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7586414自動化された品質試験装置による関連コンポーネントキャリアの品質を試験するためのクーポン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】自動化された品質試験装置による関連コンポーネントキャリアの品質を試験するためのクーポン
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20241112BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241112BHJP
【FI】
G01R31/28 X
G01R31/26 G
G01R31/28 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023520428
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2021077835
(87)【国際公開番号】W WO2022078891
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】20201298.5
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519063934
【氏名又は名称】エーティーアンドエス オーストリア テクノロジー アンド システムテクニック アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャッティン、ガンター
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー、アイリーン
(72)【発明者】
【氏名】パッチャー、ガーノット
(72)【発明者】
【氏名】シュワイガー、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】スピッツァー、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ティジュン、フローリアン
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特公平06-049269(JP,B2)
【文献】特開2020-165800(JP,A)
【文献】特開2012-253199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0277197(US,A1)
【文献】米国特許第04858479(US,A)
【文献】米国特許第07129732(US,B1)
【文献】特開2002-286772(JP,A)
【文献】特開2001-281283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26-31/27、
31/28-31/3193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連コンポーネントキャリアに関する品質試験を実行するためのクーポンであって、前記クーポンは、
少なくとも1つの導電層構造及び/又は少なくとも1つの電気絶縁層構造の層スタックとして構成されるベースプレート;
ロボットハンドリングユニットによって前記クーポンを取り扱うように構成され、前記品質試験のための試験対象がない、前記ベースプレートの第1の部分上のハンドリング領域
前記ベースプレートの第2の部分上及び/又は第2の部分内に、前記品質試験のための試験対象を有する試験領域;及び
複数の一体的に接続され機能的に別個のクーポンセクションであって、それぞれが、割り当てられたハンドリング領域及び割り当てられた試験領域を有する、前記クーポンセクション
を備える
クーポン。
【請求項2】
前記ベースプレートが、積層された層スタックを有する、請求項1に記載のクーポン。
【請求項3】
前記クーポン及び/又は前記関連コンポーネントキャリアを識別する、具体的には、一意的に識別するように構成された、具体的には、前記ベースプレート上及び/又は前記ベースプレート内に、又は前記ベースプレートの前記導電層構造及び前記電気絶縁層構造の一部を形成する識別子を有する、請求項1又は2に記載のクーポン。
【請求項4】
前記識別子が、QRコード、バーコード、トランスポンダ、電気的に読み取り可能な識別子、及び英数字コードからなる群のうちの少なくとも1つを有する、請求項3に記載のクーポン。
【請求項5】
以下の特徴:
前記識別子は、前記ハンドリング領域内に部分的に又は全体的に配置される;
前記識別子は、前記ハンドリング領域の外側に部分的に又は全体的に配置される
のうちの少なくとも1つを備える、請求項3又は4に記載のクーポン。
【請求項6】
前記識別子は、前記ハンドリング領域のすぐ隣に配置される、請求項3~5のいずれか1項に記載のクーポン。
【請求項7】
前記クーポンは、1つ又は複数の位置合わせ構造、具体的には、1つ又は複数の位置合わせ貫通孔を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のクーポン。
【請求項8】
前記1つ又は複数の位置合わせ構造は、前記ベースプレートの縁部分、具体的には、角に配置される、請求項7に記載のクーポン。
【請求項9】
以下の特徴:
前記試験対象は、一連の試験孔、具体的には、導電性材料で充填された試験孔を有し、ここで、具体的には、前記一連の試験孔は、異なる寸法の少なくとも2つの試験孔、同一寸法の少なくとも2つの試験孔、直線に沿って配置された少なくとも3つの試験孔、及び共通の断面平面内の少なくとも3つの試験孔からなる群のうちの少なくとも1つを含む;
前記ベースプレートは、具体的には、樹脂を有する、カプセル材によって少なくとも部分的に取り囲まれている;
前記ベースプレートの輪郭は前記クーポンの輪郭を構成する;
前記ハンドリング領域は、前記ベースプレートの対向する主表面の両方に、具体的には、対応する位置に設けられる;
前記試験対象は、前記ベースプレートの、具体的には、少なくとも1つの直線に沿って、少なくとも1つの縁部分に沿って、具体的には、少なくとも2つの対向する縁部分に沿って配置される;
なくとも1つの前記試験対象を露出させるために前記クーポンの材料を除去する間に少なくとも部分的に除去される少なくとも1つの犠牲構造、具体的には、少なくとも1つの導電性犠牲構造を有し、ここで、前記少なくとも1つの犠牲構造は、なくとも1つの前記試験対象の対象露出までの前記材料の除去の進行を検出するために使用されるように構成され、ここで、具体的には、前記少なくとも1つの犠牲構造は、なくとも1つの前記試験対象の試験孔の中心に到達したときに、前記クーポンの材料を除去する間に完全に除去されるように配置される;
前記ハンドリング領域は、ロボットハンドリングユニットによって把持される平坦及び/又は局所的に粗面化された領域として構成される;
記クーポンセクションの隣接するものは、それぞれの予め定められた破断点において、具体的には、前記ベースプレート内の機械的な弱化線、細線、又は切り取り線の形態のそれぞれの破断縁部において、互いに接続される;
前記ベースプレートは、前記品質試験を実行するための装置に前記クーポンを挿入するための挿入方向を定義するための、機械コード化機能、具体的には、実質的に長方形のベースプレート面取りされた角又は縁部を有する;
前記クーポンはストリップ、具体的には、長方形のストリップとして形成される;
前記クーポンは、10cm~30cmの範囲又は15cm~25cmの範囲の長さ、及び0.5cm~4cmの範囲又は1cm~3cmの範囲の幅を有する
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のクーポン。
【請求項10】
複数のコンポーネントキャリアを有する中央部;及び
請求項1~9のいずれか1項に記載の少なくとも1つのクーポンを有する縁部分
を備えるパネル。
【請求項11】
前記複数のコンポーネントキャリアは、プリント回路基板又は集積回路基板である、請求項10に記載のパネル。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載のクーポン;及び
前記試験対象を使用して前記クーポンを試験することによって、クーポンに関連するコンポーネントキャリアに関する品質試験を実行するように構成された装置、ここで、前記装置は、前記品質試験の少なくとも一部の間、前記ハンドリング領域で前記クーポンを取り扱うように構成されたハンドリングユニットを有する
を備える試験システム。
【請求項13】
以下の特徴:
前記装置は、前記クーポンの識別子から導出される識別情報に基づいて前記クーポンを識別するように構成された識別ユニットを有する;
前記装置は、前記品質試験を受ける前記クーポンの内部の前記試験対象の少なくとも1つを露出させるために、前記クーポンから材料を除去するように構成された材料除去ユニットを有し、ここで、具体的には、前記材料除去ユニットは、研削によって前記クーポンの材料を除去するように構成され、及び/又は、具体的には、前記材料除去ユニットは、断面研削及び平面研削からなる群のうちの1つによって前記クーポンの材料を除去するように構成されている;
前記装置は、人間の介入なしに前記品質試験を実行するように構成されている
のうちの少なくとも1つを備える、請求項12に記載の試験システム。
【請求項14】
前記装置は、
前記クーポンの前記試験対象のうちの少なくとも1つを決定するように構成された決定ユニット;及び
前記コンポーネントキャリアの品質を評価するために、前記クーポンの前記決定された少なくとも1つの試験対象の特性を評価するように構成された評価ユニット
を備える、請求項12又は13のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項15】
コンポーネントキャリアに関する品質試験を実行する方法であって、前記方法は、
請求項1~9のいずれか1項に記載のクーポンを、前記コンポーネントキャリアを有する、パネルから分離する段階;
前記ハンドリング領域でロボットハンドリングユニットによって前記クーポンを取り扱う段階;及び
前記試験対象に基づいて前記クーポンを試験する段階
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンポーネントキャリアの品質試験を実行するクーポン、パネル、試験システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ又は複数の電子部品を備えるコンポーネントキャリアの製品機能の向上、そのような電子部品の小型化の増加、並びにプリント回路基板などのコンポーネントキャリアに搭載される電子部品の数の増加という文脈において、いくつかの電子部品を有する、ますます強力になったアレイのようなコンポーネント又はパッケージが使用されており、それらは複数の接点又は接続を有し、これらの接点間の間隔はさらに小さくなっている。同時に、コンポーネントキャリアは、厳しい条件下でも動作可能であるように、機械的に堅牢で、電気的に信頼できるものとすべきである。
【0003】
断面切り出しは、材料の特徴付け、故障解析の実行、及びプリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)などのコンポーネントキャリアの内部構造の露出に使用される技術である。断面切り出しには、その後の研削及び研磨工程でPCBを支持及び保護するために、ポッティング材料にPCBのターゲットセグメントを取り付けることが含まれ得る。取り付けられたPCBは慎重に研削され、次いで、関心のある対象検査面に達するまで、徐々により細かい媒体を使用して研磨される。このようにして準備されたPCBは、次いで、例えば、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)下で、ユーザによって検査され得る。平面研削は、ユーザによる検査のためにコンポーネントキャリアの内部を露出させるための別の技術である。
【0004】
コンポーネントキャリア、平面研削コンポーネントキャリア、及び関連する物体の断面の準備及び試験は、従来、技術者によって手動で実行されていた。これは、断面及び平面部分など、異なるタイプの検鏡試片に当てはまる。しかし、これには多大な労力及び品質試験の観点から限られた精度を伴い、工業規模でのスループットに関する厳しい要件に関して致命的になり得る。
【0005】
本発明の目的は、コンポーネントキャリアの品質を高い信頼性、高いスループット、及び相応の労力で評価することである。
【0006】
上で定義した目的を達成するために、独立請求項に従って、クーポン、パネル、試験システム、及びコンポーネントキャリアの品質試験を実行する方法が提供される。
【0007】
本発明の例示的な実施形態によれば、関連コンポーネントキャリアに関する品質試験を実行するためのクーポン(コンポーネントキャリア構造として構成され得る)が提供され、ここで、クーポンは、少なくとも1つの導電層構造及び/又は少なくとも1つの電気絶縁層構造の層スタックとして構成されたベースプレート、ロボットハンドリングユニットによってクーポンを取り扱うように構成され、品質試験のための試験対象がない、ベースプレートの第1の部分上のハンドリング領域、及びベースプレートの第2の部分上及び/又は第2の部分内にあり、品質試験のための試験対象を含む試験領域を有する。
【0008】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、複数のコンポーネントキャリアを含む中央部、及び上記の特徴を含む少なくとも1つのクーポンを有する縁部分を有するパネルが提供される。
【0009】
本発明のさらに別の例示的な実施形態によれば、上記の特徴を有するクーポン、及び試験対象を使用してクーポンを試験することによってクーポン関連コンポーネントキャリアに関する品質試験を実行するように構成され、品質試験の少なくとも一部の間、ハンドリング領域でクーポンを取り扱うように構成されたハンドリングユニットを有する装置を備える試験システムが提供される。
【0010】
本発明のさらに別の例示的な実施形態によれば、コンポーネントキャリアに関する品質試験を実行する方法が提供され、ここで、方法は、コンポーネントキャリアを含むパネルから上記の特徴を有するクーポンを分離する段階、ハンドリング領域でロボットハンドリングユニットによってクーポンを取り扱う段階、及び試験対象に基づいてクーポンを試験する段階を備える。
【0011】
