(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】液体消費装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241112BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241112BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B41J2/175 307
B41J29/38 204
B41J29/42 F
B41J2/175 115
B41J2/175 119
B41J2/175 121
B41J2/175 175
(21)【出願番号】P 2023111100
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2022092806の分割
【原出願日】2018-03-30
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】松原 優
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-001149(JP,A)
【文献】特開2008-155649(JP,A)
【文献】特開2016-129975(JP,A)
【文献】特開2010-125739(JP,A)
【文献】特開2005-169939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
B41J 29/38
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留し
たカートリッジが装着される装着ケースと、
前記装着ケースに装着された前記カートリッ
ジと接続され
たタンクと、
前記タン
クと接続されたヘッドと、
ディスプレイと、
コントローラと、を備えており、
前記コントローラは、
前記装着ケースに装着された前記カートリッジに貯留された液体の量である第1残
量に応じて
表示態様が変化する第1オブジェクト
を前記ディスプレイに表示させる第1表示処理と、
所定のユーザ操作が行われたことに応じて、前記
第1残量に応じて表示態様が変化する第2オブジェクトと前記タンク内の液体の量である第2残量に応じて表示態様が変化する第3オブジェクトとを含む第4オブジェクトを前記ディスプレイに表示させる
残量表示処理と、を実行
し、
前記第4オブジェクトは、前記第1オブジェクトより大きい液体消費装置。
【請求項2】
前記第1オブジェクトの表示態様は、3つ以上に変化する請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項3】
前記第1オブジェクト及び前記第2オブジェクトは、前記第1残量に応じた長さのバーである請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項4】
前記バーは、前記第1残量が満量である場合には最大長さで表示される請求項3に記載の液体消費装置。
【請求項5】
前記第3オブジェクトは、前記第2残量に応じた長さのバーである請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項6】
前記バーは、前記第2残量が満量である場合には最大長さで表示される請求項5に記載の液体消費装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1オブジェクトが選択されたことに応じて、前記残量表示処理を実行する請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記第1残量が第1所定量以上であることに応じて、前記第1表示処理を実行し、
前記第1残量が前記第1所定量未満であることに応じて、前記第2残量に応じて表示態様が変化する第5オブジェクトを前記ディスプレイに表示させる第2表示処理を実行する請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項9】
前記第4オブジェクトは、前記第5オブジェクトより大きい請求項8に記載の液体消費装置。
【請求項10】
前記第1所定量は、前記カートリッジ内の液体が使い切られた場合に応じた量である請求項8に記載の液体消費装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第5オブジェクトが選択されたことに応じて、前記残量表示処理を実行する請求項8に記載の液体消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジが装着される装着ケース及びタンクを有する液体消費装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を貯留するカートリッジが装着される装着ケースと、タンクとを備えた液体消費装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。カートリッジが装着ケースに装着されると、カートリッジ内に貯留された液体がタンク内に流入される。
【0003】
カートリッジ内の液体の残量をディスプレイに表示する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。ユーザは、ディスプレイに表示された残量により、液体の残量を把握できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-213162号公報
【文献】特開2013-92816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2では、カートリッジ内の液体の残量とタンク内の液体の残量とをディスプレイに表示させることについては、記載がない。
【0006】
本発明の目的は、カートリッジ内の液体の残量とタンク内の液体の残量とをユーザに適切に認識させ得る手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、様々な開示を行う。開示例の1つである液体消費装置は、液体を貯留した第1室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、前記装着ケースに装着された前記カートリッジの前記第1室と接続される第1流路と、前記第1流路と接続された第2室を有するタンクと、前記タンクの前記第2室と接続された第2流路と、前記第2流路と接続されたヘッドと、ディスプレイと、コントローラと、を備える。前記コントローラは、前記装着ケースに装着された前記カートリッジに貯留された液体の量である第1残量が第1所定量以上であることに応じて、当該第1残量を示す第1オブジェクトを含む第1画面を前記ディスプレイに表示させる第1表示処理と、前記第1残量が前記第1所定量未満であることに応じて、前記タンク内の液体の量である第2残量を示す第2オブジェクトを含む前記第1画面を前記ディスプレイに表示させる第2表示処理と、を実行する。
【0008】
タンクからヘッドへ液体が流出し、ヘッドで液体が消費されると、装着ケースに装着されたカートリッジからタンクへ液体が流出する。したがって、装着ケースに装着されたカートリッジ内の液体が使い切られるまでは、ユーザは、カートリッジ内の液体の残量が判れば十分である。一方、カートリッジ内の液体が使い切られた後は、ユーザは、タンク内の液体の残量が判れば十分である。第1所定量は、例えば、装着ケースに装着されたカートリッジ内の液体が使い切られた場合に応じた量である。カートリッジ内の液体が使い切られるまでは、カートリッジ内の液体の量に応じた第1残量を示す第1オブジェクトを含む第1画面がディスプレイに表示される。一方、カートリッジ内の液体が使い切られると、タンク内の液体の第2残量を示す第2オブジェクトを含む第1画面がディスプレイに表示される。したがって、カートリッジ内の液体の残量とタンク内の液体の残量とをユーザに適切に認識させることができる。
【0009】
開示例の他の1つであるプログラムは、液体を貯留した第1室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、前記装着ケースに装着された前記カートリッジの前記第1室と接続される第1流路と、前記第1流路と接続された第2室を有するタンクと、前記タンクの前記第2室と接続された第2流路と、前記第2流路と接続されたヘッドと、ディスプレイと、コントローラと、を備える液体消費装置によって実行される。該プログラムは、前記装着ケースに装着された前記カートリッジに貯留された液体の量である第1残量が第1所定量以上であることに応じて、当該第1残量を示す第1オブジェクトを含む第1画面を前記ディスプレイに表示させる第1表示処理と、前記第1残量が前記第1所定量未満であることに応じて、前記タンク内の液体の量である第2残量を示す第2オブジェクトを含む前記第1画面を前記ディスプレイに表示させる第2表示処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カートリッジ内の液体の残量とタンク内の液体の残量とをユーザに適切に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、プリンタ10の外観斜視図であって、(A)はカバー87が被覆位置である状態、(B)はカバー87が開放位置である状態を示す。
【
図2】
図2は、プリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、装着ケース150の縦断面図である。
【
図4】
図4は、カートリッジ200の構造を示す図であって、(A)は前方斜視図を、(B)は縦断面図を示す。
【
図5】
図5は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態の縦断面図である。
【
図6】
図6は、プリンタ10の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、画像形成処理のフローチャートである。
【
図8】
図8(A)は、第1更新処理のフローチャートであり、
図8(B)は、第2更新処理のフローチャートであり、
図8(C)は、第3更新処理のフローチャートであり、
図8(D)は、第4更新処理のフローチャートである。
【
図9】
図9は、表示処理のフローチャートの一部である。
【
図11】
図11は、トグル間隔決定処理のフローチャートである。
【
図12】
図12(A)は、カートリッジエンプティになっていない場合の待機画面を示す図であり、
図12(B)は、タンク160にインクがない場合の待機画面を示す図である。
【
図13】
図13(A)は、トグル表示でカートリッジ残量が表示されているときの待機画面を示す図であり、
図13(B)は、トグル表示でタンク残量が表示されているときの待機画面を示す図である。
【
図14】
図14(A)は、第1カートリッジ交換画面を示す図であり、
図14(B)は、第2カートリッジ交換画面を示す図である。
【
図15】
図15(A)は、インク残量画面を示す図であり、
図15(B)は、変形例1に係る待機画面を示す図である。
【
図16】
図16は、変形例2に係る待機画面を示す図であり、(A)は、トグル表示でカートリッジ残量が表示されているときの第3待機画面を示す図であり、(B)は、トグル表示でタンク残量が表示されているときの第4待機画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、後述する各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0013】
本実施形態では、
図1に示されるプリンタ10を説明する。プリンタ10は、液体消費装置の一例である。
【0014】
[プリンタ10の概要]
プリンタ10は、インク滴を吐出してシートに画像を印刷するインクジェットプリンタである。プリンタ10は、ファクシミリ機能、スキャン機能、及びコピー機能などの機能を有する複合機であってもよい。
【0015】
以下では、プリンタ10が使用可能に水平面に設置された使用姿勢を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の開口13が形成された面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から見て左右方向9が定義される。すなわち、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
【0016】
プリンタ10は、概ね直方体形状の筐体14を有している。筐体14の内部には、
図2及び
図3に示されるように、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ25と、複数のノズル29を有するヘッド21と、プラテン26と、排出ローラ27と、排出トレイ16と、装着ケース150と、タンク160とが位置している。
【0017】
プリンタ10は、給送ローラ23及び搬送ローラ25を駆動させて、給送トレイ15に支持されたシートをプラテン26の位置まで搬送する。次に、プリンタ10は、タンク160からチューブ19を通じて供給されるインクを、ヘッド21にノズル29を通じて吐出させる。これにより、プラテン26に支持されたシートにインクが着弾して、シート上に画像が印刷される。そして、プリンタ10は、排出ローラ27を駆動させて、画像が印刷されたシートを排出トレイ16に排出する。
【0018】
より詳細には、ヘッド21は、搬送ローラ25によるシートの搬送向きと交差する主走査方向(左右方向9と平行)に沿って往復移動するキャリッジ20に搭載されている。キャリッジ20は、不図示のモータの駆動力が伝達されて、主走査方向(
