(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】容器詰ナチュラルチーズ
(51)【国際特許分類】
A23C 19/14 20060101AFI20241112BHJP
A23C 19/068 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A23C19/14
A23C19/068
(21)【出願番号】P 2022056774
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2022-06-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2021078097
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】石川 明子
(72)【発明者】
【氏名】水野 礼
(72)【発明者】
【氏名】阿部 忠博
【合議体】
【審判長】植前 充司
【審判官】加藤 友也
【審判官】柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-118(JP,A)
【文献】世界のウェブアーカイブ|北海道日高乳業株式会社のウェブサイトに掲載された“北海道日高モッツァレラ”の商品紹介のウェブページに対する2016年10月 4日付けアーカイブ,2016年,[オンライン],検索日:2022年 7月13日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20161004224750/http://www.hidaka-milk.co.jp/product/mozzarella>
【文献】ショッピングサイトAmazonに掲載された“[冷蔵] 北海道日高モッツァレラひとくちチェリータイプ”の商品情報,2016年,[オンライン],検索日:2022年 7月13日,インターネット<URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N9GFB1O>
【文献】森永乳業株式会社のウェブサイトに掲載された2018年 8月のニュースリリース“サラダにぴったり、切る手間不要のひとくちタイプ「クラフト ひとくちフレッシュモッツァレラ」9月1日(土)より、全国にて新発売”,2018年,[オンライン],検索日:2022年 7月13日,インターネット<URL:https://www.morinagamilk.co.jp/archives/007/201809/180802クラフト ひとくちフレッシュモッツァレラ(HP).pdf>
【文献】新商品データベースMintel GNPDに掲載された“Bite-Sized Mozzarella”に関する記録番号(ID#) 6104175の情報,2018年,[オンライン],検索日:2022年 7月13日,インターネット<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/6104175/>
【文献】タカナシ乳業株式会社のウェブサイトに掲載された2020年 2月のニュースリリース“豊かな乳風味とコクが味わえる「タカナシ 北海道モッツァレラ」2020年3月上旬「タカナシ 北海道チェリーモッツァレラ ひとくちサイズ」2020年3月中旬 パッケージリニューアル発売”,2020年,[オンライン],検索日:2022年 7月13日,インターネット<URL:https://www.takanashi-milk.co.jp/sites/default/files/2022-03/mozzarella.pdf>
【文献】新商品データベースMintel GNPDに掲載された“Hokkaido Cherry Mozzarella”に関する記録番号(ID#) 2276639の情報,2014年,[オンライン],検索日:2022年 7月13日,インターネット<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/2276639/>
【文献】株式会社明治のウェブサイトに掲載された2020年 8月26日のニュースリリース“北海道産の生乳を100%使用!『明治北海道十勝』ブランド初のフレッシュモッツァレラチーズ「明治北海道十勝生モッツァレラ」9月28日新発売/北海道・関東(甲信越含む)・関西エリア ”,2020年,[オンライン],検索日:2022年 7月13日,インターネット<URL:https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2020/0826_02/index.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C19/14
A23C19/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナチュラルチーズのチーズ塊を10個以上含む、容器詰ナチュラルチーズであって、
当該チーズ塊1個当たりの体積が、0.5cm
3以上50cm
3以下であり、
