(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】無線中継装置および生体情報/医療情報管理システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241112BHJP
G06F 21/35 20130101ALI20241112BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
G06F21/35
G06F21/32
(21)【出願番号】P 2023525426
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2022013022
(87)【国際公開番号】W WO2022254887
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021090862
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】古久保 昌志
(72)【発明者】
【氏名】金尾 政明
(72)【発明者】
【氏名】田中 功二
(72)【発明者】
【氏名】土基 博史
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122426(JP,A)
【文献】特開2013-223221(JP,A)
【文献】特開2003-143130(JP,A)
【文献】特開2014-120173(JP,A)
【文献】特開2018-149091(JP,A)
【文献】特開2008-172635(JP,A)
【文献】特開2016-076043(JP,A)
【文献】国際公開第2010/134543(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
G06F 21/35
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に装着されて使用される生体情報センサからの生体情報を受信可能な第1通信部と、使用者に装着されて使用される医療機器からの医療情報を受信可能な第2通信部と、の少なくとも1つを備える通信部と、前記第1通信部で受信した生体情報と前記第2通信部で受信した医療情報との少なくとも一方を、サーバ装置へ送信する第3通信部と、
IDを有するデバイスを保持でき、外表面に透明部材または開口を含むカード保持機構と、
前記通信部および前記第3通信部を制御し、前記IDの認証に基づき前記第3通信部から前記生体情報および前記医療情報の少なくとも一方を前記サーバ装置へ送信する制御部と、
内部に、前記IDを有するデバイスと近距離通信を行うためのアンテナと、回路基板と、を有し、外表面に前記カード保持機構を有する筐体と、
を備え、
前記アンテナは、前記筐体の内部において前記回路基板の前記透明部材側または前記開口側に配置されるか、もしくは前記筐体の内部を構成する内面のうち前記透明部材側または前記開口側に固定され、平面視したときに前記透明部材もしくは前記開口と重な
り、
前記制御部は、
前記カード保持機構から前記IDを有するデバイスの着脱を検出可能であり、
前記IDを有するデバイスが前記カード保持機構から取り外されたことを検出した場合、前記第1通信部、前記第2通信部および前記第3通信部の通信を停止する、
無線中継装置。
【請求項2】
使用者に装着されて使用される生体情報センサからの生体情報を受信可能な第1通信部と、使用者に装着されて使用される医療機器からの医療情報を受信可能な第2通信部と、の少なくとも1つを備える通信部と、前記第1通信部で受信した生体情報と前記第2通信部で受信した医療情報との少なくとも一方を、サーバ装置へ送信する第3通信部と、
IDを有するデバイスを保持でき、外表面に透明部材または開口を含むカード保持機構と、
前記通信部および前記第3通信部を制御し、前記IDの認証に基づき前記第3通信部から前記生体情報および前記医療情報の少なくとも一方を前記サーバ装置へ送信する制御部と、
内部に、前記IDを有するデバイスと近距離通信を行うためのアンテナと、回路基板と、を有し、外表面に前記カード保持機構を有する筐体と、
を備え
る無線中継装置であって、
前記アンテナは、前記筐体の内部において前記回路基板の前記透明部材側または前記開口側に配置されるか、もしくは前記筐体の内部を構成する内面のうち前記透明部材側または前記開口側に固定され、平面視したときに前記透明部材もしくは前記開口と重な
り、
前記カード保持機構は、前記無線中継装置の電源をON/OFFするスイッチを備え、
