IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オービタル マリン パワー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】改善された動力発生装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20241112BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20241112BHJP
【FI】
F03B13/26
B63B35/00 T
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023526972
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 GB2021052997
(87)【国際公開番号】W WO2022106832
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】2018290.3
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522199479
【氏名又は名称】オービタル マリン パワー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナル、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ミースン、ジョナサン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-502430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/26
B63B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水からエネルギーを抽出するための動力発生装置であって、
浮力船及び前記浮力船に連結されたタービンアセンブリを備え;
前記タービンアセンブリが、ナセルに取り付けられたタービンロータ、及び支持構造体を有し;
前記支持構造体が、前記支持構造体を通して水が流れるための通路を提供するように構成された少なくとも1つの空所を画定している開放構造を含み;
前記支持構造体が、その中央寄り端部において、垂直方向に間隔を空けた少なくとも2つの接続位置で前記浮力船に移動可能に連結されており;
前記支持構造体が、その外側寄り端部において、前記ナセルに連結されており;
前記タービンアセンブリが、第1のポジション及び第2のポジションの間で旋回可能に移動可能であり;
前記動力発生装置が水域で浮遊しているとき;
前記第1のポジションでは、前記ナセルが水面より下に完全に沈むように構成されており;
前記第2のポジションでは、前記ナセルの少なくとも一部分が、水面より上に突出するように構成されている、動力発生装置。
【請求項2】
2つ、又は2つより多くのタービンアセンブリを備える、請求項1に記載の動力発生装置。
【請求項3】
前記タービンアセンブリが、浮力船の長手軸に対して概して平行な軸を中心として旋回するように構成されている、請求項1又は2に記載の動力発生装置。
【請求項4】
前記第1及び前記第2のポジション間で前記タービンアセンブリを移動させるための、前記タービンアセンブリに関連付けられた動力式機構を備え、任意選択で、前記動力式機構が、前記浮力船及び前記タービンアセンブリの間に動作可能に連結された少なくとも1つの液圧ラムを有し、且つ/又は前記動力式機構が、前記浮力船及び前記タービンアセンブリの間に動作可能に連結された少なくとも1つのウィンチを有する、請求項1又は2に記載の動力発生装置。
【請求項5】
使用時に、前記第1のポジション及び前記第2のポジションにおいて水線より下に保たれるように構成されたヒンジ構成部を中心として、前記タービンアセンブリが旋回可能に移動可能であり、任意選択で、前記タービンアセンブリが、前記ヒンジ構成部を介して前記浮力船に連結されている、請求項1又は2に記載の動力発生装置。
【請求項6】
水域で浮遊している状態で見られたとき、前記タービンアセンブリの前記支持構造体が、側方及び/又は上方から開放している、請求項1又は2に記載の動力発生装置。
【請求項7】
前記タービンアセンブリの前記支持構造体が、上部分及び下部分を含み;
前記上部分及び前記下部分が、垂直方向に離隔しており;
前記上部分及び前記下部分が、前記支持構造体の前記外側寄り端部において、前記ナセルに連結されているか又はそれと一体であり;
前記上部分及び前記下部分が両方とも、前記支持構造体の前記中央寄り端部において、前記浮力船に移動可能に連結されている、請求項1又は2に記載の動力発生装置。
【請求項8】
前記上部分及び前記下部分が、1つ又は複数の支柱によって互いに接続されている、請求項7に記載の動力発生装置。
【請求項9】
前記支持構造体の上部分及び下部分のそれぞれが、前記支持構造体の前記中央寄り端部から前記外側寄り端部まで通る主部材を含み;
前記上部分の前記主部材及び前記下部分の前記主部材のそれぞれが、前記支持構造体の前記外側寄り端部において前記ナセルに接続されているか又はそれと一体であり;
前記上部分の前記主部材及び前記下部分の前記主部材のそれぞれが、前記支持構造体の前記中央寄り端部において、前記浮力船に旋回可能に接続されている、請求項1又は2に記載の動力発生装置。
【請求項10】
前記上部分の前記主部材及び/又は前記下部分の前記主部材が、前記主部材から前記支持構造体の前記中央寄り端部まで延伸している1つ又は複数の分岐部材を含み;
前記1つ又は複数の分岐部材、及び前記主部材が、前記浮力船の長さに沿って水平方向に間隔を空けた配置で、前記浮力船に旋回可能に接続されているか;又は
前記主部材及び前記1つ又は複数の分岐部材が、前記浮力船の長手軸に対して実質的に平行な線に沿って、前記浮力船に旋回可能に接続されている、請求項9に記載の動力発生装置。
【請求項11】
前記上部分及び前記下部分が、垂直方向に間隔を空けた位置で、前記浮力船に旋回可能に連結されている、請求項7に記載の動力発生装置。
【請求項12】
前記下部分が前記浮力船に旋回可能に連結された1つ又は複数の位置よりも、より水線の近くに配設された1つ又は複数の位置で、前記上部分が前記浮力船に旋回可能に連結されており;且つ/又は
使用時に、前記水線より上に保たれるように構成された、前記浮力船に対する前記下部分の1つ又は複数の接続点よりもより前記水線に近い1つ又は複数の位置で、前記上部分が前記浮力船に旋回可能に連結されている、請求項11に記載の動力発生装置。
【請求項13】
前記浮力船に対する前記支持構造体の前記下部分の1つ又は複数の接続点が;
前記浮力船の基線に又は基線寄りに配設されており;前記浮力船に対する前記支持構造体の前記上部分の1つ又は複数の接続点が、水線より上に位置している;
前記浮力船の全高の約50%~約100%の距離だけ、前記浮力船に対する前記支持構造体の前記上部分の前記1つ又は複数の接続点から垂直方向に離れている;且つ/又は
前記浮力船に対する前記支持構造体の前記下部分の前記1つ又は複数の接続点から、垂直方向及び水平方向にオフセットしている、請求項11に記載の動力発生装置。
【請求項14】
前記支持構造体が、開放構造を画定し、流体力学的に形成されており、任意選択で前記支持構造体が、ハイドロフォイルとして形成されている、請求項1又は2に記載の動力発生装置。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の動力発生装置のためのタービンアセンブリであって、前記タービンアセンブリが、ナセルに取り付けられたタービンロータ、及び支持構造体を備え;
前記支持構造体が、その中央寄り端部において、垂直方向に間隔を空けた少なくとも2つの接続位置で、前記浮力船に連結され、その外側寄り端部において、前記ナセルに連結されるように構成されており;
前記支持構造体が、前記支持構造体を通して水が流れるための通路を提供するように構成された少なくとも1つの空所を画定した開放構造を有し;
使用時に前記浮力船に連結されたとき、前記タービンアセンブリが、第1のポジション及び第2のポジションの間で旋回可能に移動可能である、タービンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流水からエネルギーを抽出するための動力発生装置の分野に関し、特に、例えば海洋又は河川の環境で使用するための浮体式発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能なエネルギー源からエネルギーを発生させようとする動きがあり、これにはタービンなどの移動可能な装置を使用して、風力、潮力、及び波力など、流体の移動からエネルギーを収集することが含まれる。
【0003】
流水からエネルギーを発生させることは、相対的に予測可能なエネルギー供給量を、潮流からでも河川からでも発生させることが可能であるということから恩恵を受ける。流水から電気を発生させるための多数の動力発生装置が提案されてきており;これには、例えば、US2015260148(Aquantis Inc)に記載の、海下に固定される装置、及び例えばWО2015/090414(Bluewater Energy Services)に記載の浮体式装置が含まれる。
【0004】
浮体式発生機は、発生機が存在しているという目に見える水上の警告を提供するとともに、概して水面の近くで生じたより速い流れ(特定の潮流)をよりよく利用することができ、水位の変動(特に潮位の変動)に適応する。加えて、浮体式発生機は、完全に水中に沈んだ動力発生装置よりも、動作及びメンテナンスのコストが少ない。
【0005】
この種類の発生装置は、特に潮流及び海洋の用途で大規模になることがあり、したがって製造及び展開にコストがかかる場合がある。これらの問題の一部は、EP1831544において出願人によって記載された発生装置で対処された。EP1831544に記載の発生装置は、主浮力船の近くに収容されることが可能なタービンナセルを有しており、これにより発生機のドラフト及び流体力学的抗力の両方が低減される。しかしながら、いくつかの状況において、抗力及び/又はドラフトをさらになお低減することが望ましい場合がある。
【0006】
そのような発生装置の使用では、強烈な表面状態もかなりの難題を提供し、常時沈んだコンポーネントにメンテナンスのためにアクセスするコストと、非常に長い耐用間隔を有するように設計される装置のエンジニアリングコストとの間で、概してトレードオフが存在している。これらの問題の一部は、EP3559440に記載の発生装置によって対処された。EP3559440において開示された装置は、浮力船に連結されたタービンアセンブリを有し、このタービンアセンブリは、ナセルに取り付けられたタービンロータ及び支持構造体を備える。タービンアセンブリは、(使用時に水面の下に完全に沈む)第1のポジション、及び(ナセルの少なくとも一部分が水面の上に突出する)第2のポジションの間で旋回可能に移動可能である。第2のポジションへのタービンアセンブリの移動は、例えば動力発生装置が移設されるとき、又は暴風雨の中での損傷を防止するために、動力発生装置のドラフト又は抗力を低減させるのに望ましい場合がある。さらに、第2のポジションへのタービンアセンブリの移動により、動力発生装置が水中に留まっている間に、ナセル内へのアクセスが可能になり、こうして動作及びメンテナンスのコストがさらに最小化される。
【0007】
しかしながら、いくつかの状況では、抗力及び/又はドラフトをさらになお低減し、既存の動力発生装置のロール安定性及び効率をさらに改善することが望ましい場合がある。さらに、それぞれの装置で収集可能なエネルギー量を最大化するために、装置及び/又はその1つ又は複数のタービンの拡張性に、より大きい柔軟性を与えることも望ましい場合がある。
【0008】
これらの問題のうちの1つ又は複数に対処するか又はそれらを軽減する、流水からエネルギーを抽出するための発生装置が、なお必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、流水からエネルギーを抽出するための動力発生装置が提供される。動力発生装置は、浮力船、及び浮力船に連結されたタービンアセンブリを備えてよい。
【0010】
タービンアセンブリは、ナセルに取り付けられたタービンロータを備えてよい。タービンアセンブリは、支持構造体を備えてよい。支持構造体は、水が流れるための通路を提供するように構成された少なくとも1つの空所を画定する開放構造を備えてよい。支持構造体は、その中央寄り端部において、垂直方向に間隔を空けた少なくとも2つの接続位置で、前記浮力船に移動可能に連結されていてよい。支持構造体は、その外側寄り端部において、ナセルに連結されていてよい。タービンアセンブリは、第1のポジション及び第2のポジションの間で旋回可能に移動可能であってよい。
【0011】
動力発生装置が水域で浮遊しているとき、第1のポジションでは、ナセルは水面より下に完全に沈むように構成されてよく、第2のポジションでは、ナセルの少なくとも一部分が、水面より上に突出するように構成されてよい。
【0012】
第1のポジションでは、ナセルが沈み、タービンロータは、動力発生装置を通って流れる水の移動(例えば、潮流又は河川の流れ)によって駆動されることが可能である。第2のポジションへのタービンアセンブリの移動は、例えば動力発生装置が移設されているときに、動力発生装置のドラフト、及び場合によってはさらに抗力を低減させるのに望ましい場合がある。
【0013】
第2のポジションでは、ナセルの少なくとも一部分が、メンテナンス又は修理のためのアクセスを提供するように水面より上に突出している。これにより、例えば動力発生装置の全体を水から上昇させるための、大型の高額なはしけ/クレーンの必要性をなくすことができ、それにより、そうでない場合に可能なものよりもさらに頻繁で、迅速で、且つ安価なメンテナンスが容易になる。
【0014】
ナセル又は支持構造体へのアクセスが容易になることにより、ひいては、より短い耐用期間を有する機器の使用が容易になってもよいし、又はタービンアセンブリに特定の装置(例えば流体フィルタ、潤滑用又は冷却用の流体リザーバ又は回路、又は電気発生機器)を実用的に設置することが可能になってもよい。したがって、本発明の動力発生装置は、以前には必要とされていた設計上の妥協のうちの一部を回避してよい。
【0015】
第2のポジションにおいて、水面より上に突出するナセルの少なくとも一部分には、中に収容された装置へのアクセスを提供するアクセスハッチが提供されてよい。
【0016】
タービンアセンブリは、第1及び第2のポジション間で、浮力船に対して旋回してよい。タービンアセンブリの支持構造体及びナセルは、第1及び第2のポジション間で、一緒に又は「全体として」旋回可能に移動可能であってよい。
