(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】フェイスマスク包装体及びフェイスマスク包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A45D 44/22 20060101AFI20241112BHJP
B65D 81/22 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A45D44/22 C
B65D81/22
(21)【出願番号】P 2021073788
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2024-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】520132274
【氏名又は名称】株式会社ランリーゼ
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】宅間 昭夫
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151308(JP,A)
【文献】特開2006-335420(JP,A)
【文献】特開2014-088213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/22
B65D 81/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々顔面に適合する所定形状に形成され、第一の折り目で、該第一の折り目の直交方向の両縁がずれるように折り畳まれ、更に前記第一の折り目に交差する第二の折り目で、前記両縁のうちの内側の縁が露出するよう畳まれた後、向きを揃えて積み重ねられた多数の素材シート、及び該多数の素材シートに含浸させたパック用成分からなる多数のフェイスマスクと、
上面の中央部分を通って一定方向に伸長した、チャック付きの開口部を有すると共に、左右に対向する側面に襠が付けてあり、前記多数のフェイスマスクを、前記内側の縁が前記開口部を横切り、かつ前記開口部を開けたとき前記内側の縁が見えるよう収容して密封した包装袋と、
で構成されたフェイスマスク包装体。
【請求項2】
請求項1に記載のフェイスマスク包装体であって、
前記開口部は、前記左右に対向する側面に交差する方向に伸長しているフェイスマスク包装体。
【請求項3】
多数のフェイスマスクを一つの包装袋に収容して密封したフェイスマスク包装体の製造方法であって、
素材シートを顔面に適合する所定形状に形成された素材シートを、第一の折り目で、該第一の折り目の直交方向の両縁がずれるように折り畳む一次折り畳み工程と、
前記一次折り畳み工程で折り畳まれた素材シートを、前記第一の折り目に交差する第二の折り目で、前記両縁のうち内側の縁が露出するよう折り畳む二次折り畳み工程と、
前記二次折り畳み工程で折り畳まれた素材シートを多数集め、該多数の素材シートを、向きを揃えて積み重ねる積み重ね工程と、
上面の中央部を通って所定方向に伸びた、チャック付きの開口部を有すると共に、左右に対向する側面に夫々襠を有する包装袋に、前記積み重ね工程で積み重ねられた多数の素材シートを、前記内側の縁が前記開口部を横切り、かつ前記開口部を開けたとき前記内側の縁が見えるよう収容した後、前記包装袋内にパック用成分を収容して前記包装袋を密封する袋詰め工程とを含むことを特徴とするフェイスマスク包装体の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のフェイスマスク包装体の製造方法であって、
前記袋詰め工程において、前記積み重ねられた多数の素材シート及び前記パック用成分は、前記包装袋の前面の開口から前記包装袋の内部へ収容され、前記包装袋の前面の開口は、多数の素材シート及び前記パック用成分が前記包装袋の内部に収容された後に密封されるフェイスマスク包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の美容用のフェイスマスクを包装袋に収容して密封したフェイスマスク包装体、及び前記フェイスマスク包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のフェイスマスクは、通常、顔面に適合する形状に形成された素材シートと、この素材シートに含侵させた、肌の保湿や美白等のためのパック用成分とからなる。そして、このフェイスマスクで顔面を覆い、それを顔面に密着させることにより、パック用成分を顔面の略全体に十分に塗ることかできる。
【0003】
従来、フェイスマスク包装体には、例えば特許文献1に開示されているように、特に同伴型の宿泊施設での好適な使用を可能にするために、二つのフェイスマスクを一つの包装袋に同封してなるものがある。このフェイスマスク包装体では、フェイスマスクを折り畳んで、その折り畳んだフェイスマスクの上下の面が、包装袋の上下の内面に沿うよう包装袋に収容しており、美容用のフェイスマスクを使用する際には、包装袋の長手方向の一端を切り裂いて開口させ、その開口からフェイスマスクを取出す。
