(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/24 20190101AFI20241112BHJP
G07D 11/34 20190101ALI20241112BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20241112BHJP
【FI】
G07D11/24
G07D11/34
G06Q20/20
(21)【出願番号】P 2021114268
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】稲本 雅也
(72)【発明者】
【氏名】水本 卓
(72)【発明者】
【氏名】佐原 僚介
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-027455(JP,A)
【文献】特開2016-173769(JP,A)
【文献】特開2016-177596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
G06Q 20/18-20/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に設置され貨幣を入出金する貨幣処理装置と、
携帯可能であり操作入力を受け付けると共に前記貨幣処理装置と通信可能に接続された情報処理端末と、
を有する貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理装置は、前記店舗の金庫室に保管された現金の在高である金庫室在高と、前記金庫室以外の場所で保管されて手作業によって在高が管理されている現金および小切手を含む現物の在高である手許在高とを含む前記店舗内の在高の一括管理を行い、
前記情報処理端末は、在高の確認を行う再勘業務について、前記手許在高または前記金庫室在高の前記再勘業務の実行を要求する操作入力を受け付けると共に、現金および/または小切手を含む現物を撮影する撮影手段を有し、前記操作入力を受け付けた際には、前記手許在高または前記金庫室在高のうちの選択された前記再勘業務に係る処理を実行すると共に、前記撮影手段によって当該再勘業務に係る前記現物を撮影し、
前記再勘業務に係る処理の実行によって得られた前記手許在高または前記金庫室在高を示す再勘情報と前記撮影手段によって撮影された前記現物の画像とを前記貨幣処理装置へ送信し、
前記貨幣処理装置は、
前記再勘情報と撮影された前記現物の画像を前記情報処理端末から取得して、
取得した前記再勘情報と前記現物の画像とを関連付けて自装置の記憶部に記録する、
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記貨幣処理装置は、
前記撮影手段によって撮影された前記現物の画像と、前記撮影手段を介して読み取られた前記現物の保管場所に付されたコード情報に含まれる前記現物の保管場所の情報と、を関連付けて、前記再勘業務のエビデンスとして照会可能に記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記貨幣処理装置は、
前記撮影手段を介して作成された前記現物の画像と、前記撮影手段を介して読み取られた前記現物の保管場所に付されたコード情報に含まれる前記現物の保管場所情報と、前記現物に付されたコード情報に含まれる金種情報と、を関連付けて、前記再勘業務のエビデンスとして照会可能に記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記貨幣処理システムは、
金融機関の本部に設置され前記貨幣処理装置と通信可能に接続されるセンターサーバを更に有し、
前記センターサーバは、前記貨幣処理装置へ向けて、前記手許在高または前記金庫室在高の再勘業務の要求、または当該再勘業務の再勘結果の照会、を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記貨幣処理装置または前記情報処理端末は、
前記金庫室に設置される監視カメラの動画データや、前記金庫室の鍵を管理する鍵管理機の利用データから、前記金庫室への入退室を示すアクセス履歴を取得し、前記アクセス履歴において前記金庫室への入退室が確認されない場合、前記金庫室在高の前記再勘業務を不要と判定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行など金融機関の店舗内のバックヤードに設置され、貨幣を入出金すると共に店舗内の現金在高を一括管理する出納機(貨幣処理装置)が知られている。特許文献1などに開示があるように、出納機は、バラ紙幣の収納または払い出しを行う紙幣処理装置と、出納機における操作入力を受け付けると共に出納機全体の制御を行う操作表示部と、バラ硬貨の収納または払い出しを行う硬貨処理装置と、紙幣処理装置や硬貨処理装置で処理できなかった貨幣(汚損貨、記念硬貨など)や小切手、レシートなどを投函して収納するポストと、棒金の払い出しを行う棒金払出装置などから構成される。このような出納機は、それ自体に貨幣を収容してその貨幣の入出金を管理すると共に、店舗内に設けられた手許現金置場への入出金も管理する。また、出納機で処理可能な貨幣については、再勘業務を行って再勘結果を記録し、必要に応じてこれを照会することが可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出納機で処理ができない貨幣(汚損貨、記念硬貨など)や小切手などの手許在高や、金庫室内での現金在高の再勘業務の場合、人手によって再勘を行っているが、当該業務の再勘結果のエビデンスは、出納機へ記録されないため、店舗内の在高管理を厳格に行うことができていない。
【0005】
そこでこの発明は、上述した解題を解決する、店舗内の在高管理を厳格に行える貨幣処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、貨幣処理システムは、店舗に設置され貨幣を入出金する貨幣処理装置と、携帯可能であり操作入力を受け付けると共に前記貨幣処理装置と通信可能に接続された情報処理端末と、を有する貨幣処理システムであって、前記貨幣処理装置は、前記店舗の金庫室に保管された現金の在高である金庫室在高と、前記金庫室以外の場所で保管されて手作業によって在高が管理されている現金および小切手を含む現物の在高である手許在高とを含む前記店舗内の在高の一括管理を行い、前記情報処理端末は、在高の確認を行う再勘業務について、前記手許在高または前記金庫室在高の前記再勘業務の実行を要求する操作入力を受け付けると共に、現金および/または小切手を含む現物を撮影する撮影手段を有し、前記操作入力を受け付けた際には、前記手許在高または前記金庫室在高のうちの選択された前記再勘業務に係る処理を実行すると共に、前記撮影手段によって当該再勘業務に係る前記現物を撮影し、前記再勘業務に係る処理の実行によって得られた前記手許在高または前記金庫室在高を示す再勘情報と前記撮影手段によって撮影された前記現物の画像とを前記貨幣処理装置へ送信し、前記貨幣処理装置は、前記再勘情報と撮影された前記現物の画像を前記情報処理端末から取得して、取得した前記再勘情報と前記現物の画像とを関連付けて自装置の記憶部に記録する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金庫室や手許で保管されている貨幣を含めて店舗内の在高管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の貨幣処理システムおよび店舗の概要を示す図である。
