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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車
(51)【国際特許分類】
   F01P 7/16 20060101AFI20241112BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20241112BHJP
   F01P 3/18 20060101ALI20241112BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241112BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241112BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20241112BHJP
【FI】
F01P7/16 501
B60W10/30 ZHV
B60W10/30 900
F01P3/18 Q
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/633
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023129354
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 健
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-274240(JP,A)
【文献】特開2008-290636(JP,A)
【文献】特開2013-095409(JP,A)
【文献】特開2014-182934(JP,A)
【文献】特開2014-218135(JP,A)
【文献】特開2015-085699(JP,A)
【文献】特開2017-076530(JP,A)
【文献】特開2019-089524(JP,A)
【文献】特開2019-156108(JP,A)
【文献】特開2020-133588(JP,A)
【文献】特開2020-274240(JP,A)
【文献】特開2021-008873(JP,A)
【文献】特開2021-139305(JP,A)
【文献】特開2023-108964(JP,A)
【文献】国際公開第2020/084964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/30
F01P 3/18
F01P 7/14
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてのエンジンと、
前記エンジンを冷却するエンジン冷却装置と、
駆動源としてのモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリーを冷却するバッテリー冷却装置と、
前記エンジンと前記バッテリーとの間で熱交換する熱交換装置であって、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置とを選択的に接続することにより、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置との間で熱交換可能である熱交換装置と、
前記エンジン冷却装置、前記バッテリー冷却装置及び前記熱交換装置を駆動制御して、前記バッテリーの温度が充電時の目標温度となるように前記熱交換装置を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記エンジンの温度及び前記バッテリーの温度に応じて前記熱交換装置の接続状態並びに前記エンジン冷却装置及び前記バッテリー冷却装置の駆動状態を決定する決定手段と、
前記決定された接続状態及び駆動状態に応じて、前記熱交換装置の接続状態を切り換え制御するとともに、前記エンジン冷却装置及び前記バッテリー冷却装置をそれぞれ駆動制御する制御手段と、
前記バッテリーの充電が開始されたことを示す信号を取得する信号取得手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記信号に基づいて前記切り換え制御及び前記駆動制御を開始する、
ハイブリッド自動車。
【請求項2】
前記エンジンの温度を検出するエンジン温度検出装置と、
前記バッテリーの温度を検出するバッテリー温度検出装置と、
をさらに有し、
前記制御装置は、
前記エンジン温度検出装置から前記エンジンの温度を取得するエンジン温度取得手段と、
前記バッテリー温度検出装置から前記バッテリーの温度を取得するバッテリー温度取得手段と、
をさらに有する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記バッテリーの温度が前記目標温度より高く、かつ前記エンジンの温度が前記目標温度より高い場合には、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置を前記熱交換装置が切り離し、前記バッテリー冷却装置により前記バッテリーを冷却すると決定する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記バッテリーの温度が前記目標温度より高く、かつ前記エンジンの温度が前記目標温度より低い場合には、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置を前記熱交換装置が接続し、前記バッテリーを冷却して前記エンジンを温めると決定する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項5】
