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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/06 20060101AFI20241112BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B65G1/06 M
B65G1/00 501H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023531709
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 JP2022021077
(87)【国際公開番号】W WO2023276490
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2021107618
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】大前 剛
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-017009(JP,A)
【文献】特開2001-270607(JP,A)
【文献】特開平10-273204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/06
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収納する複数の上段側の棚段と下段側の段とを有する第1のラックと、
前記上段側の棚段と前記下段側の段との間で荷物を昇降搬送する昇降搬送装置と、
前記複数の上段側の棚段の内の1段の棚段に隣接して配置され、前記1段の棚段に沿って走行し、前記1段の棚段の荷物を入庫または出庫するシャトル台車と、
前記下段側の段に、または、前記下段側の段に沿って配置されたピッキングステーションと、
前記下段側の段に隣接して配置され、前記シャトル台車の走行経路と平行に、かつ、前記下段側の段に沿って走行し、前記ピッキングステーションに荷物の搬入または搬出を行う、複数のリニアモータ台車と、
前記リニアモータ台車の走行する周回軌道であって、第1の直線部分と、第2の直線部分と、前記第1の直線部分と前記第2の直線部分の間に接続された曲線部分とを有する周回軌道と、
前記第1のラックとは別の、荷物を収納する複数の棚段を有する第2のラックと、
を備え
前記第1のラックの複数の段のうちの下段側の段は、前記周回軌道の第1の直線部分に隣接して配置され、
前記第2のラックの複数の段のうちの下段側の段は、前記周回軌道の第2の直線部分に隣接して配置されており、
前記リニアモータ台車は、前記周回軌道上を一方向に走行する、
ピッキングシステム。
【請求項2】
前記第1、及び第2のラックとは別の、荷物を収納する複数の棚段を有する第のラックをさらに備え、
前記第3のラックは、前記第1のラックの前記第1の直線部分とは反対側に設置され、
前記第のラックは、前記第1のラックと、前記昇降搬送装置を共用する、
請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
荷物を収納する複数の上段側の棚段と下段側の段とを有する第1のラックと、
前記上段側の棚段と前記下段側の段との間で荷物を昇降搬送する昇降搬送装置と、
前記複数の上段側の棚段の内の1段の棚段に隣接して配置され、前記1段の棚段に沿って走行し、前記1段の棚段の荷物を入庫または出庫するシャトル台車と、
前記下段側の段に、または、前記下段側の段に沿って配置されたピッキングステーションと、
前記下段側の段に隣接して配置され、前記シャトル台車の走行経路と平行に、かつ、前記下段側の段に沿って走行し、前記ピッキングステーションに荷物の搬入または搬出を行う、複数のリニアモータ台車と、
前記リニア台車の走行する直線軌道と、
前記第1のラックとは別の、荷物を収納する複数の棚段を有する第4のラックを備え、
を備え
前記第1のラックは、前記直線軌道に隣接して配置され、
前記第4のラックは、前記第1のラックの前記直線軌道とは反対側に設置され、
前記第4のラックは、前記第1のラックと、前記昇降搬送装置を共用し、
前記リニアモータ台車は、前記直線軌道上を、双方向に移動可能である、
ピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラックとピッキングステーションとの間で荷物の搬出入を行うピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を保管するラックの複数の棚段の各段に対応して、荷物を搬送する搬送車を設けた自動倉庫が知られている。特許文献1は、ピッキングステーションに接続する下段側に複数の搬送車を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2012/032866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラックの複数の棚段の内の下段側では、ピッキングステーションと接続するため、多数の荷物の搬送を行う必要がある。そのため、上段側と同程度の性能の搬送車が用いられていると、能力が不足し、荷物の搬送のボトルネックになり、十分な量の荷物の搬送をできなくなることがあった。