【0017】
動力発生装置は、(例えば2つ又はそれより多くの相互接続された浮力船(又は船体)と比較して)単一の浮力船(又は船体)を備えてよい。
【0018】
浮力船は、任意の適切な構成を有してよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、浮力船は、制限された流体力学的抗力及び波浪荷重を提供するために、細長く、概して円筒状であってよい。浮力船が細長い実施形態では、浮力船は、(使用時に)水面に対して実質的に平行に配設される長手軸を有してよい。
【0019】
(断面が)概して円筒状の浮力は、元来極めて強く、海洋環境において遭遇することがあるような悪天候において、特に有益なことがある。
【0020】
浮力船自体に、(望ましくは前方及び後方にバラストタンクを備えた)バラストシステムが提供されてよく、これにより動力発生装置のトリムが、いくつかの実施形態においては自動的に、調整されてよい。バラストシステムは、タービンアセンブリのタービンロータ又は他の部分に、河川又は潮の流れが衝突することによって加えられる変動する力を補償するために使用されてよい。
【0021】
その又は各タービンアセンブリは、浮力船の船首又は船尾の区画に連結されていてよい(いくつかの実施形態において、船首及び船尾という用語は任意であることが理解される)。
【0022】
その又は各タービンアセンブリは、浮力船の長さの約2分の1~13分の1の間の浮力船の任意のポジションにおいて、浮力船に連結されていてよい。その又は各タービンアセンブリは、1つより多い位置で、浮力船に連結されていてよい。例えば、その又は各タービンアセンブリは、水平方向に間隔を空けた2つ又はそれより多くの位置で、浮力船に(直接及び/又は間接的に)連結されていてよい。その又は各タービンアセンブリは、垂直方向に間隔を空けた2つ又はそれ以上の位置で、浮力船に(直接及び/又は間接的に)連結されていてよい。例えば、その又は各タービンアセンブリは、水平方向に間隔を空けた2つの位置、及び垂直方向に間隔を空けた2つの位置で、浮力船に連結されていてよい。タービンアセンブリは、連結位置のそれぞれにおいて、移動可能に浮力船に連結されていてよい。例えば、タービンアセンブリは、連結位置のそれぞれにおいて、回転可能又は旋回可能に浮力船に連結されていてよい。浮力船に対するタービンアセンブリの全ての連結位置は、浮力船の長さの約2分の1~13分の1の間に配設されていてよい。浮力船に対するタービンアセンブリの全ての連結位置は、浮力船の長さの約2分の1~13分の1の間、又は約2分の1~約12分の1の間、又は約2分の1~約11分の1の間、又は約2分の1~約10分の1の間、又は約2分の1~約9分の1の間、又は約2分の1~約8分の1の間、又は約2分の1~約7分の1の間、又は約2分の1~約6分の1の間、又は約2分の1~約5分の1の間、又は約2分の1~約4分の1の間、又は約2分の1~約3分の1の間、又は約5分の1~約13分の1の間、又は約5分の1~約13分の1の間、又は約6分の1~約13分の1の間、又は約8分の1~約13分の1の間、又は約9分の1~約13分の1の間、又は約10分の1~約13分の1の間、又は約11分の1~約13分の1の間、又は約12分の1~約13分の1の間に配設されていてよい。例えば、浮力船に対するタービンアセンブリの第1の連結位置は、浮力船の長さの真ん中寄りに位置してよい。浮力船に対するタービンアセンブリの第2の連結位置は、浮力船の船尾(又は後方)寄りに配設されていてよい。全ての連結位置が、浮力船の船尾寄りに配設されていてよい。付加的な連結位置が、第1及び第2の連結位置の間に配設されていてよい。
【0023】
浮力船は、キールを備えてよい。
【0024】
動力発生装置は、2つ又は2つより多くのタービンアセンブリを備えてよい。2つのそのようなタービンアセンブリのタービンロータは、二重反転式であってよい。
【0025】
タービンロータは、任意の適切な個数のブレードを備えてよい。タービンロータは、2つのブレード、又は3つのブレード、又は4つのブレード、又は5つのブレード、又は6つのブレードを備えてよい。いくつかの実施形態において、タービンロータは、2つのブレードを備えてよい。好ましい実施形態では、タービンロータは、2つのブレードを備えてよい。タービンアセンブリが第2のポジションにあるとき、2つのブレードを有するタービンロータは、2つのブレードが水面に対して実質的に平行になるように位置付けられることが可能であり、こうして、特に牽引中に動力発生装置が受けるドラフトが、最小限に抑えられる。対照的に、3つ又はそれより多くのタービンロータを有する実施形態は、下向きの又は部分的に水面に向いた少なくとも1つのブレードを有し、これにより特に牽引中に、構造体のドラフトが増大する。
【0026】
動力発生装置は、浮力船に対して対称に配設された2つ又はそれより多くのタービンアセンブリを備えてよい。動力発生装置は、タービンアセンブリが常時(すなわち、第1のポジションに、第2のポジション、及びその間の移動中に)対称に配設されるように構成されてよい。つまり、対称に配設されたタービンアセンブリは、それらの第1及び第2のポジション間で、対称的に且つ旋回可能に移動可能であってよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、動力発生装置は、浮力船の長手軸に対して対称に延伸している2つのタービンアセンブリを備える。
【0028】
そのような対称に配設されたタービンアセンブリは、通常の使用時に、例えばタービンアセンブリの間に延伸するケーブルによって、第1のポジションにおいて互いにつながれてよい。ケーブルは、第1及び第2のポジション間の運動を機械的に補助及び/又は減衰するための動力式機構の一部を構成してよい。
【0029】
タービンアセンブリは、第1のポジションに向かって付勢されてよい。タービンアセンブリは、第2のポジションに向かって付勢されてよい。
【0030】
動力発生装置全体が浮力を有し、使用時には水域で浮遊することが理解されるべきである。
【0031】
動力発生装置は、その/各タービンアセンブリを第1から第2のポジションへ、及び/又は第2から第1のポジションへ移動させるための動力式機構を備えてよい。
【0032】
第1及び第2のポジション間の移動は、動力式機構により、例えば液圧ラム、ケーブル及びウィンチの配置などを備える機構により、少なくとも部分的に機械的に補助されてよい。タービンアセンブリの移動は、動力式機構によって開始されてよい。動力式機構は、ナセル又はナセルのより多くの部分を、水面より上に持ち上げるのを補助してよい。
【0033】
通常の使用において、動力式機構は、第1及び第2のポジション間での移動の主要な手段であってよく、(例えば、1つ又は複数のタービンアセンブリ内のタンクなどの浮力体積による)浮力が、付加的な補助を提供する。タービンアセンブリは、例えば、動力式機構のバックアップとして可変の浮力が使用されるように構成されてよいし、又は逆も同様であってよい。
【0034】
動力式機構は、ケーブル及びウィンチを備えてよい(その例を以下に記載する)。ウィンチは、タービンアセンブリの可動域の少なくとも後段部分(及び場合によっては全体)を通して、反対方向への移動の速度を制限するために使用されてよい。
【0035】
動力式機構は、液圧動力式であってよい。液圧機構は、液圧ラム(すなわち液圧式に制御可能なピストン)を備えてよい。
【0036】
液圧ラムは、浮力船及び上記タービンアセンブリの間に(最も典型的にはその支持構造体に)動作可能に連結されていてよい。
【0037】
液圧ラムは、タービンアセンブリ及び機械的リンケージ構成部のうちの一方又は他方の間に動作可能に接続されてよく、機械的リンケージ構成部は、第1の端部でタービンアセンブリに連結されており、第2の端部で浮力船に接続されており、機械的リンケージ構成部の第1及び第2の端部間の距離は、液圧ラムの動作によって変えることができる。
【0038】
液圧ラムは、場合により浮力船、タービンアセンブリ、及び機械的リンケージ構成部に旋回可能に接続されてよい。液圧ラムは、典型的には、2つの点において連結され、それぞれが旋回接続であってよい。
【0039】
浮力船及び/又はタービンアセンブリ(又はその支持構造体)は、機械的リンケージ構成部に接続するためのフライブレース(fly brace)を備えてよく;これにより、てこの作用が増大する。
【0040】
機械的リンケージ構成部は、第1から第2の端部まで延伸した2つ又はそれより多くの、旋回可能に相互接続されたリンケージを備えてよい。いくつかの実施形態において、タービンアセンブリが第1のポジションにあるとき、リンケージは、概して第1及び第2の端部間に位置合わせされる。
【0041】
液圧ラムは、機械的リンケージ構成部の第1及び第2の端部間に描かれる線に交差する軸を有してよく(使用時にはこの軸に沿ってこれが展開される);少なくとも、それぞれのタービンアセンブリが第1のポジションに近いとき、及び任意選択でタービンアセンブリの可動域を通して、軸はこの線に交差する。
【0042】
少なくとも、それぞれのタービンアセンブリが、第1のポジションに近いとき、及び任意選択で、タービンアセンブリの可動域を通して、液圧ラムは、上記線に対して概して垂直に延伸した軸を有してよい。
【0043】
タービンアセンブリは、第1及び第2のポジション間で旋回することから、機械的リンケージ構成部の第1及び第2の端部は、互いに対して円弧を描くことが理解される。動力式機構は、関連付けられたタービンアセンブリの可動域を通して液圧ラムの軸の配向が変わるように構成されてよい。第1及び第2の端部間の線にそれが交差する角度は、概して一定(例えば垂直)に保たれてよい。
【0044】
動力発生装置の使用時に、ロータの運動(例えばロータスピード又はそれに加えられる力の変動)、及び1つ又は複数のタービンアセンブリに作用する力(例えば波、潮の力/方向の変動などによって引き起こされる)に起因して、力がタービンアセンブリから浮力船に伝えられる。液圧ラムは、上記円弧に交差する軸に沿って展開される場合、そのような動的な力からある程度隔離される。
【0045】
このことは、機械的リンケージ構成部の端部及び液圧ラムの間に加えられるてこの作用が最大である第1のポジションに、又はその近くに、タービンアセンブリがあるとき(例えば2つ又はそれより多くの機械的リンケージが位置合わせされるとき)、特に有益であってよい。このように、使用時に生じる動的な力に抵抗するために、液圧ラムはタービンアセンブリを第1のポジションによりよく保持することができる。
【0046】
機械的リンケージ構成部(及び任意の関連付けられた旋回接続)は、通常の使用において、第2のポジションでは水線より上に保たれるように構成されてよい。機械的リンケージ構成部(及び任意の関連付けられた旋回接続)の少なくとも一部は、通常の使用において、第2のポジションでは水線より下に保たれるように構成されてよい。
【0047】
それぞれのタービンアセンブリは、液圧ラム(又は1つより多くの液圧ラム)に、場合により対応する1つ又は複数の機械的リンケージ構成部に、関連付けられてよい。
【0048】
動力式機構は、一方の方向では上記移動に対する液圧的な抵抗力を提供し、他方の方向では、機械的補助を提供するために使用されてよい。
【0049】
動力式機構は、一方又は両方の方向において、第1及び第2のポジション間の可動域の少なくとも一部分に沿って、運動の速度を制御又は制限するために使用されてよい。例えば、その/各タービンアセンブリが負の浮力を有する場合、(例えば本明細書に開示の液圧ラムを備える)動力式機構は、その/各タービンアセンブリの、第2から第1のポジションへの運動の速度を制御又は制限してよい。
【0050】
この方法は、第1及び第2のポジション間での移動中に、特にタービンアセンブリが第2のポジションの近くにあるとき(ひいては動力発生装置の全体的な浮力及び安定性の変動に最も大きい影響を有するとき)、動力発生装置の全体的な安定性にとって特に有益であってよい。1つより多くのタービンアセンブリを有する実施形態は、タービンアセンブリの移動中に不安定になりがちであり得るが、この不安定性は、移動の速度及び場合によっては対称性に機械的な制御を適用することによって制限されてよい。
【0051】
動力式機構は、動力式機構の、ひいてはその/各タービンアセンブリのポジションを検出するように動作可能なポジション測定装置を備えてよい。動力式機構は、ポジション測定装置から受信した情報に基づき動力式機構を制御するように動作可能なコントローラに関連付けられてよい。これは、例えば、2つ又はそれより多くのタービンアセンブリの移動の同期を容易にしてよく、且つ/又は動力発生装置の安定性を維持するのを補助してよい。
【0052】
タービンアセンブリは、任意選択で、例えばナセルと、浮力船上又は別のタービンアセンブリ上の位置との間に延伸したケーブルによって、第1のポジションに保たれてよい。
【0053】
第1又は第2のポジションのうちの1つ又は複数に向かう移動は、減衰されてよい。
【0054】
運動は、例えば緩衝器によって機械的に減衰されてよい。それぞれのタービンアセンブリは、緩衝器又はそのコンポーネントを備えてよい。タービンアセンブリは、浮力船に対して緩衝されてもよいし、又は(2つ又はそれより多くの対称に配設されたタービンアセンブリがある場合には)別のタービンアセンブリに対して緩衝されてもよい。
【0055】
運動は、タービンアセンブリがそれぞれのポジションに接近するにつれ、その浮力を変えることによって「減衰」されてよい。これは、例えば1つより多くの、又は一連のバラストタンクを提供することにより達成されてよく、場合により、このバラストタンクは、タービンアセンブリが第1又は第2のポジションに接近するときに浮力を変えるように選択的に充填されるか又は空にされてよい。
【0056】
運動は、いくつかの実施形態において、動力式機構を使用することによって減衰されてよく、この動力式機構は、例えば第1及び/又は第2のポジションに向かう移動の「制動」として作用してよい。
【0057】
第1及び第2のポジション間の移動を補助するための動力式機構は、いくつかの状況において、反対方向への運動を制動又は減衰するために使用されてよい。
【0058】
タービンアセンブリは、ヒンジ構成部を中心として旋回可能に移動可能であってよい。
【0059】
動力発生装置は、任意の適切な種類のヒンジ構成部、例えばピンジョイント又はブッシングを備えてよい。ヒンジ構成部は、単一のヒンジ又は複数のヒンジ、例えば軸に沿って配置された2つ又はそれより多くのヒンジを備えてよい。ヒンジ構成部は、1つ又は複数のジャーナルベアリング、ファイバベアリングなどを備えてよい。ヒンジ構成部は、水潤滑式であってよい。
【0060】
ヒンジ構成部は、水線より上又は下であってよい。例えば、ヒンジ構成部は、第1のポジション及び第2のポジションにおいて、水線より下であってよい。
【0061】