前記スイッチは、前記IDを有するデバイスが前記カード保持機構に保持される際に押圧される位置に配置される、
無線中継装置。
【請求項3】
前記カード保持機構は、使用者と前記カード保持機構とを固定する部材を含む、請求項1
または2に記載の無線中継装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記IDの認証がなされている場合に、前記生体情報および前記医療情報の少なくとも一方と、前記IDとを関連付けて、前記サーバ装置に送信する、請求項1
~3のいずれか1項に記載の無線中継装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記IDの認証を繰り返し行う、請求項1~
4のいずれか1項に記載の無線中継装置。
【請求項6】
前記IDの認証の結果を通知する通知デバイスを更に備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載の無線中継装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記IDを有するデバイスが前記カード保持機構から取り外されたことを検出した後、前記IDを有するデバイスが前記カード保持機構の取り付けを検出するまで、前記第1通信部、前記第2通信部および前記第3通信部の通信の停止を維持する、請求項
1~6のいずれか1項に記載の無線中継装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1通信部、前記第2通信部および前記第3通信部の少なくとも一つが通信を行う前に前記IDに基づく認証を行い、認証が成功しない場合は通信を停止する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の無線中継装置。
【請求項9】
前記制御部は、認証する前記IDを、前記医療機器との通信を許可しない第1IDと、前記生体情報センサとの通信を許可しない第2IDと、に分類可能である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の無線中継装置。
【請求項10】
使用者に装着されて使用され、使用者の生体情報を測定する生体情報センサ、または、使用者に装着されて使用され、使用者の生体情報を監視して使用者に医療を行う医療機器と、
サーバ装置と、
前記生体情報センサからの生体情報および前記医療機器からの医療情報の少なくとも一方を、前記サーバ装置へ無線で中継する請求項1~
9のいずれか1項に記載の無線中継装置と、
を備える、生体情報/医療情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報または医療情報を無線で中継する無線中継装置、および生体情報/医療情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者に装着されて使用されるウェアラブル型の生体情報センサからの生体情報、または、使用者に装着されて使用されるウェアラブル型の医療機器からの医療情報を、サーバ装置へ無線で中継する技術が知られている。このような生体情報センサとしては、使用者の生体情報(バイタル情報、バイタルサイン)を測定するセンサが挙げられる。また、このような医療機器としては、使用者の生体情報を監視して使用者に医療を行う機器、例えば、心臓の徐脈性不整脈を監視して補整を行うペースメーカ、または、血糖値の変動を監視してインスリンの投与を行う血糖値センサ(Continuous Glucose Sensor:CGS)、が挙げられる。医療情報としては、使用者に行った医療に関する情報、例えば、補整の回数(不整脈の回数)、または、インスリンの投与の回数(血糖値の異常の回数)、が挙げられる。
【0003】
このような技術に関し、特許文献1には、生体情報管理システムが開示されている。この生体情報管理システムは、生体情報を収集するセンサと、携帯電話(無線中継装置に相当)と、データセンタとを備える。携帯電話は、センサと無線通信を行うことによって、センサから生体情報を受信し、生体情報を携帯電話の固有情報(例えば、電話番号)とともにデータセンタに送信する。すなわち、携帯電話は、センサからの生体情報をデータセンタに無線で中継する。また、携帯電話は、携帯電話の固有情報を用いて、センサと携帯電話との無線通信の認証を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話の固有情報は、必ずしも使用者の個人情報と一致しない。そのため、特許文献1に記載のように、携帯電話(無線中継装置に相当)の固有情報を用いて、センサと携帯電話との無線通信の認証を行うだけでは、セキュリティ性が十分とは言えない。
