(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】研磨パッド用粘着剤、研磨パッド用両面粘着シート、複層型の研磨パッド、および単層型の研磨パッド
(51)【国際特許分類】
C09J 133/00 20060101AFI20241112BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241112BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20241112BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241112BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241112BHJP
B24B 37/22 20120101ALI20241112BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20241112BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J11/06
C09J11/08
C09J7/38
B32B27/00 M
B24B37/22
B24B37/12 D
(21)【出願番号】P 2023213212
(22)【出願日】2023-12-18
【審査請求日】2024-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】奥山 知裕
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-078348(JP,A)
【文献】特開2021-088614(JP,A)
【文献】特開2016-183211(JP,A)
【文献】特開2017-057295(JP,A)
【文献】特開2015-218306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00-201/10
B24B37/00-37/34
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系共重合体(A)と、合成ゴム(B)と、硬化剤(C)とを含
み、
前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、合成ゴム(B)を0.05~20質量部含み、
合成ゴム(B)は、液状ゴム(B1)およびスチレン系エラストマー(B2)のいずれかである、研磨パッド用粘着剤。
【請求項2】
さらに粘着付与樹脂を含む、請求項
1記載の研磨パッド用粘着剤。
【請求項3】
基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートであって、
前記第1粘着層は、請求項1または2記載の研磨パッド用粘着剤から形成される粘着層であり、
下記(1)または(2)の研磨パッド用両面粘着シートであり、
(1)トップパッドをクッション層に固定するための研磨パッド用両面粘着シート
(2)トップパッドを定盤に固定するための研磨パッド用両面粘着シート
前記(1)の場合、
前記第1粘着層がトップパッドに接し、前記第2粘着層がクッション層に接し、
前記(2)の場合、
前記第1粘着層がトップパッドに接し、前記第2粘着層が定盤に接する、
研磨パッド用両面粘着シート。
【請求項4】
トップパッドの一方の面に、研磨パッド用両面粘着シートの第1粘着層が接し、
クッション層の一方の面に、研磨パッド用両面粘着シートの第2粘着層が接している複層型の研磨パッドであって、
前記研磨パッド用両面粘着シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートであり、
前記第1粘着層は、請求項1または2記載の研磨パッド用粘着剤から形成された粘着層である、複層型の研磨パッド。
【請求項5】
トップパッドの一方の面に、研磨パッド用両面粘着シートの第1粘着層が接している単層型の研磨パッドであって、
前記研磨パッド用両面粘着シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートであり、
前記第1粘着層は、請求項1または2記載の研磨パッド用粘着剤から形成された粘着層である、単層型の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハ、ガラス(液晶用、強化)、ハードディスク等の研磨対象を研磨する際に用いられる研磨パッド用両面粘着シートに関する。また、本発明は、前記研磨パッド用両面粘着シートを形成するための研磨パッド用粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶ディスプレイ用ガラス、ハードディスク用基板、光学レンズ、シリコンウェハや集積回路等は、研磨パッド等を用いて研磨されている。研磨パッドには、複層のタイプのものと単層タイプのものとがある。複層のタイプの研磨パッドは、トップパッドとクッション層とが研磨パッド形成用の両面粘着シートや両面接着シートによって貼り合わされたものである。複層のタイプの研磨パッドや単層タイプの研磨パッド、すなわちトップパッドは、研磨パッド固定用の両面粘着シートや両面接着シートによって、定盤に固定される。
