(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/90 20060101AFI20241112BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241112BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20241112BHJP
G01W 1/00 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
G01S13/90 191
H04N23/60 500
H04N23/66
G01W1/00 Z
G01S13/90 127
(21)【出願番号】P 2024030119
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2022579358の分割
【原出願日】2021-12-01
【審査請求日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2021015660
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛道
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔平
(72)【発明者】
【氏名】粂野 博行
(72)【発明者】
【氏名】清水 太朗
(72)【発明者】
【氏名】牧山 紘
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-237667(JP,A)
【文献】特開2005-241455(JP,A)
【文献】特開2020-144129(JP,A)
【文献】特開2012-173836(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105865427(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
H04N 23/60
H04N 23/66
G01W 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生済みのイベントに基づくデータであって、前記イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する取得手段と、
前記イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定する特定手段と、
前記撮像装置が前記対象範囲を撮像するように、前記撮像装置の撮像計画を生成する生成手段と、
所定の経路を算出する経路算出手段と、
を備え、
前記経路算出手段は、前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を含まない経路を算出する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段は、船舶の航路データ、及び、過去の海氷の変動を示す海氷データの少なくともいずれかを前記イベントデータとして取得し、
前記特定手段は、前記イベントデータに基づいて、船舶が通行可能となる箇所を推定し、推定された当該箇所を前記対象範囲として特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、海上の氷結している範囲と氷結していない範囲とを識別する情報である氷結識別情報に基づいて、船舶が通行可能な航路を算出する航路算出手段を備える、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、過去に水域が発生した場所に関するデータ、及び、過去に所定の病気が発生した人物の人数と場所とが関連付けられたデータの少なくともいずれかを前記イベントデータとして取得し、
前記特定手段は、前記イベントデータに基づいて、水域が発生する箇所を推定し、推定された当該箇所を前記対象範囲として特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて、地表面に発生した水域を示す水域情報を含む変化情報を生成する、変化情報生成手段と、
前記水域情報と、人口の分布を示す分布情報と、に基づいて、前記水域から発生する生物を媒介した病気に対する医薬品を提供する地域を選定する選定手段と、を備える、
請求項1または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
発生済みのイベントに基づくデータであって、前記イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得し、
前記イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定し、
前記撮像装置が前記対象範囲を撮像するように、前記撮像装置の撮像計画を生成し、
所定の経路を算出する、
方法であって、
前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を含まない経路を算出する、
情報処理方法。
【請求項7】
船舶の航路データ、及び、過去の海氷の変動を示す海氷データの少なくともいずれかを前記イベントデータとして取得し、
前記イベントデータに基づいて、船舶が通行可能となる箇所を推定し、推定された当該箇所を前記対象範囲として特定する、
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、海上の氷結している範囲と氷結していない範囲とを識別する情報である氷結識別情報に基づいて、船舶が通行可能な航路を算出する、
請求項6または7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
発生済みのイベントに基づくデータであって、前記イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する取得処理と
前記イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定する特定処理と、
前記撮像装置が前記対象範囲を撮像するように、前記撮像装置の撮像計画を生成する生成処理と、
所定の経路を算出する経路算出処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記経路算出処理は、前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を含まない経路を算出する、
プログラム。
【請求項10】
前記取得処理は、船舶の航路データ、及び、過去の海氷の変動を示す海氷データの少なくともいずれかを前記イベントデータとして取得し、
前記特定処理は、前記イベントデータに基づいて、船舶が通行可能となる箇所を推定し、推定された当該箇所を前記対象範囲として特定する、
請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地表面を撮像する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な場面において、地表面の状況を把握したいというニーズがある。このような場合に、所定の撮像装置によって地表面が撮像された画像を用いることにより、地表面の状況を把握することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、レーダ装置を搭載した人工衛星を用いて災害発生後の地表面を撮像し、災害発生前後のレーダ画像データを比較することにより、地表面の被災状況を把握することが記載されている。
【0004】
このような、災害が発生した場面であれば、災害が発生した場所についての状況を把握することが主に求められる。そのためには、災害が発生した場所を特定し、特定された場所を撮像するような撮像計画をたてる必要がある。しかしながら、特許文献1では、災害が発生した場所(すなわち、撮像する対象とする地表面の範囲)を特定する方法については記載されていない。
【0005】
これに対して、特許文献2には、気象データを監視することにより災害が発生する場所を予測し、予測された場所を撮像するように撮像計画がたてられた衛星から衛星画像を取得し、予測された場所の状況を把握することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2008/016153号
【文献】特開2003-016153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の技術では、降水量が所定の閾値以上となった場合等、監視中の気象データの値が閾値を超えた場合に、閾値を超えた気象データが観測された場所を、異常が発生した場所として特定し、特定された場所を撮像するように撮像計画を生成する。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、監視中の気象データにおいて異常が発生したと判断される時にのみ撮像する範囲を決定している。そのため、特許文献2に記載の技術では、撮像計画を生成する場面が制限される虞がある。
【0008】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、撮像計画の生成を支援することが可能な情報処理装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様にかかる情報処理装置は、発生済みのイベントに基づくデータであって、前記イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する取得手段と前記イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定する特定手段と、前記撮像装置が前記対象範囲を撮像するように、前記撮像装置の撮像計画を生成する生成手段と、所定の経路を算出する経路算出手段と、を備え、前記経路算出手段は、前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を含まない経路を算出する。
【0010】