ヒンジ構成部は、タービンアセンブリの一部、又は浮力船の一部を構成してよい。
【0062】
タービンアセンブリは、ヒンジ構成部を介して浮力船に連結されていてよい。例えば、タービンアセンブリは、目付き板又はヒンジUリンクのうちの一方又は他方などの、ヒンジ構成部の一部分を備えてよく、浮力船は、ヒンジ構成部の相補的な部分を備えてよい。
【0063】
タービンアセンブリは、代替的に、別個の連結構成部、例えばフランジ連結などによって、浮力船に連結されていてよい。そのような実施形態において、ヒンジ構成部は、連結構成部の中央寄り(すなわち、浮力船の一部を形成)であるか、又はヒンジ構成部の外側寄り(すなわち、タービンアセンブリの支持構造体の一部を形成)であってよい。
【0064】
タービンアセンブリは、浮力船の長手軸に対して概して平行な軸を中心として旋回してよい。
【0065】
ヒンジ構成部、及び/又は存在する場合には二次的なヒンジ構成部は、例えばラッチを備えるか、又はラッチ又はそのコンポーネント部分に関連付けられていてよい。
【0066】
ヒンジ構成部は、例えばヒンジ構成部がその間で移動できる2つのポジションのそれぞれに、タービンアセンブリを保持できるようにするための、1つより多くのラッチに関連付けられてよい。
【0067】
動力発生装置は、任意の適切な種類の1つ又は複数のラッチを備えてよい。例えば、装置は、永久磁石又は電磁石、及びそれに引き付けられた対応する材料の間に磁気ラッチを備えてよい。装置は、例えばせん断ピンを有する機械的又は電気機械的なラッチを備えてよい。
【0068】
浮力船に対するタービンアセンブリの配向は、第1及び第2のポジション間で変化してよい。タービンアセンブリは、浮力船から外側寄りに、第1のポジションから第2のポジションまで移動してよい。第1のポジションでは、タービンアセンブリは、浮力船より下に、及び任意選択で浮力船の側部に(すなわち斜め下に延伸して)延伸してよい。第2のポジションにおいて、タービンアセンブリは、浮力船の概して側部に延伸してよい。
【0069】
本開示の文脈内で、浮力船の基線は、(浮力船が水域に浮遊しているとき)浮力船の最下点として定義されている。浮力船の水線は、(浮力船が水域で浮遊しているとき)浮力船の船体又は本体の、空気と水との境界面が生じる位置と定義されてよい。浮力船の喫水は、(通常の使用時に、浮力船が水域で浮遊しているとき)浮力船の基線及び水線の間の距離と定義される。浮力の乾舷は、浮力船の全高及び喫水の間の差と定義される。乾舷は、(浮力船が水域で浮遊しているときに見て)水線から浮力船の最上部分まで測定される。喫水及び乾舷が組み合わされて、浮力船の高さが与えられる。
【0070】
支持構造体は、開放構造又は部分的に開放構造であってよい。支持構造体は、その中央寄り端部及びその外側寄り端部の間に1つ又は複数の空所又は穴を画定してよい。支持構造体は、使用中に水が流れることのできる経路又は通路を画定するように構成されてよい。支持構造体は、水が長手方向に(つまり、動力発生装置の長手軸に沿って)流れることのできる通路を画定するように構成されてよい。支持構造体は、水が垂直方向に(つまり、動力発生装置の長手軸に対して実質的に垂直な方向に)流れることのできる通路を画定するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、支持構造体は、開放フレーム又はフレームワークであってよい。
【0071】
支持構造体は、側方から開放していてよい。換言すると、支持構造体は、浮力船の長手軸に沿って動力発生装置を見たとき、その中央寄り端部及びその外側寄り端部の間に、1つ又は複数の空所又は穴を画定してよい。
【0072】
支持構造体は、(動力発生装置を、水域に浮遊しているその使用構成において見たとき)上方から開放していてよい。換言すると、動力発生装置が水域で浮遊しているときにその装置を上から見たとき、支持構造体は、その中央寄り端部及びその外側寄り端部の間に、空所又は穴を画定してよい。
【0073】
支持構造体は、上部分及び下部分を備えてよい。疑義を回避するために、通常の使用において、デバイスが水域で浮遊しているとき、下部分は、上部分より下に(すなわち、上部分よりも海底又は河床の近くに)配設されるように構成されている。
【0074】
上部分及び下部分は、両方とも、支持構造体の外側寄り端部においてナセルに連結されていてよい。上部分及び下部分は、ナセルと一体であってもよいし、又はそれらは任意の適切な手段(例えばボルトト留め又は溶接)によって、直接又は間接的にナセルに固定連結されていてよい。上部分及び下部分は、両方とも、支持構造体の中央寄り端部において浮力船に移動可能に連結されていてよい。上部分及び/又は下部分は、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。
【0075】
上部分及び下部分は、垂直に離隔していてよい。上部分及び下部分は、互いに実質的に平行であってよい。上部分及び下部分は、互いに対して角度を成して配設されていてよい。例えば、上部分は、下部分に対して、約0度~約60度の角度で配設されていてよい。上部分は、下部分に対して約0°~約30°、又は約0°~約15°、又は約8°~約20°、又は約10°~約30°、又は約20°~約40°又は約40°~約60°の角度で配設されていてよい。好ましい実施形態において、上部分は、下部分に対して約10°~約15°度の角度で配設されていてよい。
【0076】
上部分は、実質的に直線状であってよい。上部分は、曲線状であってよい。上部分は、互いに対して角度を成して配設された少なくとも2つの直線部分を備えてよい。上部分は、曲がっていてよい。上部分は、その長さに沿って頂点又は谷を画定してよい。
【0077】
下部分は、実質的に直線状であってよい。下部分は、曲線状であってよい。下部分は、互いに対して角度を成して配設された少なくとも2つの直線部分を備えてよい。下部分は、曲がっていてよい。上部分は、その長さに沿って頂点又は谷を画定してよい。
【0078】
上部分及び下部分は、中実であってもよいし、又はそれらは中空であってもよい。上部分及び下部分は、プレート、ブレード、シャフト、バー、(任意の適切な断面の)中空管などのうちの1つ又は複数を備えてよい。
【0079】
上部分、下部分、又はその両方は、1つ又は複数の構造的コンポーネントを備えてよい。上部分、下部分、又はその両方は、支持構造体の中央寄り端部から外側寄り端部まで通る主部材を備えてよい。上部分、下部分、又はその両方は、支持構造体の中央寄り端部から外側寄り端部まで通る主部材、及び支持構造体の主部材から中央寄り端部まで延伸した1つ又は複数の分岐部材を備えてよい。主部材が分岐している実施形態において、主部材及び1つ又は複数の分岐部材は、一体であってもよいし、又はそれらは、ボルト留め又は溶接などの任意の適切な手段によって、互いに固く連結されていてよい。代替的に、主部材及び1つ又は複数の分岐部材は、互いに移動可能に連結されていてよい。主部材は、支持構造体の外側寄り端部において、ナセルに接続されていてもよいし、又はそれと一体であってもよい。主部材は、支持構造体の中央寄り端部において、浮力船に旋回可能に接続されていてよい。1つ又は複数の分岐部材は、支持構造体の中央寄り端部において、浮力船に旋回可能に接続されていてよい。1つ又は複数の分岐部材及び主部材は、浮力船の長手軸に沿って間隔を空けた配置で、浮力船に旋回可能に接続されていてよい。換言すると、1つ又は複数の分岐部材及び主部材は、浮力船の長さに沿って水平方向に間隔を空けた配置で、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。
【0080】
浮力船に対する1つ又は複数の分岐部材及び主部材の接続点は、浮力船の全長の約13分の1~約6分の1の距離だけ、浮力船の長さに沿って間隔を空けていてよい。浮力船に対する1つ又は複数の分岐部材及び主部材の接続点は、浮力船の全長の約13分の1~約10分の1、又は約10分の1~約6分の1、又は約8分の1~約6分の1、又は約10分の1~約8分の1、又は約11分の1~約12分の1、又は約9分の1~約7分の1の距離だけ、浮力船の長さに沿って間隔を空けていてよい。例えば、浮力船に対する1つ又は複数の分岐部材及び主部材の接続点は、浮力船の全長の約6分の1、又は約7分の1、又は約8分の1、又は約9分の1、又は約10分の1、又は約11分の1、又は約12分の1、又は約13分の1の距離だけ、浮力船の長さに沿って間隔を空けていてよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、主部材及び1つ又は複数の分岐部材は、浮力船の長手軸に対して実質的に平行な線に沿って、浮力船に旋回可能に接続されていてよい。上部分及び/又は下部分が3つ又はそれより多くの分岐部材を備える実施形態において、主部材及び2つ又はそれより多くの分岐部材の接続点は、位置合わせされていてもよいし、又は位置合わせされていなくてもよい。
【0082】
理論による制約を望むものではないが、浮力船に対する支持構造体の上部分及び/又は下部分の2つ又はそれより多くの接続点を間隔を空けて並べることにより、ロータにおいて受ける推力に抵抗するための、支持構造体の機械的利点が増大することがある。開放支持構造体を提供することにより、取り付け点間で、閉鎖支持構造体よりも大きい水平方向の距離が可能になる。また、開放支持構造体は、浮力船に対する支持構造体の接続点の最適な位置を決定することにより、浮力船にかかる支持構造体の荷重経路の最適化のために、より大きい柔軟性を提供する。これにより、ひいては本発明による装置は、推力に抵抗し、タービンアセンブリの第1及び第2のポジション間での移動を実施するための機械的利点を最大化することができる。
【0083】
上部分及び下部分は、垂直方向に間隔を空けた位置で、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。
【0084】
下部分が浮力船に旋回可能に連結された1つ又は複数の位置よりも、(動力発生装置が水域で浮遊しているときの)水線のより近くに配設された1つ又は複数の位置で、上部分は浮力船に旋回可能に連結されていてよい。装置が水域で浮遊しているときに水線より下に保たれるように構成された1つ又は複数の位置で、下部分は、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。装置が水域で浮遊しているときに水線より上に保たれるように構成された1つ又は複数の位置で、上部分は、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。使用時に、水線より上に保たれるように構成された、浮力船に対する下部分の1つ又は複数の接続点よりもより水線に近い1つ又は複数の位置で、上部分は、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。上部分及び下部分を、垂直方向に間隔を空けた位置で浮力船に接続することにより、第1及び第2のポジション間でタービンアセンブリを移動させるための機械的利点が最大化される。
【0085】
上部分及び/又は下部分は、1つ又は複数の旋回点において、浮力船に旋回可能に接続されていてよい。上部分及び/又は下部分は、ラムと、それに対応した1つ又は複数の機械的リンケージ構成部により、浮力船に旋回可能に接続されていてよい。いくつかの実施形態において、上部分は、機械的リンケージによって浮力船に間接的に連結されていてよく、下部分は、旋回点において、例えばヒンジ構成部により、浮力船に直接連結されていてよい。機械的リンケージは、一方の端部において浮力船に関連付け、連結されており、他方の端部において、上部分に関連付け、連結されていてよい。機械的リンケージは、ラムにも関連付けられていてよい。
【0086】
浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点から、垂直方向及び水平方向にオフセットしていてよい。
【0087】
上部分は、浮力船に間接的に接続されていてよい。例えば、上部分が、ラム及び関連付けられた1つ又は複数のリンケージ構成部により、浮力船に接続されている実施形態において、支持構造体の上部分は、リンケージ構成部の一方の端部に旋回可能に接続されていてよく、リンケージ構成部の他方の端部は、浮力船に接続されていてよい。リンケージ構成部は、ラムにも接続されていてよい。ラムは、2つの点において浮力船に接続されていてよい。浮力船に対するラムの接続点のうちの一方は、浮力船に対するリンケージ構成部の接続点であってよい。浮力船に対するラムの接続点のうちの他方は、浮力船に対するリンケージ構成部の接続点より下に配設されていてよい。浮力船に対するリンケージ構成部の接続点は、水線より上にあってよい。
【0088】
浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、水線の近くに位置してよい。浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、水線より上に、例えば水線のすぐ上に位置してよい。浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の長手軸を含む水平な断面より上に位置してよい。つまり、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の上半分に位置していてよい。浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の全高の約5%~約50%の距離で、浮力船の長手軸より上に位置するように構成されてよい。例えば、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の全高の約5%~約45%、又は約5~約40%、又は約5%~約30%、又は約5%~約20%、又は約5%~約10%、又は約30%~約50%、又は約30%~約40%、又は約10%~約40%、又は約10%~約30%、又は約10%~約20%、又は約10%~約45%の距離で、浮力船の長手軸より上に位置するように構成されてよい。浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、ラム及び関連付けられたリンケージ機構に関連付けられてよい。
【0089】
浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の基線に又は基線寄りに配設されていてよい。浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の長手軸を含む水平な断面より下に位置してよい。つまり、浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の下半分に位置してよい。浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、ヒンジ構成部に関連付けられてよい。