複層のタイプの研磨パッド形成用の両面粘着シートや両面接着シートには、研磨中にトップパッドがクッション層から剥がれないことが求められる。研磨パッドを定盤に固定するための研磨パッド固定用の両面粘着シートや両面接着シートには、研磨中に研磨パッドが定盤から剥がれないことが求められる。また、研磨工程では酸性やアルカリ性のスラリーを用いるため、いずれの粘着シートや接着シートにも耐酸性や耐アルカリ性が求められる。
【0003】
特許文献1には、研磨部材固定用の両面接着シートとして、基材の一方の面に熱接着剤層、他方の面に粘着剤層を備える両面接着テープが記載され、前記熱接着剤層は加熱溶融した後、冷却固化して接着するタイプ(熱溶融型接着剤)で構成されることが好ましいと記載されている。具体的には、熱溶融型接着剤を用いて形成した研磨部材用熱接着剤層を被着体に50℃で熱圧着し、23℃の環境下に30分間放置した後、粘着力を測定した旨記載されている。
また、特許文献2には、熱ラミネートや熱プレスせずに粘着シートを研磨パッドに貼り合せるための粘着シートとして、アクリル系共重合体(A)と、液状キシレン系樹脂(B)と、イソシアネート硬化剤(C)とを含む粘着剤の利用が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-213192号公報
【文献】特開2016-183211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような熱溶融型接着剤は、加熱溶融し、被着体を重ねた後、加熱源を取り去れば速やかに固化して貼着が短時間で完了するという点、そして比較的大きな接着力(即ち、剥離力)を発現し易いという点では好ましい。
しかし、被着体である研磨パッドに両面接着シートを貼着する際、高温で貼着すると研磨パッドに反りやうねりが生じ、その結果研磨精度が低下するという問題があった。高温での貼着は、環境負荷増大やコスト増加の原因ともなる。そこで、特許文献1記載の発明当時は、50℃での貼着を目指した。しかし、近年はより低温での貼着が望まれる。
【0006】
特許文献2記載の粘着シートは、熱ラミネートや熱プレスせずに粘着シートを研磨パッドに貼り合せた場合にも、大きな粘着力を発現でき、酸性水溶液やアルカリ性水溶液に浸漬しても、粘着力を高レベルで維持できるという点で優れるものではある。
しかし、安定して大きな粘着力を発現するためには、貼着後24時間程度時間を要していた。貼着後の品質検査、出荷判断を迅速に進めるためには、貼り合わせたあとできるだけ早く安定して粘着力が発現する研磨パッド用粘着剤が求められている。
【0007】
本発明はこうした課題に対して鑑みてなされたものであり、その目的は、室温付近(例えば、23℃)で貼着した場合でも、貼着後短時間で高い粘着力が発現でき、酸性水溶液やアルカリ性水溶液に浸漬しても、粘着力を高レベルで維持できる両面粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 本発明は、アクリル系共重合体(A)と、合成ゴム(B)と、硬化剤(C)とを含む研磨パッド用粘着剤に関する。
前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、合成ゴム(B)を0.05~20質量部含むことが好ましい。
本発明は、さらに粘着付与樹脂を含むことが好ましい。
【0009】
[2] 本発明は、基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートに関する発明であって、
前記第1粘着層は、[1]記載の研磨パッド用粘着剤から形成される粘着層であり、
下記(1)または(2)の研磨パッド用両面粘着シートであり、
(1)トップパッドをクッション層に固定するための研磨パッド用両面粘着シート
(2)トップパッドを定盤に固定するための研磨パッド用両面粘着シート
前記(1)の場合、第1粘着層がトップパッドに接し、前記第2粘着層がクッション層に接し、
前記(2)の場合、第1粘着層がトップパッドに接し、前記第2粘着層が定盤に接する、
研磨パッド用両面粘着シートに関する。
【0010】
[3] 本発明は、トップパッドの一方の面に、研磨パッド用両面粘着シートの第1粘着層が接し、
クッション層の一方の面に、研磨パッド用両面粘着シートの第2粘着層が接している複層型の研磨パッドに関する発明であって、
前記研磨パッド用両面粘着シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートであり、
前記第1粘着層は、[1]記載の研磨パッド用粘着剤から形成された粘着層である、複層型の研磨パッドに関する。
【0011】
[4] 本発明は、トップパッドの一方の面に、研磨パッド用両面粘着シートの第1粘着層が接している単層型の研磨パッドに関する発明であって、
前記研磨パッド用両面粘着シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートであり、
前記第1粘着層は、[1]記載の研磨パッド用粘着剤から形成された粘着層である、単層型の研磨パッドに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、室温付近(例えば、23℃)で貼着した場合でも、貼着後短時間でトップパッドに対し高い粘着力が発現でき、酸性水溶液やアルカリ性水溶液に浸漬しても、粘着力を高レベルで維持できる両面粘着シートを提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<アクリル系共重合体(A)>