【0006】
本発明は、セキュリティ性を向上する無線中継装置および生体情報/医療情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無線中継装置は、使用者に装着されて使用される生体情報センサからの生体情報を受信可能な第1通信部と、使用者に装着されて使用される医療機器からの医療情報を受信可能な第2通信部と、前記第1通信部で受信した生体情報と前記第2通信部で受信した医療情報との少なくとも一方を、サーバ装置へ送信する第3通信部と、前記第1通信部、前記第2通信部および前記第3通信部を制御する制御部と、IDを有するデバイスを保持できる保持機構とを備え、前記制御部は、前記IDに基づいて認証を行い、認証が成功したら、前記第3通信部から前記生体情報および前記医療情報の少なくとも一方を前記サーバ装置へ送信する。
【0008】
本発明に係る生体情報/医療情報管理システムは、使用者に装着されて使用され、使用者の生体情報を測定する生体情報センサ、または、使用者に装着されて使用され、使用者の生体情報を監視して使用者に医療を行う医療機器と、サーバ装置と、前記生体情報センサからの生体情報および前記医療機器からの医療情報の少なくとも一方を、前記サーバ装置へ無線で中継する上記の無線中継装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生体情報または医療情報を無線で中継する無線中継装置、および生体情報/医療情報管理システムにおいて、セキュリティ性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る生体情報/医療情報管理システムを示す図である。
【
図2】本実施形態に係る無線中継装置を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る無線中継装置の表側外観図である。
【
図4】本実施形態に係る無線中継装置の裏側外観図である。
【
図5】
図3に示す無線中継装置のV-V線断面図である。
【
図6】本実施形態の変形例に係る無線中継装置の裏側外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0012】
(第1実施形態)
<生体情報/医療情報管理システム>
図1は、本実施形態に係る生体情報/医療情報管理システムを示す図である。
図1に示す生体情報/医療情報管理システム1は、生体情報センサ10および医療機器12のうちの少なくとも1つを備える。すなわち、生体情報/医療情報管理システム1は、1または複数の生体情報センサ10を備えていてもよいし、1または複数の医療機器12を備えていてもよいし、或いは1または複数の生体情報センサ10と1または複数の医療機器12とを備えていてもよい。また、生体情報/医療情報管理システム1は、無線中継装置20とサーバ装置30とを備える。
【0013】
生体情報/医療情報管理システム1は、生体情報センサ10によって測定された使用者の生体情報を、無線中継装置20によって中継し、サーバ装置30によって管理する。また、生体情報/医療情報管理システム1は、医療機器12によって使用者に行われた医療に関する医療情報を、無線中継装置20によって中継し、サーバ装置30によって管理する。
【0014】
生体情報センサ10は、使用者に装着されて使用されるウェアラブル型のセンサである。生体情報センサ10は、使用者の生体情報(バイタル情報、バイタルサイン)を測定する。生体情報センサ10は、測定した生体情報を、認証された無線中継装置20に対して送信する。
【0015】
このような生体情報センサ10としては、深部体温、脈拍、血中酸素飽和度(SpO2)、心電図(ECG)等の生体情報を測定するセンサが挙げられる。
【0016】
医療機器12は、使用者に装着されて使用されるウェアラブル型の機器である。医療機器12は、使用者の生体情報を監視して、使用者に医療を行う。医療機器12は、使用者に行った医療に関する医療情報を、認証された無線中継装置20に対して送信する。
【0017】
このような医療機器12としては、ペースメーカ、血糖値センサ(Continuous Glucose Sensor:CGS)等が挙げられる。ペースメーカは、使用者に装着されて、心臓の徐脈性不整脈を監視して補整を行う。ペースメーカからの医療情報としては、不整脈の回数、すなわち補整の回数が挙げられる。血糖値センサは、使用者に装着されて、血糖値の変動を監視して、インスリンの投与を行う。血糖値センサからの医療情報としては、血糖値の異常の回数、すなわちインスリンの投与の回数が挙げられる。
