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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】光変調装置及びプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20241112BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241112BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G02F1/1333
G03B21/00 E
G03B21/16
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023189197
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2021056134の分割
【原出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2024003114
(43)【公開日】2024-01-11
【審査請求日】2024-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】門谷 典和
(72)【発明者】
【氏名】福山 孝典
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】森脇 稔
(72)【発明者】
【氏名】内山 傑
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-089721(JP,A)
【文献】特開平03-126011(JP,A)
【文献】特開平09-022013(JP,A)
【文献】特開2018-017963(JP,A)
【文献】特開2006-227072(JP,A)
【文献】特開2021-018367(JP,A)
【文献】特開2008-197344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0341328(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0036835(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G03B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配置された画素配置領域を有する光変調装置であって、
第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向して配置された第2基板とを有する液晶パネルと、
前記液晶パネルに対する光入射側の部分と光出射側の部分とのうちの一方に配置され、作動流体が封入された中空空間を有する平板状のベイパーチャンバーと、
前記画素配置領域に応じた前記第2基板の部分に設けられた透光性基板と、
前記液晶パネルに対する光入射側の部分と光出射側の部分とのうちの他方に配置され、前記ベイパーチャンバーと組み合わされて、前記液晶パネル及び前記透光性基板を内部に収容する保持筐体と、
を備え、
前記ベイパーチャンバーは、
前記透光性基板が配置される開口部と、
前記液晶パネルに接続されて、前記液晶パネルの熱を受熱し、液相の前記作動流体を蒸発させる蒸発部と、
気相の前記作動流体を凝縮する凝縮部と、を有し、
前記開口部の内縁は、前記蒸発部の一部であり、前記透光性基板の側面と熱的に接続されている、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調装置において、
前記ベイパーチャンバーは、前記第2基板側から前記第2基板とは反対側に折り曲げられた折曲部を有し、
前記折曲部は、前記開口部の内縁を形成している、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光変調装置において、
前記凝縮部は、前記液晶パネルに対する光入射側から見て前記透光性基板の外側に延在している、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項4】
複数の画素が配置された画素配置領域を有する光変調装置であって、
第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向して配置された第2基板とを有する液晶パネルと、
前記液晶パネルに対する光入射側の部分と光出射側の部分とのうちの一方に配置され、作動流体が封入された中空空間を有する平板状のベイパーチャンバーと、
前記画素配置領域に応じた前記第2基板の部分に設けられた透光性基板と、
前記液晶パネルに対する光入射側の部分と光出射側の部分とのうちの他方に配置され、前記ベイパーチャンバーと組み合わされて、前記液晶パネル及び前記透光性基板を内部に収容する保持筐体と、
第1放熱部材と、
第2放熱部材と、
を備え、
前記ベイパーチャンバーは、
前記透光性基板が配置される開口部と、
前記液晶パネルに接続されて、前記液晶パネルの熱を受熱し、液相の前記作動流体を蒸発させる蒸発部と、
前記液晶パネルに対する光入射側から見て第1方向に前記開口部から延在し、気相の前記作動流体を凝縮する第1凝縮部と、
前記液晶パネルに対する光入射側から見て前記第1方向とは反対側の第2方向に前記開口部から延在し、気相の前記作動流体を凝縮する第2凝縮部と、を有し、
前記第1放熱部材は、前記第1凝縮部に配置され、
前記第2放熱部材は、前記第2凝縮部に配置されている、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光変調装置において、
前記第1放熱部材は、前記液晶パネルに対する光入射側に配置され、
前記第2放熱部材は、前記液晶パネルに対する光出射側に配置されている、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の光変調装置において、
前記第1凝縮部及び前記第2凝縮部のそれぞれは、前記液晶パネルに対する光入射側から見て前記透光性基板の外側に延在している、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光変調装置において、
前記ベイパーチャンバーは、前記液晶パネルに対する光入射側から見て前記透光性基板の外側に延在した部分に設けられ、前記作動流体が注入されて密封される封入部を有する、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項8】
光源と、
前記光源から出射される光を変調する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光変調装置と、
前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
光源と、
前記光源から出射される光を変調する、複数の画素が配置された画素配置領域を有する光変調装置と、
前記光変調装置を冷却する冷却装置と、
を備え、
前記光変調装置は、
第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向して配置された第2基板とを有する液晶パネルと、
前記液晶パネルに対する光入射側の部分と光出射側の部分とのうちの一方に配置され、作動流体が封入された中空空間を有する平板状のベイパーチャンバーと、
前記ベイパーチャンバーに配置された放熱部材と、
前記液晶パネルに対する光入射側の部分と光出射側の部分とのうちの他方に配置され、前記ベイパーチャンバーと組み合わされて、前記液晶パネルを内部に収容する保持筐体と、を有し、
前記ベイパーチャンバーは、
前記液晶パネルに接続されて、前記液晶パネルの熱を受熱し、液相の前記作動流体を蒸発させる蒸発部と、
気相の前記作動流体を凝縮する凝縮部と、を有し、
前記放熱部材は、前記凝縮部に配置され、気相の前記作動流体から伝達された熱を放熱し、
前記冷却装置は、
前記画素配置領域から前記放熱部材に向かう第1方向に沿って前記放熱部材に冷却気体を流通させる第1流通部と、
前記第1方向に交差する第2方向に沿って前記放熱部材に冷却気体を流通させる第2流通部と、を有する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
請求項9に記載のプロジェクターにおいて、
前記凝縮部は、前記液晶パネルに対する光入射側から見て前記液晶パネルの接続部分から前記画素配置領域の外側に延在している、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載のプロジェクターにおいて、
前記放熱部材は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って冷却気体が流通可能な複数のフィンを有する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光変調装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却風を流通させる冷却ファンと、冷却風によって冷却される液晶表示素子と、を備える液晶プロジェクターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、循環される液体冷媒によって発熱体を冷却する冷却システムを備えた電子機器が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の冷却システムは、液体冷媒を貯留するタンクと、タンクに貯留された液体冷媒を送出するポンプと、ポンプによって送出された液体冷媒に発熱体から吸収した熱を伝達する受熱部と、液体冷媒に伝達された熱を放熱して液体冷媒を冷却する放熱部と、を有する。放熱部にて冷却された液体冷媒は、タンクに貯留され、これにより、液体冷媒が冷却システムにて循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-107698号公報
【文献】特開2007-294655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プロジェクターは、小型化が要望されている。これらの要望に対して、小型の光変調装置を採用し、投射光学装置を小型化することによって、プロジェクターを小型化することが考えられる。しかしながら、小型の光変調装置では、光変調装置における光密度の増大に応じて熱密度が増大し、光変調装置の冷却が十分に行われない可能性がある。
特許文献1に記載の液晶プロジェクターのように、冷却風を流通させて光変調装置を冷却する場合、光変調装置を十分に冷却するためには冷却風の風量を大きくする必要がある。これに対し、大型の冷却ファンを採用すると、プロジェクターの大型化に繋がるという問題があり、冷却ファンを高速で駆動させると、騒音が大きくなるという問題がある。
特許文献2に記載の冷却システムにおいても、液体冷媒の送出量を増やすためには、大型のポンプを採用する必要がある等の要因によって、冷却システムの大型化、ひいては、プロジェクターの大型化に繋がるという問題がある。
このため、小型化した場合でも冷却効率を高めることができる光変調装置が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る光変調装置は、複数の画素が配置された画素配置領域を有する光変調装置であって、第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向して配置された第2基板と、前記第2基板に対して前記第1基板とは反対側に配置され、前記第2基板と熱的に接続された冷却部材と、を備え、前記冷却部材は、作動流体が封入された中空空間を有し、液相の前記作動流体を気相の前記作動流体に変化させることによって、前記第2基板を介して前記液晶層を冷却する。
【0006】
本開示の第2態様に係るプロジェクターは、光源と、前記光源から出射される光を変調する上記第1態様に係る光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【0007】
本開示の第3態様に係るプロジェクターは、光源と、前記光源から出射される光を変調する上記第1態様に係る光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、前記冷却部材に冷却気体を流通させる冷却装置と、を備え、前記冷却装置は、前記画素配置領域から前記第1放熱部材に向かう第1方向に前記冷却気体を流通させる第1流通部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るプロジェクターの構成を示す模式図。
