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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】貯湯装置および貯湯式給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20241112BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20241112BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20241112BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20241112BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20241112BHJP
   F24H 15/34 20220101ALI20241112BHJP
   F24H 15/32 20220101ALI20241112BHJP
【FI】
F24H1/18 H
F24H4/02 F
F24H15/10
F24H15/215
F24H15/219
F24H15/34
F24H15/32
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023505049
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2021010089
(87)【国際公開番号】W WO2022190363
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】野村 泰光
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 慶郎
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/016845(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/001980(WO,A1)
【文献】特開2006-017417(JP,A)
【文献】特開2007-046858(JP,A)
【文献】特開2011-141076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/18,4/00-4/06,15/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にタンク水を貯留する貯湯タンクと、
前記タンク水を加熱する加熱源と、
前記貯湯タンクの下部に貯留された前記タンク水を前記加熱源に供給する下部配管と、
前記加熱源で加熱された前記タンク水を前記貯湯タンクの前記下部よりも鉛直方向において上方に位置する前記貯湯タンクの中部に供給する中部配管と、
前記加熱源で加熱された前記タンク水を前記貯湯タンクの前記下部および前記中部よりも鉛直方向において上方に位置する前記貯湯タンクの上部に供給する上部配管と、
前記加熱源で加熱された前記タンク水が前記中部配管を通過して前記貯湯タンクの前記中部に流入する中部流入タンク水循環回路と、前記加熱源で加熱された前記タンク水が前記上部配管を通過して前記貯湯タンクの前記上部に流入する上部流入タンク水循環回路と、を切り替える流路切替装置と、
鉛直方向における前記貯湯タンクの最も下方に位置する部分より予め定められたセンサ高さ離れた位置に貯留されている前記タンク水の温度を検出するタンク温度センサと、を備え、
前記貯湯タンクに前記加熱源で加熱された前記タンク水を貯留する貯湯運転において、前記タンク温度センサで検出された温度が予め定められた温度よりも低くなった場合に、前記貯湯運転が開始され、
前記流路切替装置が前記中部流入タンク水循環回路を形成した状態であり前記加熱源で加熱される前の前記タンク水の温度が予め定められた中温水所望温度以上である場合は、前記流路切替装置は前記中部流入タンク水循環回路から前記上部流入タンク水循環回路に切り替える、
前記流路切替装置が前記中部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記加熱源に供給される前記タンク水の単位時間当たりの流量は、前記流路切替装置が前記上部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記加熱源に供給される前記タンク水の単位時間当たりの流量よりも多い貯湯装置。
【請求項2】
電動機を有し、前記中部流入タンク水循環回路または前記上部流入タンク水循環回路に前記タンク水を循環させ、前記電動機の回転数を変更することで循環する前記タンク水の単位時間当たりの流量を変更することができるタンク水循環ポンプを備え、
前記流路切替装置が前記中部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記タンク水循環ポンプの前記電動機の回転数は、前記流路切替装置が前記上部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記タンク水循環ポンプの前記電動機の回転数よりも多い請求項1に記載の貯湯装置。
【請求項3】
前記流路切替装置が前記中部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記タンク水循環ポンプの前記電動機の回転数は、前記電動機が運転することができる最大の回転数である請求項2に記載の貯湯装置。
【請求項4】
前記流路切替装置が前記中部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記加熱源で加熱された後の前記タンク水の温度は、前記流路切替装置が前記上部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記加熱源で加熱された後の前記タンク水の温度よりも低い請求項1から3のいずれか一項に記載の貯湯装置。
【請求項5】
電動機を有し、前記中部流入タンク水循環回路または前記上部流入タンク水循環回路に前記タンク水を循環させ、前記電動機の回転数を変更することで循環する前記タンク水の単位時間当たりの流量を変更することができるタンク水循環ポンプを備え、
前記流路切替装置が前記上部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記タンク水循環ポンプの前記電動機の回転数は、前記加熱源で加熱された後の前記タンク水の温度が前記中温水所望温度よりも高い温度に予め定められた高温水所望温度となる回転数である請求項1に記載の貯湯装置。
【請求項6】
前記貯湯タンクの前記下部に貯留されている前記タンク水の温度または前記下部配管を流れる前記タンク水の温度を検出する加熱前タンク水温度センサを備え、
前記加熱前タンク水温度センサが検出した前記タンク水の温度が前記加熱源で加熱される前の前記タンク水の温度である請求項1から5のいずれか一項に記載の貯湯装置。
【請求項7】
前記下部配管と前記中部配管と前記上部配管は、それぞれ前記貯湯タンクの胴部から前記貯湯タンクの外部に露出している請求項1から6のいずれか一項に記載の貯湯装置。
【請求項8】
前記下部配管と前記中部配管と前記上部配管の少なくとも一つは、前記貯湯タンクの天面部または底面部から前記貯湯タンクの外部に露出している請求項1から6のいずれか一項に記載の貯湯装置。
【請求項9】
前記加熱源は、熱媒体を加熱する加熱ユニットと、前記加熱ユニットで加熱された熱媒体と前記タンク水との間で熱交換を行わせる熱交換器と、を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の貯湯装置。
【請求項10】
前記加熱ユニットは蒸気圧縮式のヒートポンプである請求項9に記載の貯湯装置。
【請求項11】
前記加熱ユニットには冷媒が循環する冷媒回路が形成されており、前記冷媒は自然冷媒である請求項10に記載の貯湯装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の貯湯装置と、
前記貯湯タンクに貯留された前記タンク水を取り出して利用する第一の利用端末および第二の利用端末と、を備え、
前記第一の利用端末および前記第二の利用端末には、それぞれ利用する水の温度が予め定められており、前記第一の利用端末で利用する水の温度は前記第二の利用端末で利用する水の温度よりも高く、前記中温水所望温度は前記第二の利用端末で利用する水の温度以上である貯湯式給湯システム。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の貯湯装置と、
前記貯湯タンクに貯留された前記タンク水を取り出して利用する第一の利用端末および第二の利用端末と、を備え、
