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特許7586290価格管理システム、価格管理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】価格管理システム、価格管理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0283 20230101AFI20241112BHJP
【FI】
G06Q30/0283
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023508239
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012133
(87)【国際公開番号】W WO2022201339
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大志
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-106906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0372285(US,A1)
【文献】特開2014-002774(JP,A)
【文献】特開2013-097765(JP,A)
【文献】特開2014-052678(JP,A)
【文献】特開2019-168810(JP,A)
【文献】特開2002-163437(JP,A)
【文献】特開2000-048259(JP,A)
【文献】特開2020-109709(JP,A)
【文献】児玉 智浩,この企業の匠 18 O2Oで地域貢献 マピオンのソーシャルゲーム ,月刊ボス 第28巻 第8号 ,日本,(株)経営塾,2014年06月08日,第28巻,pp.94-96
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出する抽出手段と、
前記フレーズが抽出された場合、価格評価の検知を通知する通知手段と、
を備え、前記通知手段は、前記評価対象について、前記評価に関するフレーズを抽出した回数、または、当該抽出されたフレーズを含む音声を発した顧客の数が所定値以上の場合、前記価格評価の検知を店舗の管理者の端末に通知する
価格管理システム。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記評価に関するフレーズとして、前記評価対象の価格と他店舗の比較対象である商品またはサービスの価格の比較に関するフレーズを抽出し、
前記通知手段は、前記価格評価の検知として、前記他店舗との価格比較の検知を通知する
請求項1に記載の価格管理システム。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記音声から、前記他店舗の前記比較対象の価格により当該他店舗において当該比較対象が提供された時期を抽出し、
前記通知手段は、前記時期が所定期間以内の場合に、前記価格評価の検知を通知する
請求項に記載の価格管理システム。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記音声から、前記店舗の位置から所定の範囲内の競合店舗を特定する語句を抽出し、
前記通知手段は、前記比較された前記他店舗の位置が、前記店舗の位置から所定の範囲内の場合に、前記価格評価の検知を通知する
請求項2または3に記載の価格管理システム。
【請求項5】
前記通知手段は、前記評価に関するフレーズを抽出した前記音声が、虚偽の発言による音声と推定される場合、前記価格評価の検知を通知しない
請求項1乃至のいずれか1項に記載の価格管理システム。
【請求項6】
前記抽出手段は、前記音声から他店舗の比較対象である商品またはサービスの価格に関する情報を抽出し、
前記価格評価の検知の通知を受けると、前記他店舗の前記比較対象の価格に関する情報に基づいて、前記店舗の前記評価対象の新たな価格を決定する価格決定手段をさらに備える、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の価格管理システム。
【請求項7】
前記価格決定手段は、前記店舗の前記評価対象の所定期間ごとの売上が所定量増加または減少するまで、価格を所定幅ずつ変更する決定を繰り返す
請求項に記載の価格管理システム。
【請求項8】
店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出し、
前記フレーズが抽出され、前記評価対象について、前記評価に関するフレーズを抽出した回数、または、当該抽出されたフレーズを含む音声を発した顧客の数が所定値以上の場合、価格評価の検知を店舗の管理者の端末に通知する、
価格管理方法。
【請求項9】
店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出する処理と、
前記フレーズが抽出され、前記評価対象について、前記評価に関するフレーズを抽出した回数、または、当該抽出されたフレーズを含む音声を発した顧客の数が所定値以上の場合、価格評価の検知を店舗の管理者の端末に通知する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、価格管理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗によって、同じ商品またはサービスが異なる価格で提供される場合がある。そして顧客は、店舗の価格と他店舗の価格を比較して、該商品またはサービスを当該店舗で購入するか決めることがある。そのため、店舗の従業員は、競合店舗に行って価格を把握し、その商品の価格に応じて、商品の価格が決定することがある。
【0003】