図2】第1実施形態に係る画像形成ユニットを示す斜視図。
図3】第1実施形態に係る光変調装置及び保持部材を示す分解斜視図。
図4】第1実施形態に係る光変調装置及び保持部材を示す分解斜視図。
図5】第1実施形態に係る光変調装置を示す断面図。
図6】第1実施形態に係る冷却部材の本体部を示す斜視図。
図7】第1実施形態に係る受熱基板の内面を示す模式図。
図8】第1実施形態に係る放熱基板の内面を示す模式図。
図9】第1実施形態に係る複数の柱状体の他のレイアウトを示す模式図。
図10】第1実施形態に係る本体部に取り付けられた第1放熱部材を示す斜視図。
図11】第1実施形態に係る第1放熱部材の変形を示す斜視図。
図12】第1実施形態に係る冷却装置の一部を示す斜視図。
図13】第1実施形態に係る光変調装置を流通する冷却気体の流れを示す模式図。
図14】第2実施形態に係るプロジェクターが備える冷却装置のダクトを示す斜視図。
図15】第2実施形態に係るダクト及び光変調装置を示す斜視図。
図16】第2実施形態に係る光変調装置を示す図。
図17】第2実施形態に係る第1放熱部材の変形を示す斜視図。
図18】第3実施形態に係るプロジェクターが備える光変調装置の冷却部材及び第2防塵部材を示す斜視図。
図19】第3実施形態に係る冷却部材及び第2防塵部材を示す断面図。
図20】第4実施形態に係るプロジェクターが備える光変調装置を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像をスクリーン等の被投射面に拡大投射する。プロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2及び画像投射装置3を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1を構成する冷却対象を冷却する冷却装置7A(図12参照)、プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1の動作を制御する制御装置を備える。
【0010】
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、プロジェクター1の外装を構成し、画像投射装置3、冷却装置7A、電源装置及び制御装置を内部に収容する。
外装筐体2は、正面部21、背面部22、左側面部23及び右側面部24を有する。図示を省略するが、外装筐体2は、各面部21~24における一方の端部間を接続する天面部と、各面部21~24における他方の端部間を接続する底面部と、を有する。外装筐体2は、例えば略直方体形状に形成される。
【0011】
右側面部24は、吸気口241を有する。吸気口241は、外装筐体2の外部の空気を冷却気体として外装筐体2の内部に導入する。吸気口241には、吸気口241を通過する空気に含まれる塵埃を捕集するフィルターが設けられていてもよい。
正面部21は、正面部21における略中央に位置する通過口211を有する。後述する投射光学装置37から投射された光は、通過口211を通過する。
正面部21は、正面部21における左側面部23側に位置する排気口212を有する。排気口212は、外装筐体2内に設けられた冷却対象を冷却した冷却気体を、外装筐体2の外部に排出する。
【0012】
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、制御装置から入力される画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像を投射する。画像投射装置3は、光源31、均一化部32、色分離部33、リレー部34、画像形成部35、光学部品用筐体36及び投射光学装置37を備える。
【0013】
光源31は、均一化部32に照明光を出射する。光源31の構成としては、例えば、励起光である青色光を出射する固体光源と、固体光源から出射された青色光のうちの一部を、緑色光及び赤色光を含む蛍光に波長変換する波長変換素子と、を有する構成を例示できる。なお、光源31の他の構成としては、超高圧水銀ランプ等の光源ランプを光源として有する構成を例示できる他、青色光、緑色光及び赤色光を個別に出射する固体光源を有する構成を例示できる。
均一化部32は、光源31から出射された光を均一化する。均一化された光は、色分離部33及びリレー部34を経て、後述する光変調装置4Aの変調領域を照明する。均一化部32は、2つのレンズアレイ321,322、偏光変換素子323及び重畳レンズ324を備える。
色分離部33は、均一化部32から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離部33は、2つのダイクロイックミラー331,332と、ダイクロイックミラー331によって分離された青色光を反射させる反射ミラー333と、を備える。
【0014】
リレー部34は、他の色光の光路よりも長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー部34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、反射ミラー342,344を備える。なお、本実施形態では、赤色光の光路上にリレー部34を設けることとした。しかしながら、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光の光路上にリレー部34を設ける構成としてもよい。
【0015】
画像形成部35は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、画像を形成する。画像形成部35は、入射される色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ351と、3つの入射側偏光板352と、画像形成ユニット353Aと、を備える。
【0016】
画像形成ユニット353Aは、3つの光変調装置4A、3つの視野角補償板354と、3つの出射側偏光板355と、1つの色合成部356と、を有し、これらが一体化されたものである。
【0017】
光変調装置4Aは、光源31から出射された光を画像情報に応じて変調する。具体的に、光変調装置4Aは、入射側偏光板352から出射された光を変調して、画像情報に応じた画像を形成する。光変調装置4Aは、赤色光を変調する光変調装置4AR、緑色光を変調する光変調装置4AG、及び、青色光を変調する光変調装置4ABを含む。光変調装置4Aは、透過型の液晶パネルによって構成されており、入射側偏光板352、光変調装置4A、出射側偏光板355によって液晶ライトバルブが構成される。
光変調装置4Aの詳しい構成は、後に詳述する。
【0018】
色合成部356は、光変調装置4AB,4AG,4ARによって変調された3つの色光を合成して画像を形成し、形成した画像を投射光学装置37に出射する。本実施形態では、色合成部356は、略直方体形状のクロスダイクロイックプリズムによって構成されている。クロスダイクロイックプリズムは、例えば4つの直角三角柱状のプリズムを貼り合わせた略直方体形状を有するプリズムであり、4つのプリズムの界面には、互いに交差する2つの誘電体多層膜が設けられている。
【0019】
図2は、画像形成ユニット353Aを示す斜視図である。
色合成部356は、図2に示すように、光変調装置4AR,4AG,4ABと対向し、かつ、光変調装置4AR,4AG,4ABを通過した各色光が入射される3つの入射面356R,356G,356Bと、1つの出射面356Sと、を有する。各入射面356R,356G,356Bに入射された3つの色光のうち、青色光及び赤色光は、2つの誘電体多層膜にて投射光学装置37側に反射され、緑色光は、2つの誘電体多層膜を投射光学装置37側に通過する。これにより、3つの色光が合成され、画像光が形成される。形成された画像光は、出射面356Sから出射され、投射光学装置37に入射される。
【0020】
画像形成ユニット353Aは、上記した構成の他、図2に示すように、3つの保持部材357を有する。
3つの保持部材357のそれぞれは、光変調装置4A及び出射側偏光板355を保持し、入射面356R,356G,356Bのうち、対応する入射面に固定される。
【0021】
図3は、光変調装置4A及び保持部材357を光変調装置4Aの光入射側から見た分解斜視図であり、図4は、光変調装置4A及び保持部材357を光変調装置4Aの光出射側から見た分解斜視図である。
保持部材357は、取付部358及び4つの挿入部359を有する。
取付部358は、矩形枠状に形成され、上記対応する入射面に接着等によって取り付けられる。取付部358は、開口部3581及び保持部3582を有する。
開口部3581は、取付部358の略中央に矩形状に形成されている。開口部3581は、出射側偏光板355を通過した光が色合成部356に向かって通過する。
保持部3582は、出射側偏光板355を保持する。
【0022】
4つの挿入部359は、取付部358における四隅に応じた部分から光変調装置4A側に突出している。4つの挿入部359は、光変調装置4Aの各位置調整部483に挿入された後、紫外線硬化接着剤等の接着剤によって光変調装置4Aと接着固定される。
このような保持部材357によって、光変調装置4Aは、色合成部356と一体化される。しかしながら、略直方体形状のクロスダイクロイックプリズムに限らず、色合成部356は、例えば複数のダイクロイックミラーによって構成してもよい。
【0023】
図2に示すように、光学部品用筐体36は、上記した各部32~34及びフィールドレンズ351を内部に収容する。なお、画像投射装置3には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光学部品用筐体36は、照明光軸Axにおける所定位置に各部32~34及びフィールドレンズ351を保持する。光源31、画像形成ユニット353A及び投射光学装置37は、照明光軸Axにおける所定位置に配置される。
【0024】
投射光学装置37は、画像形成部35から入射される画像を被投射面に拡大して投射する投射レンズである。すなわち、投射光学装置37は、光変調装置4Aによって変調された光を投射する。投射光学装置37としては、複数のレンズと、複数のレンズが内部に収容される筒状の鏡筒とを有する組レンズを例示できる。
【0025】
[光変調装置の構成]
光変調装置4Aは、上記のように、入射側偏光板352から入射される光を変調する透過型の液晶パネルであり、保持部材357によって色合成部356の各入射面に応じた位置に配置される。光変調装置4Aは、図3及び図4に示すように、パネル本体41、プリント基板45、第1防塵部材46、第2防塵部材47、保持筐体48及び冷却部材5Aを有する。
以下の説明では、互いに直交する三つの方向を、+X方向、+Y方向及び+Z方向とする。本実施形態では、+Z方向を、光変調装置4Aに入射する光の進行方向とする。+Y方向が上方向と一致するように光変調装置4Aを+Z方向に沿って見た場合の右方向を+X方向とする。図示を省略するが、+X方向の反対方向を-X方向とし、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。すなわち、光変調装置4Aに対する+Z方向は、光変調装置4Aに対する光出射側であり、光変調装置4Aに対する-Z方向は、光変調装置4Aに対する光入射側である。
【0026】
[パネル本体の構成]
図5は、光変調装置4Aを示す断面図である。
パネル本体41は、入射される光を変調する。パネル本体41は、図5に示すように、液晶層42、第1基板43及び第2基板44を有する。
【0027】
液晶層42は、第1基板43と第2基板44との間に封入された液晶によって形成され、第1防塵部材46を介して入射される光を、第1基板43又は第2基板44によって印加される電圧に応じて変調する。
液晶層42は、光が入射することによって熱が発生する。液晶層42にて発生した熱は、液晶層42を挟む第1基板43及び第2基板44に伝達される。
【0028】
第1基板43は、液晶層42に対して-Z方向に配置され、第2基板44は、液晶層42に対して+Z方向に配置されている。すなわち、第2基板44は、液晶層42を介して第1基板43と対向して配置されている。換言すると、第1基板43は、液晶層42に対して光入射側に配置され、第2基板44は、液晶層42に対して光出射側に配置されている。