前記第一の利用端末および前記第二の利用端末には、それぞれ利用する水の温度が予め定められており、前記第一の利用端末で利用する水の温度は前記第二の利用端末で利用する水の温度よりも高く、前記中温水所望温度は前記第二の利用端末で利用する水の温度以上であり、
前記第一の利用端末が利用する水の量は予め定められており、
前記貯湯タンクに貯留された前記タンク水のうち、鉛直方向における前記センサ高さよりも上方に位置する前記タンク水の体積は、前記第一の利用端末が利用する水の量以上であって、
前記貯湯運転において、前記流路切替装置が前記上部流入タンク水循環回路を形成した状態であり前記タンク温度センサが検出した前記タンク水の温度が前記第一の利用端末で利用する水の温度以上である場合には、前記貯湯運転を終了する貯湯式給湯システム。
【請求項14】
前記流路切替装置が前記上部流入タンク水循環回路を形成した状態における前記加熱源で加熱された後の前記タンク水の温度は、前記第一の利用端末で利用する水の温度以上である請求項12又は13に記載の貯湯式給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は貯湯装置および当該貯湯装置を含む貯湯式給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、貯湯タンクと加熱源と貯湯タンク上層部に接続された高温湯出湯配管と貯湯タンクの中層部に接続された中温湯出湯配管と沸上切替弁とを備え、沸上切替弁は高温水(特許文献1の高温湯が該当)を沸かし上げる高温湯沸上モードでは加熱源で加熱された水を高温湯出湯配管を介して貯湯タンクに供給するよう流路を切り替え、中温水(特許文献1の中温湯が該当)を沸かし上げる中温湯沸き上げモードでは加熱源で加熱された水を中温湯出湯配管を介して貯湯タンクに供給する貯湯式給湯システムが開示されている。また、特許文献1に示す貯湯式給湯システムは中温湯沸上モードから高温湯沸上モードに移行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-204252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、沸上切替弁の向きを変える条件については加熱源からの出湯温度に基づいて開示されているが、中温湯沸上モードから高温湯沸上モードに移行する条件については開示されていない。したがって、貯湯タンク内の湯が所望の温度に達していないうちに中温湯沸上モードから高温湯沸上モードに切り替わってしまい、貯湯タンク内に十分な量の中温水を貯湯できない恐れがある。
【0005】
本開示は、貯湯タンク内に十分な量の中温水を貯湯してから、貯湯タンクへ高温水を供給することができる貯湯装置および当該貯湯装置を含む貯湯式給湯システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る貯湯装置ならびに貯湯式給湯システムは、内部にタンク水を貯留する貯湯タンクと、タンク水を加熱する加熱源と、貯湯タンクの下部に貯留されたタンク水を加熱源に供給する下部配管と、加熱源で加熱されたタンク水を貯湯タンクの下部よりも鉛直方向において上方に位置する貯湯タンクの中部に供給する中部配管と、加熱源で加熱されたタンク水が貯湯タンクの下部および中部よりも鉛直方向において上方に位置する貯湯タンクの上部に供給する上部配管と、加熱源で加熱されたタンク水が中部配管を通過して貯湯タンクの中部に流入する中部流入タンク水循環回路と加熱源で加熱されたタンク水が上部配管を通過して貯湯タンクの上部に流入する上部流入タンク水循環回路と、を切り替える流路切替装置と、鉛直方向における貯湯タンクの最も下方に位置する部分より予め定められたセンサ高さ離れた位置に貯留されているタンク水の温度を検出するタンク温度センサと、を備え、貯湯タンクに加熱源で加熱されたタンク水を貯留する貯湯運転において、タンク温度センサで検出された温度が予め定められた温度よりも低くなった場合に、貯湯運転が開始され、流路切替装置が中部流入タンク水循環回路を形成した状態であり加熱源で加熱される前のタンク水の温度が予め定められた中温水所望温度以上である場合は、流路切替装置は中部流入タンク水循環回路から上部流入タンク水循環回路に切り替え、流路切替装置が中部流入タンク水循環回路を形成した状態における加熱源に供給されるタンク水の単位時間当たりの流量は、流路切替装置が上部流入タンク水循環回路を形成した状態における加熱源に供給されるタンク水の単位時間当たりの流量よりも多い
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る貯湯装置ならびに貯湯式給湯システムは、加熱源で加熱される前のタンク水の温度が中温水所望温度以上であれば中部流入タンク水循環回路から上部流入タンク水循環回路に切り替えるため、貯湯タンク内に十分な量の中温水を貯湯してから、貯湯タンクへ高温水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る貯湯式給湯システムの概略図である。
図2】実施の形態に係る貯湯式給湯システムの制御装置に関するハードウェア構成図である。
図3】実施の形態に係る貯湯式給湯システムの貯湯装置に関する機能ブロック図である。
図4】実施の形態に係る貯湯式給湯システムで第一の利用端末がタンク水をそのまま利用する場合の概略図である。
図5】実施の形態に係る貯湯式給湯システムで第二の利用端末がタンク水を水源の水と混合させて利用する場合の概略図である。
図6】実施の形態に係る貯湯式給湯システムの貯湯運転のフローチャートである。
図7】実施の形態に係る貯湯式給湯システムについて貯湯運転のステップS101の処理が終了した時点における概略図である。
図8】実施の形態に係る貯湯式給湯システムについて貯湯運転のステップS105の処理が終了した時点における概略図である。
図9】実施の形態に係る貯湯式給湯システムにおいて貯湯運転時の貯湯タンクの内部のタンク水の温度分布を示す第一の図である。
図10】実施の形態に係る貯湯式給湯システムにおいて貯湯運転時の貯湯タンクの内部のタンク水の温度分布を示す第二の図である。
図11】実施の形態に係る貯湯式給湯システムにおいて貯湯運転時の貯湯タンクの内部のタンク水の温度分布を示す第三の図である。
図12】実施の形態に係る貯湯式給湯システムにおいて貯湯運転時の貯湯タンクの内部のタンク水の温度分布を示す第四の図である。
図13】実施の形態の変形例に係る貯湯式給湯システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施の形態に係る貯湯装置および貯湯式給湯システムについて図面に基づいて説明する。なお、本開示は以下の実施の形態のみに限定されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で変形または省略することが可能である。さらに、各々の実施の形態ならびに変形例に係る貯湯装置および貯湯式給湯システムの構成ならびに付加的な構成を適宜組み合わせることも可能である。また、各図において共通する要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態.
図1は実施の形態に係る貯湯式給湯システムの概略図である。貯湯式給湯システム1000は、貯湯装置1と、第一の利用端末1100と、第二の利用端末1200と、供給配管1300と、取出配管1400と、を備える。
【0011】
貯湯装置1は、加熱ユニット2と、貯湯ユニット3と、ユニット間往き配管4と、ユニット間戻り配管5を有する。また、貯湯装置1には、加熱ユニット2と貯湯ユニット3とユニット間往き配管4とユニット間戻り配管5とが熱媒体が流れるように接続されることで、熱媒体が循環する熱媒体循環回路100が形成されている。なお、熱媒体には流体が用いられ、例えば水または添加剤と水の混合液などが熱媒体に用いられる。
【0012】
加熱ユニット2は熱媒体を加熱する。加熱ユニット2が熱媒体を加熱する手段としては、例えば、冷媒を循環させて大気の熱または水の熱を熱媒体に移動させる蒸気圧縮式ヒートポンプで熱媒体を加熱する手段、ガスまたは灯油などの燃料を燃焼させ燃焼熱によって熱媒体を加熱する手段、電力が供給されることで発熱する電熱ヒーターで熱媒体を加熱する手段、または太陽からの熱を集熱して熱媒体を加熱する手段などが挙げられる。特に蒸気圧縮式ヒートポンプで熱媒体を加熱する手段はエネルギー効率が高く、当該手段を用いることが望ましい。また、蒸気圧縮式ヒートポンプを用いて熱媒体を加熱する手段では、加熱ユニット2は冷媒が循環する冷媒回路を有し、冷媒にR744またはR290などの自然冷媒を使用することが望ましい。自然冷媒は、R410AまたはR32などのHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒と比較して地球温暖化係数が小さく、地球環境への影響を抑制することができる。
【0013】
