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特許7586293道路点検システム、測定車両、サーバ、道路点検方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】道路点検システム、測定車両、サーバ、道路点検方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G08G1/00 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023508397
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021013018
(87)【国際公開番号】W WO2022201525
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】横山 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】知久 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽子
(72)【発明者】
【氏名】辻 佑機
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141267(WO,A1)
【文献】特開2019-079303(JP,A)
【文献】特開2020-008996(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141559(WO,A1)
【文献】特開2016-057861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメント毎の検査の必要性を判定する検査判定部と、
前記道路セグメント毎の検査の必要性、及び前記道路の路面状態を測定可能な測定車両による該路面状態の測定又は該測定により得られる測定データに求められ、前記道路セグメントについて定められた品質要求レベルを満たすか否かに少なくとも基づいて、前記測定車両による該路面状態の測定を実施するか否か、及び該測定により得られた測定データ送信するか否かの少なくとも一方を制御する制御部と、
前記測定車両から受信した測定データを分析し、検査を実施する路面検査部と、
を備える道路点検システム。
【請求項2】
前記検査判定部は、前記道路セグメント毎の過去の検査履歴をもとに前記判定を実施する、
請求項1に記載の道路点検システム。
【請求項3】
前記道路セグメントは、前記道路の検査条件に基づき前記道路を分割した単位である請求項1又は2に記載の道路点検システム。
【請求項4】
前記測定車両は、
路面状態を測定可能な測定部と、
前記制御部を備える所定のサーバに対し、前記測定車両が走行する予定または走行中の前記道路セグメントについて前記検査の必要性を問い合わせる検査確認部と、
前記測定により得られた測定データを送信可能な送信部と、
を備え、
前記問い合わせに対する前記制御部からの応答に従い、前記測定部は前記走行する予定または走行中の前記道路セグメントについての測定を制御する、又は、前記送信部は該測定により得られた測定データの送信を制御する、請求項1から3いずれか一に記載の道路点検システム。
【請求項5】
前記検査確認部は、前記測定車両の位置情報及び前記道路セグメントの地理的所在を示す道路セグメント情報をもとに、前記測定車両が走行する予定または走行中の前記道路セグメントを特定し、該特定した前記道路セグメントについて前記検査の必要性を前記サーバに問い合わせる請求項4に記載の道路点検システム。
【請求項6】
前記制御部は前記測定車両に配置され、
前記制御部は、前記道路セグメント毎の前記検査の必要性を示す検査要否情報を保持し、該検査要否情報と前記測定車両の位置情報とに基づいて、前記測定車両による前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御する
請求項1から3いずれか一に記載の道路点検システム。
【請求項7】
検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメントにおける検査の必要性を問い合わせる検査確認部と、
前記道路セグメント毎の検査の必要性を判定する検査判定部と、前記道路セグメント毎の検査の必要性、及び前記道路の路面状態を測定可能な測定車両による該路面状態の測定又は該測定により得られる測定データに求められ、前記道路セグメントについて定められた品質要求レベルを満たすか否かに少なくとも基づいて、前記測定車両による該路面状態の測定を実施するか否か、及び該測定により得られた測定データ送信するか否かの少なくとも一方を制御する制御部と、を備えたサーバから、前記問い合わせた道路セグメントについての検査の要否を受信する受信部と、
前記検査対象の道路の路面状態を測定可能な測定部と、
前記路面状態の測定により得られた測定データを送信可能な送信部と、を備え、
前記測定部は前記検査の要否をもとに前記路面状態の測定を制御する、又は、前記送信部は前記検査の要否をもとに前記測定データの送信を制御する、
測定車両。
【請求項8】
検査対象の道路の路面状態を測定可能な測定部と、前記路面状態の測定により得られた測定データを送信可能な送信部と、を備える測定車両と通信可能であり、
前記検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメント毎の検査の必要性を判定する検査判定部と、
前記測定車両からの前記道路セグメントについての検査の必要性の問い合わせに応じ、前記道路セグメント毎の検査の必要性、及び前記道路の路面状態を測定可能な測定車両による該路面状態の測定又は該測定により得られる測定データに求められ、前記道路セグメントについて定められた品質要求レベルを満たすか否かに少なくとも基づいて、前記測定車両による該路面状態の測定を実施するか否か、及び該測定により得られた測定データ送信するか否かの少なくとも一方を制御するための指示を前記測定車両に対して送信する制御部と、
を備えるサーバ。
【請求項9】
検査対象の道路の路面状態を測定可能な測定部と、前記路面状態の測定により得られた測定データを送信可能な送信部と、を備える測定車両と通信可能なサーバが、
前記測定車両からの、前記検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメントにおける検査の必要性の問い合わせに応じて、前記道路セグメント毎の検査の必要性を判定し、
前記道路セグメント毎の検査の必要性、及び前記道路の路面状態を測定可能な測定車両による該路面状態の測定又は該測定により得られる測定データに求められ、前記道路セグメントについて定められた品質要求レベルを満たすか否かに少なくとも基づいて、前記測定車両の前記測定部による前記検査の要否に基づいた該路面状態の測定を実施するか否かの制御、及び前記測定車両の前記送信部により、該測定により得られた測定データを送信するか否かの制御、を実施し、
前記測定車両から受信した測定データを分析し、検査を実施する、
道路点検方法。
【請求項10】
検査対象の道路の路面状態を測定可能な測定部と、前記路面状態の測定により得られた測定データを送信可能な送信部と、を備える測定車両と通信可能なサーバに、
前記測定車両からの、前記検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメントにおける検査の必要性の問い合わせに応じて、前記道路セグメント毎の検査の必要性を判定する処理と、
前記道路セグメント毎の検査の必要性、及び前記道路の路面状態を測定可能な測定車両による該路面状態の測定又は該測定により得られる測定データに求められ、前記道路セグメントについて定められた品質要求レベルを満たすか否かに少なくとも基づいて、前記測定車両の前記測定部による前記検査の要否に基づいた該路面状態の測定を実施するか否かの制御、及び前記測定車両の前記送信部により該測定により得られた測定データを送信するか否かの制御の少なくとも一方を実施する処理と、
前記測定車両から受信した測定データを分析し、検査を実施する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路点検システム、測定車両、サーバ、道路点検方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、専用の路面性状測定車を用いる方法のほか、一般の車両を用いて道路の路面の状態を測定し、点検を行う方法が提案されている。例えば、特許文献1には、廉価で精度が高くない測定機器を使用して高精度に路面状態を把握できるという路面状態管理装置が開示されている。同文献によれば、この路面状態管理装置は、車両に搭載された取得手段により取得され、路面状態を解析するための路面状態解析用情報を取得する路面状態解析用情報取得手段と、前記路面状態解析用情報を、予め決定された距離に基づいて、解析対象路線毎に設定された複数の区間に関連付ける区間関連付手段と、前記複数の区間の各々に関連付けられた路面状態解析用情報を前記区間毎に複数蓄積する路面状態解析用情報蓄積手段と、前記路面状態解析用情報蓄積手段に蓄積された複数の路面状態解析用情報を解析し、前記各区間の各路面状態解析結果情報および1又は複数区間の各路面状態解析結果情報の代表値を求める情報解析手段と、を備えると記載されている。