【0004】
また、例えば特許文献2に開示されているように、美容用のフェイスマスクを衛生的かつ安全に保管・運搬できるようにするために、蓋つきの容器に一つの美容用のフェイスマスクを収容したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3160797号公報
【文献】実用新案登録第3185681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近、家庭内でフェイスマスクを用いて手軽に毎日のように美容パックをすることを望む人が多くなる傾向にあり、例えば1か月分というような多数のフェイスマスクを一つの包装袋に収容したフェイスマスク包装体に対する需要が増大している。
【0007】
しかし、特許文献1に記載されたフェイスマスク包装体は、使い切りタイプのものであり、その包装袋は、一度開封すると再び密封することができず、フェイスマスクを使用するとき、包装袋の長手方向の一端を切り裂いて開口させ、その開口から美容用のフェイスマスクを取出す。そのため、包装袋を寝かせておくと、包装袋内の余分なパック用成分が開口から漏れ出す恐れがある。そこで包装袋を寝かせず、開口を上に向けて立てておけば、パック用成分が開口から漏れ出すことはないが、包装袋は扁平状であるため、開口が上に向くよう自立させるのは困難であり、開封後、常時、包装袋を立てた状態で保持するのは面倒である。
【0008】
また、包装袋内にフェイスマスクを複数枚積み重ねて収容した場合、積み重ねたフェイスマスク相互間に摩擦があるので、その積み重ねたフェイスマスクの中の一つを摘まんで引き出そうとしたとき、隣り合うフェイスマスクも一緒に引き出されてしまうことが多い。つまりフェイスマスク一枚のみを包装袋の長手方向の一端の開口から引き出すのは難しい。そして同時に一つ以上のフェイスマスクが引き出されると、その余分となるフェイスマスクを包装袋内に戻さなければならず、その作業は面倒で手間がかかる。
【0009】
したがって、フェイスマスクを、包装袋の長手方向の一端の開口から引き出すようにした包装袋は、多数のフェイスマスクを収容する包装袋として不向きである。
【0010】
特許文献2に記載されたフェイスマスク包装体も使い切りタイプのものであるが、容器の容量を大きくすれば、多数のフェイスマスクを収容するフェイスマスク包装体とすることができ、特許文献1に記載されたフェイスマスク包装体のように、パック用成分が漏れ出す心配はなくなる。また多数のフェイスマスクが積み重ねられていても、それを収容する容器は安定性の良いものが得やすく、上側の開口からフェイスマスクを一つずつ取出すことができ、また蓋があるので、使用後に容易に密封することができる。
【0011】
しかし、容器や蓋を製造するには、一般に原料としてプラスチックが必要になり、容器の容量を大きくすると、その分プラスチックの使用量が増大し、また販売前に容器からパック用成分が漏れないように容器の開口をプラスチックフィルムで密封したり、容器や蓋を更に包装袋で覆ったりすることが必要になるため、包装コストが包装袋に比べて高くなると共に、使用後に容器や蓋が大量のごみとなる。特に、近年、プラスチックごみは環境汚染や自然破壊などの原因になるため、世界中でプラスチックごみの削減が課題となっており、この廃プラ問題に取り組むことが必要である。
【0012】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、多数のフェイスマスクが収容してあり、コンパクトで開封後の取扱いが容易であり、使用後のプラスチックごみの量を極力少なくすることができるフェイスマスク包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0013】
本発明の第1の側面に係るフェイスマスクの包装体は、各々顔面に適合する所定形状に形成され、第一の折り目で、該第一の折り目の直交方向の両縁がずれるように折り畳まれ、更に前記第一の折り目に交差する第二の折り目で、前記両縁のうちの内側の縁が露出するよう畳まれた後、向きを揃えて積み重ねられた多数の素材シート、及び該多数の素材シートに含浸させたパック用成分からなる多数のフェイスマスクと、上面の中央部分を通って一定方向に伸長した、チャック付きの開口部を有すると共に、左右に対向する側面に襠が付けてあり、前記多数のフェイスマスクを、前記内側の縁が前記開口部を横切り、かつ前記開口部を開けたとき前記内側の縁が見えるよう収容して密封した包装袋とで構成できる。
【0014】
