(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20241112BHJP
G06F 16/9035 20190101ALI20241112BHJP
【FI】
G06Q30/0251
G06F16/9035
(21)【出願番号】P 2023113195
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2021554441の分割
【原出願日】2019-11-05
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】大谷 美樹
(72)【発明者】
【氏名】平本 憲由
(72)【発明者】
【氏名】田川 理沙
【審査官】前田 侑香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067359(JP,A)
【文献】特開2007-158674(JP,A)
【文献】特開2014-063401(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114392(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/9035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段と、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証手段と、
を有し、
前記認証手段は、
前記顧客の生体情報と、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報及び前記施設識別情報の組と、を互いに紐付けた登録情報の前記顧客の生体情報と、前記取得手段が取得した前記顧客の生体情報とを照合する、情報処理装置。
【請求項2】
顧客認証に成功した場合、前記顧客の訪問履歴情報に、前記施設識別情報で特定される施設を登録する履歴登録手段と、
前記訪問履歴情報と、前記施設の属性情報とに基づき、前記顧客に提供する提供情報を生成する提供情報生成手段と、
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提供情報生成手段は、さらに前記顧客の属性情報に基づき、前記提供情報を生成する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記履歴登録手段は、事業体毎に前記顧客各々の前記訪問履歴情報を生成し、
前記事業体毎に生成された前記顧客各々の前記訪問履歴情報を前記事業体各々に提供する事業体提供手段をさらに有する請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが、
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得工程と、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証工程と、
を実行し、
前記認証工程では、
前記顧客の生体情報と、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報及び前記施設識別情報の組と、を互いに紐付けた登録情報の前記顧客の生体情報と、前記取得工程で取得した前記顧客の生体情報とを照合する、情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段、及び、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証手段、
として機能させ、
前記認証手段は、
前記顧客の生体情報と、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報及び前記施設識別情報の組と、を互いに紐付けた登録情報の前記顧客の生体情報と、前記取得手段が取得した前記顧客の生体情報とを照合する、プログラム。
【請求項7】
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段と、
前記顧客の生体情報と事前登録された生体情報との照合結果と、前記施設識別情報と、に基づいて、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報を特定する特定手段と、
前記顧客識別情報を前記施設識別情報及び前記顧客の生体情報の送信元である前記端末装置に送信する送信手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得工程と、
前記顧客の生体情報と事前登録された生体情報との照合結果と、前記施設識別情報と、に基づいて、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報を特定する特定工程と、
前記顧客識別情報を前記施設識別情報及び前記顧客の生体情報の送信元である前記端末装置に送信する送信工程と、
を実行する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段、