本開示に関連する技術として、特許文献1には、サーバと通信端末とからなる価格比較支援システムが開示されている。特許文献1において、通信端末は、販売店舗での交渉結果の価格を含む音声と画像からなる価格交渉情報をサーバに送信する。サーバは、価格交渉情報を格納する。通信端末のユーザは、商品価格の問合せ要求に対してサーバが送出する商品の価格交渉情報を店舗における価格交渉に利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-097765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
店舗の従業員が店舗の価格に対する顧客の評価を把握するために、競合店舗に出向くのは煩雑である。また、競合店舗の価格が変化しているか把握するために頻繁に競合店舗に行くのはコストがかかる。
【0006】
特許文献1において、ユーザが音声と画像を通信端末に入力しなければ、サーバは商品の価格に関する情報を取得することができない。また、店舗において価格の交渉が行われる場合にしか、特許文献1に係る技術を利用することができない。
【0007】
本開示は、顧客による商品またはサービスの価格に対する評価を容易に収集できる価格管理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る価格管理システムは、店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出する抽出手段と、前記フレーズが抽出された場合、価格評価の検知を通知する通知手段と、を備える。
【0009】
本開示に係る価格管理方法は、店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出し、前記フレーズが抽出された場合、価格評価の検知を通知する。
【0010】
本開示に係る記録媒体は、店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出する処理と、前記フレーズが抽出された場合、価格評価の検知を通知する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムを非一時的に記録する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、顧客による商品またはサービスの価格に対する評価を容易に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る価格管理システム100の構成例を示すブロック図である。
図2】価格管理システム100の動作例を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態に係る通知の例を示す図である。
図4】通知の他の例を示す図である。
図5】第2実施形態に係る価格管理システム100の構成を示すブロック図である。
図6】第2実施形態に係る通知の例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る価格管理システム100の動作例を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態に係る通知の例を示す図である。
図9】店舗名称データベースの例を示す図である。
図10】通知の他の例を示す図である。
図11】第4実施形態に係る価格管理システム100の構成を示すブロック図である。
図12】電子棚札の表示画面の例を示す図である。
図13】価格変更通知の例を示す図である。
図14】分析サーバの動作例を示すフローチャートである。
図15】商品管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
図16】コンピュータ500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態において、顧客が店舗内の商品の価格を評価した場合に通知を行う価格管理システム100について説明する。なお、以下の説明において、店舗で販売される商品に関する記載は、店舗で提供されるサービスに置き換えることができる。価格が評価される商品またはサービスは評価対象とも呼ばれる。店舗は、例えば、家電量販店、ドラッグストア、スーパーマーケットなどであるが、特に限られない。
【0014】
(構成)
図1は、第1実施形態に係る価格管理システム100の構成例を示すブロック図である。価格管理システム100は、店内に設置される1以上のマイク20から顧客の音声に関する情報を取得する。価格管理システム100は、店舗内の例えばバックヤードに設置されてもいいし、店舗以外の場所に設置されていてもよい。また、価格管理システム100の機能の一部または全部はマイク20に備えられてもよい。価格管理システム100は、他の装置をさらに備えてもよい。
【0015】
マイク20は、店舗内の顧客の音声を収集するマイクロフォンである。マイク20は、商品と商品の価格が提示される位置付近に設置されることが好ましい。具体的には、店舗の売り場スペース、または、商品棚の付近である。商品と商品の価格が提示されていれば、デジタルサイネージ、ポスターなどの付近でもよい。ただし、マイク20は例えば会計レジに設置されてもよく、店員がマイク20を身に着けていてもよい。
【0016】
価格管理システム100は、抽出部101と、通知部102を備える。抽出部101及び通知部102は、それぞれ抽出手段と、通知手段の一実施形態である。
【0017】
抽出部101は、店舗内で収集した顧客の音声から、店舗の商品の価格の評価に関するフレーズを抽出する。具体的には、例えば、抽出部101はマイク20で収集された音声を処理し、テキスト化する。抽出部101は、マイク20や図示しない他の装置でテキスト化された音声を取得してもよい。抽出部101は、テキスト化された音声から、既存の自然言語処理技術を用いて店舗の商品の価格の評価に関する評価フレーズを抽出する。
【0018】
通知部102は、フレーズが抽出された場合、店舗の商品の価格評価を検知したことを通知する。具体的には、例えば、通知部102は任意の表示手段に通知を表示させる。表示手段は、例えば価格管理システム100に有線または無線により通信可能に接続されたモニター、コンピュータ、携帯端末などである。
【0019】