前記決定手段は、
前記バッテリーの温度が前記目標温度より低く、かつ前記エンジンの温度が前記目標温度より高い場合には、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置を前記熱交換装置が接続し、前記エンジンを冷却して前記バッテリーを温めると決定する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項6】
前記決定手段は、
前記バッテリーの温度が前記目標温度より低く、かつ前記エンジンの温度が前記目標温度より低い場合には、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置を前記熱交換装置が切り離し、前記バッテリー冷却装置を停止すると決定する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれかに記載されたハイブリッド自動車を充電する方法であって、
前記バッテリーの温度が前記目標温度となるように前記制御装置が前記熱交換装置を制御しながら前記バッテリーを充電する、
ハイブリッド自動車の充電方法。
【請求項8】
エンジンと、
第1のラジエータと、
前記エンジンから前記第1のラジエータへ向かう冷却水が流れる第1の経路と、
前記第1のラジエータから前記エンジンへ向かう冷却水が流れる第2の経路と、
バッテリーと、
第2のラジエータと、
前記バッテリーから前記第2のラジエータへ向かう冷却水が流れる第3の経路と、
前記第2のラジエータから前記バッテリーへ向かう冷却水が流れる第4の経路と、
前記第1の経路と前記第3の経路とを接続する第5の経路と、
前記第2の経路と前記第4の経路とを接続する第6の経路と、
前記第3の経路を流れる冷却水が前記第2のラジエータへ向かう状態と前記第5の経路を経由して前記第1の経路へ向かう状態とを切り換える第1の切換装置と、
前記第2の経路を流れる冷却水が前記エンジンへ向かう状態と前記第6の経路を経由して前記前記第4の経路へ向かう状態とを切り換える第2の切換装置と、
前記第1の切換装置及び第2の切換装置を切り換え制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記バッテリーを充電する際に、前記バッテリーの温度と前記エンジンの温度とに応じて前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を切り換え制御して、前記バッテリーの冷却又は暖機を選択的に行う、
ハイブリッド自動車。
【請求項9】
前記バッテリーの温度を検出するバッテリー温度検出装置と、
前記エンジンの温度として前記エンジンを経由した直後の冷却水の温度を検出する冷却水温度検出装置と、
をさらに有し、
前記制御装置は、
前記バッテリーの温度と、前記冷却水の温度と、前記バッテリーを充電する際の前記バッテリーの目標温度と、を取得して、前記切り換え制御を行う、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項10】
前記バッテリーの温度が前記目標温度より高く、かつ前記冷却水の温度が前記目標温度より低い場合には、前記制御装置は、前記バッテリーを経由した冷却水が前記第5の経路を経由して前記エンジンへ向かい、前記エンジンを経由した冷却水が前記第6の経路を経由して前記バッテリーへ向かうよう、前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を切り換え制御する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項11】
前記バッテリーの温度が前記目標温度より低く、かつ前記冷却水の温度が前記目標温度より高い場合には、前記制御装置は、前記バッテリーを経由した冷却水が前記第5の経路を経由して前記エンジンへ向かい、前記エンジンを経由した冷却水が前記第6の経路を経由して前記バッテリーへ向かうよう、前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を切り換え制御する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項12】
前記バッテリーの温度が前記目標温度より高く、かつ前記冷却水の温度が前記目標温度より高い場合には、前記制御装置は、前記バッテリーを経由した冷却水が前記第3の経路を経由して前記第2のラジエータへ向かい、前記第2のラジエータを経由した冷却水が前記第4の経路を経由して前記バッテリーへ向かうよう、前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を切り換え制御する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項13】
前記バッテリーの温度が前記目標温度より低く、かつ前記冷却水の温度が前記目標温度より低い場合には、前記制御装置は、前記バッテリーを経由した冷却水が前記第3の経路を経由して前記第2のラジエータへ向かい、前記第2のラジエータを経由した冷却水が前記第4の経路を経由して前記バッテリーへ向かうよう、前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を切り換え制御する、
