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特許7586351X線撮影システム、および、デバイス表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】X線撮影システム、および、デバイス表示方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/12 20060101AFI20241112BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20241112BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241112BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241112BHJP
   G06T 7/593 20170101ALI20241112BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241112BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B6/12
A61B6/46 523Z
G06T1/00 290A
G06T1/00 315
G06T7/00 350B
G06T7/00 612
G06T7/593
G06T7/60 150S
G06T7/70 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023580127
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2023000988
(87)【国際公開番号】W WO2023153144
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2022018246
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】押川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】古橋 直也
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/024422(WO,A1)
【文献】特表2022-510845(JP,A)
【文献】特表2021-533906(JP,A)
【文献】特開2021-078908(JP,A)
【文献】特開2016-147059(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0228678(US,A1)
【文献】特開2000-175897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G06T 1/00 , 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状の構造を有するデバイスが体内に配置された被検体にX線を照射するX線照射部と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを含み、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々において前記被検体に対してX線撮影を行う撮影部と、
前記第1撮影角度のX線撮影によって生成された第1X線画像と、前記第2撮影角度のX線撮影によって生成された第2X線画像とに基づいて、前記被検体の体内に配置された前記デバイスの3次元モデルを生成する3次元モデル生成部と、
線状の構造を有する前記デバイスのうちから、前記第1X線画像および前記第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための前記撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、前記3次元モデル生成部により生成された前記デバイスの前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定する判定部と、
前記3次元モデル生成部により生成された前記デバイスの前記3次元モデルと、前記判定部による前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する表示部と、を備える、X線撮影システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記被検体の血管内に配置されたガイドワイヤまたはカテーテルを含む前記デバイスのうちから前記平行部分を識別することによって、前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定するように構成されており、
前記表示部は、ガイドワイヤまたはカテーテルを含む前記デバイスの前記3次元モデルと、前記判定部による前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記判定部により判定された前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を、色付けすることによって識別可能に表示するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項4】
前記表示部は、前記判定部により前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分が判定された場合に、前記3次元モデルにおける形状が判断可能なように前記第1撮影角度および前記第2撮影角度とは異なる前記撮影角度からのX線撮影を提案する提案情報を表示するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項5】
前記提案情報は、前記第1撮影角度における第1の前記照射軸線に平行な方向と、前記第2撮影角度における第2の前記照射軸線に平行な方向との両方に交差する方向の前記撮影角度におけるX線撮影を行うように前記撮影部を移動させる推奨移動方向を含む、請求項4に記載のX線撮影システム。
【請求項6】
前記撮影部は、前記第1撮影角度におけるX線撮影を行う第1撮影部と、前記第2撮影角度におけるX線撮影を行う第2撮影部とを含み、
前記判定部は、線状の構造を有する前記デバイスのうちから前記エピポーラ線に沿って延びる前記平行部分を識別することによって、前記第1撮影部によるX線撮影によって生成された前記第1X線画像と、前記第2撮影部によるX線撮影によって生成された前記第2X線画像とに基づいて前記3次元モデル生成部により生成された前記デバイスの前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項7】
線状の構造を有するデバイスが体内に配置された被検体を透過したX線を検出することによって、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々におけるX線撮影を行うステップと、
前記第1撮影角度のX線撮影によって生成された第1X線画像と、前記第2撮影角度のX線撮影によって生成された第2X線画像とに基づいて、前記被検体の体内に配置された前記デバイスの3次元モデルを生成するステップと、