なお、通知部102は、比較対象の価格評価の検知を、評価対象の価格の変更の要求または提案として通知してもよい。通知部102は、表示手段に例えば、価格が評価されていること、及び/または、価格の変更の要求を表示させる。表示手段に表示された通知文を見た店舗の管理者は、商品の価格の変更について検討する。
【0020】
(動作)
1つの種類の商品(商品A)が展示された売り場スペースの付近に設置されたマイク20から顧客の音声を取得する場合の価格管理システム100の動作について説明する。図2は、価格管理システム100の動作例を示すフローチャートである。
【0021】
例えば商品Aの前で1以上の顧客が様々なフレーズを発話する。マイク20は顧客の音声を収集して、音声信号を価格管理システム100へ送信する。抽出部101は、マイク20で収集された音声をテキスト化して、テキスト化した顧客の音声を取得する(ステップS1)。
【0022】
抽出部101は、テキスト化された音声から、店舗の商品と、他店舗の商品の価格の評価に関するフレーズを抽出する(ステップS2)。例えば、抽出部101は、「これはちょっと高いね。」などの評価フレーズを抽出する。抽出部101は、例えば、「これ」「高い」などの予め定められた語句がテキスト化された音声に含まれることに基づいて、商品Aの価格が評価されていることを認識する。
【0023】
「これ」などは、店内に展示された商品またはサービスを示す語句として予め定められ得る。「(価格が)安い」「(価格が)高い」などは価格を示す表現として予め定められ得る。抽出部101は、予め定められた語句を含む語句のまとまりを評価フレーズとしてテキスト化された音声から抽出してもよい。なお、「これ」「高い」などの語句をそれぞれテキスト化された音声から抽出することも、評価フレーズを抽出することに含まれてもよい。
【0024】
抽出部101は、評価フレーズを抽出すると、価格が評価されていることの検知を通知部102に送信する。
【0025】
通知部102は、店舗の商品価格の評価に関するフレーズが抽出されると、店舗の商品の価格が評価されていることの検知を通知する(ステップS3)。
【0026】
具体的には、例えば通知部102は、モニターに「価格が評価されています。」などの通知文を表示させる。図3は、通知部102が表示させる通知の例を示す図である。通知部102は、顧客の発話内容を含む通知文を表示させてもよい。
【0027】
通知文に含まれる発話内容は、例えば、音声を取得した日時、位置、及び、認識テキストを含む。音声を取得した位置は、マイクを識別する識別子や、店舗の管理者により設定された店舗のエリアの名称により示される。認識テキストは、顧客の音声をテキスト化したものである。認識テキストのうち、価格が評価されていることを認識するために用いられた語句は強調して表示されてもよい。例えば、図3において、一部の語句は強調のため下線が引かれている。
【0028】
(効果)
第1実施形態によれば、顧客による商品またはサービスの価格に対する評価を容易に収集できる。その理由は、抽出部101が、店舗内で収集した顧客の音声から、店舗の商品の価格の評価に関するフレーズを抽出するためである。さらに、通知部102は、フレーズが抽出された場合、店舗の商品の価格が評価されていることの検知を通知するためである。また、第1実施形態によれば、店員がアテンドしていなくても、顧客同士の会話の内容から顧客の価格に対する評価を容易に取得できるためである。
【0029】
(変形例)
通知部102は、所定の条件に基づき、評価対象の価格評価の検知を通知するかどうかを判定してもよい。
【0030】
通知部102は、抽出部101により価格評価のフレーズが抽出された回数が所定の回数を超えたとき、通知をすると判定してもよい。あるいは、抽出部101は、音声分析により、人の声の特徴を認識し、価格を評価した人を区別して、数えてもよい。価格評価のフレーズを抽出した顧客の数が所定値以上となる場合、通知部102は、価格評価の検知を通知してもよい。
【0031】
図4は、通知部102により表示される通知の例を示す図である。図4の通知は、価格の変更の要求を含む。さらに、通知には、通知部102が通知をするかどうかの判定に用いた情報が通知理由として示されてもよい。図4において、通知理由として、所定の期間内に、ある商品について価格が評価された回数が示されている。
【0032】
また、通知部102は、価格を評価した顧客が商品を購入したか否かに基づいて、価格評価の検知を通知するかどうかを判定してもよい。例えば、通知部102は、店内に設置されたカメラの画像から、顧客が商品を取り出して移動した場合、顧客が商品を購入したと判定する。あるいは、任意の方法で店内の顧客を識別し、価格を評価した商品またはサービスの会計を行った場合、商品またはサービスを購入したと判定する。通知部102は、価格を評価して商品を購入しなかった人数が所定値以上となる場合、価格評価の検知を通知してもよい。
【0033】
変形例によれば、顧客による他店舗に対する価格の評価に応じた、価格変更のタイミングを把握できる。その理由は、通知部102が、所定の条件に基づき、評価対象の価格評価の検知を通知するかどうかを判定するためである。
【0034】
[第2実施形態]
第2実施形態において、第1実施形態に係る価格管理システム100がさらに、顧客が評価している商品を特定する機能を備える場合について説明する。
【0035】
(構成)
第2実施形態の構成について、第1実施形態の構成と同様の構成については説明を一部省略する。図5は、第2実施形態に係る価格管理システム100の構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る価格管理システム100は、抽出部101、通知部102、及び、商品特定部103を備える。
【0036】
商品特定部103は、店舗内の顧客の音声に基づいて、評価対象である商品またはサービスを特定する。具体的には、商品特定部103は、例えば、抽出部101が抽出したフレーズがいずれの商品についての発話であるか特定する。商品特定部103は、特定手段の一実施形態である。
【0037】
例えば、抽出部101が抽出したフレーズ内に、評価対象の名称、特徴、展示位置など、評価対象を特定する特定情報が含まれる場合、商品特定部103は、これらの特定情報に基づいて、評価対象を特定する。