前記顧客の生体情報と事前登録された生体情報との照合結果と、前記施設識別情報と、に基づいて、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報を特定する特定手段、及び、
前記顧客識別情報を前記施設識別情報及び前記顧客の生体情報の送信元である前記端末装置に送信する送信手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システム、処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1は、ユーザによるウェブサイトの訪問履歴に基づきユーザの嗜好を推定する技術を開示している。そして、推定したユーザの嗜好に基づきユーザ向けの情報(広告など)を生成する技術が広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェブサイトはワンクリックで容易に訪問できるため、ユーザは真に興味があるサイト以外のサイトにも気軽に訪問する傾向がある。このため、ユーザによるウェブサイトの訪問履歴の中には、真にユーザが興味を有する情報を扱うウェブサイトと、ユーザがあまり興味を有さない情報を扱うウェブサイトとが混在したものとなる。このようなウェブサイトの訪問履歴に基づきユーザの嗜好を推定する場合、その精度が十分でない。結果、推定したユーザの嗜好に基づき生成されるユーザ向けの情報(広告など)は、ユーザがあまり興味を示さない不適切なものとなり得る。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが興味を示すユーザ向けの情報(広告など)を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段と、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証手段と、
を有し、
前記認証手段は、
前記顧客の生体情報と、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報及び前記施設識別情報の組と、を互いに紐付けた登録情報の前記顧客の生体情報と、前記取得手段が取得した前記顧客の生体情報とを照合する、情報処理装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得工程と、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証工程と、
を実行し、
前記認証工程では、
前記顧客の生体情報と、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報及び前記施設識別情報の組と、を互いに紐付けた登録情報の前記顧客の生体情報と、前記取得工程で取得した前記顧客の生体情報とを照合する、情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
サービスを提供する施設に設置された端末装置から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した前記施設を識別する施設識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段、及び、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証手段、
として機能させ、
前記認証手段は、
前記顧客の生体情報と、前記施設が提供するサービスにおいて前記顧客を識別するための顧客識別情報及び前記施設識別情報の組と、を互いに紐付けた登録情報の前記顧客の生体情報と、前記取得手段が取得した前記顧客の生体情報とを照合する、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが興味を示すユーザ向けの情報(広告など)を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上述した目的、および、その他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、および、それに付随する以下の図面によって、さらに明らかになる。
【0011】
【
図1】本実施形態の処理システムの処理の概要を説明するための概念図である。
【
図2】本実施形態の処理システムのハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の処理システムの機能ブロック図の一例である。
【
図4】本実施形態の処理システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図5】本実施形態の処理システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態の処理システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本実施形態の処理システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図8】本実施形態の処理システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図9】本実施形態の処理システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の処理システムの機能ブロック図の一例である。