線状の構造を有する前記デバイスのうちから、前記第1X線画像および前記第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための前記撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、生成された前記デバイスの前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定するステップと、
生成された前記デバイスの前記3次元モデルと、前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示するステップと、を備える、デバイス表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影システム、および、デバイス表示方法に関し、特に、デバイスの3次元モデルを表示するX線撮影システム、および、デバイス表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デバイスの3次元曲線を生成する技術が知られている。このような技術は、たとえば、Charlotte Delmas, Marie-Odile Berger, Erwan Kerrien, Cyril Riddell, Yves Trousset, et al., "Three-dimensional curvilinear device reconstruction from two fluoroscopic views." SPIE, Medical Imaging 2015: Image-Guided Procedures, Robotic Interventions, and Modeling, Feb 2015, San Diego, CA, United States. pp.94150F, 10.1117/12.2081885. hal-01139284(以下、非特許文献1という)に開示されている。
【0003】
上記非特許文献1では、被検体の血管内に挿入されたガイドワイヤまたはカテーテルのような曲線的なデバイスの3次元モデルを生成する技術が開示されている。具体的には、上記非特許文献1では、異なる2つの撮影角度からのX線撮影によって生成された2つの透視画像から、デバイスを表す3次元の曲線を再構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Charlotte Delmas, Marie-Odile Berger, Erwan Kerrien, Cyril Riddell, Yves Trousset, et al., "Three-dimensional curvilinear device reconstruction from two fluoroscopic views." SPIE, Medical Imaging 2015: Image-Guided Procedures, Robotic Interventions, and Modeling, Feb 2015, San Diego, CA, United States. pp.94150F, 10.1117/12.2081885. hal-01139284
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1のように、互いに異なる2方向の撮影角度のX線撮影によって生成された2つのX線画像に基づいて、被検体の体内に配置されるデバイスの3次元的な形状を復元することによって3次元曲線(3次元モデル)を生成する場合において、デバイスの3次元モデルを正確に生成することができない場合がある。具体的には、X線撮影により生成されたX線画像は2次元の投影像であるため、X線画像においてX線の照射軸に沿う奥行き方向における形状は判断できない。したがって、互いに異なる2方向の撮影角度のX線撮影によって2つのX線画像を生成した場合においても、2つのX線画像の各々の投影面の両方に対して垂直な平面において、デバイスの正確な形状を判断することができない。このため、線状の構造を有するデバイスにおいて、一方のX線画像において、他方のX線画像を生成するためのX線の照射軸線に平行な方向に沿って延びるようにデバイスが配置されている部分では、生成されるデバイスの3次元モデルの形状は、実際のデバイスの形状とは異なる可能性のある不正確なものとなると考えられる。この場合に、実際のデバイスとは形状の異なる不正確な3次元モデルを視認しながら被検体の体内においてデバイスを移動させるなどの手技を行う場合には、手技の正確性が低下すると考えられる。そのため、互いに異なる2方向の撮影角度におけるX線撮影によって生成されたX線画像に基づいて被検体の体内に配置されるデバイスの3次元モデルを生成する場合に、実際のデバイスと異なる形状をユーザが認識することを抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、互いに異なる2方向の撮影角度におけるX線撮影によって生成されたX線画像に基づいて被検体の体内に配置されるデバイスの3次元モデルを生成する場合に、実際のデバイスと異なる形状をユーザが認識することを抑制することが可能なX線撮影システム、および、デバイス表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるX線撮影システムは、線状の構造を有するデバイスが体内に配置された被検体にX線を照射するX線照射部と、被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを含み、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々において被検体に対してX線撮影を行う撮影部と、第1撮影角度のX線撮影によって生成された第1X線画像と、第2撮影角度のX線撮影によって生成された第2X線画像とに基づいて、被検体の体内に配置されたデバイスの3次元モデルを生成する3次元モデル生成部と、線状の構造を有するデバイスのうちから、第1X線画像および第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、3次元モデル生成部により生成されたデバイスの3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定する判定部と、3次元モデル生成部により生成されたデバイスの3次元モデルと、判定部による3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する表示部と、を備える。
【0008】