【0038】
あるいは、店舗内に複数のマイク20が設置される場合、商品特定部103は、いずれのマイク20により顧客の音声が収集されたかにより、評価対象を特定してもよい。例えば、商品特定部103は、各々のマイク20と、商品またはサービスとを対応づけて記憶する記憶部を参照し、評価対象を特定する。
【0039】
あるいは、商品特定部103は、さらに、店舗内に設置されたカメラが顧客を撮影した画像に基づいて、評価対象を特定してもよい。例えば、商品特定部103は、画像認識技術を用いて、音声が収集された顧客の位置、または、向きを認識して、顧客が発話したときに顧客の前にある商品を評価対象として特定してもよい。
【0040】
また、商品特定部103は、顧客が手に商品を持ちながら発話した場合や、商品を指差しながら発話した場合、画像に基づいて、手に取っているもの、または、指さしているものを認識する。商品特定部103は、手に持っているもの、または指さしているものを評価対象として特定する。
【0041】
あるいは、商品特定部103は、画像から推定される顧客の視線方向に基づいて、顧客が発話したときに見ていた商品を評価対象として特定する。視線推定技術を用いることで、顧客の位置及び向きに基づいて評価対象を特定する場合より正確に比較対象を特定することができる。
【0042】
商品特定部103は、次のように評価対象を特定してもよい。商品またはサービスとその価格が、表示が時間により変化するサイネージに表示される場合がある。商品特定部103は、抽出されたフレーズが発話された時、または発話された時から所定時間以内に表示されていた商品またはサービスを評価対象として特定してもよい。
【0043】
商品特定部103は、通知部102に特定した評価対象を送信する。通知部102は、特定された評価対象を含む通知文を表示させる。図6は、第2実施形態に係る通知の例を示す図である。図6において、評価対象が「商品A」であることが示される。第1実施形態と同様に、通知部102は、顧客の発話内容を含む通知文を表示させてもよい。認識テキストのうち、評価対象の特定に用いられた語句は強調して表示されてもよい。さらに、通知部102が表示させる通知には、評価対象の特定に用いられた画像が含まれてもよい。図6は、商品Aが展示されたエリアを上から撮像した評価対象の特定に用いられた画像を含む。
【0044】
(動作)
図7は、第2実施形態に係る価格管理システム100の動作例を示すフローチャートである。基本的な動作は第1実施形態と同様である。
【0045】
まず、抽出部101は、テキスト化した顧客の音声を取得する(ステップS11)。次に、抽出部101は、テキスト化された音声から店舗の商品と、他店舗の商品の価格の評価に関するフレーズを抽出する(ステップS12)。抽出部101は、通知部102と商品特定部103に抽出したフレーズを送信する。商品特定部103は、評価対象である商品を特定する(ステップS13)。商品特定部103は、通知部102に特定した評価対象を送信する。通知部102は、抽出部101によって評価フレーズが検出されると、商品特定部103によって特定された評価対象に関する通知を行う(ステップS14)。
【0046】
(効果)
第2実施形態によれば、店内に設置された複数の商品のうち、顧客による価格の評価対象を把握できる。その理由は、商品特定部103が、店舗内の顧客の音声に基づいて、評価対象である商品またはサービスを特定するためである。
[第3実施形態]
第1及び第2実施形態において、顧客が店舗の商品の価格を他店舗の商品の価格と比較することも、価格に対して評価することに含まれる。第3実施形態において、顧客が店舗内の商品の価格を他店舗の価格と比較した場合に、通知を行う価格管理システム100について説明する。店舗の評価対象と他店舗との間で比較される他店舗の商品またはサービスは比較対象とも呼ばれる。
第3実施形態の構成について、第1実施形態の構成と同様の構成については説明を一部省略する。第3実施形態において抽出部101は、評価対象の価格の評価に関するフレーズとして、店舗内で収集した顧客の音声から、店舗の評価対象の価格と、他店舗の比較対象の価格の比較に関するフレーズを抽出する。抽出部101は、テキスト化された音声から、既存の自然言語処理技術を用いて店舗の商品と、他店舗の商品の価格の比較に関する比較フレーズを抽出する。
例えば、抽出部101は、「これは他の店で見た時はもっと高かったよ。」などの比較フレーズを抽出する。抽出部101は、例えば、「これ」「他の店」「もっと高かった」などの予め定められた語句がテキスト化された音声に含まれることに基づいて、商品の価格が他店舗と比較されていることを認識する。「他の店」などは、他店舗の商品についての話題を示す語句として予め定められ得る。その他に、比較を示す表現などが予め定められてもよい。
抽出部101は、予め定められた語句を含む語句のまとまりを比較フレーズとしてテキスト化された音声から抽出してもよい。なお、「これ」「他の店」「もっと」「高かった」などの語句をそれぞれテキスト化された音声から抽出することも、比較フレーズを抽出することに含まれてもよい。
抽出部101は、比較フレーズを抽出すると、価格が比較されていることの検知を通知部102に送信する。
通知部102は、価格評価の検知として、他店舗との価格比較の検知を通知する。すなわち、通知部102は、比較フレーズが抽出された場合、店舗の商品の価格比較を検知したことを通知する。なお、通知部102は、比較対象の価格比較の検知を、比較対象の価格の変更の要求または提案として通知してもよい。
通知部102は、店舗の商品と、他店舗の商品の価格の比較に関するフレーズが抽出されると、店舗の商品の価格が比較されていることの検知を通知する。具体的には、例えば通知部102は、モニターに「価格が他店と比較されています。」などの通知文を表示させる。図8は、第3実施形態に係る通知の例を示す図である。
第1実施形態と同様に、通知部102は、顧客の発話内容を含む通知文を表示させてもよい。認識テキストのうち、他店舗と比較されていることを認識するために用いられた語句は強調して表示されてもよい。