【
図11】本実施形態の処理システムが提供する画面の一例である。
【
図12】本実施形態の処理システムが提供する画面の一例である。
【
図13】本実施形態の処理システムが提供する画面の一例である。
【
図14】本実施形態の処理システムが提供する画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
まず、
図1を用いて本実施形態の処理システム10の全体像及び概要を説明する。複数の事業体各々により運営される複数の施設には、サービスシステム31-34が設置される。サービスシステム31-34は、生体情報を用いた顧客認証に成功した顧客に対して所定のサービスを提供するシステムであり、サービスの内容は施設ごとに異なる。例えば、ホテルに設置されたサービスシステム31は、顧客認証に成功した顧客に対して、チェックイン処理やチェックアウト処理を実行してもよい。また、レストランや小売店に設置されたサービスシステム33-34は、顧客認証に成功した顧客に対して、会計処理を実行してもよい。また、映画館に設置されたサービスシステム32は、顧客認証に成功した顧客に対して、チケットの発行処理や販売処理等を実行してもよいし、映画館に入場するためのゲートを開く処理を実行してもよい。なお、施設の種類や顧客認証に成功した顧客に対して行われる処理の内容はあくまで一例であり、ここでの例示に限定されない。
【0013】
そして、本実施形態では、サービスシステム31-34各々が生体情報を用いた顧客認証を行うのでなく、処理システム10がまとめて顧客認証を行う。すなわち、各施設には顧客から生体情報の入力を受付ける端末装置20が設置される。そして、端末装置20は、入力された生体情報を処理システム10に送信する。処理システム10は、受信した生体情報に基づき顧客認証を行い、認証結果を端末装置20に返信する。サービスシステム31-34は、端末装置20から認証結果を取得し、認証結果に応じた処理を実行する。
【0014】
また、処理システム10は顧客認証に成功した場合、その顧客の訪問履歴情報に、生体情報を送信してきた施設を登録する。このようにすることで、生体情報を用いた顧客認証を行ったリアル店舗(実店舗)の訪問履歴情報を生成することができる。そして、処理システム10は、このような訪問履歴情報と、施設の属性情報とに基づき、顧客に提供する提供情報を生成する。
【0015】
生体情報を用いて顧客認証まで行ったリアル店舗は、その顧客にとって真に興味を有する施設である可能性が高い。このような生体情報を用いて顧客認証を行ったリアル店舗の訪問履歴情報に基づき顧客に提供する提供情報を生成する処理システム10によれば、ユーザが興味を示すユーザ向けの情報(広告など)を高精度に生成することが可能となる。
【0016】
次に、処理システム10のハードウエア構成の一例を説明する。処理システム10が備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0017】
図2は、処理システム10のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、処理システム10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。処理システム10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、処理システム10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。処理システム10が物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えてもよい。
【0018】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサー、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0019】
次に、処理システム10の機能構成を説明する。
図3に、処理システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、処理システム10は、取得部11と、認証部12と、履歴登録部13と、提供情報生成部14と、出力部15と、記憶部16とを有する。なお、処理システム10は記憶部16を有さなくてもよい。この場合、処理システム10と通信可能に構成された外部装置が記憶部16を備える。
【0020】
記憶部16は、各種情報を記憶する。まず、記憶部16は、
図4に示すように、端末装置20の識別情報(端末装置識別情報)と、各端末装置20を設置した施設の識別情報(施設識別情報)とを紐付けた情報を記憶する。
【0021】
また、記憶部16は、
図5に示すように、施設識別情報と、各施設の属性情報とを紐付けた情報を記憶する。属性情報は、各施設を運営する事業体の識別情報(事業体識別情報)や、施設で提供されるサービスの業種や、施設が存在する場所を示す情報(住所)等が例示されるが、これらに限定されない。
【0022】
また、記憶部16は、
図6に示すように、顧客に関する情報を記憶する。図示する例では、第1の顧客識別情報と、生体情報と、第2の顧客識別情報と、属性情報とが互いに紐付けられている。