本開示の一態様にかかる情報処理方法は、発生済みのイベントに基づくデータであって、前記イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得し、前記イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定し、前記撮像装置が前記対象範囲を撮像するように、前記撮像装置の撮像計画を生成し、所定の経路を算出する、方法であって、前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を含まない経路を算出する。
【0011】
本開示の一態様にかかるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、発生済みのイベントに基づくデータであって、前記イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する取得処理と、前記イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定する特定処理と、前記撮像装置が前記対象範囲を撮像するように、前記撮像装置の撮像計画を生成する生成処理と、所定の経路を算出する経路算出処理と、をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記経路算出処理は、前記撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を含まない経路を算出する、前記プログラムを格納する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、撮像計画の生成を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1の実施形態の情報処理装置を含む撮像支援システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態の撮像支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態の情報処理装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図4】本開示の第1の実施形態の情報処理装置の動作の他の一例を説明するフローチャートである。
【
図5】本開示の第2の実施形態の撮像支援システムの機能構成の一例を含むブロック図である。
【
図6】本開示の第2の実施形態の撮像支援システムによって出力される画像の一例を示す図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態の情報処理装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】本開示の第2の実施形態の情報処理装置の動作の他の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】本開示の第3の実施形態の撮像支援システムの機能構成の一例を含むブロック図である。
【
図10】本開示の第3の実施形態の情報処理装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図11】本開示の第3の実施形態の情報処理装置の動作の他の一例を説明するフローチャートである。
【
図12】本開示の第4の実施形態の撮像支援システムの機能構成の一例を含むブロック図である。
【
図13】本開示の第4の実施形態の情報処理装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図14】本開示の第4の実施形態の情報処理装置の動作の他の一例を説明するフローチャートである。
【
図15】本開示の第5の実施形態の情報処理装置の機能構成の一例を含むブロック図である。
【
図16】本開示の第5の実施形態の情報処理装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図17】本開示の第1、第2、第3、第4及び第5の実施形態の情報処理装置を実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の情報処理装置を含む撮像支援システムについて説明する。
【0016】
図1は、第1の実施形態の情報処理装置100を含む撮像支援システム1000の構成の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、撮像支援システム1000は、情報処理装置100と、撮像装置200と、記憶装置300と、を含む。撮像支援システム1000は、端末装置400をさらに含むように構成されてもよいし、情報処理装置100と撮像装置200とを備え、記憶装置300及び端末装置400と通信するように構成されてもよい。情報処理装置100は、例えば、撮像装置200と記憶装置300と端末装置400と、ネットワークを介して通信可能に接続される。なお、記憶装置300は、情報処理装置100に搭載されてもよい。
【0017】
情報処理装置100は、端末装置400からの要求に応じて、後述する撮像計画を生成する。撮像装置200は、撮像計画に従って地表面を撮像し、撮像した結果に基づくデータを記憶装置300に格納する。このように、撮像支援システム1000は、撮像装置200が地表面を撮像する計画を示す撮像計画を、生成するシステムである。
【0018】
次に
図2を用いて、撮像支援システム1000の詳細を説明する。
図2は、第1の実施形態の撮像支援システム1000の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
[撮像装置200の詳細]
撮像装置200は、地表面を撮像する機能を有する装置である。撮像装置200は、複数存在していてもよい。撮像装置200は、例えば、人工衛星である。この場合、撮像装置200は、上空の軌道上を移動しながら地表面を撮像している。撮像装置200は、例えば、撮像装置200に搭載される合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar;SAR)を用いて、上空から地表面を撮像する。撮像装置200は、地表面を撮像した結果に基づく画像である撮像データを生成する。具体的には、撮像装置200は、合成開口レーダを用いて上空から地表面に電磁波を照射し、地表面から合成開口レーダの方向に反射された電磁波(反射波)を取得する。撮像データには、撮像装置200が取得した反射波に関するデータが含まれる。反射波に関するデータは、例えば、反射波の強度、位相、及び偏波等のデータである。撮像装置200は、合成開口レーダを用いることにより、天候が悪い場合であっても、地表面を撮像した撮像データを生成することができる。なお、撮像装置200は、合成開口レーダに限らず、光学センサ等の撮像可能な各種センサまたはレーダを用いて上空から地表面を撮像してもよい。この場合、撮像データは、各種センサまたはレーダによって地表面が撮像された結果に基づく画像となる。
【0020】
ここで、撮像装置200によって撮像された地表面の範囲を撮像範囲とも称する。すなわち、撮像データは、撮像範囲が撮像された結果に基づく画像である。撮像装置200は、撮像データを記憶装置300に格納する。具体的には、撮像装置200は、撮像データを撮像データ記憶部310に格納する。このとき、撮像装置200は、撮像データと、撮像範囲を示すデータと、撮像された時点を示すデータと、を関連付けて、撮像データ記憶部310に格納してもよい。撮像範囲を示すデータは、緯度及び経度の情報であってもよいし、地表面の位置を特定可能な他の情報であってもよい。撮像された時点を示すデータは、撮像が行われた日付を含む情報であってもよいし、撮像が行われた時刻を含む情報であってもよい。
【0021】
なお、本明細書において、「地表面」は、陸地及び海を含む。さらに「地表面」には、陸地の表面上または海上に存在する物体を含む。陸地の表面上または海上に存在する物体は、例えば、建造物、道路、河川、森林及び海氷等である。また、本明細書では、撮像装置200が撮像データ(画像)を生成する例について説明するが、撮像装置200が撮像データを生成しなくてもよい。例えば、図示しない地上局装置が、撮像装置200から、各種センサまたはレーダによって取得された情報を取得し、地上局装置が、当該情報を画像化することにより撮像データを生成してもよい。この場合、地上局装置が撮像データ記憶部310に撮像データを格納する。
【0022】
撮像装置200は、撮像計画に従って地表面を撮像する。撮像計画は、撮像装置200が、いつ、どこを撮像するかを特定可能な情報である。撮像計画には、例えば、撮像装置200が移動する軌道と、撮像時間と、撮像に用いられる各種センサまたはレーダの撮像方向と、を示す情報が含まれる。撮像時間には、撮像を行う時点を示す情報に加え、撮像を開始してから終了するまでの時間を示す情報を含んでもよい。各種センサまたはレーダの撮像方向は、各種センサの受光器の角度、または、各種レーダのアンテナの角度を含む。なお、撮像計画は、撮像装置200がいつ、どこを撮像するか、が特定可能な形式であれば、この例に限らない。
【0023】
[記憶装置300の詳細]
図2に示すように、記憶装置300は、撮像データ記憶部310と、イベントデータ記憶部320と、撮像計画記憶部330と、を備える。
【0024】
撮像データ記憶部310には、撮像装置200によって地表面が撮像された結果に基づく撮像データが格納される。撮像データは、撮像装置200から記憶装置300に送信される。撮像データ記憶部310には、情報処理装置100が撮像計画を生成する前に生成された撮像データが含まれてもよい。なお、上述のように、図示しない地上局装置が存在する場合、撮像データは、地上局装置から記憶装置300に送信される。
【0025】
