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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】包装材用積層フィルム、及び包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20241112BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/32 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023025682
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021094900の分割
【原出願日】2015-12-22
(65)【公開番号】P2023075140
(43)【公開日】2023-05-30
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】油野 政人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文
(72)【発明者】
【氏名】松下 田恵子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克伸
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-046674(JP,A)
【文献】特表2015-520131(JP,A)
【文献】特開2009-091694(JP,A)
【文献】特開2012-167172(JP,A)
【文献】特開2015-006923(JP,A)
【文献】特開2013-177531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材用積層フィルムであって、
植物由来のエチレンを高圧法にて重合されて得られた植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂組成物によるシーラントフィルムと、
印刷模様を有する基材フィルムと
を有し、
前記基材フィルムは、ポリエステル系樹脂フィルムであり、
前記印刷模様を有する基材フィルムと前記シーラントフィルムはラミネート用接着剤を介して積層されており、
前記包装材用積層フィルムは、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を少なくとも25%有し、
前記植物由来の低密度ポリエチレン樹脂は、バイオマス度を10~100%有し、
前記シーラントフィルムは、0.2質量%以上のシリカ、5.0質量%以上の酸化チタン、アイオノマー、及びエチレン・メタクリル酸共重合体を含まず、
前記シーラントフィルムは、構成する樹脂が、前記植物由来の低密度ポリエチレン樹脂と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とからなる前記樹脂組成物を使用して、下記の(A)、及び(B)のいずれかで構成してなること、を特徴とする包装材用積層フィルム。
(A)前記樹脂組成物からなる単層構成
(B)中層を前記樹脂組成物とし、外層、及び内層を前記石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とした多層構成
【請求項2】
前記基材フィルムは、植物由来のエチレングリコールと、石油由来のテレフタル酸との縮合重合にて得られた植物由来のポリエチレンテレフタラート樹脂を含む樹脂組成物によるフィルムであることを特徴とする請求項に記載の包装材用積層フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装材用積層フィルム、及び包装袋に関し、より詳細には、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂組成物からなるフィルムが積層された包装材用積層フィルム、及びそのフィルムが用いられた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、餃子や、焼き焼売、炒め炒飯、ピザのような冷凍食品の包装形態として広く用いられる軟包装(軽包装)は、シーラントフィルム、及び基材フィルムからなる軟包装材料で構成される。しかしながら、軟包装材料の原料の多くは石油由来であり、環境問題や、石油等の枯渇資源の節約に対応することが求められる。そして、石油資源の包装材料への使用量を低減することを目的とした、カーボンニュートラルな材料としてのポリ乳酸系樹脂に、エチレン-α-オレフィン共重合体、及びエポキシ基を有する重合体をそれぞれ所定量含有させた生分解性の樹脂組成物を含む包装袋(例えば特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-155516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装袋を構成する樹脂組成物に、石油由来原料以外の生分解性樹脂を含有させることによって石油由来原料の比率を下げることができる。しかしながら、このような包装袋は、石油系樹脂のものと比較して、引張強度や、引き裂き強度、シール強度、腰等の加工適性が著しく劣ることによって生産性を向上させることが困難であるとともに、耐久性を向上させることも困難である。
【0005】
そこで本発明の目的は、石油資源を節約するとともに、二酸化炭素の排出量を削減する環境にやさしい包装材用積層フィルム、及びそのフィルムが用いられ、石油系樹脂の包装袋と遜色のない加工適性、及び物性、特に耐久性を有する包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、包装材用積層フィルムであって、植物由来のエチレンを高圧法にて重合されて得られた植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂組成物によるシーラントフィルムと、印刷模様を有する基材フィルムとを有し、前記基材フィルムは、ポリエステル系樹脂フィルムであり、前記印刷模様を有する基材フィルムと前記シーラントフィルムはラミネート用接着剤を介して積層されており、前記包装材用積層フィルムは、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を少なくとも25%有し、前記シーラントフィルムは、0.2質量%以上のシリカ、5.0質量%以上の酸化チタン、アイオノマー、及びエチレン・メタクリル酸共重合体を含まないことを特徴とする。
さらに、前記植物由来の低密度ポリエチレン樹脂は、バイオマス度を10~100%有することを特徴とする。
さらに、前記基材フィルムは、植物由来のエチレングリコールと、石油由来のテレフタル酸との縮合重合にて得られた植物由来のポリエチレンテレフタラート樹脂を含む樹脂組成物によるフィルムであることを特徴とする。
さらに、前記シーラントフィルムは、前記植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を10~
100重量%と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂を0~90重量%とを含む前記樹脂組成物を使用して、下記の(A)、及び(B)のいずれかで構成してなることを特徴とする。
(A)前記樹脂組成物からなる単層構成
(B)中層を前記樹脂組成物とし、外層、及び内層を前記石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とした多層構成
