(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】退去確認システム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2023216866
(22)【出願日】2023-12-22
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500487882
【氏名又は名称】株式会社ファミリーネット・ジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】512071341
【氏名又は名称】株式会社Crossdoor
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 邦浩
(72)【発明者】
【氏名】中島 美沙子
(72)【発明者】
【氏名】大舘 陽子
(72)【発明者】
【氏名】市東 拓郎
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-202479(JP,A)
【文献】特開2022-171881(JP,A)
【文献】特開2015-185982(JP,A)
【文献】特開2015-055946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
H03J9/00-9/06
H04L12/28
51/00-51/58
67/00-67/75
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の室内に設置された室内機器と、
前記住宅とは異なる場所に設置され、通信網を介して前記室内機器の利用状況の確認が可能な管理装置と、
前記住宅の入居者が所有し、前記室内機器と前記室内で直接通信可能な端末装置と、
を備え、
前記管理装置が前記室内機器の利用を第1期間確認できない場合に、前記管理装置は、前記室内機器に前記端末装置と前記室内で直接通信を行わせ、前記直接通信の可否により前記入居者の退去または在居を確認する、
ことを特徴とする退去確認システム。
【請求項2】
前記端末装置は、前記管理装置と通信可能であり、
前記管理装置は、前記第1期間前記室内機器の利用を確認できない場合は、前記端末装置に在居確認情報を送信し、前記在居確認情報を送信後、第2期間以内に前記直接通信が行われない場合は前記入居者が退去したと判定することを特徴とする請求項1に記載の退去確認システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記第1期間前記室内機器の利用を確認できない場合は、前記端末装置とは異なる他の端末装置に在居確認情報を送信し、前記在居確認情報を送信後、第2期間以内に前記直接通信が行われない場合は前記入居者が退去したと判定することを特徴とする請求項1に記載の退去確認システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記第2期間以内に前記直接通信が行われた場合は前記入居者が在居していると判定することを特徴とする請求項2または3に記載の退去確認システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記第1期間をさらに2つに区分し、前記2つに区分した期間のうち前半の期間経過までに前記室内機器の利用を確認できた場合は、前記直接通信を行わずに前記入居者が在居していると判定することを特徴とする請求項1に記載の退去確認システム。
【請求項6】
前記直接通信は、短距離無線通信であることを特徴とする請求項1に記載の退去確認システム。
【請求項7】
住宅の施解錠をする施錠装置と、
前記住宅とは異なる場所に設置され、通信網を介して前記施錠装置の利用状況の確認が可能な管理装置と、
前記住宅の室内に設置され、前記通信網を介して前記管理装置と通信可能な通信機器と、
前記住宅の入居者が所有し、前記通信機器と前記室内で直接通信可能な端末装置と、
を備え、
前記管理装置が前記施錠装置の利用を第3期間確認できない場合に、前記管理装置は、前記通信機器に前記端末装置と前記室内で直接通信を行わせ、前記直接通信の可否により前記入居者の退去または在居を確認する、
ことを特徴とする退去確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば分譲マンションや賃貸物件の退去等の確認をする退去確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の通信端末を用いて住宅内の家電機器や住宅設備機器を遠隔操作するシステムが知られている。そして、この種の遠隔操作は、入居者の退去に応じて不正な使用を防止するために例えば特許文献1~3に記載の発明が提案されている。