【0003】
特許文献2には、道路情報の収集に適した走行条件で車両が道路情報を収集することを可能とする道路情報収集支援サーバが開示されている。同文献によると、この道路情報収集支援サーバは、車両と通信する通信部と、車両が自動運転で道路情報を収集するために適した走行条件を決定し、車両が走行条件で道路情報を収集するように、車両が自動運転される自動運転モードへの切り替え指示と走行条件を、通信部を介して車両に送信する車両支援部と、を有すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-57861号公報
【文献】特開2020-8996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。特許文献1、2の方法では、道路を走行した車両が、情報処理装置や道路情報収集装置と呼ばれている装置に測定データを送信する。このため、測定箇所や測定車両が増えるに従い、測定データの量が増えてしまうという問題点がある。
【0006】
例えば、特許文献1の構成では、各区間の各路面状態解析結果情報および1又は複数区間の各路面状態解析結果情報の代表値を求めるために、大量の路面状態解析用情報が必要となる。また、特許文献2の構成においても、自動運転モードに切り替えられた車両が撮像装置によって撮影された画像及び加速度センサ等による計測値に基づいて、道路情報の算出を行い、道路情報収集支援サーバに送信するため、道路情報に画像を含める場合、測定データの量が増える可能性がある(請求項8参照)。
【0007】
本発明は、測定車両を用いた道路の検査における前記測定車両から送信されるデータ量の削減に貢献できる道路点検システム、測定車両、サーバ、道路点検方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の視点によれば、検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメント毎の検査の必要性を判定する検査判定部と、前記道路セグメント毎の検査の必要性に基づいて、前記道路の路面状態を測定可能な測定車両による該路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御する制御部と、前記測定車両から受信した測定データを分析し、検査を実施する路面検査部と、を備える道路点検システムが提供される。
【0009】
第2の視点によれば、上記した道路点検システムを構成するサーバ及び測定車両が提供される。
【0010】
第3の視点によれば、上記した道路点検システムを用いた道路点検方法が提供される。より具体的には、上記した道路点検システムを構成する装置が、検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメント毎の検査の必要性を判定し、前記道路セグメント毎の検査の必要性に基づいて、前記検査対象の道路の路面状態を測定可能な測定車両による前記道路セグメント毎の前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御し、前記道路セグメント毎の測定データの測定を実施可能な測定部を備えた測定車両に、前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を実施させる。
【0011】
第4の視点によれば、上記した道路点検システムを構成する各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム(以下、「プログラム」)が提供される。このプログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インターフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させる。また、このプログラムは、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インターフェースを介して、外部と通信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定車両を用いた道路の検査における前記測定車両から送信されるデータ量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態の道路点検システムの道路情報データベースに蓄積されるデータの一例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態の道路点検システムの測定能力情報データベースに蓄積されるデータの一例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態の道路点検システムの検査条件記憶部に記憶されるデータの一例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図11】本発明の第2の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図13】本発明の第3の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。
図14】本発明の第3の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図15】本発明の第4の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。
図16】本発明の第4の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図17】本発明の第5の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。
図18】本発明の第5の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図19】本発明の第6の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。
図20】本発明の第6の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図21】本発明の一実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図22】本発明の一実施形態の変形例の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。
図23】本発明の第1の実施形態の道路点検システムの変形動作を表したシーケンス図である。
図24】本発明の情報提供装置を構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インターフェースを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インターフェースがあるが図示を省略する。
【0015】
本発明は、その一実施形態において、図1に示すように、検査判定部11と、制御部12と、路面検査部13と、を含む道路点検システム10にて実現することができる。
【0016】
より具体的には、検査判定部11は、検査対象の道路を分割した単位である道路セグメントについて、該道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。例えば、検査判定部11は、図2の上段に示す5つの道路セグメントについて、検査の必要性を判定する。図2の例では、検査判定部11は、左側3つの道路セグメントについて検査要と判定し、残る2つの道路セグメントについて検査不要と判定している。ここで、道路セグメントとしては、道路を所定の基準で分割した単位であり、例えば、ひび割れ率、わだち掘れ量、IRIなどの値を計算する際の単位区間を用いることができる。また、道路セグメントは、上記した単位区間を複数含む長さで設定されていてもよい。例えば、検査条件が同一の区間をセグメントとすることもできる。このように、検査条件が同一の区間をセグメントとすることで、路面検査部13において逐次検査条件を変える必要がなくなるため、路面検査部13の負荷を軽減することができる。