本発明において、アクリル系共重合体(A)は、アクリル系モノマーを用いて合成することが可能な(メタ)アクリル系重合体であり、アクリル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、アクリルニトリル等が挙げられるが、これに限定するものではなく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。合成する際は、溶液重合、乳化重合、塊状重合または紫外線照射による重合等の重合方法をとることができるが、本発明では、反応制御や物性コントロールが容易な溶液重合を用いることが好ましい。
【0014】
アクリル系共重合体(A)として、カルボキシ基を有するモノマー(以下、カルボキシ基含有モノマーという)を含む事が好ましい。カルボキシル基含有モノマーは0.1~10重量部を用いることが好ましい。0.1重量部以上であると、硬化剤との架橋密度が向上することで凝集力が増し、研磨工程で研磨パッドと粘着面の横ズレが発生しにくく、また、耐酸性が向上する。一方、10重量部以下であると、硬化剤との架橋密度が過剰にならないためトップパッドに対する投錨性が増し、研磨工程でトップパッドと粘着層との間でハガレが発生しにくく、また、耐アルカリ性および耐酸性が向上する。上記の観点から、0.5~8重量部がより好ましい。
【0015】
カルボキシ基含有モノマーとしては、カルボキシ基を有するものであればよく、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられるが、(メタ)アクリル酸が好ましい。これらのモノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい
【0016】
また、アクリル系共重合体(A)として、水酸基を有するモノマー(以下、水酸基含有モノマーという)を含むことが好ましい。水酸基含有モノマーは、0.01~1.5重量部を用いることが好ましい。0.01重量部以上であると、硬化剤との架橋密度が増し、研磨工程で研磨パッドと粘着面の横ズレが発生しにくい。1.5重量部以下であると、硬化剤との架橋密度が過剰にならないためトップパッドに対する投錨性が増し、研磨工程でトップパッドと粘着層との間でハガレが発生しにくく、また、耐アルカリ性および耐酸性が向上する。上記の観点から、0.05~1重量部がより好ましい。
【0017】
水酸基含有モノマーは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N-メチロールアクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらの中でも硬化剤との適度な架橋性の観点から炭素数1~3のアルキレン基を有する水酸基含有モノマーは、凝集力、耐熱性、密着性をより向上できるため好ましい。そして、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。これらのモノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明において共重合には、過酸化物系の重合開始剤やアゾビス系の重合開始剤等、従来公知の重合開始剤を使用することができる。有機過酸化物の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート等が挙げられ、アゾ系の重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)等が挙げられるが、これら重合開始剤は単独で使用しても、2種類以上の併用で使用してもよい。
【0019】
本発明において、アクリル系共重合体(A)の重合平均分子量は、30万~200万が好ましく、60万~150万がより好ましい。重合平均分子量が30万以上であると、凝集力が増し耐熱性が向上したり、研磨工程で研磨パッドと粘着面の横ズレが生じ難くなったりする。一方、200万以下であると、凝集力が高くなりすぎないためトップパッドに対する投錨性が増し、研磨工程でトップパッドと粘着層との間でハガレが生じ難くなる。
なお本発明において重量平均分子量とはGPC測定で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、GPC測定条件は以下のとおりである。装置:SHIMADZUProminence((株)島津製作所製)カラム:TOSOHTSK-GELGMHXL(東ソー(株)製)を使用。溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.5mL/min、温度:40℃、試料濃度:0.1wt%、試料注入量:100μL。
【0020】
<合成ゴム(B)>
本発明において、合成ゴム(B)は粘着付与樹脂的な機能を担う。
合成ゴム(B)としては、液状ゴム(B1)とスチレン系エラストマー(B2)が挙げられる。
液状ゴム(B1)は特に限定されないが、ジエン系液状ゴムが好ましく、数平均分子量が100~60000が好ましい。本発明において液状ゴム(B1)の液状とは、底面積10cm2、高さ80cmの円筒容器に高さ20cmまで試料を入れ、室温(23℃)にて容器を水平に倒した場合に、10分以内に容器上面の一端に試料が到達する物性をいう。
