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特許7586359顔料組成物およびその製造方法、ならびにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】顔料組成物およびその製造方法、ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20241112BHJP
   C09B 63/00 20060101ALI20241112BHJP
   C09B 45/02 20060101ALI20241112BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20241112BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C09B67/20 K
C09B63/00
C09B45/02
C09D11/037
B65D33/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024050987
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】角田 奈央
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛士
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-090572(JP,A)
【文献】特開2018-016708(JP,A)
【文献】特開昭51-116827(JP,A)
【文献】特表2010-519356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料組成物であって、
アゾ染料(A)のカルシウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B1)、およびアゾ染料(A)のバリウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B2)を含み、
顔料組成物中のアゾ染料(A)の含有率が0質量%以上1質量%以下であり、
アゾレーキ顔料(B1)とアゾレーキ顔料(B2)とのモル比が、B1:B2=19:1~4:1であり、
アゾ染料(A)が、下記化学式(1)または化学式(2)で示す化合物である、顔料組成物。
【化1】
【請求項2】
平均一次粒子径が、80nm以上500nm以下である、請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項3】
ロジンの含有率が、顔料組成物中0質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項4】
さらに、界面活性剤を含む、請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項5】
請求項1~いずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法であって、可溶性基を有する芳香族アミンのジアゾニウム塩を、カルシウム金属塩およびバリウム金属塩と混合した後に、カップラー成分とカップリング反応する工程を含む、顔料組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1~いずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法であって、アゾ染料(A)にカルシウム金属塩とバリウム金属塩を添加しレーキ化反応を行う工程を含む、顔料組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1~いずれか1項に記載の顔料組成物を含む、印刷インキ。
【請求項8】
請求項に記載の印刷インキから形成されるインキ層を有する、印刷物。
【請求項9】
請求項に記載の印刷物を備える、包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾレーキ顔料を含む顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
可溶性基を有する芳香族アミンをジアゾ成分とし、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、β-ナフトール等をカップラー成分としてカップリングして得られたモノアゾレーキ顔料は、印刷インキ、塗料、プラスチックの着色用途に広く使用されている。モノアゾレーキ顔料は、ロジン処理を行いその色調を透明化および鮮明化し、その分散性を向上させる。ロジン処理は、通常カップラー成分中または染料中にロジンのアルカリ塩溶液(いわゆるロジンソープ)を添加し、次いで塩化カルシウム等のレーキ用金属塩を添加してロジンを不溶性のロジンレーキ金属塩として顔料の表面に析出させる方法である。
【0003】