前記構成により、多数のフェイスマスクは、第一の折り目、及び第一の折り目に交差する第二の折り目で折り畳んで、向きを揃えて積み重ねてあるので、占有空間を小さくすることができる。そして、包装袋は、上面の中央部分を通って一定方向に伸長した、チャック付きの開口部を有しているので、下面を洗面台や棚等の上に載せて、開口部の開口が上に向く姿勢を安定性よく維持することができ、開封後にパック用成分が開口から漏れ出るおそれがない。また多数のフェイスマスクを、第一の折り目で折り畳むことにより、ずれている両縁のうちの少なくとも内側の縁が前記開口部を横切り、かつ前記開口部を開けたとき前記内側の縁が見えるよう収容しているので、内側の縁に指先を掛けて内側の縁部分を摘まんで引き上げることにより、フェイスマスクを包装袋から確実に1枚ずつ容易に取出すことができ、取出したフェイスマスクを広げるのも比較的容易である。また、開封後は、チャックを閉じることにより、包装袋を密封状態に維持することができるので、包装袋内に異物が混入したり、パック用成分が劣化したりすることを防ぐことができる。そのため一つのフェイスマスク包装体を長期間、多数回にわたって使用することができる。そして多数のフェイスマスクを、プラスチック容器を用いず包装袋で包装するので包装コストを大幅に低減できる。したがって、多数のフェイスマスクが収容してあり、コンパクトで開封後の取扱いが容易であり、使用後のプラスチックごみの量を極力少なくすることができるフェイスマスク包装体を提供することができる。
【0015】
本発明の第2の側面に係るフェイスマスク包装体によれば、前記開口部は、前記左右に対向する側面に交差する方向に伸長しているよう構成できる。
【0016】
前記構成により、包装袋にフェイスマスクを多数収容しているときでも、フェイスマスクが少ないときでも、左右に対向する側面に襠が設けてあるので、開口部の両端付近は略平坦に保たれ、チャックも略直線の状態を常時保つことができる。それゆえ、チャックの折れ曲りによる密封機能の低下を招きにくく、開口部を両端付近まで伸長させることができ、大きく開く、フェイスマスクを取出し易い開口部を得ることができる。
【0017】
本発明の第3の側面に係るフェイスマスク包装体の製造方法によれば、多数のフェイスマスクを一つの包装袋に収容して密封したフェイスマスク包装体の製造方法であって、素材シートを顔面に適合する所定形状に形成された素材シートを、第一の折り目で、該第一の折り目の直交方向の両縁がずれるように折り畳む一次折り畳み工程と、前記一次折り畳み工程で折り畳まれた素材シートを、前記第一の折り目に交差する第二の折り目で、前記両縁のうち内側の縁が露出するよう折り畳む二次折り畳み工程と、前記二次折り畳み工程で折り畳まれた素材シートを多数集め、該多数の素材シートを、向きを揃えて積み重ねる積み重ね工程と、上面の中央部を通って所定方向に伸びた、チャック付きの開口部を有すると共に、左右に対向する側面に夫々襠を有する包装袋に、前記積み重ね工程で積み重ねられた多数の素材シートを、前記内側の縁が前記開口部を横切り、かつ前記開口部を開けたとき前記内側の縁が見えるよう収容した後、前記包装袋内にパック用成分を収容して前記包装袋を密封する袋詰め工程と、を含むよう構成できる。
【0018】
本発明の第4の側面に係るフェイスマスク包装体の製造方法によれば、前記袋詰め工程において、前記積み重ねられた多数の素材シート及び前記パック用成分は、前記包装袋の前面の開口から前記包装袋の内部へ収容され、前記包装袋の前面の開口は、多数の素材シート及び前記パック用成分が前記包装袋の内部に収容された後に密封されるよう構成できる。
【0019】
前記構成により、素材シートを折り畳むときパック用成分が素材シートに含浸されていないため、折り畳みが容易になると共に、パック成分のロスや周囲へのパック成分の付着を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフェイスマスク包装体の斜視図平面図である。
【
図2】顔面に適合する所定形状に形成された素材シートの平面図である。
【
図3】
図2に示す素材シートを第一の折り目で折り畳んで形成された半円状の素材シートの平面図である。
【
図4】
図3に示す素材シートを第二の折り目で折り畳んで形成された四半分円状の素材シートの平面図である。
【
図5】
図4に示す素材シートを積み重ねた状態を示す斜視図である。
【
図6】フェイスマスク包装体の包装袋の開口部を開いた状態を示す平面図である。
【
図7】素材シート収容前の包装袋及び多数の素材シートを示す斜視図である。
【
図9】フェイスマスク包装体製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】包装袋からのフェイスマスク取出し動作の説明図である。
【
図11】包装袋から取出したフェイスマスクの展開動作の説明図である。
【
図12】包装袋から取出したフェイスマスクの展開動作の説明図である。
【
図13】包装袋から取出したフェイスマスクの展開動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのフェイスマスク包装体及びフェイスマスク包装体の製造方法を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(フェイスマスク包装体)