【0005】
本発明の目的は、下段側の搬送車のスピードを高め、ピッキングステーションへの多数の荷物の搬出入を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本開示のピッキングシステムは、
荷物を収納する複数の上段側の棚段と下段側の段とを有する第1のラックと、
前記上段側の棚段と前記下段側の段との間で荷物を昇降搬送する昇降搬送装置と、
前記複数の上段側の棚段の内の1段の棚段に隣接して配置され、前記1段の棚段に沿って走行し、前記1段の棚段の荷物を入庫または出庫するシャトル台車と、
前記下段側の段に、または、前記下段側の段に沿って配置されたピッキングステーションと、
前記下段側の段に隣接して配置され、前記シャトル台車の走行経路と平行に、かつ、前記下段側の段に沿って走行し、前記ピッキングステーションに荷物の搬入または搬出を行う、複数のリニアモータ台車と、
前記リニアモータ台車の走行する周回軌道であって、第1の直線部分と、第2の直線部分と、前記第1の直線部分と前記第2の直線部分の間に接続された曲線部分とを有する周回軌道と、
前記第1のラックとは別の、荷物を収納する複数の棚段を有する第2のラックと、
を備え
前記第1のラックの複数の段のうちの下段側の段は、前記周回軌道の第1の直線部分に隣接して配置され、
前記第2のラックの複数の段のうちの下段側の段は、前記周回軌道の第2の直線部分に隣接して配置されており、
前記リニアモータ台車は、前記周回軌道上を一方向に走行する
【0008】
本開示のピッキングシステムは、ピッキングステーションが配置された下段側に、高速のリニアモータ台車を配置することで、ピッキングステーションへ多数の荷物を搬入または搬出することができる。
また、周回軌道を利用して、離れた位置に配置されたラックの荷物をピッキングステーションに搬出入することができる。
また、リニアモータ台車を、周回軌道上を一方向に走行させることによって、より多くの台車を配置することができ、搬送量を大きくできる。
【0009】
本開示のピッキングシステムは、
荷物を収納する複数の棚段を有する第のラックをさらに備え、
前記第のラックは、前記ラックと、前記昇降搬送装置を共用する。
【0010】
のラックを備えたピッキングシステムは、昇降搬送装置を共用することで、コストを抑えながら、より大量の荷物をピッキングステーションに搬送することができる。
【0011】
本開示の別のピッキングシステムは、
荷物を収納する複数の上段側の棚段と下段側の段とを有する第1のラックと、
前記上段側の棚段と前記下段側の段との間で荷物を昇降搬送する昇降搬送装置と、
前記複数の上段側の棚段の内の1段の棚段に隣接して配置され、前記1段の棚段に沿って走行し、前記1段の棚段の荷物を入庫または出庫するシャトル台車と、
前記下段側の段に、または、前記下段側の段に沿って配置されたピッキングステーションと、
前記下段側の段に隣接して配置され、前記シャトル台車の走行経路と平行に、かつ、前記下段側の段に沿って走行し、前記ピッキングステーションに荷物の搬入または搬出を行う、複数のリニアモータ台車と、
前記リニア台車の走行する直線軌道と、
前記第1のラックとは別の、荷物を収納する複数の棚段を有する第4のラックを備え、
を備え、
前記第1のラックは、前記直線軌道に隣接して配置され、
前記第4のラックは、前記第1のラックの前記直線軌道とは反対側に設置され、
前記第4のラックは、前記第1のラックと、前記昇降搬送装置を共用し、
前記リニアモータ台車は、前記直線軌道上を、双方向に移動可能である。
【0012】
前記リニアモータ台車を双方向に移動可能とすることで、台車の移動距離を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示のピッキングシステムは、下段側の荷物の搬送車のスピードが高められ、ラックからピッキングステーションへの多数の荷物の搬出入を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態のピッキングシステム100の概略正面図である。
図2】第1実施形態のピッキングシステム100の概略側面図である。
図3】第1実施形態のピッキングシステム100のラックの下段側の棚段12の概略平面図である。
図4】第1実施形態のピッキングシステム100のラックの上段側の棚段11の概略平面図である。
図5】シャトル台車装置30の概略側面図である。
図6】リニアモータ台車装置40、40aの概略側面図である。
図7】変形実施形態1Aのピッキングシステム100aのラックの下段側の概略平面図である。
図8】第2実施形態のピッキングシステム100bのラックの下段側の概略平面図である。
図9】変形実施形態2Aのピッキングシステム100cのラックの下段側の概略平面図である。
図10】変形実施形態2Bのピッキングシステム100dのラックの下段側の概略平面図である。
図11】変形実施形態2Cのピッキングシステム100eのラックの下段側の概略平面図である。
図12】変形実施形態2aのピッキングシステム100Aのラックの下段側の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.第1実施形態