【
図2】実施形態の貨幣処理システムの機能ブロック図である。
【
図3】実施形態の情報処理端末に表示される画面例を示す第1の図である。
【
図4】実施形態の情報処理端末に表示される画面例を示す第2の図である。
【
図5】実施形態の情報処理端末に表示される画面例を示す第3の図である。
【
図6】実施形態の貨幣処理装置に表示される画面例を示す第1の図である。
【
図7】実施形態の貨幣処理装置に表示される画面例を示す第2の図である。
【
図8】実施形態の貨幣処理装置に表示される画面例を示す第3の図である。
【
図9】実施形態の再勘処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図10】実施形態の情報処理端末に表示される画面例を示す第4の図である。
【
図11】実施形態の再勘処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図12】実施形態の夜間再勘処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
(構成)
以下、本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムおよび再勘処理について、
図1~
図12を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、店舗100には、貨幣処理装置10と、窓口機41と、現金バス42と、鍵管理機43と、監視カメラ44と、が設置され、タブレット端末などの搬送可能な情報処理端末20が備えられている。貨幣処理装置10と、窓口機41、現金バス42および鍵管理機43とは、ネットワーク等により通信可能に接続されている。貨幣処理装置10と、情報処理端末20とはWi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により通信可能に接続されている。また、外部のデータセンタ等には、センターサーバ30が設置され、センターサーバ30と貨幣処理装置10とはインターネット等のネットワークNWを介して通信可能に接続されている。
【0011】
貨幣処理装置10、窓口機41および現金バス42は現金(硬貨、紙幣)の入出金を行い、自装置内の現金を管理している。店舗100には、金庫室101が存在し、金庫室101にて、現金が保管されている。また、店舗100に設けられた什器類の引き出しやロッカー、キャビネット等(これらをまとめてキャビネット102と記載する。)には、現金や小切手が保管されている。店舗100とは、例えば、銀行などの金融機関の店舗である。店舗100には、業務開始前に準備すべき必要額の現金が、現金センターから輸送される。現金は、店舗100に設けられた手許現金置場へ運ばれ、現金受付(現受)される。受付完了した現金は、予め金種毎に設定している配分表に基づき、貨幣処理装置10への装填、金庫室101への入庫が行われる。また、店舗100では、業務終了後(締上処理後)に、店舗100から現金センターへ向けて回収すべき現金を手許現金置場へ集結させる。例えば、貨幣処理装置10の機内やポスト14から回収された現金および小切手、金庫室101等から出庫させた現金が回収される現金となり、これらの現金が手許現金置場より現金センターへ輸送(現送)される。また、貨幣処理装置10へ装填された現金は、日々の業務の中で出金処理され、窓口機41や現金バス42の機内へ入金され、それらの装置にて管理される。さらに、一部の現金や小切手などはキャビネット102にて保管される。店舗100に存在する現金や小切手の再勘情報(金種や金種別の金券等の枚数など)は全て貨幣処理装置10で一括管理されるが、金庫室101を除いた、窓口機41、現金バス42およびキャビネット102など貨幣処理装置10から見て外部に存在する場所を手許と呼ぶ。手許のうち、窓口機41、現金バス42については、現金の金種と枚数を識別する再勘処理を実行する機能を備えており、各装置で再勘された現金の再勘情報、つまり、各装置が保有する再勘済みの現金の金種と枚数(例えば、万円券がX枚、・・・、500円硬貨がY枚、・・・など)は、貨幣処理装置10へ送信されて、貨幣処理装置10にて管理される。また、貨幣処理装置10も再勘処理を実行する機能を備えており、自装置内の現金の再勘情報を管理している。つまり、貨幣処理装置10は、窓口機41、現金バス42が管理する現金の再勘情報を、自身が管理する現金の再勘情報とともに一括管理する。これに対し、金庫室101やキャビネット102にて保管されている現金や小切手については、手作業で再勘が行われており、各装置が再勘処理を行った場合には、再勘処理のログなどが記録されるのに対し、手作業で行われた再勘業務については、その作業の確認に必要な情報や証跡となる情報が残らない。そこで、本実施形態に係る貨幣処理システム60(
図2)では、金庫室101やキャビネット102にて保管されている現金などについても、人手による再勘業務を効率化し、且つエビデンスを残すことができるような機能を提供する。
【0012】
この目的のために、例えば、手作業で再勘業務を行う現金や小切手に対しては、QRコード(登録商標)50、51などのコード情報を付すこととし、QRコード50、51に再勘業務に必要な情報を含めるようにする。例えば、場所用QRコード50には、その現金等の保管場所を示す情報が含まれている。また、金種用QRコード51には、その現金等の金種および/または枚数(紙幣束数、棒金硬貨の本数を含む。)の情報が含まれている。そして、QRコード50,51を読み取ることで、例えば、金庫室101の棚Aに万円券がX枚保管されているといった情報を取得することができるようにし、手作業による再勘業務を効率化する。なお、「金庫室101の棚A」は場所用QRコード50から読み取った情報の一例であり、「万円券がX枚」は金種用QRコード51から読み取った情報の一例である。なお、QRコード50,51は必須ではない。後述するように、金庫室101やキャビネット102の再勘には情報処理端末20を活用するが、例えば、場所用QRコード50に代えて、情報処理端末20が備えるGPS(Global Positioning System)等による測位情報を利用し、情報処理端末20の位置情報と金庫室101の位置情報とを照らし合わせて、金庫室101の再勘処理を行っていることを認識してもよいし、QRコード50と情報処理端末20の位置情報の両方を用いて、金庫室101の再勘処理を行っていることを確認してもよい。また、金種用QRコード51に代えて、担当者が手作業で硬貨や紙幣の枚数を数えてもよいし、情報処理端末20が備えるカメラ26(