特許文献1には、可溶性基を有する芳香族アミンのジアゾニウム塩とカップラー成分とをカップリングさせたアゾ染料をレーキ化してなるモノアゾレーキ顔料と、該モノアゾレーキ顔料を被覆するロジンおよびスルホコハク酸塩或いはその加水分解物からなる被覆処理されたモノアゾレーキ顔料が開示されている。特許文献2には、モノアゾレーキ顔料にロジンアルミニウム塩粉末を添加した顔料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-313120
【文献】特開平07-278459
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の顔料組成物を使用したグラビアインキをラミネート印刷用途に使用するには、ロジン処理の影響でインキ層のラミネート強度が低いという問題があった。ロジン処理は、アゾ染料のレーキ化反応促進に寄与するため、モノアゾレーキ顔料にロジン処理を行わない場合、顔料組成物中に残留するアゾ染料は、その後の加熱や乾燥によりアゾ染料粒子が成長し、インキ層の透明性が低下する問題があった。
【0006】
本発明は、ラミネート強度が高く透明性が良好なインキ層を形成できる顔料組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1> 本発明の顔料組成物は、アゾ染料(A)のカルシウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B1)、およびアゾ染料(A)のバリウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B2)を含み、
顔料組成物中のアゾ染料(A)の含有率が0質量%以上1質量%以下である。
<2>アゾ染料(A)が、下記化学式(1)または化学式(2)で示す化合物である<1>の顔料組成物。
【化1】
<3> 平均一次粒子径が、80nm以上500nm以下である<1>または<2>の顔料組成物。
<4> ロジンの含有率が、顔料組成物中0質量%以上10質量%以下である、<1>~<3>いずれかの顔料組成物。
<5> さらに、界面活性剤を含む<1>~<4>いずれかの顔料組成物。
<6> <1>~<5>いずれかに記載の顔料組成物の製造方法であって、可溶性基を有する芳香族アミンのジアゾニウム塩を、カルシウム金属塩およびバリウム金属塩と混合した後に、カップラー成分とカップリング反応する工程を含む、顔料組成物の製造方法。
<7> <1>~<5>いずれかに記載の顔料組成物の製造方法であって、アゾ染料(A)にカルシウム金属塩とバリウム金属塩を添加しレーキ化反応を行う工程を含む、顔料組成物の製造方法。
<8> <1>~<5>いずれかの顔料組成物を含む、印刷インキ。
<9> <8>の印刷インキから形成される、印刷物。
<10> <9>の印刷物を備える、包装材料。
【発明の効果】
【0008】
上記本発明によれば、ラミネート強度が高く透明性が良好なインキ層を形成可能な顔料組成物を提供できる。また、本発明は、印刷インキ、印刷物、包装材料および顔料組成物の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明には要旨を変更しない範囲において実施される実施形態も含まれる。なお、本明細書における「C.I.」とは、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0010】
本発明の顔料組成物は、アゾ染料(A)のカルシウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B1)、およびアゾ染料(A)のバリウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B2)を含み、顔料組成物中のアゾ染料(A)の含有率が0質量%以上1質量%以下である。
【0011】
本発明の顔料組成物が課題を解決できるメカニズムを次の通りに推測する。本発明の実施形態によれば、カルシウム金属塩およびバリウム金属塩を用いてレーキ化反応を行うとカルシウム金属塩のみでレーキ化反応を行う場合よりもレーキ化率が向上し、残存するアゾ染料の量が減る。その結果、顔料粒子の結晶成長が抑制され、微細な顔料粒子が得られる。前記作用により本発明の顔料組成物を例えば、印刷インキに用いると、ロジン処理したアゾレーキ顔料よりも印刷適性(ラミネート強度)が向上する印刷物が得られる。
【0012】
<アゾレーキ顔料>
本発明の顔料組成物は、アゾ染料(A)のカルシウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B1)、およびアゾ染料(A)のバリウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B2)を含む。
【0013】
<アゾ染料(A)>
アゾ染料(A)は一般式(1)で示す化合物である。
一般式(1)
B-N=N-C
アゾ染料(A)は2つの芳香族環がアゾ基で結合する化合物であり、ベース成分B-NHをジアゾ化したジアゾ成分(B-N≡N)とカップラー成分Cを反応させることで、一般式(1)の化合物が得られる。アゾ染料(A)は酸性基を有することが好ましく、酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシ基などが挙げられる。
【0014】