第1基板43及び第2基板44のうち、一方の基板は、共通電極が設けられた対向基板であり、他方の基板は、TFT(Thin Film Transistor)等の複数のスイッチング素子が設けられた素子基板である。第1基板43及び第2基板44は、光を透過可能な光透過性の基板である。
液晶層42、第1基板43及び第2基板44は、複数の画素が配置された画素配置領域ARを構成する。すなわち、光変調装置4Aは、複数の画素が配置された画素配置領域ARを有する。
【0029】
[プリント基板の構成]
プリント基板45は、第1基板43及び第2基板44から+Y方向に延出し、図示しない制御装置と接続される。プリント基板45は、制御装置から入力される画像信号に応じてパネル本体41を駆動させる。プリント基板45は、パネル本体41の動作を制御するドライバー回路451を有する。
ドライバー回路451は、プリント基板45に設けられる回路素子である。ドライバー回路451は、+Z方向のプリント基板45の面に配置されている。+Z方向のドライバー回路451の面は、冷却部材5Aの受熱基板52と熱的に接続される。
【0030】
[第1防塵部材及び第2防塵部材の構成]
第1防塵部材46は、-Z方向の第1基板43の面において、画素配置領域ARに応じた第1基板43の部分に設けられる。すなわち、-Z方向から光変調装置4Aを見た場合、第1防塵部材46は、画素配置領域ARを覆う。
第2防塵部材47は、+Z方向の第2基板44の面において、画素配置領域ARに応じた第2基板44の部分に設けられる。すなわち、+Z方向から光変調装置4Aを見たときに、第2防塵部材47は、画素配置領域ARを覆う。第2防塵部材47は、本開示の透光性部材に相当し、冷却部材5Aが有する開口部54に嵌合される。
第1防塵部材46及び第2防塵部材47は、+Z方向から見て略矩形状の透光性基板である。第1防塵部材46及び第2防塵部材47は、パネル本体41に塵埃が付着することを抑制し、パネル本体41によって変調された光に塵埃の影が含まれることを抑制する。
【0031】
[保持筐体の構成]
保持筐体48は、パネル本体41と、プリント基板45の一部と、第1防塵部材46とを-Z方向にて覆う。保持筐体48は、冷却部材5Aと組み合わされることによって、パネル本体41及び第1防塵部材46を内部に保持する。すなわち、保持筐体48は、後述する冷却部材5Aの本体部51Aとは別体である。保持筐体48は、図3に示すように、開口部481及び放熱フィン482を有する他、図3及び図4に示すように、4つの位置調整部483を有する。
【0032】
開口部481は、図3に示すように、-Z方向から見て画素配置領域ARに応じて略矩形状に設けられている。開口部481は、入射側偏光板352から出射された光を通過させて、第1防塵部材46に入射させる。
放熱フィン482は、開口部481に対して+Y方向の部分から-Z方向に突出するように複数設けられている。放熱フィン482は、第1基板43及び第1防塵部材46から保持筐体48に伝達された熱を放熱する。
4つの位置調整部483は、図3及び図4に示すように、-Z方向から見て保持筐体48の四隅に設けられている。各位置調整部483は、対応する挿入部359が+Z方向から挿入される孔部である。各位置調整部483に対する挿入部359の挿入量に応じて、保持部材357が取り付けられる色合成部356の入射面に対する保持筐体48の位置、ひいては、光変調装置4Aの位置が調整される。光変調装置4Aの位置調整の後、上記のように、挿入部359と位置調整部483とは、接着剤によって固定される。
【0033】
[冷却部材の構成]
冷却部材5Aは、第2基板44に対して第1基板43とは反対側に配置され、第2基板44と熱的に接続される。冷却部材5Aは、図5に示すように、作動流体が封入された中空空間SPを有し、熱的に接続された発熱体から伝達された熱により液相の作動流体を気相の作動流体に変化させることによって、発熱体を冷却する。本実施形態では、冷却部材5Aは、第2基板44及び第2防塵部材47を介して液晶層42から伝達される熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させることによって、液晶層42を冷却する。すなわち、冷却部材5Aは、作動流体の気化によって第2基板44を介して液晶層42を冷却する。
冷却部材5Aは、本体部51A及び第1放熱部材6Aを有する。
【0034】
[本体部の構成]
図6は、本体部51Aを示す斜視図である。
本体部51Aは、図6に示すように、-Z方向に配置される受熱基板52と、+Z方向に配置される放熱基板53と、を有し、受熱基板52及び放熱基板53が組み合わされて構成される。本実施形態では、本体部51Aは、ベイパーチャンバーによって構成されており、本体部51Aの内部には、作動流体が封入される中空空間SP(図5参照)が形成されている。
【0035】
図7は、受熱基板52において放熱基板53と対向する内面を示す模式図である。
受熱基板52は、第2基板44と接続され、第2基板44から伝達される熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させる。
具体的に、受熱基板52は、平板状に形成され、-Z方向の面が第2基板44における+Z方向の面と面で接続される。受熱基板52は、中空空間SP内に設けられた網目構造MSを有する。網目構造MSは、図7に示すように、放熱基板53と対向する受熱基板52の面に設けられている。
網目構造MSには、減圧された中空空間SP内に封入された液相の作動流体が染み込み、網目構造MSは、染み込んだ液相の作動流体を、受熱基板52において外部から熱が伝達される部分に輸送する。
受熱基板52は、外部から伝達される熱、例えば第2基板44及び第2防塵部材47から伝達される液晶層42の熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させる。すなわち、受熱基板52は、伝達される熱によって液相の作動流体を蒸発させる。このようにして気相に変化した作動流体は、放熱基板53に形成された流路を流通する。
【0036】
図8は、受熱基板52と対向する放熱基板53の内面を示す模式図である。図8では、放熱基板53の内面に設けられた複数の柱状体PLのうち、一部の柱状体PLについて符号を付す。
放熱基板53は、受熱基板52に対して第2基板44とは反対側にて受熱基板52と接合され、受熱基板52とともに中空空間SPを形成する。放熱基板53は、気相の作動流体の熱を放熱して、気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。
放熱基板53は、図6に示すように、受熱基板52と同様の平板状に形成されている。受熱基板52と対向する放熱基板53の内面には、図8に示すように、複数の柱状体PLが設けられている。すなわち、放熱基板53は、中空空間SP内に設けられた複数の柱状体PLを有する。
複数の柱状体PLは、本体部51Aの強度を確保する他、中空空間SP内で発生した気相の作動流体が流通する流路を形成する。
【0037】
図8に示した例では、複数の柱状体PLは、所定間隔を隔てて+X方向に沿って配置される他、所定間隔を隔てて+Y方向に沿って配置されている。すなわち、図8に示した例では、複数の柱状体PLは、+X方向に沿い、かつ、+Y方向に等間隔に設定された複数の第1仮想線Lxと、+Y方向に沿い、かつ、+X方向に等間隔に設定された複数の第2仮想線Lyとの交差部に配置されていた。しかしながら、複数の柱状体PLのレイアウトは、これに限らず、他のレイアウトであってもよい。
【0038】
図9は、複数の柱状体PLの他のレイアウトを示す模式図である。図9では、複数の柱状体PLのうち、一部の柱状体PLについてのみ符号を付す。
例えば、図9に示すように、複数の柱状体PLは、+X方向に沿い、かつ、+Y方向に等間隔に設定された複数の第1仮想線Lxのうちの奇数番目の第1仮想線Lx1と、+Y方向に沿い、かつ、+X方向に等間隔に設定された複数の第2仮想線Lyとの交点に配置される他、複数の第1仮想線Lxのうちの偶数番目の第1仮想線Lx2上で、かつ、隣り合う2つの第2仮想線Lyの間に配置されている。すなわち、図9に示す例では、偶数番目の第1仮想線Lx2上に配置される複数の柱状体PLは、奇数番目の第1仮想線Lx1上に配置される複数の柱状体PLに対して+X方向又は-X方向にずれている。
【0039】
図8に示した柱状体PLのレイアウトは、例えば、本体部51Aの+Z方向における寸法が比較的大きい場合に採用され得る。このようなレイアウトでは、柱状体PL間の隙間を大きくできるので、気相の作動流体の流路を確保できる。
図9に示した柱状体PLのレイアウトは、例えば、本体部51Aの+Z方向における寸法が比較的小さい場合に採用され得る。このような本体部51Aでは、作動流体が封入される中空空間SPの+Z方向における寸法も小さくなる。このため、図9に示した柱状体PLのレイアウトを採用することによって、本体部51Aに対する+Z方向又は-Z方向に沿う衝撃に対する強度を高めつつ、気相の作動流体の流路を確保できる。
【0040】
本体部51Aは、図6に示すように、開口部54、封入部55、保護部56及び第1凝縮部57を有する。
開口部54は、本体部51Aを+Z方向に貫通する略矩形状の開口部である。開口部54の内部には、第2防塵部材47が嵌合される。すなわち、開口部54の内縁は、第2防塵部材47の側面と熱的に接続されている。第2防塵部材47の側面とは、第2防塵部材47の外面のうち、光入射面である-Z方向の面、及び、光出射面である+Z方向の面を除く端面である。
本実施形態では、開口部54の内縁は、受熱基板52と放熱基板53との接合部分によって形成される。このため、第2基板44を介して液晶層42から第2防塵部材47に伝達された熱は、第2防塵部材47の端面471から受熱基板52に伝達される。これにより、中空空間SP内に封入された液相の作動流体の一部が気相の作動流体に変換されて、受熱基板52に伝達された熱が消費される。
【0041】
封入部55は、本体部51Aにおける+Y方向の端部に設けられている。封入部55は、本体部51Aの中空空間SP内に作動流体を注入するための部分である。封入部55は、中空空間SPに作動流体が封入された後に密封される。
保護部56は、封入部55を+X方向において挟む位置に設けられている。保護部56における+Y方向の端部は、封入部55における+Y方向の端部よりも+Y方向に配置される。このため、何等かの衝撃が+Y方向から本体部51Aに加わった場合でも、保護部56によって封入部55を保護できる。
【0042】
第1凝縮部57は、中空空間SP内を流通する気相の作動流体の熱を放熱することによって、気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。第1凝縮部57は、放熱基板53に設けられ、開口部54と封入部55との間に配置される。第1凝縮部57に応じた放熱基板53の+Z方向の外面には、第1放熱部材6A(図4参照)が設けられている。
第1放熱部材6Aは、気相の作動流体から伝達された熱を放熱する。第1凝縮部57は、第1放熱部材6Aが設けられることによって、気相の作動流体から伝達される熱を冷却部材5Aの外部に放熱しやすくなる。換言すると、第1凝縮部57は、気相の作動流体から熱を受熱して、気相の作動流体を液相の作動流体に変化させるとともに、受熱した熱を冷却部材5Aの外部に放熱しやすい放熱基板53の部位である。このため、冷却部材5Aにおいて、第1放熱部材6Aが設けられた部分が第1凝縮部57として構成される。
【0043】
[第1放熱部材の構成]
図10は、本体部51Aに取り付けられた第1放熱部材6Aを示す斜視図である。
第1放熱部材6Aは、放熱基板53の+Z方向の外面において、第1凝縮部57に応じた部分に設けられている。すなわち、第1放熱部材6Aは、第1凝縮部57に応じた放熱基板53の外面に設けられる。第1放熱部材6Aは、第1凝縮部57から伝達される熱を放熱する複数のフィン6A1を有する。
本実施形態では、複数のフィン6A1は、後述する冷却装置7Aの冷却ファン71によって-Y方向から+Y方向に沿って流通する冷却気体に熱を伝達しやすくするために、+Y方向に沿って冷却気体が内部を通過する流路が設けられている。
具体的に、各フィン6A1は、略四角筒体における1つの側面が無い形状を有する筒体であり、フィン6A1の延出方向に直交するフィン6A1の断面形状は、略U字状である。第1放熱部材6Aは、フィン6A1が+Y方向に沿って延出し、かつ、+X方向に沿って複数連結されることによって構成されている。
【0044】
図11は、第1放熱部材6Aの変形である第1放熱部材6Bを示す斜視図である。
なお、放熱基板53に取り付けられる放熱フィンは、第1放熱部材6Aに限定されない。例えば第1放熱部材6Aに代えて、図11に示す第1放熱部材6Bを採用してもよい。
