信号光の位相を調整するアクティブ型の位相シフタによって実現される。アクティブ型の位相シフタを用いれば、受光素子53の受光部に信号光が入力する際の位相をそろえるとともに、光アンテナ51によって受光される空間光信号の位相ずれを補正できる。アクティブ型の位相シフタを用いれば、光アンテナ51によって受光された空間光信号に由来する信号光の位相を、受光素子53の受光部に受光されるタイミングでそろえることによって、任意の方向から到来する空間光信号を受光できる。なお、空間光信号の到来方向が一定の方向に限定される場合、例えば、位相シフタ56は、位相のシフト量が予め設定された、パッシブ型の位相シフタで実現することができる。パッシブ型の位相シフタ56を通過した光は、予め設定されたシフト量だけ、位相がずれる。例えば、位相シフタ56は、入力された光の屈折率を変化させることによって、信号光の位相を調整する。例えば、位相シフタ56は、熱光学効果を利用した熱光学型や、キャリア注入効果を利用したキャリア注入型の位相シフタによって実現される。
【0089】
本実施形態においては、六組の受光ユニットの光アンテナ51に入射された光の位相が、受光素子53の受光面で受光される際に同じになるように、複数の位相シフタ56の各々に位相のシフト量が調整される。例えば、位相シフタ56の位相のシフト量は、受光対象の空間光信号の到来方向や、複数の導波管510の長さ、導波路57の長さに応じて調整される。
【0090】
導波路57は、複数の位相シフタ56の各々に対応付けられて、基板52の第一面に形成される。受光装置50に含まれる導波路57の長さは、全て同じである。導波路57の入力端には、位相シフタ56の出力端が接続される。導波路57の出射端は、基板52を挟んで、受光素子53の受光面に向けて配置される。図19の例では、導波路57の出射端は、受光素子53の受光面に向けて、斜めにカットされた形状を有する。導波路57の出射端は、受光素子53の受光面に向けて光を出射できれば、その形状に限定は加えない。導波路57の入力端から入射された光は、導波路57の内部を進行して出射端から出射される。導波路57の材質は、空間光信号の波長帯の光の透過率が高ければ、特に限定を加えない。例えば、導波路57は、シリコンフォトニクスの技術を用いて、基板52の第一面に形成される。
【0091】
図20は、受光対象の空間光信号の到来方向が一方向の場合における、空間光信号の軌跡の一例を示す概念図である。空間光信号の到来方向が一方向の場合、位相シフタ56は、アクティブ型またはパッシブ型の位相シフタによって実現できる。図20には、光アンテナ51、位相シフタ56、および導波路57によって構成される受光ユニット500が、基板52の第一面に複数並んでいる様子を示す。複数の受光ユニット500の各々に含まれる位相シフタ56による位相のシフト量は、一方向から到来する空間光信号に由来する光の位相が、受光素子53の受光面において同じになるように調整される。図18の例では、空間光信号の到来方向に対する、光アンテナ51の導波管510の向きが、受光ユニット500ごとに異なる。そのため、複数の受光ユニット500の各々に含まれる位相シフタ56の位相のシフト量は、一方向から到来する空間光信号に由来する光の位相が、受光素子53の受光面において同じになるように調整される。
【0092】
図21は、受光対象の空間光信号の到来方向が多様な場合における、空間光信号の軌跡の一例を示す概念図である。空間光信号の到来方向が多様な場合、位相シフタ56は、アクティブ型の位相シフタによって実現できる。図21には、光アンテナ51、位相シフタ56、および導波路57によって構成される受光ユニット500が、基板52の第一面に複数並んでいる様子を示す。複数の受光ユニット500の各々に含まれる位相シフタ56による位相のシフト量は、多様な方向から到来する空間光信号に由来する光の位相が、受光素子53の受光面において同じになるように調整される。図18の例では、空間光信号の到来方向に対する、光アンテナ51の導波管510の向きが、受光ユニット500ごとに異なる。そのため、複数の受光ユニット500の各々に含まれる位相シフタ56の位相のシフト量は、多様な方向から到来する空間光信号に由来する光の位相が、受光素子53の受光面において同じになるように調整される。
【0093】
〔変形例9〕