この発明の第2の局面におけるデバイス表示方法は、線状の構造を有するデバイスが体内に配置された被検体を透過したX線を検出することによって、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々におけるX線撮影を行うステップと、第1撮影角度のX線撮影によって生成された第1X線画像と、第2撮影角度のX線撮影によって生成された第2X線画像とに基づいて、被検体の体内に配置されたデバイスの3次元モデルを生成するステップと、線状の構造を有するデバイスのうちから、第1X線画像および第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、生成されたデバイスの3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定するステップと、生成されたデバイスの3次元モデルと、3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面におけるX線撮影システム、および、上記第2の局面におけるデバイス表示方法では、線状の構造を有するデバイスのうちから、第1X線画像および第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、生成されたデバイスの3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定する。そして、生成されたデバイスの3次元モデルと、3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する。ここで、被検体の体内に配置される線状の構造を有するデバイスにおいて、第1X線画像および第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分は、第1X線画像および第2X線画像に基づいて3次元モデルを生成した場合に不正確な部分となる。この点を考慮して、本発明では、生成されたデバイスの3次元モデルと、3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する。これにより、表示された判定結果に基づく表示を視認することによって、表示された3次元モデルにおいて、実際のデバイスの形状と異なる形状を有する可能性がある不正確な部分を認識することができる。その結果、互いに異なる2方向の撮影角度におけるX線撮影によって生成されたX線画像に基づいて被検体の体内に配置されるデバイスの3次元モデルを生成する場合に、実際のデバイスと異なる形状をユーザが認識することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態によるX線撮影システムの全体構成を示した模式図である。
図2】X線撮影システムの構成を説明するためのブロック図である。
図3】制御部の機能的構成を説明するためのブロック図である。
図4】第1撮影部および第2撮影部によるデバイスのX線撮影を説明するための図である。
図5】デバイスの3次元モデルの生成を説明するための図である。
図6】エピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を説明するための図である。
図7】表示部の表示の一例を示した図である。
図8】X線撮影システムによるデバイス表示方法を説明するための図(フローチャート)である。
図9】変形例による3次元モデルの表示の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(X線撮影システムの全体構成)
図1図7を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影システム100について説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のX線撮影システム100は、体内に医療用のデバイス80を挿入された被検体101にX線を照射する。そして、X線撮影システム100は、被検体101を透過したX線を検出することによって、X線撮影を行う。X線撮影システム100は、たとえば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)を行う際に、被検体101の体内の様子を確認するための画像を生成する。経皮的冠動脈インターベンションは、心臓の冠動脈の狭窄および閉塞による疾患である狭心症および心筋梗塞などに対して、デバイス80を用いて血管の狭窄および閉塞を解消する治療である。
【0014】
デバイス80は、たとえば、被検体101の体内の血管内に配置されたガイドワイヤである。デバイス80は、被検体101の体内にカテーテルまたはステントなどを配置するために血管内に挿入される。また、デバイス80は、人体の血管内に挿入可能なように、柔軟性のある線状の構造を有する。本実施形態のX線撮影システム100は、X線撮影を行うことによって取得された2つのX線画像11およびX線画像12(図4参照)に基づいて、被検体101の体内に配置されたデバイス80の3次元モデル81を生成する。そして、X線撮影システム100は、生成された3次元モデル81を表示するように構成されている。
【0015】
〈X線撮影システムの構成〉
図1および図2に示すように、本実施形態によるX線撮影システム100は、天板1、撮影部2、移動機構3、表示部4、操作部5、制御部6、および、記憶部7を備える。
【0016】
天板1は、X線が照射される被検体101が横たわる寝台である。被検体101が天板1に横たわった状態で、被検体101に対してデバイス80が挿入されるとともに、被検体101のX線撮影が行われる。また、天板1は、制御部6による制御に基づいて、移動機構3の後述する天板移動部31によって移動可能に構成されている。
【0017】
撮影部2は、第1撮影部21および第2撮影部22を含む。第1撮影部21は、X線照射部21a、X線検出部21b、および、支持部21cを有する。また、第2撮影部22は、X線照射部22a、X線検出部22b、および、支持部22cを有する。X線撮影システム100は、第1撮影部21および第2撮影部22の2つの撮影機構を有するバイプレーン型の撮影装置である。
【0018】
第1撮影部21のX線照射部21aと、第2撮影部22のX線照射部22aとの各々は、体内にデバイス80が配置された被検体101にX線を照射(放射)する。X線照射部21aおよび22aの各々は、電圧が印加されることによってX線を照射するX線管を含む。X線照射部21aおよび22aの各々は、制御部6によりX線管に印加される電圧が制御されることによって、照射するX線の強度が制御されるように構成されている。X線照射部21aおよび22aの各々は、1回または複数回のX線の照射を被検体101内のデバイス80に対して行う。
【0019】
第1撮影部21のX線検出部21bと、第2撮影部22のX線検出部22bとの各々は、被検体101を透過したX線を検出する。そして、X線検出部21bおよび22bは、検出されたX線に基づいて検出信号を制御部6に対して出力する。X線検出部21bおよび22bは、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)を含む。具体的には、第1撮影部21において、X線照射部21aから照射されたX線がX線検出部21bにより検出される。また、第2撮影部22において、X線照射部22aから照射されたX線がX線検出部22bにより検出される。
【0020】
支持部21cは、第1撮影部21のX線照射部21aとX線検出部21bとを支持するCアームである。また、支持部21cは、X線照射部21aとX線検出部21bとを被検体101が横たわる天板1を挟んで対向させるように、X線照射部21aとX線検出部21bとを支持する。同様に、支持部22cは、第2撮影部22のX線照射部22aとX線検出部22bとを支持するCアームである。また、支持部22cは、X線照射部22aとX線検出部22bとを被検体101が横たわる天板1を挟んで対向させるように、X線照射部22aとX線検出部22bとを支持する。そして、支持部21cおよび支持部22cは、移動機構3の後述する撮影部移動部32により角度(撮影角度)を変更可能に構成されている。また、支持部21cは、X線照射部21aとX線検出部21bとの間の距離を変更可能に構成されている。そして、支持部22cは、X線照射部22aとX線検出部22bとの間の距離を変更可能に構成されている。
【0021】