イベントデータ記憶部320には、イベントデータが格納される。イベントデータは、過去に発生したイベントに基づくデータであって、イベントに関連する地表面の位置の情報を含むデータである。例えば、イベントデータは、過去に発生した地震、台風及び津波等の災害によって生じた、土砂崩れ、洪水、及び地盤変動等の被害を受けた場所に関するデータ(災害データと称する)であってもよいし、過去に発生した災害の情報等から予測される、災害発生時の被害範囲を示すハザードマップであってもよい。また、イベントデータは、過去に発生した降雨及び降雪と、当該降雨及び降雪が観測された位置の情報とが関連付けられたデータであってもよい。また、イベントデータは、複数の所定の範囲において、過去に所定の病気が発生した人物の人数を示すデータであってもよい。また、イベントデータは、過去に観測された海氷の状態を示すデータであってもよい。また、イベントデータは、自動車、飛行機、船舶等の移動体が過去に移動した経路を示すデータであってもよい。なお、イベントデータはこの例に限らない。イベントデータは、撮像支援システム1000が使用される場面に応じて異なっていてもよい。
【0026】
ここで、「過去に発生したイベント」とは、所定の時点より前に発生したイベントを示す。本明細書では、一例として、「過去に発生したイベント」を、後述する「情報処理装置100が端末装置400から撮像計画の生成要求を受け付けた時点より前に発生したイベント」として説明する。なお、本明細書において、「過去に発生した」ことを「発生済み」と表現することもある。
【0027】
撮像計画記憶部330には、情報処理装置100によって生成された撮像計画を格納する。また、撮像計画記憶部330には、撮像装置200に関する情報である装置情報が予め格納されている。装置情報には、例えば、撮像装置200の仕様、及び撮像装置200に搭載されているセンサまたはレーダの、仕様に関する情報が含まれる。さらに、撮像装置200が人工衛星である場合、装置情報には、例えば、撮像装置200が移動可能な軌道の情報が含まれる。装置情報には、少なくとも、撮像計画を生成するために必要な情報が含まれる。なお、撮像装置200が複数存在する場合、撮像計画記憶部330には、撮像装置200のそれぞれに対する撮像計画と、撮像装置200のそれぞれに関する装置情報とが格納される。
【0028】
[端末装置400の詳細]
端末装置400は、所定の入出力手段を備えた装置である。例えば、端末装置400は、パーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォンまたはタブレット型端末等の携帯型の端末であってもよい。
【0029】
端末装置400は、ネットワークを介して各種の情報を取得し、取得した情報を出力する。例えば、端末装置400は、情報処理装置100によって生成された撮像計画を示す情報、及び、撮像装置200によって生成された撮像データを取得し、取得した情報を端末装置400が備えるディスプレイに出力してもよい。また、端末装置400は、ユーザによる入力に基づいて、情報処理装置100に各種の情報を送信してもよい。例えば、端末装置400は、ユーザによって入力された情報に基づいて、撮像計画を生成する要求を情報処理装置100に送信してもよい。
【0030】
なお、
図1及び
図2では、端末装置400は記憶装置300と接続されていないが、端末装置400は記憶装置300とも通信可能に接続されるよう構成されてもよい。
【0031】
[情報処理装置100の詳細]
図2に示すように、情報処理装置100は、受付部110、取得部120、特定部130、生成部140、撮像制御部150、及び出力制御部160を備える。
【0032】
受付部110は、端末装置400から撮像計画の生成要求を受け付ける。以降、「撮像計画の生成要求」を、単に「生成要求」とも称する。生成要求は、例えば、端末装置400に、ユーザが所定の入力を行うことにより通知される。生成要求には、地表面の所定の範囲を指定する情報(以下、範囲指定情報と称する)が含まれる。範囲指定情報は、例えば、緯度及び経度の情報であってもよいし、「北極海」、「日本」または「神奈川県」といった特定の地域を示す情報であってもよい。
【0033】
また、受付部110は、端末装置400から各種の要求を受け付けてもよい。例えば、受付部110は、撮像データの出力要求を受け付けてもよい。この場合、出力要求には、例えば、地表面の範囲を示す情報と、時点を示す情報とが含まれる。
【0034】
取得部120は、記憶装置300からイベントデータを取得する。このとき、取得部120は、生成要求に含まれる範囲指定情報によって指定された範囲に関するイベントデータであって、撮像支援システム1000が使用される場面に応じたイベントデータを取得する。例えば、生成要求には、「神奈川県」を示す範囲指定情報が含まれ、撮像支援システム1000のユーザは、地震の発生時に被害が発生すると予測される範囲を撮像することを目的としているとする。この場合、取得部120は、「神奈川県」において過去に発生した地震によって生じた被害状況に関するデータや、「神奈川県」において地震が発生した場合のハザードマップ等を取得する。このような、撮像支援システム1000が使用される場面(すなわち、使用の目的)の設定については、ユーザによって予め設定される。なお、目的を設定する方法については、この例に限らない。例えば、ユーザが所定の入力を行うことによって生成される目的を示す情報が、生成要求に含まれていてもよい。この場合、取得部120が、生成要求に含まれる目的を示す情報と範囲指定情報とに基づいて、イベントデータを取得する。取得部120は、複数のイベントデータを取得してもよい。
【0035】
このように、取得部120は、発生済みのイベントに基づくデータであって、イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する。取得部120は、取得手段の一例である。
【0036】
また、取得部120は、記憶装置300から撮像データを取得してもよい。例えば、撮像データ記憶部310に、対象範囲が撮像された撮像データが格納された場合に、取得部120は、当該撮像データを取得する。このとき、対象範囲が撮像された撮像データが、記憶装置300に格納されたことを、取得部120が検知することに応じて、当該撮像データを取得してもよいし、当該撮像データが格納されたことを示す通知を記憶装置300が情報処理装置100に送ることによって、取得部120が、当該撮像データを取得してもよい。また、取得部120は、受付部110が、撮像データの出力要求を受け付けた場合に、出力要求に応じた撮像データを取得してもよい。例えば、取得部120は、出力要求に示される地表面の範囲が、撮像された撮像データであって、出力要求に示される時点付近に撮像された撮像データを取得する。
【0037】
特定部130は、イベントデータに基づいて、撮像する対象とする地表面の範囲を特定する。なお、本明細書において、撮像する対象とする地表面の範囲を、「対象範囲」と称する。例えば、取得部120によって取得されたイベントデータが、地震が発生した場合のハザードマップであるとする。この場合、特定部130は、例えば、ハザードマップから、地震が起きた場合に地盤の変化が所定の規模以上となる範囲を抽出する。そして、特定部130は、抽出した範囲を、対象範囲として特定する。このように、特定部130は、イベントデータから、例えば、所定の規模以上に地形が変化すると推定される範囲を特定する。なお、上述のイベントデータから対象範囲を特定する方法は、一例であり、この例に限らない。特定部130は、イベントデータに含まれる各種情報を用いて所定の範囲を抽出し、対象範囲として特定することが可能である。なお、特定部130は、対象範囲を複数特定してもよい。
【0038】
さらに、特定部130は、複数のイベントデータに基づいて対象範囲を特定してもよい。このとき、特定部130は、例えば、イベントデータごとに所定の規模以上に地形が変化すると推定される範囲を抽出し、複数の抽出された範囲が重なる範囲を対象範囲として特定してもよい。また、特定部130は、複数のイベントデータに基づいて、地形が変化する規模に応じたスコアを、予め区切られた地表面の範囲ごとに算出し、スコアが所定の値以上である範囲を対象範囲として特定してもよい。なお、対象範囲を特定する例は、この例に限らない。
【0039】
このように、特定部130は、イベントデータに基づいて、撮像装置200による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定する。特定部130は、特定手段の一例である。
【0040】
生成部140は、撮像計画を生成する。具体的には、生成部140は、撮像装置200が、特定部130によって特定された対象範囲を撮像するように撮像計画を生成する。例えば、生成部140は、撮像計画記憶部330から、撮像装置200に関する装置情報を取得する。そして、生成部140は、装置情報を用いて、撮像装置200が対象範囲を撮像することが可能な軌道と、撮像方向と、撮像時間と、を撮像計画として生成する。このとき、生成部140は、受付部110が生成要求を受け付けた時点から最も破却、撮像装置200が、対象範囲を撮像することが可能な撮像計画を生成してもよい。また、生成部140は、撮像装置200が、一度だけでなく、定期的に対象範囲を撮像するように撮像計画を生成してもよい。生成部140は、生成した撮像計画を撮像計画記憶部330に格納する。
【0041】
このように生成部140は、撮像装置200が対象範囲を撮像するように、撮像装置200の撮像計画を生成する。生成部140は、生成手段の一例である。
【0042】
撮像制御部150は、撮像装置200を制御する。例えば、生成部140によって撮像計画が生成されたときに、撮像制御部150は、撮像装置200に当該生成された撮像計画に従って撮像するよう、撮像装置200を制御する。なお、撮像装置200を制御する方法は、種々の公知の方法であってよい。
【0043】
出力制御部160は、端末装置400に各種の情報を出力する。例えば、受付部110が生成要求を受け付けた場合、出力制御部160は、生成された撮像計画を示す情報を端末装置400に出力する。このとき、出力制御部160は、撮像計画を示す情報に加え、撮像計画の生成に用いられたイベントデータを示す情報を出力してもよい。また、出力制御部160は、撮像データが生成された際に、撮像データを端末装置400に出力してもよい。
【0044】
[情報処理装置100の動作]
次に、情報処理装置100の動作の一例を、
図3及び
図4を用いて説明する。なお、本開示において、フローチャートの各ステップを「S101」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0045】