【0017】
制御部12は、前記判定の結果に基づいて、前記道路の路面状態を測定可能な測定車両20による該路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御する。例えば、制御部12は、図2の下段に示すように、検査要と判定された道路セグメントを対象に、路面状態の測定を制御する。なお、図2の例では、制御部12は、道路セグメントの測定を制御することとしているが、道路セグメントの路面状態の測定をした上で、データの送信を行うか否かを制御することでもよい。
【0018】
そして、路面検査部13は、前記測定車両20から無線通信網を介して前記測定データを受信し、該測定データを取得した道路セグメントに設定された前記検査条件に基づき該測定データを分析し、該道路セグメントにおける検査を実施する。
【0019】
道路点検システム10は、例えば、道路点検サーバと、測定車両との組み合わせにより構成することができる。図21は、この場合の道路点検サーバと測定車両の動作の一例を示す。測定車両が、道路点検サーバに対し、前記検査の必要性を問い合わせると(ステップS800)、前記道路点検サーバは、検査の必要性を判定し、前記問い合わせに応答する(ステップS801)。前記道路点検サーバは、前記問い合わせに応答することで(ステップS803)、前記測定車両による前記道路セグメントについての測定を制御する(ステップS804、S805)。
【0020】
上記した道路点検システム10によれば、測定車両を用いた道路の検査における前記測定車両から送信されるデータ量を削減することが可能となる。その理由は、道路点検システム10が、該道路セグメント毎の検査の必要性を判定し、さらに、その結果に基づいて、前記検査対象の道路を測定可能な測定車両20による前記道路セグメント毎の前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御する構成を採用したことにある。
【0021】
なお、図2の例では、制御部12は、左側3つの道路セグメントのすべてについて測定を実施するものと判定しているが、制御部12が、測定条件等を考慮して、道路セグメントの一部について測定を実施しないと判定する場合もある。例えば、図3の例では、制御部12は、左側3つの道路セグメントのうち、左から1番目及び3番目の道路セグメントの測定を実施し、左から2番目の道路セグメントの測定を行わないこととしている。この場合、検査要と判定された道路セグメントのうち、左から2番目の道路セグメントの測定データが得られないことになるが、図4に示すように、次のタイミングで同一又は別の測定車両20に対して、2番目の道路セグメントの検査が必要であることを伝えることで、左から2番目の道路セグメントの測定データを得ることができる。このように、前記道路の検査の必要性の判定は、道路セグメント毎の過去の検査履歴をもとに実施することができる。
【0022】
また、図1の例では、制御部12が道路点検システム10側にあるものとして説明したが、図5に示すように、制御部が測定車両20側に配置されていてもよい。この場合の動作は、図22に示すとおりとなる。具体的には道路点検システム10の道路点検サーバは、測定車両20に対し、道路セグメント毎の検査の必要性を示す検査要否情報を通知する(ステップS700)。そして、測定車両20の制御部22が、前記道路セグメント毎の検査の必要性に基づいて、個別の道路セグメントの検査の要否を判定する(ステップS703)その後、測定車両20は、道路セグメントの検査の要否の内容に基づいて、前記道路セグメント毎の前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御することになる(ステップS704、S705)。
【0023】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図6は、本発明の第1の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。図6を参照すると、道路点検サーバ100と、測定車両200とを含む道路点検システムが示されている。
【0024】
道路点検サーバ100は、道路情報データベース(道路情報DB)110と、測定能力情報データベース(測定能力情報DB)120と、検査条件記憶部130とにそれぞれアクセス可能となっている。なお、道路点検サーバ100が、その内部の補助記憶装置等に、これらに相当するデータベース及び記憶部を備えていてもよい。
【0025】
道路情報DB110は、道路セグメント単位で路面の検査の必要性の判定に必要な各種の情報を記憶するデータベースである。図7は、本実施形態の道路情報DB110に蓄積されるデータの一例を示す図である。図7の例では、路線名と、道路分類と、区間(道路セグメント)と、検査結果と、検査日時とを対応付けたデータが示されている。このようなデータの検査結果フィールドや検査日時を参照して、ある道路の特定の道路セグメントの検査の必要性を判定することができる。また、道路情報DB110に、検査結果のほか、補修や修繕の内容やこれらが行われた日時を保持させてもよい。
【0026】
測定能力情報DB120は、測定車両200の路面測定能力に関する情報を記憶するデータベースである。図8は、本実施形態の測定能力情報DB120に蓄積されるデータの一例を示す図である。図8の例では、測定車両200の車両IDから、その測定車両に備えられたカメラの解像度(ピクセル)と、路面性状測定機能の内容を特定可能となっている。なお、その測定車両の測定能力は図8に示した例に限られず、検査条件として設定された内容に応じ、カメラのその他の性能項目(フレームレート、ビットレート等の動画撮影能力、物体認識機能の有無など)が設定されていてもよい。
【0027】
検査条件記憶部130は、道路分類ごとに必要とされる路面画像の解像度や、測定項目を含む検査条件を記憶している。図9の例では、交通量が多い、要求サービス水準の高い等の道路分類Aに分類される道路は、400Mピクセル以上のカメラで撮影することと、ひび割れ率、わだち掘れ量、IRI(国際ラフネス指数)、ポットホール(の有無)を測定できることが条件とされている。一方、上記道路分類Aの道路との比較において交通量が少ない、要求サービス水準の低い等の道路分類Cに分類される道路は、100Mピクセル以上のカメラで撮影することと、ポットホール(の有無)を測定できることが条件とされている。上記道路分類としては、国土交通省が舗装点検要領で定めている道路分類を用いることもできる。なお、図9に示した検査条件はあくまで一例を示したものであり、例えば、IRI(国際ラフネス指数)に代えて平坦性という測定項目を設けることもできる。また、これらの測定項目を用いて、MCI(Maintenance Control Index:維持管理指数)を計算し、検査を行う構成も採用可能である。
【0028】
また、前記検査条件とは別に、検査条件記憶部130に、測定データに求められる品質要求レベルが設定されていてもよい。この場合、測定車両200の測定能力、測定車両200の速度または測定車両200の環境状態の少なくともいずれかに基づいて、測定車両200が前記道路セグメントについて定められた品質要求レベルを満たすことができるか否かにより、前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御することもできる。例えば、品質要求レベルとして、測定データのカメラの解像度や動画ビットレートやフレームレートが指定されていてもよい。また、一般的には、高速になればなるほど画像の品質は落ちるため、品質要求レベルとして、測定車両の速度(範囲)が指定されていてもよい。さらに、品質要求レベルとして、測定車両の周囲の天候や前記所定のサーバに前記測定データを送信するための無線通信網の帯域の条件が指定されていてもよい。
【0029】
図6に示すとおり、道路点検サーバ100は、検査判定部101と、制御部102と、路面検査部103とを備えている。
【0030】
検査判定部101は、道路情報DB110に保持されているデータを参照して、特定の道路の道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。例えば、国道AAAが指定された場合、検査判定部101は、図7に示すデータを参照して区間(道路セグメント)毎の検査の必要性を判定する。例えば、検査判定部101は、所定期間検査が行われていない区間(道路セグメント)を検査の必要性のありと判定する。また、道路情報DB110に、修繕や補修の内容やこれらが行われた日時が保持されている場合、これらの内容や日時に基づいて、検査判定部101が検査の必要性を判定してもよい。
【0031】