請求項に記載のハイブリッド自動車。
【請求項14】
請求項に記載のハイブリッド自動車を充電する方法であって、
前記制御装置が前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を制御して前記バッテリーを冷却又は暖機しながら充電する、
ハイブリッド自動車の充電方法。
【請求項15】
請求項9乃至13のいずれかに記載のハイブリッド自動車を充電する方法であって、
前記バッテリーの温度が前記目標温度となるように前記制御装置が前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を制御して前記バッテリーを冷却又は暖機しながら充電する、
ハイブリッド自動車の充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド自動車に関するものであり、特にプラグインハイブリッドカー(PHEV)のバッテリー温度調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動源としてエンジンとモータを有するハイブリッド自動車において、バッテリーの残量が減ってくるとバッテリーに充電器を接続して充電が行われる。バッテリーを充電する際には、バッテリーの種類にもよるが、Liイオンバッテリー場合にはバッテリーの温度が30~40度程度であると効率的であるといわれている。バッテリーの温度が適切でない状態で充電をすると、充電の効率が悪く、バッテリーの劣化の原因にもなる。
【0003】
そこで、充電効率を上げ、バッテリーの劣化を防ぐために、従来ではバッテリーにヒータを設けて温めたり、冷却水を流して冷却したりしてバッテリーの温度を調整しながら充電していた。
【0004】
図8は、ハイブリッド自動車のエンジン5及びバッテリー15の冷却装置の一例である。エンジン5を冷却して温まった冷却水は、第1のポンプ13によって第1の経路9を経由して第1のラジエータ7に送られて空気中へ放熱される。第1のラジエータ7を通過して温度が下がった冷却水は、第2の経路11を経由して再びエンジン5に送られてエンジン5を冷却する。一方、バッテリー15を冷却して温まった冷却水は、第2のポンプ23によって第3の経路19を経由して第2のラジエータ17へ送られて同じく空気中へ放熱される。第2のラジエータ17を通過して温度が下がった冷却水は、第4の経路21を経由して再びバッテリー15に送られてバッテリー15を冷却する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却水でバッテリーを冷却する場合には、バッテリーを冷却した冷却水の熱はラジエータを通じて外部に放出されていた。また、ヒータでバッテリーを温めるには多くのエネルギーを消費していた。
【0006】
本開示では、エネルギー効率の良いハイブリッド自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のハイブリッド自動車は、駆動源としてのエンジンと、前記エンジンを冷却するエンジン冷却装置と、駆動源としてのモータと、前記モータに電力を供給するバッテリーと、前記バッテリーを冷却するバッテリー冷却装置と、前記エンジンと前記バッテリーとの間で熱交換する熱交換装置であって、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置とを選択的に接続することにより、前記エンジン冷却装置と前記バッテリー冷却装置との間で熱交換可能である熱交換装置と、前記エンジン冷却装置、前記バッテリー冷却装置及び前記熱交換装置を駆動制御して、前記バッテリーの温度が充電時の目標温度となるように前記熱交換装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記エンジンの温度及び前記バッテリーの温度に応じて前記熱交換装置の接続状態並びに前記エンジン冷却装置及び前記バッテリー冷却装置の駆動状態を決定する決定手段と、前記決定された接続状態及び駆動状態に応じて、前記熱交換装置の接続状態を切り換え制御するとともに、前記エンジン冷却装置及び前記バッテリー冷却装置をそれぞれ駆動制御する制御手段と、前記バッテリーの充電が開始されたことを示す信号を取得する信号取得手段と、を有し、前記制御手段は、前記信号に基づいて前記切り換え制御及び前記駆動制御を開始する。
【0008】
また、本開示のハイブリッド自動車は、エンジンと、第1のラジエータと、前記エンジンから前記第1のラジエータへ向かう冷却水が流れる第1の経路と、前記第1のラジエータから前記エンジンへ向かう冷却水が流れる第2の経路と、バッテリーと、第2のラジエータと、前記バッテリーから前記第2のラジエータへ向かう冷却水が流れる第3の経路と、前記第2のラジエータから前記バッテリーへ向かう冷却水が流れる第4の経路と、前記第1の経路と前記第3の経路とを接続する第5の経路と、前記第2の経路と前記第4の経路とを接続する第6の経路と、前記第3の経路を流れる冷却水が前記第2のラジエータへ向かう状態と前記第5の経路を経由して前記第1の経路へ向かう状態とを切り換える第1の切換装置と、前記第2の経路を流れる冷却水が前記エンジンへ向かう状態と前記第6の経路を経由して前記前記第4の経路へ向かう状態とを切り換える第2の切換装置と、前記第1の切換装置及び第2の切換装置を切り換え制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記バッテリーを充電する際に、前記バッテリーの温度と前記エンジンの温度とに応じて前記第1の切換装置及び前記第2の切換装置を切り換え制御して、前記バッテリーの冷却又は暖機を選択的に行う。