ベース成分B-NHは、例えば、芳香族アミン化合物が挙げられる。芳香族アミン化合物は、可溶性基を有する化合物が好ましく、可溶性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシ基等が挙げられる。芳香族アミンは、例えば、4-アミノトルエン-3-スルホン酸(p-トルイジン-m-スルホン酸:4B酸)、4-アミノ-2-クロロトルエン-5-スルホン酸(2B酸)、3-アミノ-6-クロロトルエン-4-スルホン酸(C酸)、2-アミノナフタレン-1-スルホン酸(トビアス酸)等が挙げられる。
【0015】
カップラー成分Cは、例えば、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、β-ナフトール、アセトアセトアニライド等が挙げられる。
【0016】
本発明において、カップラー成分とジアゾニウム塩を構成する芳香族アミン成分(ベース成分)は任意に組み合わせ可能である。好適なカップラー成分と、好適なベース成分との組み合わせは、4-アミノ-2-クロロトルエン-5-スルホン酸と3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸を組み合わせる下記化学式(1)で表される化合物、4-アミノトルエン-3-スルホン酸と3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸を組み合わせる下記化学式(2)で表される化合物および2-アミノ-5-クロロ-4-メチルベンゼンスルホン酸と2-ナフトールを組み合わせる下記化学式(3)が挙げられる。これらの中でも色相の観点から、化学式(1)または化学式(2)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明において、アゾ染料(A)のレーキ化反応に使用する多価金属塩は、二価のCa塩およびBa塩であり、これらの水溶性の塩がより好ましい。水溶性の塩は、例えば、塩化カルシウム、塩化バリウムが挙げられる。
【0019】
化学式(1)で示すアゾ染料は、バリウムとのレーキ化反応でC.I.ピグメントレッド48:1を合成できる。同じくカルシウムとのレーキ化反応でC.I.ピグメントレッド48:2を合成できる。また、化学式(2)で示すアゾ染料は、カルシウムとのレーキ化反応でC.I.ピグメントレッド57:1を合成できる。同じくバリウムとのレーキ化反応でC.I.ピグメントレッド57:2を合成できる。化学式(3)で示すアゾ染料は、バリウムとのレーキ化反応でC.I.ピグメントレッド53:1を合成できる。同じくカルシウムとのレーキ化反応でC.I.ピグメントレッド53:2を合成できる。
【0020】
アゾレーキ顔料(B1)とアゾレーキ顔料(B2)との質量比は、B1:B2=19:1~2:1が好ましく、12:1~4:1がより好ましい。
【0021】
<顔料組成物の製造方法>
本発明の顔料組成物の製造は、可溶性基を有する芳香族アミンのジアゾニウム塩を、カルシウム金属塩およびバリウム金属塩と混合した後に、カップラー成分とカップリング反応する工程を含む方法、またはアゾ染料(A)にカルシウム金属塩とバリウム金属塩を添加しレーキ化反応を行う工程を含む方法が好ましい。
【0022】
以下、顔料組成物の製造方法を詳細に説明する。
本発明においてアゾレーキ顔料は以下の方法で合成できる。アゾレーキ顔料の合成は、例えば、ジアゾ溶液またはカップラー溶液に予め金属塩を添加し、次いでカップリング反応およびレーキ化反応によりアゾレーキ顔料を合成する製造方法1、およびジアゾ溶液とカップラー溶液を反応させてアゾ染料を合成し、次いで、金属塩を添加してレーキ化反応によりアゾ染料を合成する製造方法2等が挙げられる。これらの中でも前記方法1が好ましい。なお、前記方法2は、金属塩のうち先にカルシウム金属塩を混合し、次いでバリウム金属塩を混合する方法が好ましい。これによりレーキ化反応率をより向上できる。
【0023】
未反応のアゾ染料(A)の含有率は、顔料組成物中、0質量%以上1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。未反応のアゾ染料(A)が上記範囲内になると顔料粒子の成長をより抑制できるため透明性および発色性がより向上する。
【0024】
本発明の顔料組成物の一次粒子の長径の平均値(以下「平均一次粒子径」ともいう)は、塗膜の発色性および透明性の観点から、80~500nmが好ましく、100~400nmがより好ましく、120~300nmがさらに好ましい。なお、一次粒子の長径、短径の測定方法、平均値の算出方法の詳細は実施例に示す。
【0025】
本発明の顔料組成物は、課題を解決できる範囲内であればロジンを含有できる。ロジンの含有量は、顔料組成物の不揮発分中、0質量%以上10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0026】
本発明の顔料組成物は、アゾ染料(A)中に含まれる酸性基の合計100モルに対して、使用するカルシウム金属塩およびバリウム金属塩に含まれるカルシウムおよびバリウムのモル数の合計は50以上が好ましく、52.5以上がより好ましい。また、それぞれの金属塩中に含まれるカルシウムとバリウムのモル比は、19:1~2:1が好ましく、12:1~4:1がより好ましい。