図3は、情報処理装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図3は、情報処理装置100が生成要求を受け付けた場合の動作の一例を説明する図である。受付部110は、端末装置400から、撮像計画の生成要求を受け付ける(S101)。次に取得部120は、イベントデータを取得する(S102)。例えば、取得部120は、生成要求、及び予め設定されている目的を示す情報に応じて、イベントデータを取得する。特定部130は、取得されたイベントデータに基づいて、対象範囲を特定する(S103)。生成部140は、特定された対象範囲を示す情報と、装置情報と、に基づいて、撮像装置200が対象範囲を撮像するように撮像計画を生成する(S104)。このとき、生成部140は、生成された撮像計画を、撮像計画記憶部330に格納する。そして、撮像制御部150は、生成された撮像計画に従って撮像を行うように、撮像装置200を制御する(S105)。出力制御部160は、生成された撮像計画を示す情報を端末装置400に出力する(S106)。
【0046】
なお、
図3に示す動作例において、出力制御部160が、撮像計画を示す情報を端末装置400に出力しているが、必ずしも撮像計画を示す情報を出力しなくともよい。また、S106の処理は、S105の処理の前に行われてもよいし、S105の処理と同時に行われてもよい。
【0047】
図4は、情報処理装置100の動作の他の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図4は、撮像装置200によって撮像データが生成された際の情報処理装置100の動作の一例を説明する図である。対象範囲が撮像された撮像データが、撮像データ記憶部310に格納された場合(S201のYes)、取得部120は、対象範囲が撮像された撮像データを取得する(S202)。出力制御部160は、取得部120によって取得された撮像データを端末装置400に出力する。
【0048】
以上のように、第1の実施形態の情報処理装置100は、発生済みのイベントに基づくデータであって、イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する。そして、情報処理装置100は、イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定し、撮像装置が対象範囲を撮像するように、撮像装置の撮像計画を生成する。このように、情報処理装置100は対象範囲の特定のために、上記のようなイベントデータを用いているため、例えば、地表面の現在の状況に関わらず、対象範囲の特定及び撮像計画の生成を行うことができる。そのため、例えば、情報処理装置100は、地表面において発生する異常が顕在化する前であっても、異常が発生すると推定される範囲を撮像対象とした撮像計画を生成することが可能である。これは、例えば、監視中のデータにおいて異常が発生したときに撮像計画を生成する場合に比べて、撮像計画を生成する場面が制限されていない。以上より、第1の実施形態の情報処理装置100は、撮像計画の生成を支援することができる。
【0049】
[変形例1]
撮像装置200を人工衛星とした例について説明したが、撮像装置200は、この例に限らない。例えば、撮像装置200は、有人または無人の航空機であってもよい。有人の航空機は、例えば、飛行機、ヘリコプター、及び飛行船等である。無人の航空機は、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)、小型無人機またはドローンと呼ばれることもある。有人の航空機と無人の航空機とを区別しない場合、単に航空機と称する。
【0050】
撮像装置200が航空機である場合、撮像装置200は、例えば、ユーザの指示に応じて飛行し、飛行している間に地表面の撮像を行う。また、撮像計画は、いつどこからどの範囲を撮影するかを示す情報として生成される。
【0051】
[変形例2]
情報処理装置100が撮像装置200を制御している例を説明したが、情報処理装置100と異なる、図示しない制御装置が撮像装置200の制御を行ってもよい。この場合、情報処理装置100によって生成された撮像計画に基づいて、制御装置が撮像装置を制御する。当該制御装置は、上述した、図示しない地上局装置と一体に構成されてもよいし、地上局装置とは異なる装置であってもよい。
【0052】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の撮像支援システムについて説明する。第2の実施形態では、災害が発生時に、撮像計画を生成する場合の、撮像支援システムについて、詳細に説明する。
【0053】
図5は、第2の実施形態の撮像支援システム1001の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、撮像支援システム1001は、第1の実施形態における情報処理装置100及び記憶装置300に代わり、情報処理装置101及び記憶装置301を備え、それ以外については、第1の実施形態で説明した撮像支援システム1000と同様である。すなわち、撮像支援システム1001は、情報処理装置101と、撮像装置200と、記憶装置301と、を備える。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0054】
[記憶装置301の詳細]
記憶装置301は、第1の実施形態におけるイベントデータ記憶部320に代わり、地理空間情報記憶部321を備える。
【0055】
地理空間情報記憶部321には、地理空間情報が格納される。地理空間情報は、地表面の位置を示す位置データと、当該位置の地形に関するデータ、当該位置に存在する物体に関するデータ、当該位置において発生した事象に関するデータ、及び当該位置を示す画像データ等とが関連付けられた情報である。地形に関するデータには、例えば、地形図、地質を示す情報、及び地盤を示す情報等が含まれる。物体に関するデータには、例えば、建造物の種類及び場所の情報を含む建造物情報、並びに道路マップ等が含まれる。事象に関するデータには、例えば、過去に発生した災害及び事故に関する情報や、ハザードマップ等が含まれる。位置を示す画像データには、例えば、空中写真及び衛星画像等が含まれる。地理空間情報には、計測や調査によって得られたデータ、及び当該データに基づく分析の結果を表す情報が含まれてもよい。また、地理空間情報には、計測や調査によって得られたデータに基づいて人為的に定められた情報が含まれてもよい。また、地理空間情報には、災害データ及び気象データ等が含まれる。さらに、地理空間情報には、インターネット上に公開されている情報が含まれてもよい。すなわち、地理空間情報には、上述したイベントデータも含まれる。
【0056】
地理空間情報は、例えば、地理情報システム(Geographic Information System:GIS)と呼ばれるシステムにおいて用いられる。GISは、例えば、地図に、地図上の位置に対応する上述の各種データを重畳して出力する。地理空間情報は、GISデータと呼ばれることもある。なお、地理空間情報は、GIS専用のデータに限らず、GISでないシステムにおいて用いられてもよい。
【0057】
[情報処理装置101の詳細]
図5に示すように、情報処理装置101は、受付部110と、取得部121と、特定部131と、生成部140と、撮像制御部150と、出力制御部161と、変化情報生成部170と、経路算出部180と、を備える。
【0058】
取得部121は、イベントデータを地理空間情報記憶部321から取得する。例えば、取得部121は、生成要求によって指定された範囲における災害データやハザードマップを、イベントデータとして取得する。
【0059】
また、取得部121は、即時データを取得する。即時データとは、受付部110が端末装置400から生成要求を受け付けた時点以降であっても、随時更新されるデータを示す。例えば、取得部121は、生成要求によって指定された範囲に関する投稿情報を、即時データとして取得する。投稿情報は、SNS(Social Networking Service)の利用者によって、SNSに投稿された情報である。投稿情報には、文字情報及び画像が含まれる。また、投稿情報には、SNSの利用者の位置情報が付加されることもある。取得部121は、図示しないSNSサーバから、投稿情報を取得する。この場合、撮像支援システム1001とSNSサーバとは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。取得部121は、生成要求によって指定された範囲に関する投稿情報であって、災害状況に関わる内容を含む投稿情報を取得する。例えば、取得部120は、「災害」、「地震」、「損壊」及び「浸水」等の文字情報を含む投稿情報を取得する。このときに、取得部121は、生成要求によって指定された範囲内の位置情報が付加された投稿情報や、当該指定された範囲内の位置を示す文字情報が含まれた投稿情報を取得する。例えば、投稿情報から、当該指定された範囲のうち、特に被害が発生している箇所(すなわち、対象範囲)を推定することが可能である。
【0060】
また、取得部121は、携帯電話及びスマートフォン等の携帯端末の位置情報を、即時データとして取得してもよい。この場合、携帯端末には、GPS(Global Positioning System)等の、GNSS(Global Navigation Satellite System)によって、自機の位置情報を特定することが可能な機能が備えられている。例えば、取得部121は、生成要求によって指定された範囲の携帯端末の位置情報を即時データとして取得する。例えば、災害発生時には災害発生箇所の付近の人物は、避難のために一定の方向に移動する可能性が高い。そのため、例えば、所定時間内の、携帯端末の位置情報の変化から、災害発生箇所(すなわち、対象範囲)を推定することが可能である。取得部121は、例えば、通信事業者等が管理する管理サーバから、携帯端末の位置情報を取得する。この場合、撮像支援システム1001と管理サーバとは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0061】