【0003】
特許文献1には、サーバーに、機器の使用状態を通信により受信し、記憶・管理する使用履歴管理部と、使用履歴管理部から機器が設定された期間以上使用されていないコントローラを検索し、得られたコントローラに対して遠隔制御部の動作を停止もしくは制限する遠隔制御設定変更部を備えることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、遠隔操作機能制御部が、停電期間中は停電前の遠隔操作モードを保持し、停電から通電状態に復帰した場合に、停電期間判定部の判定に基づいて、停電期間が判定期間以上であった場合には遠隔操作不可モードとする制御を行い、停電期間が判定期間未満であった場合には停電前の保持している遠隔操作モードとする制御を行うことが記載されている。
【0005】
特許文献3には、管理装置は、通信網を介して管理装置と通信を行う通信端末から送信される使用者識別情報と、中継装置から送信される中継装置の識別情報とを関連付けた関連付け情報を記憶し、関連付け情報において関連付けられた通信端末と中継装置との間の管理装置を介した第1通信を許可し、第1通信が許可された後、所定の第1期間、中継装置または通信端末から管理装置への通信がなかった場合、第1期間以後の第1通信を禁止するよう構成されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-219985号公報
【文献】特開2007-264809号公報
【文献】特開2018-182457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実態としては退去しているにも関わらず、外部から定期的に通信をしていると、依然として遠隔操作が行えてしまうおそれがある。一方で、旅行等の長期不在により、一定期間利用できない状況のため退去を疑われる状態が発生すると、遠隔操作が制限されてしまうという問題もある。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、住宅内の機器の不正な遠隔操作を防止するために、確実に退去確認をすることができる退去確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、住宅の室内に設置された室内機器と、前記住宅とは異なる場所に設置され、通信網を介して前記室内機器の利用状況の確認が可能な管理装置と、前記住宅の入居者が所有し、前記室内機器と前記室内で直接通信可能な端末装置と、を備え、前記管理装置が前記室内機器の利用を第1期間確認できない場合に、前記管理装置は、前記室内機器に前記端末装置と前記室内で直接通信を行わせ、前記直接通信の可否により前記入居者の退去または在居を確認する、ことを特徴とする退去確認システムである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、管理装置は、室内機器に端末装置と室内で直接通信を行わせ、直接通信の可否により入居者の退去または在居を確認するので、入居者は、室内に居ることが必須となり、不正に在居の申告をすることができなくなる。そのため、確実に在居または退去の確認をすることができる。したがって、不正に外部から住宅内の機器の遠隔操作をすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる退去確認システムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示されたサーバ装置の動作の状態遷移図である。
【
図3】
図2に示された状態遷移の具体的動作例である。
【
図4】PoEハブを用いた退去確認システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかる退去確認システムを
図1~
図4を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる退去確認システムの概略構成図である。
【0013】
退去確認システム1は、管理装置としてのサーバ装置2と、宅内HUB3と、PoEインジェクタ4と、コントローラ5と、電気錠6と、その他機器7と、スマートフォン10、を備えている。
【0014】
サーバ装置2は、周知のサーバコンピュータであり、マイクロプロセッサ等の演算装置やハードディスクドライブ等の記憶装置、通信インターフェース等の通信装置等を備えている。サーバ装置2は、後述するスマートフォン10にインストールされたアプリ(使用者等が自らインストールしたアプリに限らず、ブラウザ等の当初からインストールされたアプリも含む)により、コントローラ5を介して住戸内の電気錠6や、エアコン、テレビ、お風呂給湯といったその他機器7の遠隔操作をする。