【0027】
<界面活性剤>
本発明の顔料組成物は、界面活性剤を含有できる。これにより、顔料粒子の凝集を緩和できる。界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらの中でもアニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤は、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩等を挙げることができる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げられる。
界面活性剤は、単独または複数を組み合わせて使用できる。これらはカップラー溶液に添加するか、またはカップリング後の懸濁液に添加することができる。
【0028】
<印刷インキ>
本発明の印刷インキは、前記顔料組成物を含み、さらにバインダ樹脂、液状媒体を含むことが好ましい。液状媒体は、顔料組成物を分散できる媒体であれば特に制限はない。液状媒体は、有機溶剤が挙げられる。
【0029】
バインダ樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
【0030】
有機溶剤は、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、1-プロパノール(n-プロパノール)、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系有機溶剤等が挙げられる。
【0031】
バインダ樹脂や液状媒体は、それぞれ単独または複数を組み合わせて使用できる。
【0032】
本発明の印刷インキは、添加剤を適宜選択して含有できる。添加剤は、例えば、顔料誘導体、体質顔料、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、シリカ粒子、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
ワックス成分は、インキ層の耐ブロッキング性が向上する面で脂肪酸アミドワックス、炭化水素系ワックスが挙げられる。
本発明の印刷インキは、例えば、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェットインキ等が挙げられる。これらの中でもグラビアインキが好ましい。
【0033】
<印刷物>
本発明の印刷物は、印刷インキから形成されるインキ層(印刷層)を有している。インキ層は、網点やドットパターンが形成されていれば良く、ベタ塗でも構わない。本発明の印刷物に使用する印刷インキは、インキ層を形成できれば良く限定されないところ特にグラビアインキが好ましい。
インキ層の厚みは、2~30μm程度である。
グラビアインキは、グラビア印刷方式で印刷する。グラビア印刷は、グラビアインキを印刷に適した粘度および濃度にまで希釈溶剤で希釈し、印刷機に印刷ユニットに供給する。次いで、基材上に、グラビアインキを印刷した後、乾燥により揮発成分を除去し、印刷層を形成することで印刷物を作成する。
【0034】
<基材>
基材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂;ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、紙、アルミ等、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状の基材が挙げられ、またシリカ、アルミナ、アルミニウムなどの無機化合物をポリエチレンテレフタレート、ナイロンフィルムに蒸着した蒸着基材も用いることができ、更に無機化合物などの蒸着処理面にポリビニルアルコールなどがコート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていても良い。
基材の厚さは、10~250μm程度である。
【0035】
<包装材料>
本発明の包装材料は、前記印刷物を備えている。包装材料は、例えば、印刷物、接着剤層、およびシーラント基材を順次積層する構成が挙げられる。包装材料は、被包装物を収納できる四方シール包装体、三方シール包装体、ピロー包装体、スティック袋、ガセット袋、角底袋、スタンディングパウチ、深絞り容器、真空包装体、スキンパック、チャック袋、スパウトパウチ、ひねり包装、包み包装、シュリンク包装、ラベル、液体紙パック、紙トレー等の様々な形状を有する包装体が挙げられる。なお、本明細書の包装材料は、内容物を収納できれば良いため前記用途に限定されない。
【0036】
包装材料の被包装物は、例えば、食料品(例えば、米穀、菓子、調味料、食用油脂、調理食品等)、飲料(例えば、アルコール飲料、清涼飲料水、ミネラルウオーター等)、生活・文化用品(例えば、医薬品、化粧品、文具等)、電子部品等が挙げられる。
【実施例
【0037】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量部であり、「%」は質量%である。
【0038】
[粒子径測定]