【0023】
第1の顧客識別情報は、処理システム10が提供するサービスにおいて顧客を識別するための情報である。
【0024】
第2の顧客識別情報は、複数の施設各々を運営する複数の事業体各々が提供するサービスにおいて顧客を識別するための情報である。
【0025】
生体情報は、顔画像、虹彩、指紋、声紋等が例示されるが、これらに限定されない。
【0026】
属性情報は、顧客の属性を示す情報であり、性別、年齢、アレルギーの有無、住所、国籍等が例示されるが、これらに限定されない。
【0027】
また、記憶部16は、
図7及び
図8に示すように、生体情報を用いた顧客認証を行ったリアル店舗の訪問履歴情報を記憶する。図示する例では、訪問した日時と、訪問した施設の施設識別情報とが互いに紐付けられている。
図7は、すべての施設への訪問履歴を含む訪問履歴情報であり、
図8は、ある事業体が運営する施設のみに絞り込んだ訪問履歴情報である。
【0028】
図3に戻り、取得部11は、複数の端末装置20各々から、各端末装置20を設置した施設を特定するための第1の識別情報と、端末装置20に入力された顧客の生体情報とを取得する。第1の識別情報は、端末装置20の識別情報、又は、端末装置20を設置した施設の識別情報である。
【0029】
図1を用いて説明した通り、複数の施設各々に端末装置20が設置される。そして、施設を訪問した顧客は、その施設で所定のサービスを受けるため、端末装置20に対して顧客認証のための操作を行う。具体的には、顧客は、端末装置20を操作し、自身の生体情報を入力する。端末装置20は、生体情報の入力を受付ける手段、生体情報を処理システム10に送信する手段、生体情報に基づく顧客認証の結果を受信する手段を有する。生体情報の入力を受付ける手段は、カメラ、指紋センサー、マイク等のあらゆる入力装置を用いて実現される。
【0030】
認証部12は、取得部11により取得された顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う。例えば、認証部12は、取得部11により取得された顧客の生体情報から抽出される所定の特徴量と、記憶部16が記憶する各顧客の生体情報(
図6参照)から抽出される所定の特徴量とを照合することで、取得部11により取得された顧客の生体情報と合致する生体情報が記憶部16に登録されているか確認する。そして、登録されている場合、その顧客は正当な顧客であると判断し(認証成功)、登録されていない場合、その顧客は正当な顧客でないと判断する(認証失敗)。
【0031】
他の例として、認証部12は、ある施設で端末装置20に生体情報を入力した顧客がその施設を運営する事業体にとって正当な顧客であるか否かを判断する顧客認証を行ってもよい。具体的には、認証部12は、取得部11により取得された顧客の生体情報と合致する生体情報が記憶部16に登録されている場合、その顧客に関する
図6の情報を参照する。そして、認証部12は、顧客の生体情報を送信してきた端末装置20を設置した施設を運営する事業体に紐付けて第2の顧客識別情報が登録されているか確認する。登録されている場合、その顧客はその事業体にとって正当な顧客であると判断し(認証成功)、登録されていない場合、その顧客はその事業体にとって正当な顧客でないと判断する(認証失敗)。
【0032】
認証部12は、認証結果(「認証成功」又は「認証失敗」)を端末装置20に送信する。施設に設置されたサービスシステム31-34は、端末装置20が受信した認証結果に応じた処理を実行する。顧客認証に成功した場合に行われる処理の一例は、上述した通りである(チェックイン処理等)。一方、顧客認証に成功した場合、エラー処理が実行される。例えば、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置を介して、顧客認証に失敗した旨が顧客に対して通知される。
【0033】
履歴登録部13は、顧客認証に成功した場合、その顧客の訪問履歴情報に、取得部11により取得された第1の識別情報で特定される施設を登録する。当該登録処理により、
図7や
図8に示すような訪問履歴情報が更新される。
【0034】
提供情報生成部14は、訪問履歴情報(
図7、
図8参照)と、施設の属性情報(
図5参照)とに基づき、顧客に提供する提供情報を生成する。提供情報生成部14は、さらに、顧客の属性情報(
図6参照)に基づき、顧客に提供する提供情報を生成することができる。提供情報生成部14は、例えば、提供情報として広告を生成することができる。
【0035】
例えば、提供情報生成部14は、訪問履歴情報で示される訪問した施設の属性情報や、顧客の属性情報に基づき、顧客の嗜好を推定してもよい。そして、提供情報生成部14は、推定結果に基づき、顧客の嗜好にあった広告を生成してもよい。嗜好の推定方法や、各嗜好にあった広告の生成方法は、あらゆる技術を利用して実現される。
【0036】
また、提供情報生成部14は、訪問履歴情報に基づき、顧客の現在位置を把握してもよい。そして、提供情報生成部14は、現在位置の周辺の施設(例:現在位置から所定の距離以内の施設)の広告を、顧客に提供する提供情報として生成してもよい。また、現在位置の周辺の施設であって、上記推定した顧客の嗜好にあった施設の広告を、顧客に提供する提供情報として生成してもよい。また、提供情報生成部14は、顧客が最初または最後に訪問した施設の属性や、顧客が各施設を訪問した順序に基づいて、顧客に提供する提供情報を生成してもよい。