図22は、本実施形態の受光装置50の変形例9の受光装置50-9の構成の一例を示す平面図である。基板52の形状は、平面視で矩形である。受光装置50-9は、一つの受光素子53を備える。受光素子53は、基板52の第二面の中央の点線の円で示す位置に配置される。
【0094】
光アンテナ51は、基板52の第一面に形成される。光アンテナ51を構成する複数の導波管510は、矩形の基板52の二つの対向する長辺から、それらの長辺に対して垂直な方向に延伸される。図22の例では、上側の導波管510は下方に向けて延伸され、下側の導波管510は上方に向けて延伸される。複数の導波管510の出射端は、位相シフタ56の入力端に接続される。位相シフタ56の出力端は、導波路57の入力端に接続される。導波路57の出射端は、基板52を挟んで、受光素子53の受光面に向けて配置される。受光装置50-9に含まれる導波路57の長さは、受光ユニットの位置に応じて異なる。受光素子53に近い方の受光ユニットの導波路57と比べて、受光素子53から遠い方の受光ユニットの導波路57の方が長い。そのため、位相シフタ56は、受光ユニットの位置に応じたシフト量で光の位相をずらすように調整される。
【0095】
本変形例の場合、空間光信号の到来方向が一方向の場合、空間光信号の到来方向に対する複数の導波管510の向きは同じである。そのため、空間光信号の到来方向に合わせて、光の位相をずらさなくてもよい。しかしながら、基板52における受光ユニットの位置に応じて、位相シフタ56と受光素子53の位置が異なるため、受光ユニットごとに導波路57の長さが異なる。そのため、受光装置50-9の位相シフタ56の位相のシフト量は、基板52における受光ユニットの位置に応じて調整される。なお、空間光信号の到来方向が多様な場合は、空間光信号の到来方向ごとに受光ユニットを割り当て、空間光信号の到来方向と、基板52における受光ユニットの位置とに応じて、位相シフタ56の位相のシフト量を調整すればよい。
【0096】
以上のように、本実施形態の受光装置は、光アンテナ、位相シフタ、導波管、基板、および受光素子を備える。光アンテナは、基板の第一面に形成される。光アンテナは、空間光信号を受光する。光アンテナは、空間光信号に由来する信号光を基板の面内方向に沿って出射端に導光する。光アンテナは、出射端から基板に向けて信号光を出射する。位相シフタは、光アンテナの出射端に接続される。位相シフタは、信号光の位相が受光素子の受光部の位置で揃うように、入力された信号光の位相を調整して出力端から出力する。導波路は、位相シフタの出力端に接続される。導波路には、位相シフタから出力された信号光が入力される。導波路は、入力された信号光を受光素子の受光面に向けて出射する。基板は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する。受光素子は、基板の第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置される。受光素子は、光アンテナから出射された信号光を受光面で受光する。
【0097】
本実施形態によれば、複数の光アンテナによって受光された光の位相を、位相シフタを用いてそろえることができる。そのため、本実施形態によれば、空間光信号の到来方向に合わせて指向性を持たせることによって、任意の方向から到来する空間光信号を受光できる。また、本実施形態によれば、位相シフタによって位相を調整できるので、光アンテナごとに導波管を異なる長さにすることができる。そのため、本実施形態によれば、光アンテナの長さを多様にできるため、光アンテナの配置を工夫することによって、光アンテナの密度を増加させることができる。例えば、アクティブ型の位相シフタを用いれば、受光対象の空間光信号の位相からずれたノイズ光を、そのノイズ光とは逆位相の光を用いて打ち消すことも可能になる。
【0098】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る受光装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受光装置は、所定面内における任意の方向から到来する空間光信号を受光する点において、第1の実施形態の受光装置とは異なる。本実施形態の受光装置は、第2~第5の実施形態の受光装置と組み合わせてもよい。
【0099】
(構成)