実施例および比較例の顔料組成物の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって、以下の方法で求めた。
透過型電子顕微鏡にて倍率10,000倍で撮影した複数枚の写真より任意に選定した顔料組成物の一次粒子50個について、粒子の像に外接する、最も面積の小さい長方形を作図した際の長方形の長辺の長さを長径とし、長径の平均値を算出した。長径の平均値の1の位を四捨五入して、平均一次粒子径とし、表1に示した。
【0039】
[製造例1]
・バインダ樹脂溶液BD1の製造
数平均分子量2,000のアジピン酸とネオペンチルグリコールから得られるポリエステルポリオール(以下「NPG/AA」)170部、数平均分子量1,000のポリエチレングリコール(以下「PEG」)30部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)58.8部、および酢酸エチル64.7部を撹拌しながら窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)25.8部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)2.0部、2-エタノールアミン(以下「2EtAm」)1.5部、酢酸エチル/イソプロパノール(以下「IPA」)=70/30の混合溶剤607.4部を混合撹拌した混合物に、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、不揮発分30%、アミン価11.1mgKOH/g、水酸基価4.8mgKOH/g、重量平均分子量40,000のバインダ樹脂溶液BD1を得た。
【0040】
(実施例1)
・顔料組成物(1)の製造
水1,700部にベース成分として4-アミノトルエン-3-スルホン酸380部を加えて撹拌した後、35%塩酸308部を加えて酸析し、氷1,100部を加えて液温を0℃に下げた。
次いで、35%塩化カルシウム水溶液650部と塩化バリウム二水和物42部を添加し10分撹拌した。さらに40%亜硝酸ナトリウム水溶液350部を加え、全量が7,000部となるように水を加え、0℃で60分撹拌し、ジアゾ溶液を得た。
別の容器に水3,000部、カップラー成分として3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸380部および25%水酸化ナトリウム水溶液700部を加えて撹拌し、溶解させた。水5,000部、アニオン性界面活性剤としてロート油(泰光油脂化学工業社製 アルキル硫酸エステル塩)26部を添加して35℃に加温し、全量が11,200部となるように水を加え、カップラー溶液を得た。
ジアゾ溶液を30分かけてカップラー溶液へ送液して、さらに60分撹拌してカップリングを行い、アゾ顔料組成物の懸濁液を得た。
この懸濁液を90分かけて80℃まで昇温し、その後70℃まで冷却して、顔料組成物(1)を含むスラリーを得た。このスラリーをヌッチェろ過し、水18,200部で水洗し、ウェットケーキを得た。このウェットケーキを80℃の乾燥機で24時間乾燥させ、粉砕して80メッシュの金網を通し、顔料組成物(1)935部を得た。
【0041】
(実施例2)
・顔料組成物(2)の製造
実施例1において、35%塩化カルシウムを587部、塩化バリウム二水和物を90部に変更した以外は同様にして、顔料組成物(2)952部を得た。
【0042】
(実施例3)
・顔料組成物(3)の製造
実施例1において、35%塩化カルシウムを469部、塩化バリウム二水和物を181部に変更した以外は同様にして、顔料組成物(3)985部を得た。
【0043】
(実施例4)
・顔料組成物(4)の製造
実施例1において、ロート油26部を添加しない以外は同様に行い、顔料組成物(4)909部を得た。
【0044】
(実施例5)
・顔料組成物(5)の製造
アゾ顔料組成物の懸濁液を得る工程までは実施例1と同様に行い、得られた懸濁液を60分かけて60℃まで昇温し、顔料組成物(5)を含むスラリーを得た。このスラリーをヌッチェろ過し、水18,200部で水洗し、ウェットケーキを得た。このウェットケーキを80℃の乾燥機で24時間乾燥させ、粉砕して80メッシュの金網を通し、顔料組成物(5)935部を得た。
【0045】
(実施例6)
・顔料組成物(6)の製造
アゾ顔料組成物の懸濁液を得る工程までは実施例1と同様に行い、その後アゾ顔料組成物の懸濁液を90分かけて90℃まで昇温した後に、その後70℃まで冷却して、顔料組成物(6)を含むスラリーを得た。このスラリーをヌッチェろ過し、水18,200部で水洗し、ウェットケーキを得た。このウェットケーキを80℃の乾燥機で24時間乾燥させ、粉砕して80メッシュの金網を通し、顔料組成物(6)935部を得た。
【0046】
(実施例7)
・顔料組成物(7)の製造
実施例1において、カップラー溶液調製時にロート油を入れずに、アゾ顔料組成物の懸濁液にロジンとしてディプロジンK-25(東邦化学工業社製)116部を添加して10分撹拌した。さらに、90分かけて80℃まで昇温し、その後70℃まで冷却して、顔料組成物(7)を含むスラリーを得た。このスラリーをヌッチェろ過し、水18,200部で水洗し、ウェットケーキを得た。このウェットケーキを80℃の乾燥機で24時間乾燥させ、粉砕して80メッシュの金網を通し、顔料組成物(7)934部を得た。