容器の容積に対するチーズ塊の表面積の累計値は、0.42以上であり、
当該容器は、400nm~900nmの波長範囲の光の透過率が40%以下であ
り、
前記容器が、可とう性フィルムで構成された容器であり、
酸素透過度(cm
3
/(m
2
・24h・atm))が、390cm
3
/(m
2
・24h・atm)以下である、容器詰ナチュラルチーズ。
【請求項2】
前記チーズ塊が、保存液に浸漬されている、請求項1に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【請求項3】
前記容器は、400nm~500nmの波長範囲の光の透過率が0.1%以上である、請求項1又は2に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【請求項4】
前記チーズ塊が略球形であり、
該チーズ塊の直径が0.5cm以上3cm以下である、請求項1~3の何れか一項に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【請求項5】
前記ナチュラルチーズが、パスタフィラータチーズである、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【請求項6】
前記容器に含まれる全てのチーズ塊の表面積の合計が10cm
2以上500cm
2以下であり、
保存液の含有量は、チーズ塊の100質量部に対して50質量部以上、300質量部以下である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【請求項7】
前記容器に含まれるチーズ塊1個当たりの重量が1g以上50g以下であり、
前記容器は、フィルム基材層として、アルミ(AL)、又はアルミ蒸着PET(VMPET)を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【請求項8】
前記容器の容積が280mL以上であり、前記容器に充填されるチーズ塊の個数が13以上である、請求項1~
7のいずれか1項に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰ナチュラルチーズに関する。
【背景技術】
【0002】
日本の市場において、ナチュラルチーズが定着しつつあるが、近年、ひとくちサイズで手軽に喫食できるナチュラルチーズ等の需要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記事情のあるところ、本発明者らは、ナチュラルチーズの中でも、特にフレッシュチーズと呼ばれるタイプのチーズにおいて、ひとくちサイズに加工することで、経時的な風味劣化が大きくなる場合があることを見出した。本発明は、ナチュラルチーズにおける経時的な風味劣化を抑制する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明は、ナチュラルチーズのチーズ塊を2個以上含む、容器詰ナチュラルチーズであって、
当該チーズ塊1個当たりの体積が、0.5cm3以上100cm3以下であり、
当該容器は、400nm~900nmの波長範囲の光の透過率が40%以下である、容器詰ナチュラルチーズである。
【0006】
また、本発明の好ましい実施の形態では、前記チーズ塊が、保存液に浸漬されている。
【0007】
また、本発明の好ましい実施の形態では、前記チーズ塊が略球形であり、
該チーズ塊の直径が0.5cm以上10cm以下である。
【0008】
また、本発明の好ましい実施の形態では、前記ナチュラルチーズがパスタフィラータチーズである。
【0009】
また、本発明の好ましい実施の形態では、前記容器が可とう性フィルムで構成された容器である。
【0010】
また、本発明の好ましい実施の形態では、前記容器に含まれる全てのチーズ塊の表面積の合計が10cm2以上500cm2以下である。
【0011】
また、本発明の好ましい実施の形態では、前記容器に含まれるチーズ塊1個当たりの重量が1g以上50g以下である。
【0012】
また、本発明の好ましい実施の形態では、前記容器の容積が280mL以上であり、前記容器に充填されるチーズ塊の個数が13以上である。
上記形態とすることで、より酸化臭の抑制された、容器詰ナチュラルチーズを提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、劣化の抑えられたナチュラルチーズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施例の容器の一実施形態を示す参考模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<容器詰ナチュラルチーズ>
本発明のナチュラルチーズは、容器詰めの形態で提供される。
以下、本発明の容器詰ナチュラルチーズの容器、及び容器に充填されるナチュラルチーズのより好ましい形態を説明する。ただし、本発明は以下の好ましい形態に限定されず、本発明の範囲内で変更できるものである。
【0016】
・容器