さらに、本発明の包装袋は、上記の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、包装材用積層フィルムであって、植物由来のエチレンを高圧法にて重合されて得られた植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂組成物によるシーラントフィルムと、基材フィルムとを積層させ、包装材用積層フィルムは、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を少なくとも25%有するので、包装材用積層フィルムを構成するシーラントフィルムの原材料として多用されている石油資源の使用量を削減するとともに、フィルムの製造時、及び廃棄時における石油由来の二酸化炭素排出量を抑制することができる。更に、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂に対して物性的に遜色がないため、既存の包装材用積層フィルムの製造工程と同様とすることができ、包材の加工適性を損ねることなく原料を切り替えることができる。更に、包装材用積層フィルムを構成する低密度ポリエチレン樹脂の原料由来を、このバイオマス度を指標にして識別でき、フィルムの製造時から廃棄時まで由来原料を確認することができる。したがって、環境負荷が低減され、生産効率に優れ、原料由来の識別が可能とされた低密度ポリエチレン系樹脂が含まれた包装材用積層フィルムを提供することができる。
【0008】
更に、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂は、バイオマス度を10~100%有する構成によれば、シーラントフィルムを構成する低密度ポリエチレン樹脂の石油由来の使用比率をより低下させることができ、石油資源の使用量をより削減するとともに、フィルム製造時、及び廃棄時における石油由来の二酸化炭素排出量をより抑制することができる
【0009】
更に、基材フィルムは、植物由来のエチレングリコールと、石油由来のテレフタル酸との縮合重合にて得られた植物由来のポリエチレンテレフタラート樹脂を含む樹脂組成物によるフィルムである構成によれば、基材フィルムにおいても、石油由来の原料の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量をより削減するとともに、包装材用積層フィルムの製造時、及び廃棄時における石油由来の二酸化炭素排出量をより抑制することができる。そして、包装材用積層フィルムは、包装袋、例えば軟包装袋として好適な引張強度、シール強度、及び腰を有し、優れた加工適性を示す。
【0010】
更に、シーラントフィルムは、植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を10~100モル%と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂を0~90モル%とを含む樹脂組成物を使用して、下記の(A)、及び(B)
(A)樹脂組成物と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とを混合した単層構成
(B)中層を樹脂組成物と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とを混合した層とし、外層、及び内層を石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とした多層構成
のいずれかである構成によれば、包装材用積層フィルムを構成する石油由来の低密度ポリエチレン樹脂の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減するとともに、フィルム製造時、及び廃棄時における石油由来の二酸化炭素排出量を抑制することができる。加えて、(B)のようなシーラントフィルムを構成する内外層に石油由来の低密度ポリエチレン樹脂が用いられることで、既存の製造工程が有する特性でフィルムを製造することができる。したがって、より優れた加工適性を有する包装材用積層フィルムを提供することができる。
【0011】
更に、シーラントフィルムと、基材フィルムとの間に更に中間層を備える構成によれば、包装材用積層フィルムが種々の機能、例えばガスバリア性を有するように構成することができる。
【0012】
更に、本発明の包装袋は、上述の包装材用積層フィルムを用いてなるので、包装袋を構成する包装材用積層フィルムにおける石油由来の低密度ポリエチレン樹脂の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減するとともに、包装袋の製造時、及び廃棄時における石油由来の二酸化炭素排出量を抑制することができる。更に、使い捨てとして世の中に数多く出回る包装袋を構成する石油由来の原料の使用比率を低下させることができる。更に、上述されたように、包装材用積層フィルムの加工適性、及び物性は、石油由来のものに対して遜色がない。したがって、石油資源が節約され、環境負荷が低減された植物由来の低密度ポリエチレン樹脂が含まれ、石油系樹脂のものと遜色のない加工適性、及び物性、特に耐久性を有する包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】サトウキビ由来の低密度ポリエチレンフィルムの製造工程が例示された流れ図である。
図2】本実施形態に係るサトウキビ由来の低密度ポリエチレン樹脂を含むシーラントフィルムが模式的に示された断面図である。
図3】中層が、バイオ低密度ポリエチレン樹脂とされた多層構造からなるフィルムが模式的に示された断面図である。
図4】本実施形態に係る包装材用積層フィルムの一例が模式的に示された断面図である。
図5】植物由来のポリエチレンテレフタラートフィルムの製造工程が例示された流れ図である。
図6】包装材用積層フィルムがヒートシールされることによって作製された包装袋の一例が模式的に示された断面図である。
図7】本実施形態に係る包装材用積層フィルムが用いられて形成された包装袋の一例としての四方シール袋が示された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
食品や、日用品等に広く用いられる軟包装は積層フィルムで構成される。積層フィルムには、軟包装の内面となるヒートシール材としてのシーラントフィルム(ヒートシール性フィルム)を基材フィルムに積層させるものがある。基材フィルムの材料には例えば、ポリエステル系樹脂が用いられる。一方で、シーラントフィルムの材料には、低密度ポリエチレン(LDPE:Low Density PolyEthylene(PE-LD))樹脂が用いられる。低密度ポリエチレン樹脂は、費用が安く、柔軟性、透明性、押し出しコーティング性、熱接着性等に優れる。
【0016】
このように、積層フィルムの材料には、低密度ポリエチレン樹脂やポリエステル系樹脂が多く用いられる。そして、これらの低密度ポリエチレン樹脂や、ポリエステル系樹脂は出発原料を石油として製造されている。例えば、低密度ポリエチレンは、原油の精製等によって得られたエチレン(エテン)を300℃、2000気圧等の高温高圧条件下で付加重合させたものである。
【0017】
一方で、石油等の資源の枯渇や、二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化等といった環境問題に対する意識は年々高まりを見せている。そうした中で、石油由来の低密度ポリ
エチレン樹脂等が用いられることは、石油化学製品の製造から廃棄に至るまでの間に、石油に固定されていた二酸化炭素が大気中に大量に排出されてしまうことを意味するため、環境に対して配慮がなされていないことになる。
【0018】
このような背景から、カーボンニュートラルで再生可能な資源である植物からプラスチック類を製造する技術の開発が進められ、プラスチック類の中で最も多く使用されるポリエチレンをバイオマス系のサトウキビを出発原料として生産する技術が確立した(加工技術研究会編、コンバーテック2009.9、P63~67)。なお、カーボンニュートラルとは、植物の生育時の二酸化炭素吸収量と、燃焼や分解時の二酸化炭素排出量とが略同一であり、すなわち、環境における炭素の循環量に対して中立であることを意味する。
【0019】