(1)ピッキングシステム100全体の説明
図1図4を用いて、第1実施形態に係るピッキングシステムを説明する。図1は、第1実施形態のピッキングシステム100の概略正面図である。図1において、高さ方向をZ方向と表記し、水平方向のうち、ラック10の長手方向をY方向、それと垂直な方向をX方向と表記する。図2はピッキングシステム100をY方向からみた概略側面図であり、図3図4は、それぞれ、ピッキングシステム100のラック10の下段側の棚段12、または、上段側の棚段11の概略平面図である。
【0020】
ピッキングシステム100は、ラック10と、昇降搬送装置20と、複数のシャトル台車装置30と、リニアモータ台車装置40と、ピッキングステーション50と、を備えている。
【0021】
ラック10は複数の上段側の棚段11と、1以上の下段側の棚段12を備えている。棚段とは、棚が配置されている段のことを指す。棚とは、荷物を載置する場所を構成する構造体である。本実施形態では、下段側の段は、一部で荷物の収納を可能としていることから、下段側の棚段12とする。上段側の棚段11には、荷物Gが収容され、荷物Gの保管に利用される。下段側の棚段12は、通常、1段または2段である。下段側の棚段12は、作業者の手の届く範囲であれば3~4段でも良い。下段側の段には、全部または一部に、ピッキングステーションが配置されていてもよい。ピッキングステーションが配置された下段側の段は、ピッキング段と呼んでもよい。下段側の段は、ピッキングステーションでの選別、仕分けのための荷物Gの一時置き場(棚段)であってもよい。下段側の段は、一部が荷物Gの保管に利用されてもよい。言い替えると、上段側の棚段11と同様に利用されてもよい。下段側の棚段12は、荷物を置く棚段ではなく、ピッキングステーションのみが配置された段であってもよい。
【0022】
荷物Gは、物品と、物品を収納する容器とを含む。容器は、ケース、トレイ、段ボール、折り畳みコンテナ、パレットなどである。
【0023】
また、各棚段11、12は、昇降搬送装置20との隣接部分に、昇降搬送装置20との荷物Gの移送用に、移送装置15を備えている。移送装置15は、たとえば、コンベヤである。移送装置15には、昇降搬送装置20の昇降台22へ荷積み用の移送装置15aと、昇降台22から荷降ろし用の移送装置15bがある。移送装置15は、昇降台22との間で、双方向の荷物の移送が可能な移送装置であってもよい。
【0024】
本実施形態においては、昇降台22へ荷積み用、又は荷降ろし用の移送装置15は、上段側と下段側とで異なるものを用いている。上段側の移送装置15は、一方向(ここではY方向)に荷物搬送可能なローラコンベヤを用いる。ローラコンベヤは、昇降台22と移送装置15とでY方向に荷物Gを搬送する。また、上段側の移送装置15は、シャトル台車31との間でX方向に荷物Gの受け渡しを行う。シャトル台車31は、リアフック式の移載装置32を備えている。リアフック式の移載装置32が、台車31と移送装置15のX方向の荷物Gの搬送を行う。下段側の移送装置15は、転換コンベヤを用いる。転換コンベヤは、X方向とY方向で搬送方向を切り替え可能である。転換コンベヤは、X方向またはY方向のローラが昇降することで、搬送方向が変更される。転換コンベヤは、Y方向に昇降台22と荷物Gを受け渡しし、リニアモータ台車41とX方向に荷物Gの受け渡しを行う。
【0025】
各棚段11、12は、上面視で概略重複するように配置されている。各棚段は、Y方向に沿って伸びている。各棚段に沿って、荷物Gを搬送するための台車装置30、40が配置されている。
【0026】
本実施形態のピッキングシステム100は、ラック10とは別に、さらに、ラック10aを含んでいる。ラック10aは、複数の上段側の棚段11aと、下段側の棚段12aとを備えている。下段側の棚段12aには、ピッキングステーション50が組み込まれている。
【0027】
昇降搬送装置20は、図1図4に示すように、ラック10に組み込まれている。本実施形態においては、ラック10の長手方向(Y方向)に、3台の昇降搬送装置20が、棚段11、12の間に挿入されている。昇降搬送装置20は、荷物Gを、上段から下段へ、または、下段から上段へ、昇降させる。昇降搬送装置20は、支柱21と、昇降台22と、を備えている。昇降台22には、荷物Gを載置することができる。昇降台22は、荷物Gを載置した状態、または、載置しない状態で、支柱に沿って、鉛直方向(Z方向)に昇降する。昇降台22は、昇降台22に荷物Gを荷積み、荷降ろしするためのコンベヤを備えている。このコンベヤは、一方向(Y方向)に荷物を移動させることができる、ローラコンベヤである。
【0028】
シャトル台車装置30は、シャトル台車31と、レール35とを備えている。
【0029】
レール35は、上段側の棚段11に沿ってY方向に延びている。レール35は、各棚段11に原則として2本で一組配置されている。
【0030】