本発明のナチュラルチーズに用いられる容器は、透光性に関し、以下の特徴を有する。
【0017】
すなわち、容器の少なくとも一部において、400nm~900nmの波長範囲の光の透過率が、好ましくは40%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。
【0018】
また、本発明の好ましい実施の形態では、900nmの波長の光の透過率が、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
【0019】
また、本発明の好ましい実施の形態では、800nmの波長の光の透過率が、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
【0020】
また、本発明の好ましい実施の形態では、700nmの波長の光の透過率が、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
【0021】
また、本発明の好ましい実施の形態では、600nmの波長の光の透過率が、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
【0022】
また、本発明の好ましい実施の形態では、500nmの波長の光の透過率が、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
【0023】
また、本発明の好ましい実施の形態では、400nmの波長の光の透過率が、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
【0024】
さらに、容器の少なくとも一部において、400nm~500nmの波長範囲の光の透過率が0%以上であってよく、0.1%以上であってもよく、0.2%以上であってもよい。
【0025】
ここで、光の透過率は、容器の任意の部分を約1.5cm角に切り出して、市販の分光光度計(日本分光社製:V-650)に積分球ユニット(日本分光社製:ISV-722)を付けて測定した値を用いることができる。
【0026】
また、本発明の容器は、ガスバリア性について以下の特徴を有する。すなわち、酸素透過度(cm3/(m2・24h・atm))が、390cm3/(m2・24h・atm)以下であることが好ましい。
【0027】
酸素透過度は、MOCON法により測定することができる。すなわち、差圧法ガス透過率測定装置(MOCON OX-TRAN 2/22)を用いて、試験温度23℃及び試験湿度60%RHの条件で、ガス透過フィルムの測定面積を50cm2にして測定する。
【0028】
ここで、容器は、その一部が透明であってもよい。また、透明部分の領域内に非透明部分が存在してもよい。
【0029】
また、本発明の容器は不透水性であることが好ましい。例えば、可とう性フィルムで構成された容器を使用することが好ましく、例えば、可とう性フィルムで構成されたスタンディングパウチを使用することができる。
【0030】
また、本発明において、ナチュラルチーズに用いられる容器は、上述の特性に関し、容器全体の好ましくは6割以上、より好ましくは8割以上、より好ましくは9割以上、さらに好ましくは全部において以上の特徴を有する形態であることが好ましい。
【0031】
前記可とう性フィルムは、可とう性を有するもので特に制限はされないが、フィルム基材層とシーラント層とが積層された積層フィルムが好ましい。フィルム基材層とシーラント層とは、直接積層されていてもよく、接着層を介して積層されていてもよい。積層フィルム全体の厚さは、例えば94~180μmが好ましく、100~150μmがより好ましく、105~130μmがさらに好ましい。
【0032】
フィルム基材層としては、例えば、プラスチックフィルム、金属箔(アルミ箔(AL)等)、プラスチックフィルムに金属等が蒸着された蒸着フィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)が挙げられる。プラスチックフィルムは延伸フィルムでも未延伸フィルムでもよい。
【0033】
フィルム基材層としては、ナイロンフィルム(NY)、二軸延伸ナイロンフィルム(ОNY)、アルミ(AL)、及びアルミ蒸着PET(VMPET)を用いることが好ましく、中でも、アルミ蒸着PETを用いることがより好ましい。
【0034】
フィルム基材層は、単層でもよく多層でもよい。多層の場合、各層は、直接積層されていてもよく、接着層を介して積層されていてもよい。
フィルム基材層に印刷層が設けられていてもよい。
フィルム基材層の厚さは、例えば9~25μmである。
【0035】
シーラント層の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)等のエチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。
シーラント層の厚さは、例えば50~130μmである。
【0036】