本出願の文脈において、用語「コンポーネントキャリア」は、特に、機械的支持及び/又は電気的接続性及び/又は光学的接続性及び/又は熱的接続性を提供するために、その上及び/又はその中に1つ又は複数のコンポーネントを収容可能な任意の支持構造を意味し得る。換言すれば、コンポーネントキャリアは、コンポーネントの機械的及び/又は電子的キャリアとして構成され得る。具体的には、コンポーネントキャリアは、プリント回路基板、有機インターポーザ、及びIC(集積回路)基板のうち1つであり得る。コンポーネントキャリアはまた、上述のタイプのコンポーネントキャリアのうち異なるものを組み合わせたハイブリッドボードでもあり得る。
【0012】
本出願の文脈において、用語「コンポーネントキャリア構造」は、具体的には、コンポーネントキャリア、例えば、パネル、アレイ、又はコンポーネントキャリア自体の製造中及び/又は製造後に取り扱われ、処理される薄いシートを意味し得る。したがって、コンポーネントキャリア構造は、具体的には、コンポーネントキャリアの複数の接続されたプリフォームを含むパネル、コンポーネントキャリアの複数の接続されたプリフォームを含むアレイ(1/4パネルなど)、コンポーネントキャリアのプリフォーム(すなわち、まだ製造が容易ではないコンポーネントキャリア)、又は容易に製造されるコンポーネントキャリア(プリント回路基板(PCB)又は集積回路(IC)基板など)を意味し得る。しかし、コンポーネントキャリア構造がクーポンであることも可能である。
【0013】
本出願の文脈において、用語「クーポン」(又は試験クーポン)は、具体的には、コンポーネントキャリア(具体的には、プリント回路基板)製造工程の品質を試験するために使用され得るコンポーネントキャリア本体(プリント回路基板のような本体など)を意味し得る。試験クーポンは、コンポーネントキャリア(プリント回路基板など)と同じパネル上で、例えば、パネルの縁部で、又はコンポーネントキャリアの均一な形成部で、又はコンポーネントキャリア間の領域で製作され得る。次いで、クーポンは、例えば、適切な層アラインメント、電気的接続性などを確認にするために、品質試験の観点から検査され得る。クーポンはまた、内部構造を検査するために断面化され得る。クーポンは、使用タイプのコンポーネントキャリアと同じ寸法及び構造を有する導電性トレース及び垂直貫通接続(ビアなど)を含むように設計され得る。例えば、クーポンは、帯状の板(例えば、23×3.5平方センチメートルの寸法を有する;複数の個別に使用可能なクーポンセクションを含むクーポンのモジュール構成において、そのようなクーポンセクションはまた、例えば、3×1平方センチメートルなどの著しく小さい寸法を有し得る)であり得る。説明的に言えば、クーポンの構造的特徴は、同じパネルの対応するコンポーネントキャリア(PCBなど)の構造的特徴のミラー及びフィンガープリントとして機能する。説明的に言えば、ミラー機能はチェックすべきすべての複製を作成し、フィンガープリント機能は一意性を示し、構造的特徴が製造中に受けた工程の個別の特性を表示する。
【0014】
本出願の文脈において、用語「品質試験」は、具体的には、コンポーネントキャリア構造の1つ又は複数の予め定められた試験対象の特性を分析することによる、コンポーネントキャリア構造の品質の評価を意味し得る。そのような品質試験では、コンポーネントキャリア構造の1つ又は複数のそのような特徴が1つ又は複数の品質基準を満たしているか否かを試験し得る。そのような品質基準は、1つ又は複数の定性的品質基準(定性的なエラーパターン又は故障シナリオとして層構造の層間剥離の有無など)及び/又は1つ又は複数の定量的品質基準(許容可能な厚さの予め定められた範囲に関連するパターン化された銅層の厚さなど)を含み得る。コンポーネントキャリア構造の決定可能な品質欠陥の例としては、ドリル孔、毛の混入、ソルダーレジストの影響、分離すべき導電性トレース間の短絡などに関するアーティファクトがある。例えば、コンポーネントキャリア構造の品質試験を実行して、コンポーネントキャリア構造が工業規格(例えば、IPC6012、IPC-A-600、IPC-2221など)に準拠しているかどうかをチェックし得る。
【0015】
本出願の文脈において、用語「予め定められた試験対象」は、具体的には、コンポーネントキャリア構造の品質を評価するための特性項目として予め定められた、材料除去によって露出されたコンポーネントキャリア構造の内部の構造的特徴を意味し得る。例えば、試験対象は、ドリル孔、又は少なくとも1つの導電層構造(例えば、パターン化された銅箔及び/又は銅充填レーザビア)及び/又は少なくとも1つの電気絶縁層構造(例えば、エポキシ樹脂などの樹脂を含むシート、及び任意選択でガラス繊維などの強化粒子)を有するコンポーネントキャリア構造の(特に積層された)層スタック内の層構造であり得る。具体的には、コンポーネントキャリア構造の少なくとも1つの試験対象の特性又は属性は、ドリル孔(銅などの導電性材料で充填し得るか又はし得ない、レーザドリル孔又は機械的ドリル孔など)の直径、隣接するドリル孔間の距離、層構造の厚さ(具体的には、パターン化された銅箔又は層の厚さ)、層構造の平面性(例えば、純粋に平面構成からの層構造のずれによって測定される)、層構造(すなわち、例えば、積層された層構造の一体のセットから少なくとも部分的に分離された層構造)の層間剥離などの1つ又は複数を有し得る。
【0016】
本出願の文脈において、用語「関連コンポーネントキャリアに関する品質試験を実行するためのクーポン」は、具体的には、上述のコンポーネントキャリアが、共通の製造工程に関してクーポンと相関していることを意味し得る。具体的には、上記コンポーネントキャリアは、クーポンの製造と同時に製造され得る。クーポン及び関連コンポーネントキャリアは、同じパネルの一部を形成し得る。したがって、クーポンの品質問題は、関連コンポーネントキャリアの品質問題に対応し、品質試験に合格したクーポンは、関連コンポーネントキャリアも上記品質試験の要件を満たしているという結論が得られると合理的に仮定できる。
【0017】
本出願の文脈において、用語「ハンドリング領域」は、具体的には、クーポン及び品質試験装置の機能を損なうことなく、装置のハンドリングユニットのロボット(多軸ロボットなど)又は同様のエンティティによって把持可能であるように特別に構成されたクーポンの表面部分を意味し得る。この目的のために、ロボットハンドリングユニットが品質試験関連タスク(試験対象の周囲の領域内のクーポンからの材料除去、品質試験の観点からクーポンの関心のある露出面の画像の検出、及び装置に対するクーポンの自動化された位置合わせの実行など)を妨げることなくクーポンを取り扱えるように、そのようなハンドリング領域には、試験対象(ハンドリングユニットによって把持されたときに隠れる可能性がある)がなくてもよく、好ましくは、他の特徴もなくてもよい。そのような専用ハンドリング領域を設けることにより、クーポンは自動化された品質試験装置による自動化された取り扱いに適したものとなる。
【0018】
本出願の文脈において、用語「試験領域」は、具体的には、その領域に基づいて品質試験が自動化された品質試験装置によって実行され得る、1つ又は複数の試験対象を備えるクーポンの領域を意味し得る。1つ又は複数の試験対象が設けられている試験領域とは対照的に、上述のハンドリング領域には試験対象がなくてもよい。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によれば、関連コンポーネントキャリア(具体的にはクーポンと同じパネルのプリント回路基板)の品質を試験する完全に自動化されたシステムのためのクーポン(プリント回路基板クーポンなど)が提供される。自動化された品質試験装置は、クーポンを分析することによって、好ましくは、ユーザの介入なしに、割り当てられたコンポーネントキャリアの品質を決定することを可能にし得る。有利には、本発明の例示的な実施形態によるクーポンは、例えば、クーポンの断面で可視である試験対象を評価するために、クーポンからの自動化された材料除去(例えば、研削によって)を含み得る、完全に自動化された品質試験の要件を満たすように設計され得る。具体的には、クーポンは、ユーザの介入を必須に必要とせずに、クーポンを機械読み取り可能及び機械処理可能にする特徴及び特性を備え得る。同時に、クーポンの設計は、必要に応じて、ユーザによる手動ハンドリングにも適合し得る。したがって、割り当てられたクーポンに基づいてコンポーネントキャリアの品質試験を実行するユーザの柔軟性が大幅に向上し得る。例示的な実施形態によるクーポンは、品質試験のために使用される試験対象がなく、それによって、自動化された装置のハンドリングユニットのロボットグリップエンティティのために特別に確保されたハンドリング領域を有利に有し得る。クーポンのハンドリング領域から空間的に分離されているのは、品質試験(例えば、試験対象又は特徴として評価されるドリル孔を露出するため)の実行中に実行できる材料除去(例えば、限定されないが、研磨材除去)工程(例えば、クーポンの断面を作成するため)を受けることができる試験対象を有する試験領域である。
【0020】
以下では、クーポン、パネル、試験システム、及び方法のさらなる例示的な実施形態について説明する。
【0021】
一実施形態では、ベースプレートは積層された層スタックを有する。クーポンの積層された層のシーケンスは、クーポンも分離できるパネルと同じパネルに基づいて製造されたコンポーネントキャリアの積層された層のシーケンスに対応し得る。その結果、クーポンの品質試験の結果も、コンポーネントキャリアにとって有意義なものとなる。
【0022】
一実施形態では、クーポンは、クーポン及び/又は関連コンポーネントキャリアを識別するために構成された識別子を有する。品質試験中にその識別子に基づいてクーポンを識別することは、トレーサビリティの観点から非常に有利であり得、品質試験を自動化するための重要な手段と見なされ得る。識別子は、ベースプレート上及び/又はベースプレート内に形成され得る。好ましくは、ベースプレートの層構造の一部を形成するために識別子を作成することも可能である。非常に有利には、次いで、クーポンの識別子は、パネルの処理中に、最も好ましくは、導電層(例えば銅製)をパターニングして、それによって、コンポーネントキャリアを製造するための層構造のパターニング中に、識別子(例えば、バーコード又はQRコード(登録商標)として具現化される)を作成することによって製造され得る。この手段を取ることによって、識別子の製造するための余分な労力は最小限で済む。好ましくは、識別子は、そのクーポン及び/又は関連コンポーネントキャリアを一意的に識別する。したがって、そのような実施形態では、2つのクーポンが同じ識別子を有し得ない。
【0023】
一実施形態では、識別子は、QRコード(登録商標)、バーコード、トランスポンダ、電気的に読み取り可能な識別子、及び英数字コードからなる群のうちの少なくとも1つを有する。例えば、そのような識別子は、QRコード(登録商標)、バーコード、英数字コード、又は任意の他の光学的に読み取り可能なコードであり得る。あるいは、識別子は、ベースプレートに接続された無線トランスポンダ、例えば、RFIDタグ又はNFCタグであり得る。そのようなトランスポンダは、装置の対応する読取りデバイスによって読み出され得る。
【0024】
一実施形態では、識別子は、ハンドリング領域内に部分的に又は全体的に配置される。あるいは、識別子は、ハンドリング領域の外側に部分的に又は全体的に配置され得る。クーポン上に識別子を位置決めするための設計の自由度が高く、したがって、コンパクトな方法で提供できる。
【0025】
好ましくは、識別子は、ハンドリング領域のすぐ隣に配置される。これにより、自動化された品質試験装置のロボットハンドリングユニットによるクーポンの取り扱い中のクーポンの識別が簡素化され得る。この目的のために、ロボットハンドリングユニットは、クーポンの取り扱い中に識別子を読み取るための読取りデバイスを備え得る。また、自動品質試験を加速させ得る。
【0026】
一実施形態では、クーポンは、1つ又は複数の位置合わせ構造、具体的には、1つ又は複数の位置合わせ貫通孔を有する。上記露出面の画像を撮像するカメラに関して(少なくとも1つの試験対象を所望の方法で示す)クーポンの露出面の適切な方向を保証するために、装置は、クーポンの1つ又は複数の位置合わせマーカーの位置を自動的に決定し得、画像を撮像する前にクーポンの位置及び/又は方向を調整し得る。追加的に又は代替的に、上記表面を露出させるための材料除去の前又は間に、そのような位置合わせ工程を実行し得る。これにより、品質試験の精度が向上する。位置合わせ構造を位置合わせ貫通孔として構成することにより、光学カメラ、及び、好ましくは、それと協働する光源を使用して位置合わせ測定を適切に実行することが可能になり得る。例えば、そのようなカメラはクーポンの画像を撮像し得、位置合わせ貫通孔は、貫通孔のみを通って伝播する光の検出に基づいて、そのような高コントラストの画像上で容易に決定され得る。
【0027】
一実施形態では、1つ又は複数の位置合わせ構造は、ベースプレートの縁部分、具体的には、角又は角領域に配置される。位置合わせ構造を縁部分、又は好ましくは角に配置する場合、それらは比較的大きな相互距離を置いて配置でき、これにより位置合わせ工程の精度が向上し得る。
【0028】
一実施形態では、試験対象は一連の試験孔、具体的には、銅などの導電性材料で充填された試験孔を有する。試験孔を銅で充填することにより、試験孔を、好ましくは充填されていない位置合わせ貫通孔から単純に区別することも可能であり得る。さらに、金属が充填された試験孔は、撮像された断面画像内の樹脂に対して高コントラストで容易に視覚的に識別され得る。試験孔を銅で充填することは、材料除去の前に実行され得るはんだフロート試験と相関させ得る。メッキ貫通孔が存在する場合、すなわち、試験孔が金属で部分的に充填されている場合、はんだ材料が毛管力又は濡れによってメッキ貫通孔内に浮き上がり得る。メッキなしの貫通孔の場合は、濡れ性が不足しているため、上記のはんだ上がりは発生しない。そのような充填されていない試験孔は、位置合わせを簡素化し得、次いで、貫通光照射によって達成できる。
【0029】
一実施形態では、一連の試験孔は、異なる寸法(例えば、異なる直径)の少なくとも2つの試験孔、同一寸法(例えば、同じ直径)の少なくとも2つの試験孔、直線に沿って配置された少なくとも3つの試験孔、共通の断面平面内の(すなわち、同一平面上の)少なくとも3つの試験孔からなる群のうちの少なくとも1つを有する。そのような試験孔の配置は、品質試験の観点から有意義な情報を提供し得る。
【0030】
一実施形態では、ベースプレートは、具体的には、樹脂を有し、又は完全に樹脂で作られたカプセル材によって少なくとも部分的に取り囲まれている。例えば、自動化された品質試験装置におけるクーポンの取り扱いを簡素化するために、クーポンを樹脂のマトリクスに埋め込み得る。そのようなカプセル化工程は自動化され得る。カプセル材は、クーポンを保護する応力緩衝材としても機能し得る。