【0018】
生体情報または医療情報は、使用者のIDカードの識別情報または医療機器のID情報を含んでもよい。さらに、生体情報センサ10は、生体情報に加えて、温度または照度等の環境情報を送信してもよい。また、医療機器12は、医療情報に加えて、温度または照度等の環境情報を送信してもよい。IDカードに限定はされず、IDを備えるほかのデバイス(タグなど)でも良い。
【0019】
無線中継装置20は、1または複数の生体情報センサ10および/または1または複数の医療機器12と、サーバ装置30とを無線で中継する装置である。無線中継装置20は、認証された生体情報センサ10から生体情報を受信する。また、無線中継装置20は、認証された医療機器12から医療情報を受信する。無線中継装置20は、受信した生体情報および/または医療情報を、ネットワーク5を介してサーバ装置30に送信する。
【0020】
また、無線中継装置20は、IDカードにおける個人識別情報に基づいて、使用者の個人認証を行い、個人認証がなされている場合に、生体情報および/または医療情報の中継を行う。このとき、無線中継装置20は、生体情報および/または医療情報と、IDカードにおける個人識別情報とを関連付けて、サーバ装置30に送信する。無線中継装置20の詳細は後述する。
【0021】
サーバ装置30としては、PC、大型コンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。サーバ装置30は、ネットワーク5を介して無線中継装置20から、生体情報および個人識別情報、および/または、医療情報および個人識別情報を受信する。サーバ装置30は、受信した生体情報および個人識別情報、および/または、医療情報および個人識別情報を保存する。サーバ装置30は、遠隔医療を行う医師、または使用者本人の要求(例えば、個人識別情報の入力)に応じて、生体情報および/または機器情報を提供(例えば、表示)する。
【0022】
生体情報センサ10または医療機器12と無線中継装置20との通信規格としては、特に限定されないが、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)等の所謂近距離の無線通信規格が挙げられる。また、無線中継装置20とサーバ装置30との通信規格としては、特に限定されないが、例えばアクセスポイントAPおよびネットワーク5を介して行う、無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)、3Gまたは5G等の無線通信規格が挙げられる。
【0023】
<<無線中継装置>>
以下では、無線中継装置20について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る無線中継装置を示す図である。
図2に示す無線中継装置20は、通信部21,22,23と、制御部24と、記憶部26と、操作部28と、表示部29とを備える。
【0024】
通信部21は、生体情報センサ10または医療機器12と無線通信を行う。通信部21は、生体情報センサ10からの生体情報を受信可能な第1通信部として機能する。或いは、通信部21は、医療機器12からの医療情報を受信可能な第2通信部として機能する。通信部21は、BluetoothまたはWi-Fi等の所謂近距離の通信規格に従うインタフェースである。
【0025】
通信部22は、IDカードと無線通信を行う。通信部22は、NFC(Near Field Communication)等の所謂非接触ICカードの通信規格に従うインタフェースである。通信部22は接触型のICカードの通信規格に従うインタフェースであってもよい。
【0026】
通信部23は、例えばアクセスポイントAPおよびネットワーク5を介して、サーバ装置30と通信を行う。通信部23は、通信部21で受信した生体情報または医療情報をサーバ装置30へ送信する第3通信部として機能する。通信部23は、無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)、3Gまたは5G等の通信規格に従って無線通信を行うインタフェースである。
【0027】
制御部24は、これらの通信部21,22,23を制御する。
制御部24は、通信部22を介して、IDカード(IDを有するデバイス)における個人識別情報(ID)を読み取り、読み取った個人識別情報に基づいて、使用者の個人認証を行う。例えば、制御部24は、読み取った個人識別情報と、予め登録されている個人識別情報とを比較する。制御部24は、この個人認証を、定期的にまたは不定期に繰り返し継続して行う。
【0028】