積層フィルムの好ましい層構造の例として、PETと接着層とPAと接着層とシーラント層とがこの順に積層された層構造(以下、「PET/接着層/PA/接着層/シーラント層」とも記し、他の層構造も同様に記す。)、PET/印刷層/接着層/PA/接着層/シーラント層、PA/印刷層/接着層/PET/接着層/シーラント層が挙げられる。また、PET層として又はPET層の代替としては、アルミ蒸着PET、アルミ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム等の金属蒸着フィルムを用いることができる。
これらの層構造において、PET層の厚さは、例えば9~25μmである。PA層の厚さは、例えば15~25μmである。
【0037】
また、積層フィルムのさらに好ましい層構造の例として、ОNY/接着層及び又は印刷層/VMPET/接着層及び又は印刷層/LLDPE(実施例における容器Bに相当)、PET/接着層及び又は印刷層/AL/接着層及び又は印刷層/PE(実施例における容器Cに相当)、NY/接着層及び又は印刷層/VMPET/接着層及び又は印刷層/PE(実施例における容器Dに相当)を挙げることができる。
【0038】
上記形態の層構造を有する積層フィルムからなる容器を用いることで、より酸化臭の抑制された、容器詰ナチュラルチーズを提供することができる。
【0039】
容器の容積は、好ましくは200mL以上、より好ましくは250mL以上、より好ましくは280mL以上である。
また、容器の容積は、400mL以下を目安とすることができる。
【0040】
ここで、容積の値には、容器(袋)にヘッドスペースが生じない(空気が含まれない)よう常温水を容器に万注した状態で、袋の上部をヒートシールして密封した時に含まれる水の重量(g)を測定し、水の量1gを1mLとして容器の容積(mL)に換算した値を用いることができる。
【0041】
さらに、容器の形状に特に制限はなく、例えば、封筒様の略矩形状の容器、角柱や直方体等の立体形状の容器、略球形の容器のいずれであってもよい。
【0042】
容器の内容積は、充填するナチュラルチーズの体積に応じて、ナチュラルチーズの形状が崩れない程度に余裕があり、かつ、空隙(ヘッドスペース)が過剰に生じることのないように設定することができる。
ここで、容器の内容積は、好ましくは50cm3以上、より好ましくは80cm3以上である。
また、容器の内容積は、好ましくは500cm3以下、より好ましくは300cm3以下である。
【0043】
上記形態とすることで、より酸化臭の抑制された、容器詰ナチュラルチーズを提供することができる。
【0044】
なお、容器が略矩形状であるとき、最も大きい面の面積は、25cm2以上、好ましくは50cm2以上、より好ましくは100cm2以上、さらに好ましくは150cm2以上である。
【0045】
なお、容器が略矩形状であるとき、最も大きい面の面積は、1000cm2以下、好ましくは750cm2以下、より好ましくは500cm2以下、さらに好ましくは400cm2以下である。
【0046】
・ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズとは、生乳などを乳酸菌や凝乳酵素で凝固させ、ホエイ(乳清)の一部を除去したものである。
本発明に用いるナチュラルチーズとしては、例えば、ゴーダチーズ、チェダーチーズ、カマンベールチーズ、パスタフィラータチーズなどを挙げることができる。
【0047】
ここで、本発明に用いるナチュラルチーズは、熟成工程がないか、ほとんど熟成されていないことが好ましく、フレッシュチーズであることが好ましい。
具体的には、本発明に用いるナチュラルチーズは、パスタフィラータチーズであることが好ましく、モッツァレラチーズであることがより好ましい。
【0048】
ここで、本発明において、「容器詰ナチュラルチーズ」の語は、ナチュラルチーズの小単位の塊体(以下、「チーズ塊」と称する)が複数充填されたものをいう。
【0049】
本発明において、充填されるチーズ塊の一個当たり体積は、好ましくは0.5cm3以上、より好ましくは1cm3以上、より好ましくは1.5cm3以上である。
また、チーズ塊の体積は、好ましくは100cm3以下、より好ましくは50cm3以下、さらに好ましくは10cm3以下である。
チーズ塊の体積は、その形状に応じて算出することができる。例えば、略球形のチーズ塊であれば、チーズ塊の半径を、球の体積の公式(3分の4×円周率×半径の三乗)の球の半径に代入して求めることができる。略球形のチーズ塊の半径は、当該チーズ塊の断面の長さが最長となる部分を直径として、その半分を半径として設定することができる。同様に、チーズ塊が略直方体や略立方体の場合は、各辺の長さを掛け合わせて体積を算出することができる。
【0050】
また、充填されるチーズ塊の一個あたりの表面積は、好ましくは1cm2以上、より好ましくは3cm2以上、より好ましくは5cm2以上である。
また、チーズ塊の一個あたりの表面積は、好ましくは100cm2以下、より好ましくは70cm2以下、より好ましくは50cm2以下である。