次に、本実施形態に係る包装材用積層フィルムを構成するシーラントフィルムの製造工程を説明する。図1は、サトウキビ由来の低密度ポリエチレンフィルムの製造工程が例示された流れ図であり、図2は、本実施形態に係るサトウキビ由来の低密度ポリエチレン樹脂を含むシーラントフィルムが模式的に示された断面図である。なお、本実施形態においては、包装材用積層フィルム、及び包装袋の出発原料としてサトウキビが用いられる例が示されている。しかしながら、本実施形態に係る包装材用積層フィルム、及び包装袋の原料としては、サトウキビに限定されず、低密度ポリエチレン樹脂の製造原料となる植物であれば良く、更には、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものであれば良い。
【0020】
図1に示されるようにまず、畑で刈り取られたサトウキビから搾汁された糖液が加熱濃縮され、結晶化した粗糖と、非結晶物であるサトウキビの廃糖蜜1との混合物が遠心分離機で分離される。この砂糖の生産の際に生じる副産物であるサトウキビの廃糖蜜1が原料として用いられる。
【0021】
サトウキビの廃糖蜜1が適切な濃度まで水で希釈され、酵母菌によって発酵し、蒸留されることによってバイオエタノール2が生成される(ステップS101)。
【0022】
バイオエタノール2が触媒存在下で加熱され、分子内脱水反応によって植物由来であるバイオエチレン3が得られる(ステップS102)。
【0023】
バイオエチレン3(モノマー)が高圧法によって重合されることによって植物由来であるバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が得られる(ステップS103)。
【0024】
このように、本実施形態に係る包装材用積層フィルムを構成するシーラントフィルムに用いられるバイオ低密度ポリエチレン樹脂10は出発原料がサトウキビ等の植物由来であるエチレンから生成されるものである。そして、植物由来のエチレン、及びポリエチレンは、石油由来のエチレン、及びポリエチレンと同等の品質であることが確認されている。したがって、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10は、石油由来のエチレンから低密度ポリエチレン樹脂が生成される場合と同じように製造することができる。すなわち、バイオエチレン3が、300℃、2000気圧等の高温高圧条件下で付加重合されることによって、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10を製造することができる。
【0025】
バイオ低密度ポリエチレン樹脂10は、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂と同様に、密度dが0.910~0.925g/cm3、メルトフローレート(MFR)が0.5~
8.0g/10分、より好ましくは0.7~5.0g/10分の範囲とした各物性を有することができる。
【0026】
なお、密度(d、単位:g/cm3)は、150℃でプレス成形して得られた厚さが1
mmのシートが用いられ、JIS K 6760(1981)に準拠して測定された。更に、メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)は、JIS K 7210(1995)に準拠して、試験温度が190℃、試験荷重が21.18Nの条件下で測定された。メルトフローレートの値は、底部に直径2mmの孔の開いたシリンダが190℃に加熱され、シリンダ内に入れられた測定対象が、21.18Nの荷重が加えられることによって10分間で押し出された量(g)である。そして、ポリマーの重合度が大きくなるほど溶融時の粘度が高くなるため、メルトフローレートの数値が小さくなる傾向がある。
【0027】
これらの物性を有するバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が用いられて包装材用積層フィルムを構成するシーラントフィルムが製造される。その際には、必要に応じて、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11が混合される。バイオ低密度ポリエチレン樹脂10は、10~100質量%の適宜割合で含有されるように石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11が混合される。
【0028】
バイオ低密度ポリエチレン樹脂10を10~100モル%の適宜割合で含んで石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11と混合された樹脂組成物は、製膜されることによって、図2に示されるようなバイオ低密度ポリエチレンを含むフィルムF1が形成される(ステップS104)。
【0029】
本実施形態に係る包装材用積層フィルムを構成するシーラントフィルムの製造方法には、特に限定はないものの、溶融押出成形が用いられることが好ましく、インフレーション法や、フラットダイ法等が好適に用いられる。更に、シーラントフィルムは、複数の層が重ねられた多層に加工されても良く、その場合には共押出法が好適に用いられる。
【0030】
本実施形態では、上述のようにして得られた植物由来であるバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が用いられて包装材用積層フィルムを構成するシーラントフィルムが製造される。これによって、本実施形態は、包装材用積層フィルムに用いられる樹脂組成物に対する石油由来の樹脂の使用比率を低下させて、化石資源(枯渇資源)である石油の消費を低減させるとともに、二酸化炭素の排出量削減によって地球温暖化防止に貢献するものである。
【0031】
そして、本実施形態では、放射性炭素年代測定14Cによるバイオマス度が80~100%を有するバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が用いられる。
【0032】
ここで、植物(バイオマス)由来の樹脂と、石油由来の樹脂とを分子量や、機械的性質、熱的性質等の物性に基づいて判別することは困難である。そこで、樹脂組成物の内で、植物由来の樹脂の含有割合を識別する一般的な指標としてバイオマス度が用いられる。このバイオマス度は、石油由来の樹脂の炭素には、14C(放射性炭素14、半減期5730年)が含まれ(残存し)ないことが利用されたもので、この14Cの濃度が加速器質量分析で測定されることによって算定される。したがって、フィルムのバイオマス度が測定されることによって、植物由来の原料が使用されたか否かや、樹脂組成物に対する植物由来の樹脂の含有割合を識別することができる。
【0033】
このバイオマス度の測定における最初の工程においては、測定対象試料が燃焼されることによって発生し、真空ラインで精製された二酸化炭素が、鉄を触媒として水素で還元され、グラファイトが生成される。そして、このグラファイトが、タンデム加速器をベースとした14C-AMS(Accelerator Mass Spectrometry:加速器質量分析)専用装置(
NEC社製)に装着されることによって、14Cの計数、並びに13Cの濃度(13C/12C)、及び14Cの濃度(14C/12C)の測定が行われる。これらの測定値から、標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合が算出される。なお、この測定では、14C測定の標準
試料であるアメリカ国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)から提供されるシュウ酸(HOx II)が用いられて定量が行われる。
【0034】
本実施形態では、このようなバイオマス度を有するシーラントフィルムが用いられる。そして、すべてが石油由来の樹脂であったものから、本実施形態では、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11に、石油由来のものと物性等において遜色のないバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が混成(置換)されたものとされる。これによって、本実施形態では、シーラントフィルムの製造時や、廃棄時等における石油由来の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