【0022】
図1に示すように、フェイスマスク包装体1は、多数のフェイスマスク2と、多数のフェイスマスク2を収容した包装袋3とで構成されており、フェイスマスク2は、素材シート4と、素材シート4に含浸させたパック成分とからなる。包装袋3は、上面の中央部分を通って一定方向に伸長した、チャック5付きの開口部6を有すると共に、左右の対向する側面に襠7を有している。開口部6は、襠7を有する対向する側面に交差する方向に略全幅にわたり伸長している。パック成分は、保湿、エイジングケア、美白ケア等に用いる、公知の液体又はジェルである。
【0023】
素材シート4は、綿を原料とする不織布からなり、
図2に示すように、顔面に適合する所定形状に形成されている。この素材シート4は、
図2に示す第一の折り目L1で、該第一の折り目L1の直交方向に両縁E1、E2がずれるように折り畳まれて、
図3に示すように半円状になる。そして半円状の素材シート4は、更に、
図3に示す第二の折り目L2で内側の縁E1が露出するよう畳まれて、
図4に示すように四半分円状になる。第二の折り目L2は、
図2示すように第一の折り目L1に交差している。
【0024】
この実施形態では、開口部6の伸長方向において約15ミリメートルずれている。第一の折り目で折り畳まれた素材シート4の内側の縁E1と外側の縁E2のずれが大き過ぎると、半円状の素材シート4の面積が大きくなってフェイスマスク包装体の占有空間が大きくなり、内側の縁E1と外側の縁E2のずれが小さ過ぎると、フェイスマスク2を包装袋から取出すとき、誤って外側の縁E2を摘まむ可能性が大きくなるので、開口部6の伸長方向におけるずれは、5ミリメートル以上、20ミリメートル以下の範囲内にするのが望ましい。
【0025】
図1に示す包装袋3に収容されている多数のフェイスマスク2の構成要素である多数の素材シート4は、
図5に示すように、向きを揃えて積み重ねてある。そして
図6に示すように、包装袋3は、多数のフェイスマスク2を、素材シート4の内側の縁E1が開口部6を横切り、かつ開口部6を開けたとき内側の縁E1が見えるよう収容して密封してある。
【0026】
図7に示す包装袋3は、
図5に示す多数の素材シート4を収容する前のものであり、前面が開口している。包装袋3の上面は、前後一対の上面シート31からなり、前後一対の上面シート31は、夫々L字状に折れ曲がった対向部分32を有している。包装袋3の対向する左右の側面は、夫々側面シート33からなり、包装袋3の下面は、下面シート34からなる。前後一対の上面シート31、下面シート34の左右の縁部と左右一対の側面シート33の上下の縁部とは、隣り合う縁部同士で接着されている。そして一対の上面シート31、31の対向部分32、32の夫々の左右の縁32a及び上側の縁32bも互いに接着されている。
【0027】
図8に示すように、開口部6は、前後一対の上面シート31が有する対向部分32、32からなる。チャック5は、ベース部51に一体に形成した凸部52と、ベース部51に形成した凹部53とからなる公知のものであり、ベース部51、51は、対向部分32、32に接着してある。
(フェイスマスク包装体の製造方法)
【0028】
図9は、本発明の一実施形態に係るフェイスマスク包装体の製造方法の手順を示すフローチャートである。この製造方法は、多数のフェイスマスク2を一つの包装袋3に収容して密封したフェイスマスク包装体1の製造する方法であって、多数の素材シート4を、
図2に示すように顔面に適合する所定形状に形成すると共に、
図7に示すように上面の中央部を通って所定方向に伸びた、チャック5付きの開口部6を有し、左右の対向する側面に夫々襠7を有する、前面が開口した包装袋3を準備する準備工程ST1と、準備工程ST1で所定形状に形成された素材シート4を、第一の折り目L1で、
図3に示すように第一の折り目L1の直交方向の両縁E1、E2がずれるように折り畳む一次折り畳み工程ST2と、一次折り畳み工程ST2で折り畳まれた素材シート4を、第一の折り目L1に交差する第二の折り目L2で、
図4に示すように内側の縁E1が露出するよう折り畳む二次折り畳み工程ST3と、二次折り畳み工程ST3で折り畳まれた素材シート4を多数集め、該多数の素材シート4を、
図8に示すように向きを揃えて積み重ねる積み重ね工程ST4と、準備工程ST1で準備した包装袋3に、積み重ね工程ST4で積み重ねられた多数の素材シート4を、内側の縁E1が開口部6を横切り、かつ開口部6を開けたとき内側の縁E1が見えるよう収容した後、包装袋3内にパック用成分を注入して包装袋3を密封する袋詰め工程ST5とからなる。
【0029】