移動機構3は、天板移動部31および撮影部移動部32を含む。天板移動部31は、天板1の位置および角度を変更させる。天板移動部31は、制御部6からの制御信号に基づいて、天板1を移動させる。天板移動部31は、駆動機構として、たとえば、サーボモータ、または、ステッピングモータを含む。また、天板移動部31は、制御部6に対して、現在の天板1の位置および角度を示す信号を出力する。
【0022】
撮影部移動部32は、第1撮影部21および第2撮影部22の各々を移動させる。具体的には、撮影部移動部32は、支持部21cを移動させることによって、X線照射部21aおよびX線検出部21bの被検体101に対する位置および角度を変更させる。また、撮影部移動部32は、支持部22cを移動させることによって、X線照射部22aおよびX線検出部22bの被検体101に対する位置および角度を変更させる。すなわち、撮影部移動部32は、被検体101に対して、様々な位置および様々な角度からX線撮影を行うために、第1撮影部21(X線照射部21aおよびX線検出部21b)および第2撮影部22(X線照射部22aおよびX線検出部22b)を移動させる。撮影部移動部32は、駆動機構として、たとえば、サーボモータ、または、ステッピングモータを含む。また、撮影部移動部32は、制御部6に対して、現在の第1撮影部21(X線照射部21aおよびX線検出部21b)の位置および角度を示す信号と、現在の第2撮影部22(X線照射部22aおよびX線検出部22b)の位置および角度を示す信号とを出力する。
【0023】
本実施形態では、撮影部2は、第1撮影部21と第2撮影部22との2つの撮影機構の各々が撮影部移動部32により移動されることにより、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々において被検体101に対してX線撮影を行う。具体的には、第1撮影部21は、第1撮影角度におけるX線撮影を行う。また、第2撮影部22は、第2撮影角度におけるX線撮影を行う。撮影角度は、被検体101に対して照射されるX線の照射軸の空間的な角度を表す。すなわち、第1撮影角度は、X線照射部21aとX線検出部21bとが対向する方向の角度である。言い換えれば、第1撮影角度は、X線検出部21bの検出面に対して垂直な方向であって、X線照射部21aからX線検出部21bの検出面に対して照射されるX線の照射軸の空間的な角度方向を意味する。同様に、第2撮影角度は、X線照射部22aとX線検出部22bとが対向する方向の角度であって、X線検出部22bの検出面に対して垂直な方向であり、X線照射部22aからX線検出部22bの検出面に対して照射されるX線の照射軸の空間的な角度方向を意味する。たとえば、第1撮影部21は、X線照射部21aとX線検出部21bとが鉛直方向に沿って配置された状態を基準として、被検体101の左右方向であるLAO(left anterior oblique)方向およびRAO(right anterior oblique)方向と、被検体101の上下方向(頭部側および脚部側)であるCRA(Cranial)方向およびCAU(Caudal)方向とにX線検出部21bが移動するように撮影角度を変更可能に構成されている。また、第2撮影部22も同様に、LAO方向およびRAO方向と、CRA方向およびCAU方向とにX線検出部22bが移動するように撮影角度を変更可能に構成されている。
【0024】
表示部4は、たとえば、液晶ディスプレイなどの表示装置である。そして、表示部4は、制御部6によって生成された画像(静止画像および動画像)を表示する。表示部4の表示の詳細は後述する。
【0025】
操作部5は、X線撮影システム100を操作するための入力操作を受け付ける。そして、操作部5は、受け付けられた入力操作に基づいて操作信号を制御部6に対して出力する。操作部5は、たとえば、移動機構3により天板1および撮影部2を移動させる操作を受け付ける。また、操作部5は、被検体101に対してX線撮影を行うために、X線を照射させる操作を受け付ける。また、操作部5は、制御部6による制御を実行するための入力操作を受け付ける。操作部5は、たとえば、タッチパネルを含む。
【0026】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含むコンピュータである。制御部6は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、X線撮影システム100の各部の制御を行う。また、制御部6は、操作部5により受け付けられた入力操作に基づいて、X線撮影システム100の各部の動作を制御するように構成されている。
【0027】
具体的には、図3に示すように、制御部6は、機能的な構成として、X線照射制御部61、X線画像生成部62、3次元モデル生成部63、判定部64、および、表示制御部65を含む。すなわち、制御部6は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、X線照射制御部61、X線画像生成部62、3次元モデル生成部63、判定部64、および、表示制御部65として機能する。また、制御部6による制御の詳細については後述する。
【0028】
記憶部7は、たとえば、ハードディスクドライブなどの記憶装置により構成されている。記憶部7は、画像データ、撮影条件および各種の設定値を記憶するように構成されている。また、記憶部7は、制御部6を機能させるためのプログラムおよびパラメータを記憶している。また、記憶部7は、後述するデバイス80の3次元モデル81を生成するためにデバイス80を検出する学習済みモデルを記憶している。
【0029】
(制御部によるX線撮影システムの制御)
制御部6のX線照射制御部61は、第1撮影部21(X線照射部21aおよびX線検出部21b)および第2撮影部22(X線照射部22aおよびX線検出部22b)を制御してX線撮影を行う。具体的には、X線照射制御部61は、X線照射部21aおよび22aの各々におけるX線管に印加される電圧を制御することによって、X線照射部21aおよび22aによるX線の照射を制御する。また、X線照射制御部61は、移動機構3を移動させる制御を行う。具体的には、X線照射制御部61は、移動機構3の動作を制御することによって、天板1の位置および角度を変更させるとともに、第1撮影部21および第2撮影部22によるX線撮影の撮影角度(第1撮影角度および第2撮影角度)を変更させる制御を実行する。たとえば、X線照射制御部61は、操作部5に対する入力操作に基づいて移動機構3を制御することによって、X線撮影を行うための第1撮影部21および第2撮影部22の各々の撮影角度を変更させる。
【0030】
そして、図4に示すように、制御部6のX線画像生成部62は、第1撮影部21(X線照射部21aおよびX線検出部21b)による第1撮影角度のX線撮影を行うことによってX線画像11を生成し、第2撮影部22(X線照射部22aおよびX線検出部22b)による第2撮影角度のX線撮影を行うことによってX線画像12を生成する。具体的には、X線画像生成部62は、第1撮影部21のX線検出部21bによって検出されたX線に基づいて、X線画像11を生成する。そして、X線画像生成部62は、第2撮影部22のX線検出部22bによって検出されたX線に基づいてX線画像12を生成する。すなわち、X線画像11は、X線検出部21bの検出面に平行な投影面に投影された画像であって、X線画像12は、X線検出部22bの検出面に平行な投影面に投影された画像となる。なお、X線画像11は、請求の範囲における「第1X線画像」の一例である。また、X線画像12は、請求の範囲における「第2X線画像」の一例である。
【0031】
〈デバイスの3次元モデルの生成〉