シャトル台車31は、レール35上に配置されている。シャトル台車31は、上段側の棚段11の各段に隣接して1台以上配置されている。シャトル台車31は、回転モータで駆動される。シャトル台車31は、各段11において、荷物Gを水平方向(Y方向)に搬送する。シャトル台車31は、Y方向の双方向に走行可能である。シャトル台車31は、図5に示すように、車輪33と、移載装置32とを備えている。車輪33は、レール35上に載置される。回転モータの駆動が車輪33に伝達され、車輪33が回転することにより、シャトル台車31はY方向に移動する。移載装置32は、リアフック式のものであっても、コンベヤ式のものであってもよい。本実施形態においては、移載装置32はリアフック式である。移載装置32は、シャトル台車31と棚段11または移送装置15との間で、荷物Gを移載する。移載装置32は、台車31の上から上段側の棚段11の上に、または、逆に棚段11の上から台車31の上に、X方向に荷物Gを搬送する。また、移載装置32は、台車31の上から移送装置15の上に、または、逆に移送装置15の上から台車31の上に、X方向に荷物Gを搬送する。
【0031】
リニアモータ台車装置40は、下段側の棚段12に沿って、Y方向に直線的に配置されている。リニアモータ台車装置40は、下段側において、昇降台22へ荷積み用、又は荷降ろし用の移送装置15と荷物Gの受け渡しが可能である。リニアモータ台車装置40は、昇降台22と直接荷物の受け渡しが可能に構成されていてもよい。リニアモータ台車装置40の詳細は、後述する。
【0032】
ピッキングステーション50は、下段側において、リニアモータ台車装置40に沿って配置されている。リニアモータ台車装置40の搬送方向に、複数のピッキングステーション50が、間隔を空けて配置されている。ピッキングステーション50は、下段側の棚段12に対応して配置されている。したがって、下段側の棚段12が2段あれば、2段ともに、ピッキングステーション50が配置されている。本実施形態においては、ピッキングステーション50は、ラック10aの下段側に配置されている。ピッキングステーション50は、ラック10の下段側に配置されていてもよい。両方に配置されていてもよい。
【0033】
ピッキングステーション50では、人間またはロボットが、荷物Gの選別、または、仕分けを行う。ピッキングステーション50では、リニアモータ台車41がコンベヤと連動することで、荷物Gの荷積み、荷物Gの荷降ろしを行う。
【0034】
ピッキングステーション50は、荷降ろし、荷積み兼用の往復動コンベヤであってもよい。往復動コンベヤは複数配置されていてもよい。図3のピッキングステーション50では、4つの往復動コンベヤが連なって配置されている。ピッキングステーション50は、下段側の1棚段に対して、1以上配置されている。本実施形態においては、2つのピッキングステーション50が配置されている。
【0035】
ピッキングステーション50は、台車からの荷降ろし用、または、台車への荷積み用の片方向に荷物Gを移送するコンベヤであってもよい。ピッキングステーション50は、積降ろし用コンベヤと、荷積み用コンベヤと、両コンベヤの間の荷物Gを運ぶコンベヤとが、コの字状に配置されていてもよい。ピッキングステーション50は、背面側(台車と反対側)から作業者がピッキング可能とした載置台(コンベヤ等を備えない)であってもよい。
【0036】
コントローラ60は、ラック10の移送装置15、昇降搬送装置20、シャトル台車31、リニアモータ台車装置40、を制御する。コントローラ60は、コンピュータである。コンピュータは、プロセッサ、記憶装置、各種インターフェースを含む。プロセッサとは、例えば、CPUである。記憶装置とは、例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなどである。各種インターフェースとは、たとえば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースである。
【0037】
(2)リニアモータ台車装置40
リニアモータ台車装置40は、リニアモータ台車41と、レール45とを備えている。
【0038】
リニアモータ台車装置40は、走行駆動機構と、移載機構と、を備えている。走行駆動機構は、リニアモータ台車41を、レール45上で走行させる。移載機構は、リニアモータ台車41の停止するステーションにおいて、リニアモータ台車41上への荷物Gの荷積み、荷降ろしを行う。
【0039】
リニアモータ台車装置40は、下段側の棚段12に隣接して配置されている。下段側の棚段が2段のときは、リニアモータ台車装置40は、下段の各棚段12に沿って、2つ設置されている。リニアモータ台車41は、各段12において、2台以上配置されている。好ましくは、2台以上配置されている。図1では、4台のリニアモータ台車41が配置されている。リニアモータ台車41は、荷物Gを棚段12に沿う水平方向(Y方向)に搬送する。リニアモータ台車41は、Y方向の双方向に走行可能である。
【0040】
第1実施形態においては、リニアモータ台車装置40のレール45は直線的である。台車41は、直線上を双方向に走行する。複数の台車41は、互いに衝突するのを避けるように個別に制御されながら、重複した範囲を走行する。
【0041】
リニアモータ台車41は、図6に示すように、本体411と、第1可動子42aと、第2可動子43aと、第1無端ベルト441と、第2無端ベルト442と、第1プーリ445と、第2プーリ446と、複数の車輪47と、を備えている。リニアモータ台車装置40は、レール45側に、レール45と、第1固定子42bと、第2固定子43bと、を備えている。
【0042】