このような液状ゴム(B1)としては、例えば、(株)クラレ製のポリイソプレンである、LIR-30(数平均分子量:28,000、38℃における粘度(以下同様):70Pa・s)、LIR-50(数平均分子量:54,000、粘度:500Pa・s)、LIR-390(数平均分子量:48,000、粘度:400Pa・s)、LIR-403(数平均分子量:34,000、粘度:200Pa・s)、LIR-410(数平均分子量:30,000、粘度:430Pa・s)や、(株)クラレ製のポリブタジエンである、LBR-302(数平均分子量:5,500、粘度:0.6Pa・s)、LBR-307(数平均分子量:8,000、粘度:1.5Pa・s)、LBR-305(数平均分子量:26,000、粘度:40Pa・s)、LBR-352(数平均分子量:9,000、粘度:6Pa・s)、LBR-361(数平均分子量:5,500、粘度:5.5Pa・s)や、日本曹達(株)製のポリブタジエンである、NISSO PB B-3000(数平均分子量:3200、45℃における粘度(以下同様):21Pa・s)、NISSO PB B-1000(数平均分子量:1200、粘度:1Pa・s)や、出光興産(株)製の水酸基末端ポリブタジエンであるPoly bd R-45HT(数平均分子量:2800、30℃における粘度粘度(以下同様):5Pa・s)や、出光興産(株)製の水添イソプレンポリオールであるエポール(数平均分子量:2500、粘度:75Pa・s)や、出光興産(株)製の水酸基末端のポリイソプレンである、Poly ip(数平均分子量:2500、粘度:7.5Pa・s)などを例示することができる。液状ゴム(B1)は、単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
なお、前記粘度の値は、試料を適量計量し各温度に設定した後、東機産業社製TVB-10M形粘度計を用いて測定する粘度に合わせてローターと回転数を適宜選択し、測定開始してから1分後の値である。
【0021】
スチレン系エラストマー(B2)としては、公知のスチレン系共重合体を好適に使用することが可能であり、特に限定はない。
具体的には、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(以下、単にSBSともいう。)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン共重合体(以下、単にSBSBともいう。)、スチレン-ブタジエン/ブチレン-スチレン共重合体(以下、単にSBBSともいう。)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(以下、単にSEBSともいう。)、スチレン-エチレン/プロピレンースチレン共重合体(以下、単にSEPSともいう。)、スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(以下、単にSEEPSともいう。)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(以下、単にSISともいう。)等を挙げることができる。
また、スチレン系エラストマー(B2)の重量平均分子量は、20,000~120,000であることが好ましい。重量平均分子量の下限は、30,000以上であることがより好ましく、45,000以上であることがさらに好ましく、60,000以上であることが特に好ましい。重量平均分子量が25,000以上であることにより、粘着層全体の保持力が向上する。一方、重量平均分子量の条件は、90,000以下であることがより好ましく、75,000以下であることがさらに好ましく、65,000以下であることが特に好ましい。重量平均分子量が120,000以下であることにより、アクリル系共重合体(A)との相溶性悪化を避けることができる。
【0022】
合成ゴム(B)は、アクリル系共重合体(A)100重量部に対し、0.05~20重量部であることが好ましい。0.05重量部以上であることによって、低温で貼着した場合でも、貼着後短時間でトップパッドに対し高い粘着力が発現でき、研磨工程におけるトップパッドとクッション層、トップパッドと定盤の粘着面のハガレを効果的に防止できる。20重量部以下であることによって、アクリル系共重合体(A)と相溶し易くなり、保持力を向上し易くなる。上記の観点から、0.1~15重量部がより好ましい。
【0023】
<その他の粘着付与樹脂>
本発明では、上記合成ゴム(B)の他に、一般的に粘着付与樹脂として知られているものを求められる性能を損なわない範囲で必要に応じて使用することができる。
一般的な粘着付与樹脂としては、例えば、石油樹脂、ロジンエステル、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、ロジンフェノール樹脂などのロジン系樹脂;、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、ジペンテン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、酸変性テルペン樹脂、スチレン化テルペン樹脂などのテルペン系樹脂。さらにはクマロン-インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂などが挙げられるが、これらに限定するものではなく、このような粘着付与樹脂は、2種以上を組み合わせて使用しても良く、石油樹脂またはその共重合体を使用することが好ましい。
【0024】