制御部102は、検査判定部101にて検査の必要性が高いと判定された区間(道路セグメント)について、さらに測定を実施するか否かを判定し、測定車両200に対し、区間(道路セグメント)の検査要否を示す測定指示を通知する。例えば、図8の車両ID:0001の測定車両200を用いて国道AAAの検査を行う場合、制御部102は、車両ID:0001の測定車両200が、図9の道路分類ごとの検査条件を満たすことができるか否かにより、測定を実施するか否かを判定する。例えば、図8の車両ID:0001の測定車両200は、カメラ解像度が400Mピクセル、路面性状測定機能は全項目測定可、ポットホール検出可となっているので、道路分類Aの道路の検査に必要な測定を実施可能となっている。一方、図8の車両ID:0002の測定車両200は、カメラ解像度が200Mピクセル、路面性状測定機能はひび割れ率のみとなっているので、道路分類A、道路分類Bの道路を検査に必要な測定を行うことができないことになる。
【0032】
さらに、測定データに求められる品質要求レベルが設定されている場合、制御部102が、測定車両200の測定能力、測定車両200の速度または測定車両200の環境状態の少なくともいずれかに基づいて、測定を実施するか否かを判定してもよい。例えば、品質要求レベルとして、測定データのカメラの解像度や動画ビットレートやフレームレートが指定されている場合、制御部102は、測定車両のカメラの性能がこれらを充足できるか否かについても判定する。また、品質要求レベルとして、測定車両の速度(範囲)が指定されている場合、制御部102は、測定車両200からの速度情報を取得し、当該速度(範囲)を充足しているか否かについても判定する。さらに、品質要求レベルとして、測定車両の周囲の天候や前記所定のサーバに前記測定データを送信するための無線通信網の帯域の条件が指定されている場合、測定車両の環境がこれらを充足できるか否かについても判定する。
【0033】
また、別の形態として、測定車両200からの測定データの受信に応じて、道路点検サーバ100が、当該測定車両200が次に走行する道路セグメントの測定を実施するか否かを通知する形態を採ることもできる。なお、制御部102から測定車両200への通知には、測定の実施有無だけでなく、検査条件等を含めることもできる。
【0034】
路面検査部103は、前記測定を実施するか否かを通知した測定車両200から測定データを受信し、検査を実施する。例えば、ひび割れ率が20%以上で、要修繕と判定するとの判定基準が定められている場合、路面検査部103は、ひび割れ率が20%以上の道路セグメントを要修繕と判定する。この判定結果は、道路情報DB110の検査結果フィールドに記録され、道路管理者による道路の管理に役立てられる。
【0035】
続いて、測定車両200の構成について説明する。図6に示すとおり、測定車両200は、測定部201と、受信部202と、送信部203とを備える。このような測定車両200は、路面性状測定車に、道路点検サーバ100との通信機能を追加することでも実現できる。
【0036】
受信部202は、道路点検サーバ100から、道路の各道路セグメントについて、測定を実施するか否かの指示(測定指示)を受信する。
【0037】
測定部201は、前記受信部202にて受信した道路点検サーバ100からの指示に従い、道路の各道路セグメントの測定を実施する。
【0038】
送信部203は、道路点検サーバ100に対し、測定部201にて測定された道路の各道路セグメントの測定データを送信する。
【0039】
なお、測定車両と道路点検サーバ100間のデータの授受は、種々の方式を採ることができ、特に限定されない。例えば、移動体通信事業者が提供するLTE(Long Term Evoluiton)、5G等の無線通信網やロードサイドに設置された路側機を経由して指示や測定データを授受する形態等が考えられる。
【0040】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図10は、本発明の第1の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。図10を参照すると、まず、道路管理者等が道路点検サーバ100に、検査対象の道路と、検査に使用する測定車両200との組み合わせを入力する(ステップS000)。なお、道路管理者等が道路点検サーバ100に検査対象の道路を入力することに代えて、道路点検サーバ100が道路情報DB110を参照し、自動的に検査の必要性の高い道路を選択することでもよい。
【0041】
道路点検サーバ100は、道路情報DB110を参照して、検査対象の道路の各道路セグメントについて検査の必要性を判定する(ステップS001)。
【0042】
次に、道路点検サーバ100は、ステップS000で指定された測定車両で、検査対象の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかにより、各道路セグメントの測定の要否を判定する(ステップS002)。
【0043】
次に、道路点検サーバ100は、前記判定した道路の各道路セグメントの測定の要否を測定車両200に通知し、測定データの送信を要求する(ステップS003)。
【0044】
前記測定データの送信要求を受けた測定車両200は、測定部201にて測定を実施し(ステップS004)、その結果を道路点検サーバ100に送信する(ステップS005)。
【0045】
道路点検サーバ100は、前記測定データを受信すると(ステップS006)、所定の判定基準を用いて検査を実施する(ステップS007)。なお、測定の必要がある道路セグメントが他にもある場合、道路点検サーバ100は、ステップS003に戻って、当該道路セグメントについて測定データの送信を要求する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、測定車両200を用いた道路の路面検査における前記測定車両から送信されるデータ量を削減することが可能となる。特に、本実施形態では、道路点検サーバ100が、測定能力情報DB120と検査条件記憶部130とにアクセスし、測定車両200による検査条件を満たさない測定を抑止させる構成を採っている。これにより、検査条件を満たさない測定車両によるデータ送信を抑止することが可能となっている。
【0047】
なお、上記した実施形態では、測定車両200におけるデータ測定を制御の対象とするものとして説明したが、測定車両200が常時データ測定を行う構成になっている場合、データ送信を制御の対象としてもよい。この場合、測定車両200は、道路セグメントの測定を行うが、その測定データを送信するか否かを制御することになる。
【0048】
具体的には、図23に示すように、測定車両200は、ステップS004aにおいて、測定データの送信要求の内容に基づいて、測定データの送信要否を判定する。そして、測定車両200は、前記判定結果に基づいて、測定データの送信又は破棄を実施する(図23のステップS005a)。
【0049】
[第2の実施形態]
続いて、第1の実施形態において、道路点検サーバ100に配置されていた制御部102を測定車両側に配置した第2の実施形態について説明する。図11は、本発明の第2の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。図6に示した第1の実施形態との構成上の相違点は、測定能力情報DB120が省略され、かつ、車両側に制御部204が配置されている点である。その他の構成は第1の実施形態とほぼ同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0050】
本実施形態の道路点検サーバ100aは、検査判定部101aと、路面検査部103とを備えている。
【0051】
検査判定部101aは、道路情報DB110に保持されているデータを参照して、特定の道路の道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。例えば、国道AAAが指定された場合、検査判定部101aは、図7に示すデータを参照して区間(道路セグメント)毎の検査の必要性を判定する。さらに、検査判定部101aは、測定車両200aに対し、前記判定した道路セグメント毎の検査の必要性を示した検査要否情報を送信する。また、この検査要否情報には、検査条件記憶部130から読み出した該当道路の検査条件が含まれている。また、別の形態として、測定車両200aからの測定データの受信に応じて、道路点検サーバ100aが、当該測定車両200aが次に走行する道路セグメントの検査の必要性を通知する形態を採ることもできる。
【0052】
測定車両200aは、測定部201と、受信部202aと、送信部203と、制御部204とを備える。
【0053】