チーズ塊の表面積は、体積と同様に、その形状に応じて算出することができる。例えば、略球形のチーズ塊であれば、チーズ塊の半径を、球の表面積の公式(4×円周率×半径の二乗)の球の半径に代入して求めることができる。略球形のチーズ塊の半径は、当該チーズ塊の断面の長さが最長となる部分を直径として、その半分を半径として設定することができる。同様に、チーズ塊が略直方体や略立方体の場合は、各辺の長さから各面の面積を求め、各面の面積の総和を表面積として算出することができる。
【0051】
チーズ塊が略球形である場合、その直径は、好ましくは0.5cm以上、より好ましくは1cm以上、より好ましくは1.2cm以上である。
また、チーズ塊が球形である場合の直径は、好ましくは10cm以下、より好ましくは4cm以下、より好ましくは3cm以下である。
【0052】
ここで、チーズ塊の形状としては、例えば、略球形、略直方体形、略立方体形、円柱形、楕円球形、ハート形や動物形等の具体的意匠の形を模した形状を挙げることができるが、略球形又は楕円球形であることが好ましい。
【0053】
また、本発明の容器詰ナチュラルチーズにおいて、充填されるチーズ塊の個数は、好ましくは2以上、3以上、5以上、10以上、14以上、18以上、または22以上であってもよい。
【0054】
また、本発明のナチュラルチーズにおいて、充填されるチーズ塊の個数は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下である。
【0055】
ここで、容器の容積が280mL以上である場合、容器詰ナチュラルチーズにおいて、充填されるチーズ塊の個数は、好ましくは13以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは18以下である。また、充填されるチーズ塊の個数は、好ましくは100個以下、より好ましくは80個以下、より好ましくは50個以下、さらに好ましくは30個以下である。
上記形態とすることで、より酸化臭の抑制された、容器詰ナチュラルチーズを提供することができる。
【0056】
また、容器へのチーズ塊の充填割合については、容器の容積(mL)に対するチーズ塊の体積の累計値(cm3)、又は、容器の容積(mL)に対するチーズ塊の表面積の累計値(cm2)で表すことができる。
【0057】
ここで、容器の容積に対するチーズ塊の体積の累計値は、0.13以上であることが好ましく、0.18以上であることがより好ましい。チーズを通常通り充填可能な限り、上限値は特に制限されないが、0.3以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましい。
【0058】
また、容器の容積に対するチーズ塊の表面積の累計値は、0.42以上であることが好ましく、0.59以上であることがより好ましい。チーズを通常通り充填可能な限り、上限値は特に制限されないが、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。
【0059】
また、本発明の容器詰ナチュラルチーズにおいて、容器に含まれる全てのチーズ塊の体積の合計は好ましくは10cm3以上、より好ましくは20cm3以上、より好ましくは30cm3以上、さらに好ましくは50cm3以上である。
また、本発明のナチュラルチーズにおいて、容器に含まれる全てのチーズ塊の体積の合計は好ましくは500cm3以下、より好ましくは300cm3以下、より好ましくは200cm3以下、さらに好ましくは100cm3以下である。
【0060】
また、本発明の容器詰ナチュラルチーズにおいて、容器に含まれる全てのチーズ塊の表面積の合計は好ましくは10cm2以上、より好ましくは50cm2以上、より好ましくは80cm2以上、さらに好ましくは100cm2以上である。
また、本発明のナチュラルチーズにおいて、容器に含まれる全てのチーズ塊の表面積の合計は好ましくは500cm2以下、より好ましくは400cm2以下、さらに好ましくは300cm2以下である。
【0061】
・保存液
本発明の容器詰ナチュラルチーズは、前記チーズ塊と保存液とが共に容器詰めされているものであってもよい。
ここで、「保存液」とは、水を組成中に含む液体である。
保存液中の水の含有量は、保存液の総質量に対し、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましい。
【0062】
保存液は、水のみからなるものであってもよいが、塩化ナトリウムをさらに含むことが好ましい。
保存液が塩化ナトリウムを含む場合、塩化ナトリウムの含有量は、保存液の総質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。
また、塩化ナトリウムの含有量は、ナチュラルチーズの表面のぬめりを防ぎ、良好な外観を保つ点から、保存液の総質量に対し、2.0質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1.2質量%以下がさらに好ましい。
【0063】
保存液は、塩化カルシウムをさらに含んでいてもよい。保存液が塩化カルシウムを含むと、チーズ塊表面のぬめりを防ぎ、良好な外観を保ちやすくなる。保存液が塩化カルシウムを含む場合、塩化カルシウムの含有量は、保存液の総質量に対し、2水和物換算で、0.05質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましく、0.10質量%以上がより好ましい。