貯湯ユニット3は、熱媒体を利用して加熱された水を貯湯する。ここで、貯湯ユニット3に貯湯される水のことをタンク水と称する。また、実施の形態ではタンク水のことをタンク水の温度に応じて低温水、中温水または高温水と称する場合がある。低温水は、中温水および高温水よりも温度が低いタンク水のことである。また、中温水は、低温水よりも温度が高く、高温水よりも温度が低いタンク水のことである。また、高温水は、低温水および中温水よりも温度が高いタンク水のことである。
【0014】
貯湯ユニット3は、貯湯タンク10と、熱交換器11と、熱媒体循環ポンプ12と、タンク水循環ポンプ13と、流路切替装置14と、貯湯ユニット内供給配管20と、貯湯ユニット内取出配管21と、下部配管22と、加熱後配管23と、中部配管24と、上部配管25と、供給配管接続部26と、取出配管接続部27と、タンク温度センサ30と、加熱前タンク水温度センサ31と、加熱後タンク水温度センサ32と、制御装置40と、を有している。また、貯湯ユニット3にはタンク水が循環するタンク水循環回路200が形成されている。なお、実施の形態に係るタンク水循環回路200は中部流入タンク水循環回路201と上部流入タンク水循環回路202の二種類がある。中部流入タンク水循環回路201と上部流入タンク水循環回路202の差異については後述する。
【0015】
貯湯タンク10は中空であり、内部の空間にタンク水を貯留する。貯湯タンク10は、例えばステンレス鋼などの防食性の高い材料が用いられることが望ましい。また、貯湯タンク10の形状は、鉛直方向における最も上方に位置する天面部と鉛直方向における最も下方に位置する底面部と天面部および底面部を繋ぐ胴部を有する筒形であることが望ましい。さらに、貯湯タンク10の内部の空間には、貯湯ユニット内供給配管20と貯湯ユニット内取出配管21と下部配管22と中部配管24と上部配管25とのそれぞれの端部が位置する。また、貯湯ユニット内供給配管20と貯湯ユニット内取出配管21と下部配管22と中部配管24と上部配管25はそれぞれ貯湯タンク10の胴部から貯湯タンク10の外部に露出している。
【0016】
熱交換器11は、第一の流路11aと第二の流路11bとが形成され、第一の流路11aを流れる流体と第二の流路11bを流れる流体との間で熱交換を行わせる。実施の形態では、第一の流路11aにはタンク水が流れ、第二の流路11bには熱媒体が流れ、タンク水と熱媒体の間で熱交換が行われることによってタンク水が加熱される。なお、加熱ユニット2と熱交換器11によってタンク水が加熱されるため、加熱ユニット2と熱交換器11がタンク水を加熱する加熱源に該当する。
【0017】
熱媒体循環ポンプ12は、熱媒体を加圧して熱媒体循環回路100に熱媒体を循環させる。熱媒体循環ポンプ12はユニット間戻り配管5の途中かつ貯湯ユニット3の内部に設けられている。
【0018】
タンク水循環ポンプ13は、タンク水を加圧してタンク水循環回路200にタンク水を循環させる。タンク水循環ポンプ13は加熱後配管23の途中に設けられている。また、タンク水循環ポンプ13は電動機を有しており、電動機の回転数を変更することによってタンク水循環回路200を循環するタンク水の流量を変更することができる。以降、電動機の回転数を回転数Nとする。なお、回転数Nとタンク水循環回路200を循環するタンク水の流量との関係は、回転数Nの値が大きいほど単位時間あたりにタンク水循環回路200を循環するタンク水の流量が多くなる。
【0019】
流路切替装置14はタンク水循環回路200の流路を切り替える。後述するようにタンク水循環回路200は中部流入タンク水循環回路201と上部流入タンク水循環回路202の二種類に分かれ、流路切替装置14は中部流入タンク水循環回路201と上部流入タンク水循環回路202のいずれか一方に切り替える。実施の形態では、流路切替装置14はAポート14aとBポート14bとCポート14cとを有し、Aポート14aとBポート14bを連通させる流路とAポート14aとCポート14cを連通させる流路とを切り替える三方弁である。なお、後述するように流路切替装置14がAポート14aとBポート14bを連通させている場合は上部流入タンク水循環回路202が形成され、Aポート14aとCポート14cを連通させている場合は中部流入タンク水循環回路201が形成される。
【0020】
貯湯ユニット内供給配管20は、一方の端部が貯湯タンク10の下部の空間に位置し、他方の端部が供給配管接続部26に接続された配管である。
【0021】
貯湯ユニット内取出配管21は、一方の端部が貯湯タンク10の上部の空間に位置し、他方の端部が取出配管接続部27に接続された配管である。
【0022】
下部配管22は、一方の端部が貯湯タンク10の下部の空間に位置し、他方の端部が熱交換器11の第一の流路11aの一方の端部に接続された配管である。
【0023】
加熱後配管23は、一方の端部が熱交換器11の第一の流路11aの他方の端部に接続され、他方の端部が流路切替装置14のAポート14aに接続された配管である。
【0024】
中部配管24は一方の端部が流路切替装置14のCポート14cに接続され、他方の端部が貯湯タンク10の中部の空間に位置する配管である。中部配管24の他方の端部は、貯湯タンク10の下部の空間に位置する下部配管22の一方の端部よりも鉛直方向における上方に位置している。
【0025】
上部配管25は一方の端部が流路切替装置14のBポート14bに接続され、他方の端部が貯湯タンク10の上部の空間に位置する配管である。上部配管25の他方の端部は、貯湯タンク10の下部の空間に位置する下部配管22の一方の端部および貯湯タンク10の中部の空間に位置する中部配管24の一方の端部よりも鉛直方向における上方に位置している。
【0026】
供給配管接続部26は貯湯ユニット3に供給配管1300を接続させる部分である。供給配管接続部26に供給配管1300の端部(後述する第一の供給配管1301の端部が該当)が接続されることによって、供給配管1300と貯湯ユニット内供給配管20が連通する。
【0027】
取出配管接続部27は貯湯ユニット3に取出配管1400を接続させる部分である。取出配管接続部27に取出配管1400の端部(後述する第一の取出配管1401の端部が該当)が接続されることによって、取出配管1400と貯湯ユニット内取出配管21が連通する。
【0028】
タンク温度センサ30は、貯湯タンク10のセンサ高さHに位置するタンク水の温度を検出する。以後、貯湯タンク10のセンサ高さHに位置するタンク水の温度をタンク内温度Ttと称する。実施の形態では、タンク温度センサ30は貯湯タンク10の底面部から鉛直方向にセンサ高さH離れた位置の貯湯タンク10の壁面に設けられる。センサ高さHは、貯湯タンク10のセンサ高さHより上方の位置に貯留されているタンク水の体積が貯湯装置1が貯留する高温水の量となるように設計者によって予め定められた高さである。なお、貯湯装置1が貯留する高温水の量は予め定められた第一の利用端末1100で利用する水の量などによって設計者によって予め定められる。例えば第一の利用端末1100で50リットルの水を利用する場合には、少なくとも貯湯装置1は50リットル以上の高温水を貯留できるよう設計され、貯湯タンク10のセンサ高さHより上方の位置に貯留されるタンク水の体積が50リットル以上になるようにセンサ高さHは予め定められる。
【0029】
加熱前タンク水温度センサ31は、熱交換器11で熱媒体と熱交換を行い加熱される前のタンク水の温度を検出する。以後、熱媒体と熱交換を行い加熱される前のタンク水の温度を加熱前タンク水温度Thbと称する。実施の形態では、加熱前タンク水温度センサ31は下部配管22の途中に配置され、下部配管22を流れるタンク水の温度を加熱前タンク水温度Thbとして検出する。
【0030】
加熱後タンク水温度センサ32は、熱交換器11で熱媒体と熱交換を行い加熱された後のタンク水の温度を検出する。以後、熱媒体と熱交換を行い加熱された後のタンク水の温度を加熱後タンク水温度Thaと称する。実施の形態では、加熱後タンク水温度センサ32は加熱後配管23の途中に配置され、加熱後配管23を流れるタンク水の温度を加熱後タンク水温度Thaとして検出する。
【0031】
図2は実施の形態に係る貯湯式給湯システムの制御装置に関するハードウェア構成図である。図2を用いて制御装置40の説明を行う。制御装置40はタンク水循環ポンプ13および流路切替装置14などの貯湯装置1が有する構成要素の制御を行う。制御装置40は、プロセッサ41と、メモリ42と、ハードウェアインターフェース43と、を有する。なお、プロセッサ41とメモリ42とハードウェアインターフェース43はそれぞれ情報の受け渡しが可能なように接続されている。
【0032】
プロセッサ41は、メモリ42に記憶されているプログラムを実行することで貯湯装置1が有する構成要素の制御またはデータ処理を実行する装置である。プロセッサ41には、例えばCPU(Central Processing Unit)が用いられる。
【0033】