第1放熱部材6Bは、+X方向に沿うフィン6B1が+Y方向に複数配列された構成を有する。すなわち、第1放熱部材6Bは、+X方向に沿い、かつ、+Y方向に配列された複数のフィン6B1を有する。
【0045】
フィン6B1は、+X方向に等間隔に設けられた複数の突出部6B2と、複数の突出部6B2うち1つの突出部6B2と当該1つの突出部6B2に隣り合う突出部6B2との間に設けられた平板部6B3と、を有する。
突出部6B2は、+Z方向に略U字状に突出する部分である。突出部6B2の内部には、冷却気体が流通可能である。
平板部6B3は、XY平面に沿う部分であり、+X方向において隣り合う2つの突出部6B2における-Z方向の端部間を接続する。
【0046】
第1放熱部材6Bでは、+Y方向に向かって奇数番目のフィン6B11と、偶数番目のフィン6B12とは、+X方向においてずれて互いに連結されている。すなわち、+Y方向又は-Y方向から見て、奇数番目のフィン6B11の突出部6B2と、偶数番目のフィン6B12の突出部6B2とは、完全には重ならない。同様に、+Y方向又は-Y方向から見て、奇数番目のフィン6B11の平板部6B3と、偶数番目のフィン6B12の平板部6B3とは、完全には重ならない。換言すると、+Y方向又は-Y方向から見て、奇数番目のフィン6B11の突出部6B2は、偶数番目のフィン6B12の突出部6B2及び平板部6B3に跨るように配置される。同様に、+Y方向又は-Y方向から見て、偶数番目のフィン6B12の突出部6B2は、奇数番目のフィン6B11の突出部6B2及び平板部6B3に跨るように配置される。
【0047】
このため、第1放熱部材6Bに対して+Y方向に沿って流通する冷却気体の一部は、奇数番目の各フィン6B11の突出部6B2と、偶数番目の各フィン6B12の突出部6B2及び平板部6B3とに流通する。また、第1放熱部材6Bに対して+Y方向に沿って流通する冷却気体の残りの一部は、奇数番目の各フィン6B11の平板部6B3と、偶数番目の各フィン6B12の突出部6B2及び平板部6B3とに流通する。
このような第1放熱部材6Bは、冷却気体と接触する表面積が比較的大きい。このため、第1凝縮部57から伝達される熱の冷却気体に対する放熱効率、すなわち、冷却気体に対する熱の伝達効率を高めることができる。これにより、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0048】
[冷却装置の構成]
図12は、冷却装置7Aの一部を示す斜視図である。
冷却装置7Aは、上記のように、外装筐体2の内部に配置され、外装筐体2の外部から外装筐体2の内部に導入された冷却気体を冷却対象に流通させて、冷却対象を冷却する。本実施形態では、冷却装置7Aは、光変調装置4Aを冷却対象の1つとし、冷却部材5Aに冷却気体を流通させて、光変調装置4Aを冷却する。
冷却装置7Aは、図12に示すように、冷却ファン71及びダクト72を備える。
【0049】
冷却ファン71は、外装筐体2内に導入された冷却気体を光変調装置4Aに流通させる。具体的に、冷却ファン71は、冷却気体を吸引し、ダクト72内に送出することによって、ダクト72を介して光変調装置4Aに冷却気体を流通させる。本実施形態では、冷却ファン71は、遠心力ファンによって構成されているが、軸流ファンによって構成されていてもよい。
【0050】
ダクト72は、冷却ファン71と接続されて、冷却ファン71から送出された冷却気体を光変調装置4Aに流通させる。本実施形態では、ダクト72は、冷却ファン71から送出された冷却気体を分流し、分流した冷却気体を光変調装置4AR,4AG,4ABのそれぞれに個別に流通させる。冷却装置7Aのダクト72は、3つの光変調装置4Aのそれぞれに個別に冷却気体を流通させる3つの第1流通部73を有する。
3つの第1流通部73は、ダクト72内に設けられて、対応する光変調装置4Aに対して-Y方向の位置に開口している。各第1流通部73は、冷却ファン71によって送出された冷却気体を、対応する光変調装置4Aに対して+Y方向に流通させる。+Y方向は、画素配置領域ARから第1放熱部材6Aに向かう方向であり、第1方向に相当する。3つの第1流通部73は、光変調装置4ARに冷却気体を流通させる第1流通部73Rと、光変調装置4AGに冷却気体を流通させる第1流通部73Gと、光変調装置4ABに冷却気体を流通させる第1流通部73Bと、を含む。
【0051】
[光変調装置に流通する冷却気体の流れ]
図13は、光変調装置4Aを流通する冷却気体の流れを示す模式図である。
第1流通部73から送出された冷却気体は、図13に示すように、光変調装置4Aにおける-Y方向の端部にて、光変調装置4Aに対する-Z方向の空間を流通する冷却気体A1と、光変調装置4Aに対する+Z方向の空間を流通する冷却気体A3とに分流される。すなわち、冷却気体A1は、保持筐体48における-Z方向の面48Aに沿って流通し、冷却気体A3は、冷却部材5Aの放熱基板53における+Z方向の面に沿って流通する。
【0052】
保持筐体48の面48Aに沿って流通する冷却気体A1は、+Y方向に流通する過程にて、画素配置領域ARに応じて設けられた第1防塵部材46と、保持筐体48と、を冷却する。すなわち、液晶層42にて生じた熱のうち、第1基板43を介して第1防塵部材46及び保持筐体48に伝達された熱は、冷却気体A1に伝達される。これにより、液晶層42にて生じた熱の一部が放熱される。
第1防塵部材46を冷却した冷却気体A2は、更に保持筐体48の面48Aに沿って+Y方向に流通し、保持筐体48の放熱フィン482を冷却する。これにより、保持筐体48に伝達された液晶層42の熱が更に冷却される。
【0053】
冷却気体A3は、+Y方向に流通して第2防塵部材47に流通し、画素配置領域ARに応じて設けられた第2防塵部材47を冷却する。第2防塵部材47には、第2基板44を介して液晶層42の熱が伝達されるので、第2防塵部材47に冷却気体A3が流通することによって、液晶層42の熱の一部が放熱される。
第2防塵部材47を冷却した冷却気体A4は、放熱基板53に沿って+Y方向に流通し、第1放熱部材6Aの各フィン6A1内に形成された流路を流通する。各フィン6A1は、第1凝縮部57にて気相の作動流体から受熱した熱を冷却気体A4に伝達する。受熱基板52にて作動流体に伝達された熱は、液晶層42の熱に由来する。このため、各フィン6A1に伝達された熱が冷却気体A4に伝達されることによって、液晶層42の熱の一部が放熱される。
【0054】
光変調装置4Aにおいて、気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する第1凝縮部57は、受熱基板52において第2基板44との接続部分及び第2防塵部材47との接続部分よりも+Y方向に設けられている。換言すると、第1凝縮部57は、開口部54に対して+Y方向に設けられている。
このため、+Y方向が光変調装置4Aにおける鉛直方向上側を示す方向である場合には、第1凝縮部57にて凝縮された液相の作動流体を、網目構造MSによって発生する毛細管力だけでなく重力によっても、受熱基板52において第2基板44との接続部分及び第2防塵部材47との接続部分に輸送しやすくすることができる。これにより、液晶層42から第2基板44及び第2防塵部材47を介して伝達される熱によって、受熱基板52での液相から気相への作動流体の相変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0055】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、光源31と、光源31から出射される光を変調する光変調装置4Aと、光変調装置4Aによって変調された光を投射する投射光学装置37と、を備える。
光変調装置4Aは、複数の画素が配置された画素配置領域ARを有する。光変調装置4Aは、液晶層42、第1基板43、第2基板44及び冷却部材5Aを備える。
第2基板44は、液晶層42を介して第1基板43と対向して配置される。
冷却部材5Aは、第2基板44に対して第1基板43とは反対側に配置され、第2基板44と熱的に接続される。冷却部材5Aは、作動流体が封入された中空空間SPを有し、液相の作動流体を気相の作動流体に変化させることによって液晶層42を冷却する。
【0056】
このような構成によれば、第2基板44には液晶層42の熱が伝達されるため、冷却部材5Aには、第2基板44を介して液晶層42の熱が伝達される。冷却部材5Aは、伝達された熱によって中空空間SP内に封入された液相の作動流体を気相の作動流体に変化させて、液晶層42の熱を消費することによって、液晶層42を冷却する。これによれば、冷却部材5Aに伝達される液晶層42の熱を効率よく消費できるので、液晶層42を効率よく冷却できる。従って、光変調装置4Aの画素配置領域ARが小さくても、液晶層42の冷却効率を高めることができる。そして、これにより、光変調装置4Aに入射される光量を大きくすることができる他、光変調装置4Aの長寿命化を図ることができる。
また、光変調装置4Aの冷却効率を高めることができることから、冷却装置7Aの冷却ファン71によって光変調装置4Aに流通する冷却気体の流量を小さくできる。このため、冷却ファン71に小型のファンを採用した場合でも、光変調装置4Aの冷却に十分な冷却気体の流量を確保できるので、プロジェクター1の小型化を図ることができる。一方、冷却ファン71に大きなファンを採用した場合では、冷却ファン71の単位時間当たりの回転数を低減できるので、プロジェクター1の騒音を低減できる。
更に、光変調装置4Aの冷却効率を高めることができることから、光変調装置4Aを小型化できる。従って、小型の投射光学装置37をプロジェクター1に採用でき、ひいては、プロジェクター1を小型化できる。
【0057】
光変調装置4Aでは、冷却部材5Aは、受熱基板52及び放熱基板53を有する。受熱基板52は、第2基板44と接続され、第2基板44から伝達される熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させる。放熱基板53は、受熱基板52に対して第2基板44とは反対側にて受熱基板52と接合され、受熱基板52とともに中空空間SPを形成する。放熱基板53は、気相の作動流体の熱を放熱して、気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。
このような構成によれば、冷却部材5Aをベイパーチャンバーとして構成できる。そして、受熱基板52が第2基板44と接続されることによって、伝達された熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に効率よく変化させることができる。また、放熱基板53が受熱基板52に対して第2基板44とは反対側に配置されることによって、気相の作動流体の熱を効率よく放熱でき、気相の作動流体を液相の作動流体に効率よく凝縮できる。従って、冷却部材5Aに伝達される液晶層42の熱を効率よく放熱でき、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0058】
光変調装置4Aは、画素配置領域ARに応じた第2基板44の部分に設けられた第2防塵部材47を備える。第2防塵部材47は、本開示の透光性基板に相当する。冷却部材5Aは、第2防塵部材47が嵌合される開口部54を有する。開口部54の内縁は、第2防塵部材47の端面471と熱的に接続されている。
このような構成によれば、光変調装置4Aを、画素配置領域ARを光が透過可能な透過型光変調装置として構成できる。また、冷却部材5Aにおいて光が通過可能な開口部54の内面と、画素配置領域ARに応じて第2基板44に設けられた第2防塵部材47の端面471とは、熱的に接続される。これによれば、第2基板44に伝達された液晶層42の熱は、第2基板44から冷却部材5Aに直接伝達されるだけでなく、第2基板44から第2防塵部材47を介して伝達される。このため、冷却部材5Aへの液晶層42の熱の伝達経路を増やすことができるので、冷却部材5Aが開口部54を有する場合でも、冷却部材5Aに液晶層42の熱を効率よく伝達できる。従って、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0059】
光変調装置4Aでは、受熱基板52は、中空空間SP内に設けられ液相の作動流体が染み込む網目構造MSを有する。放熱基板53は、中空空間SP内に設けられ気相の作動流体が流通する流路を形成する複数の柱状体PLを有する。