制御部24は、個人認証がなされている場合に、通信部21を介して、通信規格に従って、生体情報センサ10または医療機器12と接続を行う。例えば、制御部24は、予め登録されているセンサ識別情報または機器識別情報に基づいて接続を行う。
【0029】
制御部24は、個人認証がなされており、接続されている場合に(認証が成功したら)、生体情報センサ10からの生体情報、または、医療機器12からの医療情報を、サーバ装置30へ無線で中継する。このとき、制御部24は、生体情報または医療情報と、IDカードから読み取った個人識別情報とを関連付けて、サーバ装置30に送信する。
【0030】
ID認証を行うフローチャートを
図7に示す。無線中継装置20は、生体情報センサ10または医療機器12を検出した場合(S11、S21)、ID認証を行う(S12、S22)。ID認証に成功しなかった場合(S13、S23)、無線中継装置20は、通信を終了する(S16、S26)。ID認証に成功した場合(S13、S23)、無線中継装置20は、生体情報センサ10または医療機器12からデータを受信し(S14、S24)、受信したデータを記憶し(S15、S25)、通信を終了する(S16、S26)。
【0031】
その後、無線中継装置20は、再びID認証を行い(S31)、ID認証に成功した場合(S32)、サーバ装置30へ記憶したデータを送信し(S33)、通信を終了する(S34)。なお、ID認証に成功しなかった場合(S32)、無線中継装置20は、通信を終了する(S34)。このように、通信の度にID認証を行うことにより、セキュリティを向上することができる。
【0032】
なお、実施例では、無線中継装置20は、ID認証が成功した場合に通信を可能としたが、これに限定されず、無線中継装置20は、IDによって通信に制限をかけてもよい。例えば、無線中継装置20(制御部24)は、認証するIDを、医療機器12との通信を許可しない第1IDと、生体情報センサ10との通信を許可しない第2IDとに分類可能であってもよい。例えば、認証に成功したIDが、医療機器12との通信を許可しない第1IDの場合、無線中継装置20(制御部24)は、ID認証に成功した場合であっても、医療機器12との通信を許可しない。同様に、認証に成功したIDが、生体情報センサ10との通信を許可しない第2IDの場合、無線中継装置20(制御部24)は、ID認証に成功した場合であっても、生体情報センサ10との通信を許可しない。上記のように階層を設けることにより、セキュリティをさらに向上できる。
【0033】
また、制御部24は、カード保持機構230からIDカードの着脱を検出可能であり、IDカードがカード保持機構230から取り外されたことを検出した場合、通信部21および通信部33の通信を停止してもよい。また、制御部24は、IDカードがカード保持機構230から取り外されたことを検出した後、IDカードがカード保持機構230の取り付けを検出するまで、通信部21および通信部23の通信の停止を維持してもよい。
【0034】
制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部24の各種機能は、例えば記憶部26に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)40に記録されて提供されてもよい。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。
【0035】
記憶部26は、個人認証のために予め登録された使用者の個人識別情報を記憶する。また、記憶部26は、生体情報センサ10との接続のために予め登録された生体情報センサのセンサ識別情報を記憶する。また、記憶部26は、医療機器12との接続のために予め登録された医療機器の機器識別情報を記憶する。また、記憶部26は、IDカードから読み取った個人識別情報を記憶してもよい。
【0036】
また、記憶部26は、制御部24により実行されるプログラム(アプリケーション)を記憶する。記憶部26は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。
【0037】
操作部28は、使用者が操作を行う操作部である。操作部28は、例えば物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等、で構成される。
【0038】
表示部29は、使用者に情報を通知する通知部である。表示部29は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成される。なお、通知部はこれに限定されず、ブザー等の音で通知するスピーカ、発光、点滅または色等の光で通知するLED等の発光素子、等であってもよい。