メモリ42は、プロセッサ41が実行するプログラムおよびプログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、メモリ42はプロセッサ41の作業領域として用いられる。メモリ42には、例えばRAM(Randam Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリーなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリが用いられる。
【0034】
ハードウェアインターフェース43は、貯湯装置1が有する構成要素と信号の送信または受信を行う。ハードウェアインターフェース43と信号の送信または受信を行う構成要素は有線または無線によって信号の送信または受信が可能なようにハードウェアインターフェース43に接続されている。ハードウェアインターフェース43には、例えば信号線が接続される端子台、GPIO(General Purpose Input/Output)または無線通信の電波を送信または受信する送受信機が用いられる。
【0035】
図3は実施の形態に係る貯湯式給湯システムの貯湯装置に関する機能ブロック図である。次に図3を用いて貯湯装置1の機能ブロック図について説明する。
【0036】
制御装置40は、受信部50と、送信部51と、記憶部52と、制御部53と、判断部54と、を備える。なお、受信部50と送信部51はハードウェアインターフェース43によって実現される。また、記憶部52はメモリ42に各種情報を記憶させることによって実現される。さらに、制御部53と判断部54はプロセッサ41がメモリ42に記憶されたプログラムに従って処理を行うことによって実現される。
【0037】
受信部50は、制御装置40に送信される信号を受信する。受信部50は、タンク温度センサ30と加熱前タンク水温度センサ31と加熱後タンク水温度センサ32に接続されており、受信部50はそれぞれのセンサが検出した温度に関する情報を含む信号を受信する。
【0038】
送信部51は、後述するように制御部53で生成された制御信号を制御装置40の外部の構成要素に送信する。送信部51は、加熱ユニット2と熱媒体循環ポンプ12とタンク水循環ポンプ13と流路切替装置14に接続されており、それぞれの構成要素は送信部51から送信された制御信号に応じて動作を行う。
【0039】
記憶部52は、制御部53が制御信号を生成するために必要な情報および判断部54が判断を行うために必要な情報を記憶している。なお、記憶部52が記憶している情報の詳細は後述する。
【0040】
制御部53は、受信部50で受信した信号に含まれる情報および記憶部52が記憶している情報に基づいて制御信号を生成する。制御部53は加熱ユニット2に対する制御信号と熱媒体循環ポンプ12に対する制御信号とタンク水循環ポンプ13に対する制御信号と流路切替装置14に対する制御信号を生成する。換言すると制御部53は加熱ユニット2と熱媒体循環ポンプ12とタンク水循環ポンプ13と流路切替装置14とを制御する。
【0041】
判断部54は、受信部50で受信した信号に含まれる情報および記憶部52が記憶している情報に基づいて判断を行う。なお、判断部54が行う判断の詳細は後述する。
【0042】
次に、図1を用いて、ユニット間往き配管4とユニット間戻り配管5の説明を行う。ユニット間往き配管4は一方の端部が加熱ユニット2に接続され、他方の端部が熱交換器11の第二の流路11bの一方の端部に接続された配管である。ユニット間戻り配管5は一方の端部が熱交換器11の第二の流路11bの他方の端部に接続され、他方の端部が加熱ユニット2に接続された配管である。
【0043】
次に、図1を用いて、貯湯装置1を除く貯湯式給湯システム1000の構成要素の説明を行う。第一の利用端末1100と第二の利用端末1200は、それぞれ貯湯装置1に貯留されたタンク水を取り出して利用する。第一の利用端末1100と第二の利用端末1200にはそれぞれ利用される水の温度が定められており、第一の利用端末1100で利用される水の温度は第二の利用端末1200で利用される水の温度よりも高い。第一の利用端末1100としては例えば食器洗浄機が挙げられる。第二の利用端末1200としては例えばシャワーまたは洗面台などが挙げられる。また、第一の利用端末1100と第二の利用端末1200は取出配管1400に繋がる流路の開閉が可能な図示を省略した栓を有しており、タンク水を利用する場合には栓が操作されて流路を開く。
【0044】
供給配管1300は、第一の供給配管1301と第二の供給配管1302とを有する。第一の供給配管1301は、一方の端部が水源に接続され、他方の端部が貯湯装置1の供給配管接続部26に接続されている配管である。第二の供給配管1302は、一方の端部が第一の供給配管1301の途中の流路に接続され、他方の端部が後述する第二の取出配管1402の途中の流路に接続されている配管である。
【0045】
取出配管1400は、第一の取出配管1401と第二の取出配管1402とを有する。第一の取出配管1401は、一方の端部が後述する貯湯装置1の取出配管接続部27に接続され、他方の端部が第一の利用端末1100に接続されている配管である。第二の取出配管1402は、一方の端部が第一の取出配管1401の途中の流路に接続され、他方の端部が第二の利用端末1200に接続されている配管である。
【0046】
図4は実施の形態に係る貯湯式給湯システムで第一の利用端末がタンク水をそのまま利用する場合の概略図である。なお、図4では水が通過する流路を太線で示す。次に図4を用いて第一の利用端末1100がタンク水をそのまま利用する場合の水の流れについて説明する。第一の利用端末1100でタンク水が利用される場合では、第一の利用端末1100の栓が取出配管1400に繋がる流路を開いた状態である。
【0047】
貯湯タンク10の上部に貯留されているタンク水は貯湯ユニット内取出配管21へ流出する。貯湯タンク10から貯湯ユニット内取出配管21へ流出したタンク水は、貯湯ユニット内取出配管21と取出配管接続部27と第一の取出配管1401を通過して第一の利用端末1100に流入する。第一の利用端末1100に流入されたタンク水は第一の利用端末1100で利用される。
【0048】
また、水源の水は第一の供給配管1301と供給配管接続部26と貯湯ユニット内供給配管20を通過して貯湯タンク10の内部に流入する。貯湯タンク10の内部に流入した水源の水はタンク水として用いられる。
【0049】
図5は実施の形態に係る貯湯式給湯システムで第二の利用端末がタンク水を水源の水と混合させて利用する場合の概略図である。なお、図5では水が通過する流路を太線で示す。次に図5を用いて第二の利用端末1200でタンク水を水源の水と混合させて利用する場合の水の流れについて説明する。第二の利用端末1200でタンク水が利用される場合では、第二の利用端末1200の栓が取出配管1400に繋がる流路を開いた状態である。
【0050】
貯湯タンク10の上部に貯留されているタンク水は貯湯ユニット内取出配管21へ流出する。貯湯タンク10から貯湯ユニット内取出配管21へ流出したタンク水は、貯湯ユニット内取出配管21と取出配管接続部27と第一の取出配管1401と第二の取出配管1402を通過して第二の利用端末1200に流入する。タンク水が第二の取出配管1402を流れる際に、タンク水は第一の供給配管1301と第二の供給配管1302を通過した水源の水と混合される。第二の利用端末1200に流入されたタンク水と水源の水とが混合した水は第二の利用端末1200で利用される。
【0051】
また、水源の水は第一の供給配管1301と供給配管接続部26と貯湯ユニット内供給配管20を通過して貯湯タンク10の内部に流入する。貯湯タンク10の内部に流入した水源の水はタンク水として用いられる。
【0052】
図6は実施の形態に係る貯湯式給湯システムの貯湯運転のフローチャートである。次に図6を用いて貯湯タンク10の内部に高温水および中温水を貯留する貯湯運転について説明する。なお、貯湯運転を開始する前の貯湯式給湯システム1000の状態は、加熱ユニット2と熱媒体循環ポンプ12とタンク水循環ポンプ13が停止している状態とする。また、貯湯運転の開始の条件としては、例えば、制御装置40と信号を送受信可能に接続された図示を省略したリモコンからタンク水を沸き上げる命令を含む信号を受け取った場合、記憶部52に予め定められた沸き上げ開始時刻が記憶されており時刻が沸き上げ開始時刻になった場合、または記憶部52に予め沸き上げ開始温度が記憶されておりタンク温度センサ30が検出した温度が沸き上げ開始温度よりも低くなり判断部54が貯湯タンク10に貯留されているタンク水の熱量が不足すると判断した場合などが挙げられる。
【0053】
また、貯湯運転では、記憶部52に高温水所望温度Thと中温水所望温度Tmが記憶される。さらに、貯湯運転ではタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数は、制御部53によって高温水沸き上げ時回転数Nhまたは中温水沸き上げ時回転数Nmに変更される。
【0054】