(効果)
第3実施形態によれば、顧客による他店舗に対する商品またはサービスの価格の評価を容易に収集できる。その理由は、抽出部101が、店舗内で収集した顧客の音声から、店舗の商品と、他店舗の商品の価格の比較に関するフレーズを抽出するためである。さらに、通知部102は、フレーズが抽出された場合、店舗の商品の価格が比較されていることの検知を通知するためである。店員は、他店舗に行かなくても、顧客から他店舗の価格に関する情報が得られる。
また、第3実施形態において、通知部102は、顧客が単に商品の価格が高いと言った場合は通知を行わず、他店舗の商品の価格と比較された場合に通知を行う。顧客が単に商品の価格が高いと言った場合は、製造会社の販売価格が高く、他店舗でも同様の値段で販売される可能性がある。通知部102が、他店舗の商品と比較された場合に通知を行うと、店舗の管理者は他店舗との競争のための価格の変更について検討することができる。
(変形例1)
第3実施形態において、価格管理システム100は、いずれの店舗と価格が比較されているか特定してもよい。
【0047】
具体的には、抽出部101は、テキスト化された顧客の音声から、比較されている店舗を特定する語句を抽出してもよい。抽出部101は、例えば、図示しない記憶部に記憶された、店舗と店舗を特定する表現を対応づけた店舗名称データベースを参照してもよい。店舗を特定する表現として、1の店舗の複数の呼称が記憶されてもよい。抽出部101は、顧客の音声から、いずれの店舗の価格が比較されているか抽出する。
【0048】
図9は、店舗名称データベースの例を示す図である。例えば、図9はドラッグストアXの店内に設置されたマイク20で顧客の音声が収集される場合のデータベースの例を示す図である。例えば、ドラッグストアXの隣にはドラッグストアYがあるとする。さらに、ドラッグストアXの近隣の駅の前にはスーパーマーケットZがあるとする。
【0049】
例えば顧客が「Yドラッグ」「Y(ドラッグストアYの省略表現)」「隣の店」などについて発話した場合、抽出部101はこれらの語句を、ドラッグストアYを特定する情報として抽出する。同様に、顧客が「ここ」「Xドラッグ」などと発話した場合、抽出部101はこれらの語句を、ドラッグストアXを特定する情報として抽出する。
【0050】
例えば、ドラッグストアXに展示された商品Aの前で顧客が「それは隣の店で見た時はもっと高かったよ。」と発話したとする。発話に含まれる「隣の店」は「ドラッグストアY」であることが特定される。通知部102は、抽出部101が抽出したフレーズに基づいて、「商品Aの価格がドラッグストアYと比較されています。」という通知文をモニターに表示させる。
【0051】
(変形例2)
さらに、第3実施形態において、価格管理システム100は、顧客の音声に基づいて、他店舗の比較対象の価格に関する情報抽出してもよい。価格管理システム100は、他店舗の比較対象の価格に関する情報として、店舗の商品の価格が他店舗より高いか、安いか、同じであるか顧客の音声から認識してもよい。
【0052】
具体的には、抽出部101は、既存技術を用いて抽出したフレーズの意味を分析し、顧客による比較結果を認識する。例えば、「隣の店はもっと高かった。」という顧客の音声から、抽出部101は「他店舗の方が高い」という比較結果を認識する。「Yはここより安い」という音声からは、抽出部101は「他店舗の方が安い」という比較結果を認識する。「あっちと同じ値段」という音声からは、抽出部101は「他店舗と同じ価格」という比較結果を認識する。
【0053】
抽出部101は、通知部102に顧客による比較結果を送信してもよい。通知部102は、例えば、「商品Aの価格が他店より高いようです。」という通知文をモニターに表示させる。
【0054】
抽出部101は、さらに、顧客の音声から他店舗の商品の価格を抽出してもよい。例えば、ドラッグストアXに展示された商品Aの前で顧客が「Yドラッグでは3500円だった」と発話する。抽出部101は、他店舗の商品Aの価格は3500円であることを抽出する。
【0055】
さらに、価格管理システム100は、マイク20が設置された店舗における商品Aの価格と、抽出部101により抽出された他店舗の価格を比較する比較部を備えてもよい。比較部は、例えば、図示しない記憶部に記憶された、商品と店舗における設定価格を対応づけた価格データベースを参照してもよい。例えば、他店舗の商品Aの価格は3500円と抽出され、価格データベースに商品Aの設定価格が3999円であると記憶される場合、比較部は他店舗の方が安いという比較結果を導く。
【0056】
比較部は、通知部102に比較結果を送信してもよい。通知部102は、さらに、比較部による比較結果に基づいて、通知を行ってもよい。
【0057】
図10は、変形例1および変形例2に係る通知の他の例を示す図である。図10の通知は、変形例1で示したように、いずれの店舗と価格が比較されているかを含む。さらに図10の通知は、変形例2で示したように、顧客による比較結果として「ドラッグストアYの方が安いようです」と表示する。第1実施形態と同様に、通知部102は、顧客の発話内容を含む通知文を表示させてもよい。このとき、表示される認識テキストにおいて、比較されている店舗を特定する表現、及び、顧客による比較結果の認識に用いられた語句は強調して表示されてもよい。図10において、「Yドラッグ」と「3500円」は下線により強調されている。
【0058】
(変形例3)
通知部102は、次のような条件に基づき、評価対象の価格評価の検知を通知するかどうかを判定してもよい。
(1)通知部102は、他店舗の比較対象の価格に関する情報に基づいて、比較対象の価格比較の検知を通知するかどうかを判定してもよい。具体的には、例えば、通知部102は、変形例2に示した、顧客による比較結果を利用してもよい。抽出部101または比較部によって、顧客の音声から、他店舗の方が高い、若しくは、安いと認識する。通知部102は、他店舗の方が高い、若しくは、安いと認識された場合、価格比較の検知を通知してもよい。なお、通知部102は、価格が他店舗と同じであると認識された場合にも価格比較の検知を通知してもよい。