リニアモータ台車装置40の走行駆動機構は、台車41の第2可動子43aと、レール45側の第2固定子43bと、を含んでいる。
【0043】
第2可動子43aは、複数の永久磁石431により構成されている。第2可動子43aは、台車本体411の下面に取り付けられている。第2可動子43aは、図6に示すように、X方向の開口を挟んで高さ方向(Z方向)に2列に並んで構成され、その開口から、レール45に固定されている第2固定子43bが挿入されるように、配置されている。複数の永久磁石431は、第2固定子43bに対抗する側において、台車が走行する方向(Y方向)に沿って、N極とS極が交互に配置されている。図6においては、第2可動子43aの永久磁石431は、第2固定子43bの上下に2列配置されているが、一方の一列であってもよい。
【0044】
第2固定子43bは、レール45に沿って配置されている。第2固定子43bは、レールに沿って並べられた複数の基板と、各基板の延設方向に並んで配置される複数のコイルとによって構成されている。複数のコイルに流れる電流が個別に制御されることによって、台車41の第2可動子43aの永久磁石と相互作用し、Y方向に力が生じる。これによって、台車41はY方向に走行する推進力を得られる。
【0045】
リニアモータ台車41は、リニアモータで駆動されているため、シャトル台車31に比較して、高速に走行することができ、かつ、加速度、減速度を大きくすることができる。したがって、リニアモータ台車41は、シャトル台車31より、荷物の搬送時間を短縮できる。
【0046】
次に、リニアモータ台車装置40の移載機構について、説明する。
【0047】
本実施形態のリニアモータ台車装置40の移載機構は、第1、第2無端ベルト441、442を用いた、ベルトコンベヤである。ローラコンベヤであってもよい。
【0048】
移載機構は、レール側の第1固定子42bと、リニアモータ台車41の第1可動子42aと、第1無端ベルト441と、第2無端ベルト442と、第1プーリ445と、第2プーリ446と、を備えている。
【0049】
第1可動子42aは、円柱状の形状を有している。円柱の軸は、Y方向に沿って配置されている。円柱の周表面に複数の永久磁石が配置されている。永久磁石のN極とS極とが周方向に交互に配置されている。第1可動子42aには、第1無端ベルト441が巻回されている。
【0050】
第1固定子42bは、レール45に沿って、Y方向に離散的に複数配置されている。言い換えると、第1固定子42bは、レール45に沿って、ステーションの位置などのリニアモータ台車41に荷物Gを荷積み、または、荷降ろしする位置に配置されている。
【0051】
台車41がステーションの位置などの荷積み、または、荷降ろしの位置にあるとき、図6に示すように、第1固定子42bは、円柱の棒形状の第1可動子42aの周りを覆う円筒状に配置されている。この円筒の一部に、開口が形成されている。第1固定子42bは、円筒の周方向に並ぶ複数のコイルにより構成されている。コイルに流れる電流によって磁界が発生し、電流の変動によって、磁界が変化して、第1可動子42aの永久磁石と相互作用することにより、第1可動子42aを回転させる力が生じる。
【0052】
第1無端ベルト441は一方を第1可動子42aに巻き付けられ、複数の支持ローラ422を介して、第1プーリ445に巻き付けられている。また、第2無端ベルト442は、一方を第1プーリ445に、他方を第2プーリ446に巻き付けられている。荷物Gは、第2無端ベルト442上に載置される。
【0053】
第1固定子42bのコイルの電流が変化すると、第1可動子42aの永久磁石と相互作用し、第1可動子42aが回転する。第1可動子42aが回転すると、それに巻き付けられた第1無端ベルト441が回転する。第1無端ベルト441の回転は、第1プーリ445に伝えられる。第1プーリ445の回転は、第2無端ベルト442に伝えられる。第2無端ベルト442が移動することにより、第2無端ベルト442上の荷物Gが搬送される。
【0054】
移載機構は、上述したのとは別の機構であってもよい。たとえば、リアフック式などの機構であってもよい。
【0055】
また、上述の説明では、移載機構は、レール45側の第1固定子42bのコイルの電流によって制御された。移載機構は、台車41に積載されたバッテリーによって駆動されてもよい。
【0056】
(3)ラック10からピッキングステーション50への荷物Gの搬送手順
ラック10の上段側の棚段11に収納されている荷物Gを、ピッキングステーション50に移送する場合の手順を説明する。
【0057】
最初に、上段側の棚段11に収納されている荷物Gの前に、シャトル台車31を移動させる。シャトル台車31の移載装置32は、棚段11上の荷物Gをシャトル台車31上へ移動させる。荷物Gを積んだ台車31は、レール35上を移動し、昇降搬送装置20に隣接した移送装置15の前で停止する。シャトル台車31の移載装置32は、台車31上の荷物Gを移送装置15上へ移動させる。昇降搬送装置20は、昇降台22を、所定の上段側の棚段11へ移動させる。荷物Gを積んだ移送装置15と昇降台22上のコンベヤとを協同させ、荷物Gを移送装置15上から昇降台22の上へ移す。昇降台22は荷物Gを積んだまま、支柱21に沿って下降し、下段側の棚段12の高さで停止する。昇降台22のコンベヤと、下段側の棚段12の高さの移送装置15とを共同させ、昇降台22上の荷物Gを移送装置15上に移動させる。