【0090】
浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の基線と、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点の位置との間に配設されていてよい。浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の全高の約50%~約100%の距離だけ、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点から垂直方向に離れていてよい。浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の全高の約50%~約75%、又は約50%~約60、又は約60%~約80%、又は約70%~約90%、又は約75%~約90%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%の距離だけ、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点から垂直方向に離れていてよい。
【0091】
浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、中央寄り端部から外側寄り端部までの支持構造体の平均長さの約6分の1~約13分の1の距離だけ、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点から垂直方向に離れていてよい。浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、中央寄り端部から外側寄り端部までの支持構造体の平均長さの約6分の1~約10分の1、又は約7分の1~約9分の1、又は約6分の1~約8分の1、又は約9分の1~約11分の1、又は約8分の1~約10分の1、又は約10分の1~約13分の1、又は約11分の1~約13分の1、又は約9分の1~約10分の1、又は約12分の1~約13分の1の距離だけ、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点から垂直方向に離れていてよい。
【0092】
浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点は、第1のポジション及び第2のポジションの間でタービンアセンブリを移動させるための、タービンアセンブリの1つ又は複数の引っ張り点を画定してよい。浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船に対するタービンアセンブリの1つ又は複数の旋回点を画定してよい。
【0093】
タービンアセンブリの引っ張り点に対して低い旋回点を提供することにより、タービンアセンブリの引っ張り点が受ける機械的利点が増大し、こうして第1のポジション及び第2のポジションの間でタービンアセンブリを移動させるのに必要な力が、最小限に抑えられる。これにより、ひいてはより小型のエンジンの使用が可能になる。これにより、装置の拡張性に関する柔軟性も増大する。例えば、これにより、そうでない場合に利用可能であったものよりも大きいローターブレードを、異なるポジション間で移動するように構成されたタービンアセンブリを有する装置において使用することが可能になる。さらに、タービンアセンブリのヒンジ点を低くすることは、動力発生装置のロール安定性に対する有益な効果も有してよい。
【0094】
浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の基線から、浮力船の全周の約18分の1~約4分の1の距離に位置してよい。例えば、浮力船に対する支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の基線から、浮力船の全周の約18分の1、又は約17分の1、又は約16分の1、又は約15分の1、又は約14分の1、又は約13分の1、又は約12分の1、又は約11分の1、又は約10分の1、又は約9分の1、又は約8分の1、又は約7分の1、又は約6分の1、又は約5分の1、又は約4分の1の距離に位置してよい。
【0095】
浮力船を中心として対称に配設された2つのタービンアセンブリを動力発生装置が備える実施形態において、第1の支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の周囲の約7分の1~約2分の1を網羅する距離(対称に配設された2つの接続点間で、浮力船の下側に沿って測定された距離)だけ、第2の支持構造体の対応する1つ又は複数の接続点から離れていてよい。第1の支持構造体の下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船の周囲の約7分の1~約5分の1、又は約6分の1~約4分の1、又は約5分の1~約3分の1、又は約3分の1~約2分の1、又は約7分の1~約3分の1、又は約5分の1~約2分の1、又は約6分の1~約3分の1を網羅する距離だけ、第2の支持構造体の下部分の対応する1つ又は複数の接続点から離れていてよい。例えば、浮力船に対する2つの支持構造体の対称に配置された1つ又は複数の接続点は、浮力船の全周の約7分の1、又は約6分の1、又は約5分の1、又は約4分の1、又は約3分の1を網羅する距離だけ離れていてよい。
【0096】
いくつかの実施形態において、タービンアセンブリは、浮力船に回転可能又はスライド可能に連結されていてよい。タービンアセンブリは、浮力船の輪郭の周りを移動可能、回転可能、又はスライド可能なプレートに連結されていてよい。上部分及び/又は下部分は、1つ又は複数の接続点において、浮力船にスライド可能に接続されていてよい。浮力船に対する上部分の1つ又は複数の接続点、及び下部分の1つ又は複数の接続点の、浮力船の基線に対する距離は、可変であってよい。浮力船に対する上部分の1つ又は複数の接続点、及び下部分の1つ又は複数の接続点の間の、垂直方向及び/又は水平方向の距離は、固定されていてよい。上部分は、下部分よりも、浮力船の基線から短い距離で、浮力船に移動可能に連結されていてよい。換言すると、浮力船に対する下部分の1つ又は複数の接続点は、浮力船に対する上部分の1つ又は複数の接続点よりも、浮力船の基線からより長い距離に位置してよい。
【0097】
上部分及び/又は下部分は、間接的に浮力船に接続されてよい。例えば、上部分及び/又は下部分は、プレートに接続されてよい。プレートは、浮力船にスライド可能に連結されていてよい。換言すると、浮力船の基線に対するプレートの高さは、可変であってよい。いくつかの実施形態において、上部分は、1つ又は複数の接続点において、(例えば溶接又はボルト留めによって)プレートに接続されてよい。下部分は、1つ又は複数の接続点において、(例えば溶接又はボルト留めによって)プレートに接続されてよい。プレートに対する下部分の1つ又は複数の接続点は、プレートに対する上部分の1つ又は複数の接続点より上に配設されてよい。代替的に、プレートに対する下部分の1つ又は複数の接続点は、プレートに対する上部分の1つ又は複数の接続点より下に配設されてよい。上及び下、~より上及び~より下という用語は、(動力発生装置が水域に浮遊しているときに確認されるような)通常の構成のタービンアセンブリを参照していることが理解されるべきである。プレートは、直線状であってよい。プレートは、曲線状であってよい。いくつかの実施形態において、プレートは曲線状であり、浮力船の形状に一致している。例えば、浮力船が実質的に円筒状である実施形態において、プレートは曲線状であってもよいし、又は円筒の一区画であってもよい。プレートは、浮力船の基線に対して垂直方向に移動するように構成されてよい。例えば、動力発生装置が第1のポジションにあるとき、プレートは、動力発生装置が第2のポジションにあるときよりも、浮力船の基線のより近くに配設されてよい。プレートは、任意の適切な手段により、浮力船に対して移動又はスライドするように構成されてよい。例えば、プレートは、ガイドに沿ってスライドするように構成されてよい。いくつかの実施形態において、プレートは、浮力船を中心として回転又はスライドするように構成されたベアリングであってよい。
【0098】
いくつかの実施形態において、支持構造体の上部分は、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから中央寄り端部まで延伸した主部材を備えてよく、それは浮力船に移動可能に接続されている。例えば、主部材は、単一の接続点において、浮力船に(直接であれ又は機械的リンケージを介して間接的にであれ)旋回可能に接続されていてよい。主部材は、機械的リンケージの外側寄り端部に旋回可能に接続されてよく、機械的リンケージは、その中央寄り端部において浮力船に旋回可能に接続されてよい。機械的リンケージは、2つ又はそれより多くの旋回点を画定してよい。浮力船に対する、支持構造体の上部分に関連付けられた機械的リンケージの接続点は、引っ張り点であってよい。浮力船に対する上部分の並進及び/又は回転運動は、動力式機構による(例えば液圧ラム及び/又はウィンチによる)引っ張り作用の結果、生じてよい。これらの実施形態において、支持構造体の下部分は、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから延伸した主部材を備えてよく、この主部材は、支持構造体の中央寄り端部において、水平方向に間隔を空けた2つ又はそれより多くの位置で下部分が浮力船に(直接であれ又は間接的にであれ)接続されるように分岐している。これらの実施形態において、浮力船に対する上部分の接続点は、浮力船に対する下部分の接続点から、垂直方向及び水平方向にオフセットしていてよい。
【0099】
いくつかの実施形態において、支持構造体の下部分は、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから中央寄り端部まで延伸した主部材を備えてよく、それは、単一の接続点において、浮力船に旋回可能に(直接又はリンケージを介して間接的に)接続されている。
いくつかの実施形態において、支持構造体の上部分は、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから延伸した主部材を備えてよく、この主部材は、支持構造体の中央寄り端部において、水平方向に間隔を空けた2つ又はそれより多くの位置で、下部分が浮力船に旋回可能に(直接又はリンケージを介して間接的に)接続されるように分岐している。これらの実施形態において、浮力船に対する上部分の接続点は、浮力船に対する下部分の接続点から、垂直方向及び水平方向にオフセットしていてよい。
【0100】
いくつかの実施形態において、支持構造体の上部分及び/又は下部分は、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから中央寄り端部に向かって延伸した2つ又はそれより多くの主部材を備えてよく、それぞれの主部材は、水平方向に離隔した位置において浮力船に旋回可能に連結されている。これらの実施形態において、上及び/又は下部分は、実質的に三角形状を画定してよい。
【0101】
動力発生装置は、任意の適切な材料、例えば鋼、又は低密度材料から製造されてよい。タービンアセンブリの支持構造体は、任意の適切な材料、例えば鋼、強化コンクリート、低密度材料、例えば炭素繊維などから製造されてよい。
【0102】
いくつかの実施形態において、支持構造体の上又は下部分のうちの一方だけが、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから支持構造体の中央寄り端部に向かって延伸した2つ又はそれより多くの主部材を備え、それぞれの主部材は、水平方向に離隔した位置において浮力船に旋回可能に連結されている。これらの実施形態において、支持構造体の上部分又は下部分のうちの他方は、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから延伸し且つ中央寄り端部に向かって延伸した単一の主部材を備える。中央寄り端部において、上記主部材は、浮力船に対する上又は下部分の主部材のうちの他方の連結点から、垂直方向及び水平方向にオフセットした単一の点で(直接であれ又は間接的にであれ)浮力船に旋回可能に取り付けられている。
【0103】
いくつかの実施形態において、支持構造体の下部分は、支持構造体の外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから延伸して支持構造体の中央寄り端部に向かって通っている単一の主部材を備える。下部分の単一の主部材は、支持構造体の中央寄り端部及び外側寄り端部の間の1つ又は複数の点において分岐していてよい。換言すると、下部分は、支持構造体の外側寄り端部においてナセルと一体であるか又はナセルに接続された主部材(例えば主ステム又は管)、及び支持構造体の中央寄り端部に向かって主部材から分かれて長手方向に離隔している2つ又はそれより多くの分岐部又は部分を備えてよい。2つ又はそれより多くの分岐部は、水平方向に離隔した位置において、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。2つ又はそれより多くの分岐部のそれぞれは、(例えば上で考察したような)ヒンジ点において、浮力船に旋回可能に連結されていてよい。これらの実施形態において、支持構造体の上部分は、外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから延伸して中央寄り端部に向かって延伸している単一の主部材を備えてよい。中央寄り端部において、上記主部材は、浮力船に対する下部分の連結点から垂直方向及び水平方向にオフセットした単一の点において、浮力船に動作可能に連結されていてよい。上部分の主部材は、液圧ラムにより、浮力船に動作可能に連結されていてよい。液圧ラムは、支持構造体の上部分の一方又は他方、及び浮力部材の間に、機械的リンケージ構成部により動作可能に接続されていてよく、機械的リンケージ構成部は、第1の端部において支持構造体の上部分に連結されており、第2の端部において浮力船に連結されている。
【0104】
理論による制約を望むものではないが、互いに垂直方向及び/又は水平方向にオフセットした、浮力船に対する支持構造体の複数の接続点を提供することにより、浮力船にかかる荷重のより良好な分散、及びより良好なグリップが提供されることがある。浮力船に対する支持構造体の接続点の水平方向の間隔は、推力に抵抗するための機械的利点を提供する。浮力船に対する支持構造体の接続点の垂直方向の間隔は、第1及び第2のポジション間でタービンアセンブリを移動させるための機械的利点を提供する。開放構造(例えば開放フレーム)を有する支持構造体を提供することにより、最小限の量の材料/構造を使用して、接続点間の間隔を増大することができる。これにより、ひいては、タービン及びナセルを支持するための機械的安定性を損なうことなく、支持構造体の重量も最小化される。