【0031】
別の実施形態では、ベースプレートの輪郭がクーポンの輪郭を構成し、すなわち、上述のカプセル材は代替的に省略され得る。非常に有利には、自動化された装置はクーポンのカプセル化を必ずしも必要としない。カプセル化を省略し、カプセル化されていないクーポンを検査すると、自動化された品質試験が大幅に簡素化され、加速され得る。
【0032】
一実施形態では、ハンドリング領域の異なる部分が、ベースプレートの対向する主表面の両方に、具体的には、ベースプレートの上面側及び底面側の対応する領域に設けられる。これにより、自動化された装置のハンドリングユニットは、対向する両側の間でクーポンを把持し、好ましくはクランプし、したがって、クーポンがハンドリングユニットから滑り落ちる危険を伴うことなくクーポンを適切に取り扱うことができる。ハンドリング領域の工具孔、又はハンドリング領域の近くにある工具孔により、ハンドリングユニットのピンがクーポンの取り扱いを支援することを可能にし得る。
【0033】
一実施形態では、試験対象は、ベースプレートの、(具体的には、少なくとも1つの直線に沿って)少なくとも1つの縁部分に沿って(具体的には、少なくとも2つの対向する縁部分に沿って)配置される。これにより、材料除去工程(例えば、研削)で、同じ画像内に複数の試験対象を示すクーポンの平坦な断面平面を露出させることが可能になる。ベースプレートの対向する縁部分に試験対象を設ける場合、試験対象を余分に設け得て、これにより、一組の試験対象の処理が(例えば、誤った材料除去工程により)失敗した場合でも、クーポンを品質試験に使用できるようになる。
【0034】
一実施形態では、クーポンは、少なくとも1つの試験対象を露出させるためにクーポンの材料を除去する間に少なくとも部分的に除去される少なくとも1つの犠牲構造(具体的には、少なくとも1つの導電性犠牲構造)を有する。好ましくは、少なくとも1つの犠牲構造は、少なくとも1つの試験対象の対象露出までの材料除去の進行を検出するために使用されるように構成され得る。具体的には、少なくとも1つの犠牲構造は、少なくとも1つの試験対象の試験孔の中心に到達したときに、クーポンの材料を除去する間に完全に除去されるように配置され得る。有利には、材料除去中に犠牲構造のオーム抵抗を示す電気信号を測定することにより、材料除去工程の進行を決定し、それに応じて材料除去工程を制御することを可能にし得る。上記材料除去工程中、そのオーム抵抗が継続的に変化する犠牲構造も継続的に除去され得る。したがって、クーポンの材料除去中に犠牲構造の残りの部分のオーム抵抗を測定することにより、材料除去工程の進行に関する結論が得られ得る。犠牲構造のそのような測定に基づいて、材料除去工程は、例えば、犠牲構造の予め定められたオーム抵抗が測定されるとき、予め定められた方法で試験対象を露出する(例えば、その中心を露出する)のにちょうど間に合うように停止され得る。
【0035】
一実施形態では、ハンドリング領域は、ロボットハンドリングユニットによって把持される平坦及び/又は局所的に粗面化された領域として構成されている。したがって、ハンドリング領域は平面であり得る。任意選択で、上記ハンドリング領域は、把持を改善するために選択的に粗面化され得る。換言すれば、ハンドリング領域の粗さは、クーポンの他の表面部分の粗さよりも大きくなり得る。
【0036】
一実施形態では、クーポンは、複数の一体的に接続され機能的に別個のクーポンセクションを有し、それぞれが割り当てられたハンドリング領域及び割り当てられた試験領域を有する。各クーポンセクションが、識別子、位置合わせ構造、又はクーポンについて本明細書に記載の任意の他の特徴を有することも可能である。非常に有利なことに、クーポンは、個別に分離可能なクーポンセクションを有するモジュール構造として設計され得る。その結果、ユーザは、特定の品質試験の要件に応じて、品質試験にクーポンセクションの1つ又は一部のみを使用し得る。これにより、資源が節約され、特にそれぞれの用途のニーズに合わせてモジュール方式でクーポン特性を調整するユーザの柔軟性が高まる。
【0037】
一実施形態では、クーポンセクションの隣接するものは、それぞれの予め定められた破断点において、具体的には、ベースプレート内の機械的な弱化線、細線、又は切り取り線の形態のそれぞれの破断縁部において、互いに接続される。(一列に配置され得る)隣接するクーポンセクション間の意図的に界面を弱めることにより、例えば、ユーザによって手動で、又は品質試験装置によって自動で自動化された方法で、予め定められた破断線に沿ってクーポンの一部を破断することによって、クーポンセクションの1つ又はサブセットを分離することが可能になり得る。
【0038】
一実施形態では、ベースプレート(又は各クーポンセクション)は、品質試験を実行するための装置にクーポン(又はクーポンセクション)を挿入するための挿入方向を定義するための機械コード化機能(幾何学的機能であり得る)、具体的には、実質的に長方形のベースプレートの面取りされた角又は縁部を有する。この機械コードにより、自動化された装置に対するクーポンのいかなる位置ずれも不可能になり、エラーに強い自動化された品質試験が保証される。
【0039】
一実施形態では、クーポンはストリップ、具体的には、長方形のストリップとして形成される(具体的には、クーポンが複数のクーポンセクションを有する場合)。長方形のストリップは、その幅の少なくとも2倍、より具体的には、少なくとも3倍の長さを有するストリップであり得る。例えば、クーポンは、10cm~30cmの範囲、具体的には、15cm~25cmの範囲の長さ、及び0.5cm~4cmの範囲、具体的には、1cm~3cmの範囲の幅を有し得る。上述の範囲は利用可能なパネルサイズと互換性があり、ロボットハンドリングユニットによる取り扱いを可能にし、工業規格の境界条件にも準拠し得る。
【0040】
一実施形態では、装置は、クーポンの識別子から導出される識別情報に基づいてクーポンを識別するように構成された識別ユニットを備える。品質試験を受けるクーポンは、トレーサビリティの目的のため、及び品質試験の結果を特定のクーポン及び割り当てられたコンポーネントキャリアに割り当てることを可能にするために、識別を受けてもよい。
【0041】
一実施形態では、装置は、品質試験を受けるクーポンの内部の試験対象の少なくとも1つを露出させるために、クーポンの材料を除去するように構成された材料除去ユニットを備える。したがって、クーポンは、関心のある対象検査面に到達するために、機械制御された材料除去工程を受けてもよい。したがって、材料除去は、クーポンの内部を露出させ、それによって、検査中の少なくとも1つの試験対象(具体的には、ドリル孔)へのアクセスを得るために達成され得る。本出願の文脈において、用語「平面を露出させるために材料を除去する」は、具体的には、クーポンの水平、垂直、又は対角線方向における材料除去を意味し得る。したがって、露出面は任意の方向(具体的には、水平、垂直、又は対角線)を有し得る。
【0042】
一実施形態では、装置は、クーポンの試験対象の少なくとも1つを決定するように構成された決定ユニット、及びコンポーネントキャリアの品質を評価するために、クーポンの決定された少なくとも1つの試験対象の特性を評価するように構成された評価ユニットを備える。また、次いで、完全に自動化された方法で、1つ又は複数の試験対象が研磨処理されたクーポンから決定され得る。次いで、評価ユニットが、この決定の結果を評価して、品質試験の結果を導出し得る。
【0043】
一実施形態では、装置は人間の介入なしに品質試験を実行するように構成される。非常に有利には、クーポン及び割り当てられたコンポーネントキャリアの有効性評価に関して言及された工程はいずれも、ユーザの介入を必要としない。これにより、クーポンの品質試験に関する人的資源の労力が削減されるだけでなく、品質試験がより客観的になり、したがって、より有意義で迅速になる。
【0044】
一実施形態では、材料除去ユニットは、研削によってコンポーネントキャリア構造の材料を除去するように構成されている。具体的には、研削は、グラインディングホイール(又は別の研削体)を材料除去又は切削工具として使用し得る研磨機械加工工程を意味し得る。研磨剤の各粒子は、微細な一点切れ刃として機能し、コンポーネントキャリア構造から極小片を剪断し得る。しかし、他の実施形態では、コンポーネントキャリア構造からの材料除去は、研削以外の方法によって、例えば、レーザ加工又は任意の種類の切断によって達成され得る。
【0045】
一実施形態では、材料除去ユニットは、断面研削及び平面研削からなる群のうちの1つによってコンポーネントキャリア構造の材料を除去するように構成されている。断面研削に関しては、板状のコンポーネントキャリア構造を切断する平面での分析を可能にするコンポーネントキャリア構造の断面が作成され得る。断面研削は、分析のために関心のある内部平面を露出させるために、コンポーネントキャリア構造の一部を切断又は研削する破壊技術である。得られた断面では、ドリル孔の品質を評価でき、ビアのメッキ品質及び厚さを評価でき、他の試験対象も分析できる。そのような他の試験対象の一例として、積層工程の品質を示す、コンポーネントキャリア構造の材料内の隙間をアクセス可能にさせ得る。平面研削又は表面研削に関して、そのような技術は、コンポーネントキャリア構造の平坦な表面上に平滑な仕上げをもたらすために使用され得る。平面研削は、粗い粒子で覆われたスピニングホイール(又は任意の他の本体)が、コンポーネントキャリア構造の主表面から小片を切り取り、それによって、コンポーネントキャリア構造の内部層の主表面にアクセスする、研磨機械加工工程として示され得る。
【0046】
一実施形態では、装置は、材料を除去した後にコンポーネントキャリア構造の露出面を研磨するように構成された研磨ユニットを備える。研磨は、表面をこするか、又は化学作用を利用することによって滑らかな表面を作成し、粗さが減少した表面を残す工程を意味し得る。研削とは対照的に、研磨はコンポーネントキャリア構造の表面から顕著な量の材料を除去するのではなく、単に表面を平坦化することによって平面性を高める。研磨は、より粗い研磨剤から始めて複数の段階を使用し得、その後の各段階はより細かい研磨剤を使用し得る。
【0047】
一実施形態では、コンポーネントキャリア構造は、少なくとも1つの電気絶縁層構造及び少なくとも1つの導電層構造のスタックを有する。例えば、コンポーネントキャリアは、具体的には、機械的圧力及び/又は熱エネルギーを加えることによって形成される、上述の電気絶縁層構造及び導電層構造の積層であり得る。上述のスタックは、さらなるコンポーネントのための大きな取り付け面を提供でき、それにもかかわらず、非常に薄くコンパクトである板状のコンポーネントキャリアを提供し得る。
【0048】
一実施形態では、コンポーネントキャリア構造は板として形成される。これはコンパクトな設計に寄与し、それにもかかわらず、コンポーネントキャリアは、その上にコンポーネントを取り付けるための大きな基盤を提供する。さらに、具体的には、埋め込み型電子部品の例としてのネイキッドダイは、その薄い厚さのおかげで、プリント回路基板などの薄い板に好都合に埋め込むことができる。
【0049】
一実施形態では、コンポーネントキャリア構造は、プリント回路基板、基板(具体的にはIC基板)、及びインターポーザからなる群のうちの1つとして構成されている。
【0050】
本出願の文脈において、用語「プリント回路基板」(PCB)は、具体的には、例えば、圧力を加えることによって、及び/又は熱エネルギーを供給することによって、いくつかの導電層構造をいくつかの電気絶縁層構造と積層することによって形成される、板状のコンポーネントキャリアを意味し得る。PCB技術に好ましい材料として、導電層構造は銅でできており、一方、電気絶縁層構造は、樹脂及び/又はガラス繊維、いわゆる、プリプレグ又はFR4材料を有し得る。様々な導電層構造は、積層体を貫通する貫通孔を形成することによって、例えば、レーザ穿孔又は機械的穿孔によって、及び、それらを導電性材料(具体的には、銅)で充填し、それによって、ビア又は他の貫通孔接続を形成することによって、所望の方法で互いに接続され得る。(例えば、部分的に)充填された孔は、スタック全体(いくつかの層又はスタック全体を通って延びる貫通孔接続)を接続し得るか、又は充填された孔は、ビアと呼ばれる少なくとも2つの導電層を接続し得る。同様に、電気光学回路基板(Electro-Optical Circuit Board:EOCB)を受容するために、スタックの個別の層を通して光相互接続を形成できる。プリント回路基板に埋め込み得る1つ又は複数のコンポーネントは別にして、プリント回路基板は通常、板状のプリント回路基板の対向面の一方又は両方に1つ又は複数のコンポーネントを収容するように構成されている。それらは、はんだ付けによってそれぞれの主表面に接続し得る。PCBの誘電体部分は、強化繊維(ガラス繊維など)又は他の強化粒子(強化球、具体的にはガラス球など)を含む樹脂で構成され得る。
【0051】
本出願の文脈において、用語「基板」は、具体的には、小さなコンポーネントキャリアを意味し得る。基板は、PCBに関して、1つ又は複数のコンポーネントを取り付け得、1つ又は複数の小片及び別のPCBの間の接続媒体として機能し得る比較的小さなコンポーネントキャリアであり得る。例えば、基板は、(例えば、チップスケールパッケージ(Chip Scale Package:CSP)の場合)その上に取り付けられるコンポーネント(具体的には電子部品)と実質的に同じサイズを有し得る。より具体的には、基板は、電気的接続又は電気ネットワークのためのキャリア、及びプリント回路基板(PCB)に匹敵するコンポーネントキャリアとして理解され得るが、水平及び/又は垂直に配置された接続の密度がかなり高くなる。水平方向の接続は、例えば、導電路であり、一方、垂直方向の接続は、例えば、ドリル孔であり得る。これらの水平方向及び/又は垂直方向の接続は、基板内に配置され、具体的には、ICチップの、収納されたコンポーネント又は収納されていないコンポーネント(ベアダイなど)と、プリント回路基板又は中間のプリント回路基板との電気的、熱的、及び/又は機械的な接続を提供するために使用できる。したがって、用語「基板」には「IC基板」も含まれる。基板の誘電体部分は、強化粒子(強化球、具体的にはガラス球など)を含む樹脂で構成され得る。
【0052】
基板又はインターポーザは、少なくともガラス、シリコン(Si)、及び/又はエポキシベースのビルドアップ材料(エポキシベースのビルドアップフィルムなど)のようなフォトイメージャブル又はドライエッチング可能な有機材料、又はポリイミド又はポリベンゾオキサゾールのような高分子化合物(光分子及び/又は感熱分子を含み得るか、又は含み得ない)の層を有し得るか、又はそれらからなり得る。
【0053】