図2)で再勘対象の現金等を撮影し、画像解析によって、現金等の金種および/または枚数を認識するようにしてもよい。あるいは、再勘対象の現金を貨幣処理装置10に一時的に投入して再勘処理させて、その再勘処理の結果を再勘情報として採用してもよい。また、金種用QRコード51に含まれる情報は、金種と枚数のうちの一方だけであってもよい。金種用QRコード51に含まれる情報が金種だけの場合、枚数については手作業や画像解析、貨幣処理装置10の再勘処理などによって計数する。反対に、金種用QRコード51に含まれる情報が枚数だけの場合、同様の方法で金種の情報を得る。また、保管場所の情報や金種および枚数の情報をQRコードではなく、バーコードやRFID(radio frequency identifier)タグに記憶され、専用の読み取り装置で、保管場所等の情報を読み取るようにしてもよい。
【0013】
また、再勘業務のエビデンスを記録することについては、例えば、再勘対象の現金を良く視認できるような形式で並べ、情報処理端末20のカメラ26でその様子を動画または静止画にて撮影し、撮影された画像データを再勘情報と関連付けて参照可能に記録する。これにより、実際に再勘処理を行ったことや、その時点で保管されていた現金の内容の証跡を画像として残すことができ、再勘結果の確認などに用いることができる。
【0014】
(貨幣処理システムの機能)
図2に本実施形態に係る貨幣処理システム60の構成を示す。図示するように貨幣処理システム60は、貨幣処理装置10と、情報処理端末20と、鍵管理機43と、監視カメラ44と、センターサーバ30とを備える。
【0015】
貨幣処理装置10は、銀行など金融機関の店舗のバックヤードに設置される出納機である。貨幣処理装置10は、バラ紙幣の収納または払い出しを行う紙幣部11(紙幣処理装置)と、操作入力を受け付けると共に貨幣処理装置10全体の制御を行うターミナル12(操作表示部)と、バラ硬貨の収納または払い出しを行う硬貨部13(硬貨処理装置)と、紙幣部11および硬貨部13で処理できなかった貨幣(汚損貨、記念硬貨など)やレシートなどを投函して収納するポスト14と、棒金の払い出しを行う棒金払出部15(棒金払出装置)と、通信部16と、を備える。貨幣処理装置10は、それ自体に現金を収容してその入出金を管理すると共に、店舗内に設けられた手許現金置場への入出金を管理する。貨幣処理装置10は、センターサーバ30からの在高照会要求により在高情報をセンターサーバ30へ送信する。貨幣処理装置10は、センターサーバ30からの在高照会要求に応じて、店舗100内にある窓口機41や現金バス42(現金管理装置)など、貨幣処理装置10に接続されている各装置についての入出金データ(入金額、出金額、現金装填額、現金回収額の金種毎の内訳データ)をセンターサーバ30へ送信する。また、貨幣処理装置10は、センターサーバ30からの再勘指示により再勘業務を行い、再勘情報をセンターサーバ30へ送信する。
【0016】
ターミナル12は、表示部121と、入力受付部122と、制御部123と、記憶部124と、を備える。表示部121は、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部121は、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部121は、業務メニューや再勘結果確認画面などの情報を表示する。入力受付部122は、タッチパネル、ハードウェアのボタンなどを含んで構成され、ユーザの操作を受け付ける。入力受付部122は、受け付けた入力の内容を制御部123に出力する。制御部123は、貨幣処理装置10全体の動作を制御する。例えば、制御部23は、再勘処理を実行する。また、表示部121への表示制御や通信部16を介した他の装置との通信を制御する。記憶部124は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体によって構成され、種々の情報を記憶する。例えば、記憶部124は、貨幣処理装置10、窓口機41、現金バス42が管理する現金の再勘情報および再勘画像、金庫室101やキャビネット102にて保管された貨幣や小切手等の再勘情報および再勘画像、再勘処理に係るプログラム等を記憶する。
【0017】
通信部16は、有線、無線の通信手段を用いて、貨幣処理装置10と情報処理端末20、鍵管理機43、監視カメラ44およびセンターサーバ30との通信を行う。例えば、通信部16は、情報処理端末20から金庫室101などで保管された現金に対する再勘処理の結果を受信したり、金庫室101などの再勘業務の実行を指示する情報を情報処理端末20へ送信したりする。通信部16は、監視カメラ44から、監視カメラ44によって撮影された画像データの解析結果を受信する。通信部16は、鍵管理機43から、金庫室101の鍵101aの持ち出し履歴情報やキャビネット102の鍵の持ち出し履歴情報を受信する。また、通信部16は、センターサーバ30から金庫室101の在高照会要求を受信したり、金庫室101の再勘結果の情報をセンターサーバ30へ送信したりする。
【0018】
情報処理端末20は、タブレットやスマートフォンなどの携帯可能な端末装置である。情報処理端末20は、撮影手段を有しており、静止画または動画を取得して記録することができる。後述する手許在高や金庫室在高の再勘業務における再勘結果のエビデンスとして、現金(例えば、金庫室101で保管されている棒金または束紙幣など)や小切手などの現物の写真を撮影し、当該画像データを無線通信により貨幣処理装置10へデータ転送(アップロード)することができる。情報処理端末20は、表示部21と、入力受付部22と、制御部23と、記憶部24と、通信部25と、カメラ26と、測位部27と、を備える。
【0019】