石油樹脂としては、三井化学社製のFTR-6100(軟化点100℃)、FTR-6110(軟化点110℃)およびFTR-6125(軟化点125℃)、東ソー社製のペトロタック70(軟化点70℃)、ペトロタック90(軟化点95℃)、ペトロタック120V(軟化点120℃)、ペトコール100T(軟化点100℃)、ペトコール120(軟化点120℃)、ペトコール130(軟化点125℃)、ペトコールLX(軟化点95℃)、東邦化学産業社製のトーホーレジン120S(軟化点120℃)、アリゾナケミカル社製のSylvares SA-85(軟化点85℃)、Sylvares SA-100(軟化点100℃)、Sylvares SA-120(軟化点120℃)、Sylvares SA-140(軟化点140℃)、ENEOS社製のネオポリマーS(軟化点92℃)などを例示することができるが、これらに限定するものではない。軟化点80℃から150℃である石油樹脂が好ましく、これらは、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0025】
石油樹脂を合成ゴム(B)と併用すると、トップパッドに対する投錨性が増し、研磨工程でトップパッドと粘着層との間でハガレが発生しにくく、耐アルカリ性および耐酸性も向上する。また、凝集力が向上し研磨工程でトップパッドと粘着層との間で粘着面の横ズレが発生しにくい。
【0026】
その他の粘着付与樹脂は、アクリル系共重合体(A)100重量部に対し、5~80重量部用いることが好ましい。5重量部以上であると、トップパッドに対する投錨性が増し、研磨工程でトップパッドと粘着層との間でハガレが発生しにくく、耐酸性および耐アルカリ性が向上する。80重量部以下であると、粘着付与樹脂を起因とした密着性の低下や凝集力の低下が起こらないために、研磨工程でトップパッドと粘着層との間で横ズレや、ハガレが発生しにくい。上記の観点から、10~40重量部がより好ましく、10~30重量部がさらに好ましい。
【0027】
<硬化剤(C)>
本発明の硬化剤(C)は架橋剤としての機能を有し、例えば、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、アジリジン系硬化剤、金属キレート硬化剤等が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としてはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物とトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体などが挙げられるが特に限定されない。アダクト体としては、イソシアネート化合物はトリレンジイソシアネートが好ましく、ポリオールはトリメチロールプロパンが好ましい。エポキシ系化合物では、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられ、金属キレート化合物では、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに廃位した化合物が挙げられ、アジリジン系化合物では、例えば、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサイド)、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキサイド)トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、またはトリ-1-アジリジニルホスフィンオキサイドなどが挙げられ、上記架橋剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
架橋剤は、アクリル系共重合体(A)100重量部に対し、合計で0.1~10重量部が好ましく、0.3~8重量部がより好ましい。0.1重量部以上であると、架橋密度が向上し凝集力が増し、研磨工程でトップパッドと粘着層の間で横ズレが生じにくい。一方、10重量部以下であると、架橋密度が過剰にならないためトップパッドに対する投錨性が増し、研磨工程でトップパッドと粘着層の間のハガレが発生しにくい。
【0029】
<その他添加剤>
本発明の粘着剤には、必要に応じて公知の粘着剤組成物に配合される充填剤、顔料、染料、希釈剤、老化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、カップリング剤等、各種添加剤を含んでもよく、また、2種類以上を用いてもよい。また、添加剤の添加量は、必要な物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
【0030】
<粘着シートの構成について>
本発明の粘着シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートであって、
前記第1粘着層は、アクリル系共重合体(A)と合成ゴム(B)と硬化剤(C)とを含む前記の研磨パッド用粘着剤から形成される粘着層であり、
下記(1)または(2)の研磨パッド用両面粘着シートであり、
(1)トップパッドをクッション層に固定するための研磨パッド用両面粘着シート
(2)トップパッドを定盤に固定するための研磨パッド用両面粘着シート
前記(1)の場合、第1粘着層がトップパッドに接し、前記第2粘着層がクッション層に接し、
前記(2)の場合、第1粘着層がトップパッドに接し、前記第2粘着層が定盤に接する、
研磨パッド用両面粘着シートである。
クッション層や定盤に接する前記第2粘着層は、前記第1粘着層と同様にアクリル系共重合体(A)と合成ゴム(B)と硬化剤(C)とを含む粘着剤から形成することもできるし、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤などから形成することもできる。