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バッテリーの温度が低くエンジンの温度が高い場合には、エンジンの熱でバッテリーを温めるので、ヒータでバッテリーを温める必要がない。また、バッテリーの温度が高くエンジンの温度が低い場合には、バッテリーの熱でエンジンを温めるので、熱を外部に放出することなくエネルギーの無駄がない。そして、バッテリーの温度を適切に維持した状態で充電でき、バッテリーの劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のバッテリー温度調整装置を示す模式図である。
図2】実施形態の動作を示す模式図である。
図3】実施形態の動作を示す模式図である。
図4】バッテリー温度調整装置の機能構成図である。
図5】バッテリー及びエンジンの温度による場合分けを示す図である。
図6】バッテリー温度調整装置のフローチャートである。
図7】変形例を示す模式図である。
図8】従来技術を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に沿って本開示の実施の形態の一例を説明する。図1は、本実施の形態に係るハイブリッド自動車のバッテリー温度調整装置1の全体構成を示す模式図である。エンジン5を冷却するエンジン冷却装置2は、第1の経路9、第1のラジエータ7及び第2の経路11を経由する回路を冷却水が流れ、第1の経路9に設けられた第1のポンプ13によって冷却水が循環されるよう構成されている。第1のラジエータ7には図示しないファンが設けられており、ファンを駆動することによって第1のラジエータ7の放熱効率を上げることができる。第1のポンプ13とファンは、制御装置41(図4参照)によって駆動制御される。
【0012】
バッテリー15を冷却するバッテリー冷却装置3は、第3の経路19、第2のラジエータ17及び第4の経路21を経由する回路を冷却水が流れ、第3の経路19に設けた第2のポンプ23によって冷却水が循環されるよう構成されている。第2のラジエータ17には図示しないファンが設けられており、ファンを駆動することによって第2のラジエータ17の放熱効率を上げることができる。第2のポンプ23とファンは、図示しない制御装置41によって駆動制御される。
【0013】
本開示の熱交換装置4は、エンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3の間で熱交換が可能な装置である。この実施の形態では、熱交換装置4は、第3の経路19に設けられた第1の三方弁25と、第1の三方弁25に接続されて第3の経路19から分岐して第1の経路9に接続する第5の経路27と、第2の経路11に設けられた第2の三方弁29と、第2の三方弁29に接続されて第2の経路11から分岐して第2の経路21に接続する第6の経路31とを有する。
【0014】
第1の経路9と第3の経路19は第5の経路27で接続されており、第1の経路9から第3の経路19へ、または逆に第3の経路19から第1の経路9へ、第5の経路27を経由して冷却水が流れるようになっている。第1の三方弁25は、バッテリー15側の第3の経路19と第2のラジエータ17側の第3の経路19を繋ぐ状態と、バッテリー15側の第3の経路19と第5の経路27を繋ぐ状態とを切り換えられるようになっている。第1の三方弁25は、図示しない制御装置41によって駆動制御される。
【0015】
第2の経路11と第4の経路21は第6の経路31で接続されており、第2の経路11から第4の経路21へ、または逆に第4の経路21から第2の経路11へ、第6の経路31を経由して冷却水が流れるようになっている。第2の三方弁29は、第1のラジエータ7側の第2の経路11とエンジン5側の第2の経路11を繋ぐ状態と、エンジン5側の第2の経路11と第6の経路31を繋ぐ状態とを切り換えられるようになっている。第2の三方弁29は、図示しない制御装置41によって駆動制御される。
【0016】
第1の経路9には、冷却水の温度を測定する冷却水温度センサ6(エンジン温度検出装置の一例)が設けられており、測定値は図示しない制御装置41に送られる。また、バッテリー15には、バッテリーの温度を測定するバッテリー温度センサ16(バッテリー温度検出装置の一例)が設けられており、測定値は図示しない制御装置41に送られる。
【0017】
バッテリー15は、充電器33により充電可能となっている。バッテリー15と充電器33との接続は一般的な差込プラグを介して行われる。
【0018】
図2は、熱交換装置4がエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を接続した状態を示す。第1の三方弁25はバッテリー15側の第3の経路19と第5の経路27を繋ぎ、第2の三方弁29はエンジン5側の第2の経路11と第6の経路31を繋ぐようにそれぞれ切り換えられている。
【0019】