制御部6の3次元モデル生成部63は、図5に示すように、X線画像11およびX線画像12に基づいて、被検体101の体内に配置されたデバイス80の3次元モデル81を生成する。具体的には、3次元モデル生成部63は、機械学習によって生成された学習済みモデルに基づいて、X線画像11およびX線画像12の各々においてデバイス80を検出する。この学習済みモデルは、入力されたX線画像11および12のうちからデバイス80の位置(形状)を検出する処理を学習させる深層学習による機械学習により予め生成される。
【0032】
そして、3次元モデル生成部63は、学習済みモデルを用いてX線画像11および12の各々から、X線画像11および12におけるデバイス80の位置(形状)を検出することによって、X線画像11および12に含まれるデバイス80の形状情報(座標)を取得する。また、3次元モデル生成部63は、3次元モデル81を生成するために、撮影部移動部32からの出力に基づいて第1撮影部21および第2撮影部22の各々の撮影角度(第1撮影角度および第2撮影角度)を取得する。そして、3次元モデル生成部63は、X線画像11およびX線画像12の各々に含まれるデバイス80の形状と、第1撮影部21および第2撮影部22の各々の撮影角度とに基づいて、エピポーラ幾何を用いてデバイス80の3次元モデル81を生成する。すなわち、3次元モデル生成部63は、異なる2方向からの投影像であるX線画像11およびX線画像12に含まれるデバイス80から、3次元空間におけるデバイス80の形状を推定した3次元モデル81を再構成するように構成されている。
【0033】
ここで、図5に示すように、生成された3次元モデル81の形状は、実際のデバイス80の形状と異なる場合がある。たとえば、図5の実線で示した3次元モデル81は、部分80aにおいて、点線で示した実際のデバイス80と形状が異なる。2方向の撮影角度による3次元モデル81の生成では、線状の構造を有するデバイス80のうちのエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分の形状が不正確となる。エピポーラ線とは、X線画像11およびX線画像12のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示す線である。
【0034】
具体的には、図6に示すように、X線画像11において、第2撮影部22のX線照射部22aからX線検出部22bに向かって延びる照射軸線の方向(方向D2)が、X線画像11におけるエピポーラ線の方向となる。また、X線画像12において、第1撮影部21のX線照射部21aからX線検出部21bに向かって延びる照射軸線の方向(方向D1)が、X線画像12におけるエピポーラ線の方向となる。言い換えれば、エピポーラ線の方向は、X線検出部21bおよびX線検出部22bの各々の検出面(X線画像11およびX線画像12の各々の投影面)に対して垂直な方向である。
【0035】
たとえば、図6に示されたデバイス80のうちの部分80aが、X線画像11において方向D2に沿って延びる部分であって、かつ、X線画像12において方向D1に沿って延びる部分である。すなわち、部分80aは、被検体101の体内に配置されたデバイス80のうちの、方向D1および方向D2の両方に平行な平面上に沿うように延びる部分(平行部分)である。言い換えれば、部分80aは、X線画像11およびX線画像12の各々の投影面の両方に対して垂直な平面に沿って延びる部分(平行部分)である。このような平行部分である部分80aは、図6において3本の点線で例示したように、投影像であるX線画像11およびX線画像12から実際のデバイス80の3次元的な形状を一意的に推定することができない。すなわち、X線画像11において方向D2に平行な方向に沿って延びる部分80aと、X線画像12において方向D1に平行な方向に沿って延びる部分80aとは、各々の画像において奥行き方向の形状が異なっていても同じ形に撮影されるため、3次元モデル81の再構成において、原理的に形状が不正確な部分となる。
【0036】
〈平行部分の判定〉
そこで、本実施形態では、制御部6の判定部64は、デバイス80のうちからエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分である部分80aを識別することによって、3次元モデル生成部63により生成された3次元モデル81における形状が不正確な部分を判定する。
【0037】
具体的には、判定部64は、撮影部移動部32からの信号に基づいて、X線画像11およびX線画像12の各々におけるエピポーラ線の方向を取得する。そして、判定部64は、3次元モデル生成部63によって検出されたX線画像11およびX線画像12におけるデバイス80の形状に基づいて、X線画像11およびX線画像12の各々におけるデバイス80の延びる方向とエピポーラ線の方向とを比較する。そして、判定部64は、X線画像11およびX線画像12の各々における検出されたデバイス80の形状のうちから、エピポーラ線と平行な方向に沿って延びる部分である平行部分を識別する。判定部64は、デバイス80のうちから平行部分であると識別された部分を、3次元モデル81における形状が不正確な部分であると判定する。
【0038】
たとえば、判定部64は、X線画像11およびX線画像12の各々におけるデバイス80のうちから、エピポーラ線との角度差が、予め設定されている所定の判定しきい値よりも小さい部分を平行部分であるとして識別する。なお、判定部64による判定では、X線画像11およびX線画像12の両方において、エピポーラ線との角度差が所定の判定しきい値よりも小さい部分を平行部分として識別するようにしてもよいし、X線画像11およびX線画像12の少なくとも一方において、エピポーラ線との角度差が所定の判定しきい値よりも小さい部分を平行部分として識別するようにしてもよい。
【0039】
〈表示部の表示の制御〉
図7に示すように、制御部6の表示制御部65は、表示部4の表示を制御する。具体的には、表示制御部65は、3次元モデル生成部63により生成された3次元モデル81を表示部4に表示させる。そして、表示制御部65は、判定部64による3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示を表示部4に表示させる。具体的には、表示制御部65は、判定結果に基づく表示として、判定部64に判定された3次元モデル81における形状が不正確な部分を、色付けすることによって識別可能に表示部4に表示させる。
【0040】
たとえば、表示制御部65は、3次元モデル81を複数の要素に分割するとともに、分割された複数の要素ごとに、エピポーラ線との角度差に応じて複数の色に色分けして表示させる。たとえば、表示制御部65は、表示部4に表示されている3次元モデル81を、エピポーラ線との角度差に応じて角度差が大きい部分(要素)から順に、青、緑、黄、オレンジ、赤のように色分けして表示させる。3次元モデル81のうち青色で表示されている部分(要素)は、エピポーラ線との角度差が大きく、3次元モデル81の再構成において形状が正確と推定される部分である。一方で、図7の部分80aのように、3次元モデル81のうち赤色で表示されている部分(要素)は、エピポーラ線との角度差が小さく、エピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分であると判定された部分(3次元モデル81において形状が不正確な部分)である。すなわち、判定部64によりエピポーラ線との角度差が所定の判定しきい値よりも小さいと判定された平行部分が、3次元モデル81において赤色で色付けされて表示される。なお、図7では、色分けの差異をハッチングの違いによって示している。