【0059】
(2)通知部102は、顧客が比較している価格により他店舗で比較対象が提供された時期を条件として判定をしてもよい。抽出部101は、顧客の音声から、他店舗の価格により商品またはサービスが提供された時期を抽出してもよい。通知部102は、他店舗で当該価格により提供された時期が所定期間以内の商品またはサービスについて、価格比較の検知を通知する。
【0060】
例えば、抽出部101は、他店舗の商品またはサービスの価格の比較に関するフレーズとして、「私達がさっき見たお店より高いね。」を抽出する。このフレーズから、抽出部101は、他店舗の価格の方が店舗の設定価格より安いと評価されていることを認識する。さらに、抽出部101は、音声から「さっき見た」という語句を、他店舗の価格により商品またはサービスが提供された時期として抽出してもよい。この語句により、抽出部101は、今日の価格が比較されていると認識してもよい。
【0061】
通知部102は、例えば、現在の日時から所定期間以内の他店舗の価格と比較された場合に、価格が比較されていることを通知してもよい。通知に基づいて、現在の日時から1週間以内の他店舗の商品の価格に対向して、店舗の商品の価格が変更され得る。また、通知に基づいて、今日は他社がセールをしていることなどが予測されうる。通知部102は、例えば、去年または数か月前の他店舗の価格と比較された場合、通知の対象から除外してもよい。
【0062】
ドラッグストアや家電量販店では、競合店舗の商品の価格は日によって変化する可能性があるため、その変化に応じて価格を見直すには、コストがかかる。本変形例によれば、結果の見直しに、最近の価格と比較された結果を用いることができる。
【0063】
(3)通知部102は、他店舗の位置を条件として判定をしてもよい。通知部102は、店舗の位置から所定の範囲内の他店舗の商品またはサービスについて、価格比較の検知を通知してもよい。例えば、通知部102は、所定の範囲に含まれない他店舗と価格が比較された場合、通知をしなくてもよい。所定の範囲は、店舗の距離または地域により設定され得る。
【0064】
具体的には、抽出部101は、第3実施形態の変形例1に示したように、店舗を特定する語句を抽出する。例えば、抽出部101は、顧客の音声から、予め登録された競合店舗以外が特定された場合、価格が比較されたことを通知部102に送信しない。あるいは、抽出部101は、抽出されたフレーズに顧客の音声に異なる国や離れた地域を特定する語句が含まれる場合、価格が比較されたことを通知部102に送信しない。
【0065】
また、抽出部101は、インターネット販売サイトの価格と比較された場合、価格が比較されたことを通知部102に送信しなくてもよい。例えば、抽出部101は、インターネット販売サイトの名称や、「ウェブ」などの語句が、価格を比較する語句の前後所定の文字数以内に含まれるか特定する。以上の語句が含まれる場合、顧客は店舗の価格とインターネット販売の価格を比較していると判断する。
【0066】
[第4実施形態]
第4実施形態において、第1実施形態に係る価格管理システム100がさらに、評価対象の新たな価格を決定する場合について説明する。
【0067】
(構成)
図11は、第4実施形態に係る価格管理システム100の構成を示すブロック図である。第4実施形態に係る価格管理システム100は、抽出部101、通知部102、及び、価格決定部104を備える。第4実施形態の構成について、第1実施形態の構成と同様の構成については説明を一部省略する。なお、第4実施形態に係る価格管理システム100は、さらに、第2実施形態に係る商品特定部103をさらに有していてもよい。また、抽出部101と通知部102の構成は第3実施形態と同様であってもよい。
【0068】
以上の説明において、通知部102が表示手段に通知文を表示させ、管理者に通知をする場合について説明した。しかし、通知部102は装置に対し、評価対象の価格評価の検知を通知してもよい。例えば、通知部102は、価格決定部104に価格評価の検知を通知してもよい。第4実施形態において、通知部102は、表示手段に価格評価の検知を表示させなくてもよい。
【0069】
価格決定部104は、価格評価の検知の通知を受けると、評価対象の新たな価格を決定する。価格決定部104は、価格決定手段の一実施形態である。
【0070】
通知部102は、任意の表示手段に価格決定部104が決定した新たな価格を表示させてもよい。管理者は表示された新たな価格を見て、商品またはサービスの価格の設定を変更してもよい。あるいは、価格決定部104は、店舗内に設置された電子棚札に表示する価格を、決定した新たな価格に変更してもよい。電子棚札は、商品の価格を提示し、その表示は電子的に書き替えができる。図12は、電子棚札の表示画面の例を示す図である。
【0071】
価格決定部104は、他店舗の比較対象の価格に関する情報に基づいて、店舗の評価対象の価格を決定してもよい。具体的には、例えば、価格決定部104は第3実施形態の変形例2に示した、顧客による比較結果を利用してもよい。抽出部101または比較部によって、顧客の音声から、他店舗の方が高い、若しくは、安いと認識する。価格決定部104は、他店舗の方が高いと認識された場合、現在の設定価格を上げてもよい。価格決定部104は、他店舗の方が安いと認識された場合、現在の設定価格を下げてもよい。なお、価格決定部104は、価格が他店舗と同じであると認識された場合にも価格を上げる、または下げることを決定してもよい。
【0072】
価格決定部104は、新たな価格を決定するとき、予め設定された変更の許容範囲を参照して、価格を決定してもよい。許容範囲は、新たな価格の上限または下限により示されてもいいし、一度に大きく価格が変わらないよう、変更幅の上限により示されてもよい。
【0073】
価格決定部104は、予め定められた変更幅で価格を変更してもよい。また、価格決定部104は、所定期間ごとの売上が所定量増加または減少するまで、価格の変更を繰り返してもよい。例えば、価格決定部104は、店舗における価格評価の検知が通知された評価対象の商品またはサービスの売上が、価格の変更前の所定期間内と変更後の所定期間内で所定量増えるまで、所定幅で価格の変更を繰り返してもよい。