【0105】
支持構造体は、任意の適切な形状を有してよい。例えば、支持構造体は、実質的に三角形状、又は実質的に矩形状、又は円弧形状(例えば、翼形状又はかもめの翼の形状)などを有してよい。
【0106】
タービンアセンブリを第1及び第2のポジション間で移動させるための動力式機構として、動力発生装置がウィンチを備える実施形態において、タービンアセンブリは、ウィンチアンカー点を備えてよい。ウィンチアンカー点は、タービンアセンブリに沿ってどこにでも位置してよい。例えば、ウィンチアンカー点は、支持構造体又はナセルに位置してよい。ウィンチアンカー点は、動力発生装置の上部分又は下部分に位置してよい。ウィンチアンカー点は、タービンアセンブリを第1及び第2のポジション間で移動させるために、ウィンチに関連付けられたウィンチ線又はケーブルに接続されるように構成されてよい。ウィンチアンカー点が支持構造体に位置する実施形態において、ウィンチアンカー点は、(支持構造体が第2のポジションにあるときに見て)支持構造体の最高点に位置してよい。例えば、支持構造体の上部分又は下部分が頂点を備えるか又は画定する実施形態において、ウィンチアンカー点はその頂点に位置してよい。ウィンチアンカー点を備える上部分又は下部分の頂点は、ジンポールであってよい。
【0107】
理論による制約を望むものではないが、ウィンチアンカー点を支持構造体より上に上昇させることにより、タービンアセンブリが第2のポジションにあるときに、ウィンチ線(例えばウィンチに関連付けられたケーブル)が実質的に水平(又は浮力船の長手軸に対して垂直)になってよい。これにより、ひいてはウィンチ線において必要とされる張力が最小限に抑えられる。ウィンチアンカー点を支持構造体上に提供することにより、ウィンチアンカー点をより高くするとともに、浮力船により近くすることができる。これにより、ひいては、ウィンチアンカー点がより簡単に(例えば動力発生装置のプラットフォームから)到達可能になり、持ち上げモーメントが改善される。
【0108】
浮力船を中心として対称に配設された2つのタービンアセンブリを動力発生装置が有する実施形態において、タービンアセンブリは、互いに対して反作用し、第1のポジションから第2のポジションへの持ち上げの最終部分に、ボウストリング効果(bow string effect)を利用するように構成されてよい。疑義を回避するため、ボウストリング効果は、線に対して垂直に引くことにより非常に高い張力が線に発生し得る場合に、例えば矢を射るために弓に張力をかけたときに、生じる。
【0109】
第2のポジションへのタービンアセンブリの持ち上げ中に必要な最大力は、それらが水平に接近するときであることから、タービンアセンブリを第2のポジションに持ち上げるためにボウストリング効果を利用することは有益である。タービンアセンブリを持ち上げるために加える必要がある力は、下方向に加えられた場合に劇的に低減する。したがって、タービンアセンブリを第2のポジションに持ち上げるためにボウストリング効果を利用することにより、タービンアセンブリが第2のポジションに近づいたときに動力式持ち上げ機構の使用を停止すること、及び脚部を互いに反作用させることを含む第2の持ち上げステージを有することが可能になる。ボウ効果は、動力式機構、例えばウィンチ及び/又はラム、及び関連付けられた機械的リンケージを利用する任意の実施形態に適用されてよい。
【0110】
上部分及び下部分は、1つ又は複数の点において互いに接続されていてよい。上部分及び下部分は、支持構造体の外側寄り端部で又はその近くで、互いに接続されていてよい。例えば、上部分及び下部分は、ナセルにおいて、及び/又はナセルに近い位置において、互いに接続されていてよい。上部分及び下部分は、支持構造体の中央寄り端部で、又は中央寄り端部の近くで、互いに接続されていてよい。上部分及び下部分は、支持構造体の中央寄り端部からその外側寄り端部までのその長さに沿った1つ又は複数の点において、互いに接続されていてよい。例えば、上部分及び下部分は、支持構造体の外側寄り端部で又はその近くで、及び中央寄り端部で又はその近くで、互いに接続されていてよい。付加的又は代替的に、上部分及び下部分は、支持構造体の外側寄り端部及び中央寄り端部の間で、支持構造体の長さに沿った1つ又は複数の位置において、互いに接続されていてよい。
【0111】
上部分及び下部分は、任意の適切な手段によって互いに接続されていてよい。例えば、上部分及び下部分は、1つ又は複数の支柱によって、互いに接続されていてよい。1つ又は複数の支柱は、上部分及び下部分の間に配設されていてよく、且つ上部分及び下部分に接続されているか又はそれらと一体であってよい。1つ又は複数の支柱は、任意の適切な構造、例えばシャフト、脚部、プロップなどであってよい。上部分、下部分、及び1つ又は複数の支柱は、一体であってよい。代替的に、上部分、下部分、及び1つ又は複数の支柱は、任意の適切な手段によって互いに連結された別個の構造であってよい。例えば、上部分、下部分、及び1つ又は複数の支柱は、溶接又はボルト留めによって互いに連結されていてよい。
【0112】
支持構造体の上部分、下部分、及び任意選択で1つ又は複数の支柱は、開放支持構造体を画定してよい。有利には、開放支持構造体を提供することにより、閉鎖支持構造体と比較して支持構造体の重量が低減されることがある。タービンアセンブリを(例えば動力式作動システムによって)上昇させるのに必要な力は、支持構造体の重量、及びナセル及びローターブレードの重量によって駆動される。タービンアセンブリが完全に沈んだ状態に保たれる第2のポジションにおいて、装置を持ち上げて第1のポジションに移動させるために作動機構が必要とする重量は、水中での正味重量(すなわち、空中でのタービンアセンブリの重量マイナス浮力)である。タービンアセンブリの一部が、水面に出た場合、作動機構は、空中にあるタービンアセンブリの重量を持ち上げる必要がある。脚部を完全に上昇させるためにタービンアセンブリが水面に出る実施形態では、閉鎖支持構造体と比較して開放支持構造体の空中での重量が少ないことにより、作動システムのピーク荷重が少なくなる。これにより、第1のポジション及び第2のポジションの間でタービンアセンブリの作動が容易になってよい。
【0113】
加えて、支持構造体を開放型にすることにより、その重量が低減され得ることを考慮すると、本発明による動力発生装置は、より大きいタービンロータ及び/又はナセルに連結されてよい。支持構造体の低減された重量が、ロータの増大した重量を補償できるので、より大きいロータを有しても、タービンアセンブリの全体的な重量は実質的に維持されるか、又はやや増大するだけであってよい。したがって、本発明の動力発生装置は、水流から収集できるエネルギーを最大化することが可能であってよい。
【0114】
タービンアセンブリの支持構造体の重量の低減は、(特に2つ又はそれより多くのタービンアセンブリを有する実施形態において)装置の重量の全体的な低減をもたらしてよい。さらに、より軽量な開放支持構造体により、本発明によるデバイスは、閉鎖支持構造体よりもさらに水から出るようにタービンアセンブリを持ち上げることが可能であってよい。これにより、ひいては抗力が低減され、且つ/又はナセルが持ち上げられたときに、その乾舷をより大きくすることができ、こうしてより大きい好天期内に、ナセルへのアクセスが可能にされてよい。タービンアセンブリの一部が第1のポジションにおいて水中に保たれている場合でも、開放構造を提供することにより、支持構造体を通って水が流れることができ、装置が位置間で牽引されている間にも抗力が最小限に抑えられる。これらの特徴により、位置間で装置を牽引するために、より小さいはしけ又は牽引ボートを使用することが可能になり、こうして運用コストが低減される。
【0115】
本発明のタービンアセンブリの支持構造体の開放構造は、閉鎖構造を有するタービンアセンブリよりも、増大した構造部材対空間比を有している。これにより、ひいては装置全体をスケールアップすることに関する柔軟性、又はより大きいタービンを利用しながら装置の全体的なスケールを維持することの柔軟性がより大きくなる。さらに、開放フレーム支持構造体は、閉鎖フレーム支持構造体よりも少ない材料を必要としてよく、したがって、製造及び輸送のコストを最小限に抑えることができる。
【0116】
さらに、水流の方向の開放構造を有する支持構造体を提供することにより、水が支持構造体を通って流れることができ、こうしてタービンアセンブリが第2のポジションにあるときに、タービンアセンブリの支持構造体によって誘発される水流の乱れが最小限に抑えられる。これは、使用時に動いているローターブレードが通過するエリアのあたりで特に重要である。水中に沈んだ支持構造体が遭遇する水流は、支持構造体の存在によって妨害され、支持構造体の直後の流速の低減を引き起こす。これはタワーシャドウ(tower shadow)として知られている。タービンを備える海中の動力発生装置において、遅い流れの領域をタービンが通り過ぎるときに、より遅い流れは、タービンのブレードにかかる荷重を変動させる。この荷重変動の主要な影響は、ブレード/ロータ/脚部にかかる疲労荷重が増大することであり、場合によりタービンが受ける極限荷重が増大することである。タービンのブレードは、時間のうちの半分にわたって(すなわち潮が上がる又は下がるときに)支持構造体の下流で動作することから、この影響は、潮流による動力発生装置において特に深刻である。有利には、本発明による動力発生装置の開放支持構造体は、水流がローターブレードを動かすときにそれらに対する支持構造体からのシャドウの影響を最小限に抑え、こうして例えば潮流又は河川の流れから動力化できるエネルギーが最大化される。
【0117】
本発明の開放支持構造体は、2つのブレードがあるタービンを備える実施形態において特に有利であり、その理由は、この種類のタービンでは、1回転当たりに2倍のブレード及びロータ荷重の変動が生じるため、シャドウの影響が特に深刻であるからである。2つのブレードがあるロータでは、1つのブレードが支持構造体又はタワーの後ろに(すなわちシャドウ内に)配設されるとき、利用可能なブレードのうちの50%は、低減した荷重を受けるが、これと比較して、3つのブレードがあるタービンが受ける状況では、1つのブレードは全ロータ荷重の33%にしか相当しない。したがって、装置の動力化能力を最大化するために、2つのブレードがあるロータについてシャドウの影響を最小限に抑えることが非常に望ましい。
【0118】
開放支持構造体を有する本発明による動力発生装置を提供することにより、タービンの周りの支持構造体の幅を大幅に低減することができ、開放構造のコンポーネント(例えば主部材、分岐部材、支柱など)の形状のより複雑な最適化が可能になる。
【0119】
理論による制約を望むものではないが、本発明のタービンアセンブリの開放支持構造体は、閉鎖フレーム支持構造体と比較して、減少した浮力を呈してよい。支持構造体の浮力の減少は、装置の浮心及びメタセンターの上昇をもたらし、したがって動力発生装置のロール剛性の増大がもたらされる。
【0120】
さらに、閉鎖支持構造体を有する動力発生装置は、支持構造体の大きく突出したエリアを呈する傾向にある。これらのエリアは、潮の乱流から非定常的な抗力及び持ち上げ荷重を捕捉することがある。本発明の装置の開放支持構造体の全表面は、閉鎖フレーム配置よりも少ないことから、本発明の動力発生装置は、改善されたロール安定性を有することができる。
【0121】
開放支持構造体は、流体力学的に形成されてよい。つまり、タービンアセンブリの開放支持構造体の構造的コンポーネント(例えば、1つ又は複数の主部材、1つ又は複数の支柱、及び任意選択で1つ又は複数の分岐部材)は、流体力学的に形成されてよい。例えば、タービンアセンブリの開放支持構造体の構造的コンポーネントは、翼又は帆の形状又はプロファイルを画定してよい。換言すると、タービンアセンブリの開放支持構造体の構造的コンポーネントは、ハイドロフォイルとして形成されてよい。いくつかの実施形態において、タービンアセンブリの開放支持構造体の構造的コンポーネントは、移動可能であってよい。例えば、開放支持構造体の構造的コンポーネント(例えば、支持構造体の上部分及び/又は下部分の主部材又はその一部、存在する場合には1つ又は複数の支柱、及び任意選択で1つ又は複数の分岐部材)は、可変のピッチ角の周りで移動してよい。ピッチ角は、ロールに抵抗するために能動的に可変であってよい。これは、船のフィンスタビライザのように作用する。代替的に、開放支持構造体の構造的コンポーネントは、ポジションが固定されていてよい(例えば受動的システム)。
【0122】
流体力学的に形成される開放支持構造体は、浮力船への荷重伝達が最適化されるように形成されてよい。流体力学的に形成される開放支持構造体は、上方向への(すなわち水面に向かう)持ち上げ力を生じさせるために、角度を成してよい。この持ち上げ力は、ナセルの重量に起因する重力荷重を軽減することにより、第1のポジションから第2のポジションへのタービンアセンブリの移動を補助する。加えて、持ち上げ力は、第1及び/又は第2のポジションでタービンアセンブリが静止した状態に保持されるときにも、重力荷重に対抗する。ロータからのトルク並びに重力荷重に抵抗するためのフォイルのピッチ角は、能動的又は受動的に変えられてよい。支持構造体は、流体力学的に形成された開放支持構造体のピッチを変えるための能動的システムを備えてよい。支持構造体は、ハイドロフォイルとして形成されてよく、ハイドロフォイルのピッチを変えるための能動的システムを備えてよい。
【0123】
支持構造体の構造的コンポーネントのブレード又は帆の形状は、支持構造体の周りの水流の乱れを最小限に抑えてよい。これにより、ひいては、ローターブレードの周りの乱流が最小限に抑えられてよく、こうして、それらの後ろに構造体を有した結果としてローターブレードが受けるシャドウの影響が(異なる形状を有する支持構造体、例えば円筒状の開放フレーム支持構造体と比較して)さらに低減される。
【0124】
さらに、流体力学的に形成された開放支持構造体は、ロール運動に抵抗するために支持構造体によって発生させられる持ち上げ力から恩恵を受けてよい。さらに、流体力学的に形成された開放支持構造体は、動力発生装置が牽引されている間の抗力を最小限に抑える。
【0125】
動力発生装置は、典型的には様々な付加的装置を備えてよい。また、そのような付加的装置の位置又は分配が、本発明の範囲から逸脱することなく変えられてよいことを、当業者は理解するであろう。
【0126】
例えば、動力発生装置は、エネルギーを収集するため、これを電気エネルギーに変換するため、及び/又はそのような電気エネルギーを変圧し、蓄積し、且つ/又は電気分配システムへ送達するために必要とされる装置を備えてよい。