【0015】
宅内HUB3は、後述する退去や在居の確認を行う集合住宅の屋内に設置される周知のネットワークハブである。宅内HUB3は、外部からの通信を集合住宅の各住戸へ分岐させる中継装置である。なお、退去管理システム1は、主に集合住宅の住戸における退去の確認を行うが、一軒家や商業施設に適用することも可能である。
【0016】
PoEインジェクタ4は、PoE(Power Over Ethernet(登録商標))を利用して給電するための装置である。PoEは、周知のように、LAN(Local Area Network)ケーブルを通じて電力供給及び信号伝送をする技術である。PoEインジェクタ4は、宅内ブレーカ20から給電された電力をLANケーブルを介してコントローラ5に供給する。
【0017】
コントローラ5は、住戸の室内壁面等に設置(固定)されている室内機器である。コントローラ5は、上述したようにPoEインジェクタ4によりLANケーブルを介して給電されている。コントローラ5は、サーバ装置2から指示により自身に有線または無線によるLAN等により接続されている電気錠6や、エアコン、テレビ、お風呂給湯といったその他機器7の動作制御をする。
【0018】
ここで、本実施形態のコントローラ5は、入居者が電源ON/OFFを切り替えることができない。つまり、コントローラ5はPoEインジェクタ4(宅内ブレーカ20)からの給電の有無のみによって電源のONまたはOFFが切り替わる。
【0019】
電気錠6は、住戸の玄関ドアに設けられている錠である。即ち、電気錠6は、住戸の施解錠をする施錠装置である。電気錠6は、鍵でも施解錠可能であるが、上述したようにアプリを利用して鍵を使わずに施解錠できるように電気的に施解錠する機構が組み込まれている。
【0020】
その他機器7は、上述したように、エアコン、テレビ、お風呂給湯等が挙げられるが、これらに限らず、リモコン等で操作可能な家電機器やJEM-Aで接続が可能な住宅設備機器であればよい。
【0021】
スマートフォン10は、入居者が所有する携帯機器であって、上述したように、専用のアプリがインストールされている。そして、そのアプリによって、電気錠6の施解錠やその他機器7の各種操作等をすることができる。なお、本実施形態では、携帯機器としてスマートフォン10で説明するが、入居者が所有する携帯機器であれば、携帯電話やタブレット端末等であってもよい。また、スマートフォン10は、携帯電話通信網やWi-Fi(登録商標)等の通信網以外に、Bluetooth(登録商標)といった短距離無線通信も利用可能となっている。
【0022】
宅内ブレーカ20は、各住戸に設置されており分電盤ともいう。この分電盤は、外部から供給された電力を住戸内に分配する周知の装置であり、安全ブレーカや漏電遮断器等を備えている。
【0023】
次に、上述した構成の退去確認システム1の動作について
図2を参照して説明する。
図2は、サーバ装置2の動作の状態遷移図である。
【0024】
まず、入居者が居住している在居状態S1であるとする。この在居状態S1において、コントローラ5がT0日間通電の無い場合は仮退去1状態S2に遷移する。コントローラ5は、上記したアプリによる遠隔操作の有無にかかわらず、定期的にサーバ装置2にアクセスしている。そして、サーバ装置2は、これらのアクセスの記録を接続ログとしてサーバ装置2内に蓄積している。
【0025】
そこで、本実施形態では、その接続ログを参照して、コントローラ5が応答しない時間帯をコントローラ5の通電が無い状態とし、その応答しない時間帯が連続してT0日以上であった場合は、仮退去1状態S2に遷移している。
【0026】
即ち、この接続ログは、室内機器の利用状況となる。したがって、サーバ装置2は、住戸とは異なる場所に設置され、通信網を介してコントローラ5(室内機器)の利用状況の確認が可能な管理装置として機能する。
【0027】
コントローラ5は、上記したように、入居者が電源ON/OFFの切り替えをすることができないため、応答が無い場合は、宅内ブレーカ20が落とされていている状態(あるいは電力会社からの送電が停止されている状態)と見做すことができる。このような、宅内ブレーカ20を落としたり、送電停止状態になることは、居住時には殆ど無いと考えられるため、コントローラ5の応答が無い状態は退去している可能性があると判断できる。
【0028】
上記したT0日は、1週間など管理者等が任意に設定すればよい。但し、退去が疑われる程度の期間であるのが好ましい。
【0029】