このような構成によれば、受熱基板52に液相の作動流体を保持させやすくすることができるので、受熱基板52に伝達された熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させやすくすることができる。また、放熱基板53が、複数の柱状体PLを有するので、冷却部材5Aの強度を高めることができる他、気相から液相に作動流体を変化させる部位に、気相の作動流体を流通させやすくすることができる。従って、冷却部材5A内における作動流体の相変化を促進でき、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0060】
光変調装置4Aは、第1基板43及び第2基板44から延出するプリント基板45と、プリント基板45に設けられるドライバー回路451と、を備える。ドライバー回路451は、本開示の回路素子に相当する。ドライバー回路451は、受熱基板52に熱的に接続されている。
このような構成によれば、ドライバー回路451にて発生する熱を受熱基板52に伝達できるので、冷却部材5Aによってドライバー回路451を冷却できる。従って、ドライバー回路451を冷却する構成を別途設ける必要がないことから、光変調装置4Aの構成が複雑化することを抑制できる。
【0061】
光変調装置4Aでは、冷却部材5Aは、第1凝縮部57及び第1放熱部材6Aを有する。第1凝縮部57は、放熱基板53に設けられ、中空空間SP内を流通する気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。第1放熱部材6Aは、第1凝縮部57に応じた放熱基板53の外面に設けられている。第1放熱部材6Aは、気相の作動流体から伝達された熱を放熱する。
このような構成によれば、第1放熱部材6Aは、気相の作動流体から伝達される熱を放熱する。これにより、第1凝縮部57での気相の作動流体から液相の作動流体への凝縮を促進でき、ひいては、伝達される液晶層42の熱による液相の作動流体から気相の作動流体への変化を促進できる。従って、液晶層42の熱の放熱効率を高めることができるので、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0062】
光変調装置4Aは、冷却部材5Aと組み合わされて、液晶層42、第1基板43及び第2基板44を内部に保持する保持筐体48を備える。保持筐体48は、保持筐体48の位置を調節するための位置調整部483を有する。
このような構成によれば、液晶層42から伝達される熱を保持筐体48によって放熱できる。これにより、液晶層42の熱の放熱面積を拡大できる。
また、保持筐体48が位置調整部483を有することによって、保持筐体48と組み合わされる冷却部材5Aに同様の位置調整部を設ける必要がない。これにより、冷却部材5Aに負荷が加わることを抑制できるので、冷却部材5Aを安定して機能させることができる。
【0063】
プロジェクター1は、光源31、光変調装置4A及び投射光学装置37の他、冷却部材5Aに冷却気体を流通させる冷却装置7Aを備える。冷却装置7Aは、画素配置領域ARから第1放熱部材6Aに向かう+Y方向に冷却気体を流通させる第1流通部73を有する。+Y方向は、第1方向に相当する。
このような構成によれば、冷却装置7Aによって+Y方向に流通する冷却気体によって、第2防塵部材47及び第1放熱部材6Aを冷却する。すなわち、+Y方向に流通する冷却気体によって、第2防塵部材47が配置される画素配置領域ARと第1放熱部材6Aとを冷却できる。このとき、画素配置領域ARは、第1放熱部材6Aに対して冷却気体の流路における上流側に配置されているので、画素配置領域ARが第1放熱部材6Aに対して下流側に配置される場合に比べて、温度が低い冷却気体を画素配置領域ARに応じて配置される第2防塵部材47に流通させることができる。従って、画素配置領域ARの冷却効率を高めることができ、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備える。一方、冷却装置が有するダクトの構成と、冷却部材に設けられる放熱フィンの構成とが異なる点において、本実施形態に係るプロジェクターと第1実施形態に係るプロジェクター1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
[プロジェクターの概略構成]
図14は、本実施形態に係るプロジェクターが備える冷却装置7Bのダクト74を示す斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る画像形成ユニット353A及び冷却装置7Aに代えて、図14に示す画像形成ユニット353B及び冷却装置7Bを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。画像形成ユニット353Bは、3つの光変調装置4Aに代えて3つの光変調装置4Bを備える他は、画像形成ユニット353Aと同様の構成及び機能を有する。
【0066】
光変調装置4Bは、第1実施形態に係る光変調装置4Aと同様に、光源31から出射された光を画像情報に応じて変調するものであり、透過型の液晶パネルによって構成されている。光変調装置4Bは、赤色光を変調する光変調装置4BR、緑色光を変調する光変調装置4BG、及び、青色光を変調する光変調装置4BBを含む。
光変調装置4Bの構成については、後に詳述する。
【0067】
[冷却装置の構成]
冷却装置7Bは、第1実施形態に係る冷却装置7Aと同様に、外装筐体2の内部に導入した冷却気体を冷却対象に流通させて、冷却対象を冷却する。具体的に、冷却装置7Bは、光変調装置4Bを冷却する。冷却装置7Bは、第1実施形態に係るダクト72に代えてダクト74を備える他は、第1実施形態に係る冷却装置7Aと同様の構成及び機能を有する。すなわち、冷却装置7Bは、図14に示すように、冷却ファン71及びダクト74を有する。
【0068】
図15は、ダクト74及び光変調装置4BGを、光変調装置4BGにおける光入射側から見た斜視図である。
ダクト74は、第1実施形態に係るダクト72と同様に、冷却ファン71から送出された冷却気体を分流して、3つの光変調装置4Bに流通させる。冷却装置7Bのダクト74は、図14及び図15に示すように、3つの第1流通部73を有する他、第2流通部75を更に有する。
なお、3つの第1流通部73は、光変調装置4BRに冷却気体を流通させる第1流通部73Rと、光変調装置4BGに冷却気体を流通させる第1流通部73Gと、光変調装置4BBに冷却気体を流通させる第1流通部73Bと、を含む。
【0069】
第2流通部75は、第1流通部73G,73R近傍の位置から+Y方向に起立している。第2流通部75は、ダクト74内にて分流された冷却気体の一部を光変調装置4BGが有する冷却部材5Bの第1放熱部材6Cに流通させる。
第2流通部75は、図15に示すように、+Y方向の端部に送出口751を有する。送出口751は、第2流通部75の起立方向である+Y方向に対する直交方向に、第2流通部75内を流通した冷却気体を送出する。すなわち、送出口751は、第1流通部73から+Y方向に流通する冷却気体の流通方向に対する直交方向に沿って冷却気体を送出する。すなわち、第2流通部75は、第1方向である+Y方向に交差する+X方向に沿って第1放熱部材6Cに冷却気体を流通させる。具体的に、送出口751は、光変調装置4BGにとっての+X方向に沿って第1放熱部材6Cに冷却気体を送出する。
【0070】
[光変調装置の構成]
図16は、光変調装置4BGを+Z方向から見た図である。換言すると、図16は、光変調装置4BGの第1放熱部材6Cに流通する冷却気体の流れを示す図である。なお、図16では、複数のフィン6C2のうち一部のフィン6C2について符号を付す。
光変調装置4Bは、図16に示すように、第1実施形態に係る冷却部材5Aに代えて冷却部材5Bを備える他は、第1実施形態に係る光変調装置4Aと同様の構成及び機能を備える。冷却部材5Bは、第1実施形態に係る第1放熱部材6A,6Bに代えて、第1放熱部材6Cを備える他は、第1実施形態に係る冷却部材5Aと同様の構成及び機能を有する。
第1放熱部材6Cは、第1放熱部材6A,6Bと同様に、第1凝縮部57に応じて放熱基板53に設けられ、第1凝縮部57から伝達される気相の作動流体の熱を冷却気体に伝達する。
【0071】
第1放熱部材6Cは、受熱板6C1及び複数のフィン6C2を有する。
受熱板6C1は、+Z方向の放熱基板53の面において第1凝縮部57に応じた放熱基板53の部分に設けられ、第1凝縮部57と熱的に接続される。
複数のフィン6C2のそれぞれは、受熱板6C1から+Z方向に円筒状に突出している。複数のフィン6C2は、+X方向及び+Y方向のそれぞれに沿って等間隔に設けられている。複数のフィン6C2の間には、冷却気体が+Y方向に沿って流通可能な第1流路が設けられている他、冷却気体が+X方向に沿って流通可能な第2流路が設けられている。すなわち、第1放熱部材6Cは、+Y方向及び+X方向のそれぞれに沿って冷却気体が流通可能な複数のフィン6C2を有する。
【0072】
[光変調装置に流通する冷却気体の流れ]
第1実施形態に係る光変調装置4Aと同様に、第1流通部73から+Y方向に流通する冷却気体の一部は、光変調装置4Bに対する-Z方向の空間を流通して、第1防塵部材46及び保持筐体48を冷却する。これにより、液晶層42の熱の一部が冷却される。
第1流通部73から+Y方向に流通する他の冷却気体は、光変調装置4Bに対する+Z方向の空間を流通して、放熱基板53及び第2防塵部材47に沿って流通し、放熱基板53及び第2防塵部材47を冷却する。
【0073】
第2防塵部材47を冷却した冷却気体A4は、第2防塵部材47に対して+Y方向に配置された第1放熱部材6Cを+Y方向に沿って流通する。すなわち、冷却気体A4は、複数のフィン6C2間を+Y方向に流通する。
更に、第2流通部75の送出口751(図15参照)から+X方向に流通する冷却気体A5は、第1放熱部材6Cを+X方向に沿って流通する。すなわち、冷却気体A5は、複数のフィン6C2間を+X方向に流通する。
このため、第1放熱部材6Cにて+Y方向に流通する冷却気体A4と+X方向に流通する冷却気体A5とが衝突することによって、乱流が発生する。このような乱流は、複数のフィン6C2に効率よく接触する。これにより、各フィン6C2によって、第1放熱部材6Cに伝達された熱を冷却気体に効率よく伝達できるので、液晶層42にて発生した熱の一部を効率よく放熱できる。
【0074】
[放熱フィンの他の構成]
図17は、第1放熱部材6Cの変形である第1放熱部材6Dを示す斜視図である。換言すると、図17は、第1実施形態に係る第1放熱部材6Bの変形である第1放熱部材6Dを示す斜視図である。なお、図17では、突出部6B2の一部、平板部6B3の一部及び貫通孔6D1の一部について符号を付す。
互いに直交する二方向に冷却気体が複数のフィン間を流通する放熱フィンは、第1放熱部材6Cに限定されない。例えば第1放熱部材6Cに代えて、図17に示す第1放熱部材6Dを採用してもよい。
第1放熱部材6Dは、第1実施形態に係る第1放熱部材6Bと同様に、+X方向に沿うフィン6B1が+Y方向に複数配列された構成を有する。一方、第1放熱部材6Dは、第1実施形態に係る第1放熱部材6Bと異なり、各フィン6B1の突出部6B2を+X方向に貫通する複数の貫通孔6D1が設けられている。このため、第1放熱部材6Dは、各フィン6B1の突出部6B2及び平板部6B3を+Y方向に沿って流通する第1流路と、各貫通孔6D1を+X方向に沿って流通する第2流路と、を有する。
【0075】
このような第1放熱部材6Dにおいても、冷却気体A4が+Y方向に流通可能であるとともに、冷却気体A5が+X方向に流通可能である。このため、第1放熱部材6Dにて冷却気体A4と冷却気体A5とが衝突することによって、乱流が発生する。これにより、各フィン6B1によって、第1放熱部材6Dに伝達された熱を冷却気体に効率よく伝達できるので、液晶層42にて発生した熱の一部を効率よく放熱できる。
なお、突出部6B2に形成される2つの貫通孔6D1のうち、+X方向の貫通孔6D1は、-X方向の貫通孔6D1よりも+Z方向に設けられている。このため、突出部6B2において-X方向の貫通孔6D1を流通する冷却気体A5は、突出部6B2における+X方向の壁に当たりやすい。突出部6B2において+X方向の貫通孔6D1を流通する冷却気体A5は、+X方向に隣り合う突出部6B2における-X方向の壁に当たりやすい。これにより、突出部6B2での冷却気体A5への熱の伝達効率、すなわち、突出部6B2での放熱効率を高めることができる。
【0076】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
第2実施形態に係るプロジェクターでは、冷却装置7Bは、+Y方向に交差する+X方向に沿って冷却気体を流通させる第2流通部75を有する。+Y方向は、第1方向に相当し、+X方向は、第2方向に相当する。