【0127】
動力発生装置は、バラストタンクを選択的に浸水及び通気させることにより浮力を変えるのに必要な装置も備えてよい。
【0128】
タービンアセンブリ、又はそのナセル及び/又は支持構造体は、1つ又は複数のバラストタンクを備えてよい。
【0129】
動力発生装置は、(浮力を増大させるために)バラストタンクに空気を送達するための導管を備えてよい。バラストタンクを浸水させるために、動力発生装置は、周囲の水及びバラストタンクの間に入口又は入口導管を備えてよい。バラストタンクを浸水/通気させるために、装置は、バラストタンクから空気/水を選択的に解放するための通気導管又は通気マニフォルドを備えてよい。通気導管/マニフォルドの出口は、水面より上に位置付けられてよい。
【0130】
バラストタンクに空気を送達するため及び/又はバラストタンクから水を排出するための装置の手段は、最も典型的には浮力船に置かれている。そのような装置は、例えば圧縮空気の供給源(例えばシリンダ又はコンプレッサ)、又はそれに接続するための接続部を備えてよい。可変浮力システムを動作させるための選択的に動作可能な弁が、浮力船上に位置してよい。そのような装置は、1つ又は複数のポンプを備えてよい。
【0131】
ナセルは、電気発生機を備えてよい。有利には、これはインライン発生機であってよく、任意選択で直接駆動式発生機であってよい(すなわちギヤボックスがない)。発生機は、任意の適切な種類の発生機であってよく;最も典型的には、電気ロータ及び固定子を備え、この電気ロータは、典型的にはタービンロータによって駆動される。代替的に、電気は、タービンロータの作用の下で循環する流体から間接的に発生させられてもよい。
【0132】
タービンロータが可変ピッチのローターブレードを備えることが、望ましい場合がある。例えば、暴風雨条件中にローターブレードをフェザリングすることにより、タービンアセンブリを介して加えられる荷重を低減し、損傷を防止してよい。
【0133】
したがって、ナセル(及び/又は特にタービンロータ)は、ピッチ調整構成部を備えてよい。風及び海/水の両方のタービンに関して、タービンブレードのピッチを調整するための様々な手段が、当分野において知られている。例えば、タービンロータは、ローターブレードに沿って軸を中心としてハブに回転可能に取り付けられたローターブレード(又は複数のブレード)を備えてよく、ピッチは、プラナリギヤ(planary gear)又はスリューリング(slew ring)に連結されたウォーム歯車又はピニオンにより、調整可能である。
【0134】
ピッチ調整構成部は、電気機械的に作動してよい。ピッチ調整構成部は、ロータに収容されていてよい。タービンブレードのピッチ調整の例は、GB996182、CN202266366、又はGB2348250、又はWO2009004420に記載されており、これらは当業者に向けられている。
【0135】
タービンロータは、ローターブレードのピッチを反転させるように構成されてよい。ローターブレードは、180度又は360度回転可能であってよい。ローターブレードのピッチを反転させるための機関により、動力発生装置全体のポジションを変えることなく、水流の方向に関わらずエネルギーを収集することが可能であってよい。ピッチは、潮流の方向が変化したときに、エネルギーを収集するように反転されてよい。水流の変動に応答してピッチを調整することが、望ましい場合もある。
【0136】
動力発生装置は、典型的には最終的なポジションにアンカー固定される。任意の適切なアンカー固定配置、例えば水域の底にあるアンカー固定構造体(典型的にはコンクリートブロック)と、浮力船の一方又は両方の端部の又はその近くの適切な固定具との間の、従来のケーブルが利用されてよい。EP2300309(Scotrenewables Tidal Power Limited)に記載されたものなどの回転可能なアンカーも適切である。
【0137】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様による動力発生装置のためのタービンアセンブリであって、前記タービンアセンブリが、ナセルに取り付けられたタービンロータ、及び支持構造体を備え; 前記支持構造体が、その中央寄り端部において、垂直方向に間隔を空けた少なくとも2つの接続位置で、前記浮力船に連結され、その外側寄り端部において、前記ナセルに連結されるように構成されており;
前記支持構造体が、水が流れるための谷を提供するように構成された少なくとも1つの空所を画定した開放構造を有し;
使用時に前記浮力船に連結されたとき、前記タービンアセンブリが、第1のポジション及び第2のポジションの間で旋回可能に移動可能である、タービンアセンブリが提供される。
【0138】
本発明の第1態様に関して記載されたタービンアセンブリの全ての特徴は、本発明の第2の態様にも適用される。
【0139】
本明細書において、水面への言及、及び沈んでいるか又は水面より上にあるコンポーネントへの言及は、水域で浮遊しているときの動力発生装置に言及していることが理解されるべきである。
【0140】
さらに、水線の正確なポジション(すなわち動力発生装置に対する水面)は、水の塩分濃度、温度、船上の荷重などに依存してよい。浮力装置の水線のポジションは、観察又は計算により、当業者が容易に決定できる。
【0141】
本発明のそれぞれの態様の好ましく且つ任意選択の特徴は、本発明の他のそれぞれの態様の好ましく且つ任意選択の特徴に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0142】
ここで、以下の図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【0143】
図1A】本発明による、動力発生装置を示す斜視図である。
【0144】
図1B図1Aの動力発生装置を示す下面図である。
【0145】
図1C】第2のポジションにある図1Aの動力発生装置を示す上面図である。
【0146】
図2A】タービンアセンブリが第1のポジションにある状態で水域で浮遊しているときの、上から見た本発明による動力発生装置を示す斜視図である。
図2B】タービンアセンブリが第2のポジションにある状態で水域で浮遊しているときの、上から見た本発明による動力発生装置を示す斜視図である。
図2C】タービンアセンブリが第1のポジションにある状態で水域で浮遊しているときの、下から見た図2A及び図2Bの装置を示す斜視図である。
【0147】
図3A】第1のポジションにある、本発明の動力発生装置の一実施形態を示す概略正面図である。
図3B】第2のポジションにある、本発明の動力発生装置の一実施形態を示す概略正面図である。
【0148】
図4】タービンアセンブリが第1のポジションにある状態の、本発明による動力発生装置の一実施形態を示す側面図である。
【0149】
図5図4に示してあるポジションに類似したポジションにある、先行技術の動力発生装置を示す側面図である。
【0150】
図6】第2のポジションにある、図4の装置の一部を示す斜視図である。
【0151】
図7】タービンアセンブリが第2のポジションにある状態の、図5の装置の一部を示す斜視図である。
【0152】
図8】タービンアセンブリが第1のポジションにある状態の、図5及び図7の装置を示す前面図である。
【0153】
図9】第1のポジションにある、図4及び図6の装置を示す前面図である。
【0154】
図10A】第1のポジションにある、本発明の別の実施形態による動力発生装置を示す斜視図である。
【0155】
図10B】第2のポジションにあり、第1のポジションを大まかに示す、図10Aの装置を示す前面図である。
【0156】
図11】第2のポジションにある、本発明による動力発生装置のタービンアセンブリに接続された動力式機構が受けるボウストリング効果を示す概略図である。
【0157】
図12A】開放構造体を有し、支持構造体の外側寄り端部にナセルを備えるタービンアセンブリの一実施形態を示す前面図である。
図12B】開放構造体を有し、支持構造体の外側寄り端部にナセルを備えるタービンアセンブリの一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0158】
図1に示してあるように、本発明による動力発生装置100は、プラットフォーム又はデッキ190を有する浮力船110を備え、浮力船110の長手軸を中心として対称に配設された2つのタービンアセンブリ120を備えている。この実施形態において、タービンアセンブリ120は、浮力船の船尾又は船首の区画のうちの1つのより近くで浮力船110に移動可能に連結されている。図1において、タービンアセンブリ120は第1のポジションで示してあり、この第1のポジションでは、動力発生装置が水域上で浮遊しているときに、ナセル130が完全に水線より下に沈むように構成されている。
【0159】
それぞれのタービンアセンブリ120は、ナセル130に取り付けられた2つのブレードを有するタービンロータ135を備える。ナセルは、支持構造体140の外側寄り端部と一体であるか、又はそれに固定接続されている(例えば、それにボルト留め又は溶接されている)。支持構造体140の中央寄り端部は、以下で説明するように、浮力船110に移動可能に連結されている。
【0160】
支持構造体140は、垂直方向に離隔して、水が流れることのできる開放構造を画定する上部分及び下部分を備える。上部分及び下部分は、上部分及び下部分の間に配設されて、それらに接続されているか又はそれらと一体の支柱148によって、互いに接続されている。支柱148は、任意の適切な手段によって上部分及び下部分に接続可能である。例えば、支柱は、上部分及び下部分にボルト留め又は溶接されてもよいし、又はそれらは上部分及び/又は下部分のうちの一方又は両方と一体であってもよいし、又は例えば支持構造体の異なるコンポーネントのピッチを調整するために、相対移動を可能にするように支持構造体140の上部分及び下部分に移動可能に接続されてもよい。
【0161】
下部分は、支持構造体140の中央寄り端部から外側寄り端部まで通る主部材144、及び主部材144から延伸しているか又はそれに接続されていて、主部材144から水平方向に離隔した分岐部材146を備える。
【0162】
タービンアセンブリは、複数の位置182a、182b、及び184で、浮力船110に旋回可能に連結されている。分岐部材146及び主部材144は、水平方向に間隔を空けた配置で、浮力船110に旋回可能に接続されている。下部分の分岐部材146及び主部材144は、ヒンジ構成部、例えばピンジョイント182a、bにより、浮力船110に連結されている。したがって、支持構造体の下部分は、浮力船110の長手軸に対して実質的に平行な軸に沿って配置された2つのヒンジ182a、182bにより、水平方向に間隔を空けた2つの旋回点で浮力船に接続されている。支持構造体140の下部分の、浮力船110に対する接続点は、浮力船110の下半分に位置しており、水域に浮遊している装置の水線より下に保たれるように構成されている。
【0163】
支持構造体140の上部分は、支持構造体の外側寄り端部においてナセルに接続されているか又はナセルから中央寄り端部まで延伸した(例えば、それにボルト留め又は溶接されてもよいし、又はそれと一体であってもよい)主部材142を、支持構造体の外側寄り端部まで備える。上部分は、ラム170及び関連付けられたリンケージ機構160によって浮力船110に移動可能に接続されている。
【0164】
上部分の主部材142は、支持構造体の下部分が浮力船110に旋回可能に連結されている2つの旋回点182a、182bよりも、より水線の近くに配設された1つの位置184において、浮力船110に旋回可能に連結されている。浮力船110と、ラム170及び支持構造体の上部分に関連付けられた機械的リンケージ160との接続点184は、水線より上に保たれるが、上記水線に近い高さに配設されている。機械的リンケージ160の中央寄り端部は、ヒンジ184において浮力船110に旋回可能に接続されている。機械的リンケージ160の外側寄り端部は、上部分の主部材142に旋回可能に接続されている。
【0165】
浮力船110に対する支持構造体140の上部分の接続点184は、浮力船110に対する支持構造体140の下部分の接続点182a及び182bから、垂直方向及び水平方向にオフセットしている。この実施形態において、接続点184は、支持構造体140の下部分の接続点182a、182bよりも上で、且つ浮力船110に対する下部分の接続点182a、182bの位置の間の、浮力船の長手軸に沿った位置に配設されている。
【0166】
浮力船210に対する支持構造体の下部分の接続点282a、282bは、浮力船の全高の約50%~約100%の距離だけ、浮力船に対する支持構造体の上部分の1つ又は複数の接続点から垂直方向に離れている。浮力船210に対する支持構造体の下部分の接続点282a、282b同士は、浮力船の全長の約13分の1~約6分の1の間の距離だけ、浮力船の長さに沿って間隔を空けている。
【0167】
浮力船110に対する支持構造体140の上部分の接続点184は、第1のポジション及び第2のポジションの間でタービンアセンブリ120を移動させるための、タービンアセンブリ120の引っ張り点を画定している。浮力船110に対する支持構造体140の下部分の接続点182a、182bは、浮力船110に対するタービンアセンブリ120の2つの旋回点を画定している。
【0168】
タービンアセンブリの引っ張り点に対して低い旋回点を提供することにより、タービンアセンブリの引っ張り点184が受ける機械的利点が増大し、こうしてタービンアセンブリを第1のポジション及び第2のポジションの間で移動させるのに必要な動力が最小化される。ひいてはこれにより、より小型のエンジンの使用が可能になる。またこれにより、装置の拡張性に関する柔軟性が増大される。例えばこれにより、そうでない場合に利用可能であったローターブレードよりも大きいローターブレードを、異なるポジション間で移動するように構成されたタービンアセンブリを有する装置において、使用することが可能になる。さらに、タービンアセンブリのヒンジ点を低くすることにより、動力発生装置のロール安定性に対して有益な効果を有することもできる。
【0169】
支持構造体140の開放構造は、隣接した接続点182a及び182bの間に、閉鎖構造で可能な間隔よりも大きい水平方向の間隔を空けることができる。浮力船110に対する支持構造体の下部分の旋回接続点182a及び182bを、水平方向に間隔を空けて並べることにより、タービンアセンブリ120が受ける推力に抵抗するための支持構造体140の機械的利点が増大する。
【0170】