また、取得部121は、安否確認システムの情報を、即時データとして取得してもよい。安否確認システムとは、災害発生時に、登録された人物の安否状況を確認可能なシステムである。例えば、安否確認システムの情報には、登録された人物がいる場所を示す情報が含まれる。例えば、特定の避難所にいる人物が所定の人数存在する場合、特定の避難所付近で災害が発生したことが推定できる。取得部121は、安否確認システムの運用サーバから、ネットワークを介して、安否確認システムの情報を取得することが可能である。この場合、撮像支援システム1001とSNSサーバとは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0062】
その他に、取得部121は、気象データを、即時データとして取得してもよい。気象データは、例えば、降水量、降雪量、雨雲の位置情報、台風の強さ及び台風の位置情報等である。取得部121は、気象データを扱う気象サーバから、ネットワークを介して気象データを取得する。この場合、撮像支援システム1001と気象サーバとは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0063】
さらに、取得部121は、避難所の開設状況を示す避難所情報を取得してもよい。避難所情報は、避難所が開設されている場所の情報を少なくとも含む。避難所情報は、複数の避難所に関する情報を含んでもよく、避難所ごとに、避難所の場所と、開設の有無と、避難所にいる人物の数と、避難所に存在する物資と、がそれぞれ関連付けられた情報であってもよい。取得部121は、避難所情報を、安否確認システムから取得してもよいし、自治体がインターネットを介して発信している情報から、取得してもよい。また、取得部121は、避難所情報を、テレビ及びラジオによって報道された情報から取得してもよい。
【0064】
特定部131は、取得部121によって取得されたイベントデータと即時データとに基づいて、対象範囲を特定する。特定部131は、例えば、イベントデータ及び即時データごとに災害が発生していると推定される範囲を抽出し、複数の抽出された範囲が重なる範囲を対象範囲として特定してもよい。また、特定部130は、イベントデータ及び即時データに基づいて、災害が発生している可能性を示すスコアを、予め区切られた地表面の範囲ごとに算出し、スコアが所定の値以上である範囲を対象範囲として特定してもよい。なお、対象範囲を特定する例は、この例に限らない。
【0065】
変化情報生成部170は、変化情報を生成する。変化情報は、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である。例えば変化情報には、地表面の高さの変位を示す高さ変位情報、及び、地表面に発生した水域を示す水域情報等が含まれる。このような変化情報は、SARによる撮像データから各種変化を検出することによって生成される。例えば高さ変位情報は、異なる時刻において所定の撮像範囲が撮像装置200によって撮像された際に、撮像データに含まれる反射波の位相差や強度差に基づいて生成される。例えば、同一の撮像範囲に対して、取得された反射波を干渉させ、位相差を算出することにより、位相差に応じた、地表面とレーダとの距離の差を算出することができる。算出された距離の差を利用することにより、高さ変位情報が生成される。この技術は、干渉SARとも呼ばれる。なお、高さ変位情報の生成方法はこの例に限らない。また、水域情報は、例えば、電磁波の性質を利用して生成される。例えば、レーダによって照射される電磁波は、水面において、レーダの方向に反射されづらい。そのため、反射波が取得されづらい箇所は水域である可能性が高い。このような電磁波の性質を利用して、撮像データから、水域情報が生成される。このとき、水域情報は、例えば、複数の撮像データを比較することにより生成されてもよいし、撮像データと撮影範囲に対応する地図とを比較することにより生成されてもよい。なお、水域情報の生成方法はこの例に限らない。
【0066】
変化情報生成部170は、複数の撮像データを用いて変化情報を生成する場合、複数の撮像装置200のそれぞれによって撮像された撮像データを用いてもよい。例えば、撮像装置200が、衛星コンステレーション化された衛星であるとする。このとき、変化情報生成部170は、衛星コンステレーション化された衛星のそれぞれによって撮像された撮像データを用いて変化情報を生成してもよい。
【0067】
経路算出部180は、所定の経路を算出する。例えば、受付部110が、端末装置400から、避難所までの経路の出力要求を受け付けたとする。経路の出力要求には、例えば、所定の出発点を示す情報が含まれる。そして、経路算出部180は、避難所情報と地理空間情報に含まれる道路マップとに基づいて、所定の出発点と避難所とを結ぶ経路を算出する。このとき、経路算出部180は、変化情報を用いて経路を算出してもよい。具体的には、例えば、経路算出部180は、出発点と避難所とを結ぶ経路に、高さ変位情報の示す値が所定の値以上である箇所がある場合に、当該箇所を迂回する経路を算出する。また、例えば、経路算出部180は、出発点と避難所とを結ぶ経路に、水域が発生している箇所がある場合に、当該箇所を迂回する経路を算出する。土砂災害や洪水等によって通れなくなっている道路が存在する可能性がある。このような道路については、変化情報において変化が示されている可能性が高い。したがって、変化情報に基づいて経路を算出することにより、経路算出部180は、通行ができない虞のある道路を迂回した経路を算出することができる。また、経路算出部180は、複数の避難所がある場合、出発点からそれぞれの避難所までの経路を算出してもよい。また、経路算出部180は、任意の出発点から任意の到着点までの経路を算出することが可能である。
【0068】
また、上記の例では、経路算出部180は、出発点から避難所までの経路を算出しているが、この例に限らない。例えば、経路算出部180は、出発点によらず、単に、変化情報に基づいて、避難所等の特定の建造物周辺の通行可能な経路を算出してもよい。
【0069】
このように、経路算出部180は、撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を、含まない経路を算出する。経路算出部180は、経路算出手段の一例である。
【0070】
出力制御部161は、上述した各種情報(例えば、地理空間情報、避難所情報、変化情報及び経路情報等)を、端末装置400に出力してもよい。出力制御部161は、端末装置400に出力する情報を、文字情報で出力してもよいし、表形式で出力してもよい。また、出力制御部161は、出力要求に示された範囲を含む地図に、各種情報を重畳した重畳画像を端末装置400に出力してもよい。例えば、出力制御部161は、地図上に、変化情報や経路情報を重畳した重畳画像を端末装置400に出力してもよい。
図6は、出力制御部161によって出力される画像の一例を示す図である。
図6では、地図上の避難所がある位置に、避難所を示すアイコンが重畳され、水域が発生した箇所がハッチングにより示されている。さらに、
図6では、出発点となる箇所から、水域が発生した箇所を通らない、避難所までの経路も矢印で示されている。なお、複数の避難所がある場合、出力制御部161は、複数の避難所のアイコン、及び複数の経路を出力してもよい。また、出力制御部161は、出発点によらず、通行可能な経路を出力してもよい。このとき、出力制御部161は、さらに、出発点からの距離が最も短い避難所のアイコンや、当該避難所までの経路を示す画像について、点滅させたり、着色したりしてもよい。
【0071】
また、出力制御部161は、端末装置400に出力した重畳画像に対して、ユーザが避難所のアイコンをクリックする等、避難所を選択した際に、選択された避難所の詳細を出力してもよい。避難所の詳細とは、避難所の開設状況であってもよいし、出発点からの距離であってもよい。この場合、例えば、ユーザが端末装置400を通じて、避難所を選択し、受付部110は、ユーザによって避難所が選択されたことを受け付ける。そして、受付部110が、建造物が選択されたことを受け付けると、出力制御部161は、選択された避難所の詳細を端末装置400に出力する。
【0072】
[情報処理装置101の動作]
次に、情報処理装置101の動作の一例を、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0073】
図7は、情報処理装置101の動作の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図7は、情報処理装置101が、災害発生時に生成要求を受け付けた場合の動作の一例を説明する図である。受付部110は、端末装置400から、撮像計画の生成要求を受け付ける(S301)。取得部121は、生成要求によって指定された範囲に関するイベントデータ及び即時データを取得する(S302)。イベントデータは、例えば、過去の災害に関する災害データ及びハザードマップである。即時データは、例えば、投稿情報、携帯端末の位置情報、安否確認システムに登録される避難者の情報、及び気象データの少なくともいずれかであってよい。そして、特定部131は、対象範囲を特定する(S303)。具体的には、特定部131は、イベントデータ及び即時データに基づいて、災害発生箇所を推定し、推定された災害発生箇所を対象範囲として特定する。S304乃至S306の処理は、
図3のS104乃至S106の処理と同様の処理である。
【0074】
図8は、情報処理装置101の動作の他の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図8は、撮像装置200によって撮像データが生成された後の情報処理装置101の動作の一例を説明する図である。
【0075】
受付部110は、経路の出力要求を受け付ける(S401)。ここでは、受付部110が、所定の出発点から避難所までの経路の出力要求を受け付けたとする。すなわち、出力要求には、出発点の情報が含まれる。取得部121は、対象範囲が撮像された撮像データを取得する(S402)。変化情報生成部170は、撮像データに基づいて撮像範囲における変化情報を生成する(S403)。経路算出部180は、出発点から避難所までの経路を算出する(S404)。出力制御部161は、算出された経路を示す情報を端末装置400に出力する(S405)。例えば、出力制御部161は、地図上に、出発点から避難所までの経路であって、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を、含まない経路を重畳した画像を、端末装置400に出力する。