一実施形態では、少なくとも1つの電気絶縁層構造は、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリフェニレン誘導体(例えば、ポリフェニルエーテル PPEに基づく)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、液晶高分子(Liquid Crystal Polymer:LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び/又はそれらの組み合わせなどの樹脂又は高分子からなる群の少なくとも1つを有する。複合材を形成するために、例えばガラス(多層ガラス)で作られた、ウェブ、繊維、球体又は他の種類の充填剤粒子などの強化構造も同様に使用できる。補強剤と組み合わせた半硬化樹脂、例えば、上述の樹脂を含浸させた繊維は、プリプレグと呼ばれる。これらのプリプレグは、多くの場合、その特性、例えば、その難燃性を説明する、FR4又はFR5にちなんで命名される。プリプレグ、特に、FR4が通常、硬質PCBに好ましいが、他の材料、具体的には、エポキシベースのビルドアップ材料(ビルドアップフィルムなど)又はフォトイメージャブルな誘電体材料も使用し得る。高周波用途では、ポリテトラフルオロエチレン、液晶高分子、及び/又はシアン酸エステル樹脂などの高周波材料が好ましい場合がある。これらの高分子の他に、低温同時焼成セラミック(Low Temperature Cofired Ceramics:LTCC)又は他の低DK材料、超低DK材料、又は極低DK材料(「DK」は誘電率の実数部を指し得る)を電気絶縁構造としてコンポーネントキャリアに塗布し得る。
【0054】
一実施形態では、少なくとも1つの導電層構造は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、パラジウム、及びタングステンからなる群のうちの少なくとも1つを有する。通常は銅が好ましいが、他の材料又はそのコーティングされたバージョン、具体的には、グラフェンなどの超伝導材料でコーティングされたバージョンも可能である。
【0055】
スタックに埋め込むことができる少なくとも1つのコンポーネントは、非導電性インレイ、導電性インレイ(好ましくは銅又はアルミニウムを含む、金属インレイなど)、熱伝達ユニット(例えば、ヒートパイプ)、導光要素(例えば、光導波路又は光導体接続)、電子部品、又はそれらの組み合わせからなる群から選択できる。インレイは、例えば、絶縁材料コーティング(IMS-インレイ)の有無にかかわらず、金属ブロックであり得、熱放散を促進する目的で、埋め込まれ得るか表面実装され得る。適切な材料は、少なくとも2W/mKであるべき、それらの熱伝導率に従って定義される。そのような材料は、多くの場合、限定されないが、例えば、銅、酸化アルミニウム(Al)、又は窒化アルミニウム(AlN)のような、金属、金属酸化物、及び/又はセラミックをベースとしている。熱交換容量を増やすために、表面積を増やした他の形状もたびたび使用される。さらに、コンポーネントは、能動電子部品(少なくとも1つのpn接合が実装されている)、抵抗器、インダクタンス、又はコンデンサなどの受動電子部品、電子チップ、ストレージデバイス(例えば、DRAM又は別のデータメモリ)、フィルタ、集積回路(フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array:FPGA)、プログラマブルアレイロジック(Programmable Array Logic:PAL)、ジェネリックアレイロジック(Generic Array Logic:GAL)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(Complex Programmable Logic Devices:CPLD)など)、信号処理コンポーネント、電源管理コンポーネント(電界効果トランジスタ(Field-Effect Transistor:FET)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:MOSFET)、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor:CMOS)、接合型電界効果トランジスタ(Junction Field-Effect Transistor:JFET)、又は絶縁ゲート電界効果トランジスタ(Insulated-Gate Field-Effect Transistor:IGFET)、炭化ケイ素(Silicon Carbide:SiC)、ヒ化ガリウム(Gallium Arsenide:GaAs)、窒化ガリウム(Gallium Nitride:GaN)、酸化ガリウム(Gallium Oxide:Ga)、ヒ化インジウムガリウム(Indium Gallium Arsenide:InGaAs)、及び/又は任意の他の適切な無機化合物などの半導体材料に基づくすべて、など)、光電子インターフェース素子、発光ダイオード、フォトカプラ、電圧コンバータ(例えば、DC/DCコンバータ又はAC/DCコンバータ)、暗号コンポーネント、送信機及び/又は受信機、電気機械変換器、センサ、アクチュエータ、微小電気機械システム(Microelectromechanical System:MEMS)、マイクロプロセッサ、コンデンサ、抵抗器、インダクタンス、バッテリ、スイッチ、カメラ、アンテナ、ロジックチップ、及びエネルギーハーベスティングユニットであり得る。しかし、他のコンポーネントをコンポーネントキャリアに埋め込み得る。例えば、磁性素子コンポーネントとして使用できる。そのような磁性素子は、永久磁性素子(強磁性素子、反強磁性素子、マルチフェロイック素子、又はフェリ磁性素子、例えば、フェライトコアなど)であり得るか、又は常磁性素子であり得る。しかし、コンポーネントはまた、IC基板、インターポーザ、又は、例えば、ボードインボード構成のさらなるコンポーネントキャリアであり得る。コンポーネントは、コンポーネントキャリアに表面実装され得、及び/又はその内部に埋め込まれ得る。さらに、他のコンポーネント、具体的には、電磁放射を生成及び放出する、及び/又は環境から伝播する電磁放射に対して敏感なものも、コンポーネントとして使用され得る。
【0056】
一実施形態では、コンポーネントキャリアは積層型のコンポーネントキャリアである。そのような実施形態では、コンポーネントキャリアは、押圧力及び/又は熱を加えることによって積み重ねられ相互接続される多層構造の複合物である。
【0057】
コンポーネントキャリアの内部層構造を加工した後、処理された層構造の一方又は両方の対向する主表面を、1つ又は複数のさらなる電気絶縁層構造及び/又は導電層構造で対称的又は非対称的に(具体的には積層によって)覆うことが可能である。換言すれば、所望の層数が得られるまで積層を継続し得る。
【0058】
電気絶縁層構造及び導電層構造のスタックの形成が完了した後、得られた層構造又はコンポーネントキャリアの表面処理を進めることが可能である。
【0059】
具体的には、電気絶縁ソルダーレジストは、表面処理に関して層スタック又はコンポーネントキャリアの一方又は両方の対向する主表面に塗布され得る。例えば、主表面全体にソルダーレジストなどを形成し、続いてソルダーレジストの層をパターン化して、コンポーネントキャリアを電子周辺機器に電気的に結合するために使用されるべき1つ又は複数の導電性表面部分を露出させることが可能である。ソルダーレジストで覆われたままのコンポーネントキャリアの表面部分、特に銅を含有する表面部分は、酸化又は腐食から効果的に保護され得る。
【0060】
表面処理に関して、コンポーネントキャリアの露出した導電性表面部分に選択的に表面仕上げを適用することも可能である。そのような表面仕上げは、コンポーネントキャリアの表面上の露出した導電層構造(パッド、導電トラックなどのような、特に銅を含む又は銅からなる)上の導電性カバー材料であり得る。そのような露出した導電層構造が保護されないままである場合、露出した導電性のコンポーネントキャリア材料(特に銅)が酸化し、コンポーネントキャリアの信頼性を低下させる可能性がある。次いで、表面仕上げは、例えば、表面実装コンポーネント及びコンポーネントキャリアの間の界面として形成され得る。表面仕上げは、露出した導電層構造(特に銅回路)を保護し、例えば、はんだ付けによって、1つ又は複数のコンポーネントとの接合工程を可能にする機能を有する。表面仕上げのための適切な材料の例は、有機はんだ付け性保存剤(Organic Solderability Preservative:OSP)、無電解ニッケル浸漬金(Electroless Nickel Immersion Gold:ENIG)、金(特に硬質金)、化学スズ、ニッケル金、ニッケルパラジウム、無電解ニッケル浸漬パラジウム浸漬金(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold:ENIPIG)などである。
【0061】
上で定義した態様及び本発明のさらなる態様は、以下に記載される実施形態の例から明らかであり、これらの実施形態の例を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の例示的な実施形態による、コンポーネントキャリア構造の品質試験を実行する方法のフローチャートを示す。
【0063】
図2】本発明の例示的な実施形態による、コンポーネントキャリア構造の品質試験を実行するための装置を概略的に示す。
【0064】
図3】本発明の例示的な実施形態による、コンポーネントキャリア構造の品質試験を実行するための装置の詳細を示す。
【0065】
図4】本発明の例示的な実施形態による、完全に自動化された品質試験装置のためのクーポンの平面図を示す。
【0066】
図5】本発明の例示的な実施形態による、一体的に接続された複数のクーポンセクションを有するクーポンを示す。
【0067】
図6】本発明の例示的な実施形態による、クーポンの試験対象を示す。
【0068】
図7】本発明の別の例示的な実施形態による、クーポンを示す。
【0069】
図8】本発明の他の例示的な実施形態による、クーポンのハンドリング領域の代替的な配置を示す。
図9】本発明の他の例示的な実施形態による、クーポンのハンドリング領域の代替的な配置を示す。
図10】本発明の他の例示的な実施形態による、クーポンのハンドリング領域の代替的な配置を示す。
図11】本発明の他の例示的な実施形態による、クーポンのハンドリング領域の代替的な配置を示す。
【0070】
図面内の図は概略図である。異なる図面では、類似又は同一の要素には同じ参照符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図面を参照する前に、例示的な実施形態をさらに詳細に説明し、本発明の例示的な実施形態が開発されたことに基づいて、いくつかの基本的な考慮事項を要約する。
【0072】
本発明の例示的な実施形態によれば、コンポーネントキャリアの品質試験を実行するための完全に自動化された品質試験装置と協働するように構成されたクーポンが提供される。具体的には、割り当てられたコンポーネントキャリアに関する品質試験を実行するためのクーポンベースの自動化された試験システムは、特に、IPC-2221B(バージョン:2012年11月)の第12.1章による適合試験クーポンに準拠し得るコンポーネントキャリア構造の高速かつ高精度の検査を可能にできる。
【0073】
コンポーネントキャリア(PCBなど)の製造中に、製作されているコンポーネントキャリアの品質を評価することは有利であり得る。多数のコンポーネントキャリアを共通のパネル上に製作し得る。割り当てられた試験クーポンは、パネル上の、例えば、コンポーネントキャリアを取り囲むセクションに構築し得る。そのようなクーポンは、例えば、メッキ、エッチング、及び積層などの観点から、実際のコンポーネントキャリアの状態を表すように設計し得る。製造されたコンポーネントキャリアの品質に関する結論を得ることを可能にするために、関連試験クーポンは、元のコンポーネントキャリアと同じ又は非常に類似した仕様(具体的には、トレース幅、銅の重量、ビア構造などに関係するもの)を有するように設計され、製造欠陥、材料欠陥、又はその他の品質欠陥を識別するために試験され得る。試験クーポンで識別された品質欠陥は、同じパネル上の関連コンポーネントキャリアが同じ又は対応する問題を有し得るという情報を提供し得る。例えば、品質試験中に評価される少なくとも1つの試験対象の欠陥は、許容値の範囲外のドリル孔の直径、許容値の範囲外の隣接するドリル孔間の距離、許容値の範囲外の導電層構造の導電性トレースの幅、許容値の範囲外の導電層構造の隣接する導電性トレース間の距離、許容値の範囲外の層構造の厚さ、層構造の非平面性、層構造の層間剥離、及びプリント回路基板タイプのコンポーネントキャリア構造の特徴の予め定められた仕様からの任意のずれからなる群のうちの少なくとも1つを有する。例えば、欠陥を評価するために、IPC-6012D(バージョン:2015年9月)の「3.6構造的完全性」の章に記載されている基準の1つ又は複数が考慮され得る。
【0074】
上述の機能に加えて、本発明の例示的な実施形態によるクーポンは、完全に自動化された品質試験の要件に適合するように特別に構成され得る。自動化された品質試験装置のロボットハンドリングユニットによってクーポンを取り扱うための専用ハンドリング領域が、実際の品質試験に使用される試験対象のないクーポンの表面上に設けられ得る。それによって、品質試験はハンドリングの影響を受けることなく、ハンドリングと同時に実行することもできる。したがって、本発明の例示的な実施形態によるコンポーネントは、自動化されたロボットハンドリング用に適切に調整され得る。
【0075】
本発明の例示的な実施形態によるクーポンデザインは動的であり、IPC(プリント回路協会)の設計要件(IPC-2221)に準拠している。動的設計により、クーポンは実際の部品設計に適切に対応する。具体的には、本発明の例示的な実施形態は、自動化された断面準備に適合したモジュール式試験クーポンを提供する。そのようなクーポンには、自動化のための機械読み取り可能な機能が装備され得る。具体的には、そのような機能には、ロボットハンドリングユニットによってクーポンを取り扱うためのハンドリング領域が含まれる。さらに、クーポンには、ハンドリングユニットによるクーポンの取り扱い及び正確な位置決めをさらに簡素化する1つ又は複数の工具孔を設け得る。さらに、クーポンの1つ又は複数の位置合わせ孔により、自動化された装置の部材に対するクーポンの自動位置合わせが可能になり得る。上記部材は、例えば、クーポンから材料を除去するための材料除去ユニットの研削工具、クーポンの露出面を研磨するための研磨ユニットの研磨体、上記露出面を検出するための検出ユニットのカメラ、などであり得る。したがって、クーポンには、クーポンの位置合わせ及び位置決めのための機能が提供され得る。さらに、クーポンには、例えば、トレーサビリティの目的で、クーポンを識別するための識別子(QRコードなど)が装備され得る。したがって、クーポンには、トレーサビリティ(例えば、工程情報、工程パラメータ、順序情報、シリアル化)及び1つ又は複数のデータベースへの接続のための機械読み取り可能な機能が提供され得る。