図2の紙面と垂直な方向)に沿って移動する。プリンタ10は、搬送ローラ25によるシートの搬送が停止されている間に、主走査方向に沿ってキャリッジ20を移動させつつ、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させる。これにより、ヘッド21に対面するシートの一部の領域(以下、「1パス」と記載)に画像が印刷される。次に、プリンタ10は、次に画像が印刷されるべき領域がヘッド21に対面するように、搬送ローラ25にシートを搬送させる。そして、これらの処理を交互に繰り返し実行させることによって、1枚のシートに画像が印刷される。
【0019】
[ディスプレイ28]
筐体14は、ディスプレイ28を有する。ディスプレイ28は、筐体14の前面に位置している。ディスプレイ28は、表示パネルの上にタッチセンサが配置された、所謂タッチパネルである。ただし、ディスプレイ28に代えて、或いはディスプレイ28とともに、表示パネル及び押しボタンが筐体14の前面に位置していてもよい。ディスプレイ28は、ユーザからの入力を受け付ける。ディスプレイ28のタッチセンサ及び押しボタンは、入力部の一例である。
【0020】
[カバー87]
図1に示されるように、筐体14の前面14Aで且つ左右方向9の右端部には、開口85が形成されている。筐体14は、さらにカバー87を備える。カバー87は、開口85を被覆する被覆位置(
図1(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(
図1(B)に示される位置)との間を回動可能である。カバー87は、例えば、上下方向7における筐体14の下端近傍において、左右方向9に沿う回動軸線周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。そして、開口85の奥に広がる筐体14内部の収容空間86には、カートリッジ200が装着される装着ケース150が位置している。
【0021】
[装着ケース150]
装着ケース150は、
図3に示されるように、接点152と、ロッド153と、装着センサ32と、液面センサ33と、ロックピン156とを備えている。装着ケース150には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つのカートリッジ200が収容可能である。すなわち、装着ケース150は、接点152、ロッド153、装着センサ32、液面センサ33は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つずつ備えている。なお、装着ケース150に収容可能なカートリッジ200の数は、4つに限定されず、1つでも良いし、5つ以上でも良い。
【0022】
装着ケース150は、装着されたカートリッジ200を収容する内部空間を有する箱形状である。装着ケース150の内部空間は、上端を画定する天壁と、下端を画定する底壁と、前後方向8の後端を画定する奥壁と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁とで画定される。一方、装着ケース150の奥壁と対面する位置は、開口85となっている。すなわち、開口85は、カバー87が開放位置に位置したときに、装着ケース150の内部空間を、プリンタ10の外部に開放させる。
【0023】
そして、カートリッジ200は、筐体14の開口85を通じて、装着ケース150に装着され、装着ケース150から抜かれる。より詳細には、カートリッジ200は、開口85を前後方向8の後ろ向きに通過して、装着ケース150に装着される。装着ケース150から抜かれるカートリッジ200は、開口85を前後方向8の前向きに通過する。
【0024】
[接点152]
接点152は、装着ケース150の天壁に位置している。接点152は、天壁から装着ケース150の内部空間へ向けて下方に突出している。接点152は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する電極248に接する位置に位置している。接点152は、導電性を有しており、さらに上下方向7に沿って弾性的に変形可能である。接点152は、コントローラ130に電気的に接続されている。接点152は、接続インタフェースの一例である。
【0025】
[ロッド153]
ロッド153は、装着ケース150の奥壁から前方へ突出している。ロッド153は、装着ケース150の奥壁において、後述するジョイント180より上方に位置している。ロッド153は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、カートリッジ200の後述する大気連通口221を通じて大気バルブ室214に進入する。ロッド153が大気バルブ室214に進入すると、後述する大気バルブ室214が大気に連通される。
【0026】
[装着センサ32]
装着センサ32は、装着ケース150の天壁に位置している。装着センサ32は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されているか否かを検出するためのセンサである。装着センサ32は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する遮光リブ245は、装着センサ32の発光部及び受光部の間に位置する。換言すれば、装着センサ32の発光部及び受光部は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の遮光リブ245を挟んで、互いに対向した状態で位置している。
【0027】
装着センサ32は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる信号(以下、「装着信号」と記載)を出力する。装着センサ32は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、装着センサ32は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
【0028】
[液面センサ33]
液面センサ33は、後述するアクチュエータ190の被検出部194が検出位置に位置しているか否かを検出するためのセンサである。液面センサ33は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。換言すれば、被検出部194が検出位置に位置するとき、液面センサ33の発光部及び受光部の間に、被検出部194が位置している。一方で、被検出部194が検出位置に位置していないとき、液面センサ33の発光部及び受光部の間に、被検出部194が位置していない。液面センサ33は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる信号を出力する。液面センサ33は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液面センサ33は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。液面センサ33は、センサの一例である。液面センサ33が出力するローレベル信号は、第1信号の一例である。液面センサ33が出力するハイレベル信号は、第2信号の一例である。
【0029】
[タンク160]
プリンタ10は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つのタンク160を備える。詳細には、マゼンタのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、マゼンタのインクが貯留されるタンク160と、シアンのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、シアンのインクが貯留されるタンク160と、イエローのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、イエローのインクが貯留されるタンク160と、ブラックのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、ブラックのインクが貯留されるタンク160と、を備える。4つのタンク160の構成は、概ね共通するため、以下では、1つのタンク160を説明する。
【0030】
タンク160は、装着ケース150の奥壁よりさらに後方に位置している。タンク160は、
図3に示されるように、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、不図示の一対の側壁とで構成されている。なお、前壁162は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成される。タンク160の内部は、液室171が形成されている。液室171は、第2室の一例である。
【0031】
タンク160を構成する壁のうち、少なくとも液面センサ33に対面する壁は、透光性を有している。これにより、液面センサ33が出力した光は、液面センサ33に対面する壁を透過することができる。後壁164の少なくとも一部は、上壁161、下壁163、及び側壁の端面に溶着されるフィルムでもよい。また、タンク160の側壁は、装着ケース150と共通でもよいし、装着ケース150とは独立していてもよい。さらに、左右方向9に隣接するタンク160の間は、不図示の隔壁によって仕切られている。
【0032】
液室171は、流出口174を通じて不図示のインク流路に連通されている。流出口174の下端は、液室171の下端を画定する下壁163によって画定されている。流出口174は、ジョイント180(より詳細には、貫通孔184の下端)より下方に位置している。流出口174に連通された不図示のインク流路は、チューブ19に連通されている。これにより、液室171は、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21と連通する。つまり、液室171に貯留されたインクは、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21へ供給される。流出口174に連通されたインク流路及びチューブ19は、一端(
図3の流出口174)が液室171に連通され、且つ他端89(
図2)がヘッド21に連通されている。チューブ19は、第2流路の一例である。
【0033】
液室171は、大気連通室175を通じて大気に連通されている。より詳細には、大気連通室175は、前壁162を貫通する貫通孔176を通じて液室171に連通されている。また、大気連通室175は、大気連通ポート177及び大気連通ポート177に接続された不図示のチューブを通じて、プリンタ10の外部に連通されている。すなわち、大気連通室175は、一端(貫通孔176)が液室171に連通され、且つ他端(大気連通ポート177)がプリンタ10の外部に連通されている。なお、大気連通室175は、大気連通ポート177及び不図示のチューブを通じて、大気に連通している。
【0034】
タンク160及び装着ケース150は、容器セットの一例である。すなわち、本実施形態のプリンタ10は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの4つの容器セットを備える。ただし、容器セットの数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0035】
[ジョイント180]
ジョイント180は、
図3に示されるように、ニードル181と、ガイド182とを備えている。ニードル181は、内部に流路が形成された管である。ニードル181は、液室171を画定する前壁162から前方へ突出している。ニードル181の前端には、開口183が形成されている。また、ニードル181の内部空間は、前壁162を貫通する貫通孔184を通じて液室171に連通されている。ニードル181は、一端(開口183)がタンク160の外部に連通され、且つ他端(貫通孔184)が液室171に連通されている。ガイド182は、ニードル181の周囲に配置された円筒形状の部材である。ガイド182は、前壁162から前方に突出して、前端が開口している。
【0036】
ニードル181の内部空間には、バルブ185と、コイルバネ186とが位置している。バルブ185は、ニードル181の内部空間において、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ185は、閉塞位置に位置すると開口183を閉塞する。またバルブ185は、開放位置に位置すると開口183を開放する。コイルバネ186は、バルブ185を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う前向きに付勢している。ニードル181の内部空間は、第1流路の一例である。
【0037】
[アクチュエータ190]
図3に示されるように、液室171には、アクチュエータ190が位置している。アクチュエータ190は、液室171内に配置された不図示の支持部材によって、矢印198、199の向きに沿って回動可能に支持されている。アクチュエータ190は、
図3の実線で示される第1状態と破線で示される第2状態との間を回動することができる。さらに、アクチュエータ190は、不図示のストッパ(例えば、液室171の内壁)によって、実線の位置より矢印198の向きへの回動が規制される。アクチュエータ190は、フロート191と、軸192と、アーム193と、被検出部194とを備える。
【0038】