ここで、仮退去1状態S2では、まだ退去として確定していない状態であり、後述するように、所定の条件を満たすことで在居状態S1に遷移したり、仮退去2状態S3に遷移する。この仮退去1状態S2は、例えば旅行等で不在の場合に後述する在居確認をしないようにするために設けた状態である。即ち、T0日は、第1期間を2つに区分したうちの前半の期間となり、T0日間経過までにコントローラ5の利用を確認できた場合は、後述するように直接通信を行わずに入居者が在居していると判定している。
【0030】
次に、仮退去1状態S2で、コントローラ5がT1日間のうちにt1時間以上通電していない場合は、仮退去2状態S3に遷移する。そして、仮退去2状態S3に遷移するとともに、サーバ装置2は、在居確認メールをスマートフォン10(スマートフォン10で受信できる入居者のメールアドレス)に送信する。T1日間のうちにt1時間以上通電していないことの判定方法も基本的には上記のT0日間通電の無い場合の判定と同様である。つまり、接続ログを参照して、T1日間のうちにt1時間以上通電しているか否か判定する。コントローラ5は、上記のように定期的にサーバ装置2へアクセスしているので、接続ログを確認することで通電の判定は可能である。
【0031】
T1日やt1時間は、例えば1週間に24時間以上など管理者等が任意に設定すればよい。但し、T1日もT0日と同様に退去が疑われる程度の期間であるのが好ましく、t1時間もその期間に在居していること認められる程度の時間が好ましい。なお、T0日とT1日は同じ期間であってもよいし、異なる期間であってもよい。
【0032】
一方、仮退去1状態S2で、コントローラ5がT1日間のうちにt1時間以上通電していた場合は、在居状態S1に遷移する。つまり、コントローラ5の通電状態により、当該住居に居住していることが確認できたとして在居確認を行わない。
【0033】
ここで、仮退去2状態S3も、まだ退去として確定していない状態であり、後述するように、所定の条件を満たすことで在居状態S1に遷移したり、退去状態S4に遷移する。
【0034】
在居確認メールは、後述する在居確認をする旨が記載された電子メールである。なお、電子メールではなく、スマートフォン10にインストールされたSNS等のメッセージであってもよい。通知先は、また、スマートフォン10に限らず、入居者が所有または確認可能な端末機器であればよい。あるいは、入居者の電話へ、コールセンターを介して連絡することでもよい。要するに入居者に在居確認をすることが伝達できればよい。
【0035】
仮退去2状態S3では、在居確認を在居確認メール送信後T2日間のうちに行う。在居確認は、コントローラ5とスマートフォン10とをBluetooth(登録商標)で接続し、コントローラ5とスマートフォン10との直接通信により在居していることを確認することである。Bluetooth(登録商標)は短距離無線通信の規格であり、入居者は住戸内に居ないとコントローラ5と接続するのが困難である。そのため、電子メールの返信や音声通話といった所在を問わない通信手段よりも確実に住戸内に居ることを確認できる。
【0036】
ここで、直接通信とは、途中にルータ等の中継装置を介さずに直接機器同士を通信線路(無線また有線)で接続して行われる通信を意味する。
【0037】
T2日は管理者等が任意に設定すればよい。T2日は入居者が在居確認の実行に必要な期間である。在居確認は上記のように短時間で完了するものであり、在居していれば、それほど手間がかかるものではないため、T0日やT1日よりも短い期間でよい。また、在居確認は、サーバ装置2がコントローラ5越しに人手を介さずに自動的に実行可能であるため、24時間いつでも実行可能である。
【0038】
即ち、上記したT0日+T1日の期間が第1期間であり、通電していないことが、利用が確認できない状態となる。そして、サーバ装置2は、在居確認メールを在居確認情報として送信してコントローラ5とスマートフォン10とをBluetooth(登録商標)で接続することで、直接通信を行わせている。
【0039】
なお、本実施形態では、Bluetooth(登録商標)の利用は在居の確認が目的であるため、コントローラ5から出力する電波強度は強くなくてよい(室内に届く程度でよい)。そのため、在居確認メールには、コントローラ5の近傍に居ることを指示するのが好ましい。また、Bluetooth(登録商標)に限らず、他の短距離無線通信であってもよい。これには、例えばNFC(Near Field Communication)を利用したICカード等による通信も含まれる。さらには、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信でもよい。
【0040】