【0041】
また、本実施形態では、制御部6の表示制御部65は、判定部64により3次元モデル81における形状が不正確な部分(平行部分)が判定された場合に、提案情報41を表示部4に表示させるように構成されている。提案情報41は、3次元モデル81における形状が正確に判断可能なように第1撮影角度および第2撮影角度とは異なる撮影角度からのX線撮影を提案する表示である。すなわち、提案情報41は、3次元モデル81において形状が不正確であると推定されている平行部分の形状を正確に推定するために、第1撮影角度および第2撮影角度のいずれかを変更することを提案する表示である。
【0042】
具体的には、提案情報41は、第1撮影角度における第1の照射軸線(方向D1、図6参照)に平行な方向と、第2撮影角度における第2の照射軸線(方向D2、図6参照)に平行な方向との両方に交差する方向の撮影角度におけるX線撮影を提案する表示である。すなわち、提案情報41は、方向D1および方向D2の両方と交差する方向の撮影角度におけるX線撮影を行うように、撮影部2を移動させる推奨移動方向を含む表示である。推奨移動方向は、撮影部2の第1撮影部21および第2撮影部22の現在の撮影角度(第1撮影角度および第2撮影角度)から、いずれの角度方向に対する移動が推奨されるかを示す情報である。たとえば、図7に示す例では、現在の撮影部2(第1撮影部21および第2撮影部22)の撮影角度から、CAU方向側に向かって移動させることを提案する文字情報としての提案情報41が表示部4に表示されている。また、提案情報41は、推奨移動方向を矢印などで図示するようにしてもよい。また、提案情報41は、第1撮影部21(第1撮影角度)と、第2撮影部22(第2撮影角度)とのいずれの撮影角度を変更させるかを提案する情報を含んでいてもよい。
【0043】
上記のように、本実施形態では、表示部4は、制御部6(表示制御部65)による制御によって、3次元モデル81と、判定結果に基づく表示である3次元モデル81の色付けとを表示するとともに、提案情報41を表示するように構成されている。そして、制御部6の表示制御部65は、3次元モデル81に加えてX線画像11およびX線画像12を表示部4に表示させるように構成されている。なお、本実施形態によるX線撮影システム100では、制御部6は、1秒間の間に15回X線を照射することによって、1秒間に15枚のX線画像11およびX線画像12を生成する。そして、制御部6の表示制御部65は、15FPS(frames per second)の動画像としてX線画像11および12を表示部4に表示させる。また、同様に、制御部6は、生成されたX線画像11および12に基づいて、1秒間に15回ずつ更新されるように3次元モデル81を生成して表示部4に表示させる。
【0044】
(デバイス表示方法について)
次に、図8を参照して、本実施形態によるX線撮影システム100を用いたデバイス表示方法について説明する。なお、ステップ301~ステップ305における制御処理は、制御部6により実行される。
【0045】
まず、ステップ301において、X線撮影が行われる。具体的には、第1撮影部21および第2撮影部22の各々によって、デバイス80が体内に配置された被検体101を透過したX線が検出されることによって、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々におけるX線撮影が行われる。
【0046】
次に、ステップ302において、X線画像11およびX線画像12が生成される。具体的には、第1撮影部21のX線検出部21bにより検出されたX線に基づいて、X線画像11が生成される。また、第2撮影部22のX線検出部22bにより検出されたX線に基づいて、X線画像12が生成される。
【0047】
次に、ステップ303において、3次元モデル81が生成される。具体的には、第1撮影部21の第1撮影角度におけるX線撮影により生成されたX線画像11と、第2撮影部22の第2撮影角度におけるX線撮影により生成されたX線画像12とに基づいて、被検体101の体内に配置されたデバイス80の3次元モデル81が生成される。
【0048】
次に、ステップ304において、3次元モデル81における形状が不正確な部分が判定される。具体的には、デバイス80のうちからエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、生成されたデバイス80の3次元モデル81における形状が不正確な部分が判定される。
【0049】
次に、ステップ305において、生成されたデバイス80の3次元モデル81と、3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とが表示される。具体的には、3次元モデル81が表示部4に表示される。そして、判定結果に基づく表示として、表示された3次元モデル81において、形状が不正確な部分(平行部分)と判定された部分が色付けされることによって識別可能なように表示される。
【0050】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0051】
本実施形態のX線撮影システム100では、上記のように、線状の構造を有するデバイス80のうちから、X線画像11(第1X線画像)およびX線画像12(第2X線画像)のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、生成されたデバイス80の3次元モデル81における形状が不正確な部分を判定する。そして、生成されたデバイス80の3次元モデル81と、3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する。ここで、被検体101の体内に配置される線状の構造を有するデバイス80において、X線画像11およびX線画像12のうちの一方において他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分は、X線画像11およびX線画像12に基づいて3次元モデル81を生成した場合に不正確な部分となる。この点を考慮して、本実施形態では、生成されたデバイス80の3次元モデル81と、3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する。これにより、表示された判定結果に基づく表示を視認することによって、表示された3次元モデル81において、実際のデバイス80の形状と異なる形状を有する可能性がある不正確な部分を認識することができる。その結果、互いに異なる2方向の撮影角度におけるX線撮影によって生成されたX線画像11およびX線画像12に基づいて被検体101の体内に配置されるデバイス80の3次元モデル81を生成する場合に、実際のデバイス80と異なる形状をユーザが認識することを抑制することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、更なる効果が得られる。
【0053】