高温水所望温度Thと中温水所望温度Tmはそれぞれ貯湯運転の開始前に予め定められた値であり、高温水所望温度Thは中温水所望温度Tmよりも大きい値である。また、実施の形態では高温水所望温度Thは第一の利用端末1100で利用する水の温度以上であり、中温水所望温度Tmは第二の利用端末1200で利用する水の温度以上であるとする。なお、高温水所望温度Thと中温水所望温度Tmは、貯湯装置1の出荷時または設置時に設計者または設置者によってそれぞれ定められても良い。
【0055】
高温水沸き上げ時回転数Nhは高温水所望温度Thに昇温されたタンク水を得ることができるタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数である。中温水沸き上げ時回転数Nmは高温水沸き上げ時回転数Nhよりも大きいタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数である。タンク水循環ポンプ13の電動機の回転数を高温水沸き上げ時回転数Nhに変更する方法としては、例えば、制御部53は加熱後タンク水温度Thaを取得し、取得した加熱後タンク水温度Thaが高温水所望温度Thよりも低い場合はタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数を減少させ、取得した加熱後タンク水温度Thaが高温水所望温度Thよりも高い場合はタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数を増加させる方法が挙げられる。また、他の方法として、実験またはシミュレーションによって高温水沸き上げ回転数Nhを導出し、導出した高温水沸き上げ回転数Nhを記憶部52に予め記憶させておき、制御部53はタンク水を高温水所望温度Thに昇温する際にタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数を導出した高温水沸き上げ回転数Nhにする方法も挙げられる。また、中温水沸き上げ時回転数Nmは、高温水沸き上げ回転数Nhよりも大きければよく、例えばタンク水循環ポンプ13の電動機が運転することができる最大の回転数Nmax、または記憶部52に記憶された高温水沸き上げ時回転数Nhに定数を加算した値である。
【0056】
貯湯運転の開始後、ステップS100の処理へ進む。ステップS100では、制御部53は流路切替装置14をAポート14aとCポート14cとを連通させる状態に切り替える。
【0057】
ステップS100の処理の終了後、ステップS101の処理へ進む。ステップS101では、制御部53は加熱ユニット2と熱媒体循環ポンプ12とタンク水循環ポンプ13の運転を開始する。
【0058】
図7は実施の形態に係る貯湯式給湯システムについて貯湯運転のステップS101の処理が終了した時点における概略図である。なお、図7では水および熱媒体が通過する流路を太線で示す。図7を用いて貯湯運転のステップS101の処理が終了した時点におけるタンク水および熱媒体の流れについて説明する。
【0059】
ステップS101で加熱ユニット2が運転することによって、熱媒体は加熱ユニット2で加熱される。また、ステップS101で熱媒体循環ポンプ12が運転することによって、熱媒体は熱媒体循環回路100を循環する。具体的には、加熱ユニット2で加熱された熱媒体は、ユニット間往き配管4と熱交換器11の第二の流路11bとユニット間戻り配管5とを通過し、加熱ユニット2に再び流入する。
【0060】
ステップS100で流路切替装置14がAポート14aとCポート14cとを連通させる状態になることによって、貯湯タンク10と下部配管22と熱交換器11の第一の流路11aと加熱後配管23と流路切替装置14と中部配管24とがタンク水が流れるように接続され、中部流入タンク水循環回路201が形成される。
【0061】
中部流入タンク水循環回路201が形成された状態であるステップS101でタンク水循環ポンプ13が運転することによって、タンク水は中部流入タンク水循環回路201を循環する。具体的には、次に説明するようにタンク水は流れる。貯湯タンク10の下部に貯留されているタンク水は下部配管22に流出する。貯湯タンク10から下部配管22に流出したタンク水は熱交換器11に供給され、熱交換器11の第一の流路11aを通過する。第二の流路11bを通過する熱媒体は加熱ユニット2で加熱されているため、第一の流路11aを通過するタンク水と比べて、温度が高い。このため、第一の流路11aを通過するタンク水は、第二の流路11bを通過する熱媒体によって加熱され、温度が上昇する。第一の流路11aを通過した後のタンク水は、加熱後配管23と流路切替装置14と中部配管24とを通過し、貯湯タンク10の中部に供給される。
【0062】
図6を用いて、ステップS101の処理が終了した後の貯湯運転について説明する。ステップS101の処理の終了後、ステップS102へ進む。ステップS102では、制御部53はタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数Nを中温水沸き上げ時回転数Nmに変更する。つまり、制御部53はN=Nmになるようタンク水循環ポンプ13を制御する。
【0063】
ステップS102の処理の終了後、ステップS103へ進む。ステップS103では、受信部50は加熱前タンク水温度センサ31が検出した加熱前タンク水温度Thbを取得する。
【0064】
ステップS103の処理の終了後、ステップS104へ進む。ステップS104では、判断部54はステップS103で受信部50が取得した加熱前タンク水温度Thbが中温水所望温度Tm以上であるか否かを判断する。つまり、ステップS104では判断部54はThb≧Tmの条件を満たすか否かを判断する。
【0065】
ステップS104の処理において、加熱前タンク水温度Thbが中温水所望温度Tmよりも低いと判断部54が判断した場合(ステップS104,No)は、ステップS103の処理に戻り受信部50は再び加熱前タンク水温度Thbを取得する。
【0066】
ステップS104の処理において、加熱前タンク水温度Thbが中温水所望温度Tm以上と判断部54が判断した場合(ステップS104,Yes)は、ステップS105の処理へ進む。ステップS105では、制御部53は流路切替装置14をAポート14aとBポート14bとを連通させる状態に切り替える。
【0067】
図8は実施の形態に係る貯湯式給湯システムについて貯湯運転のステップS105の処理が終了した時点における概略図である。なお、図8では水および熱媒体が通過する流路を太線で示す。図8を用いて貯湯運転のステップS105の処理が終了した時点におけるタンク水の流れについて説明する。なお、貯湯運転のステップS105の処理が終了した時点における熱媒体の流れは図7を用いて説明した貯湯運転のステップS101の処理が終了した時点における熱媒体の流れと同様であるため、説明を省略する。
【0068】
ステップS105で流路切替装置14がAポート14aとBポート14bとを連通させる状態になることによって、貯湯タンク10と下部配管22と熱交換器11の第一の流路11aと加熱後配管23と流路切替装置14と上部配管25とがタンク水が流れるように接続され、上部流入タンク水循環回路202が形成される。
【0069】
上部流入タンク水循環回路202が形成された状態でタンク水循環ポンプ13が運転することによって、タンク水は上部流入タンク水循環回路202を循環する。具体的には、次に説明するようにタンク水は流れる。貯湯タンク10の下部に貯留されているタンク水は下部配管22に流出する。貯湯タンク10から下部配管22に流出したタンク水は熱交換器11に供給され、熱交換器11の第一の流路11aを通過する。中部流入タンク水循環回路201で説明した通り、第一の流路11aを通過するタンク水は、第二の流路11bを通過する熱媒体によって加熱され、温度が上昇する。第一の流路11aを通過した後のタンク水は、加熱後配管23と流路切替装置14と上部配管25とを通過し、貯湯タンク10の上部に供給される。
【0070】
図6を用いて、ステップS105の処理が終了した後の貯湯運転について説明する。ステップS105の処理の終了後、ステップS106へ進む。ステップS106では、制御部53はタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数Nを高温水沸き上げ時回転数Nhに変更する。つまり、制御部53は高温水所望温度Thに昇温されたタンク水を得ることができるようにタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数Nを制御する。
【0071】
ステップS106の処理の終了後、ステップS107へ進む。ステップS107では、受信部50はタンク温度センサ30が検出したタンク内温度Ttを取得する。
【0072】
ステップS107の処理の終了後、ステップS108へ進む。ステップS108では、判断部54はステップS107で受信部50が取得したタンク内温度Ttが高温水所望温度Th以上であるか否かを判断する。つまり、ステップS108では判断部54はTt≧Thの条件を満たすか否かを判断する。