フロート191は、液室171に貯留されるインクより比重が小さい材料で形成されている。軸192は、フロート191の右面及び左面から左右方向9に沿って突出している。軸192は、支持部材に形成された不図示の孔に挿入されている。これにより、アクチュエータ190は、軸192を中心として回動可能に支持部材によって支持される。アーム193は、フロート191から略上方へ延びている。被検出部194は、アーム193の先端部に位置している。すなわち、アーム193は、被検出部194と軸192との間に位置する。被検出部194は、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿って延びる板状の部材である。被検出部194は、液面センサ33の発光部から出力された光を遮光する材料又は色で形成されている。
【0039】
液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上のとき、浮力によって矢印198の向きに回動されたアクチュエータ190は、ストッパによって
図3の実線で示される検出位置に保持される。一方、インクの液面が基準位置P未満のとき、アクチュエータ190は、液面の降下に追従して矢印199の向きに回動する。これにより、アクチュエータ190の被検出部194は、検出位置とは異なる位置に移動する。被検出部194は、アクチュエータ190の一部であるため、当該被検出部194は、液室171に貯留されたインクの量に対応する位置に移動する。
【0040】
基準位置Pは、上下方向7において、ニードル181の軸中心と同じ高さであり、且つ後述するインク供給口234の中心と同じ高さである。しかしながら、基準位置Pは、上下方向7における流出口174より上方の位置であれば、前述の位置に限定されない。他の例として、基準位置Pは、ニードル181の内部空間の上端や下端の高さでもよいし、インク供給口234の上端や下端の高さでもよい。
【0041】
液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上のとき、液面センサ33の発光部から出力された光が、検出位置に位置する被検出部194で遮られる。これにより、液面センサ33は、発光部からの光が受光部に到達しないので、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P未満のとき、液面センサ33は、発光部から出力された光が受光部に到達するので、ハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。すなわち、コントローラ130は、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上か否かを、液面センサ33から出力される信号によって検出することができる。基準位置Pは、検出位置の一例である。
【0042】
[カートリッジ200]
カートリッジ200は、液体であるインクを内部に貯留する液室210(
図2)を有する容器である。液室210は、第1室の一例である。
【0043】
液室210は、例えば、樹脂製の壁によって画定されている。カートリッジ200は、
図4(A)に示されるように、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。なお、異なる色のインクが貯留されるカートリッジ200の外形形状は、同一でもよいし、異なっていてもよい。カートリッジ200を構成する壁のうちの少なくとも一部は、透光性を有している。これにより、ユーザは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの液面をカートリッジ200の外部から視認することができる。
【0044】
カートリッジ200は、筐体201と、供給管230とを備える。筐体201は、後壁202と、前壁203と、上壁204と、下壁205と、一対の側壁206、207とで構成されている。なお、後壁202は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成されている。また、上壁204は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。さらに、下壁205は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。
【0045】
カートリッジ200の内部空間には、
図4(B)に示されるように、液室210、インクバルブ室213、及び大気バルブ室214が形成されている。液室210は、上部液室211と、下部液室212とを有する。上部液室211、下部液室212、及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間である。一方、インクバルブ室213は、供給管230の内部空間である。液室210は、インクを貯留する。大気バルブ室214は、液室210とカートリッジ200の外部とを連通させる。
【0046】
液室210の上部液室211及び下部液室212は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁215によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び下部液室212は、隔壁215に形成された貫通孔216によって連通されている。また、上部液室211及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁217によって隔てられている。そして、上部液室211及び大気バルブ室214は、隔壁217に形成された貫通孔218によって連通されている。さらに、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて下部液室212の下端に連通されている。
【0047】
大気バルブ室214は、カートリッジ200の上部において、後壁202に形成された大気連通口221を通じてカートリッジ200の外部に連通されている。すなわち、大気バルブ室214は、一端(貫通孔218)が液室210(より詳細には、上部液室211)に連通され、且つ他端(大気連通口221)がカートリッジ200の外部に連通されている。なお、大気バルブ室214は、大気連通口221を通じて、大気に連通している。また、大気バルブ室214には、バルブ222と、コイルバネ223とが位置している。バルブ222は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ222は、閉塞位置に位置すると、大気連通口221を閉塞する。また、バルブ222は、開放位置に位置すると大気連通口221を開放する。コイルバネ223は、バルブ222を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。
【0048】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロッド153が大気連通口221を通じて大気バルブ室214内に進入する。大気バルブ室214内に進入したロッド153は、閉塞位置のバルブ222をコイルバネ223の付勢力に抗して前後方向8に沿う前向きに移動させる。そして、バルブ222が開放位置に移動することによって、上部液室211が大気に連通される。なお、大気連通口221を開放するための構成は、前述の例に限定されない。他の例として、大気連通口221を封止するフィルムをロッド153が突き破る構成でもよい。
【0049】
供給管230は、筐体201の下部において、後壁202から前後方向8に沿う後ろ向きに突出している。供給管230は、その後端が開口されている。すなわち、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて連通された液室210と、カートリッジ200の外部とを連通させる。インクバルブ室213は、一端(貫通孔219)が液室210(より詳細には下部液室212)と連通され、且つ他端(後述するインク供給口234)がカートリッジ200の外部と連通されている。また、インクバルブ室213には、パッキン231と、バルブ232と、コイルバネ233とが位置している。
【0050】
パッキン231の中央には、前後方向8に貫通したインク供給口234が形成されている。インク供給口234の内径は、ニードル181の外径より僅かに小さい。バルブ232は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ232は、閉塞位置に位置すると、パッキン231と当接してインク供給口234を閉塞する。また、バルブ232は、開放位置に位置すると、パッキン231から離間してインク供給口234を開放する。コイルバネ233は、バルブ232を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。また、コイルバネ233の付勢力は、コイルバネ186より大きい。
【0051】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、供給管230がガイド182内に進入し、やがてニードル181がインク供給口234を通じてインクバルブ室213に進入する。このとき、ニードル181は、パッキン231を弾性変形させつつ、インク供給口234を画定する内周面に液密に接触する。カートリッジ200が装着ケース150へさらに挿入されると、ニードル181は、バルブ232をコイルバネ233の付勢力に抗して前向きに移動させる。また、バルブ232は、ニードル181の開口183から突出するバルブ185を、コイルバネ186の付勢力に抗して後ろ向きに移動させる。
【0052】
これにより、
図5に示されるように、インク供給口234及び開口183が開放されて、供給管230のインクバルブ室213と、ニードル181の内部空間とが連通される。
【0053】
また、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、液室210の一部と、液室171の一部とは、水平方向から見て互いに重なる。さらに、液室210の底部よりも液室171の底部の方が、下方に位置している。その結果、液室210に貯留されたインクは、接続された供給管230及びジョイント180を通じて、液室210の水頭と液室171の水頭との差によってタンク160の液室171に流出する。
【0054】
図4に示されるように、上壁204の外面で且つ突起241より後方には、遮光リブ245が形成されている。遮光リブ245は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。遮光リブ245は、装着センサ32の発光部から出力される光を遮光する材料又は色で形成されている。遮光リブ245は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、装着センサ32の発光部から受光部に至る光路上に位置する。すなわち、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130(
図6)に出力する。一方、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていないことに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130に出力する。すなわち、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを、装着センサ32から出力される信号によって検出することができる。
【0055】
図4に示されるように、上壁204の外面で且つ前後方向8における遮光リブ245及び突起241の間には、ICチップ34が位置している。ICチップ34には、電極248が形成されている。また、ICチップ34は、不図示のメモリを備える。電極248は、ICチップ34のメモリと電気的に接続されている。電極248は、ICチップ34の上面において、接点152と導通可能に露出されている。すなわち、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態において、電極248は、接点152と導通する。コントローラ130は、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリから情報を読み出し、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリに情報を書き込むことができる。
【0056】
ICチップ34のメモリは、カートリッジ200の種別情報、シリアルナンバー、及びカートリッジ残量値を記憶する。種別情報とは、カートリッジ200が小容量カートリッジであるか、又は、大容量カートリッジであるか、貯留するインクの色などを示す情報である。シリアルナンバーは、カートリッジ200を個々に識別する情報である。カートリッジ残量値は、カートリッジ200が貯留するインクの量を示す値である。なお、未使用のカートリッジ200では、カートリッジ残量値は、初期インク残量を示す初期残量値がメモリに記憶されている。ICチップ34のメモリは、第2メモリの一例である。
【0057】
[コントローラ130]
プリンタ10は、コントローラ130を備える。コントローラ130は、
図6に示されるように、CPU35、記憶部36、及び通信バス39を備えている。記憶部36は、ROM37、EEPROM61、及びRAM62を有する。記憶部36は、第1メモリの一例である。
【0058】
ROM37は、OS(Operating Systemの略)37Aや、制御プログラム37Bなどを記憶する。制御プログラム37Bは、後述の画像処理や表示処理などを行うプログラムである。OS37A及び制御プログラム37Bは、CPU35によって、アドレスに記述された命令が処理されることによって実行される。以下では、OS37A及び制御プログラム37Bが実行されることによって処理される動作を、コントローラ130の動作として記載することがある。なお、コントローラ130は、OS37A及び制御プログラム37Bが実行する動作の一部または全部を実現するICを用いたハード回路を有していてもよい。