表示部21は、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。表示部21は、業務メニューや再勘確認画面などの情報を表示する。入力受付部22は、タッチパネル、ハードウェアのボタンなどを含んで構成され、ユーザの操作を受け付ける。入力受付部22は、受け付けた入力の内容を制御部23に出力する。制御部23は、情報処理端末20の動作を制御する。例えば、制御部23は、再勘処理の実行、表示部21の表示制御や、通信部25を介した他の装置との通信制御、カメラ26による撮影制御、測位部27による情報処理端末20の位置情報の測位処理の制御などを行う。記憶部24は、RAM、ROM、EEPROM、HDDなどの記憶媒体によって構成され、種々の情報を記憶する。例えば、記憶部24は、再勘処理に必要な情報、再勘処理に係るプログラム、QRコードの読み取りプログラム等を記憶する。通信部25は、Wi-Fi(登録商標)等によって、貨幣処理装置10と通信を行う。例えば、通信部25は、再勘業務の結果を貨幣処理装置10へ送信する。カメラ26は、任意の対象を撮影する。本実施形態では、金庫室101にて保管された現金の画像を撮影したり、QRコード50,51を撮影したりする。測位部27は、GNSS(Global Navigation Satellite System)が測位した情報処理端末20の位置情報を衛星から取得するGPS受信機等である。
【0020】
鍵管理機43は、金庫室101の鍵101aを管理している。例えば、担当者が、鍵101aを収納庫から取り出すと、鍵管理機43は、例えば、鍵101aを収納する機構の変化などをセンサ等により検知し、鍵101aが取り出された時刻を自装置の記憶部に記録する。また、鍵101aが収納庫へ戻されたときにも、鍵管理機43は、鍵101aが再び収納されたことを検知し、鍵101aが戻ってきた時刻を記憶部に記録する。本実施形態では、鍵管理機43が記録する鍵101aの持ち出し記録を、金庫室101の利用記録として活用する。例えば、鍵101aの持ち出し記録が無ければ、その間、金庫室101への人の入退室が無いことになり、金庫室101にて保管される現金には変化が無いと考える。鍵101aの持ち出し記録(つまり、金庫室101へのアクセス履歴)を参照することにより、後述する金庫室101における在高の再勘業務における、みなし再勘(確認不要の再勘業務)とすることができる。なお、鍵管理機43は、キャビネット102の鍵の持ち出し履歴を管理してもよい。この場合も同様にして、キャビネット102の鍵の持ち出しが無ければ、その間、キャビネット102にて保管された現金や小切手に変化が無いと考えることができ、みなし再勘とすることができる。
【0021】
金庫室101内の監視カメラ44は、金庫室101内にいる人の動きを監視する目的で設けられているが、加えて、本実施形態の貨幣処理システム60においては、当該監視カメラ44の動画記録は、鍵管理機43の利用照会と共に、金庫室101へのアクセス履歴としても活用される。例えば、金庫室101へのアクセス履歴を参照することにより、後述する金庫室101における在高の再勘業務における、みなし再勘とすることができる。
【0022】
センターサーバ30は、金融機関の本部に設置される現金在高を管理するサーバである。センターサーバ30は、通信回線を介して各店舗100に設置されている貨幣処理装置10に接続されており、各店舗100での現金および小切手などの在高を集中管理している。本実施形態に係る貨幣処理システム60では、センターサーバ30から貨幣処理装置10へ金庫室101やキャビネット102の在高照会要求、再勘指示を送信することが可能であり、これにより貨幣処理装置10から在高情報等を取得してセンターサーバ30へ送信および記録することができる。センターサーバ30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33とを備える。
【0023】
制御部31は、センターサーバ30の動作を制御する。例えば、制御部31は、通信部33を介した他の装置との通信制御(例えば、金庫室101の在高照会要求の送信)などを行う。記憶部32は、RAM、ROM、EEPROM、HDDなどの記憶媒体によって構成され、種々の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、再勘処理の結果を記憶する。通信部33は、各店舗100の貨幣処理装置10と通信を行う。
【0024】
なお、ターミナル12、情報処理端末20、センターサーバ30は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが搭載されたコンピュータで構成される。制御部123、制御部23、制御部31の各処理は、プロセッサがプログラムを実行することにより実現される。
【0025】
(情報処理端末を用いた再勘)
次に情報処理端末20に表示される画面例(
図3~
図5)を参照しつつ、情報処理端末20を用いた再勘業務について説明する。
【0026】
担当者の操作により、制御部23は、表示部21に
図3のログイン画面300を表示する。担当者がアカウント情報を入力してログインボタン301を押下すると、制御部23は、業務メニュー画面302を表示する。業務メニュー画面302には、他の業務と共に手許再勘ボタン303と金庫室再勘ボタン304が表示される。担当者は、キャビネット102の再勘を行う場合には、手許再勘ボタン303を押下し、金庫室101の再勘を行う場合には、金庫室再勘ボタン304を押下する。例えば、センターサーバ30から、貨幣処理装置10へ金庫室101の再勘指示が送信され、金庫室101がみなし再勘とはならない場合、貨幣処理装置10は、金庫室101の再勘を要求する指示情報をターミナル12の表示部121に表示する。担当者は、この表示を見て金庫室再勘ボタン304を押下する。
【0027】
金庫室再勘ボタン304が押下されると、制御部23は、
図4の再勘画面400を表示部21に表示する。この画面上で、店舗担当者へ再勘在高(再勘金額)の入力と、再勘画像を撮影する旨を促す。再勘画面400の詳細表示領域401には、金種、束/本、金額、再勘金額、再勘画像の各欄が表示される。束/本、金額は、貨幣処理装置10にて記憶されている金種別の紙幣束数、棒金硬貨の本数である。再勘金額は、貨幣処理装置10にて記憶されている金種別の金額である。再勘金額は、今回の再勘業務において入力すべき金種別の金額や紙幣束数などであり、再勘画像とは、エビデンスとして記録するための再勘対象の現金等を撮影した画像のことであり、撮影ボタンを選択することでカメラ26を起動し、現金等の画像を撮影することができる。再勘画像の撮影が完了すると、撮影ボタンの右隣にレ点が表示される。なお、束/本、金額の欄に値を表示すると、今回の再勘業務において担当者が、これらの欄に表示された値を参考に再勘金額を入力する可能性があるため、これらの項目を非表示またはマスキングして表示してもよい。再勘金額は、画面右側のテンキー402により入力する。例えば、万円券の金額を10束と入力すると、詳細表示領域401の「再勘金額」欄に10束と表示される。担当者は、例えば最上段の万円券から順に再勘の作業を行って、他の金種(束紙幣・棒金硬貨)についても同様に作業を進める。ここで、再勘金額をテンキー402により入力するとしたが、例えば、万円券の束にQRコード51が付されている場合、所定の操作によりカメラ26を起動し、QRコード51をカメラ26で撮影する。制御部23はその内容(例えば、万円券の束が10束)を読み取って、万円券の行の再勘金額の欄に10束と表示する。