【0058】
次に、下段側の一の棚段12に沿って、リニアモータ台車41をレール45上で移送装置15の前のステーションへ移動させる。荷物Gを積んだ移送装置15とリニアモータ台車41上の移載機構とを協同させ、移送装置15からリニアモータ台車41上へ荷物Gを移動させる。荷物Gを積んだリニアモータ台車41をレール45の上を移動させ、ピッキングステーション50の前に停止させる。リニアモータ台車41の移載機構と、ピッキングステーション50のコンベヤとを協同させ、リニアモータ台車41上の荷物Gを、ピッキングステーション50上に移載する。
【0059】
以上の工程によって、ラック10の上段側の棚段11に収納されていた荷物Gを、ピッキングステーション50に移送することができる。
【0060】
ピッキングステーション50にて、ピッキングして残った荷物Gは、ピッキングステーション50から、上記とは概略逆の経路をたどり、上段の棚段11に収納される。
【0061】
以上の説明からも理解できるように、本実施形態のピッキングシステム100においては、上段側の棚段11の段数は、1段または2段の下段側の棚段12の段数に比べて多い。よって、下段側のリニアモータ台車41の荷物の搬送量が、上段側のシャトル台車の荷物の搬送量に比べて、多いことは明らかである。そこで従来と同様に、下段側の台車に上段側のシャトル台車と同じものを使っていると、下段側の荷物Gの搬送がボトルネックになり、荷物Gの搬送が滞ることになる。下段側の台車の台数を増やしたとしても、1の台車の停止中に、他の台車の移動が妨げられ、飛躍的に搬送速度を上昇させることができない。これを改善するため、本開示のピッキングシステム100においては、下段側の棚段においては、高速のリニアモータ台車41を用いている。リニアモータ台車41を下段側の棚段で用いることにより、下段側の棚段における荷物Gの搬送速度が向上し、ピッキングステーション全体での荷物Gの搬送速度、搬送量の向上が実現される。
【0062】
(4)変形実施形態1Aのピッキングシステム100a
変形実施形態1Aのピッキングシステム100aは、図7に示すように、第1実施形態のピッキングシステム100に追加して、さらに、ラック10bと、複数のシャトル台車装置30aと、を備えている。複数のシャトル台車装置30aは、ラック10bの上段側の棚段11b(図示せず)および下段側の棚段12bに沿って配置されている。複数のシャトル台車装置30aは、それぞれ、シャトル台車31aとレール35aとを備えている。
【0063】
変形実施形態1Aにおいては、昇降搬送装置20は、ラック10とラック10bとで共用されている。ラック10bの各棚段11b、12bは、受け渡し装置16を備えている。受け渡し装置16は、ラック10、10b間でX方向に荷物Gを受け渡す。受け渡し装置16は、移送装置15と隣接して配置されている。下段側の受け渡し装置16は、ラック10bの下段側の棚段12bと、ラック10の、概略同じ高さの下段側の棚段12を接続する。また、上段側の受け渡し装置16は、ラック10bの上段側の棚段11bと、ラック10の、概略同じ高さの上側側の棚段12を接続する。受け渡し装置16は、コンベヤであってもよい。コンベヤとしては、一方向(X方向)に荷物を搬送するローラコンベヤであってもよい。昇降搬送装置20が昇降して、ラック10bの上段側の棚段11b、下段側の棚段12bの高さに荷物Gは到着する。荷物Gは、昇降台22から移送装置15に搬送される。荷物Gは、移送装置15から、さらに、受け渡し装置16に搬送される。荷物Gは、受け渡し装置16から、シャトル台車31aによって各棚段11b、12bの載置位置に運ばれる。
【0064】
変形実施形態1Aのピッキングシステム100aは、第1実施形態のピッキングシステム100に比べて、ラック10bを追加で備えているので、より多くの荷物Gを収容できる。また、変形実施形態1Aのピッキングシステム100aは、ラック10、ラック10b間で、昇降装置を共用しているので、荷物Gの収容量に比して、設備を簡単にでき、ピッキングシステムの設置コストを抑制できる。
【0065】
2.第2実施形態
(5)第2実施形態のピッキングシステム100b
第2実施形態のピッキングシステム100bの構成は、リニアモータ台車装置40aを除いて、第1実施形態のピッキングシステム100の構成と同じである。図8は、第2実施形態のピッキングシステム100bのラックの下段側の概略平面図である。
【0066】
リニアモータ台車装置40aは、リニアモータ台車41aと、レール45aとを備えている。レール45aは、周回軌道であり、周回経路を形成している。リニアモータ台車41aは、周回軌道上を一方向に走行する。図8の例では、リニアモータ台車41aは、1の周回軌道上に、8台配置されている。リニアモータ台車装置40aのその他の構成については、第1実施形態のリニアモータ台車装置40と同じである。
【0067】
第2実施形態のピッキングシステム100bは、周回軌道を有しているため、多くの台車を配置することができ、高速に、大量の荷物Gを搬送することができる。
【0068】
(6)変形実施形態2aのピッキングシステム100A