【0047】
(実施例8)
・顔料組成物(8)の製造
実施例7において、ディプロジンK-25(東邦化学工業社製)を270部に変更した以外は同様にして、顔料組成物(8)970部を得た。
【0048】
(実施例9)
・顔料組成物(9)の製造
水1,700部に4-アミノ-2-クロロトルエン-5-スルホン酸ナトリウム495部を加えて撹拌した後、35%塩酸308部を加えて酸析し、氷1,100部を加えて液温を0℃とした。さらに40%亜硝酸ナトリウム水溶液350部を加え、全量が7,000部となるように水を加え、0℃で60分撹拌し、ジアゾ溶液を得た。
【0049】
別の容器に水3,000部、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸380部および25%水酸化ナトリウム水溶液700部を加えて撹拌し、溶解させた。水4,500部を添加して15℃に調整し、全量が11,200部となるように水を加え、カップラー溶液を得た。
【0050】
ジアゾ溶液を30分かけてカップラー溶液へ送液して、さらに60分撹拌してカップリングを行い、アゾ染料の懸濁液を得た。
【0051】
この懸濁液を50℃まで昇温し、35%塩化カルシウム650部を加えて10分撹拌し、さらに塩化バリウム二水和物42部を添加して10分撹拌した。さらにこの懸濁液を60分かけて90℃まで昇温し、その後70℃まで冷却した。さらにぺレックスOT-P(花王社製ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム)37部を添加して10分撹拌し、顔料組成物(9)を含むスラリーを得た。このスラリーをヌッチェろ過し、水18,200部で水洗し、ウェットケーキを得た。このウェットケーキを80℃の乾燥機で24時間乾燥させ、粉砕して80メッシュの金網を通し、顔料組成物(9)971部を得た。
【0052】
(実施例10)
・顔料組成物(10)の製造
実施例9において、アゾ染料の懸濁液を50℃まで昇温するところを65℃への昇温に代えて、それ以外は同様にして、顔料組成物(10)971部を得た。
【0053】
(実施例11)
・顔料組成物(11)の製造
実施例9において、アゾ染料の懸濁液を50℃まで昇温するところを80℃への昇温に代えて、それ以外は同様にして、顔料組成物(11)971部を得た。
【0054】
(実施例12)
・顔料組成物(12)の製造
実施例1において、4-アミノトルエン-3-スルホン酸380部の代わりに2-アミノ-5-クロロ-4-メチルベンゼンスルホン酸450部を添加し、35%塩化カルシウム水溶液650部を335部、塩化バリウム二水和物42部を14部へ変更し、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸380部の代わりに2-ナフトール291部を添加し、さらに界面活性剤としてロート油26部の代わりにデモールN(花王社製ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩)26部を添加する以外は同様にして、顔料組成物(12)を得た。
【0055】
(実施例13)
・顔料組成物(13)の製造
水1,700部に4-アミノトルエン-3-スルホン酸380部を加えて撹拌した後、35%塩酸308部を加えて酸析し、氷1,100部を加えて液温を0℃とした。さらに40%亜硝酸ナトリウム水溶液350部を加え、全量が7,000部となるように水を加え、0℃で60分撹拌し、ジアゾ溶液を得た。
【0056】
別の容器に水3,000部、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸380部および25%水酸化ナトリウム水溶液700部を加えて撹拌し、溶解させた。水4,500部、ロート油26部を添加して15℃に加温し、全量が11,200部となるように水を加え、カップラー溶液を得た。
【0057】
ジアゾ溶液を30分かけてカップラー溶液へ送液して、さらに60分撹拌し、アゾ染料の懸濁液を得た。
【0058】
この懸濁液に35%塩化カルシウム650部を加えて10分撹拌し、さらに塩化バリウム42部を添加し10分撹拌した。さらに、この懸濁液を90分かけて80℃まで昇温し、その後70℃まで冷却し、顔料組成物(13)を含むスラリーを得た。このスラリーをヌッチェろ過し、水18,200部で水洗し、ウェットケーキを得た。このウェットケーキを80℃の乾燥機で24時間乾燥させ、粉砕して80メッシュの金網を通し、顔料組成物(13)935部を得た。
【0059】
(実施例14)
・顔料組成物(14)の製造
実施例9において、ぺレックスOT-P 37部の代わりにロート油26部に代えて、それ以外は同様にして顔料組成物(14)971部を得た。
【0060】
(比較例1)
・顔料組成物(15)の製造
実施例1において、35%塩化カルシウム650部を添加せずに、塩化バリウム二水和物42部を542部へ変更する以外は同様にして、顔料組成物(15)1,087部を得た。
【0061】
(比較例2)
・顔料組成物(16)の製造