【0039】
次に、無線中継装置20の物理的な構成について詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る無線中継装置の表側外観図であり、
図4は、本実施形態に係る無線中継装置の裏側外観図である。
図5は、
図3に示す無線中継装置のV-V線断面図である。
図3~
図5に示すように、無線中継装置20は、カードフォルダ型の形状、より具体的にはネームフォルダ型の形状を有するウェアラブル型の装置である。無線中継装置20は、筐体210と、使用者保持機構220と、カード保持機構230とを備える。なお、使用者保持機構220とカード保持機構230とは、ともに保持機構とも称する。
【0040】
図3および
図4に示すように、筐体210は、外部に、使用者保持機構220およびカード保持機構230を有する。具体的には、筐体210は、上部に使用者保持機構220を有し、表側の外表面にカード保持機構230を有する。
【0041】
また、
図5に示すように、筐体210は、内部に、回路基板212とNFCアンテナ214とを有する。回路基板212には、上述した制御部24の各種機能を実現する電子部品(演算プロセッサ)、上述した記憶部26としての電子部品(メモリ等)、上述した通信部21,22,23としての電子部品(インタフェース)、上述した操作部28としての電子部品、上述した表示部29としての電子部品等が搭載される。
【0042】
NFCアンテナ214は、IDカードと近距離通信を行い、IDカードにおける個人識別情報を読み取るためのアンテナである。NFCアンテナ214は、筐体210の内部において回路基板212のカード保持機構230側に配置されている。NFCアンテナ214は、筐体210の内部を構成する内面のうちカード保持機構側に固定されていてもよいし、回路基板212に固定されていてもよい。
【0043】
なお、
図5では、生体情報センサ10または医療機器12と通信を行うアンテナ、および、アクセスポイントAPと通信を行うアンテナは省略されている。
【0044】
図3および
図4に示すように、使用者保持機構220は、使用者によって保持されるための機構である。使用者保持機構220は、使用者とカード保持機構230とを固定する部材として機能する。例えば、使用者保持機構220は、使用者に装着されるための使用者装着機構222を含み、使用者装着機構222と嵌合する形状を有する。使用者装着機構222としては、ネックストラップ、フック等が挙げられ、使用者保持機構220としては、嵌合孔が挙げられる。
【0045】
これにより、無線中継装置20をウェアラブル型とすることができる。そのため、使用者は、無線中継装置20を常時身に付けることができ、ウェアラブル型の生体情報センサ10からの生体情報、または、ウェアラブル型の医療機器12からの医療情報を、サーバ装置30へ連続的に中継することができる。
【0046】
なお、使用者保持機構220は、使用者に装着されるウェアラブル型の機構に限定されず、使用者によって保持されるポータブル型の機構であってもよい。この場合、使用者保持機構220は備えなくてもよい。
【0047】
図3および
図5に示すように、カード保持機構230は、IDカードを挿入し、保持する。カード保持機構230は、IDカードを挿入可能なカードケースとして機能する。例えば、カード保持機構230は、横方向または上方向からIDカードを挿入可能に形成されている。また、カード保持機構230の外表面は、透明部材232または開口234を含む。
【0048】
これにより、無線中継装置20をカードフォルダ型とすることができる。そのため、使用者は、IDカードを常時保持することができ、個人認証を連続的に行うことができる。また、IDカードを目視でき、無線中継装置20をネームフォルダとして機能させることができる。
【0049】
なお、カード保持機構230は、無線中継装置20の電源をON/OFFするスイッチを備えていてもよい。スイッチは、IDカードがカード保持機構230に保持される際に押圧される位置に配置されてもよい。
【0050】
また、無線中継装置20は、通知デバイス240、表示デバイス242、操作ボタン244を備えていてもよい。
【0051】
図3に示すように、通知デバイス240は、筐体210の表側に設けられ、個人認証の結果を通知する。通知デバイス240は、上述した表示部(通知部)29の一例であり、例えば、発光、点滅または色等の光で通知するLED等の発光素子で構成される。
【0052】