【0076】
有利には、本発明の例示的な実施形態によるクーポンは、より小さいフットプリントを可能にし得るモジュール化を提供し得る。一実施形態では、クーポンのモジュール化とは、クーポンが機能的に自律した複数のクーポンセクションに分割されるように準備されていることを意味し得、ここで、各クーポンセクションは、例えば、手動でクーポンセクションをクーポンの残りの部分から切り離すことによって、クーポンの残りの部分から分離され得る。そのようなモジュール化により、必要な1つ又は複数のクーポンモジュールを分離するだけでよく、それぞれのクーポンセクションに余分な構造を設ける必要がない。したがって、自動化された断面準備のためのモジュール化されたクーポンデザインが提供され得る。これにより、パネルの利用率を向上させることも可能にし得、その結果、リソースをより効率的に使用し得る。したがって、パネルの利用率が向上することによる節約が得られ得る。
【0077】
例えば、グリップ領域又はハンドリング領域に、又はその近くに、中心孔を認識するための特徴を設け得る。
【0078】
自動化された使用に適合しているにもかかわらず、本発明の例示的な実施形態によるクーポンは、やはりIPCに準拠し得る。具体的には、本発明の例示的な実施形態によるクーポンは、IPC-2221B(バージョン:2012年11月)の第12.1章による適合試験クーポンに準拠し得る。
【0079】
本発明の例示的な実施形態によるクーポンは、具体的には、実験室検査に対して改善された能力を提供し得る。自動化レベル、反復性、スループットの向上という観点から利点が達成され得る。具体的には、IPCクラス2及び3の製品の高速及び高精度の検査が可能となり得る。これは、PCBの特性を評価するための試験クーポンの特定の設計によって実現され得る。自動化された工程を可能にするために、クーポンデザインは、モジュール化、ハンドリング、位置合わせ、コード、トレーサビリティの機能の1つ、複数、又はすべてを有し得る。具体的には、本発明の例示的な実施形態によるクーポンは、モジュール性、ハンドリング及び自動化機能、位置合わせ及び位置決めのための機能を組み合わせ得、自動化された品質試験装置によって機械読み取り可能にし得る。
【0080】
自動化された断面準備に適合した本発明の例示的な実施形態によるモジュール式試験クーポンは、処理時間を短縮し、スループット、反復性及び精度も向上させながら、パネル上の分布及びパネルの利用率を改善するように設計され得る。クーポンは、自動ハンドリング及び処理システム用に設計され得る。したがって、クーポンは、自動化工程と互換性を持たせるために(例えば、ハンドリング、可読性などの観点から)特に適合させ得る。さらに、対象準備に関しては、自動化のための参照機能を提供することは有利であり得る。そのような手段を取ることにより、設計に関する1つ又は複数の工業規格の規則に準拠することが可能になり得ると同時に、クーポンにモジュール式の特性が確実に提供されるようになる。したがって、外部標準を満たし、それにもかかわらず、機械による完全自動化に適合した試験クーポンを提供し得る。
【0081】
コンポーネントキャリア構造の断面切り出しに影響を与える変数(以下の個別の変数のより詳細な議論を参照)の例は、材料除去のために使用される研削体、位置合わせ(例えば、ハンドリングアームの利用)、研削及び/又は研磨中に加えられる圧力、研削及び/又は研磨中の回転速度、具体的には、コンポーネントキャリア構造からの材料除去の制御(より具体的には、材料除去の進行制御)、キャリーオーバーを回避するための(コンポーネントキャリア構造及び/又は研削体の)洗浄、加熱又は冷却、及び熱的及び機械的負荷である。
【0082】
研削に関して、調整可能なパラメータは、粒径、接触圧力、及び研磨媒体の回転速度である。粒子も、研削盤のために調整することができる。コンポーネントキャリア構造の断面表面の研磨は、ダイヤモンドサスペンションを使用して実行され得る(回転は、同期又は相互回転し得る)。任意選択で、コンポーネントキャリア構造の浸漬及び/又は充填が、銅の孔の汚れを防ぐために可能であり得る。
【0083】
材料除去のために使用される研削体に関しては、コンポーネントキャリア構造の積層を無傷に保つために、材料除去工程が過度の高温を発生させないことが有利であり得る。好ましくは、材料除去工程は、コンポーネントキャリア材料の樹脂材料のガラス転移温度Tgよりかなり低い温度(例えば、摂氏目盛又はケルビン目盛でTgより少なくとも10%低い)で実行され得る。例えば、冷却及び/又は洗浄媒体として水を使用できる。
【0084】
コンポーネントキャリア構造の材料を除去するために、研削が好ましい場合がある。しかし、材料除去は、(例えば、ワイヤ)切断、ワイヤ浸食、プラズマ処理、レーザ処理、サンドブラスト、ウォータジェット、フライス加工、ソーイング、ゲート剪断による処理、イオンビーム処理及び/又はパンチングによっても達成され得る。
【0085】
好ましくは、粒径は(具体的には材料除去の最後に)その後の研磨を補助するのに十分なほど微細であり得る。粒径は、使用する研磨用懸濁液に応じて選択され得る。例えば、3μmの粒子は、ある程度の研削にのみ適用可能であり得る。
【0086】
コンポーネントキャリア構造の研削及び/又は研磨された表面の平面性のばらつきを抑制するために、過度の高温及び低温を回避することが有利であり得る。さらに、熱的及び機械的負荷を低く抑えるべきである。
【0087】
ハンドリングユニットのハンドリングアームを設計する場合、コンポーネントキャリア構造の滑り及び/又は回転をできるだけ低く抑えるべきである。この有利な境界条件は、最大回転速度の選択に影響を及ぼし得る。
【0088】
次に、研削工程の実施形態について説明する。有利には、反復研削制御工程を実行し得る。研削ディスク(又はプレート)は、水平又は垂直に配置し得るか、又は、必要又は所望であれば(研削の実施されるタイプを考慮して)特別な角度で配置し得る。
【0089】
材料除去の進行の制御に関しては、研削進行を監視するためにカメラを使用し得る。例えば、そのようなカメラは、研削体の上及び/又は中に配置され得る。これは、コンポーネントキャリア構造の処理された表面の平面性及び/又は位置合わせを促進し得る。進行制御は、電気測定によって、例えば、電気信号の変化によって検出され得る、特定の材料除去の進行状態で部分的に又は完全に除去される銅構造に接触させることによって、達成することもできる。さらに、あるいは、進行制御は、材料除去工程の予め定められた進行が達成されるときに研削体が当接する、1つ又は複数の機械的停止部(例えば、十分に硬い表面、好ましくはダイヤモンド表面を有する)に基づき得る。研削体に対する抵抗測定も、進行制御に使用され得る。他の実施形態では、漸進的供給が進行制御に関して測定され得る。例えば、貫通孔を参照すると、そのような孔が開いた瞬間に、著しい圧力降下が生じ得る。マイクロビアに到達すると、圧力への影響が逆になり得、すなわち、圧力の増加、又は抵抗の増加が検出され得る。より柔らかい樹脂材料ではなく、金属製のビア材料を研削すると、圧力が高くなり得る。電気信号がマイクロビアで測定され、マイクロビアの導電性材料が除去されると、電気抵抗が増加し得、これも検出可能であり得る。進行制御のさらに別の実施形態では、例えば、目標達成時の水の変色を検出し得る。(例えば、研削中に除去された犠牲構造の)抵抗測定も、進行制御のために使用され得る。進行制御に関するさらに別の実施形態では、音検出、トライボメータベースの検出、研削ディスクを押すピン(任意選択で光バリアと組み合わせる)などを使用できる。ドリル孔の中心が検出されると、研削が停止し得る。
【0090】
好ましくは、進行は、試験対象で、又はその近くで測定できる。さらに、研削工程の進行制御を参照すると、急停止が可能であり得る。しかし、反復研削工程も可能である。
【0091】
一実施形態では、研削体及びコンポーネントキャリア構造の間の接触圧力を測定し得る。例えば、これは、圧力調整器(例えば、力に応じて調整する)によって自動化された方法で達成され得る。材料除去中、圧力は一定のままにし得るか、又は変化させ得る。研削体の数が少ないほど、時間、圧力、回転のバランスが保たれ得る。スループット、品質目標、試料の厚さに応じて、可変圧力を印加することも可能であり得る。最大圧力は、特にドリル孔などの試験対象において、又はその周囲でコンポーネントキャリア構造の損傷が発生しないように調整し得る。具体的には、接触圧力は、コンポーネントキャリアをどのように研削すべきか(例えば、層に沿って研削する、層に対して研削するなど)に応じて選択できる。切断準備は、コンポーネントキャリア構造の品質問題を増大も減少もさせないことに注意すべきである。
【0092】
回転速度及びタイプに関しては、予め定められた最大値を下回る範囲でのみ熱を生成することが有利であり得る。回転方向は、同期し得るか、又は逆であり得る。(クランプデバイス、ハンドリングフィクスチャ、ヘキサポッドなどのような)把持デバイス又はハンドリングデバイスは、急速に振動させられ得る。
【0093】
回転に関して調整できるパラメータは、回転時間、接触圧力、回転のタイプ、コンポーネントキャリア構造の材料、粒子などである。
【0094】
自動化された方法で品質試験を実行するための処理中のコンポーネントキャリア構造の位置合わせ又は方向に関して、カメラはコンポーネントキャリア構造試料が第1の研削の前に正しく位置決めされているかどうかを判定し得る。必要に応じて、コンポーネントキャリア構造の位置は、適切な位置合わせを保証するために補正され得る(例えば、好ましくは銅メッキされていない外部基準孔との比較に基づく;そのような基準孔は、例えば、写真工程で穿孔又はエッチングされ得る)。あるいは、機械的な位置合わせ工程(例えば、位置合わせピンを使用)を実行し得る。
【0095】
位置合わせの目的は、対象平面及び研削媒体が平行に配向されることであり得る。これは、媒体、研削体に相応に影響を与え、関与するコンポーネントの1つ又は、さらにすべてを回転させることなどによって達成され得る。
【0096】
位置合わせをさらに参照すると、カメラ画像は参照点及び表示される対象点を撮像し得る。そのようなデータは、対象平面を(ソフトウェアにサポートされて、機械的に、など)定義し得、対象平面を研削媒体に平行にし得る。位置合わせ制御のさらなる過程では、制限要因は、システム全体の機械的安定性に対応する位置合わせが維持されるように、ヘキサポッド/研削速度/最大力の組み合わせであり得る。
【0097】
ここで、コンポーネントキャリア構造の洗浄を参照すると、一実施形態は、研削中にコンポーネントキャリア構造を洗浄し得る。反復手法では、新しい各研削段階(例えば、粗研削に続く微研削)の前に、洗浄段階があり得る。洗浄により、粒子のキャリーオーバーが発生しないことが保証され得る。例えば、粒子は、洗浄に関して、吹き飛ばされる、吸引される、蒸発させる、燃焼させる、剥ぎ取られる、ブラッシングされる、すすがれる、などであり得る。例えば、研削工程中に連続洗浄を実行し得る。吸引、すすぎ(好ましくは、浴又は流し)、剥ぎ取り、吹き飛ばし、超音波浴(振り落とし)又は他の洗浄ユニットを実施し得る。有利には、非常に小さな傷は洗浄によってすすがれ得る。洗浄後、残りの粒子は、最大でも次の工程で研削に使用される粒径と同じサイズか、それよりも小さいサイズであることが有利であり得る。
【0098】
クーポンデザインに関しては、それは、標準化され得るか、標準からはずれ得る。任意のずれは、ユーザと調整され得る。例えば、クーポンタイプのコンポーネントキャリア構造には、1つ又は複数の位置合わせ孔、摩耗センサなどが設けられ得る。
【0099】
コンポーネントキャリア構造の品質評価に関する品質基準又は特性の例は、鋭いエッジ(好ましくは90°)、ゼロに近い半径、平面性、予め定められた閾値を下回る許容誤差である(例えば、10%又は好ましくは10%未満、7%以下の許容誤差を有する)。コンポーネントキャリア構造のさらなる品質特徴は、100倍の倍率で画像に傷がないことが望ましいことである。さらに、コンポーネントキャリア構造は、間隙(具体的には、試料及び包埋剤の間、より具体的には、導電層及び包埋剤の間、特に、銅及び包埋剤の間)があってはならない。樹脂は包埋時に収縮し得る(速硬化性包埋剤は体積損失が大きく、遅硬化性包埋剤は体積損失がほとんどない)が、収縮が過度であってはならない。
【0100】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、コンポーネントキャリア構造102の品質試験を実行する方法のフローチャート170を示す。図1の説明に使用される参照符号は、図2又は図3の実施形態を指す。好ましくは、上述のコンポーネントキャリア構造102は、パネルの一部を形成するクーポンであり、コンポーネントキャリア(プリント回路基板(PCB)又は集積回路(IC)基板など)を試験するために使用され得る。しかし、コンポーネントキャリア構造102は、代替的に、コンポーネントキャリアの複数の接続されたプリフォームを有するパネル又はアレイ(1/4パネルなど)、又はコンポーネントキャリアのプリフォーム又は容易に製造されるコンポーネントキャリアであり得る。
【0101】
有利には、フローチャート170の方法は、自動化された装置100によるコンポーネントキャリア構造102の品質試験の実行に対応し得る。好ましくは、方法は、上記装置100の入口106(入力172に論理的に対応)及び出口108(出力190に論理的に対応)の間で人間の介入なしに品質試験を実行することを備え得る。換言すれば、装置100の入口106は方法の入力172に対応し、一方、装置100の出口108は方法の出力190に対応する。より具体的には、断面の準備及び目視検査並びにコンポーネントキャリア構造102の測定のための自動化された工程が提供される。好ましくは、手作業が発生せず、工程全体が自動化され得る。この目的のために、試験クーポンタイプのコンポーネントキャリア構造102は、自動化された取り扱い及び機械読み取り可能シリアル化のために構成され得る。
【0102】
参照符号172で示すように、コンポーネントキャリア構造102は、装置100に入れられ得る。
【0103】