【0059】
EEPROM61は、プリンタ10の装置情報を記憶する。装置情報は、プリンタ10の識別情報を含む。プリンタ10の識別情報は、プリンタ10のMACアドレスやシリアルナンバーなどである。
【0060】
また、EEPROM61は、第1排出値、第2排出値、初期カートリッジ残量値、初期タンク残量値、S_Emptyフラグ、及びC_Emptyフラグを記憶する。詳しくは、後述する。
【0061】
通信バス39には、ヘッド21や、装着センサ32や、液面センサ33や、接点152や、ディスプレイ28や、不図示のモータや、通信インタフェース31などが接続されている。通信インタフェース31については、後述の変形例3で説明する。
【0062】
コントローラ130は、通信バス39を通じて不図示のモータを駆動させることによって、給送ローラ23、搬送ローラ25、及び排出ローラ27を回転させる。また、コントローラ130は、通信バス39を通じてヘッド21の駆動素子に駆動信号を出力することによって、ヘッド21からインク滴を吐出させる。
【0063】
また、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを装着センサ32を通じて検出する。さらに、コントローラ130は、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上か否かを液面センサ33を通じて検出する。
【0064】
また、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値を読み出す。さらに、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値の値を更新する。
【0065】
[プリンタ10のコントローラ130が実行する処理]
図7~
図11に示されるフローチャートを参照して、プリンタ10のコントローラ130が実行する処理を説明する。なお、以下の各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0066】
[画像形成処理]
コントローラ130は、プリンタ10に印刷指示が入力されたことに応じて、
図7に示される画像形成処理を実行する。印刷指示の取得元は特に限定されないが、例えば、印刷指示に対応するユーザ操作を操作パネル22やディスプレイ28を通じて受け付けてもよいし、通信I/F31を通じて外部装置から受信してもよい。印刷指示には、画像を示す画像データが含まれる。当該画像データは、プリンタ10のRAM62に記憶される。なお、画像形成処理は、各色のカートリッジ200及びタンク160に対して、それぞれ実行される。
【0067】
まず、コントローラ130は、EEPROM61が記憶しているS_Emptyフラグの値が「ON」であるか「OFF」であるかを判断する(S11)。コントローラ130は、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が、タンク160からインクが流出する流出口174の上端に達する前にEEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。EEPROM61のS_Emptyフラグの値は、「ON」を記憶するまでは「OFF」を記憶している。なお、流出口174の上端にインクの液面が達すると、ヘッド21のノズルにエア(空気)が進入してしまう虞がある。ヘッド21のノズルに進入したエアがノズル内に滞留すると、ノズル内へのインクの進入が阻害されたり、ノズルからのインク滴の吐出が阻害されたりする虞が生じる。
【0068】
すなわち、S_Emptyフラグは、ヘッド21のノズルにエアが進入することを防止するためのものである。コントローラ130は、後述のステップS14において、EEPROM61のS_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、ステップS65において、EEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。フローチャートには示されていないが、コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「ON」であることに応じて、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止する。また、コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であることに応じて、ヘッド21を通じたインクの排出を許容する。
【0069】
コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「ON」であると判断すると(S11:ON)、装着ケース150に装着されたカートリッジ200が他のカートリッジ200に交換されたか否かを判断する(S12)。具体的には、装着センサ32から装着信号を所定の時間間隔で取得する。コントローラ130は、取得した装着信号がローレベル信号(以下、「L」と記載)からハイレベル信号(以下、「H」と記載)に変化し、さらに、取得した装着信号が「H」から「L」に変化したか否かを判断する(S12)。すなわち、装着信号の変化により、カートリッジ200が装着されたか否かが判断される。
【0070】
コントローラ130は、カートリッジ200が装着されていないと判断すると(S12:No)、装着センサ32から装着信号の定期的な取得を継続する。コントローラ130は、カートリッジ200が装着されたと判断すると(S12:Yes)、第1更新処理(S13)を実行する。なお、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたか否かを判断する具体例として、ステップS12の処理を挙げたが、これに限られない。例えば、ICチップ34のメモリから読み出したシリアルナンバーを用いてカートリッジ200が装着されたか否かが判断されてもよい。コントローラ130は、カートリッジ200のICチップ34のメモリからカートリッジ200のシリアルナンバーを読み出す。そして、コントローラ130は、読み出したシリアルナンバーと、EEPROM61が記憶しているシリアルナンバーとが一致しないことに応じて、カートリッジ200が交換されたと判断する。EEPROM61が記憶しているシリアルナンバーとは、装着ケース150に新しいカートリッジ200が装着される前に装着ケース150に装着されていたカートリッジ200のICチップ34のメモリが記憶しているシリアルナンバーである。
【0071】
[第1更新処理]
図8(A)に示される第1更新処理は、コントローラ130が、EEPROM61に記憶された初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値と、カートリッジ200のICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値とを更新する処理である。
【0072】
まず、コントローラ130は、接点152を通じて、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のICチップ34のメモリから、カートリッジ残量値を読み出す(S31)。コントローラ130は、読み出したカートリッジ残量値を初期カートリッジ残量値としてEEPROM61に記憶させる(S32)。ICチップ34のメモリから、カートリッジ残量値を読み出すステップS31の処理は、第2取得処理の一例である。
【0073】
また、コントローラ130は、タンク残量値をRAM62から読み出す(S33)。なお、電源オフなどによってRAM62にタンク残量値が記憶されていない場合、コントローラ130は、後述の第4更新処理と同様にして、タンク残量値を算出し、当該算出したタンク残量値をRAM62に記憶する。RAM62から読み出されるタンク残量値は、カートリッジ200が装着される直前にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。換言すれば、タンク残量値は、カートリッジ200が抜かれた際にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。コントローラ130は、RAM62から読み出したタンク残量値を初期タンク残量値としてEEPROM61に記憶させる(S33)。
【0074】
コントローラ130は、初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値を加算し、インクの総残量を示す総残量値を算出する(S34)。コントローラ130は、算出した総残量値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する(S35)。カートリッジ残量値は、第1残量の一例である。タンク残量値は、第2残量の一例である。新たなタンク残量値を決定するステップS35の処理は、第1取得処理の一例である。
【0075】
具体的に説明すると、新たなカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、カートリッジ200の液室210から、当該液室210に貯留されていたインクの一部がタンク160の液室171へと流出する。カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へのインクの流出は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなると、停止する。新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなった状態でのインク残量を示す。
【0076】
カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ130が、EEPROM61やROM37が記憶する計算式に基づく算出をすることで決定してもよい。或いは、カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ130が、EEPROM61やROM37が記憶するテーブルに基づいて決定してもよい。具体的に説明すると、カートリッジ200の液室210の形状及びタンク160の液室171の形状は、設計によって予め決められる。したがって、インクの総残量値が判れば、カートリッジ200に貯留されたインクの水頭とタンク160に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなった状態におけるカートリッジ残量値及びタンク残量値も判る。EEPROM61やROM37は、総残量値からカートリッジ残量値及びタンク残量値を計算する計算式を予め記憶している。或いは、EEPROM61やROM37は、総残量値とカートリッジ残量値とタンク残量値との対応が示されたテーブルを予め記憶している。コントローラ130は、インクの総残量値と、当該計算式やテーブルとにより、新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する。
【0077】
コントローラ130は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM62に記憶させるとともに、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S36)。また、コントローラ130は、決定した新たなタンク残量値をRAM62に記憶させる(S37)。
【0078】
コントローラ130は、
図7に示されるように、第1更新処理が終了すると(S13)、EEPROM61のS_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、EEPROM61のC_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、EEPROM61の第1排出値及び第2排出値として0(ゼロ)を記憶させる(S14)。なお、C_Emptyフラグ、第1排出値、及び第2排出値については後述する。コントローラ130は、ステップS14の処理の実行後、ステップS11の処理を再度実行する。
【0079】
コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、液面センサ33からの信号(以下、液面信号と記載)を取得する(S15)。その後、コントローラ130は、RAM62が記憶する画像データに従って、シートに印刷を行う(S16)。画像がシートに印刷されることにより、インクがヘッド21を通じて排出される。インクが排出されたことにより、タンク160におけるインクの液面が下がる。コントローラ130は、印刷の実行後(S16)、液面センサ33から液面信号を取得する(S17)。次に、コントローラ130は、ステップS15で取得した液面信号とステップS17で取得した液面信号との判断をする(S18)。以下、コントローラ130が、液面センサ33から取得するローレベル信号を「L」と記載することがある。また、コントローラ130が、液面センサ33から取得するハイレベル信号を、「H」と記載することがある。
【0080】
コントローラ130は、ステップS15及びS17で取得した液面信号がともに「L」であると判断すると(S18:L→L)、第2更新処理(S19)を実行する。ステップS18で、コントローラ130が、ステップS15及びS17で取得した液面信号がともに「L」であると判断した際は、タンク160の液室171に貯留されたインクは、以下の状態である。すなわち、印刷の実行(S16)前のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P以上(ステップS15で取得した液面信号が「L」)である。及び、印刷の実行(S16)後のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P以上(ステップS17で取得した液面信号が「L」)である。すなわち、印刷の実行(S16)後、コントローラ130がステップS17で取得した液面信号が「L」である際の、カートリッジ200の液室210には、インクが存在している。