すなわち、本実施形態では、上記のように、判定部64(制御部6)は、被検体101の血管内に配置されたガイドワイヤを含むデバイス80のうちから平行部分を識別することによって、3次元モデル81における形状が不正確な部分を判定するように構成されており、表示部4は、ガイドワイヤを含むデバイス80の3次元モデル81と、判定部64による3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示するように構成されている。このように構成すれば、血管内に配置されたガイドワイヤを含むデバイス80の3次元モデル81を生成する場合に、ユーザは、表示部4に表示された3次元モデル81と、3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを視認することによって、実際に血管内に配置されているデバイス80と異なる形状を認識することを抑制することができる。そのため、ユーザが表示された3次元モデル81を視認しながらデバイス80を血管内において移動させるなどの手技を行う場合に、手技の正確性が低下することを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、表示部4は、判定部64(制御部6)により判定された3次元モデル81における形状が不正確な部分を、色付けすることによって識別可能に表示するように構成されている。このように構成すれば、3次元モデル81における形状が不正確な部分が色付けされて表示されているため、ユーザは、表示部4を視認することによって、3次元モデル81における形状が不正確な部分を直感的かつ容易に認識することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、表示部4は、判定部64(制御部6)により3次元モデル81における形状が不正確な部分が判定された場合に、3次元モデル81における形状が判断可能なように第1撮影角度および第2撮影角度とは異なる撮影角度からのX線撮影を提案する提案情報41を表示するように構成されている。このように構成すれば、生成された3次元モデル81において形状が不正確な部分が存在する場合に、提案情報41が表示されるため、不正確な部分を無くすように撮影角度を変更する場合に、ユーザは、表示部4を視認することによって表示された提案情報41を容易に参照することができる。その結果、提案情報41を容易に参照することができるので、不正確な部分を無くすように撮影角度を容易に変更することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、提案情報41は、第1撮影角度における第1の照射軸線(D1方向)に平行な方向と、第2撮影角度における第2の照射軸線(D2方向)に平行な方向との両方に交差する方向の撮影角度におけるX線撮影を行うように撮影部2を移動させる推奨移動方向を含む。このように構成すれば、ユーザは、提案情報41を視認することによって提案された推奨移動方向を認識することができるので、具体的にいずれの方向に撮影角度を変更すればよいかを容易に認識することができる。そのため、3次元モデル81における不正確な部分を無くすために、ユーザは、撮影角度をいずれの角度方向に移動すればよいかを容易に判断することができる。その結果、ユーザは、不正確な部分を無くすように撮影角度をより容易に変更することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、撮影部2は、第1撮影角度におけるX線撮影を行う第1撮影部21と、第2撮影角度におけるX線撮影を行う第2撮影部22とを含み、判定部64(制御部6)は、線状の構造を有するデバイス80のうちからエピポーラ線に沿って延びる平行部分を識別することによって、第1撮影部21によるX線撮影によって生成されたX線画像11(第1X線画像)と、第2撮影部22によるX線撮影によって生成されたX線画像12(第2X線画像)とに基づいて3次元モデル生成部63(制御部6)により生成されたデバイス80の3次元モデル81における形状が不正確な部分を判定するように構成されている。このように構成すれば、第1撮影部21と第2撮影部22との各々によって、互いに異なる2方向の撮影角度のX線撮影によるX線画像11とX線画像12とを同時に取得することができる。そのため、1つの撮影部2を移動させながら互いに異なる2方向の撮影角度によるX線撮影を行うことによってX線画像11およびX線画像12を取得する場合と異なり、3次元モデル81を生成するために撮影部2を逐一移動させる手間を抑制しながらX線画像11およびX線画像12に基づいてリアルタイムに3次元モデル81を生成することができる。その結果、撮影部2を移動させる手間を抑制しながらリアルタイムに生成された3次元モデル81を視認して手技を行うことができるとともに、判定部64による判定結果に基づく表示が表示されるので、ユーザは、リアルタイムに生成される3次元モデル81においても形状が不正確な部分を認識することができる。
【0058】
(本実施形態による画像生成方法の効果)
本実施形態のデバイス表示方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0059】
本実施形態のデバイス表示方法では、上記のように構成することにより、線状の構造を有するデバイス80のうちから、X線画像11(第1X線画像)およびX線画像12(第2X線画像)のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、生成されたデバイス80の3次元モデル81における形状が不正確な部分を判定する。そして、生成されたデバイス80の3次元モデル81と、3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する。ここで、被検体101の体内に配置される線状の構造を有するデバイス80において、X線画像11およびX線画像12のうちの一方において他方のX線画像を生成するための撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分は、X線画像11およびX線画像12に基づいて3次元モデル81を生成した場合に不正確な部分となる。この点を考慮して、本実施形態では、生成されたデバイス80の3次元モデル81と、3次元モデル81における形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する。これにより、表示された判定結果に基づく表示を視認することによって、表示された3次元モデル81において、実際のデバイス80の形状と異なる形状を有する可能性がある不正確な部分を認識することができる。その結果、互いに異なる2方向の撮影角度におけるX線撮影によって生成されたX線画像11およびX線画像12に基づいて被検体101の体内に配置されるデバイス80の3次元モデル81を生成する場合に、実際のデバイス80と異なる形状をユーザが認識することを抑制することが可能なデバイス表示方法を提供することができる。