袋詰め工程ST5において、積み重ねられた多数の素材シート4は、包装袋3に収容される前に、第一の折り目L1が開口部6の伸長方向に対して略直交するよう、その姿勢が整えられた後、包装袋3の前面の開口OPから包装袋3の内部へ収容される。またパック用成分も包装袋3の前面の開口OPから包装袋3の内部へ収容される。包装袋3の前面の開口OPは、パック用成分が注入された後に密封される。パック用成分を包装袋3に収容する際、包装袋は開口OPが上に向くよう保持しておく。
【0030】
パック成分が素材シート4に浸透し難いものである場合、パック成分の含浸ムラを防ぐために、一次折り畳み工程ST2及び/又は二次折り畳み工程ST3において、素材シート4を折り畳む前に、折り畳み後に内側になる部分にパック成分を適量だけ噴射又は塗布して付着させておくとよい。二次折り畳み工程ST3において、素材シート4は、複数の第二の折り目L2で、例えばZ字状に折り畳むようにしてもよい。
(フェイスマスク包装体1の使用方法)
【0031】
図1に示すフェイスマスク包装体1は、その下面を例えば洗面台や棚の上面に載置して使用する。フェイスマスク包装体1からフェイスマスク2を取出して使用するには、最初に、開口部6をチャック5と接着部32bとの間で切断する。その後、切断された開口部6の対向部分32、32の各上縁を両手で摘まんで互いに離反方向に引っ張ることによりチャック5を開いて
図6に示すように開口させる。
【0032】
次いで、最も上にあるフェイスマスク2を一つだけ取出す。そのためには、
図10に示すように、包装袋3の開口部6の開口から指を入れて、指先をフェイスマスク2の素材シート4の内側の縁E1と外側縁E2の間の上面に当接させ、その状態で開口部6に沿って矢印Aの方向に手を移動することにより、素材シート4の内側の縁E1に指先を掛けて、素材シート4の最も上側に位置する第一層4aの縁部分を、第二層4bから剥がし、その第一層4aの縁部分つまり内側の縁E1の部分を摘まんで引き上げる。
【0033】
次いで、包装袋3から取出したフェイスマスク2を展開して顔面に密着させる。
【0034】
図11は、包装袋3内のフェイスマスクの内側の縁E1の縁の部分を摘まんで引き上げを開始する直前の状態を模型的に示し、
図12は、内側の縁E1の部分を摘まんで引き上げたフェイスマスク2が第二の折り目L2を中心に開いた状態を模型的に示し、
図13は、包装袋3から取出したフェイスマスク2が展開された状態を模型的に示している。なおフェイスマスクは実際には液体のパック成分を含浸しているので、その表面同士がパック成分により粘着し易く、シワが生じ易い場合が多い。その場合、次のようにしてフェイスマスク2を展開する。
【0035】
図11に示す四半分円状に折り畳まれているフェイスマスク2を
図12に示すように半円状に展開するには、
図11において素材シート4の内側の縁E1の部分を摘まんでいる手とは反対側の手で、四半分円状に折り畳んだ素材シート4の第二の折り目L2を挟んで反対側の外側の縁E2及び/又は内側の縁E1の部分を摘まんで、
図11に示す第二層4bと第三層4cとを離反させる。
【0036】
図12に示す半円状に折り畳まれているフェイスマスク2を、
図13に示すように展開するには、
図12において素材シート4の内側の縁E1を摘まんでいる手とは反対側の手で、半円状に折り畳んだ素材シート4の外側の縁E2を摘まんで離反させる。
【0037】
したがって、最初にフェイスマスク2の内側の縁E1を摘まんだ手を離すことなく、フェイスマスク2を空中に保持した状態でフェイスマスク2を展開することができるので、能率的である。
【0038】
なお、パック成分の粘性が低い場合、
図11に示すように四半分円状に折り畳まれているフェイスマスク2を指で摘まんで包装袋3から取出す際、第二の折り目L2を挟んで反対側の部分(
図10に示す第三層4c及び第四層4d)には重力が作用すると共に、第四層4dには、開口部6の対向部分32との摩擦力による下向きの力が作用するため、そのフェイスマスク2は、第二の折り目L2を中心として開く場合もあり得る。更に、
図12に示すように半円状に折り畳まれているフェイスマスク2の第一の折り目L1を挟んで反対側の部分には、重力が作用するため、そのフェイスマスク2は、第一の折り目L1を中心として開く場合もあり得る。また、素材シート4の第二の折り目L2を中心とする開きが不十分な場合は、その状態で手を上下に振るとよい。したがって、それらの場合には、包装袋3からフェイスマスク2を片手で摘まむだけで展開することができるので、更に能率的である。
【0039】
フェイスマスク2を1枚取出した後は、開口部6の対向部分チャック5を閉じる。そして二回目以降の使用時には、チャック5を開いてフェイスマスク2を取出し、フェイスマスク2を取出す必要がないときはチャック5を閉じておく。
【符号の説明】
【0040】
1…フェイスマスク包装体
2…フェイスマスク
3…包装袋;31…上面シート;32…対向部分;32a…左右の縁部;32b…上縁部;33…側面シート;34…下面シート
4…素材シート
5…チャック;51…ベース部;52…凸部;53…凹部53
6…開口部
7…襠
OP…包装袋の前面の開口