また、塩化カルシウムの含有量は、ナチュラルチーズの風味への影響を抑制する点から、保存液の総質量に対し、0.25質量%以下が好ましく、0.20質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下がさらに好ましい。
【0064】
さらに、保存液は、その一部又は全部としてホエイを含んでもよい。ホエイとしては、ナチュラチーズの製造時に発生するホエイを用いることができ、適宜加熱殺菌した後、保存液として用いることができる。
【0065】
保存液は、上記以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
例えば、乳酸、クエン酸等のpH調整剤によって、保存液のpHを、保存するナチュラルチーズと同等のpHに調整してもよい。
乳酸の含有量は、保存液の総質量に対し、0.3質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
クエン酸の含有量は、保存液の総質量に対し、0.3質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
保存液に含まれてよいその他の成分としては、酢酸、リン酸、リンゴ酸、フマル酸、グルコン酸、コハク酸、炭酸、酒石酸、グルコノデルタラクトン、乳酸カルシウム、ホエイ(酸ホエイ)が挙げられる。
【0066】
本発明において、保存液の含有量は、ナチュラルチーズのチーズ塊の全体を浸漬可能な量であることが好ましい。チーズ塊の全体を浸漬可能な量は、容器の内容積、チーズ塊の量、容器及びチーズ塊の形状等によって異なるが、例えば、チーズ塊の100質量部に対して50質量部以上であり、好ましくは60質量部以上、より好ましくは65質量部以上である。
また、保存液の含有量は、チーズ塊の100質量部に対して300質量部以下であり、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。
【0067】
<ナチュラルチーズの劣化臭の生成を抑制する方法>
また、本発明は、ナチュラルチーズの劣化臭の生成を抑制する方法であって、体積0.5cm3以上のナチュラルチーズを2個以上容器に入れる工程を含み、
当該容器は、
400nm~900nmの波長範囲の光の透過率が40%以下である、方法でもある。
【0068】
ここで、ナチュラルチーズの劣化臭の生成を抑制する方法における好ましい実施の形態は、前述の内容を援用することができる。
【0069】
<劣化臭の抑制されたナチュラルチーズの設計方法>
また、本発明は、劣化臭の抑制されたナチュラルチーズの設計方法であって、
400nm~900nmの波長範囲の光の透過率が40%以下である容器に対し、
体積0.5cm3以上のナチュラルチーズを2個以上容器に充填することを含む、方法でもある。
【0070】
ここで、劣化臭の抑制されたナチュラルチーズの設計方法における好ましい実施の形態は、前述の内容を援用することができる。
【0071】
なお、本明細書において用いられる「抑制」との用語は、完全に阻害することだけでなく、部分的に阻害することも含む。したがって、たとえば、劣化臭の原因物質の生成量が、本発明の容器を用いない場合と比較してわずかでも少なければ、劣化臭が「抑制」されたといえる。
【0072】
本発明は、以下の態様で実施することもできる。
〔1〕ナチュラルチーズのチーズ塊を2個以上含む、容器詰ナチュラルチーズであって、
当該チーズ塊1個当たりの体積が、0.5cm3以上100cm3以下であり、
当該容器は、蒸着フィルムを含む容器である、容器詰ナチュラルチーズ。
〔2〕前記チーズ塊が、保存液に浸漬されている、前記〔1〕に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔3〕前記チーズ塊が略球形であり、該チーズ塊の直径が0.5cm以上10cm以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔4〕前記ナチュラルチーズが、パスタフィラータチーズである、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔5〕前記容器が、可とう性フィルムで構成された容器である、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔6〕前記容器に含まれる全てのチーズ塊の表面積の合計が10cm2以上500cm2以下である、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔7〕前記容器に含まれるチーズ塊1個当たりの重量が1g以上50g以下である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔8〕前記容器の容積が280mL以上であり、前記容器に充填されるチーズ塊の個数が13以上である、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔9〕前記蒸着フィルムが、金属蒸着フィルムである、前記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔10〕前記金属フィルムが、アルミ蒸着フィルムである、前記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔11〕前記容器の容積に対するチーズ塊の体積累計値が0.13以上である、前記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