【0031】
本発明における基材シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、セロファン等のプラスチック製のフィルム、また、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙等の紙、また、織布、不織布等の布、ウレタン発泡体、EPDM発泡体等の発泡体が挙げられ、特にこれに限定されるものではないが、好ましくは両面にコロナ処理をされたプラスチック製のフィルムである。基材の厚さは5~300μmが好ましく、さらに好ましくは、10~200μmである。
【0032】
トップパッドとは、研磨布とも呼ばれ、研磨の際、研磨対象と直に接し研磨するための部材であり、硬質ポリウレタンシート、合成皮革、スェード、ベロア等が挙げられる。トップパッドは、前記(2)の場合のように単層で定盤に固定され使用されることもあれば、クッション層と貼り合されて複層タイプの研磨パッドの最表面を構成することもある。
クッション層としては、発泡体や不織布が挙げられる。発泡体としては、ウレタン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体等が挙げられる。不織布としては、ポリエステル等から製造されるものや、羊毛等の天然物から製造されるもの等が挙げられる。
【0033】
本発明の研磨パッド用両面粘着シートは、例えば、下記(1)、(2)のような方法で製造することができる。
(1)第1粘着層形成用の系粘着剤、および第2粘着層形成用の系粘着剤をそれぞれ剥離ライナーに塗工して、第1粘着層および第2粘着層を形成した後、基材シートの各面にそれぞれ第1粘着層および第2粘着層を貼り合わせる。
(2)基材シートの一方の面に第1粘着層形成用の系粘着剤または第2粘着層形成用の系粘着剤のいずれか一方を塗工し、第1粘着層または第2粘着層を形成する。別途剥離ライナーに第1粘着層形成用の系粘着剤または第2粘着層形成用の系粘着剤のいずれか他方の粘着剤を塗工して他方の粘着層を形成し、粘着層の形成されていない側の基材シートの面に、剥離ライナー上に形成された他方の粘着層を貼る。
なお、各粘着層は、粘着シートを使用する直前まで剥離ライナーで保護されていることが通常である。
【0034】
前記剥離ライナーは、紙、プラスチックフィルム、合成紙等の基材に、剥離剤を塗工して形成した剥離層を有する。剥離剤は、例えばシリコーン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。本発明の再剥離型粘着剤は、剥離力が剥離剤の種類に依存し難い効果が得られる。なお、剥離ライナーの厚さは特に制限はないが10~200μm程度である。
【0035】
粘着剤の塗工は、例えばロールコーター法、コンマコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、グラビアコーター法等の公知の方法が使用できる。塗工後は、熱風オーブン、赤外線ヒーター等で乾燥することができるが、特にこれに限定されるものではない。粘着層の厚さは、25~200μmが好ましく、さらに好ましくは、50~150μmである。
【0036】
<複層型の研磨パッド>
本発明の複層型の研磨パッドは、トップパッドの一方の面に、研磨パッド用両面粘着シートの第1粘着層が積層されている複層型の研磨パッドであって、
前記研磨パッド用両面粘着シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に位置する第1粘着層と、前記基材シートの他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨パッド用両面粘着シートであり、
前記第1粘着層は、アクリル系共重合体(A)と合成ゴム(B)と硬化剤(C)とを含む前記の研磨パッド用粘着剤から形成される粘着層であり、
前記第2粘着層がクッション層に接している。
【0037】
本発明の複層型の研磨パッドは、例えば以下のように製造することができる。
第1粘着層を被覆していた剥離ライナーを剥がし、第1粘着層にトップパッドを重ね合わせる。重ね合わせの際、格別の加熱は必要ないが、加熱することもできる。重ね合わせた後、室温付近で3時間程度放置することによって、安定した剥離強度を発現できる。次いで、第2粘着層を被覆していた剥離ライナーを剥がし、第2粘着層にクッション層を重ね合わせる。第2粘着層の形成に従来の粘着剤を用いた場合には、第2粘着層にクッション層を重ね合わせた後、室温付近で24時間程度放置することが好ましい。
あるいは、まず第2粘着層を被覆していた剥離ライナーを剥がし、第2粘着層にクッション層を重ね合わせる。第2粘着層の形成に従来の粘着剤を用いた場合には、第2粘着層にクッション層を重ね合わせた後、室温付近で24時間程度放置することが好ましい。次いで、第1粘着層を被覆していた剥離ライナーを剥がし、第1粘着層にトップパッドを重ね合わせる。重ね合わせの際、格別の加熱は必要ないが、加熱することもできる。重ね合わせた後、室温付近で3時間程度放置することによって、安定した剥離強度を発現できる。
なお、第2粘着層の形成にも、第1粘着層の場合と同様にアクリル系共重合体(A)と合成ゴム(B)と硬化剤(C)とを含む粘着剤を用いれば、第2粘着層にクッション層を重ね合わせた後の室温付近での放置時間を3時間程度にすることができる。
【0038】