図23は、本実施形態の受光装置600の構成の一例を示す概念図である。図23は、受光装置600を斜め上方の視座から見た図である。受光装置600は、複数の受光器60を備える。複数の受光器60は、円筒状の受光装置600の側面に、受光面を外側に向けて配置される。すなわち、複数の受光器60の各々を構成する複数の光アンテナは、特定の円の半径方向に受光面を向けて、特定の円の円周に沿って配置される。受光装置600の上部と下部には、複数の受光器60を支持するための支持体68が配置される。支持体68を透過する光による攪乱を防止するために、支持体68は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過しない方が好ましい。支持体68については、複数の受光器60を支持できれば、形状や材質などに限定を加えない。複数の受光器60の各々は、第1~第5の実施形態の受光装置のうち少なくともいずれかの構成を有する。複数の受光器60の各々は、全て同じ構成であってもよいし、異なる構成が組み合わされてもよい。複数の受光器60の各々の詳細な構成については、説明を省略する。
【0100】
受光装置600は、空間光信号に由来する光を受光する受光素子を備える。受光素子は、複数の受光器60ごとに設けられてもよいし、複数の受光器60に対して共通に設けられてもよい。複数の受光器60に対して共通の受光素子が設けられる場合、それらの受光器60によって受光された光を、その受光素子の受光面に導光する導光体を設ければよい。受光装置600は、側方の全方位から到来する空間光信号をいずれかの受光器60によって受光する。例えば、受光器60の受光面の大きさがセンチメートルのオーダーで構成されれば、受光装置600は、数十~百メートル程度離れた位置から送光された空間光信号を受光できる。複数の受光器60の各々によって受光される空間光信号の到来方向は、一方向に限られる。そのため、複数の受光器60には、アクティブ型のみならず、パッシブ型の位相シフタを用いることができる。受光装置600を傾ければ、複数の受光器60の受光面を所望の方向に向けることによって、受光装置600の受光方向を変更できる。例えば、受光装置600の傾きを機械的に制御できるように構成されれば、複数の受光器60の受光面を所望の方向に向けることができる。
【0101】
以上のように、本実施形態の受光装置は、複数の光アンテナ、基板、および受光素子を備える。複数の光アンテナは、基板の第一面に形成される。複数の光アンテナは、特定の円の半径方向に受光面を向けて、特定の円の円周に沿って配置される。複数の光アンテナは、空間光信号を受光する。複数の光アンテナは、空間光信号に由来する信号光を基板の面内方向に沿って出射端に導光する。複数の光アンテナは、出射端から基板に向けて信号光を出射する。基板は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する。受光素子は、基板の第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置される。受光素子は、複数の光アンテナから出射された信号光を受光面で受光する。
【0102】
本実施形態の受光装置によれば、集光レンズなどのレンズ系を用いなくても、複数の光アンテナによって、所定面内における全方位から到来する空間光信号を受光できる。本実施形態の受光装置は、集光レンズなどのレンズ系を含まないため、レンズ系を含む装置と比べて、サイズを小さくできる。
【0103】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る受信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受信装置は、第1~第6の実施形態の受光装置のうち少なくともいずれかを備える。本実施形態の受信装置は、受光装置によって受光された空間光信号をデコードするデコーダを備える。
【0104】
(構成)
図24は、本実施形態の受信装置700の構成の一例を示す概念図である。受信装置700は、受光器70およびデコーダ78を備える。図24は、受信装置700の内部構成を横方向から見た図である。デコーダ78の位置については、特に限定を加えない。デコーダ78は、受信装置700の内部に配置されてもよいし、受信装置700の外部に配置されてもよい。
【0105】