【0060】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、被検体101の血管内に配置されたガイドワイヤを含むデバイス80の3次元モデル81を生成する例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、3次元モデルを生成するデバイスは、医療用のカテーテルであってもよい。たとえば、3次元モデルを生成するデバイスは、被検体の内にステントを留置するためのバルーンカテーテル、または、血管内の狭窄部位を切削する高速回転冠動脈アテレクトミー(RotationalCoronary Atherectomy)であってもよい。また、デバイスは、ステント自体であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では3次元モデルにおける形状が不正確な部分を、複数の色によって色付けすることによって識別可能に表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図9に示す変形例による3次元モデル281のように、エピポーラ線との角度差が所定の判定しきい値よりも小さい部分を平行部分であると判定するとともに、平行部分であると判定された部分のみを1色の色によって色付けすることによって、3次元モデル281における不正確な部分を識別可能に表示するようにしてもよい。なお、図9では、色の違いをハッチングの差異によって表している。また、複数の色によって色付けする場合に、色相を徐々に変化させるグラデーションによって色分けするようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では3次元モデル81において形状が不正確な部分が判定された場合に、第1撮影角度または第2撮影角度から、推奨される角度方向への移動を提案する推奨移動方向を含む提案情報41を表示部4に表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、提案情報は、推奨移動方向の角度方向ではなく、具体的な撮影角度(LAO30度、または、RAO45度など)を示すようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では第1撮影部21と第2撮影部22との2つの撮影機構を備えるバイプレーン型の撮影部2の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、1つの撮影部(1組のX線照射部およびX線検出部)を用いて、撮影角度を変更しながら互いに異なる2つの撮影角度によるX線撮影を行うことによって、第1X線画像および第2X線画像を生成するように構成してもよい。
【0065】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0066】
(項目1)
線状の構造を有するデバイスが体内に配置された被検体にX線を照射するX線照射部と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを含み、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々において前記被検体に対してX線撮影を行う撮影部と、
前記第1撮影角度のX線撮影によって生成された第1X線画像と、前記第2撮影角度のX線撮影によって生成された第2X線画像とに基づいて、前記被検体の体内に配置された前記デバイスの3次元モデルを生成する3次元モデル生成部と、
線状の構造を有する前記デバイスのうちから、前記第1X線画像および前記第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための前記撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、前記3次元モデル生成部により生成された前記デバイスの前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定する判定部と、
前記3次元モデル生成部により生成された前記デバイスの前記3次元モデルと、前記判定部による前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示する表示部と、を備える、X線撮影システム。
【0067】
(項目2)
前記判定部は、前記被検体の血管内に配置されたガイドワイヤまたはカテーテルを含む前記デバイスのうちから前記平行部分を識別することによって、前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定するように構成されており、
前記表示部は、ガイドワイヤまたはカテーテルを含む前記デバイスの前記3次元モデルと、前記判定部による前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示するように構成されている、項目1に記載のX線撮影システム。
【0068】
(項目3)
前記表示部は、前記判定部により判定された前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を、色付けすることによって識別可能に表示するように構成されている、項目1または2に記載のX線撮影システム。
【0069】
(項目4)
前記表示部は、前記判定部により前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分が判定された場合に、前記3次元モデルにおける形状が判断可能なように前記第1撮影角度および前記第2撮影角度とは異なる前記撮影角度からのX線撮影を提案する提案情報を表示するように構成されている、項目1~3のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【0070】
(項目5)
前記提案情報は、前記第1撮影角度における第1の前記照射軸線に平行な方向と、前記第2撮影角度における第2の前記照射軸線に平行な方向との両方に交差する方向の前記撮影角度におけるX線撮影を行うように前記撮影部を移動させる推奨移動方向を含む、項目4に記載のX線撮影システム。
【0071】
(項目6)
前記撮影部は、前記第1撮影角度におけるX線撮影を行う第1撮影部と、前記第2撮影角度におけるX線撮影を行う第2撮影部とを含み、
前記判定部は、線状の構造を有する前記デバイスのうちから前記エピポーラ線に沿って延びる前記平行部分を識別することによって、前記第1撮影部によるX線撮影によって生成された前記第1X線画像と、前記第2撮影部によるX線撮影によって生成された前記第2X線画像とに基づいて前記3次元モデル生成部により生成された前記デバイスの前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定するように構成されている、項目1~5のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【0072】
(項目7)
線状の構造を有するデバイスが体内に配置された被検体を透過したX線を検出することによって、互いに異なる2方向の撮影角度である第1撮影角度および第2撮影角度の各々におけるX線撮影を行うステップと、
前記第1撮影角度のX線撮影によって生成された第1X線画像と、前記第2撮影角度のX線撮影によって生成された第2X線画像とに基づいて、前記被検体の体内に配置された前記デバイスの3次元モデルを生成するステップと、
線状の構造を有する前記デバイスのうちから、前記第1X線画像および前記第2X線画像のうちの一方において、他方のX線画像を生成するための前記撮影角度におけるX線の照射軸線を示すエピポーラ線に平行な方向に沿って延びる平行部分を識別することによって、生成された前記デバイスの前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分を判定するステップと、
生成された前記デバイスの前記3次元モデルと、前記3次元モデルにおける形状が不正確な部分の判定結果に基づく表示とを表示するステップと、を備える、デバイス表示方法。
【符号の説明】
【0073】
2 撮影部
4 表示部
11 X線画像(第1X線画像)
12 X線画像(第2X線画像)
21 第1撮影部
21a、22a X線照射部
21b、22b X線検出部
22 第2撮影部
41 提案情報
63 3次元モデル生成部
64 判定部
80 デバイス
81、281 3次元モデル
100 X線撮影システム
101 被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9