【0035】
更に、本実施形態では、樹脂組成物に含まれるバイオ低密度ポリエチレン樹脂10として、密度dが0.910~0.925g/cm3、メルトフローレートが0.5~8.0g/10分の植物由来の低密度ポリエチレンが用いられる。これによって、既存のフィルム製造工程で、石油由来のものと物性的に遜色のない植物由来のシーラントフィルムを製造することができる。したがって、包材の加工適性を損ねることなく原料を切り替えることができる。そして、本実施形態に係る植物由来のシーラントフィルムは耐久性についても石油由来のものと遜色がない。
【0036】
更に、本実施形態では、シーラントフィルムが、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定されるバイオマス度を有するので、このバイオマス度を指標として、シーラントフィルムを構成する低密度ポリエチレン樹脂の原料由来を識別でき、フィルムの製造時から廃棄時までの由来原料を確認することができる。
【0037】
本実施形態では、シーラントフィルムを構成するバイオ低密度ポリエチレン樹脂10のメルトフローレート(MFR)は好ましくは0.5~4.0g/10分である。更に、シーラントフィルムが高いバイオマス度を示し、かつ包装袋として良好な引張強度、及びシール強度が得られるためには、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10のメルトフローレート(MFR)はより好適には0.7~3.8g/10分である。
【0038】
次に、本実施形態では、上述されたバイオ低密度ポリエチレン樹脂10と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11とで以下のようなシーラントフィルムを構成することもできる。すなわち、フィルム全体に対して、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10の配合量が10~100モル%であり、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11の配合量が0~90モル%となるように下記の(A)、及び(B)の要領にてシーラントフィルムを構成することができる。
【0039】
まず、(A)のフィルムF1として上述された図2に示されたように、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11とが混合された樹脂組成物からなる単層構成とすることができる。ここで、上述されたように、フィルムF1を構成する樹脂組成物は、10~100モル%のバイオ低密度ポリエチレン樹脂10と、0~90モル%の石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11とを含有する。したがって、フィルムF1は、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11の含有量が0モル%の場合にはバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が単独の単層構成となる。
【0040】
図3は、中層が、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10とされた多層構造からなるフィルムが模式的に示された断面図である。(B)のフィルムF2として図3に示されるように、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11とが混合された樹脂組成物からなる中層と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11からなる外層、及び内層とを有する多層構成とすることもできる。ここで、フィルムF1と同様に、
フィルムF2の中層を構成する樹脂組成物は、10~100モル%のバイオ低密度ポリエチレン樹脂10と、0~90モル%の石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11とを含有する。したがって、フィルムF2の中層は、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11の含有量が0モル%の場合にはバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が単独の単層構成となる。
【0041】
このような構成とされることで、フィルムF1、及びF2を構成する樹脂組成物の石油由来原料の使用比率を低下させることができ、フィルムの製造時や、廃棄時等における石油由来の二酸化炭素排出量を抑制することができる。加えて、(B)のようなフィルムF2を構成する内外層に石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11が用いられることで、既存のフィルムと同様の特性を有して、フィルムF2の製造、使用、及び加工を行うことができる。なお、多層構成のフィルムF2は、共押出成形によって製造することができる。
【0042】
次に、本実施形態では、上述されたフィルムF1や、F2が用いられた包装材用積層フィルムを構成することができる。図4は、包装材用積層フィルムの一例が模式的に示された断面図である。
【0043】
まず、包装材用積層フィルム12は、上述されたフィルムF1や、F2がシーラントフィルム13として基材フィルム14と積層されたものが基本構成とされる。そして、本実施形態に係る包装材用積層フィルム12は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を少なくとも25%有することが好ましい。このような構成とされることで、ヒートシールに用いられるシーラントフィルム13の各フィルムF1、及びF2を構成する石油由来の低密度ポリエチレン樹脂11の使用比率を低下させることができる。そして、本実施形態に係る包装材用積層フィルム12は、石油資源を節約するとともに、その製造時や、廃棄時等における石油由来の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
【0044】
ここで、日本バイオプラスチック協会(JBPA)では、バイオマスプラスチックを「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる分子量(Mn)1,000以上の高分子材料をいう(化学的に未修飾な非熱可塑性天然有機高分子材料は除く)」と定めている。そして、バイオマスプラスチック又はバイオマス由来熱硬化性プラスチック原料組成中のバイオマス由来成分を製品中に25.0重量%以上含むことによって「バイオマスプラマーク」へと適合させることができる。
【0045】
包装材用積層フィルム12は中間層15を有していても良い。中間層15を種々変更することによって包装材用積層フィルム12に様々な機能例えば、ガスバリア性、耐衝撃性、耐ピンホール性、保香性、耐薬品性を付与することができる。中間層15には例えば、水蒸気や酸素の透過を抑制するバリア材が用いられる。バリア材には例えば、バリア性樹脂としての二軸延伸ポリアミド(ナイロン(ONy:Oriented Nylon))フィルムや、二軸延伸ポリエチレンテレフタラート(OPET:Oriented PolyEthylene Terephthalate
)フィルムが用いられても良い。更に、バリア材には例えば、バリア性樹脂の表面に、シリカや、アルミニウム等の蒸着膜が形成された蒸着フィルムが用いられても良い。更に、バリア材には例えば、アルミニウム等の金属箔が用いられても良い。
【0046】
中間層15は、シーラントフィルム13との間を接着層16によって接着され、基材フィルム14との間を接着層17によって接着されることによって積層される。接着層16、及び接着層17の材料は基材の種類や、接着方法によって適宜選択される。積層(接着)方法としては、ドライラミネート法や、溶融押し出しラミネート法が例示される。