【0028】
再勘画面400での作業手順の一例を以下に示す。
(手順1)まず、予め、現物(例えば、万円券10束)の近く、即ち再勘対象金種の格納場所に、場所用QRコード50と金種QRコード51を貼っておく。場所用QRコード50は、予め、格納場所ごとの場所用QRコード50を用意しておく。例えば、金庫室101であれば、代表で1つでも良いし、更にブロック別(収納ロッカー別など)に細分化してその場所を示す場所用QRコード51を用意しても良い。また、場所用QRコード50に加えて/代えて、情報処理端末20が有する測位部27を利用して、撮影した画像データに情報処理端末20の位置情報を付与して記憶させても良い。こうすることで、例えば、金庫室101のある場所がおおよそ特定可能であるため、再勘を実施している店舗内の金庫室101であることが判別可能となり、不正を防止することができる。また、バラ硬貨、バラ紙幣などは予め貨幣処理装置10などで計数し、その計数結果(金種と枚数)を金種用QRコード51として印字しておいても良い。当該計数結果は、複数枚読込可能で加算できるようにする。例えば、バラ硬貨が入った大袋1~3の3つの大袋が金庫室101にて保管されているとする。この場合、それぞれの大袋に入っているバラ硬貨の金種と枚数を金種用QRコード51として各大袋1~3に貼っておく。例えば、大袋1~3に、500円硬貨がそれぞれX1枚、X2枚、X3枚入っていたとすると、情報処理端末20を用いて、大袋1~3の金種用QRコード51を読み込んだ際に、制御部23は、これらを合計して、500円硬貨が(X1+X2+X3)枚とカウントする。また、バラ貨幣の場合にのみ金種用QRコード51を用意し、紙幣束や棒金の場合には金種用QRコード51を用意せず、手作業により束数をカウントするようにしてもよい。
【0029】
(手順2)担当者は、情報処理端末20の画面上へ、再勘在高(再勘金額)の入力を行った後、場所用QRコード50と金種用QRコード51とをタブレットに搭載しているカメラにて撮影する。再勘金額の入力はテンキー402から入力するが、例えば、再勘の対象物が大袋に入ったバラ硬貨である場合には、上述のように大袋作成時に金種と枚数をQRコードにして予め付けておき、再勘時はQRコードから再勘金額を読み取ってもよい。
【0030】
(手順3)制御部23は、撮影したQRコード50,51から保管場所、再勘金種をチェックする。例えば、保管場所ごとに場所用QRコード50を用意したケースでは、制御部23は、各保管場所の場所用QRコード50と、万券束の金種用QRコード51を読み取る。各コードは貨幣処理装置10で管理されたコード一覧から紐づけを確認し、金庫室101の万券束である事をチェックする。例えば、場所用コードとして、金庫室101が「1111」、手許(キャビネット102)が「2222」、さらに金庫室101の棚Aが「1111A」に設定され、金種コードとして万券束には「0001」、五千券束には「0002」が設定されているとする。また、金庫室101の棚Aでは万券束が保管されていることが設定されており、これらの設定情報が記憶部24に登録されている。この条件下で、制御部23が読み取ったQRコード情報が、格納場所コード:1111A、金種コード:0001ならチェックは成功であり、それ以外ならばチェックは失敗となる。
【0031】
(手順4)次に「撮影」タブを選択し、現物(万円券10束)をカメラ26により撮影する。このとき、専用トレーを使用して画像から金額が容易に判別できるように撮影しても良い。また、画像不鮮明時には、警告を行っても良い。撮影は、金種毎に行う。一回の撮影で1金種(例えば、万券束)の現物全てを一度に撮影することになるが、一回の撮影で入り切れない数量の現物がある場合には、複数回に分けて撮影する。この場合、撮影終了後の情報処理端末20の再勘画面400では、複数行に渡って、同じ金種の再勘結果リストが表示される(例えば、
図4において、金種が万の行が複数行生成される。)。あるいは、複数行で同一金種の再勘結果リスト表示させる方法ではなく、同じ金種を一つのリストに纏めて表示させる方法であっても良い。当該リストを選択することにより、更に下の階層へ遷移させて、そこで、詳細情報として、同一金種が複数並んだリストを表示させるように構成しても良い。こうすることで、同一金種の現物が大量にあり、一度で撮影できなかった場合にも、タブレット画面での撮影結果を見易く表示することができる。
【0032】
(手順5)再勘対象の画像撮影が全て終了したら、再勘完了となり、画面下側の署名欄403に担当者の署名を入力する。担当者が、完了ボタン405を押下すると、制御部23は、再勘結果(金種および当該金種の再勘金額欄に入力した情報、再勘画像)を貨幣処理装置10へ送信(アップロード)する。なお、署名欄403への入力は、担当者がペンや指を使って署名欄403へ自分の名前を入力してもよいし、所定の操作をおこなうと、制御部23が、ログイン時のアカウント情報に紐づいた担当者名を署名欄403に表示するといった方法でもよい。
【0033】
(手順5-1)ここで、撮影済み再勘画像の確認を行う手順について述べる。担当者が画像確認ボタン404を押下すると、制御部23は、
図5に例示する画像照会画面500を表示する。画像照会画面500では、撮影済みの現金の再勘画像の確認を行うことができる。再勘画像を確認して画像が不鮮明な場合は当該再勘画像を削除し、再度、再勘画面400から再勘画像を撮り直す。正常な再勘画像が撮影できると、担当者は手順5を行う。
【0034】
以上、金庫室101の再勘業務を例に説明を行ったが、手許再勘(キャビネット102に対する再勘)の場合も同様である。手許再勘の場合、再勘画面400の詳細表示領域401において小切手の情報が入力できてもよい。
【0035】
(貨幣処理装置を用いた再勘業務)
情報処理端末20を用いた再勘作業が実施され、再勘結果がアップロードされると、担当者は、貨幣処理装置10を用いて再勘業務を実施する。次にターミナル12の表示部121にて表示される画面例(
図6~
図9)を参照しつつ、貨幣処理装置10を用いた再勘業務(確認業務)について説明する。
【0036】