【0074】
価格決定部104は、通知部102から価格評価の検知の通知を受けてすぐ、新たな価格を決定してもよい。価格決定部104は、新たな価格をすぐに電子棚札に反映してもいい。ただし、価格決定部104は、通知部102から通知を受信した日から所定期間以降に反映させる新たな価格を決定してもよい。
【0075】
通知部102は、電子棚札に表示する価格が変更されたことを、店舗の管理者が閲覧する表示手段に表示させてもよい。
【0076】
図13は、価格決定部104が価格を変更した後、通知部102が表示手段に表示させる価格変更通知の例を示す図である。図13の通知は、価格決定部104が新たな価格と価格を決定した根拠を含む。図13において、決定の根拠は、変更前の商品の価格と、他店の価格と、変更の許容範囲の下限価格を含む。図13において、他店の価格は顧客の音声から抽出されていないため不明であるが、顧客による比較結果によれば、他店舗の価格はより安いことが認識されている。したがって、価格は変更の許容範囲の下限価格まで変更されている。
【0077】
(動作)
価格管理システム100の動作例について説明する。価格管理システム100の各構成要素は、構成要素ごとに異なる装置に備えられてもよい。例えば、抽出部101、及び、通知部102は分析サーバに備えられ、価格決定部104は、商品管理サーバに備えられてもよい。図14は、分析サーバの動作例を示すフローチャートである。図15は、商品管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【0078】
図14について、分析サーバのステップS21からステップS22の動作は、第1実施形態の動作の説明と基本的に同様である。ステップS22の後、変形例3に例示したような所定の条件が満たされる場合(ステップS23:Yes)、通知部102は、顧客による価格評価の検知を通知する(ステップS24)。所定の条件が満たされない場合(ステップS23:No)、分析サーバはステップS21及びステップS22の処理を繰り返す。
【0079】
図15に移り、商品管理サーバの価格決定部104は、分析サーバから、価格評価の検知の通知を受信する(ステップS31)。価格決定部104は、新たな価格を決定する(ステップS32)。さらに、価格決定部104は、電子棚札に表示する価格を変更する(ステップS33)。通知部102は、価格決定部104から、価格の変更の実施を受信し、価格の変更が実施されたことを店舗の管理者などに通知する(ステップS34)。
【0080】
(効果)
第4実施形態によれば、顧客による他店舗に対する価格の評価に応じて、価格を変更できる。その理由は、価格決定部104が、価格評価の検知の通知を受けて、商品またはサービスの新たな価格を決定するためである。さらに、第4実施形態によれば、顧客による他店舗に対する価格の評価に応じて、商品とともに提示される価格を変更できる。その理由は、価格決定部104が新たな価格を電子棚札に表示する価格を変更するためである。
[変形例]
以上の各実施形態は、以下のような変形が可能である。すなわち、通知部102は、顧客の音声が虚偽であるかの条件に基づき、評価対象の価格評価の検知を通知するかどうかを判定してもよい。
【0081】
通知部102は、比較に関するフレーズを抽出した顧客の音声が、虚偽の発言による音声と推定される場合、比較対象の価格比較の検知を通知しなくてもよい。例えば、価格管理システム100は、虚偽の発言を推定する推定部をさらに備えてもよい。
【0082】
推定部は、音声に基づき感情を分析し、嘘の可能性を推定してもよい。推定部はさらに、顧客の画像に基づき、表情分析や行動分析を行い、嘘の可能性を推定してもよい。例えば、推定部は、店内の顧客の行動分析により、顧客が商品の購入を検討していないと推定された場合、他店舗の価格と比較する発言は嘘であると推定してもよい。
【0083】
また、価格管理システム100は、任意の方法で店内の顧客を識別し、顧客がブラックリストに載っているか確認してもよい。顧客は例えば音声や顔画像により識別されてもよい。何度も嘘の比較を行った顧客、迷惑な顧客、及び、他店舗の従業員などは予めブラックリストに加えられる。推定部は、ブラックリストに載っている顧客による発言は虚偽の発言であると推定してもよい。
【0084】
[ハードウェア構成]
上述した各実施形態において、価格管理システム100の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素の一部又は全部は、コンピュータ500とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0085】
図16は、コンピュータ500のハードウェア構成の例を示すブロック図である。図16を参照すると、コンピュータ500は、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、プログラム504、記憶装置505、ドライブ装置507、通信インタフェース508、入力装置509、入出力インタフェース511、及び、バス512を含む。
【0086】
プログラム504は、各装置の各機能を実現するための命令(instruction)を含む。プログラム504は、予め、ROM502やRAM503、記憶装置505に格納される。CPU501は、プログラム504に含まれる命令を実行することにより、各装置の各機能を実現する。例えば、価格管理システム100のCPU501がプログラム504に含まれる命令を実行することにより、価格管理システム100の機能を実現する。また、RAM503は、各装置の各機能において処理されるデータを記憶してもよい。例えば、コンピュータ500のRAM503に、価格管理システム100におけるテキスト化した顧客の音声を記憶してもよい。
【0087】