受信部202aは、道路点検サーバ100aから、道路の各道路セグメントの検査の必要性を示した検査要否情報を受信すると、制御部204に対し、検査要否情報を渡す。
【0054】
制御部204は、検査判定部101aにて検査の必要性が高いと判定された区間(道路セグメント)について、検査条件と、自車の測定能力とを用いて、測定を実施するか否かを判定する。図7の国道AAAの検査を行う場合、制御部204は、自車が、図9の道路分類ごとの検査条件を満たすことができるか否かにより、測定を実施するか否かを判定する。また、この検査条件に測定データに求められる品質要求レベルが設定されている場合、制御部204は、測定車両の測定能力のほか、測定車両の速度や前記測定車両の環境状態(周囲の明るさ、天候等)の少なくとも1つを用いて、自車が当該品質要求レベルを満たす測定をなしうるかどうかにより、測定を実施するか否かを判定してもよい。また、前記測定車両の環境状態として、道路点検サーバ100aとの間のネットワークの帯域の状態(測定データの送信に必要な帯域が確保できているかどうか、ネットワークの混雑度等)を考慮に入れても良い。
【0055】
測定部201は、前記制御部204の判定結果に従い、道路の各道路セグメントの測定を実施する。例えば、測定部201は、カメラなどのセンサを備えた端末であってもよい。カメラは、可視光域で撮影を行う光学カメラのほか、赤外線カメラやミリ波を用いたカメラであってもよい。また、測定部201は、車両に備え付けの端末であってもよく、持ち運び可能な携帯端末であってもよい。具体的には、測定部201は、道路測定用のカメラ、ドライブレコーダ、またはスマートフォンなどであってもよい。
【0056】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図12は、本発明の第2の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。図12を参照すると、まず、道路管理者等が道路点検サーバ100aに、検査対象の道路の情報を入力する(ステップS100)。
【0057】
道路点検サーバ100aは、道路情報DB110を参照して、検査対象の道路の各道路セグメントについて検査の必要性を判定する(ステップS101)。
【0058】
次に、道路点検サーバ100aは、測定車両200aに対し、前記判定した道路の各道路セグメントの検査の必要性を示す検査要否情報を通知し、測定データの送信を要求する(ステップS102)。
【0059】
測定車両200aは、自車が検査対象の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかにより、各道路セグメントの測定の要否を判定する(ステップS103)。
【0060】
測定車両200aは、前記各セグメントの測定の要否を判定の結果に従い、測定部201にて測定を実施し(ステップS104)、その結果を道路点検サーバ100aに送信する(ステップS105)。
【0061】
以降の道路点検サーバ100aの動作は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。(ステップS006、S007)。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の構成によっても第1の実施形態と同様に、測定車両200aから送信されるデータ量を削減することが可能となる。特に、本実施形態では、測定車両200aが自車の測定能力に基づいて、各セグメントの測定の要否を判定する構成を採っているため、測定能力情報DB120を省略できるという利点がある。さらに、測定車両200aのカメラや一部のセンサの故障等に応じて、各セグメントの測定の要否を判定することも可能となる。
【0063】
なお、上記した実施形態では、道路管理者等が道路点検サーバ100aに、検査対象の道路の情報を入力したことを契機に、検査判定部が、検査対象の道路の各道路セグメントについて検査の必要性を判定し、測定車両200aに検査の必要性を通知するものとして、説明したが、各道路セグメントについて検査の必要性を通知するタイミングはこれに限られない。例えば、道路点検サーバ100aが、能動的に所定のタイミングで、各道路セグメントについて検査の必要性を通知してもよい。この所定のタイミングとしては、路面検査部103による検査が実施され道路情報DB110が更新されたタイミング、特定周期、特定時刻、測定車両からの要求があったタイミング等が考えられる。
【0064】
また、本実施形態においても、測定車両200aにおけるデータ測定を制御の対象とするものとして説明したが、測定車両200aが常時データ測定を行う構成になっている場合、データ送信を制御の対象としてもよい。また、この場合においても、測定車両200aの測定能力のほか、測定時の車両の速度や前記測定車両200aの環境状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。さらに、前記測定車両200aの環境状態として、道路点検サーバ100aとの間のネットワークの帯域の状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。
【0065】
[第3の実施形態]
続いて、測定車両から道路点検サーバに測定の要否を問い合わせるようにした第3の実施形態について説明する。図13は、本発明の第3の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。図6に示した第1の実施形態との構成上の相違点は、測定車両200b側に測定確認部205が追加され、道路点検サーバ100bが測定車両200bからの問い合わせに応じて測定指示を応答するように構成されている点である。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0066】
測定車両200bは、測定部201と、受信部202bと、送信部203と、測定確認部205とを備える。
【0067】
測定確認部205は、道路点検サーバ100bに対し、測定車両200bの進行方向上の道路セグメントの測定の要否を要求する、動作を行う。なお、測定車両200bの進行方向上の道路セグメントについては、測定車両200bのカーナビケーション装置等から取得することができる。あるいは、測定車両200bが道路点検サーバ100bに対し、自車の位置情報を含んだ問い合わせを行う方法を採っても良い。
【0068】
本実施形態の道路点検サーバ100bの検査判定部101bは、測定車両200bから進行方向上の道路セグメントの測定の要否の要求を受けると、道路情報DB110に保持されているデータを参照して、前記問い合わせを受けた道路の道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。
【0069】
制御部102bは、検査判定部101bにて検査の必要性が高いと判定された区間(道路セグメント)について、さらに測定を実施するか否かを判定し、測定車両200bに当該区間(道路セグメント)の検査要否を示す測定指示として通知する。
【0070】
測定車両200b及び道路点検サーバ100bのその他の構成は、同一の符号を付した第1の実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
【0071】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図14は、本発明の第3の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。図14を参照すると、まず、測定車両200bが、道路点検サーバ100bに対し、進行方向上の道路の道路セグメントの測定の要否について問い合わせる(ステップS200)。
【0072】
前記問い合わせを受けた道路点検サーバ100bは、道路情報DB110を参照して、問い合わせ対象の道路の各道路セグメントについて検査の必要性を判定する(ステップS201)。
【0073】
次に、道路点検サーバ100bは、問い合わせ元の測定車両が、検査対象の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかにより、各道路セグメントの測定の要否を判定する(ステップS002)。なお、問い合わせ元の測定車両200bは、問い合わせメッセージに含まれる車両IDを用いて特定することができる。問い合わせメッセージに、測定車両200bの測定能力に関する情報が含まれている場合もある。その場合、道路点検サーバ100bは、その測定能力情報を用いて、問い合わせ元の測定車両が、検査対象の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかを判定してもよい。
【0074】