担当者の操作により、制御部123は、表示部121にログイン画面(図示略)を表示し、担当者がアカウント情報を入力してログイン操作を行うと、業務メニュー画面600を表示する。業務メニュー画面600には、他の業務と共に再勘ボタン601が表示される。再勘ボタン601が押下されると、制御部123は、再勘メニュー画面602を表示する。再勘メニュー画面602には、機内再勘ボタン603と、手許再勘結果確認ボタン604と、金庫室再勘結果確認ボタン605と、が表示される。担当者は、キャビネット102の再勘結果を確認する場合には、手許再勘結果確認ボタン604を押下し、金庫室101の再勘結果を確認する場合には、金庫室再勘結果確認ボタン605を押下する。以下、貨幣処理装置10での金庫室再勘結果確認の処理手順を例に説明を行う。
【0037】
金庫室再勘結果確認ボタン605が押下されると、制御部123は、
図7に例示する金庫室再勘一覧画面700を表示する。この画面上では、情報処理端末20を用いて実施された再勘業務の一覧が表示される。例えば、案件ごとに再勘日、再勘番号、オペレータ、金庫室在高(貨幣処理装置10が管理している金庫室101の合計金額)、再勘在高(情報処理端末20を用いた再勘業務によってカウントされた金庫室101の合計金額)、再勘画像の有無、再勘結果が表示される。金庫室在高と再勘在高が等しければ、再勘結果には、「実施OK」が表示され、両者が異なる場合には「実施NG」が表示される。再勘結果が「実施NG」の場合、担当者は、不一致分の究明を行った後に再度、情報処理端末20を用いて金庫室101の再勘を行う。また、実際に再勘を行わずにみなし再勘となった場合には再勘結果には「みなし再勘」が表示される。再勘結果が「みなし再勘」の場合、画像の撮影は行っていないので、再勘画像は「無」となる。担当者は、この一覧の中から確認対象の案件の再勘日を選択する。すると、制御部123は、ターミナル12の表示部121に、
図8に例示する金庫室再勘結果確認画面800を表示する。
【0038】
金庫室再勘結果確認画面800では、詳細表示領域801に金種、束/本、金額、再勘金額、再勘画像の有無に対するチェック、再勘結果に対するチェックが表示される。束/本、金額は、再勘前に貨幣処理装置10にて管理、記憶されている金種別の紙幣束数、棒金硬貨の本数である。再勘金額は、選択した日付に行われた再勘業務にて確認された束数や本数である。また、エビデンスとなる再勘画像が撮影およびアップロードされていれば再勘画像にチェック印が表示され(みなし再勘の場合、再勘画像は「無」でよい。)、束/本と再勘金額が一致する場合、再勘結果にチェック印が表示される。束/本と再勘金額が一致しない場合は、担当者は、在高不一致分の究明後に再度、情報処理端末20を用いて金庫室101の再勘を行う。担当者が画像確認ボタン803を押下すると、制御部123は、
図5に例示する画面と同様の画面を表示する。担当者は、撮影済みの再勘画像の確認を行うことができる。担当者は、全ての金種において再勘結果や再勘画像に不備が無いことを確認すると、署名欄802に署名を行って、完了ボタン804を押下し、金庫室101の再勘結果の確認を終了する。なお、再勘メニュー画面602にて、手許再勘結果確認ボタン604が押下された場合についても同様の画面が表示され、担当者は、キャビネット102の再勘結果に対する確認を行うことができる。
【0039】
(動作)
次に貨幣処理システム60の動作について説明する。まず、
図9を参照して、センターサーバ30から金庫室101の再勘指示が送信された場合を例に、再勘処理の流れについて説明する。
【0040】
(1)金庫室再勘(センターサーバから再勘要求あり)
センターサーバ30の制御部31が通信部33を介して、金庫室101の再勘指示を貨幣処理装置10へ送信する(ステップS1)。貨幣処理装置10の制御部123は、通信部16を介してこの再勘指示を受け取り、金庫室101へのアクセスの確認を行う(ステップS2)。例えば、監視カメラ44が撮影した動画データを解析する画像解析装置(図示略)が設けられていて、画像解析装置は、前回再勘業務を実施した時刻以降に金庫室101への人の立ち入りがあったかどうかを、動画データを解析することにより判断する。制御部123は、画像解析装置に対し解析結果を照会する。これに対し、画像解析装置は、金庫室101への立ち入りの解析結果を、貨幣処理装置10へ送信する。または、制御部123は、鍵管理機43へ、前回再勘業務を実施した時刻以降の鍵101aの持ち出し履歴情報を照会する。これに対し、鍵管理機43は、この期間の鍵101aの持ち出し履歴情報を貨幣処理装置10へ送信する(ステップS3)。制御部123は、動画データの解析結果や鍵101aの持ち出し履歴情報を受信して、金庫室101へのアクセスがあったか否かを判定する。アクセス有りの場合(ステップS4;Yes)、制御部123は、待機画面が表示された表示部121に金庫室101の再勘を指示するメッセージを表示する(ステップS5)。担当者は、このメッセージが表示されると、情報処理端末20を持って金庫室101へ移動し、
図3~
図5を参照して説明した手順により、金庫室101の再勘業務を行う(ステップS6)。
【0041】
具体的には、担当者は、
図3に例示するログイン画面300からログインし、業務メニュー画面302にて金庫室再勘ボタン304を選択する。表示部21には、
図4に例示する再勘画面400が表示される。ここで、担当者は、金庫室101へ移動する。担当者は、対象金種の数をカウントし、テンキー402を用いてその値を入力する。金種別の枚数の入力は、テンキー402に入力に限らず、金種QRコード51の読み取りやRFIDの読み取りによって行われてもよい。次に、担当者は、
図10(a)に例示するように、情報処理端末20を用いて、場所用QRコード50および金種用QRコード51の読み取りを行う。ここで、制御部23は、場所用QRコード50の読み取りは最初の1回だけ要求し、2金種目以降は省略可能とするよう制御してもよい。また、制御部23は、場所用QRコード50の読み取り結果が金庫室101を示しているかどうかの判定を行うが、場所用QRコード50に代えて/加えて測位部27の測位した位置情報が金庫室101を示しているかどうかを判定してもよい。情報処理端末20の制御部23は、金種QRコード51の読み取り結果と所定の金種(その位置に保管されているはずの金種)とが一致するかどうかの判定を行うが、金種QRコード51に代えて/加えてRFIDなどに記憶された金種の情報に基づいて判断を行ってもよい。
【0042】
担当者は、金種別にQRコードを読み取ると、
図10(b)に例示するように、カメラ26を用いてその金種の再勘画像を撮影する。担当者がカメラ26を再勘対象の現金へ向けて、画面下側にある丸印にタッチすると現物の撮影が完了する。制御部23は、撮影した再勘画像を金種や場所の情報と関連付けて記憶部24に記録する。そして、制御部23は、再勘画面400を再び表示する。このとき、制御部23は、撮影が完了した金種の右端にレ点を表示する(