【0081】
[第2更新処理]
図8(B)に示される第2更新処理は、コントローラ130が、印刷やメンテナンスにおいてヘッド21を通じて排出されたインクの量を示す第1排出値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する処理である。第1排出値は、例えば、ヘッド21に吐出させるインク1滴の量に、当該インク1滴が吐出される回数を乗じた値である。コントローラ130は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、指示に応じた第1排出値をカウントする。コントローラ130は、カートリッジ200の装着後から現在までにヘッド21が吐出した量に相当する第1排出値をカウントする。すなわち、第1排出値は、カートリッジ200の装着後から現在までにヘッド21が吐出したインクの量の積算値である。この第1排出値は、EEPROM61が記憶している。第1排出値は、カウント値の一例である。第1排出値をEEPROM61に記憶させる処理は、記憶処理の一例である。
【0082】
まず、コントローラ130は、初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とをEEPROM61から読み出す(S41)。次に、コントローラ130は、読み出した初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とを加算して総残量値を算出する(S42)。コントローラ130は、算出した総残量値から第1排出値を減算し、新たな総残量値を算出する(S43)。その後、コントローラ130は、上述と同様に、計算式やテーブルを用いて新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する(S44)。新たなカートリッジ残量値を決定するステップS44の処理は、第2決定処理の一例である。
【0083】
コントローラ130は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM62に記憶させるとともに、ICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S45)。また、コントローラ130は、決定した新たなタンク残量値をRAM62に記憶させ(S46)、第2更新処理を終了する。
【0084】
コントローラ130は、
図7に示されるように、第2更新処理(S19)が終了すると、次ページの画像データがRAM62に記憶されているか否かを判断する(S22)。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていると判断すると(S22:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていないと判断すると(S22:No)、画像形成処理を終了する。
【0085】
なお、上述したカートリッジ残量値及びタンク残量値の決定方法は一例であり、他の方法によってカートリッジ残量値及びタンク残量値が決定されてもよい。
【0086】
コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、再び、ステップS15からS18までの処理を実行する。コントローラ130は、ステップS15で取得した液面信号が「L」であり、且つステップS17で取得した液面信号が「H」であると判断すると(S18:L→H)、第3更新処理(S20)を実行する。ステップS18で、コントローラ130が、ステップS15で取得した液面信号が「L」であり、且つS17で取得した液面信号が「H」であると判断した際は、タンク160の液室171に貯留されたインクは、以下の状態である。すなわち、印刷の実行(S16)前のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P以上(ステップS15で取得した液面信号が「L」)である。及び、印刷の実行(S16)後のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P未満(ステップS17で取得した液面信号が「H」)である。すなわち、印刷の実行(S16)中に、カートリッジ200の液室210内にあったインクが存在しなくなったのである。換言すれば、印刷の実行(S16)中にカートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られたことを意味する。
【0087】
[第3更新処理]
図8(C)に示される第3更新処理は、コントローラ130が、初期カートリッジ残量値を第1所定値に更新し、かつ初期タンク残量値を第2所定値に更新する処理である。具体的に説明すると、印刷などによってヘッド21を通じて排出されたインクの量を示す第1排出値は、誤差を含む。第3更新処理は、第1排出値の誤差をリセットする処理である。
【0088】
具体的に説明すると、コントローラ130は、ICチップ34のメモリに記憶された初期カートリッジ残量値を第1所定値で更新する(S51)。第1所定値は、例えば「0(ゼロ)」である。また、コントローラ130は、初期タンク残量値を第2所定値としてRAM62及びEEPROM61に記憶させる(S52)。第2所定値は、基準位置Pにインクの液面がある場合にタンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す値である。第1所定値及び第2所定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。
【0089】
次に、コントローラ130は、EEPROM61のC_Emptyフラグに「ON」を記憶させ(S53)、第3更新処理を終了する。
【0090】
コントローラ130は、
図7に示されるように、第3更新処理(S20)が終了すると、次ページの画像データがRAM62に記憶されているか否かを判断する(S22)。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていると判断すると(S22:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていないと判断すると(S22:No)、画像形成処理を終了する。
【0091】
コントローラ130は、ステップS11の処理で、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、再び、ステップS15からS18までの処理を実行する。コントローラ130は、ステップS15及びS17で取得した液面信号がともに「H」であると判断すると(S18:H→H)、第4更新処理(S21)を実行する。ステップS18で、コントローラ130が、ステップS15及びS17で取得した液面信号が共に「H」であると判断した際は、タンク160の液室171に貯留されたインクは、以下の状態である。すなわち、印刷の実行(S16)前のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P未満(ステップS15で取得した液面信号が「H」)である。及び、印刷の実行(S16)後のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P未満(ステップS17で取得した液面信号が「H」)である。すなわち、印刷の実行(S16)の前後で、カートリッジ200の液室210には、インクが存在していない。
【0092】
[第4更新処理]
図8(D)に示される第4更新処理は、コントローラ130が、タンク残量値を算出し、さらに、印刷を禁止するか否かを判断する処理である。まず、コントローラ130は、第2所定値に更新された初期タンク残量値をEEPROM61から読み出す(S61)。コントローラ130は、読み出した初期タンク残量値から第2排出値を減算し、新たなタンク残量値を算出する(S62)。第2排出値は、第1排出値と同様に、例えば、ヘッド21に吐出させるインク1滴の量に、当該インク1滴が吐出される回数を乗じた値である。コントローラ130は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、指示に応じた第2排出値をカウントする。コントローラ130は、液面センサ33から取得した液面信号が「L」から「H」に変化した後から、現在までにヘッド21が排出したインクの量を示す第2排出値をカウントする。すなわち、第2排出値は、液面センサ33から取得した液面信号が「L」から「H」に変化した後から現在までにヘッド21が排出したインクの量の積算値である。この第2排出値は、EEPROM61が記憶している。
【0093】
コントローラ130は、算出した新たなタンク残量値を、RAM62に記憶させる(S63)。
【0094】
次に、コントローラ130は、カウントした第2排出値が第1閾値に到達したか否かを判断する(S64)。第1閾値は、ROM37やEEPROM61に予め記憶された値である。コントローラ130は、カウントした第2排出値が第1閾値に到達していないと判断すると(S64:Yes)、第4更新処理を終了する。一方、コントローラ130は、カウントした第2排出値が第1閾値に到達したと判断すると(S64:No)、EEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させ(S65)、第4更新処理を終了する。フローチャートには示されていないが、コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」が記憶されていると判断すると、印刷及びメンテナンスを含めて、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止する。
【0095】
第1閾値は、第2排出値が第1閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174よりも若干上の位置になるような値とされる。詳しく説明すると、液面センサ33が検知する設計上の基準位置Pと、液面センサ33が実際に検知する基準位置Pとの間には、誤差がある場合がある。この誤差は、例えば、アクチュエータ190の動作の不具合等で発生したりする。第1閾値は、当該誤差が設計時に想定し得る最大の誤差であっても、第2排出値が第1閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174に重ならないような値とされる。コントローラ130が、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止することにより、ヘッド21にエアが混入すること(以下、エアインとも記載する)が抑制される。
【0096】
コントローラ130は、
図7に示されるように、第4更新処理(S21)が終了すると、次ページがRAM62に記憶されているか否かを判断する(S22)。コントローラ130は、次ページがRAM62に記憶されていると判断すると(S22:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。コントローラ130は、次ページがRAM62に記憶されていないと判断すると(S22:No)、画像形成処理を終了する。
【0097】
上述のように、コントローラ130は、ステップS16の印刷を実行する度に、印刷に使用したインクの量に応じてカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する。なお、上述では、コントローラ130が、1ページ分の印刷を実行する度にカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する例を説明した。これに代えて、コントローラ130は、カートリッジ残量値及びタンク残量値を、1パスの印刷を実行する度に決定してもよい。また、コントローラ130は、第2更新処理、第3更新処理、及び第4更新処理を、印刷だけでなく、メンテナンスなどのためにヘッド21を通じてインクが排出されるごとに実行する。
【0098】
コントローラ130は、上述の更新処理(S13、S19、S20、S21)で更新したカートリッジ残量値及びタンク残量値や、S_Emptyフラグ及びC_Emptyフラグを用いて、待機画面やインク残量画面などをディスプレイ28に表示させる表示処理を実行する。以下、表示処理について、
図9から
図15を参照して、詳しく説明する。
【0099】
[表示処理]
まず、コントローラ130は、全てのカートリッジ200にインクがあるか否かを判断する(S71)。全てのカートリッジ200とは、マゼンタのインクを貯留するカートリッジ200、シアンのインクを貯留するカートリッジ200、イエローのインクを貯留するカートリッジ200、及びブラックのインクを貯留するカートリッジ200である。具体的には、コントローラ130は、全てのC_Emptyフラグが「ON」であるか「OFF」であるかを判断する。
【0100】
コントローラ130は、全てのC_Emptyフラグが「OFF」であることにより、全てのカートリッジ200にインクがあると判断すると(S71:Yes)、トグル表示なしに決定する(S72)。トグル表示については後述する。
【0101】