〔12〕前記容器の容積に対するチーズ塊の表面積累計値が0.42以上である、前記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の容器詰ナチュラルチーズ。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を用いて、より詳細に本発明について説明する。
【0074】
<製造例1>
(1)容器詰ナチュラルチーズの製造
原料乳として100Lの全乳を用い、これをプレート式熱交換機にて、HTST法で75℃15秒の加熱処理条件で殺菌する。殺菌した原料乳を40℃に冷却し、冷却した原料乳100質量%に対して2質量%のスターターを添加し、混合し、1時間発酵させる。
発酵後、発酵液に市販のレンネットを10g添加し、混合し、30分間静置してカードを形成する。得られたカードを2.0cm四方の立方体にカッティングし、ホエイ排出を行った後、カードを40℃に保温しながら堆積し、pHを5.3にする。得られたカードを1cm四方の立方体にカットしてから、85℃のお湯30Lを加え、延伸をして、モールドを用いて、延伸工程の後のカードを約4g/1個の球形に成形して、モッツァレラチーズを得る。これを15℃の冷水に投入して冷却した後、以下の特性を有する容器に、前記モッツァレラチーズ(本発明における、チーズ塊に相当)を24個(総重量約90g)と、保存液(0.6質量%食塩水)130gとを充填し、密閉し、本発明の容器詰ナチュラルチーズを得る。
【0075】
当該容器詰ナチュラルチーズ製品中のナチュラルチーズの体積、表面積、および直径は以下のとおりである(体積および表面積は、半径から算出した計算値)。
体積(24個分の累計):62cm3(チーズ塊1個当たり約2.6cm3)
表面積(24個分の累計):218cm2(チーズ塊1個当たり約9.1cm2)
直径(1個当たり):1.7cm
【0076】
前記容器の特性は、以下のとおりである。容器可とう性フィルムで構成された、高さ140mm、幅130mm、折り込み(
図1 符号12)40mmのスタンディングパウチ容器(
図1 参照)光透過性:容器表面中心部を1.5cm角に切り出したサンプル2を用いて、分光光度計(日本分光社製:V-650)に積分球ユニット(日本分光社製:ISV-722)を付けて測定した光透過性が下表の特性を有する。
【0077】
【0078】
(2)品質評価
上記の容器詰ナチュラルチーズは、経時的な風味劣化が抑制された良好な品質である。
【0079】
<試験例1>
次に、容器の特性が、チーズ塊を2個以上含む容器詰めモッツァレラチーズに与える影響を検討した。
【0080】
(1)容器詰めモッツァレラチーズの製造
下表に示す4種の容器詰めモッツァレラチーズを製造した(比較例1、実施例1~3)。
まず、製造例1に記載の手順により、約4g/1個の球形に成形したモッツァレラチーズ(本発明におけるチーズ塊に相当)を製造した。
そして、球形に成形したモッツァレラチーズ24個(総重量約90g)と、保存液(0.6質量%食塩水)130gとを容器に充填し密閉することで、容器詰めモッツァレラチーズを製造した。但し、容器Bのみ、チーズ塊及び保存液の充填量を半分量とした。すなわち、モッツァレラチーズ12個(総重量約45g)と、保存液(0.6質量%食塩水)65gとを容器Bに充填し密閉することで、容器詰めモッツァレラチーズを製造した。
【0081】
(1-1)容器の特性について
容器A~Dは、下表に示す容器構成されたスタンディングパウチ容器(
図1参照)である。
そして、容器A~Dは、下表に示す光透過性を有する。
なお、下表に示す光透過性は、容器表面中心部を1.5cm角に切り出したサンプル2を用いて分光光度計(日本分光社製:V-650)に積分球ユニット(日本分光社製:ISV-722)を付けて測定した際の値である。
【0082】
(1-2)容器に充填されたチーズ塊について
・容器A、C、D について
当該容器詰ナチュラルチーズ製品中のナチュラルチーズの体積、表面積、および直径は以下のとおりである(体積および表面積は、半径から算出した計算値)。
体積(24個分の累計):62cm3(チーズ塊1個当たり約2.6cm3)
表面積(24個分の累計):218cm2(チーズ塊1個当たり約9.1cm2)
直径(1個当たり):1.7cm
【0083】
・容器B について
体積(12個分の累計):31cm3(チーズ塊1個当たり約2.6cm3)
表面積(12個分の累計):109cm2(チーズ塊1個当たり約9.1cm2)