次に、仮退去2状態S3でT2日間のうちに在居確認をしていない場合は、退去状態S4に遷移する。退去状態S4に遷移すると、退去が確認された状態となり、スマートフォン10のアプリからのサーバ装置2へのアクセスを無効にする。つまり、当該アプリに設定されたID等が無効になり、スマートフォン10の所持者は入居者扱いではなくなる。
【0041】
一方、仮退去2状態S3でT2日間のうちに在居確認をした場合は、在居状態S1に遷移する。即ち、T2日間が第2期間となり、サーバ装置2は、直接通信の可否(実行/未実行)により入居者の退去または在居を確認している。
【0042】
本実施形態では、仮退去1状態S2と仮退去2状態S3の2状態を設けたが、仮退去1状態S2を省略してもよい。その場合は、在居状態S1から直接仮退去2状態S3に遷移する。
【0043】
また、在居状態S1でT3日間電気錠6の解錠がn回以下の場合は、仮退去2状態S3に遷移する。そして、仮退去2状態S3に遷移するとともに、在居確認メールをスマートフォン10に送信する。T3日やn回の具体的な数値は適宜設定すればよいが、T3日については、T0日、T1日と同様に退去が疑われる程度の期間であるのが好ましく、n回も在居状態が確認できる程度の回数を設定するのが好ましい。
【0044】
コントローラ5は、接続されている機器(電気錠6、その他機器7)の利用状況(施解錠、電源のON/OFF等)を逐次サーバ装置2へ送信している。そのため、電気錠6の解錠は、コントローラ5を介してサーバ装置2が把握可能である。また、コントローラ5は、通信機器として機能することとなる。つまり、サーバ装置2は、電気錠6の利用状況を確認可能である。そして、T3日は第3期間に相当し、電気錠6の利用を第3期間確認できない場合に、サーバ装置2は、コントローラ5にスマートフォン10と室内で直接通信を行わせ、直接通信の可否により入居者の退去または在居を確認している。
【0045】
次に、上述した状態遷移の具体的動作例について
図3を参照して説明する。
図3は、入居者の動き、コントローラ5の状態及びサーバ装置2のステート(状態)を時系列に示した図である。
【0046】
まず、初期状態として入居者は住戸の鍵を有し居住実態があるとする。そして、コントローラ5も通電状態であり、サーバ装置2のステートも在居状態S1であるとする。
【0047】
ここで、d1日に入居者が退去のため鍵を返却する。すると、入居者は鍵が無い状態になる。但し、宅内ブレーカ20は落としておらずコントローラ5は通電状態である。そして、d1日以後のd2日に例えば住戸の管理業者等が宅内ブレーカ20を落とす(あるいは電力会社が電気を止める)。すると、コントローラ5は通電無し状態となる。
【0048】
d2日からT0日(例えば1週間)が経過したd3日になってもコントローラ5に通電が無いと、サーバ装置2のステートは仮退去1状態S2に遷移する。但し、この時点では入居者へのアクションはない。
【0049】
そして、d3日からT1日が経過したd4日までにt1時間以上コントローラ5に通電されていないと、サーバ装置2のステートは仮退去2状態S3に遷移する。仮退去2状態S3への遷移とともに在居確認メールをスマートフォン10(入居者)に送信する。
【0050】
そして、d4日からT2日から経過したd5日までに退去確認が行われないと、サーバ装置2のステートは退去状態S4に遷移する。退去状態S4に遷移すると、入居者は当該住戸の入居者としての権限が削除され、アプリの利用が出来なくなる。つまり、電気錠6やその他機器7の遠隔操作が不能となる。
【0051】
以上に説明した本実施形態によれば、退去確認システム1は、住戸の室内に設置されたコントローラ5と、住戸とは異なる場所に設置され、通信網を介してコントローラ5の利用状況の確認が可能なサーバ装置2と、住戸の入居者が所有し、コントローラ5と室内で直接通信可能なスマートフォン10と、を備えている。そして、サーバ装置2がコントローラ5の利用をT0+T1日間確認できない場合に、サーバ装置2は、コントローラ5にスマートフォン10と住戸の室内でBluetooth(登録商標)により直接通信を行わせ、その直接通信の可否により入居者の退去または在居を確認している。
【0052】
退去確認システム1が上記のように構成されることにより、サーバ装置2は、コントローラ5の通電状態により、コントローラ5にスマートフォン10と室内で直接通信を行わせ、直接通信の可否により入居者の退去または在居を確認するので、入居者は、室内に居ることが必須となり、不正に在居の申告をすることができなくなる。そのため、確実に在居または退去の確認をすることができる。したがって、不正に外部から住宅内の機器の遠隔操作をすることを防止できる。
【0053】