このような構成によれば、第1放熱部材6Cにおいて、+Y方向に流通する冷却気体と、+X方向に流通する冷却気体とを衝突させることができる。これにより、第1放熱部材6Cにおいて冷却気体の乱流を発生させることができるので、第1放熱部材6Cを冷却しやすくすることができる。従って、液晶層42の熱の放熱効率を高めることができ、液晶層42の冷却効率を高めることができる。第1放熱部材6Cに代えて第1放熱部材6Dが採用される場合も同様である。
【0077】
第2実施形態に係るプロジェクターでは、第1放熱部材6Cは、+Y方向及び+X方向のそれぞれに沿って冷却気体が流通可能な複数のフィン6C2を有する。また、第1放熱部材6Dは、+Y方向及び+X方向のそれぞれに沿って冷却気体が流通可能な複数のフィン6B1を有する。
このような構成によれば、複数のフィン6C2,6B1の間にて冷却気体の乱流を発生させることができる。従って、第1放熱部材6C,6Dによる熱の放熱効率を高めることができ、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0078】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、冷却部材の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
[プロジェクターの概略構成]
図18は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光変調装置4Cの冷却部材5C及び第2防塵部材47を示す斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る光変調装置4Aに代えて、光変調装置4Cを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。光変調装置4Cは、第1実施形態に係る冷却部材5Aに代えて、図18に示す冷却部材5Cを備える他は、第1実施形態に係る光変調装置4Aと同様の構成及び機能を有する。
【0080】
[冷却部材の構成]
冷却部材5Cは、冷却部材5Aと同様に、作動流体が封入された中空空間SPを有し、パネル本体41の液晶層42から伝達された熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させることによって、液晶層42を冷却する。冷却部材5Cは、本体部51Cと、図示しない放熱フィンと、を有する。冷却部材5Cが有する放熱フィンとしては、例えば第1実施形態に係る第1放熱部材6A,6B及び第2実施形態に係る第1放熱部材6C,6Dのいずれかを採用できる。
【0081】
[本体部の構成]
本体部51Cは、折曲部58を更に有する他は、第1実施形態に係る本体部51Aと同様の構成及び機能を有する。すなわち、本体部51Cは、受熱基板52、放熱基板53、開口部54、第1凝縮部57及び折曲部58を有する他、図示を省略するが、封入部55及び保護部56を有する。
【0082】
4つの折曲部58は、開口部54の内縁の一部を構成する。4つの折曲部58のそれぞれは、開口部54の内側に延出する部分を折り曲げて形成される。すなわち、折曲部58は、本体部51Cの一部を第2基板44側から第2基板44とは反対側に折り曲げられた部分である。4つの折曲部58は、開口部54に対して+Y方向に配置された折曲部581、開口部54に対して-Y方向に配置された折曲部582、開口部54に対して+X方向に配置された折曲部583、及び、開口部54に対して-X方向に配置された折曲部584を含む。
折曲部581は、開口部54の内側に延出する部分を+Z方向に折り曲げ、更に+Y方向に折り曲げることによって形成される。折曲部582は、開口部54の内側に延出する部分を+Z方向に折り曲げ、更に-Y方向に折り曲げることによって形成される。折曲部583,584も同様である。
-Y方向の折曲部581の面581A、+Y方向の折曲部582の面582A、-X方向の折曲部583の面583A、及び、+X方向の折曲部584の面584Aは、開口部54の内縁の一部を形成する。面581A,582A,583A,584Aのそれぞれは、第2防塵部材47の側面、すなわち、第2防塵部材47の光軸を中心とする周方向に沿う端面と熱的に接続される。面581A,582A,583A,584Aは、受熱基板52によって形成される面である。
【0083】
ここで、ベイパーチャンバーである本体部は、内部に設けられた中空空間内に作動流体が封入されるので、受熱基板と放熱基板とは互いに接合されている必要がある。このため、例えば、受熱基板の外縁及び放熱基板の外縁と開口部の周囲とに接合部を設け、接合部にて受熱基板と放熱基板とを接合する。
しかしながら、このような構成では、開口部の外側に向かう方向における接合部の寸法が大きいと、開口部の内縁から中空空間までの距離が大きくなりやすく、開口部の端縁から本体部に伝達される熱が、中空空間内の液相の作動流体に伝達されにくい。すなわち、このような構成では、開口部の内縁から液相の作動流体に熱を効率よく伝達しにくい。
【0084】
図19は、YZ平面に沿う冷却部材5C及び第2防塵部材47の断面を示す図である。なお、図19においては、受熱基板52が有する網目構造MS及び放熱基板53が有する柱状体PLについての図示を省略する。
これに対し、本体部51Cは、折曲部581~584を有し、開口部54に嵌合される第2防塵部材47の端面471は、受熱基板52によって構成される面581A,582A,583A,584Aと熱的に接続される。そして、本体部51Cにおける受熱基板52と放熱基板53との接合部分CNは、端面471よりも開口部54の外側に配置される。
これによれば、上記のように接合部の端面によって開口部の内縁が形成される場合に比べて、図19に示すように、開口部54の内縁から中空空間SPまでの距離を小さくできる。このため、第2防塵部材47から伝達される熱を、受熱基板52の網目構造MSに染み込む液相の作動流体に伝達しやすくすることができる。従って、第2防塵部材47から伝達される液晶層42の熱によって、液相の作動流体を気相の作動流体に効率よく変化でき、液晶層42を効率よく冷却できる。
【0085】
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
第3実施形態に係るプロジェクターの光変調装置4Cでは、冷却部材5Cは、第2基板44側から第2基板44とは反対側に折り曲げられた折曲部58を有する。折曲部58は、開口部54の内縁を形成し、受熱基板52は、第2防塵部材47の端面471と熱的に接続されている。第2防塵部材47は、本開示の透光性基板に相当する。
【0086】
上記のように、受熱基板52及び放熱基板53には、作動流体が封入される中空空間SPの外側に、互いに接合される接合部分CNが設けられる。受熱基板52と放熱基板53とを結ぶ方向に直交する方向における接合部分CNの外側端面から中空空間SPまでの寸法は、受熱基板52と放熱基板53とを結ぶ方向における受熱基板52の外側端面から中空空間SPまでの寸法よりも大きい。例えば、図19に示すように、接合部分CNにおいて+Y方向に交差する外側端面と中空空間SPとの間の距離L1は、折曲部58において開口部54の内縁を形成する受熱基板52の面と中空空間SPとの間の距離L2よりも長い。
このため、折曲部58が開口部54の内縁を形成し、開口部54の内縁において受熱基板52と第2防塵部材47の端面471とが熱的に接続されることによって、接合部分CNにおける受熱基板52及び放熱基板53の端面が端面471と熱的に接続される場合に比べて、第2防塵部材47から受熱基板52に熱を伝達しやすくすることができる。従って、冷却部材5Cに伝達される熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させやすくすることができるので、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0087】
[第4実施形態]
以下、本開示の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、冷却部材が開口部に対する冷却気体の上流側に、放熱フィンを更に備える点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
[プロジェクターの概略構成]
図20は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光変調装置4Dを示す側面図である。換言すると、図20は、光変調装置4Dに対する冷却気体の流れを模式図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る光変調装置4Aに代えて、図20に示す光変調装置4Dを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を有する。3つの光変調装置4Dは、赤色光を変調する光変調装置4D、緑色光を変調する光変調装置4D、及び、青色光を変調する光変調装置4Dを含む。
光変調装置4Dは、第1実施形態に係る冷却部材5Aに代えて冷却部材5Dを備える他は、光変調装置4Aと同様の構成及び機能を有する。
【0089】
[冷却部材の構成]
冷却部材5Dは、第2凝縮部59、熱伝達部材6E及び第2放熱部材6Fを備える他は、第1実施形態に係る冷却部材5Aと同様の構成及び機能を有する。本実施形態では、冷却部材5Dは、本体部51Aを有するものとして説明するが、冷却部材5Dが有する本体部は、第3実施形態に係る本体部51Cであってもよい。
第2凝縮部59は、放熱基板53において画素配置領域ARに対して第1凝縮部57とは反対側に設けられている。すなわち、第2凝縮部59は、放熱基板53において開口部54に対して第1凝縮部57とは反対側である-Y方向に設けられている。第2凝縮部59は、第1凝縮部57と同様に、中空空間SP内を流通する気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。第2凝縮部59には、第2放熱部材6Fが熱的に接続される。
【0090】
熱伝達部材6Eは、第2凝縮部59に応じた放熱基板53の部分に接続されるとともに、第2放熱部材6Fと接続される。熱伝達部材6Eは、第2凝縮部59にて受熱した気相の作動流体の熱を、第2放熱部材6Fに伝達する。このような熱伝達部材6Eは、例えば熱伝導性が良好な金属によって形成されている。
【0091】
第2放熱部材6Fは、熱伝達部材6Eを介して第2凝縮部59に熱的に接続されている。更に、第2放熱部材6Fは、第2凝縮部59に応じた放熱基板53の+Z方向の外面と熱的に接続されている。第2放熱部材6Fは、開口部54に対して第1放熱部材6Aとは反対側に設けられる他、本体部51Aに対して第1放熱部材6Aとは反対側に設けられる。すなわち、第2放熱部材6Fは、第1放熱部材6A及び開口部54に対して-Y方向に配置される他、第1放熱部材6Aに対して-Z方向に配置される。詳述すると、第2放熱部材6Fは、光変調装置4Dにおける-Z方向であって、保持筐体48に取り付けられている。
本実施形態では、第2放熱部材6Fは、第1実施形態に係る第1放熱部材6Aと同様の構成を有するが、第1実施形態に係る第1放熱部材6B及び第3実施形態に係る第1放熱部材6C,6Dのうちの1つと同じ構成を備えていてもよい。
【0092】
[光変調装置に流通する冷却気体の流れ]
第1実施形態に係る光変調装置4Aと同様に、第1流通部73から+Y方向に流通する一部の冷却気体A3は、光変調装置4Dに対する+Z方向の空間を流通して、冷却部材5D及び第2防塵部材47を冷却する。これにより、液晶層42の熱の一部が放熱される。
なお、光変調装置4Dに第3実施形態に係る第1放熱部材6C又は第1放熱部材6Dが採用され、プロジェクターに第3実施形態に係る冷却装置7Bが採用されている場合には、第1放熱部材6Cには、冷却気体A4,A5が流通する。
【0093】
第1流通部73から+Y方向に流通する他の冷却気体A1Dは、光変調装置4Dに対する-Z方向に流通する。具体的に、冷却気体A1Dは、第2放熱部材6Fの内部に設けられた流路に沿って+Y方向に流通する。これにより、第2凝縮部59から伝達される熱が第2放熱部材6Fによって、冷却気体A1Dに伝達される。これにより、液晶層42の熱の一部が放熱される。
また、第2放熱部材6Fを流通した冷却気体A1Dは、保持筐体48における-Z方向の面48Aに沿って+Y方向に流通して、保持筐体48を冷却するとともに、第1防塵部材46に沿って流通して、第1防塵部材46を冷却する。これにより、液晶層42の熱の一部が放熱される。