【0047】
ドライラミネート法でのラミネート接着剤層となる接着層16、及び接着層17の材料としてはポリエステル系接着剤や、ポリエーテル系接着剤等があり、接着強度の観点から
、2液硬化型のウレタン系接着剤が用いられることが好ましい。一方で、溶融押し出しラミネート法での溶融押し出し樹脂層となる接着層16、及び接着層17の材料としてはポリエチレンや、ポリプロピレン等があり、基材の種類によるものの基材接着性の観点から低密度ポリエチレンが用いられることが好ましい。更に、ドライラミネート法や、溶融押し出しラミネート法が併用されても良い。各層が接着される前の表面には密着性を向上させるために必要に応じてコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の表面改質処理が施されても良く、更にアンカーコート剤等が塗布されても良い。
【0048】
包装材用積層フィルム12を構成するいずれかの層には印刷層18が形成されていても良い。文字、図形、記号、絵柄等の印刷は、包装用容器の外側から見える位置であれば特に限定はなく表印刷であっても構わない。図4に例示された層構成では基材フィルム14の内側に印刷層18が形成されている。印刷層18には白色の下地層が設けられていても良い。印刷層18は、グラビア印刷の他、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式によってグラビア印刷インキ等が用いられて印刷されることで形成される。
【0049】
なお、包装材用積層フィルム12は基材フィルム14に図示せぬ外層が更に積層されていても良い。
【0050】
基材フィルム14としては例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタラートやポリエチレンナフタラート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種樹脂フィルムや、シートを使用することができる。
【0051】
基材フィルム14には、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP:Oriented PolyPolypropylene)や二軸延伸ポリエチレンテレフタラート(OPET)が用いられることが好ましい。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、防湿性、耐水性、耐薬品性等に優れ、汎用性が高く安価である。二軸延伸ポリエチレンテレフタラートは、吸湿性が低く、耐擦傷性、耐熱性、耐水性等の他に保香性に優れる。そして、これらの基材フィルム14が用いられる包装材用積層フィルム12は、包装袋、例えば軟包装袋として好適な引張強度、シール強度、及び腰を有し、優れた加工適性を示す。
【0052】
更に、本実施形態では、基材フィルム14に用いられる二軸延伸ポリエチレンテレフタラートの原料は植物由来であっても良い。
【0053】
次に、本実施形態に係る包装材用積層フィルム12を構成する植物由来の基材フィルム14の製造工程を説明する。図5は、植物由来のポリエチレンテレフタラートフィルムの製造工程が例示された流れ図である。なお、ここでは、植物由来のポリエチレンテレフタラートフィルム、すなわちバイオPETフィルムF3の出発原料としてサトウキビが用いられる例が示されている(図1参照)。しかしながら、本実施形態に係るバイオPETフィルムF3の原料としては、サトウキビに限定されず、ポリエチレンテレフタラート樹脂の製造原料となる植物であれば良く、更には、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものであれば良い。
【0054】
まず、上述された図1のステップS101、及びステップS102を経ることによって
バイオエチレン3が得られる。
【0055】
バイオエチレン3が酸化されることによってバイオエチレンオキサイド4(1,2-エポキシエタン)が得られる(ステップS201)。バイオエチレンオキサイド4は例えば、バイオエチレン3が、銀触媒の存在下で、1~3MPa、200~300℃に加圧加熱され、分子状酸素や、分子状酸素含有ガスによって接触気相酸化されることによって得られる。バイオエチレンオキサイド4は、バイオエチレン3と、過酸化水素や、過酸とを反応させることによって製造されても良い。
【0056】
バイオエチレンオキサイド4が酸触媒下で加水分解されることによって植物由来であるバイオエチレングリコール5(MEG:Mono Ethylene Glycol)(エタン-1,2-ジオール)が得られる(ステップS202)。なお、このバイオMEG5のバイオマス度は100%とすることができる。
【0057】
一方で、石油の2次製品であるパラキシレン6が酸化され、高純度に精製されることによって、精製テレフタル酸(PTA:Purified Terephthalic Acid)7が得られる(ステップS203)。
【0058】
バイオMEG5と、精製テレフタル酸(PTA)7との縮合重合によって植物由来である原料を含んだバイオPET樹脂19が得られる(ステップS204)。なお、バイオPET樹脂19は、その原料の30%がバイオMEG5であり、70%が精製テレフタル酸(PTA)7であるため、バイオマス度が30%である。
【0059】
バイオPET樹脂19が製膜されることによってバイオPETフィルムF3が形成される(ステップS205)。そして、このようにして得られたバイオPETフィルムF3が必要に応じて、包装材用積層フィルム12を構成する基材フィルム14に用いられる。これによって、本実施形態は、包装材用積層フィルム12に用いられる樹脂組成物に対する石油由来の樹脂の使用比率をより低下させて、化石資源(枯渇資源)である石油の消費をより低減させるとともに、二酸化炭素の排出量削減によって地球温暖化防止に貢献するものである。より具体的に、バイオPETフィルムF3は、原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体で石油由来のPETフィルムよりも約10%のCO2を削減できる。
【0060】
なお、バイオPETフィルムF3は、バイオMEG5由来の炭素数が2で、精製テレフタル酸(PTA)7由来の炭素が8であるため、バイオマス度は20%である。一方で、PET構成単位の分子量が192の内で、エチレングリコール由来の分子量は60である。したがって、重量法でのバイオマス度は60/192=31.25%となる。
【0061】
図6は、包装材用積層フィルム12がヒートシールされることによって作製された包装袋の一例が模式的に示された断面図である。包装材用積層フィルム12は、その外周の端部がヒートシール(熱圧着)されることによって製袋される。なお、ここでの包装材用積層フィルム12は、シーラントフィルム13と、基材フィルム14との二層で構成される例が示されている。そして、ここでは、接着層についての図示は省略されている。
【0062】
包装材用積層フィルム12の内層となるシーラントフィルム13の面が対向するように、一枚の包装材用積層フィルム12が折り曲げられるか、二枚の包装材用積層フィルム12が重ね合わせられ、その外周の端部がヒートシールされる。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等を用いることができる。図6には、二枚の包装材用積層フィルム12A、及び12Bが重ね合わせられた例が示されている。
【0063】
二枚の包装材用積層フィルム12A、及び12Bの外層となる基材フィルム14A、及び14Bの側から図示せぬ加熱ローラ等によって加熱、及び加圧が行われる。そして、熱で、シーラントフィルム13A、及び13Bが溶融し、圧力で、シーラントフィルム13Aと、13Bとが密着される。これによって、二枚の包装材用積層フィルム12A、及び12Bの外周の端部にはシール部21が形成される。
【0064】
このようなシール部21が、例えば矩形の二枚の包装材用積層フィルム12A、及び12Bにおける三辺に形成され、残された一辺が内容物の充填口とされる。そして、充填口から内容物が充填された後の一辺に更にシール部21が形成されることによって、製袋された包装袋(四方シール袋20)が形成される。