ブロック174を参照すると、クーポンをコンポーネントキャリア構造102として装置100に挿入され得、これにより、ロボット120によって完全に自動的に取り扱われ得る。より具体的には、クーポンは、例えば、IPC-2221に従って構築又は設計され得るコンポーネントキャリア構造102であり得る。コンポーネントキャリア構造102は、トレーサビリティ情報を装置100に提供し得る。この目的のために、装置100を使用して実行し得る方法は、品質試験を受けるべきコンポーネントキャリア構造102を自動的に識別する段階を備え得る。例えば、クーポンタイプのコンポーネントキャリア構造102をリストに登録することが可能であり得る。複数のクーポンは並び替えられ得る。トレーサビリティの目的のために、ロット番号、パネル番号、アレイ番号、x/y情報、断面番号、レポート番号、要求識別子などのような情報を、それぞれのコンポーネントキャリア構造102に割り当てられたデータセットに割り当てることが可能であり得る。例えば、そのようなデータセットは、データベース128に記憶され得る。
【0104】
ブロック176を参照すると、パネルなどの残りの部分と依然として一体的に接続され得るコンポーネントキャリア構造102は、例えば、パネルなどのより大きな本体160からコンポーネントキャリア構造102をフライス加工又は切断することによって、単一化又は分離され得る。この目的のために、より大きな本体160内のコンポーネントキャリア構造102の定義された位置を探索し、それを切り出すことが可能であり得る。結果として、分離されたコンポーネントキャリア構造102の形態の試験試料が取得され得る。例えば、コンポーネントキャリア構造102の切り出しは、最小のメッキ貫通孔に従って、又はユーザ定義に対応して達成され得る。
【0105】
ブロック178を参照すると、次いで、コンポーネントキャリア構造102は、例えば、はんだフロート試験を実行することによって、熱応力を受け得る。例えば、コンポーネントキャリア構造102は、コンポーネントキャリア構造102に熱応力を受けさせるために溶融はんだに浸漬され得る。はんだフロート試験の代替として、代替の熱応力法、例えば、リフローシミュレーションを実行することも可能であり得る。
【0106】
ブロック180を参照すると、コンポーネントキャリア構造102は、取り扱いを簡素化するため、及び/又は後続の品質試験中の応力を緩衝するために、カプセル化工程を受けてもよいし、受けなくてもよい。コンポーネントキャリア構造の従来の手動品質試験では、品質を評価する前にカプセル化が必要になり得るが、そのような埋め込みは、コンポーネントキャリア構造102の完全自動品質試験を含む本発明の例示的な実施形態に従って省略され得る。任意選択で実行される場合、カプセル化工程は、さらなる準備のために、コンポーネントキャリア構造102を、樹脂などの埋め込み材料に入れ得る。しかし、本発明の例示的な実施形態による自動化された取り扱いは、そのようなカプセル化なしでも達成され得るので、他の実施形態では、そのような埋め込みを有利にスキップし得る(参照符号192で示すように)。
【0107】
ブロック182を参照すると、次いで、品質試験を受けさせるコンポーネントキャリア構造102の内部を露出させるために、コンポーネントキャリア構造102の材料を除去することが可能であり得る。より具体的には、コンポーネントキャリア構造102の検鏡試片(具体的には断面)を作成し得る。この目的のために、コンポーネントキャリア構造102を研削し、続いて定義された位置まで(好ましくはビア又はドリル孔又はパターンの中心まで)研磨し得る。例えば、研磨紙処理及び研磨の異なる段階を実行し得る。研削には、例えば、異なる粒子(例えば、次の粒子の1つ又は複数を使用する:60、180、1200、2000)を有する研磨紙を使用することが可能であり得る。
【0108】
ブロック184を参照すると、次いで、方法は、上記材料除去後にコンポーネントキャリア構造102の1つ又は複数の予め定められた試験対象116(メッキされたビア及びそれらの特性など)を決定する段階を備え得る。さらに、方法は、コンポーネントキャリア構造102の品質を評価するために、コンポーネントキャリア構造102の1つ又は複数の試験対象116の特性又は属性を評価する段階を備え得る。ブロック180をスキップするとき、方法は、カプセル化されていないコンポーネントキャリア構造102に基づいて、そうでなければ、カプセル化されたコンポーネントキャリア構造102に基づいて、少なくとも1つの予め定められた試験対象116を決定する段階を備え得る。具体的には、コンポーネントキャリア構造102の断面の視覚的分析は、好ましくは自動化された方法で実行し得る。例えば、x/y寸法測定を実行し得る(例えば、ビルドアップ、銅の厚さなどを検査する)。特に、目視検査は、特定の欠陥の分析を含み得る。上記検査中に、以下の試験対象116及び割り当てられた特性のうちの1つ又は複数を考慮し得る。多層ビルドアップ;メッキ貫通孔特性(壁の特性、ランドの特性のような);表面粗さ(例えば、表面粗さは、Ra目盛に対応して、及び/又はRz目盛に対応して決定され得る)の品質。粗さに関して、粗さ値Rzは、コンポーネントキャリア構造102の露出面(具体的には断面)における擦り傷の存在に対する基準として使用され得、一方、粗さ値Raは、材料除去工程(具体的には研削工程)の品質の基準として使用され得る。例えば、品質基準は、研削及び/又は研磨によって露出されたコンポーネントキャリア構造102の表面の粗さが、前の材料除去段階で使用された研削ディスク及び/又は研磨ペーストの粗さよりも大きくてはならないことであり得る。この基準が満たされない場合、初期の材料除去段階でアーティファクトが導入されたと結論付け得る。例えば、少なくとも1μmの測定分解能を取得し得る。例えば、IPC-6012、IPC-A-600などに準拠した品質試験を実行し得る。
【0109】
ブロック186を参照すると、方法は、予め定められた特性を有するレポートを作成及び記憶する段階を備え得る。レポートは、品質試験及びその結論を要約し得る。これにより、品質試験の適切な文書化が保証され得る。
【0110】
ブロック188を参照すると、方法は、次いで、分析されたコンポーネントキャリア構造102及び品質試験をアーカイブする段階を備え得る。具体的には、これには、試料の保管、電子文書の保管などが含まれ得る。
【0111】
参照符号190で示すように、コンポーネントキャリア構造102は、次いで、装置100から出力され得る。
【0112】
図2は、本発明の例示的な実施形態による、ここではクーポンとして具現化されたコンポーネントキャリア構造102の品質試験を実行するための装置100を概略的に示す。装置100の周囲ケーシング131によって示すように、全品質試験はクローズドセル内で自動化された方法で実行され得る。
【0113】
図2の左上側には、バッチ手順で複数のコンポーネントキャリア(プリント回路基板など)を製造するためのパネルであり得る、平面シート状本体160の平面図が示されている。図示のパネルは、例えば、18×24平方インチ(45.72×60.96平方センチメートル)以上の寸法を有し得る。パネルの中央の主要領域は、それぞれが複数のPCBを含む複数のアレイ161(図示の実施形態では4つの1/4パネル)に細分され得る。コンポーネントキャリアを取り囲むフレーム163において、1つ又は複数の帯状の試験クーポンが、コンポーネントキャリア構造102として形成され得る。有利には、少なくとも1つの水平に延びるコンポーネントキャリア構造102及び少なくとも1つの垂直に延びるコンポーネントキャリア構造102は、2つの直角に交わる方向における潜在的な構造的欠陥を識別する品質試験を実行することを可能にするために予見され得る。
【0114】
ここで装置100をさらに詳細に参照すると、入口収容ユニット136が上記装置100の入口106に配置され、試験前に複数のコンポーネントキャリア構造102を積み重ねて収容するように構成されている。したがって、クーポンタイプのコンポーネントキャリア構造102は、パネルタイプの本体160から分離された後、入口収容ユニット136に挿入され得る。あるいは、マガジンタイプの入口収容ユニット136内に、それぞれが少なくとも1つのコンポーネントキャリア構造体102を含む、より大きな本体160を積み重ねることが可能である。
【0115】
ロボットハンドリングユニット104は、装置100の入口106及び出口108の間の様々な部分に沿って、コンポーネントキャリア構造102(任意選択で、依然として本体160内に接続される)を取り扱うように構成されている。具体的には、ハンドリングユニット104は、試験されるコンポーネントキャリア構造102(又は本体160全体)を把持し、入口収容ユニット136から入口106を通して、以下に説明する識別ユニット110に移送するように構成されている。より具体的には、ハンドリングユニット104は、入口106及び以下に説明する材料除去ユニット112の間でコンポーネントキャリア構造102を取り扱うように構成された入口ハンドリングサブユニット122を有する。有利には、ハンドリングユニット104は、1つ又は複数のヘキサポッド、1つ又は複数の線形ロボット、1つ又は複数の多関節アームロボットなどを含み得る1つ又は複数のロボット120を有する。6軸ロボット又はヘキサポッド(図2に参照符号120で概略的に示す)は、センサを装備し、完全に自動化された装置100内でコンポーネントキャリア構造102を取り扱うのに適した軸を有し得る。有利には、ヘキサポッドは、材料除去ユニット112によって実行される材料除去工程(特に研削工程)のために使用され得、したがって、ヘキサポッドは、機械的に安定であり得、同時に6軸で非常に正確に適合され得る。図3を参照すると、6軸ロボット又はヘキサポッドは、材料除去ユニット112を操作するため、及び/又は位置合わせユニット154を操作するために、断面ステーション127で使用され得る。その結果、材料除去によるコンポーネントキャリア構造102の準備は、起こり得る位置ずれに対して非常に正確かつ堅牢になり得る。さらに、入口ハンドリングサブユニット122及び/又はハンドリングユニット104の出口ハンドリングサブユニット124の線形ロボット及び/又は多関節アームロボット(図示せず)は、自動化された装置100の個別のワークステーション間でコンポーネントキャリア構造102を取り扱うために使用され得る。
【0116】
既に述べたように、ハンドリングユニット104の入口ハンドリングサブユニット122は、コンポーネントキャリア構造102を識別ユニット110に送る。後者は、品質試験を実行すべきコンポーネントキャリア構造102を識別するように構成されている。これにより、トレーサビリティが保証され得る。より具体的には、識別ユニット110は、コンポーネントキャリア構造102に物理的に接続され得るか、又はコンポーネントキャリア構造102の一体部分を形成し得る識別子126の検出に基づいて、コンポーネントキャリア構造102を識別するように構成されている。例えば、そのような識別子126は、識別ユニット110の光学リーダによって読み取ることができるQRコード、バーコード、又は英数字コードであり得る。識別子126は、RFID(無線周波数識別)タグ又はNFC(近距離通信)タグなどのトランスポンダであることも可能である。そのような実施形態では、識別ユニット110は、識別情報を検索するためにトランスポンダタイプの識別子126を無線で読み出すように構成される無線リーダを備え得る。その識別子126に基づいてコンポーネントキャリア構造102を識別するために、及び/又は識別されたコンポーネントキャリア構造102に割り当てられた追加データ(例えば、特定の品質試験指示)を取得するために、識別ユニット110は、対応するデータベース128にアクセスし得る。具体的には、識別ユニット110は、検出された識別子126を、上記データベース128内の割り当てられたデータセットに記憶された相関識別情報と照合することによって、コンポーネントキャリア構造102を識別するように構成され得る。例えば、そのようなデータセットは、識別子126から読み取り可能な識別コードを、コンポーネントキャリア構造102に関するさらなる情報、例えば、その製造履歴に関する情報(ロット番号、製造日、製造時間などのような)と相関させ得る。識別ユニット110はまた、識別されたコンポーネントキャリア構造102に対して実行される品質試験を示す品質試験関連情報を、データベース128から取得するように構成され得る。そのような品質試験関連情報は、識別されたコンポーネントキャリア構造102に対して実行されるべき品質試験を定義し得る。異なるタイプのコンポーネントキャリア構造102に対して、異なる品質試験を実行し得る。
【0117】
コンポーネントキャリア構造102が入口106を通して装置100に導入される前に、コンポーネントキャリア構造102がより大きな本体160からまだ分離されていない実施形態では、単一化ユニット148(フライス盤又はレーザカッターなど)が提供され得、パネルタイプの本体160からコンポーネントキャリア構造102を単一化するように構成され得る。例えば、単一化は、フライス加工又はレーザ切断によって達成され得る。
【0118】
その後、処理されたコンポーネントキャリア構造102は、ハンドリングユニット104によって、コンポーネントキャリア構造102を熱応力に露出させるように構成された熱応力露出ユニット150に運ばれ得る。好ましくは、熱応力露出ユニット150は、溶融はんだを含み得る、熱応力浴上にコンポーネントキャリア構造102を浮かべるように構成されている。それにより、コンポーネントキャリア構造100は熱応力を受け得る。
【0119】
次いで、コンポーネントキャリア構造102は、上述のロボットによって、又はハンドリングユニット104の別のロボット120によって、材料除去ユニット112に送られ得る。後者は、コンポーネントキャリア構造102の材料を除去して、品質試験を受けている、又は受けるコンポーネントキャリア構造102の内部を露出させるように構成されている。具体的には、材料除去ユニット112は、コンポーネントキャリア構造102の材料を研削、好ましくは、断面研削(又は代替的に平面研削)によって除去するように構成され得る。
【0120】
材料除去の精度を向上させるために、コンポーネントキャリア構造102は、例えば、その撮像された画像に基づいて、コンポーネントキャリア構造102の位置合わせマーカー(例えば、ドリル孔)を決定するように構成され得る位置合わせユニット154によって位置合わせされ得る。上記位置合わせは、材料除去ユニット112による研削の前に実行され得る。位置合わせユニット154は、材料除去ユニット112に割り当てられ、材料除去工程の前にコンポーネントキャリア構造102を位置合わせするように構成され得る。したがって、位置合わせユニット154によって実行される位置合わせは、好ましくは、材料除去ユニット112によって実行される材料除去工程の前に実行される。したがって、そのような位置合わせは、材料除去工程、具体的には、研削工程の一部を形成し得る。
【0121】