道路点検サーバ100bは、測定車両200bに対し、前記判定の結果を用いて検査要否を示す測定指示を応答する(ステップS203)。具体的には、測定車両200bの進行先の道路の道路セグメントの測定が必要と判定した場合、道路点検サーバ100bは、測定車両200bに対し、前記判定した道路セグメントの測定を要求する。一方、測定車両200bの進行先の道路の道路セグメントの測定が不要と判定した場合、道路点検サーバ100bは、測定車両200bに対し、道路セグメントの測定を要求しない。
【0075】
測定車両200bは、前記測定指示に基づいて、測定部201にて測定を実施し(ステップS204)、その結果を道路点検サーバ100bに送信する(ステップS205)。
【0076】
以降の道路点検サーバ100bの動作は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。(ステップS006、S007)。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、測定車両からの要求に応じて、測定データの要否を判定し、データの送信を求める構成が得られる。このような構成は、例えば、特定多数の測定車両から測定データを受け取る構成に好適に適用できる。さらに、本実施形態では、道路点検サーバ100bは、測定車両から問い合わせを受けた時点で最新の道路情報DB110を参照して、道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。このため、測定車両200bに、より最新の道路情報に基づいた測定を行わせることができるという利点がある。
【0078】
なお、上記した実施形態では、制御部102bは、道路セグメントの測定を実施するか否かを判定することとしているが、制御部102bが、測定データの送信を行うか否かを判定することでもよい。この場合、測定車両200bは、検査の必要性に拘わらず、道路セグメントの測定を行い、道路点検サーバ100bからの指示に従いデータの送信を行うことになる。
【0079】
なお、上記した実施形態では、道路点検サーバ100bが測定車両200bからの問い合わせの都度、前記検査要否を示す測定指示を送信するものとして説明したが、前記測定指示の送信タイミングは、これに限られない。例えば、特定周期、特定時刻、前記検査履歴が更新されたタイミング、前記測定車両から要求があったタイミング、前記測定車両の位置情報、の少なくともいずれかに基づき、道路点検サーバ100bが、測定車両200bに対し、測定指示を送信するようにしてもよい。
【0080】
また、本実施形態においても、測定車両200bにおけるデータ測定を制御の対象とするものとして説明したが、測定車両200bが常時データ測定を行う構成になっている場合、データ送信を制御の対象としてもよい。また、この場合においても、測定車両200bが、測定時の車両の速度や前記測定車両200bの環境状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。さらに、前記測定車両200bの環境状態として、道路点検サーバ100bとの間のネットワークの帯域の状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。
【0081】
[第4の実施形態]
続いて、第3の実施形態において、道路点検サーバ100bに配置されていた制御部102bを測定車両側に配置した第4の実施形態について説明する。図15は、本発明の第4の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。図13に示した第3の実施形態との構成上の相違点は、測定能力情報DB120が省略され、道路セグメント情報配布部104が追記されている点と、車両側に制御部204が配置され、かつ、測定確認部205が検査確認部207に置き換わっている点である。その他の構成は第3の実施形態とほぼ同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0082】
本実施形態の道路点検サーバ100cは、検査判定部101cと、路面検査部103と、道路セグメント情報配布部104と、を備えている。
【0083】
検査判定部101cは、測定車両200cから問い合わせを受けると、道路情報DB110に保持されているデータを参照して、前記問い合わせを受けた道路の道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。さらに、検査判定部101cは、測定車両200cに対し、前記判定した道路セグメント毎の検査の必要性を示した検査要否情報を送信する。第2の実施形態と同様、この検査要否情報には、検査条件記憶部130から読み出した該当道路の検査条件が含まれている。
【0084】
本実施形態では、道路情報DB110に各道路セグメントの地理的な範囲を示す道路セグメント情報が登録されているものとする。道路セグメント情報配布部104は、道路情報DB110から道路セグメント情報を読み出して、測定車両200cに配布する。
【0085】
測定車両200cは、測定部201と、受信部202cと、送信部203と、制御部204と、検査確認部207とを備える。
【0086】
検査確認部207は、道路セグメント情報と、自車の位置情報に基づいて、道路点検サーバ100cに、測定車両200cの進行方向上の道路セグメントの検査の必要性を問い合わせる動作を行う。また、あるいは、測定車両200cが道路点検サーバ100cに対し、自車の位置情報を含んだ問い合わせを行う方法を採っても良い。本実施形態では、検査確認部207が、前記検査判定部を備える所定のサーバに対し、前記測定車両が走行する予定または走行中の前記道路セグメントについて前記検査の必要性を問い合わせる手段として機能する。
【0087】
受信部202cは、道路点検サーバ100cから、道路の各道路セグメントの検査の必要性を示した検査要否情報を受信すると、制御部204に対し、検査要否情報を渡す。
【0088】
制御部204は、道路点検サーバ100cに問い合わせた道路セグメントが検査の必要性が高いと判定された区間(道路セグメント)である場合、検査条件と、自車の測定能力とを用いて、測定を実施するか否かを判定する。
【0089】
測定部201は、前記制御部204の判定結果に従い、道路の各道路セグメントの測定を実施する。
【0090】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図16は、本発明の第4の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。図16を参照すると、まず、測定車両200cが、道路点検サーバ100cに対し、進行方向上の道路の道路セグメントの検査の要否について問い合わせる(ステップS300)。
【0091】
前記問い合わせを受けた道路点検サーバ100cは、道路情報DB110を参照して、問い合わせ対象の道路の各道路セグメントについて検査の必要性を判定する(ステップS301)。
【0092】
次に、道路点検サーバ100cは、測定車両200cに対し、前記判定した道路の各道路セグメントの検査の必要性を示す検査要否情報を通知し、測定データの送信を要求する(ステップS302)。
【0093】
測定車両200cは、自車が検査対象の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかにより、各道路セグメントの測定の要否を判定する(ステップS303)。
【0094】
前記判定の結果、自車の進行先の道路の道路セグメントの測定が必要と判定した場合、測定車両200cは、前記判定した道路セグメントの測定を実施する(ステップS304)。一方、自車の進行先の道路の道路セグメントの測定が不要と判定した場合、測定車両200cは、道路セグメントの測定を実施しない。
【0095】
測定車両200cは、道路点検サーバ100cに対し、測定部201にて測定した結果を送信する(ステップS305)。
【0096】
以降の道路点検サーバ100cの動作は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。(ステップS006、S007)。
【0097】
以上説明したように、本実施形態の構成によっても第3の実施形態と同様に、測定車両200cから送信されるデータ量を削減することが可能となる。特に、本実施形態では、測定車両200cが自車の測定能力に基づいて、各セグメントの測定の要否を判定する構成を採っているため、測定能力情報DB120を省略できるという利点がある。さらに、さらに、測定車両200cが、自車のカメラや一部のセンサの故障等に応じて、各セグメントの測定の要否を判定することも可能となる。なお、上記した例では、道路点検サーバ100cに、道路セグメント情報配布部104が設けられているものとして説明したが、測定車両200cのカーナビケーション装置等から道路セグメント情報を取得し、測定車両200c側で、自車の進行方向上の道路セグメントを特定することでもよい。