第1防塵部材46を冷却した冷却気体A2は、更に+Y方向に流通して、放熱フィン482を冷却する。これにより、液晶層42の熱の一部が放熱される。
【0094】
光変調装置4Dにおいて、第2凝縮部59は、開口部54に対して、第1凝縮部57とは反対側に設けられている。すなわち、第2凝縮部59は、開口部54に対して-Y方向に設けられる。開口部54には、画素配置領域ARに応じて配置される第2防塵部材47が嵌合される。
このため、-Y方向が光変調装置4Dにおける鉛直方向上側を示す方向である場合には、第2凝縮部59にて凝縮された液相の作動流体を、網目構造MSの毛細管力だけでなく重力によっても、受熱基板52において第2基板44との接続部分及び第2防塵部材47との接続部分に輸送しやすくすることができる。これにより、液晶層42から第2基板44及び第2防塵部材47を介して伝達される熱によって、受熱基板52での液相から気相への作動流体の相変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
なお、+Y方向が光変調装置4Aにおける鉛直方向上側を示す方向である場合には、上記のように、第1凝縮部57にて凝縮された液相の作動流体を、網目構造MSの毛細管力だけでなく重力によっても、受熱基板52において第2基板44との接続部分及び第2防塵部材47との接続部分に輸送しやすくすることができる。これにより、液晶層42から第2基板44及び第2防塵部材47を介して伝達される熱によって、受熱基板52での液相から気相への作動流体の相変化を促進できる。
【0095】
[第4実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
第4実施形態に係るプロジェクターの光変調装置4Dでは、冷却部材5Dは、第2凝縮部59及び第2放熱部材6Fを有する。第2凝縮部59は、放熱基板53において画素配置領域ARに対して第1凝縮部57とは反対側に設けられている。換言すると、第2凝縮部59は、放熱基板53において開口部54に対して第1凝縮部57とは反対側に設けられている。第2凝縮部59は、中空空間SP内を流通する気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。第2放熱部材6Fは、熱伝達部材6Eを介して、第2凝縮部59に応じた放熱基板53の外面と熱的に接続される。
【0096】
このような構成によれば、第1凝縮部57と第2凝縮部59とは、画素配置領域AR及び開口部54を挟むように配置され、第1放熱部材6Aと第2放熱部材6Fとは、画素配置領域を挟むように配置される。これによれば、冷却部材5Dに伝達される液晶層42の熱の放熱面積を拡大できる。
また、第1凝縮部57が第2凝縮部59よりも上側に配置される場合には、第1凝縮部57にて気相から液相に凝縮された作動流体を、重力によって、受熱基板52において液晶層42の熱が伝達される部分に液相の作動流体を流通させやすくすることができる。同様に、第2凝縮部59が第1凝縮部57よりも上側に配置される場合には、第2凝縮部59にて気相から液相に凝縮された作動流体を、重力によって、受熱基板52において液晶層42の熱が伝達される部分に液相の作動流体を流通させやすくすることができる。従って、液晶層42の熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させやすくすることができ、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0097】
光変調装置4Dでは、第1放熱部材6Aと第2放熱部材6Fとは、受熱基板52及び放熱基板53に対して互いに反対側に配置されている。
このような構成によれば、光変調装置4Dに対して-Z方向の空間を流通する冷却気体と、+Z方向の空間を流通する冷却気体とによって、第1放熱部材6Aと第2放熱部材6Fとを個別に冷却できる。これにより、第1放熱部材6A及び第2放熱部材6Fの冷却効率を高めることができる。また、第1放熱部材6Aに流通する冷却気体の流路における上流側に画素配置領域ARが配置されているので、第1放熱部材6Aを冷却する前の冷却気体A3によって画素配置領域ARを冷却できる。従って、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0098】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記各実施形態では、冷却部材5A,5B,5C,5Dは、受熱基板52及び放熱基板53を有し、内部に設けられた中空空間SPに作動流体が封入されたベイパーチャンバーであるとした。しかしながら、これに限らず、本開示の冷却部材は、内部に封入された作動流体の相状態を変化させることによって、伝達された熱を受熱部から離れた放熱部に輸送して、放熱部によって放熱するものであれば、他の構成でもよい。
【0099】
上記各実施形態では、冷却部材5A,5B,5C,5Dは、液晶層42に対して光出射側に配置される第2基板44と熱的に接続されるとした。しかしながら、これに限らず、冷却部材は、液晶層42に対して光入射側に配置される第1基板43と熱的に接続されてもよい。
【0100】
上記各実施形態では、冷却部材5A,5B,5C,5Dは、開口部54を有するとした。しかしながら、これに限らず、開口部は、冷却部材に設けられていなくてもよい。この場合、光変調装置を構成するパネル本体は、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルでなく、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルとして構成してもよい。また、開口部54に嵌合される透光性基板としての第2防塵部材47は、無くてもよい。更に、開口部54の内縁と第2防塵部材47とは、直接接続されていなくてもよく、熱伝導性を有する熱伝達部材を介して熱的に接続されていてもよい。
【0101】
上記各実施形態では、受熱基板52は、中空空間SP内に設けられ、液相の作動流体が染み込む網目構造MSを有し、放熱基板53は、中空空間SP内に設けられ、気相の作動流体が流通する流路を形成する複数の柱状体PLを有するとした。しかしながら、これに限らず、受熱基板52は、網目構造MSを有するものでなくてもよく、放熱基板53は、複数の柱状体PLを有するものでなくてもよい。すなわち、本開示の受熱基板の構成及び放熱基板の構成は、上記に限定されない。
【0102】
上記各実施形態では、プリント基板45に設けられた回路素子であるドライバー回路451は、受熱基板52に熱的に接続されるとした。しかしながら。これに限らず、ドライバー回路451は、受熱基板52と熱的に接続されていなくてもよい。また、ドライバー回路451は、受熱基板52と熱伝達部材を介して熱的に接続されていてもよい。更に、ドライバー回路451は、受熱基板52側とは反対側のプリント基板45の面に設けられていてもよく、冷却気体が流通する部分に設けられていてもよい。
【0103】
上記各実施形態では、冷却部材5A,5B,5C,5Dは、放熱基板53に設けられて、中空空間SP内を流通する気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する第1凝縮部57と、放熱基板53の外面において第1凝縮部57に応じた位置に設けられる第1放熱部材6A,6B,6C,6Dと、を有するとした。しかしながら、これに限らず、第1放熱部材は、無くてもよい。また、第1放熱部材は、必ずしも放熱基板53に設けられていなくてもよく、光変調装置から離れた位置に設けられていてもよい。この場合、第1放熱部材と第1凝縮部57とを熱伝達部材を介して熱的に接続すればよい。
【0104】
上記各実施形態では、冷却部材5A,5B,5C,5Dと組み合わされる保持筐体48は、保持部材357の挿入部359が挿入されて、色合成部356の入射面に対する光変調装置4A,4B,4C,4Dの位置を調整する位置調整部483を有するとした。しかしながら、これに限らず、位置調整部483は、冷却部材が備えていてもよい。また、位置調整部は、保持筐体及び冷却装置が備えていなくてもよく、保持部材が光変調装置を保持することによって、色合成部の入射面に対する光変調装置の位置を調整してもよい。
【0105】
上記各実施形態では、冷却装置7A,7Bは、画素配置領域ARから第1放熱部材6A,6B,6C,6Dに向かう+Y方向に冷却気体を流通させる第1流通部73を備えるとした。+Y方向は、第1方向に相当する。しかしながら、これに限らず、光変調装置に対して流通する冷却気体は、+X方向に流通してもよく、+Z方向に流通してもよい。
また、冷却装置7Aは、冷却ファン71と、第1流通部73が設けられたダクト72と、を有するとした。しかしながら、これに限らず、冷却装置は、冷却ファンが光変調装置に冷却気体を直接送出するものであってもよい。すなわち、ダクト72は無くてもよい。
【0106】
上記第2実施形態では、冷却装置7Bは、光変調装置4Bに対して+Y方向に冷却気体を流通させる第1流通部73と、光変調装置4Bに対して+X方向に冷却気体を流通させる第2流通部75と、を有するとした。しかしながら、これに限らず、冷却装置が冷却気体を流通させる方向は、+X方向、+Y方向及び+Z方向から選択される2つの方向であってもよい。更に、冷却装置7A,7Bは、光変調装置に対して-X方向、-Y方向及び-Z方向に冷却気体を流通させるものであってもよい。
また、冷却装置7Bは、冷却ファン71と、第1流通部73及び第2流通部75が設けられたダクト74と、を有するとした。しかしながら、これに限らず、冷却装置は、冷却ファンが光変調装置に冷却気体を直接送出するものであってもよい。すなわち、ダクト74は無くてもよい。
【0107】
上記第3実施形態では、冷却部材5Cの本体部51Cは、第2基板44側から第2基板44とは反対側に折り曲げられた折曲部58を有するとした。すなわち、本体部51Cは、+Z方向に折り曲げられた折曲部58を有するとした。折曲部58では、放熱基板53同士が互いに接続されていた。すなわち、折曲部58は、本体部51Cの一部が180°折り曲げられて構成されていた。しかしながら、これに限らず、折曲部58は、本体部51Cの一部が180°以下の角度で折り曲げられて構成されていてもよい。例えば、折曲部58は、本体部51Cの一部が90°折り曲げられて構成されていてもよい。
【0108】
上記第4実施形態では、第2凝縮部59は、画素配置領域ARを挟んで第1凝縮部57とは反対側に設けられるとした。すなわち、第2凝縮部59は、開口部54を挟んで第1凝縮部57とは反対側に設けられるとした。しかしながら、これに限らず、第2凝縮部は、画素配置領域AR及び開口部54に対して第1凝縮部57と同じ側に配置されていてもよい。
また、第2放熱部材6Fは、第2凝縮部59と熱的に接続されているとした。しかしながら、第2放熱部材6Fは無くてもよく、第2放熱部材6Fは、放熱基板53において+Z方向の外面において第2凝縮部59に応じた位置に設けられていてもよい。すなわち、放熱基板と第2放熱部材とを熱的に接続する熱伝達部材は無くてもよく、第2放熱部材は、放熱基板53に対して第1放熱部材と同じ側に配置されていてもよい。
【0109】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
本開示の第1態様に係る光変調装置は、複数の画素が配置された画素配置領域を有する光変調装置であって、第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向して配置された第2基板と、前記第2基板に対して前記第1基板とは反対側に配置され、前記第2基板と熱的に接続された冷却部材と、を備え、前記冷却部材は、作動流体が封入された中空空間を有し、液相の前記作動流体を気相の前記作動流体に変化させることによって、前記第2基板を介して前記液晶層を冷却する。
【0110】
このような構成によれば、第2基板には液晶層の熱が伝達されることから、冷却部材には、第2基板を介して液晶層の熱が伝達される。冷却部材は、伝達された熱によって内部空間内に封入された液相の作動流体を気相の作動流体に変化させて、液晶層の熱を消費することによって、液晶層を冷却する。これによれば、冷却部材に伝達される液晶層の熱を効率よく消費できるので、液晶層を効率よく冷却できる。従って、画素配置領域が小さい光変調装置であっても、液晶層の冷却効率を高めることができる。そして、これにより、光変調装置に入射される光量を大きくすることができる他、光変調装置の長寿命化を図ることができる。