直径(1個当たり):1.7cm
【0084】
【0085】
ここで、各容器の容積は以下の方法により、測定した。
容器(袋)にヘッドスペースが生じない(空気が含まれない)よう常温水を容器に万注した状態で、袋の上部をヒートシールして密封した時に含まれる水の重量(g)を測定し、水の量1gを1mLとして容器の容積(mL)に換算した。
【0086】
【0087】
(2)光照射試験
製造した各々の容器詰めモッツァレラチーズに対し、10℃冷蔵環境、光照射を7日間した。
【0088】
ここで、光照射は、容器表面に2000ルクスの光強度になるように蛍光灯(パナソニック社製、型番FLR40S・W/M-X・36R、36ワット)を常時照射することにより実施した。
【0089】
(3)官能評価
7日間保存後に、容器詰めモッツァレラチーズを開封して、以下の方法により、チーズの酸化臭の風味評価を行った。
【0090】
本試験の評価は、訓練された評価パネル6名で実施した。
【0091】
また、官能評価は、4gのチーズ塊を一度に口腔内に投入し、咀嚼した後飲み込む方法で実施した。
ここで、各パネルが喫食したチーズ塊は、開封した容器から、評価パネル一人当たり4個をランダムに配分したものである。そして、評価者による評価は、配分された4個を喫食した後、評価を行った。
【0092】
また、チーズの酸化臭についての評価は、以下の基準でおこなった。
ここで、コントロールとして、容器A、10℃冷蔵環境、光照射なし、7日間保存の条件の容器詰めモッツァレラチーズを用意した。
すなわち、コントロールと同等の風味であれば5点として、酸化臭の程度により5段階で評価をした。
また、評価パネル6名は、本評価の前に予備評価を複数回実施することで、評価者間での5段階の酸化臭の強度に関する擦り合わせをした。
【0093】
5点:コントロールと同等の風味
4点:コントロールとほぼ同等の風味であるが、やや酸化臭がある
3点:コントロールと比較して、やや酸化臭が強い
2点:コントロールと比較して明らかに酸化臭を感じる
1点:コントロールと比較して強い酸化臭がある
【0094】
評価試験の結果、評価パネル6名のそれぞれの評点と全員の平均点は、下表のとおりとなった。
【0095】
【0096】
本試験の結果、容器Aを用いた形態(比較例1)に比して、容器B~Dを用いた形態(実施例1~3)でチーズ塊の酸化臭が抑えられることがわかった。
すなわち容器B~Dを用いた形態とすることで、より酸化臭の抑制された、容器詰ナチュラルチーズを提供することができることがわかった。
【0097】
また、本試験の結果、容器Cを用いた形態(実施例2)に比して、容器Dを用いた形態(実施例1、3)でチーズ塊の酸化臭が抑えられることがわかった。
すなわち、チーズ塊及び保存液を同じ量充填した条件では、内層がアルミ蒸着PET(VMPET)を含む容器を用いることで、より酸化臭の抑制された、容器詰ナチュラルチーズを提供することができることがわかった。
【0098】
また、本試験の結果、容器B(実施例1)を用いた形態に比して、容器Dを用いた形態(実施例3)でチーズ塊の酸化臭が抑えられることがわかった。
すなわち、容器の容積が280mL以上であり、充填されたチーズ塊が13個以上である形態とすることで、より酸化臭の抑制された、容器詰ナチュラルチーズを提供することができることがわかった。
【0099】
また、本試験例の容器付けナチュラルチーズ4種について、各容器の容積(mL)に対する、チーズ塊の体積の累計値(cm3)および表面積の累計値(cm2)に対する比を算出した結果、以下の表5のとおりとなった。このことから、容器の容積に対するチーズ塊の体積累計値が0.13以上であることが好ましく、容器の容積に対するチーズ塊の体積累計値が0.42以上であることが好ましいことがわかった。
【0100】
【0101】
<試験例2>
次に、容器詰ナチュラルチーズにおける、チーズ塊の大きさが与える影響を確認した。
【0102】
チーズ塊の大きさを変更して同様の試験を実施した。
すなわち、約100gの球形に成形したモッツァレラチーズ1個と、保存液(0.6質量%食塩水)110gとを容器に充填、密閉し、容器詰めモッツァレラチーズを製造した。
容器は、製造例1で使用したもののうち、容器Aを用意した。
【0103】
容器Aに、試験例1と同様の条件で光照射試験を実施し、7日間保存した後開封して官能評価を実施した。
なお、本官能評価は、100gのチーズ塊を6等分にカットして喫食することで行った。
上記の他の条件は、試験例2と同様に行った。
その結果、酸化臭の評価結果(6名の評価パネルの平均値)は、以下のとおりであった。
【0104】
【0105】
試験例1および2の結果(比較例1、参考例1の対比)から、容器詰ナチュラルチーズにおける酸化臭は、充填されるチーズ塊が小さいほど顕著に生じる課題であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は容器詰ナチュラルチーズに応用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 容器
11 開口部
12 折り込み
2 サンプル