【0065】
図7は、本実施形態に係る包装材用積層フィルム12が用いられて形成された包装袋の一例としての四方シール袋20が示された斜視図である。このように、本実施形態に係るシーラントフィルム13、及び基材フィルム14からなる軟包装材料によって例えば炒め炒飯のような冷凍食品が充填包装される軟包装用袋を形成することができる。
【0066】
このような構成とされることで、包装袋を構成する包装材用積層フィルム12における石油由来の原料の使用比率を低下させることができ、石油資源を節約するとともに、包装袋の製造時や、廃棄時における石油由来の二酸化炭素排出量を抑制することができる。特に、軟包装用袋は使い捨てとなりやすいため、石油資源の使用量を低下させるとともに石油由来の二酸化炭素排出量を抑制する本実施形態に係る包装材用積層フィルム12によれば環境にやさしい包装袋を提供するという効果を奏することができる。更に、上述されたように、本実施形態に係る包装材用積層フィルム12の加工適性、及び物性は、石油由来のものに対して遜色がない。したがって、本実施形態に係る構成によれば、石油資源が節約され、環境負荷が低減されたバイオ低密度ポリエチレン樹脂10が含まれ、石油系樹脂のものと遜色のない加工適性、及び物性、特に耐久性を有する包装袋を提供することができる。
【0067】
なお、包装袋の端部等にはレーザー等によって開封用切れ目線が設けられていても良い。更に、本実施形態に係る包装袋には、ワンピースタイプや、ツーピースタイプの注出口や、再封するためのファスナー等を任意に取り付けることができる。そして、これらの材料として当然、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10や、バイオPET樹脂19が用いられても良い。
【0068】
図7に例示された四方シール袋20以外にも、側面シール型、二方シール型、三方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールされることによって、本実施形態に係る種々の形態の包装袋を製造することができる。更に、本実施形態においては、上述の包装材用積層フィルム12が使用されることによって自立性包装袋(スタンディングパウチ)等や、チューブ容器等、液体紙容器等を含む容器や、容器の蓋材、あるいは容器のラベル等も製造することができる。更に、本実施形態に係る包装袋の内容物も例示された飲食品に限らず、化粧品や、薬品、雑貨品等を収容することができ、一層石油由来の使用比率を低下させるとともに、石油由来の二酸化炭素排出量を大きく抑制することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、包材全体においてもバイオマス度が25%以上であることが好ましい。このため、基材フィルム14に、バイオマス度が20%のバイオPETフィルムF3が用いられる場合にはシーラントフィルム13に、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10が例えば35%程度含まれる構成が考えられる。一方で、基材フィルム14のバイオマス度が0%である場合には、シーラントフィルム13のバイオ低密度ポリエチレン樹脂1
0の割合が例えば70%に引き上げられる。このようにして、本実施形態では、包材全体でバイオマス度が少なくとも25%以上となるようになされる。
【0070】
本発明は、上記の課題を解決するための手段として、さらに、以下の態様とすることができる。
本発明は、包装材用積層フィルムであって、植物由来のエチレンを高圧法にて重合されて得られた植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を含む樹脂組成物によるシーラントフィルムと、基材フィルムとを積層させ、前記包装材用積層フィルムは、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度を少なくとも25%有することを特徴とする。
更に、前記植物由来の低密度ポリエチレン樹脂は、バイオマス度を10~100%有することを特徴とする。
更に、前記基材フィルムは、植物由来のエチレングリコールと、石油由来のテレフタル酸との縮合重合にて得られた植物由来のポリエチレンテレフタラート樹脂を含む樹脂組成物によるフィルムであることを特徴とする。
更に、前記シーラントフィルムは、前記植物由来の低密度ポリエチレン樹脂を10~100モル%と、石油由来の低密度ポリエチレン樹脂を0~90モル%とを含む前記樹脂組成物を使用して、下記の(A)、及び(B)のいずれかで構成してなることを特徴とする。
(A)前記樹脂組成物と、前記石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とを混合した単層構成
(B)中層を前記樹脂組成物と、前記石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とを混合した層とし、外層、及び内層を前記石油由来の低密度ポリエチレン樹脂とした多層構成
更に、前記シーラントフィルムと、前記基材フィルムとの間に更に中間層を備えることを特徴とする。
更に、本発明の包装袋は、上述の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする。
【実施例
【0071】
以下に、実施例を示して、本開示を更に詳細、かつ具体的に説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
[実施例1]
(1)樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC525:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=3.5g/10分)50.0重量部と、バイオマス低密度ポリエチレン(ブラスケム株式会社製SEB853:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=2.7g/10分)50.0重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
【0073】
(2)フィルム
次に、(1)で調製した樹脂組成物を使用し、単層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、厚みが30μmの本実施例に係る単層フィルムを製造した。すなわち、実施例1に係る単層フィルムは、図2に示されるようなバイオ低密度ポリエチレンを含むフィルムF1である。製造した単層フィルムの一方の面にコロナ放電表面処理(以下ではコロナ処理と称する)を施した。
【0074】
(3)積層材
厚さが15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの片面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式で所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着
剤をグラビアロールコート法を用いて厚さが4.0g/m2(乾燥状態)となるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、ラミネート用接着剤層面に、(2)で製造した単層フィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネートして積層して、積層材を製造した。
【0075】
(4)軟包装製品
次いで、(3)で製造した積層材の2枚を用意し、それぞれの(2)のフィルムの側の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部21を形成するとともに上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋を製造した。三方シール型の軟包装用袋内に、その開口部からスナック菓子を充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒートシールしてシール部21を形成して軟包装製品を製造した。