この状態で第2のポンプ23を駆動すると、エンジン5を経由した冷却水は、第2の経路11、第6の経路31、第4の経路21、バッテリー15、第3の経路19、第5の経路27、第1の経路9を循環して、エンジン5とバッテリー15の間で熱交換が行われる。
【0020】
図3は、熱交換装置4がエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を切り離した状態を示す。第1の三方弁25はバッテリー15側の第3の経路19と第2のラジエータ17側の第3の経路19を繋ぎ、第2の三方弁29は第1のラジエータ7側の第2の経路11とエンジン5側の第2の経路11を繋ぐようにそれぞれ切り換えられている。
【0021】
この状態で第1のポンプ13及び第1のラジエータ7のファンを駆動すると、エンジン5を経由した冷却水は、第1の経路9、第1のラジエータ7、第2の経路11を循環して、エンジン5の冷却が行われる。また、第2のポンプ23及び第2のラジエータ17のファンを駆動すると、バッテリー15を経由した冷却水は、第3の経路19、第2のラジエータ17、第2の経路21を循環して、バッテリー15の冷却が行われる。
【0022】
図4は、本実施の形態の制御装置41の機能構成図である。エンジン温度取得手段43は、エンジン温度検出装置6が検出したエンジンの温度Teを取得する。バッテリー温度取得手段45は、バッテリー温度検出装置16が検出したバッテリーの温度Tbを取得する。決定手段47は、エンジンの温度Teとバッテリーの温度Tbをバッテリーの目標温度Tと比較して、エンジン冷却装置2、バッテリー冷却装置3及び熱交換装置4の制御内容を決定する。ここで、バッテリーの目標温度Tとは、バッテリーを充電する際のバッテリーの温度であって、充電効率がよく劣化が避けられる温度として予め定められており、具体的にはバッテリーの種類等に応じて約30度から40度の間で定められる。制御手段49は、決定手段47が決定した内容に応じて、エンジン冷却装置2、バッテリー冷却装置3、熱交換装置4をそれぞれ駆動制御する。
【0023】
図5は、決定手段47が決定する内容を示す。バッテリー15の温度Tbがバッテリー15を充電する際の目標温度Tよりも高く、エンジン5の温度Teが目標温度Tよりも高い場合には、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を切り離し、バッテリー冷却装置3でバッテリー15を冷却すると判断する(1)。
【0024】
バッテリー15の温度Tbが目標温度Tよりも高く、エンジン5の温度Teが目標温度Tよりも低い場合には、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を接続し、バッテリー15を冷却した冷却水でエンジン5を暖機すると判断する(2)。
【0025】
バッテリー15の温度Tbが目標温度Tよりも低く、エンジン5の温度Teが目標温度Tよりも高い場合には、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を接続し、エンジン5を冷却した冷却水でバッテリー15を温めると判断する(3)。
【0026】
バッテリー15の温度Tbが目標温度Tよりも低く、エンジン5の温度Teが目標温度Tよりも低い場合には、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を切り離し、バッテリー冷却装置3を停止すると判断する(4)。
【0027】
図6は、本実施の形態の動作の流れの一例を示すフローチャートである。バッテリー15の充電が開始されると(ステップS1)、制御装置41は、エンジン5の温度Teとバッテリー15の温度Tbを取得する(ステップS3)。エンジン5の温度Teは、エンジン5の所定の位置に設けられた温度センサで検出することによって取得してもよいし、エンジン5を通過若しくは近傍を流れる冷却水の温度を検出することによって取得してもよい。そして、バッテリー15の温度Tbと目標温度Tを比較して(ステップS5)、バッテリー15の温度Tbが高ければ(ステップS5がYesなら)、エンジン5の温度Teと目標温度Tを比較する(ステップS7)。エンジン5の温度Teが高ければ(ステップS7がYesなら)、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を切り離し、バッテリー冷却装置3を駆動してバッテリー15を冷却する(ステップS9)。一方、ステップS7でエンジン5の温度Teが低ければ(ステップS7がNoなら)、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を接続し、バッテリー15とエンジン5に冷却水を循環させて、バッテリー15を冷却してエンジン5を温める(ステップS11)。
【0028】
ステップS5でバッテリー15の温度Tbが目標温度Tよりも低ければ(ステップS5がNoなら)、エンジン5の温度Teと目標温度Tを比較する(ステップS13)。エンジン5の温度Teが高ければ(ステップS13がYesなら)、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を接続し、バッテリー15とエンジン5に冷却水を循環させて、エンジン5を冷却してバッテリー15を温める(ステップS15)。一方、ステップS13でエンジン5の温度Teが低ければ(ステップS13がNoなら)、熱交換装置4はエンジン冷却装置2とバッテリー冷却装置3を切り離し、バッテリー冷却装置3は停止する(ステップS17)。