受光器70は、第1~第6の実施形態の受光装置のいずれかである。なお、第1~第6の実施形態の受光装置のうちいくつかを組み合わせて、受光器70を構成してもよい。受光器70は、受光された空間光信号に由来する光(信号光とも呼ぶ)を電気信号に変換する。受光器70は、変換後の電気信号(以下、信号と呼ぶ)を、デコーダ78に出力する。
【0106】
デコーダ78は、受光器70から出力された信号を取得する。デコーダ78は、取得された信号を増幅する。デコーダ78は、増幅された信号をデコードし、通信対象からの信号を解析する。デコーダ78によってデコードされた信号は、任意の用途に使用される。デコーダ78によってデコードされた信号の用途については、特に限定を加えない。
【0107】
例えば、デコーダ78は、図示しない第1処理回路および第2処理回路を含む。第1処理回路は、受光器70からの信号を取得する。第1処理回路は、取得した信号のうち、太陽光などの環境光に由来する信号をカットし、空間光信号の波長帯に相当する高周波成分の信号を選択的に通過させる。例えば、第1処理回路は、空間光信号の波長帯の信号を選択的に通過させてもよい。第1処理回路は、選択された信号を増幅する。第1処理回路は、増幅された信号を第2処理回路に出力する。第2処理回路は、第1処理回路から信号を取得する。第2処理回路は、取得された信号をデコードする。第2処理回路は、デコードされた信号に何らかの信号処理を加えるように構成してもよいし、外部の信号処理装置等(図示しない)に出力するように構成したりしてもよい。複数の通信対象からの空間光信号に由来する複数の信号をデコードする場合、第2処理回路がそれらの信号を時分割で読み取るように構成されればよい。
【0108】
以上のように、本実施形態の受信装置は、第1~第6の実施形態のいずれかの受光装置と、デコーダとを備える。デコーダは、受光装置によって受光された空間光信号に基づく信号をデコードする。本実施形態の受信装置によれば、空間光信号に基づく信号をデコードできる。例えば、本実施形態によれば、シングルチャンネルの受信装置を実現できる。例えば、本実施形態によれば、空間光信号に基づく信号を時分割でデコードすることによって、マルチチャンネルの受信装置を実現することもできる。
【0109】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る受光装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受光装置は、第1~第6の実施形態の受光装置を簡略化した構成である。図25は、本実施形態の受光装置80の構成の一例を示す概念図である。図26は、図25のH-H切断線で切断された受光装置80の断面図である。
【0110】
受光装置80は、光アンテナ81、基板82、および受光素子83を備える。光アンテナ81は、基板82の第一面に形成される。光アンテナ81は、空間光信号を受光する。光アンテナ81は、空間光信号に由来する信号光を基板82の面内方向に沿って出射端に導光する。光アンテナ81は、出射端から基板82に向けて信号光を出射する。基板82は、受光対象の空間光信号の波長帯の光を透過する。受光素子83は、基板82の第一面に対向する第二面に受光面を向けて配置される。受光素子83は、光アンテナ81から出射された信号光を受光面で受光する。
【0111】
本実施形態の受光装置は、高速な応答性を得ることができる開口面積の小さな受光部を有する受光素子に、空間光信号に由来する信号光を効率よく導光できる。そのため、本実施形態の受光装置によれば、空間光信号を効率よく受光できる。
【0112】
この出願は、2021年1月6日に出願された日本出願特願2021-000636を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0113】
10、20、30、40、50、80 受光装置
11、21、31、41、51、81 光アンテナ
12、22、32、42、52、82 基板
13、23、33、43、53、83 受光素子
34 反射鏡
45 ライトパイプ
56 位相シフタ
57 導波路
60 受光器
68 支持体
70 受光器
78 デコーダ
110、210、310、410、510、810 導波管
500 受光ユニット
600 受光装置
700 受信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26