【0073】
ステップS108の処理において、タンク内温度Ttが高温水所望温度Thよりも低いと判断部54が判断した場合(ステップS108,No)は、ステップS107の処理に戻り受信部50は再びタンク内温度Ttを取得する。
【0074】
ステップS108の処理において、タンク内温度Ttが高温水所望温度Th以上と判断部54が判断した場合(ステップS108,Yes)は、ステップS109の処理へ進む。ステップS109では、制御部53は加熱ユニット2と熱媒体循環ポンプ12とタンク水循環ポンプ13の運転を停止する。
【0075】
ステップS109の処理の終了後、貯湯式給湯システム1000は貯湯運転を終了する。
【0076】
図9から図12は、それぞれ実施の形態に係る貯湯式給湯システムにおいて貯湯運転時の貯湯タンクの内部のタンク水の温度分布を示す第一から第四の図である。次に図9から図12を用いて貯湯運転時の貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布の変化について説明する。なお、本説明では、中温水所望温度Tmを40℃、高温所望温度Thを60℃として説明を行う。
【0077】
貯湯運転の開始直前の貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布は図9に示される状態である。具体的には貯湯タンク10の内部には貯湯タンク10の底部から境界高さHh離れた位置に温度の境界が形成されている。また、貯湯タンク10の温度の境界よりも上方の部分には40℃のタンク水が貯留されており、貯湯タンク10の温度の境界よりも下方の部分には10℃のタンク水が貯留されている。
【0078】
貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布が図9に示される状態で貯湯運転が開始されると、ステップS101が終了した時点から貯湯タンク10の下部からタンク水が流出し、流出したタンク水が熱交換器11で加熱されて貯湯タンク10の中部から再び貯湯タンク10の内部に流入する。貯湯タンク10の内部に流入したタンク水は、中部と下部のタンク水と混ざり合い、温度の境界よりも下方のタンク水は温度が上昇する。ここで、一般的に水は温度が高くなるほど密度が低くなり、温度が低くなるほど密度が高くなる。温度の境界よりも下方のタンク水の温度が40℃よりも低い場合では、温度の境界よりも下方のタンク水は、40°Cの水よりも密度が高いために温度の境界よりも上方へは移動せず、温度の境界よりも上方のタンク水と混ざらない。このため、加熱されたタンク水が貯湯タンク10の中部から流入することによって、温度の境界よりも下方のタンク水は加熱されたタンク水と混ざり温度が上昇し、温度の境界よりも上方のタンク水は温度を維持する。その結果、貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布は図9に示される状態から図10に示される状態に移行する。
【0079】
貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布が図10に示される状態では、貯湯タンク10から流出する温度は20℃であるため、加熱前温度Thbも20℃であり中温水所望温度Tmの40℃よりも小さい。したがって、貯湯運転のステップS104の条件を満たさず、熱交換器11で加熱されたタンク水は貯湯タンク10の中部から貯湯タンク10の内部に流入する。また、温度の境界よりも下方のタンク水の温度が上昇すると、貯湯タンク10から流出するタンク水の温度も上昇し、熱交換器11で加熱され貯湯タンク10の内部に流入するタンク水の温度も上昇する。このため、図10に示す状態で貯湯運転を継続すると貯湯タンク10の内部に流入するタンク水の温度が40℃以上となり、温度の境界は無くなり、貯湯タンク10の内部の温度は均一となる。その結果、貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布は図10に示される状態から図11に示される状態に移行する。
【0080】
貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布が図11に示される状態では、貯湯タンク10から流出する温度は40℃であるため、加熱前温度Thbも40℃であり中温水所望温度Tmの40℃と同じである。したがって、貯湯運転のステップS104の条件を満たし、貯湯運転のステップS105とステップS106の処理が行われる。ステップS105とステップS106の処理が行われることで、流出したタンク水は熱交換器11で高温所望温度Thである60℃に加熱され、加熱されたタンク水は貯湯タンク10の上部から貯湯タンク10の内部に流入する。貯湯タンク10の上部から流入するタンク水の温度は60℃であり、すでに貯湯タンク10に貯留されているタンク水の温度である40℃よりも高い。このため、貯湯タンク10の上部から流入するタンク水は、すでに貯湯タンク10に貯留されているタンク水とは混ざらず、再び温度の境界が形成される。つまり、貯湯タンクの内部では、温度の境界よりも上方には60℃のタンク水が貯留され、温度の境界よりも下方には40℃のタンク水が貯留される。また、貯湯運転のステップS105とステップS106の処理が行われた状態でさらに時間が経過すると、貯湯タンク10に貯留された60℃のタンク水の量は多くなり、貯湯タンク10に貯留された40℃のタンク水の量は少なくなる。このため、温度の境界は時間の経過によって下方へと移動し、境界高さHhは低くなる。その結果、貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布は図11に示される状態から図12に示される状態に移行する。
【0081】
貯湯タンク10の内部のタンク水の温度分布が図12に示される状態では、境界高さHhがセンサ高さHと同じである。図12に示される状態では、タンク温度センサ30が検出するタンク水温度Ttは60℃であり、高温所望温度Thの60℃と同じである。したがって、貯湯運転のステップS108の条件を満たし、ステップS109の処理が行われた後、貯湯式給湯システム1000は貯湯運転を終了する。また、前述のようにセンサ高さHは貯湯タンク10のセンサ高さHよりも上方に貯留されたタンク水の体積が貯湯装置1が貯留する高温水の量となるように定められている。このため、境界高さHhがセンサ高さHと同じである図12に示される状態では、貯湯タンク10は設計者によって予め定められた量の高温水を貯留している状態である。
【0082】
以上のように実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、内部にタンク水を貯留する貯湯タンク10と、タンク水を加熱する加熱源(加熱ユニット2と熱交換器11が該当)と、貯湯タンク10の下部に貯留されたタンク水を加熱源に供給する下部配管22と、加熱源で加熱されたタンク水を貯湯タンク10の下部よりも鉛直方向において上方に位置する貯湯タンク10の中部に供給する中部配管24と、加熱源で加熱されたタンク水を貯湯タンク10の下部および中部よりも鉛直方向において上方に位置する貯湯タンクの上部に供給する上部配管25と、加熱源で加熱されたタンク水が中部配管24を通過して貯湯タンク10の中部に流入する中部流入タンク水循環回路201と加熱源で加熱されたタンク水が上部配管25を通過して貯湯タンク10の上部に流入する上部流入タンク水循環回路202とを切り替える流路切替装置14と、を備え、貯湯タンク10に加熱源で加熱されたタンク水を貯留する貯湯運転において、流路切替装置14が中部流入タンク水循環回路201を形成した状態であり加熱源で加熱される前のタンク水の温度(加熱前タンク水温度Thbが該当)が予め定められた中温水所望温度Tm以上である場合(ステップS104,YESが該当)は、流路切替装置14は中部流入タンク水循環回路201から上部流入タンク水循環回路202に切り替える構成を有する。当該構成のうち、加熱源で加熱される前のタンク水の温度が予め定められた中温水所望温度Tm以上である場合は、流路切替装置14は中部流入タンク水循環回路201から上部流入タンク水循環回路202に切り替える構成によって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は貯湯タンク10に十分な量の中温水を貯湯してから、貯湯タンク10へ高温水を供給することができる効果を奏する。なお、十分な量の中温水とは、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000では、下部配管22の端部が位置する貯湯タンク10の下部まで中温水が貯留されている状態のことを指す。