変形実施形態2aのピッキングシステム100Aは、図12に示すように、第2実施形態のピッキングシステム100b(図8)に追加して、さらに、ラック10bと、複数のシャトル台車装置30a(図示せず)と、を備えている。複数のシャトル台車装置30aは、ラック10bの上段側の棚段11b(図示せず)に沿って配置されている。複数のシャトル台車装置30aは、それぞれ、シャトル台車31aとレール35aとを備えている。
【0069】
変形実施形態2aにおいては、昇降搬送装置20は、ラック10とラック10bとで共用されている。ラック10bの各棚段11b、12bは、受け渡し装置16を備えている。受け渡し装置16は、ラック10、10b間でX方向に荷物Gを受け渡す。受け渡し装置16は、移送装置15と隣接して配置されている。下段側の受け渡し装置16は、ラック10bの下段側の棚段12bと、ラック10の、概略同じ高さの下段側の棚段12を接続する。また、上段側の受け渡し装置16は、ラック10bの上段側の棚段11bと、ラック10の、概略同じ高さの上側側の棚段11を接続する。受け渡し装置16は、コンベヤであってもよい。コンベヤとしては、一方向(X方向)に荷物を搬送するローラコンベヤであってもよい。昇降搬送装置20が昇降して、ラック10bの上段側の棚段11b、下段側の棚段12bの高さに荷物Gは到着する。荷物Gは、昇降台22から移送装置15に搬送される。下段側では、移送装置15とリニアモータ台車41aとの間で荷物の受け渡しが行われる。下段側では、棚段12bの載置位置へは、リニアモータ台車41aによって、荷物Gが運ばれる。上段側では、昇降台22から移送装置15に搬送された荷物Gは、移送装置15から、ラック10bの受け渡し装置16に搬送される。上段側では、ラック10bの受け渡し装置16とシャトル台車31aとの間で荷物の受け渡しが行われる。上段側では、棚段11bの載置位置には、シャトル台車31aによって、荷物Gが運ばれる。
【0070】
変形実施形態2aのピッキングシステム100Aは、第2実施形態のピッキングシステム100に比べて、ラック10bを追加で備えているので、より多くの荷物Gを収容できる。また、変形実施形態2aのピッキングシステム100Aは、ラック10、ラック10b間で、昇降装置を共用しているので、荷物Gの収容量に比して、設備を簡単にでき、ピッキングシステムの設置コストを抑制できる。
【0071】
また、ピッキングシステム100Aは、図12に示すように、さらに、周回路の外側に、ラック10cを備えていてもよい。ラック10cは、ラック10と同様に、複数の上段側の棚段11c(図示せず)と、1~2段の下段側の棚段12cを備えている。下段側の棚段12cに沿って、周回するリニアモータ台車40aが走行し、下段側の棚段12cとリニアモータ台車40aとで荷物の受け渡しを行う。上段側の棚段11cの各段に沿って、別の棚段11bと供用のシャトル台車31aが走行し、上段側の棚段11cとシャトル台車31aとで荷物の受け渡しを行う。ピッキングシステム100Aは、さらに、ラック10cを備えることで、比較的省スペースで荷物Gの収容量を増やすことができる。
【0072】
(7)変形実施形態2Aのピッキングシステム100c
図9は、変形実施形態2Aのピッキングシステム100cのラックの下段側の概略平面図である。変形実施形態2Aのピッキングシステム100cの構成は、第2実施形態のピッキングシステム100bの構成に加えて、ラック10cと、昇降搬送装置20と、シャトル台車装置30(図示せず)と、を備えている。ラック10cは、ラック10と同様に、複数の上段側の棚段11c(図示せず)と、1~2段の下段側の棚段を備えている。下段側の棚段12cに沿って、リニアモータ台車装置40aが配置されている。言い換えると、ラック10cの下段側の段は、周回軌道に隣接して配置されている。さらに言えば、ラック10、10a、10cの長手方向の全体にわたって隣接し、ラック10、10a、10cから外れた部分に曲線レールを配置することで周回軌道を形成している。ラック10、10a、10cと周回軌道との隣接する距離を長くとることにより、リニアモータ台車41とラック10、10a、10cのピッキングステーション50等との間で荷物Gの受け渡し位置を多く確保することができる。ラック10の下段側の棚段12が2段のときは、ラック10cの下段側の棚段12cも2段にし、リニアモータ台車装置40aも各棚段に沿って、2組配置される。つまり、この場合、周回軌道(レール45a)も2段に構成される。上段側の棚段11c(図示せず)に沿って、リニアモータ台車装置40aの上に、シャトル台車装置30(図示せず)が配置されている。シャトル台車装置30は、ラック10に沿って配置されているシャトル台車装置30と同様に、直線的に配置されている。
【0073】
変形実施形態2Aのピッキングシステム100cは、第1実施形態のピッキングシステム100、第2実施形態のピッキングシステム100bに比べて、ラック10cが増設されており、荷物Gの収容量が多い。ピッキングシステム100cは、下段側における荷物Gの搬送量が多くなり、高速のリニアモータ台車41aを用いることにより、大量の搬送量を迅速に処理することが可能になる。
【0074】
(8)変形実施形態2Bのピッキングシステム100d
変形実施形態2Bのピッキングシステム100dは、図10に示すように、変形実施形態2Aのピッキングシステム100cとラック10cの位置が異なり、さらに、下段の棚段12dにピッキングステーション50を備えたラック10dを備えている。ラック10dは複数の上段側の棚段11d(図示せず)と1~2段の下段側の棚段12dとを備えている。