複層型の研磨パッドのクッション層の他方の面を定盤に貼り、複層型の研磨パッドを常磐に固定することができる。複層型の研磨パッドのクッション層を定盤に貼る際には、種々の両面粘着シートを用いることができる。
【0039】
<単層型の研磨パッド>
本発明の研磨パッド用両面粘着シートは、単層型の研磨パッドの形成にも使用できる。
即ち、第1粘着層を被覆していた剥離ライナーを剥がし、第1粘着層にトップパッドを重ね合わせる。重ね合わせの際、格別の加熱は必要ないが、加熱することもできる。重ね合わせた後、室温付近で3時間程度放置することによって、安定した剥離強度の単層型の研磨パッドを形成できる。
単層型の研磨パッドの第2粘着層を定盤に貼り、単層型の研磨パッドを常磐に固定することができる。単層型の研磨パッドを定盤に貼る際には、種々の両面粘着シートを用いることができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は、それぞれ重量部および重量%を示している。
【0041】
(重量平均分子量の測定)
明細書に記載の方法と同様にして測定した。
(粘度の測定方法)
明細書に記載の方法と同様にして測定した。
(軟化点の測定方法)
JISK2207に準じて測定した値である。
【0042】
<製造例1>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、窒素雰囲気下で、表1の各モノマーの合計量の50重量%、開始剤としてパーブチルOを0.03部、溶剤として酢酸エチル50部を反応槽に仕込み、残りのモノマーの全量、および酢酸エチル35部、パーブチルOを0.07部添加して混合した溶液を滴下管に仕込んだ。反応槽を加熱し還流を確認後、モノマー混合物を滴下管から約1時間かけて滴下し、その後約80℃にて反応を継続した。反応終了後、冷却、酢酸エチルで希釈し、アクリル系共重合体A1の溶液を得た。アクリル系共重合体A1の溶液の不揮発分は47%、アクリル系共重合体A1の重量平均分子量は600000であった。
【0043】
<製造例2~7>
製造例1と同様にして、表1のモノマー処方に従って、アクリル系共重合体A2~A7の溶液を得た。
【0044】
【0045】
表1中の略号は以下の通り。
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
VAC:酢酸ビニル
AA:アクリル酸
2HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
【0046】
<実施例1>
表2に示すように、製造例1で得られたアクリル系共重合体A1:100重量部を含む溶液に対して、液状ゴム(B1-1)としてLIR-410((株)クラレ製のポリイソプレン、数平均分子量30000、粘度430Pa・s):1.4部、その他粘着付与樹脂としてハリタックPCJ(ハリマ化成グループ(株)製の重合ロジンエステル、軟化点123℃):19.4部、ネオポリマーS(ENEOS(株)製の芳香族炭化水素樹脂、軟化点92℃):7.5部、マイテックGP-1(三菱ケミカル(株)製のトリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体の不揮発分37.5%の酢酸エチル溶液)を固形分換算で0.5重量部、酸化防止剤を0.4部、酢酸エチルを適量配合し不揮発分47%の粘着剤を得た。なお、表2の数値は部を表す。
【0047】
次いで、得られた粘着剤を、コンマコーターを用いて市販の剥離性ライナー上に乾燥後の粘着層の厚さが80μmになるように塗工し、乾燥オーブンで100℃-2分間乾燥し溶剤を除去した後に、、25μmのPETフィルムの一方の面に貼り合せた。別途同様にコンマコーターを用いて市販の剥離性ライナー上に乾燥後の粘着層の厚さが80μmになるように塗工し、乾燥オーブンで100℃-2分間乾燥し溶剤を除去した後に、、25μmのPETフィルムの他方の面に貼り合せることで総厚185μmの両面粘着シートを得、後述する方法に従って両面粘着シートの性能を評価した。
【0048】
<実施例2~13>
表2に示すように、合成ゴム(B)の種類を変えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤、および両面粘着シートを得、両面粘着シートの性能を評価した。
【0049】
<実施例14~19>
表3に示すように、アクリル系共重合体の種類を変えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤、および両面粘着シートを得、両面粘着シートの性能を評価した。
【0050】
<実施例20~23>
表3に示すように、液状ゴム(B1-1)の量を変えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤、および両面粘着シートを得、両面粘着シートの性能を評価した。
【0051】
<実施例24>
表3に示すように、酸化防止剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして、粘着剤、および両面粘着シートを得、両面粘着シートの性能を評価した。
【0052】
<実施例25~31>
表4に示すように、その他粘着付与樹脂の種類と量を変えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤、および両面粘着シートを得、両面粘着シートの性能を評価した。
【0053】
<実施例32~36>