【0098】
また、本実施形態においても、測定車両200cにおけるデータ測定を制御の対象とするものとして説明したが、測定車両200cが常時データ測定を行う構成になっている場合、データ送信を制御の対象としてもよい。この場合、測定車両200cは、自車の測定能力に基づいて、測定データの送信又は破棄を制御することになる。また、この場合においても、測定車両200cの測定能力のほか、測定時の車両の速度や前記測定車両200cの環境状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。さらに、前記測定車両200cの環境状態として、道路点検サーバ100cとの間のネットワークの帯域の状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。
【0099】
[第5の実施形態]
続いて、測定車両から道路点検サーバに対し、経路を示してまとめて測定の要否を問い合わせるようにした第5の実施形態について説明する。図17は、本発明の第5の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。図13に示した第3の実施形態との構成上の相違点は、測定車両の測定確認部205が指示要求部206に置き換わっている点と、道路点検サーバ100dの検査判定部101d及び制御部102dの動作に変更が加えられている点である。その他の構成は第3の実施形態と同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0100】
測定車両200dは、測定部201と、受信部202dと、送信部203と、指示要求部206とを備える。
【0101】
指示要求部206は、道路点検サーバ100dに対し、測定車両200dの進行経路を示す経路情報を送信し、当該進行経路上の道路セグメントの測定の要否を示す測定指示(検査指示情報)を要求する動作を行う。なお、測定車両200dの進行経路については、測定車両200dのカーナビケーション装置等から取得することができる。もちろん、測定車両200dの搭乗者等が道路点検サーバ100dから提供される地図情報などを参照して、進行経路を入力することでもよい。
【0102】
受信部202dは、道路点検サーバ100dから、測定指示を受信すると、測定部201に、前記測定指示に従った測定を指示する。
【0103】
本実施形態の道路点検サーバ100dの検査判定部101dは、道路情報DB110に保持されているデータを参照して、測定車両200dの進行経路上のすべての道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。
【0104】
制御部102dは、検査判定部101dにて検査の必要性が高いと判定された区間(道路セグメント)について、さらに測定を実施するか否かを判定し、測定車両200dに測定指示として応答する。
【0105】
測定車両200d及び道路点検サーバ100dのその他の構成は、同一の符号を付した第3の実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
【0106】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図18は、本発明の第5の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。図18を参照すると、まず、測定車両200dが、道路点検サーバ100dに対し、経路情報を送信し、進行経路上の道路の道路セグメントに対応する測定指示を要求する(ステップS400)。
【0107】
前記問い合わせを受けた道路点検サーバ100dは、道路情報DB110を参照して、測定車両200dの進行経路上の全道路セグメントについて検査の必要性を判定する(ステップS401)。
【0108】
次に、道路点検サーバ100dは、測定車両200dが、検査対象の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかにより、測定車両200dの進行経路上の全道路セグメントの測定の要否を判定する(ステップS402)。なお、問い合わせ元の測定車両200dは、問い合わせメッセージに含まれる車両IDを用いて特定することができる。問い合わせメッセージに、測定車両200dの測定能力に関する情報が含まれている場合もある。その場合、道路点検サーバ100dが、その測定能力情報を用いて、問い合わせ元の測定車両が、進行経路上の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかを判定してもよい。
【0109】
道路点検サーバ100dは、測定車両200dに対し、測定車両200dの進行経路に対応する測定指示を送信する(ステップS403)。この測定指示には、測定車両200dの進行経路上の前記道路セグメントの測定の要否を示されている。
【0110】
測定車両200dは、道路点検サーバ100dから受信した測定指示に従い、測定部201にて測定を実施し(ステップS404)、その結果を道路点検サーバ100dに送信する(ステップS405)。
【0111】
以降の道路点検サーバ100dの動作は、第3の実施形態と同様であるので説明を省略する。(ステップS006、S007)。
【0112】
以上説明したように、本実施形態によれば、測定車両から進行経路上の道路セグメントについて、まとめて測定データの要否を判定し、測定車両200dに指示する構成が得られる。これにより、第3の実施形態との比較において、道路点検サーバ100dと測定車両200d間の通信データ量をさらに削減することができる。
【0113】
また、本実施形態においても、測定車両200dにおけるデータ測定を制御の対象とするものとして説明したが、測定車両200dが常時データ測定を行う構成になっている場合、データ送信を制御の対象としてもよい。この場合、測定車両200dは経路に沿った測定データの送信又は破棄を制御することになる。また、この場合においても、測定車両200dは、測定時の車両の速度や前記測定車両200dの環境状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。さらに、前記測定車両200dの環境状態として、道路点検サーバ100dとの間のネットワークの帯域の状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。
【0114】
[第6の実施形態]
続いて、第5の実施形態において、道路点検サーバ100dに配置されていた制御部102を測定車両側に配置した第6の実施形態について説明する。図19は、本発明の第6の実施形態の道路点検システムの構成を示す図である。図17に示した第5の実施形態との構成上の相違点は、測定能力情報DB120が省略され、かつ、車両側に制御部204が配置されている点である。その他の構成は第5の実施形態と同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0115】
本実施形態の道路点検サーバ100eは、検査判定部101eと、路面検査部103とを備えている。
【0116】
検査判定部101eは、測定車両200eからの要求に応じて、道路情報DB110に保持されているデータを参照して、測定車両200eの進行経路上のすべての道路セグメント毎の検査の必要性を判定する。さらに、検査判定部101eは、測定車両200eに対し、前記判定した道路セグメント毎の検査の必要性を示した検査要否情報を送信する。第2の実施形態と同様、この検査要否情報には、検査条件記憶部130から読み出した該当道路の検査条件が含まれている。
【0117】
測定車両200eは、測定部201と、受信部202eと、送信部203と、制御部204と、指示要求部206とを備える。
【0118】
受信部202eは、道路点検サーバ100eから、道路の各道路セグメントの検査の必要性を示した検査要否情報を受信すると、制御部204に対し、検査要否情報を渡す。
【0119】
制御部204は、道路点検サーバ100eから受信した検査要否情報にて検査の必要性が高いと判定された区間(道路セグメント)について、検査条件と、自車の測定能力とを用いて、測定を実施するか否かを判定する。
【0120】
測定部201は、前記制御部204の判定結果に従い、進行経路上の道路の各道路セグメントの測定を実施する。
【0121】
測定車両200e及び道路点検サーバ100eのその他の構成は、同一の符号を付した第5の実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