【0075】
変形実施形態2Bのピッキングシステム100dは、変形実施形態2Aのピッキングシステム100cに比べて、ピッキングステーション50が増設されており、ピッキング処理能力が高い。さらに、ラック10dが増設されており、荷物Gの収容量が多い。したがって、ピッキングシステム100dは、下段側における荷物Gの搬送量が多くなり、高速のリニアモータ台車41aを用いることにより、大量の搬送量を迅速に処理することが可能になる。
【0076】
また、変形実施形態1Aのピッキングシステム100aでは、ラック10とラック10bとを隣接配置して、ラック10とラック10bとで昇降搬送装置20を共用することを説明した。変形実施形態2Bのピッキングシステム100dにおいても同様に、ラック10とラック10cを近接配置させ、昇降搬送装置20を共用してもよい。
【0077】
(9)変形実施形態2Cのピッキングシステム100e
変形実施形態2Cのピッキングシステム100eは、図11に示すように、下段側において、周回軌道を構成するレール45aの内部を分断するかのように、分岐レール45bが配置されている。そして、分岐レール45bに沿って、ラック10eの下段側の棚段12eおよびラック10fの下段側の棚段12fが配置されている。ラック10e、ラック10fは、それぞれ、上段側の棚段も有している。ラック10e、ラック10fは、どちらか一方だけが配置されていてもよい。
【0078】
変形実施形態2Cのピッキングシステム100eは、変形実施形態2Bのピッキングシステム100dに比べて、ラック10e、10fが増設されており、荷物Gの収容量が多い。したがって、ピッキングシステム100eは、下段側における荷物Gの搬送量が多くなり、高速のリニアモータ台車41aを用いることにより、大量の搬送量を迅速に処理することが可能になる。
【0079】
また、変形実施形態2Bのピッキングシステム100dでは、ラック10とラック10cとを隣接配置して、ラック10とラック10cとで昇降搬送装置20を共用してもよいことを説明した。変形実施形態2Cのピッキングシステム100eにおいても同様に、ラック10とラック10e、または、ラック10cとラック10fを近接配置させ、昇降搬送装置20を共用してもよい。
【0080】
3.実施形態の共通事項
上記第1、第2実施形態、変形実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
【0081】
ピッキングシステム100、100a、100A、100b、100c、100d、100eは、ラック10と、昇降搬送装置20と、シャトル台車装置30と、リニアモータ台車装置40、40aと、ピッキングステーション50とを備えている。ラック10は、荷物Gを収納する複数の棚段を有する。昇降搬送装置20は、ラックの各棚段と荷物Gの受け渡しが可能であり、荷物Gを昇降搬送する。シャトル台車装置30は、シャトル台車31とレール35とを有する。シャトル台車は、ラックの複数の棚段のうちの上段側の棚段11に隣接して配置され、各棚段の荷物Gを入庫または出庫し、各棚段で搬送する。ピッキングステーション50は、ラックの複数の棚段のうちの下段側の棚段12に沿って配置されている。リニアモータ台車装置40、40aは、リニアモータ台車41、41aと、レール45とを有する。リニアモータ台車41、41aは、ラックの複数の棚段のうちの下段側の棚段に隣接して配置され、前記ピッキングステーションに荷物Gの搬出入を行う。
【0082】
なお以上の説明において、ラックの下段側は、下段側の棚段として説明したが、いずれにおいても、棚の無い、下段側の段であってもよい。
【0083】
本開示のピッキングシステム100、100a、100A、100b、100c、100d、100eは、ピッキングステーション50が配置された下段側に、高速のリニアモータ台車41、41aを配置することで、ピッキングステーションへ多数の荷物Gを搬出入することができる。
【0084】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示のピッキングシステムは、ラックとピッキングステーションとの間で荷物の搬出入を行う自動倉庫に用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
100、100a、100A、100b、100c、100d、100e ピッキングシステム
10 ラック
11 上段側の棚段
12 下段側の棚段
15、15a、15b 移送装置
16 受け渡し装置
20 昇降搬送装置
30 シャトル台車装置
31 シャトル台車
35 レール
40、40a リニアモータ台車装置
41、41a リニアモータ台車
411 (リニアモータ台車)本体
42a 第1可動子
42b 第1固定子
422 支持ローラ
43a 第2可動子
43b 第2固定子
431 永久磁石
441 第1無端ベルト
442 第2無端ベルト
445 第1プーリ
446 第2プーリ
45、45a レール
47 車輪
50 ピッキングステーション
60 コントローラ
G 荷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12