表4に示すように、硬化剤(C)の種類と量を変えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤、および両面粘着シートを得、両面粘着シートの性能を評価した。
【0054】
<比較例1~2>
表4に示すように、比較例1は合成ゴム(B)を、比較例2は硬化剤(C)をそれぞれ用いなかった以外は実施例1と同様にして、粘着剤、および両面粘着シートを得、両面粘着シートの性能を評価した。
【0055】
表2~4中の略号は以下の通り。
合成ゴム(B)
B1-1:LIR-410 (株)クラレ製のポリイソプレン、数平均分子量:30,000、粘度:430Pa・s
B1-2:LIR-390 (株)クラレ製のポリイソプレン、数平均分子量:48,000、粘度:400Pa・s
B1-3:LIR-30 (株)クラレ製のポリイソプレン、数平均分子量:28,000、粘度:70Pa・s
B1-4:LIR-403 (株)クラレ製のポリイソプレン、数平均分子量:34,000、粘度:200Pa・s
B1-5:LBR-305 (株)クラレ製のポリブタジエン、数平均分子量:26,000、粘度:40Pa・s
B1-6:LBR-352 (株)クラレ製のポリブタジエン、数平均分子量:9,000、粘度:6Pa・s
B1-7:LBR-361 (株)クラレ製のポリブタジエン、数平均分子量:5,500、粘度:5.5Pa・s
B1-8:NISSO PB B-3000 日本曹達(株)製のポリブタジエン、数平均分子量3200、粘度21Pa・s
B1-9:NISSO PB B-1000 日本曹達(株)製のポリブタジエン、数平均分子量1200、粘度1Pa・s
B1-10:Poly bd R-45HT 出光興産(株)製の水酸基末端ポリブタジエン、数平均分子量2800、粘度5Pa・s
B1-11:エポール 出光興産(株)製の水添イソプレンポリオール、数平均分子量2500、粘度75Pa・s
B1-12:Poly ip 出光興産(株)製の水酸基末端ポリイソプレン、数平均分子量2500、粘度7.5Pa・s
B2:Gー1650(クレイトン社製スチレンーエチレン/ブチレンースチレンブロック共重合体、重量平均分子量96,000)
なお、B1-1~B1-12は、底面積10cm2、高さ80cmの円筒容器に高さ20cmまで試料を入れ、室温(23℃)にて容器を水平に倒した場合に、10分以内に容器上面の一端に試料が到達した。
【0056】
硬化剤(C)
C1:マイテック GP-105A 三菱ケミカル(株)製のトリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体の不揮発分37.5%の酢酸エチル溶液
C2:テトラドX 三菱ガス化学(株)の多官能エポキシ樹脂の不揮発分5%のトルエン/IPA混合溶液
C3:ケミタイトPZ33 (株)日本触媒製の多官能アジリジン樹脂の不揮発分5%のトルエン/IPA混合溶液
【0057】
(その他粘着付与樹脂D)
D1:ハリタックPCJ ハリマ化成グループ社製の重合ロジンエステル、軟化点123℃)
D2:ネオポリマーS ENEOS(株)製の芳香族炭化水素樹脂、軟化点92℃
D3:アルコンP100 荒川化学工業(株)製の水素化石油樹脂、軟化点100℃
D4:スーパーエステルA125 荒川化学工業(株)製の特殊ロジンエステル、軟化点125℃
D5:ECR5380 エクソンモービル(株)製の水素化脂環式樹脂、軟化点86℃
【0058】
[評価方法]
<試験片の用意>
各実施例、および各比較例で得た両面粘着シートから長さ10mm×幅25mmの試料を切り出し、三通りの環境温度下(23℃、50℃、100℃)で、それぞれ剥離ライナーを剥がす。露出した粘着層に、トップパッド(一般市販硬質ウレタンパッド)を重ね、2kgロールで1往復圧着した。
23℃の場合は、23℃の環境下で3時間、または24時間放置し、測定用の試験片を用意した。
50℃、100℃の場合は、圧着後直ちに23℃の環境温度下に試料を移し、23℃-50%の環境下で3時間放置し、測定用の試験片を用意した。
【0059】
<<初期>>
23℃-50%の環境下に所定時間放置した試験片について、速やかに同環境下にて引っ張り試験を用い、JISZ1528の測定方法に準拠して、剥離速度300/min.、剥離角度180度における剥離強度を測定した。
【0060】
<<アルカリ浸漬後>>
23℃-50%の環境下に3時間放置した試験片について、水酸化ナトリウムを用いてpH11.5に調整した40℃の水溶液中に、24時間浸漬した。その後、水溶液より試料を取り出し、水洗浄後、初期の場合と同様にして、剥離角度180度における剥離強度を測定した。
【0061】
<<酸浸漬後>>
23℃-50%の環境下に所定3時間放置した試験片について、硫酸を用いてpH1.5に調整した40℃の水溶液中に、24時間浸漬した。その後、水溶液より試料を取り出し、水洗浄後、初期の場合と同様にして、剥離角度180度における剥離強度を測定した。
【0062】
【0063】
【0064】
【要約】
【課題】 本発明の目的は、室温付近(例えば、23℃)で貼着した場合でも、貼着後短時間で高い粘着力が発現でき、酸性水溶液やアルカリ性水溶液に浸漬しても、粘着力を高レベルで維持できる両面粘着シートを提供することにある。
【解決手段】 アクリル系共重合体(A)と、合成ゴム(B)と、硬化剤(C)とを含む研磨パッド用粘着剤。前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、合成ゴム(B)を0.05~20質量部含むことが好ましい。
【選択図】 なし