したがって、この連結構成部は、第1のポジションから第2のポジションへのタービンアセンブリの持ち上げ、及び第2のポジションから第1のポジションへのタービンアセンブリの減衰を補助する。開放支持構造体は、浮力船に対する支持構造体の接続点の最適な位置を決定することにより、浮力船110に対する支持構造体140の荷重経路を最適化するための、より大きい柔軟性も提供する。ひいてはこれにより、本発明による装置は、推力に抵抗し、タービンアセンブリの第1及び第2のポジションの間での移動を実施するための機械的利点を最大化することが可能になる。
【0171】
この実施形態のタービンアセンブリの支持構造体140は、開放構造である。この構造は、上から(すなわち、図1Cでよりよく見えるように、通常の使用において動力発生装置を上から見たとき)開放しており、且つ前から(すなわち、図5A及び図5B及び図9の実施形態でよりよく見えるように、浮力船の長手軸に沿って動力発生装置を見たとき)開放している。
【0172】
図1Bは、図1Aの動力発生装置の下面図を示す。この図では、浮力船110に対する支持構造体140の下部分の接続点がよりよく確認される。この図で見えるように、浮力船110に対する支持構造体140の下部分の接続点182a及び182bは、浮力船の基線112から、浮力船の全周の約14分の1~約8分の1の距離に位置している。2つの支持構造体140、140'の接続点182a及び182a'及び182b及び182b'は、浮力船の周囲の約7分の1~約2分の1を網羅する距離(浮力船110の下側に沿って対称に配設された2つの接続点間で測定された距離)だけ離れた状態で、互いに近くに配設されている。
【0173】
図1Cは、第2のポジションにある図1A及び図1Bの装置の上面図を示す。この図では、線A―Aによって画定された浮力船110の長手軸を中心として、2つのタービンアセンブリ120、120'がどのように対称に配設されているかを理解することができる。また、機械的リンケージ160及びラム(この図では見えない)が第2のポジションに持ち上げられているときでも、浮力船に対するタービンアセンブリ120、120'の連結構成部(プラットフォーム190によって覆われているので図示されていない)は、浮力船に沿って歩くのに使用可能なプラットフォーム又はデッキ190を妨害しないことも、この図において理解することが可能である。また、図1Cでは、水平方向にオフセットした複数の点184、182a、182bにおいてタービンアセンブリ120、120'がどのように浮力船に連結されているか、及び支持構造体140、140'の下部分の旋回点182a及び182b(182a'及び182b')が、浮力船の長手軸に沿ってどのように広がっているかを理解することが可能である。
【0174】
図2A及び図2Bは、タービンアセンブリがそれぞれ第1のポジション及び第2のポジションにある状態で水域で浮遊しているときの、上から見た本発明による動力発生装置の斜視図を示す。図1の動力発生装置と共通の特徴には、100を増分した同様の参照番号が提供されている。図2Aに示してあるように、動力発生装置200が第1のポジションのタービンアセンブリ220を有するとき、支持構造体240の上部分242及びラム270に関連付けられた機械的リンケージ260の接続点284は、水線より上であるが水線の近くに保たれてよい。しかしながら、動力発生装置が水流から動力を発生させるとき、浮力船210は、タービンブレード235に加わる推力に起因して、ローリングするか又はトリムを生じさせ、船首又は船尾の端部で部分的に沈むことがある。この配置は、幅広いデッキ290を浮力船に配設することを可能にし、浮力船に対する機械的リンケージ260の接続点284をデッキの下に隠すことを可能にする。動力発生装置200が第2のポジションのタービンアセンブリ220を有するとき、機械的リンケージ構成部160の第1及び第2の端部間の距離は、液圧ラム270を動作させることによって減少し、タービンアセンブリ220を効果的に第2のポジションに引き寄せる。図2Bで見られるように、この連結構成部は、ラム270及び関連付けられた機械的リンケージ260によってデッキ290が妨害されないことを可能にする。
【0175】
図2A及び図2Cで見られるように、第1のポジションにおける機械的リンケージ260の第1のリンクは水中に沈むが、その一方で、浮力船210に対する機械的リンケージ260の中央寄り端部の接続点は、水線の上であるがその近くに保たれている。図2Aにおいて見られるように、タービンアセンブリ220が第1のポジションにあるとき、浮力船210に対する機械的リンケージ260の接続点は、水線の近くであるがその上に保たれている。タービンアセンブリ220の第2のポジションでは、支持構造体240の上部分は水線の上に持ち上げられており、その一方で、支持構造体240の下部分の少なくとも一部は、水線より下に保たれている。支持構造体240の上部分及び下部分を接続する支柱248は、図2Cにおいて最もよく確認される。
【0176】
図3A及び図3Bは、それぞれ第1のポジション及び第2のポジションにある、本発明の動力発生装置300の一実施形態の概略正面図を示す。図1の動力発生装置と共通の特徴には、200を増分した参照番号が提供されている。
【0177】
これらの図では、タービンアセンブリ全体が、線B-Bによって示す水線より下にどのように保たれるかを理解することが可能である。第1のポジションにおいて、タービンアセンブリは、少なくとも部分的に水面より上に延伸しているが、支持構造体の一部(例えば下部分)は、第2のポジションにおいて水面より下に保たれていてよい。動力発生装置300は、支持構造体340及びナセル330を有する2つのタービンアセンブリ320を備える。支持構造体320は、上部分及び下部分を有する開放構造である。支持構造体320の上部分は、その外側寄り端部においてナセル330に接続されており、その中央寄り端部において、ラム370に関連付けられた機械的リンケージ360によって浮力船に接続されている。機械的リンケージは、その外側寄り端部314において上部分の中央寄り端部に接続されており、旋回点314において旋回可能に接続された2つのリンクを備える。旋回点314は、ラム370にも連結されている。ラム370は、さらにブラケット372によって浮力船に連結されている。機械的リンケージ360の中央寄り端部316は、点384において浮力船310に旋回可能に連結されている。図3Aでは、タービンアセンブリ320の第1のポジションにおいて、旋回点314を含め、ラム370全体及び機械的リンケージ360の第1のリンクが、水線より下に保たれることが示してある。図3Bに示してある第2のポジションでは、ラム370の角度がどのように変わって、浮力船の長手軸に対して実質的に垂直になるかを見ることができる。機械的リンケージ360の第1及び第2のリンク間の距離が、図3Aに示してある第1のポジションにおける構成と比較して減少している。支持構造体340の上部分342並びに機械的リンケージ360は、水線B-Bより上に保たれており、その一方で、下部分344が浮力船310に接続されている旋回点382を含め、支持構造体340の下部分344は、水線B-Bより下に保たれている。
【0178】
図4は、タービンアセンブリが第1のポジションにある状態の、本発明による動力発生装置の一実施形態400の側面図を示す。図1の動力発生装置と共通の特徴には、300を増分した同様の参照番号が提供されている。装置400は、開放支持構造体を有するタービンアセンブリ420を備える。この図では、浮力船410に対する(ラム470に関連付けられた機械的リンケージ460を介した)上部分の接続点484が、浮力船410に対する支持構造体440の下部分444の接続点428a、428bから、どのように垂直方向及び水平方向にオフセットしているかを確認することが可能である。浮力船410に対する下部分の接続点482a、482bは、(浮力船410の長手軸を含む水平な断面より下の)浮力船の下半分に、その基線412の近くに位置しており、その一方で、支持構造体440の上部分の接続点484は、浮力船410の上半分に位置している。浮力船410に対する下部分の接続点482a、482bは、水平に離隔している。
【0179】
対照的に、図5は、EP3559440において開示された先行技術の動力発生装置の側面図を示す。図7の装置500は、閉鎖支持構造体540、タービン535を含むナセル530を有するタービンアセンブリ520を備える。図4の実施形態とは対照的に、支持構造体540は、浮力船内のより高いポジションにおいて浮力船510に接続されている(浮力船に対する支持構造体の全ての接続点が、浮力船の上半分に、又は浮力船の長手軸を含む水平な断面より上に位置している)。支持構造体440の開放構造は、より重い重量に耐える必要がある支持構造体540の閉鎖構造よりも、連続した旋回点の間により大きい間隔を空けることができる。また、それは、第1及び第2のポジション間でタービンアセンブリを移動させるための動力式機構の動力を低減する(例えば、液圧のサイズを縮小する)ことが可能である。したがって、上で考察したように、動力発生装置400は、第1及び第2のポジション間でタービンアセンブリ420を移動させるための、動力発生装置500に優る機械的利点を有しており、それに加えて、装置400は、複数の位置間で牽引されるとき装置500よりも少ない抗力を呈してよい。装置400の製造コストは、必要な材料が少なくてよいことから、装置500と比較して最小限に抑えられてよい。装置400の支持構造体440の開放構造は、タービン435で受けるシャドウの影響を、装置500内のタービン535が受けるシャドウの影響と比較して低減する。加えて、装置400の支持構造体は、提供される抗力、シャドウの影響を最小限にするように、流体力学的に形成されており、浮力船に対する荷重伝達の最適化を可能にする。
【0180】
図6は、第2のポジションにある、図4の装置の一部の斜視図を示す。図7は、タービンアセンブリが第2のポジションにある状態の、図5の装置の一部の斜視図を示す。図6において、浮力船410に対する支持構造体440の接続点484は、ラムに関連付けられており、したがって引っ張り点として作用する。浮力船410に対する支持構造体の接続点482a、482bは旋回点として作用し、この旋回点を中心として支持構造体が回転して、第1及び第2のポジション間で垂直移動を実施することができる。
【0181】
同様に、図7において、浮力船410に対する支持構造体540の接続点584は、ラムに関連付けられており、したがって引っ張り点として作用する。浮力船510に対する支持構造体の接続点582a、582bは旋回点として作用し、この旋回点を中心として支持構造体が回転して、第1及び第2のポジション間で垂直移動を実施することができる。
【0182】
図6及び図7に示してある図では、浮力船410に対する支持構造体440の接続点484に位置する「引っ張り点」と、浮力船410に対する支持構造体440の接続点482a、482bに位置する「旋回点」との間で装置400内に存在する垂直方向の距離が、図7の動力発生装置500の「引っ張り点」584及び旋回点582の間の垂直方向の距離と比較して、より大きいことを理解することができる。
【0183】
図8は、タービンアセンブリが第1のポジションにある状態の、図5及び図7の装置の前面図を示す。図9は、第1のポジションにある、図4及び図6の装置の一部の前面図を示す。図9に示してある装置400の図では、浮力船410に対する支持構造体440の下部分の「旋回」接続点482が、浮力船の基線412寄りに配設されていることを確認できる。浮力船410に対する支持構造体440の下部分の接続点482は、浮力船の基線412から、浮力船の全周の約14分の1~約8分の1の距離に位置している。2つの支持構造体440の接続点482同士は、浮力船の周囲の約7分の1~約2分の1を網羅する距離だけ離れた状態で、互いに近くに配設されている。
【0184】
対照的に、図8に示してあるように、動力発生装置500の「旋回」接続点582は、浮力船の上半分に配設されており、2つの支持構造体のそれぞれの接続点582は、浮力船510に対する2つの支持構造体の他方の対応する接続点582から、浮力船の周囲の約半分の又は半分より大きい距離だけ離れている。上で考察したように、動力発生装置400の浮力船410に対するタービンアセンブリ420のこの接続配置は、動力発生装置500の接続配置よりも大きい機械的利点を付与し、こうして支持構造体及び/又はタービンのより大きい拡張性を可能にするとともに、第1及び第2のポジション間でタービンアセンブリ420を作動させるための動力の使用を少なくすることができる。
【0185】
図10Aは、第1のポジションにある、本発明の別の実施形態による動力発生装置600の斜視図を示す。図1の動力発生装置と共通の特徴には、500を増分した参照番号が提供されている。
【0186】
動力発生装置600は、浮力船の上面に配設されたプラットフォーム690を有する細長い浮力船610、及び浮力船610の長手軸を中心として対称に配設された2つのタービンアセンブリ620、620'を備える。装置600は、水線が605である水域上を浮遊しているものとして概略的に示してある。装置600は、係留索609によって海底又は河床に係留されている。
【0187】
タービンアセンブリは、下部分644及び上部分642を有する開放支持構造体を備える。支持構造体は、2つのローターブレードを有するタービン635を備えるナセル630に接続されている。支持構造体は、上方から開放しており且つ側方から開放しており、開放支持フレームを画定している。
【0188】
支持構造体の上部分642及び下部分644は、スライド可能なプレート又はベアリング650によって浮力船610に間接的に接続されている。上部分642は、2つの接続点684a及び684bにおいてプレート650に接続されている。下部分644は、1つの接続点682においてプレート650に接続されている。下部分の接続点682は、上部分の接続点684a及び684bより上に位置している。したがって、浮力船610に対する下部分の接続点682は、浮力船に対する上部分642の接続点684a、684bよりも、浮力船610の基線から、より大きい距離に位置している。
【0189】
浮力船に対する、上部分の1つ又は複数の接続点684a、684b、及び下部分682の接続点の、浮力船の基線からの距離は、プレート650の高さを変えることによって可変であるが、その一方で、接続点684a、684b、682間の垂直方向及び水平方向の距離は、プレート650上で固定されている。
【0190】
この実施形態では、スライド可能なプレート650が曲線状であり、浮力船610の形状に一致している。プレート650は、浮力船610と一体であるか又はそれに取り付けられたガイドに沿って、浮力船の輪郭に沿ってスライド可能である。これにより、プレート650は、タービンアセンブリの第1及び第2のポジション間で、浮力船の基線からのプレート650の距離を変えるように、浮力船の周りを回転することができる。
【0191】
それぞれの支持構造体の上部分642は、ウィンチアンカー点670が位置する頂点を画定している。装置600は、タービンアセンブリ620、620'を第1及び第2のポジション間で移動させるための動力式機構としてウィンチ(図示せず)を備える。