【0076】
このように、第2の実施形態の情報処理装置101は、発生済みのイベントに基づくデータであって、イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する。そして、情報処理装置101は、イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定し、撮像装置が対象範囲を撮像するように、撮像装置の撮像計画を生成する。これにより、第2の実施形態の情報処理装置101は、第1の実施形態の情報処理装置100と同様の効果を奏する。すなわち、第2の実施形態の情報処理装置101は、撮像計画の生成を支援することができる。
【0077】
また、第2の実施形態の情報処理装置101は、過去に発生した災害によって被害が生じた場所に関するデータ、及びハザードマップの少なくともいずれかをイベントデータとして取得し、さらに、SNSに投稿された情報であって災害状況に関わる内容を含む投稿情報と、携帯端末の位置情報と、安否確認システムに登録される避難者の情報と、の少なくともいずれかを含む即時データを取得する。そして、情報処理装置101は、イベントデータ及び即時データに基づいて、災害発生箇所を推定し、推定された災害発生箇所を対象範囲として特定する。このように、第2の実施形態の情報処理装置101は、イベントデータに加え、即時データを用いて対象範囲を特定しているので、対象範囲をより正確に特定することができる。すなわち、情報処理装置101は、適切な撮像計画の生成を支援することができる。
【0078】
また、第2の実施形態の情報処理装置101は、撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、時間の経過によって発生する地表面の変化を示す情報である変化情報に基づいて、地表面の変化が一定の基準を超える箇所を含まない経路を算出する。例えば、土砂災害等によって道路が通行不可能となる場合がある。災害時に、どの道路が被害を受けたか迅速に判断することは困難である。これに対して、第2の実施形態の情報処理装置101は、地表面の通行可能な経路を、迅速に提供することができる。
【0079】
[変形例3]
即時データを取得する方法は、上述の例に限らない。取得部121は、イベントデータから推定される範囲の情報に基づいて、即時データを取得してもよい。例えば、取得部121が、生成要求において指定された範囲に関連するイベントデータを取得したとする。このとき、特定部131が、当該取得されたイベントデータに基づいて推定可能な粒度の、災害が発生した範囲を推定する。そして、取得部121は、当該推定された災害が発生した範囲における、即時データを取得する。
【0080】
すなわち、変形例3の情報処理装置101は、イベントデータに基づいて、生成要求において指定された範囲から、災害が発生する可能性のある範囲を絞り込む。そして、情報処理装置101は、絞り込んだ範囲における即時データを取得する。これにより、変形例3の情報処理装置101は、災害発生箇所を特定する際に、より有用な即時データを取得することが、可能となる。
【0081】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の情報処理装置について説明する。
【0082】
北極海等、氷結している範囲(海氷)が存在する海では、海氷の状態によって、船舶が通行可能か否か変わる。第3の実施形態では、地表面の海氷の状態を把握するための撮像計画を生成する場合の、撮像支援システムについて、詳細に説明する。
【0083】
図9は、第3の実施形態の撮像支援システム1002の構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、撮像支援システム1002は、第2の実施形態における情報処理装置101及び記憶装置301に代わり、情報処理装置102及び記憶装置302を備え、それ以外については、第2の実施形態で説明した撮像支援システム1001と同様である。すなわち、撮像支援システム1002は、情報処理装置102と、撮像装置200と、記憶装置302と、を備える。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0084】
[記憶装置302の詳細]
地理空間情報記憶部322には、上述した地理空間情報が格納される。さらに、地理空間情報には、船舶の航路データ及び海氷データが含まれる。航路データは、過去に船舶が通行した場所を少なくとも示すデータである。航路データには、さらに、過去に船舶が通行した場所と時刻とが関連付けられた情報であってよい。航路データは、例えば、船舶に搭載されたAIS(Automatic Identification System)に基づいて生成されたデータであってもよい。海氷データは、過去の海氷の変動を示すデータである。海氷データは、例えば、過去に公知の手法で観測された海氷の状態を示すデータであってもよい。
【0085】
[情報処理装置102の詳細]
図9に示すように、情報処理装置102は、受付部110と、取得部122と、特定部132と、生成部140と、撮像制御部150と、出力制御部162と、氷結識別情報生成部171と、航路算出部181と、を備える。
【0086】
取得部122は、例えば、生成要求によって指定された範囲における、航路データ、及び海氷データの少なくともいずれかを、イベントデータとして取得する。
【0087】
特定部132は、取得部122によって取得されたイベントデータに基づいて、対象範囲を特定する。例えば、特定部132は、航路データから、船舶が通行可能となる状態となる箇所を推定する。このとき、特定部132は、航路データを用いて過去に船舶が通行した箇所を抽出し、船舶が通行した回数が一定の値以上となる箇所を、船舶が通行可能となる箇所として推定してもよい。また、例えば特定部132は、海氷データの、過去の海氷の状態から、船舶が通行可能となる箇所を推定してもよい。また、特定部132は、船舶データ及び海氷データを組み合わせて、船舶が通行可能となる箇所を推定してもよい。特定部132は、推定された船舶が通行可能となる箇所を、対象範囲として特定する。そして、生成部140によって、対象範囲を撮像するように撮像計画が生成される。このように、情報処理装置102は、船舶が通行可能となると推定される箇所を予め特定し、撮像計画を生成することもできる。
【0088】
なお、対象範囲の特定方法は上記の例に限らない。例えば、特定部132は、航路データ及び海氷データ以外のデータを用いて対象範囲を特定してもよい。例えば、特定部132は、生成要求によって指定された範囲において予測される、気象データをさらに用いて対象範囲を特定してもよい。ここで、気象データには、例えば、気温の情報が含まれる。特定部132は、例えば、過去に船舶が通行した回数が一定の値以上となる箇所であって、気温が所定の温度以上となる箇所を、船舶が通行可能となる箇所として推定してもよい。
【0089】
氷結識別情報生成部171は、撮像データに基づいて、氷結識別情報を生成する。氷結識別情報は、海上の氷結している範囲と氷結していない範囲とを識別する情報である。このような氷結識別情報は、SARによる撮像データから生成することができる。例えば、レーダによって照射される電磁波は、水面と氷面とにおいて、レーダの方向への反射の仕方が異なるという特徴をもつ。また、水面と氷面との表面特性等によって、偏波の反射の仕方が異なるという特徴をもつ。このような電磁波の性質を利用して、撮像データから、氷結している範囲を推定することが可能である。
【0090】
また氷結識別情報には、海氷の厚さの情報が含まれてもよい。海氷の厚さは、SARによって撮像された撮像データに基づいて算出される。例えば、氷結識別情報生成部171は、複数の時期に同じ撮像範囲が撮像された撮像データを用いて、各々の撮像データおける、反射波の位相差を算出することで、海氷の厚さを算出する。
【0091】
航路算出部181は、氷結識別情報に基づいて、船舶が通行可能な航路を算出する。例えば、航路算出部181は、氷結していない範囲を、通行可能な航路として算出する。また、航路算出部181は、氷結していない範囲に加え、海氷の厚さが所定の閾値未満である範囲を、船舶が通行可能な航路として算出してもよい。
出力制御部162は、第2の実施形態の出力制御部161と同様に、各種情報を、任意の形式で、端末装置400に出力してもよい。具体的には、海を示す地図に、氷結識別情報、及び算出された航路の少なくともいずれかを重畳した重畳画像を出力してもよい。
【0092】
なお、氷結識別情報生成部171は、第2の実施形態で説明した変化情報生成部170における機能の一つとして組み込まれてもよい。また、航路算出部181は、第2の実施形態で説明した経路算出部180における機能の一つとして組み込まれてもよい。
【0093】
[情報処理装置102の動作]
次に、情報処理装置102の動作の一例を、
図10及び
図11を用いて説明する。
【0094】
図10は、情報処理装置102の動作の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図10は、情報処理装置102が、地表面の海氷の状態の把握を目的とした場合に、撮像計画の生成要求を受け付けた際の動作の一例を説明する図である。
【0095】
受付部110は、端末装置400から、撮像計画の生成要求を受け付ける(S501)。取得部122は、生成要求によって指定された範囲に関するイベントデータを取得する(S502)。イベントデータは、例えば、航路データ及び海氷データである。そして、特定部132は、対象範囲を特定する(S503)。具体的には、特定部132は、イベントデータに基づいて、船舶が通行可能となる箇所を推定し、推定された箇所を対象範囲として特定する。S504乃至S506の処理は、
図3のS104乃至S106の処理と同様の処理である。
【0096】
図11は、情報処理装置102の動作の他の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図11は、撮像装置200によって撮像データが生成された後の情報処理装置102の動作の一例を説明する図である。
【0097】