【0037】
出力部15は、提供情報生成部14により生成された提供情報を顧客に提供する。出力部15は、例えば、顧客の携帯端末(例:スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、携帯電話等)にインストールされたアプリケーションを介して、提供情報を顧客に提供してもよいし、その他の手段で提供してもよい。
【0038】
次に、
図9のフローチャートを用いて、処理システム10の処理の流れの一例を説明する。取得部11が、顧客の生体情報、及び、端末装置20を特定するための第1の識別情報を端末装置20から受信すると、
図9の処理が実行される。
【0039】
まず、認証部12は、取得部11により取得された顧客の生体情報に基づき顧客認証を行い(S10)、認証結果を端末装置20に送信する(S11)。各施設のサービスシステム31-34は、認証結果に応じた処理を実行する。
【0040】
次に、顧客認証に成功した場合(S12のYes)、履歴登録部13は、その顧客の訪問履歴情報を更新する(S13)。具体的には、履歴登録部13は、その顧客の訪問履歴情報に、取得部11により取得された第1の識別情報で特定される施設を登録する。そして、処理が終了する。
【0041】
一方、顧客認証に失敗した場合(S12のNo)、訪問履歴情報が更新されずに、処理が終了する。
【0042】
次に、本実施形態の処理システム10の作用効果を説明する。処理システム10は、生体情報を用いた顧客認証を行ったリアル店舗の訪問履歴情報を生成することができる。そして、処理システム10は、このような訪問履歴情報と、施設の属性情報とに基づき、顧客に提供する提供情報を生成する。
【0043】
生体情報を用いて顧客認証まで行ったリアル店舗は、その顧客にとって真に興味を有する施設である可能性が高い。このような生体情報を用いて顧客認証を行ったリアル店舗の訪問履歴情報に基づき顧客に提供する提供情報を生成する処理システム10によれば、ユーザが興味を示すユーザ向けの情報(広告など)を高精度に生成することが可能となる。
【0044】
また、処理システム10は、各顧客の生体情報を管理するとともに、処理システム10が提供するサービスにおける顧客の識別情報と各事業体が提供する顧客の識別情報とを統合する情報を管理し、これらの情報を利用して、顧客認証を行うサービスを事業体に向けて行う。
【0045】
このようなサービスを利用することで、事業体は、生体情報に基づく顧客認証を行うためのシステムを自ら備えなくてもよくなる。結果、設備費用の負担が軽減される。また、事業体は、顧客の生体情報を自分で管理する必要がなくなる。結果、情報の安全保護責任が軽減される。例えばこのようなメリットを有するため、処理システム10が提供するサービスを受ける事業体の数が増えることが期待される。そして、処理システム10が提供するサービスを受ける事業体の数が増えるほど、顧客の訪問履歴情報をより集めやすくなる。このように、処理システム10は、顧客の訪問履歴情報をより集めやすくする構成を備える。
【0046】
<第2の実施形態>
図10に、本実施形態の処理システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、本実施形態の処理システム10は、事業体提供部17を有する点で、第1の実施形態の処理システム10と異なる。
【0047】
第1の実施形態で説明したように、履歴登録部13は、顧客毎に、各事業体が運営する施設への訪問履歴を示す訪問履歴情報を生成することができる(
図8参照)。すなわち、履歴登録部13は、事業体毎に、各事業体が運営する1つ又は複数の施設への訪問履歴を顧客毎に示す訪問履歴情報を生成することができる。
【0048】
そして、事業体提供部17は、事業体毎に生成された顧客各々の訪問履歴情報を事業体各々に提供する。なお、
図8に示すように、訪問履歴情報は、処理システム10が提供するサービスにおいて顧客を識別するための第1の顧客識別情報に紐付けて登録されている。そこで、事業体提供部17は、第1の顧客識別情報を、その事業体が提供するサービスにおいて顧客を識別するための第2の顧客識別情報に変換し、第2の顧客識別情報に紐付けて訪問履歴情報を事業体に提供する手段を備えてもよい。例えば、事業体提供部17は、第1の顧客識別情報と、事業体が顧客を識別するために利用する第2の顧客識別情報とを紐付けた情報(
図6参照)から、第1の顧客識別に紐付けられた第2の顧客識別情報を取得し、取得した第2の顧客識別情報を訪問履歴情報に紐付けて事業体に提供してもよい。
【0049】
事業体への訪問履歴情報の提供は、アプリケーションやウェブサイト等を介して実現されてもよいし、電子メールで実現されてもよいし、その他の手段で実現されてもよい。
【0050】
処理システム10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0051】
以上、本実施形態の処理システム10によれば、第1の実施形態の処理システム10と同様の作用効果が実現される。
【0052】