【0192】
図10Bは、第2のポジションにあり、第1のポジションを大まかに示す、図10Aの装置600の前面図を示す。図10Bで見られるように、タービンアセンブリ620、620'は、浮力船610を中心として、第1のポジションから第2のポジションへの回転移動を実施する。タービンアセンブリ620、620'が第2のポジションにあるとき(浮力船610の長手軸に対して垂直な、実質的に水平の線を形成するとき)、アンカー点670、670'は、動力発生装置の最高点となる。これは、アンカー点670、670'が支持構造体の上部分642、642'の頂点に配設されていることによる。したがって、この頂点はジンポールである。
【0193】
ウィンチアンカー点670を支持構造体より上に上昇させることにより、タービンアセンブリ620、620'が第2のポジションにあるときに、ウィンチ線(図11の概略図でよりよく見える)は、実質的に水平(又は浮力船の長手軸に対して垂直)になる。これにより、ひいてはウィンチ線に必要な張力が最小限に抑えられる。支持構造体にウィンチアンカー点670、670'を提供することにより、ウィンチアンカー点をより高く且つ浮力船610により近くすることができる。これにより、ひいてはウィンチアンカー点670、670'が(例えばプラットフォーム690から)より簡単に到達可能になり、持ち上げモーメントが改善される。
【0194】
図11は、第2のポジションにある発明の一実施形態による装置700の、タービンアセンブリに接続された動力式機構が受けるボウストリング効果の概略図を示す。この概略図は、タービンアセンブリ720、720'がどのように互いに反作用して、第1のポジションから第2のポジションへの持ち上げの最終部分にボウストリング効果をどのように利用するように構成されているかを表している。このことは、第1及び第2のポジション間でタービン構成部720、720'を移動させるための、ウィンチ又はラム、及び関連付けられた機械的リンケージを有する装置に適用される。
【0195】
第2のポジションへのタービンアセンブリ720、720'の持ち上げ中に必要な最大力は、それらが水平に接近するときであることから、タービンアセンブリ720、720'を第2のポジションに持ち上げるためにボウストリング効果を利用することは有益である。タービンアセンブリ720、720'を持ち上げるために加える必要がある力は、下方向に加えられた場合に劇的に低減する。したがって、タービンアセンブリ720、720'を第2のポジションに持ち上げるためにボウストリング効果を利用することにより、タービンアセンブリが第2のポジションに近づいたときに動力式持ち上げ機構の使用を停止すること、及び脚部を互いに反作用させることを伴う第2の持ち上げステージを有することが可能になる。
【0196】
図12A及び図12Bは、開放支持構造体840を有し、支持構造体840の外側寄り端部にナセル830を備えるタービンアセンブリ820の一実施形態の前面図及び斜視図を示す。支持構造体840は、その中央寄り端部で浮力船に旋回可能に連結されるように構成されたフレームワーク支持構造体であり、その一方でナセル830は外側寄り端部に保たれている。
【0197】
必要条件ではないが、本発明による例示的実施形態のタービンアセンブリの開放支持構造体の構造的コンポーネント(例えば、主部材242、244、及び分岐部材246、及び支柱248a、248b、248c)は、例えばハイドロフォイルとして流体力学的に形成される。いくつかの実施形態において、タービンアセンブリの開放支持構造体の構造的コンポーネントは、移動可能であってよい。例えば、開放支持構造体の構造的コンポーネント(例えば、支持構造体の上部分及び/又は下部分の主部材又はその一部、1つ又は複数の支柱、及び任意選択で1つ又は複数の分岐部材)は、可変のピッチ角の周りで移動してよい。ピッチ角は、ロールに抵抗するために能動的に可変であってよい。これは、動力発生装置を牽引する間の抗力を最小限に抑えるとともに、タービンのローターブレードが受けるシャドウの影響を最小限に抑えるための、最適な構成である。
【0198】
図に示した動力発生装置は、任意の適切な材料、例えば鋼又は低密度材料から製造されてよい。タービンアセンブリの支持構造体は、任意の適切な材料、例えば鋼、強化コンクリート、低密度材料、例えば炭素繊維などから製造されてよい。好ましい実施形態において、支持構造体の重量をさらに低減し、拡張性を改善するため、又はタービンアセンブリを第1及び第2のポジション間で移動させるためにより少ない動力の使用を可能にするために、タービンアセンブリの支持構造体は、炭素繊維から製造される。
【0199】
本発明は前述の例示的な実施形態に関連して説明されてきたが、主張されている発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な修正、追加、及び変更が本発明に対してなされてよい。
【0200】
例えば、記載した実施形態において、動力発生装置は、浮力船を中心として対称に配設された2つのタービンアセンブリを有する単一の浮力船を備える。しかしながら、いくつかの実施形態において、動力発生装置は、例えば互いにつながれて接続された異なる個数の浮力船を備えてよい。
【0201】
動力発生装置は、1つのみのタービンアセンブリを有してもよいし、又は例えば3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は任意の適切な個数のタービンアセンブリを有してもよい。
【0202】
例示的実施形態のタービンは、2つのローターブレードを有する。しかしながら、他の実施形態において、タービンは、任意の個数の、例えば3個又は4個のローターブレードを有してよい。
【0203】
例示的実施形態において、タービンアセンブリは、浮力船の船尾又は船首の区画のうちの一方の近くに、浮力船に対して移動可能に連結されているが、船尾及び船首という用語は、これらの実施形態において交換可能であってよく、タービンアセンブリは、浮力船の長さに沿った任意の位置に連結されてよい。
【0204】
例示的実施形態において、タービンアセンブリは浮力船に連結されているが、1つ又は複数のタービンアセンブリが、浮力船によって支持された任意の他の適切な耐荷構造体に連結されてよい。
(他の可能な項目)
(項目1)
流水からエネルギーを抽出するための動力発生装置であって、
浮力船及び前記浮力船に連結されたタービンアセンブリを備え;
前記タービンアセンブリが、ナセルに取り付けられたタービンロータ、及び支持構造体を有し;
前記支持構造体が、水が流れるための通路を提供するように構成された少なくとも1つの空所を画定している開放構造を含み;
前記支持構造体が、その中央寄り端部において、垂直方向に間隔を空けた少なくとも2つの接続位置で前記浮力船に移動可能に連結されており;
前記支持構造体が、その外側寄り端部において、前記ナセルに連結されており;
前記タービンアセンブリが、第1のポジション及び第2のポジションの間で旋回可能に移動可能であり;
前記動力発生装置が水域で浮遊しているとき;
前記第1のポジションでは、前記ナセルが水面より下に完全に沈むように構成されており;
前記第2のポジションでは、前記ナセルの少なくとも一部分が、水面より上に突出するように構成されている、動力発生装置。
(項目2)
単一の浮力船を備える、項目1に記載の動力発生装置。
(項目3)
2つ、又は2つより多くのタービンアセンブリを備える、項目1又は2に記載の動力発生装置。
(項目4)
前記2つ又はそれより多くのタービンアセンブリが、浮力船を中心として対称に配設されている、項目3に記載の動力発生装置。
(項目5)
前記/各タービンアセンブリが、浮力船の長手軸に対して概して平行な軸を中心として旋回するように構成されている、前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目7)
前記第1及び前記第2のポジション間で前記タービンアセンブリを移動させるための、前記/各タービンアセンブリに関連付けられた動力式機構を備え、任意選択で、前記動力式機構が、前記浮力船及び前記タービンアセンブリの間に動作可能に連結された少なくとも1つの液圧ラムを有し、且つ/又は前記動力式機構が、前記浮力船及び前記タービンアセンブリの間に動作可能に連結された少なくとも1つのウィンチを有する、前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目8)
使用時に、前記第1のポジション及び前記第2のポジションにおいて水線より下に保たれるように構成されたヒンジ構成部を中心として、前記タービンアセンブリが旋回可能に移動可能であり、任意選択で、前記タービンアセンブリが、前記ヒンジ構成部を介して前記浮力船に連結されている、前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目9)
前記タービンアセンブリが、前記浮力船に回転可能に連結されている、項目1から7のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目10)
前記タービンアセンブリが、前記浮力船の輪郭を中心として移動可能なプレートに連結されている、項目9に記載の動力発生装置。
(項目11)
水域で浮遊している状態で見られたとき、前記タービンアセンブリの前記支持構造体が、側方及び又は上方から開放している、前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目12)
前記タービンアセンブリの前記支持構造体が、上部分及び下部分を含み;
前記上部分及び前記下部分が、垂直方向に離隔しており;
前記上部分及び前記下部分が、前記支持構造体の前記外側寄り端部において、前記ナセルに連結されているか又はそれと一体であり;
前記上部分及び前記下部分が両方とも、前記支持構造体の前記外側寄り端部において、前記浮力船に移動可能に連結されている、前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目13)
前記上部分及び前記下部分が、1つ又は複数の支柱によって互いに接続されている、項目12に記載の動力発生装置。
(項目14)
前記上部分及び前記下部分のそれぞれが、前記支持構造体の前記中央寄り端部から前記外側寄り端部まで通る主部材を含み;
前記上部分の前記主部材及び前記下部分の前記主部材のそれぞれが、前記支持構造体の前記外側寄り端部において前記ナセルに接続されているか又はそれと一体であり;
前記上部分の前記主部材及び前記下部分の前記主部材のそれぞれが、前記支持構造体の前記中央寄り端部において、前記浮力船に旋回可能に接続されている、前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目15)
前記上部分の前記主部材及び/又は前記下部分の前記主部材が、前記主部材から前記支持構造体の前記中央寄り端部まで延伸している1つ又は複数の分岐部材を含み;
前記1つ又は複数の分岐部材、及び前記主部材が、前記浮力船の長さに沿って水平方向に間隔を空けた配置で、前記浮力船に旋回可能に接続されている、項目14に記載の動力発生装置。
(項目16)
前記主部材及び前記1つ又は複数の分岐部材が、前記浮力船の前記長手軸に対して実質的に平行な線に沿って、前記浮力船に旋回可能に接続されている、項目14に記載の動力発生装置。
(項目17)
前記浮力船に対する前記1つ又は複数の分岐部材及び前記主部材の接続点同士は、前記浮力船の前記長さに沿って、前記浮力船の全長の約6分の1~約13分の1の間の距離だけ間隔が空いている、項目15又は16に記載の動力発生装置。
(項目18)
前記上部分及び前記下部分が、垂直方向に間隔を空けた位置で、前記浮力船に旋回可能に連結されている、項目12から17のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目19)
前記下部分が前記浮力船に旋回可能に連結された1つ又は複数の位置よりも、より前記水線の近くに配設された1つ又は複数の位置で、前記上部分が前記浮力船に旋回可能に連結されている、項目18に記載の動力発生装置。
(項目20)
使用時に、前記水線より上に保たれるように構成された、前記浮力船に対する前記下部分の前記1つ又は複数の接続点よりもより前記水線に近い1つ又は複数の位置で、前記上部分が前記浮力船に旋回可能に連結されている、項目18又は19に記載の動力発生装置。
(項目21)
前記浮力船に対する前記支持構造体の前記下部分の1つ又は複数の接続点が、前記浮力船の基線に又は基線寄りに配設されており;
前記浮力船に対する前記支持構造体の前記上部分の1つ又は複数の接続点が、前記水線より上に位置する、項目18から20のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目22)
前記浮力船に対する前記支持構造体の前記下部分の1つ又は複数の接続点が、前記浮力船の全高の約50%~約100%の距離だけ、前記浮力船に対する前記支持構造体の前記上部分の1つ又は複数の接続点から垂直方向に離れている、項目18から21のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目23)
前記浮力船に対する前記支持構造体の前記上部分の1つ又は複数の接続点が、前記浮力船に対する前記支持構造体の前記下部分の1つ又は複数の接続点から、垂直方向及び水平方向にオフセットしている、項目18から22のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目24)
前記支持構造体が、開放構造を画定し、流体力学的に形成されており、任意選択で前記支持構造体が、ハイドロフォイルとして形成されている、前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置。
(項目25)
前述の項目のいずれか一項に記載の動力発生装置のためのタービンアセンブリであって、前記タービンアセンブリが、ナセルに取り付けられたタービンロータ、及び支持構造体を備え;
前記支持構造体が、その中央寄り端部において、垂直方向に間隔を空けた少なくとも2つの接続位置で、前記浮力船に連結され、その外側寄り端部において、前記ナセルに連結されるように構成されており;
前記支持構造体が、水が流れるための通路を提供するように構成された少なくとも1つの空所を画定した開放構造を有し;
使用時に前記浮力船に連結されたとき、前記タービンアセンブリが、第1のポジション及び第2のポジションの間で旋回可能に移動可能である、タービンアセンブリ。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A-3B】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B