【0083】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、流路切替装置14が中部流入タンク水循環回路201を形成した状態における加熱源に供給されるタンク水の単位時間当たりの流量は、流路切替装置14が上部流入タンク水循環回路202を形成した状態における加熱源に供給されるタンク水の単位時間当たりの流量よりも多い構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、中温水を沸き上げる際には高温水を沸き上げるときよりも流量が多く、沸き上げ時のエネルギー効率が良くなる。
【0084】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、電動機を有し中部流入タンク水循環回路201または上部流入タンク水循環回路202にタンク水を循環させ電動機の回転数を変更することで循環するタンク水の単位時間当たりの流量を変更することができるタンク水循環ポンプ13を備え、流路切替装置14が中部流入タンク水循環回路201を形成した状態におけるタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数は、流路切替装置14が上部流入タンク水循環回路202を形成した状態におけるタンク水循環ポンプ13の前記電動機の回転数よりも多い構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、タンク水循環ポンプ13の回転数を制御することで、中温水を沸き上げる際には高温水を沸き上げるときよりも流量が多く、沸き上げ時のエネルギー効率が良くなる。
【0085】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、流路切替装置14が中部流入タンク水循環回路201を形成した状態におけるタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数は、電動機が運転することができる最大の回転数である構成を有する。一般的に加熱源が流水を加熱する場合において、流水の加熱量は流水の流量と比例する。つまり、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000ではタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数が大きいほど加熱源である熱交換器11を流れるタンク水の加熱量は大きくなり、エネルギー効率も優れる。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、中部流入タンク水循環回路201を形成している場合にはタンク水循環ポンプ13が発揮できる最大の流量で運転をしているため、優れたエネルギー効率でタンク水を沸き上げることができる効果を奏する。
【0086】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、流路切替装置14が中部流入タンク水循環回路201を形成した状態における加熱源で加熱された後のタンク水の温度は、流路切替装置14が上部流入タンク水循環回路202を形成した状態における加熱源で加熱された後のタンク水の温度よりも低い構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、貯湯タンク10に高温水と中温水との二つの温度の水を貯湯することができる効果を奏する。
【0087】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、電動機を有し中部流入タンク水循環回路201または上部流入タンク水循環回路202にタンク水を循環させ電動機の回転数を変更することで循環するタンク水の単位時間当たりの流量を変更することができるタンク水循環ポンプ13を備え、流路切替装置14が上部流入タンク水循環回路202を形成した状態におけるタンク水循環ポンプの電動機の回転数は加熱源で加熱された後のタンク水の温度が中温水所望温度Tmよりも高い温度に予め定められた高温水所望温度Thとなる回転数である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、貯湯タンク10に高温水と中温水との二つの温度の水を貯湯することができる効果を奏する。
【0088】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、貯湯タンク10の下部に貯留されているタンク水の温度または下部配管22を流れるタンク水の温度を検出する加熱前タンク水温度センサ31を備え、加熱前タンク水温度センサ31が検出したタンク水の温度が加熱源で加熱される前のタンク水の温度である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、加熱前タンク水温度センサ31によって加熱源で加熱される前のタンク水の温度を精度良く検出することができる効果を奏する。
【0089】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、下部配管22と中部配管24と上部配管25は、それぞれ貯湯タンク10の胴部から貯湯タンク10の外部に露出している構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、貯湯装置1の鉛直方向の高さを抑制することができる効果を奏する。
【0090】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、加熱源は熱媒体を加熱する加熱ユニット2と加熱ユニット2で加熱された熱媒体とタンク水との間で熱交換を行わせる熱交換器11とを有する構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、加熱ユニット2がタンク水を直接加熱する手段と比較して、加熱ユニット2内の冷媒や燃料がタンク水へ混合してしまうリスクを低減できる。
【0091】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、加熱ユニット2は蒸気圧縮式のヒートポンプである構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、燃料を燃焼させ燃焼熱で熱媒体を加熱する手段と比較してエネルギー効率が高くなる効果を奏する。
【0092】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、加熱ユニットには冷媒が循環する冷媒回路が形成されており、冷媒は自然冷媒である構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000は、冷媒にHFC冷媒を使用する場合と比較して地球環境への影響を抑制することができる効果を奏する。
【0093】
また、実施の形態に係る貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、貯湯装置1と貯湯タンク10に貯留されたタンク水を取り出して利用する第一の利用端末1100および第二の利用端末1200と、を備え、第一の利用端末1100および第二の利用端末1200にはそれぞれ利用する水の温度が予め定められており、第一の利用端末1100で利用する水の温度は第二の利用端末1200で利用する水の温度よりも高く、中温水所望温度Tmは第二の利用端末1200で利用する水の温度以上である構成を有する。当該付加的な構成を有することによって、実施の形態に係る貯湯式給湯システム1000は第二の利用端末1200に中温水を供給することで第二の利用端末1200を利用することができる。
【0094】
また、実施の形態に係る貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、流路切替装置14が上部流入タンク水循環回路202を形成した状態における加熱源で加熱された後の水の温度は、第一の利用端末1100で利用する水の温度以上である構成を有する。当該付加的な構成を有することによって、実施の形態に係る貯湯式給湯システム1000は第一の利用端末1100に高温水を供給することで第一の利用端末1100を利用することができる効果を奏する。
【0095】
また、実施の形態に係る貯湯式給湯システム1000は、付加的な構成として、貯湯タンク10に貯留されたタンク水のうち鉛直方向における貯湯タンク10の最も下方に位置する部分(底面部が該当)より予め定められたセンサ高さH離れた位置に貯留されているタンク水の温度を検出するタンク温度センサ30を備え、第一の利用端末1100が利用する水の量は予め定められており、貯湯タンク10に貯留されたタンク水のうち鉛直方向における前記センサ高さHよりも上方に位置するタンク水の体積は、第一の利用端末1100が利用する水の量以上であって、貯湯運転において流路切替装置14が上部流入タンク水循環回路202を形成した状態でありタンク温度センサ30が検出したタンク水の温度が第一の利用端末1100で利用する水の温度以上である場合には貯湯運転を終了する構成を有する。当該付加的な構成を有することによって、実施の形態に係る貯湯式給湯システム1000は貯湯運転で貯湯タンク10に第一の利用端末1100で利用する分の高温水を貯留することができる効果を奏する。