また、本実施形態の処理システム10によれば、各事業体に対して、各事業体が運営する施設への各顧客の訪問履歴を示す情報を提供することができる。このように、本実施形態の処理システム10によれば、訪問履歴情報を、提供情報を生成する目的だけでなく、事業体に有益な情報を提供する目的でも利用することができる。そして、事業体に有益な情報を提供することが可能となるので、処理システム10が提供するサービスを受ける事業体の数が増えることが期待される。そして、処理システム10が提供するサービスを受ける事業体の数が増えるほど、顧客の訪問履歴情報をより集めやすくなる。
【0053】
<変形例>
ここで、第1及び第2の実施形態の処理システム10に適用可能な変形例を説明する。処理システム10は、決済サービスを提供してもよい。例えば、顧客及び事業体は、施設での支払時に当該決済サービスを利用することができる。ウェブを介した決済サービスの詳細は特段制限されず、あらゆる技術を採用できる。
【0054】
なお、セキュリティ向上のため、端末装置20は、生体情報に加えて、付加情報のユーザ入力を受付けてもよい。付加情報は、パターン、パスワード等である。予め、各顧客に紐付けて付加情報が登録されている。そして、処理システム10は、認証部12による顧客認証に成功し、かつ、その顧客に紐付けて登録されている付加情報と端末装置20から受信した付加情報とが一致する場合に、端末装置20から受信した金額分の決済処理を実行してもよい。
【0055】
ここで、当該決済サービスでディスプレイに表示される画面の一例を示す。
図11は、会計金額を入力する画面である。例えば、店員又は顧客が会計金額を入力する。
図12は、顧客が付加情報を入力する画面である。当該例では、付加情報としてパターンが入力される。
図13及び
図14は、決済完了後に表示される画面の一例である。
【0056】
このように、処理システム10が決済サービスを提供することにより、処理システム10が提供するサービスを受ける事業体の数が増えることが期待される。そして、処理システム10が提供するサービスを受ける事業体の数が増えるほど、顧客の訪問履歴情報をより集めやすくなる。また、処理システム10は、生体情報に基づく顧客認証に加えて、付加情報の照合も行うので、セキュリティがより向上する。
【0057】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0058】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
1. 複数の端末装置各々から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した施設を識別する第1の識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段と、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証手段と、
顧客認証に成功した場合、前記顧客の訪問履歴情報に、前記第1の識別情報で特定される施設を登録する履歴登録手段と、
前記訪問履歴情報と、前記施設の属性情報とに基づき、前記顧客に提供する提供情報を生成する提供情報生成手段と、
を有する処理システム。
2. 前記提供情報生成手段は、前記提供情報として広告を生成する1に記載の処理システム。
3. 前記提供情報生成手段は、さらに前記顧客の属性情報に基づき、前記提供情報を生成する1又は2に記載の処理システム。
4. 前記履歴登録手段は、前記事業体毎に前記顧客各々の前記訪問履歴情報を生成し、
前記事業体毎に生成された前記顧客各々の前記訪問履歴情報を前記事業体各々に提供する事業体提供手段をさらに有する1から3のいずれかに記載の処理システム。
5. 前記訪問履歴情報は、前記顧客を識別する第1の顧客識別情報に紐付けて登録されており、
前記事業体提供手段は、前記第1の顧客識別情報と、前記事業体が前記顧客を識別するために利用する第2の顧客識別情報とを紐付けた情報から、前記第1の顧客識別に紐付けられた前記第2の顧客識別情報を取得し、前記訪問履歴情報に紐付けて前記第2の顧客識別情報を提供する4に記載の処理システム。
6. コンピュータが、
複数の端末装置各々から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した施設を識別する第1の識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得し、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行い、
顧客認証に成功した場合、前記顧客の訪問履歴情報に、前記第1の識別情報で特定される施設を登録し、
前記訪問履歴情報と、前記施設の属性情報とに基づき、前記顧客に提供する提供情報を生成する処理方法。
7. コンピュータを、
複数の端末装置各々から、前記端末装置又は前記端末装置を設置した施設を識別する第1の識別情報と、前記端末装置に入力された顧客の生体情報とを取得する取得手段、
前記顧客の生体情報に基づき顧客認証を行う認証手段、
顧客認証に成功した場合、前記顧客の訪問履歴情報に、前記第1の識別情報で特定される施設を登録する履歴登録手段、
前記訪問履歴情報と、前記施設の属性情報とに基づき、前記顧客に提供する提供情報を生成する提供情報生成手段、
として機能させるプログラム。