次に、コントローラ130は、各色のインクのカートリッジ残量値をRAM62からそれぞれ読み出す(S73)。なお、電源がオフされることなどによって、RAM62に記憶されていたカートリッジ残量値が消えている場合は、コントローラ130は、上述の更新処理と同様にして、カートリッジ残量値を再度、算出する。
【0102】
コントローラ130は、読み出したカートリッジ残量値を用いて、
図12(A)に示される待機画面を生成し、ディスプレイ28に表示させる(S74)。待機画面は、プリンタ10の機能を示す複数の機能オブジェクト100や、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101や、その他のオブジェクトなどを有する。以下では、
図12(A)に示される待機画面を第1待機画面と記載して説明する。第1待機画面は、第1画面の一例である。第1待機画面をディスプレイ28に表示させるステップS74の処理は、第1表示処理の一例である。
【0103】
第1オブジェクト101は、カートリッジ残量値に応じた長さのバーである。第1オブジェクト101は、例えば、カートリッジ200内のインクが満量である場合、最大長さで表示され、その後、カートリッジ残量に応じた長さで表示され、カートリッジ200内のインクが使い切られると、白枠だけで表示される。なお、第1オブジェクト101は、カートリッジ200内のインク残量を示すものであれば、バーに限られず、他の図形や文字や記号などであってもよい。
【0104】
第1オブジェクト101は、マゼンタのインク残量を示す第1オブジェクト101Mと、シアンのインク残量を示す第1オブジェクト101Cと、イエローのインク残量を示す第1オブジェクト101Yと、ブラックのインク残量を示す第1オブジェクト101Bkとを含む。
【0105】
第1オブジェクト101は、待機画面における限定された一部の領域に表示される。図示例では、第1オブジェクト101は、待機画面の右下の領域に表示されている。
【0106】
図9に示されるように、コントローラ130は、インクが使い切られたカートリッジ200が1つでも有ると判断すると(S71:No)、具体的には、全ての色のカートリッジ200に対して、1つでもC_Emptyフラグが「ON」であると判断すると、全タンク160にインクがあるか否かを判断する(S75)。具体的には、全ての色のタンク160に対して、S_Emptyフラグが「OFF」であるか否かを判断する。
【0107】
コントローラ130は、エアインが生じ得る程度までインクが減ったタンク160が1つでも有ると判断すると(S75:No)、すなわち、S_Emptyフラグが「ON」であるタンク160が1つでも有ると判断すると、トグルなしに決定する(S76)。次にコントローラ130は、各色のタンク残量値をRAM62からそれぞれ読み出す(S77)。なお、電源がオフされることなどによって、RAM62に記憶されていたタンク残量値がRAM62から消えている場合は、コントローラ130は、上述の更新処理と同様にして、タンク残量値を再度、算出する。S_Emptyフラグが「ON」にされるタンク残量値は、第2所定量の一例である。
【0108】
コントローラ130は、読み出したタンク残量値を用いて、
図12(B)に示される待機画面を生成し、ディスプレイ28に表示させる(S78)。
図12(B)に示される待機画面は、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101に代えて、タンク残量値を示す第2オブジェクト102が表示されている他は、
図12(A)に示される待機画面と同じである。以下では、
図12(B)に示される待機画面を第2待機画面と記載して説明する。
【0109】
第2オブジェクト102は、タンク残量値に応じた長さのバーである。第2オブジェクト102は、例えば、カートリッジ200内のインクが使い切られるまでは、最大長さで表示され、その後、タンク残量に応じた長さで表示され、エアインが生じ得る程度にタンク残量が減ると、白枠だけで表示される。なお、第2オブジェクト102は、タンク160内のインク残量を示すものであれば、バーに限られず、他の図形や文字や記号などであってもよい。
【0110】
第2オブジェクト102は、マゼンタのインク残量を示す第2オブジェクト102Mと、シアンのインク残量を示す第2オブジェクト102Cと、イエローのインク残量を示す第2オブジェクト102Yと、ブラックのインク残量を示す第2オブジェクト102Bkとを含む。
【0111】
また、第2待機画面は、エアインが生じ得る程度まで残量が減った色のタンク残量を示す第2オブジェクト102(図示例では、第2オブジェクト102Y)に重ねて表示される第8オブジェクト108を有する。図示例では、第8オブジェクト108は、「×」の記号である。「×」の記号である第8オブジェクト108は、イエローのインクが無くなったことをユーザに認識させる。第8オブジェクト108を視認したユーザは、イエローのインクが無く、印刷を継続して行えないことを認識する。
【0112】
図9に示されるように、コントローラ130は、全てのタンク160にインクがあると判断すると(S75:Yes)、具体的には、全ての色のタンク160について、S_Epmtyフラグが「OFF」であると判断すると、トグル表示に決定する(S79)。すなわち、1つでもカートリッジ200のインク残量が、0(ゼロ)である第1所定値(
図8(C))になり(S71:No)、かつ、全てのタンク160にインクがある場合(S75:Yes)、トグル表示がされる。第1所定値は、第1所定量の一例である。
【0113】
トグル表示とは、
図13(A)に示される待機画面と、
図13(B)に示される待機画面とをディスプレイ28に交互に表示させる表示を意味する。以下、
図13(A)に示される待機画面を第3待機画面と記載し、
図13(B)に示される待機画面を第4待機画面と記載して説明する。第3待機画面及び第4待機画面は、第1画面の一例である。
【0114】
第3待機画面は、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101を有する。第4待機画面は、タンク残量を示す第2オブジェクト102を有する。すなわち、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色のインクをそれぞれ貯留する4つのカートリッジ200のうち、1つのカートリッジ200でもインクが使い切られると、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101と、タンク残量値を示す第2オブジェクト102とが、待機画面において交互に表示される。図示例では、カートリッジ200内のイエローのインクが使い切られている。
【0115】
なお、第3待機画面では、インクが使い切られたカートリッジ200を示す白枠の第1オブジェクト101(図示例では、第1オブジェクト101Y)に、第9オブジェクト109が重ねて表示されている。第9オブジェクト109は、「!」の記号である。「!」の記号である第9オブジェクト109は、カートリッジ200内のイエローのインクが無くなったことをユーザに認識させる。第9オブジェクト109を視認したユーザは、イエローのインクを貯留するカートリッジ200が空であることを認識する。
【0116】
また、第4待機画面では、第2オブジェクト102がカートリッジ残量値ではなく、タンク残量値が表示されていることをユーザに認識させる「SUB」の文字である第12オブジェクト112が、第2オブジェクト102の上方に表示されている。
【0117】
以下、トグル表示の決定について説明する。まず、コントローラ130は、全ての色について、カートリッジ残量値及びタンク残量値をRAM62から読み出す(S80)。なお、なお、電源がオフされることなどによって、RAM62に記憶されていたカートリッジ残量値及びタンク残量値が消えている場合は、コントローラ130は、上述の更新処理と同様にして、カートリッジ残量値及びタンク残量値を再度、算出する。
【0118】
次に、コントローラ130は、読み出したカートリッジ残量値及びタンク残量値に応じて、第1オブジェクト101及び第2オブジェクト102のバーの長さを決定する(S81)。次に、コントローラ130は、トグル間隔を決定するトグル間隔決定処理(S82)を実行する。トグル間隔とは、第3待機画面を表示する時間と、第4待機画面を表示する時間とで決まる間隔を意味する。
図11を参照して、トグル間隔決定処理について、詳しく説明する。
【0119】
まず、コントローラ130は、ステップS80で読み出した全てのタンク残量値が、EEPROM61に予め記憶された第2閾値以上か否かを判断する(S101)。第2閾値は、例えば、タンク160内のインクの液面が基準位置Pにあるときのタンク残量の75%の量である。第2閾値は、閾値量の一例である。
【0120】
コントローラ130は、全てのタンク残量値が第2閾値以上であると判断すると(S101:Yes)、第1表示間隔に決定する(S104)。第1表示間隔は、例えば、第3待機画面と第4待機画面とを5秒間隔で交互に表示する間隔である。すなわち、第3待機画面が5秒間表示された後、第4待機画面が5秒間表示され、第3待機画面と第4待機とが5秒間隔で交互に表示される。第3待機画面がディスプレイ28に表示される「5秒」は、EEPROM61またはROM37に予め記憶される。EEPROM61またはROM37に予め記憶された「5秒」は、第1時間及び第2時間の一例である。
【0121】
一方、コントローラ130は、1つのタンク残量値でも第2閾値未満であると判断すると(S101:No)、全てのタンク残量値が第3閾値以上であるか否かを判断する(S102)。第3閾値は、例えば、タンク160内のインクの液面が基準位置Pにあるときのタンク残量の50%の量である。
【0122】
コントローラ130は、全てのタンク残量値が第3閾値以上であると判断すると(S102:Yes)、第2表示間隔に決定する(S105)。第2表示間隔は、例えば、第3待機画面が4秒間表示された後、第4待機画面が5秒間表示され、第3待機画面と第4待機とが9秒間を1周期として、4秒間と5秒間とで交互に表示される間隔である。第3待機画面がディスプレイ28に表示される「4秒」及び第4待機画面がディスプレイ28に表示される「5秒」は、EEPROM61またはROM37に予め記憶される。EEPROM61またはROM37に予め記憶された「4秒」は、第3時間の一例である。EEPROM61またはROM37に予め記憶された「5秒」は、第4時間の一例である。第1表示間隔及び第2表示間隔を決定するステップS104、S105の処理は、第1決定処理の一例である。
【0123】
一方、コントローラ130は、1つのタンク残量値でも第3閾値未満であると判断すると(S102:No)、全てのタンク残量値が第4閾値以上であるか否かを判断する(S103)。第4閾値は、例えば、タンク160内のインクの液面が基準位置Pにあるときのタンク残量の25%の量である。
【0124】
コントローラ130は、全てのタンク残量値が第4閾値以上であると判断すると(S103:Yes)、第3表示間隔に決定する(S106)。第3表示間隔は、例えば、第3待機画面が3秒間表示された後、第4待機画面が5秒間表示され、第3待機画面と第4待機とが8秒間を1周期として、3秒間と5秒間とで交互に表示される間隔である。
【0125】
一方、コントローラ130は、1つのタンク残量値でも第4閾値未満であると判断すると(S103:No)、第4表示間隔に決定する(S107)。第4表示間隔は、例えば、第3待機画面が2秒間表示された後、第4待機画面が5秒間表示され、第3待機画面と第4待機とが7秒間を1周期として、2秒間と5秒間とで交互に表示される間隔である。
【0126】
上述のように、タンク残量が少なくなるほど、カートリッジ残量を示す第3待機画面の表示時間が短くなる。したがって、タンク残量が少なくなるほど、タンク残量値をユーザに認識させ易くなる。
【0127】
コントローラ130は、ステップS104、S105、S106、S107の処理の実行後、トグル間隔決定処理を終了し、
図9に示されるように、トグル間隔決定処理で決定した表示間隔で第3待機画面と第4待機画面とをディスプレイ28に交互に表示させる(S83)。ステップS83の処理は、第2表示処理の一例である。
【0128】
次に、コントローラ130は、第3待機画面または第4待機画面で画面を固定する表示固定操作がされたか否かを判断する(S84)。表示固定操作は、第3待機画面の第1オブジェクト101が閾値時間以上タッチされることにより、或いは、第4待機画面の第2オブジェクト102が閾値時間以上タッチされることにより、行われる。具体的には、コントローラ130は、第3待機画面において、第1オブジェクト101が閾値時間(例えば3秒間)の間タッチされたことに応じて、第3待機画面で画面を固定する表示固定操作がされたと判断する(S84:Yes)。また、コントローラ130は、第4待機画面において、第2オブジェクト102が閾値時間(例えば3秒間)の間タッチされたことに応じて、第2待機画面で画面を固定する表示固定操作がされたと判断する(S84:Yes)。
【0129】
なお、ユーザが指を用いて第1オブジェクト101または第2オブジェクト102をタッチすると、ユーザの指によって第1オブジェクト101または第2オブジェクト102をユーザが視認し難くなる。コントローラ130は、第1オブジェクト101または第2オブジェクト102が所定時間(例えば1秒)以上の間タッチされたと判断すると、第1オブジェクト101または第2オブジェクト102をポップアップ表示でディスプレイ28に表示させてもよい。ポップアップ表示とは、第1オブジェクト101または第2オブジェクト102を拡大等して、元の表示領域(図示例では、ディスプレイ28の右下の領域)とは別の表示領域(例えば、ディスプレイ28の中央)に表示させることを意味する。
【0130】