図4に示すように、表示デバイス242は、筐体210の裏側に設けられ、通信状態等の種々の情報を表示する。表示デバイス242は、上述した表示部(通知部)29の一例であり、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成される。
【0053】
図4に示すように、操作ボタン244は、筐体210の裏側に設けられ、ペアリング等の種々の操作を行う操作部である。操作ボタン244は、上述した操作部28の一例であり、例えば物理的な操作ボタンで構成される。
【0054】
また、無線中継装置20は、ブザー250、エラー通知デバイス252を備えていてもよい。また、無線中継装置20は、バッテリを備えており、充電コネクタ254、充電状態通知デバイス256を備えていてもよい。
【0055】
図4に示すように、ブザー250は、筐体210の裏側に設けられ、異常時のアラーム等の種々の情報を通知する。ブザー250は、上述した表示部(通知部)29の一例である。
【0056】
図4に示すように、エラー通知デバイス252は、筐体210の裏側に設けられ、種々のエラーを通知する。エラー通知デバイス252は、上述した表示部(通知部)29の一例であり、例えば、発光、点滅または色等の光で通知するLED等の発光素子で構成される。
【0057】
図4に示すように、充電コネクタ254は、筐体210の横側に設けられ、充電のためのコネクタである。
【0058】
図4に示すように、充電状態通知デバイス256は、筐体210の裏側に設けられ、充電状態を通知する。充電状態通知デバイス256は、上述した表示部(通知部)29の一例であり、例えば、発光、点滅または色等の光で通知するLED等の発光素子で構成される。
【0059】
次に、上述した無線中継装置20による個人認証動作および中継動作について説明する。
【0060】
(個人認証動作)
まず、使用者は、使用者保持機構220および使用者装着機構222を利用して無線中継装置20を装着し、カード保持機構230にIDカードをセットする。すると、無線中継装置20は、IDカードの個人識別情報を読み取り、使用者の個人認証を行う。このとき、無線中継装置20は、例えば、予め登録されている使用者の個人識別情報に基づいて、個人認証を行う。無線中継装置20は、この個人認証動作を定期的に繰り返し継続して行う。
【0061】
(中継動作)
個人認証がなされている場合、無線中継装置20は、BluetoothまたはWi-Fi等の通信規格に従って、生体情報センサ10または医療機器12と接続を行う。このとき、無線中継装置20は、例えば、予め登録されているセンサ識別情報または機器識別情報に基づいて、接続を行う。
【0062】
接続が行われると、無線中継装置20は、生体情報センサ10からの生体情報、または、医療機器12からの医療情報を、サーバ装置30へ中継する。このとき、無線中継装置20は、生体情報または医療情報と、IDカードから読み取った個人識別情報とを関連付けて、送信する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の無線中継装置20によれば、IDカードにおける個人識別情報に基づいて、使用者の個人認証を行い、個人認証がなされている場合に、生体情報または医療情報の中継を行う。これにより、使用者を確認し、生体情報または医療情報に対する使用者の個人情報の取り違えを防止することができ、セキュリティ性を向上することができる。
【0064】
ここで、セキュリティ性の観点で、特許文献1に使用者の個人認証の機能を追加する場合、以下の手法が考えられる。
・キーボード等の入力デバイスおよびディスプレイ等の表示デバイスを用いたパスワードによる個人認証、
・指紋センサを用いた個人認証、または
・カメラを用いた個人認証、等。
【0065】
しかし、これらの個人認証では、キーボード等の入力デバイスおよびディスプレイ等の表示デバイス、指紋センサ、カメラ等のインタフェースが必要である。これらのインタフェースにより、無線中継装置の小型化、薄型化、低消費電力化、低コスト化が困難である。
【0066】
この点に関し、本実施形態の無線中継装置20によれば、使用者は、IDカードを挿入するだけという容易な操作で、個人認証が可能である。より詳説すれば、無線中継装置20は、パスワードによる個人認証も行わない。これにより、個人認証のために、キーボード等の入力デバイスおよびディスプレイ等の表示デバイス、指紋センサ、カメラ等のインタフェースを、省略することができる、或いは最小限の大きさにすることできる。その結果、無線中継装置20の小型化、薄型化、低消費電力化、低コスト化が可能である。
【0067】