【0076】
[実施例2]
(1)樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC522:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=4.0g/10分)30.0重量部と、バイオマス低密度ポリエチレン(ブラスケム株式会社製SPB681:密度d=0.922g/cm3、メルトフローレート(MFR)=3.8g/10分)70.0重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
【0077】
(2)フィルム
次に、(1)で調製した樹脂組成物を使用し、単層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、厚みが50μmの本実施例に係る単層フィルムを製造した。すなわち、実施例2に係る単層フィルムは、図2に示されるようなバイオ低密度ポリエチレンを含むフィルムF1である。製造した単層フィルムの一方の面にコロナ処理を施した。
【0078】
(3)積層材
厚さが12μmの二軸延伸PETフィルムの片面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式で所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤をグラビアロールコート法を用いて厚さが4.0g/m2(乾燥状態)となるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、ラミネート用接着剤層面に、(2)で製造した単層フィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネートして積層して、積層材を製造した。
【0079】
(4)軟包装製品
次いで、(3)で製造した積層材の2枚を用意し、それぞれの(2)のフィルムの側の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部21を形成するとともに上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋を製造した。三方シール型の軟包装用袋内に、その開口部からスナック菓子を充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒートシールしてシール部21を形成して軟包装製品を製造した。
【0080】
[実施例3]
(1)樹脂組成物
まず、下記の(イ)、(ロ)、及び(ハ)の樹脂組成物を調製した。
(イ)第一層を構成する樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC522:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=4.0g/10分)100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ)第二層を構成する樹脂組成物
バイオマス低密度ポリエチレン(ブラスケム株式会社製SPB681:密度d=0.922g/cm3、メルトフローレート(MFR)=3.8g/10分)100.0重量部を調製した。
(ハ)第三層を構成する樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC522:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=4.0g/10分)100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
【0081】
(2)フィルム
次に、(1)で調製した各樹脂組成物を使用し、これらを、3種3層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を10μm、(ロ)の樹脂組成物による層を30μm、(ハ)の樹脂組成物による層を10μmにそれぞれ共押し出しして製膜化して、3層の総厚が50μmの共押出インフレーションフィルムからなる本実施例に係る多層積層フィルムを製造した。すなわち、実施例3に係る多層積層フィルムは、図3に示されるような中層が、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10とされた多層構造からなるフィルムF2である。製造した多層積層フィルムの第一層(イ)の面にコロナ処理を施した。
【0082】
(3)積層材
厚さが12μmの二軸延伸PETフィルムの片面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式で所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤をグラビアロールコート法を用いて厚さが4.0g/m2(乾燥状態)となるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、ラミネート用接着剤層面に、(2)で製造した多層積層樹脂フィルムの第一層(イ)の樹脂組成物による層のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネートして積層して、積層材を製造した。
【0083】
(4)軟包装製品
次いで、(3)で製造した積層材の2枚を用意し、それぞれの第三層(ハ)の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部21を形成するとともに上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋を製造した。三方シール型の軟包装用袋内に、その開口部からスナック菓子を充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒートシールしてシール部21を形成して軟包装製品を製造した。
【0084】
[実施例4]
(1)樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC520:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=3.6g/10分)30.0重量部と、バイオマス低密度ポリエチレン(ブラスケム株式会社製SEB853:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=2.7g/10分)70.0重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
【0085】
(2)フィルム
次に、(1)で調製した樹脂組成物を使用し、単層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、厚みが50μmの本実施例に係る単層フィルムを製造した。すなわち、実施例4に係る単層フィルムは、図2に示されるようなバイオ低密度ポリエチレンを含むフィルムF1である。製造した単層フィルムの一方の面にコロナ処理を施した。
【0086】
(3)積層材
厚さが12μmの二軸延伸PETフィルムの片面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤を厚さが3.0g/m2(乾燥状態)となるように塗布して接着剤層を形成し、その後、接着剤層の面に、両面にコロナ処理を施した厚さが12μmの二軸延伸PETフィルムを重ね合わせ、更に、上記と同様に、上記で積層した両面コロナ処理した二軸延伸PETフィルムの面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤を厚さが3.0g/m2(乾燥状態)となるように塗布して接着剤層を形成し、基材フィルム14を得た。基材フィルム14の接着剤層の面と、(2)で製造した単層フィルムのコロナ処理面とを対向させて重ね合わせ、本実施例の基材フィルム14を積層した多層積層フィルムを得た。