ドライブ装置507は、記録媒体506の読み書きを行う。通信インタフェース508は、通信ネットワークとのインタフェースを提供する。入力装置509は、例えば、マウスやキーボード等であり、店舗の管理者等からの情報の入力を受け付ける。出力装置510は、例えば、ディスプレイであり、管理者等へ情報を出力(表示)する。入出力インタフェース511は、周辺機器とのインタフェースを提供する。バス512は、これらハードウェアの各構成要素を接続する。なお、プログラム504は、通信ネットワークを介してCPU501に供給されてもよいし、予め、記録媒体506に格納され、ドライブ装置507により読み出され、CPU501に供給されてもよい。
【0088】
なお、図16に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の構成要素が追加されていてもよく、一部の構成要素を含まなくてもよい。
【0089】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0090】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、プロセッサ等を含む汎用又は専用の回路(circuitry)や、これらの組み合わせによって実現されてもよい。これらの回路は、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0091】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0092】
また、価格管理システム100の少なくとも一部がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてよい。すなわち、価格管理システム100を実現するための機能の少なくとも一部が、ネットワーク経由で実行されるソフトウェアによって実行されてよい。
【0093】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施形態における構成は、本開示のスコープを逸脱しない限りにおいて、互いに組み合わせることが可能である。
【0094】
上記実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出する抽出手段と、
前記フレーズが抽出された場合、価格評価の検知を通知する通知手段と、
を備える価格管理システム。
[付記2]
前記通知手段は、所定の条件に基づき、前記価格評価の検知を通知するかどうかを判定する
付記1に記載の価格管理システム。
[付記3]
前記通知手段は、前記評価対象について、前記評価に関するフレーズを抽出した回数、または、当該フレーズを抽出した顧客の数が所定値以上の場合、前記価格評価の検知を通知する
付記2に記載の価格管理システム。
[付記4]
前記抽出手段は、前記評価に関するフレーズとして、前記評価対象の価格と他店舗の比較対象である商品またはサービスの価格の比較に関するフレーズを抽出し、
前記通知手段は、前記価格評価の検知として、前記他店舗との価格比較の検知を通知する
付記1乃至3のいずれか1つに記載の価格管理システム。
[付記5]
前記抽出手段は、前記音声から前記他店舗の前記比較対象の価格に関する情報を抽出し、
前記通知手段は、前記他店舗の前記比較対象の価格に関する情報に基づいて、前記価格評価の検知を通知するかどうかを判定する
付記4に記載の価格管理システム。
[付記6]
前記抽出手段は、前記音声から、前記他店舗の前記比較対象の価格により当該他店舗において当該比較対象が提供された時期を抽出し、
前記通知手段は、前記時期が所定期間以内の場合に、前記価格評価の検知を通知する
付記4または5に記載の価格管理システム。
[付記7]
前記通知手段は、前記比較された前記他店舗の位置が、前記店舗の位置から所定の範囲内の場合に、前記価格評価の検知を通知する
付記4乃至6のいずれか1つに記載の価格管理システム。
[付記8]
前記通知手段は、前記評価に関するフレーズを抽出した前記音声が、虚偽の発言による音声と推定される場合、前記価格評価の検知を通知しない
付記2乃至7のいずれか1つに記載の価格管理システム。
[付記9]
前記音声に基づいて、前記評価対象を特定する特定手段をさらに備える、
付記1乃至8のいずれか1つに記載の価格管理システム。
[付記10]
前記特定手段は、さらに、前記顧客を撮影した画像に基づいて、前記評価対象を特定する
付記9に記載の価格管理システム。
[付記11]
前記特定手段は、前記画像に基づいて推定される前記顧客の視線方向に基づいて、前記評価対象を特定する
付記10に記載の価格管理システム。
[付記12]
前記価格評価の検知の通知を受けると、前記店舗の前記評価対象の新たな価格を決定する価格決定手段をさらに備える、
付記1乃至11のいずれか1つに記載の価格管理システム。
[付記13]
前記価格決定手段は、前記店舗内に設置された前記評価対象の電子棚札に表示する価格を変更する
付記12に記載の価格管理システム。
[付記14]
前記抽出手段は、前記音声から他店舗の比較対象である商品またはサービスの価格に関する情報を抽出し、
前記価格決定手段は、前記他店舗の前記比較対象の価格に関する情報に基づいて、前記店舗の前記評価対象の価格を決定する
付記12または13に記載の価格管理システム。
[付記15]
前記価格決定手段は、前記店舗の前記評価対象の所定期間ごとの売上が所定量増加または減少するまで、価格を所定幅ずつ変更する決定を繰り返す
付記12乃至14のいずれか1つに記載の価格管理システム。
[付記16]
店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出し、
前記フレーズが抽出された場合、価格評価の検知を通知する、
価格管理方法。
[付記17]
店舗内で収集した顧客の音声から、評価対象である商品またはサービスの価格の評価に関するフレーズを抽出する処理と、
前記フレーズが抽出された場合、価格評価の検知を通知する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムを非一時的に記録する記録媒体。
【符号の説明】
【0095】
100 価格管理システム
101 抽出部
102 通知部
103 商品特定部
104 価格決定部
20 マイク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16