【0122】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図20は、本発明の第6の実施形態の道路点検システムの動作を表したシーケンス図である。図20を参照すると、まず、測定車両200eが、道路点検サーバ100eに対し、経路情報を送信し、進行経路上の道路の道路セグメントに対応する検査要否情報を要求する(ステップS500)。
【0123】
前記検査要否情報の要求を受けた道路点検サーバ100eは、道路情報DB110を参照して、測定車両200eの進行経路上の全道路セグメントについて検査の必要性を判定する(ステップS501)。
【0124】
次に、道路点検サーバ100eは、測定車両200eに対し、測定車両200eの進行経路上の道路の各道路セグメントの検査の必要性を示す検査要否情報を通知する(ステップS502)。
【0125】
測定車両200eは、自車が進行経路上の道路に求められている検査条件を満たす測定をなしうるかどうかにより、進行経路上の全道路セグメントの測定の要否を判定する(ステップS503)。
【0126】
測定車両200eは、前記判定結果に従い、測定部201にて測定を実施し(ステップS504)、その結果を道路点検サーバ100eに送信する(ステップS505)。
【0127】
以降の道路点検サーバ100eの動作は、第5の実施形態と同様であるので説明を省略する。(ステップS006、S007)。
【0128】
以上説明したように、本実施形態の構成によっても第5の実施形態と同様に、測定車両200eから送信されるデータ量を削減することが可能となる。特に、本実施形態では、測定車両200eが自車の測定能力に基づいて、各セグメントの測定の要否を判定する構成を採っているため、測定能力情報DB120を省略できるという利点がある。さらに、測定車両200eが、自車のカメラや一部のセンサの故障等に応じて、各セグメントの測定の要否を判定することも可能となる。
【0129】
また、本実施形態においても、測定車両200eにおけるデータ測定を制御の対象とするものとして説明したが、測定車両200eが常時データ測定を行う構成になっている場合、データ送信を制御の対象としてもよい。この場合、測定車両200eは、自車の測定能力に基づいて、経路に沿った測定データの送信又は破棄を制御することになる。また、この場合においても、測定車両200eが、測定時の車両の速度や前記測定車両200eの環境状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。さらに、前記測定車両200eの環境状態として、道路点検サーバ100eとの間のネットワークの帯域の状態を考慮に入れて、データ送信を行うか否かを決めても良い。
【0130】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したシステムの構成、各要素の構成、データの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0131】
また、上記した第1~第6の実施形態に示した手順は、道路点検システムを構成する各装置として機能するコンピュータ(図24の9000)に、これらの装置としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、図24のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、図24のCPU9010にて、検査必要性判定処理プログラムや測定制御プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメーターの更新処理を実施させればよい。
【0132】
即ち、上記した第1~第6の実施形態に示した各装置の各部(処理手段、機能)は、これらの装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0133】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による道路点検システム参照)
[第2の形態]
上記した道路点検システムの前記検査判定部は、前記道路セグメント毎の過去の検査履歴をもとに前記判定を実施する構成を採ることができる。
[第3の形態]
前記道路セグメントは、前記測定データの測定単位に基づき前記道路を分割した単位とすることができる。
[第4の形態]
前記道路セグメントは、前記道路の検査条件に基づき前記道路を分割した単位とすることができる。
[第5の形態]
前記測定車両は、
前記道路セグメント毎の路面状態の測定を実施可能な測定部と、
前記検査判定部を備える所定のサーバに対し、前記測定車両が走行する予定または走行中の前記道路セグメントについて前記検査の必要性を問い合わせる検査確認部と、
前記測定により得られた測定データの送信可能な送信部と、
を備え、
前記問い合わせに対する前記制御部からの応答に従い、前記測定部は前記走行する予定または走行中の前記道路セグメントについての測定を制御する、又は、前記送信部は該測定により得られた測定データの送信を制御する構成を採ることができる。
[第6の形態]
前記検査確認部は、前記測定車両の位置情報及び前記道路セグメントの地理的所在を示す道路セグメント情報をもとに、前記測定車両が走行する予定または走行中の前記道路セグメントを特定し、該特定した前記道路セグメントについて前記検査の必要性を前記サーバに問い合わせる構成を採ることができる。
[第7の形態]
上記した道路点検システムにおいて、
前記制御部が前記測定車両に配置され、
前記制御部は、前記道路セグメント毎の前記検査の必要性を示す検査要否情報を保持し、該検査要否情報と前記測定車両の位置情報とに基づいて、前記測定車両による前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御する構成を採ることができる。
[第8の形態]
上記した道路点検システムにおいて、
前記検査判定部を備える所定のサーバは、特定周期、特定時刻、前記検査履歴が更新されたタイミング、前記測定車両から要求があったタイミング、前記測定車両の位置情報、の少なくともいずれかに基づき、前記測定車両に対し、前記検査要否情報を送信する構成を採ることができる。
[第9の形態]
上記した道路点検システムにおいて、
前記制御部は、前記測定車両の測定能力、前記測定車両の速度または前記測定車両の環境状態の少なくともいずれかに基づいて、前記測定車両が前記道路セグメントについて定められた品質要求レベルを満たすことができるか否かにより、前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御する構成を採ることができる。
[第10の形態]
上記した道路点検システムにおいて、
前記品質要求レベルは、前記道路セグメントの重要度、前記路面検査部による検査の合否判定基準、の少なくともいずれかに基づき設定することができる。
[第11の形態]
上記した道路点検システムにおいて、
上記した道路点検システムの前記検査判定部は、前記測定車両からの問い合わせに応じ、前記測定車両の走行経路上の前記道路セグメント毎に検査の必要性を判定し、
前記制御部は、前記検査の必要性に基づいて、前記測定車両の走行経路上の前記道路セグメント毎の前記路面状態の測定又は該測定により得られた測定データの送信を制御する構成を採ることができる。
[第12の形態]
(上記第2の視点による測定車両又はサーバ参照)
[第13の形態]
(上記第3の視点による道路点検方法参照)
[第14の形態]
(上記第4の視点によるプログラム参照)
なお、上記第12~第14の形態は、第1の形態と同様に、第2~第11の形態に展開することが可能である。
【0134】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0135】
10、10a 道路点検システム
11、101、101a~101e 検査判定部
12、22、102、102b、102d、204 制御部
13、103 路面検査部
20、20A、20B、200、200a~200e 測定車両
100、100a~100e 道路点検サーバ
110 道路情報データベース(道路情報DB)
120 測定能力情報データベース(測定能力情報DB)
130 検査条件記憶部
101 検査判定部
201 測定部
202、202a~202e 受信部
203 送信部
205 測定確認部
206 指示要求部
207 検査確認部
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インターフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
図1
図2
図3
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