【0087】
(4)軟包装製品
次いで、(3)で製造した積層材の2枚を用意し、それぞれの(2)のフィルムの側の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部21を形成するとともに上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋を製造した。三方シール型の軟包装用袋内に、その開口部からスナック菓子を充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒートシールしてシール部21を形成して軟包装製品を製造した。
【0088】
[実施例5]
(1)樹脂組成物
まず、下記の(イ)、(ロ)、及び(ハ)の樹脂組成物を調製した。
(イ)第一層を構成する樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC522:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=4.0g/10分)100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ロ)第二層を構成する樹脂組成物
バイオマス低密度ポリエチレン(ブラスケム株式会社製SPB681:密度d=0.922g/cm3、メルトフローレート(MFR)=3.8g/10分)100.0重量部を調製した。
(ハ)第三層を構成する樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC522:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=4.0g/10分)100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
【0089】
(2)フィルム
次に、(1)で調製した各樹脂組成物を使用し、これらを、3種3層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による層を10μm、(ロ)の樹脂組成物による層を30μm、(ハ)の樹脂組成物による層を10μmにそれぞれ共押し出しして製膜化して、3層の総厚が50μmの共押出インフレーションフィルムからなる本実施例に係る多層積層フィルムを製造した。すなわち、実施例5に係る多層積層フィルムは、図3に示されるような中層が、バイオ低密度ポリエチレン樹脂10とされた多層構造からなるフィルムF2である。製造した多層積層フィルムの第一層(イ)の面にコロナ処理を施した。
【0090】
(3)積層材
厚さが12μmの二軸延伸PETフィルムの片面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤を厚さが3.0g/m2(乾燥状
態)となるように塗布して接着剤層を形成し、その後、接着剤層の面に、両面にコロナ処理を施した厚さが15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを重ね合わせ、更に、上記と同様に、上記で積層した両面コロナ処理した二軸延伸ナイロン6フィルムの面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤を厚さが3.0g/m2(乾燥状態)となるように塗布して接着剤層を形成し、基材フィルム14を得た。基材フィルム14の接着剤層の面と(2)の共押出多層積層フィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、本実施例の基材フィルム14を積層した多層積層フィルムを得た。
【0091】
(4)軟包装製品
次いで、(3)で製造した積層材の2枚を用意し、それぞれの第三層(ハ)の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部21を形成するとともに上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋を製造した。三方シール型の軟包装用袋内に、その開口部から急速冷凍した炒め炒飯を充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒートシールしてシール部21を形成して軟包装製品を製造した。
【0092】
[実施例6]
(1)樹脂組成物
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC525:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=3.5g/10分)20.0重量部と、バイオマス低密度ポリエチレン(ブラスケム株式会社製SEB853:密度d=0.923g/cm3、メルトフローレート(MFR)=2.7g/10分)80.0重量部とを充分に混練して樹脂組成物を調製した。
【0093】
(2)フィルム
次に、(1)で調製した各樹脂組成物を使用し、単層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、厚みが30μmの本実施例に係る単層フィルムを製造した。すなわち、実施例6に係る単層フィルムは、図2に示されるようなバイオ低密度ポリエチレンを含むフィルムF1である。製造した単層フィルムの一方の面にコロナ処理を施した。
【0094】
(3)積層材
厚さが12μmの二軸延伸バイオマスPETフィルム(バイオPETフィルムF3)の片面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式で所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤をグラビアロールコート法を用いて厚さが4.0g/m2(乾燥状態)となるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、ラミネート用接着剤層面に、(2)で製造した単層フィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネートして積層して、積層材を製造した。
【0095】
(4)軟包装製品
次いで、(3)で製造した積層材の2枚を用意し、それぞれの(2)のフィルムの側の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部21を形成するとともに上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋を製造した。三方シール型の軟包装用袋内に、その開口部から急速冷凍した炒め炒飯を充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒートシールしてシール部21を形成して軟包装製品を製造した。
【0096】
以上に詳述したように、本開示の低密度ポリエチレン樹脂からなるフィルムF1、及びF2は、高圧重合法にて得られたバイオ低密度ポリエチレン樹脂10を含む樹脂組成物からなるものである。そして、これらフィルムF1、及びF2がシーラントフィルム13と
され、基材フィルム14と積層された包装材用積層フィルム12とされるとともに、包装袋は、この包装材用積層フィルム12からなるものである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、ポリエチレン系樹脂からなるフィルム、及びこのフィルムで構成された包装袋や容器等、ポリエチレン系樹脂を用いたあらゆる製品に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 バイオ低密度ポリエチレン樹脂
11 石油由来の低密度ポリエチレン樹脂
12 包装材用積層フィルム
13 シーラントフィルム
14 基材フィルム
19 バイオPET樹脂
20 四方シール袋(包装袋)
F1、F2 フィルム(シーラントフィルム)
F3 バイオPETフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7