また、本実施形態の無線中継装置20によれば、使用者保持機構220を備えたウェアラブル型であり、カード保持機構230を備えたカードフォルダ型、より具体的にはネームフォルダ型である。これにより、使用者は、IDカードを常時保持することができ、個人認証を連続的に行うことができる。また、使用者は、無線中継装置を常時身に付けることができ、ウェアラブル型の生体情報センサ10からの生体情報、または、ウェアラブル型の医療機器12からの医療情報を、サーバ装置30へ連続的に中継することができる。
【0068】
ここで、例えば、特許文献1に記載のように、携帯電話では、使用者が携帯電話から離れると、通信の認証ができなくなり、中継ができなくなる。
【0069】
この点に関し、本実施形態の無線中継装置20によれば、IDカードが常時カード保持機構230内に差し込まれ、無線中継装置20が使用者によって保持される。そのため、使用者の個人認証を定期的に繰り返し継続して行うことができ、生体情報の中継を連続して行うことができる。
【0070】
また、本実施形態の無線中継装置20によれば、個人認証を定期的に繰り返し継続して行うので、セキュリティ性を高めることができる。例えば、途中でIDカードが差し替えられた場合に検知することができる。
【0071】
また、本実施形態の無線中継装置20によれば、個人認証の結果を通知する通知デバイス240を備えるので、個人認証の結果を視覚的に確認することができる。
【0072】
また、本実施形態の無線中継装置20によれば、IDカードと近距離通信を行うためのNFCアンテナ214は、筐体210の内部において回路基板212のカード保持機構230側に配置されている。NFCアンテナ214とカード保持機構230との間には、回路基板212および金属部品が配置されていないと好ましい。これにより、NFCアンテナ214とIDカードとの通信距離を近接することができ、IDカードの個人識別情報を読み取るための送信信号のパワーを低減することができる。そのため、無線中継装置20の低消費電力化が可能となる。また、NFCアンテナ214の小型薄型化が可能であり、筐体210内のレイアウトの自由度が向上し、その結果、無線中継装置20の小型化が可能となる。また、離れた場所の他のIDカードなどとの誤接続を低減することができ、セキュリティ性が向上する。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更、変形および組み合わせが可能である。例えば、上述した実施形態では、IDカードの個人識別情報に基づいて、使用者の個人認証を行う無線中継装置20を例示した。すなわち、キーボード等の入力デバイスおよびディスプレイ等の表示デバイス、指紋センサ、カメラ等のインタフェースを、省略した、或いは最小限の大きさにした無線中継装置20を例示した。しかし、本発明に係る無線中継装置はこれに限定されず、キーボード等の入力デバイスおよびディスプレイ等の表示デバイスを備えてもよい。
【0074】
図6は、上述した実施形態の変形例に係る無線中継装置の裏側外観図である。
図6に示すように、変形例の無線中継装置20は、操作デバイス244と表示デバイス242とを備える。操作デバイス244は、使用者が操作を行う操作部28の一例である。操作デバイス244は、例えば物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等、で構成される。表示デバイス242は、使用者に情報を通知する通知部29の一例である。表示デバイス242は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成される。
【0075】
この変形例の無線中継装置20によれば、IDカードの個人識別情報に基づく使用者の個人認証に加えて、操作デバイス244および表示デバイス242を利用したパスワードによる第2の個人認証を行ってもよい。これによれば、セキュリティ性を更に向上することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 生体情報/医療情報管理システム
5 ネットワーク
10 生体情報センサ
12 医療機器
20 無線中継装置
21,22,23 通信部
24 制御部
26 記憶部
28 操作部
29 表示部(通知部)
30 サーバ装置
40 記録媒体
210 筐体
212 回路基板
214 NFCアンテナ
220 使用者保持機構
222 使用者装着機構
230 カード保持機構
232 透明部材
234 開口
240 通知デバイス
242 表示デバイス
244 操作ボタン
250 ブザー
252 エラー通知デバイス
254 充電コネクタ
256 充電状態通知デバイス
AP アクセスポイント