受付部110は、航路の出力要求を受け付ける(S601)。ここでは、受付部110が、端末装置400から、船舶の通行可能な航路の出力要求を受け付けたとする。取得部122は、対象範囲が撮像された撮像データを取得する(S602)。氷結識別情報生成部171は、撮像データに基づいて撮像範囲における氷結識別情報を生成する(S603)。航路算出部181は、氷結識別情報に基づいて、船舶の通行可能な航路を算出する(S604)。出力制御部162は、算出された航路を示す情報を端末装置400に出力する(S605)。例えば、出力制御部162は、海を示す地図上に、船舶が通行可能な航路を重畳した画像を端末装置400に出力する。このとき、出力制御部162は、海を示す地図上に、氷結している範囲と氷結していない範囲とを示す図を重畳し、さらに船舶が通行可能な航路を重畳した画像を端末装置400に出力してもよい。
【0098】
このように、第3の実施形態の情報処理装置102は、発生済みのイベントに基づくデータであって、イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する。そして、情報処理装置102は、イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定し、撮像装置が対象範囲を撮像するように、撮像装置の撮像計画を生成する。これにより、第3の実施形態の情報処理装置102は、第1の実施形態の情報処理装置100と同様の効果を奏する。すなわち、第3の実施形態の情報処理装置102は、撮像計画の生成を支援することができる。
【0099】
また、第3の実施形態の情報処理装置102は、船舶の航路データ、及び、海氷の変動を示す海氷データの少なくともいずれかをイベントデータとして取得し、イベントデータに基づいて、船舶が通行可能となる箇所を推定し、推定された当該箇所を対象範囲として特定する。これにより、第3の実施形態の情報処理装置102は、地表面の海氷の状況を把握するための撮像計画の生成を支援することができる。
【0100】
また、第3の実施形態の情報処理装置102は、撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて生成された情報であって、海上の氷結している範囲と氷結していない範囲とを識別する情報である氷結識別情報に基づいて、船舶が通行可能な航路を算出する。このように、第3の実施形態の情報処理装置102は、氷結している範囲が存在する海上において、通行可能な航路を提供することができる。
【0101】
[変形例4]
航路算出部181は、船舶の種類に応じて航路を算出してもよい。
【0102】
海氷がある海においては、砕氷船が用いられることが多い。ここで、砕氷船の種類によっては、通行可能な海氷の厚さが変わる場合がある。また、海氷の厚さによっては、砕氷船でない船であっても通行可能な場合がある。このように、海氷の厚さによって、通行可能な船舶の種類が変わる場合がある。
【0103】
航路算出部181は、海氷の厚さの情報を用いて、船舶の種類に応じた航路を算出する。船舶の種類と、船舶が通行可能な海氷の厚さと、が対応付けられた情報は、記憶装置302に格納されていてもよいし、端末装置400から送信されてもよい。
【0104】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態の情報処理装置について説明する。
【0105】
豪雨が頻繁に発生する地域では、大規模な水たまりが発生する。このような水たまりが多い地域では、蚊等の病気を媒介する生物が発生しやすくなる傾向がある。そのため、水たまりの発生状況を把握することにより、所定の病気の発生に対応できる可能性がある。第4の実施形態では、地表面の水たまりを含む水域の発生状況を把握するための撮像計画を生成する場合の、撮像支援システムについて、詳細に説明する。
【0106】
図12は、第4の実施形態の撮像支援システム1003の構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、撮像支援システム1003は、第3の実施形態における情報処理装置102及び記憶装置302に代わり、情報処理装置103及び記憶装置303を備え、それ以外については、第3の実施形態で説明した撮像支援システム1002と同様である。すなわち、撮像支援システム1003は、情報処理装置103と、撮像装置200と、記憶装置303と、を備える。なお、第4の実施形態において、第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0107】
[記憶装置303の詳細]
地理空間情報記憶部323には、上述した地理空間情報が格納される。さらに、地理空間情報には、過去に水域が発生した場所に関するデータ(水域発生データと称する)、及び、過去に所定の病気が発生した人物の人数と場所とが関連付けられたデータ(病気データと称する)が含まれる。なお、水域発生データは、過去に生成された上述の水域情報を含んでもよいし、その他の方法で水域を観測することによって生成された情報を含んでもよい。また、地理空間情報記憶部323には、所定の地域における人口の分布を示す分布情報が格納される。
【0108】
[情報処理装置103の詳細]
図12に示すように、情報処理装置103は、受付部110と、取得部123と、特定部133と、生成部140と、撮像制御部150と、出力制御部163と、変化情報生成部172と、選定部190と、を備える。
【0109】
取得部123は、例えば、生成要求によって指定された範囲における、水域発生データ、及び病気データの少なくともいずれかを、イベントデータとして取得する。
【0110】
特定部133は、取得部123によって取得されたイベントデータに基づいて、対象範囲を特定する。例えば、特定部133は、水域発生データから、水域が発生している箇所を推定する。このとき、特定部133は、過去に水域が発生していた箇所を抽出し、水域が残っていると予測される箇所を、水域が発生している箇所として推定してもよい。また、特定部133は、過去に水域が発生していた箇所を抽出し、所定の回数以上水域が発生した箇所を、水域が発生している箇所として推定してもよい。また、特定部133は、病気データに基づいて、所定の病気(例えばマラリア等)が発生した人物が所定の人数以上となっている地域周辺を、水域が発生している箇所として推定してもよい。そして特定部133は、推定された水域が発生している箇所を、対象範囲として特定する。
【0111】
また、特定部133は、水域発生データから、過去に所定の回数または所定の時間以上水域が発生していた箇所を抽出し、当該箇所を、将来、水域が発生すると推定される箇所としてもよい。そして、特定部133は、当該箇所を対象範囲として特定してもよい。これにより、情報処理装置103は、将来、水域が発生する可能性の高い箇所を予め特定し、撮像計画を生成することができる。
【0112】
なお、対象範囲の特定方法は上記の例に限らない。例えば、特定部133は、水域発生データ、及び病気データ以外のデータを用いて対象範囲を特定してもよい。例えば、特定部133は、生成要求によって指定された範囲における気象データをさらに用いて対象範囲を特定してもよい。ここで、気象データには、例えば、降水量の情報が含まれる。特定部133は、例えば、所定の値以上の降水量が観測された地域を水域が発生している箇所として推定してもよい。
【0113】
変化情報生成部172は、撮像データに基づいて、変化情報を生成する。特に、変化情報生成部172は、水域情報を生成する。水域情報には、水域が発生している箇所を示す情報が含まれてもよいし、水域の変化を示す情報が含まれてもよい。例えば、撮像データと、撮像データの撮像範囲に対応する地図とを比較することにより、水域が発生している箇所を示す情報が生成される。また、例えば、同一の撮像範囲の撮像データであって、複数時期に撮像された撮像データを比較することにより、水域が拡大しているか縮小しているかを示す情報が生成される。このように、変化情報生成部172は、撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて、地表面に発生した水域を示す水域情報を含む変化情報を生成する。
【0114】
選定部190は、医薬品を提供する地域を選定する。上述したように、水たまりから、所定の病気を媒介する蚊等の生物が発生する可能性がある。そのため、水域が発生した箇所の周辺において、所定の病気に対する医薬品の需要が大きくなることが予測される。選定部190は、水域情報と、人口の分布を示す分布情報と、に基づいて、医薬品を提供する地域を選定する。例えば、選定部190は、水域が発生した箇所含む地域の人口が閾値以上の場合、所定の病気が発生する可能性が高いと判定する。また、例えば、選定部190は、水域情報から、水域が拡大した箇所を含む地域の人口が閾値以上の場合、所定の病気が発生する可能性が高いと判定してもよい。そして、選定部190は、所定の病気が発生する可能性が高いと判定された地域を、医薬品を提供する地域として選定する。
【0115】
また、分布情報には、人物が集まる施設の情報が含まれてもよい。この場合、選定部190は、水域情報において示される水域が発生した箇所から、各種の施設までの距離の情報を用いて、医薬品を提供する地域を選定してもよい。各種の施設とは、人物が集合する施設であって、例えば、市場、駅、病院、及び役所等である。例えば、選定部190は、水域が発生した箇所または拡大した水域が存在する箇所から、人物が集合する施設までの距離が閾値未満である場合に、当該施設を含む地域を、医薬品を提供する地域として選定する。
【0116】
このように選定部190は、水域情報と、人口の分布を示す分布情報と、に基づいて、水域から発生する生物を媒介した病気に対する医薬品を提供する地域を選定する。選定部190は、選定手段の一例である。
【0117】
出力制御部163は、上述した出力制御部162と同様に、各種情報を、任意の形式で、端末装置400に出力してもよい。具体的には、地図に、水域情報、及び選定された地域を示す情報の少なくともいずれかを重畳した重畳画像を出力してもよい。
【0118】
[情報処理装置103の動作]
次に、情報処理装置103の動作の一例を、
図13及び
図14を用いて説明する。
【0119】
図13は、情報処理装置103の動作の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図13は、情報処理装置103が、地表面の水域の発生状況の把握を目的とした場合に、撮像計画の生成要求を受け付けた際の動作の一例を説明する図である。