【0029】
制御装置41は、バッテリー15の充電状態を確認し、充電を終了できるかを判定する(ステップS19)。充電を終了できない場合には(ステップS19がNoなら)、制御装置41は、ステップS5からステップS19を充電を終了できるようになるまで繰り返す。ステップS19で充電が十分であると判定されると(ステップS19がYesなら)、充電を終了する(ステップS21)。
【0030】
図7は、熱交換装置4の変形例を示す。この例では、エンジン冷却装置2の第1の経路9とバッテリー冷却装置3の第3の経路19の間に熱交換器35を設けている。制御装置41は、エンジン5の温度Teとバッテリー15の温度Tbを取得して、それぞれの温度に応じてエンジン冷却装置2の第1のポンプ13とバッテリー冷却装置3の第2のポンプ23を駆動制御してそれぞれの冷却水の流量を制御する。具体的には、エンジンの温度Teが目標温度Tよりも高く、バッテリーの温度Tbが目標温度Tよりも高い場合には、第2のポンプ23を駆動してバッテリー冷却装置3によりバッテリー15を冷却する。
【0031】
バッテリー15の温度Tbが目標温度Tよりも高く、エンジン5の温度Teが目標温度Tよりも低い場合には、第1のポンプ13及び第2のポンプ23を駆動して第3の経路19と第1の経路9の間で熱交換をすることにより、バッテリー15を冷却してエンジン5を温める。
【0032】
バッテリー15の温度Tbが目標温度Tよりも低く、エンジン5の温度Teが目標温度Tよりも高い場合には、第1のポンプ13及び第2のポンプ23を駆動して第3の経路19と第1の経路9の間で熱交換をすることにより、エンジン5を冷却してバッテリー15を温める。
【0033】
バッテリー15の温度Tbが目標温度Tよりも低く、エンジン5の温度Teが目標温度Tよりも低い場合には、第2のポンプ23を停止してバッテリー冷却装置3の駆動を停止する。
【0034】
以下、本開示のハイブリッド自動車のバッテリーに充電する場合について説明する。モータ駆動を主体で走行した場合、バッテリーは温まり、エンジンは冷えている。この状態で充電するには、バッテリーを冷却する必要がある場合がある。そこで、エンジン冷却装置とバッテリー冷却装置を熱交換装置で接続することにより、バッテリーを冷却すると同時にバッテリーの熱でエンジンを温められる。また、エンジンが十分に冷えていれば、第2のラジエータのファンの駆動をすることなくバッテリーを冷却できるので、より省エネルギー化できる。
【0035】
エンジン駆動を主体で走行した場合、エンジンは温まり、バッテリーは冷えている。この状態で充電するには、バッテリーを温める必要がある場合がある。そこで、エンジン冷却装置とバッテリー冷却装置を接続することにより、エンジンを冷却すると同時にエンジンの熱でバッテリーを温められ、バッテリーの温度を早期に充電時の目標温度に到達させられる。
【0036】
以上、図面に沿って実施の形態を説明したが、上記の実施の形態の変形例としては、例えば以下のものがある。
【0037】
バッテリーを温めるヒータを設け、バッテリー温度が目標温度よりも低くかつエンジン温度が目標温度よりも低い場合には、ヒータによりバッテリーを温めるようにしてもよい。これにより、バッテリーの充電効率を高め、劣化を防止できる。
【0038】
充電時のバッテリーの目標温度は所定の値とする以外にも、所定の温度範囲を設定することもできる。これにより、より効率的にバッテリーの充電を行うことができる。
【0039】
熱交換装置は上記の例の他にも、バッテリーとエンジンの間で熱交換ができればどのような構造のものでも構わない。
【0040】
上記の例ではエンジンの冷却水の温度を検出してエンジンの温度としていたが、エンジンの温度を直接検出しても構わない。また、バッテリーの冷却水の温度を検出してバッテリーの温度としても構わない。
【0041】
上記の例ではバッテリーの充電時にバッテリーとエンジンの間で熱交換を行っているが、充電する前に熱交換を始動してもよい。例えば、エンジンで走行中にバッテリーの温度が低下してきたら、エンジンの熱でバッテリーを温めてもよい。これにより、バッテリーの充電が必要になったときにすぐにバッテリーを目標温度にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示は、ハイブリッド自動車に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 バッテリー温度調整装置
2 エンジン冷却装置
3 バッテリー冷却装置
5 エンジン
6 冷却水温度センサ
7 第1のラジエータ
9 第1の経路
11 第2の経路
13 第1のポンプ
15 バッテリー
16 バッテリー温度センサ
17 第2のラジエータ
19 第3の経路
21 第4の経路
23 第2のポンプ
25 第1の三方弁
27 第5の経路
29 第2の三方弁
31 第6の経路
33 充電器
35 熱交換器
【要約】
【課題】エネルギー効率の良いハイブリッド自動車を提供する。
【解決手段】駆動源としてのエンジンと、駆動源としてのモータと、前記モータに電力を供給するバッテリーと、前記エンジンと前記バッテリーとの間で熱交換する熱交換装置と、前記バッテリーの温度が充電時の目標温度となるように前記熱交換装置を制御する制御装置と、を有するハイブリッド自動車。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8