図10(c))。
【0043】
次の再勘対象の金種がある場合には、上記手順を同じように進めることで金庫室101の再勘を漏れなく行うことが可能となる。例えば、制御部23は、場所用QRコード50の読み取りの結果、場所に問題が無い場合は、金種用QRコードを読み込ませ、金種にも問題が無い場合には、再勘画像の撮影を許可するように画面を制御してもよい。このようにして、QRコード50、51の読み取りと再勘画像の撮影は、対象金種分だけ繰り返される。場所用QRコード50と金種用QRコード51の読み取りによって、場所と金種の情報を再勘画像に関連付けて記録する。これにより、例えば、金庫室101の万円券と手許の万円券などの区別が付く形で記録し、後に確認したときの混同を防止することができる。最後に担当者は署名を行って、再勘業務を終了する。担当者が、完了ボタン405を押下すると、制御部23は、通信部25を介して、無線通信によって、再勘画面400にて入力した再勘情報(金種別の紙幣束数)と再勘画像(エビデンス)とを貨幣処理装置10へ送信(アップデート)する(ステップS7)。貨幣処理装置10では、制御部123が、再勘情報と再勘画像とを記憶部124に記録する。なお、記憶部124においても同じ場所の同じ金種の再勘情報と再勘画像とは関連付けて記録される。制御部123は、ターミナル12の表示部121に再勘確認を促すメッセージを表示する(ステップS8)。
【0044】
他方、金庫室へのアクセス履歴が確認できない場合には(ステップS4;No)、上記手順のうちステップS5~7を、みなし再勘として省略することができる。この場合、制御部123は、みなし再勘を実施した旨のメッセージをターミナル12の表示部121へ表示させる(ステップS8のカッコ内)。
【0045】
ターミナル12の表示部121に再勘結果の確認を促すメッセージ等が表示されると、担当者は、
図6~
図8を用いて説明した手順により、再勘情報の確認を行う(ステップS9)。担当者が再勘情報を確認し終えると(例えば、
図8の完了ボタン804が押下されると)、制御部123は、当該再勘情報等を、通信部16を介してセンターサーバ30へ送信(アップデート)する(ステップS10)。センターサーバ30では、制御部31が、再勘情報および再勘画像を取得し、記憶部32に、同じ場所の同じ金種の再勘情報と再勘画像とを関連付けて記録する。センターサーバ30では、所定の操作により、制御部31が、アップデートされた再勘情報等を表示装置へ出力する(ステップS11)。これにより、本部担当者は、当該再勘結果を確認することができる。
【0046】
(2)手許再勘(センターサーバから再勘要求あり)
以上、
図9を用いて金庫室再勘の場合の処理の流れについて説明したが、手許再勘(キャビネット102の再勘)の場合も同様である。
図9のフローチャートを援用して、手許再勘の場合の処理の流れを説明する。
まず、センターサーバ30が、手許再勘指示を貨幣処理装置10へ送信する(ステップS1´)。次に貨幣処理装置10(制御部123)が、手許へのアクセスを確認する(ステップS2´)。例えば、制御部123は、キャビネット102の鍵の持ち出し履歴情報を鍵管理機43へ照会する。鍵管理機43は、キャビネット102用の鍵の持ち出し履歴情報を貨幣処理装置10へ送信する(ステップS3´)。なお、キャビネット102についてもキャビネット102への人のアクセスを監視する監視カメラが設けられている場合は、この監視カメラが撮影した動画データの解析結果を照会してもよい。制御部123は、キャビネット102へのアクセスがあるか否かを判定する(ステップS4´)。アクセスが有る場合または監視カメラや鍵の管理を行っておらず、みなし再勘ができない場合(ステップS4´;Yes)、制御部123は、手許再勘を指示するメッセージを表示する。担当者は、金庫室再勘の場合と同様にして情報処理端末20を用いて、キャビネット102の再勘業務を行い(ステップS6´)、情報処理端末20は、再勘情報等をアップデートする(ステップS7´)。貨幣処理装置10では、制御部123が、ターミナル12の表示部121に再勘確認を促すメッセージを表示する(ステップS8´)。他方、手許へのアクセス履歴が確認できない場合(ステップS4´;No)、制御部123は、みなし再勘を実施した旨のメッセージを表示する。次に、担当者は、
図6~
図8を用いて説明した手順により、再勘情報等の確認を行い(ステップS9´)、当該再勘情報等をセンターサーバ30へ送信する(ステップS10´)。センターサーバ30では、アップデートされた手許再勘の再勘情報等を表示装置へ出力する(ステップS11´)。
【0047】
(3)金庫室再勘(センターサーバから再勘要求なし)
次にセンターサーバ30からの再勘要求が無い場合の処理の流れについて説明する。
図9に例示する処理は、センターサーバ30から再勘指示が送信された場合の処理であるが、本実施形態の貨幣処理システム60では、金庫室101の再勘業務を情報処理端末20から実施することも可能である。例えば、貨幣処理装置10とセンターサーバ30とが接続されていない場合でも、金庫室101の再勘業務を行うことが可能である。この場合の処理の一例を
図11に示す。
【0048】
まず、担当者が、情報処理端末20に所定の操作を行って、金庫室101へのアクセスの確認を行う(ステップS21)。例えば、制御部23は、監視カメラ44が撮影した動画データを解析する画像解析装置に対し解析結果を照会するか、および/または、鍵管理機43に持ち出し履歴情報を照会する。これに対し、画像解析装置は、金庫室101への人の立ち入り解析結果を情報処理端末20へ送信する。または、鍵管理機43は、鍵101aの持ち出し履歴情報を情報処理端末20へ送信する(ステップS22)。制御部23は、動画データの解析結果や鍵101aの持ち出し履歴情報に基づいて、金庫室101へのアクセスがあったか否かを判定する。アクセス有りの場合(ステップS23;Yes)、担当者は、情報処理端末20を用いて金庫室101の再勘業務を行う(ステップS24)。この処理は、
図9のステップS6と同様である。再勘業務が完了すると、制御部23は、通信部25を介して、再勘画面400にて入力した再勘情報等を貨幣処理装置10へ送信(アップデート)する(ステップS25)。アクセス無しの場合(ステップS23;No)、制御部23は、通信部25を介して、みなし再勘を実施した旨を送信する(ステップS25のカッコ内)。貨幣処理装置10では、制御部123が、対応する再勘情報と再勘画像を関連付けて記憶部124へ記録する。制御部123は、ターミナル12の表示部121に再勘確認を促すメッセージを表示する。担当者は、
図6~
図8を用いて説明した手順により、再勘情報等の確認を行う(ステップS26)。
【0049】
(4)手許再勘(センターサーバから再勘要求なし)
以上、