【0120】
受付部110は、端末装置400から、撮像計画の生成要求を受け付ける(S701)。取得部123は、生成要求によって指定された範囲に関するイベントデータを取得する(S702)。イベントデータは、例えば、水域発生データ及び病気データである。そして、特定部133は、対象範囲を特定する(S703)。具体的には、特定部133は、イベントデータに基づいて、水域が発生している箇所を推定し、推定された箇所を対象範囲として特定する。S704乃至S706の処理は、
図3のS104乃至S106の処理と同様の処理である。
【0121】
図14は、情報処理装置103の動作の他の一例を説明するフローチャートである。具体的には、
図14は、撮像装置200によって撮像データが生成された後の情報処理装置103の動作の一例を説明する図である。
【0122】
受付部110は、端末装置400から、医薬品を提供する地域の選定結果の、出力要求を受け付ける(S801)。取得部123は、対象範囲が撮像された撮像データを取得する(S802)。変化情報生成部172は、撮像データに基づいて撮像範囲における水域情報を含む変化情報を生成する(S803)。選定部190は、水域情報と、分布情報とに基づいて、医薬品を提供する地域を選定する(S804)。そして、出力制御部163は、選定された地域を示す情報を出力する(S805)。例えば、出力制御部163は、地図上に、選定された地域を示す情報を重畳した画像を端末装置400に出力する。このとき、出力制御部163は、さらに水域情報を重畳した画像を出力してもよい。
【0123】
このように、第4の実施形態の情報処理装置103は、発生済みのイベントに基づくデータであって、イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する。そして、情報処理装置103は、イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定し、撮像装置が対象範囲を撮像するように、撮像装置の撮像計画を生成する。これにより、第4の実施形態の情報処理装置103は、第1の実施形態の情報処理装置100と同様の効果を奏する。すなわち、第4の実施形態の情報処理装置103は、撮像計画の生成を支援することができる。
【0124】
また、第4の実施形態の情報処理装置103は、過去に水域が発生した場所に関するデータ、及び、過去に所定の病気が発生した人物の人数と場所とが関連付けられたデータの少なくともいずれかをイベントデータとして取得し、イベントデータに基づいて、水域が発生する箇所を推定し、推定された当該箇所を対象範囲として特定する。これにより、第4の実施形態の情報処理装置103は、地表面の水域の発生状況を把握するための撮像計画の生成を支援することができる。
【0125】
また、第4の実施形態の情報処理装置103は、撮像装置によって撮像された結果に基づく撮像データに応じて、地表面に発生した水域を示す水域情報を含む変化情報を生成し、水域情報と、人口の分布を示す分布情報と、に基づいて、水域から発生する生物を媒介した病気に対する医薬品を提供する地域を選定する。これにより、第4の実施形態の情報処理装置103は、水域の発生を一因とする病気の発生への対応を支援することができる。
【0126】
なお、第4の実施形態の情報処理装置103は、水源の探索の支援にも適用することが可能である。この場合、例えば、出力制御部163は、水域情報に基づいて、新たに水域が発生している箇所を、地図上に重畳した画像を端末装置400に出力する。
【0127】
また、第4の実施形態の情報処理装置103は、違法採掘の発見の支援にも適用することが可能である。採掘が行われることにより、採掘した場所から地下水が湧出することがある。例えば、出力制御部163は、水域情報に基づいて、新たに水域が発生している箇所を、地図上に重畳した画像を端末装置400に出力する。これにより、情報処理装置103は、例えば行政等によって予め計画されていない場所に水域が発生したという情報を提供することができる。
【0128】
<第5の実施形態>
本開示における情報処理装置は、以下のような構成であってもよい。
【0129】
図15は、情報処理装置500の機能構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す撮像支援システム1000において、情報処理装置100に代わり、情報処理装置500を備えるようにしてもよい。
図15に示すように、情報処理装置500は、取得部510と特定部520と生成部530とを備える。
【0130】
取得部510は、発生済みのイベントに基づくデータであって、イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する。上述したように、イベントデータは、災害データ、ハザードマップ、病気データ、気象データ、海氷データ、及び航路データ等が含まれる。なお、イベントデータはこの例に限らない。
【0131】
特定部520は、イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定する。特定部520は、例えば、イベントデータから、所定の規模以上に地表面に変化があると推定される範囲を、対象範囲として特定してもよい。
【0132】
生成部530は、撮像装置が対象範囲を撮像するように、撮像装置の撮像計画を生成する。
【0133】
図16は、情報処理装置500の動作の一例を説明するフローチャートである。まず、取得部510は、発生済みのイベントに基づくデータであって、イベントと関連する地表面の位置の情報を含むイベントデータを取得する(S501)。次に特定部520は、イベントデータに基づいて、撮像装置による撮像の対象とする地表面の範囲である対象範囲を特定する(S502)。そして、生成部530は、撮像装置が対象範囲を撮像するように、撮像装置の撮像計画を生成する(S503)。
【0134】
以上のような構成により、第5の実施形態の情報処理装置500は、例えば、地表面の現在の状況に関わらず、対象範囲の特定及び撮像計画の生成を行うことができる。そのため、例えば、情報処理装置500は、地表面において発生する異常が顕在化する前であっても、異常が発生すると推定される範囲を撮像対象とした撮像計画を生成することが可能である。すなわち、第5の実施形態の情報処理装置500は、撮像計画の生成を支援することができる。
【0135】
<情報処理装置のハードウェアの構成例>
上述した第1、第2、第3、第4及び第5の実施形態の情報処理装置を構成するハードウェアについて説明する。
図17は、各実施形態における情報処理装置を実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図17が示す各ブロックは、各実施形態における情報処理装置及び情報処理方法を実現するコンピュータ装置10と、ソフトウェアとの組み合わせにより実現できる。
【0136】
図16に示すように、コンピュータ装置10は、プロセッサ11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、記憶装置14、入出力インタフェース15、バス16、及びドライブ装置17を備える。なお、情報処理装置は、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0137】
記憶装置14は、プログラム(コンピュータプログラム)18を格納する。プロセッサ11は、RAM12を用いて本情報処理装置のプログラム18を実行する。具体的には、例えば、プログラム18は、
図3、
図4、
図7、
図8、
図10、
図11、
図13、
図14及び
図16に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ11が、プログラム18を実行することに応じて、本情報処理装置の各構成要素の機能が実現される。プログラム18は、ROM13に記憶されていてもよい。また、プログラム18は、記憶媒体20に記録され、ドライブ装置17を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置10に送信されてもよい。
【0138】
入出力インタフェース15は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)19とデータをやり取りする。入出力インタフェース15は、データを取得または出力する手段として機能する。バス16は、各構成要素を接続する。
【0139】
なお、情報処理装置の実現方法には様々な変形例がある。例えば、情報処理装置は、専用の装置として実現することができる。また、情報処理装置は、複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0140】
各実施形態の機能における各構成要素を実現するためのプログラムを記憶媒体に記録させ、該記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0141】
該記憶媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限らない。また該記憶媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0142】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0143】
この出願は、2021年2月3日に出願された日本出願特願2021―015660を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【符号の説明】
【0144】
100、101、102、103、500 情報処理装置
110 受付部
120、121、122、123、510 取得部
130、131、132、133、520 特定部
140、530 生成部
150 撮像制御部
160、161、162、163 出力制御部
170、172 変化情報生成部
171 氷結識別情報生成部
180 経路算出部
181 航路算出部
190 選定部
200 撮像装置
300、301、302、303 記憶装置
400 端末装置