【0096】
図13は実施の形態の変形例に係る貯湯式給湯システムの概略図である。次に実施の形態の変形例について説明する。実施の形態の第一の変形例に係る貯湯式給湯システム1001は実施の形態の貯湯式給湯システム1000と比較して、貯湯ユニット内供給配管20と貯湯ユニット内取出配管21と下部配管22と中部配管24と上部配管25が貯湯タンク10から露出する位置と加熱前タンク水温度センサ31の位置が異なる。なお、実施の形態の第一の変形例に係る貯湯式給湯システム1001は上述の異なる点を除いて実施の形態の貯湯式給湯システム1000と同様であるため、同様の部分は説明を省略する。
【0097】
貯湯式給湯システム1001において、貯湯ユニット内供給配管20と下部配管22は貯湯タンク10の底面部から露出している。また、貯湯ユニット内取出配管21と中部配管24と上部配管25は貯湯タンク10の天面部から露出している。
【0098】
また、貯湯式給湯システム1001において、加熱前タンク水温度センサ31は貯湯タンク10の底面部に位置している。タンク水は底面部から露出している下部配管22を介して熱交換器11へ流出するため、加熱前タンク水温度センサ31が貯湯タンク10の底面部に位置していても、加熱前タンク水温度センサ31は加熱前タンク水温度Thbを取得することができる。
【0099】
以上のように実施の形態の変形例に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1001は、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1001と同様に、内部にタンク水を貯留する貯湯タンク10と、タンク水を加熱する加熱源(加熱ユニット2と熱交換器11が該当)と、貯湯タンク10の下部に貯留されたタンク水を加熱源に供給する下部配管22と、加熱源で加熱されたタンク水を貯湯タンク10の下部よりも鉛直方向において上方に位置する貯湯タンクの中部に供給する中部配管24と、加熱源で加熱されたタンク水を貯湯タンクの下部および中部よりも鉛直方向において上方に位置する貯湯タンクの上部に供給する上部配管25と、加熱源で加熱されたタンク水が中部配管24を通過して貯湯タンク10の中部に流入する中部流入タンク水循環回路201と加熱源で加熱されたタンク水が上部配管25を通過して貯湯タンク10の上部に流入する上部流入タンク水循環回路202とを切り替える流路切替装置14と、を備え、貯湯タンク10に加熱源で加熱されたタンク水を貯留する貯湯運転において、流路切替装置14が中部流入タンク水循環回路201を形成した状態であり加熱源で加熱される前のタンク水の温度(加熱前タンク水温度Thbが該当)が予め定められた中温水所望温度Tm以上である場合(ステップS104,YESが該当)は、流路切替装置14は中部流入タンク水循環回路201から上部流入タンク水循環回路202に切り替える構成を有する。このため、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1001も実施の形態で説明した効果と同様の効果を奏する。
【0100】
また、実施の形態の変形例に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1001は、付加的な構成として、下部配管22と中部配管24と上部配管25の少なくとも一つは貯湯タンク10の天面部または底面部から貯湯タンクの外部に露出している構成を有する。当該付加的な構成を備えることによって、実施の形態の変形例に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1001は、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000のように下部配管22と中部配管24と上部配管25が胴部から露出している構成と比較して、貯湯装置1の水平方向の面積を抑制することができ、貯湯装置1の設置面積を抑制することができる。
【0101】
なお、実施の形態の変形例に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1001では、貯湯ユニット内供給配管20と下部配管22は貯湯タンク10の底面部から露出し、貯湯ユニット内取出配管21と中部配管24と上部配管25は貯湯タンク10の天面部から露出しているが、これに限らない。例えば、貯湯ユニット内供給配管20と下部配管22は貯湯タンク10の天面部から露出し、貯湯ユニット内取出配管21と中部配管24と上部配管25は貯湯タンク10の底面部から露出している構成でも構わない。
【0102】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000では、加熱ユニット2と貯湯ユニット3を別筐体としているが、これに限らず、加熱ユニット2と貯湯ユニット3を一つの筐体としても良い。
【0103】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000では、熱媒体循環ポンプ12は貯湯ユニット3の内部に位置しているが、これに限らず、加熱ユニット2の内部に位置していても構わない。また、熱媒体循環ポンプ12はユニット間往き配管4の途中に設けられていても構わない。
【0104】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000では、タンク水循環ポンプ13は加熱後配管23の途中に設けられているが、これに限らず、下部配管22の途中に設けられていても構わない。
【0105】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000では、貯湯運転のステップS102で制御部53はタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数Nを中温水沸き上げ時回転数Nmに変更しているが、これに限らずステップS101の段階で制御部53はタンク水循環ポンプ13の電動機の回転数Nを中温水沸き上げ時回転数Nmにして運転を開始しても構わない。この場合、ステップS102の処理は行われず、ステップS101の処理の終了後、ステップS103の処理が行われる。
【0106】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000では、加熱ユニット2と熱交換器11を用いて、加熱ユニット2で加熱した熱媒体をタンク水と熱交換させることによってタンク水を加熱しているがこれに限らない。例えば、ガスまたは灯油などの燃料を燃焼させてタンク水を直接加熱する手段、電熱ヒーターでタンク水を直接加熱する手段、または太陽からの熱を集熱してタンク水を直接加熱する手段などを用いても良い。この場合、タンク水を直接加熱させる装置が加熱源に該当する。
【0107】
また、実施の形態に係る貯湯装置1および貯湯式給湯システム1000では、高温水所望温度Thと中温水所望温度Tmは、貯湯装置1の出荷時または設置時に設計者または設置者によって定められるものとしたが、これに限らない。高温水所望温度Thと中温水所望温度は貯湯運転の開始前に定められていれば良く、使用者が図示を省略したリモコンを操作することによって使用者が所望する値にそれぞれ定められても良い。
【符号の説明】
【0108】
1 貯湯装置、2 加熱ユニット、3 貯湯ユニット、4 ユニット間往き配管、5 ユニット間戻り配管、10 貯湯タンク、11 熱交換器、11a 第一の流路、11b 第二の流路、12 熱媒体循環ポンプ、13 タンク水循環ポンプ、14 流路切替装置、14a Aポート、14b Bポート、14c Cポート、20 貯湯ユニット内供給配管、21 貯湯ユニット内取出配管、22 下部配管、23 加熱後配管、24 中部配管、25 上部配管、26 供給配管接続部、27 取出配管接続部、30 タンク温度センサ、31 加熱前タンク水温度センサ、32 加熱後タンク水温度センサ、40 制御装置、41 プロセッサ、42 メモリ、43 ハードウェアインターフェース、50 受信部、51 送信部、52 記憶部、53 制御部、54 判断部、100 熱媒体循環回路、200 タンク水循環回路、201 中部流入タンク水循環回路、202 上部流入タンク水循環回路、1000 貯湯式給湯システム、1001 貯湯式給湯システム、1100 第一の利用端末、1200 第二の利用端末、1300 供給配管、1301 第一の供給配管、1302 第二の供給配管、1400 取出配管、1401 第一の取出配管、1402 第二の取出配管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13