図11を用いて金庫室再勘の場合の処理の流れについて説明したが、手許再勘(キャビネット102の再勘)の場合も同様である。
図11のフローチャートを援用して、手許再勘の場合の処理の流れを説明する。
まず、担当者が、情報処理端末20に所定の操作を行って、キャビネット102へのアクセスの確認を行う(ステップS21´)。鍵管理機43は、キャビネット102用の鍵の持ち出し履歴情報を情報処理端末20へ送信する(ステップS22´)。制御部23は、手許へのアクセスがあったか否かを判定する(ステップS23´)。アクセス有りの場合(ステップS23´;Yes)、担当者は、情報処理端末20を用いてキャビネット102の再勘業務を行う(ステップS24´)。この処理は、ステップS6´と同様である。再勘業務が完了すると、制御部23は、通信部25を介して、再勘画面400にて入力した再勘情報と再勘画像を貨幣処理装置10へ送信(アップデート)する(ステップS25´)。アクセス無しの場合(ステップS23´;No)、制御部23は、通信部25を介して、みなし再勘を実施した旨を送信する。担当者は、
図6~
図8を用いて説明した手順により、再勘情報等の確認を行う(ステップS26´)。
【0050】
なお、センターサーバ30から再勘指示が送信されない場合、再勘業務を怠ってしまう可能性があるため、定期的に情報処理端末20または貨幣処理装置10に金庫室101とキャビネット102の再勘業務の実施を促すメッセージを表示するようにしてもよい。
【0051】
(変形例:QRコードによる夜間再勘)
例えば、店舗100では、事務規定などで月一回や、週一回再勘を実行することが決められている場合がある。定期的に定められた日に再勘を行うとすると、担当者が計画的に不正を行う可能性がある。これを抑止するために、担当者に知られないように再勘の実施日時を設定し、抜き打ちで再勘業務を実施する。以下で例示するQRコードによる夜間再勘は、このような再勘業務の一例である。
【0052】
QRコードによる夜間再勘の処理の流れの一例を
図12に示す。
まず、銀行本部において、本部担当者が、本部に設けられたPC(Personal Computer)などの情報処理装置に任意の再勘処理日時と対象とする貨幣処理装置10の識別情報などを設定し、これらの情報を合わせてQRコードにコード化する。本部の情報処理装置は、このQRコードを暗号化する等して電子メールなどに添付し、店舗100へ送信する(ステップS31)。店舗100では、情報処理端末が、再勘処理日時が含まれるQRコードが添付された電子メールを受信し、QRコードを復号して表示部へ出力するか、または紙へ印刷する(ステップS32)。この作業は、例えば、定期的に行われる再勘の担当者以外の夜間再勘担当者が実施する。なお、情報処理端末は、上記で説明した情報処理端末20と同じ端末であっても異なる端末であってもよい。夜間再勘担当者は、表示または印刷したQRコードを貨幣処理装置10に読み取らせる。貨幣処理装置10は、QRコードを読み取り、夜間再勘指定日を設定する(ステップS33)。例えば、貨幣処理装置10には、QRコードの読み取り装置が接続されていて、制御部123は、読み取ったQRコードに含まれる再勘処理日時を夜間再勘指定日として記憶部124に記録する。夜間再勘指定日が到来すると、貨幣処理装置10は、夜間再勘指定日の業務終了後に夜間再勘(機械動作分)を自動で行う(ステップS34)。この処理は、貨幣処理装置10の機内で管理される現金に対する再勘処理である。あるいは、窓口機41や現金バス42についても、貨幣処理装置10の指示に基づいて、機内の再勘処理を行い、その結果を貨幣処理装置10へ送信してもよい。次に、次の日の起動時(貨幣処理装置10の起動時または業務開始前)に夜間再勘の手処理分を行う(ステップS35)。夜間再勘の手処理分とは、例えば、金庫室101の再勘業務、キャビネット102の再勘業務のことである。夜間再勘担当者は、
図11を用いて説明した処理により、金庫室101およびキャビネット102の再勘業務を行い、その結果の再勘情報等を貨幣処理装置10へアプロードする。次に貨幣処理装置10の制御部123は、ステップS34の機械動作分の再勘情報とステップS35の機械動作分の再勘情報、設定した再勘処理日時などの情報を合わせてQRコード化する。このときQRコードの対象から再勘画像を除き、金種と枚数(紙幣束数や棒金硬貨本数)や金額だけを対象としてもよい。また、QRコードに含める情報は暗号化されることが好ましい。制御部123は、夜間再勘の結果を通知する画面上に、作成したQRコードを表示して、この通知画面を表示部121に表示する(ステップS36)。夜間再勘担当者は、情報処理端末を用いて、ターミナル12の表示部121に表示されたQRコードを読み取って、読み取った内容が記載された電子メールを作成する。作成された電子メールには、例えば、「再勘結果:一致、装置在高(機内):X1円、再勘在高(機内):X1円、装置在高(金庫室):X2円、再勘在高(金庫室):X2円、装置在高(手許):X3円、再勘在高(手許):X3円」などが記載されている。情報処理端末は作成した電子メールを銀行本部へ送信する(ステップS37)。銀行本部では、情報処理装置が電子メールを受信する。本部担当者は、情報処理装置を用いて、電子メールの内容を参照し、夜間再勘の結果を確認する(ステップS38)。
【0053】
貨幣処理装置10は、夜間再勘を正常に実行できなかった場合、表示部121へ夜間再勘がエラーとなった旨を表示する。夜間再勘が失敗する場合とは、例えば、QRコードを読み取った結果、対象の貨幣処理装置10ではない場合や、再勘処理日時が既に渡過してしまっている場合などである。QRコードを用いた夜間再勘により、各支店に明かされない所定の日時に再勘を行うことで、各支店の担当者が自ら精査処理日時設定を行う場合に比べ、不正を抑制することができる。
【0054】
(効果)
以上説明したとおり、貨幣処理システム60によれば、金庫室在高や手許在高の再勘業務において、再勘結果のエビデンスを残して照会可能とすることができるため、在高管理を厳格に行うことができる。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
11・・・紙幣部、12・・・ターミナル、121・・・表示部、122・・・入力受付部、123・・・制御部、124・・・記憶部、13・・・硬貨部、14・・・ポスト、15・・・棒金払出部、16・・・通信部、20・・・情報処理端末、21・・・表示部、22・・・入力受付部、23・・・制御部、24・・・記憶部、25・・・通信部、26・・・カメラ、27・・・測位部、30・・・センターサーバ、31・・・制御部、32・・・記憶部、33・・・通信部、43・・・鍵管理機、44・・・監視カメラ、50、51・・・QRコード、60・・・貨幣処理システム、101・・・金庫室