任意選択で、除去材料定量化ユニット142が提供され、研削中にコンポーネントキャリア構造102から除去された材料の量を定量化するように構成され得る。研削された材料の量を決定することによって、研削進行、したがって、研削工程の正確な制御が可能になり得る。
【0122】
研削後、コンポーネントキャリア構造102は、材料を除去した後にコンポーネントキャリア構造102の露出面を研磨するように構成された研磨ユニット140に供給され得る。コンポーネントキャリア構造102から(研削中に発生する)追加のかなりの量の材料を除去するのではなく、研磨は表面粗さを低減し得、過度の材料除去なしに表面品質を改善し得る。研磨された表面は、以下で分析される対象特徴として使用される1つ又は複数の試験対象116に関するより正確な情報を提供し得る。
【0123】
任意選択でのみ、コンポーネントキャリア構造100は、次いで(又は、あるいは、材料除去ユニット112による材料除去の前に既に)コンポーネントキャリア構造102が引き続きカプセル材146内で検出されるように、コンポーネントキャリア構造102をカプセル材146内にカプセル化するように構成されたカプセル化ユニット144に供給され得る。そのようなカプセル材146は、応力緩衝材として機能し、その後の(及び/又は前の)分析中のコンポーネントキャリア構造102の取り扱いを簡素化する樹脂であり得る。
【0124】
しかし、代わりに、完全に自動化された品質試験装置100は、カプセル化なしでコンポーネントキャリア構造102の品質試験を実行することも可能であり得るため、そのようなカプセル化を省略することも可能であり、好ましくさえあり得る。したがって、カプセル化されていないコンポーネントキャリア構造102であっても、その後の工程を受けられ得る。
【0125】
その後、(カプセル化された又はカプセル化されていない)コンポーネントキャリア構造102は、例えば、ハンドリングユニット104のさらなるロボット120によって、コンポーネントキャリア構造102を洗浄するように構成された洗浄ユニット152に送られ得る。例えば、コンポーネントキャリア構造102は、超音波浴ですすがれ得る。
【0126】
さらなる位置合わせユニット154は、コンポーネントキャリア構造102上の試験対象116を検出及び決定する前に、コンポーネントキャリア構造102を位置合わせするように構成され得る。この目的のために、コンポーネントキャリア構造102の1つ又は複数の位置合わせ特徴(例えば、角に配置された貫通孔など)を検出し、コンポーネントキャリア構造102を空間的に位置合わせするために使用され得る。
【0127】
次いで、位置合わせされたコンポーネントキャリア構造102は画像化され得る。この目的のために、検出ユニット162が提供され、コンポーネントキャリア構造102の内部(上記材料除去によって露出される間)の画像データを検出するように構成され得る。
【0128】
そのような画像データは、決定ユニット114に送信され得る。後者は、コンポーネントキャリア構造102の1つ又は複数の予め定められた試験対象116を決定するために構成され得る。試験対象116は、コンポーネントキャリア構造102の画像化された断面で可視の予め定められた特徴であり得、品質評価に関して特に有意義な特徴に関連し得る。コンポーネントキャリア構造102の試験対象116の適切な特性又は属性は、ドリル孔158(具体的には、メッキされた銅で充填され得るレーザドリル孔又は機械的に穿孔された孔)の直径D、そのような隣接するドリル孔158間の距離L、導電層構造130(パターン化された銅層など)及び/又は電気絶縁層構造132(プリプレグのシートなど)の厚さd、そのような層構造130及び/又は132の平面性、及びそのような層構造130及び/又は132の層間剥離の程度(参照符号133を参照)であり得る。上述の試験対象116は、図2で、それぞれ上面図165及び側面図167で示される。しかし、別の試験対象116(例えば、平面研削のシナリオにおける)は、銅線又は複数の銅線及びその間の空間であり得る。
【0129】
有利には、決定ユニット114は、予め定められた試験対象116を決定又は認識するために画像データを処理するように構成されている。より具体的には、決定ユニット114は、コンポーネントキャリア構造102の検出された第1の画像に基づいて、大まかな方法で予め定められた試験対象116を最初に決定するように構成され得る。さらに、決定ユニット114は、次に、第1の画像を検出した後、及び、コンポーネントキャリア構造102の表面をエッチングした後に検出されたコンポーネントキャリア構造102の検出された第2の画像に基づいて、洗練された方法で予め定められた試験対象116を決定するように構成され得る。代替実施形態では、決定ユニット114のワンショット操作も可能であり得、決定ユニット114は、単一の画像に基づいて試験対象116を決定する。決定のための基礎として、決定ユニット114はまた、例えば、決定のために考慮される試験対象116へのアクセス権を得るために、データベース128へのアクセス権を有し得る。
【0130】
非常に有利には、フィードバックループ169によって示すように、決定ユニット114は、材料除去(任意選択で研磨及び/又は洗浄及び/又はエッチングを含む)、画像検出、及び画像分析を有するシーケンスを反復して繰り返すことによって、予め定められた試験対象116を決定するように構成され得る。そのような反復手法(十分な精度が達成されたときに終了できる)によって、品質試験の信頼性が大幅に向上し得る。
【0131】
図2にさらに示すように、コンポーネントキャリア構造102の品質を評価するために、コンポーネントキャリア構造102の決定された試験対象116を評価するように構成された評価ユニット118が提供される。評価ユニット118は、決定された試験対象116の特性に基づいて、コンポーネントキャリア構造102の品質を評価するように有利に構成され得る。より具体的には、評価ユニット118は、コンポーネントキャリア構造102を複数の品質クラスのうちの1つに分類することによって品質を評価するように構成され得る。「合格」(コンポーネントキャリア構造102及び/又はより大きな本体160が品質試験に合格したことを示す)、「不合格」(コンポーネントキャリア構造102及び/又はより大きな本体160が品質試験に合格していないことを示す)、及び「さらなる分析が必要」(評価ユニット118はまだ品質について有意義な方法で決定する位置ではないため、コンポーネントキャリア構造102及び/又はより大きな本体160が追加の品質分析を必要とすることを示す)からなるクラス群の1つのクラスに、それぞれのコンポーネントキャリア構造102(及び/又は割り当てられたより大きな本体160)を自動的に分類することが非常に適切であり得る。後者の場合、人間による分析のためにコンポーネントキャリア構造102を人間のオペレータに運ぶことも可能であり得る。説明された通信及びユーザへの影響は、制御ユニット又はプロセッサ156と通信可能に結合される入力/出力ユニット135によって、ユーザ及び装置100の間で交換され得る。
【0132】
具体的には、評価ユニット118は、各試験対象116を個別に、又は好ましくはコンポーネントキャリア構造102の各試験対象116の各属性又は特性を個別に複数の品質クラスのうちの1つ、具体的には、「合格」、「不合格」、及び「さらなる分析が必要」からなるクラスの群の1つのクラスに分類することによって品質を評価するように構成され得る。重要でないパラメータの僅かなずれのみが、コンポーネントキャリア構造102を「合格」として分類することを依然として可能にし得る。欠陥は、特定の欠陥のタイプに基づいて、及び/又は特定の欠陥の強度に基づいて、致命的又は非致命的として分類され得る。そのような品質試験は、品質及び性能に関する、詳細な決定を可能にするために個別に判定され得る、複数の基準を有し得る。
【0133】
その評価タスクをサポートするために、評価ユニット118は、例えば、ニューラルネットワークを利用して、人工知能を使用して評価を実行するように構成された人工知能モジュール134を有し得る。人工知能モジュール134をトレーニングするためのトレーニングデータなども、データベース128に記憶され得る。
【0134】
コンポーネントキャリア構造102の露出面をエッチングする任意選択のエッチング工程によって、粒界及びメッキラインなどのコンポーネントキャリア構造102の分析された露出面上の追加の特徴が見えるようになり得る。これにより、評価ユニット118による試験対象116の特性の評価がさらに正確になり得る。
【0135】
上記評価の後、分析されたコンポーネントキャリア構造102は、装置100の外へ輸送され得る。この目的のために、ハンドリングユニット104には、例えば、材料除去ユニット112及び出口108の間に、少なくとも1つの追加のロボット120によってコンポーネントキャリア構造102を取り扱うように構成された出口ハンドリングサブユニット124が設けられる。図示のように、装置100は、出口108に配置され、試験後に複数のコンポーネントキャリア構造102を積み重ねて収容するように構成された出口収容ユニット138(例えばマガジンタイプでもある)を有する。ハンドリングユニット104は、試験されたコンポーネントキャリア構造102を出口108を通して出口収容ユニット138に移送するように構成され得る。これは、例えば、さらなるロボット120によって達成され得る。
【0136】
参照符号156で示すように、装置100は、コンポーネントキャリア構造102の品質試験中に装置100及びその上記のコンポーネントの動作を制御するための制御ユニットと見なされ得る、1つ又は複数のプロセッサ又はプロセッサの一部を備え得る。
【0137】
非常に有利には、装置100は、入口106及び出口108の間で人間の介入なしに品質試験を実行するように構成され得る。任意選択でのみ、ユーザアクセスは入力/出力ユニット135を介して可能であり得る。装置100の自動化された特徴は、品質試験を加速し得、品質試験に関して必要とされる人的資源を削減しながら、品質試験をより正確にし得る。さらに、スループットを向上させ得る。
【0138】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、コンポーネントキャリア構造102の品質試験を実行するための装置100の詳細を示す。図3は、図2の装置100の要素を示す特定の実施形態を示す。
【0139】
入力セクション125は、入口106及び材料除去の間の装置100の一部に関連する。断面切り出しステーション127は、コンポーネントキャリア構造102の断面が、研削及びその後の研磨によって完全に自動化された方法で作成される、装置100のその後の部分に対応する。出力セクション129は、断面切り出しステーション127及び出口108の間の装置100の一部に関連する。
【0140】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、完全に自動化された品質試験装置100のためのクーポン200の平面図を示す。
【0141】
図示のクーポン200は、自動試験システムにおいて図2及び図3に示すタイプの装置100と共に使用され得る。図2及び図3を参照して上記で説明したように、そのような完全に自動化された装置100は、クーポン200(図2のコンポーネントキャリア構造102に対応する)を試験することによってクーポン関連コンポーネントキャリア256(図4を参照)に関する品質試験を実行するように構成され得る。具体的には、装置100のハンドリングユニット104は、品質試験の少なくとも一部の間、そのハンドリング領域208でクーポン200を取り扱うように構成され得る。
【0142】
クーポン200の特性及び装置100との協働をさらに詳細に説明する前に、図4の平面図によく示すパネル250について説明する。パネル250の中央部252は、例えば、マトリクス状のパターンで配置され得る複数のコンポーネントキャリア256を備える。例えば、コンポーネントキャリア256は、プリント回路基板(PCB)又は集積回路(IC)基板であり得る。パネル250の縁部分254は、上述のクーポン200を有する。コンポーネントキャリア256は、クーポン200と共にパネルレベルでバッチ工程で製造されており、依然としてパネル250の一体部分としてクーポン200と一体的に接続されている。クーポン200及びコンポーネントキャリア256は共に製造されているため、クーポン200及びコンポーネントキャリア256は、品質の観点から同様の特性を有すると合理的に仮定できる。したがって、クーポン200に対して実行される品質試験は、コンポーネントキャリア256の品質を示すこともできる。
【0143】
コンポーネントキャリア256に関する品質情報を決定するための品質試験を実行するために、クーポン200をパネル250から分離し得る。その後、クーポン200は、そのハンドリング領域208でクーポン200を把持することによって、ロボットハンドリングユニット104によって取り扱われ得る。その後、クーポン200は、例えば、図1図3を参照して上記で説明したような方法で、その試験対象116に基づいて試験され得る。
【0144】
以下に説明するように、クーポン200の構造により、クーポン200は、自動化された品質試験装置100によって実行される完全に自動化された品質試験に準拠している。
【0145】
この目的のために、クーポン200は、実質的に長方形の形状を有し得る平板状ベースプレート202を有する。コンポーネントキャリア256と同様に、ベースプレート202も、導電層構造204及び電気絶縁層構造206の積層された層スタックとして構成され得る。積層は、具体的には、圧力及び/又は熱の適用による層構造204、206の接続を意味し得る。例えば、導電層構造204は、パターン化された銅箔及び垂直貫通接続、例えば、レーザ穿孔及びメッキによって作成され得る銅充填レーザビアを有し得る。電気絶縁層構造206は、それぞれの樹脂(それぞれのエポキシ樹脂など)を有し得、任意選択で、その中に強化粒子(例えば、ガラス繊維又はガラス球)を有し得る。例えば、電気絶縁層構造206は、プリプレグ又はFR4から作製され得る。
【0146】
再び図4を参照すると、クーポン200は、ベースプレート202の表面の第1の部分上に既に述べたハンドリング領域208を有する。ハンドリング領域208は、ロボットハンドリングユニット104(図2及び図3を参照)によってクーポン200を取り扱うように構成されており、ハンドリング領域208には、品質試験の実行中に検出、決定及び評価され得る試験対象116がない。さらに、クーポン200は、ベースプレート202の第2の部分上及びその中に、品質試験に使用される試験対象116を有する試験領域212を有する。図示のように、ハンドリング領域208及び試験領域212は、クーポン200の重複しない別個の領域である。ロボットハンドリングに関するクーポン200の機能領域及び試験対象116に基づく品質試験に関するクーポン200の機能領域を空間的に分離することによって、品質試験を損なうことなくクーポン200を完全に自動的に取り扱うことができることを保証できる。