コントローラ130は、表示固定操作がされたと判断すると(S84:Yes)、選択された第3待機画面または第4待機画面で表示を固定する(S85)。次に、コントローラ130は、固定解除操作がされたか否かを判断する(S86)。固定解除操作は、固定された待機画面において、第1オブジェクト101または第2オブジェクト102が閾値時間以上タッチされることにより、行われる。具体的には、コントローラ130は、第1オブジェクト101が閾値時間(例えば3秒間)の間タッチされたことに応じて、或いは、第2オブジェクト102が閾値時間(例えば3秒間)の間タッチされたことに応じて、固定解除操作がされたと判断する(S86:Yes)。
【0131】
コントローラ130は、固定解除操作がされたと判断すると(S86:Yes)、待機画面の固定を解除する(S87)。具体的には、トグル間隔決定処理で決定した表示間隔で、第3待機画面(第1オブジェクト101)と第4待機画面(第2オブジェクト102)とをディスプレイ28に交互に表示させる。
【0132】
上述のように、コントローラ130は、全てのカートリッジ200にインクがある場合は、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101を待機画面に表示させ(
図12(A))、エアインが生じ得る程度までインクが減ったタンク160が1つでも有る場合は、タンク残量を示す第2オブジェクト102を待機画面に表示させる。そして、インクが使い切られたカートリッジ200が1つでもあり、かつ、印刷を継続できるだけのインクが全てのタンク160にある場合は、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101と、タンク残量を示す第2オブジェクト102とをトグル表示でディスプレイ28に交互に表示させる。すなわち、全てのカートリッジ200にインクがある場合は、ユーザは、カートリッジ200の残量を確認できれば十分であるので、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101がディスプレイ28に表示される。一方、インクが残っていないタンク160が1つでもあって印刷を継続できない場合は、インクが残っていない色をユーザに認識させる必要があるので、タンク残量を示す第2オブジェクト102がディスプレイ28に表示される。そして、インクが使い切られたカートリッジ200が1つでもあり、かつ、印刷を継続できるだけのインクが全てのタンク160にある場合は、ユーザが、カートリッジ残量を確認したい場合と、タンク残量を確認したい場合とのいずれの場合も想定され得るので、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101とタンク残量を示す第2オブジェクト102とがトグル表示でディスプレイ28に交互に表示される。その結果、インクの残量をユーザに適切に認識させることができる。
【0133】
コントローラ130は、ステップS87、S74、S78の処理の実行後、或いは、表示固定操作や固定解除操作がされていないと判断すると(S84:No、S86:No)、
図10に示されるように、
図12及び
図13に示される待機画面において、第1オブジェクト101または第2オブジェクト102(残量バー)がタップされたか否かを判断する(S91)。
【0134】
コントローラ130は、第1オブジェクト101または第2オブジェクト102(残量バー)がタップされたと判断すると(S91:Yes)、第2待機画面(
図12(B))において第2オブジェクト102がタップされたか否かを判断する(S92)。具体的には、コントローラ130は、S_Emptyフラグが「ON」であるタンク160が有るか否かを判断する。
【0135】
コントローラ130は、第2待機画面において第2オブジェクト102がタップされたと判断すると(S92:Yes)、
図14(B)に示される第2カートリッジ交換画面をディスプレイ28に表示させる(S93)。第2カートリッジ交換画面は、インクが使い切られたカートリッジ200を示す第10オブジェクト110と、「インクカートリッジを交換してください」の文字である第7オブジェクト107と、イエローを示す「Y」の文字である第11オブジェクト111とを有する。第2カートリッジ交換画面は、イエローのインクを貯留するカートリッジ200の交換が必要であることをユーザに認識させる。すなわち、イエローのインクを貯留するカートリッジ200の交換をユーザに促す。第2待機画面において第2オブジェクト102の選択を受け付けるステップS92の処理は、第4受付処理の一例である。第2カートリッジ交換画面は、第4画面の一例である。第2カートリッジ交換画面をディスプレイ28に表示させるステップS93の処理は、第5表示処理の一例である。
【0136】
一方、コントローラ130は、第2待機画面において第2オブジェクト102がタップされていないと判断すると(S92:No)、第1待機画面(
図12(A))において第1オブジェクト101がタップされたか否かを判断する(S94)。
【0137】
コントローラ130は、第1待機画面において第1オブジェクト101がタップされたと判断すると(S94:Yes)、
図15(A)に示されるインク残量画面をディスプレイに表示させる(S95)。第1待機画面において第1オブジェクト101のタップを受け付けるステップS94の処理は、第2受付処理の一例である。
【0138】
インク残量画面は、カートリッジ残量を示す4つの第4オブジェクト104と、タンク残量を示す4つの第5オブジェクト105とを有する。各第4オブジェクト104は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのカートリッジ残量をそれぞれ示す。各第5オブジェクト105は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのタンク残量をそれぞれ示す。第4オブジェクト104は、第1オブジェクト101と同様に、カートリッジ残量に応じた長さのバーである。第5オブジェクト105は、第2オブジェクト102と同様に、タンク残量に応じた長さのバーである。第4オブジェクト104は、第1オブジェクト101より大きく、第5オブジェクト105は、第2オブジェクト102よりも大きい。すなわち、インク残量画面は、第1オブジェクト101及び第2オブジェクト102の両方を拡大してディスプレイ28に表示する画面である。インク残量画面は、カートリッジ残量及びタンク残量の双方を、ユーザに認識させる。すなわち、ユーザは、インク残量画面をディスプレイ28に表示させることにより、カートリッジ残量及びタンク残量の両方を同時に認識することができる。インク残量画面は、第2画面の一例である。インク残量画面をディスプレイ28に表示させるステップS95の処理は、第3表示処理の一例である。
【0139】
一方、コントローラ130は、第1待機画面において第1オブジェクト101がタップされていないと判断すると(S94:No)、第3待機画面と第4待機画面とのいずれにおいて第1オブジェクト101または第2オブジェクト102がタップされたか否かを判断する(S96)。
【0140】
コントローラ130は、第3待機画面において第1オブジェクト101がタップされたと判断すると(S96:第3待機画面)、
図14(A)に示す第1カートリッジ交換画面をディスプレイ28に表示させる(S97)。
【0141】
第1カートリッジ交換画面は、インクが使い切られたカートリッジ200を示す第10オブジェクト110と、「インクカートリッジが交換できます」の文字である第6オブジェクト106と、イエローを示す「Y」の文字である第11オブジェクト111とを有する。第1カートリッジ交換画面は、イエローのインクを貯留するカートリッジ200の交換が可能であることをユーザに認識させる。すなわち、イエローのインクを貯留するカートリッジ200の交換をユーザに促す。
【0142】
一方、コントローラ130は、第4待機画面において第2オブジェクト102がタップされたと判断すると(S96:第4待機画面)、
図15(A)に示されるインク残量画面をディスプレイに表示させる(S95)。第3待機画面において第1オブジェクト101のタップを受け付けるステップS96の処理(S96:第3待機画面)は、第3受付処理の一例である。第4待機画面において第2オブジェクト102の選択を受け付けるステップS96の処理(S96:第4待機画面)は、第4受付処理の一例である。第1カートリッジ交換画面をディスプレイ28に表示させるステップS97の処理は、第4表示処理の一例である。第1カートリッジ交換画面は、第3画面の一例である。
【0143】
上述のように、ユーザが第1待機画面から第4待機画面のいずれの待機画面において第1オブジェクト101または第2オブジェクト102をタップしたかにより、ディスプレイ28に表示される画面が、第1カートリッジ交換画面、第2カートリッジ交換画面、インク残量画面のうちから選択される。したがって、インクの残量に関する情報をユーザにさらに適切に認識させることができる。具体的に説明すると、カートリッジ200にインクが有る場合に表示される第1待機画面において第1オブジェクト101がユーザによってタップされた場合は、インク残量画面がディスプレイ28に表示され、カートリッジ残量の詳細がユーザに示される。印刷を継続できるだけの量のインクがタンク160にない場合に表示される第2待機画面において第2オブジェクト102がユーザによってタップされた場合は、第2カートリッジ交換画面がディスプレイ28に表示され、カートリッジ200の交換が必要であることがユーザに示される。カートリッジ200にインクが無い場合に表示される第3待機画面において第1オブジェクト101がユーザによってタップされた場合は、第1カートリッジ交換画面がディスプレイ28に表示され、カートリッジ200が交換可能であることがユーザに示される。印刷を継続できるだけの量のインクがタンク160にある場合に表示される第4待機画面において第2オブジェクト102がユーザによってタップされた場合は、インク残量画面がディスプレイ28に表示され、タンク残量の詳細がユーザに示される。
【0144】
図10に示されるように、コントローラ130は、第1カートリッジ交換画面(S97)や、第2カートリッジ交換画面(S93)や、インク残量画面(S95)の表示を終了するか否かを判断する(S98)。具体的には、コントローラ130は、不図示のホームボタンが操作されたか否か、或いは、所定の画面表示時間が経過(タイムアウト)したか否かを判断する。コントローラ130は、第1カートリッジ交換画面や、第2カートリッジ交換画面や、インク残量画面の表示を終了すると判断するまで(S98:No)、第1カートリッジ交換画面や、第2カートリッジ交換画面や、インク残量画面の表示を継続する。一方、コントローラ130は、第1カートリッジ交換画面や、第2カートリッジ交換画面や、インク残量画面の表示を終了すると判断すると(S98:Yes)、待機画面を表示させ(S99)、表示処理を終了する。ステップS99で表示される待機画面は、上述のステップS74、S78、S83、S85で決定された待機画面である。
【0145】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、全てのカートリッジ200にインクがある場合は、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101が待機画面に表示される。一方、インクが使い切られたカートリッジ200が1つでもあり、かつ、印刷を継続できるだけのインクが全てのタンク160にある場合は、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101と、タンク残量を示す第2オブジェクト102とが、トグル表示でディスプレイ28に交互に表示される。したがって、カートリッジ200内のインク残量とタンク160内のインク残量とをユーザに適切に認識させることができる。
【0146】
また、本実施形態のプリンタ10は、いわゆるカラープリンタであり、4つの色のカートリッジ残量及び4つの色のタンク残量が、残量に関する情報としてある。したがって、4つの色のカートリッジ残量を示す4つの第1オブジェクト101と、4つのタンク残量を示す4つの第2オブジェクト102とを同時に待機画面に表示すると、残量に関する情報をユーザに適切に認識させることができなくなる。本実施形態では、全てのカートリッジ200にインクがある場合は、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101が待機画面に表示され、インクが使い切られたカートリッジ200が1つでもあり、かつ、印刷を継続できるだけのインクが全てのタンク160にある場合は、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101と、タンク残量を示す第2オブジェクト102とが、トグル表示でディスプレイ28に交互に表示される。したがって、残量に関する情報の数(オブジェクトの数)が多いカラープリンタであっても、カートリッジ200内のインク残量とタンク160内のインク残量とを、ユーザに適切に認識させることができる。
【0147】
また、本実施形態では、トグル表示において、タンク残量が少なくなるほど(75%、50%。25%)、カートリッジ残量を示す第3待機画面の表示時間が短くなる。したがって、タンク残量値が少なくなるほど、タンク残量値をユーザに認識させ易くなる。その結果、カートリッジ200内のインク残量とタンク160内のインク残量とを、ユーザにさらに適切に認識させることができる。
【0148】
また、本実施形態では、トグル表示において交互に表示される第3待機画面で画面を固定することも、第4待機画面で画面を固定することもできる。すなわち、ユーザの要望に合わせて、カートリッジ残量またはタンク残量がディスプレイ28に表示される。その結果、インクの残量に関する情報を、ユーザにさらに適切に認識させることができる。