また、光変調装置の冷却効率を高めることができることから、冷却ファンによって流通する冷却気体によって光変調装置を冷却する場合、光変調装置に流通する冷却気体の流量を小さくできる。このため、冷却ファンに小型のファンを採用した場合でも、光変調装置の冷却に十分な冷却気体の流量を確保できるので、光変調装置及び冷却ファンを備えるプロジェクターの小型化を図ることができる。一方、冷却ファンに大きなファンを採用した場合では、冷却ファンの単位時間当たりの回転数を低減できるので、プロジェクターの騒音を低減できる。
更に、光変調装置の冷却効率を高めることができることから、光変調装置を小型化できる。従って、本開示の光変調装置がプロジェクターに採用された場合に、小型の投射光学装置をプロジェクターに採用でき、ひいては、プロジェクター小型化できる。
【0111】
上記第1態様では、前記冷却部材は、前記第2基板と接続され、前記第2基板から伝達される熱によって液相の前記作動流体を気相の前記作動流体に変化させる受熱基板と、前記受熱基板に対して前記第2基板とは反対側にて前記受熱基板と接合され、前記受熱基板とともに前記中空空間を形成し、気相の前記作動流体の熱を放熱して気相の前記作動流体を液相の前記作動流体に凝縮する放熱基板と、を有していてもよい。
このような構成によれば、冷却部材をベイパーチャンバーとして構成できる。そして、受熱基板が第2基板と接続されることによって、伝達された熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に効率よく変化させることができる。また、放熱基板が受熱基板に対して第2基板とは反対側に配置されることによって、気相の作動流体の熱を効率よく放熱でき、気相の作動流体を液相の作動流体に効率よく凝縮できる。従って、冷却部材に伝達される液晶層の熱を効率よく放熱でき、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0112】
上記第1態様では、前記画素配置領域に応じた前記第2基板の部分に設けられた透光性基板を備え、前記冷却部材は、前記透光性基板が嵌合される開口部を有し、前記開口部の内縁は、前記透光性基板の側面と熱的に接続されていてもよい。
このような構成によれば、光変調装置を、画素配置領域を光が透過可能な透過型光変調装置として構成できる。また、冷却部材において光が通過可能な開口部の内縁と、第2基板において画素配置領域に応じて設けられる透光性基板の端面とは、熱的に接続される。これによれば、第2基板に伝達された液晶層の熱は、第2基板から冷却部材に直接伝達されるだけでなく、第2基板から透光性基板を介して伝達される。このため、冷却部材への液晶層の熱の伝達経路を増やすことができるので、冷却部材が開口部を有する場合でも、冷却部材に液晶層の熱を効率よく伝達できる。従って、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0113】
上記第1態様では、前記冷却部材は、前記第2基板側から前記第2基板とは反対側に折り曲げられた折曲部を有し、前記折曲部は、前記開口部の内縁を形成し、前記受熱基板は、前記透光性基板の側面と熱的に接続されていてもよい。
ここで、受熱基板及び放熱基板には、作動流体が封入される中空空間の外側に、互いに接合される接合部分が設けられる。受熱基板と放熱基板とを結ぶ方向に直交する方向における接合部の外側端面から内部空間までの寸法は、受熱基板と放熱基板とを結ぶ方向における受熱基板の外側端面から内部空間までの寸法よりも大きい。
このため、折曲部が開口部の内縁を形成し、開口部の内縁において受熱基板と透光性基板の端面とが熱的に接続されることによって、接合部分における受熱基板及び放熱基板の端面が透光性基板の端面と熱的に接続される場合に比べて、透光性基板から受熱基板に熱を伝達しやすくすることができる。従って、冷却部材に伝達される熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させやすくすることができるので、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0114】
上記第1態様では、前記受熱基板は、前記中空空間内に設けられ液相の前記作動流体が染み込む網目構造を有し、前記放熱基板は、前記中空空間内に設けられ気相の前記作動流体が流通する流路を形成する複数の柱状体を有していてもよい。
このような構成によれば、受熱基板に液相の作動流体を保持させやすくすることができるので、受熱基板に伝達された熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させやすくすることができる。また、放熱基板が、複数の柱状体を有するので、冷却部材の強度を高めることができる他、気相から液相に作動流体を変化させる部位に、気相の作動流体を流通させやすくすることができる。従って、冷却部材内における作動流体の相変化を促進でき、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0115】
上記第1態様では、前記第1基板及び前記第2基板から延出するプリント基板と、前記プリント基板に設けられる回路素子と、を備え、前記回路素子は、前記受熱基板に熱的に接続されてもよい。
このような構成によれば、回路素子にて発生する熱を受熱基板に伝達できるので、冷却部材によって回路素子を冷却できる。従って、回路素子を冷却する構成を別途設ける必要がないことから、光変調装置の構成が複雑化することを抑制できる。
【0116】
上記第1態様では、前記冷却部材は、前記放熱基板に設けられ、前記中空空間内を流通する気相の前記作動流体を液相の前記作動流体に凝縮する第1凝縮部と、前記第1凝縮部に応じた前記放熱基板の外面に設けられた第1放熱部材と、を有し、前記第1放熱部材は、気相の前記作動流体から伝達された熱を放熱してもよい。
このような構成によれば、第1放熱部材が、気相の作動流体から伝達される熱を放熱することによって、第1凝縮部での気相の作動流体から液相の作動流体への凝縮を促進でき、ひいては、伝達される液晶層の熱による液相の作動流体から気相の作動流体への変化を促進できる。従って、液晶層の熱の放熱効率を高めることができるので、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0117】
上記第1態様では、前記冷却部材は、前記放熱基板において前記画素配置領域に対して前記第1凝縮部とは反対側に設けられ、前記中空空間内を流通する気相の前記作動流体を液相の前記作動流体に凝縮する第2凝縮部と、前記第2凝縮部に応じた前記放熱基板の外面と熱的に接続された第2放熱部材と、を有していてもよい。
このような構成によれば、第1凝縮部と第2凝縮部とは、画素配置領域を挟むように配置され、第1放熱部材と第2放熱部材とは、画素配置領域を挟むように配置される。これによれば、冷却部材に伝達される液晶層の熱の放熱面積を拡大できる。また、第1凝縮部が第2凝縮部よりも上側に配置される場合には、第1凝縮部にて気相から液相に凝縮された作動流体を、重力によって、受熱基板において液晶層の熱が伝達される部分に液相の作動流体を流通させやすくすることができる。同様に、第2凝縮部が第1凝縮部よりも上側に配置される場合には、第2凝縮部にて気相から液相に凝縮された作動流体を、重力によって、受熱基板において液晶層の熱が伝達される部分に液相の作動流体を流通させやすくすることができる。従って、液晶層の熱によって液相の作動流体を気相の作動流体に変化させやすくすることができ、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0118】
上記第1態様では、第1放熱部材と前記第2放熱部材とは、前記受熱基板及び前記放熱基板に対して互いに反対側に配置されていてもよい。
このような構成によれば、受熱基板に対して放熱基板とは反対側の空間、及び、放熱基板に対して受熱基板とは反対側の空間のそれぞれに冷却気体が流通する場合に、各空間を流通する冷却気体によって、第1放熱部材と第2放熱部材とを個別に冷却できる。これにより、第1放熱部材及び第2放熱部材の冷却効率を高めることができる。また、第1放熱部材及び第2放熱部材のうち、一方の放熱部材に流通する冷却気体の流路における上流側に画素配置領域が配置されているので、一方の放熱部材を冷却する前の冷却気体によって画素配置領域を冷却できる。従って、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0119】
上記第1態様では、前記冷却部材と組み合わされて、前記液晶層、前記第1基板及び前記第2基板を内部に保持する保持筐体を備え、前記保持筐体は、前記保持筐体の位置を調節するための位置調節部を有していてもよい。
このような構成によれば、液晶層から伝達される熱を保持筐体によって放熱できる。これにより、液晶層の熱の放熱面積を拡大できる。
また、保持筐体が位置調整部を有することによって、保持筐体と組み合わされる冷却部材に同様の位置調整部を設ける必要がない。これにより、冷却部材に負荷が加わることを抑制できるので、冷却部材を安定して機能させることができる。
【0120】
本開示の第2態様に係るプロジェクターは、光源と、前記光源から出射される光を変調する、上記第1態様に係る光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
このような構成によれば、第1態様に係る光変調装置と同様の効果を奏することができる。
【0121】
本開示の第3態様に係るプロジェクターは、光源と、前記光源から出射される光を変調する、上記第1態様に係る光変調装置と、前記光変調装置によって変調された光を投射する投射光学装置と、前記冷却部材に冷却気体を流通させる冷却装置と、を備え、前記冷却装置は、前記画素配置領域から前記第1放熱部材に向かう第1方向に前記冷却気体を流通させる第1流通部を有する。
このような構成によれば、第1態様に係る光変調装置と同様の効果を奏することができる。また、冷却装置によって第1方向に流通する冷却気体によって、画素配置領域及び第1放熱部材を冷却できる。このとき、画素配置領域は、第1放熱部材に対して冷却気体の流路における上流側に配置されているので、画素配置領域が第1放熱部材に対して下流側に配置される場合に比べて、温度が低い冷却気体を画素配置領域に流通させることができる。従って、画素配置領域の冷却効率を高めることができ、ひいては、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0122】
上記第3態様では、前記冷却装置は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って前記第1放熱部材に前記冷却気体を流通させる第2流通部を有していてもよい。
このような構成によれば、第1放熱部材において、第1方向に流通する冷却気体と、第2方向に流通する冷却気体とを衝突させることができる。これにより、第1放熱部材において冷却気体の乱流を発生させることができるので、第1放熱部材を冷却しやすくすることができる。従って、液晶層の熱の放熱効率を高めることができ、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0123】
上記第3態様では、前記第1放熱部材は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って前記冷却気体が流通可能な複数のフィンを有していてもよい。
このような構成によれば、複数のフィンの間にて冷却気体の乱流を発生させることができる。従って、第1放熱部材による熱の放熱効率を高めることができ、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0124】
1…プロジェクター、31…光源、37…投射光学装置、4A,4B,4C,4D…光変調装置、41…パネル本体、42…液晶層、43…第1基板、44…第2基板、45…プリント基板、451…ドライバー回路(回路素子)、46…第1防塵部材、47…第2防塵部材(透光性基板)、471…端面、48…保持筐体、5A,5B,5C,5D…冷却部材、51A,51C…本体部、52…受熱基板、53…放熱基板、54…開口部、57…第1凝縮部、58(581,582,583,584)…折曲部、59…第2凝縮部、6A,6B,6C,6D…第1放熱部材、6A1,6B1,6C2…フィン、6F…第2放熱部材、7A,7B…冷却装置、73…第1流通部、75…第2流通部、AR…画素配置領域、MS…網目構造、PL…柱状体、SP…中空空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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