実施例14において、35%塩化カルシウム650部を添加せずに、塩化バリウム二水和物42部を542部へ変更する以外は同様にして、顔料組成物(16)1,185部を得た。
【0062】
(比較例3)
・顔料組成物(17)の製造
比較例1において、塩化バリウム二水和物542部を35%塩化カルシウム水溶液704部に変更した以外は同様にして、顔料組成物(17)920部を得た。
【0063】
(比較例4)
・顔料組成物(18)の製造
比較例2において、塩化バリウム二水和物542部を35%塩化カルシウム水溶液704部に変更した以外は同様にして、顔料組成物(18)953部を得た。
【0064】
(比較例5)
・顔料組成物(19)の製造
比較例3において、カップラー溶液調製時にロート油を入れず、カップリング後のアゾ顔料組成物の懸濁液にディプロジンK-25(東邦化学工業社製)568部を添加して10分撹拌した以外は同様にして、顔料組成物(19)1,028部を得た。
【0065】
(比較例6)
・顔料組成物(20)の製造
比較例4において、カップラー溶液調製時にロート油を入れず、カップリング後のアゾ顔料組成物の懸濁液にディプロジンK-25(東邦化学工業社製)589部を添加して10分撹拌した以外は同様にして、顔料組成物(20)1,066部を得た。
【0066】
実施例1~14、および比較例1~6で作製した顔料組成物の詳細を表1に示す。
【表1】
【0067】
・顔料組成物中のアゾ染料の算出
実施例1~14および比較例1~6で得られた顔料組成物(1)~(20)について、それぞれの顔料組成物中に残存するアゾ染料の含有量を、以下に記載する方法に従い、液体クロマトグラフィーを用いて以下の方法で求めた。
(抽出法)
・標準サンプルの調製
顔料組成物(1)または(9)または(12)を6.0mg、ジメチルホルムアミド(以下DMF)30mlに完全に溶解させ、0.2μmフィルターで濾過し、測定試料とした。さらに、得られた3点の測定試料を、10倍、20倍、30倍に希釈した試料も作成した。
・試験サンプルの調製
顔料組成物(1) 300mg、水30ml、0.3mmジルコニアビーズ75gを75ccマヨネーズ瓶に仕込み、ペイントシェーカー(Fast&Fluid社製SK450)にて振動数172rpmで2時間分散し、得られた分散液を遠心分離機Cectrifuge 5810(Eppendorf社製)にて回転数9500rpmで30分間遠心分離した。遠心分離後の上澄み液を0.2μmフィルターで濾過し、測定試料とした。顔料組成物(2)~(20)についても同様に測定試料を作製した。
(分析法)
測定試料中のアゾ染料を下記の条件により液体クロマトグラフィー(LC-MS)を用いて定量した。同様の定量分析を2回繰り返しその平均値を算出し、顔料組成物中の含有量に換算した。
装置:液体クロマトグラフィー Xevo TQD(Waters社製)
カラム:Symmetry C18 180mm×2.1mm 5μm(Waters社製)
温度:35℃
流速:0.4ml/分
測定試料の注入量:10μL
カラム:Symmetry C18 粒子径5μm、カラム長さ2.1×150mm
検出器:996PDA Wavelength:520nm
溶離液:(A)50mM酢酸アンモニウム水溶液/DMF = 7/1、(B)DMF
【0068】
【表2】
【0069】
検量線の作成:標準サンプル中の顔料組成物(1)、(9)、(12)の質量対容量比濃度mg/Lを横軸に、LC-MSによる測定から得られたアゾ染料に該当するピーク面積値を縦軸とし、それぞれの検量線を作成した。検量線と、試験サンプル中のアゾ染料に該当するピーク面積値から、それぞれ対応するC.I.Noの染料成分量を、算出した。つまり、顔料組成物(1)~(8)、(13)比較例(1)、(3)、(5)中の染料成分量は、顔料組成物(1)を溶解させた標準サンプル(R57)についての検量線を使用し、顔料組成物(9)~(11)、(14)、比較例(2)、(4)、(6)中の染料成分量は、顔料組成物(9)を溶解させた標準サンプル(R48)についての検量線を使用し、顔料組成物(12)中の染料成分量は同サンプルについての検量線を使用して算出した。
それぞれの顔料組成物に対応する、標準サンプル中の顔料組成物の番号と、各サンプルの残留アゾ染料の質量%を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
[実施例101]
・溶剤型ラミネート用グラビアインキ(1)の作製
実施例1で得られた顔料組成物(1)30部、バインダ樹脂溶液BD1(不揮発分30%)を30部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTAO 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(質量比)(不揮発分30%酢酸エチル溶液))5.0部、n-プロピルアセテート/IPA=70/30の溶液29部を混合し、アイガーミルで20分間分散した。その後ディスパーで撹拌しながら、エチレングリコールモノメチルエーテルを3.0部、水を3.0部混合して溶剤型ラミネート用グラビアインキ(1)を得た。
【0072】
[実施例102~114、比較例101~106]
・溶剤型ラミネート用グラビアインキ(2)~(20)の作製