【0149】
また、本実施形態では、待機画面の固定を解除することもできる。
【0150】
また、本実施形態では、ユーザが第1待機画面から第4待機画面のいずれの待機画面において第1オブジェクト101または第2オブジェクト102をタップしたかにより、ディスプレイ28に表示される画面が、第1カートリッジ交換画面、第2カートリッジ交換画面、インク残量画面のうちから選択される。したがって、インクの残量に関する情報をユーザにさらに適切に認識させることができる。
【0151】
また、本実施形態では、印刷を継続できるだけの量のインクがタンク160にない場合は、トグル表示が停止され、タンク残量を示す第2オブジェクト102を含む第2待機画面(
図12(B))がディスプレイ28に表示される。したがって、インクの残量に関する情報を、ユーザにさらに適切に認識させることができる。
【0152】
また、本実施形態では、第2待機画面において第2オブジェクト102がユーザによってタップされると、カートリッジ200の交換が必要であることを示す第2カートリッジ交換画面がディスプレイ28に表示される。したがって、インクの残量に関する情報を、ユーザにさらに適切に認識させることができる。
【0153】
[変形例1]
上述の実施形態では、トグル表示される第3待機画面または第4待機画面において、第1オブジェクト101または第2オブジェクト102が閾値時間以上タッチされることに応じて、第1待機画面或いは第2待機画面で画面が固定される例を説明した。しかしながら、
図15(B)に示されるように、ピンを示す第3オブジェクト103が第3待機画面及び第4待機画面に表示されてもよい。コントローラ130は、第3オブジェクト103がタップされたことに応じて、表示固定操作がされたと判断する(S84:Yes)。コントローラ130は、第3待機画面がディスプレイ28に表示されている間に第3オブジェクト103がユーザによってタップされたと判断すると、第3待機画面で画面を固定する。一方、コントローラ130は、第4待機画面がディスプレイ28に表示されている間に第3オブジェクト103がユーザによってタップされたと判断すると、第4待機画面で画面を固定する。第3オブジェクト103によって表示固定操作を受け付けるステップS84の操作は、第1受付処理の一例である。
【0154】
コントローラ130は、固定した第3待機画面または第4待機画面において第3オブジェクト103がユーザによってタップされたと判断すると、固定解除操作がされたと判断し(S86:Yes)、画面の固定を解除して(S87)、第3待機画面と第4待機画面とをトグル表示する。
【0155】
[変形例1の作用効果]
本変形例では、表示固定操作及び固定解除操作を行う第3オブジェクト103がディスプレイ28に表示されるので、トグル表示される第3待機画面及び第4待機画面を固定可能であることをユーザに認識させることができる。また、第3オブジェクト103をタップするだけであるので、上述の実施形態に比べ、表示固定操作及び固定解除操作をユーザに容易に行わせることができる。
【0156】
[変形例2]
上述の実施形態では、トグル表示される第4待機画面には、インクが使い切られたカートリッジ200と対応するタンク160のタンク残量を示す第2オブジェクト102(図示例では、イエローを示す第2オブジェクト102Y)だけでなく、全ての第2オブジェクト102が表示される例を説明した。本変形例では、
図16に示されるように、第4待機画面には、インクが使い切られたカートリッジ200と対応するタンク160のタンク残量を示す第2オブジェクト102(図示例では、イエローを示す第2オブジェクト102Y)と、インクが使い切られていないカートリッジ200のカートリッジ残量を示す第1オブジェクト101とが表示される例を説明する。すなわち、インクが使い切られたカートリッジ200に対してのみ、第1オブジェクト101と第2オブジェクト102とがトグル表示される。
【0157】
本変形例でディスプレイ28に表示される第3待機画面は、実施形態で説明した第3待機画面と同じである。本変形例でディスプレイ28に表示される第4待機画面は、インクが使い切られたカートリッジ200(図示例では、イエロー)に対応するタンク160のタンク残量を示す第2オブジェクト102Yと、インクが使い切られていないカートリッジ200(図示例では、マゼンタ、シアン、及びブラック)のカートリッジ残量を示す第1オブジェクト101M、C、Bkとを有する。また、第4待機画面は、第2オブジェクト102の上方に配置された「S」の文字である第13オブジェクト113を有する。第13オブジェクト113は、第2オブジェクト102Yが、カートリッジ残量値ではなく、タンク残量を示していることをユーザに認識させる。
【0158】
上述のように、本変形例では、インクが使い切られていないカートリッジ200(図示例では、マゼンタ、シアン、及びブラック)については、第3待機画面でも、第4待機画面でも、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101が表示される。一方、インクが使い切られたカートリッジ200(図示例では、イエロー)については、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101と、第2オブジェクト102とが、トグル表示される。
【0159】
上述の実施形態におけるトグル間隔決定処理(
図11)では、全てのタンク残量値が、第2閾値以上か否か(S101)、第3閾値以上か否か(S102)、第4閾値以上か否か(S103)が判断された。しかしながら、本変形例では、インクが使い切られたカートリッジ200に対応するタンク160のタンク残量値が、第2閾値以上か否か、第3閾値以上か否か、第4閾値以上か否かが判断され、表示間隔が決定される。その他の構成及び処理は、上述の実施形態と同じである。
【0160】
[変形例2の作用効果]
本変形例では、インクが使い切られたカートリッジ200(図示例では、イエロー)についてのみ、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101と、第2オブジェクト102とが、トグル表示される。したがって、インクが使い切られたカートリッジ200に対してユーザの意識を引き付けることができる。その結果、インクの残量に関する情報を、ユーザにさらに容易に認識させることができる。
【0161】
[変形例3]
本変形例では、
図6に示されるように、プリンタ10は、通信バス39と接続された通信インタフェース31をさらに備える。コントローラ130は、通信インタフェース31を通じて、カートリッジ残量及びタンク残量を送信する。具体的に説明すると、コントローラ130は、第1待機画面(
図12(A))をディスプレイ28に表示していることに応じて、カートリッジ残量値を通信インタフェース31を通じて送信する。コントローラ130は、第3待機画面(
図12(B))及び第4待機画面(
図13(B))をディスプレイ28に表示していることに応じて、カートリッジ残量値及びタンク残量値を通信インタフェース31を通じて送信する。すなわち、コントローラ130は、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101をディスプレイ28に表示していることに応じて、カートリッジ残量値を送信し、トグル表示を行っていることに応じて、カートリッジ残量値及びタンク残量値を送信する。コントローラ130が、第1待機画面をディスプレイ28に表示していることに応じて、カートリッジ残量値を通信インタフェース31を通じて送信する処理は、第1送信処理の一例である。コントローラ130が、第3待機画面及び第4待機画面をディスプレイ28に表示していることに応じて、カートリッジ残量値及びタンク残量値を通信インタフェース31を通じて送信する処理は、第2送信処理の一例である。
【0162】
プリンタ10が送信したカートリッジ残量値やタンク残量値は、通信インタフェース31と接続されたLANやUSBケーブルなどを通じて、パーソナルコンピュータやサーバやタブレットや携帯端末などの情報処理装置に入力される。情報処理装置には、ステータスモニタがインストールされている。ステータスモニタは、情報処理装置が受信したカートリッジ残量値またはタンク残量値を情報処理装置のディスプレイに表示させる。具体的には、情報処理装置がカートリッジ残量値を受信したことに応じて、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101が情報処理装置のディスプレイに表示され、情報処理装置がカートリッジ残量値及びタンク残量値を受信したことに応じて、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101とタンク残量値を示す第2オブジェクト102とが情報処理装置のディスプレイに交互に表示(トグル表示)される。
【0163】
[変形例3の作用効果]
本変形例では、カートリッジ残量値を示す第1オブジェクト101がディスプレイ28に表示されていることに応じて、カートリッジ残量値が送信され、トグル表示がされていることに応じて、カートリッジ残量値及びタンク残量値が送信される。したがって、ステータスモニタが、第1オブジェクト101を情報処理装置のディスプレイに表示させるか、トグル表示を行うかの判断することなく、プリンタ10が表示している画面と同様の画面が情報処理装置のディスプレイにも表示される。その結果、ステータスモニタに判断させることなく、プリンタ10での表示と、ステータスモニタでの表示とを一致させることができる。
【0164】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、カートリッジ200内のインクが使い切られると、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101とタンク残量を示す第2オブジェクト102とが、第1待機画面においてトグル表示される例を説明した。しかしながら、カートリッジ200内のインクが使い切られると、トグル表示ではなく、タンク残量を示す第2オブジェクト102が固定で第1待機画面に表示されてもよい。なお、インクが使い切られた色についてのみ、第2オブジェクト102が第1待機画面に固定で表示され、インクが使い切られていない色については、カートリッジ残量を示す第1オブジェクト101が第1画面に固定で表示されてもよい。また、インクが使い切られた色のカートリッジ200が有る場合、インクが使い切られていない色についても、インクが使い切られた色と同様に、第2オブジェクト102が固定で第1画面に表示されてもよい。すなわち、インクが使い切られた色のカートリッジ200が有る場合、全ての第2オブジェクト102が固定で第1画面に表示されてもよい。
【0165】
また、上述の実施形態では、水頭差によってインクがカートリッジ200からタンク160に流出する例を説明した。しかしながら、重力や、ポンプなどによってインクをカートリッジ200からタンク160に流出させてもよい。すなわち、本発明は、重力や駆動源によってインクをカートリッジ200からタンク160に供給するプリンタにも用いることができる。
【0166】
また、上述の実施形態では、タンク残量が少なくなるほど、第3待機画面の表示時間が短くされる例を説明した。しかしながら、タンク残量が少なくなるほど、第4待機画面の表示時間が長くされてもよい。
【0167】
また、上述の実施形態では、コントローラ130が、液面センサ33が出力する信号に基づいて、アクチュエータ190の被検出部194が第1状態にあるか第2状態にあるかを検出する構成であるが、液室171におけるインクの液面を検出できれば、液面センサ33の構成は特に限定されない。例えば、液面センサ33は、液室171の後壁164にインクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、液室171におけるインクの液面を光学的に検出するセンサであってもよい。また、液面センサ33は、液室171内に挿入された電極棒であってもよい。
【0168】
また、上述の実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液がカートリッジに貯留されていてもよい。また、ヘッド21を洗浄するための水がカートリッジに貯留されていてもよい。
【0169】
また、上述の実施形態では、タンク残量値によって、トグル表示における第3待機画面の表示時間と第4待機画面の表示時間とを決定する例を説明した。しかしながら、第3待機画面と第4待機画面とは、EEPROM61に予め記憶された時間でそれぞれ表示されてもよい。
【0170】
また、上述の実施形態では、プリンタ10がカラープリンタである例を説明した。しかしならが、プリンタ10は、モノクロプリンタであってもよい。
【0171】
また、上述の実施形態では、液面センサ33を用いて、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切れられたか否かが判断され、トグル表示にするか否かが判断される例を説明した。しかしながら、第2更新処理で更新したカートリッジ残量値またはタンク残量値を用いて、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切れられたか否かが判断され、トグル表示にするか否かが判断されてもよい。
【符号の説明】
【0172】
10・・・プリンタ
19・・・チューブ
21・・・ヘッド
28・・・ディスプレイ
33・・・液面センサ
36・・・記憶部
37B・・・制御プログラム
130・・・コントローラ
150・・・装着ケース
171・・・液室
181・・・ニードル
200・・・カートリッジ
210・・・液室