【0147】
図示の実施形態では、ハンドリング領域208又は把持領域は、装置100のハンドリングユニット104に把持表面を提供すること以外には、いかなる特徴も全くないクーポン200の連続した長方形の表面部分である。ハンドリング領域208は、ロボットハンドリングユニット104によって把持される平坦領域として構成されている。例えば、ハンドリング領域208は、クーポン200の図示された主表面の全領域の少なくとも10%に対応するベースプレート202の表面部分であり得る。例えば、ハンドリング領域208は、クーポン200の当該主表面の全領域の5%~20%の範囲、具体的には、10%~15%の範囲の割合に対応し得る。一実施形態では、ハンドリング領域208は、把持を改善することによってクーポン200の自動化された取り扱いを簡素化するために、クーポン200の残りの表面部分よりも高い粗さRa又はRzを有する。図4には示されていないが、記載された特性を有するハンドリング領域208は、対応する位置で、又は対応する領域で、ベースプレート202の対向する主表面の両方に設けられ得る。これにより、対向する両側から、装置100のロボットハンドリングユニット104によるクーポン200の把持が可能になる。具体的には、ロボット120は、クーポン200をクランプすることによって取り扱い得る。
【0148】
工具孔211はハンドリング領域208に隣接して配置されており、同様にクーポン200の適切な取り扱いに寄与し得る。
【0149】
図2及び図3を参照して説明したように、品質試験装置100は、品質試験を受けるクーポン200の内部の試験対象116の1つ又は複数を露出させるために、クーポン200の材料を除去するように構成された材料除去ユニット112を備え得る。具体的には、当該材料除去は、試験対象116の断面を示すクーポン200の関心のある内面表面を露出させるための断面研削として具現化され得る。クーポン200の図示された設計によるハンドリング領域208及び試験領域212の空間的分離を考慮すると、材料除去は、ハンドリング領域208によって全く妨げられず、材料除去により、研削中にハンドリングユニット104のロボット120によってクーポン200を保持することも可能になる。
【0150】
図4によく示すように、クーポン200は、ベースプレート202上に識別子126を有する。識別子126は、クーポン200を識別する(好ましくは一意的に識別する)ように構成されている。クーポン200の識別情報は、関連コンポーネントキャリア256の識別情報を示すこともできる(ここで、クーポン200の識別情報及びコンポーネントキャリア256の識別情報の間の相関関係は、例えば、データベース128に記憶されたデータセットを介して作成され得る)。図示の実施形態では、識別子126はQRコードである。それに対応して、クーポン200と協働する装置100は、QRコードリーダの形態の識別ユニット110を備え得る。識別ユニット110は、クーポン200の識別子126から導出される識別情報に基づいて、すなわち、上記QRコードを読み取ることによってクーポン200を識別するように構成され得る。図示の実施形態では、QRコードは、最も外側の導電層構造204のパターン化された銅層である。したがって、クーポン200上のQRコードの作成は、パネル250のコンポーネントキャリア256の導電性トレースの作成と同時に実行し得、したがって、いかなる余分な労力も必要としない。
【0151】
図示のように、識別子126は、ハンドリング領域208のすぐ隣に配置される。これには、識別ユニット110のリーダをハンドリングユニット104のロボットアーム上に配置する場合、クーポン200を把持して取り扱うハンドリングユニット104のロボット120が、クーポン200の取り扱い中に識別子126を同時に読み出し得るという利点がある。取り扱い及び識別の並列化により、品質試験を加速し得る。
【0152】
図示の試験対象116は、導電性材料、好ましくは、銅で充填された一連の試験孔220を有する。図示の一連の試験孔220は、異なる寸法の一組の試験孔220、同一寸法の一組の試験孔220、及び直線に沿って配置され、したがって、共通の断面平面内に位置する一組の試験孔220を有する。したがって、複数のドリル孔の寸法をクーポン200の単一の断面平面で分析し得る。材料除去ユニット112による研削中に図4に示すクーポン200の左側及び/又は右側から材料を除去すると、試験孔220の断面が露出され得、この断面は、品質の観点から分析し得る。試験領域212のセクション間のハンドリング領域208の配置により、品質試験(説明したように、材料除去を含み得る)は、取り扱いによって影響を受けることはない。さらに、クーポン200の材料が除去されている間も、クーポン200のロボットハンドリングが依然として可能である。それに対応して、識別子126は試験領域212のセクション間に配置されるため、識別子126は品質試験中の材料除去による影響を受けず、品質試験が完了した後でもクーポン200の一部に残る。
【0153】
図4に示すように、ベースプレート202の輪郭は、クーポン200全体の輪郭を構成する。したがって、クーポン200は非常にコンパクトであり、少量の材料しか消費しない。しかし、図2を参照すると、あるいは、クーポン200のベースプレート202が、特に樹脂製のカプセル材146によって少なくとも部分的に取り囲まれることが可能であり得る。
【0154】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、一体的に接続された複数のクーポンセクション226を有するクーポン200を示す。
【0155】
したがって、図5のクーポン200は、図5の水平方向に対応する直線方向に沿って互いに接続された、複数の一体的に接続され機能的に別個のクーポンセクション226を有する。各クーポンセクション226は、図4を参照して説明したように、割り当てられたハンドリング領域208及び割り当てられた試験領域212を有する。図示のように、クーポンセクション226の隣接するものは、それぞれの予め定められた破断点228で互いに接続される。後者は、ベースプレート202内の機械的な弱化線、細線、又は切り取り線の形態の破断縁部として具現化され得る。したがって、品質試験に1つのクーポンセクション226だけで十分な場合、例えば、それぞれの破断縁部に沿って手動で破断することによって、クーポンセクション226の1つをクーポン200全体から分離することが可能であり得る。2つの隣接するクーポンセクション226が品質試験に必要な場合、例えば、別の破断縁部に沿って手動で破断することによって、クーポン200全体からこれら2つのクーポンセクション226を分離することが可能であり得る。次いで、分離されたクーポンセクション226は、マガジン(例えば、図2の入口収容ユニット136を参照)に挿入され得、装置100によって完全に自動的に品質試験され得る。(クーポン200全体を使用するのではなく)1つ又はいくつかのクーポンセクション226のみに基づいて品質試験を実行することにより、パネル250のリソースを節約し得、歩留まりを増大させることを可能にし得る。例えば、個々のクーポンセクション226は、20mm~40mmの範囲(例えば、30mm)の長さlを有し得る。さらに、個々のクーポンセクション226は、10mm~20mmの範囲(例えば、15mm)の幅wを有し得る。例えば、クーポンセクション226は、図4のクーポン200として具現化され得る。図示のクーポンセクション226のモジュール配置は、そのようなモジュール方式により、高い柔軟性をリソース節約アーキテクチャと組み合わせることができることを明らかにしている。
【0156】
図5の詳細213からわかるように、ベースプレート202(又は各クーポンセクション226でさえも)には、単一の機械コード化機能230が設けられ得て、これは、ここでは、実質的に長方形のベースプレート202の面取りされた角230として具現化される。機械コード化機能230は、品質試験を実行するためにクーポン200を装置100の入口収容ユニット136(図2を参照)に挿入するための挿入方向を定義するために機能し得る。図示の機械コード化機能230は、自動化された品質試験装置100の収容入口ユニット136の対応する形状の収容容積内でのクーポン200又はクーポンセクション226の正確な収容を保証する機械コードとして使用され得る。ユーザがクーポン200を間違った方向で収容入口ユニット136に挿入しようとすると、これは機械コード化機能230の形態の機械コードによって無効化され得る。したがって、機械コード化機能230は、完全に自動化された装置100によるクーポン200の適切な工程可能性を保証する。
【0157】
さらに、図5のクーポン200は、ここでは位置合わせ貫通孔として具現化される複数の位置合わせ構造216を有する。上記位置合わせ構造216は、ベースプレート202の角領域/角218に配置される。銅を含まない位置合わせ構造216は、ベースプレート202全体を貫通して延びる基準貫通孔として実現され、装置100の光学カメラによる位置合わせを可能にする。そのような位置合わせは、材料除去中及び/又は研磨中及び/又は画像検出中に有利であり得る。
【0158】
さらに図5を参照すると、各クーポンセクション226の試験対象116は、ベースプレート202の2つの対向する縁部分222に沿った2つの平行な直線に沿って配置されている。貫通孔して具現化された位置合わせ構造216とは対照的に、試験対象116は銅で充填され、例えば、銅充填ビアとして具現化される。2つの平行な行の試験対象116を提供することによって、一組の試験対象16が冗長性を導入するバックアップとして提供される。
【0159】
また、図5の実施形態では、各クーポンセクション226には、パネル250の製造中に印刷された固有のデータマトリクスコードであり得る、割り当てられた識別子126が提供され得る。したがって、識別子126は、パターン化された銅層として具現化し得、したがって、少ない労力及び少ないスペース消費で製造し得る。
【0160】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、クーポン200の試験対象116を示す。図6によれば、示されたクーポン200は、例えば、205mmの長さL及び、例えば、17mmの幅Wを有する長方形のストリップとして形成される。そのような形状により、図6の長円形のストリップタイプクーポン200をパネル250のフレーム内に容易に形成できるため、少ない労力で膨大な複数の試験対象116を定義することが可能である。例えば、図4を参照。
【0161】
一実施形態では、クーポン構造は、ニーズ及び/又はパネル上に製造される機能に従って調整できる。また、クーポンは、パネル又はフレームの中央又は側面又は縁部に配置できる。
【0162】
図7は、本発明の別の例示的な実施形態による、クーポン200を示す。
【0163】
図7によれば、ベースプレート202には、装置100に挿入されたときにクーポン200の適切な方向を保証する、機械コードとしての機械コード化機能230が設けられている。図示の実施形態では、機械コード化機能230は、(これとは別に)実質的に長方形のベースプレート202の傾斜したエッジとして具現化される。
【0164】
さらに、図7のクーポン200は、例えば、ベースプレート202内の金属インサートとして具現化され得る導電性犠牲構造224を有する。犠牲構造224は、クーポン200を研削中の研削工具などの材料除去ユニット112の進行制御のために使用され得る。この目的のために、装置100の電極(図示せず)は、図7の右側からの材料除去中に導電性犠牲構造224に接続され得る。最初に、電極は導電性犠牲構造224で電気信号を測定できる。材料除去中に犠牲構造224が除去されると、電気信号は変化し、犠牲構造224が完全に除去されると最終的に消失する。この事象は、材料除去により、試験対象116を構成する金属充填貫通孔の中心225が露出したシナリオに対応する。したがって、試験対象116の断面図に関する所望の対象位置に到達したため、犠牲構造224で検出された電気信号の損失は、材料除去ユニット112をオフに切り替えるためのトリガとして使用され得る。したがって、犠牲構造222は、試験対象116を露出させるためにクーポン200の材料を除去中に意図的に除去され得る。その結果、犠牲構造224は、試験孔220の中心225に到達したときにクーポン200の材料を除去する際に完全に除去されるように配置されているため、犠牲構造224は、試験対象116の対象露出までの材料除去の進行を検出するために使用できる。あるいは、材料除去中に犠牲構造222の残りの抵抗を測定することを、進行制御の基礎として使用してもよい。
【0165】
図8図11は、本発明の他の例示的な実施形態による、クーポン200のハンドリング領域208の代替的な配置を示す。図8図11の実施形態は、図6の実施形態と同様であるがハンドリング領域208のいくつかの例示的な代替構成を示す。図8の実施形態によれば、ハンドリング領域208は、表面のセクション全体を覆わないように具現化され、それによって、この表面部分の残りの部分は、追加の試験対象116などの他の特徴のために残される。図9の実施形態によれば、図8の追加の試験対象116は、識別子126によって置き換えられる。図10によれば、ハンドリング領域208は、(この実施形態では2つの)接続されていない島状のサブ領域(ここでは、識別子126によって間隔が空けられている)によって形成される。図11によれば、ハンドリング領域208は、クーポン200の異なる表面部分にある(この実施形態では3つの)接続されていない島状のサブ領域によって形成される。当業者であれば、ハンドリング領域208の多くの異なる構造的構成が可能であることを理解されたい。
【0166】
用語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを除外するものではなく、「a」又は「an」は、複数を除外するものではないことに留意されたい。また、異なる実施形態に関連して説明された要素は、組み合わされ得る。
【0167】
特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0168】
本発明の実装は、図に示され、上記で説明された好ましい実施形態に限定されない。代わりに、根本的に異なる実施形態の場合でも、示された解決策及び本発明による原理を使用する多数の変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11