顔料組成物を表4に示す通りに変更した以外は実施例101と同様にして、溶剤型ラミネート用グラビアインキ(2)~(20)を得た。
【0073】
【表4】
【0074】
[実施例201]
・印刷物(1)の作製
得られた溶剤型ラミネート用グラビアインキ(1)を、混合溶剤(メチルエチルケトン:n-プロピルアセテート:IPA=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線グラデーション版(版式コンプレスト、100%~3%のグラデーション柄)により、厚さ12μmのコロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製E-5100)のコロナ放電処理面に、印刷速度150m/分で印刷し、印刷物(1)を得た。なお印刷条件は、温度32℃、湿度80%の高温高湿度下にて印刷距離4000m印刷した。
【0075】
[実施例202~214、比較例201~206]
・印刷物(2)~(20)の作製
溶剤型ラミネート用グラビアインキを表5に示す通りに変更した以外は実施例201と同様にして、印刷物(2)~(20)を得た。
【0076】
・透明性
印刷物(1)~(20)を目視で観察し、以下の基準に従って透明性を評価した。結果を表5に示す。なお、基準の印刷物は、(17)とした。評価結果が「◎」、「○」であれば使用可能である。
◎:基準の印刷物よりも透明性が極めて高い。
○:基準の印刷物よりも透明性が高い。
△:基準の印刷物と透明性が同等である。
X:基準の印刷物よりも透明性が低い。
【0077】
・発色性
印刷物(1)~(20)を目視で観察し、以下の基準に従って発色性を評価した。結果を表5に示す。なお、基準の印刷物は、(17)とした。評価結果が「◎」、「○」であれば使用可能である。
◎:基準の印刷物よりも発色性が極めて高い。
○:基準の印刷物よりも発色性が高い。
△:基準の印刷物と発色性が同等である。
X:基準の印刷物よりも発色性が低い
【表5】
【0078】
[実施例301]
・包装材料(1)の作製
得られた印刷物(1)について、さらにポリエーテルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製 TM 320/CAT13B)を不揮発分30重量%の酢酸エチル溶液に希釈し、乾燥後の塗工量が2.0g/mとなるように印刷面へ塗工・乾燥し、更にアルミ蒸着未延伸ポリプロピレン(VMCP2203 、膜厚25μm、東レフィルム加工社製)と貼り合わせて50℃でドライラミネート加工を行い、包装材料(1)を得た。なお評価は、包装材料を50℃、48時間でエイジングさせた後に行った。
【0079】
[実施例302~314、比較例301~306]
・包装材料(2)~(20)の作製
印刷物を表6に示す通りに変更した以外は実施例301と同様にして、包装材料(2)~(20)を得た。なお評価は包装材料を50℃、48時間保持後に行った。
【0080】
<ラミネート強度の評価>
得られた包装材料(1)~(20)について印刷部を巾15mmで裁断し、20℃65%雰囲気下、インテスコ製201万能引張り試験機にて剥離速度300mm/minで剥離強度(ラミネート強度)を測定した。なお、実用レベルは0.7N/15mm以上である。得られた結果を表6に示す。評価結果が「◎」、「○」、「△」であれば使用可能である。なお、ラミネート強度の評価では使用可能範囲内であっても、表5に示す透明性および発色性評価において使用範囲外の場合は、使用不可である。
◎・・・ラミネート強度が1.0N/15mm以上である。
〇・・・ラミネート強度が0.85N/15mm以上、1.0N/15mm未満である。
△・・・ラミネート強度が0.7N/15mm以上、0.85N/15mm未満である。
X・・・ラミネート強度が0.7N/15mm未満である。
【0081】
<ボイルレトルト性試験>
実施例301~実施例314、比較例301~306で得られた包装材料(1)~(20)を120mm×120mmの大きさのパウチに製袋し、内容物として、食酢、サラダ油、ミートソースを重量比で1:1:1に配合した疑似食品70gを充填密封した。作成したパウチを135℃、30分間の蒸気レトルト殺菌処理をした後、インキ層の剥離の程度を3段階で評価を行った。得られた結果を表6に示す。評価結果が「◎」、「○」であれば使用可能である。ボイルレトルト性試験では使用可能範囲内であっても、表5に示す透明性および発色性評価において使用範囲外の場合は、使用不可である。
◎:剥離が全くない。
○:小さなブリスター状の剥離が極僅かにある。
×:全面に大小の剥離がある。
【0082】
【表6】
【要約】
【課題】本発明は、ラミネート強度が高く透明性が良好なインキ層を形成できる顔料組成物の提供を目的とする。
【解決手段】顔料組成物であって、アゾ染料(A)のカルシウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B1)、およびアゾ染料(A)のバリウムによるレーキ化反応物であるアゾレーキ顔料(B2)を含み、顔料組成物中のアゾ染料(A)の含有率が0質量%以上1質量%以下である、顔料組成物。なお、前記顔料組成物の平均一次粒子径は、80nm以上500nm以下が好ましい。
【選択図】なし