また、サーバ装置2は、T0+T1日間コントローラ5の利用を確認できない場合は、スマートフォン10に在居確認メールを送信し、在居確認メールを送信後、T2日以内にコントローラ5との直接通信が行われない場合は入居者が退去したと判定している。このようにすることにより、在居確認をするにあたり、数日程度の猶予を持たせることができる。また、電子メールにより送信することで、入居者の都合に合わせて確認することができる。
【0054】
また、サーバ装置2は、T2日以内に直接通信が行われた場合は入居者が在居していると判定している。このようにすることにより、入居者が室内に居る状態で在居確認をすることができる。
【0055】
また、サーバ装置2は、T0+T1日間のうち、T0日間経過までにコントローラ5の利用を確認できた場合は、直接通信を行わずに入居者が在居していると判定している。このようにすることにより、例えば旅行等で数日間不在の場合には在居確認メールが送信されることを防止して、入居者の手間を省くことができる。
【0056】
また、直接通信は、短距離無線通信であるので、住戸外から不正に在居確認をするのが困難となる。したがって、在居確認の信頼性を高めることができる。
【0057】
また、退去確認システム1は、住戸の施解錠をする電気錠6と、住戸とは異なる場所に設置され、通信網を介して電気錠6の利用状況の確認が可能なサーバ装置2と、住戸の室内に設置され、通信網を介してサーバ装置2と通信可能なコントローラ5と、住戸の入居者が所有し、コントローラ5と室内で直接通信可能なスマートフォン10と、を備えている。そして、サーバ装置2が電気錠6のn回より多くの利用をT3日間確認できない場合に、サーバ装置2は、コントローラ5にスマートフォン10と室内でBluetooth(登録商標)により直接通信を行わせ、その直接通信の可否により入居者の退去または在居を確認している。
【0058】
退去確認システム1が上記のように構成されることにより、サーバ装置2は、電気錠6の利用状態により、コントローラ5にスマートフォン10と室内で直接通信を行わせ、直接通信の可否により入居者の退去または在居を確認するので、入居者は、室内に居ることが必須となり、不正に在居の申告をすることができなくなる。そのため、確実に在居または退去の確認をすることができる。したがって、不正に外部から住宅内の機器の遠隔操作をすることを防止できる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、コントローラ5の通電状態によりサーバ装置2のステート(状態)が遷移したが、コントローラ5との通信状態でステートを遷移させてもよい。上述したように実施形態では、接続ログに基づいて通電状態を判定しているが、実質的には通信の有無であるので、通信状態としても同様の動作や効果を得ることが可能である。また、通信状態でステートを遷移させることで、PoEを利用せずに直接コントローラ5が通電されている状態や、コントローラ5が後付けで設置された場合であって入居者等が電源のON/OFFが可能な状態であっても本発明を適用することができる。
【0060】
また、PoEインジェクタ4に代えてPoEハブを用いてもよい。PoEハブを用いた構成を
図4に示す。
図4では、
図1に示した室内HUB3が削除され、PoEインジェクタ4に代えてPoEハブ4’が設けられている。PoEハブ4’は、PoEスイッチングハブとも呼ばれ、宅内HUB3の機能を有し、かつ、PoEを利用して給電する装置である。そのため、宅内HUB3は不要となる。
【0061】
また、入居者が在居確認メールを受信した際に退去していた場合は、T2日の経過を待たずにアプリ上で退去の申請をしてもよい。
【0062】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の退去確認システムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 退去確認システム
2 サーバ装置(管理装置)
5 コントローラ(室内機器、通信機器)
6 電気錠(施錠装置)
10 スマートフォン(携帯機器)
【要約】
【課題】住宅内の機器の遠隔操作を防止するために、確実に退去確認をすることができる退去確認システムを提供する。
【解決手段】退去確認システム1は、住戸の室内に設置されたコントローラ5と、住戸とは異なる場所に設置され、通信網を介してコントローラ5の利用状況の確認が可能なサーバ装置2と、住戸の入居者が所有し、コントローラ5と室内で直接通信可能なスマートフォン10と、を備えている。そして、サーバ装置2がコントローラ5の利用をT0+T1日間確認できない場合に、サーバ装置2は、コントローラ5にスマートフォン10と住戸の室内でBluetooth(登録商標)により直接通信を行わせ、その直接通信の可否により入居者の退去または在居を確認している。
【選択図】
図1